説明

部品自動教示装置

【課題】 部品の形状や大きさに関わらずに、その部品の形態を正確に示す部品教示データを作成する部品自動教示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 光を透過するガラス板112に載置された部品を含む周辺に対し、その部品から見てガラス板112と反対側(上方)から、青色又は赤色の光を照射するカバー120と、そのカバー120が照射している状態で、その部品をガラス板112を介してカラーで撮像することで、その部品のカラー画像を生成するスキャナ本体110と、スキャナ本体110によって生成されたカラー画像から、その部品の形態を特定して前記部品教示データを作成する制御部220とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品などの部品の形態を示す部品教示データを作成する部品自動教示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品を撮像することで、その電子部品の形状や特徴的な寸法(形態)を示す部品教示データを作成する部品自動教示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
上記特許文献1の部品自動教示装置(部品認識データ作成装置)は、カラースキャナを備えてそのカラースキャナで電子部品を撮像することで、その電子部品のカラー画像を生成する。そして、部品自動教示装置は、そのカラー画像に表示されている電子部品のボディや電極の外形を抽出し、それらの寸法を測定することで部品教示データを作成する。
【0004】
ここで、上記特許文献1の部品自動教示装置は、一般にテレビ放送等で活用されているクロマキー技術を用いてボディや電極の外形を抽出するために、電子部品の背景が青色又は赤色となるようにカラー画像を生成する。
【0005】
図16は、上記特許文献1のカラースキャナで電子部品のカラー画像が生成される様子を説明するための説明図である。
【0006】
ユーザは、電子部品90のカラー画像を生成するため、この図16に示すように、まず、カラースキャナ900の読み取り面901上に電子部品90を載置する。次に、ユーザは、電子部品90の色が青色系でなければ、カラー画像の背景が青色となるように、青色の背面カバー902をカラースキャナ900に取り付ける。また、ユーザは、電子部品90の色が赤色系でなければ、カラー画像の背景が赤色となるように、赤色の背面カバー903をカラースキャナ900に取り付ける。そして、ユーザは、そのように取り付けられた背面カバー902,903を、電子部品90が載置された読み取り面901上に覆い被せる。
【0007】
このような状態でカラースキャナ900は電子部品90を撮像し、背景が青色又は赤色の電子部品90のカラー画像を生成する。
【特許文献1】特開2004−213562号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1の部品自動教示装置では、不正確な寸法や形状などを示す部品教示データを作成してしまうという問題がある。
【0009】
即ち、厚い電子部品をカラースキャナ900で撮像する場合、その電子部品をカラースキャナ900に設置すると、その厚みの分だけ背面カバー902,903と読み取り面901との間に大きな隙間が生じる。このような状態でカラースキャナ900が電子部品を撮像すると、暗い背景のカラー画像や、斑のある背景のカラー画像を生成してしまう。その結果、電子部品のボディや電極の外形が正確に抽出されず、それらの寸法測定に大きな誤差生じてしまうのである。
【0010】
図17は、上記特許文献1の部品自動教示装置の問題点を説明するための説明図である。
【0011】
電子部品91が薄い場合には、図17の(a)に示すように、カラー画像Pic1に写る電子部品91の背景色は、均一で鮮やかな青色又は赤色である。一方、電子部品91が厚い場合には、図17の(b)に示すように、カラー画像Pic2に写る電子部品91の背景色には斑m1が生じ、その背景色は暗くなる。
【0012】
また、上記特許文献1の部品自動教示装置では、電子部品を正しい状態に固定できないために、上述と同様、不正確な寸法や形状を示す部品教示データを作成してしまう場合がある。
【0013】
図18は、電子部品を正しい状態に固定できない様子を説明するための説明図である。
例えば、電子部品92の背面を歪みなく撮像しようとする場合、図18の(a)に示すように、その背面が読み取り面901に対向するような形で、その電子部品92をカラースキャナ900の読み取り面901上に正しく設置しなければならない。しかし、電子部品92の両端にそれぞれ1つずつ長い脚92aがある場合には、電子部品92は図18の(a)に示す状態で安定せず、図18の(b)に示すように、電子部品92の背面を読み取り面901から背けるような形で傾いてしまう。これにより、カラースキャナ900は電子部品92を歪んだ形で撮像する。その結果、カラー画像から電子部品92のボディや電極の外形が正確に抽出されず、不正確な寸法などを示す部品教示データが作成される。
【0014】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、部品の形状や大きさに関わらずに、その部品の形態を正確に示す部品教示データを作成する部品自動教示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る部品自動教示装置は、基板上に実装される部品の形態を示す部品教示データを作成する部品自動教示装置であって、光を透過する透光板に載置された前記部品を含む周辺に対し、前記部品から見て透光板と反対側から、単色の光を照射する照射手段と、前記照射手段が照射している状態で、前記部品を前記透光板を介してカラーで撮像することで、前記部品のカラー画像を生成する撮像手段と、前記撮像手段によって生成されたカラー画像から、前記部品の形態を特定して前記部品教示データを作成するデータ作成手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
これにより、部品の透光板に対向する面は、その周辺を含めて背後から単色の光が照射された状態で撮像されるため、カラー画像に写る部品の背景を、部品の厚みに関わらずに均一で鮮明な単色とすることができる。その結果、そのカラー画像から部品の形態を誤りなく特定して、その形態を正確に示す部品教示データを作成することができる。
【0017】
また、前記部品自動教示装置は、さらに、前記部品の所定の面を前記透光板に対向させるように前記部品を保持する保持手段を備えることを特徴としても良い。例えば、前記保持手段は、ノズルを具備して、前記ノズルの先端に前記部品を吸着することで前記部品を保持する。
【0018】
これにより、部品の電極面などの面が透光板に対向した状態で安定するため、その電極面を歪みなく撮像することができ、その結果、その部品の形態をさらに正確に示す部品教示データを作成することができる。
【0019】
また、前記照射手段は、一面に沿って略均一に発光することで、前記単色の光を照射することを特徴としても良い。例えば、前記照射手段は、青色又は赤色の光を照射する。
【0020】
これにより、カラー画像に写る部品の背景を、さらに均一に鮮明な青色や赤色とすることができ、部品の形態をより正確に示す部品教示データを作成することができる。
【0021】
ここで、前記照射手段は、青色又は赤色に発光する光源と、前記光源からの光を一面に沿って略均一に拡散させる拡散板とを備えることを特徴としても良い。例えば、前記光源は、一面に沿って略均一に配置された複数の発光ダイオードを備える。
【0022】
これにより、光源からの光が拡散板の一面に沿って拡散するため、その拡散された青色又は赤色の光を、前記部品及びその周辺に均一に照射することができる。その結果、その部品の形態をさらに正確に示す部品教示データを作成することができる。
【0023】
また、前記複数の発光ダイオードは、一面に沿って略均一に配置された青色に発光する複数の第1の発光ダイオードと、前記一面に沿って略均一に配置された赤色に発光する複数の第2の発光ダイオードとで構成され、前記光源は、前記複数の第1の発光ダイオードと、前記複数の第2の発光ダイオードとを切り換えて通電させることを特徴としても良い。
【0024】
これにより、前記光源は、複数の第1の発光ダイオードが通電されたときには、一面に青色の光を発光し、複数の第2の発光ダイオードが通電されたときには、一面に赤色の光を発光するため、部品自動教示装置の構成を変更することなく簡単に、部品及びその周辺に照射する光の色を変えることができる。その結果、撮像対象の部品が青色系でなければ青色の光を照射し、撮像対象の部品が赤色系でなければ赤色の光を照射するように、撮像対象の部品の色に応じて照射する光の色を変えれば、その部品の色に関わらずその形態を正確に示す部品教示データを作成することができる。
【0025】
また、前記部品自動教示装置は、さらに、前記照射手段と前記透光板との隙間を調整する隙間調整手段を備えることを特徴としても良い。
【0026】
これにより、照射手段と透光板との隙間が調整されることにより、任意の厚みの部品を透光板に載置して単色の光を照射することができる。
【0027】
ここで、前記データ作成手段は、前記撮像手段によって生成された背景が単色のカラー画像を、前記背景が白色又は黒色となって前記部品の外形が白黒の濃淡で表された白黒濃淡画像に変換し、前記白黒濃淡画像から前記部品の形態を特定して前記部品教示データを作成することを特徴としても良い。
【0028】
これにより、背景が単色である部品のカラー画像が白黒濃淡画像に変換されるため、その単色を有効に利用することで、部品の外形と背景との濃淡の差を大きくして、白黒濃淡画像における部品の外形を明瞭し、その外形から部品の形態を容易に特定することができる。その結果、部品の形態をさらに正確に示す部品教示データを作成することができる。
【0029】
なお、本発明は、上述の部品自動教示装置に限らず、その部品自動教示装置が行う部品教示データの作成方法や、その方法に基づく動作をコンピュータに実行させるプログラム、そのプログラムを格納する記憶媒体、部品自動教示装置が備えるスキャナ、そのスキャナによる部品の撮像方法、としても実現することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の部品自動教示装置は、部品の形状や大きさに関わらずに、その部品の形態を正確に示す部品教示データを作成することができるという作用効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態における部品自動教示装置について、図面を用いて説明する。
【0032】
図1は、本発明の実施の形態における部品自動教示装置の構成を示す構成図である。
この部品自動教示装置Aは、電子部品(以下、単に部品という)の形態、即ちその部品の形状や特徴的な寸法を示す部品教示データを作成するものであって、部品をカラーで撮像するスキャナ100と、ユーザによる操作を受け付ける操作部210と、例えば液晶ディスプレイなどにより構成される表示部230と、操作部210により受け付けられた操作に基づいてスキャナ100及び表示部230を制御する制御部220とを備えている。また、制御部220は、周辺機器制御部221と入出力処理部222と画像処理部223とを備えている。
【0033】
スキャナ100は、制御部220の周辺機器制御部221からの指示に応じて、部品をカラーで撮像し、背景が青色又は赤色となるような部品のカラー画像を生成する。そして、スキャナ100は、その生成したカラー画像を制御部220の画像処理部223に出力する。
【0034】
制御部220の入出力処理部222は、操作部210で受け付けられた操作内容を取得して、その操作内容を周辺機器制御部221や画像処理部223に出力する。また、入出力処理部222は、スキャナ100で生成されたカラー画像を取得し、そのカラー画像を画像処理部223に出力する。
【0035】
周辺機器制御部221は、操作部210で受け付けられた操作内容を、入出力処理部222を介して取得し、その操作内容に基づいてスキャナ100及び表示部230を制御する。
【0036】
画像処理部223は、スキャナ100で生成された部品のカラー画像に対して所定の処理を行って、部品の外形が白黒の濃淡で表された白黒濃淡画像を生成し、その白黒濃淡画像を表示部230に表示させる。
【0037】
ここで、カラー画像から白黒濃淡画像を生成するときには、画像処理部223は、カラー画像の背景が青色であることを認識すると、青色変換式X=((R+G)/2−B)/2+128)を用いて、カラー画像の各画素が示すRGB値を、256階調の白黒の濃淡値Xに変換する。ここで、Rは赤色の256階調の濃淡値を示し、Gは緑色の256階調の濃淡値を示し、Bは青色の256階調の濃淡値を示す。また、画像処理部223は、カラー画像の背景が赤色であることを認識すると、赤色変換式(X=((B+G)/2−R)/2+128)を用いて、カラー画像の各画素が示すRGB値を、256階調の白黒の濃淡値Xに変換する。このように、青色変換式又は赤色変換式を用いてカラー画像を白黒濃淡画像に変換することにより、その白黒濃淡画像に写る部品と背景とのコントラストを高くすることができる。なお、画像処理部223は、その白黒濃淡画像に対してさらに、濃淡の幅を広げる伸張処理を行っても良い。これにより、さらにそのコントラストを高めることができる。
【0038】
また、画像処理部223は、操作部210で受け付けられた操作内容を入出力処理部222を介して取得し、その操作内容に基づいて、部品の外形や特徴的な寸法を示す部品教示データを作成するための作成条件を決定する。そして、画像処理部223は、白黒濃淡画像及び作成条件から部品教示データを作成する。即ち画像処理部223は、データ作成手段を構成する。
【0039】
作成条件は、例えば部品の電極タイプや、その電極の接地面の形状(以下、電極接地面形状という)などである。ユーザは、制御部220による制御に基づいて表示部230に表示される画面に従って操作部210を操作し、部品の電極タイプ及び電極接地面形状を入力する。
【0040】
図2は、画像処理部223が作成条件を決定するために表示部230に表示させる画面の一例を示す画面表示図である。
【0041】
画像処理部223は、図2(a)に示すように、「画像入力に必要な情報を設定してください」といったメッセージA1と、プルダウンメニューにより電極タイプの名称を選択表示するための電極タイプ欄A2と、電極タイプを図形から選択するための電極タイプ選択ボタンA3と、プルダウンメニューにより電極接地面形状の名称を選択表示するための面形状欄A4と、電極接地面形状を図形から選択するための面形状選択ボタンA5と、電極タイプ欄A2と面形状欄A4に表示された内容で作成条件を決定するように促す決定ボタンA6と、作成条件の決定を中止するように促すキャンセルボタンA7とを表示部230に表示させる。
【0042】
ユーザは、図2(a)に示す画面が表示されている場合、操作部210を操作することにより、部品の最も多い電極タイプを電極タイプ欄A2に、直接的に表示させるか、電極タイプ選択ボタンA3を用いて間接的に表示させる。
【0043】
間接的に表示させる場合、ユーザは電極タイプ選択ボタンA3を選択する。その選択の結果、表示部230は、図2(b)に示すように、例えば9つの電極タイプの図形を示す図形ボタンB1と、9つの電極タイプの名称を一覧形式で示す名称欄B2と、選択された図形ボタンB1により示される電極タイプを決定するように促すタイプ決定ボタンB3と、図形を利用した電極タイプの選択を中止するように促すタイプキャンセルボタンB4とを表示する。ここで、ユーザは、部品の電極タイプを示す図形を、9つの図形ボタンB1に表された図形の中から見つけ出し、操作部210を操作することにより、その図形が表された図形ボタンB1を選択する。図形ボタンB1が選択されると、名称欄B2に表示される各名称のうち、その選択された図形ボタンB1の示す電極タイプの名称が反転表示される。次に、ユーザが、操作部210を操作することによりタイプ決定ボタンB3を選択すると、表示部230は、再び図2(a)に示す画面を表示する。その画面中、電極タイプ欄A2には、上述のように選択された図形ボタンB1の示す電極タイプの名称が表示されている。このように、ユーザは、電極タイプ選択ボタンA3を用いることにより、部品の電極タイプの名称を知らなくても、その名称を図形から簡単に入力することができる。
【0044】
また、ユーザは、図2(a)に示す画面が表示されている場合、操作部210を操作することにより、部品の電極接地面形状を面形状欄A4に、直接的に表示させたり、面形状選択ボタンA5を用いて間接的に表示させる。
【0045】
間接的に表示させる場合、ユーザは面形状選択ボタンA5を選択する。その選択の結果、表示部230は、図2(c)に示すように、例えば2つの電極接地面形状を示す図形C1と、各図形C1に対応するチェックボックスC2と、チェックされたチェックボックスC2に対応する電極接地面形状を決定するように促す面形状決定ボタンC3と、図形を利用した電極接地面形状の選択を中止するように促す面形状キャンセルボタンC4とを表示する。ここで、ユーザは、部品の電極接地面形状を示す図形を、2つの図形C1の中から見つけ出し、操作部210を操作することにより、その図形に対応するチェックボックスC2にチェックを行う(黒点を入力する)。次に、ユーザが、操作部210を操作することにより面形状決定ボタンC3を選択すると、表示部230は、再び図2(a)に示す画面を表示する。その画面中、面形状欄A4には、上述のようにチェックされたチェックボックスC2に対応する電極接地面形状の名称が表示されている。このように、ユーザは、面形状選択ボタンA5を用いることにより、部品の電極接地面形状の名称を知らなくても、その名称を図形から簡単に入力することができる。
【0046】
このように、図2(a)に示す画面の電極タイプ欄A2及び面形状欄A4に、電極タイプ及び電極接地面形状のそれぞれの名称が選択表示された状態で、ユーザが決定ボタンA6を選択すると、その選択表示された名称の電極タイプ及び電極接地面形状が、部品教示データの作成条件として決定される。
【0047】
画像処理部223は、このように決定された作成条件と白黒濃淡画像とから、部品の寸法測定すべき部位やその測定処理方法などを示すアルゴリズムを特定する。そして、画像処理部223は、部品における上記部位の寸法、つまり特徴的な寸法を、そのアルゴリズムを用いて白黒濃淡画像から測定し、その特徴的な寸法や部品の形状を示す部品教示データを作成する。また、画像処理部223は、その部品教示データを表示部230に表示させる。
【0048】
このような部品教示データは、部品を基板に実装する部品実装装置において、部品の位置ずれの認識などのために用いられる。即ち、部品実装装置は、部品を基板に実装するときには、その部品をヘッドで吸着して基板上の所定の部位まで搬送し、その部位に部品を実装するが、その搬送の途中でヘッドに吸着された部品をカメラで撮像する。そして、部品実装装置は、その撮像結果と上述の部品教示データとから部品の位置ずれを認識し、その位置ずれを解消するようにヘッド等を駆動させる。これにより、基板の所定の部位に部品を正確に実装することができるのである。
【0049】
図3は、部品自動教示装置Aの全体的な動作を示すフロー図である。
まず、部品自動教示装置Aは、スキャナ100で部品をカラー画像で撮像し(ステップS100)、さらに、ユーザによる操作に基づいて作成条件を決定する(ステップS102)。
【0050】
次に、部品自動教示装置Aは、カラー画像から部品の白黒濃淡画像を生成する(ステップS104)。ここで部品自動教示装置Aは、ステップS104で生成された白黒濃淡画像から部品の外形を検出する。部品の外形の検出は、白黒の濃淡値の差分から検出される。また、部品自動教示装置Aは、ステップS102で決定された作成条件などを参考に、所定のアルゴリズムを特定する。
【0051】
そして最後に、部品自動教示装置Aは、白黒濃淡画像から検出された部品の外形から、上記所定のアルゴリズムを用いて、部品の特徴的な寸法を測定し、その測定結果を示す部品教示データを生成する(ステップS106)。
【0052】
ここで本実施の形態におけるスキャナ100について詳細に説明する。
本実施の形態におけるスキャナ100は、部品の形状や大きさに関わらずに背景色を鮮明で斑のない青色又は赤色にして、且つ部品の傾きを防いで、その部品のカラー画像を生成するものである。
【0053】
図4は、本実施の形態におけるスキャナ100の特徴を説明するための説明図である。
スキャナ100は、図4に示すように、部品10の載置された面から光を照射してその部品10の背面を撮像するが、このとき、部品10の上方から青色又は赤色の光L1を均一に照射する。
【0054】
これにより、部品10の厚みに関わらず、背景色を鮮明で斑のない青色又は赤色にして部品10のカラー画像を生成することができる。
【0055】
図5は、本実施の形態におけるスキャナ100の他の特徴を説明するための説明図である。
【0056】
スキャナ100は、図5に示すように、部品11の載置された面から光を照射してその部品11の背面を撮像するが、このとき、部品11が傾かないようにノズルb5に部品11を吸着させてこれを固定させる。
【0057】
これにより、スキャナ100に載置された部品11が、例えばその部品11の脚11aによって傾いてしまうのを防ぎ、その部品11の撮像すべき面(背面)を正面から撮像することができる。
【0058】
以下、上述のようなスキャナ100の具体的な構成について説明する。
図6は、本実施の形態におけるスキャナ100の斜視図である。
【0059】
このスキャナ100は、撮像手段たるスキャナ本体110と、スキャナ本体110を覆うカバー120とから構成される。
【0060】
スキャナ本体110は、略矩形箱状の筐体111と、筐体111内に埋設された撮像素子及び照明具(図示せず)と、筐体111の上面に取り付けられたガラス板112とを備えている。部品が撮像されるときには、このガラス板112の上面を読み取り面として、その面に部品が載置される。そして、上述の照明具は、ガラス板112を介して部品を照らし、上述の撮像素子は、ガラス板112を介してその照らされた部品を撮像する。
【0061】
カバー120は、全体的に略矩形板状のカバー本体121と、カバー本体121を支える4つの支柱123と、ユーザによる回動操作により、4つの支柱123に対してカバー本体121を昇降させる隙間調整手段たる昇降ハンドル124と、ユーザによる回動操作により、カバー本体121を4つの支柱123に対して固定させるストッパーレバー125とを備えている。
【0062】
このようなカバー120は、カバー本体121がスキャナ本体110のガラス板112に隙間を開けて対向するように設置される。
【0063】
カバー本体121は、略矩形の開口a1が中央に形成された枠板121aと、その枠板121aの開口a1を塞いだり開けたりするように、開口a1周辺にヒンジで開閉自在に取り付けられた開閉体121bとを備えている。
【0064】
このような開閉体121bは、略矩形の開閉板b1と、開閉板b1を開閉するための略コ字状の取手部b2と、開閉板b1に設けられたエアーの通路口b3と、開閉板b1におけるスキャナ本体110のガラス板112側に設置された照明部(照明手段)及びノズル(保持手段)とを備えている。
【0065】
図7は、開閉体121bの照明部及びノズルを示す図である。
上述の開閉体121bの照明部b4は、青色に発光する複数の発光ダイオードD1、及び赤色に発光する複数の発光ダイオードD2をそれぞれ基板上に均一に敷き詰めて構成された発光板b41と、磨硝子のように光を拡散させる拡散板b42とを備える。
【0066】
発光板b41は、スキャナ本体110のガラス板112側に向かって発光するように、開閉板b1にネジで締め付けて固定される。
【0067】
拡散板b42は、発光板b41を覆うような形で、開閉板b1に固定される。拡散板b42の開閉板b1への固定には、開閉板b1にネジで締め付けられて拡散板b42を支持する一対の支持片b43が用いられる。
【0068】
図8は、ノズルの斜視図である。
ノズルb5は、発光板b41及び拡散板b42の略中央を貫通するように開閉板b1に取り付けられている。ノズルb5の先端は略T字状に形成されており、その内部は上述の通路口b3に連通している。
【0069】
このようなノズルb5は、エアー吸引機などの吸引チューブが通路口b3に差し込まれると、そのエアー吸引機の駆動により、そのノズルb5の先端からエアーを吸引する。したがって、ノズルb5は、その先端に部品が当接された状態で、エアー吸引機が駆動すると、ノズルb5の内部は負圧になりその部品を吸着する。このノズルb5の吸着により部品が固定される。
【0070】
図9は、発光板b41の正面図である。
発光板b41の基板Pbは、例えば幅86mm、長さ218mmの略矩形細長に形成されている。また、基板Pbの略中央には、ノズルb5を挿通させるための挿通孔Pb1が形成されている。そして、複数の発光ダイオードD1,D2は、その基板Pb上の例えば幅78mm、長さ210mmの矩形範囲に実装されている。また、このような発光板b41は、スキャナ本体110のガラス板112の略中央に位置するように、開閉板b1に固定されている。さらに、複数の発光ダイオードD1,D2はそれぞれ粗密なく満遍に上記矩形範囲内に実装されている。
【0071】
図10は、スキャナ100の正面部分断面図である。
この図10に示すように、カバー120の開閉体121bが閉じているときには、開閉体121bの開閉板b1、発光板b41、及び拡散板b42はそれぞれ、スキャナ本体110のガラス板112に対して平行となる。
【0072】
このようなスキャナ100に部品のカラー画像を生成させるときには、ユーザは、まず、部品の厚みを考慮してカバー120のカバー本体121の高さを上述の昇降ハンドル124で調整する。このとき、ユーザは、開閉体121bが閉じた状態で、ノズルb5の先端がスキャナ本体110のガラス板112から少なくとも部品の厚み分だけ離れるように、高さを調整する。そして、ユーザはストッパーレバー125を回動することで、カバー本体121を4つの支柱123に対して固定する。
【0073】
次にユーザは、開閉体121bの取手部b2を掴んでその開閉体121bを開く。
図11は、カバー120の開閉体121bが開いた状態を示す斜視図である。
【0074】
ユーザが開閉体121bを開くと、枠板121aの開口a1からスキャナ本体110のガラス板112を覗き込むことができる状態となる。
【0075】
このような状態で、ユーザは、エアー吸引機などを駆動させることによりノズルb5の先端からエアーの吸引を開始させる。そして、ユーザは、そのノズルb5の先端に部品を吸着させる。
【0076】
図12は、ノズルb5の先端に部品が吸着した状態を示す図である。
例えば、撮像対象となる部品12は、図12に示すように、全体的に細長く形成されており、その電極12bが配置された面(以下、電極面という)の両端には、長い脚12aが突設されている。
【0077】
このような部品12の電極面を撮像してそのカラー画像を生成しようとする場合、ユーザは、図12に示すように、その部品12の電極面と反対側の面に、ノズルb5の先端を当接させる。その結果、ノズルb5の先端からはエアーが吸引されているので、その先端に当接された部品12は、ノズルb5の先端に吸着する。即ち、ノズルb5は、発光板b41と反対側に電極面を向けた状態で部品12を保持する。
【0078】
次にユーザは、上述のようにノズルb5の先端に部品12を吸着させた状態で、開閉体121bを閉じる。
【0079】
図13は、部品12が設置されたスキャナ100の正面部分断面図である。
この図13に示すように、部品12は、ノズルb5に吸着されているため、ガラス板112に対して、部品12の脚12aを垂直に立て、且つその部品12の電極面を平行にさせた状態で固定される。
【0080】
図14は、スキャナ本体110の筐体111内部からガラス板112を介して部品12を眺めた様子を説明するための図である。
【0081】
上述のように部品12が固定されることによって、筐体111内部からは、ガラス板112を介して部品12の電極面が傾くことなく見える。
【0082】
このような状態で、スキャナ100は部品12の電極面のカラー画像を生成する。
即ち、スキャナ100は、発光板b41の発光ダイオードD1又は発光ダイオードD2を発光させて、部品12の上方から青色又は赤色の光を照射する。さらに、スキャナ100は、筐体111内部の照明具を光らせて部品12の電極面を照らす。そして、筐体111内部の撮像素子は、ガラス板112越しに照明具によって照らされた部品12の電極面を、青色又は赤色に発光する発光板b41を背景に撮像する。
【0083】
図15は、本実施の形態におけるスキャナ100で生成されたカラー画像を示す図である。
【0084】
この図15に示すように、発光板b41が青色に発光して生成されたカラー画像Pic0には、背景が均一に鮮明な青色となって写り、且つ部品12の電極面が傾くことなく写る。また、発光板b41が赤色に発光して生成されたカラー画像Pic0には、背景が均一に鮮明な赤となって写り、且つ部品12の電極面が傾くことなく写る。
【0085】
このように本実施の形態のスキャナ100では、部品に対して背後から青色又は赤色の光を照射し、且つその部品を固定して撮像するため、部品の形状や大きさに関わらずに背景色を鮮明で斑のない青色又は赤色にして、且つ部品の傾きを防いで、その部品のカラー画像を生成することができる。
【0086】
その結果、本実施の形態の部品自動教示装置Aでは、そのカラー画像から部品の形状や特徴的な寸法を正確に示す部品教示データを作成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の部品自動教示装置は、部品の形状や大きさに関わらずに、その部品の形態を正確に示す部品教示データを作成することができるという効果を有し、例えば、電子部品の部品教示データに基づいて部品の位置ずれを認識する部品実装装置などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態における部品自動教示装置の構成を示す構成図である。
【図2】同上の画像処理部が作成条件を決定するために表示部に表示させる画面の一例を示す画面表示図である。
【図3】同上の部品自動教示装置の全体的な動作を示すフロー図である。
【図4】同上のスキャナの特徴を説明するための説明図である。
【図5】同上のスキャナの他の特徴を説明するための説明図である。
【図6】同上のスキャナの斜視図である。
【図7】同上の開閉体の照明部及びノズルを示す図である。
【図8】同上のノズルの斜視図である。
【図9】同上の発光板の正面図である。
【図10】同上のスキャナの正面部分断面図である。
【図11】同上のカバーの開閉体が開いた状態を示す斜視図である。
【図12】同上のノズルの先端に部品が吸着した状態を示す図である。
【図13】同上の部品が設置されたスキャナ100の正面部分断面図である。
【図14】同上のスキャナ本体の筐体内部からガラス板を介して部品を眺めた様子を説明するための図である。
【図15】同上のスキャナで生成されたカラー画像を示す図である。
【図16】背景技術のカラースキャナで電子部品のカラー画像が生成される様子を説明するための説明図である。
【図17】同上の部品自動教示装置の問題点を説明するための説明図である。
【図18】同上の電子部品を正しい状態に固定できない様子を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0089】
10,11,12 部品
12a 脚
12b 電極
100 スキャナ
110 スキャナ本体
111 筐体
112 ガラス板
120 カバー
121 カバー本体
121a 枠板
121b 開閉体
123 支柱
124 昇降ハンドル
125 ストッパーレバー
210 操作部
220 制御部
221 周辺機器制御部
222 入出力処理部
223 画像処理部
230 表示部
A 部品自動教示装置
D1,D2 発光ダイオード
a1 開口
b1 開閉板
b2 取手部
b3 通路口
b4 照明部
b41 発光板
b42 拡散板
b5 ノズル
m1 斑


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に実装される部品の形態を示す部品教示データを作成する部品自動教示装置であって、
光を透過する透光板に載置された前記部品を含む周辺に対し、前記部品から見て透光板と反対側から、単色の光を照射する照射手段と、
前記照射手段が照射している状態で、前記部品を前記透光板を介してカラーで撮像することで、前記部品のカラー画像を生成する撮像手段と、
前記撮像手段によって生成されたカラー画像から、前記部品の形態を特定して前記部品教示データを作成するデータ作成手段と
を備えることを特徴とする部品自動教示装置。
【請求項2】
前記部品自動教示装置は、さらに、
前記部品の所定の面を前記透光板に対向させるように前記部品を保持する保持手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の部品自動教示装置。
【請求項3】
前記保持手段は、ノズルを具備して、前記ノズルの先端に前記部品を吸着することで前記部品を保持する
ことを特徴とする請求項2記載の部品自動教示装置。
【請求項4】
前記照射手段は、一面に沿って略均一に発光することで、前記単色の光を照射する
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の部品自動教示装置。
【請求項5】
前記照射手段は、青色又は赤色の光を照射する
ことを特徴とする請求項4に記載の部品自動教示装置。
【請求項6】
前記照射手段は、青色又は赤色に発光する光源と、前記光源からの光を一面に沿って略均一に拡散させる拡散板とを備える
ことを特徴とする請求項5記載の部品自動教示装置。
【請求項7】
前記光源は、一面に沿って略均一に配置された複数の発光ダイオードを備える
ことを特徴とする請求項6記載の部品自動教示装置。
【請求項8】
前記複数の発光ダイオードは、一面に沿って略均一に配置された青色に発光する複数の第1の発光ダイオードと、前記一面に沿って略均一に配置された赤色に発光する複数の第2の発光ダイオードとで構成され、
前記光源は、前記複数の第1の発光ダイオードと、前記複数の第2の発光ダイオードとを切り換えて通電させる
ことを特徴とする請求項7記載の部品自動教示装置。
【請求項9】
前記部品自動教示装置は、さらに、
前記照射手段と前記透光板との隙間を調整する隙間調整手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の部品自動教示装置。
【請求項10】
前記データ作成手段は、
前記撮像手段によって生成された背景が単色のカラー画像を、前記背景が白色又は黒色となって前記部品の外形が白黒の濃淡で表された白黒濃淡画像に変換し、前記白黒濃淡画像から前記部品の形態を特定して前記部品教示データを作成する
ことを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の部品自動教示装置。
【請求項11】
基板上に実装される部品の形態を示す部品教示データを作成する方法であって、
光を透過する透光板に載置された前記部品を含む周辺に対し、前記部品から見て透光板と反対側から、単色の光を照射する照射ステップと、
前記照射ステップによる照射が行われている状態で、前記部品を前記透光板を介してカラーで撮像することで、前記部品のカラー画像を生成する撮像ステップと、
前記撮像ステップで生成されたカラー画像から、前記部品の形態を特定して前記部品教示データを作成するデータ作成ステップと
を含むことを特徴とする部品教示データ作成方法。
【請求項12】
前記部品教示データ作成方法は、さらに、
前記部品の所定の面を前記透光板に対向させるように前記部品を保持する保持ステップを含む
ことを特徴とする請求項11記載の部品教示データ作成方法。
【請求項13】
前記保持ステップでは、ノズルの先端に前記部品を吸着することで前記部品を保持する
ことを特徴とする請求項12記載の部品教示データ作成方法。
【請求項14】
前記照射ステップでは、一面に沿って略均一に前記単色の光を照射する
ことを特徴とする請求項11〜13の何れか1項に記載の部品教示データ作成方法。
【請求項15】
前記照射ステップでは、青色又は赤色の光を照射する
ことを特徴とする請求項14記載の部品教示データ作成方法。
【請求項16】
前記データ作成ステップでは、
前記撮像ステップで生成された背景が単色のカラー画像を、前記背景が白色又は黒色となって前記部品の外形が白黒の濃淡で表された白黒濃淡画像に変換する変換サブステップと、
前記白黒濃淡画像から前記部品の形態を特定して前記部品教示データを作成するデータ作成サブステップとを含む
ことを特徴とする請求項11〜15の何れか1項に記載の部品教示データ作成方法。
【請求項17】
基板上に実装される部品を撮像するスキャナであって、
光を透過する透光板に載置された前記部品を含む周辺に対し、前記部品から見て透光板と反対側から、単色の光を照射する照射手段と、
前記照射手段が照射している状態で、前記部品を前記透光板を介してカラーで撮像することで、前記部品のカラー画像を生成する撮像手段と
を備えることを特徴とするスキャナ。
【請求項18】
前記スキャナは、さらに、
前記部品の所定の面を前記透光板に対向させるように前記部品を保持する保持手段を備える
ことを特徴とする請求項17記載のスキャナ。
【請求項19】
前記保持手段は、ノズルを具備して、前記ノズルの先端に前記部品を吸着することで前記部品を保持する
ことを特徴とする請求項18記載のスキャナ。
【請求項20】
基板上に実装される部品を撮像する方法であって、
光を透過する透光板に載置された前記部品を含む周辺に対し、前記部品から見て透光板と反対側から、単色の光を照射する照射ステップと、
前記照射ステップによる照射が行われている状態で、前記部品を前記透光板を介してカラーで撮像することで、前記部品のカラー画像を生成する撮像ステップと
を含むことを特徴とする部品撮像方法。
【請求項21】
前記部品撮像方法は、さらに、
前記部品の所定の面を前記透光板に対向させるように前記部品を保持する保持ステップを含む
ことを特徴とする請求項20記載の部品撮像方法。
【請求項22】
前記保持ステップでは、ノズルの先端に前記部品を吸着することで前記部品を保持する
ことを特徴とする請求項21記載の部品撮像方法。
【請求項23】
請求項11〜16の何れか1項に記載の部品教示データ作成方法に含まれるステップを、コンピュータに実行させるプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−85494(P2006−85494A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−270382(P2004−270382)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】