説明

部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体

本発明は、部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類、前記類似体又は前記塩類の調製方法、前記類似体又は前記塩類を含んだ医薬組成物、及び、例えば骨粗鬆症等の骨代謝と付随する疾患の治療又は予防に対する薬物の調製のための前記類似体又は前記塩類の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体、該類似体の調製方法、該類似体を含んだ医薬組成物、並びに、例えば骨粗鬆症及び骨痛等の骨代謝と付随する疾患の治療に対する該類似体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
カルシトニンは、哺乳動物の甲状腺傍濾胞細胞(C細胞)によって、又は、魚類及び鳥類等の脊椎動物のさい後体によって分泌される。カルシトニンは、32個のアミノ酸残基を含有する一本鎖ポリペプチド化合物の一種であり、in vivoでのリン酸カルシウム代謝を維持する重要なホルモンの一つである。カルシトニンは、主に、骨吸収を阻止し、血中カルシウムのレベルを低くするといった行動をとる。異なる属から単離される天然カルシトニンは、アミノ酸残基の構成成分という点でいくらか異なるけれども、その全てが、以下の、1,7−位置のN末端のシステイン及びC末端のプロリンアミド基によって形成されるジチオ環構造という構造特徴を分子に含む。魚類等の脊椎動物によって分泌される天然カルシトニンは最も高い活性を示し、一方、哺乳動物によって分泌される天然カルシトニンは比較的低い活性を示し、例えば、サケカルシトニン(sCT、一次配列は、H−シクロ−(Cys−Ser−Asn−Leu−Ser−Thr−Cys)−Val−Leu−Gly−Lys11−Leu−Ser−Gln−Glu−Leu16−His−Lys−Leu−Gln−Thr21−Tyr−Pro−Arg−Thr−Asn26−Thr−Gly−Ser−Gly30−Thr31−Pro−NH))の活性は、ヒトカルシトニン(hCT)の活性よりも30倍高い。カルシトニンは骨粗鬆症を効果的に防ぐことができ、同時に、骨粗鬆症を被る患者の骨痛及びアネルギー等の症状を緩和することができる。現在、sCT、hCT、及び、ウナギカルシトニン(eCT)の合成類似体が、老人及び閉経後の女性の骨粗鬆症、パジェット病、高カルシウム血症、並びに、骨粗鬆症又は骨腫瘍により生じる骨痛の治療のために診療所において主に使用される。
【0003】
Sandoz Co.社によって開発されたsCTは、閉経後の女性の骨粗鬆症等の治療のために主に使用され、エストロゲン禁忌を有する患者及び骨粗鬆症を被る男性患者にも適し、その注入は、Miacalcicという商品名で1日あたり10〜20μgという通常用量で、1986年にはアメリカ合衆国においてすでに市場に出ていた。sCTは、アデニレートシクラーゼ(cAMP)を活性化することができた。cAMPは、破骨細胞における1つの重要なセカンドメッセンジャーとして破骨細胞に対する阻害作用に関与することが研究によって実証された。sCTは、ヒト骨芽細胞に対しても作用し、骨芽細胞の増殖及び分化をシミュレートすることができた。血中カルシウム及びリンのレベルを下げるというsCTの作用は、骨カルシウムの血中カルシウムへの形質転換を阻止することによって主に引き起こされた。同時に、sCTは、尿及び胆汁におけるカルシウム及びリンの排出を促進し、消化管におけるカルシウム及びリンイオンの吸収を阻止することもできた。さらに、sCTは、大脳及び視床下部におけるカルシトニン受容体と特異的に結合し、中枢性鎮痛効果を媒介することもできた。
【0004】
しかし、天然sCTは、in vivoでの酵素性分解によって容易に不活性化する恐れがあり、比較的短い作用時間を有しているため、非経口的に投与しなければならない。天然sCTは、酵素だけでなく溶液においても比較的乏しい安定性を有しており、これは、誰かが考えるように、そのジチオ環に関連している場合がある。従って、治療効果を得るために、診療所において天然sCTは、しばしば長い間注射によって投与されなければならず、その結果、治療に対する患者の服薬率が低くなり、治療の質が下がる。さらに、ジチオ環の存在のため、カルシトニンの合成は比較的困難でその費用は上がるため、得られる薬は高価すぎて患者に受け入れられない。
【0005】
異なるカルシトニンの活性に関して、ジチオ環は異なる作用を持つことが実験によって証明された。sCTのジチオ環は、その活性に対して必要な基ではなく、直鎖状の類似体、すなわち、1,7−ジチオ環のないsCT類似体は、好ましい生理活性を保持したままでいることができた。直鎖状のサケカルシトニン類似体(以下にsCT(L)と呼ぶ)の合成は、より容易になり、その費用は削減された。さらに、ポリペプチド薬物は、ペグ化後に、優れた生理活性を保持したままでいることができ、生物において著しく長い半減期を有することができたということが研究によって実証された。現在、sCTのペグ化はすでに報告されている。3つの部位でペグ化された生成物の代謝半減期がsCTの半減期(4.8分)よりもはるかに長い、すなわち、N末端にてペグ化された生成物の代謝半減期が125.5分であり、Lys11にてペグ化された生成物の代謝半減期が157.3分であり、Lys18にてペグ化された生成物の代謝半減期が281.5分でことが、腎臓ホモジネートにおける代謝を研究することによって発見された(KC Lee,et al,Pharm.Res.,1999,16:813−818)。さらに、Lys18のε−アミノでのsCTの部位特異的なペグ化も報告された(YS Youn,et al,Pharm.Dev.Technol.,2005,10(3):389−396;J Controlled Release,2006,114(3):334−342;2007,117(3):371−379)。
【0006】
従って、ペプチド薬物の作用時間を長くする、生物学的利用率を上げる等の能力があるPEGの特徴によって、反応特異的な化学修飾方法を使用した直鎖状のsCT類似体における正確な部位特異的なモノペグ化を行うことが可能である。従って、反応の特異性を上げるために、直鎖状のsCT類似体は、反応特異的な官能基を含んだアミノ酸残基を含むべき、または、再導入されるべきである。直鎖状のsCT類似体の調製は、当技術分野におけるいかなる従来の技術、好ましくは化学合成方法も使用することによって実行することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、例えば骨粗鬆症等の骨の疾患の治療に対する長時間作用性の薬剤及び製剤の開発を支持するペグ化されたsCT(L)類似体の一種を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における1つの目的は、部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体を提供することであり、それは、アミノ基、カルボキシル基、又は、メルカプト基1つのみが側鎖上に残るよう直鎖状のサケカルシトニン類似体のアミノ酸配列における特定のアミノ酸残基を変え、前記アミノ基、カルボキシル基、又は、メルカプト基に対して部位特異的なペグ化を行うことによって得られる。本発明の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体は、以下に与えられ規定された化学式(1)、化学式(3)、又は、化学式(4)の構造を有している。
【0009】
本発明の別の目的は、部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体を調製する方法を提供することである。
【0010】
本発明は、さらに、部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体のうちの少なくとも一種、又は、その立体異性体若しくは薬剤的に容認できる塩類、及び、薬剤的に容認できる媒体又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0011】
本発明は、さらに、例えば骨粗鬆症及び骨痛等の、骨代謝に付随する疾患又は症状の治療及び予防に対する薬物を調製するための、部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体の使用に関する。
【0012】
本発明の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体は、以下の化学式(1):
【0013】
【化1】


の構造を有しており、
式中、
PEGは、RO(CHCHO)−CHCH−、RはH又はCH、nは25〜2500であり;
Mは、
【0014】
【化2】


であり;
Cysはシステインであり、直鎖状のサケカルシトニン類似体のいかなる部位にも位置することができ、前記部位は、N末端、C末端、及び、配列内のいかなる部位も含み;
sCT(L)は、以下の構造特徴:
Aa−Ser−Asn−Leu−Ser−Thr−Aa−Aa−Leu−Gly−Aa−Leu−Ser−Gln−Glu−Aa−Aa−Aa−Aa−Pro−Aa−Thr−Asn−Thr−Gly−Ser−Aa10−Thr−Pro−NHを有した、直鎖状のサケカルシトニンペプチド類似体であり、
式中、
Aaは、Cys、AcmCys、N−α−プロピノル−Cys、Ala、D−Ala、Val、Leu、Ile、Gly、Ser、Thr、Phe、Met、Trpから選択される非極性アミノ酸であり;
Aaは、Cys、AcmCys、Ala、D−Ala、Val、Leu、Ile、Gly、Ser、Thr、Phe、Met、Trpから選択される非極性アミノ酸であり、Aa及びAaが両方Cysであるということはなく;
Aaは、Val、Gly、Met、Leu、Ile、Cys、Ala、D−Alaから選択される非極性アミノ酸であり;
Aaは、Lys、Cys、Arg、Glnから選択されるアミノ酸であり;
Aaは、Leu、Ala、D−Ala、Ile、Cys、Val、Glyから選択されるアミノ酸であり;
Aaは、His、Cys、Lys、Argから選択されるアミノ酸であり;
Aaは、Lys、Arg、Cys、His、Glnから選択されるアミノ酸であり;
Aaは、−Leu−Gln−Thr−Tyr−、−Gln−Thr−Tyr−、−Thr−Tyr−、−Leu−Gln−Thr−、−Leu−Gln−、−Cys−Tyr−、Leu、Tyr、Ala、D−Ala、Cysから選択され;
Aaは、Arg、Lys、His、Cysから選択されるアミノ酸であり;
Aa10は、Gly、Ala、D−Ala、Cys、Pro、D−Proから選択されるアミノ酸である。
【0015】
特に明記されない限り、前記アミノ酸のうち全てがL−アミノ酸である。
【0016】
本発明における1つの好ましい実施形態によると、化学式(1)中の前記sCT(L)は、以下の構造特徴:
Aaは、Cys、Ala、D−Ala、Valであり;
Aaは、Cys、Ala、D−Alaであり、Aa及びAaが両方Cysであるということはなく;
Aaは、Val、Gly、Ala、D−Alaであり;
Aaは、Lys、Argであり;
Aaは、Leu、Ala、D−Ala、Cysであり;
Aaは、His、Argであり;
Aaは、Lys、Argであり;
Aaは、−Leu−Gln−Thr−Tyr−、−Ala−Gln−Thr−Tyr−であり;
Aaは、Arg、Hisであり;
Aa10は、Gly、Ala、D−Alaである;
を有している。
【0017】
特に明記されない限り、前記アミノ酸のうち全てがL−アミノ酸である。
【0018】
本発明における1つのさらなる好ましい実施形態によると、化学式(1)中の前記sCT(L)は、以下の構造特徴:
Aaは、D−Ala、Valであり;
Aaは、Cysであり;
Aaは、Val、Glyであり;
Aaは、Lysであり;
Aaは、Leu、Alaであり;
Aaは、Hisであり;
Aaは、Lysであり;
Aaは、−Leu−Gln−Thr−Tyr−であり;
Aaは、Argであり;
Aa10は、Ala、D−Alaである;
を有している。
【0019】
特に明記されない限り、前記アミノ酸のうち全てがL−アミノ酸である。
【0020】
本発明の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体は、以下の化学式(3):
【0021】
【化3】


の構造も有することができ、
式中、
PEGは、RO(CHCHO)−CHCH−、RはH又はCH、nは25〜2500であり;
XはO、NH、又はNHCOであり;
mは0〜6であり;
zは1であり;
Cysはシステインであり、直鎖状のサケカルシトニン類似体のいかなる部位にも位置することができ、前記部位は、N末端、C末端、及び、配列内のいかなる部位も含み;
sCT(L)は、直鎖状のサケカルシトニンペプチド類似体であり、その規定及び好ましい実施形態は化学式(1)で記述されたものと同じである。
【0022】
化学式(3)の部位特異的なペグ化をされたsCT(L)直鎖状のサケカルシトニン類似体は、sCT(L)に導入された末端アミノ基、リジンアミノ基、ヒスチジンアミノ基、又は、他のアミノ基とのカルボキシル活性基、アルデヒド基、イソシアノ基、イソチオチアノ基等を有するペグ化試薬の共有結合反応によって得られる。
【0023】
本発明の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体は、以下の化学式(4):
【0024】
【化4】


の構造も有することができ、
式中、
PEGは、RO(CHCHO)−CHCH−、RはH又はCH、nは25〜2500であり;
XはO、NH、又はNHCOであり;
zは1であり;
Cysはシステインであり、直鎖状のサケカルシトニン類似体のいかなる部位にも位置することができ、前記部位は、N末端、C末端、及び、配列内のいかなる部位も含み;
sCT(L)は、直鎖状のサケカルシトニンペプチド類似体であり、その規定及び好ましい実施形態は化学式(1)で記述されたものと同じである。
【0025】
化学式(4)の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体は、sCT(L)に導入された末端カルボキシル基、アスパラギン酸カルボキシル基、グルタミン酸カルボキシル基、又は、他のカルボキシル基とのカルボキシル活性基、アミノ基等を有するペグ化試薬の共有結合反応によって得られる。
【0026】
部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体は、直鎖状のアミノ酸配列内のいかなるアミノ酸残基もシステインと置換し、次に、mPEG−MAL、PEG−VS、又は、PEG−IODOで修飾することによって得られた化合物をさらに含む。
【0027】
本発明によると、以下の部位特異的なペグ化の能力がある直鎖状のサケカルシトニン類似体が好ましい。
【0028】
【表1】


本発明によると、以下の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体が好ましい。
【0029】
【表2】


本発明の化合物は、アミノ酸がFmoc−/tBu−又はBoc/Bzl−によって保護され、連結モードが、配列内でN末端をC末端に連結すること、又は、第一に断片を合成して、次に、その断片を連結することを含む、固相ポリペプチド合成方法、液相ポリペプチド合成方法、及び、固相−液相ポリペプチド合成方法を含めた従来のポリペプチド合成方法を使用することによって調製される。固相合成方法では、アミド末端を形成する能力がある種々の樹脂(例えば、MBHA、PAL、Rink、アミド樹脂等)が支持体として使用され、種々の一般的な縮合剤(例えば、DCC/HOBT、BOP/DIEA、HBTU/HOBt、TBTU等)が縮合反応を行うために使用され、次に、その反応の完了後、トリフルオロ酢酸又は無水HFが樹脂から得られたポリペプチドを分離するために使用される。ペグ化試薬とのポリペプチドの連結は、反応液のpHを適切に調節し、RP−HPLCによってペグ化された生成物をモニターしながら、水溶液又はリン酸緩衝液内で行われ、次に、最終的な生成物が分離及び精製され、MALDI−TOF−MSによって決定される。
【0030】
本発明による好ましい化合物の一部は、動物の血中カルシウムレベルを下げることに対して比較的効果があり、同時に、動物におけるin vivoでの予備活性調査において長時間作用性の能力を示す。
【0031】
本発明は、さらに、活性成分として効果的な量の少なくとも1つのペグ化されたポリペプチド及び/又はその立体異性体若しくはその生理学的に非毒性の塩類、並びに、薬剤的に容認できる媒体又は賦形剤を含む医薬組成物に関する。「薬剤的に容認できる媒体又は賦形剤」という用語は、本明細書において使用される場合、いかなる1つ又は全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤若しくは抗真菌剤、等張及び徐放剤、並びに、類似の生理学的に適合性のある製剤を含み、それらは、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、又は、他の非経口的な経路による投与に適していることが好ましい。投与経路に従い、活性化合物を被覆して、酸又は他の自然条件の影響下での不活性化から前記活性化合物を保護することができる。
【0032】
「生理学的に非毒性の塩類」という用語は、本明細書において使用される場合、予想外の有毒な副作用は産生しないけれども期待された親化合物の生理活性を保持する能力がある塩類、又は、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、安息香酸塩、パモ酸塩、アルギン酸塩、メシル酸塩、ナプシル酸塩(napsylate)等、前記塩類を含んだ組成物を意味している。含有された陽イオンに従い、前記塩類は、カリウム塩、リチウム塩、亜鉛塩、銅塩、バリウム塩、ビスマス塩、カルシウム塩等の無機酸塩、及び、トリアルキルアンモニウム塩等の有機酸塩にも分けることができる。
【0033】
本発明のペグ化されたポリペプチド化合物及びその立体異性体、又は、前記化合物を含んだ医薬組成物は、例えば、経口投与、筋肉内投与、皮下投与、経鼻投与等、いかなる既知の経路においても投与することができる。投与剤形には、錠剤、カプセル剤、バッカル錠剤、咀嚼剤、エリキシル剤、懸濁剤、経皮剤、マイクロカプセル剤、植込錠、シロップ等が含まれる。投与剤形は、一般的な製剤、徐放性製剤、放出制御製剤、及び、種々の微粒子送達システムであり得る。単位用量形態を錠剤に調製するために、当技術分野において周知の種々の生分解性又は生体適合性媒体を広く使用することができる。前記媒体の例には、生理食塩水及び種々の緩衝溶液、エタノール又は他のポリオール、リポソーム、ポリ乳酸、ビニルアセテート、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリ(オルトエステル)等が挙げられる。
【0034】
本発明のペグ化されたポリペプチド化合物の投与量は、予防又は治療されることになる疾患の性質及び重症度の程度;患者又は動物の性別、年齢、体重、感受性、及び、個々の反応;使用される特定の化合物;投与経路;投与頻度、並びに、得られると期待される治療効果等、種々の要因次第である。上記の用量は、単一用量という形、又は、例えば2、3、4回用量等、複数用量という形で投与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明に使用される略語は、以下の意味:

sCT−サケカルシトニン
PEG−ポリエチレングリコール
Ala−アラニン
Arg−アルギニン
Asn−アスパラギン
Cys−システイン
Gln−グルタミン
Glu−グルタミン酸
Gly−グリシン
His−ヒスチジン
Leu−ロイシン
Lys−リジン
Pro−プロリン
Ser−セリン
Thr−スレオニン
Tyr−チロシン
Val−バリン
Fmoc−フルオレニルメチルオキシカルボニル
DMF−ジメチルホルムアミド
DCC−ジシクロヘキシルカルボジイミド
HBTU−2−(1H−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)−1,1,3,3−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロホスフェート
HOBt−1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
TFA−トリフルオロ酢酸
EDT−メルカプトエタノール
RP−HPLC−逆相高速液体クロマトグラフィ
を持つ。
【0036】
本発明をさらに例示するために、以下の実施例及び生物活性実験が使用されるが、いかなる方法においても本発明を限定するよう理解されるべきではない。
【0037】
実施例において固相合成に対して支持体として使用されるMBHA樹脂及びPAM樹脂は、Tianjin Nankai Synthesis Co., Ltd.社によって製造され;DCC、HOBT、BOP、DIEA、及びFmocにより保護された天然アミノ酸は、GL Biochem(Shanghai)Ltd.社及びSuzhou Tianma New Technology Co.,Ltd.社によって製造される。
【実施例1】
【0038】
[D−Ala、Cys(mPEG5000−MAL)、D−Ala30]sCT(化合物12)の合成。
【0039】
ステップ1:[D−Ala、Cys、D−Ala30]sCT(化合物1)の固相合成
250mgのMBHA樹脂(0.12mmol)を固相支持体として、F−moc−Pro−OH、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−D−Ala−OH、Fmoc−Ser(tBu)−OH、Fmoc−Gly−OH、Fmoc−Asn(Trt)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Tyr(tBu)−OH、Fmoc−Gln(Trt)−OH、Fmoc−Leu−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OH、Fmoc−His(Trt)−OH、Fmoc−Glu(OtBu)−OH、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Cys(Trt)−OHを原料として、さらに、DCC−HOBtを縮合剤として使用し、直鎖状のsCTのアミノ酸配列に従いスタンダードなFmoc固相ポリペプチド合成方法によってポリペプチド樹脂を合成した。そのポリペプチドを、分離溶液としての10mlの無水HFと1時間0℃で反応させることによって樹脂から分離した。得られた粗ポリペプチドを水に溶解し凍結乾燥させて、400mgの白い乾燥粉末を得た。得られた粗ポリペプチドを、RP−HPLCによって精製し、Bio Mass Spectrometryによって3415.52という分子量及び11.9分という保持時間を有していると決定された。
【0040】
ステップ2:ペグ化試薬とのポリペプチドの反応
RP−HPLCによって精製した[D−Ala、Cys、D−Ala30]sCTを、水に溶解し、pHが7〜8になるまでリン酸緩衝液で調整し、適切な量のmPEG5000−MALをそこに添加した。次に、反応過程及びRP−HPLCによって分離された生成物をモニターしながら、当該システムを室温にて反応させた。MALDI−TOF−MSによって分析されるように、その生成物は、8550というMn、44という2つの隣接するピークの分子量における差、ポリエチレングリコールの典型的な構造特徴、及び、13.65分というRP−HPLCにおける保持時間を示した。
【実施例2】
【0041】
[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Des−19、Ala30]sCT(化合物13)の合成。
【0042】
合成方法は、実施例1で記述されたものと同一であった。
【0043】
得られたペプチド類似体は、3287.38という分子量及び8.13分という保持時間を有した。MALDI−TOF−MSによって分析されたように、得られたペグ化された生成物は、8465というMn、44という2つの隣接するピークの分子量における差、ポリエチレングリコールの典型的な構造特徴、及び、13.16分というRP−HPLCにおける保持時間を示した。
【実施例3】
【0044】
[Val、Ala、Cys16(mPEG5000−MAL)、Des−19−22、Ala30]sCT(化合物14)の合成。
【0045】
合成方法は、実施例1で記述されたものと同一であった。
【0046】
得られたペプチド類似体は、2896.12という分子量及び7.87分という保持時間を有した。MALDI−TOF−MSによって分析されたように、得られたペグ化された生成物は、8292というMn、44という2つの隣接するピークの分子量における差、ポリエチレングリコールの典型的な構造特徴、及び、13.01分というRP−HPLCにおける保持時間を示した。
【実施例4】
【0047】
[Val、Ala、Gln11,18、Cys16(mPEG5000−MAL)、Des−19−22、Ala30]sCT(化合物15)の合成。
【0048】
合成方法は、実施例1で記述されたものと同一であった。
【0049】
得られたペプチド類似体は、2896.30という分子量及び8.56分という保持時間を有した。MALDI−TOF−MSによって分析されたように、得られたペグ化された生成物は、8295というMn、44という2つの隣接するピークの分子量における差、ポリエチレングリコールの典型的な構造特徴、及び、13.26分というRP−HPLCにおける保持時間を示した。
【実施例5】
【0050】
[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Des−19−22、Ala30]sCT(化合物16)の合成。
【0051】
合成方法は、実施例1で記述されたものと同一であった。
【0052】
得られたペプチド類似体は、2937.33という分子量及び8.87分という保持時間を有した。MALDI−TOF−MSによって分析されたように、得られたペグ化された生成物は、7907というMn、44という2つの隣接するピークの分子量における差、ポリエチレングリコールの典型的な構造特徴、及び、11.82分というRP−HPLCにおける保持時間を示した。
【実施例6】
【0053】
[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Des−19、Ala30]sCT(化合物17)の合成。
【0054】
合成方法は、実施例1で記述されたものと同一であった。
【0055】
得られたペプチド類似体は、3330.8という分子量及び10.66分という保持時間を有した。MALDI−TOF−MSによって分析されたように、得られたペグ化された生成物は、8476というMn、44という2つの隣接するピークの分子量における差、ポリエチレングリコールの典型的な構造特徴、及び、13.38分というRP−HPLCにおける保持時間を示した。
【実施例7】
【0056】
[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Gln18、Des−19−22、Ala30]sCT(化合物18)の合成。
【0057】
合成方法は、実施例1で記述されたものと同一であった。
【0058】
得られたペプチド化合物は、2938.30という分子量及び9.54分という保持時間を有した。MALDI−TOF−MSによって分析されたように、得られたペグ化された生成物は、8033というMn、44という2つの隣接するピークの分子量における差、ポリエチレングリコールの典型的な構造特徴、及び、11.10分というRP−HPLCにおける保持時間を示した。
【実施例8】
【0059】
[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Gln11、Des−19−22、Ala30]sCT(化合物19)の合成。
【0060】
合成方法は、実施例1で記述されたものと同一であった。
【0061】
得られたペプチド類似体は、2938.23という分子量及び8.95分という保持時間を有した。MALDI−TOF−MSによって分析されたように、得られたペグ化された生成物は、7899というMn、44という2つの隣接するピークの分子量における差、ポリエチレングリコールの典型的な構造特徴、及び、13.43分というRP−HPLCにおける保持時間を示した。
【実施例9】
【0062】
[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Gln11,18、Des−19−22、Ala30]sCT(化合物20)の合成。
【0063】
合成方法は、実施例1で記述されたものと同一であった。
【0064】
得られたペプチド類似体は、2937.44という分子量及び9.47分という保持時間を有した。MALDI−TOF−MSによって分析されたように、得られたペグ化された生成物は、8336というMn、44という2つの隣接するピークの分子量における差、ポリエチレングリコールの典型的な構造特徴、及び、13.69分というRP−HPLCにおける保持時間を示した。
【実施例10】
【0065】
[Val、Ala、Cys19(mPEG5000−MAL)、Des−20−22、Ala30]sCT(化合物21)の合成。
【0066】
合成方法は、実施例1で記述されたものと同一であった。
【0067】
得られたペプチド類似体は、3008.48という分子量及び8.77分という保持時間を有した。MALDI−TOF−MSによって分析されたように、得られたペグ化された生成物は、8055というMn、44という2つの隣接するピークの分子量における差、ポリエチレングリコールの典型的な構造特徴、及び、13.36分というRP−HPLCにおける保持時間を示した。
【実施例11】
【0068】
[Val、Ala、Cys19(mPEG5000−MAL)、Des−20−21、Ala30]sCT(化合物22)の合成。
【0069】
合成方法は、実施例1で記述されたものと同一であった。
【0070】
得られたペプチド類似体は、3171.52という分子量及び9.46分という保持時間を有した。MALDI−TOF−MSによって分析されたように、得られたペグ化された生成物は、8296というMn、44という2つの隣接するピークの分子量における差、ポリエチレングリコールの典型的な構造特徴、及び、13.53分というRP−HPLCにおける保持時間を示した。
【実施例12】
【0071】
カルシウム低下活性に対する評価
sCT(L)及びそのペグ化された類似体のカルシウム低下活性度を、文献に記載された方法(Qian Deming,Shen Genquan,Ke Ruolun;Biological Assay of Calcitonin by Blood Calcium Determination in Rats,CHINESE JOURNAL OF PHARMACEUTICAL ANALYSIS,1994,14(3):30−34を参照)に従い皮下注射を介してネズミの腹部にそれらを投与することによって決定した。
【0072】
サケカルシトニンの参照活性度は4500IU/mgである一方、決定された活性結果を以下のように列挙した。
【0073】
【表3】


表中の化合物1〜11は、それぞれ、実施例1〜11で合成したペグ化されていない直鎖状のサケカルシトニン類似体であった。
【0074】
表3からわかるように、直鎖状のサケカルシトニン類似体及びそのペグ化された類似体は全て、効果的なカルシウム低下活性を示した。
【実施例13】
【0075】
ペグ化されたsCT(L)類似体の長時間作用性の能力に対する調査。
【0076】
表3の化合物12を例とした。
【0077】
体重が250〜280gで16週齢の雌のウィスターラット60匹を、6つの群:擬似去勢した(pseudo−castrated)対照群(10匹のネズミ);去勢した対照群(10匹のネズミ);カルシトニン群(10匹のネズミ、週2回、1回あたり1kgの体重につき0.036μg);化合物12の低用量群(10匹のネズミ、週2回、1回あたり1kgの体重につき0.216μg);化合物の高用量群(10匹のネズミ、週2回、1回あたり1kgの体重につき1.08μg);及び、化合物の高用量群(10匹のネズミ、週1回、1回あたり1kgの体重につき1.08μg);に無作為に分けた。前記群のそれぞれにおいて皮下投与を与えた。実験中、前記群のそれぞれにおけるネズミは、自由に、スタンダードな固体の飼料を餌にし、水を飲んだ。週1回投与された化合物12の高用量群を除いて、投与6週目に血液試料を他の群におけるネズミの眼縁部からそれぞれ採取し、オステオカルシン、血清カルシウム、及び、アルカリホスファターゼの決定を受けさせた(表4)。投与12週目の終わりには、オステオカルシン、血清カルシウム、及び、アルカリホスファターゼ(表5)に加えて、前記群のそれぞれにおけるネズミの腰椎、脛骨、及び、大腿骨の骨密度を決定した(表6)。
【0078】
【表4】

【0079】
【表5】

【0080】
【表6】


表4、5、及び6からわかるように、投与6及び12週目には、化合物12の高用量群は、ネズミの骨代謝に対する影響に関連する実験における正の対照sCT群に実質的に同等であった。12週間続いた骨密度に対する影響に関連する実験中、化合物12の高用量群及び正の対照sCT群は、どちらもネズミの腰椎の骨密度を上げ;さらに、(週1回投与した)ペグ化された化合物の高用量群は、腰椎の骨密度に対して、(週2回投与した)カルシトニン(sCT)群と比較して実質的に同等の影響を発揮した。結果は、ペグ化されたsCT(L)の長時間作用性の能力を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N末端、C末端、及び、配列内のいかなる部位も含めた直鎖状のサケカルシトニン[sCT(L)]のいかなる部位においてもペグ化が生じ得る、部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項2】
前記ペグ化がモノペグ化である、請求項1に記載の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項3】
前記PEGが、2,000から100,000に及ぶ分子量を有する、請求項1又は2に記載の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項4】
前記PEGが、5,000から60,000に及ぶ分子量を有する、請求項3に記載の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類であって、以下の化学式(5):
【化5】


の構造を有し、
式中、
PEGは、RO(CHCHO)−CHCH−、RはH又はCH、nは25〜2500であり;
Mは、
【化6】


であり;
Cysはシステインであり、前記直鎖状のサケカルシトニン類似体のいかなる部位にも位置することができ、前記部位は、N末端、C末端、及び、配列内のいかなる部位も含み;
sCT(L)は、直鎖状のサケカルシトニンペプチド類似体である;
部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項6】
請求項5に記載の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類であって、化学式(5)における前記sCT(L)が、以下の構造特徴:
Aa−Ser−Asn−Leu−Ser−Thr−Aa−Aa−Leu−Gly−Aa−Leu−Ser−Gln−Glu−Aa−Aa−Aa−Aa−Pro−Aa−Thr−Asn−Thr−Gly−Ser−Aa10−Thr−Pro−NHを有し、
式中、
Aaは、Cys、AcmCys、N−α−プロピノル−Cys、Ala、D−Ala、Val、Leu、Ile、Gly、Ser、Thr、Phe、Met、Trpから選択される非極性アミノ酸であり;
Aaは、Cys、AcmCys、Ala、D−Ala、Val、Leu、Ile、Gly、Ser、Thr、Phe、Met、Trpから選択される非極性アミノ酸であり、Aa及びAaが両方Cysであるということはなく;
Aaは、Val、Gly、Met、Leu、Ile、Cys、Ala、D−Alaから選択される非極性アミノ酸であり;
Aaは、Lys、Cys、Arg、Glnから選択されるアミノ酸であり;
Aaは、Leu、Ala、D−Ala、Ile、Cys、Val、Glyから選択されるアミノ酸であり;
Aaは、His、Cys、Lys、Argから選択されるアミノ酸であり;
Aaは、Lys、Arg、Cys、His、Glnから選択されるアミノ酸であり;
Aaは、−Leu−Gln−Thr−Tyr−、−Gln−Thr−Tyr−、−Thr−Tyr−、−Leu−Gln−Thr−、−Leu−Gln−、−Cys−Tyr−、Leu、Tyr、Ala、D−Ala、Cysから選択され;
Aaは、Arg、Lys、His、Cysから選択されるアミノ酸であり;
Aa10は、Gly、Ala、D−Ala、Cys、Pro、D−Proから選択されるアミノ酸であり;
特に明記されない限り、前記アミノ酸のうち全てがL−アミノ酸である、部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項7】
請求項6に記載の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類であって、
Aaは、Cys、Ala、D−Ala、Valであり;
Aaは、Cys、Ala、D−Alaであり、Aa及びAaが両方Cysであるということはなく;
Aaは、Val、Gly、Ala、D−Alaであり;
Aaは、Lys、Argであり;
Aaは、Leu、Ala、D−Ala、Cysであり;
Aaは、His、Argであり;
Aaは、Lys、Argであり;
Aaは、−Leu−Gln−Thr−Tyr−、−Ala−Gln−Thr−Tyr−であり;
Aaは、Arg、Hisであり;
Aa10は、Gly、Ala、D−Alaであり;
特に明記されない限り、前記アミノ酸のうち全てがL−アミノ酸である、部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項8】
請求項7に記載の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類であって、
Aaは、D−Ala、Valであり;
Aaは、Cysであり;
Aaは、Val、Glyであり;
Aaは、Lysであり;
Aaは、Leu、Alaであり;
Aaは、Hisであり;
Aaは、Lysであり;
Aaは、−Leu−Gln−Thr−Tyr−であり;
Aaは、Argであり;
Aa10は、Ala、D−Alaであり;
特に明記されない限り、前記アミノ酸のうち全てがL−アミノ酸である、部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項9】
(1)[D−Ala、Cys(mPEG5000−MAL)、D−Ala30]sCT;
(2)[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Des−19、Ala30]sCT;
(3)[Val、Ala、Cys16(mPEG5000−MAL)、Des−19−22、Ala30]sCT;
(4)[Val、Ala、Gln11,18、Cys16(mPEG5000−MAL)、Des−19−22、Ala30]sCT;
(5)[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Des−19−22、Ala30]sCT;
(6)[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Des−19、Ala30]sCT;
(7)[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Gln18、Des−19−22、Ala30]sCT;
(8)[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Gln11、Des−19−22、Ala30]sCT;
(9)[Val、Cys(mPEG5000−MAL)、Gln11,18、Des−19−22、Ala30]sCT;
(10)[Val、Ala、Cys19(mPEG5000−MAL)、Des−20−22、Ala30]sCT;及び
(11)[Val、Ala、Cys19(mPEG5000−MAL)、Des−20−21、Ala30]sCT;
から選択される、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項10】
部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類であって、以下の化学式(7):
【化7】


の構造を有し、
式中、
PEGは、RO(CHCHO)−CHCH−、RはH又はCH、nは25〜2500であり;
XはO、NH、又はNHCOであり;
mは0〜6であり;
zは1であり;
Cysはシステインであり、直鎖状のサケカルシトニン類似体のいかなる部位にも位置することができ、前記部位は、N末端、C末端、及び、配列内のいかなる部位も含み;
sCT(L)は、直鎖状のサケカルシトニンペプチド類似体である;
部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項11】
部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類であって、以下の化学式(8):
【化8】


の構造を有し、
式中、
PEGは、RO(CHCHO)−CHCH−、RはH又はCH、nは25〜2500であり;
XはO、NH、又はNHCOであり;
zは1であり;
Cysはシステインであり、直鎖状のサケカルシトニン類似体のいかなる部位にも位置することができ、前記部位は、N末端、C末端、及び、配列内のいかなる部位も含み;
sCT(L)は、直鎖状のサケカルシトニンペプチド類似体である;
部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項12】
前記sCT(L)が、請求項6乃至8のいずれか一項に記載のsCT(L)である、請求項10又は11に記載の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項13】
(1)[D−Ala、Cys、D−Ala30]sCT;
(2)[Val、Cys、Des−19、Ala30]sCT;
(3)[Val、Ala、Cys16、Ala30、Des−19−22]sCT;
(4)[Val、Ala、Gln11,18、Cys16、Ala30、Des−19−22]sCT;
(5)[Val、Cys、Des−19−22、Ala30]sCT;
(6)[Val、Cys、Ala30、Des−19]sCT;
(7)[Val、Cys、Gln18、Ala30、Des−19−22]sCT;
(8)[Val、Cys、Gln11、Ala30、Des−19−22]sCT;
(9)[Val、Cys、Gln11,18、Ala30、Des−19−22]sCT;
(10)[Val、Ala、Cys19、Ala30、Des−20−22]sCT;及び
(11)[Val、Ala、Cys19、Ala30、Des−20−21]sCT;
から選択される、直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項14】
前記直鎖状のサケカルシトニン類似体における部分的なアミノ酸が非存在であり得る、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の直鎖状のサケカルシトニン類似体、又は、その部位特異的なペグ化をされた類似体若しくはその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項15】
前記直鎖状のアミノ酸配列におけるいかなるアミノ酸残基もシステインと置換することができる、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の直鎖状のサケカルシトニン類似体、又は、その部位特異的なペグ化をされた類似体若しくはその薬剤的に容認できる塩類。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の直鎖状のサケカルシトニン類似体、又は、その部位特異的なペグ化をされた類似体若しくはその薬剤的に容認できる塩類、及び、薬剤的に容認できる媒体又は賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項17】
骨代謝に付随する疾患及び症状の治療又は予防に対する薬物を調製するための、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の部位特異的なペグ化をされた直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類の使用。
【請求項18】
前記骨代謝に付随する疾患が、老人及び閉経後の女性の骨粗鬆症、パジェット病、高カルシウム血症、又は、骨粗鬆症若しくは骨腫瘍により生じる骨痛である、請求項17に記載の使用。
【請求項19】
骨代謝に付随する疾患及び症状の治療又は予防に対する薬物を調製するための、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の直鎖状のサケカルシトニン類似体又はその薬剤的に容認できる塩類の使用。
【請求項20】
前記骨代謝に付随する疾患が、老人及び閉経後の女性の骨粗鬆症、パジェット病、高カルシウム血症、又は、骨粗鬆症若しくは骨腫瘍により生じる骨痛である、請求項19に記載の使用。


【公表番号】特表2010−533129(P2010−533129A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−511476(P2010−511476)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【国際出願番号】PCT/CN2008/001093
【国際公開番号】WO2008/151512
【国際公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(509341802)中国人民解放▲軍▼▲軍▼事医学科学院毒物▲薬▼物研究所 (2)
【Fターム(参考)】