説明

部品検査装置

【課題】部品の目詰まりを防止し装置を簡易かつ小型化できるとともに、部品を1個ずつ確実に分離した状態で搬送することができ、さらに搬送路から部品が飛び出すことを防止できる部品検査装置を提供する。
【解決手段】駆動モータ18によりコンベア12がその軸回りに回転されると、搬送路14から突出した電子部品Mの突出部分がガイド部材16A、16Bと接触しながら、電子部品Mはコンベア12の軸方向に沿って移動する。この移動中の電子部品Mの側面(外観)がCCDカメラ22により撮像され、この撮像結果に基づいて画像判定処理装置26によりその良否が判定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子部品などの部品の搬送中にその外観を検査する部品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の部品検査装置は、ワークを把持する多数の第1凹部が外周に形成された第1円板と、ワークを把持する多数の第2凹部が外周に形成された第2円板とを、備えている。この第1円板は水平方向に回転自在に配置されており、第2円板は垂直方向に回転自在に配置されており、両者が相互に直交している。第1円板の第1凹部によって把持されたワークは、第2円板の第2凹部に受け渡されるようになっている。そして、第1円板の近傍と第2円板の近傍には、ワークの各側面を検査するための検査カメラが配置されている(下記特許文献1参照)。
【0003】
また、従来の部品検査装置は、振動式パーツフィーダ上に形成された整列搬送路に、搬送中の部品の重心G移動を直線状としつつ搬送方向と一致する長軸回りに部品を回転させるガイドを設け、部品を一直線上に搬送しつつ軸回りに回転させて部品の外観を検査するものである(下記特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3193292号公報
【特許文献2】特開2003−302344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記特許文献1に記載の部品検査装置では、第1円板の第1凹部から第2円板の第2凹部にワークを受け渡す際に、ワークの目詰まりによるワークの欠け・割れが生じる問題がある。また、部品検査装置は2つの円板を配置させた構成であるため、装置全体が大型化してしまい、部品検査装置を設置するために大きなスペースが必要となる問題がある。
【0005】
また、上記特許文献2に記載の部品検査装置では、振動式パーツフィーダを用いているため、その振動により搬送路から部品が飛び出す恐れがある。また、搬送路が一直線上に形成されているため、部品を1個ずつ確実に分離できないという問題がある。この結果、部品の検査に悪影響を及ぼすことがある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、部品の目詰まりを防止し装置を簡易かつ小型化できるとともに、部品を1個ずつ確実に分離した状態で搬送することができ、さらに搬送路から部品が飛び出すことを防止できる部品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、搬送中の部品の各側面を検査する部品検査装置であって、円柱状又は円筒状に形成され、外周面にスパイラル状に形成されかつ前記部品の一部を突出するように収容する搬送部を有する回転駆動部と、前記搬送部に収容された前記部品の突出部分と接触し前記回転駆動部の軸方向に沿って前記部品を移動させるガイド部と、前記回転駆動部を前記回転駆動部の軸回りに回転させる駆動部と、前記部品の各側面を撮像する撮像部と、前記撮像部の撮像結果に基づいて前記部品の良否を判定する良否判定部と、を含んで構成されたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の部品検査装置において、前記搬送部は、前記回転駆動部の軸方向に前記部品が所定の距離だけ移動するまでに前記部品を前記部品の軸回りに回転させる捻れ溝であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の部品検査装置において、前記部品は、所定の距離だけ移動するまでに前記部品の軸回りに少なくとも180度回転することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部品検査装置において、前記撮像部は、前記搬送部と前記ガイド部との交差部位で、前記搬送部に収容された前記部品の複数の側面を単一の前記撮像部により同時に撮像できる位置に配置されていることを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部品検査装置において、前記撮像部は、前記搬送部と前記ガイド部との交差部位で、前記搬送部に収容された前記部品の一側面と対向する位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、駆動部により回転駆動部が回転駆動部の軸回りに回転されると、搬送部から突出した部品の突出部分がガイド部と接触しながら、部品が回転駆動部の軸方向に沿って移動する。この移動中の部品の側面(外観)が撮像部により撮像され、この撮像結果に基づいて良否判定部によりその良否が判定される。このように、本発明によれば、部品が搬送部に収容された状態で移動していくため、部品の目詰まりが発生することを防止できる。また、部品を移動させる手段が円柱状又は円筒状の回転駆動部で構成されているため、装置を小型化することができ、部品検査装置を設置するためのスペースも小さくて済む。また、部品の搬送工程において振動式パーツフィーダを用いていないため、搬送中の部品の姿勢が振動により崩れることがなく、また部品が搬送部から飛び出す恐れもない。さらに、搬送部がスパイラル状に形成されているため、搬送される部品間の距離が常に一定となり、部品を1個ずつ確実に分離させて複数個の部品を同時に搬送することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、搬送部は捻れ溝であるため、回転駆動部の軸方向に部品が所定の距離だけ移動するまでに部品がその軸回りに回転される。これにより、部品の複数の側面を撮像部により撮像することができ、良否判定部により良否を判定することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、部品が所定の距離だけ移動するまでに部品の軸回りに少なくとも180度(例えば、180度から270度)回転するため、部品の全ての側面を撮像部により撮像することができる。これにより、部品の全ての側面の良否を良否判定部により判定することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、搬送部とガイド部との交差部位で、搬送部に収容された部品の複数の側面を単一の撮像部により同時に撮像することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、撮像部は搬送部とガイド部との交差部位で搬送部に収容された部品の一側面と対向する位置に配置されているため、撮像部と部品の一側面とが対面する。これにより、部品の一側面の撮像精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の一実施形態に係る部品検査装置について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1及び図2に示すように、部品検査装置10は、円柱状又は円筒状のコンベア(回転駆動部)12を備えている。また、コンベア12の外周面には、直方体形状の電子部品(部品)Mを収容する搬送路(搬送部)14がスパイラル状に形成されている。この搬送路14は捻れ溝であり、その断面(底面)は、コンベア12がコンベア12の軸回りに1回転以上すると収容された電子部品Mが電子部品Mの軸回りに90度以上回転するように、捻り形状になっている。また、搬送路14は、電子部品Mが収容された状態で搬送路14から電子部品Mの一部が突出するような寸法(溝幅寸法、溝の深さ寸法)設定にされている。
【0019】
また、コンベア12の近傍には、所定の距離だけ離間した一対のガイド部材(ガイド部)16A、16Bが配置されている。このガイド部材16A、16Bは、板状に形成されており、その離間距離が調整できるように移動可能に設けられている。また、ガイド部材16A、16Bは、コンベア12の軸方向に沿って複数の部位で搬送路14と交差するように構成されている。本実施形態では、ガイド部材16A、16Bと搬送路14との交差部位は6箇所設けられており、それぞれの交差部位は、供給部、第1検査部、第1反転部、第2反転部、第2検査部、排出部となっている。
【0020】
また、コンベア12には、コンベア12を回転させるための駆動モータ(図1では図示省略、駆動部)18が配置されている。この駆動モータ18からの駆動により、コンベア12が連続回転又は間欠回転される。この駆動モータ18は、制御部(図2参照)20と接続されており、制御部20により駆動制御される。
【0021】
また、ガイド部材16A、16Bと搬送路14との交差する部位では、CCDカメラ(撮像部)22と照明装置(図1では図示省略、図2参照)24とが配置されている。本実施形態では、2つの検査部となる交差部位に、それぞれ1個のCCDカメラ22が電子部品Mの斜め方向から撮像できるように配置されている。なお、CCDカメラ22は、電子部品Mの斜め方向から撮像できるように配置されている構成に限られるものではなく、例えば、図1に示すように、電子部品Mの側面と対向する位置にCCDカメラ22が配置されていてもよい。CCDカメラ22と照明装置24には後述の画像判定処理装置(良否判定部)26が接続されており、画像判定処理装置26により制御されるようになっている。
【0022】
また、各CCDカメラ22には、画像判定処理装置(良否判定部)26が接続されている。CCDカメラ22により撮像された撮像データが画像判定処理装置26に送信され、電子部品Mの良否が判定される。なお、電子部品Mが所定の位置に到達したことをコンベア12からの信号又は部品検出センサ(図示省略)からのトリガー信号に基づいて、画像判定処理装置26から撮像信号をCCDカメラ22に出力するとともに照明装置24に発光信号を出力し、電子部品Mの外観を撮像する。そして、CCDカメラ22で撮像された電子部品Mに関する撮像データは、画像判定処理装置26に送信され、その良否の判定を次のトリガー信号までの間に行い、判定結果を制御部20に転送する。制御部20では、電子部品Mの各側面MA、MB、MC、MDの判定結果を集合させて総合判定を行う。
なお、図2に示すように、CCDカメラ22と、照明装置24と、画像判定処理装置26とは1つのユニットUを構成しており、CCDカメラを複数設ける構成では、このユニットUが増加していくことになる。
【0023】
また、コンベア12の供給部の近傍には、供給部における余剰の電子部品を排除するための余剰部品排除機構28が配置されている。また、コンベア12の排出部の近傍には、良否判定がされた電子部品Mを良否に別けて排除するための部品排除機構(エアー弁や真空弁など)30が配置されている。
【0024】
次に、本実施形態の部品検査装置の作用について説明する。
【0025】
先ず、振動式パーツフィーダ、回転式フィーダあるいはエアーバルブフィーダなどにより供給された電子部品Mが供給部であるガイド部材16A、16Bの間の搬送路14に1個ずつ供給(挿入)される。この電子部品Mの供給部への供給は、フィーダにより一列整列状態の電子部品を1個ずつ供給部に落下させたり、あるいはフィーダにより空気吸引された電子部品を供給部に供給させることなどにより行われる。
【0026】
コンベア12の供給部の搬送路14に電子部品Mが供給されると、制御部20により駆動モータ18が駆動される。この駆動モータ18の駆動によりコンベア12が回転する。コンベア12が回転すると、供給部に供給された電子部品Mは搬送路14から外部に突出した突出部分がガイド部材16A、16Bの一方又は両方に接触しながら、コンベア12の軸方向に移動していく。
【0027】
ここで、搬送路14の断面が捻り形状となっているため、電子部品Mが、第1検査部、第1反転部、第2反転部、第2検査部と移動していくに従い、電子部品Mがその軸回りに回転する。具体的には、供給部及び第1検査部では、電子部品Mの上側面MA、第1側面MBがそれぞれ露出している状態となる。また、第1反転部では、電子部品Mの下側面(上側面MAと対向する側面)MC、第1側面MBがそれぞれ露出している状態となる。また、第2反転部では、電子部品Mの下側面MCが露出している状態となる。さらに、第2検査部及び排出部では、電子部品Mの下側面MC、第2側面(第1側面MBと対向する側面)MDがそれぞれ露出している。
【0028】
上述のように、電子部品Mがコンベア12の軸方向に移動していくが、電子部品Mが第1検査部に到達すると、照明装置24により電子部品Mに光が照射されるとともにCCDカメラ22により電子部品Mの露出している側面(上側面MA、第1側面MB)が撮像される。このとき、CCDカメラ22が斜め上方から電子部品Mを撮像するため、電子部品Mの稜線部分と上側面MAと第1側面MBを1個のCCDカメラ22で同時に撮像することができる。なお、第1検査部において、CCDカメラ23を電子部品Mの上側面MAと対向する位置に設けることにより、上側面MAのみを撮像してもよいし、また、他のCCDカメラ(図示省略)を別途設け、露出している他の各側面を撮像してもよい。
【0029】
さらに、電子部品Mが第2検査部に到達すると、照明装置24により電子部品Mに光が照射されるとともにCCDカメラ22により電子部品Mの露出している側面(下側面MC、第2側面MD)が撮像される。このとき、CCDカメラ22が斜め上方から電子部品Mを撮像するため、電子部品Mの稜線部分と下側面MCと第2側面MDを1個のCCDカメラ22で同時に撮像することができる。なお、第2検査部において、CCDカメラ23を電子部品Mの下側面MCと対向する位置に設けることにより、下側面MCのみを撮像してもよいし、また、他のCCDカメラ(図示省略)を別途設け、露出している他の側面を撮像してもよい。
【0030】
なお、上述したように、電子部品Mが各検査部で撮像される毎に、撮像データが画像判定処理装置26に出力され、その良否判定結果が行われるとともに、この良否判定結果が画像判定処理装置26から制御部20に転送されて電子部品Mの総合判定が行われる。
【0031】
画像判定処理装置26により電子部品Mの良否が判定されると、その判定データに基づいて部品排出機構30により電子部品Mが分別され、所定の部位に排出される。
【0032】
以上のように、本実施形態の部品検査装置10によれば、電子部品Mが搬送路14に収容された状態で移動していくため、電子部品Mの目詰まりが発生することを防止できる。また、電子部品Mを移動させる手段がコンベア12であるため、部品検査装置10を小型化することができ、部品検査装置10を設置するためのスペースも小さくて足りる。また、電子部品Mの搬送工程において振動式パーツフィーダを用いていないため、搬送中の電子部品Mの姿勢が振動により崩れることがなく、また電子部品Mが搬送路14から飛び出す恐れもない。これにより、電子部品Mの検査精度を向上させることができる。また、搬送路14がスパイラル状に形成されているため、搬送される電子部品M間の距離が常に一定となり、電子部品Mを1個ずつ確実に分離させて搬送することができる。これにより、CCDカメラ22による1つの撮像データの中に複数の電子部品Mの撮像データが入り込むことがなく、画像判定処理装置26による電子部品Mの良否判定を容易に行うことができる。
【0033】
また、搬送路14の断面が捻り形状となっており、搬送路14に捻れ部を有しているため、コンベア12の軸方向に電子部品Mが所定の距離(供給部から第2検査部までの距離)だけ移動するまでに電子部品Mがその軸回りに1回転される。これにより、電子部品Mの複数(又は全部)の側面MA、MB、MC、MDなどをCCDカメラ22により撮像することができ、画像判定処理装置26によりその良否を判定することができる。なお、電子部品Mは、その軸回りに1回転される構成に限られるものではなく、少なくとも180度以上(例えば、180度から270度の範囲)回転される構成であれば、電子部品Mの4つの側面を撮像することができる。
【0034】
また、CCDカメラ22は、搬送路14とガイド部材16A、16Bとの交差部位(第1検査部と第2検査部)で、搬送路14に収容された電子部品Mの斜め情報に配置されているため、搬送路14に収容された電子部品Mの複数の側面(電子部品Mの稜線部分も含む)を単一のCCDカメラ22により同時に撮像することができる。
【0035】
なお、CCDカメラ23を、搬送路14とガイド部材16A、16Bとの交差部位(第1検査部と第2検査部)で、搬送路14に収容された電子部品Mの一側面と対向する位置に配置させることにより、CCDカメラ23と電子部品Mの一側面とが対面する。これにより、CCDカメラ23による電子部品Mの一側面の撮像精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る部品検査装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る部品検査装置の制御システムを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0037】
10 部品検査装置
12 コンベア(回転駆動部)
14 搬送路(搬送部)
18 駆動モータ(駆動部)
16A、16B ガイド部材(ガイド部)
22 CCDカメラ(撮像部)
23 CCDカメラ(撮像部)
26 画像判定処理装置(良否判定部)
M 電子部品(部品)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送中の部品の各側面を検査する部品検査装置であって、
円柱状又は円筒状に形成され、外周面にスパイラル状に形成されかつ前記部品の一部を突出するように収容する搬送部を有する回転駆動部と、
前記搬送部に収容された前記部品の突出部分と接触し前記回転駆動部の軸方向に沿って前記部品を移動させるガイド部と、
前記回転駆動部を前記回転駆動部の軸回りに回転させる駆動部と、
前記部品の各側面を撮像する撮像部と、
前記撮像部の撮像結果に基づいて前記部品の良否を判定する良否判定部と、
を含んで構成されたことを特徴とする部品検査装置。
【請求項2】
前記搬送部は、前記回転駆動部の軸方向に前記部品が所定の距離だけ移動するまでに前記部品を前記部品の軸回りに回転させる捻れ溝であることを特徴とする請求項1に記載の部品検査装置。
【請求項3】
前記部品は、所定の距離だけ移動するまでに前記部品の軸回りに少なくとも180度回転することを特徴とする請求項2に記載の部品検査装置。
【請求項4】
前記撮像部は、前記搬送部と前記ガイド部との交差部位で、前記搬送部に収容された前記部品の複数の側面を単一の前記撮像部により同時に撮像できる位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部品検査装置。
【請求項5】
前記撮像部は、前記搬送部と前記ガイド部との交差部位で、前記搬送部に収容された前記部品の一側面と対向する位置に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の部品検査装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−8694(P2007−8694A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194092(P2005−194092)
【出願日】平成17年7月1日(2005.7.1)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】