避難装置
【課題】建造物を利用する園児や学童などの命を最低限護ることのできる避難装置を提供すること。
【解決手段】保育園、幼稚園、学校校舎、公民館などの建造物内を対象とする避難装置であって、同建造物の室内や廊下などに地震時の耐震避難構造体を固定設置したことを特徴とする。
【解決手段】保育園、幼稚園、学校校舎、公民館などの建造物内を対象とする避難装置であって、同建造物の室内や廊下などに地震時の耐震避難構造体を固定設置したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、校舎など多くの人が集まる建造物の室内などを対象とする避難装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先に、中国四川においてはマグニチュード8の大地震が発生し大災害を招いた。当地震においては学区校舎などの鉄筋コンクリート建造物までもが崩壊し多くの学童などが犠牲になった。
【発明の開示】
こうした大災害は日本においても十分起こり得るものである一方において学校校舎など経済的な問題もあってその耐震化が思った通りに進んでいないのが実情であり、したがって、中国と同様の大災害が発生するおそれも否定できない。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、上記に鑑みなされたもので、耐震化が進まない校舎などの建造物自体の耐震化はさておき、建造物を利用する園児や学童などの命を最低限護ることのできる避難装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、保育園、幼稚園、学校校舎、公民館などの建造物内を対象とする避難装置であって、同建造物の室内や廊下などに地震時の耐震避難構造体を固定設置したことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のものにおいて、耐震避難構造体は、教卓および/室内施設物を兼用するものである。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、保育園、幼稚園、学校校舎、公民館などの建造物内を対象とする避難装置であって、同建造物の室内や廊下などに地震時の耐震避難構造体を固定設置したことを特徴とするので、建造物を利用する園児や学童などの命を最低限護ることのできる避難装置を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、この発明の一実施形態を図面にしたがって説明するが、ここで説明する各実施形態に含まれる個々の提案例は他の実施形態にも適用されるものとする。
【0007】
図1ないし図4はその一実施形態を示す。図1は学校校舎(保育園・幼稚園・公民館等の集合活動建造物を含む)の一部を示す横断面図であり、同校舎は鉄筋コンクリート製(木造造りも含む)で1は教室で、同教室1の前側には黒板2と教卓を兼ねる前耐震避難構造体3が設けられ、その前方には生徒のための机4と椅子5が所要数設置されているとともに、教室1の後側には清掃具入れなどの所要の後耐震避難構造体25が固定して設置されている。尚、教室1内の横サイドに耐震避難構造体が設置されることもある。
【0008】
前耐震避難構造体3は図1のようにその平面が横に長いフレーム体として形成され、この実施形態では教室1の幅の略70ないし80%を占める長いものになっている。3´はこれまでの一般的サイズ(幅90×奥行45×高さ90cm)の教卓を仮想線で例示してある。
前耐震避難構造体3は、これに対して幅は7〜9mで奥行は1m〜1m50cm前後と充分に大きくしてあり高さは1m前後とこれまでと同様のサイズとしてある。高さは避難空間を大きくとる必要から可能な限り高くするのが好ましい。
【0009】
前耐震避難構造体3は、床8上に位置する細長い底板9と、同底板9上に離間して配置した3個(個数は限定されず2個や4個あるいは5個以上…でもよい)の支持体10…とを備える。底板9や支持体10は、金属板を原則とするが木材や樹脂板など材質は問わない。
支持体10は、前後に貫通状をなす縦長の矩形枠体とされるとともにその前後の開口には蓋11が取り付けられている。蓋11のうち教師側のものは開閉可能にしてもよいが強度を発揮させるためには固定蓋の方が好ましい。この支持体10の内部には、ブラケット12を介してX字形の筋交い13が取り付けられている。
【0010】
これら支持体10の上端間には、裏補強材15が装架されて図示しない止着具で連結固定され、同裏補強材15や支持体10の上面を介して連結下地板16が強度のある連結材として止着具にて固定装備されるとともに、同連結下地板16の上には緩衝板17を介して耐震強度のある天板18が貼り付け装備されている。
この天板18と連結下地板16間も止着具にて連結固定されているが、貼り付けたままにしてもよい。支持体10は、アングルにより六面体の骨組みとしそれらの開口に板材を取り付け固定したものにしてもよい。
この場合、内部に仕切状に補強板を入れたりあるいは図3のような筋交いを入れて補強を図るようにしてもよい。補強の仕方には、図3の左欄に示すような中央継ぎ手19をもつ筋交い20にしたり、右欄に示すような1枚式の補強板21によるものにしてもよい。
【0011】
前記底板9は、地震により床上で動くことのないようにアンカー固定されたり強度のある接着あるいは粘着などにより定着化するように構成する。また、机4…も地震で不動なように構成する。
尚、図1の左上欄の平面図に示すように、前耐震避難構造体3の平面形状は教卓3´に対応する部分を前後幅をやや狭くしその他の部分を避難奥行きを大きくとる意味から幅広状にした凹形状にしたり、図1の左下欄の平面図に示すように、教師の側が湾曲状に凹んだ形状であったりしてもよい。
また、図1の右上欄の正面図に示すように、教卓部分は従来通り低く(90cm前後)し、その他の大部分はそれ以上に高く、例えば、黒板2が見える限度において例えば、120から130cmにして避難空間を高く避難しやすくすることもできる。
さらに、図2に示すように、前耐震避難構造体3内には、耐震支柱を兼ねるつかまり棒(弾性質カバーを巻いてもよい)22…を設けたりあるいは頭を打ったりしないための防護と避難時につかまる目的で天井裏面高さ近くあるいは支持体10間の黒板2側の開口に保護網を張ってもよい。
また、23は廊下であるが、この廊下にも図2と同様の構造の耐震避難構造体3を1個あるいは複数個固定設置してもよく、この場合、高さを高くしてもよい。
さらに、同耐震避難構造体3Aは、図1の右下欄に正面図を示すように、口形のフレーム体にして通常はその口内を生徒が通れる一方において地震発生時に同口内に避難できるようにしてもよい。
勿論、教室などには緊急地震警報器を装備するものとする(以下の実施形態でも同様に適用)。
また、現在では教壇を設置しないものが一般的になっているが、敢えて教壇を設置しその高さ分だけ前耐震避難構造体3を高くして避難空間が高く広い耐震避難構造体3とすることもできる。例えば、教壇を30cm高くすると前耐震避難構造体3も30cm高く120cmにすることができる。
【0012】
図5(正面図)の後耐震避難構造体25は、既設のものを補強したものでなく、教室躯体26内に掃除用具などを入れる用具入れ27を装備する正面矩形枠状体で同枠体内に補強材28を組み合わせて耐震補強をした新規な構造体となっている。
同耐震避難構造体25と躯体26間や他の床面と天井間などには、EPS(高密度高耐荷重性発泡スチロールブロック)製の耐荷重構造品29を積層固定しジョイント30でつなぐようにする。31は残る隙間を埋めるためのベニヤなどの詰め込み積層材で相互接着する。
尚、図5の右欄に側断面図を示すように、後耐震避難構造体25には伸展保護カバー32を備えて避難時に伸びて避難時の安全を確保するようにしてもよい。
【0013】
図6ないし図9は他の実施形態を示す。同実施形態は、前耐震避難構造体35を短く運搬や組み立てなどがしやすいものとする一方で教卓を確保するとともに該教卓が生徒や教師の通りを邪魔しないように工夫されたものである。
【0014】
同前耐震避難構造体35は、スチールや木材などで作製され、縦長の矩形枠体で前後を貫通したボックス36と前蓋37および開閉扉38からなり内部を補強仕切板39により強くした支持体40を両端に備える。開閉扉38を開けるとそこに教師や生徒の所要備品類41を入れておくことができる。
42は底板、43は天板で、支持体40と相互に連結されている。44は耐震つかまり枠で、図9に示すように、上座45と下座46およびこれらの間を結ぶ耐震支柱47、それに中間連結材48を備えた枠体になっている。
【0015】
この耐震つかまり枠44は、図9の右上欄に示すように、縦材49を付加して強度を増したり、あるいは同図右下欄のように、立体交差しその間に挟み板50を固定した筋交い51により補強したものにしてもよい。また、同図左欄に示すように、耐震支柱47の上部にはダンパー52内蔵の受パイプ53を設けてもよい。
【0016】
そして、こうした前耐震避難構造体35は、複数個横並びに配備されて固定具55…により床面に固定されるとともに、相互間をやや離間させてその間の上部に開閉自在な耐震教卓56を設けたものである。
尚、図7に示すように、天板43の裏面には耐震時の緩衝材としてまた避難時の頭打ちを防止するための緩衝板58を介装してもよい。
また、底板42と床面間にも緩衝板58を介装してもよい。
さらに、耐震避難構造体35の地震時の移動を防止するため、図7の仮想線のような伸展式押し当て材59を設けてもよい。
また、前記耐震避難構造体35の更に上方を囲む防護枠60を付加してもよい。
【0017】
図10に示すように、前耐震避難構造体35を3個つないでそれぞれの間に開閉蓋61を装備してもよい。
【0018】
図11および図12は他の実施形態を示す。同実施形態の前耐震避難構造体62は、天板63と底板64間に、外装材65で表装した高密度高耐荷重性発泡スチロール(EPS)でなる支持体66を縦連結具67による連結により左右に配備するとともに、その間に図9のような中間支持体68…を耐震支柱として上下連結のもとで配備してなる。
【0018】
支持体66は図11の下欄左側に示すように上下分割一体化式のものでもよい。
また、中間支持体68はEPS式でもよい。
さらに、中間支持体68がスチールパイプである場合には外装弾質カバー69を巻装しても安全性を上げるようにしてもよい。
また、天板63の裏下には安全のためおよびつかまるためのネット70を張っておいてもよい。この場合、図11の右下欄に示すように弾質体71…を付加してより安全にしてもよい。このネット70と底板64間あるいは天板63と底板64間には、地震時につかまることができる安全のための仕切ネット72…を配備してもよい。
【0019】
図13は他の実施形態を示す。同実施形態は、図11および図12の実施形態(他の実施形態でも適用可能)による前耐震避難構造体62の避難時の安全性の向上を図ったものである。同図では各種案を同じ図内に併せて示してあるがそれぞれに個別の案である。
即ち、第1は、図の左側に示すように、天板63の裏下と側面とに防護ネット75を張ってそれにつかまることができるようにしたものである。右側に示すように教師側の開口にも対応するようにネット75を張ってもよい。中間のものは、天板63の裏につかまり輪76をぶらさげたものである。
尚、同図に示すように、天板63の左右両端上には、補助ブロック77を配備して中間部分への負荷が軽減するようにしてもよい。
【0020】
図14および図15の実施形態は、内面にクッション材79を設けて内部で揺れ動いても安全なようにしてもよい。
【0021】
図16および図17の実施形態は、天板80と底板81間に四角枠状の支持体82および中間支持体83…を連結固定し床面に全体を固定するようにしたもので、支持体82や中間支持体83の内部には四角枠でなる内補強枠84と中央継ぎ手85つき筋交い86を装備して耐震強度を向上させてある。
尚、図17の右欄に示すように、1枚あるいは複数枚の四角な補強板88を装備してもよい。
【0022】
図18の実施形態は、天板90と底板91間に支持体92と中間支持体93を装備したものの2個の耐震避難構造体94の端部同志を中間支持体93により連結するようにしたものである。
尚、他の実施形態でも同様であるが、四角枠状の中間支持体93は図18の上欄に示すようにその開口が前後を向くようにしてもよく、この場合、その開口内も避難空間となる。
【0023】
図19の実施形態は、前耐震避難構造体97および机98…が設置された教室内において耐震避難構造体97への避難に至るまでの間に被害を受けないように室内の離間した4箇所に立設固定した支柱99…により天ネット100を単層あるいは複層に配備して対処したものである。室内に天井板101がある場合(仮想線)にも同様に張るものとする。
【0024】
図20の実施形態は、耐震避難構造体103の中間支持体104内にジャッキ105により昇降自在な棚106を設けて天板107の開口を通じて棚上のパソコン・プロジェクタ・TVモニターなどの映像・映写機器108などが出入可能とされたものである。
【0025】
図21の実施形態は、耐震避難構造体111の底板112を延長して広い座板とし、同底板112を構造躯体の梁113に止着具で連結して耐震避難構造体111を地震で動かないものとしたものである。尚、広い底板113上には、少なくとも4本のコーナー支柱114を天井まで及ぶように立設固定するとともに、これら支柱114間を横連結材115で補強してなる包囲型耐震避難構造体116を立設固定してもよい。この包囲型耐震避難構造体116は、仮想線のように天井まで伸びず低いフレーム体でもよい。
【0026】
図22およびその左側面図である図23の実施形態は、教室の後に設置される物入れ兼避難装置についての耐震避難構造体を示し、120は天板、121は底板で、これらは図23に示すように物入れ124や仕切り棚125などでなる奥フレームより前方へ突き出した広い耐震板でなり、これら上下間を複数の前支柱126で強固につないで全体が作られている。後支柱127を設けてもよい。物入れ124などの奥フレームの前方には避難スペースが出来ており、地震時には図示のように飛び込んで支柱126…につかまるなどして避難すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】 本発明装置を示す教室の横断面図。
【図2】 同前耐震避難構造体の正面図。
【図3】 同耐震避難構造体の縦断面正面図。
【図4】 同耐震避難構造体の図3A−A線断面図。
【図5】 後耐震避難構造体の正面図。
【図6】 他の実施形態を示す横断面図。
【図7】 図6の前耐震避難構造体の正面図。
【図8】 図7のB−B線断面図。
【図9】 図7のC−C線断面図。
【図10】 他の実施形態を示す正面図。
【図11】 他の実施形態を示す正面図。
【図12】 図11の要部拡大断面図。
【図13】 他の実施形態を示す正面図。
【図14】 他の実施形態を示す正面図。
【図15】 図14のE−E線断面図。
【図16】 他の実施形態を示す正面図。
【図17】 図16のF−F線断面図。
【図18】 他の実施形態を示す正面図。
【図19】 他の実施形態を示す正面図。
【図20】 他の実施形態を示す正面図。
【図21】 他の実施形態を示す側面図。
【図22】 他の実施形態を示す正面図。
【図23】 図22の左側面図。
【符号の説明】
【0028】
1…教室 2…黒板 3…前耐震避難構造体 10…支持体 25…後耐震避難構造体。
【技術分野】
【0001】
この発明は、校舎など多くの人が集まる建造物の室内などを対象とする避難装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先に、中国四川においてはマグニチュード8の大地震が発生し大災害を招いた。当地震においては学区校舎などの鉄筋コンクリート建造物までもが崩壊し多くの学童などが犠牲になった。
【発明の開示】
こうした大災害は日本においても十分起こり得るものである一方において学校校舎など経済的な問題もあってその耐震化が思った通りに進んでいないのが実情であり、したがって、中国と同様の大災害が発生するおそれも否定できない。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この発明は、上記に鑑みなされたもので、耐震化が進まない校舎などの建造物自体の耐震化はさておき、建造物を利用する園児や学童などの命を最低限護ることのできる避難装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、保育園、幼稚園、学校校舎、公民館などの建造物内を対象とする避難装置であって、同建造物の室内や廊下などに地震時の耐震避難構造体を固定設置したことを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のものにおいて、耐震避難構造体は、教卓および/室内施設物を兼用するものである。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、保育園、幼稚園、学校校舎、公民館などの建造物内を対象とする避難装置であって、同建造物の室内や廊下などに地震時の耐震避難構造体を固定設置したことを特徴とするので、建造物を利用する園児や学童などの命を最低限護ることのできる避難装置を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、この発明の一実施形態を図面にしたがって説明するが、ここで説明する各実施形態に含まれる個々の提案例は他の実施形態にも適用されるものとする。
【0007】
図1ないし図4はその一実施形態を示す。図1は学校校舎(保育園・幼稚園・公民館等の集合活動建造物を含む)の一部を示す横断面図であり、同校舎は鉄筋コンクリート製(木造造りも含む)で1は教室で、同教室1の前側には黒板2と教卓を兼ねる前耐震避難構造体3が設けられ、その前方には生徒のための机4と椅子5が所要数設置されているとともに、教室1の後側には清掃具入れなどの所要の後耐震避難構造体25が固定して設置されている。尚、教室1内の横サイドに耐震避難構造体が設置されることもある。
【0008】
前耐震避難構造体3は図1のようにその平面が横に長いフレーム体として形成され、この実施形態では教室1の幅の略70ないし80%を占める長いものになっている。3´はこれまでの一般的サイズ(幅90×奥行45×高さ90cm)の教卓を仮想線で例示してある。
前耐震避難構造体3は、これに対して幅は7〜9mで奥行は1m〜1m50cm前後と充分に大きくしてあり高さは1m前後とこれまでと同様のサイズとしてある。高さは避難空間を大きくとる必要から可能な限り高くするのが好ましい。
【0009】
前耐震避難構造体3は、床8上に位置する細長い底板9と、同底板9上に離間して配置した3個(個数は限定されず2個や4個あるいは5個以上…でもよい)の支持体10…とを備える。底板9や支持体10は、金属板を原則とするが木材や樹脂板など材質は問わない。
支持体10は、前後に貫通状をなす縦長の矩形枠体とされるとともにその前後の開口には蓋11が取り付けられている。蓋11のうち教師側のものは開閉可能にしてもよいが強度を発揮させるためには固定蓋の方が好ましい。この支持体10の内部には、ブラケット12を介してX字形の筋交い13が取り付けられている。
【0010】
これら支持体10の上端間には、裏補強材15が装架されて図示しない止着具で連結固定され、同裏補強材15や支持体10の上面を介して連結下地板16が強度のある連結材として止着具にて固定装備されるとともに、同連結下地板16の上には緩衝板17を介して耐震強度のある天板18が貼り付け装備されている。
この天板18と連結下地板16間も止着具にて連結固定されているが、貼り付けたままにしてもよい。支持体10は、アングルにより六面体の骨組みとしそれらの開口に板材を取り付け固定したものにしてもよい。
この場合、内部に仕切状に補強板を入れたりあるいは図3のような筋交いを入れて補強を図るようにしてもよい。補強の仕方には、図3の左欄に示すような中央継ぎ手19をもつ筋交い20にしたり、右欄に示すような1枚式の補強板21によるものにしてもよい。
【0011】
前記底板9は、地震により床上で動くことのないようにアンカー固定されたり強度のある接着あるいは粘着などにより定着化するように構成する。また、机4…も地震で不動なように構成する。
尚、図1の左上欄の平面図に示すように、前耐震避難構造体3の平面形状は教卓3´に対応する部分を前後幅をやや狭くしその他の部分を避難奥行きを大きくとる意味から幅広状にした凹形状にしたり、図1の左下欄の平面図に示すように、教師の側が湾曲状に凹んだ形状であったりしてもよい。
また、図1の右上欄の正面図に示すように、教卓部分は従来通り低く(90cm前後)し、その他の大部分はそれ以上に高く、例えば、黒板2が見える限度において例えば、120から130cmにして避難空間を高く避難しやすくすることもできる。
さらに、図2に示すように、前耐震避難構造体3内には、耐震支柱を兼ねるつかまり棒(弾性質カバーを巻いてもよい)22…を設けたりあるいは頭を打ったりしないための防護と避難時につかまる目的で天井裏面高さ近くあるいは支持体10間の黒板2側の開口に保護網を張ってもよい。
また、23は廊下であるが、この廊下にも図2と同様の構造の耐震避難構造体3を1個あるいは複数個固定設置してもよく、この場合、高さを高くしてもよい。
さらに、同耐震避難構造体3Aは、図1の右下欄に正面図を示すように、口形のフレーム体にして通常はその口内を生徒が通れる一方において地震発生時に同口内に避難できるようにしてもよい。
勿論、教室などには緊急地震警報器を装備するものとする(以下の実施形態でも同様に適用)。
また、現在では教壇を設置しないものが一般的になっているが、敢えて教壇を設置しその高さ分だけ前耐震避難構造体3を高くして避難空間が高く広い耐震避難構造体3とすることもできる。例えば、教壇を30cm高くすると前耐震避難構造体3も30cm高く120cmにすることができる。
【0012】
図5(正面図)の後耐震避難構造体25は、既設のものを補強したものでなく、教室躯体26内に掃除用具などを入れる用具入れ27を装備する正面矩形枠状体で同枠体内に補強材28を組み合わせて耐震補強をした新規な構造体となっている。
同耐震避難構造体25と躯体26間や他の床面と天井間などには、EPS(高密度高耐荷重性発泡スチロールブロック)製の耐荷重構造品29を積層固定しジョイント30でつなぐようにする。31は残る隙間を埋めるためのベニヤなどの詰め込み積層材で相互接着する。
尚、図5の右欄に側断面図を示すように、後耐震避難構造体25には伸展保護カバー32を備えて避難時に伸びて避難時の安全を確保するようにしてもよい。
【0013】
図6ないし図9は他の実施形態を示す。同実施形態は、前耐震避難構造体35を短く運搬や組み立てなどがしやすいものとする一方で教卓を確保するとともに該教卓が生徒や教師の通りを邪魔しないように工夫されたものである。
【0014】
同前耐震避難構造体35は、スチールや木材などで作製され、縦長の矩形枠体で前後を貫通したボックス36と前蓋37および開閉扉38からなり内部を補強仕切板39により強くした支持体40を両端に備える。開閉扉38を開けるとそこに教師や生徒の所要備品類41を入れておくことができる。
42は底板、43は天板で、支持体40と相互に連結されている。44は耐震つかまり枠で、図9に示すように、上座45と下座46およびこれらの間を結ぶ耐震支柱47、それに中間連結材48を備えた枠体になっている。
【0015】
この耐震つかまり枠44は、図9の右上欄に示すように、縦材49を付加して強度を増したり、あるいは同図右下欄のように、立体交差しその間に挟み板50を固定した筋交い51により補強したものにしてもよい。また、同図左欄に示すように、耐震支柱47の上部にはダンパー52内蔵の受パイプ53を設けてもよい。
【0016】
そして、こうした前耐震避難構造体35は、複数個横並びに配備されて固定具55…により床面に固定されるとともに、相互間をやや離間させてその間の上部に開閉自在な耐震教卓56を設けたものである。
尚、図7に示すように、天板43の裏面には耐震時の緩衝材としてまた避難時の頭打ちを防止するための緩衝板58を介装してもよい。
また、底板42と床面間にも緩衝板58を介装してもよい。
さらに、耐震避難構造体35の地震時の移動を防止するため、図7の仮想線のような伸展式押し当て材59を設けてもよい。
また、前記耐震避難構造体35の更に上方を囲む防護枠60を付加してもよい。
【0017】
図10に示すように、前耐震避難構造体35を3個つないでそれぞれの間に開閉蓋61を装備してもよい。
【0018】
図11および図12は他の実施形態を示す。同実施形態の前耐震避難構造体62は、天板63と底板64間に、外装材65で表装した高密度高耐荷重性発泡スチロール(EPS)でなる支持体66を縦連結具67による連結により左右に配備するとともに、その間に図9のような中間支持体68…を耐震支柱として上下連結のもとで配備してなる。
【0018】
支持体66は図11の下欄左側に示すように上下分割一体化式のものでもよい。
また、中間支持体68はEPS式でもよい。
さらに、中間支持体68がスチールパイプである場合には外装弾質カバー69を巻装しても安全性を上げるようにしてもよい。
また、天板63の裏下には安全のためおよびつかまるためのネット70を張っておいてもよい。この場合、図11の右下欄に示すように弾質体71…を付加してより安全にしてもよい。このネット70と底板64間あるいは天板63と底板64間には、地震時につかまることができる安全のための仕切ネット72…を配備してもよい。
【0019】
図13は他の実施形態を示す。同実施形態は、図11および図12の実施形態(他の実施形態でも適用可能)による前耐震避難構造体62の避難時の安全性の向上を図ったものである。同図では各種案を同じ図内に併せて示してあるがそれぞれに個別の案である。
即ち、第1は、図の左側に示すように、天板63の裏下と側面とに防護ネット75を張ってそれにつかまることができるようにしたものである。右側に示すように教師側の開口にも対応するようにネット75を張ってもよい。中間のものは、天板63の裏につかまり輪76をぶらさげたものである。
尚、同図に示すように、天板63の左右両端上には、補助ブロック77を配備して中間部分への負荷が軽減するようにしてもよい。
【0020】
図14および図15の実施形態は、内面にクッション材79を設けて内部で揺れ動いても安全なようにしてもよい。
【0021】
図16および図17の実施形態は、天板80と底板81間に四角枠状の支持体82および中間支持体83…を連結固定し床面に全体を固定するようにしたもので、支持体82や中間支持体83の内部には四角枠でなる内補強枠84と中央継ぎ手85つき筋交い86を装備して耐震強度を向上させてある。
尚、図17の右欄に示すように、1枚あるいは複数枚の四角な補強板88を装備してもよい。
【0022】
図18の実施形態は、天板90と底板91間に支持体92と中間支持体93を装備したものの2個の耐震避難構造体94の端部同志を中間支持体93により連結するようにしたものである。
尚、他の実施形態でも同様であるが、四角枠状の中間支持体93は図18の上欄に示すようにその開口が前後を向くようにしてもよく、この場合、その開口内も避難空間となる。
【0023】
図19の実施形態は、前耐震避難構造体97および机98…が設置された教室内において耐震避難構造体97への避難に至るまでの間に被害を受けないように室内の離間した4箇所に立設固定した支柱99…により天ネット100を単層あるいは複層に配備して対処したものである。室内に天井板101がある場合(仮想線)にも同様に張るものとする。
【0024】
図20の実施形態は、耐震避難構造体103の中間支持体104内にジャッキ105により昇降自在な棚106を設けて天板107の開口を通じて棚上のパソコン・プロジェクタ・TVモニターなどの映像・映写機器108などが出入可能とされたものである。
【0025】
図21の実施形態は、耐震避難構造体111の底板112を延長して広い座板とし、同底板112を構造躯体の梁113に止着具で連結して耐震避難構造体111を地震で動かないものとしたものである。尚、広い底板113上には、少なくとも4本のコーナー支柱114を天井まで及ぶように立設固定するとともに、これら支柱114間を横連結材115で補強してなる包囲型耐震避難構造体116を立設固定してもよい。この包囲型耐震避難構造体116は、仮想線のように天井まで伸びず低いフレーム体でもよい。
【0026】
図22およびその左側面図である図23の実施形態は、教室の後に設置される物入れ兼避難装置についての耐震避難構造体を示し、120は天板、121は底板で、これらは図23に示すように物入れ124や仕切り棚125などでなる奥フレームより前方へ突き出した広い耐震板でなり、これら上下間を複数の前支柱126で強固につないで全体が作られている。後支柱127を設けてもよい。物入れ124などの奥フレームの前方には避難スペースが出来ており、地震時には図示のように飛び込んで支柱126…につかまるなどして避難すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】 本発明装置を示す教室の横断面図。
【図2】 同前耐震避難構造体の正面図。
【図3】 同耐震避難構造体の縦断面正面図。
【図4】 同耐震避難構造体の図3A−A線断面図。
【図5】 後耐震避難構造体の正面図。
【図6】 他の実施形態を示す横断面図。
【図7】 図6の前耐震避難構造体の正面図。
【図8】 図7のB−B線断面図。
【図9】 図7のC−C線断面図。
【図10】 他の実施形態を示す正面図。
【図11】 他の実施形態を示す正面図。
【図12】 図11の要部拡大断面図。
【図13】 他の実施形態を示す正面図。
【図14】 他の実施形態を示す正面図。
【図15】 図14のE−E線断面図。
【図16】 他の実施形態を示す正面図。
【図17】 図16のF−F線断面図。
【図18】 他の実施形態を示す正面図。
【図19】 他の実施形態を示す正面図。
【図20】 他の実施形態を示す正面図。
【図21】 他の実施形態を示す側面図。
【図22】 他の実施形態を示す正面図。
【図23】 図22の左側面図。
【符号の説明】
【0028】
1…教室 2…黒板 3…前耐震避難構造体 10…支持体 25…後耐震避難構造体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保育園、幼稚園、学校校舎、公民館などの建造物内を対象とする避難装置であって、同建造物の室内や廊下などに地震時の耐震避難構造体を固定設置したことを特徴とする避難装置。
【請求項2】
請求項1に記載のものにおいて、耐震避難構造体は、教卓および/室内施設物を兼用するものである避難装置。
【請求項1】
保育園、幼稚園、学校校舎、公民館などの建造物内を対象とする避難装置であって、同建造物の室内や廊下などに地震時の耐震避難構造体を固定設置したことを特徴とする避難装置。
【請求項2】
請求項1に記載のものにおいて、耐震避難構造体は、教卓および/室内施設物を兼用するものである避難装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2010−1721(P2010−1721A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186532(P2008−186532)
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(594100838)フジワラ産業株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(594100838)フジワラ産業株式会社 (51)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]