説明

部品供給装置、部品供給方法、および部品検査装置

【課題】部品を搭載するトレイのマガジン3への入替えの際に、余分な待ち時間の発生を回避するとともに、装置の小型化が実現可能な部品供給装置、その方法を提供する。
【解決手段】部品1を搭載する複数のトレイ2をストックするマガジン3、このマガジン3に対してトレイ2を出し入れするトレイ移載機構4、このトレイ移載機構4でマガジン3からトレイ移載位置P3まで取り出されたトレイ2を受け取り所定の部品供給位置P1まで搬送するトレイ搬送機構5を備え、トレイ移載機構4とトレイ搬送機構5との間でトレイ2を受け渡しするトレイ移載位置P3に、トレイ2を一時的に保持してトレイ移載機構4やトレイ搬送機構5の平面的な動作範囲から退避させるトレイ退避機構7を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給装置、部品供給方法、および部品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ等の各種の部品の検査を実施する部品検査装置においては、部品供給側のマガジンから検査対象となる多数の部品を搭載したトレイを取り出し、部品供給位置P1にこのトレイを搬送した後、このトレイの中から部品を一つずつ部品検査を実施するテスティング装置の検査テーブルへと移送する。検査の進行に伴い、トレイ内の検査対象となる部品が全て空になると、部品供給側のマガジンへこの空になったトレイを戻して収納し、次の部品を搭載したトレイを部品供給位置P1へと搬送した後、再度部品を検査テーブルへと移送する。なお、以下の説明において、部品を搭載したトレイを部品搭載トレイと、部品が搭載されない空のトレイを空トレイと、両者を特に区別しない場合には単にトレイと称する。
【0003】
一方、各部品の検査終了後、良品と判定された部品は部品搬出位置P2まで搬送されているトレイへ、不良品と判定された部品は不良品収納箱へとそれぞれ移送される。部品搬出位置P2のトレイが良品と判定された部品で満載状態になった場合には、部品搭載トレイを部品搬出側のマガジンへと搬送して収納し、次の空トレイを部品搬出側のマガジンから部品搬出位置P2へと搬送した後、再度良品と判定された部品をこの空トレイへ搭載する。
【0004】
このような部品検査装置においては、部品供給側と部品搬出側の各マガジンへのトレイの入れ替えの際に、それぞれ無駄な待ち時間が発生するのを回避するため、従来技術では、部品供給位置P1の手前と、部品搬出位置P2の後方に、それぞれトレイの待機位置を設置し、部品供給位置P1あるいは部品搬出位置P2にある部品搭載トレイと上記待機位置にある空トレイとを回転させて置き換えるトレイ回転機構を設けたものが提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【0005】
この従来技術によれば、部品の検査中に、部品供給側では部品搭載トレイを部品供給側のマガジンから検査テーブルの手前の部品供給位置P1まで搬送し、また部品搬出側では空トレイを部品搬出側のマガジンから部品搬出位置P2までそれぞれ予め搬送して待機しておくことができるため、部品供給側と部品搬出側の各マガジンへのトレイの入れ替えの際に生じる待ち時間を短縮することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公表WO2008−090976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の従来技術のように、部品供給位置P1の手前と、部品搬出位置P2の後方にそれぞれトレイの待機位置を設置して部品搭載トレイと空トレイとを回転させて置き換えるトレイ回転機構を設ける場合には、部品供給側のマガジンと部品供給位置P1との間でトレイを搬送する機構や、部品搬出側のマガジンと部品搬出位置P3との間でトレイを搬送する機構と、上記のトレイ回転機構とが互いに機械的に干渉しないようにする必要があり、そのため、平面的に見た場合に各機構の配置スペースが大きくなり、装置全体が大型化して小型化が難しくなるという課題がある。
【0008】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、部品を搭載するトレイのマガジンへの入れ替えの際に、無駄な待ち時間が発生するのを回避できるとともに、各機構の平面的な配置スペースを小さくできて装置の小型化が実現できる部品供給装置、部品供給方法、および部品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る部品供給装置は、部品を搭載する複数のトレイをストックするマガジン、このマガジンに対してトレイを出し入れするトレイ移載機構、およびこのトレイ移載機構で上記マガジンからトレイ移載位置まで取り出された上記トレイを受け取って所定の部品供給位置まで搬送するトレイ搬送機構を備え、上記トレイ移載機構と上記トレイ搬送機構との間でトレイを受け渡しする上記トレイ移載位置に、上記トレイを一時的に保持して上記トレイ移載機構や上記トレイ搬送機構の平面的な動作範囲から退避させるトレイ退避機構を設けたことを特徴としている。
【0010】
また、この発明に係る部品供給方法は、上記の部品供給装置を用い、上記部品供給位置で部品が供給されて空となった空トレイを上記トレイ搬送機構で上記トレイ移載位置まで搬送し、上記トレイ退避機構により一時的に垂直方向へと退避させ、この状態で上記トレイ移載機構により上記マガジンから部品搭載トレイを取り出して上記トレイ搬送機構により上記部品供給位置まで搬送し、この部品供給位置で部品搭載トレイが空になるまでの期間中に、上記トレイ退避機構により退避させておいた上記空トレイを上記トレイ移載機構に移載して空トレイを上記マガジン内に収納するとともに、上記マガジン内の部品搭載トレイを上記トレイ移載機構で保持した状態にして次の部品搭載トレイの搬送準備を行うことを特徴としている。
【0011】
また、この発明に係る部品検査装置は、上記構成の部品供給装置を備えるとともに、上記部品供給位置に搬送されてくる部品搭載トレイに搭載されている各部品の検査を実施するテスティング装置を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、トレイ退避機構を設けることにより、トレイ移載機構やトレイ移載機構のトレイ移送動作と干渉することなく、マガジンへの空トレイの収納とマガジンからの部品搭載トレイの取り出しとを円滑に行うことができる。このため、従来技術のように、部品供給位置の手前にトレイの待機位置を設置して部品搭載トレイと空トレイとを回転させて置き換えるトレイ回転機構を設ける必要がないので、各機構の平面的な配置スペースを小さくできて装置の小型化を実現することが可能となる。
【0013】
しかも、部品供給側のマガジンへのトレイの入れ替えの際に、空トレイをトレイ退避機構で一時的に退避させた状態でマガジンから部品搭載トレイを取り出して部品供給位置まで搬送し、部品供給位置で部品搭載トレイが空になるまでの期間中に、トレイ退避機構により退避させておいた空トレイをマガジン内に収納するとともに、マガジン内の部品搭載トレイの搬送準備を行うので、次に、部品供給位置にあるトレイが空トレイになった時点で、この空トレイをトレイ退避機構で再度一時的に退避させることで、直ちに次の部品搭載トレイをマガジンから取り出して部品供給位置まで供給すことができる。このため、マガジンへのトレイの入れ替えの際に、無駄な待ち時間が発生するのを極力少なくすることができ、スループットが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1に係る部品検査装置の全体の概略構成を示す平面配置図である。
【図2】同装置で使用するトレイを示すもので、同図(a)は平面図、同図(b)は正面図、同図(c)は側面図である。
【図3】同装置を構成するトレイ移載機構により部品を搭載したトレイを引き出した状態を示す概略平面図である。
【図4】同装置を構成するトレイ移載機構により部品を搭載したトレイを引き出した状態を示す概略側面図である。
【図5】同装置を構成するトレイ移載機構のトレイ支持アームをマガジン内に挿入した状態を示す概略平面図である。
【図6】同装置を構成するトレイ移載機構のトレイ支持アームをマガジン内に挿入した状態を示す概略正面図である。
【図7】同装置を構成するトレイ移載機構のトレイ支持アームをマガジン内に挿入した状態を示す概略側面図である。
【図8】マガジン内における棚とトレイ支持アームとによるトレイの受け渡しの関係を拡大して示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態1に係る部品検査装置を構成するトレイ搬送機構およびトレイ退避機構の各構成と、これらの各機構とトレイ移載機構の配置関係を示す概略正面図である。
【図10】図9の概略側面図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る部品検査装置のトレイ搬送動作の手順を示す説明図である。
【図12】同部品検査装置によるトレイ搬送動作状態の一部を示す説明図である。
【図13】同部品検査装置によるトレイ搬送動作状態の一部を示す説明図である。
【図14】同部品検査装置によるトレイ搬送動作状態の一部を示す説明図である。
【図15】同部品検査装置によるトレイ搬送動作状態の一部を示す説明図である。
【図16】同部品検査装置によるトレイ搬送動作状態の一部を示す説明図である。
【図17】同部品検査装置によるトレイ搬送動作状態の一部を示す説明図である。
【図18】同部品検査装置によるトレイ搬送動作状態の一部を示す説明図である。
【図19】同部品検査装置によるトレイ搬送動作状態の一部を示す説明図である。
【図20】同部品検査装置によるトレイ搬送動作状態の一部を示す説明図である。
【図21】同部品検査装置によるトレイ搬送動作状態の一部を示す説明図である。
【図22】同部品検査装置によるトレイ搬送動作状態の一部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る部品検査装置の全体の概略構成を示す平面配置図である。
【0016】
この実施の形態1の部品検査装置は、半導体チップ等の各種の部品1の検査を実施するテスティング装置A、このテスティング装置Aに部品1を供給する部品供給装置B、およびテスティング装置Aによる検査後の部品1を搬出する部品搬出装置Cを備える。
【0017】
上記のテスティング装置Aは、検査対象となる部品1が載置される検査テーブル6、部品供給装置Bから供給される部品搭載トレイ2から検査対象となる部品を個別に取り出して検査テーブル6に移送するとともに、検査後の部品1を検査テーブル6から取り出して部品搬出装置Cに移送するロボットアームなどを備えた部品ピックアップ機構(図示せず)、検査テーブル6上に載置された各部品1について各種の電気的特性を検査する検査機器(図示せず)を備えている。
【0018】
部品供給装置Bは、部品1を搭載する多数のトレイ2をストックするマガジン3、このマガジン3に対してトレイ2を出し入れするとともに、後述のトレイ搬送機構5との間でトレイ2を移載するトレイ移載機構4、このトレイ移載機構4で移載される部品搭載トレイ2をテスティング装置Aの検査テーブル6直前の部品供給位置P1まで搬送するとともに、検査テーブル6に全ての部品が供給された後の空トレイ2をマガジン3に隣接したトレイ移載位置P3まで搬送するトレイ搬送機構5、および空トレイを一時的に保持してトレイ移載機構4やトレイ搬送機構5の平面的な動作範囲から退避させるトレイ退避機構7を備えている。
【0019】
一方、部品搬出装置Cは、テスティング装置Aによる検査後の部品を搭載した多数のトレイをストックするマガジン12、テスティング装置Aにより部品搬出位置P2に移送される良品と判定された各部品をトレイ2に搭載してトレイ移載位置P4まで搬送するトレイ搬送機構13、このトレイ搬送機構13でトレイ移載位置P4まで搬送されたトレイ2を受け取ってマガジン12内に収納するトレイ移載機構(図示せず)を備え、かつ、テスティング装置Aと部品搬出位置P2との間の箇所には、検査後に良品と判定された部品を一時的に保管しておくための仮置場所9が設けられるとともに、検査後に不良品と判定された部品を収納する不良品収納箱11が設けられている。
【0020】
なお、部品搬出装置Cを構成するマガジン12、トレイ移載機構(図示せず)、トレイ搬送機構13の各構造は、部品供給装置Bを構成するマガジン3、トレイ移載機構4、トレイ搬送機構5の各構造と基本的に同じである。よって、ここでは、主として、部品供給装置B側の構成について説明する。また、説明の便宜上、水平面上の互いに直交する方向をX軸方向とY軸方向とし、水平面と直交する垂直方向をZ軸方向とする。
【0021】
ここに、トレイ2は、図2に示すように、多数の部品1が載置される部品載置板2aと、この部品載置板2aのX軸方向に沿う前後端に設けられたフランジ部2bとを有する。そして、部品載置板2aには前後二か所にマガジン3の後述の棚やトレイ搬送機構5のトレイ載置テーブルに設けられた突起と嵌合する位置決め穴2cが、また、各フランジ部2bにはトレイ移載機構4の後述のトレイ支持アーム4cに設けられた突起4eと嵌合する位置決め穴2dがそれぞれ設けられている。
【0022】
部品供給側のマガジン3は、図4に示すように、筐体3a内に多数のトレイ2をストックする棚3bがZ軸方向に沿って多段にわたって設けられるとともに、各棚3bが棚固定板3cに固定されており、これらの各棚3bと棚固定板3cとは筐体3aに設けられたガイド部材に沿って駆動モータ(いずれも図示せず)によりZ軸方向に沿って一体的に上下動するように構成されている。そして、各棚3bにはトレイ2の部品載置板2aに設けられ前述の位置決め穴2cに嵌合される一対の位置決め用の突起3dがX軸方向に沿って前後に設けられている。
【0023】
トレイ移載機構4は、マガジン3とトレイ搬送機構5の直上のトレイ移載位置P3との間を、トレイ2のZ軸方向の高さを変えることなく一定に保ったままY軸方向に沿って移動するように構成されている。すなわち、このトレイ移載機構4は、図3ないし図7に示すように、Y軸方向に沿ってマガジン3の筐体3a近傍まで伸びる左右一対のガイドレール4aを有し、この一対のガイドレール4aの間には図示しない駆動モータにより当該ガイドレール4aに沿って駆動される摺動部材4bが架設され、この摺動部材4bには、Y軸方向に沿って伸びる左右一対のトレイ載置用のトレイ支持アーム4cの各基端部がX軸方向に沿って移動可能に取り付けられるとともに、一対のトレイ支持アーム4cの間隔を拡縮するための一対のシリンダ4dが取り付けられている。そして、トレイ支持アーム4cの先端部には、トレイ2のフランジ部2bに設けられ前述の位置決め穴2dに嵌合される一対の位置決め用の突起4eが設けられている。
【0024】
ここで、マガジン3とトレイ移載機構4との間のトレイの受け渡しの関係に着目すると、図8に一部拡大して示すように、トレイ支持アーム4cのみをマガジン3の筐体3a内に挿入してマガジン3からトレイ2を取り出す場合、マガジン3内でトレイ2が載置された棚3bを少し上昇すると、棚3bとトレイのフランジ部2bとの間の隙間にトレイ移載機構4のトレイ支持アーム4cが挿入できるので、次にトレイ支持アーム4cの左右の間隔をシリンダ4dで狭めてから棚3bを下降させると、トレイ支持アーム4cの先端の突起4eがトレイ2のフランジ部2bの位置決め穴2dに嵌入するとともに、マガジン3の棚3bの突起3dが部品載置板2aの位置決め穴2cから外れる。これにより、トレイ支持アーム4cにトレイ2が載置されるので、トレイ2が載置されたトレイ支持アーム4cをマガジン3内から外部に引き出すことができる。
【0025】
これとは逆に、トレイ2を載置したトレイ支持アーム4cをマガジン3の筐体3a内に挿入してマガジン3にトレイ2を収納する場合、マガジン3の棚3bを少し上昇すると、その突起3dが部品載置板2aの位置決め穴2cに嵌入するととともに、棚3bが部品載置板2aの底部を押し上げるので、トレイ支持アーム4cの先端の突起4eがトレイ2のフランジ部2bの位置決め穴2dから外れる。そのため、トレイ2は棚3bに載置された状態になるとともに、トレイ移載機構4のトレイ支持アーム4cの間隔をシリンダ4dで拡げることができる。これにより、トレイ支持アーム4cはトレイ載置状態から解放され、単独でマガジン3内から外部に引き出すことができる。
【0026】
トレイ搬送機構5は、テスティング装置Aの検査テーブル6直前の部品供給位置P1とマガジン3に隣接したトレイ移載位置P3との間をX軸方向に沿って水平移動するとともに、トレイ移載位置P3においてトレイ移載機構4と干渉しない範囲でZ軸方向に沿って昇降動作するように構成されている。
【0027】
すなわち、このトレイ搬送機構5は、図9及び図10に示すように、部品供給位置P1からトレイ移載位置P3までの間に渡ってX軸方向に沿って延設されたガイド軸5aと、トレイ2が載置されるトレイ載置テーブル5bとを備える。また、トレイ搬送機構5のガイド軸5aには図示しない駆動モータにより当該ガイド軸5aに沿って駆動されるステージ5cが摺動可能に設けられ、このステージ5cにはトレイ載置テーブル5bを昇降する一対のテーブル昇降機構5dが一体に取り付けられている。ここに、テーブル昇降機構5dは、トレイ移載機構4によるY軸方向に沿ったトレイ2の移動に干渉しないように、Z軸方向に沿ってトレイ載置テーブル5bをトレイ支持アーム4cに載置されたトレイ2に当接する位置まで昇降動作させるもので、例えば図示しないラックピニオン機構とこれを駆動する駆動モータにより構成される。そして、上記のトレイ載置テーブル5bには、トレイ2の部品載置板2aの位置決め穴2cに嵌入される一対の位置決め用の突起5eがX軸方向に沿って前後に設けられている。
【0028】
ここで、トレイ移載機構4とトレイ搬送機構5との間のトレイ2の受け渡しの関係に着目すると、トレイ移載位置P3において、トレイ移載機構4のトレイ支持アーム4cにトレイが載置されている場合に、トレイ搬送機構5のテーブル昇降機構5dによりトレイ載置テーブル5bが上昇されると、トレイ載置テーブル5bの突起5eが部品載置板2aの位置決め穴2cに嵌入するととともに、トレイ移載機構4のトレイ支持アーム4cの先端の突起4eがトレイ2のフランジ部2bの位置決め穴2dから外れる。そのため、トレイ2はトレイ載置テーブル5bの上に載置された状態になるとともに、トレイ移載機構4のトレイ支持アーム4cの間隔をシリンダ4dで拡げることができ、これによりトレイ支持アーム4cはトレイ載置状態から解放される。
【0029】
一方、トレイ移載位置P3において、トレイ搬送機構5のトレイ載置テーブル5bの上にトレイ2が載置されている場合に、テーブル昇降機構5dによりトレイ載置テーブル5bが上昇されると、トレイ2のフランジ部2bとの間の隙間にトレイ支持アーム4cが挿入できるので、次に両トレイ支持アーム4cの左右の間隔をシリンダ4dで狭めてからテーブル昇降機構5dによりトレイ載置テーブル5bを下降させる。すると、トレイ支持アーム4cの先端の突起4eがトレイ2のフランジ部2bの位置決め穴2dに嵌入するとともに、トレイ載置テーブル5bの突起5eがトレイ2の部品載置板2aの位置決め穴2cから外れる。そのため、トレイ載置テーブル5bによるトレイ載置状態が解放され、トレイ支持アーム4cにトレイ2が載置された状態となる。
【0030】
トレイ退避機構7は、空トレイ2を一時的に保持してトレイ移載機構4やトレイ搬送機構5の平面的な動作範囲に干渉しないように退避させるもので、トレイ移載位置P3の上部に設けられている。すなわち、このトレイ退避機構7は、トレイ2を吸着する複数の吸着パッド7aと、これらの吸着パッド7aが固定されたパッド取付部材7bと、このパッド取付部材7bをZ軸方向に沿って昇降させて吸着パッド7aの高さ位置を調整するパッド昇降機構7cとからなる。ここに、吸着パッド7aは、図示しない真空引き装置に接続されてトレイ2の部品載置板2aを吸着保持するものであり、また、パッド昇降機構7cは、例えば図示しないラックピニオン機構とこれを駆動する駆動モータにより構成されている。
【0031】
そして、パッド昇降機構7cは、トレイ移載位置P3においてトレイ移載機構4のトレイ支持アーム4cがトレイを保持している場合にはその保持されたトレイ2の位置よりも上方に吸着パッド7aが上昇し、また、トレイ搬送機構5のテーブル昇降機構5dによりトレイ載置テーブル5bが下降された状態では吸着パッド7aがトレイ載置テーブル5bの上に載置されるトレイ2の部品載置板2aに当接する位置まで下降するように、昇降可能に構成されている。
【0032】
次に、上記構成を備えた部品検査装置において、部品の検査に伴うトレイ搬送動作について、図11に示す動作手順説明図、および図12ないし図22に示す各部の状態説明図を参照して説明する。なお、この装置の各機構の一連の制御動作は、例えば図示ないコンピュータによるシーケンス制御により実施される。
【0033】
部品供給装置Bのトレイ搬送機構5により部品搭載トレイ2がテスティング装置Aに隣接した部品供給位置P1にまで搬送されると、テスティング装置Aの図示しないロボットアームなどを備えた部品ピックアップ機構により、部品搭載トレイ2に搭載された部品1が一つずつ検査テーブル6へと移送される。そして、検査テーブル6上に載置された各部品1について図示しない検査機器により各種の電気的特性が検査されると、部品ピックアップ機構により検査後の部品1が検査テーブル6から取り出されて部品搬出装置Cに移送される。
【0034】
ここで、部品供給側において、トレイ搬送機構5により部品供給位置P1に搬送されたトレイ2内の部品1が全てテスティング装置Aに移送されて空トレイ2になると、この空トレイ2はトレイ搬送機構5により部品供給位置P1からトレイ移載位置P3まで搬送される(図12参照)。
【0035】
空トレイ2がトレイ移載位置P3まで搬送されると、トレイ退避機構7の吸着パッド7aがパッド昇降機構7cにより下降されてトレイ載置テーブル5bの上に載置された空トレイ2の部品載置板2aに当接され、吸着パッド7aにより空トレイ2が吸着される(図11(イ)、(ロ)、図13参照)。空トレイ2が吸着パッド7aで吸着されると、パッド昇降機構7cにより空トレイ2が、トレイ移載機構4のY軸方向に沿う動作範囲よりも上方の位置までZ軸方向に上昇されて退避される(図11(ハ)、図14参照)。
【0036】
空トレイ2がトレイ退避機構7により退避された状態では、後述するように、既にトレイ支持アーム4cに部品搭載トレイ2が載置されているので、トレイ移載機構4の駆動モータが起動されてガイドレール4aに沿って摺動部材4bが移動される。これにより、トレイ支持アーム4cに載置された部品搭載トレイ2がマガジン3から取り出されて外部のトレイ移載位置P3まで搬送される(図11(ハ)、(ニ)、図15、図3、図4参照)。
【0037】
こうして、トレイ移載機構4により部品搭載トレイ2がトレイ移載位置P3まで移送されると、次に、既にトレイ移載位置P3に移動しているトレイ搬送機構5のトレイ載置テーブル5bがテーブル昇降機構5dによって上昇される(図11(ニ)、(ホ)、図16参照)。これにより、トレイ載置テーブル5bの突起5eが部品載置板2aの位置決め穴2cに嵌入するととともに、部品搭載トレイ2の部品載置板2aの底面がトレイ載置テーブル5bの上面に当接する。これにより、トレイ支持アーム4cの先端の突起4eがトレイ2のフランジ部2bの位置決め穴2dから外れ、部品搭載トレイ2はトレイ載置テーブル5bに載置された状態になる。そこで、トレイ移載機構4のトレイ支持アーム4cの間隔をシリンダ4dで拡げることでトレイ支持アーム4cはトレイ載置状態から解放される(図17参照)。
【0038】
次に、テーブル昇降機構5dにより部品搭載トレイ2が載置されたトレイ載置テーブル5bを下降させた後(図11(ヘ)、(ト)、図18参照)、ステージ5cをトレイ載置テーブル5bとともにガイド軸5aに沿って部品供給位置P1まで搬送し、テスティング装置Aによる検査テーブル6への部品1の移送を再開する(図19参照)。
【0039】
テスティング装置Aへの部品1の移送が再開している間に、以下の手順で、空トレイ2を部品供給側のマガジン3内へ収納するとともに、部品搭載トレイ2をトレイ支持アーム4cで保持した状態にする。その手順を以下に説明する。
【0040】
まず、トレイ移載機構4のトレイ支持アーム4cの間隔をシリンダ4dで狭める(図20参照)。続いて、トレイ退避機構7の吸着パッド7aで吸着された空トレイ2をパッド昇降機構7cによりトレイ移載機構4のトレイ支持アーム4cの高さまで下降する(図11(ト)参照)。そして、吸着パッド7aによる空トレイ2の吸着を停止すると、トレイ支持アーム4cの先端の突起4eが空トレイ2のフランジ部2bの位置決め穴2dに嵌入され、トレイ支持アーム4cによって空トレイ2が支持される(図11(チ)、図21参照)。こうして、空トレイ2がトレイ支持アーム4cで支持されると、トレイ退避機構7のパッド昇降機構7cにより吸着パッド7aを上昇させ、トレイ移載機構4のY軸方向に沿う動作範囲から退避させ、マガジン3の各棚3bと棚固定板3cとを図示しない駆動モータによりZ軸方向に沿って一体的に一段上昇させる(図11(リ)、図22参照)。
【0041】
次に、トレイ支持アーム4cにより空トレイ2を支持した状態で、図示しない駆動モータにより摺動部材4bをガイドレール4aに沿ってY軸方向に摺動させてトレイ支持アーム4cをマガジン3内に挿入する(図11(ヌ)、(ル)参照)。その際、マガジン3の棚3bを少し上昇すると、その突起3dが部品載置板2aの位置決め穴2cに嵌入するととともに、空トレイ2の部品載置板2aが棚3bの上面に当接して持ち上げられるので、トレイ支持アーム4cの先端の突起4eがトレイ2のフランジ部2bの位置決め穴2dから外れる。これにより、空トレイ2が棚3bに載置された状態になるので、トレイ支持アーム4cの間隔をシリンダ4dで拡げ、トレイ支持アーム4cをトレイ載置状態から解放する。続いて、駆動モータによりガイドレール4aに沿って摺動部材4bを移動させることにより、トレイ支持アーム4cが単独でマガジン3内からトレイ移載位置P3まで引き出される(図11(ヲ))。
【0042】
引き続いて、マガジン3の各棚3bと棚固定板3cとを図示しない駆動モータによりZ軸方向に沿って一体的に一段上昇させ、部品搭載トレイ2を載置した棚3bをトレイの取り出し高さまで引き上げる(図11(ワ)参照)。その場合、次の部品搭載トレイ2が載置された棚3bがトレイ移載機構4のトレイ支持アーム4cの高さに到達するようにする。
【0043】
この状態で図示しない駆動モータにより摺動部材4bをガイドレール4aに沿ってY軸方向に摺動させトレイ支持アーム4cをマガジン3内に挿入する(図11(カ)、図5、図6、図7参照)。その際、マガジン3の部品搭載トレイが載置された棚3bを少し上昇させると、棚3bと部品搭載トレイ2のフランジ部2bとの間の隙間にトレイ支持アーム4cが挿入できるので、次にトレイ支持アーム4cの左右の間隔をシリンダ4dで狭めてから棚3bを下降させる。これにより、トレイ支持アーム4cの先端の突起4eが部品搭載トレイ2のフランジ部2bの位置決め穴2dに嵌入するとともに、マガジン3の棚3bの突起3dが部品載置板2aの位置決め穴2cから外れる。これにより、マガジン3内において、トレイ支持アーム4cに部品搭載トレイ2が載置された状態となる(図11(イ)参照)。
【0044】
このように、上記の一連の動作により、部品供給位置P1にあるトレイ2内の部品1がテスティング装置Aへ移送されて検査が実施されている間に、空トレイ2を部品供給側のマガジン3内へ収納するとともに、部品搭載トレイ2をトレイ支持アーム4cで保持した状態にできるため、部品供給位置P1にあるトレイ2が空トレイ2になった時点で、この空トレイ2をトレイ退避機構7で再度一時的に退避させることで、直ちに次の部品1を満載している部品搭載トレイ2をマガジン3から取り出して部品供給位置P1まで供給することができる。これにより、マガジン3へのトレイ2の入れ替えの際に、無駄な待ち時間が発生するのを極力少なくすることができ、部品供給のスループットが向上する。
【0045】
次に、部品搬出側に設けられている部品搬出装置Cによる部品1の搬出動作について説明する。
【0046】
テスティング装置Aの検査テーブル6に載置された部品1の検査が終了すると、テスティング装置Aの図示しないロボットアームなどを備えた部品ピックアップ機構により、検査後の各部品1が一つずつ検査テーブル6から取り出されて一旦仮置場所9へ移送される。
【0047】
そして、不良品と判定された部品1は不良品収納箱11へ直ちに搬送される一方、良品と判定された部品については、部品搬出側のトレイ搬送機構13により空トレイ2が部品搬出位置P2に既に到着している場合には、上記の部品ピックアップ機構により空トレイ2に良品と判定された部品が順次搭載される。そして、このトレイ2が良品と判定された部品1で満載状態になると、トレイ搬送機構13によりトレイ移載位置P4まで搬送された後、図示しないトレイ移載機構によりマガジン12内に収納される。
【0048】
次いで、空トレイ2がトレイ移載機構によりマガジン12からトレイ移載位置P4まで取り出された後、トレイ搬送機構13により部品搬出位置P2へ搬送される。トレイ移載機構とトレイ搬送機構13とを用いて部品搬出位置P2まで空トレイ2を搬送している途中の段階では、良品と判定された部品1を一時的に仮置場所9に貯めておき、新たな空トレイ2が部品搬出位置P2に到着した際、仮置場所9にある部品1を空トレイ2へ移送する。
【0049】
なお、上記の部品搬出装置Cのトレイ移載機構によるマガジンからのトレイ2の出し入れ、およびトレイ搬送機構13によるトレイ2の搬送動作は、部品供給装置Bの場合と基本的に同じであるから、ここでは詳細な説明は省略する。
【0050】
このように、部品搬出側においては、部品搬出位置P2で満載になった部品搭載トレイ2をマガジン3に収納してから新たな空トレイ2を部品搬出位置P2まで搬送するまでの間、良品と判定された部品1を一時的に仮置場所9に貯めておくことができるため、マガジン3へのトレイ2の入れ替えの際に、無駄な待ち時間が発生するのを極力少なくすることができる。
【0051】
なお、この実施の形態1では、マガジン3の棚3bの昇降、トレイ載置テーブル5bの昇降、トレイ支持アーム4cの摺動、ステージ5cの摺動は全て駆動モータで動作されるものとして説明したが、これに限らずエアーシリンダ機構など他の周知の直動機構を採用することが可能である。
また、本発明は上記の実施の形態1の態様に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において各種の変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0052】
A テスティング装置、B 部品供給装置、C 部品搬出装置、
P1 部品供給位置、P2 部品搬出位置、P3,P4 トレイ移載位置、
1 部品、2 トレイ、3 マガジン、4 トレイ移載機構、5 トレイ搬送機構、6 検査テーブル、7 トレイ退避機構、9 仮置場所、12 マガジン、
13 トレイ搬送機構。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を搭載する複数のトレイをストックするマガジン、このマガジンに対してトレイを出し入れするトレイ移載機構、およびこのトレイ移載機構で上記マガジンからトレイ移載位置まで取り出された上記トレイを受け取って所定の部品供給位置まで搬送するトレイ搬送機構を備えた部品供給装置において、
上記トレイ移載機構と上記トレイ搬送機構との間でトレイを受け渡しする上記トレイ移載位置に、上記トレイを一時的に保持して上記トレイ移載機構や上記トレイ搬送機構の平面的な動作範囲から退避させるトレイ退避機構を設けたことを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
上記トレイ退避機構は、上記トレイを吸着する吸着パッドと、この吸着パッドを上記トレイ移載機構や上記トレイ搬送機構の平面的な動作範囲と直交する垂直方向に昇降させる昇降機構とを備えることを特徴とする請求項1記載の部品供給装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の部品供給装置を用いた部品供給方法であって、
上記部品供給位置において部品が供給されて空となった空トレイを上記トレイ搬送機構で上記トレイ移載位置まで搬送し、上記トレイ退避機構により一時的に垂直方向へと退避させ、この状態で上記トレイ移載機構により上記マガジンから部品搭載トレイを取り出して上記トレイ搬送機構により上記部品供給位置まで搬送し、この部品供給位置で部品搭載トレイが空になるまでの期間中に、上記トレイ退避機構により退避させておいた上記空トレイを上記トレイ移載機構に移載して空トレイを上記マガジン内に収納するとともに、上記マガジン内の部品搭載トレイを上記トレイ移載機構で保持した状態にして次の部品搭載トレイの搬送準備を行うことを特徴とする部品供給方法。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の部品供給装置を備えるとともに、上記部品供給位置に搬送されてくる部品搭載トレイに搭載されている各部品の検査を実施するテスティング装置を有することを特徴とする部品検査装置。
【請求項5】
上記テスティング装置で検査後の部品を搬出する部品搬出装置を備え、この部品搬出装置は、上記テスティング装置による検査後の部品を搭載した複数のトレイをストックするマガジン、上記テスティング装置により部品搬出位置に移送された各部品をトレイに搭載してトレイ移載位置まで搬送するトレイ搬送機構、このトレイ搬送機構で上記トレイ移載位置まで搬送されたトレイを受け取ってマガジン内に収納するトレイ移載機構を備え、かつ、上記テスティング装置と部品搬出位置との間には、検査終了後の部品を一時的に保管する仮置場所が確保されていることを特徴とする請求項4に記載の部品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−248643(P2012−248643A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118561(P2011−118561)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】