説明

遮水壁の構築法

【課題】遮水壁を立設して管理型護岸を構築するに際して、鋼製矢板を1列状に立設した継手部に遮水材を充満させて、遮水壁としての性能を良好に維持させ得るようにする。
【解決手段】管理型護岸を構築するに際しては、鋼製矢板20を列状に立設した矢板壁15の接続部での内部空間21に、遮水材を充満させることにより、継手部での遮水性を維持させるようにする。その遮水材を充填する際に、あらかじめ孔開きパイプ22を配置しておき、遮水材が充填されるにつれて、下部から上に向けて水等の不純物を移動させるようにし、遮水材の下部や遮水材層の中に水等が封じ込められて残らないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業廃棄物や一般廃棄物を埋め立て処分するための廃棄物海面処分場を、海の一部分を仕切るように矢板壁による護岸を構築して区画し、仕切り護岸として構築する矢板壁自体の遮水性をより確実に維持可能とし、その区画の内部に貯留する廃棄物と外側の海水とが、接触しないようにする遮水壁の構築法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物や一般廃棄物を処分するために、人里離れた山間部等に埋立て処分場を構築することは、多くの地方自治体や企業が行っていることではある。その他に、海に沿って立地している自治体等では、海岸を仕切の一辺として用い、海の部分を囲むように護岸を構築し、その海を仕切った状態の区画の内部に、廃棄物を堆積(投棄)する方法を用いている。前記仕切り護岸としては、鋼(管)矢板、ケーソン、または捨石を積み重ねた護岸等を構築することが知られており、そのようにして護岸で囲まれた新たな陸地を構築し、有効に利用することが多く提案されている。前記廃棄物の埋め立て処分場を区画する仕切り護岸には、処分場内で廃棄物に触れたり、廃棄物から滲み出したりする水分は、有害成分を多く含む水であり、そのままの状態で排出させることはできないものである。
【0003】
そこで、そのような汚染された水が、外海に浸出しないようにするために、仕切り護岸により周囲を区画し、その護岸本体にもしくは独立させて設けた壁部によって、前記汚染された水を区画の中に封じ込めておき、無害化処理を行ってから外洋に流す、遮水処理を施すことが行われている。さらに、前記仕切り護岸により区画することのみではなしに、処分場を構築する区域の海底地盤に対しても、必要に応じて遮水処理を行うことで、廃棄物を外側の海水と完全に分離した状態で貯留することが求められている。
【0004】
前述したような遮水処理を施した護岸を構築するために、従来より、鋼管矢板や他の任意の断面形状の矢板等の、鋼製矢板を一列状に打設して、矢板列による遮水壁を構築することが行われている。また、前記矢板による遮水壁に組み合わせて、コンクリート製等のケーソンを立設して、外海との間に二重の仕切を設けること、または、前記構造物の列のみを用いた護岸として構築する手段が用いられている。そして、前記各種の構造を有する仕切り護岸の構築とともに、透水性を有する海底地盤に、不透水の性質を持たせる処理を施すことや、立設した構造物の壁の隙間から水が流れ出すことがないように、遮水処理を追加して施すことで、区画内に廃棄物を長期間保管しても、公害が発生しないように処理している。
【0005】
例えば、矢板を列状に打設して遮水壁を構築する場合に、矢板のみで遮水壁を構築する例としては、例えば、特開2004−162353号公報(特許文献1)に開示されているように、任意の断面構造を有する鋼製矢板を打設して構築することが知られている。そして、前記鋼製矢板の接続部分には遮水材を充填して、継手(ジョイント部)の隙間を通って水が流通しないように、遮水作用を持たせる処理を追加している。前記遮水材としては、遮水性能、取扱い性、コスト、耐久性等の条件を満足させる得る材料として、アスファルトを主体とする混合物を用いることが一般的である。そのような遮水材を矢板の継手部の空間に充填することで、遮水壁を構成する鋼(管)矢板の接続部で、遮水性と耐久性を良好に発揮させるものとされている。なお、前記列状に打設して構築した矢板のみによる遮水壁の他に、ケーソンを1列状に立設して構築したものと、矢板壁とを組み合わせて設ける複合遮水構造や、矢板壁を2列に立設して構築したもの等が、その立地条件等に応じて適宜選択される。
【特許文献1】特開2004−162353号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来例に示されているように、鋼製矢板の両側部に雌・雄形状の継手部材を各々設けておき、前記継手部材を組み合わせながら、矢板壁を構築することによって、遮水処理を施した壁を構成する。さらに、前記接続部の空間部の内部に、アスファルト混合物等の遮水材を充満させる方法を用いる場合に、前記矢板の継手部に設けた空間部を、十分に大きな断面積を有するものとして形成し、その空間部に遮水材を流し込んで、空間内部に隙間が生じないように、密封する処理を行っている。そして、水温が高い季節では、アスファルト合材を加熱する温度を160℃程度にして打設したとしても、そのアスファルト混合物が固化したり、流動性に支障が発生することがないので、前記矢板の継手部の内部空間を隙間なく遮水材で封止することが可能となる。
【0007】
ところが、気温の低い季節には海水温も大幅に低下するものであり、遮水材を加熱する温度を180℃程度の高温に加熱したとしても、それが海水に接すると、遮水材の流動性が大きく低下して、直ぐに塊状のものとなるという問題がある。したがって、前記鋼製矢板の継手部に上ら注入する遮水材は、低温の水に接してただちに塊状のものとなり、水中を落下するにつれてさらに冷却されて、図6に示すように、継手部の下部に到達した時には、塊のままで上下に隙間が形成された状態の、遮水材の層が形成される。したがって、前述したような状態に気付かずに遮水壁を構築した場合には、その遮水壁に区画された廃棄物処分場からは、常時汚染された水が隙間を通って流出することになり、いずれ環境汚染が大きな問題となることは避けられない。
【0008】
本発明は、廃棄物海面処分場を区画する管理型護岸を、矢板壁により構築する際に、鋼製矢板の継手部に隙間なく遮水材を充満させ得て、遮水性能を長期間に亘って維持可能な管理型護岸の遮水構造を、容易でしかも安価に施工可能な工法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、海岸に沿ってまたは任意の海の部分を区切るように遮水壁を構築し、前記遮水壁に囲まれた内部を廃棄物処分場として構成する管理型護岸に関する。
請求項1の発明は、前記遮水壁を鋼製矢板の端部を接続しながら列状に立設して、遮水壁を構築し、前記遮水壁における各矢板の接続部の内部空間に遮水材を充満させて、
遮水壁での遮水作用を確保するために、前記鋼製矢板の接続部の内部空間に遮水材を充満させるに際して、
前記接続部の内部空間にある水や泥等の不純物が、注入される遮水材に混入しないようにする補助手段を用いて、遮水材の注入を行うことを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明は、前記鋼製矢板の接続部の内部空間に遮水材を注入する際に、
遮水材を注入する動作に対応させて、接続部の内部空間にある水や泥等の不純物を接続部の内部空間から排除させる補助手段を設けて、遮水材の注入を行うことを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、前記遮水材としてアスファルト混合物を用い、
前記鋼製矢板の接続部の内部空間の上部分から遮水材を注入して、前記接続部の内部空間の底部から遮水材を堆積させることを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、前記鋼製矢板の接続部の内部空間に遮水材の注入作業の補助のために、側壁部に孔を穿ったパイプを立設して配置し、
前記鋼製矢板の接続部の内部空間の上部分から遮水材を注入して、前記接続部の内部空間の底部から遮水材を充満させて堆積させるに際して、
前記充満される遮水材の下部から、前記内部空間に残っている不純物を、前記パイプを通して上部に移動させることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、前記鋼製矢板の接続部の内部空間に遮水材の注入を補助するために、下端部のみに開口を設けたパイプを立設して配置し、
前記接続部の上部から注入する遮水材の圧力により、接続部の内部空間の下部から水等の不純物を前記パイプを介して遮水材の上部に排出し、
前記接続部の内部空間に充填される遮水材に、不純物が混入しないようにして遮水層の構築を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、前記鋼製矢板の接続部の内部空間に配置して、遮水材の注入の補助に使用するするパイプは、その上端部を矢板壁の上部から外れた位置にまで延長し、
接続部の内部空間に残っている不純物を排除する手段を、前記パイプに接続して設け、 前記接続部の空間の上部から遮水材を注入すると同時に、前記水を強制的に排出する手段を用いて、注入された遮水材の下部から不純物を排除することにより、遮水材を充填させる処理を行うことを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、前記鋼製矢板の接続部とは、
隣接させて立設する鋼製矢板に設けた接続部材を、相互に組み合わせるように構成する接続部、もしくは、
前記隣接させて順次立設する鋼製矢板の各々の本体に、両端部を各々接続して設ける板部材と、前記接続部とにより囲まれて設けられる空間部、または、前記接続部以外の部分で矢板に一体に設けられて、矢板本体の板で囲まれた空間部とを含むものであり、
前記接続部の空間部および、矢板に形成される空間部内に、遮水材を充填することにより、前記空間に水が通らないようにする作用を発揮させる遮水層を構築することを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、前記鋼製矢板の接続部に遮水材を充填する際に、充填作業の補助手段として使用するパイプは、円形、角形その他の任意の断面形状のものを用い、
鋼製矢板の接続部の内部空間に遮水材を注入する作業の途中で、任意のタイミングで前記パイプを引き上げる方式を用いるか、もしくは、遮水材の性能に支障を与えない場合には、前記パイプを遮水材の中に埋め込んだままにして、遮水層を形成することを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、前記鋼製矢板を立設して構築される矢板壁において、鋼製矢板の接続部の空間断面積が大きい場合には、大きい石等を遮水材と混合した遮水層を構築することを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、前記鋼製矢板を列状に立設して構築される鋼製矢板の接続部の空間部に対して、遮水材を注入して遮水層を構築するに際して、
前記遮水材を収容する細長いバケットを用いて、前記バケットに収容させた遮水材を、前記バケットの下部から排出させて接続部空間に充満させて、充填物の層を構築することを特徴とする。
【0019】
請求項11の発明は、前記鋼製矢板を列状に立設して構築される鋼製矢板の接続部の空間部に対して、遮水材を注入して遮水層を構築するに際して、
前記接続部の空間内部に、空のバケットを挿入して所定の位置にまで下降させた後に、前記バケットの中に遮水材を注入し、前記バケットの底を開いて遮水材を開口の下部から排出し、前記バケットを引き上げながら前記遮水材を充満させて遮水層を構築することを特徴とする
【0020】
請求項12の発明は、海岸に沿ってまたは任意の海の部分を区切るように遮水壁を構築し、前記遮水壁に囲まれた内部を廃棄物処分場を構築するに際して、
前記遮水壁を構築する工事を行う環境が水温の低い時に、前記鋼製矢板の接続部の空間部に遮水材を注入する前に、遮水材を充填する作業の補助手段として設けるパイプを用いて、接続部内部に溜まっている水を加熱する処理を行い、
前記接続部の内部の温度を高めた状態にしてから、遮水材を上から注入して、遮水層を形成することを特徴とする。
【0021】
請求項13の発明は、前記遮水材を注入する前の段階で、前記パイプを用いて温水を供給して、接続部内部を加熱する処理を行うとともに、温水を循環させて、接続部内部の不純物等を温水と置換えて、
温度を高めた遮水材を注入して、前記温水を排除しながら遮水層を構築することを特徴とする。
【0022】
前述したように、管理型護岸の処分場側の遮水壁を、遮水性能を良好に発揮可能な直立遮水壁として構成することにより、処分場側の汚染された水が、外海に流れることを防止できる。前記護岸本体においては、ケーソンによる堤体と組み合わせて、矢板を立設した矢板壁を構築することができ、鋼製矢板を1列または2列に立設して、前記鋼製矢板のジョイント部もしくは側面に対して遮水処理を行うことで、強固な管理型護岸の遮水壁を構成することが可能となる。
【0023】
また、前記遮水壁を矢板壁と遮水材を組み合わせて構築することにより、従来工法での弱点であったとされていたところの、鋼製矢板のジョイント部での遮水処理が施され、遮水壁の構築法の信頼性を向上させることができる。さらに、前記遮水壁に用いる矢板としては、H形鋼やその他の任意の断面形状の矢板類を用いることが可能であり、遮水層に対して矢板を沿わせたままで残すこと等の手段を用いることも可能である。
【0024】
その他に、遮水壁を鋼製矢板または鋼管矢板、もしくはコンクリート製のように、下端部を海底地盤中に打ち込んで、自立可能に立設する矢板類のみにより構築すること、もしくは、樹脂製もしくは木製のような仕切り部材としての性質を発揮する材料を、前記鋼製矢板と任意に組み合わせて用いることも可能となる。また、前記矢板を立設して1列状の矢板壁を構築した後で、前記矢板壁の間の空間と、前記矢板本体もしくはジョイント部の間の空間部に対して、それぞれ充填する遮水材として、アスファルト混合物または土質系の遮水材、コンクリート系の遮水材もしくは遮水性を発揮可能な他の物質のいずれかを充填して、前記空間に隙間を作らないように処理することが可能である。そして、ジョイント部の狭い空間に対して、補助手段を用いて遮水材を流下させる手段を用いることで、構築した遮水層の信頼性を、より向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(仕切り護岸の一般的な構造)
図示される例にしたがって、本発明の遮水性の良好な遮水護岸の構築工法を説明する。以下に説明する実施例においては、遮水壁を構築する海底地盤1が、海底面から所定の深さまでは砂地等の透水性を有する地層であり、その下部に不透水性の硬い地盤2が存在する場合を仮定している。前記海底地盤1の上に仕切護岸10を構築するに際しては、構造物を立設する部分を中心として、遮水性を要求される砂地の地層の所定の範囲に対して、最初に支持層とする処理を施工して、改良土層3として構築する。
【0026】
なお、実施例を説明するに際しては、陸側と海側もしくは外海側という用語を使用するが、これは必ずしも処分場の区画の一辺が海岸であることに限定しているものではない。そして、前記仕切護岸の全部が海岸から離れた部分に構築されるとしても、波浪の影響を大きく受ける面を外洋側とし、波浪の影響の少ない部分を陸側と呼んで説明しているのである。
【0027】
前記処分場を構築する地域では、改良土層3の上には、大きな砕石を所定の高さと幅に積み上げて基礎捨石層5を構築し、その上面の凹凸が小さくなるように均した上に、ケーソン12を立設して護岸本体11を構築する。なお、前記基礎捨石層5の上面にアスファルトマット等を敷いて、その上に立設するケーソン等が、石の層の上で滑ることを阻止する部材として用いる。なお、前記ケーソンを基礎の上に設置する際の、補助として用いるすべりどめ等の手段に関しては、従来の例と同様に、護岸本体が受ける波の圧力や、護岸のその他の立地条件に応じて適宜選択されるものである。また、前記捨石層5の外洋側の表面部に対しては、必要に応じて大きな石を敷き詰める等した被覆石層6を構築し、前記捨石層5の表面を波浪の圧力から保護する手段を設けている。
【0028】
図1に説明する仕切護岸1の例においては、ケーソン12を立設した護岸本体11の陸側に、所定の間隔を介して矢板壁15を構築し、前記護岸本体11と矢板壁15との間に裏込石層7を構築して、ケーソン12の裏面側を保護している。さらに、前記裏込石層7の上には、砂等の層による保護層8を設ける他に、護岸本体と保護層との上部に、上部構造体を構築して、溝を設けて雨水等を処理することや、上面を通路として使用するための設備や構造体を設ける。なお、前記保護層と裏込石層7の間には、防砂シート17aを敷設して、仕切護岸10の上部に溜まる水を分離して排水する手段として用いる。
【0029】
前記図1に説明する例において、前記矢板壁15で仕切った陸側には、廃棄物を投棄して堆積させるもので、必要に応じて、前記矢板壁の陸側の面には、遮水シート17による遮水層を構築して、鋼製矢板壁15とシート17とを複合させた遮水層として構築する。なお、前記廃棄物堆積層9に接する海底地盤に対しては、必要に応じて、遮水シートを敷き込んだり、改良土層を構築する等の処理を行って、廃棄物に接して汚染された水が、海底地盤を通って外海に流れ出したり、地下水に浸透する等の悪影響が発生しないように、封止する作用を行わせるようにする。
【0030】
図2に説明する例では、2層の矢板列を所定の間隔を設けて立設して、仕切護岸10aを構築している。前記仕切護岸10aにおいては、矢板壁15、16を設けているものであって、その矢板壁としては、後述するような任意の種類・断面構造を有する鋼製矢板を用いることができるものである。そして、その鋼製矢板を立設するに際しては、海底地盤の不透水層2に所定の深さまで達するように打ち込んで、それぞれの矢板壁が自立できるようにすることで、前記ケーソンを設置する場合と同様に、矢板壁が仕切護岸として長期間に亘って働き得るようにする。前記2列に立設した矢板壁15、16においては、その壁の一方の面、または両面のそれぞれに遮水シートを配置して、壁とシートとの2つの遮水壁により、遮水性を良好に発揮できるようにすることも可能である。
【0031】
前記図2に示す仕切護岸10aの例において、2列に立設した矢板壁15、16の間では、不透水性の地盤2の上の透水層を改良して、改良土層3としての不透水層とし、その上に充填層8を設けている。さらに、前記充填層8の上面を、コンクリートやアスファルトの層を所定の厚さで構築して、上保護層18、または前記図1の場合と同様な構成の上部構造体として構築している。そして、前記矢板壁16の陸側を廃棄物堆積層9として用いることで、外洋と遮断された処分場を構築して利用できる。
【0032】
前記図1、2に説明する仕切護岸の例において、図3に示すような構造を有する鋼製矢板を用いている。この例に示す鋼製矢板は、通常のH形鋼にフランジ部材を追加した形状のもので、両側(表裏面)に所定の間隔を介して設ける側板部材(ウエブ部材)32の間に、接続板部材(フランジ部材)としての中板部材33を配置したものである。そして、その箱状の部材の両端部に、継手部材を各々側板を延長した状態で設けている。前記特殊箱形矢板31……としては、例えば、新日本製鐵株式会社が発売している鋼製矢板(商品名 NS−BOX ボックスタイプ)を用いる例で説明しているのであって、前記特殊箱形矢板においては、側板の両端部に継手部材を一体に設けて、その継手部材を嵌合させて組み合わせた状態では、接続部34、34aとして組み合わせられる。なお、以下の本発明に使用する鋼製矢板類の説明において、構造が異なる各種の矢板類に対しても、その特有な構造を示す用語を用いずに、すべて「鋼製矢板」と呼んで説明する。
【0033】
前記図3に説明されるようなH形鋼に類似する構成を有し、2枚の平行な側板を用いて隣接する矢板と接続する形式の鋼製矢板(特殊箱形矢板)31を用いて、矢板壁30を構築する。その際には、隣接させて打設する矢板同士を、継手部材を組み合わせることで、隣接する鋼製矢板の間には、隙間が形成されない壁を構築することができる。前記鋼製矢板31、31a……を接続部34、34a……で組み合わせて、順次接続しながら海底地盤に打設した後で、鋼製矢板の接続部の空間35に対して遮水材36を充満させる工事を行う。
【0034】
そして、前記矢板の接続部34、34a……の組み合わせ部分での小さい隙間から、水が漏れないように封止することができる。なお、前記遮水材としては、取扱い性やその他の条件を満足させ得て、現実に最も多く使用されているところの、アスファルト混合物を用いる場合を例にして説明する。また、アスファルト以外の、他の粘土を主体とする遮水材や、その他の材料を用いた遮水材を使用する場合でも、以下に説明する例のように、接続部を構成する部材の形状、作用等に関しては、そのまま適用できるものである。
【0035】
ところが、前記矢板壁30を施工するに際して、鋼製矢板間での接続部34の空間35に遮水材36を充満させて、遮水層を構築する場合に、その遮水材が隙間なく充満されないという不都合な状態とともに、遮水壁としての性能に問題が発生することがある。つまり、前記矢板の接続部の空間に対して、上部から遮水材を注入する場合に、その空間の断面積が狭い場合や水温が低い時期、その他の充填作業場の環境条件が、アスファルト混合物の取扱いに適していない状態の場合に、接続部に充填した遮水材に隙間が残って、その遮水性能に問題が発生することが懸念される。
【0036】
前述したような矢板壁を施工する際に、遮水材が充満されにくいことがあるという場合を、次の図7を用いて説明する。この図7に説明する例と、その後で本発明の実施例として説明する図4ないし図6においては、鋼製矢板の継手部のみを独立させた状態で示し、矢板壁に符号15を付し、鋼製矢板20、接続部の内部空間21とそれぞれ符号を付して説明している。
【0037】
前記図7に説明しているように、矢板壁15の矢板20の接続部の内部空間21には、遮水材としてのアスファルト混合物を上部から注入して、空間部21内に充満されている水を排除しながら落下させ、遮水材の層に隙間が生じないように充填する。例えば、前記遮水材がアスファルト混合物の場合に、水温が20℃以上の環境では、遮水材を隙間なく充満させて、内部空間を隙間なく塞ぐとができるとされる。
【0038】
ところが、外気温が低くなるシーズンには、海水温度が15℃以下に低下して、アスファルト混合物の流動性に支障が生じ易い環境で、遮水材を充填する作業を行わなければならないことがある。そのような低温環境では、遮水材を高温に加熱したものを用いることにより、低温の水に接しても固化しにくい状態にして、遮水材を注入する作業を行うことが考えられる。しかしながら、前記接続部の内部空間が長い場合、つまり、水深の深い海底に矢板を打設して壁を構築する場合には、前記接続部の内部空間が非常に長い(高い)ものとして構成される。したがって、矢板壁の上部、すなわち、接続部の空間の上部から注入した遮水材が高温であったとしても、低温の水を押し退けながら長い距離を落下する間に、アスファルト混合物の流動性がなくなって、塊36aの状態となったままで落下して、内部空間の底部分では中に水を挟むようにして、塊が変形せずに堆積されることがあると想定される。
【0039】
前述したように、低温環境の作業現場では、矢板接続部に充填する遮水材に隙間が残ることがあり、それによって、遮水層での遮水性に支障が生じるという問題が残る。本発明は、前記図7に説明したように、表面が固くなって流動性が失われた遮水材の塊36aの間に、水の塊が挟まれるような状態で残って、遮水層としての性質が損なわれるという問題を解決しようとするもので、図4ないし図6では、その解決策としての例を示しているものである。
【0040】
前述したような問題を解決するために、例えば、図4に説明するような対策を用いることが考えられる。この実施例においては、矢板の接続部の内部空間にパイプ22を垂下して設け、前記パイプ22には多数の孔23……を穿っておくことで、遮水材が塊の状態のままで落下したとしても、その塊が水を押圧してパイプを通して排除するような作用を行う。そして、前記遮水材が下部の水を排除しながら降下して、内部空間の下部からも水が自然に排除されることで、最終的には、遮水材の間には水が挟まれた状態で残ることがないようにされる。また、前記垂下させて設ける有孔パイプ22は、孔の下部の水を通す作用のみを負担するのであるから、比較的細いものを用いることができ、それを設けることで、遮水材が落下する作用に障害となることはない。
【0041】
図5に示す例は、矢板の間の空間21に垂下するパイプ22を、孔を設けずに下端部にのみ開口を設けて、孔の底部に溜まっている水を排除するものとして設けている。この例においては、パイプ22の上部を湾曲させて排水溝24に位置させ、接続部の空間の上部から遮水材を注入して、内部に溜まっている水に遮水材の圧力が付与されたときに、空間の底部分から押し出されるようにして排除される水を、前記パイプを通して上部に向けて案内するように作用される。また、このように、空間部の底部分から水を排除させる作用を、前記パイプ22に負担させることで、底部分に溜まりやすい土の小さな塊や泥状の交じり物(不純物)を、水とともに排除できることになり、遮水材の中に不純物が含まれないようにして、遮水層を構築することができる。
【0042】
図6に示す例は、接続部の空間に垂下して設けたパイプ22の上部に、排水ポンプを設置して設け、接続部の空間21に充満している水をポンプ25により吸引して、排水させるようにしながら遮水層を構築する。この図6に示す例では、ポンプ25により最初から水を排除することで、接続部の空間に、滞水する水を排水紙、水位を低下させることも効果的である。また、別法としては、遮水材を接続部の空間の上部から注入しながら、その遮水材の注入量に対応する水を下端部から吸引させる方法がある。この方法によると、前記空間の上部から遮水材を注入する作用と、下部から水を排除する作用を同時に行うことで、矢板の接続部の下部に水が残ることを防止し、形成する遮水層の中に水や泥、細かい土の塊等の、不純物が混じることがないようにして、遮水層を形成できるように補助するのである。
【0043】
前述したように、矢板壁を構築するに際して、鋼製矢板の接続部の空間部に、遮水材の注入補助用のパイプを垂下挿入しておき、そのパイプを通して垂直な孔の下部から水を排除して、底部分から順次形成される遮水層の中に、水等が混じって残ることを防止することができる。前記接続部の空間に垂下したパイプは、任意のタイミングで抜き出して除去すれば良く、遮水材の注入(充填)作業後に、前記パイプを残しておいて、何等かの目的のために使用する他は、前記注入補助パイプを抜き取り、その跡に残った孔を遮水材の流動性を利用して、自然に塞ぐようにすれば良い。
【0044】
また、前記パイプを接続部の空間に挿入して、遮水材を充填する作業に関しては、前記図3に説明した例においても、パイプ26として図示しているものを用いている。
前記図3の例とは別に、図8以降に説明する遮水壁の例においても、矢板接続部の空間部に遮水材を充満させて、遮水壁の鋼製矢板の接続部で、その部分での遮水作用を良好に設定する手段として、前記図3に説明したものと同様な各種の構造を有するパイプを、補助手段として用いているのである。また、前記鋼製矢板の接続部に充填する遮水材としては、その遮水層の構築現場で多く使用されている任意の遮水材を対象とすることができるものであり、アスファルト混合物に限定するものではない。
【0045】
前記図3とは別に、図8以降に説明する遮水壁の例は、鋼製矢板の構造が異なるものを各々例示しているものであって、現実に仕切護岸の構築に使用されている鋼製矢板に対して、その接続部に遮水処理する例を説明している。
前記図3に説明したように、前記ボックス状鋼矢板(特殊箱形矢板)を用いて構築する埋立地仕切り護岸の他に、埋立地仕切り護岸としては、図8以降に説明するような、各種の断面形状を有する矢板類を用いて、遮水壁を構築することができて、その矢板壁の間の接続部に対して遮水材を充填した遮水処理を行うことができる。そして、前記接続部の断面積が小さいものほど、前記図3に説明したような、接続部の内部の水等を遮水材により押し出すようにして排出させることで、内部空間に対して遮水材を隙間なく詰め込むことができるものとされる。
【0046】
図8に示す例において、遮水壁40は略U字状の断面を有する矢板を用い、2つの矢板間の接続部を中継ぎ板で囲って、1つの接続部としてカバーするように構築している。この例では、接続部の内部空間に、遮水材を充填することによって、遮水性を良好に発揮可能な壁として構築されるものである。前記図8に説明する遮水壁40において、壁の凹凸が交互に形成されるように、U字型の溝の向きを変えて、矢板部材41、41a……を順次隣接させて打設するもので、打設される前記矢板部材41の両側の2つの接続部42、42aを、凹部の内側からカバーするように中継ぎ板45を配置して、その矢板部材と中継ぎ板により囲まれる大きな断面の接続部44を形成する。そして、前記接続部44の空間に対して遮水材を充満させることによって、接続部材を含む部分に対する遮水性を、良好に発揮できるような処理を施すことができる。
【0047】
前記矢板部材41、41aを用いた遮水壁の実施例において、中継ぎ板45は任意の厚さを有する平板状の板を用いて構成し、その中継ぎ板45の両端部に細長い板を取り付ける等の、処理を施した挿入部46、46aを設ける。そして、溝を露出した矢板部材41に対して、その両側の矢板部材の外面部に設けた被挿入部47、47aの各々に、前記挿入部を挿入して固定することで、矢板部材の凹部と中継ぎ板により、囲まれた空間部としての接続部44を形成することができる。
【0048】
前記被挿入部47、47aとしては、スリットを対向させて設けた形状等に構成する受部に対して、細長い形状の板の両側を挿入させることで、矢板部材に対する中継ぎ板を固定・保持する作用を、良好に発揮させることができる。そして、この実施例においては、接続部44の内部空間に遮水材を注入する際に、先にパイプ部材26を挿入しておくことで、遮水材を空間に充満させる作用を、容易にしかも確実に行うことができる。
【0049】
前記図8に説明した遮水壁の他に、図9に示すように、L字状の断面を有する矢板部材51、51a……を連接させて打設し、遮水壁50を構築することもある。前記図9に示す実施例において、矢板部材51……の各接続部分に対して、その壁の一方の側に、遮水材を充填する空間を設けた接続部を形成して、前記空間部に遮水材を充填して、遮水性を良好に発揮できるようにする。前記接続部材52、52a、52b……の各々に対して、その両側部分に円弧状に形成された中継ぎ板55、55a……を各々配置するが、前記各中継ぎ板55……の両側端部には、縦の細長い形状の挿入部56……を固定して取り付けて、前記接続部の両側部分には、被挿入部57……をそれぞれ配置している。そして、前記中継ぎ板55の両側で、挿入部を被挿入部に挿入して固定することにより接続部54を形成し、その接続部54……の各々に対して遮水材を充填することにより、遮水性能を良好に発揮させることが可能となる。
【0050】
前記図8、9に説明した遮水壁40、50のそれぞれにおいても、空隙内に遮水材を充填する作業の効率を向上させるとともに、隙間なく遮水材を充満させるために、前記実施例で説明したように排水用のパイプを設けると良い。前記中継ぎ板により囲まれた内部の空間に、パイプを立設して設けて、そのパイプ26から内部の水や泥等を排出させるとともに、接続部の上部から遮水材を投入して内部空間を隙間なく塞ぐようにして、隙間が生じないように遮水層を形成するような作業を行う。したがって、前記矢板部材の接続部に形成される接続部が、比較的断面積の小さいものであったとしても、または、遮水材の流動性が良くないものであったとしても、接続部に対する遮水材の充填作業を良好に行わせることが可能となる。
【0051】
なお、前記遮水材を充填するに際しては、中継ぎ板と矢板本体都の間に形成する空間の容積に対して、遮水材の充填量を計算する手法を用いることで、遮水材の注入量と空間部の体積とを比較して、充填された状態を推定することもできる。そして、前述したようにして、遮水材を隙間なく充填したことを容易に確認できて、遮水層を形成する作業の信頼性を、より向上させることが可能となる。前記図9に説明した例においては、略クランク形状またはL字状等の断面を有する矢板部材51、51a……を、接続部52……を介して各々接続させるように海底地盤に打ち込んで、遮水壁50を構築しているものを説明しているものである。
【0052】
前記矢板類を用いて遮水壁を構築することの他に、近年は大径の鋼管パイルを用いた遮水壁を構築することも行われている。図10に説明する遮水壁60の例においては、大径の鋼管パイルを列状に立設して、遮水壁を構築する例を説明しているもので、前記鋼管パイル61、61a……を、順次立設するようにして遮水壁60を構築する。前記鋼管パイルは、数mの直径を有するパイプを用いるものであるが、本実施例に示す例では、大径の鋼管パイル61、61a……に対しては、その接続部材として、小径パイプ63、63aのような接続手段をパイルの側部に固定して取り付けて構成している。また、遮水材を接続部の内部空間に充填して遮水層を構築するために、前記小径パイプによる接続部に対して、その側部には中継ぎ板65、65aを取り付けて接続部66を介して接続して一体化させる接続手段をも設けている。
【0053】
前記大径の鋼管パイルを用いた遮水壁60の例においては、鋼管パイル61の両側部分に、小径パイプ63、64をそれぞれ溶接する等の手段を用いて固着しておき、各小径パイプの所定の位置には、スリット63a、64a……をそれぞれ設けている。そして、前記小径パイプを組み合わせて接続部62を形成する際には、図示するように、一方の小径パイプに設けているスリットに対して、対向する小径パイプを挿入するような状態で、小径のパイプを相互に組み合わせることができる。
【0054】
さらに、前記接続部62の側部においては、各鋼管パイル61、61aに対して、中継ぎ板65、65aを突出させて取り付けておき、板65…の端部に設けた接続手段を組み合わせて、接続部材66を形成する。前記中継ぎ板に設ける接続材としては、矢板の接続手段のような、従来公知の接続手段を設けることができるもので、パイプ本体の中央部に設けた小径パイプを、相互に組み合わせた接続部62を形成すると同時に、前記中継ぎ板を組み合わせて遮水材を充填する空間を設ける。
【0055】
そして、前記小径パイプと板部材との、2つの接続部材62、66を用いて区画される空間68の内部には、任意の成分を含む遮水材67を充填し、両者を一体化させた遮水処理部として構築する。前記接続部68では、その断面積が非常に大きいものであるから、遮水材を充填した遮水層を構築することは、非常に容易に行うことができる。これに対して、小径パイプを組み合わせた接続部62においては、図示されるように、3つの区画のそれぞれに遮水材を注入する必要があり、断面積の小さな空間に対して遮水材を隙間を生じさせずに、注入することが要求される。
【0056】
ところで、前記小径パイプを組み合わせた接続部62においては、小径パイプを組み合わせるために、スリットを設けて他方の小径のパイプを通しているものであるから、例えば、流動性が良過ぎる遮水材を用いると、スリットの隙間から遮水材が溢れ出す心配がある。しかし、流動性を適当に調整した遮水材を用いると、接続部の内部の水をスリットから排出しながら、遮水材が流下するとともに、漏れ出す量を少なくして、比較的容易に隙間なく遮水材を充填させることができる。
【0057】
図11に説明する例は、前記図10の鋼管パイルを用いた遮水壁60の例と同様に、小径パイプを組み合わせた接続部62に対して、その側方に、円弧状の板部材65Aを用いた仕切り手段を設けている。前記中継ぎ板65Aの両端部を、鋼管パイル61、61aに設けた接続手段を介して取り付けているものであり、前記接続手段66A、66Bにより中継ぎ板65Aを保持することで、接続部材62との間に大きな断面積の接続部68を形成する。そして、前記接続部68に対して遮水材を注入するとともに、小径パイプを組み合わせた接続部材62に対しても、遮水材を充填して、接続部での遮水性を良好に発揮できるようにしている。
【0058】
前記図11に示した例は、前記図3の例と同様に、矢板を列設して構築する遮水壁に対して、矢板間の接続部に遮水材を充填して、遮水壁として構築する例の応用例を説明している。前記図3に説明したように、矢板31、31a……を列状に隣接させて打設し、各ボックス状鋼矢板31……の端部に設けた接続部材34……を、順次接続するように構築しているものである。前述したようにして構築する遮水壁30の例において、接続部材34……で接続される空間部35には、遮水材36を充満させて、接続部分での遮水性を良好に発揮できるように、処理していることは、前述の通りである。ところで、前記図10および図11に示す例においても、接続部の空間に遮水材を充満させることにより、より信頼性を発揮可能な遮水壁を構築するに際して、必要に応じて、以下に説明する方法を採用し得ることを説明している。
【0059】
前記図8ないし図11に説明したように、遮水壁を鋼製矢板を列状に打設して構築するに際して、その鋼製矢板の接続部に対して、アスファルト混合物等の遮水材を充填する手段を追加して用いている。そして、その遮水材を内部空間に充満させるために、空間部の下部にまで達するように、補助パイプ26を立設して設けて、空間の断面積が比較的狭くて遮水材が落下しにくい状態でも、注入した遮水材の下部から水を自然に、または、強制的に排除しながら、遮水材が隙間なく充填されるようにする補助手段を設けている。前記補助パイプ26としては、できるだけ大径のパイプを用いると良いと考えられるものであるが、その接続部の空間の大きさに合わせて、適当な径のパイプを選択して用いるようにする。
【0060】
そして、接続部35の断面形状が狭いものであったり、注入する遮水材の流動性が不足する等……の理由により、前記遮水材36が接続部35の内部に十分詰められずに、隙間が多い状態が発生することを、防止できるようにする。つまり、前記補助パイプを挿入して、排水しながら遮水材を注入する手段を用いることで、充填する作業を容易に行うことができる。なお、前記充填の際に使用する補助パイプとしては、前記図4〜6に説明したような、任意の構成のものを、その現場での条件を考慮して適用できるものである。ところで、前述したような問題を解決できない場合には、接続部に残っている泥水等が、遮水材の中に取り込まれて残ることがあり、遮水材が充填されるべき空間の内部に異物が存在すると、接続部での遮水作用を良好に発揮できずに、欠陥を有する遮水層となることが懸念される。
【0061】
前記矢板壁における鋼製矢板の接続部に対して、アスファルト混合物等の遮水材を充填するために、前記各実施例に説明したような手段を用いて、遮水材を隙間が形成されないような状態にして充填することができることから、接続部の狭い空間に対しても、補助パイプの使用と、流動性を向上させた遮水材を用いることで、良好な結果を得ることが可能となる。前記各実施例は、鋼製矢板の接続部の空隙を遮水材で塞ぐ手段について説明したものであるが、その他に、前記図3に説明した特殊箱形矢板31において、それぞれが対向する側板部材32と中板部材33とにより、四方(周囲)が囲まれた空間部37に対しても、海底面から1〜2mの高さに、もしくは所定の高さにまで、遮水材を充填するような処理が求められることがある。
【0062】
前記矢板の中間部に存在する空間部37には、鋼製矢板を打設する前に、空間の下部を塞ぐような処理が行われているのであり、四方を鉄板で囲まれた空間には、その周囲または下部(地下)から水等が入り込むことはないのである。これに対して、遮水壁の耐久性と信頼性を向上せるためには、地盤中に埋設している部分の内部を、アスファルト混合物等で塞ぐこと、つまり、矢板壁の内部空隙に遮水材等を収容して、中実なものとすることは、構築した遮水壁の耐久性等に関して有効であろうと思われる。
【0063】
なお、前記図10、11に示されている矢板のように、大径のパイプを用いる場合には、通常の形状の鋼製矢板のように、ハンマーのような装置を用いて、地中に打設するような工法は採用でないものであり、掘削装置を用いて海底に掘り込んだ溝に、前記大径パイプの基部を挿入して設置する等の手段を用いている。そして、前記図10、11に示されている矢板のように、大径のパイプを用いた場合には、パイプを立設する際には、その孔の下部は閉じられていないことが多いものである。そこで、特に、パイプの本体の下部の部分を空隙のままで残さないようにするために、アスファルト混合物等を所定の厚さで下部に投入して、海水がパイプ内部に入り込まないように、下端部を封止することで対応が可能である。
【0064】
前記空隙部37にアスファルト混合物を注入するために、充填する空間の上部に位置決めしておいた漏斗を用いて、前記混合物を流下させるようにし、矢板の鋼板の内面に沿って流れ落ちる混合物を、空隙部の下端部にまで注入できるようにする。その他に、図12に説明するように、細長い筒状の特別のバケット38を作成して、そのバケット38に遮水材を収容して、取扱いすることも考えられる。この例では、バケットに収容した遮水材を、矢板の空間37の内部に下降させて挿入し、孔の底部にバケットの下部が達する位置まで下降させてからバルブを開いて、混合物を排出させる手段を用いることができる。そして、バケット下部に設けているバルブ38aを開きながら、ゆっくりとバケットを上昇させることによって、遮水材を隙間なく空間内部に充填させるような手法を用いることができる。
【0065】
前記図12に説明する遮水材の注入方法においては、クレーンアームのような荷役装置の支持部材39aに、上下動可能にバケットを吊り下げて支持し、バケット38の下端部に設けたバルブ38aを開くことで、アスファルト混合物を排出させることができるようにする。前記バルブ38aの開閉のために操作ワイヤ39bを設けて、クレーンのオペレータが混合物の排出を行い得るようにすると良い。前記バケット38の下端部に設けるバルブとしては、バケット本体の下部に設けた支持ピンにより、バルブ本体の板の端部の一部を揺動可能に支持して、任意の係止手段により他端部の開き側を係止させるように、支持させることができる。
【0066】
そして、混合物(遮水材)を収容したバケットが、孔の底に到達したタイミングをみて操作ワイヤ39bを操作すれば、係止部材が外れてバルブが開かれるので、その状態のままてバケットを引き上げると、中の混合物はその自重で流下する。したがって、前記バケット38に収容されている遮水材は、そのバケットが引き上げられるにつれて、下部に生じた空間を満たすような状態で充填されることになり、矢板壁の孔(内部空間)の中に水や土砂等を含まない状態で、遮水材を隙間を生じさせないように充満させることが可能となる。
【0067】
前記図12に説明しているバケットの例において、アスファルト混合物を収容して、空間部の下部から供給するバケット本体は、角型や丸形等の、任意の断面形状を有するものとして構成することができる。ところで、遮水材を充填する対象とされる例で、図3の鋼製矢板の内部空間は、角型の断面であるから、その中に、丸形断面のバケットを使用すれば、そのバケットの周囲には十分な空隙があることにもなる。また、前記遮水材が注入される空間断面に対するバケットの大きさも、特に限定されるものではない。さらに、前記バケット本体の下部を絞るように計を縮小して形成し、クレーンを操作して、空中から空間内部に挿入する動作を容易に行い得るようにすること等の、補助的な機構を追加して設けることも、必要に応じて容易に採用が可能である。
【0068】
さらに、バケットの下端部に設けるバルブに関しても、前記操作ワイヤを用いずに、操作用の部材としての操作レバーの端部を、バケットの下端部に突出させて設けても良い。そして、バケットを矢板の内部空間に挿入して、下端部が孔の底部分に到達した時に、前記操作レバーの端部が地面に接して、バルブを係止する作用が解除されるように構成すると良い。前記バケットを引き上げることで、自動的にバルブが開いて、そのバケットを上昇させるにつれて、バケット内部に収容している遮水材を排出させるようにする。
【0069】
前記図12に説明するようなバケットを用いて遮水材を供給することは、矢板本体の閉じられた内部空間の他に、接続部の内部空間に対して、遮水材を供給するために用いることも可能である。例えば、前記図8〜11の各実施例に開示されている接続部に対して、特に狭い断面の空間部にも遮水材を供給したい時等には、その空間に入り得る程度の太さのパイプを用いて特別のバケットを構成して、遮水材の供給のために用いても良い。そして、そのような特別の細さのバケットを使用すれば、特に、工事現場の水温が低い季節等にも、アスファルト混合物のような外気温の影響を受ける遮水材で、その流動性を確保した状態のままで、孔の底にまで流し込んで充填させることが可能となる。
【0070】
前記鋼製矢板を列状に立設して構築される鋼製矢板の接続部の空間部に対して、遮水材を注入して遮水層を構築するに際しては、前述したように、前記遮水材を収容する細長いバケットを用いて、前記バケットに収容させた遮水材を、前記バケットの下部から排出させて接続部空間に充満させて、充填物の層を構築する方法を用いることが一般的な公報と考えられる。その他に、前記接続部の空間内部に、空のバケットを挿入して所定の位置にまで下降させて、内部の水を排除した状態で、前記バケットの中に遮水材を注入し、前記バケットの底を開いて遮水材を開口の下部から排出し、前記バケットを引き上げながら前記遮水材を充満させて遮水層を構築する手法を用いることもできる。
【0071】
このように、最初に空のバケットを接続部の空間部に挿入して、空間の内部に溜まっている水を排除する手法を用いる場合には、バケットの底に設けているバルブを別途操作する機構を設けて構成することができる。そして、前記鋼製矢板の接続部の空間部に、空のバケットを降下させて挿入する際には、バケットの内部には下から水が入り込まないようにバルブを閉じておいて、遮水材をバケットに注入して保持させ、作業場所に移動させて遮水層を構築する位置に打設する際には、前記バルブを開いて遮水材を排出して、遮水層を構築するようにする。
【0072】
なお、前記矢板壁が大径のパイプを用いて構成される場合に、図10、11のように鋼製矢板で構成する場合に、パイプの下部を中空のままで残さないようにするためには、大きい石やコンクリート片等のようなものを、遮水材と混合することにより増量した状態のものを充填する。また、前記増量材としては、長期間に亘ってパイプ中においても、変質しない性質を有する瓦礫を遮水材とともに使用することができる。例えば、砕石やコンクリート片等を、前記大径のパイプの空間の下部に所定の高さまで投入してから、アスファルト混合物のような遮水材を注入し、任意の高さまで遮水材の層を構築するような手法を用いて、対処させることが可能である。
【0073】
さらに、遮水材と混合する増量材としては、コストの安いものとして、建物等を解体した時に発生する屑のコンクリート等を用いると良い。その他に、大径のパイプによる鋼製矢板の下部に対して、安定性を保持させることが可能とされるところの、任意の材料を用いることができる。そして、特に、鋼製の矢板の腐食を促進する等の副作用がなければ、接着性が弱い遮水材を用いた遮水層を構築することも可能でもある。
【0074】
前記従来例として説明してことでもあるが、前記遮水壁を構築する工事を行う際に、その作業環境が水温の低いときに、前記鋼製矢板の接続部の空間部では、その周囲の温度と同様に、アスファルト混合物を打設しても、遮水層を良好な状態で構築できないことがある。そこで、作業環境が低温に過ぎる時には、前記図5または6に示しているように、接続部空間に垂下させて配置したパイプを用いて、温水を地上から注入して、接続部の内部を加熱する処理を行う。そして、前記遮水材を注入する空間の壁の温度を高めておいた状態で、温度を通常の160℃よりも高い180℃程度に加熱した遮水材を、その接続部空間の上から注入して、遮水層を形成する手段を用いることができる。
【0075】
また、前記内部空間の環境の温度を、加熱手段を用いて上昇させる予備処理を行った場合には、その加熱作業に際しては、ポンプを温水を循環させて加熱するような方式を用いることも1つの方法である。そして、その加熱作業の後で、空間部の内部に残っている水等を前記ポンプを用いて排除すれば、その後に注入する遮水材は、不純物が少なくされた良い環境の下で、良好な状態の遮水層として形成されることにもなり、高品質で信頼性を向上させた遮水壁が得られる。その他に、前記空間内部に遮水材を注入する前に、温水等を循環させたことによって、不純物を多く含んだ泥水等が不純物の少ない水と置換されるので、遮水材に不純物が混入されることもなくなる。
【0076】
前記鋼製矢板の接続部の温度を高める予備処理としては、前記温水等を注入する他に、注入作業の補助に用いるパイプに、ヒータ部材を組み込んで設け、遮水材を注入する前の段階で、ヒータにより内部に溜まっている水を加熱する予備処理を行うことができる。前記ヒータとしての電熱ヒータを、それを保持する前記パイプとともに引上げて、回収するように構成することにより、遮水材の中に余分なものを取り残すこと等の、不都合が発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】護岸の構成を示す説明図である。
【図2】護岸の構成を示す別の説明図である。
【図3】矢板の接続部での遮水処理の説明図である。
【図4】矢板の接続部での遮水材注入の補助手段の説明図である。
【図5】図4とは異なる例の護岸の説明図である。
【図6】図4とは異なる別の例の護岸の説明図である。
【図7】遮水材の注入時に生じる不都合な状態の説明図である。
【図8】図3とは異なる種類の矢板の接続部での遮水処理の説明図である。
【図9】L型の矢板での接続部の説明図である。
【図10】大径鋼管による矢板の接続部の構成の説明図である。
【図11】図10とは異なる接続部の構成の説明図である。
【図12】バケットを用いて遮水材を注入する作業の説明図である。
【符号の説明】
【0078】
1 海底地盤、 2 不透水性地層、 3 改良土層、
9 埋立地、 10 仕切護岸、 11 護岸本体、 12 ケーソン、
15 矢板壁、 20 矢板、 21 矢板内空間、 22 パイプ、
25 ポンプ、 26 補助パイプ、 30・40、50 遮水壁、
31・41・51 鋼製矢板、 32 側板部材、 33 中板部材、
34 接続部、 35 接続部空間、 36 遮水材、 37 空間部、
38 バケット、 39 荷役装置、 61 鋼管パイル、
63・64 小径パイプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海岸に沿ってまたは任意の海の部分を区切るように遮水壁を構築し、前記遮水壁に囲まれた内部を廃棄物処分場として構成する管理型護岸において、
前記遮水壁を鋼製矢板の端部を接続しながら列状に立設して、遮水壁を構築し、
前記遮水壁における各矢板の接続部の内部空間に遮水材を充満させて、
遮水壁での遮水作用を確保するために、前記鋼製矢板の接続部の内部空間に遮水材を充満させるに際して、
前記接続部の内部空間にある水や泥等の不純物が、注入される遮水材に混入しないようにする補助手段を用いて、遮水材の注入を行うことを特徴とする遮水壁の構築法。
【請求項2】
前記鋼製矢板の接続部の内部空間に遮水材を注入する際に、
遮水材を注入する動作に対応させて、接続部の内部空間にある水や泥等の不純物を接続部の内部空間から排除させる補助手段を設けて、遮水材の注入を行うことを特徴とする請求項1に記載の遮水壁の構築法。
【請求項3】
前記遮水材としてアスファルト混合物を用い、
前記鋼製矢板の接続部の内部空間の上部分から遮水材を注入して、前記接続部の内部空間の底部から遮水材を堆積させることを特徴とする請求項2に記載の遮水壁の構築法。
【請求項4】
前記鋼製矢板の接続部の内部空間に遮水材の注入作業の補助のために、側壁部に孔を穿ったパイプを立設して配置し、
前記鋼製矢板の接続部の内部空間の上部分から遮水材を注入して、前記接続部の内部空間の底部から遮水材を充満させて堆積させるに際して、
前記充満される遮水材の下部から、前記内部空間に残っている不純物を、前記パイプを通して上部に移動させることを特徴とする請求項3に記載の遮水壁の構築法。
【請求項5】
前記鋼製矢板の接続部の内部空間に遮水材の注入を補助するために、下端部のみに開口を設けたパイプを立設して配置し、
前記接続部の上部から注入する遮水材の圧力により、接続部の内部空間の下部から水等の不純物を前記パイプを介して遮水材の上部に排出し、
前記接続部の内部空間に充填される遮水材に、不純物が混入しないようにして遮水層の構築を行うことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の遮水壁の構築法。
【請求項6】
前記鋼製矢板の接続部の内部空間に配置して、遮水材の注入の補助に使用するするパイプは、その上端部を矢板壁の上部から外れた位置にまで延長し、
接続部の内部空間に残っている不純物を排除する手段を、前記パイプに接続して設け、 前記接続部の空間の上部から遮水材を注入すると同時に、前記水を強制的に排出する手段を用いて、注入された遮水材の下部から不純物を排除することにより、遮水材を充填させる処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の遮水壁の構築法。
【請求項7】
前記鋼製矢板の接続部とは、
隣接させて立設する鋼製矢板に設けた接続部材を、相互に組み合わせるように構成する接続部、もしくは、
前記隣接させて順次立設する鋼製矢板の各々の本体に、両端部を各々接続して設ける板部材と、前記接続部とにより囲まれて設けられる空間部、または、
前記接続部以外の部分で矢板に一体に設けられて、矢板本体の板で囲まれた空間部とを含むものであり、
前記接続部の空間部および、矢板に形成される空間部内に、遮水材を充填することにより、前記空間に水が通らないようにする作用を発揮させる遮水層を構築することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の遮水壁の構築法。
【請求項8】
前記鋼製矢板の接続部に遮水材を充填する際に、充填作業の補助手段として使用するパイプは、円形、角形その他の任意の断面形状のものを用い、
鋼製矢板の接続部の内部空間に遮水材を注入する作業の途中で、任意のタイミングで前記パイプを引き上げる方式を用いるか、もしくは、遮水材の性能に支障を与えない場合には、前記パイプを遮水材の中に埋め込んだままにして、遮水層を形成することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の遮水壁の構築法。
【請求項9】
前記鋼製矢板を立設して構築される矢板壁において、鋼製矢板の接続部の空間断面積が大きい場合には、大きい石等を遮水材と混合した遮水層を構築することを特徴とする請求項1に記載の遮水壁の構築法。
【請求項10】
前記鋼製矢板を列状に立設して構築される鋼製矢板の接続部の空間部に対して、遮水材を注入して遮水層を構築するに際して、
前記遮水材を収容する細長いバケットを用いて、前記バケットに収容させた遮水材を、前記バケットの下部から排出させて接続部空間に充満させて、充填物の層を構築することを特徴とする請求項1に記載の遮水壁の構築法。
【請求項11】
前記鋼製矢板を列状に立設して構築される鋼製矢板の接続部の空間部に対して、遮水材を注入して遮水層を構築するに際して、
前記接続部の空間内部に、空のバケットを挿入して所定の位置にまで下降させた後に、前記バケットの中に遮水材を注入し、前記バケットの底を開いて遮水材を開口の下部から排出し、前記バケットを引き上げながら前記遮水材を充満させて遮水層を構築することを特徴とする請求項10に記載の遮水壁の構築法。
【請求項12】
海岸に沿ってまたは任意の海の部分を区切るように遮水壁を構築し、前記遮水壁に囲まれた内部を廃棄物処分場を構築するに際して、
前記遮水壁を構築する工事を行う環境が水温の低い時に、前記鋼製矢板の接続部の空間部に遮水材を注入する前に、遮水材を充填する作業の補助手段として設けるパイプを用いて、接続部内部に溜まっている水を加熱する処理を行い、
前記接続部の内部の温度を高めた状態にしてから、遮水材を上から注入して、遮水層を形成することを特徴とする請求項2または3に記載の遮水壁の構築法。
【請求項13】
前記遮水材を注入する前の段階で、前記パイプを用いて温水を供給して、接続部内部を加熱する処理を行うとともに、温水を循環させて、接続部内部の不純物等を温水と置換えて、
温度を高めた遮水材を注入して、前記温水を排除しながら遮水層を構築することを特徴とする請求項12に記載の遮水壁の構築法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−106459(P2008−106459A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−288164(P2006−288164)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【出願人】(594067368)ワールドエンジニアリング株式会社 (21)
【出願人】(000232508)日本道路株式会社 (48)
【出願人】(390002185)大成ロテック株式会社 (90)
【出願人】(000230711)日本海上工事株式会社 (25)
【Fターム(参考)】