説明

選択的11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型阻害剤としての7−アザインドール誘導体

本発明は、酵素11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD−1)の選択的阻害剤としての、式(I)で表される7−アザインドール誘導体、ならびにメタボリックシンドローム、糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、不安症、鬱病、免疫障害、高血圧ならびに他の疾患および状態の処置および予防のためのそのような化合物の使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、酵素11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD−1)の選択的阻害剤としての7−アザインドール誘導体、ならびにメタボリックシンドローム、糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、不安症、鬱病、免疫障害、高血圧ならびに他の疾患および状態の処置および予防のためのそのような化合物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)は、ステロイドホルモン類をそれらの不活性な代謝物に変換することによって、ステロイドホルモン受容体の占有率および活性化を調節する。最近の概説について、Nobel et al., Eur. J. Biochem. 2001, 268: 4113-4125を参照。
【0003】
多数の群のHSDが存在する。11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β−HSD)は、活性な糖質コルチコイド(例えばコルチゾールおよびコルチコステロン)とそれらの不活性な形態(例えばコルチゾンおよび11−デヒドロコルチコステロン)との相互変換を触媒する。アイソフォームである11−ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β−HSD1)は、肝臓、脂肪組織、脳、肺および他の糖質コルチコイド組織において広く発現され、一方アイソフォーム2(11β−HSD2)の発現は、鉱質コルチコイド受容体、例えば腎臓、腸および胎盤を発現する組織に限定される。次に、11β−HSD2の阻害は、重大な副作用、例えば高血圧と関連する。
【0004】
過剰のコルチゾールは、糖尿病、肥満、脂質異常症、インスリン抵抗性および高血圧を含む多数の障害と関連する。11β−HSD1阻害剤の投与により、標的組織におけるコルチゾールおよび他の11β−ヒドロキシステロイドのレベルが低下し、それにより過剰量のコルチゾールおよび他の11β−ヒドロキシステロイドの効果が低下する。したがって、11β−HSD1は、糖質コルチコイド作用の低減によって寛解され得る多数の障害と関連する治療の潜在的な標的である。したがって、11β−HSD1の阻害を用いて、異常に高いレベルのコルチゾールおよび他の11β−ヒドロキシステロイドによって媒介される疾患、例えば糖尿病、肥満、高血圧または異脂肪血症を予防、処置または制御することができる。脳における11β−HSD1活性の阻害もまた、例えばコルチゾールレベルを低下させるために、不安症、鬱病、認知障害または年齢に関連する認知機能障害を処置または低減するために有用であり得る(Seckl, et al., Endocrinology, 2001, 142:1371-1376)。
【0005】
コルチゾールは、重要であり、十分認識されている抗炎症性ホルモンであり、それはまた、肝臓においてインスリンの作用に対するアンタゴニストとして作用し、それによりインスリン感受性が低下し、肝臓における増大した糖新生および上昇したグルコースのレベルがもたらされる。すでに耐糖能異常を有する患者は、異常に高いレベルのコルチゾールの存在下で2型糖尿病を発症する可能性がより高い(Long et al., J. Exp. Med. 1936, 63:465-490;Houssay, Endocrinology 1942, 30:884-892)。さらに、11β−HSD1が、局所的な糖質コルチコイドの効果および肝臓におけるグルコース産生の調節において重要な役割を果たすことが、十分実証されている(Jamieson et al., J. Endocrinol. 2000, 165:685-692)。Walker, et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 1995, 80:3155-3159において、非特異的11β−HSD1阻害剤であるカルベノキソロンの投与が、ヒトにおいて肝臓のインスリン感受性の改善をもたらすことが報告された。
【0006】
さらに、糖尿病の処置における11β−HSD1の作用の仮定された機構は、マウスおよびラットにおいて行われた種々の実験によって支持されている。これらの研究により、肝臓のグルコース産生における2種の重要な酵素であるホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)およびグルコース−6−ホスファターゼ(G6Pase)のmRNAレベルおよび活性が、11β−HSD1阻害剤の投与により低下したことが示された。さらに、血中グルコースレベルおよび肝臓のグルコース産生が、11β−HSD1ノックアウトマウスにおいて低下することが示された。また、このマウスノックアウトモデルを用いて集められた追加のデータにより、PEPCKおよびG6Paseの基底レベルが糖質コルチコイドに非依存的に調節されるため、11β−HSD1の阻害は低血糖症を引き起こさないことが確認された(Kotelevtsev et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94:14924-14929)。
【0007】
したがって、11β−HSD1阻害剤の治療有効量の投与は、糖尿病、特にインスリン非依存性糖尿病(NIDDM、2型真性糖尿病)の症状を処置、制御および寛解させることに有効であり、11β−HSD1阻害剤の治療有効量の習慣的な投与により、特にヒトにおいて糖尿病の発症が遅延するかまたは予防される。
高いレベルのコルチゾールの効果はまた、クッシング症候群を有する患者において観察され、それは血流中の高レベルのコルチゾールにより特徴づけられる代謝疾患である。クッシング症候群を有する患者は、しばしばNIDDMを発症する。
【0008】
過度のレベルのコルチゾールは、おそらく増大した肝臓糖新生により肥満と関連していた。腹部の肥満は、耐糖能障害、糖尿病、高インスリン血症、高トリグリセリド血症ならびにメタボリックシンドロームの他の要因、例えば高血圧、VLDLの上昇およびHDLの低下と緊密に関連する(Montague et al., Diabetes, 2000, 49:883-888)。肥満の対象において、脂肪組織における11β−HSD−1活性は顕著に増大し、体重と正の相関を有する。また、前脂肪細胞(間質細胞)における11β−HSD1の阻害により、脂肪細胞への分化の速度の低下がもたらされることが報告されている。これにより、大網脂肪蓄積の拡大の低下(場合によっては減少)がもたらされることが予測され、これにより中心性肥満の減少がもたらされ得る(Bujalska et al., Lancet 1997, 349:1210-1213)。
【0009】
したがって、11β−HSD1阻害剤の有効量の投与は、肥満の処置または制御において有用である。11β−HSD1阻害剤での長期の処置はまた、特に患者が11β−HSD1阻害剤を食事の制御および運動と組み合わせて用いる場合には、肥満の発症を遅延させるかまたは予防することに有用である。
インスリン抵抗性を低下させ、血清グルコースを正常濃度に維持することにより、本発明の化合物はまた、メタボリックシンドローム、肥満、反応性低血糖および糖尿病性脂質異常症を含む2型糖尿病およびインスリン抵抗性に伴う状態の処置および予防において有用性を有する。
【0010】
成熟脂肪細胞における11β−HSD1の阻害は、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI1)の分泌を減弱することが予測され、これは、Halleux et al., J;Clin. Endocrinol. Metab. 1999, 84:4097-4105において報告されているように、非依存的な心臓血管危険因子である。さらに、糖質コルチコイド活性と特定の心臓血管危険因子との間に相関関係が存在することが示されている。これにより、糖質コルチコイド効果の低下が特定の心臓血管疾患の処置または予防において有益であることが示唆される(Walker et al., Hypertension 1998, 31:891-895;およびFraser et al., Hypertension 1999, 33:1364 1368)。
【0011】
高血圧および脂質異常症が、アテローム性動脈硬化症の発症の原因となり、11β−HSD1活性の阻害およびコルチゾールの量の減少は、高血圧を処置または制御するにあたり有益であるため、本発明の11β−HSD1阻害剤の治療有効量の投与はまた、アテローム性動脈硬化症を処置するか、発症を制御もしくは遅延させるか、または予防するにあたり特に有益であり得る。
【0012】
11β−HSD1はまた、食欲制御のプロセスにおいて関与しており、したがって体重関連障害においてさらなる役割を果たすと考えられる。副腎摘除術が絶食の効果を減弱して、食物摂取および視床下部ニューロペプチドYの発現を共に増加させることが知られている。これにより、糖質コルチコイドが食物摂取の増進において役割を果たすこと、および脳における11β−HSD1の阻害が満腹感を増加させ、したがって食物摂取の減少をもたらし得ることが示唆される(Woods et al., Science 1998, 280:1378-1383)。
【0013】
11β−HSD1の調節と関連する他の可能な治療効果は、種々の膵臓栄養物(aliment)に関するものである。マウスの膵β細胞における11β−HSD1の阻害により、グルコースで刺激されたインスリン分泌が増加することが報告されている(Davani et al., J. Biol. Chem. 2000, 275:34841-34844)。このことは、糖質コルチコイドがインビボで膵臓インスリン放出の減少の原因であることが先に見出されたという先行発見に続く(Billaudel et al., Horm. Metab. Res. 1979, 11:555-560)。したがって、11β−HSD1の阻害により、糖尿病の処置において、肝臓および脂肪減少に対して予測される効果以外の、他の有益な効果が得られることが示唆される。
【0014】
脳における過剰レベルのコルチゾールはまた、ニューロトキシンの増強を介してニューロンの損失または機能不全をもたらし得る。11β−HSD1阻害剤の有効量の投与は、加齢と関連する認知障害およびニューロン機能不全の低減、寛解、制御または予防をもたらす。認知障害は、加齢および脳における過剰レベルのコルチゾールと関連づけられている(J. R. Seckl and B. R. Walker, Endocrinology, 2001, 142:1371-1376およびこの中で引用されている参考文献を参照)。11β−HSD1はまた、脳における糖質コルチコイド活性を調節し、したがって神経毒性の原因となる(Rajan et al., Neuroscience 1996, 16:65-70;Seckl et al., Necroendocrinol. 2000, 18:49-99)。ストレスおよび/または糖質コルチコイドは、認識機能に影響を及ぼすことが知られており(de Quervain et al., Nature 1998, 394:787-790)、未公開の結果により、非特異的な11β−HSD1阻害剤で処置されたラットにおいて、有意な記憶の改善が示される。
【0015】
これらの報告は、脳における糖質コルチコイドの公知の効果に加えて、脳における11β−HSD1の阻害が、不安症、鬱病および関連する状態に対する正の治療効果を有し得ることを示唆する(Tronche et al., Nature Genetics 1999, 23:99-103)。11β−HSD1は、海馬細胞において11−デヒドロコルチコステロンをコルチコステロンに再活性化し、キナーゼ神経毒性を増強し、年齢に関連した学習障害をもたらし得る。したがって、11β−HSD1の選択的阻害剤は、加齢に伴う海馬の機能低下に対して保護すると考えられている(Yau et al., Proc.Natl. Acad. Sci. USA 2001, 98:4716-4721)。したがって、ヒト脳における11β−HSD1の阻害は、ニューロンの機能に対する有害な糖質コルチコイドにより媒介された効果、例えば認知障害、鬱病および食欲増加に対して保護することが仮定されている。
【0016】
さらに、糖質コルチコイドが免疫系を抑制するという一般的な認識に基づいて、11β−HSD1は、免疫調節において役割を果たすと考えられている。免疫系とHPA(視床下部−下垂体−副腎皮質)系との間に動的相互作用が存在すること(Rook, Baillier's Clin. Endocrinol. Metab. 2000, 13:576-581)、および糖質コルチコイドが細胞媒介性応答と体液性応答との間のバランスを補助することが知られている。
【0017】
ストレスによって誘発され得る糖質コルチコイド活性の増大は、体液性応答と関連し、したがって11β−HSD1の阻害の結果、応答が細胞ベースの反応の方向に移動し得る。特定の疾患状態、例えば結核、ハンセン病および乾癬において、および過度のストレスの条件下においても、高い糖質コルチコイド活性により、実際には細胞ベースの応答が患者にとってより有益であり得る場合に、免疫応答が体液性応答に移動する。一方、11β−HSD1活性の阻害および糖質コルチコイドレベルの付随する低下により、免疫応答が細胞ベースの応答の方向に移動する(D. Mason, Immunology Today, 1991, 12:57-60およびG.A.Vt. Rook, Baillier's Clin. Endocrinol. Metab., 1999, 13:576-581)。したがって、11β−HSD1阻害の代替的な有用性は、免疫化(immunization)に関連する一時的な免疫応答を増強して、細胞ベースの応答が得られることを確実にすることである。
【0018】
最近の報告は、糖質コルチコイド標的受容体およびHSDのレベルが、緑内障に対する感受性と関連していることを示唆する(J. Stokes et al., Invest. Ophthalmol. 2000, 41:1629-1638)。さらに、11β−HSD1の阻害と眼内圧の低下との間の関連が、最近報告された(Walker et al., poster P3-698 at the Endocrine society meeting June 12-15, 1999, San Diego)。非特異的な11β−HSD1阻害剤であるカルベノキソロンの投与の結果、正常な患者において眼内圧が20%低下することが示された。
【0019】
眼において、11β−HSD1は、角膜上皮、角膜の非着色上皮(眼房水の産生の部位)、毛様体筋ならびに虹彩の括約筋および散大筋の基底細胞においてのみ発現される。対照的に、遠位のイソ酵素である11−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型(「11β−HSD2」)は、非着色毛様体上皮および角膜内皮において高度に発現される。ドレナージの部位である線維柱帯網においては、HSDは見出されていない。したがって、11β−HSD1は、眼房水の産生において役割を果たすことが示唆され、11β−HSD1活性の阻害は、緑内障の処置において眼内圧を低下させるにあたり有用である。
【0020】
糖質コルチコイドはまた、骨格の発達および機能において必須の役割を果たすが、過剰に存在する場合にはそのような発達および機能に対して有害である。C. H. Kim et al., J. Endocrinol. 1999, 162:371 379において報告されているように、糖質コルチコイドによって誘導される骨減少は、部分的には骨芽細胞増殖およびコラーゲン合成の抑制に由来する。骨の小結節形成に対する糖質コルチコイドの有害な効果が、非特異的11β−HSD1阻害剤であるカルベノキソロンの投与により緩和され得ることが報告されている(C. G. Bellows et al., Bone 1998, 23:119-125)。さらなる報告は、11β−HSD1がおそらく破骨細胞における活性糖質コルチコイドのレベルの増加をもたらす原因であり、したがって、骨吸収を増大させることを示唆する(M. S. Cooper et al., Bone 2000, 27:375-381)。このデータは、11β−HSD1の阻害が、1または2以上の平行して作用し得る機構を介して、骨粗鬆症に対する有益な効果を有し得ることを示唆する。
【0021】
11β−HSD1阻害剤は、例えばWO0410629、WO03065983、WO04089896、WO04089380、WO04065351、WO04033427またはWO04041264から知られている。最近の概説について、M. Wamil and J.R.Seckl (Drug Discovery Today;2007年6月、504〜520頁)およびC.D.Boyle, T.J.Kowalski and L.Zhang (Annual reports in medicinal chemistry; 2006, 41, 127-140)を参照。しかし、7−アザインドール誘導体は、活性11β−HSD1阻害剤としては開示されていない。
【0022】
3−置換ヘテロシクロアルキル−7−アザインドールは、例えばWO2004106346およびWO2004106298においてドーパミンD2、D3およびD4受容体の結合剤として開示されており、5−HT1Aアゴニストまたは部分的アゴニストとして作用する。7−アザインドロン(azaindolones)は、WO2006099268、WO2006044504、WO2005013894においてCGRP受容体についてのアンタゴニストとして開示されている。5−アシル−7−アザインドールは、WO2005085244においてJNK3を阻害すると開示されている。2−アリールおよび2−ヘテロアリール−7−アザインドールは、Itk阻害剤としてクレームされている。アザインドール−3−ピペリジンは、WO2003082867においてHヒスタミン受容体アンタゴニストとして開示されている。しかし、上記の刊行物のいずれにも、本発明の7−アザインドール誘導体も開示された化合物の11β−HSD1阻害剤としての使用も包含されていない。
【0023】
WO2007050381には、ORL−1受容体モジュレーターとしての特定の3−(N−アシル−ピペリジン−4−イル)−7−アザインドールが開示されている。該化合物は、ORL−1受容体によって媒介される障害を処置、予防または寛解するのに有用である。
【0024】
したがって、有利な治療における継続する必要性が残留しているため、本発明の好ましい目的は、疾患、例えば糖尿病、肥満、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、免疫障害、鬱病、高血圧その他を処置するための、新規な医薬活性化合物を提供することにあった。
本出願におけるすべての参考文献の引用は、該参考文献が本出願に対する先行技術であるという承認ではない。
【発明の概要】
【0025】
発明の概要
驚くべきことに、本発明の化合物は、極めて活性な11β−HSD1阻害剤であることが見出された。したがって、本発明の一態様は、式I
【化1】

【0026】
式中、
、Rは、互いに独立してH、A、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rは、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rは、互いに独立してH、A、ハロアルキルまたはHalであり、
Xは、−(C)−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Yは、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているA、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rは、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nは、1または2であり、
mは、0または1である、
で表される化合物ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ(prodrug)、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物である。
【0027】
本発明の好ましい態様は、
、Rは、互いに独立してH、A、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rは、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rは、互いに独立してH、A、ハロアルキルまたはHalであり、
Xは、−(C)−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Yは、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているA、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rは、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nは、1であり、
mは、0または1である、
式Iで表される化合物ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物である。
【0028】
本発明の好ましい態様は、
、Rは、互いに独立してA、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rは、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rは、互いに独立してH、A、ハロアルキルまたはHalであり、
Xは、−(C)−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Yは、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているA、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rは、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nは、1であり、
mは、0または1である、
式Iで表される化合物ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物である。
【0029】
本発明の他の好ましい態様は、
、Rは、互いに独立してA、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rは、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rは、互いに独立してHまたはHalであり、
Xは、−(C)−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Yは、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているA、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rは、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nは、1であり、
mは、0または1である、
式Iで表される化合物ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物である。
【0030】
本発明の他の好ましい態様は、
、Rは、互いに独立してA、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rは、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rは、互いに独立してHであり、
Xは、−(C)−であり、
Yは、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rは、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nは、1であり、
mは、0である、
式Iで表される化合物ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物である。
【0031】
本発明の他の好ましい態様は、
、Rは、互いに独立してH、A、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rは、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rは、互いに独立してH、A、ハロアルキルまたはHalであり、
Xは、−(C)−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Yは、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているA、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rは、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nは、2であり、
mは、0または1である、
式Iで表される化合物ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物である。
【0032】
本発明の他の特に好ましい態様は、
a)(2−フルオロ−フェニル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
b)(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
c)(シクロヘキシル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
d)(ピリジン−3−イル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【0033】
e)[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−o−トリル−メタノン
f)(2−メチル−2−フェニル)−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
g)(4−ジメチルアミノフェニル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
h)(1−フェニル−シクロプロピル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【0034】
i)2−(4−クロロフェニル)−2−メチル−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
j)2−メチル−2−フェノキシ−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
k)1−(4−クロロ−フェニル)シクロブチル−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
l)2−(4−クロロ−フェノキシ)−2−メチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
【0035】
m)2−メチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン
n)4−(4−フルオロ−フェノキシ)−3,3−ジメチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブタン−1−オン
o)2−(4−クロロ−フェニル)−2−メチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
p)[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピル]−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
【0036】
q)4−(4−フルオロ−フェノキシ)−3,3−ジメチル−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−ブタン−1−オン
r)[1−(4−フルオロ−フェノキシ)−シクロプロピル]−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
s)[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピル]−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
t)2−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−エタノン
からなる群から選択される、式Iで表される化合物ならびにそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物および立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物である。
【0037】
化合物、特に本発明による化合物を定義するために本明細書中で用いる命名法は、一般的に化学化合物および特に有機化合物についてのIUPAC組織の規則に基づく。
用語「ヒドロキシル」は、OH基を意味する。
【0038】
用語「アルキル」または「A」、ならびに接頭辞「alk」を有する他の基、例えばアルケニル、アルコキシおよびアルカノイルは、炭素鎖を意味し、これは、該炭素鎖を他に定義しない限りは、直鎖状であっても分枝状であってもそれらの組み合わせであってもよい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−およびtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが含まれる。特定数の炭素原子、例えばC〜C10が可能である場合には、用語アルキルにはまた、シクロアルキル基、およびシクロアルキル構造と組み合わされた直鎖状または分枝状アルキル鎖の組み合わせが含まれる。炭素原子の数が特定されない場合には、C〜Cを意図する。特に好ましいのは、C〜Cアルキルである。C〜Cアルキルラジカルは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチルである。
【0039】
「シクロアルキル」は、アルキルのサブセットであり、飽和単環式炭化水素を意味するものとして理解され、用語「C3〜9シクロアルキル」に関して、3〜9個の炭素原子を有する。シクロアルキルの例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが含まれる。シクロアルキル基は、他に述べない限り一般的に単環式である。シクロアルキル基は、他に定義しない限り飽和である。C〜Cシクロアルキルラジカルは、例えばシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルである。
【0040】
用語「アリール」または「Ar」は、炭素環原子を含む単環式または多環式の芳香族環系を意味する。好ましいアリールは、単環式または二環式の6〜10員環の芳香族環系である。「アリール」基の例には、フェニル、2−ナフチル、1−ナフチル、ビフェニル、インダニルならびにそれらの置換誘導体が含まれるが、これらに限定されない。最も好ましいアリールは、フェニルである。
【0041】
用語「アルキルオキシ」は、直鎖状または分枝状構造を有するアルコキシ基を意味する。「C〜Cアルキルオキシ」は、示した数の炭素原子を有する直鎖状または分枝状構造を有するアルコキシ基を意味する。本明細書中で用いる用語「アリールオキシ」は、好ましくは基AO−に言及し、ここでAは上記で定義したようにアリールである。C〜Cアルキルオキシは、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどである。
【0042】
用語「アリールオキシ」は、炭素環原子を含む単環式または多環式の芳香族環系のアルコキシ基を意味する。本明細書中で用いる用語「アリールオキシ」は、好ましくは基ArO−に言及し、ここでArは上記で定義したようにアリールである。「アリールオキシ」基の例には、フェニルオキシ、2−ナフチルオキシ、1−ナフチルオキシ、ビフェニルオキシ、インダニルオキシおよびそれらの置換誘導体が含まれるが、それらに限定されない。最も好ましいアリールオキシはフェニルオキシである。
【0043】
「ヘテロアリール」または「Het」は、O、SおよびNから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、芳香族または部分的に芳香族の複素環を意味する。したがって、ヘテロアリールには、他の種類の環、例えばアリール、シクロアルキルおよび芳香族でない複素環と融合しているヘテロアリールが含まれる。ヘテロアリール基の例には、以下のものが含まれる:ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フラニル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソオキサゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタルアジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンズジオキシニル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、チオフェニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニルなど。ヘテロシクリル基およびヘテロアリール基については、3〜15個の原子を含む環および環系が含まれ、それは1〜3個の環を形成する。
【0044】
本明細書中で用いる用語「カルボニル」または「カルボニル部分」は、好ましくは基C=Oに言及する。
本明細書中で用いる用語「アルキルカルボニル」は、好ましくは基AC(O)−に言及し、ここでAは本明細書中で定義したようにアルキルである。
本明細書中で用いる用語「アルコキシカルボニル」または「アルキルオキシカルボニル」は、好ましくは基AOC(O)−に言及し、ここでAは本明細書中で定義したようにアルキルである。
【0045】
ヘテロシクロアルキルは、3〜18個の環原子、好ましくは3〜7個の環原子を含み、1個または2個以上、好ましくは1〜3個のO、NまたはSから選択されるヘテロ原子を含む、単環式、二環式または三環式炭化水素を表す。ヘテロシクロアルキルは、例えばピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、インドリニルメチル、イミダゾリニルメチルおよび2−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタニルを表す。
【0046】
本明細書中で用いる用語「アルコキシアルキル」は、好ましくは基AOA−に言及し、ここでAは本明細書中で定義したようにアルキルである。アルコキシアルキルは、酸素原子によって中断されている炭化水素鎖に言及する。
本明細書中で用いる用語「ヘテロアリールオキシ」は、好ましくは基HetO−に言及し、ここでHetは本明細書中で定義したようにヘテロアリールである。
【0047】
用語「Hal」は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)に言及する。臭素およびフッ素が一般的に好ましい。ハロゲンがアルキル(ハロアルキル)またはアルコキシ基(例えばCFおよびCFO)上で置換されている場合に、フッ素が最も好ましい。
【0048】
本明細書中で用いる用語「ハロアルキル」は、好ましくは少なくとも1個のハロゲンで置換されている少なくとも1個の炭素原子を含む上記で定義したアルキル基に言及し、ハロゲンは本明細書中で定義した通りである。本発明において有用な分枝状または直鎖状「C〜Cハロアルキル」基の例には、独立して1つまたは2つ以上のハロゲン、例えばフルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードで置換されているメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチルおよびn−ブチルが含まれるが、それらに限定されない。
【0049】
医薬組成物における用語「組成物」とは、活性成分(1種または2種以上)、および担体を構成する不活性成分(1種または2種以上)、ならびに任意の2種もしくは3種以上の成分の組み合わせ、錯化もしくは凝集から、あるいは1種もしくは2種以上の成分の解離から、あるいは他のタイプの反応または1種もしくは2種以上の成分の相互作用から直接的に、または間接的に生成する任意の生成物を含む生成物を包含することを意図する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と薬学的に許容し得る担体とを混合することによって製造されるすべての組成物を包含する。
【0050】
用語、化合物「の投与」および化合物「を投与する」とは、本発明の化合物または本発明の化合物のプロドラッグを、個人の必要に対して提供することを意味するものと理解するべきである。
【0051】
本明細書中で用いる用語「有効量」とは、例えば研究者または医師によって求められている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する、薬物または薬剤の量を意味する。さらに、用語「治療有効量」とは、そのような量を施与されていない対応する対象と比較して、疾患、障害もしくは副作用の処置の改善された処置、治癒、予防もしくは寛解、または疾患もしくは障害の進行の速度の低下をもたらすすべての量を意味する。該用語はまた、その範囲内に、正常な生理学的機能を増強するのに有効な量を包含する。
【0052】
構造式Iで表される化合物は、1つまたは2つ以上の非対称中心を含んでいてもよく、したがってラセミ体およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマーの混合物および個々のジアステレオマーとして生じることができる。本発明は、構造式Iで表される化合物のそのような異性体形態をすべて包含することを意図する。本明細書中に記載した化合物の数種は、オレフィン二重結合を含み、他に特定しない限りEおよびZ幾何異性体を共に含むことを意図する。
【0053】
本明細書中で記載する化合物の数種は、互変異性体、例えばケト−エノール互変異性体として存在してもよい。個々の互変異性体ならびにそれらの混合物は、構造式Iで表される化合物内に包含される。構造式Iで表される化合物を、例えば好適な溶媒、例えばメタノール;もしくは酢酸エチルまたはそれらの混合物からの分別結晶化によって、あるいは光学的に活性な固定相を用いるキラルクロマトグラフィーを介して、個々のジアステレオマーに分離してもよい。結晶質生成物または、所要に応じて既知の絶対配置の非対称中心を含む試薬で誘導体化される結晶質中間体のX線結晶学により、絶対立体化学を決定してもよい。
【0054】
あるいはまた、一般構造式Iで表される化合物のすべての立体異性体を、光学的に純粋な出発物質または公知の絶対配置の試薬を用いる立体特異的合成によって得てもよい。本発明の異なる局面において、構造式Iによる化合物またはそれらの薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物を、薬学的に許容し得る担体と組み合わせて含む医薬組成物に取り組む。
【0055】
用語「溶媒和物」により、水和物、アルコラート、または結晶化の他の溶媒和物を意味する。
化合物を、以下に示すスキーム1〜3による一般的方法によって調製することができる。すべての調製方法において、すべての出発物質は既知であるか、または既知の出発物質から容易に製造することができる。
【0056】
【化2】

【0057】
【化3】

【0058】
【化4】

【0059】
したがって、本発明の他の態様は、本発明の化合物の調製方法であって、
a)式IIで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるアザインドールをホルミル化して、式IIIで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるアルデヒドを得、式IIIで表される前記アルデヒドをシアノ酢酸エチルと反応させ、続いてシアン化物のマイケル付加、酸性環化および水素化物還元を行って、式IVで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるピロリジノ−アザインドールを得、式IVで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りである前記ピロリジノ−アザインドールの式Vで表され、式中R、R、XおよびYが上記で定義した通りである活性化されたカルボン酸でのアシル化を行って、式Iで表され、式中R、R、R、R、XおよびYが上記で定義した通りである化合物を得ること、
【0060】
【化5】

【0061】
b)式IIで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるアザインドールをブロモ−マレイミドVIと縮合させて、式VIIで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるピロリジンジオンを得、式VIIで表される前記ピロリジンジオンの水素化、続いて連続してベンジル脱保護および水素化物還元により式IVで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるピロリジノ−アザインドールを生成し、式IVで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りである前記ピロリジノ−アザインドールの式Vで表され、式中R、R、XおよびYが上記で定義した通りである活性化されたカルボン酸でのアシル化を行って、式Iで表され、式中R、R、R、R XおよびYが上記で定義した通りである化合物を得ること、
【0062】
【化6】

【0063】
c)式IIで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるアザインドールを、塩基性媒体の下でR、Rおよびnが上記で定義した通りであるケトンVIIIと反応させて、式IXで表されるオレフィンと式Xで表されるオレフィンとの混合物(式中R、R、R、Rおよびnは上記で定義した通りである)を得、式IXで表される前記オレフィンおよび式Xで表される前記オレフィン(式中R、R、R、Rおよびnは上記で定義した通りである)の水素化、続いてBoc脱保護を行って、式XIで表され、式中R、R、R、Rおよびnが上記で定義した通りであるピロリジノ−アザインドールを得、式XIで表され、式中R、R、R、Rおよびnが上記で定義した通りである前記ピロリジノ−アザインドールの式Vで表され、式中R、R、XおよびYが上記で定義した通りである活性化されたカルボン酸でのアシル化を行って、式Iで表され、式中R、R、R、R、R、R、XおよびYが上記で定義した通りである化合物を得ること、
【0064】
【化7】

【0065】
d)請求項1において定義した残基X、Y、R、R、R、R、R、R、Rおよび/またはRを他の残基X、Y、R、R、R、R、R、R、Rおよび/またはRに、例えばアルキル基を導入することによって変換すること、あるいは
e)式Iで表される化合物を単離し、かつ/または酸もしくは塩基で処理して、その塩を得ること
を特徴とする、前記方法である。
【0066】
すべての粗生成物を、それぞれメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたは石油エーテルを含む溶媒混合物を用いる標準的なクロマトグラフィーに供した。
製造プロセスのさらに詳細な説明については、例および以下の好ましい条件の一般的な説明をも参照されたい。
式Iによる化合物の生理学的に許容し得る塩をまた、酸または塩基との記載した反応によって得られた式Iで表される化合物を単離および/または処理することにより得ることができる。
【0067】
式Iで表される化合物およびまたそれらの調製のための出発物質を、例において記載する方法によって、または文献(例えばHouben-Weyl, Methoden der Organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg Thieme Verlag, Stuttgart;Organic Reactions, John Wiley&Sons, Inc., New Yorkなどの標準的な著作物)に記載されるようなそれ自体公知の方法によって、正確には前述の反応に適する周知の反応条件の下で調製する。また、ここで、自体公知であるが本明細書中では一層詳細には述べない変法を用いることができる。
【0068】
クレームされている方法のための出発物質をまた、所望により反応混合物からそれらを単離せず、代わりに直ちにそれらをさらに式Iで表される化合物に変換することにより、in situで生成してもよい。他方、該反応を段階的に行うことが可能である。
【0069】
好ましくは、化合物の反応を、好適な溶媒の存在下で行い、それは、好ましくはそれぞれの反応条件下で不活性である。好適な溶媒の例は、炭化水素類、例えばヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンもしくはキシレン;塩素化炭化水素類、例えばトリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、テトラクロロメタン、クロロホルムもしくはジクロロメタン;アルコール類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールもしくはtert−ブタノール;エーテル類、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)もしくはジオキサン;グリコールエーテル類、例えばエチレングリコールモノメチルもしくはモノエチルエーテルまたはエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム(diglyme));ケトン類、例えばアセトンもしくはブタノン;アミド類、例えばアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)もしくはN−メチルピロリジノン(NMP);ニトリル類、例えばアセトニトリル;スルホキシド類、例えばジメチルスルホキシド(DMSO);ニトロ化合物類、例えばニトロメタンもしくはニトロベンゼン;エステル類、例えば酢酸エチル、あるいは上記の溶媒の混合物または水との混合物である。極性溶媒が一般的に好ましい。好適な極性溶媒の例は、塩素化炭化水素類、アルコール類、グリコールエーテル類、ニトリル類、アミド類およびスルホキシドまたはそれらの混合物である。より好ましいのは、アミド類、特にジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0070】
上記の通り、反応温度は、反応段階および用いる条件に依存して約−100℃〜300℃である。
反応時間は、一般的に、それぞれの化合物の反応性およびそれぞれの反応条件に依存して数分〜数日の範囲内である。好適な反応時間は、当該分野において公知の方法、例えば反応のモニタリングにより容易に決定可能である。上記で与えられる反応温度に基づいて、好適な反応時間は、一般的に10分〜48時間の範囲内にある。
【0071】
式Iで表される塩基を、酸を用いて、例えば好ましくは不活性溶媒、例えばエタノール中での当量の塩基および酸の反応、続いて蒸発により、関連する酸付加塩に変換することができる。この反応のための好適な酸は、特に、生理学的に許容し得る塩を生じるものである。したがって、無機酸、例えば硫酸、亜硫酸、ジチオン酸、硝酸、ハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、リン酸、例えばオルトリン酸、スルファミン酸、さらに有機酸、特に脂肪族、脂環式、脂肪芳香族(araliphatic)、芳香族または複素環式の一塩基または多塩基のカルボン酸、スルホン酸または硫酸、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、ニコチン酸、イソニコチン酸、メタンもしくはエタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリメトキシ安息香酸、アダマンタンカルボン酸、p−トルエンスルホン酸、グリコール酸、エンボン酸(embonic acid)、クロロフェノキシ酢酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、プロリン、グリオキシル酸、パルミチン酸、パラクロロフェノキシイソ酪酸、シクロヘキサンカルボン酸、グルコース1−リン酸、ナフタレンモノ−および−ジスルホン酸またはラウリル硫酸を用いることが可能である。
【0072】
生理学的に許容し得ない酸、例えばピクリン酸との塩を用いて、式Iで表される化合物を単離および/または精製することができる。
他方、式Iで表される化合物を、対応する金属塩、特にアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩に、または対応するアンモニウム塩に、塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム)を用いて変換することができる。好適な塩は、さらに、置換アンモニウム塩、例えばジメチル、ジエチルおよびジイソプロピルアンモニウム塩、モノエタノール、ジエタノールおよびジイソプロパノールアンモニウム塩、シクロヘキシルおよびジシクロヘキシルアンモニウム塩、ジベンジルエチレンジアンモニウム塩、さらに例えばアルギニンまたはリジンとの塩である。
【0073】
所望により、式Iで表される遊離塩基を、他の酸性の基が分子中に存在しない限り、強塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムでの処理によって、それらの塩から遊離させることができる。式Iで表される化合物が遊離の酸基を有する場合には、塩形成を、塩基での処理によって同様に達成することができる。好適な塩基は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物または第一アミン、第二アミンもしくは第三アミンの形態における有機塩基である。
【0074】
本明細書中に記載した各反応段階に続いて、任意に1または2以上の精製操作(working up)の手順および/または単離の手順を行うことができる。好適なそのような手順は、例えばHouben-Weyl, Methoden der organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的な著作物から当該分野において公知である。そのような手順の例には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない:溶媒の蒸発、蒸留、結晶化、分別結晶化、抽出の手順、洗浄の手順、温浸(digesting)の手順、濾過の手順、クロマトグラフィー、HPLCによるクロマトグラフィーおよび乾燥の手順、特に真空および/または高温における乾燥の手順。
【0075】
本明細書中に記載した化合物は、11β−HSD1酵素の選択的阻害剤である。したがって、本発明は、コルチゾンのコルチゾールへの変換の原因である11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1のレダクターゼ活性を阻害することについての、本発明の化合物の使用に関する。
【0076】
構造式Iで表される11β−HSD1阻害剤は、一般的に約500nMより低い、好ましくは約100nMより低い阻害定数IC50を有する。一般的に、化合物の11β−HSD2対11β−HSD1のIC50比は、少なくとも約2またはそれ以上であり、好ましくは約10またはそれより大きい。さらにより好ましいのは、11β−HSD2対11β−HSD1についてのIC50比が約20またはそれより大きい化合物である。例えば、本発明の化合物は、理想的には、約1000nMより大きい、好ましくは5000nMより大きい11β−HSD2に対する阻害定数IC50を示す。
【0077】
本発明は、過剰量のまたは制御されない量のコルチゾールおよび/または他のコルチコステロイドによって哺乳類患者、特にヒトにおいて媒介されるものとして本明細書中に記載した疾患および状態を、構造式Iで表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物の有効量を投与することによって処置、制御、寛解、予防するか、その発症を遅延させるか、またはそれが発症する危険を低減するための、11β−HSD1阻害剤の使用を含む。11β−HSD1酵素の阻害により、通常は不活性であるコルチゾンのコルチゾールへの変換が制限され、それは、過剰量で存在する場合には、これらの疾患の症状および状態を引き起こすかまたはその原因となり得る。
【0078】
したがって、本発明の好ましい態様は、本発明の化合物の11β−HSD1阻害剤としての使用である。
本発明のさらなる好ましい態様は、医薬を調製するための本発明の化合物の使用である。
本発明のさらなる好ましい態様は、高いコルチゾールレベルによって引き起こされ、媒介され、かつ/または進行する疾患を処置および/または予防するための医薬を調製するための、本発明の化合物の使用である。
【0079】
本発明のさらなる好ましい態様は、以下からなる群から選択される1または2以上の疾患または状態を処置および/または予防するための医薬を調製するための、本発明の化合物の使用である:メタボリックシンドローム、糖尿病、特にインスリン非依存性真性糖尿病、糖尿病前症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、高血糖、肥満および体重に関連する障害、脂質障害、例えば脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベルまたは高LDLレベル、緑内障、骨粗鬆症、糖質コルチコイド媒介性の神経機能に対する作用、例えば認知障害、不安症または鬱病、神経変性疾患、免疫障害、例えば結核、ハンセン病または乾癬、高血圧、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、心血管疾患、膵炎、網膜症、神経障害および腎障害。
【0080】
本発明の別の局面において:高血糖、耐糖能の低下、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリックシンドローム、高血圧ならびにインスリン抵抗性が構成要素である他の状態および障害からなる群から選択される状態を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において処置する方法を開示し、それは、患者に、構造式Iによる化合物を、上記状態を処置するのに有効な量で投与することを含む。
【0081】
本発明の他の局面において、高血糖、耐糖能の低下、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリックシンドローム、高血圧ならびにインスリン抵抗性が構成要素である他の状態および障害からなる群から選択される状態の発症を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において遅延させる方法を開示し、それは、患者に、構造式Iによる化合物を、上記状態の発症を遅延させるのに有効な量で投与することを含む。
【0082】
本発明のさらなる好ましい態様は、本発明による1種または2種以上の化合物の治療有効量を含むことを特徴とする医薬組成物である。
本発明のさらなる態様は、生理学的に許容し得る賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、担体および本発明による化合物以外の医薬活性剤からなる群から選択される1種または2種以上のさらなる化合物をさらに含むことを特徴とする医薬組成物である。
【0083】
本発明のさらなる好ましい態様は、以下の個別のパケットからなるセット(キット)である:
a)本発明による1種または2種以上の化合物の治療有効量、および
b)1種または2種以上の本発明による化合物以外のさらなる医薬活性剤の治療有効量。
【0084】
構造式Iで表される化合物を、構造式Iで表される化合物または他の薬物が有用性を有する疾患または状態の処置、予防、抑制または寛解において、1種または2種以上の他の薬物と組み合わせて用いてもよい。典型的には、薬物の組み合わせは、いずれかの薬物単独より安全もしくは有効であるか、または該組み合わせは、個々の薬物の相加的特性に基づいて予測されるよりも安全もしくは有効である。そのような他の薬物(1種または2種以上)を、構造式Iで表される化合物と同時にまたは連続して、一般的に用いられる経路および量で投与することができる。構造式Iで表される化合物を1種または2種以上の他の薬物と同時に用いる場合には、そのような他の薬物(1種または2種以上)および構造式Iで表される化合物を含む併用製品が好ましい。しかし、併用療法はまた、構造式Iで表される化合物および1種または2種以上の他の薬物を異なる重複するスケジュールで投与する治療を含む。他の活性成分と組み合わせて用いる場合には、本発明の化合物または他の活性成分または両方を、各々を単独で用いる場合より低い用量で有効に用いることができることを企図する。
【0085】
したがって、本発明の医薬組成物は、構造式Iで表される化合物に加えて1種または2種以上の他の活性成分を含むものを包含する。構造式Iで表される化合物と組み合わせて、別個に投与されるかまたは同一の医薬組成物中で投与することができる他の活性成分の例には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない:ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;PPARγアゴニスト、例えばグリタゾン類(例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン(englitazone)、MCC−555、ロシグリタゾンなど)などおよびPPARα/γデュアルアゴニスト、例えばKRP−297を含む他のPPARリガンド、ならびにPPARαアゴニスト、例えばゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラートおよびベザフィブラート、ならびにビグアナイド類、例えばメトホルミンおよびフェンホルミンを含む、インスリン感作剤;インスリンまたはインスリン模倣薬;スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進物質、例えばトルブタミド、グリピジド、メグリチニド(meglitinide)および関連物質;α−グルコシダーゼ阻害剤、例えばアカルボース;グルカゴン受容体アンタゴニスト、例えばWO 98/04528、WO 99/01423、WO 00/39088およびWO 00/69810に開示されているもの;
【0086】
GLP−1、GLP−1類似体、およびGLP−1受容体アゴニスト、例えばWO 00/42026およびWO 00/59887に開示されているもの;GIP、GIP模倣薬、例えばWO 00/58360に開示されているもの、およびGIP受容体アゴニスト;PACAP、PACAP模倣薬、およびPACAP受容体3アゴニスト、例えばWO 01/23420に開示されているもの;コレステロール低下剤、例えば、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン(itavastatin)、ロスバスタチンおよび他の記載されているもの)、胆汁酸捕捉剤(コレスチラミン、コレスチポール、および架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体類)、ニコチニルアルコール、ニコチン酸またはそれらの塩、コレステロール吸収の阻害剤、例えばエゼチミブおよびベータ−シトステロール、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばアバシミブ(avasimibe)、および抗酸化剤、例えばプロブコール;PPARδアゴニスト、例えばWO97/28149に開示されているもの;
【0087】
抗肥満化合物、例えばフェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY1またはY5アンタゴニスト類、CB1受容体インバースアゴニスト類およびアンタゴニスト類、アドレナリン性受容体アゴニスト類、メラノコルチン受容体アゴニスト類、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト類、グレリンアンタゴニスト類、およびメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト類;回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;糖質コルチコイド以外の炎症状態において用いるために意図される薬剤、例えばアスピリン、非ステロイド性抗炎症薬、アザルフィジンおよび選択的シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤;タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)阻害剤;アンギオテンシン系またはレニン系に対して作用するものを含む降圧剤、例えばアンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト、またはレニン阻害剤、例えば、カプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン;ならびにコレステリルエステル転送タンパク質(CETP)の阻害剤。
【0088】
上記の組み合わせには、構造式Iで表される化合物またはその薬学的に許容し得る塩もしくは溶媒和物と、1種または2種以上の他の活性化合物とが含まれる。非限定的例には、構造式Iで表される化合物と、ビグアナイド、スルホニル尿素、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、PPARアゴニスト、PTP−1B阻害剤、DP−IV阻害剤および抗肥満化合物から選択される2種または3種以上の活性化合物との組み合わせが含まれる。
【0089】
本発明の別の局面において、高血糖、耐糖能の低下、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリックシンドローム、高血圧、ならびにインスリン抵抗性が構成要素である他の状態および障害からなる群から選択される状態を発症する危険性を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において低減する方法を開示し、これは、構造式Iによる化合物を患者に、上記状態を発症する危険性を低減するために有効な量で投与することを含む。
【0090】
本発明の別の局面において、高血糖、耐糖能の低下、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベル、高LDLレベル、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、膵炎、腹部肥満、神経変性疾患、網膜症、腎障害、神経障害、メタボリックシンドローム、高血圧、ならびにインスリン抵抗性が構成要素である他の状態および障害からなる群から選択される状態を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において処置する方法を開示し、これは、構造式Iにおいて定義した化合物および以下からなる群から選択される化合物の有効量を患者に投与することを含む:ジペプチジルペプチダーゼIV(DP−IV)阻害剤;PPARγアゴニスト、PPARαアゴニストおよびPPARα/γデュアルアゴニストならびにビグアナイド類からなる群から選択されるインスリン感作剤;
【0091】
インスリンおよびインスリン模倣薬;スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進物質;α−グルコシダーゼ阻害剤;グルカゴン受容体アンタゴニスト;GLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニスト;GIP、GIP模倣薬およびGIP受容体アゴニスト;PACAP、PACAP模倣薬およびPACAP受容体3アゴニスト;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、捕捉剤、ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびその塩、コレステロール吸収の阻害剤、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、ならびに抗酸化剤からなる群から選択されるコレステロール低下剤;PPARδアゴニスト;抗肥満化合物;回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;糖質コルチコイドを除く抗炎症剤;タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)阻害剤;
【0092】
ならびにアンギオテンシン系またはレニン系に対して作用するものを含む降圧剤、例えばアンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはレニン阻害剤、例えばカプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン;前記化合物を、前記状態を処置するために有効な量で患者に投与する。構造式Iで表される化合物と組み合わせることができるジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤には、以下に開示されているものが含まれる:WO 03/004498、WO 03/004496;EP 1 258 476;WO 02/083128;WO 02/062764;WO 03/00025;WO 03/002530;WO 03/002531;WO 03/002553;WO 03/002593;WO 03/000180;およびWO 03/000181。具体的なDP−IV阻害剤化合物には、イソロイシンチアゾリジド(thiazolidide);NVP−DPP728;P32/98;およびLAF 237が含まれる。
【0093】
構造式Iで表される化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物には、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY1またはY5アンタゴニスト類、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト類およびインバースアゴニスト類、メラノコルチン受容体アゴニスト類、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト類、グレリンアンタゴニスト類およびメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト類が含まれる。構造式Iで表される化合物と組み合わせることができる抗肥満化合物の概説については、S.Chaki et al., "Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity," Expert Opin. Ther. Patents, 11:1677-1692 (2001)およびD. Spanswick and K. Lee, "Emerging antiobesity drugs," Expert Opin. Emerging Drugs, 8:217-237 (2003)を参照。
【0094】
構造式Iで表される化合物と組み合わせることができるニューロペプチドY5アンタゴニスト類には、米国特許第6,335,345号およびWO 01/14376に開示されているもの;ならびにGW59884A;GW569180A;LY366377;およびCOP-71683Aとして同定されている具体的な化合物が含まれる。
式Iで表される化合物と組み合わせることができるカンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト類には、PCT公開WO 03/007887;米国特許第5,624,941号に開示されているもの、例えばリモナバン;PCT公開WO 02/076949に開示されているもの、例えばSLV-319;米国特許第6,028,084号;PCT公開WO 98/41519;PCT公開WO 00/10968;PCT公開WO 99/02499;米国特許第5,532,237号;および米国特許第5,292,736号に開示されているものが含まれる。
【0095】
式Iで表される化合物と組み合わせることができるメラノコルチン受容体アゴニストには、WO 03/009847;WO 02/068388;WO 99/64002;WO 00/74679;WO 01/70708;およびWO 01/70337に開示されているもの、ならびにJ.D. Speake et al., "Recent advances in the development of melanocortin-4 receptor agonists, Expert Opin.Ther.Patents, 12:1631-1638(2002)に開示されているものが含まれる。
【0096】
本発明の別の局面において、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および脂質異常症からなる群から選択される状態を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において処置する方法を開示し、それは、構造式Iにおいて定義される化合物の治療有効量およびHMG−CoAレダクターゼ阻害剤を患者に投与することを含む。
【0097】
さらに特に、本発明の別の局面において、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および脂質異常症からなる群から選択される状態を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において処置する方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、スタチンである。
【0098】
さらにより特に、本発明の別の局面において、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および脂質異常症からなる群から選択される状態を、そのような処置を必要とする哺乳類患者において処置する方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチンおよびロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである。
【0099】
本発明の他の局面において、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症および脂質異常症からなる群から選択される状態、ならびにそのような状態の続発症を発症する危険性を低下させる方法を開示し、それは、構造式Iにおいて定義した化合物およびHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療有効量を、そのような処置を必要とする哺乳類患者に投与することを含む。
【0100】
本発明の別の局面において、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、それは、構造式Iで表される化合物およびHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の有効量を前記患者に投与することを含む。
さらに特に、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、スタチンである。
【0101】
さらにより特に、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤は:ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチンおよびロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである。
さらにより特に、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、ここでスタチンは、シンバスタチンである。
【0102】
本発明の別の局面において、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンであり、この方法は、コレステロール吸収阻害剤を投与することをさらに含む。
さらに特に、本発明の別の局面において、そのような処置を必要とするヒト患者においてアテローム性動脈硬化症の発症を遅延させるかまたはそれが発症する危険性を低下させるための方法を開示し、ここでHMG−CoAレダクターゼ阻害剤はスタチンであり、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである。
【0103】
本発明の別の局面において、医薬組成物を開示し、それは、構造式Iによる化合物、以下のもの:DP−IV阻害剤;PPARαアゴニスト、PPARγアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニストおよびビグアナイド類からなる群から選択されるインスリンI感作剤;インスリンおよびインスリン模倣薬;スルホニル尿素および他のインスリン分泌促進物質;oc−グルコシダーゼ阻害剤;グルカゴン受容体アンタゴニスト;GLP−1、GLP−1類似体およびGLP−1受容体アゴニスト;GIP、GIP模倣薬およびGIP受容体アゴニスト;PACAP、PACAP模倣薬およびPACAP受容体3アゴニスト;HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、捕捉剤、ニコチニルアルコール、ニコチン酸およびそれらの塩、コレステロール吸収の阻害剤、アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤および抗酸化剤からなる群から選択されるコレステロール低下剤;PPARδアゴニスト;抗肥満化合物;回腸胆汁酸トランスポーター阻害剤;糖質コルチコイド以外の抗炎症剤;タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)阻害剤;ならびにアンギオテンシン系またはレニン系に対して作用するものを含む降圧剤、例えばアンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニストまたはレニン阻害剤、例えばカプトプリル、シラザプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラマプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、シレキセチル、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、タソサルタン、テルミサルタンおよびバルサルタン;コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)の阻害剤からなる群から選択される化合物;ならびに薬学的に許容し得る担体を含む。
【0104】
本発明のさらなる態様は、前記医薬組成物の製造方法であって、本発明の1種または2種以上の化合物、ならびに固体、液体または半液体の賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、担体および本発明の化合物以外の医薬活性剤からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を、好適な投与形態に変換することを特徴とする、前記方法である。
【0105】
本発明の医薬組成物を、それらの意図される目的を達成する任意の手段により投与することができる。例えば、投与は、経口、非経口、局所的、経腸、静脈内、筋肉内、吸入、鼻腔内、関節内、脊髄内、経気管、経眼、皮下、腹腔内、経皮的、または頬側経路によるものであってもよい。代替的に、または同時に、投与は経口経路によるものであってもよい。投与される投与量は、レシピエントの年齢、健康および体重、存在する場合には併用する処置の種類、処置の頻度、ならびに所望の効果の性質に依存する。非経口投与が好ましい。経口投与が特に好ましい。
【0106】
好適な投与形態には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない。カプセル剤、錠剤、ペレット、糖衣錠、半流動物、散剤、顆粒、坐剤、軟膏、クリーム、ローション、吸入剤、注射、パップ剤(cataplasm)、ゲル、テープ剤、点眼剤、溶液、シロップ、エアロゾル、懸濁液、乳液。それらを、例えば以下に記載するように、当該分野において公知の方法により製造することができる。
【0107】
錠剤:
活性成分(1種または2種以上)と助剤とを混合し、この混合物を錠剤に圧縮し(直接圧縮法)、任意に圧縮前に混合物の一部を顆粒化する。
カプセル剤:
活性成分(1種または2種以上)と助剤とを混合して、流動性を有する粉末を得、任意に粉末を顆粒化し、粉末/顆粒を開放したカプセル中に充填し、カプセルをキャップする。
【0108】
半流動物(軟膏、ゲル、クリーム):
活性成分(1種または2種以上)を水性または脂質の担体中に溶解/分散する;その後、水相/脂肪相と相補的な脂肪相/水相とを混合し、均質化する(クリームのみ)。
坐剤(直腸および膣用):
活性成分(1種または2種以上)を、熱により液化させた担体材料(直腸:担体材料は通常ワックスである;膣用:担体は通常ゲル化剤の加熱した溶液である)中に溶解/分散し、前記混合物を坐剤型中に流し入れ(cast)、焼鈍し、型から坐剤を取り出す。
エアロゾル:
活性剤(1種または2種以上)を噴霧剤中に分散/溶解し、前記混合物をアトマイザー中に詰める。
【0109】
一般的に、医薬組成物および/または医薬製剤を製造するための非化学的経路は、1種または2種以上の本発明による化合物を、そのような処置を必要とする患者に投与するのに適する投与形態に変換する、当該分野において公知の好適な機械的手段における加工工程を含む。通常、本発明による1種または2種以上の化合物のそのような投与形態への変換は、担体、賦形剤、助剤および本発明の化合物以外の医薬活性成分からなる群から選択される1種または2種以上の化合物の添加を含む。好適な加工工程には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない:それぞれの活性および非活性成分の配合、製粉、混合、顆粒化、溶解、分散、均質化、成型および/または圧縮。前記加工工程を行うための機械的手段は、例えばUllmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版から、当該分野において公知である。このことに関して、活性成分は、好ましくは少なくとも1種の本発明による化合物、および有益な薬学的特性を示す本発明による化合物以外の1種または2種以上のさらなる化合物、好ましくは本明細書中に開示した本発明の化合物以外の当該医薬活性剤である。
【0110】
経口での使用に特に適するのは、錠剤、ピル、被覆錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒、シロップ、ジュースまたはドロップであり、直腸での使用に適するのは坐剤であり、非経口での使用に適するのは溶液、好ましくは油ベースの溶液または水溶液、さらに懸濁液、乳液または移植片であり、局所的使用に適するのは、軟膏、クリームまたは散剤である。また、新規な化合物を凍結乾燥してもよく、得られた凍結乾燥物を、例えば注射製剤を調製するために用いる。示した製剤は、滅菌されていてもよく、かつ/または助剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定剤および/または湿潤剤、乳化剤、浸透圧を調節するための塩、緩衝化物質、染料、フレーバーおよび/または複数種のさらなる活性成分、例えば1種または2種以上のビタミン類を含んでいてもよい。
【0111】
好適な賦形剤は、有機または無機物質であり、それは、経腸(例えば経口)、非経口または局所的投与に適し、新規な化合物と反応せず、例えば、水、植物油、ベンジルアルコール、アルキレングリコール、ポリエチレングリコール、三酢酸グリセロール、ゼラチン、炭水化物、例えばラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトールまたはデンプン(トウモロコシデンプン、コムギデンプン、米デンプン、馬鈴薯デンプン)、セルロース調製物および/またはリン酸カルシウム、例えばリン酸三カルシウムもしくはリン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、および/またはワセリンである。
【0112】
所望により、崩壊剤、例えば前述のデンプンおよびまたカルボキシメチル−デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天もしくはアルギン酸またはその塩、例えばアルキン酸ナトリウムを加えてもよい。助剤には、限定されずに以下のものが含まれる:流動調節剤および潤滑剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウム、および/またはポリエチレングリコール。糖衣錠のコアは、好適なコーティングを備え、それは、所望により胃液に対して耐性である。この目的のために、濃縮糖類溶液を用いてもよく、それは、任意にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ウルシ溶液および好適な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含んでいてもよい。胃液に対して耐性のコーティングを製造するために、または長期の作用の利点をもたらす投与形態を提供するために、錠剤、糖衣錠またはピルは、内部投与成分(inner dosage component)および外部投与成分(outer dosage component)を含むことができ、後者は、前者を覆うエンベロープの形態である。
【0113】
2種の成分を、腸溶層により分離することができ、それは、胃内での分解に耐える作用を奏し、内部成分が完全な状態で十二指腸中に通過するかまたは放出を遅延させることを可能にする。種々の材料を、そのような腸溶層またはコーティングのために用いることができ、多数のポリマー酸およびポリマー酸と、シェラック、アセチルアルコール、好適なセルロース調製物、例えばフタル酸アセチルセルロース、酢酸セルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースの溶液などの材料との混合物が含まれるそのような材料を用いる。例えば識別のため、または活性化合物の用量の組み合わせを特徴づけるために、着色料または顔料を錠剤または糖衣錠のコーティングに加えてもよい。
【0114】
好適な担体物質は、有機または無機物質であり、それは、経腸(例えば経口)または非経口投与または局所適用に適し、新規な化合物と反応せず、例えば水、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン、炭水化物、例えばラクトースまたはデンプン、ステアリン酸マグネシウム、タルクおよびワセリンである。特に、錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、シロップ、懸濁液、ドロップまたは坐剤を、経腸投与のために用い、溶液、好ましくは油性溶液または水溶液、さらには懸濁液、エマルジョンまたは移植片を、非経口投与のために用い、軟膏、クリームまたは散剤を、局所的適用のために用いる。また、新規な化合物を凍結乾燥することができ、得られた凍結乾燥物を、例えば注射製剤を製造するために用いることができる。
【0115】
示した処方物は、滅菌されていてもよく、かつ/または賦形剤、例えば潤滑剤、保存剤、安定剤および/または湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝化物質、着色料、香味料および/または芳香剤を含むことができる。これらはまた、所望により1種または2種以上のさらなる活性成分、例えば1種または2種以上のビタミン類を含むことができる。
【0116】
経口で用いることができる他の医薬製剤には、ゼラチン製の押し込み式(push-fit)カプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトール製の軟性の密封カプセルが含まれる。押し込み式カプセルは、活性成分を顆粒の形態で含むことができ、それを充填剤、例えばラクトース、結合剤、例えばデンプンおよび/または潤滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および任意に安定剤と混合してもよい。軟性のカプセルにおいて、活性化合物は、好ましくは好適な液体、例えば油脂または液体パラフィン中に溶解または懸濁されている。さらに、安定剤を加えてもよい。
【0117】
本発明の新規な組成物を経口で投与するために包含させることができる液体形態には、水溶液、好適に風味付けされたシロップ、水性または油性の懸濁液、および食用油、例えば綿実油、胡麻油、ココナッツ油またはピーナッツ油で風味付けされたエマルジョン、ならびにエリキシル剤および同様の薬学的ビヒクルが含まれる。水性懸濁液に適する分散剤または懸濁剤には、合成および天然ゴム、例えばトラガカント、アラビアゴム、アルギン酸、デキストラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンが含まれる。
【0118】
非経口投与に適する処方物には、水溶性形態にある活性化合物の水溶液、例えば水溶性の塩およびアルカリ性溶液が含まれる。さらに、適切な油性注射用懸濁液としての活性化合物の懸濁液を投与してもよい。好適な親油性溶媒またはビヒクルには、油脂、例えば胡麻油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリドもしくはポリエチレングリコール−400(該化合物はPEG−400に可溶である)が含まれる。
【0119】
水性の注射用懸濁液は、懸濁液の粘性を高める物質を含んでいてもよく、これには、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランが含まれ、任意に該懸濁液はまた、安定剤を含んでいてもよい。
吸入用スプレー剤として投与するために、活性成分が噴霧用ガスまたは噴霧用ガス混合物(例えばCOまたはクロロフルオロカーボン)に溶解または懸濁されているスプレーを用いることが可能である。活性成分を、ここで微粒子化した形態において有利に用い、この場合において、1種または2種以上のさらなる生理学的に許容し得る溶媒、例えばエタノールが存在してもよい。吸入用溶液を、慣用の吸入器の補助により投与することができる。
【0120】
直腸で用いることができる可能な医薬製剤には、例えば、活性化合物の1種または2種以上と坐剤用基剤との組み合わせからなる坐剤が含まれる。好適な坐剤用基剤は、例えば天然もしくは合成のトリグリセリド、またはパラフィン炭化水素である。さらに、活性化合物と基剤との組み合わせからなるゼラチンの直腸用カプセルを用いることも可能である。可能な基剤の材料には、例えば液体トリグリセリド、ポリエチレングリコールまたはパラフィン炭化水素が含まれる。
【0121】
医薬において用いるために、本発明の化合物は、薬学的に許容し得る塩の形態にある。しかし、他の塩は、本発明による化合物またはそれらの薬学的に許容し得る塩の製造において有用であり得る。本発明の化合物の好適な薬学的に許容し得る塩には、酸付加塩が含まれ、それを、例えば、本発明の化合物の溶液と、薬学的に許容し得る酸、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、炭酸またはリン酸の溶液とを混合することにより形成することができる。さらに、本発明の化合物が酸性部分を担持する場合には、その好適な薬学的に許容し得る塩には、アルカリ金属塩、例えばナトリウムまたはカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えばカルシウムまたはマグネシウム塩;および好適な有機塩基と共に生成する塩、例えば第四級アンモニウム塩が含まれ得る。
【0122】
本発明は、その範囲内に上記の本発明の化合物のプロドラッグを含む。一般的に、そのようなプロドラッグは、本発明の化合物の機能的誘導体であり、それは本発明の所要の化合物にインビボで容易に変換可能である。好適なプロドラッグ誘導体を選択および調製するための慣用の手順は、例えばDesign of Prodrugs, ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985に記載されている。
【0123】
医薬製剤を、ヒトにおける医薬および獣医薬として用いることができる。本明細書中で用いる用語「有効量」とは、例えば研究者または医師によって求められている、組織、系、動物またはヒトの生物学的または医学的応答を惹起する、薬物または薬剤の量を意味する。さらに、用語「治療有効量」とは、そのような量を施与されていない対応する対象と比較して、疾患、障害もしくは副作用の処置の改善された処置、治癒、予防もしくは寛解、または疾患もしくは障害の進行の速度の低下をもたらすすべての量を意味する。該用語はまた、その範囲内に、正常な生理学的機能を増強するのに有効な量を包含する。1種または2種以上の本発明による化合物の前記治療有効量は、当業者に公知であるか、または当該分野において公知の標準的な方法により容易に決定することができる。
【0124】
本発明による物質を、一般的に市販の製剤と同様にして投与する。通常、治療的に有効である好適な用量は、用量単位あたり0.0005mg〜1000mg、好ましくは0.005mg〜500mg、特に0.5〜100mgの範囲内にある。日用量は、好ましくは約0.001mg/体重1kg〜10mg/体重1kgである。
【0125】
当業者は、用量レベルが、特定の化合物、症状の重篤度および副作用に対する対象の感受性の関数として変化し得ることを容易に理解する。特定の化合物の一部は、他のものより強力である。所与の化合物についての好ましい投与量は、当業者によって多様な手段により容易に決定可能である。好ましい手段は、所与の化合物の生理学的効力を測定することである。
宿主または患者は、任意の哺乳類種からのもの、例えば霊長類種、特にヒト;マウス、ラットおよびハムスターを含む齧歯動物;ウサギ;ウマ科動物、ウシ科動物、イヌ科動物、ネコ科動物などであってよい。動物モデルは、実験的研究のために重要であり、ヒト疾患の処置のためのモデルを提供する。
【0126】
しかし、個々の患者のための具体的な用量は、多数の要因に依存し、例えば用いる特定の化合物の効力、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、摂食の種類、投与の時間および経路、排出速度、投与の種類および投与されるべき投与形態、医薬の組み合わせならびに治療が関係する特定の障害の重篤度に依存する。個々の患者のための具体的な治療有効用量を、例えば治療的処置を助言するかまたは行う医師または内科医により、常習的な実験により容易に決定することができる。
【0127】
多くの障害の場合において、対象となる化合物での処置に対する特定の細胞の感受性を、インビトロ試験により決定することができる。典型的には、活性剤が関連する反応を示すことができるために十分な期間、通常約1時間〜1週間にわたり、細胞の培養物を、対象となる化合物と多様な濃度にて組み合わせる。インビトロ試験のために、生検試料からの培養細胞を用いてもよい。
さらなる詳細な説明がなくとも、当業者は、上記の説明を最も広い範囲で用いることができると推測する。したがって、好ましい態様は、単に説明的な開示としてみなされるべきであり、絶対にいかなる方法によっても限定的ではない。
【0128】
本明細書中、すべての温度を℃で示す。以下の例において、「慣用の精製操作」とは、所要に応じて溶媒を除去し、水を所要に応じて加え、pHを、所要に応じて最終生成物の構成に依存して2〜10に調整し、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を飽和NaHCO溶液で、所望により水および飽和NaCl溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、蒸発させ、生成物をシリカゲル上のクロマトグラフィー、分取HPLCおよび/または結晶化により精製することを意味する。精製した化合物を、所望により凍結乾燥する。
質量分析(MS): ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)
【0129】
略語および頭字語のリスト:
AcOH:酢酸、anh:無水物、atm:気圧、BOC:tert−ブトキシカルボニル、CDI:1,1’−カルボニルジイミダゾール、conc:濃縮、d:日、dec:分解、DMAC:NN−ジメチルアセトアミド、DMPU:1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(IH)−ピリミジノン、DMF:NN−ジメチルホルムアミド、DMSO:ジメチルスルホキシド、DPPA:ジフェニルホスホリルアジド、EDCI:1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド、EtOAc:酢酸エチル、EtOH:エタノール(100%)、EtO:ジエチルエーテル、EtN:トリエチルアミン、h:時間、MeOH:メタノール、pet.ether:石油エーテル(沸騰範囲30〜60℃)、temp.:温度、THF:テトラヒドロフラン、TFA:トリフルオロAcOH、Tf:トリフルオロメタンスルホニル。
【0130】
本発明の一般式Iで表される化合物を、以下のスキーム1および2ならびに例の手順によって調製することができる。すべての調製方法において、すべての出発物質は知られているか、または既知の出発物質から容易に調製することができる。
【0131】
【化8】

【0132】
例1
(2−フルオロ−フェニル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
段階1:ホルミル化
1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボキサルデヒド
該化合物を、Seung-Jun Oh et al. (Bioorg. Med. Chem., 2004, 12, 5505)により記載されているように調製した。
【0133】
POCl(45ml)を、0℃にて窒素の下で乾燥DMF(28ml)に滴加し、混合物を0℃にて15分間撹拌した。7−アザインドール(25g、0.21mol)を、ゆっくりと加えた。次に、反応混合物を室温にて、次に80℃にて24時間撹拌した。反応の完了の後、反応混合物を氷中に注ぎ、冷却したNaOHの1N溶液で中和し、酢酸エチルで、次にCHCl/MeOH(90/10)で抽出し、NaOHの1N溶液で塩基性化し、再びCHCl/MeOH(90/10)で抽出した。有機相をNaSOで乾燥し、濃縮して乾燥させて、オレンジ色固体(16.3g)を得た。
【0134】
【数1】

【0135】
段階2:クネーフェナーゲル
2−シアノ−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−アクリル酸メチルエステル
7−アザインドール−3−カルボキサルデヒド(3.36g、22.99mmol)を、60mlのメタノールに吸収させ、0℃に冷却した。ピペリジン(2.5ml、25.28mmol)を加え、続いてシアノ酢酸エチル(2.23ml、25.27mmol)を加えた。反応物を、室温にて5時間撹拌し、次に濃縮し、水で反応停止し、濾過して、黄色固体生成物(4.07g)を得た。
【0136】
【数2】

【0137】
段階3:ジシアニド生成
2−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−スクシノニトリル
シアノエステル(4.42g、19.45mmol)を、メタノール(60ml)および水(12ml)中に吸収させた。シアン化カリウム(2.53g、38.85mmol)を加えた。反応混合物を2.5時間還流させた。反応物体を濃縮し、次に水で反応停止し、酢酸エチルで抽出し、NaSOで乾燥した。溶離剤としてCHCl/MeOH(95/05)を用いたカラムクロマトグラフィーによる精製により、茶色を帯びた固体生成物(2.67g)が得られた。
【0138】
【数3】

【0139】
段階4:環化
3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオン
ジシアニド(0.64g、3.26mmol)を(3ml)の氷酢酸中に吸収させ、硫酸(0.64ml)を滴加した。反応混合物を120℃にて1.5時間加熱した。混合物を濃縮し、水で反応停止し、続いて酢酸エチルで抽出した。有機層を濃縮して乾燥させ、残留物を、溶離剤としてヘプタン/酢酸エチル(10/90)、次に酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーにより精製して、オレンジ色固体(0.368g)を得た。
【0140】
【数4】

【0141】
段階5:還元
3−ピロリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
LAH(0.211g、5.5mmol)をRBフラスコ中に採取し、0〜5℃に冷却し、乾燥THF(10ml)をゆっくりと加え、続いてジオン(0.25g、1.1mmol)を加えた。反応混合物を、一晩加熱還流させ、水、15%NaOHおよび水で反応停止した。所望の生成物を酢酸エチルにより抽出し、濃縮して、油(187mg)を粗生成物として得、それをさらに精製せずに次の段階において用いた。
【0142】
【数5】

【0143】
段階6:アシル化
(2−フルオロ−フェニル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
前のアミン(0.2g、1.08mmol)をDMF(3ml)に溶解し、0℃に冷却した。次に、HOBT(0.0432g、0.318mmol)、EDCI(0.303g、1.59mmol)を加え、続いてトリエチルアミン(0.44ml)および2−フルオロ安息香酸(0.178g、1.27mmol)を加えた。混合物を室温にて一晩撹拌し、20mlの10%重炭酸ナトリウム溶液で反応停止し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチルを濃縮し、純粋な生成物がカラムクロマトグラフィーによりオフホワイトの固体(0.050g)として得られた。
【0144】
【数6】

【0145】
以下の化合物を、例1に記載したのと同様の方法で作製した。
【0146】
例2
(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【数7】

【0147】
例3
(シクロヘキシル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【数8】

【0148】
例4
(ピリジン−3−イル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【数9】

【0149】
例5
[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−o−トリル−メタノン
【数10】

【0150】
例6
(2−メチル−2−フェニル)−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
【数11】

【0151】
例7
(4−ジメチルアミノフェニル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
HPLC-MS (M+1) 335.1
【0152】
例8
(1−フェニル−シクロプロピル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【数12】

【0153】
例9
2−(4−クロロフェニル)−2−メチル−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
【数13】

【0154】
例10
2−メチル−2−フェノキシ−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
HPLC-MS (M+1) 350.2
【0155】
例11
1−(4−クロロ−フェニル)シクロブチル−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【数14】

【0156】
3−ピペリジン−4−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンを3−ピロリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジンの代わりに用いることにより、以下の化合物を、例1に記載したのと同様の方法で作製した。
【0157】
例12
2−(4−クロロ−フェノキシ)−2−メチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
【数15】

【0158】
例13
2−メチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン
HPLC-MS (M+1) 501.2
【0159】
例14
4−(4−フルオロ−フェノキシ)−3,3−ジメチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブタン−1−オン
HPLC-MS (M+1) 410.2
【0160】
例15
2−(4−クロロ−フェニル)−2−メチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
HPLC-MS (M+1) 382.1
【0161】
例16
[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピル]−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
HPLC-MS (M+1) 380.1
【0162】
例17
4−(4−フルオロ−フェノキシ)−3,3−ジメチル−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−ブタン−1−オン
【数16】

【0163】
例18
[1−(4−フルオロ−フェノキシ)−シクロプロピル]−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【数17】

【0164】
例19
[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピル]−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
【数18】

【0165】
例20
2−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−エタノン
【数19】

【0166】
スキーム2
【化9】

【0167】
例21
段階1:縮合
1−ベンジル−3−ブロモ−4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロール−2,5−ジオン
該化合物を、Bioorg. Med. Chem., 2004, 12, 3167に従って調製した。
【0168】
EtMgBr(86.96ml、86.96mmol、THF中1M)の溶液を、室温にて7−アザインドール(10.273g、86.96mmol)を240mlのトルエンに溶解した溶液に、窒素の下で滴加した。1.5時間後、2,3−ジブロモ−N−ベンジルマレイミド(10g、28.98mmol)をトルエン(240ml)に溶解した溶液を滴加した。次に、反応混合物を0.3時間撹拌し、CHCl(360ml)を加え、混合物を45℃にて72時間加熱した。加水分解を、NHClの飽和溶液によって行った。酢酸エチルでの抽出および真空下での濃縮の後、所望の化合物をCHClから沈殿させ、乾燥した(6.92g、黄色粉末として)。
【0169】
【数20】

【0170】
段階2:水素化
1−ベンジル−3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオン
MeOH(100ml)中の臭化ビニル(6.8g、17.79mmol)を、圧力(10bar)下で一晩、Pd/C 5%(0.68g)上で水素化した。次に、反応混合物を濾過し、濃縮して乾燥させた。粗残留物を、溶離剤としてCHCl、次にCHCl/MeOH(97/03)を用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、油を得、それをアセトンで粉末にして、所望の生成物を明るい黄色の粉末として得た。2.23g。
【0171】
【数21】

【0172】
段階3:脱ベンジル化
(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−2,5−ジオン
トルエン(30ml)中の(0.5g、1.638mmol)の上記の化合物に、AlCl(1.093g、8.2mmol)を加えた。反応混合物を、一晩加熱還流させた。トルエンを蒸発させ、水を加え、残留物を酢酸エチルで抽出した。蒸発の後、粗生成物を、CHCl/MeOH(95/05)を溶離剤として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、イソプロピルエーテルから沈殿させて、茶色固体0.26gを得た。
【0173】
【数22】

【0174】
段階4および5:還元およびアシル化を、例1に記載したようにして行った。
【0175】
【化10】

【0176】
例22
段階1:縮合
5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルおよび5−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
MeOH(11ml)中の7−アザインドール(0.5g、4.23mmol)およびN−Boc−ピペリジン−3−オン(2.1g、10.5mmol)および2MのKOHを、60℃にて17時間加熱した。次に、反応混合物を真空において濃縮し、酢酸エチル中に吸収させ、有機相を水およびブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して乾燥させた。残留物を、塩化メチレンおよびヘプタンの混合物で粉末にした。沈殿物を濾過し、乾燥して、所望の生成物の〜75/25混合物を明るい黄色の固体(0.356g)として得た。母液を、60/40〜40/60のヘプタン/酢酸エチルを溶離剤として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物の〜65/35混合物を明るい黄色の粉末(0.455g)として得た。
【0177】
【数23】

【0178】
段階2:水素化
3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
上記の異性体(0.428g、1.43mmol)の1/1 MeOH/THFの混合物(10ml)中の混合物を、Pd(OH)/C 10〜20%(0.01g)上で、圧力(10bar)下で4時間水素化した。次に、反応混合物を濾過し、濃縮して乾燥させた。粗残留物を、ヘプタン/酢酸エチル60/40を溶離剤として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を油状固体(0.17g)として得た。
【0179】
【数24】

【0180】
段階3:脱保護
3−ピペリジン−3−イル−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン
ジオキサン(1ml)中の上記の化合物(93mg、0.31mmol)に、HClをダイオキシンに溶解した4M溶液0.232mlを加えた。反応混合物を室温にて2時間撹拌し、濃縮して乾燥させた。残留物を、CHCl/MeOH/NH(90/10/3)を溶離剤として用いたフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物を油状固体(10mg)として得た。
【0181】
【数25】

【0182】
段階4:アシル化を、例1に記載したようにして行った。
【0183】
例23:アッセイ−阻害定数の測定
ヒト組換え11ベータ−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼタイプ1(11ベータ−HSD1)およびタイプ2(11ベータ−HSD2)酵素を、大腸菌中で発現させた。マウスおよびラットの肝ミクロソーム画分を、TEBUから購入した。
【0184】
11ベータ−HSD1酵素アッセイを、96ウェルマイクロタイタープレート中で、30mMのHepes緩衝液、pH7.4を1mMのEDTA、基質混合物コルチゾン/NADPH(200nM/200μM)、G−6−P(1mM)および阻害剤と共に一連の希釈において含む100μlの合計量において行った。反応を、ラットおよびマウス肝臓からのミクロソーム画分(2,5μg)として大腸菌からの10μlの11ベータ−HSD1(3μg)を加えることによって開始した。混合に続いて、プレートを37℃にて150分間振盪した。反応を、10μlの酸−18ベータグリチルレチン停止溶液で終了した。11ベータ−HSD1調製物中のコルチゾールレベルの決定を、HTRF(Cis bio internationalからのHTRFコルチゾールアッセイ)によってモニタリングした。
活性を、対照の%または酵素活性の50%を阻害するための濃度(IC50)において表す。
【0185】
このアッセイを、11ベータ−HSD2酵素、それによりコルチゾール、NADに同様に適用し、カルベノキソロンを、それぞれ基質、補助因子および停止剤として用いた。
【0186】
【表1】

【0187】
例24:注射バイアル
100gの本発明の活性化合物および5gのリン酸水素二ナトリウムを3lの2回蒸留水に溶解した溶液を、2N塩酸を用いてpH6.5に調整し、滅菌濾過し、注射バイアル中に分注し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌的に密封する。各々の注射バイアルは、5mgの活性化合物を含む。
【0188】
例25:座剤
20gの本発明の活性化合物の混合物を、100gの大豆レシチンおよび1400gのココアバターと溶融させ、型中に注入し、放冷する。各々の座剤は、20mgの活性化合物を含む。
【0189】
例26:溶液
1gの本発明の活性化合物、9.38gのNaHPO・2HO、28.48gのNaHPO・12HOおよび0.1gの塩化ベンザルコニウムを940mlの2回蒸留水に溶解した溶液を調製する。それを、pH6.8に調整し、1lにし、放射線により滅菌する。この溶液を、点眼剤の形態で用いることができる。
【0190】
例27:軟膏
500mgの本発明の活性化合物を、99.5gのワセリンと、無菌条件下で混合する。
【0191】
例28:錠剤
1kgの本発明の活性化合物、4kgのラクトース、1.2kgのジャガイモデンプン、0.2kgのタルクおよび0.1kgのステアリン酸マグネシウムの混合物を、慣用の方法で圧縮して錠剤を得、各々の錠剤が10mgの活性化合物を含むようにする。
【0192】
例29:被覆錠剤
前の例と同様にして、錠剤を圧縮し、次に慣用の方法でスクロース、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカントおよび着色料の被膜を用いて被覆する。
【0193】
例30:カプセル
2kgの本発明の活性化合物を、硬質ゼラチンカプセル中に慣用の方法で分注して、各々のカプセルが20mgの活性化合物を含むようにする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

式中、
、Rは、互いに独立してH、A、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rは、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rは、互いに独立してH、A、ハロアルキルまたはHalであり、
Xは、−(C)−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Yは、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているA、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rは、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nは、1または2であり、
mは、0または1である、
で表される化合物あるいはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項2】
、Rが、互いに独立してH、A、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rが、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rが、互いに独立してH、A、ハロアルキルまたはHalであり、
Xが、−(C)−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Yが、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているA、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rが、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nが、1であり、
mが、0または1である、
請求項1に記載の化合物あるいはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項3】
、Rが、互いに独立してA、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rが、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rが、互いに独立してH、A、ハロアルキルまたはHalであり、
Xが、−(C)−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Yが、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているA、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rが、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nが、1であり、
mが、0または1である、
請求項1に記載の化合物あるいはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項4】
、Rが、互いに独立してA、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rが、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rが、互いに独立してHまたはHalであり、
Xが、−(C)−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Yが、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているA、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rが、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nが、1であり、
mが、0または1である、
請求項1に記載の化合物あるいはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項5】
、Rが、互いに独立してA、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rが、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rが、互いに独立してHであり、
Xが、−(C)−であり、
Yが、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているアリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rが、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nが、1であり、
mが、0である、
請求項1に記載の化合物あるいはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項6】
、Rが、互いに独立してH、A、シクロアルキル、ハロアルキル、Ar、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、
、Rが、互いに独立してH、A、HalまたはOHであり、
、Rが、互いに独立してH、A、ハロアルキルまたはHalであり、
Xが、−(C)−、−O−、−S−、−S(O)−または−S(O)−であり、
Yが、任意にHal、A、C1〜4アルキルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、C1〜4アルキルオキシカルボニル、C1〜4アルキルカルボニルまたはRNC1〜4アルキルオキシにより単置換、二置換または三置換されているA、アルコキシアルキル、シクロアルキル、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、フェニルまたはヘテロアリールであり、
、Rが、互いに独立してC1〜4アルキルまたはC4〜7シクロアルキルであり、
nが、2であり、
mが、0または1である、
請求項1に記載の化合物あるいはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項7】
a)(2−フルオロ−フェニル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
b)(4−メトキシ−2−メチルフェニル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
c)(シクロヘキシル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
d)(ピリジン−3−イル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
e)[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−o−トリル−メタノン
f)(2−メチル−2−フェニル)−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
g)(4−ジメチルアミノフェニル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
h)(1−フェニル−シクロプロピル)−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
i)2−(4−クロロフェニル)−2−メチル−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
j)2−メチル−2−フェノキシ−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
k)1−(4−クロロ−フェニル)シクロブチル−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
l)2−(4−クロロ−フェノキシ)−2−メチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
m)2−メチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−2−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−プロパン−1−オン
n)4−(4−フルオロ−フェノキシ)−3,3−ジメチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−ブタン−1−オン
o)2−(4−クロロ−フェニル)−2−メチル−1−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−プロパン−1−オン
p)[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピル]−[4−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピペリジン−1−イル]−メタノン
q)4−(4−フルオロ−フェノキシ)−3,3−ジメチル−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−ブタン−1−オン
r)[1−(4−フルオロ−フェノキシ)−シクロプロピル]−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
s)[1−(4−クロロ−フェニル)−シクロプロピル]−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−メタノン
t)2−(4−クロロ−ベンゼンスルホニル)−1−[3−(1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−イル)−ピロリジン−1−イル]−エタノン
からなる群から選択される化合物あるいはそれらの生理学的に許容し得る塩、誘導体、プロドラッグ、溶媒和物または立体異性体、すべての比率でのそれらの混合物。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の調製方法であって、
a)式IIで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるアザインドールをホルミル化して、式IIIで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるアルデヒドを得、式IIIで表される前記アルデヒドをシアノ酢酸エチルと反応させ、続いてシアン化物のマイケル付加、酸性環化および水素化物還元を行って、式IVで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるピロリジノ−アザインドールを得、式IVで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りである前記ピロリジノ−アザインドールの式Vで表され、式中R、R、XおよびYが上記で定義した通りである活性化されたカルボン酸でのアシル化を行って、式Iで表され、式中R、R、R、R、XおよびYが上記で定義した通りである化合物を得ること、
b)式IIで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるアザインドールをブロモ−マレイミドVIと縮合させて、式VIIで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるピロリジンジオンを得、式VIIで表される前記ピロリジンジオンの水素化、続いて連続してベンジル脱保護および水素化物還元により式IVで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるピロリジノ−アザインドールを生成し、式IVで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りである前記ピロリジノ−アザインドールの式Vで表され、式中R、R、XおよびYが上記で定義した通りである活性化されたカルボン酸でのアシル化を行って、式Iで表され、式中R、R、R、R XおよびYが上記で定義した通りである化合物を得ること、
c)式IIで表され、式中RおよびRが上記で定義した通りであるアザインドールを、塩基性媒体の下でR、Rおよびnが上記で定義した通りであるケトンVIIIと反応させて、式IXで表されるオレフィンと式Xで表されるオレフィンとの混合物(式中R、R、R、Rおよびnは上記で定義した通りである)を得、式IXで表される前記オレフィンおよび式Xで表される前記オレフィン(式中R、R、R、Rおよびnは上記で定義した通りである)の水素化、続いてBoc脱保護を行って、式XIで表され、式中R、R、R、Rおよびnが上記で定義した通りであるピロリジノ−アザインドールを得、式XIで表され、式中R、R、R、Rおよびnが上記で定義した通りである前記ピロリジノ−アザインドールの式Vで表され、式中R、R、XおよびYが上記で定義した通りである活性化されたカルボン酸でのアシル化を行って、式Iで表され、式中R、R、R、R、R、R、XおよびYが上記で定義した通りである化合物を得ること、
d)請求項1において定義した残基X、Y、R、R、R、R、R、R、Rおよび/またはRを他の残基X、Y、R、R、R、R、R、R、Rおよび/またはRに、例えばアルキル基を導入することによって変換すること、あるいは
e)式Iで表される化合物を単離し、かつ/または酸もしくは塩基で処理して、その塩を得ること
を特徴とする、前記方法。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の、11β−HSD1阻害剤としての使用。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の、医薬を調製するための使用。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の、高いコルチゾールレベルによって引き起こされ、媒介され、かつ/または進行する疾患を処置および/または予防するための医薬を調製するための使用。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の、メタボリックシンドローム、糖尿病、特にインスリン非依存性真性糖尿病、糖尿病前症、インスリン抵抗性、耐糖能の低下、高血糖、肥満および体重に関連する障害、脂質障害、例えば脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDLレベルまたは高LDLレベル、緑内障、骨粗鬆症、糖質コルチコイド媒介性の神経機能に対する作用、例えば認知障害、不安症または鬱病、神経変性疾患、免疫障害、例えば結核、ハンセン病または乾癬、高血圧、アテローム性動脈硬化症およびその続発症、血管再狭窄、心血管疾患、膵炎、網膜症、神経障害および腎障害からなる群から選択される1または2以上の疾患または状態を処置および/または予防するための医薬を調製するための使用。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の1種または2種以上の化合物の治療有効量を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項14】
生理学的に許容し得る賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、担体および請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物以外の医薬活性剤からなる群から選択される1種または2種以上のさらなる化合物を含むことを特徴とする、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
a)請求項1〜7のいずれか一項に記載の1種または2種以上の化合物の治療有効量、および
b)請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物以外の1種または2種以上のさらなる医薬活性剤の治療有効量
の個別のパケットからなる、セット(キット)。
【請求項16】
医薬組成物の製造方法であって、請求項1〜7のいずれか一項に記載の1種または2種以上の化合物、ならびに固体、液体または半液体の賦形剤、助剤、アジュバント、希釈剤、担体および請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物以外の医薬活性剤からなる群から選択される1種または2種以上の化合物を、好適な投与形態に変換することを特徴とする、前記方法。

【公表番号】特表2011−502135(P2011−502135A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531433(P2010−531433)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008309
【国際公開番号】WO2009/059666
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】