説明

遮断弁の漏洩検知方法およびそれを用いた流体の混入防止方法

【課題】上流側から個別に供給されて来る複数種類の流体を混合せずに遮断弁の開閉によっていずれか1種類の流体を選択的に下流側に供給する配管系において、漏洩している遮断弁を的確に検知することができる遮断弁の漏洩検知方法およびそれを用いて流体の混入を適切に防止することができる流体の混入防止方法を提供する。
【解決手段】それぞれの流体の供給配管11〜13が合流する合流点までの各流体1〜3の供給配管11〜13に複数の遮断弁31〜36を設置するとともに、前記複数の遮断弁31〜36のそれぞれの上流側と下流側に圧力検出器51〜57を設置し、それらの圧力検出器51〜57にて検出された圧力波形を比較することによって、いずれの遮断弁31〜36から漏洩しているかを検知することを特徴とする遮断弁の検知方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流側から個別に供給されて来る複数種類の流体を混合せずに遮断弁の開閉によっていずれか1種類の流体を選択的に下流側に供給する配管系における遮断弁の漏洩検知方法およびそれを用いた流体の混入防止方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上流側から個別に供給されて来る複数種類の流体を混合せずにいずれか1種類の流体を選択的に下流側に供給する配管系においては、品質上および安全上、選択された流体に他の流体が混入して下流側に供給されることを防止する必要がある。
【0003】
例えば、転炉の吹錬工程で使用される高純度Arガスと粗Arガスのいずれか一方のガスを選択して転炉に供給する配管系を備えた転炉吹錬用ガス供給設備において、高純度Arガスを供給する高純度Arガス供給配管と粗Arガスを供給する粗Arガス供給配管が合流する合流点までの各ガスの供給配管に複数の遮断弁を設け、その複数の遮断弁の間にブロー用配管を接続し、そのブロー用配管の途中にブロー弁を設けた配管系としておき、いずれかの供給配管の複数の遮断弁が全て閉止した場合に、その供給配管の複数の遮断弁の間に接続されたブロー用配管の途中に設けられたブロー弁を開放することによって、選択して転炉に供給されるガスに他のガスが混入することを防止するようにしている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−264259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のように、複数種類の流体の供給配管が合流する合流点までの各流体の供給配管に複数の遮断弁を設け、その複数の遮断弁の間にブロー用配管を接続し、そのブロー用配管の途中にブロー弁を設けた配管系にしておき、各供給配管の複数の遮断弁が全て閉止した場合に、その供給配管の複数の遮断弁の間に接続されたブロー用配管の途中に設けられたブロー弁を開放することにより流体の混入を防止する方法では、ブロー用配管が接続された個所の前後の遮断弁が漏洩していても、その前後の遮断弁のどちらが漏洩しているかが判断できないため、漏洩している遮断弁を取替える際に、それぞれの遮断弁の漏洩の有無を確認する必要がある。また、各供給配管の複数の遮断弁が閉止した場合に、必ずその供給配管を流れる流体が系外に放出されることや、ブロー用配管が接続された個所の前後の遮断弁に漏洩があった場合に、漏洩のあった遮断弁を取替えるまで、その供給配管を流れる流体が系外に放出されることから、コスト面で合理的ではないという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、上流側から個別に供給されて来る複数種類の流体を混合せずに遮断弁の開閉によっていずれか1種類の流体を選択的に下流側に供給する配管系において、漏洩している遮断弁を的確に検知することができる遮断弁の漏洩検知方法およびそれを用いて流体の混入を適切に防止することができる流体の混入防止方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0008】
[1]上流側から個別に供給されて来る複数種類の流体を混合せずにいずれか1種類の流体を下流側に供給する配管系において、それぞれの流体の供給配管が合流する合流点までの各流体の供給配管に複数の遮断弁を直列に設置するとともに、前記複数の遮断弁のそれぞれの上流側と下流側に圧力検出器を設置し、それらの圧力検出器にて検出された圧力波形を比較することによって、いずれの遮断弁から漏洩しているかを検知することを特徴とする遮断弁の検知方法。
【0009】
[2]前記[1]に記載の遮断弁の漏洩検知方法を用いた流体の混入防止方法であって、前記合流点までの各流体の供給配管に設置した複数の遮断弁の間に、ブロー用配管を接続し、そのブロー用配管の途中にブロー弁を設け、そのブロー弁の下流にブロー弁を設け、その放出圧力をブロー用配管が接続された位置より上流側の遮断弁の上流側の圧力およびブロー用配管が接続された位置より下流側の遮断弁の下流側の圧力に比べて低く設定しておき、いずれかの流体の供給配管に設置した複数の遮断弁の全てから漏洩していることが検知された場合には、その供給配管に設けたブロー弁を開放して、その供給配管から流体を系外に放出することを特徴とする流体の混入防止方法。
【0010】
[3]前記[1]に記載の遮断弁の漏洩検知方法または前記[2]に記載の流体の混入防止方法を適用した転炉吹錬用ガス供給設備であって、前記複数種類の流体が高純度Arガスと高純度Nガスの2種類の流体であるか、または、高純度Arガスと高純度Nガスと低純度Arガスの3種類の流体であることを特徴とする転炉吹錬用ガス供給設備。
【発明の効果】
【0011】
本発明の遮断弁の検知方法においては、どの遮断弁が漏洩しているかを的確に検知することができる。したがって、前述したように、特許文献1に記載の方法では、どの遮断弁が漏洩しているかが特定できないため、漏洩している遮断弁を取替える際に、それぞれの遮断弁の漏洩の有無を確認することが必要であったが、本発明ではそれが不要になり、漏洩している遮断弁を迅速に取替えることが可能になる。
【0012】
また、本発明の流体の混入防止方法においては、いずれかの流体の供給配管に設置した複数の遮断弁の全てから漏洩していることが検知された場合にのみ、その供給配管に設けたブロー弁を開放して、その供給配管から流体を系外に放出するので、コスト面で合理的となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態における配管系を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態において、各遮断弁が良好である場合に各圧力検出器で検出される圧力波形を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態において、第3の遮断弁に漏洩がある場合に各圧力検出器で検出される圧力波形を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態において、第4の遮断弁に漏洩がある場合に各圧力検出器で検出される圧力波形を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態において、第3の遮断弁と第4の遮断弁に漏洩がある場合に各圧力検出器で検出される圧力波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
ここでは、上流側から個別に3種類の流体(第1の流体、第2の流体、第3の流体)が供給され、それら3種類の流体を混合せずに、遮断弁の開閉によっていずれか1種類の流体を下流側に供給する配管系において、第1の流体を下流側に供給し、第2の流体と第3の流体は遮断する場合について、遮断弁の漏洩の有無を検知する方法と、その検知結果に基づいて流体の混入を防止する方法について述べる。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態における配管系を示す図である。なお、図1において、各種流体の流れを実線で示し、各種信号の流れを破線で示している。
【0017】
図1に示すように、この実施形態における配管系においては、上流側から第1の流体1を供給する第1の供給配管11と、上流側から第2の流体2を供給する第2の供給配管12と、上流側から第3の流体3を供給する第3の供給配管13が配置されており、第1の供給配管11には、第1の流体1を遮断するための第1の遮断弁31と第2の遮断弁32が直列に設置され、第2の供給配管12には、第2の流体2を遮断するための第3の遮断弁33と第4の遮断弁34が直列に設置され、第3の供給配管13には、第3の流体3を遮断するための第5の遮断弁35と第6の遮断弁36が直列に設置されている。そして、第1の供給配管11〜第3の供給配管13は供給配管14に接続していて、遮断弁31〜36の開閉によって第1の流体1〜第3の流体3のいずれか1種類の流体を供給配管14を経由して下流側に供給するようになっている。
【0018】
また、第1の流体1を系外に放出するための第1のブロー用配管21が第1の遮断弁31と第2の遮断弁32の間の第1の供給配管11に接続されており、その第1のブロー用配管21には第7の遮断弁37と第1のブロー弁41が配置されている。同様に、第2の流体2を系外に放出するための第2のブロー用配管22が第3の遮断弁33と第4の遮断弁34の間の第2の供給配管12に接続されており、その第2のブロー用配管22には第8の遮断弁38と第2のブロー弁42が配置されている。同様に、第3の流体3を系外に放出するための第3のブロー用配管23が第5の遮断弁35と第6の遮断弁36の間の第3の供給配管13に接続されており、その第3のブロー用配管23には第9の遮断弁39と第3のブロー弁43が配置されている。
【0019】
また、第1の供給配管11における第1の遮断弁31の上流側の圧力を検出する第1の圧力検出器51と、第1の遮断弁31と第2の遮断弁32の間の圧力を検出する第2の圧力検出器52と、第2の供給配管12における第3の遮断弁33の上流側の圧力を検出する第3の圧力検出器53と、第3の遮断弁33と第4の遮断弁34の間の圧力を検出する第4の圧力検出器54と、第3の供給配管13における第5の遮断弁35の上流側の圧力を検出する第5の圧力検出器55と、第5の遮断弁35と第6の遮断弁36の間の圧力を検出する第6の圧力検出器56と、第4の供給配管14における圧力を検出する第7の圧力検出器57と、第1の圧力検出器51〜第7の圧力検出器57からの圧力波形を取込み、第7の遮断弁37〜第9の遮断弁39の開閉操作信号を出力する演算制御装置61とが配置されている。
【0020】
そして、ここで前提としているように、第1の流体1を選択的に第4の配管14へ供給する場合は、第1の遮断弁31と第2の遮断弁32を開放し、第3の遮断弁33〜第6の遮断弁36を閉止する。なお、第7の遮断弁37〜第9の遮断弁39も閉止する。
【0021】
その際に、全て遮断弁31〜39が良好である場合は、各圧力検出器51〜57より出力される圧力波形は、図2に示すようになる。すなわち、第1の圧力検出器51の圧力波形は第1の流体1の供給元に支配された圧力変動を有した波形となり、その圧力波形が伝播する第2の圧力検出器52の圧力波形と第7の圧力検出器57の圧力波形も第1の圧力検出器51の圧力波形と類似した圧力波形となる。また、第3の圧力検出器53の圧力波形は第2の流体2の供給元に支配された圧力変動を有した圧力波形となり、いずれの圧力波形も伝播しない第4の圧力検出器54の圧力波形は圧力変動の無い圧力波形となる。また、第5の圧力検出器55の圧力波形は第3の流体3の供給元に支配された圧力変動を有した圧力波形となり、いずれの圧力波形も伝播しない第6の圧力検出器56の圧力波形は圧力変動の無い圧力波形となる。
【0022】
これに対して、第3の遮断弁33に漏洩があり、その他の遮断弁は良好である場合は、各圧力検出器51〜57より出力される圧力波形は、図3のようになる。すなわち、第3の遮断弁33の上流側の圧力波形が第3の遮断弁33の下流側に伝播するようになるので、第3の遮断弁33の上流側に位置する第3の圧力検出器53の圧力波形と第3の遮断弁33の下流側に位置する第4の圧力検出器54の圧力波形とが類似の圧力変動を有した圧力波形となる。なお、第4の圧力検出器54以外の圧力波形は、上述の図2で述べたものと同様の圧力波形となる。
【0023】
また、第4の遮断弁34に漏洩があり、その他の遮断弁は良好である場合は、各圧力検出器51〜57より出力される圧力波形は、図4のようになる。すなわち、第4の遮断弁34の下流側の圧力波形が第4の遮断弁34の上流側に伝播するようになるので、第4の遮断弁34の下流側に位置する第7の圧力検出器57の圧力波形と第4の遮断弁34の上流側に位置する第4の圧力検出器54の圧力波形とが類似した圧力波形となる。なお、第4の圧力検出器54以外の圧力波形は、上述の図2で述べたものと同様の圧力波形となる。
【0024】
また、第3の遮断弁33と第4の遮断弁34に漏洩があり、その他の遮断弁は良好である場合は、各圧力検出器51〜57より出力される圧力波形は、図5のようになる。すなわち、第3の遮断弁33の上流側の圧力波形が第3の遮断弁33の下流側に伝播するようになるとともに、第4の遮断弁34の下流側の圧力波形が第4の遮断弁34の上流側に伝播するようになるので、第3の遮断弁33の下流側でかつ第4の遮断弁34の上流側に位置する第4の圧力検出器54の圧力波形は、第3の遮断弁33の上流側に位置する第3の圧力検出器53の圧力波形と第4の遮断弁34の下流側に位置する第7の圧力検出器57の圧力波形とが合成された圧力波形となる。したがって、第4の圧力検出器54の圧力波形は、第3の圧力検出器53の圧力波形および第7の圧力検出器57の圧力波形のいずれにも類似していない圧力波形となる。なお、なお、第4の圧力検出器54以外の圧力波形は、上述の図2で述べたものと同様の圧力波形となる。
【0025】
以上のことから、第3の遮断弁33と第4の遮断弁34の漏洩の有無については、以下のようにして検知することができる。
【0026】
(1)まず、第4の圧力検出器54の圧力波形が圧力変動の無い圧力波形であった場合は、第3の遮断弁33と第4の遮断弁34のいずれも漏洩していないと判断できる。
【0027】
しかし、第4の圧力検出器54の圧力波形が圧力変動の有る圧力波形であった場合は、第3の遮断弁33と第4の遮断弁34のいずれか一方または両方が漏洩していることになる。そこで、下記の(2)〜(4)によって判断する。
【0028】
(2)第4の圧力検出器54の圧力波形が第3の圧力検出器53の圧力波形と類似の圧力波形であった場合は、第3の遮断弁33のみが漏洩していると判断できる。
【0029】
(3)第4の圧力検出器54の圧力波形が第7の圧力検出器57の圧力波形と類似の圧力波形であった場合は、第4の遮断弁34のみが漏洩していると判断できる。
【0030】
(4)第4の圧力検出器54の圧力波形が第3の圧力検出器53の圧力波形および第7の圧力検出器57の圧力波形のいずれとも類似していない圧力波形であった場合は、第3の遮断弁33と第4の遮断弁34の両方が漏洩していると判断できる。
【0031】
なお、上述したように、第7の圧力検出器57の圧力波形は、第1の圧力検出器51の圧力波形および第2の圧力検出器52の圧力波形と類似しているので、上記(3)、(4)において、第7の圧力検出器57の圧力波形に替えて、第1の圧力検出器51の圧力波形または第2の圧力検出器52の圧力波形を用いてもよい。
【0032】
そして、上記では、第3の遮断弁33と第4の遮断弁34の漏洩の有無を検知する場合について述べたが、第5の遮断弁35と第6の遮断弁36の漏洩の有無を検知する場合には、上記において、第3の遮断弁33を第5の遮断弁35に置き換え、第4の遮断弁34を第6の遮断弁36に置き換えれば、同様にして漏洩の有無を検知することができる。
【0033】
ちなみに、上記において、二つの圧力波形が類似であるか類似でないかを判定する際には、二つの圧力波形を重ねて、所定の時間ピッチで振幅の差を算出し、その振幅の差を所定時間分だけ積算し、その積算値が所定の値以下であれば、二つの圧力波形は類似であると判定し、その積算値が所定の値を超えていれば、二つの圧力波形は類似でないと判定する。
【0034】
次に、上述した遮断弁の漏洩の検知結果に基づいて流体の混入を防止する方法について述べる。
【0035】
まず、上記(2)のように、第3の遮断弁33のみが漏洩していると検知された場合は、第4の遮断弁34が漏洩していないので、第1の流体1に第2の流体2が混入した状態で供給配管14を経由して下流側に供給されることはない。また、上記(3)のように、第4の遮断弁34のみが漏洩していると検知された場合は、第3の遮断弁33が漏洩していないので、第1の流体1に第2の流体2が混入した状態で供給配管14を経由して下流側に供給されることはない。したがって、いずれの場合も、適切な時期に、漏洩していると検知された遮断弁(第3の遮断弁33または第4の遮断弁34)を取替えればよい。
【0036】
これに対して、上記(4)のように、第3の遮断弁33と第4の遮断弁34の両方が漏洩していると検知された場合は、そのままでは、第1の流体1に第2の流体2が混入した状態で供給配管14を経由して下流側に供給されることになるので、直ちに、第8の遮断弁38を開放し、第3の遮断弁33と第4の遮断弁34の間の圧力が第3の遮断弁33の上流側の圧力および第4の遮断弁34の下流側の圧力よりも低い圧力になるように調整されている第2のブロー弁42から、第3の遮断弁33を漏洩してきた第2の流体2と第4の遮断弁34を漏洩して逆流してきた第1の流体1を系外に放出する。これによって、第1の流体1に第2の流体2が混入した状態で下流側に供給されることが防止される。
【0037】
このように、必要最小限の流体を系外に放出することで、コスト面で合理的となる。
【0038】
なお、上記では、第2の流体2を遮断する第3の遮断弁33または/および第4の遮断弁34に漏洩があった場合について述べたが、第3の流体3を遮断する第5の遮断弁35または/および第6の遮断弁36に漏洩があった場合についても同様に行う。
【0039】
また、ここまでは、第2の流体2と第3の流体3を遮断して、第1の流体1を下流側に供給する場合について述べたが、第1の流体1と第3の流体3を遮断して、第2の流体2を下流側に供給する場合や、第1の流体1と第2の流体2を遮断して、第3の流体3を下流側に供給する場合も、同様にして遮断弁の漏洩検知と流体の混入防止を行うことができる。
【0040】
また、上記の遮断弁の漏洩検知方法と流体の混入防止方法は、第2の遮断弁32の設置位置と第4の供給配管14への接続位置との間に逆止弁を設置し、第4の遮断弁34の設置位置と第4の供給配管14への接続位置との間に逆止弁を設置し、第6の遮断弁36の設置位置と供給配管14への接続位置との間に逆止弁を設置している配管系においても同様に実施することができる。
【0041】
さらに、この実施形態では、上流側から個別に3種類の流体が供給される場合について述べたが、上流側から個別に2種類の流体が供給される場合や、上流側から個別に4種類以上の流体が供給される場合でも、同様に実施することができる。
【0042】
そして、上述の遮断弁の漏洩検知方法と流体の混入防止方法を製鉄所における転炉吹錬用ガス供給設備に適用し、上流側から高純度Arガスと高純度Nガスの2種類のガスが個別に供給される場合や、上流側から高純度Arガスと高純度Nガスと低純度Arガスの3種類のガスが個別に供給される場合について、漏洩している遮断弁を取替える際の遮断弁の漏洩確認を行うことの省略と、特に希少で高価である高純度Arガスと低純度Arガスのブロー量の削減が図れるようになり、コスト面で合理的となる。
【符号の説明】
【0043】
1 第1の流体
2 第2の流体
3 第3の流体
11 第1の供給配管
12 第2の供給配管
13 第3の供給配管
14 第4の供給配管
21 第1のブロー用配管
22 第2のブロー用配管
23 第3のブロー用配管
31 第1の遮断弁
32 第2の遮断弁
33 第3の遮断弁
34 第4の遮断弁
35 第5の遮断弁
36 第6の遮断弁
37 第7の遮断弁
38 第8の遮断弁
39 第9の遮断弁
41 第1のブロー弁
42 第2のブロー弁
43 第3のブロー弁
51 第1の圧力検出器
52 第2の圧力検出器
53 第3の圧力検出器
54 第4の圧力検出器
55 第5の圧力検出器
56 第6の圧力検出器
57 第7の圧力検出器
61 演算制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流側から個別に供給されて来る複数種類の流体を混合せずにいずれか1種類の流体を下流側に供給する配管系において、それぞれの流体の供給配管が合流する合流点までの各流体の供給配管に複数の遮断弁を直列に設置するとともに、前記複数の遮断弁のそれぞれの上流側と下流側に圧力検出器を設置し、それらの圧力検出器にて検出された圧力波形を比較することによって、いずれの遮断弁から漏洩しているかを検知することを特徴とする遮断弁の検知方法。
【請求項2】
請求項1に記載の遮断弁の漏洩検知方法を用いた流体の混入防止方法であって、前記合流点までの各流体の供給配管に設置した複数の遮断弁の間に、ブロー用配管を接続し、そのブロー用配管の途中にブロー弁を設け、そのブロー弁の下流にブロー弁を設け、その放出圧力をブロー用配管が接続された位置より上流側の遮断弁の上流側の圧力およびブロー用配管が接続された位置より下流側の遮断弁の下流側の圧力に比べて低く設定しておき、いずれかの流体の供給配管に設置した複数の遮断弁の全てから漏洩していることが検知された場合には、その供給配管に設けたブロー弁を開放して、その供給配管から流体を系外に放出することを特徴とする流体の混入防止方法。
【請求項3】
請求項1に記載の遮断弁の漏洩検知方法または請求項2に記載の流体の混入防止方法を適用した転炉吹錬用ガス供給設備であって、前記複数種類の流体が高純度Arガスと高純度Nガスの2種類の流体であるか、または、高純度Arガスと高純度Nガスと低純度Arガスの3種類の流体であることを特徴とする転炉吹錬用ガス供給設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−181078(P2012−181078A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43517(P2011−43517)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】