説明

選択的活性エストロゲンとしての8β−ヒドロカルビル置換エストラトリエン

【課題】本発明は、インビトロにおいてラット子宮のエストロゲン・レセプター標本よりもラット前立腺のエストロゲン・レセプター標本に高い親和性を持ち、並びに/又は5HT2aレセプター及び5HT2aトランスポーターの発現の促進に関して顕著な作用を持つ医薬としての有効成分として一般式(I)の新しい8β−置換エストラトリエン、それらの製造、それらの治療的使用、そして上記新しい化合物を含む医薬としての調剤形状を説明する。
【解決手段】ここで一般式(I)中、R2 、R3 、R6 、R6′、R7 、R7′、R9 、R11、R11′、R12、R14、R15、R15′、R16、R16′、R17及びR17′は本明細書中に示された意味を持ち、かつR8 は直鎖若しくは分枝鎖の、場合により部分的若しくは完全にハロゲン化されたアルキル又はアルケニル・ラジカルであって、最大5の炭素原子を持つもの、エチニル−、あるいはプロプ−1−イニル・ラジカルを意味する。本発明は、エストロゲン欠乏誘発性疾患及び症状の治療のためのこれらの化合物の使用、並びに子宮よりも骨におけるエストロゲン作動性作用に優先的に解離作用を持つ化合物の全体構造の中の8β−置換エストラトリエン構造部分をも説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
本願発明は医薬の活性成分としての新規化合物、それらの製造、治療としてのそれらの使用、及び上記新規化合物を含む医薬としての調剤形態に関し、上記新規化合物は、インビトロにおいてラット子宮由来のエストロゲン・レセプター標本よりラット前立腺由来のエストロゲン・レセプター標本に強い親和性を持ち、そしてインビボにおいて子宮より骨に優先的な作用を持ち、及び/又は5HT2aレセプター及び5HT2aトランスポーターの発現活性化に関して著しい作用を持つ。前記化合物は新規、ステロイド性、組織選択的エストロゲンである。
【背景技術】
【0002】
ホルモン欠乏誘発性症状の治療のためのエストロゲン療法及び骨、脳、血管、及び他の臓器系におけるエストロゲンの保護作用が明らかである。
【0003】
ホルモン欠乏誘発性症状、例えばのぼせ、エストロゲン標的臓器の萎縮、及び失禁の治療におけるエストロゲンの有効性、並びに閉経期及び閉経後の女性における骨量低下の予防のためのエストロゲン療法のうまくいく使用がよく記録され、そして一般的に受け入れられている(Grady et al., 1992, Ann Intern Med 117 : 1016-1037)。閉経後の女性又は卵巣機能不全の女性におけるエストロゲン代償療法がエストロゲン治療していない女性に比べ心血管疾患の危険性を何かしら他の様式で低下させることもよく記録されている(Grady et al., loc. cit.)。
【0004】
加えて、さらに最近の研究は、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病に対するエストロゲンの保護作用(Henderson 1997, Neurology 48 (Suppl 7) : pp. 27-35 ; Birge 1997, Neurology 48 (Suppl 7) : pp. 36-41)、脳の機能、例えば記憶及び学習能力に関する保護作用(McEwen et al. 1997, Neurology 48 (Suppl 7) : pp. 8-15 ; Sherwin 1997, Neurology 48 (Suppl 7) : pp. 21-26)、並びにホルモン欠乏誘発性気分変動に対する保護作用(Halbreich 1997, Neurology 48 (Suppl 7) : pp. 16-20)を確認している。
【0005】
加えて、エストロゲン代償療法が大腸癌の発生率の減少に関連する証明された効果を持つ(Calle, E.F. et al., 1995, J. Natl Cancer Inst 87 : 517-523)。従来のエストロゲン又はホルモン代償療法(=HRT)において、天然エストロゲン、例えばエストラジオール、及びウマ尿で作られている抱合エストロゲンがそれ自身か又はゲスターゲンとの併用のいずれかにより使用されている。天然のエストロゲンに代えて、エステル化により得られる誘導体、例えば17β−エストラジオール−吉草酸エステルを使用することもできる。
【0006】
エストロゲンの活性化作用のために、エストロゲンは子宮内膜に使用され、それは子宮内膜癌の危険性の軽減をもたらす(Harlap, S. 1992, Am J Obstet Gynecol 166 : 1986-1992)、好ましくはエストラジオール/ゲスターゲン組合せ製剤をホルモン代償療法に使用する。上記エストロゲン/ゲスターゲン組合せ物中の黄体ホルモン性成分は子宮内膜の肥大を防ぐが、しかし望まない周期的な月経出血がゲスターゲン含有組合せ物に関係しもする。
【0007】
さらに最近の上記エストロゲン/ゲスターゲン組合せ製剤に代わるものに選択的エストロゲンが相当する。これまで、それらの非子宮効果(つまり非エストロゲン性)の部分的作用が原因で選択的エストロゲンは脳、骨、及び血管系においてエストロゲン様効果を持つ化合物であると定義されてきたが、しかしそれらは子宮内膜において増殖効果を持たない。
【0008】
選択的エストラジオールの所望の特徴に部分的に合致する物質の型は、いわゆる「選択的エストロゲン・レセプター・モジュレータ」(SERM)である(R.F. Kauffman, H.U. Bryant 1995, DNAP 8 (9) : 531-539)。この場合、これらはエストロゲン・レセプター・サブタイプ「ERα」の部分的アゴニストである。しかしながら、この物質型は重大な閉経後症状、例えばのぼせの治療に関しては無効である。SERMの例として、骨粗しょう症の指標のために最近導入されたラロキシフェンについて述べる。
【0009】
エストロゲン・レセプター・ベータ(ERβ)
エストロゲン・レセプター−βがエストロゲン・レセプターの第2のサブタイプとして最近発見された(Kuiper et al. (1996), Proc. Natl. Acad. Sci. 93 : 5925-5930 ; Mosselman, Dijkema (1996) Febs Letters 392 : 49-53 ; Tremblay et al. (1997), Molecular Endocrinology 11 : 353-365 )。ERβの発現パターンはERαのそれとは異なる(Kuiper et al. (1996), Endocrinology 138 : 863-870 )。そのため、ラット前立腺においてはERαを上回りERβが優位であり、これに対し、ラット子宮においてはERβを上回りERαが優位である。それぞれの場合において2のERサブタイプの1方のみが発現される領域が脳内で同定された(Shugrue et al. (1996), Steroids 61 : 678-681 ; Li et al. (1997), Neuroendocrinology 66 : 63-67)。ERβは、特に認知過程及び「気分」について重要であると考えられる領域に発現される(Shugrue et al. 1997, J Comparatire Neurology 388 : 507-525)。
【0010】
これらの脳領域におけるERβに関する分子標的は5HT2aレセプター及びセロトニン・トランスポーターでありうる(G. Fink & B.E.H. Sumner 1996, Nature 383 : 306 ; B.E.H. Sumner et al. 1999 Molecular Brain Research 、印刷中)。神経伝達物質セロトニン(5−ヒドロキシトリブタミン)は多数の過程の調節に関与し、上記過程は更年期に障害されうる。特に、更年期の感情及び認知への影響がセロトニン作動性の系に関係している。エストロゲン代償療法は、おそらくセロトニン・レセプター及びトランスポーター発現の調節により、これらのエストロゲン欠乏誘発症状の治療に関して証明された有効性を持つ。
【0011】
比較的高いERβ発現を伴う他の臓器系は、骨(Onoe, Y. et al., 1997, Endocrinology 138 : 4509-4512)、血管系(Register, T.C., Adams, M.R. 1998, J. Steroid Molec Biol 64 : 187-191)、尿生殖管(Campbell-Thopson 1997, BBRC 240 : 478-483)、並びに精子細胞を含めた(Shugrue et al. 1998, Steroids 63 : 498-504)、精巣(Mosselmann, S. et al., 1996 Febs Lett 392 : 49-53)を含む。上記組織分布は、ERβを介したエストロゲンの臓器機能の調節を示唆する。ERβがこの点において機能を有するという事実はERα−(ERKO)又はERβ−(βERKO)ノックアウト・マウスにおける研究によっても分かる:卵巣切除はERKOマウスにおいて骨量低下を生じ、これはエストロゲン代用により解消されうる(Kimbro et al. 1998, Abstract OR 7-4, Endocrine Society Meeting New Orleans)。雌ERKOマウスの血管内エストラジオールは血管中膜及び平滑筋細胞増殖を阻害もする(Iafrati, M.D. et al. 1997, Nature Medicine 3 : 545-548)。エストラジオールのこれらの保護作用はおそらくERβを介してERKOマウスで行われている。
【0012】
βERKOマウスの観察は前立腺及び膀胱におけるERβの機能の兆しを提供する。高齢な雄マウスの場合、前立腺及び膀胱過形成が起こる(Krege, J.H. et al. 1998, Proc Natl Acad Sci 95 : 15677-15682)。加えて、雌ERKOマウス(Lubahn, D.B. et al. 1993, Proc Natl Acad Sci 90 : 11162-11166 )及び雄ERKOマウス(Hess, R.A. et al. 1997, Nature 390 : 509-512)、並びに雌βERKOマウス(Krege, J.H., 1998 )は受胎能力障害を有する。その結果、精巣及び卵巣機能、並びに受胎能力の維持に関するエストロゲンの重要な機能が確認される。
【0013】
前記ERの2のサブタイプの異なる組織又は臓器分布に基づくサブタイプ特異的リガンドにより特異的標的臓器における選択的エストロゲン作用の達成が可能となった。インビトロにおけるレセプター結合試験においてERαに比べてERβを優先する物質はKuiper et al. (Kuiper et al. (1996), Endocrinology 138 : 863-870)により記載されていた。エストロゲン感受性パラメーター上でのエストロゲン・レセプターのサブタイプ特異的リガンドの選択的作用はこれまで示されなかった。
【0014】
それ故に、本願発明の目的は、インビトロにおいてラット前立腺及びラット子宮由来のエストロゲン・レセプター標本への結合に対して解離作用を有し、かつインビボにおいて子宮作用より骨に対して解離作用を有する化合物を調製することである。前記化合物は、インビトロにおいてラット子宮由来のエストロゲン・レセプター標本よりラット前立腺由来のエストロゲン・レセプター標本に対して高い親和性を有し、かつインビボにおいて子宮における子宮活性化作用及び/又は5HT2aレセプター及び5HT2aトランスポーターの発現の活性化に対する顕著な作用に比べホルモン欠乏誘発性骨量低下に対する保護に関して高い能力を有する必要がある。
【0015】
広範な意味において、子宮よりも骨において良好なエストロゲン作用の前記配合された薬理学的特性を有する化合物の入手を可能にする構造活性相関が本願発明により利用可能になる。
【発明の開示】
【0016】
本発明により、前記目的は以下の一般式(I′):
【0017】
【化1】

【0018】
{式中、
2 は、水素原子、ハロゲン原子;
ラジカルR18−又はR18−O−(ここでR18は水素原子又は最大6の炭素原子を持つ直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和炭化水素ラジカル、トリフルオロメチル基を意味する);
基R19SO2 −O−、(ここでR19はR2021N基であり、R20及びR21が互いに独立に水素原子、C1 〜C5 −アルキル・ラジカル、基C(O)R22を意味し、ここでR22が、飽和若しくは最大3の位置での不飽和の場合により置換された直鎖若しくは分枝鎖、場合により部分的若しくは完全にハロゲン化された炭化水素であって、最大10の炭素原子を持つもの、場合により置換されたC3 〜C7 −シクロアルキルラジカル、場合により置換されたC4 〜C15−シクロアルキルアルキル・ラジカル、又は場合により置換されたアリール、ヘテロアリール若しくはアラルキル・ラジカルを示す)を意味するか、
あるいはN原子と一緒に、4〜6炭素原子又はモルフォリン・ラジカルを持つポリメチレンイミノ・ラジカルを意味し;
3 は、基R18−O−、R19SO2 −O−、又は−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にもR2 の下で示された意味であり、加えてアリール、ヘテロアリール又はアラルキル・ラジカルがR18を意味することができ;
6 及びR7 は、それぞれ水素原子を意味するか又は一緒にさらなる結合を意味し;
6′及びR7′は、互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にもR2 の下で示された意味であり;
8 は、直鎖若しくは分枝鎖、場合により部分的若しくは完全にハロゲン化された、アルキル又はアルケニル・ラジカル、エチニル、あるいはプロプ−1−イニル・ラジカルであって、最大5の炭素原子を持つものを意味し;
9 は、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖で飽和若しくは不飽和の、炭化水素ラジカルであって、最大5の炭素原子を持つものを意味するか、あるいはR11と一緒にさらなる結合を意味し;
11は、水素原子を意味するか、あるいはR9 又はR12と一緒にさらなる結合を意味し;
11′は、水素原子、ハロゲン原子、飽和若しくは不飽和の、場合により部分的若しくは完全にハロゲン化(F,Cl)された炭化水素ラジカルであって、4炭素原子の最大直鎖長を持つもの、又は基−X−R18′を意味し、ここでXが酸素若しくは硫黄原子であり、そしてR18′が1〜3の炭素原子を持つアルキル・ラジカルであり;
12は、水素原子を意味するか又はR11と一緒にさらなる結合を意味し;
14は、水素原子を意味するか又はR15と一緒にさらなる結合を意味し;
15は、水素原子を意味するか又はR14若しくはR16と一緒にさらなる結合を意味し;
16は、水素原子を意味するか又はR15と一緒にさらなる結合を意味し;
15′及びR16′は、互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、いずれの場合にもR2 の下で示された意味でのR18、R19、及びR22を伴う基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し;
17及びR17′は、それぞれ、水素原子;水素原子とハロゲン原子;水素原子とベンジルオキシ基;水素原子と基R19SO2 −O−;基R18と基−C(O)R22若しくは−O−C(O)R22;基R18−O−と基R18−;基R18−O−と基−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22は、いずれの場合にもR2 の下で示された意味であり;あるいは
17及びR17′は、一緒に基=CR2324を意味し、ここでR23及びR24は互いに独立に水素原子及びハロゲン原子を表すか又は一緒に酸素原子を表す。}の8β−置換エストラ−1,3,5(10)−トリエン誘導体のエストロゲン欠乏誘発疾患及び症状の治療のための供給により達成される。
【0019】
炭素原子6、7、9、11、15、16、及び17で可能な置換は、それぞれα−又はβ−位においてでありうる。
【0020】
本発明の変異型により、以下の一般式(I′):
{式中、
2 は、水素若しくはハロゲン原子又はヒドロキシ基を意味し;
3 は、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にもR2 の下で示された意味であり、さらにアリール又はアラルキル・ラジカルがR18を意味することができ;
6 及びR7 は、それぞれ水素原子を意味し;
6′は、水素原子、ヒドロキシ基、R2 の下で示された意味での基R22を意味し;
7′は、水素原子、ハロゲン原子、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にもR2 の下で示された意味であり;
8 は、直鎖若しくは分枝鎖の、場合により部分的若しくは完全にハロゲン化された、アルキル又はアルケニル・ラジカル、エチニル−又はプロプ−1−イニル・ラジカルであって、最大5の炭素原子を持つものを意味し;
9 は、水素原子を意味するか又はR11と一緒にさらなる結合を意味し;
11は、水素原子を意味するか又はR9 と一緒にさらなる結合を意味し;
11′は、水素原子、ハロゲン原子、飽和若しくは不飽和の、場合により部分的若しくは完全にハロゲン化(F,Cl)された炭化水素ラジカルであって、4炭素原子の最大直鎖長を持つもの、又は基−X−R18′を意味し、ここでXが硫黄原子であり、そしてR18′が1〜3の炭素原子を持つアルキル・ラジカルであり;
12、R14、R15、及びR16はいずれの場合にも水素原子を意味し;
16′は、水素原子、ハロゲン原子、いずれの場合にもR2 の下で示された意味でのR18、R19、及びR22を伴う基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し;
17及びR17′は、それぞれ水素原子;水素原子とハロゲン原子;水素原子とベンジルオキシ基;水素原子と基R19SO2 −O−;基R18と基−C(O)R22若しくは−O−C(O)R22;基R18−O−と基R18−;基R18−O−と基−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19、及びR22は上記全ての場合でR2 の下で示された意味であり;あるいは
17及びR17′は、一緒に基=CR2324を意味し、ここでR23及びR24は互いに独立に水素原子及びハロゲン原子を表すか又は一緒に酸素原子を表す。}の好ましい化合物を使用する。
【0021】
本願発明の他の好ましい変異型は以下の一般式(I′):
{式中、
2 は、水素若しくはハロゲン原子又はヒドロキシ基を意味し;
3 は、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にもR2 の下で示された意味であり、さらにアリール又はアラルキル・ラジカルがR18を意味することができ;
6 及びR7 は、それぞれ水素原子を意味し;
6′は、水素原子又はヒドロキシ基を意味し;
7′は、水素原子、フッ素又は塩素原子、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にもR2 の下で示された意味であり;
8 は、直鎖若しくは分枝鎖の、場合により部分的若しくは完全にフッ素化された、最大5の炭素原子を持つアルキル又はアルケニル・ラジカル、エチニル・ラジカル又はプロプ−1−イニル・ラジカルを意味し;
9 は、独立に水素原子を意味するか、又はR11と一緒にさらなる結合を意味し;
11′は、水素原子、フッ素又は塩素原子、飽和の、直鎖若しくは分枝鎖C1 〜C4 −アルキル基、基−X−R18′、ここでXが硫黄原子であり、そしてR18′が飽和の、直鎖又は分枝鎖C1 〜C3 −アルキル基であり、クロロメチル基、あるいはクロロエチル基を意味し;
12、R14、R15、及びR16はいずれの場合にも水素原子を意味し;
16′は、水素原子、フッ素若しくは塩素原子又は基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、いずれの場合にもR2 の下で示された意味でのR18、R19、及びR22を伴う;
17及びR17′は、それぞれ水素原子;水素原子とハロゲン原子;水素原子とベンジルオキシ基;水素原子と基R19SO2 −O−;基R18と基−C(O)R22若しくは−O−C(O)R22;基R18−O−と基R18−;基R18−O−と基−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19、及びR22は上記全ての場合でR2 の下で示された意味であり;あるいは
17及びR17′は、一緒に基=CR2324を意味し、ここでR23及びR24は互いに独立に水素原子及びハロゲン原子を表すか又は一緒に酸素原子を表す。}の化合物の使用を求める。
【0022】
本願発明の他の変異型は以下の一般式(I′):
{式中、
6′、R7′、R9 、R11、R14、R15、R15′、及びR16は、いずれの場合にも水素原子を意味するか、又はR6′、R7′、R14、R15、R15′、及びR16は、いずれの場合にも水素原子を意味し、かつ、R9 及びR11は一緒にさらなる結合を意味し、そして他の全ての置換基が請求項1に示される意味を有する。}の8β−置換エストラ−1,3,5(10)−トリエン誘導体を使用する。
【0023】
一般式(I′)のエストラトリエン誘導体がB−、C−及び/又はD−環内にさらなる二重結合を含む場合、二重結合は好ましくは9(11)、14(15)又は15(16)位に存在するか、あるいはこの二重結合が9(11)及び14(15)又は15(16)位に存在する。
【0024】
本発明の他の変異型は以下の一般式(I′):
{式中、
17及びR17′は、いずれの場合にもR2 の下で示された意味でのR18及びR22を伴う基R18−O−とR18;基R18と基−O−C(O)R22である。}のエストラトリエン誘導体である。
【0025】
言い換えると、最後に言及した以下のゴナトリエン誘導体:
{式中、
17及びR17′は、ヒドロキシ基と水素原子、C1 〜C4 −アルキル基又はC2 〜C4 −アルケニル基である。}が好ましく、そして特に好ましいものは以下:
{式中、
17及びR17′は、ヒドロキシ基と水素原子、メチル、エチル又はプロプ−1−イニル基である。}により表されるものである。
【0026】
最後に、R16′がいずれの場合にもR2 の下で示された意味でのR18、R19及びR22を伴う基R18−O−又はR19SO2 −O−を意味し;R17及びR17′がそれぞれ水素原子を意味し、そして他の全ての置換基が一般式(I′)に示される意味を持ちうる態様が存在する。
【0027】
本願発明により好ましいものは以下の化合物の1以上の使用である:
【0028】
【化2】

【0029】
【化3】

【0030】
【化4】

【0031】
本願発明の他の可能な構造は、前記サブクレームから明らかである。
【0032】
一般式(I′)の化合物の前記使用に加え、本発明は一般式(I)の化合物自身に関する。これらは以下の一般式(I′):
{式中、
3 は、ヒドロキシ、メトキシ又はアセチル基であり、かつ同時に
2 は、水素原子を表し、
6 、R6′、R7 、及びR7′は、いずれの場合にも水素原子であり、
8 は、メチル基を表し、
9 は、水素原子を表すか又は
9 及びR11は、一緒にさらなる結合を表し、
11′及びR12は、いずれの場合にも水素原子を表し、
14、R15、R15′、R16、及びR16′は、いずれの場合にも水素原子を表し、そして
17及びR17′は、β−ヒドロキシ基と水素原子;β−(2−ブロモアセチル)オキシ基と水素基;β−アセチル基と水素原子;β−カルボキシル基と水素原子を意味するか、あるいは
17及びR17′は、一緒に酸素原子を表す。}の化合物を除く一般式(I′)の化合物である。
【0033】
一般式(I′)の範囲から排除されるこの群の化合物は、以下の特許及び参考文献一覧表からすでに知られている:
【0034】
【化5】

【0035】
しかしながら、本願発明に関して選択的エストロゲン作用及び既知の化合物の使用がまだ記載されていない。
【0036】
ほとんどの場合において、前記すでに知られたエストラトリエンは、従来の意味でのエストロゲンとして又は分析法での使用のための中間化合物として記載される。
【0037】
一般式(I)及び(I′)の化合物、並びに以下に記載される部分断片(II)及び(II′)において、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子は常にハロゲン原子を意味しうる;フッ素がいかなる場合においても好ましい。11β位については、特に塩素原子も置換基として指名されうる。特に、部分的又は完全にハロゲン化されうる炭化水素・ラジカルはフッ化ラジカルである。
【0038】
炭化水素ラジカルR18は、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、テルト−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘプチル又はヘキシル・ラジカルである。
【0039】
一般式(I)及び(I′)の化合物、並びに以下に記載の断片構造(II)及び(II′)内のアルコキシ基OR18は、いずれの場合にも1〜6炭素原子を含むことができ、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、及びt−ブチルオキシ基が好ましい。
【0040】
前記C1 〜C5 −アルキル・ラジカルR20及びR21の典型はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、テルト−ブチル、ペンチル、イソペンチル、及びネオペンチルである。
【0041】
1〜最大10炭素原子を持つ直鎖又は分枝鎖炭化水素ラジカルR22の典型として、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、テルト−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘプチル、ヘキシル、及びデシルを言及でき;メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルが好ましい。
【0042】
全フッ素置換アルキル基として、例えばトリフルオロメチル、ペンタフルオルエチル、及びノナフルオロブチルを言及できる。部分的フッ素置換アルキル基の典型は、例えば2,2,2−トリフルオロエチル、5,5,5,4,4−ペンタフルオロペンチル、6,6,6,5,5,4,4,3,3−ノナフルオロヘキシル等である。
【0043】
3 〜C7 −シクロアルキル基として、シクロプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル又はヘプチル基を言及しうる。
【0044】
4 〜C15−シクロアルキルアルキル・ラジカルはシクロアルキル部分に3〜7炭素原子を持ち;代表的な典型は直前に言及されたシクロアルキル基である。前記アルキル部分は最大8炭素原子を持つ。
【0045】
4 〜C15−シクロアルキルアルキル・ラジカルの例として、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロペンチルメチル、シクロペンチルプロピル基等を言及しうる。
【0046】
本願発明の用語として、アリール・ラジカルはフェニル、1−又は2−ナフチル・ラジカルであり;上記フェニル・ラジカルが好ましい。
【0047】
アリールは常にヘテロアリール・ラジカルをも含む。ヘテロアリールラジカルの例は、2−、3−又は4−ピリジニル、2−又は3−フリール、2−又は3−チエニル、2−又は3−ピロールイル、2−、4−又は5−イミダゾーリイル、ピラジニル、2−、4−又は5−ピリミジニル、あるいは3−又は4−ピリダジニル・ラジカルである。
【0048】
アリール又はヘテロアリール・ラジカルについての典型として、例えばメチル−、エチル−、トリフルオロメチル−、ペンタフルオロエチル−、トリフルオロメチルチオ−、メトキシ−、エトキシ−、ニトロ−、シアノ−、ハロゲン−(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、ヒドロキシ−、アミノ−、モノ(C1-8 −アルキル)−、あるいは両アルキル基が一致するか若しくは異なる、ジ(C1-8 −アルキル)アミノ、両アラルキル基が一致するか若しくは異なる、ジ(アラルキル)アミノを言及しうる。
【0049】
アルキル・ラジカルは最大14、好ましくは6〜10のC原子の環内、及び1〜8、好ましくは1〜4のC原子のアルキル鎖内に含まれるラジカルである。よって、アラルキル・ラジカルとして、例えばベンジル、フェニルエチル、ナフチルメチル、ナフチルエチル、フリールメチル、チエニルエチル、及びピリジルプロピルが好適である。前記環は、ハロゲン、OH、O−アルキル、CO2 H、CO2 −アルキル、−NO2 、−N3 、−CN、C1 〜C20−アルキル、C1 〜C20−アシル又はC1 〜C20−アシルオキシ基により1以上の位置で置換されうる。
【0050】
前記アルキル基又は炭化水素ラジカルは部分的に又は完全にフッ素置換されるか、あるいは1〜5のハロゲン原子、ヒドロキシ基又はC1 〜C4 −アルコキシ基により置換されうる。
【0051】
ビニル又はアリル・ラジカルは本質的にC2 〜C5 −アルケニル・ラジカルにより定義される。
【0052】
本発明の他の変異型は、エストラトリエン骨格の環B、C、及びD内に1以上の場合により共役した二重結合、特に6、7;7、8;9、11;11、12;14、15及び15、16位に1以上の二重結合を提供する。この場合、7、8位又は11、12位の二重結合、あるいは6、7及び8、9位の2の二重結合が好ましい(つまり、芳香族のA−環と共にナフタレン系が形成される)。
【0053】
3、16、及び17C原子で1以上のヒドロキシル基が、脂肪族の直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和C1 〜C14−モノ−若しくはポリカルボン酸又は芳香族カルボン酸、あるいはα−又はβ−アミノ酸によりエステル化されうる。
【0054】
エステル化のためのこのようなカルボン酸として好適なものは、例えば:
モノカルボン酸:ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、アクリル酸、プロピオン酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、オレイン酸、及びエライジン酸。
【0055】
酢酸、吉草酸又はピバリン酸によるエステル化が好ましい。
【0056】
ジカルボン酸:シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタミン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、ムコン酸、シトラコン酸、及びメサコン酸。
【0057】
芳香族カルボン酸:安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフトエ酸、o−、m−、及びp−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、桂皮酸、ニコチン酸、イソニコチン酸。
【0058】
安息香酸によるエステル化が好ましい。
【0059】
アミノ酸として、当業者に十分に知られるこれらのクラスの物質の典型、例えばアラニン、β−アラニン、アルギニン、システイン、シスチン、グリシン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン等が好適である。
【0060】
β−アラニンによるエステル化が好ましい。
【0061】
本願発明による好ましい化合物は以下の化合物である:
【0062】
【化6】

【0063】
【化7】

【0064】
本発明の他の側面は以下の式(II):
【0065】
【化8】

【0066】
{式中、
8 は、直鎖若しくは分枝鎖で、場合により部分的若しくは完全にハロゲン化された最大5の炭素原子、エチニル若しくはプロプ−1−イニル・ラジカルを持つアルキル又はアルケニルラジカルを表し、それはラット前立腺及びラット子宮のエストロゲン・レセプター標本への結合に関してインビトロにおける解離作用を有する化合物の全体構造の成分として、そして特に子宮より骨でのそれらのエストロゲン作用の優先的な解離作用を有する上述の化合物の全体構造の成分である。}の構造部分(8β−置換−エストラ−1,3,5(10)トリエン構造部分)の使用に関する。
【0067】
前記芳香族のA−環に加え、1以上の二重結合をB−、C−、及び/又はD−環内の6(7);9(11);11(12);14(15);及び15(16)位に提供しうる。
【0068】
6、7、11、15及び16炭素原子で考えられる置換基は、それぞれα−又はβ−位に存在しうる。
【0069】
本願発明は以下の一般式(II′):
【0070】
【化9】

【0071】
{式中、
8 は、直鎖若しくは分枝鎖で、場合により部分的若しくは完全にハロゲン化された、最大5の炭素原子、エチニル若しくはプロプ−1−イニル・ラジカルを持つアルキル又はアルケニル・ラジカルに表す。}の構造部分に関する。
【0072】
同様に、これらの構造部分は、芳香族のA−環に加えB−、C−、及び/又はD−環内に1以上の二重結合を持つ。
【0073】
6、7、11、15、16、及び17炭素原子で考えられる置換基は、いずれの場合にもα−又はβ−位に順番に存在しうる。
【0074】
プロドラッグとして、本発明による8β−置換エストラトリエンのエステルは、それらの投与法、それらの作用の形、作用の強さ及び継続時間に関して、非エステル化活性成分に比べ利点を持つ。
【0075】
本発明による8β−置換エストラトリエンのスルファメートは、薬理学的及び薬効学的利点をも有する。関連した効果が他のステロイド−スルファメートにおいてすでに記載されていた(J. Steroid Biochem. Molec. Biol, 55, 395-403 (1995) ; Exp. Opinion Invest. Drugs 7, 575-589 (1998))。
【0076】
本特許出願において、8β−置換エストラ−1,3,5(10)トリエン骨格を基にしたステロイドが、インビトロにおいてラット前立腺及びラット子宮のエストロゲン・レセプター標本への結合に関して解離作用を持つ、及びインビボにおいて例えば子宮作用よりも骨作用に関する、好ましい解離作用を持つ選択的エストロゲンとしてエストロゲン・レセプターβ仲介疾患及び症状の治療について記載されている:これらの物質は子宮を刺激することなしに幅広い用量範囲にわたり骨保護法において作用する。
【0077】
加えて、雄ラットにおいて前記物質は脳下垂体ホルモンLH及びFSHの分泌を阻害することなく精巣摘出誘発骨量低下に対する防御作用を持ちうる。
【0078】
それらの肝臓への作用は同じ用量範囲においてわずかである。
【0079】
加えて、前記物質は血管系及び脳機能にエストロゲン様作用を発揮する。−−ラット子宮エストロゲン・レセプターに比べ−−ラット前立腺に強く結合する物質は、LH放出におけるそれらの陽性効果に比べて、セロトニン・レセプター及びトランスポーターの発現の促進に関してより強い影響を及ぼす。故に、神経伝達物質セロトニンの調節が関与する過程は有利に影響され、そして本発明による化合物は特に気分及び認知に有利な効力を発揮する。
【0080】
それらは、ヒトにおけるセロトニン又はセロトニンmRNAのレベルを操るための薬物の製造のためにWO97/45125に記載の条件の中でエストロゲンとして使用されうる。
【0081】
本発明による8β−置換エストラ−1,3,5(10)トリエンは、対応の標的組織又は標的臓器におけるエストロゲン・レセプターαよりもエストロゲン・レセプターβの高い含量により特徴づけられるさまざまな症状及び疾患の治療のための選択的エストロゲンとして好適である。
【0082】
本発明は、少なくとも1の一般式(I)の化合物(又はその有機及び無機酸による生理学的に適合しうる付加塩)、及び医薬製剤の製造、特に以下の適応症のための一般式(I′)の化合物の使用にも関する。
【0083】
前記化合物は、経口及び非経口投与の両者を経て以下の適応症のために使用されうる。
【0084】
本願特許に記載される新規選択的エストロゲンが医薬製剤中の単独の成分として、又は特に抗エストロゲン又はゲスターゲンと組合せて使用されうる。特に好ましくは、ERα−選択的抗エストロゲン又は末梢選択的に活性である、つまり血液脳関門を通過しない抗エストロゲンと選択的エストロゲンの組合せである。
【0085】
前記物質及びそれらを含む医薬製剤は、閉経期及び閉経後症状、特にのぼせ、睡眠障害、神経過敏、気分変動、失禁、膣萎縮、及びホルモン欠乏誘発性感情障害の治療に特に好適である。前記物質は、ホルモン代償、並びに外科的な、薬物的又は他の形態で引き起こされる卵巣機能不全の場合のホルモン欠乏誘発性症状の治療のために好適でもある。閉経後の女性及び更年期の男性、子宮摘出を行った女性又はLHRHアゴニスト又はLHRHアンタゴニストによる治療を受けた女性における骨量低下の予防はこの一部でもある。
【0086】
前記化合物は男性の更年期及び女性の更年期の障害の緩和のために、つまり月経困難症に伴って起こる障害の治療、並びににきびの治療に加え、本質的に予防及び治療の両方のための男性及び女性ホルモン代償療法(HRT)のために好適である。
【0087】
加えて、前記物質は、ホルモン欠乏誘発性性骨量低下及び骨粗しょう症の予防のために、心血管疾患、特に血管疾患、例えば動脈硬化症の予防のために、動脈平滑筋細胞の増殖阻害のために、原発性肺高血圧症の治療のために、及びホルモン欠乏誘発性性神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、並びに記憶及び学習能力のホルモン欠乏誘発性性の減退の予防のために使用されうる。
【0088】
加えて、前記物質は炎症性疾患及び免疫系の疾患、特に自己免疫疾患、例えばリウマチ様関節炎の治療のために使用されうる。
【0089】
加えて、前記化合物は男性の不妊及び前立腺疾患の治療のために使用されうる。
【0090】
前記化合物は、天然のビタミンD3又はカルシトリオール・アナログと組合せて骨形成のために又は骨量低下を引き起こす治療法(例えば、グルココルチコイドを用いる治療法、化学療法)に対する支援療法として使用されることもできる。
【0091】
最後に、一般式(I′)の化合物は、プロゲステロン・レセプター・アンタゴニストを伴い、具体的には、特にホルモン代償療法及び婦人科の疾患の治療に使用されうる。
【0092】
エストロゲン及び同時に、逐次又は別個に使用される純粋な抗エストロゲンを含む閉経期又は閉経後の症状の選択的エストロゲン療法のための治療薬はすでにEP−A 0 346 014に記載されている。
【0093】
投与される一般式(I′)の化合物の量は広範囲の中で変化し、そしてあらゆる有効量に及びうる。治療すべき症状及び投与の種類に基づき、投与される前記化合物の量は、1日当たり0.01μg/kg体重〜10mg/kg体重、好ましくは0.04μg/kg体重〜1mg/kg体重である。
【0094】
ヒトにおいては、これが日用量0.8μg〜800mg、好ましくは3.2μg〜80mgに対応する。
【0095】
本発明により、投薬単位は一般式(I′)の1以上の化合物を1.6μg〜200mg含む。
【0096】
本発明による化合物及びその酸付加塩は医薬組成物及び製剤の製造に好適である。前記医薬組成物又は医薬製剤は、場合により他の薬理学的に又は医薬としての活性物質と混合した、本発明による化合物又はそれらの酸付加塩の1以上を活性成分として含む。前記医薬製剤の製造は既知の方法により行われ、それにより既知の及び一般的に使用される医薬アジュバント、並びに他の一般的に使用される媒質及び希釈剤を使用しうる。
【0097】
上述の媒質及びアジュバントとして、例えば医薬品、化粧品、及び関連分野のためのアジュバントとして以下の参考文献一覧に薦められるか又は記載されているものが好適である:Ullmans Encyklopaedie der technischen Chemie [Ullman's Encyclopedia of Technical Chemistry], Volume 4 (1953), pages 1 to 39 ; Journal of Pharmaceutical Sciences, Volume 52 (1963), page 918 ff., Czetsch-Lindenwald, Hilfsstoffe fuer Pharmazie und angrenzende Gebiete発行 [Adjuvants for Pharmaceutics and Related Fields] ; Pharm. Ind., Issue 2, 1961, p. 72 and ff. : Dr. H.P. Fiedler, Lexikon der Hilfsstoffe fuer Pharmazie, Kosmetik und angrenzende Gebiete [Dictionary of Adjuvants for Pharmaceutics, Cosmetics and Related Fields], Cantor KG, Aulendorf in Wuerttemberg 1971。
【0098】
前記化合物を経口又は非経口、例えば腹腔内、筋中、皮下又は経皮的に投与しうる。
【0099】
経口投与のために、カプセル、ピル、錠剤、コート錠等が好適である。前記活性成分に加え、前記投薬単位は医薬として適合する媒質、例えばスターチ、糖、ソルビトール、ゼラチン、滑沢剤、ケイ酸、タルク等を含みうる。
【0100】
非経口投与のために、前記活性成分を生体適合希釈剤中に溶解又は懸濁しうる。希釈剤として、可溶化剤、界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤の有無にかかわらず頻繁に油を使用する。使用される油の例は、オリーブ油、落花生油、綿油、大豆油、キャスター油、及びゴマ油である。
【0101】
前記化合物を活性成分の徐放を可能にするために配合された蓄積注射又はインプラント製剤の形で使用しうる。
【0102】
不活性物質として、インプラントは、例えば生分解性重合体又は合成シリコン、例えばシリコン・ゴムを含みうる。加えて、経皮投与のために、前記活性成分を、例えばパッチに添加しうる。
【0103】
一般式(I′)の活性化合物を詰め込んだ膣内システム(例えば膣リング)又は子宮内システム(例えば、ペッサリー、コイル、IUDs、Mirena(商標))の製造のために、さまざまな重合体、例えばシリコン重合体、酢酸ビニル・エチレン、ポリエチレン又はポリプロピレンが好適である。
【0104】
前記活性成分のより良好な生物学的利用能を達成するために、前記化合物をシクロデキストリン・クラスレートとして配合することもできる。この目的のために、前記化合物をα−、β−又はγ−シクロデキストリン又は後者の誘導体と反応させる(PCT/EP95/02656)。
【0105】
本発明により、一般式(I′)の化合物をリポソームによりカプセル化することもできる。
【0106】
方法
エストロゲン・レセプター結合試験
新しい選択的エストロゲンの結合親和性を、ラット前立腺及びラット子宮のエストロゲン・レセプター標本に対する、リガンドとして3H−エストラジオールの使用を伴う競合実験により試験した。前立腺サイトソルの調製及び前立腺サイトソルを用いたエストロゲン・レセプター試験を Testas et al. (1981) により記載のとおり行った(Testas, J. et al., 1981, Endocrinology 109 : 1287-1289)。
【0107】
ラット子宮サイトリルの調製、並びにそのER含有サイトソルを用いたレセプター試験を、Fuhrmann et al. (1995) (Fuhrmann, U. et al., 1995, Contraception 51 : 45-52) に記載のいくつかの変更を伴い、基本的にはStack及びGorski, 1985 (Stack, Gorski 1985, Endocrinology 117, 2024-2032) により記載のとおり実施した。
【0108】
本願特許に記載した物質はラット子宮のエストロゲン・レセプターよりもラット前立腺のエストロゲン・レセプターに対して高い結合親和性を持つ。この場合、ラット前立腺においてはERαを上回ってERβが支配的であり、そしてラット子宮においてはERβを上回ってERαが支配的であろうことが推測される。表1は、前立腺及び子宮レセプターへの結合の割合がヒトERβ及びERαに対する相対結合親和性(RBA)の商と定性的に一致することを示す(Kuiper et al. (1996), Endocrinology 138 : 863-870)(表1)。
【0109】
【表1】

【0110】
表2は、本発明により使用される化合物8β−メチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール(化合物D)、並びに本発明による以下の化合物:
【0111】
【化10】

【0112】
についての結果を示す。
【0113】
【表2】

【0114】
化合物A、B、C、D、及びEは、ラット子宮のエストロゲン・レセプターよりもラット前立腺のエストロゲン・レセプターに対して高い親和性を示す。
【0115】
加えて、「前立腺ER対子宮ER試験系」の予測可能性をインビトロ試験により組織選択的作用に関して確認した。前立腺ERを優先する物質は骨における作用を優先する、骨及び子宮作用に関してインビボにおいて好ましくは分離される。加えて、−−ラット子宮エストロゲン・レセプターに比べ−−ラット前立腺に強い結合を有する物質は、LH放出に対するそれらの陽性効果に比べセロトニン・レセプター及びトランスポーターの発現増加に関してより強い影響を及ぼす。
【0116】
骨試験
3ヶ月齢の雌ラットの卵巣を摘出し、そしてその手術直後から1日1回28日間試験化合物により処理する。この投与を落花生油/エタノールにより皮下に行った。前記動物を最後の投与の翌日に屠殺し、そして脛骨並びに子宮を取り外した。この子宮を計量し、固定し、そして組織学的試験のために準備した。骨密度の測定をpQCT(定量的コンピューター断層撮影装置)を使い準備した長骨でエクスビボにおいて実行する。この測定は脛骨近位の関節の膨らみから4〜6mmの距離で行う。
【0117】
卵巣摘出は計測エリアの小柱骨の密度を約400mgのCa2+/cm3 〜約300mgのCa2+/cm3 まで低下させる。本願発明による一般式(I)の化合物による処理により、この骨密度の低下は予防又は阻害される。脛骨近位の骨密度を計測した。
【0118】
好ましくは、ラット子宮のエストロゲン・レセプターよりもラット前立腺のエストロゲン・レセプターに対する高い結合親和性は、50%子宮刺激を生じる量に比べて50%骨保護を生じるインビボにおける本発明による化合物のかなり少ない量に反映され、上記の量は卵巣摘出した、つまりシャム手術を受けた無傷の動物と異なり卵巣切除後28日目の未処理の雌ラットにおいて観察される骨量低下に関連する。
【0119】
本発明によるエストロゲンの血管作用を、R. Elhage et al., 1997により記載されたApoEノックアウト・マウスのモデル、並びにバルーン−カテーテル誘発性血管傷害のモデル(再狭窄モデル)において測定する(Elhage, R. et al. 1997, Arteriosclerosis, Thrombosis and Vascular Biology 17 : 2679-2684)。
【0120】
脳機能に対するエストロゲンの作用を検出するために、オキシトシン−、オキシトシン・レセプター−又はバソプレッシン−mRNA発現を代わりのパラメーターとして使用する(Hrabovszky, E. et al. 1998, Endocrinology 1339 : 2600-2604)。卵巣摘出ラットを試験物質又は媒質により7日間処理する(投与:皮下又は経口、1日6回)。7日目の最初の投与の後に、前記動物の首を切り、子宮重量を測定し、そして好適な脳切片においてin situハイブリダイゼーションを用いてオキシトシン−、オキシトシン・レセプター−又はバソプレッシン−mRNAレベルを調べる。子宮成長の活性化及びオキシトシン・レセプターmRNAの増加に関してED50値を測定する。
【0121】
インビボにおける本発明による物質の解離エストロゲン作用を証明するための他の可能性は、ラットにおける上記物質の単回投与の後に、ERβ・リッチな脳領域において5HT2aレセプターの発現及びセロトニン・トランスポーター・タンパク質及びmRNAレベルへの効果が計測されうる事実にある。セロトニン・レセプター及びトランスポーター発現への効果に比べ、LH分泌への効果が計測される。−−ラット子宮エストロゲン・レセプターに比べ−−ラット前立腺に強い結合を有する物質は、LH放出に対するそれらの陽性効果に比べセロトニン・レセプター及びトランスポーターの発現の増加に関してより強い影響を及ぼす。セロトニン・レセプター及びトランスポーターの密度を放射性リガンドを用いて脳切片において測定し、そして対応のmRNAをin situハイブリダイゼーションを用いて測定する。この方法は以下の文献に記載されている:G. Fink & B.E.H. Sumner 1996 Nature 383 : 306 ; B.E.H. Sumner et al. 1999 Molecular Brain Research、印刷中。
【0122】
ラット子宮エストロゲン・レセプターよりもラット前立腺エストロゲン・レセプターに対するそれらのより強い結合について、本発明による物質A、B、C、D、及びEは、セロトニン・レセプター及びトランスポーターの発現増加をもたらす。
【0123】
本発明による化合物の製造
本発明による一般式(I)(又は(I′))の化合物を実施例に記載のとおり製造する。一般式(I′)のさらなる化合物を実施例に記載の試薬に相同な試薬を用いて類似の手順により得ることができる。
【0124】
遊離ヒドロキシ基のエーテル化及び/又はエステル化を当業者にとって一般的な方法により行う。
【0125】
本発明による化合物は、α、β−立体異性体として炭素原子6、7、11、15、16、及び17において提供されうる。記載された方法による化合物の製造において、ほとんどの場合で前記化合物は対応のα、β−異性体の混合物として蓄積する。前記混合物を、例えばクロマトグラフィー工程により分離しうる。
【0126】
一般式(I)により、考えられる置換基は最終形態ですでに提供されているか又は出発物質において前駆物質の形態で提供され、置換されたエストロンはすでに所望の最終産物に対応している。
【0127】
炭素原子7への置換基又は反応性前駆物質の導入は、6−ビニルスルホン上の置換基又は前駆物質の求核付加反応により可能となる(DE 42 18 743 A1)。この場合、例えばクロマトグラフィー工程により分離されうる7α−及び7β−置換化合物が、その反応物及び選択された反応条件に基づくさまざまな割合で得られる。
【0128】
17−置換基は、所望の置換基又はその反応性前駆物質の求核付加により既知の工程に従い導入されもし、そして場合によりさらに補強される。
【0129】
本発明による8β−置換エストラトリエン−カルボン酸エステルを既知でもある方法と同じように対応のヒドロキシ・ステロイドから製造される(例えばPharmazeutische Wirkstoffe, Synthesen, Patente, Anwendungen [Pharmaceutical Active Ingredients, Syntheses, Patents, Applications] ; A. Kleemann, J. Engel', Georg Thieme Verlag Stuttgart 1978, Arzneimittel, Fortschritte [Pharmaceutical Agents, Improvements] 1972 to 1985 ; A. Kleemann, E. Lindner, J. Engel (Editors), VCH 1987, pp. 773-814を参照のこと)。
【0130】
本発明によるエストラトリエン−スルファメートは、塩基の存在下でのスルファモイル・クロライドを用いたエステル化により対応のヒドロキシ・ステロイドから本技術分野で知られる方法を用いて入手できる(Z. Chem. 15, 270-272 (1975) ; Steroids 61, 710-717 (1996))。
【0131】
スルファミド基のその後のアシル化は本発明による(N−アシル)スルファメートを生じ、これについて、薬物動態学的な利点が8−置換の存在する場合においてすでに検出されていた(DE 195 40 233 A1を参照のこと)。
【0132】
N−置換及びN−非置換スルファモイル・クロライドによるポリヒドロキシル化ステロイドの部位選択的エステル化を、非エステル化を維持すべきそれらのヒドロキシ基の部分的な保護により実行する。シリル・エーテルはこの目的のために好適な選択的反応性を有する保護基となる、なぜなら、これらのシリル・エーテルはスルファメート形成条件下で安定であり、そして上記シリル・エーテルがその分子内に含まれるまで残りのヒドロキシル基の再生のために付着し続ける時に、上記スルファメート基が無傷のまま維持される(Steroids 61, 710-717 (1996))。その分子内に1以上のさらなるヒドロキシル基を持つ本発明によるスルファメートの製造は、出発物質が好適なヒドロキシ−ステロイド・ケトンである場合に可能でもある。最初に、目標に依存して、存在する1以上のヒドロキシル基をスルファモイル化の対象にする。次に、場合によりスルファメート基を、塩基の存在下で所望のアシル・クロライドにより該当する(N−アシル)スルファメートに変換する。ここでのオキソスルファメート又はオキソ−(N−アシル)スルファメートの存在は還元により対応のヒドロキシスルファメート又はヒドロキシ−(N−アシル)スルファメートに変換される(Steroids 61, 710-717 (1996))。ホウ化水素ナトリウム及びボラン−ジメチル・スルフィド複合体が還元剤として好適である。
【0133】
炭素原子2への機能付与は、例えば事前の、リチウム塩基(例えばメチルリチウム、ブチルリチウム)を持つ対応の3−(2−テトラヒドロピラニル)−又は3−メチル・エーテルの2位の脱プロトン化を経た求電子置換により可能である。よって、例えばフッ素原子をフッ素化剤、例えばN−フルオロメタン・スルホンイミドとのC−H活性化基質との反応により導入しうる(WO94/24098)。
【0134】
前記エストラトリエン・ケトンの環B、C、及びD内への可変置換基の導入を、8位において置換されていない、製造された対応のエストラトリエン誘導体を用いて当業者に知られる化学的教示に従い基本的には実行しうる(特に:Steroide [Steroids], L.F. Fieser, M. Fieser, Verlag Chemie, Weinheim/Bergstr., 1961 ; Organic Reactions in Steroid Chemistry, J. Fried, J.A. Edwards, Van Nostrand Reinhold Company, New York, Cincinnati, Toronto, London, Melboume, 1972 ; Medicinal Chemistry of Steroids, F.J. Zeelen, Elsevier, Amsterdam, Oxford, New York, Tokyo, 1990 を参照のこと)。これは、例えば置換基、例えばヒドロキシル又はアルキルオキシ基、アルキル、アルケニル又はアルキニル基又はハロゲン、特にフッ素の導入に関する。
【0135】
しかしながら、一般式(I)による置換基をすでに8位で置換されているエストラトリエンの段階において導入することもできる。これは、特に前記所望の最終化合物の複合置換の場合に有用又は必要である。
【0136】
以下の実施例は本発明のより詳細な説明のために使用される。
【0137】
これらの実施例についての一般的な合成経路を図解1〜3に示す。
【0138】
上述の合成について出発物質として、ジエチルアルミナム・シアン化物を用いて反応により8β位において立体選択的に置換された又は型の11−ケト−エストラトリエン誘導体(US 3491089、Tetrahedron Letter, 1967, 37, 3603)を使用する。その後のC(11)でのカルボニル官能基の還元、そして生み出されたヒドロキシル基の除去により、今度は8β−アルデヒドに変換されうる8β−置換エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエンを得る。例えばその後の保護基の除去を伴うウィッティング反応による機能付与が本発明による8β−ステロイドをもたらす。この系列において最初に得られる11−酸化エストラジオール誘導体を当業者に知られる方法に従い、二重結合C(9)−C(11)のような前記ステロイドの多くの置換パターンにさらに反応させうる。例えば、11α−ヒドロキシ基を、Vorbrueggen et al により説明された方法に従い11β−フッ素原子に変換しうる。
【0139】
17−置換なしに本発明による8β−置換エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,16ξ−ジオール誘導体の製造のために、主に以下の合成ストラテジーを使用する。これに関連して、前記8β−カルボニル官能基はアセタールとして保護される。続く酸化の後、最も簡単な場合にフェニルスルホニル・ヒドラジドとの反応により、17−ケトステロイドをスルホニルヒドラゾンに変換しうる。分解反応により、C(16)−C(17)オレフィンの形成を行い(Z. Chem. 1970, 10, 221-2 ; Liebigs Ann. Chem. 1981, 1973-81 )、そこで次臭化物は部位/立体制御された方法を用いて保存される。8βの還元的脱ハロゲン化及びアセタール保護基の除去は、本発明による化合物への変換のための道を開く。この方法により得られる16β−アルコールを既知の方法により16α−エピマーに変換しうる(Synthesis 1980, 1)。
【0140】
C原子16へのヒドロキシル基の導入のための他の変異型は、立体的に厳密なボランによる16(17)二重結合のハイドロボレーションにある。この反応について、これが16−酸化産物をもたらすことが知られている(Indian J. Chem. 1971, 9, 287-8)。アルカリ水素ペルオキシドによる酸化の後、9−ボラビシクロ〔3.3.1〕ノナンとエストラ−1,3,5(10),16−テトラエン17の反応はその結果として16α−ヒドロキシエストラトリエンを生じる。エピマー16β−ヒドロキシ・ステロイドはこの反応においてそれほどではないにせよ形成される。その後の8β−置換基に対するさらなる変換が本発明による一般式(I)の化合物をもたらす。
【0141】
合成工程を制限することなく、いくつかの置換基と組合わせにおいても、前記エストロン骨格上の代表的な置換パターンを提供するために有用な特徴は、例えば以下の中に見られる:C(1)J. Chem. Soc.(C)1968, 2915;C(7)Steroids 54, 1989, 71;C(8α)Tetrahedron Letters 1991, 743 ;C(8β)Tetrahedron Letters 1964, 1763 ; J. Org. Chem. 1970, 35, 468;C(11)J. Steroid Biochem. 31, 1988, 549 ; Tetrahedron 33, 1977, 609 and J. Org. Chem. 60, 1995, 5316;C(9)DE−OS 2035879;J. Chem. Soc. Perk. 1 1973, 2095;C(15)J. Chem. Soc. Perk. 1 1996, 1269.);C(13α)Mendeleev Commun. 1994, 187;C(14β)Z. Chem. 23, 1983, 410。
【0142】
実施例及び図解において、以下の略語を適用する:
THF=テトラヒドロフラン;THP=テトラヒドロピラン−2−イル;DHP=ジヒドロピラン;DMSO=ジメチル・スルフォキシド;MTBE=メチル−テルト−ブチル・エーテル;DIBAH=ジイソブチル−アルミニウム・ヒドリド;LTBAH=リチウム−トリ−テルト−ブトキシアルミニウム・ヒドリド。
【実施例】
【0143】
実施例1
3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10),8−テトラエン−11−オン(2)
47mlのジヒドロピラン及び0.96gのピリジン・トルエンスルホネートを35mlのジクロロメタン中、15.29gの11−ケト−3−メトキシ−エストラ−1,3,5(10),8−テトラエン−17β−オール(1)に室温で添加し、そしてそれを2時間撹拌した。次にこの反応液を飽和重炭酸ナトリウム溶液と数回振とうし、水により洗浄し、そして硫酸マグネシウムにより乾燥させた。溶媒を真空内で留去し、この残渣をシリカ・ゲル(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=8/2)により精製した。こうして、16.8g(83%)の淡黄色がかった粘稠の油を得た。
【0144】
8β−シアノ−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−11−オン(3)
195mlのジエチルアルミナム・シアン化合物(1.0M、トルエン中)を300mlのトリエン中、24.5gの11−ケトステロイド2の溶液にアルゴン下、−5℃の温度で滴下にて添加し、そして冷却を続けながら1.5時間撹拌した。次にこの混合物を470mlの氷冷1N水酸化ナトリウム溶液に注ぎ、1時間撹拌し、酢酸エチルにより数回抽出し、そして回収した有機相を水及び食塩水により洗浄し、そして硫酸マグネシウムにより乾燥させた。シリカ・ゲルによる留去残渣のクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=4/1)により12.0g(37%)の総収量のフォームとして3を得た。
【0145】
8β−シアノ−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−11−オール(4)
400mlのTHF中、33.1gのステロイド3の溶液を0℃まで冷却し、51.0gのLTBAHと少しずつ混合し、そしてこの溶液を冷却を続けながら1時間そして、室温で1時間撹拌した。25mlの飽和重炭酸ナトリウム溶液を上記反応液に0℃で滴下にて添加し、生じた沈殿をセライトによりろ過して分離し、そしてろ液を大方の場合留去により濃縮した。この残渣を酢酸エチルにより数回抽出し、次に回収した有機相を食塩水により洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥させ、そして溶媒を真空中で除去した。こうして、27.6g(97%)のフォーム状の4を得、これをさらに精製することなく次の段階に使用した。
【0146】
8β−シアノ−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン(5)
27.6mlのオキシ塩化リンを275mlのピリジン中、27.6gの4の溶液に0〜5℃の温度で滴下にて添加し、そしてこの温度でさらに1.5時間撹拌した。次にこの混合物を滴下漏斗に移し、そして氷冷した飽和重炭酸ナトリウム溶液に滴下にて添加した。次にジクロロメタンにより抽出し、回収した有機相を食塩水により洗浄し、硫酸マグネシウムにより乾燥させ、そして溶媒を真空中で除去した。こうして、23.5g(89%)のほぼ無色のフォーム状の5を得、これをさらに精製することなく次の段階に使用した。
【0147】
8β−カルボニル−3−メトキシ−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン−17β−オール(6)
100mlのトルエン中、41mlのDIBAHの溶液を70mlのトルエン中、11.4gの8β−シアノ−ステロイド5に0℃でアルゴン下、滴下にて添加し、この温度で1.5時間撹拌した。この溶液を連続的に33mlのエタノール、33mlのエタノール−水混合物(v/v=1/1)、及び120mlの半濃塩酸と0℃で混合し、次に2時間還流した。この混合物を酢酸エチルにより数回抽出し、回収した有機相を水により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中で乾燥状態まで留去した。シリカ・ゲルによる上記残渣のクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=3/2)により、3.21g(35%)のフォーム状の6を得た。
【0148】
3−メトキシ−8β−メチル−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン−17β−オール(7a)
6.5mlのトリエチレン・グリコール中、0.18mlの水酸化ヒドラジニウム(80%水により)及び50mgの8β−カルボニル−3−メトキシ−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン−17β−オール(6)を3.5mlのトリエチレン・グリコール中、225mgの水酸化カリウム溶液に室温で添加し、そして200℃で2時間加熱した。冷却後、それを連続的に10mlの水及び10%硫酸と混合した。この混合物をエーテルにより数回抽出し、回収した有機相を水により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、ロータリー・エバポレーターにより乾燥状態まで留去した。シリカ・ゲルを用いたこの残渣のクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=8/2)により36mg(79%)の、168℃の融点を持つ3−メトキシ−8β−メチル−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン−17β−オールを得た。
【0149】
実施例2
物質7aの合成を実施例1、1.1〜1.6の下で説明した。
【0150】
3−メトキシ−8β−メチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−オール(8a)
75mgの3−メトキシ−8β−メチル−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン−17β−オール(7a)を3.5mlのTHF及び1.5mlのメタノールから成る溶媒混合物中に溶解し、水素雰囲気下、室温で3.75時間75mgのパラジウム(10%、炭酸マグネシウム上)と一緒に撹拌した。次に、この反応液をセライトを用いてろ過し、ろ液をロータリー・エバポレーターにより乾燥状態まで留去し、そして、それにより得られたTLC均一なフォーム状産物(74mg,98%)をさらなる精製なしに次の段階に使用した。
【0151】
8β−メチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール(8b)
74mgの3−メトキシ−8β−メチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−オールを3mlの無水トルエン中に溶解し、0℃まで冷却し、そしてアルゴン下、0.6mlのDIBAHと慎重に混合した。この反応混合物をゆるやかに還流させ、そして3.5時間この温度に保持した。次に、0℃まで再度冷却し、この溶液を連続的に2mlのエタノール、2mlのエタノール−水混合物(v/v=1/1)、及び2mlの半濃塩酸と混合し、そして酢酸エチルにより数回抽出した。回収した有機相を水により中性で洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中で乾燥状態まで留去した。70mg(99%)の、168〜170℃の融点を持つ無色の結晶を得た。
【0152】
実施例3
物質6の合成を実施例1、1.1〜1.5の下に説明した。
【0153】
8β−カルボニル−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン(9)
10mlのジクロロメタン中、500mgの6の溶液を1.45mlの3,4−ジヒドロ−2H−ピラン及び28mg(0.11mmol)のピリジン・トルエンスルホネートと混合し、そして室温で16時間撹拌した。この混合物を連続的に飽和重炭酸ナトリウム及び水により数回洗浄し、そして硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた後、有機相を真空中で乾燥状態まで留去した。527mg(86%)の収量のフォームとして産物9を得た。
【0154】
3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン(10a)
25mlのDMSO中、585mgの8β−カルボニル−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエンの溶液を最初に4.92gのメチルトリフェニルホスホニウム・ブロマイドと、次に394mgの水素化ナトリウム(80%、パラフィン油中)と慎重にアルゴン下で混合し、次に55℃の内部温度までゆっくりと加熱した。冷却後、25mlの水を滴下にて添加し、ジエチル・エーテルにより数回抽出し、水により洗浄し、そして回収した有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶媒を除去した後、その残渣をシリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/MTBE=30/1)により精製した。無色のフォームの形状の520mg(89%)の8β−ビニル・ステロイドを得た。
【0155】
8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン−3,17β−ジオール(11a)
550mgの3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエンを一般的な操作指示19に従い反応させた。149〜150℃の融点を持つ無色の結晶の収量は315mg(76%)であった。
【0156】
8β−(2,2−ジフルオロビニル)−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン(10b)
0.4mlのn−ペンタン及び2mlの1,2−ジメトキシエタン中、0.22mlのジエチル(ジフルオロメチル)ホスホネートの溶液をアルゴン下で−78℃まで冷却し、0.82mlのテルト−ブチルリチウム溶液(1.7M、n−ペンタン中)と混合し、そしてこの温度で0.25時間撹拌した。ここで、同じ温度で3.5mlの1,2−ジメトキシエタン及び0.58mlのn−ペンタン中、220mgの8β−カルボニル−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエンの溶液を滴下にて添加し、そして冷却し続けながら0.5時間撹拌した。次に、それを最初は室温まで加熱し、そして次にn−ペンタンを蒸留しながら84℃の内部温度まで1時間加熱した。冷却後、そのバッチを20mlの氷水に注ぎ、薄茶色の沈殿をろ別し、それをジクロロメタンにより抽出し、そして回収した有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶媒除去後、その残渣をシリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/MTBE=30/1)により精製した。油状のほとんど無色のステロイドの収量は108mg(46%)であった。
【0157】
8β−(2,2−ジフルオロビニル)−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン−3,17β−ジオール(11b)
105mgの8β−(2,2−ジフルオロビニル)−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエンをDIBAH/酸によるエーテル開裂に関する一般的な操作指示19に従い反応させた。103〜106℃の融点を持つ無色の結晶の収量は75mg(93%)であった。
【0158】
実施例4
物質9の合成を実施例3、3.1の下に説明した。
【0159】
8β−カルボニル−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン(12)
1.73gの9をTHF及びメタノール(v/v=7/3)から成る75mlの溶媒混合物中に溶解し、1.0gのパラジウム(10%、炭酸マグネシウム上)と一緒に水素雰囲気下、室温で3.75時間撹拌した。次に、この反応物をセライトを用いてろ過し、ろ液をロータリー・エバポレーターにより乾燥状態まで留去し、そして、それにより得られたTLC均一な、透明な油をさらに精製することなく他の反応のために使用した。
【0160】
3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン(13a)
100mlのDMSO中、2.47gの8β−カルボニル−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエンの溶液を最初に19.80gのメチルトリフェニルホスホニウム・ブロマイドと、次に慎重に1.58gの水素化ナトリウム(80%、パラフィン油中)とアルゴン下で混合し、次に55℃の内部温度まで2時間ゆっくりと加熱した。冷却後、100mlの水を滴下にて添加し、ジエチル・エーテルにより数回抽出し、水により洗浄し、そして回収した有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶媒を除去した後、残渣をシリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/MTBE=30/1)により精製した。1.91g(78%)の8β−ビニル・ステロイドを無色のフォームとして得た。
【0161】
8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール(14a)
1.86gの3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエンを一般的な操作指示19に従い反応させた。シリカ・ゲルを用いた精製(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=7/3)の後、1.20g(86%)の収量で、163〜165℃の融点を持つ、無色の結晶の形状の粗製8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールを得た。
【0162】
8β−(2,2−ジフルオロビニル)−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン(13b)
1.0mlのn−ペンタン及び5.6mlの1,2−ジメトキシエタン中、0.6mlのジエチル(ジフルオロメチル)ホスホネートの溶液をアルゴン下で−78℃まで冷却し、2.2mlのテルト−ブチルリチウム溶液(1.7M、n−ペンタン中)と混合し、そしてこの温度で0.25時間撹拌した。ここで、同じ温度で9.2mlの1,2−ジメトキシエタン及び1.6mlのn−ペンタン中、600mgの8β−カルボニル−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエンの溶液を滴下にて添加し、冷却し続けながら0.5時間撹拌した。次に、それを最初に室温まで、そして次にn−ペンタンを蒸留しながら、84℃の内部温度まで加熱した。冷却後、そのバッチを40mlの氷水に注ぎ、薄茶色の沈殿をろ別し、ジクロロメタンにより抽出し、そして回収した有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶媒を除去した後、その残渣をシリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/MTBE=30/1)により精製した。油状の、ほとんど無色のステロイドの収量は75mg(12%)であった。
【0163】
8β−(2,2−ジフルオロビニル)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール(14b)
一般的な操作指示19に従い、78mgの3−メトキシ−8β−(2,2−ジフルオロビニル)−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエンを反応させた。154〜156℃の融点を持つ無色の結晶の収量は56mg(90%)であった。
【0164】
実施例5
物質13aの合成を実施例4、4.2の下に説明した。
【0165】
8β−エチル−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン
0.50gの13aをTHF及びメタノール(v/v=7/3)から成る25mlの溶媒混合物中に溶解し、そして0.30gのパラジウム(炭酸マグネシウム上に10%)と一緒に水素雰囲気下、室温で3.75時間撹拌した。次に、この反応液をセライトを用いてろ過し、このろ液をロータリー・エバポレーターにより乾燥状態まで留去し、そして得られた透明なフォームをさらに精製することなく次の段階に使用した。
【0166】
8β−エチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール(15a,15b)
先の段階からの粗製8β−エチル−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン330mgを一般的な操作指示6.1及び6.2に従い反応させた。シリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィーにより、161mg及び20mgの収量でエピマーのエストラトリエン・ジオール15a及び15bを集めた粗製産物から分離し得た。15aの融点は約149〜152℃であり、そして15bの融点は約185〜187℃である。
【0167】
実施例6
3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン
30mlのジクロロメタン中、700mgの3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−オールの溶液を740mgのピリジニウム・クロロクロム酸と混合し、そして室温で3時間撹拌した。シリカ・ゲルを用いた反応混合物のろ過(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=7/3)、そして続くロータリー・エバポレーターによる上記ろ液の留去による濃縮により、680mg(98%)の3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンをほとんど無色のフォームとして得、これをさらなる精製なしに次の段階に使用した。
【0168】
3−ヒドロキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン
460mgの3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンを9.2gのピリジニウム・ハイドロクロライドに180℃で添加し、同じ温度で3時間撹拌した。次に、それを氷に注ぎ、析出した沈殿物をろ別し、水により洗浄し、乾燥させた。239〜242℃の融点を持つ2−ヒドロキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンの収量は400mg(90%)となった。
【0169】
実施例7
3−スルファモイルオキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オン
76mgの3−ヒドロキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンを7mlのジクロロメタン中に溶解し、0.26mlの2,6−ジ−テルト−ブチルピリジン及び221mgのスルファモイル・クロライドと混合し、そして室温で1.5時間撹拌した。次に、この反応混合物を水に添加し、そしてジクロロメタンにより数回抽出した。回収した有機相を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして可能な限り、真空中で留去することで濃縮した。シリカ・ゲルを用いた、上記の得られた残渣のクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=7/3)により、46mg(48%)の17−オキソ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イル−アミドスルホネートを得た。
【0170】
3−スルファモイルオキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−オール
46mgの17−オキソ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イル−アミドスルホネートを1.5mのTHF及び1.5mlのメタノール中に溶解し、33mgのボロ水素化ナトリウムと0℃で混合し、そして0℃で1時間撹拌した。次に、0.2mlの濃酢酸を添加し、そして真空中での留去により濃縮した。この残渣を酢酸エチル及び水の中に取り上げ、有機相を分離し、そして水相を酢酸エチルにより数回抽出した。回収した有機相を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。この粗製産物をシリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=6/4)により精製し、そして82〜84℃の融点を持つ微小な針の形状の45mg(98%)の17β−ヒドロキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3−イル−アミドスルホネートを得た。
【0171】
実施例8
3−メトキシ−8β−プロプ−1−(Z)−エニル−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン
5mlのDMSO中、100mgの8β−ホルミル−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエンの溶液をまず830mgのエチルトリフェニル・ホスホニウム・ブロマイドと、次に慎重に64mgの水素化ナトリウム(パラフィン油中80%)とアルゴン下で混合し、次に60℃の内部温度まで2時間ゆるやかに加熱した。冷却後、10mlの水を滴下にて添加し、酢酸エチルにより数回抽出し、回収した有機相を水により洗浄し、そして硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。溶媒を除去した後、その残渣をシリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=30/1)により精製した。無色のフォームの形状の24mg(23%)の8β−プロペニル・ステロイドを得た。
【0172】
8β−プロプ−1−(Z)−エニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
24mgの3−メトキシ−8β−(プロプ−1−(Z)−エニル)−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエンをTHPと3−メチル・エーテルの開裂についての一般的な操作指示に従い反応させた。シリカ・ゲルを用いた精製(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=7/3)の後に、10mg(66%)の収量で、119〜125℃の融点を持つ無色の結晶の形状の粗製8β−プロプ−1−(Z)−エニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールを得た。
【0173】
実施例9
3−メトキシ−17α−エチニル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−オール
アルゴン下で8mlのTHF中に85mgの3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンを溶解し、−78℃まで冷却し、そして5.5mlのエチニルマグネシウム・ブロマイド溶液(THF中0.5M)及び100mgのリチウム・アセチリド−エチレン・ジアミン複合体と混合した。室温まで加熱しながら、上記反応混合物を3時間撹拌し、次に0℃まで冷却し、そして10mlの飽和塩化アンモニウム溶液と混合した。この混合物を酢酸エチルにより数回抽出し、回収した有機相を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。シリカ・ゲルを用いた上記残渣のクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=9:1)により、30mg(33%)の油状の17α−エチニル−3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−オールを得た。
【0174】
17α−エチニル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
2mlのジクロロメタン中、15mgの17α−エチニル−3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−オール及び82mgのヨウ化テトラブチルアンモニウムの溶液をアルゴン下で−78℃まで冷却し、0.3mlの三塩化ホウ素(ジクロロメタン中1M)と混合し、そして0℃で24時間撹拌した。次に、この反応溶液を5℃まで冷却した飽和塩化アンモニウム溶液に滴下にて添加し、この混合物をジエチルエーテルにより数回抽出し、回収した有機相を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。シリカ・ゲルを用いた上記残渣のクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=7:3)により、156℃の融点を持つ5mg(35%)の17α−エチニル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールを得た。
【0175】
実施例10
3−メトキシ−17α−メチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−ジオール
2mlの無水THF中、50mgの3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンの溶液を−78℃まで冷却した1mlのメチルリチウム溶液(ジエチル・エーテル中1.6M)にアルゴン下で滴下にて添加し、次に0.5mlの無水ジメチルホルムアミドを加え、そして室温まで加熱しながら1.5時間撹拌した。この混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液と混合し、酢酸エチルにより数回抽出し、回収した有機相を水により洗浄し、そして硫酸マグネシウムを用いて乾燥させた。上記有機相の留去による濃縮により、42mg(80%)の粗製3−メトキシ−17α−メチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−オールを得、これをさらなる精製なしに3−メチル・エーテルの開裂のために使用した。
【0176】
17α−メチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
40mgの3−メトキシ−17α−メチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−オールを3−メチル・エーテルの開裂のための一般的な操作指示に従い反応させた。こうして得られた129〜130℃の融点を持ち30mg(78%)の収量の17α−メチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールをシリカ・ゲルを用いた精製(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=7/3)の後に得た。
【0177】
実施例11
3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17α−(4′−ニトロ)−ベンゾエート
0.48mlのトルエン中、ジエチルアゾジカルボキシレートの40%溶液を100mgの3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−オール、277mgのトリフェニルホスフィン、175mgの4−ニトロ安息香酸、及び5mlのトルエンから成る混合物に滴下にて添加し、そしてそれを60℃で3時間撹拌した。冷却後、酢酸エチルにより数回抽出し、回収した有機相を連続的に飽和重炭酸ナトリウム溶液及び飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。シリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィー(溶媒混合物:n=ヘキサン/酢酸エチル=25/1)により、84mg(57%)の黄色の油状3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17α−(4′−ニトロ)−ベンゾエートを得た。
【0178】
3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17α−オール
12mlのメタノール及び0.4mlの水中、80mgの3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17α−(4′−ニトロ)−ベンゾエートの溶液を480mgの炭酸カリウムと混合し、そして室温で24時間撹拌した。次に、それを可能な限り、真空中での留去により濃縮し、この残渣を水中に取り上げ、そして酢酸エチルにより数回抽出した。回収した有機相を飽和塩化ナトリウムにより洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そしてロータリー・エバポレーターによる留去で濃縮した。こうして、40mg(54%)の3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17α−オールを得た。
【0179】
8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17α−オール
40mg(0.13mmol)の3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17α−オールを3−メチル・エーテルの開裂のための一般的な操作指示に従い、反応させた。今回得られた8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17α−ジオールは、シリカ・ゲルを用いた精製(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=7/3)の後に149〜151℃の融点を持ち、9mg(24%)の収量で得られた。
【0180】
実施例12
16−ジメチル−3−メチルオキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17オン
−40℃まで冷却した、6mlの無水THF中、150mgの3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−オールの溶液を1.2mlのリチウム・ジイソプロピルアミドの溶液(THF/n−ヘプタン/エチルベンゼン中、2M)とアルゴン下で混合し、そしてこの温度で1時間撹拌した。次に、0.24mlのヨウ化メチルを同じ温度で添加し、そして室温まで加熱しながらさらに1時間撹拌した。次に、これを−5℃まで冷却し、4mlの2N水酸化ナトリウム溶液を加え、そしてこの混合物を酢酸エチルにより数回抽出した。回収した有機相を水により洗浄し、MgSO4 を用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。
【0181】
こうして得られた粗製産物を同じ反応条件下で再び使用した。
【0182】
130mg(80%)の黄−茶色の油状16−ジメチル−3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンを原材料として得た。
【0183】
16−ジメチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−オール
130mgの粗製16−ジメチル−3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンを3−メチル・エーテルの開裂のための一般的な操作指示に従い、反応させた。得られた粗製産物をシリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=85/15)により精製した。この場合、50mg(40%)の無色の結晶の、113〜123℃の融点(分解)を持つ16−ジメチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−オールを得た。
【0184】
実施例13
3−メトキシ−8β−(プロプ−1−(E)−エニル)−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン
−78℃まで冷却された、4mlのペンタン、20mlの1,2−ジメトキシエタン、及び2mlのジエチルエチルホススホネートから成る混合物を8mlの1.7Mテルト−ブチルリチウム(ペンタン中)の溶液とアルゴン下で混合し、そしてこの温度で15分間撹拌した。次に、8mlの1,2−ジメトキシエタン及び1.5mlのペンタン中、500mgの8β−ホルミル−3−メトキシ−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエンから成る溶液を滴下にて添加し、冷却し続けながら30分間撹拌し、そして室温まで加熱しながら1.5時間撹拌した。次に、上記ペンタンを蒸留し、そして残った反応溶液を3時間還流した。
【0185】
上記混合物を砕いた氷に注ぎ、そして純白の沈殿をろ別し、そして乾燥させた。シリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィー精製(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=20/1)の後に、無色のフォームの形状で275mg(54%)の3−メトキシ−8β−(プロプ−1−(E)−エニル)−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエンを得た。
【0186】
8β−プロプ−1−(E)−エニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
275mgの3−メトキシ−8β−(プロプ−1−(E)−エニル)−17β−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラ−1,3,5(10)−トリエンをTHPと3−メチル・エーテルの開裂のための一般的な操作指示に従い反応させた。シリカ・ゲルを用いた精製(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=8/2)の後に、110〜125℃の融点を持つ粗製8β−プロプ−1−(E)−エニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールを108mg(52%)の収量で得た。
【0187】
実施例14
3−メトキシ−17α−トリフルオロメチル−17β−トリメチルシリルオキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン
0℃まで冷却した、2mlのTHF中、80mgの3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17−オンの溶液を0.2mlのトリフルオロメチルトリメチル−シラン及び5mgのフッ化テトラブチルアンモニウム三水和物とアルゴン下で混合し、そしてそれを室温で24時間撹拌した。暗黒色の反応溶液を氷冷水に注ぎ、酢酸エチルにより数回抽出し、飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。得られた粗製産物をシリカ・ゲルを用いたフラッシュ・クロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=9/1)により精製した。63mg(54%)の3−メトキシ−17α−トリフルオロメチル−17β−トリメチルシリルオキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエンを暗黒色の油として得た。
【0188】
17α−トリフルオロメチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
1.26gのフッ化テトラブチルアンモニウム三水和物を6mlのTHF中、60mgの3−メトキシ−17α−トリフルオロメチル−17β−トリメチルシリルオキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−の溶液に添加し、そしてこれを室温で2時間撹拌した。次に、飽和塩化ナトリウム溶液を添加し、これを酢酸エチルにより数回抽出し、回収した有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。油状の黄色の残渣(50mg)をさらに精製することなく次の段階に使用した。
【0189】
−78℃まで冷却した、3mlのジクロロメタン中、50mgの粗製3−メトキシ−17α−トリフルオロメチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−17β−オールを連続的に243mgのヨウ化テトラブチルアンモニウム及び0.7mlのジクロロメタン中、1Mブロモ・トリクロライド溶液とアルゴン下で混合し、0℃まで加熱しながら2時間撹拌した。次に、上記反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液に滴下にて添加し、そして酢酸エチルにより数回抽出した。回収した有機相を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。この粗製産物(90mg)をシリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロヘキサン/酢酸エチル=7/3)により精製した。76〜79℃の融点を持つ25mg(52%)の粉末状の17α−トリフルオロメチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオールを得た。
【0190】
実施例15
2−フルオロ−3,17β−ビス−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン
3mlの1.3M s−ブチルリチウム溶液を−78℃まで冷却した、4mlのTHF中、120mgの3,17β−ビス−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエンの溶液にアルゴン下で滴下にて添加し、これを30分間撹拌し、次に4mlのTHF中、650mgのN−フルオロジベンゼンスルホンイミドから成る溶液を冷却しながら滴下にて添加した。この反応混合物をまず−78℃で1時間撹拌し、次に室温まで加熱しながらさらに16時間撹拌した。上記反応溶液を氷水に注ぎ、酢酸エチルにより数回抽出し、回収した有機相を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。暗黒色の油状粗製産物(330mg)をさらに精製することなしに次の段階に使用した。
【0191】
2−フルオロ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
先の段階での油状粗製産物を10mlのメタノールに溶解し、1mlの水及び250mgのシュウ酸二水和物と混合し、60℃まで1時間加熱した。
【0192】
処理のために、これを酢酸エチルにより希釈し、連続的に飽和重炭酸ナトリウム溶液及び飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。得られた粗製産物をシリカ・ゲルを用いたクロマトグラフィー(溶媒混合物:シクロへキサン/酢酸エチル=8/2)により分離した。こうして得られた2−フルオロ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール(15mg,18%)は67〜73℃の融点を持つ。
【0193】
実施例16
3,17β−ビス−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−2−オール
3mlの1.3M s−ブチルリチウム溶液を−78℃まで冷却した、4mlのTHF中、120mgの3,17β−ビス−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエンの溶液にアルゴン下で滴下にて添加し、これを30分間撹拌し、次に0.5mlのホウ酸トリメチルを一度に添加した。0℃まで加熱しながら、これを2時間撹拌し、次に2mlの3N水酸化ナトリウム溶液及び1mlの30%過酸化水素を添加し、最後に室温でさらに4時間撹拌した。
【0194】
上記混合物を水により希釈し、飽和亜硫酸ナトリウム溶液を添加し、メチル−テルト−ブチル・エーテルにより数回抽出し、回収した有機相を飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。シリカ・ゲルを用いた上記留去残渣のクロマトグラフィー(溶媒混合物:n−ヘキサン/酢酸エチル=9:1)により、65mg(52%)の無色の油状3,17β−ビス−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−2−オールを得た。
【0195】
8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−2,3,17β−トリオール
先の段階での油状産物を3mlのメタノール中に溶解し、0.3mlの水及び50mgのシュウ酸二水和物と混合し、そして60℃まで1時間加熱した。
【0196】
処理のために、これを酢酸エチルにより希釈し、連続的に飽和重炭酸ナトリウム溶液及び飽和塩化ナトリウム溶液により洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして真空中での留去により濃縮した。こうして得られた黄色がかった粉末状の8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−2,3,17β−トリオール(38mg,95%)82〜85%の融点(分解)を持つ。
【0197】
酸による3−メトキシ−17−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラトリエン及び−テトラエンの対応の17−アルコールへのエーテル開裂のための一般的な操作指示
1.0mmolのステロイドを22mlのアセトン中に溶解し、そして1.5mlの4N塩酸と一緒に室温で3時間撹拌した。この時間の間に変換が完了しない場合、上記溶液を1.5時間50℃までさらに加熱する。次にこれを20mlの水により希釈し、ジクロロメタンにより数回抽出し、回収した有機相を硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そして溶媒をロータリー・エバポレーターを用いて蒸留する。この方法により産生される粗製17−ヒドロキシ化合物はフォームとして得られ、すぐにさらに処理される。
【0198】
酸及びDIBAHによる3−メトキシ−17−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−エストラトリエン及び−テトラエンの対応の3,17−ジオールへのエーテル開裂のための一般的な操作指示
1.0mmolのステロイドを15〜20mlの無水トルエン中に溶解し、0℃まで冷却し、そして3.0mlのDIBAHとアルゴン下で慎重に混合した。次に、連続的に10mlのエタノール、10mlのエタノール−水混合物(v/v=1/1)、及びを0℃まで冷却した上記溶液に滴下にて慎重に添加し、そしてこれを酢酸エチルにより数回抽出した。回収した有機相を水により中性的に洗浄し、硫酸マグネシウムを用いて乾燥させ、そしてロータリー・エバポレーターにより乾燥状態まで留去した。上記収量は90〜99%である。
【0199】
【化11】

【0200】
【化12】

【0201】
【化13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I):
【化1】

{式中、
2 は、水素原子、ハロゲン原子;
ラジカルR18−又はR18−O−(ここでR18は水素原子又は最大6個の炭素原子を持つ直鎖若しくは分枝鎖の飽和若しくは不飽和炭化水素ラジカル、トリフルオロメチル基を意味する);
基R19SO2 −O−(ここでR19はR2021N基であり、R20及びR21が互いに独立に水素原子、C1 〜C5 −アルキル・ラジカル、基C(O)R22を意味し、ここでR22が、飽和若しくは最大3箇所において不飽和の任意に置換された直鎖若しくは分枝鎖の任意に部分的若しくは完全にハロゲン化された最大10個の炭素原子を持つ炭化水素ラジカル、任意に置換されたC3 〜C7 −シクロアルキルラジカル、任意に置換されたC4 〜C15−シクロアルキルアルキル・ラジカル、又は任意に置換されたアリール、ヘテロアリール若しくはアラルキル・ラジカルを示す)を意味するか、あるいはN原子と一緒に、4〜6つの炭素原子を持つポリメチレンイミノ・ラジカル、又はモルホリノ・ラジカルを意味し;
3 は、基R18−O−、R19SO2 −O−、又は−O−C(O)R22を意味し、ここで、R19及びR22は、いずれの場合にもR2 の下で示された意味であり、ここで水素原子、トリフルオロメチル基、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘプチル若しくはヘキシル・ラジカル、又はアリール、ヘテロアリール若しくはアラルキル・ラジカルがR18を意味することができ;
6 及びR7 は、それぞれ水素原子を意味するか又は一緒にさらなる結合を意味し;
6′及びR7′は、互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、ここで、R18、R19、及びR22はいずれの場合にもR2 の下で示された意味であり;
8 は、直鎖若しくは分枝鎖の任意に部分的若しくは完全にハロゲン化された最大5つの炭素原子を有するアルキル又はアルケニル・ラジカル、エチニル又はプロプ−1−イニル・ラジカルを意味し;
9 は、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖の飽和若しくは不飽和の最大5つの炭素原子を持つ炭化水素ラジカルを意味するか、あるいはR11と一緒にさらなる結合を意味し;
11は、水素原子を意味するか、あるいはR9 又はR12と一緒にさらなる結合を意味し;
11′は、水素原子、ハロゲン原子、飽和若しくは不飽和の任意に部分的に又は完全にハロゲン化された炭化水素ラジカルであって、4炭素原子の最大直鎖長を持つ炭化水素ラジカル又は基−X−R18′を意味し、ここでXが酸素若しくは硫黄原子であり、そしてR18′が1〜3個の炭素原子を持つアルキル・ラジカルであり;
12は、水素原子を意味するか又はR11と一緒にさらなる結合を意味し;
14は、水素原子を意味するか又はR15と一緒にさらなる結合を意味し;
15は、水素原子を意味するか又はR14若しくはR16と一緒にさらなる結合を意味し;
16は、水素原子を意味するか又はR15と一緒にさらなる結合を意味し;
15′及びR16′は、互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、いずれの場合にもR2 の下で示された意味でのR18、R19、及びR22を伴う基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し;
17及びR17′は、それぞれ、水素原子;水素原子とハロゲン原子;水素原子とベンジルオキシ基;水素原子と基R19SO2 −O−;基R18と基−C(O)R22若しくは−O−C(O)R22;基R18−O−と基R18−;基R18−O−と基−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19、及びR22は上記全ての場合でR2 の下で示された意味であり;あるいは
17及びR17′は、一緒に基=CR2324を意味し、ここでR23及びR24は互いに独立に水素原子及びハロゲン原子を表すか又は一緒に酸素原子を表し、
ここで:
4 〜C15−シクロアルキルアルキル・ラジカルはシクロアルキル部分に3〜7つの炭素原子を有し;そしてアルキル部分が最大8つの炭素原子を有し;
アリール・ラジカルはフェニル、1−若しくは2−ナフチル・ラジカル、又はヘテロアリール・ラジカルであり;
アラルキル・ラジカルは、環中に最大14個、好ましくは6〜10個の炭素原子を含有し、そしてアルキル鎖中に1〜8個の炭素原子を含有するラジカルであり;
該アルキル基又は炭化水素ラジカルは、部分的に若しくは完全にフッ素化され、あるいは1〜5つのハロゲン原子、ヒドロキシ基、又はC1 〜C4−アルコキシ基により置換されてよく;C原子3、16及び17における1又は複数のヒドロキシル基は、脂肪族の直鎖若しくは分枝鎖の飽和した若しくは不飽和のC1 〜C14−モノ−若しくはポリカルボン酸、又は芳香族カルボン酸により、あるいはα−若しくはβ−アミノ酸によりエステル化されてもよい}の8β−置換エストラ−1,3,5(10)−トリエン誘導体であって、
ただし、以下の一般式(I′):
{式中、
3 は、ヒドロキシ、又はアセチル基であり、かつ同時に
2 は、水素原子を表し、
6 、R6′、R7 、及びR7′は、いずれの場合にも水素原子を表し、
8 は、メチル基を表し、
9 は、水素原子を表すか又は
9 及びR11は、一緒にさらなる結合を表し、
11′及びR12は、いずれの場合にも水素原子を表し、
14、R15、R15′、R16、及びR16′は、いずれの場合にも水素原子を表し、そして
17及びR17′は、β−ヒドロキシ基と水素原子;β−(2−ブロモアセチル)オキシ基と水素原子;β−アセチル基と水素原子を意味するか、あるいは
17及びR17′は、一緒に酸素原子を表す}の化合物を除く、
上記誘導体。
【請求項2】
以下の一般式:
{式中、
2 は、水素若しくはハロゲン原子又はヒドロキシ基を意味し;
3 は、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−O−C(O)R22を意味し、
ここで、R19、及びR22はいずれの場合にも請求項1に記載のR2 の下で示された意味であり、水素原子、トリフルオロメチル基、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘプチル若しくはヘキシル・ラジカル、又はアリール、若しくはアラルキル・ラジカルがR18を意味することができ;
6 及びR7 は、それぞれ水素原子を意味し;
6′は、水素原子、ヒドロキシ基、請求項1に記載のR2 の下で示された意味での基R22を意味し;
7′は、水素原子、ハロゲン原子、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にも請求項1に記載のR2 の下で示された意味であり;
8 は、直鎖若しくは分枝鎖の、任意に部分的若しくは完全にハロゲン化された、最大5の炭素原子を持つアルキル又はアルケニル・ラジカル、エチニル−又はプロプ−1−イニル・ラジカルを意味し;
9 は、水素原子を意味するか又はR11と一緒にさらなる結合を意味し;
11は、水素原子を意味するか又はR9 と一緒にさらなる結合を意味し;
11′は、水素原子、ハロゲン原子、飽和若しくは不飽和の任意に部分的若しくは完全にハロゲン化された炭化水素ラジカルであって、4炭素原子の最大直鎖長を持つ炭化水素ラジカル、又は基−X−R18′を意味し、ここでXが硫黄原子であり、そしてR18′が1〜3の炭素原子を持つアルキル・ラジカルであり;
12、R14、R15、及びR16はいずれの場合にも水素原子を意味し;
16′は、水素原子、ハロゲン原子、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にも請求項1に記載のR2 の下で示された意味であり;
17及びR17′は、それぞれの場合において、水素原子;水素原子とハロゲン原子;水素原子とベンジルオキシ基;水素原子と基R19SO2 −O−;基R18と基−C(O)R22若しくは−O−C(O)R22;基R18−O−と基R18−;基R18−O−と基−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19、及びR22は上記全ての場合で請求項1に記載のR2 の下で示された意味であり;あるいは
17及びR17′は、一緒に基=CR2324を意味し、ここでR23及びR24は互いに独立に水素原子及びハロゲン原子を表すか又は一緒に酸素原子を表す}により表される、請求項1に記載の一般式(I)のエストラトリエン。
【請求項3】
以下の一般式:
{式中、
2 は、水素原子又はフッ素原子又はヒドロキシ基を意味し;
3 は、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−O−C(O)R22を意味し、ここで、R19、及びR22はいずれの場合にも請求項1に記載のR2 の下で示された意味であり、水素原子、トリフルオロメチル基、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘプチル若しくはヘキシル・ラジカル、又はアリール、若しくはアラルキル・ラジカルがR18を意味することができ;
6 及びR7 は、それぞれ水素原子を意味し;
6′は、水素原子又はヒドロキシ基を意味し;
7′は、水素原子、フッ素又は塩素原子、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にも請求項1に記載のR2 の下で示された意味であり;
8 は、直鎖若しくは分枝鎖の任意に部分的若しくは完全にフッ素化され最大5の炭素原子を持つアルキル又はアルケニル・ラジカル、エチニル・ラジカル又はプロプ−1−イニル・ラジカルを意味し;
9 は、独立に水素原子を意味するか、又はR11と一緒にさらなる結合を意味し;
11′は、水素原子、フッ素又は塩素原子、飽和の直鎖若しくは分枝鎖C1 〜C4 −アルキル基、基−X−R18′、ここでXが硫黄原子であり、そしてR18′が飽和の直鎖若しくは分枝鎖C1 〜C3 −アルキル基であり、クロロメチル、あるいはクロロエチル基を意味し;
12、R14、R15、及びR16は、いずれの場合にも水素原子を意味し;
16′は、水素原子、フッ素若しくは塩素原子又は基R18−O若しくは−R22を意味し、ここで、R18及びR22はいずれの場合にも請求項1に記載のR2 の下で示された意味であり;
17及びR17′は、それぞれの場合において、水素原子;水素原子とハロゲン原子;水素原子とベンジルオキシ基;水素原子と基R19SO2 −O−;基R18と基−C(O)R22若しくは−O−C(O)R22;基R18−O−と基R18−;基R18−O−と基−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19、及びR22は上記全ての場合で請求項1に記載のR2 の下で示された意味であり;あるいは
17及びR17′は、一緒に基=CR2324を意味し、ここでR23及びR24は互いに独立に水素原子及びハロゲン原子を表すか又は一緒に酸素原子を表す}により表される、請求項1に記載の一般式(I)のエストラトリエン。
【請求項4】
6′、R7′、R9 、R11、R14、R15、R15′、及びR16が、いずれの場合にも水素原子を意味するか、又はR6′、R7′、R14、R15、R15′、及びR16が、いずれの場合にも水素原子を意味し、かつ、R9 及びR11が一緒にさらなる結合を意味し、そして他の全ての置換基が請求項1に示される意味を有する、請求項1に記載の一般式(I)のエストラトリエン。
【請求項5】
9(11)、14(15)又は15(16)位に二重結合を有するか、あるいは9(11)及び14(15)又は15(16)位に2の二重結合を有する、請求項1に記載の一般式(I)のエストラトリエン。
【請求項6】
17及びR17′が、基R18−O−と基R18−;基R18−と基−O−C(O)R22であり、いずれの場合にもR2 の下で示された意味でのR18及びR22を伴う、請求項1に記載の一般式(I)のエストラトリエン。
【請求項7】
17がヒドロキシ基であり、かつR17′が水素原子、C1 〜C4 −アルキル基、又はC2 〜C4 −アルキニル基である、請求項6に記載の一般式(I)のエストラトリエン。
【請求項8】
17がヒドロキシ基であり、かつR17′が水素原子、メチル、エチニル又はプロプ−1−イニル基である、請求項7に記載の一般式(I)のエストラトリエン。
【請求項9】
16′が、基R18−O−又はR19SO2 −O−を表し、ここで、R18及びR19はいずれの場合にも請求項1におけるR2 の下で示された意味であり、R17及びR17′の各々が水素原子を表し、そして他の全ての置換基が一般式(I)において示された意味を有する、請求項1に記載の一般式(I)のエストラトリエン。
【請求項10】
すなわち、以下の:
【化2】

【化3】

である、請求項1に記載の一般式(I)のエストラトリエン。
【請求項11】
閉経期及び閉経後の症状の治療のための医薬の製造のためのエストロゲンとしての、以下の一般式(I′):
【化4】

{式中、
2 は、水素原子、ハロゲン原子;
ラジカルR18−又はR18−O−、(ここでR18は水素原子又は最大6の炭素原子を持つ直鎖若しくは分枝鎖、飽和若しくは不飽和炭化水素ラジカル、トリフルオロメチル基を意味する);
基R19SO2 −O−、(ここでR19はR2021N基であり、R20及びR21が互いに独立に水素原子、C1 〜C5 −アルキル・ラジカル、基C(O)R22を意味し、ここでR22が、飽和若しくは最大3箇所において不飽和の任意に置換された直鎖若しくは分枝鎖で任意に部分的若しくは完全にハロゲン化された最大10個の炭素原子を持つ炭化水素、任意に置換されたC3 〜C7 −シクロアルキルラジカル、任意に置換されたC4 〜C15−シクロアルキルアルキル・ラジカル、又は任意に置換されたアリール、ヘテロアリール若しくはアラルキル・ラジカルを示す)を意味するか、
あるいはN原子と一緒に、4〜6炭素原子を持つポリメチレンイミノ・ラジカル、又はモルホリノ・ラジカルを意味し;
3 は、基R18−O−、R19SO2 −O−、あるいは−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にもR2 の下で示された意味であり、加えてアリール、ヘテロアリール又はアラルキル・ラジカルがR18を意味することができ;
6 及びR7 は、それぞれ水素原子を意味するか又は一緒にさらなる結合を意味し;
6′及びR7′は、互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、ここで、R18、R19、及びR22はいずれの場合にもR2 の下で示された意味であり;
8 は、直鎖若しくは分枝鎖の任意に部分的若しくは完全にハロゲン化された最大5つの炭素原子を有するアルキル又はアルケニル・ラジカル、エチニル又はプロプ−1−イニル・ラジカルを意味し;
9 は、水素原子、直鎖若しくは分枝鎖の飽和若しくは不飽和の最大5つの炭素原子を持つ炭化水素ラジカルを意味するか、あるいはR11と一緒にさらなる結合を意味し;
11は、水素原子を意味するか、あるいはR9 又はR12と一緒にさらなる結合を意味し;
11′は、水素原子、ハロゲン原子、飽和若しくは不飽和の任意に部分的若しくは完全にハロゲン化(F,Cl)された炭化水素ラジカルであって、4炭素原子の最大直鎖長を持つ炭化水素ラジカル、又は基−X−R18′を意味し、ここでXが酸素若しくは硫黄原子であり、そしてR18′が1〜3の炭素原子を持つアルキル・ラジカルであり;
12は、水素原子を意味するか又はR11と一緒にさらなる結合を意味し;
14は、水素原子を意味するか又はR15と一緒にさらなる結合を意味し;
15は、水素原子を意味するか又はR14若しくはR16と一緒にさらなる結合を意味し;
16は、水素原子を意味するか又はR15と一緒にさらなる結合を意味し;
15′及びR16′は、互いに独立に水素原子、ハロゲン原子、いずれの場合にもR2 の下で示された意味でのR18、R19、及びR22を伴う基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し;
17及びR17′は、それぞれ、水素原子;水素原子とハロゲン原子;水素原子とベンジルオキシ基;水素原子と基R19SO2 −O−;基R18と基−C(O)R22若しくは−O−C(O)R22;基R18−O−と基R18−;基R18−O−と基−O−C(O)R22を意味し、ここでR18、R19、及びR22は上記全ての場合でR2 の下で示された意味であり;あるいは
17及びR17′は、一緒に基=CR2324を意味し、ここでR23及びR24は互いに独立に水素原子及びハロゲン原子を表すか又は一緒に酸素原子を表し;
ここで:
4 〜C15−シクロアルキルアルキル・ラジカルはシクロアルキル部分に3〜7つの炭素原子を有し;そしてアルキル部分が最大8つの炭素原子を有し;
アリール・ラジカルはフェニル、1−若しくは2−ナフチル・ラジカル、又はヘテロアリール・ラジカルであり;
アラルキル・ラジカルは、環中に最大14、好ましくは6〜10の炭素原子を、そしてアルキル鎖中に1〜8つの炭素原子を含有するラジカルであり;
該アルキル基又は炭化水素ラジカルは、部分的に若しくは完全にフッ素化され、あるいは1〜5つのハロゲン原子、ヒドロキシ基、又はC1 〜C4−アルコキシ基により置換されてよく;
C原子3、16及び17における1又は複数のヒドロキシル基は、脂肪族の、直鎖若しくは分枝鎖の、飽和した若しくは不飽和のC1 〜C14−モノ−若しくはポリカルボン酸、又は芳香族カルボン酸で、あるいはα−若しくはβ−アミノ酸でエステル化されてもよい。}の8β−置換エストラ−1,3,5(10)−トリエン誘導体の使用。
【請求項12】
以下の一般式:
{式中、
2 は、水素若しくはハロゲン原子又はヒドロキシ基を意味し;
3 は、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−O−C(O)R22を意味し、
ここで、R18、R19、及びR22はいずれの場合にも請求項11に記載のR2 の下で示された意味であり、さらにアリール又はアラルキル・ラジカルがR18を意味することができ;
6 及びR7 は、それぞれ水素原子を意味し;
6′は、水素原子、ヒドロキシ基、請求項11に記載のR2 の下で示された意味での基R22を意味し;
7′は、水素原子、ハロゲン原子、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にも請求項11に記載のR2 の下で示された意味であり;
8 は、直鎖若しくは分枝鎖の任意に部分的若しくは完全にハロゲン化された最大5の炭素原子を持つアルキル又はアルケニル・ラジカル、エチニル−又はプロプ−1−イニル・ラジカルを意味し;
9 は、水素原子を意味するか又はR11と一緒にさらなる結合を意味し;
11は、水素原子を意味するか又はR9 と一緒にさらなる結合を意味し;
11′は、水素原子、ハロゲン原子、飽和若しくは不飽和の任意に部分的若しくは完全にハロゲン化(F,Cl)された炭化水素ラジカルであって、4炭素原子の最大直鎖長を持つ炭化水素ラジカル、又は基−X−R18′を意味し、ここでXが硫黄原子であり、そしてR18′が1〜3の炭素原子を持つアルキル・ラジカルであり;
12、R14、R15、及びR16はいずれの場合にも水素原子を意味し;
16′は、水素原子、ハロゲン原子、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にも請求項11に記載のR2 の下で示された意味であり;
17及びR17′は、それぞれの場合において、水素原子;水素原子とハロゲン原子;水素原子とベンジルオキシ基;水素原子と基R19SO2 −O−;基R18と基−C(O)R22若しくは−O−C(O)R22;基R18−O−と基R18−;基R18−O−と基−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19、及びR22は上記全ての場合で請求項11に記載のR2 の下で示された意味であり;あるいは
17及びR17′は、一緒に基=CR2324を意味し、ここでR23及びR24は互いに独立に水素原子及びハロゲン原子を表すか又は一緒に酸素原子を表す}により表される、請求項11に記載の一般式(I′)のエストラトリエンの使用。
【請求項13】
以下の一般式:
{式中、
2 は、水素若しくはハロゲン原子又はヒドロキシ基を意味し;
3 は、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−O−C(O)R22を意味し、
ここで、R18、R19、及びR22はいずれの場合にも請求項11に記載のR2 の下で示された意味であり、さらにアリール又はアラルキル・ラジカルがR18を意味することができ;
6 及びR7 は、それぞれ水素原子を意味し;
6′は、水素原子又はヒドロキシ基を意味し;
7′は、水素原子、フッ素又は塩素原子、基R18−O−、R19SO2 −O−又は−R22を意味し、ここで、R18、R19及びR22はいずれの場合にも請求項11に記載のR2 の下で示された意味であり;
8 は、直鎖若しくは分枝鎖の任意に部分的若しくは完全にフッ素化された最大5の炭素原子を持つアルキル又はアルケニル・ラジカル、エチニル・ラジカル又はプロプ−1−イニル・ラジカルを意味し;
9 は、独立に水素原子を意味するか、又はR11と一緒にさらなる結合を意味し;
11′は、水素原子、フッ素又は塩素原子、飽和の直鎖若しくは分枝鎖C1 〜C4 −アルキル基、基−X−R18′、ここでXが硫黄原子であり、そしてR18′が飽和の直鎖若しくは分枝鎖C1 〜C3 −アルキル基であり、クロロメチル、あるいはクロロエチル基を意味し;
12、R14、R15、及びR16は、いずれの場合にも水素原子を意味し;
16′は、水素原子、フッ素若しくは塩素原子又は基R18−O若しくは−R22を意味し、ここで、R18及びR22はいずれの場合にも請求項11に記載のR2 の下で示された意味であり;
17及びR17′は、それぞれの場合において、水素原子;水素原子とハロゲン原子;水素原子とベンジルオキシ基;水素原子と基R19SO2 −O−;基R18と基−C(O)R22若しくは−O−C(O)R22;基R18−O−と基R18−;基R18−O−と基−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19、及びR22は上記全ての場合でR2 の下で示された意味であり;あるいは
17及びR17′は、一緒に基=CR2324を意味し、ここでR23及びR24は互いに独立に水素原子及びハロゲン原子を表すか又は一緒に酸素原子を表す}により表される、請求項11に記載の一般式(I′)のエストラトリエンの使用。
【請求項14】
6′、R7′、R9 、R11、R14、R15、R15′、及びR16が、いずれの場合にも水素原子を意味するか、又はR6′、R7′、R14、R15、R15′、及びR16が、いずれの場合にも水素原子を意味し、かつR9 及びR11が一緒にさらなる結合を意味し、そして他の全ての置換基が請求項1に示される意味を有する、請求項11に記載の一般式(I′)のエストラトリエンの使用。
【請求項15】
9(11)、14(15)又は15(16)位に二重結合を有するか、あるいは9(11)及び14(15)又は15(16)位に2の二重結合を有する、請求項11に記載の一般式(I′)のエストラトリエンの使用。
【請求項16】
17及びR17′が、基R18−O−と基R18−;基R18−と基−O−C(O)R22であり、いずれの場合にも請求項11に記載のR2 の下で示された意味でのR18及びR22を伴う、請求項11に記載の一般式(I′)のエストラトリエンの使用。
【請求項17】
17がヒドロキシ基であり、かつR17′が水素原子、C1 〜C4 −アルキル基、C2 〜C4 −アルキニル基である、請求項16に記載の一般式(I′)のエストラトリエンの使用。
【請求項18】
17がヒドロキシ基であり、かつR17′が水素原子、メチル、エチニル又はプロプ−1−イニル基である、請求項17に記載の一般式(I′)のエストラトリエンの使用。
【請求項19】
16′が、基R18−O−又はR19SO2 −O−を表し、ここで、R18及びR19はいずれの場合にも請求項11におけるR2 の下で示された意味であり、R17及びR17′の各々が水素原子を表し、そして他の全ての置換基が一般式(I)において示された意味を有する、請求項11に記載の一般式(I′)のエストラトリエンの使用。
【請求項20】
以下の:
【化5】

【化6】

から成る群から選ばれる、請求項11に記載の一般式(I′)のエストラトリエンの使用。
【請求項21】
男性の更年期前後の症状の治療のための医薬の製造のための請求項11〜20のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
のぼせ、睡眠障害、神経過敏、気分変動、失禁膣萎縮、及びホルモン欠乏誘発性性感情障害の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項11に記載の使用。
【請求項23】
泌尿生殖管における疾患の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
胃腸疾患の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項11に記載の化合物の使用。
【請求項25】
前記胃腸管における潰瘍及び出血性疾患の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
腫瘍形成の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項24に記載の使用。
【請求項27】
男性の不妊症のインビトロにおける治療のための医薬の製造のための、請求項11〜20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項28】
男性の不妊症のインビボにおける治療のための医薬の製造のための、請求項11〜20のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項29】
女性の不妊症のインビトロにおける治療のための医薬の製造のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の一般式Iの化合物の使用。
【請求項30】
女性の不妊症のインビボにおける治療のための医薬の製造のための、請求項1〜10のいずれか一項に記載の一般式Iの化合物の使用。
【請求項31】
ホルモン代償療法(HRT)のための医薬の製造のための、請求項11〜20のいずれか一項に記載の一般式I’の化合物の請求項11〜20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項32】
外科的、薬物的又は他の形態で引き起こされる卵巣機能不全の場合のホルモン欠乏誘発性症状の治療のための医薬の製造のための、請求項11〜20のいずれか一項に記載の一般式I’の化合物の使用。
【請求項33】
ホルモン欠乏誘発性骨量低下の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項11〜20のいずれか一項に記載の一般式I’の化合物の請求項11〜20のいずれか一項に記載の使用。
【請求項34】
骨粗しょう症の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
心血管疾患の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項11〜20のいずれか一項に記載の一般式I’の化合物の使用。
【請求項36】
血管疾患の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項11〜20のいずれか一項に記載の一般式I’の化合物の使用。
【請求項37】
動脈硬化症の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
原発性肺高血圧症の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項36に記載の使用。
【請求項39】
ホルモン欠乏誘発性神経変性疾患の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項11〜20のいずれか一項に記載の一般式I’の化合物の使用。
【請求項40】
アルツハイマー病、並びに記憶及び学習能力のホルモン欠乏誘発性の減退の予防及び治療のための医薬の製造のための、請求項11〜20のいずれか一項に記載の一般式I’の化合物の使用。
【請求項41】
炎症性疾患及び免疫系の疾患の治療のための医薬の製造のための、請求項11〜20のいずれか一項に記載の一般式I’の化合物の使用。
【請求項42】
良性前立腺過形成(BPH)の予防及び治療のための、医薬の製造のための、請求項11〜20のいずれか一項に記載の一般式I’の化合物の使用。
【請求項43】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、並びに医薬的に許容される媒体を含有する医薬組成物。
【請求項44】
請求項1に記載の一般式I’
(式中、
2 は、水素原子を意味し;
3 は、基R18−O−、R19SO2 −O−、又は−O−C(O)R22を意味し、ここで、R19はR2021N基であり、ここでR20及びR21は互いに独立に、水素原子、C1 〜C5 −アルキル・ラジカル、基C(O)R22を意味し、ここでR22が、飽和若しくは最大3箇所において不飽和の任意に置換された直鎖若しくは分枝鎖の任意に部分的若しくは完全にハロゲン化された最大10個の炭素原子を持つ炭化水素ラジカル、任意に置換されたC3 〜C7 −シクロアルキルラジカル、任意に置換されたC4 〜C15−シクロアルキルアルキル・ラジカル、又は任意に置換されたアリール、ヘテロアリール若しくはアラルキル・ラジカルを示し、あるいはN原子と一緒に、4〜6つの炭素原子を持つポリメチレンイミノ・ラジカル又はモルホリノ・ラジカルを意味し、ここで水素原子、トリフルオロメチル基、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘプチル若しくはヘキシル・ラジカル、又はアリール、ヘテロアリール若しくはアラルキル・ラジカルがR18を意味することができ;
6、R6′、R7及びR7′は、それぞれ水素原子を意味し;
8 は、直鎖若しくは分枝鎖の任意に部分的若しくは完全にハロゲン化された最大5つの炭素原子を有するアルキル又はアルケニル・ラジカル、エチニル又はプロプ−1−イニル・ラジカルを意味し;
9 は、水素原子を意味するか、あるいはR11と一緒にさらなる結合を意味し;
11は、水素原子を意味するか、あるいはR9と一緒にさらなる結合を意味し;
11′、R12、R14、R15、R16及びR16′は、水素原子を意味し;
17及びR17′は、それぞれ、水素原子;水素原子とハロゲン原子;水素原子とベンジルオキシ基;水素原子と基R19SO2 −O−;基R18と基−C(O)R22若しくは−O−C(O)R22;基R18−O−と基R18−;基R18−O−と基−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19、及びR22は上記全ての場合でR3 の下で示された意味である)
の8β−置換エストラ−1,3,5(10)−トリエン誘導体。
【請求項45】
以下の式:
3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン−17β−オール
8β−(2’,2’−ジフルオロビニル)−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン−3,17β−ジオール
8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
8β−(2’,2’−ジフルオロビニル)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
8β−エチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
8β−(プロプ−(Z)−エチル)−エストラジオール
17α−エチニル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
17α−メチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17α−ジオール
のエストラトリエン。
【請求項46】
請求項11に記載の一般式I’
(式中、
2 は、水素原子を意味し;
3 は、基R18−O−、R19SO2 −O−、又は−O−C(O)R22を意味し、ここで、R19はR2021N基であり、ここでR20及びR21は互いに独立に、水素原子、C1 〜C5 −アルキル・ラジカル、基C(O)R22を意味し、ここでR22が、飽和若しくは最大3箇所での不飽和の任意に置換された直鎖若しくは分枝鎖の任意に部分的若しくは完全にハロゲン化された最大10個の炭素原子を持つ炭化水素ラジカル、任意に置換されたC3 〜C7 −シクロアルキルラジカル、任意に置換されたC4 〜C15−シクロアルキルアルキル・ラジカル、又は任意に置換されたアリール、ヘテロアリール若しくはアラルキル・ラジカルを示し、あるいはN原子と一緒に、4〜6つの炭素原子を持つポリメチレンイミノ・ラジカル又はモルホリノ・ラジカルを意味し、ここで水素原子、トリフルオロメチル基、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘプチル若しくはヘキシル・ラジカル、又はアリール、ヘテロアリール若しくはアラルキル・ラジカルがR18を意味することができ;
6 、R6′、R7及びR7′は、それぞれ水素原子を意味し;
8 は、直鎖若しくは分枝鎖の任意に部分的若しくは完全にハロゲン化された最大5つの炭素原子を有するアルキル又はアルケニル・ラジカル、エチニル又はプロプ−1−イニル・ラジカルを意味し;
9 は、水素原子を意味するか、あるいはR11と一緒にさらなる結合を意味し;
11は、水素原子を意味するか、あるいはR9 と一緒にさらなる結合を意味し;
11′、R12、R14、R15、R16及びR16′は、水素原子を意味し;
17及びR17′は、それぞれ、水素原子;水素原子とハロゲン原子;水素原子とベンジルオキシ基;水素原子と基R19SO2 −O−;基R18と基−C(O)R22若しくは−O−C(O)R22;基R18−O−と基R18−;基R18−O−と基−O−C(O)R22を意味し、ここで、R18、R19、及びR22は上記全ての場合でR3 の下で示された意味である)のエストラトリエンの使用。
【請求項47】
以下の化合物群:
3−メトキシ−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン−17β−オール
8β−(2’,2’−ジフルオロビニル)−エストラ−1,3,5(10),9(11)−テトラエン−3,17β−ジオール
8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
8β−(2’,2’−ジフルオロビニル)−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
8β−エチル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
8β−(プロプ−(Z)−エチル)−エストラジオール
17α−エチニル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
17α−メチル−8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17β−ジオール
8β−ビニル−エストラ−1,3,5(10)−トリエン−3,17α−ジオール
から選択される、請求項11に記載の一般式I’のエストラトリエンの使用。

【公開番号】特開2008−280355(P2008−280355A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166585(P2008−166585)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【分割の表示】特願2001−575609(P2001−575609)の分割
【原出願日】平成13年4月12日(2001.4.12)
【出願人】(300049958)バイエル・シエーリング・ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】