説明

部材の接合方法、複合部材の製造方法、接合体および複合部材

【課題】 複合材からなる部材と少なくともアルミニウムを含む部材とを容易に接合させることができる部材の接合方法等を提供する。
【解決手段】 複合材からなる一方の部材11の表面にアルミニウムを溶射して接合層14を形成し、この接合層14に、少なくとも接合面12aがアルミニウムとされた他方の部材12を接合面12aにおいて摩擦接合する。複合材からなる一方の部材11の表面にアルミニウム薄膜を接着して接合層14を形成し、この接合層14に、少なくとも接合面12aがアルミニウムとされた他方の部材12を接合面12aにおいて摩擦接合してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材の接合方法、複合部材の製造方法、接合体および複合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の複合材料が開発されており、その一例として、強化材であるセラミックス粉末またはセラミックス繊維でプリフォームを形成し、このプリフォームにアルミニウムまたはアルミニウム合金を浸透させて複合材料を形成する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−220629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、軽量で高強度のGFRP(ガラス繊維強化プラスチック)あるいはCFRP(炭素繊維強化プラスチック)等の繊維強化プラスチックを例とする複合材を種々の構造材として使用することが試行されているが、複合材は、金属例えばアルミニウムからなる部材との接合が困難であるという問題があった。例えば、航空機の主翼をCFRPで製造し、機体側のアルミニウムと接合させる場合等である。また、複合材と金属とを複合した部材の製造についても製造が困難であるという問題があった。
このような問題に基づいてなされた本発明は、複合材からなる部材と少なくともアルミニウムを含む部材とを容易に接合させることができる部材の接合方法、複合材と少なくともアルミニウムを含む材料とを複合した複合部材を容易に製造できる複合部材の製造方法、複合材と少なくともアルミニウムを含む部材とを容易に接合させた接合体、複合材と少なくともアルミニウムを含む材料とを容易に複合した複合部材、および後にアルミニウムを含む部材との接合が容易な複合部材の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の部材の接合方法は、複合材からなる一方の部材の表面にアルミニウムを溶射して接合層を形成し、接合層に、少なくとも接合面がアルミニウムとされた他方の部材を接合面において摩擦接合することを特徴としている。
このように、アルミニウムを加熱により溶融もしくは軟化させて微粒子状にして加速して衝突させる溶射により、複合材からなる一方の部材の表面にアルミニウムからなる接合層を一旦形成し、この接合層に他方の部材を、アルミニウムとされた接合面において摩擦接合する。
【0006】
一方の部材の表面は、溝が間隔をあけて形成されることで波状をなしたものとするのが好ましい。このように、アルミニウムが溶射される一方の部材の表面が波状をなしていることで、接合層の接合力が向上する。
【0007】
本発明の部材の接合方法は、複合材からなる一方の部材の表面にアルミニウム薄膜を接着して接合層を形成し、接合層に、少なくとも接合面がアルミニウムとされた他方の部材を接合面において摩擦接合することを特徴としている。
このように、複合材からなる一方の部材の表面にアルミニウム薄膜を接着して接合層を一旦形成し、この接合層に他方の部材を、アルミニウムとされた接合面において摩擦接合する。
【0008】
ここで、他方の部材は、アルミニウム材または接合面がアルミニウムとされた構造用異材継手材または接合面がアルミニウムとされた傾斜機能材とすることができる。このように、他方の部材をアルミニウム材とすれば、複合材からなる一方の部材にアルミニウム材からなる他方の部材を容易に接合させることができ、他方の部材を構造用異材継手材とすれば、複合材からなる一方の部材に構造用異材継手材からなる他方の部材を容易に接合させることができ、他方の部材を傾斜機能材とすれば、複合材からなる一方の部材に傾斜機能材からなる他方の部材を容易に接合させることができる。
【0009】
また、一方の部材と他方の部材とを締結部材により締結させることもできる。このように、一方の部材と他方の部材とを締結部材により締結させることによって、摩擦接合による接合力を補強する。
【0010】
本発明は、複合材からなる基部材の表面にアルミニウムと他の材料とを徐々に他の材料の比率が高くなるように順次溶射してなることを特徴とすることができる。
このように、溶融もしくは軟化させて微粒子状にして加速して衝突させる溶射により、複合材からなる基部材の表面にアルミニウムを形成し、徐々にアルミニウムに対する他の材料の比率を高くして溶射することで最終的に基部材に対し反対側に他の材料の層を形成できる。
【0011】
この場合も、基部材の表面は、溝が間隔をあけて形成されることで波状をなしたものとするのが良く、アルミニウムが溶射される基部材の表面が波状をなしていることで、接合力が向上する。
【0012】
本発明の接合体は、複合材からなる一方の部材の表面に溶射されて形成されたアルミニウムの接合層に、少なくとも接合面がアルミニウムとされた他方の部材が接合面において摩擦接合されていることを特徴としている。
このように、アルミニウムを加熱により溶融もしくは軟化させて微粒子状にして加速して衝突させる溶射により、複合材からなる一方の部材の表面にアルミニウムからなる接合層を一旦形成し、この接合層に他方の部材を、アルミニウムとされた接合面において摩擦接合する。
【0013】
この場合も、一方の部材の表面は、溝が間隔をあけて形成されることで波状をなしたものとすることができ、アルミニウムが溶射される一方の部材の表面が波状をなしていることで、接合層の接合力が向上する。
【0014】
本発明の接合体は、複合材からなる一方の部材の表面にアルミニウム薄膜が接着されて形成されたアルミニウムの接合層に、少なくとも接合面がアルミニウムとされた他方の部材が接合面において摩擦接合されていることを特徴とすることもできる。
このように、複合材からなる一方の部材の表面にアルミニウム薄膜を接着して接合層を一旦形成し、この接合層に他方の部材を、アルミニウムとされた接合面において摩擦接合する。
【0015】
ここで、他方の部材は、アルミニウム材または接合面がアルミニウムとされた構造用異材継手材または接合面がアルミニウムとされた傾斜機能材であるものとすることができる。このように、他方の部材をアルミニウム材とすれば、複合材からなる一方の部材にアルミニウム材からなる他方の部材を容易に接合させることができ、他方の部材を構造用異材継手材とすれば、複合材からなる一方の部材に構造用異材継手材からなる他方の部材を容易に接合させることができ、他方の部材を傾斜機能材とすれば、複合材からなる一方の部材に傾斜機能材からなる他方の部材を容易に接合させることができる。
【0016】
また、一方の部材と他方の部材とを締結部材により締結させていることもできる。このように、一方の部材と他方の部材とを締結部材により締結させることによって、摩擦接合による接合力を補強する。
【0017】
本発明の複合部材は、複合材からなる基部材の表面にアルミニウムと他の材料とが徐々に他の材料の比率が高くなるように順次溶射されてなることを特徴としている。
このように、溶融もしくは軟化させて微粒子状にして加速して衝突させる溶射により、複合材からなる基部材の表面にアルミニウムを形成し、徐々にアルミニウムに対する他の材料の比率を高くして溶射することで最終的に基部材に対し反対側に他の材料の層を形成できる。
【0018】
本発明の複合部材は、複合材からなる基部材の表面にアルミニウムを溶射してなることを特徴とすることもできる。
このように、アルミニウムを加熱により溶融もしくは軟化させて微粒子状にして加速して衝突させる溶射により、複合材からなる基部材の表面にアルミニウムの層を一旦形成しておけば、その後、アルミニウムとされた接合面を有する他の部材を接合面において摩擦接合させることができる。
【0019】
この場合も、基部材の表面に、溝が間隔をあけて形成されることで波状をなしていることを特徴としている。このように、溶射が行われる基部材の表面が波状をなしていることで、溶射層の接合力が向上する。
【0020】
本発明の複合部材は、複合材からなる基部材の表面にアルミニウム薄膜を接着してなることを特徴としている。
このように、アルミニウム薄膜を複合材からなる基部材の表面に接着してアルミニウムの層を一旦形成しておけば、その後、アルミニウムとされた接合面を有する他の部材を接合面において摩擦接合させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複合材の表面であってもアルミニウムの接合層を容易に形成でき、このようにして一方の部材に形成された接合層に、他方の部材を摩擦接合させるため、複合材からなる一方の部材と少なくともアルミニウムを含む他方の部材とを容易に接合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の第1実施形態を図1を参照して以下に説明する。
図1(c)に示すように、第1実施形態においては、複合材からなる一方の部材11と、アルミニウム(アルミニウム合金を含む)からなる他方の部材12とを接合させる。ここで、複合材は、例えば、GFRP(ガラス繊維強化プラスチック)、CFRP(炭素繊維プラスチック)およびKFRP(ケブラ繊維プラスチック)等の繊維強化プラスチック等である。
【0023】
まず、図1(a)に示す一方の部材11の他方の部材12を接合させる側の面(表面)11aを例えばショットブラスト処理等で粗くしておき、この面11aに他方の部材12と同じ材料であるアルミニウムを加熱により溶融もしくは軟化させて微粒子状にして加速して衝突させる。つまり溶射する。この溶射によって、図1(b)に示すようにアルミニウムの接合層14を形成する。このようにして、複合材からなる一方の部材11にアルミニウムの接合層14が形成された中間複合部材(複合部材)15を形成する。
【0024】
次に、上記した中間複合部材15の接合層14の一方の部材11とは反対の面(表面)14aに、図1(c)に示すようにアルミニウムからなる他方の部材12をその一側の接合面12aにおいて接合させる。このときの接合は、摩擦熱と塑性流動とを利用した摩擦接合により行う。
このようにして、複合材からなる一方の部材11とアルミニウムからなる他方の部材12とを接合した接合体16を形成する。
【0025】
第1実施形態によれば、上記のように、アルミニウムを加熱により溶融もしくは軟化させて微粒子状にして加速して衝突させる溶射により、複合材からなる一方の部材11の面11aにアルミニウムからなる接合層14を一旦形成し、この接合層14に他方の部材12を、アルミニウムとされた接合面12aにおいて摩擦接合する。したがって、複合材の面11aであっても溶射でアルミニウムの接合層14を容易に形成でき、このようにして一方の部材11に形成された接合層14に、他方の部材12を摩擦接合させるため、複合材からなる一方の部材11とアルミニウムからなる他方の部材12とを容易に接合させることができる。
【0026】
次に、本発明の第2実施形態を図2を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0027】
第2実施形態においては、第1実施形態の接合体16に一方の部材11から他方の部材12にかけて貫通する貫通孔18を複数形成し、これら貫通孔18にボルト(締結部材)20を挿通させこれらボルト20にナット(締結部材)21を螺合させることで、一方の部材11と他方の部材12とをこれらボルト20およびナット21で締結させる。
【0028】
このような第2実施形態では、一方の部材11と他方の部材12とをボルト20およびナット21で締結させることによって、摩擦接合による接合力を補強することができるため、一方の部材11と他方の部材12とを一層強固に接合させることができる。
【0029】
次に、本発明の第3実施形態を図3を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0030】
第3実施形態においては、まず、図3(a)に示すように、複合材からなる一方の部材11の他方の部材12を接合させる側の面11aに溝23を間隔をあけて複数形成することでこの面11aを波状としている。これらの溝23は複合材からなる一方の部材11の成型時に形成したり、成型後に後加工で形成したりすることができるもので、その後行われるショットブラストによる凹凸よりもかなり大きなものとなっている。そして、この一方の部材11の面11aに、図3(b)に示すように、第1実施形態と同様に、他方の部材12と同じ材料であるアルミニウムを溶射して接合層14を形成し中間複合部材15とする。次に、この中間複合部材15の接合層14の面14aに、アルミニウムからなる他方の部材12を接合面12aにおいて摩擦接合させることで、図3(c)に示すように、複合材からなる一方の部材11とアルミニウムからなる他方の部材12とを接合した接合体16を形成する。
【0031】
このような第3実施形態では、アルミニウムが溶射される一方の部材11の面11aを波状とすることで、接合層14の接合力を向上させることができるため、一方の部材11と他方の部材12とをさらに強固に接合させることができる。
【0032】
なお、第3実施形態に第2実施形態を適用して、一方の部材11と他方の部材12とに貫通孔18を形成し貫通孔18に挿通されるボルト20およびナット21で一方の部材11と他方の部材12とを締結させることも可能である。
【0033】
次に、本発明の第4実施形態を図4を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0034】
第1実施形態では、他方の部材12としてアルミニウム材を一方の部材11に接合させたが、少なくとも接合面12aがアルミニウムとされたものであれば良い。第4実施形態においては、図4に示すように、複合材からなる一方の部材11と、一方の接合面12aがアルミニウムとされた、アルミニウム材25とステンレス鋼材26とを接合させた構造用異材継手材(STJ)からなる他方の部材12とを接合させる。ここで、構造用異材継手材からなる他方の部材12は、アルミニウム材25とステンレス鋼材26とを爆着により接合させたものである。
【0035】
そして、第1実施形態と同様、図4(a)に示すように、複合材からなる一方の部材11の面11aに、他方の部材12に含まれる材料であるアルミニウムを溶射し接合層14を形成して中間複合部材15とする。次に、この中間複合部材15の接合層14の面14aに、アルミニウムからなる他方の部材12を接合面12aにおいて摩擦接合させることで、図4(b)に示すように、複合材からなる一方の部材11と構造用異材継手材からなる他方の部材12とを接合した接合体16を形成する。
【0036】
このような第4実施形態では、複合材からなる一方の部材11に構造用異材継手材からなる他方の部材12を容易に接合させることができる。
【0037】
なお、第4実施形態に第2実施形態を適用して、一方の部材11と他方の部材12とに貫通孔18を形成しこの貫通孔18に挿通されるボルト20およびナット21でこれら一方の部材11と他方の部材12とを締結させることも可能である。さらに、第4実施形態に第3実施形態を適用して、一方の部材11の面11aを波状としたり、これに合わせてボルト20およびナット21で締結したりすることも可能である。
【0038】
次に、本発明の第5実施形態を図5を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0039】
第5実施形態においては、図5(a)に示すように、複合材からなる一方の部材11と、一方の接合面12aがアルミニウムとされ他方の面12b側に行くほど徐々にアルミニウムとは異なる他の材料、例えばジルコニア(ZrO2)等のセラミックスの比率が高くなる傾斜機能材からなる他方の部材12とを接合させる。ここで、傾斜機能材からなる他方の部材12は、アルミニウム100%の材料層30に、アルミニウム80%/ジルコニア20%の材料層31、アルミニウム20%/ジルコニア80%の材料層32、ジルコニア100%の材料層33をこの順に重ねて焼結することで一体化したものである。なお、アルミニウムとで傾斜機能材を構成するセラミックス材料としては、他のものを用いても良い。
【0040】
そして、第1実施形態と同様に、複合材からなる一方の部材11の面11aに、他方の部材12に含まれる材料であるアルミニウムを溶射して接合層14を形成し中間複合部材15とする。次に、この中間複合部材15の接合層14の面14aに、接合面12aがアルミニウムからなる他方の部材12を接合面12aにおいて摩擦接合させることで、図5(b)に示すように、複合材からなる一方の部材11と傾斜機能材からなる他方の部材12とを接合した接合体16を形成する。
【0041】
このような第5実施形態では、複合材からなる一方の部材11に傾斜機能材からなる他方の部材12を容易に接合させることができる。このように他方の部材12として、アルミニウムと熱伝導性の低いジルコニアとの傾斜機能材を用いることで、他方の部材12の一方の部材11との接合側に対して反対の面側に断熱性を持たせることができ全体に耐熱性を持たせることができる。
【0042】
なお、第5実施形態に第2実施形態を適用して、一方の部材11と他方の部材12とに貫通孔18を形成しこの貫通孔18に挿通されるボルト20およびナット21で一方の部材11と他方の部材12とを締結させることも可能である。さらに、第5実施形態に第3実施形態を適用して、一方の部材11の面11aを波状としたり、これに合わせてボルト20およびナット21で締結したりすることも可能である。
【0043】
次に、本発明の第6実施形態を図6を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0044】
第6実施形態においては、図6に示すように、複合材からなる一方の部材(基部材)11の面11aに対して、この面11aから離れるほど徐々にアルミニウムとは異なる他の材料、例えばジルコニア(ZrO2)等のセラミックスの比率が高くなるように順次溶射を行う。つまり、アルミニウムを溶射するノズルおよびジルコニアを溶射するノズルの溶射量を経時的に変更制御することによって、図6(a)に示すように複合材からなる一方の部材11の面11aにアルミニウム100%の層35を形成し、その上に、図6(b)に示すようにアルミニウム80%/ジルコニア20%の層36を形成し、その上に、図6(c)に示すようにアルミニウム20%/ジルコニア80%の層37を形成し、その上に、図6(d)に示すようにジルコニア100%の層38を形成して複合部材39とする。なお、アルミニウムと混合される他のセラミックス材料としては、第5実施形態で例示したもの等がある。
【0045】
このような第6実施形態によれば、溶射により、複合材からなる一方の部材11の面11aにアルミニウムを形成し、徐々にアルミニウムに対するジルコニアの比率を高くして溶射することで最終的に一方の部材11に対し反対側に、複合材とは異なる他の材料であるジルコニアを配置したものを容易に形成できる。これにより複合材からなる一方の部材11の反対側に断熱性を持たせることができ全体に耐熱性を持たせることができる。
【0046】
なお、第6実施形態に第3実施形態を適用して、一方の部材11の面11aを波状にすることも可能である。
【0047】
次に、本発明の第7実施形態を図7を参照して以下に第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付しその説明は略す。
【0048】
第7実施形態では、図7(b)に示すように、第1実施形態と同様に、複合材からなる一方の部材11と、アルミニウムからなる他方の部材12とを接合させる。
【0049】
第7実施形態では、まず、図7(a)に示すように、一方の部材11の他方の部材12を接合させる側の面11aに他方の部材12と同じ材料からなるアルミニウム薄膜40を接着剤で接着させて、アルミニウムの接合層14を形成する。このようにして、複合材にアルミニウムの接合層14が形成された中間複合部材15を得る。
【0050】
そして、第1実施形態と同様に、上記した中間複合部材15の接合層14の面14aに、アルミニウムからなる他方の部材12を接合面12aにおいて摩擦接合させることで、図7(b)に示すように、複合材からなる一方の部材11とアルミニウムからなる他方の部材12とを接合した接合体16を形成する。
【0051】
このような第7実施形態によれば、上記のように、アルミニウム薄膜40を接着することにより、複合材からなる一方の部材11の面11aにアルミニウムからなる接合層14を一旦形成し、この接合層14に他方の部材12を、アルミニウムとされた接合面12aにおいて摩擦接合する。したがって、第1実施形態と同様に、複合材からなる一方の部材11とアルミニウムからなる他方の部材12とを容易に接合させることができる。また、特に接着させるアルミニウムを薄膜とすることで接着の作業性も向上する。
【0052】
なお、第7実施形態に、第4実施形態を適用して、他方の部材12として構造用異材継手材を一方の部材11に接合させたり、第5実施形態を適用して、他方の部材12として傾斜機能材を一方の部材11に接合させたりすることが可能である。さらに、第7実施形態に第2実施形態を適用して、一方の部材11と他方の部材12とに貫通孔18を形成しこの貫通孔18に挿通されるボルト20およびナット21で一方の部材11と他方の部材12とを締結させることも可能である。
【0053】
また、第1実施形態、第3実施形態および第7実施形態で述べた中間複合部材15をこの状態で客先に納入し、客先で必要な他方の部材12を接合させるようにすれば、客先における接合の作業性が大幅に向上することになる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態を示す正断面図であって、接合の各工程を示すものである。
【図2】本発明の第2実施形態を示す正断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態を示す正断面図であって、接合の各工程を示すものである。
【図4】本発明の第4実施形態を示す正断面図であって、接合前および接合後を示すものである。
【図5】本発明の第5実施形態を示す正断面図であって、接合前および接合後を示すものである。
【図6】本発明の第6実施形態を示す正断面図であって、溶着の各工程を示すものである。
【図7】本発明の第7実施形態を示す正断面図であって、接合前および接合後を示すものである。
【符号の説明】
【0055】
11…一方の部材(基部材)、11a…面(表面)、12…他方の部材、12a…接合面、14…接合層、15…中間複合部材(複合部材)、16…接合体、20…ボルト(締結部材)、21…ナット(締結部材)、23…溝、39…複合部材、40…アルミニウム薄膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材からなる一方の部材の表面にアルミニウムを溶射して接合層を形成し、該接合層に、少なくとも接合面がアルミニウムとされた他方の部材を前記接合面において摩擦接合することを特徴とする部材の接合方法。
【請求項2】
前記一方の部材の前記表面は、溝が間隔をあけて形成されることで波状をなしていることを特徴とする請求項1記載の部材の接合方法。
【請求項3】
複合材からなる一方の部材の表面にアルミニウム薄膜を接着して接合層を形成し、該接合層に、少なくとも接合面がアルミニウムとされた他方の部材を前記接合面において摩擦接合することを特徴とする部材の接合方法。
【請求項4】
前記他方の部材は、アルミニウム材または前記接合面がアルミニウムとされた構造用異材継手材または前記接合面がアルミニウムとされた傾斜機能材であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の部材の接合方法。
【請求項5】
前記一方の部材と前記他方の部材とを締結部材により締結させることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の部材の接合方法。
【請求項6】
複合材からなる基部材の表面にアルミニウムと他の材料とを徐々に前記他の材料の比率が高くなるように順次溶射してなることを特徴とする複合部材の製造方法。
【請求項7】
前記基部材の前記表面は、溝が間隔をあけて形成されることで波状をなしていることを特徴とする請求項6記載の複合部材の製造方法。
【請求項8】
複合材からなる一方の部材の表面に溶射されて形成されたアルミニウムの接合層に、少なくとも接合面がアルミニウムとされた他方の部材が前記接合面において摩擦接合されていることを特徴とする接合体。
【請求項9】
前記一方の部材の前記表面は、溝が間隔をあけて形成されることで波状をなしていることを特徴とする請求項8記載の接合体。
【請求項10】
複合材からなる一方の部材の表面にアルミニウム薄膜が接着されて形成されたアルミニウムの接合層に、少なくとも接合面がアルミニウムとされた他方の部材が前記接合面において摩擦接合されていることを特徴とする接合体。
【請求項11】
前記他方の部材は、アルミニウム材または前記接合面がアルミニウムとされた構造用異材継手材または前記接合面がアルミニウムとされた傾斜機能材であることを特徴とする請求項8から10のいずれかに記載の接合体。
【請求項12】
前記一方の部材と前記他方の部材とを締結部材により締結させていることを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の接合体。
【請求項13】
複合材からなる基部材の表面にアルミニウムと他の材料とが徐々に前記他の材料の比率が高くなるように順次溶射されてなることを特徴とする複合部材。
【請求項14】
複合材からなる基部材の表面にアルミニウムを溶射してなることを特徴とする複合部材。
【請求項15】
前記基部材の前記表面は、溝が間隔をあけて形成されることで波状をなしていることを特徴とする請求項13または14記載の複合部材。
【請求項16】
複合材からなる基部材の表面にアルミニウム薄膜を接着してなることを特徴とする複合部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−255735(P2006−255735A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74390(P2005−74390)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】