説明

遮熱コ−ティングの損傷評価システムおよび損傷評価方法

【課題】運転中においても遮熱コーティング層の損傷度合いが簡単に把握でき、信頼性が高い運転管理が可能となる遮熱コーティングの損傷評価システムおよび損傷評価方法を提供する。
【解決手段】セラミックス遮熱コーティング部品3と、遮熱セラミックス層5の外表面に設置した温度センサー6と、上記遮熱セラミックス層5と金属中間層4との接合界面、金属中間層4と金属基材2との接合界面および金属基材2の外表面に設置した温度センサー7,8,9と、上記温度センサーからの計測信号を取り込む信号収集装置10と、計測信号から遮熱セラミックス層5の状態量を演算する演算装置11と、この状態量と遮熱セラミックス層の損傷度との関係を損傷評価用データとして予め格納するデータベース12と、上記演算装置によって演算された状態量と損傷評価用データとを照合して状態量に対応する遮熱セラミックス層の損傷度を表示する表示装置13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱コーティングの損傷評価システムおよび損傷評価方法に係り、特に金属基材に遮熱コーティングを施した耐熱部材をジェットエンジンおよび発電用ガスタ−ビンの動翼、静翼、燃焼器などの高温で使用される機器部品として使用した場合において、金属基材の温度上昇を抑制するために形成された遮熱コーティング層の損傷度合いまたは余寿命を把握することが可能な遮熱コ−ティングの損傷評価システムおよび損傷評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ジェットエンジンや発電用ガスタ−ビンにおいては、熱効率を向上させるために作動ガス温度を上昇させる試みがなされている。実際に作動温度が使用する金属基材の融点にほぼ匹敵する1500℃を超えるようなガスタービンが供用され始めている。このような高い温度での運転を実現するための重要な技術として、動翼、静翼、燃焼器などの高温部品に対するセラミック遮熱コーティングが試行されている。
【0003】
この遮熱コーティングは、金属基材表面に金属基材よりも低熱伝導率の遮熱セラミック層を遮熱コーティング(TBC:Thermal Barrier Coating)として形成することにより高温度の作動ガスからの熱を遮断し、金属基材の温度上昇を抑制し高温用部品の熱による強度の低下を防止することを目的としている。
【0004】
上記遮熱コーティングを施した高温部品は、一般的には、高温強度・耐熱性に優れた超合金などの金属基材と、その表面に形成され耐食・耐酸化性に優れたMCrAlY合金層(ボンド合金層,MはNi,Coなどの金属)と、その表面にコーティングされた低熱伝導性のジルコニア系セラミック層とから構成されるものが多い。上記の遮熱コーティング層は、強度部材となる金属基材を保護するために“遮熱”という重要な機能を担っており、この遮熱機能の喪失に直結する遮熱コーティング皮膜の剥離や脱落が生じないことが要求される。
【0005】
従来から、この遮熱コーティング皮膜の剥離や脱落を低減したり、腐食を防止したりして高温耐熱部品の耐久性を向上させるために、下記のように構成材料やプロセス面での改良や改善が種々進められている。例えば、高温耐熱部品を構成するボンド合金層については、MCrAlY粒子を250m/秒以下の噴射速度で飛行させて基材表面にボンド合金層を形成することにより、気孔率を1%以下とし酸素含有量を0.5%以下としてボンド合金層の耐食性・耐酸化性の改善を図り遮熱コーティングの耐久性を向上させることが可能であるという報告がある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、トップ層(遮熱セラミックス層)とボンド合金層との中間に予めAl系材料から成る中間層を形成させることにより、ボンド合金層の耐食・耐酸化性の改善を図り遮熱コーティングの耐久性を向上させることができる旨の報告がある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
一方、遮熱セラミックのトップ層については、厚さ方向に微細な亀裂を積極的に設けて熱応力を低減することにより、トップ層の剥離を効果的に低減できるという報告もある(例えば、特許文献3参照)。さらに、トップ層の気孔率を5〜60%に規定することにより、歪追随性の改善を図り遮熱コーティングの耐久性を向上させるという技術報告もある(例えば、特許文献4参照)。このように、ガスタービンの高温部品用遮熱コーティングにおいては、コーティング皮膜の剥離や脱落を低減するために構成材料やプロセス面での改良、改善が数多くなされている。
【特許文献1】特開平9−176821号公報
【特許文献2】特開2001−279418号公報
【特許文献3】特開2000−170500号公報
【特許文献4】特開平11−061438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、遮熱コーティングは金属基材の温度上昇を抑制するという重要な機能を有しているにも拘わらず、その遮熱コーティングについての健全性の評価技術および検査技術は十分に確立されていない。なお、定期検査等で運転を停止した際には、遮熱コーティング皮膜の剥離検査のために、超音波法、レーザホログラフィ法、赤外線法などの各種検査法により剥離の進行度合いを観察し、余寿命を評価する方法が試みられている。ところが、機器運転中における遮熱コーティングの損傷評価方法は全く確立されるに至っていない。
【0009】
上記遮熱コーティングの健全性を評価するために、一般的に外観検査、超音波法、渦流探傷法、赤外線映像法などの非破壊検査法が検討されている。これらの非破壊検査法によれば数ミリオーダーの欠陥を検出するためには極めて有効であることも実証されている。しかしながら、それらの非破壊検査法は全て運転停止時に実施されるものであり、運転中に遮熱コーティングの損傷を把握することは現状では困難である。例えば、遮熱セラミック層が破損する時に発生する音響(AE:Acoustic Emission)を検出することや遮熱コーティング表面の温度監視で遮熱コーティングの割れや剥離を検出することも試行されている。ところが、それらの従来の方法では、遮熱コーティングの損傷程度を評価することができないばかりでなく、コーティング皮膜の剥離という機能喪失までの余寿命を評価することができないのが現状である。そのため、耐熱部品の耐久性の把握が困難になり、遮熱コーティング層を施した耐熱部品を使用する機器を、安全にかつ信頼性が高く運転するための障害となっている。
【0010】
上記のように、ジェットエンジンやガスタ−ビンの動翼、静翼、燃焼器などの高温部品用遮熱コーティングについては、密着性や寿命向上のための材料、プロセス面での改良、改善は数多くなされている。しかし、運転中における遮熱コーティングの割れや剥離などの損傷検出技術または余寿命を評価する技術は未だ確立されていない。
【0011】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものである。運転中においても遮熱コーティング層の損傷度合いが簡単に把握でき、信頼性が高い運転管理が可能となる遮熱コーティングの損傷評価システムおよび損傷評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために本発明に係る遮熱コーティングの損傷評価システムは、金属基材表面に金属中間層を介して金属より低熱伝導性の遮熱セラミック層を形成したセラミック遮熱コーティング部品と、上記遮熱セラミック層の外表面に設置した温度センサーと、上記遮熱セラミック層と金属中間層との接合界面、上記金属中間層と金属基材との接合界面および金属基材の外表面の少なくとも1箇所に設置した温度センサーと、上記温度センサーからの計測信号を取り込む信号収集装置と、取り込んだ計測信号から遮熱セラミック層の状態量を演算する演算装置と、この状態量と遮熱セラミックス層の損傷度との関係を損傷評価用データとして予め格納するデータベースと、上記演算装置によって演算された状態量と損傷評価用データとを照合して状態量に対応する遮熱セラミックス層の損傷度を表示する表示装置とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る遮熱コーティングの損傷評価方法は、金属基材表面に金属中間層を介して低熱伝導性の遮熱セラミック層を形成したセラミック遮熱コーティング部品における上記遮熱セラミック層の損傷度合いを評価する遮熱コーティングの損傷評価方法において、上記遮熱セラミック層の外表面に設置した温度センサーと、上記遮熱セラミック層と金属中間層との接合界面、上記金属中間層と金属基材との接合界面および金属基材の外表面の少なくとも1箇所に設置した温度センサーとから得られた温度データから上記温度センサー間のセラミックス遮熱コーティング部品の等価熱伝導率を算出する工程と、予め用意した遮熱セラミック層の損傷度合いと等価熱伝導率との関係を示すデータと上記算出した等価熱伝導率を照合し、上記算出した等価熱伝導率に対応する遮熱コーティングの損傷度合いを評価する工程とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る他の遮熱コーティングの損傷評価方法は、金属基材表面に金属中間層を介して低熱伝導性の遮熱セラミックス層を形成したセラミックス遮熱コーティング部品における上記遮熱セラミックス層の損傷度合いを評価する遮熱コーティングの損傷評価方法において、上記遮熱セラミックス層の外表面に設置した温度センサー、遮熱セラミックス層と金属中間層との間に設置した温度センサー、金属基材と金属中間層との間に設置した温度センサー、金属基材の外表面に設置した温度センサーの中から選択された1個以上の温度センサーにて検出された温度変化を継続的に測定する工程と、予め用意した遮熱セラミック層の損傷度合いと温度の経時変化との関係を示すデータと上記測定された継続的な温度変化を照合して上記測定された温度変化に対応する遮熱セラミックス層の損傷度合いを評価する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る遮熱コ−ティングの損傷評価システムおよび損傷評価方法をジェットエンジンや発電用ガスタ−ビンの動翼、静翼、燃焼器など、高温で使用される機器に使用される遮熱コーティングに適用した場合には、温度センサーで取り込んだ信号から遮熱コーティングの状態量が演算され、その状態量が予め格納された損傷評価用データと照合されることにより、その状態量に対応する損傷度が把握でき、運転中においても部品の分解を伴わずに遮熱コーティングの損傷度や余寿命を評価できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について、添付図面を参照して以下の実施例に基づいて具体的に説明する。
【0017】
図1は、本実施例の遮熱コーティングの損傷評価システムを適用するタービン動翼の形状例を示す斜視図であり、図2は本実施例に係る遮熱コーティングの損傷評価システムの遮熱コーティング層を形成した動翼と組み合わせたシステム構成を示すブロック図である。なお、図2において円で囲った部分は、図1に示す遮熱コーティング層3を形成した動翼1の側壁部の部分拡大断面図である。
【0018】
すなわち、本実施例に係る遮熱コーティングの損傷評価システムは、図2に示すように金属基材2表面に金属中間層4を介して金属より低熱伝導性の遮熱セラミック層5を形成したセラミック遮熱コーティング部品3と、上記遮熱セラミック層5の外表面に設置した温度センサー6と、上記遮熱セラミック層5と金属中間層4との接合界面、上記金属中間層4と金属基材2との接合界面および金属基材2の外表面の4箇所に設置した温度センサー6,7,8,9と、上記温度センサー6,7,8,9からの計測信号を取り込む信号収集装置10と、取り込んだ計測信号から遮熱セラミック層5の状態量を演算する演算装置11と、この状態量と遮熱セラミックス層5の損傷度との関係を損傷評価用データとして予め格納するデータベース12と、上記演算装置11によって演算された状態量と損傷評価用データとを照合して状態量に対応する遮熱セラミックス層5の損傷度を表示する表示装置13と、上記各装置10,11,12、13の全体を制御する制御装置14とを備えて構成される。
【0019】
また、上記温度センサーとしては、熱電対が好適に使用できる。
【0020】
本実施例において、前記温度センサー6,7,8,9はいずれも厚さが0.1μm以上で300μm以下であるPt/Pt−Rh(白金/白金−ロジウム)薄膜熱電対を採用しており、各薄膜熱電対の外内面は厚さ0.1μm以上300μm以下のアルミナ(Al)薄膜で絶縁されている。この場合、薄膜熱電対を使用すれば、耐熱部品との接触面積が大きくなるために入熱量が大きくセンサー部の昇温が早いために、熱電対を設置した部位の温度を迅速かつ高精度で測定することができる。また、アルミナを主成分とする皮膜は絶縁特性および耐食・耐酸化性に優れているために熱電対の耐久性および動作信頼性を高めることができる。さらに、アルミナを主成分とする皮膜の厚さが、0.1μm以上300μm以下と微細であるので、耐熱部品の各部における温度に影響を与えることが少なく、耐熱部品の各部の温度を正確に計測することができる。
【0021】
上記本実施例に係る遮熱コーティングの損傷評価システムによれば、遮熱コーティング部品3の外表面から内表面にかけての各部位に設置された熱電対6,7,8,9によって、予め求められた温度との関係を有する抵抗値が検出され、それらの検出信号は信号収集装置10に取り込まれる。さらに、演算装置11では得られた検出信号から遮熱セラミックス層の状態量が演算される。データベース12は、予め実験等により遮熱コーティング部品の熱疲労試験等によって得られた状態量と遮熱セラミックス層の損傷度との関係、および実際の運転機器からの過去の定期検査から得られた損傷状態と運転時間や状態量との関係を損傷評価用データとして格納している。一方、制御装置14は、データベース12から損傷評価用データを呼び出して、上記演算装置11によって演算された状態量と呼び出した損傷評価用データとを照合させ、その結果を状態量に対応する遮熱セラミックス層5の損傷度として表示装置11上に表示する。こうして、検出信号による状態量の演算と損傷評価用データベースに蓄積されたデータとの照合により遮熱セラミックス層5の損傷評価がなされ、最終的には表示装置13で遮熱コーティング部品3の損傷の有無が表示される。
【0022】
上記遮熱セラミックス層の損傷評価を行うための一連の動作は、ある1箇所の特定部位における遮熱コーティング損傷評価の一例である。当然のことではあるが、同じ動翼でも複数の部位で遮熱コーティング損傷評価を行うためには、上記損傷評価システムを複数セット用意する。または、表示装置13を共通として、複数の評価箇所毎にこれらの評価箇所に対応する評価用データベース12を用意して演算装置11に接続するとともに、制御装置14を複数の評価箇所に対応するように制御アルゴリズムを変更して、演算装置11および信号収集装置10の能力をアップさせたものでもよい。例えば、ガスタービンでは、動翼、静翼、燃焼器など多数の遮熱コーティング部品を有しており、それらの複数の部品または複数箇所について遮熱コーティング損傷評価を行うためには、同様に複数セットの損傷評価システムが必要となる。この場合も、上記のように、表示装置13を共通として、動翼、静翼、燃焼器等に対応する評価用データベース12を用意して演算装置11に接続するとともに、制御装置14を複数の評価箇所に対応するように制御アルゴリズムを変更して、演算装置11および信号収集装置10の能力をアップさせたものでもよい。
【0023】
次に、ガスタービン動翼の金属基材2表面に形成された遮熱コーティング層を有する遮熱コーティング部品を対象にして、本発明に係る遮熱コーティングの損傷評価方法の一実施例について、図1に示した遮熱コーティングの損傷評価システムを用いて説明する。具体的には、遮熱セラミック層5の外表面に設置した温度センサー6、遮熱セラミックス層5と金属中間層4との間に設置した温度センサー7、金属基材2と金属中間層4との間に設置した温度センサー8、金属基材2の外表面に設置した温度センサー9によって検出された4ヶ所の抵抗値の信号が信号収集装置10によって収集され、演算装置11に送られる。上記抵抗値と温度とは1次比例関係にあるために、上記抵抗値に換算係数を乗じて温度に置き替えることができる。図3に、演算装置11に送信された各温度信号(TA,TB,TC,TD)と、損傷評価データベースにある遮熱コーティング部品3を構成する各材料の厚さ(tS,tB,tT)および熱伝導率(λS,λB,λT)のデータをまとめて示す。
【0024】
図3に示すように、遮熱セラミックス層5側に一定の加熱負荷が作用する一方、金属基材2の裏面側に一定の冷却負荷が作用し遮熱コーティング部品3の厚さ方向に定常状態の温度分布が形成されている場合においては、遮熱コーティング部品3の板厚方向における熱流束Q(W/m)は下記(1)式で算出される。
[数1]
Q=λS(TC−TD)/tS
(=λT(TA−TB)/tT=λB(TB−TC)/tB) ……(1)
但し、各符号は下記の状態量を示す。
λT;遮熱セラミック層の等価熱伝導率, tT;同左厚さ,
λB;金属中間層の等価熱伝導率, tB;同左厚さ,
λS;金属基材の等価熱伝導率, tS;同左厚さ,
tT;遮熱セラミック層の厚さ,
tB;金属中間層の厚さ,
tS;金属基材の厚さ,
TA;温度センサー6で得られた温度,
TB;温度センサー7で得られた温度,
TC;温度センサー8で得られた温度,
TD;温度センサー9で得られた温度,
【0025】
上記(1)式の関係より、図3に示す遮熱セラミックス層5の等価熱伝導率λTは、下記(2)式で与えられる。
すなわち、(1)式より
[数2]
Q×tT=λT×(TA−TB)
ゆえに、
[数3]
λT=Q×tT/(TA−TB) ……(2)
【0026】
ここで、金属基材2の等価熱伝導率λSは長期間運転後においても比較的に安定である。したがって、劣化によって変動が大きい遮熱セラミックス層5の等価熱伝導率λTを測定対象に選定することが好ましい。具体的には、まず温度センサー8で得られた温度TC、温度センサーDで得られた温度TD、金属基材の厚さtSから熱流束Qを求める。次に、このQと温度センサー6で得られた温度TA、温度センサー7で得られた温度TB、遮熱セラミック層5の厚さtTを用いて(2)式から遮熱セラミック層の等価熱伝導率λTが求められる。
【0027】
一方、予め遮熱コーティングの損傷評価データベース12に格納しておいた遮熱コーティングの損傷程度とλTとの関係や遮熱コーティングの余寿命(剥離までの運転可能時間)とλTとの関係を用いれば、ガスタービン動翼の金属基材2表面に形成された遮熱コーティングの損傷評価や剥離余寿命評価が可能である。
【0028】
上記構成の遮熱コーティングの損傷評価システムによれば、温度センサーで取り込んだ信号から遮熱コーティングの状態量を演算し、その状態量を予め保有された損傷評価用データと照合することにより、その状態量に対応する損傷度が把握でき、運転中においても部品の分解を伴わずに遮熱コーティングの損傷度を評価できる。すなわち、遮熱コーティングに設置した2つ以上の温度センサーにより検出した温度から、遮熱コーティング皮膜のほぼ定常状態での等価熱伝導率などの状態量を算出し、事前に用意した等価熱伝導率等の状態量と遮熱コーティング皮膜の損傷度との関係を示すデータベースと照合することにより、コーティング皮膜の損傷度合いや余寿命を評価診断することができる。
【0029】
また、上記遮熱コーティングの損傷評価システムにおいて、前記遮熱コーティング層の表面側を加熱する加熱機構と、金属基材の裏面側を冷却する冷却機構とを設けることが好ましい。この場合、運転停止後においても遮熱コーティングの加熱側から冷却側にかけて定常状態の熱移動が再現できるために、遮熱コーティング皮膜の損傷度を評価することができる。
【0030】
さらに、上記遮熱コーティングの損傷評価システムにおいて、前記温度センサーが、検出線(元線)の抵抗値から温度を計測する熱電対であることが好ましい。この場合、温度センサーを設置した部位の温度を高い精度で測定することができる。
【0031】
また、上記遮熱コーティングの損傷評価システムにおいて、前記温度センサーが、0.1μm以上300μm以下の厚さを有する薄膜熱電対であることが好ましい。この場合、耐熱部品との接触面積が大きくなるために入熱量が大きくセンサー部の昇温が早いために、温度センサーを設置した部位の温度を迅速かつ高精度で測定することができる。
【0032】
さらに、上記遮熱コーティングの損傷評価システムにおいて、前記金属基材上または金属中間層上に、アルミナを主成分とする皮膜を介して熱電対が設置されていることが好ましい。この場合、アルミナを主成分とする皮膜は絶縁特性および耐食・耐酸化性に優れているために熱電対の耐久性および動作信頼性を高めることができる。
【0033】
また、上記遮熱コーティングの損傷評価システムにおいて、前記アルミナを主成分とする皮膜の厚さが、0.1μm以上300μm以下であることが好ましい。この場合、皮膜の厚さが、0.1〜300μmの微小な範囲であるので、耐熱部品の各部における温度に影響を与えることが少なく、耐熱部品の各部の温度を正確に計測することができる。
【0034】
さらに、上記遮熱コーティングの損傷評価システムにおいて、前記温度センサーが、赤外線の放射量から温度を計測する放射温度計であることが好ましい。この放射温度計によれば、被測定部に対して非接触状態で取り付けられるために、被測定部に影響を与えることが無く迅速に温度を測定することができる。
【0035】
次に、ガスタービン動翼の金属基材2表面に遮熱コーティング層を形成したセラミックス遮熱コーティング部品を対象にした本発明に係る遮熱コーティングの損傷評価方法の他の実施例について説明する。この実施例においては、ガスタービンを運転した状態から停止した後の非定常状態における遮熱セラミック層5の外表面温度の経時変化を測定し、この温度変化のパターンから遮熱セラミック層5の損傷度合いを評価するものである。具体的には、遮熱セラミック層の外表面から放出される赤外線量を計測する放射温度計を温度センサー6として、遮熱セラミック層5の外表面部に設置して表面からの赤外線量を測定する。放射温度計により得られた検出信号は信号収集装置10によって収集され、演算装置11に送られる。演算装置11では赤外線量を示す検出信号値から、検出した赤外線量に対応する表面温度を演算し表示装置13に時系列的に表示する。
【0036】
なお、上記遮熱セラミック層の外表面から放出される赤外線量の代わりに、外表面の輻射色を光学的に検知する方式を採用することもできる。物体の外表面における輻射色と、その表面温度とは一定の関係にあるために、輻射色から表面温度を容易に把握できる。この場合、演算装置11では輻射色を示す検出信号値から、検出した輻射色に対応する表面温度を演算し表示装置13に時系列的に表示する。
【0037】
上記構成の実施例において、遮熱コーティング部品を含むガスタービンを運転状態から停止状態に移行すると、遮熱コーティング部品が高温燃焼ガスに曝された状態から高温燃焼ガスの通気が停止された状態になり、遮熱セラミックス層5の外表面温度Tαは経時的に低下する。
【0038】
ガスタービンの運転開始当初においては遮熱セラミックス層5の剥離や損傷が発生しておらず、遮熱セラミックス層と金属中間層4と金属基材2との密着強度が高い場合には、遮熱コーティング部品全体として熱伝導率の低下も少ないので運転停止直後から遮熱セラミックス層5の外表面温度Tαは比較的に急激的に低下する。
【0039】
一方、ガスタービンの運転開始から長期間経過して遮熱セラミックス層5の剥離や損傷が発生し、遮熱セラミックス層5と金属中間層4と金属基材2との密着強度が高い場合には、剥離や損傷した部位が熱移動の抵抗となるために遮熱コーティング部品全体としての熱伝導率の低下が顕著になり、遮熱セラミックス層5からの熱が金属基材2側に伝達されにくくなる。そのため、運転停止直後から遮熱セラミックス層5の外表面温度Tαの低下割合は少なくなる。
【0040】
図4は、ガスタービンの運転を長期間継続した後に停止した場合における遮熱セラミックス層5の外表面の温度変化を前記の放射温度計等の温度センサーを用いて継続的に測定した結果を示すグラフである。演算装置11では情報収集装置10に収集された検出信号に基づいて運転時の表面温度Tmax(燃焼ガス温度)から運転停止後の表面温度Tを時系列的に演算する。さらに演算装置11は、運転停止から時間αだけ経過した後における遮熱セラミックス層5の外表面の温度Tαを求める。
【0041】
一方、遮熱コーティングの損傷程度とTαとの関係や遮熱コーティングの余寿命(剥離までの運転時間)とTαとの関係が損傷評価用データとしてデータベース12に格納されている。これらの損傷評価用データは、過去の定期点検時に取得された実機の損傷状態のデータおよび遮熱コーティングを施工した耐熱部品の試験片等を用いた機械疲労試験データを集積したものである。
【0042】
そして、遮熱コーティングの損傷程度とTαとの関係および遮熱コーティングの余寿命(剥離までの運転時間)とTαとの関係を示す損傷評価用データをデータベース12から読み出して表示装置に13に表示させると同時に、測定演算した現時点での遮熱セラミックス層5の外表面温度Tαと上記損傷評価用データとを照合することにより、ガスタービン動翼の金属基材2表面に形成された遮熱コーティング層5の損傷評価や剥離余寿命評価を実施することが可能になる。
【0043】
次に上記実施例に係る遮熱コーティングの損傷評価システムの作用について、図5を参照して説明する。図5は、遮熱セラミック層の構成材料として代表的に使用されているジルコニア(ZrO溶射皮膜)と、熱電対材料である白金(Pt)と、絶縁用材料であるアルミナ(Al)の熱伝導率を比較して示す図表である。この図5から、遮熱セラミック層の構成材料であるZrOから成る溶射皮膜の熱伝導率は1.3W/m・Kで他の材料より圧倒的に小さいことが明白である。2つの伝熱面間の温度差をtとし、その間の伝熱量(熱伝導率)をλとしたときの熱抵抗R(t/λ)という指標を採用すると、各材料の熱抵抗はそれぞれ下記(3)式から(5)式で与えられる。
【0044】
[数4]
ZrO2=tZrO2/λZrO2=tZrO2/1.3 ……(3)
Pt=tPt/λPt=tPt/71 ……(4)
Al2O3=tAl2O3/λAl2O3=tAl2O3/239 ……(5)
【0045】
上記(3)式〜(5)式の比較から明らかなように、PtとAlは、ZrO(溶射皮膜)よりも2ケタ近く熱伝導率が大きいので同じ厚さでも熱抵抗が小さくなる傾向にある。ここで遮熱セラミック層の厚さは、せいぜい100μmから1000μmが一般的である。したがって、PtとAlの厚さを0.1μm以上で300μm以下の範囲に規定すれば熱抵抗を2ケタ以上小さくでき、遮熱セラミック層5の熱伝導率λTへの影響を小さくすることができる。
【0046】
上記実施例に係る遮熱コーティングの損傷評価方法の作用について、図6から図8を参照して説明する。図6は、実験に基づいてガスタービンの運転継続に伴う遮熱セラミック層5内に発生する横割れの発生・進展状況を3段階に分けて模式的に示した断面図である。遮熱セラミックス層5の完全剥離が生じた場合の加熱冷却の繰り返し数を分母に取り、現時点までの加熱冷却の繰り返し数を分子に取って寿命比で整理しており、寿命比=1.0は遮熱セラミックス層5の剥離がほぼ全面に渡り遮熱コーティング部品としての寿命が終わったことを意味している。この図6に示す結果から、寿命比が大きくなるほど、換言すれば加熱冷却の繰り返し数が多くなるほど、横割れの数や長さが大きくなることが判明する。
【0047】
図7は、上記遮熱コーティング部品に負荷した加熱冷却の繰り返しに伴う遮熱セラミック層5の等価熱伝導率λTの経時的変化を示している。この図7に示す結果から明らかなように、加熱冷却の繰り返しに伴い遮熱セラミックス層5の等価熱伝導率λTは小さくなる傾向にあることが判明する。この理由は、図6に示した横割れの発生・進展により遮熱セラミックス層5の熱抵抗が増大する結果、遮熱セラミックス層5における厚さ方向の熱伝導性が低下することに起因するものである。
【0048】
したがって、図7に示すような遮熱セラミック層5の等価熱伝導率λTと寿命比との関係を予め部品サンプルの熱機械疲労試験等によって損傷評価データとして把握しておき、データベース12に格納しておく一方で、ガスタービン動翼の金属基材2表面に形成された遮熱コーティング層5の現時点における等価熱伝導率λTを測定し、この現時点における等価熱伝導率λTと上記損傷評価データとを照合することにより、遮熱コーティングの損傷度合いの評価や剥離に至るまでの余寿命(可能運転時間)の評価が可能となる。
【0049】
図8は、ガスタービンの運転中において遮熱コーティングが高温燃焼ガスに曝された状態から運転を停止し高温燃焼ガスの供給が絶たれた状態に至った後の段階において、運転停止からα時間だけ経過後における遮熱セラミックス層5の外表面温度Tαと、加熱冷却の繰り返し数で表示される寿命比との関係を示すグラフである。この図8に示す結果から明らかなように、加熱冷却の繰り返し数が増加するほど、換言すれば寿命比が増加するほど、タービンの停止からα時間だけ経過後における遮熱セラミックス層5の外表面温度Tαが高くなることが明白である。この現象も、加熱冷却の繰り返し数が大きくなるにつれて、横割れの発生・進展で熱抵抗が増大し遮熱セラミックス層5の厚さ方向における熱伝導性が低下することに起因するものである。そして、図8に示すような運転停止から所定時間経過後における遮熱セラミックス層5の外表面温度Tαと、寿命比との関係を示す損傷評価データをデータベース12に格納する一方、ガスタービン運転停止から所定時間経過後における遮熱コーティング層5の外表面温度Tαを測定し、この現時点における外表面温度Tαと上記損傷評価データとを照合することにより、遮熱コーティングの損傷度合いの評価や剥離に至るまでの余寿命(可能運転時間)の評価が可能となる。
【0050】
以上説明のとおり、本実施例に係る遮熱コ−ティングの損傷評価システムおよび損傷評価方法によれば、以下のような実施例の効果が得られる。すなわち、温度センサーとしての熱電対を構成するPt等の材料厚さ、または熱電対の絶縁性および耐食性を高めるアルミナ(Al)から成る皮膜の厚さを0.1μm以上300μm以下の範囲に規定することにより、遮熱セラミックス層5の等価熱伝導率の測定値にほとんど影響を与えない。
【0051】
また、遮熱コーティングを施したガスタービン等の運転時間の長期化に伴い遮熱セラミック層内での横割れの発生数やその長さが経時的に増大することにより、遮熱セラミック層の熱抵抗が変化する。したがって、遮熱コーティング部品の厚さ方向に配置した少なくとも2個の温度センサーによって検出される温度データに基づいて、少なくとも遮熱セラミックス層を含む構成層の等価熱伝導率を演算し、その演算した等価熱伝導率と損傷評価用データとを照合することにより、運転中においても遮熱コーティングの損傷度合いや剥離に至るまでの余寿命(運転可能時間)を特定することができる。
【0052】
さらに上記のように、遮熱コーティングを施したガスタービン等の運転時間の長期化に伴い遮熱セラミック層内での横割れの発生数やその長さが経時的に増大することにより、遮熱セラミック層の熱抵抗が変化し、運転初期と運転後期とにおいて、ガスタービン等の運転停止後における構成材の冷却速度も異なり、必然的に運転後期においては、遮熱コーティング部品の表面温度の降下割合も緩慢になる。したがって、遮熱コーティング部品の表面部に配置した温度センサーによって運転停止後の遮熱セラミック層の外表面温度の変化割合を監視することにより、遮熱コーティングの損傷度合いや剥離に至るまでの余寿命を特定することができる。
【0053】
が特定できる。
【0054】
また、得られた遮熱コーティング部品の損傷度合いや余寿命の推定値を、予め用意した機器を安全に運転するための基準と照合し、上記損傷度合いや余寿命の推定値が基準範囲内であれば運転継続可能と判断する一方、基準範囲外であれば運転停止と判断するように運転継続の可否判断に採用することにより、さらに安全な機器運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る遮熱コーティングの損傷評価システムを適用する遮熱コーティング部品としてのタービン動翼の形状例を示す斜視図。
【図2】本発明に係る遮熱コーティングの損傷評価システムの構成例を示すブロック図であり、図1に示す遮熱コーティング層を形成した動翼と組み合わせたシステム構成を示すブロック図。
【図3】本発明に係る遮熱コーティングの損傷評価システムの一実施例において、演算装置に送信された温度信号(TAからTD)と、遮熱コーティング部品の層構成と、その部品を構成する各材料の厚さ(tS,tB,tT)および熱伝導率(λT,λB,λS)とをまとめて示す断面図。
【図4】本発明の実施例である遮熱コーティングの損傷評価方法を説明するための図であり、温度センサーとして放射温度計を用いて運転停止後における遮熱セラミックス層の外表面温度の変化を継続的に測定した一例を示すグラフ。
【図5】遮熱セラミックス層の構成材料として使用したジルコニア(ZrO溶射皮膜)、熱電対材料としての白金(Pt)、絶縁用材料としてのアルミナ(Al)の熱伝導率を比較して示す図表。
【図6】運転継続に伴う遮熱セラミックス層内における横割れの発生・進展状況を模式的に示す断面図。
【図7】加熱冷却の繰り返しに伴う遮熱セラミックス層の等価熱伝導率λTの変化を示すグラフ。
【図8】運転停止からα時間だけ経過した時点での遮熱セラミックス層の外表面温度Tαと加熱冷却の繰り返し数(寿命比)との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0056】
1…動翼、2…金属基材、3…遮熱コーティング部品、4…金属中間層、5…遮熱セラミックス層、6,7,8,9…温度センサー(熱電対、放射温度計)、10…信号収集装置、11…演算装置、12…損傷評価用データベース、13…表示装置、14…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基材表面に金属中間層を介して低熱伝導性の遮熱セラミックス層を形成したセラミックス遮熱コーティング部品と、上記遮熱セラミックス層の外表面に設置した温度センサーと、上記遮熱セラミックス層と金属中間層との接合界面、上記金属中間層と金属基材との接合界面および金属基材の外表面の少なくとも1箇所に設置した温度センサーと、上記温度センサーからの計測信号を取り込む信号収集装置と、取り込んだ計測信号から遮熱セラミックス層の状態量を演算する演算装置と、この状態量と遮熱セラミックス層の損傷度との関係を損傷評価用データとして予め格納するデータベースと、上記演算装置によって演算された状態量と損傷評価用データとを照合して上記状態量に対応する遮熱セラミックス層の損傷度を表示する表示装置とを備えることを特徴とする遮熱コーティングの損傷評価システム。
【請求項2】
遮熱コーティング層の表面側を加熱する加熱機構と、金属基材の裏面側を冷却する冷却機構とを設けたことを特徴とする請求項1記載の遮熱コーティングの損傷評価システム。
【請求項3】
前記温度センサーが、検出線の抵抗値から温度を計測する熱電対であることを特徴とする請求項1記載の遮熱コーティングの損傷評価システム。
【請求項4】
前記温度センサーが、0.1μm以上300μm以下の厚さを有する薄膜熱電対であることを特徴とする請求項3記載の遮熱コーティングの損傷評価システム。
【請求項5】
前記金属基材上または金属中間層上に、アルミナを主成分とする皮膜を介して熱電対が設置されていることを特徴とする請求項4記載の遮熱コーティングの損傷評価システム。
【請求項6】
前記アルミナを主成分とする皮膜の厚さが、0.1μm以上300μm以下であることを特徴とする請求項5記載の遮熱コーティングの損傷評価システム。
【請求項7】
金属基材表面に金属中間層を介して低熱伝導性の遮熱セラミックス層を形成したセラミックス遮熱コーティング部品と、
このセラミックス遮熱コーティング部品と離間して設けられ上記部品から放射される赤外線から温度を計測する放射温度計と、
この放射温度計からの計測信号を取り込む信号収集装置と、
取り込んだ計測信号から遮熱セラミックス層の状態量を演算する演算装置と、
この状態量と遮熱セラミックス層の損傷度との関係を損傷評価用データとして予め格納するデータベースと、
上記演算装置によって演算された状態量と損傷評価用データとを照合して上記状態量に対応する遮熱セラミックス層の損傷度を表示する表示装置と、
を備えたことを特徴とする遮熱コーティングの損傷評価システム。
【請求項8】
金属基材表面に金属中間層を介して低熱伝導性の遮熱セラミックス層を形成したセラミックス遮熱コーティング部品における上記遮熱セラミックス層の損傷度合いを評価する遮熱コーティングの損傷評価方法において、
上記遮熱セラミックス層の外表面に設置した温度センサーと、上記遮熱セラミックス層と金属中間層との接合界面、上記金属中間層と金属基材との接合界面および金属基材の外表面の少なくとも1箇所に設置した温度センサーとから得られた温度データから上記温度センサー間のセラミックス遮熱コーティング部品の等価熱伝導率を算出する工程と、
予め用意した遮熱セラミック層の損傷度合いと等価熱伝導率との関係を示すデータと上記算出した等価熱伝導率とを照合し、上記算出した等価熱伝導率に対応する遮熱コーティングの損傷度合いを評価する工程と
を備えることを特徴とする遮熱コーティングの損傷評価方法。
【請求項9】
金属基材表面に金属中間層を介して低熱伝導性の遮熱セラミックス層を形成したセラミックス遮熱コーティング部品における上記遮熱セラミックス層の損傷度合いを評価する遮熱コーティングの損傷評価方法において、
上記遮熱セラミックス層の外表面に設置した温度センサー、遮熱セラミックス層と金属中間層との間に設置した温度センサー、金属基材と金属中間層との間に設置した温度センサー、金属基材の外表面に設置した温度センサーの中から選択された1個以上の温度センサーにて検出された温度変化を継続的に測定する工程と、
予め用意した遮熱セラミックス層の損傷度合いと温度の経時変化との関係を示すデータと上記測定された継続的な温度変化を照合して上記測定された温度変化に対応する遮熱セラミックス層の損傷度合いを評価する工程とを備えることを特徴とする遮熱コーティングの損傷評価方法。
【請求項10】
請求項1記載の遮熱コーティングの損傷評価システムをジェットエンジンまたは発電用ガスタービンの動翼、静翼、燃焼器の少なくとも1種の耐熱部品に適用し、この耐熱部品に施した遮熱コーティング層の損傷度合いを評価することを特徴とするジェットエンジンまたは発電用ガスタービンシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−57346(P2007−57346A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242202(P2005−242202)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】