説明

部材移動機構及び画像形成装置

【課題】2つの部材間を連結部材で繋ぎ、一方の部材を移動させることにより他方の部材を移動させる部材移動機構において、連結部材の配置の自由度が高いと共に、部材移動機構を組み付ける際に連結部材の設置が容易な部材移動機構を提供する。
【解決手段】本発明の部材移動機構100は、第1正方向D11及び第1正方向D11とは反対方向の第1負方向D12へ移動する第1移動部材110と、第1正方向D11及び第1負方向D12のいずれとも異なる第2正方向D21、並びに第2正方向21とは反対方向の第2負方向D22へ移動する第2移動部材120と、第1移動部材110と第2移動部材120とを繋ぐ帯状部材130と、帯状部材130の移動方向を規制すると共に、帯状部材130の移動方向を1回以上変更させる帯状部材ガイド部材140と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの部材間を繋いで、一方の部材を移動させることにより他方の部材を移動させる部材移動機構、及び該部材移動機構を備えるプリンタ等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置において、カバー部材を開くことに伴って、画像形成装置の筐体の内部に設けた部材を移動させる機構(部材移動機構)を有するものがある。部材移動機構においては、2つの部材間を繋ぐ連結部材として、リンクやワイヤなどが用いられる。部材移動機構によれば、一方の部材を移動させることにより、連結部材を介して他方の部材を移動させることができる(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−32916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、リンクを用いた部材移動機構においては、リンクが実質的に剛体から形成されているため、リンクを配置する自由度が低い。
一方、ワイヤを用いた部材移動機構においては、ワイヤが屈曲性に優れているため、ワイヤを配置する自由度は高い。しかし、ワイヤは、屈曲方向が定まりにくい。そのため、画像形成装置の製造時において、部材移動機構を組み付ける際にワイヤの設置が煩雑になる場合がある。
【0005】
そのため、2つの部材間を連結部材で繋ぎ、一方の部材を移動させることにより他方の部材を移動させる部材移動機構において、連結部材の配置の自由度が高いと共に、部材移動機構を組み付ける際に連結部材の設置が容易な部材移動機構が望まれている。
このような要望は、画像形成装置以外の技術分野においても同様である。
【0006】
本発明は、2つの部材間を連結部材で繋ぎ、一方の部材を移動させることにより他方の部材を移動させる部材移動機構において、連結部材の配置の自由度が高いと共に、部材移動機構を組み付ける際に連結部材の設置が容易な部材移動機構を提供することを目的とする。
また、本発明は、前記部材移動機構を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1正方向及び該第1正方向とは反対方向の第1負方向へ移動する第1移動部材と、前記第1正方向及び前記第1負方向のいずれとも異なる第2正方向、並びに該第2正方向とは反対方向の第2負方向へ移動する第2移動部材と、前記第1移動部材と前記第2移動部材とを繋ぐ帯状部材と、前記帯状部材の移動方向を規制すると共に、前記帯状部材の移動方向を1回以上変更させる帯状部材ガイド部材と、を備える部材移動機構に関する。
【0008】
また、前記第2移動部材に付勢力を付与する付勢部材を更に備え、前記付勢部材は、前記第1正方向への前記第1移動部材の移動に伴って前記帯状部材を介して前記第2移動部材が前記第2正方向へ移動することを許容すると共に、前記第2正方向への前記第2移動部材の移動に伴って前記第2移動部材を前記第2負方向へ移動させる方向に前記付勢力を発生させることが好ましい。
【0009】
また、前記帯状部材は、第1孔部及び第2孔部を有し、前記第1移動部材は、前記第1孔部に挿通される第1突起を有し、前記第2移動部材は、前記第2孔部に挿通される第2突起を有し、前記第1移動部材と前記帯状部材とは、前記第1孔部に前記第1突起が挿通されることにより連結され、前記第2移動部材と前記帯状部材とは、前記第2孔部に前記第2突起が挿通されることにより連結されることが好ましい。
【0010】
また、前記帯状部材は、樹脂部材、弾性部材又は金属部材から形成されることが好ましい。
【0011】
また、移動することにより前記第1移動部材を前記第1正方向へ移動させるための力を付与する移動力付与部材を更に備え、前記第1移動部材は第1係合部を有し、前記移動力付与部材は、前記第1係合部と係合する第2係合部を有し、前記第1係合部及び前記第2係合部は、前記移動力付与部材が移動を開始するときには係合せず、且つ、前記移動力付与部材が所定距離移動した後に係合するように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、本発明は、前記部材移動機構と、開閉部材と、被クリーニング部材と、前記部材移動機構における前記第2移動部材に連結され、前記第2正方向への前記第2移動部材の移動に伴って移動して、前記被クリーニング部材のクリーニングを行うクリーニング部材と、を備え、前記部材移動機構における前記第1移動部材は、前記開閉部材が開くことに伴って前記第1正方向に移動する画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、2つの部材間を連結部材で繋ぎ、一方の部材を移動させることにより他方の部材を移動させる部材移動機構において、連結部材の配置の自由度が高いと共に、部材移動機構を組み付ける際に連結部材の設置が容易な部材移動機構を提供することができる。
また、本発明によれば、前記部材移動機構を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態としてのプリンタ1の各構成要素の配置を説明するための図である。
【図2】プリンタ1の外観を示す斜視図である。
【図3】本実施形態の部材移動機構100の全体構成を示す斜視図である。
【図4】本実施形態の部材移動機構100の要部の拡大斜視図である。
【図5】本実施形態の部材移動機構100における第1移動部材110及び第2移動部材120と帯状部材130との連結部の構成を分解状態で示す要部の拡大斜視図である。
【図6】本実施形態の部材移動機構100における第1移動部材110及び第2移動部材120と帯状部材130との連結部の構成を組立(連結)状態で示す要部の拡大分解斜視図である。
【図7】プリンタ1におけるトップカバー部材M2と部材移動機構100との連係構造の詳細を示す斜視図である。
【図8】本実施形態の部材移動機構100における第1移動部材110を第1正方向D11へ移動させるための構成を展開して説明する要部の拡大斜視図である。
【図9】本実施形態の部材移動機構100における第1移動部材110を第1正方向D11へ移動させるための構成を説明する要部の拡大横断平面図である。
【図10】本実施形態の部材移動機構100の全体構成を、図3とは反対側から示す斜視図である。
【図11】プリンタ1におけるクリーニング部材190の詳細な構成を説明する要部の拡大斜視図である。
【図12】プリンタ1におけるトップカバー部材M2が開き始めた時におけるトップカバー部材M2と部材移動機構100との連係動作状態を示す斜視図である。
【図13】プリンタ1におけるトップカバー部材M2が開き始めた時における第1移動部材110とラック175との連係状態を示す要部の横断平面図である。
【図14】プリンタ1におけるトップカバー部材M2が最大に開かれた時におけるトップカバー部材M2と部材移動機構100との連係動作状態を示す斜視図である。
【図15】プリンタ1におけるトップカバー部材M2が最大に開かれた時における第1移動部材110とラック175との連係状態を示す要部の横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1及び図2により、本発明の画像形成装置の一実施形態としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態としてのプリンタ1の各構成要素の配置を説明するための図である。図2は、プリンタ1の外観を示す斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、本発明の画像形成装置の一実施形態としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tに所定のトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHと、を有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0017】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2と、帯電部10と、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4と、現像器16と、トナーカートリッジ5と、トナー供給部6と、ドラムクリーニング部11と、除電器12と、転写ローラ8と、定着部9とを備える。
【0018】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、排紙部50とを備える。
【0019】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2の表面に沿って順に、上流側から下流側に順に、帯電部10による帯電、レーザスキャナユニット4による露光、現像器16による現像、転写ローラ8による転写、除電器12による除電、及びドラムクリーニング部11によるクリーニングが行われる。
【0020】
感光体ドラム2は、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2は、搬送路Lにおける用紙Tの搬送方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に、矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2の表面には、静電潜像が形成され得る。
【0021】
帯電部10は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。帯電部10は、感光体ドラム2の表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0022】
レーザスキャナユニット4は、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2の表面から離間して配置される。レーザスキャナユニット4は、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成される。
【0023】
レーザスキャナユニット4は、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2の表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4により走査露光されることで、感光体ドラム2の表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2の表面に静電潜像が形成される。
【0024】
現像器16は、感光体ドラム2に対応して設けられ、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。現像器16は、感光体ドラム2に形成された静電潜像に単色(通常はブラック)のトナーを付着させて、単色のトナー画像を感光体ドラム2の表面に形成する。現像器16は、感光体ドラム2の表面に対向配置された現像ローラ17、トナー攪拌用の攪拌ローラ18等を有して構成される。
【0025】
トナーカートリッジ5は、現像器16に対応して設けられており、現像器16に対して供給されるトナーを収容する。
【0026】
トナー供給部6は、トナーカートリッジ5及び現像器16に対応して設けられており、トナーカートリッジ5に収容されたトナーを現像器16に対して供給する。トナー供給部6と現像器16とは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0027】
転写ローラ8は、感光体ドラム2の表面に現像されたトナー画像を用紙Tに転写させる。転写ローラ8には、不図示の転写バイアス印加部により、感光体ドラム2に形成されたトナー画像を用紙Tに転写させるための転写バイアスが印加される。転写ローラ8は、感光体ドラム2に対して当接した状態で回転可能に構成される。
【0028】
感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、搬送路Lを搬送される用紙Tが挟み込まれる。挟み込まれた用紙Tは、感光体ドラム2の表面に押し当てられる。感光体ドラム2と転写ローラ8との間で、転写ニップNが形成される。転写ニップNにおいて、感光体ドラム2に現像されたトナー画像が用紙Tに転写される。
【0029】
除電器12は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。除電器12は、感光体ドラム2の表面に光を照射することにより、転写が行われた後の感光体ドラム2の表面を除電する(電荷を除去する)。
【0030】
ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11は、感光体ドラム2の表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0031】
定着部9は、用紙Tに転写されたトナー画像を構成するトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟み込まれた状態で用紙Tが搬送されることで、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧され、用紙Tに定着される。
【0032】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する1個の給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの右側(図1における右側)から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により搬送路Lに送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対63とからなる重送防止機構を備える。
【0033】
装置本体Mの右側(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの前面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0034】
装置本体Mにおける上方側には、排紙部50が設けられる。排紙部50は、第3ローラ対53により用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50の詳細については後述する。
【0035】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から転写ニップNまでの第1搬送路L1と、転写ニップNから定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbとを備える。
【0036】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻り搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部で、第1ローラ対54a及び第2ローラ対54bを有する。第1ローラ対54aの一方のローラと第2ローラ対54bの一方のローラとは兼用される。
【0037】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と転写ローラ8との間)には、用紙Tを検出するためのセンサと、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置される。センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラ対80は、センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0038】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を感光体ドラム2に対向させるために設けられる搬送路である。
戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から第1ローラ対54aにより排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第2ローラ対54bにより第1搬送路L1に戻して、転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、転写ニップNにおいて未印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0039】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの右側(図1において右側、手差し給紙部64側)に向けて開口している。排紙部50は、第3搬送路L3を搬送される用紙Tを第3ローラ対53により装置本体Mの外部に排紙する。
【0040】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成する開閉部材としてのトップカバー部材M2により形成される。排紙集積部M1を形成するトップカバー部材M2の上面には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサが配置される。
【0041】
本実施形態のプリンタ1においては、図2に示すように、トップカバー部材M2の開閉に連動して動作する部材移動機構100が、装置本体Mの内部に組み込まれている。部材移動機構100については、後述する。
【0042】
次に、図1を参照して、本実施形態のプリンタ1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対63によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介してレジストローラ対80に搬送される。
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、トナー画像とのタイミング調整が行われる。
【0043】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して感光体ドラム2と転写ローラ8との間(転写ニップN)に導入される。そして、用紙Tには、感光体ドラム2と転写ローラ8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、感光体ドラム2と転写ローラ8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーTNが溶融し、トナーTNが用紙Tに定着される。
【0044】
次いで、用紙Tは、第1ローラ対54aにより第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、第3ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0045】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0046】
次に、両面印刷を行う場合のプリンタ1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0047】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが第3ローラ対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが第3ローラ対53により保持されている状態において、第3ローラ対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように第3ローラ対53を逆方向に回転させると、第3ローラ対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0048】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、(第1ローラ対54aではなく、)第2ローラ対54bに導入される。そして、用紙Tは、戻し搬送路Lb及び第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0049】
更に、用紙Tは、レジストローラ対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、感光体ドラム2と転写ローラ8との間に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が感光体ドラム2に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0050】
次に、図3から図6により、本実施形態の部材移動機構100の構成の詳細について説明する。
図3は、本実施形態の部材移動機構100の全体構成を示す斜視図である。図4は、本実施形態の部材移動機構100の要部の拡大斜視図である。図5は、本実施形態の部材移動機構100における第1移動部材110及び第2移動部材120と帯状部材130との連結部の構成を分解状態で示す要部の拡大斜視図である。図6は、本実施形態の部材移動機構100における第1移動部材110及び第2移動部材120と帯状部材130との連結部の構成を組立(連結)状態で示す要部の拡大分解斜視図である。
【0051】
図3及び図4に示すように、部材移動機構100は、第1移動部材110と、第2移動部材120と、帯状部材130と、帯状部材ガイド部材140と、を備える。
第1移動部材110は、第1正方向D11及び第1負方向D12(第1正方向D11とは反対方向)へ移動する。
【0052】
第2移動部材120は、第1正方向D11及び第1負方向D12のいずれとも異なる方向へ、詳しくは、第2正方向D21(第1正方向D11及び第1負方向D12に直交する方向)並びに第2負方向D22(第2正方向D21とは反対方向)へ移動する。
【0053】
帯状部材130は、第1移動部材110と第2移動部材120とを繋ぐ帯状の部材である。帯状部材130は、可撓性を有するシート状材料から、例えばPET(ポリエチレンテレフタート)等の樹脂部材、ゴム等の弾性部材、金属部材から形成される。帯状部材130の厚みは、例えば、1mm以下である。
【0054】
帯状部材ガイド部材140は、帯状部材130に摺接して帯状部材130の移動方向を規制すると共に、帯状部材130の移動方向を2回変更させる。詳しくは、帯状部材ガイド部材140は、円弧状の第1ガイド部材141と、第2ガイド部材142と、により構成される。第1ガイド部材141は、帯状部材130の表裏両面に摺接して、帯状部材130の移動方向を、帯状部材130の表裏両面が水平面に沿う姿勢で水平移動する移動方向から、帯状部材130の表裏両面が垂直面に沿う姿勢で下降移動する移動方向に、略90度変更させる。第2ガイド部材142は、帯状部材130の表面に摺接して、帯状部材130の移動方向を、下降移動方向から帯状部材130の表裏両面が垂直面に沿う姿勢で水平移動する移動方向に、略90度変更させる。
【0055】
図5に示すように、帯状部材130の長手方向の一端部には、長手方向に間隔を置いて、2つの第1孔部131が形成されている。帯状部材130の長手方向の他端部には、長手方向に間隔を置いて、2つの第2孔部132が形成されている。第1移動部材110の被連結部111は、第1孔部131に挿通される2つの第1突起112を有する。第2移動部材120の被連結部121は、第2孔部132に挿通される2つの第2突起122を有する。
【0056】
なお、帯状部材130の長手方向の一端部及び他端部は同様の構成を有すると共に、第1移動部材110の被連結部111及び第2移動部材120の被連結部121は同様の構成を有する。そのため、図5及び図6においては、これらを同じ図面にて説明する。
【0057】
また、帯状部材130の長手方向の一端部には、帯状部材130と第1移動部材110の被連結部111との連結部に、弾性的に嵌め込み可能な連結保持用クリップ150が取り付けられる。同様に、帯状部材130の長手方向の他端部には、帯状部材130と第2移動部材120の被連結部121との連結部に、弾性的に嵌め込み可能な連結保持用クリップ150が取り付けられる。
【0058】
連結保持用クリップ150は、2つの第1孔部131又は2つの第2孔部132の間において帯状部材130の外面に弾性的に接する第1板部151と、被連結部111又は被連結部121の内面に弾性的に接する第2板部152と、両板部151,152を繋ぐ繋ぎ板部153と、を有している。連結保持用クリップ150は、バネ板材料の折り曲げ加工により構成されている。
【0059】
そして、図6に示すように、帯状部材130の第1孔部131に第1移動部材110側の第1突起112を挿通させると共に、第1移動部材110の被連結部111と帯状部材130との重なり部に連結保持用クリップ150を弾性的に嵌め込むことにより、第1移動部材110と帯状部材130の一端部とが連結されると共に連結状態が保持される。同様に、帯状部材130の第2孔部132に第2移動部材120側の第2突起122を挿通させると共に、第2移動部材120の被連結部121と帯状部材130との重なり部に連結保持用クリップ150を弾性的に嵌め込むことにより、第2移動部材120と帯状部材130の他端部とが連結されると共に連結状態が保持される。
【0060】
次に、プリンタ1におけるトップカバー部材M2とこのトップカバー部材M2の開閉に連動して動作する部材移動機構100との連係構造、及び、部材移動機構100とこの部材移動機構100における第2移動部材120に連結されたクリーニング部材190との連係構造について説明する。
【0061】
図7は、プリンタ1におけるトップカバー部材M2と部材移動機構100との連係構造の詳細を示す斜視図である。図8は、本実施形態の部材移動機構100における第1移動部材110を第1正方向D11へ移動させるための構成を展開して説明する要部の拡大斜視図である。図9は、本実施形態の部材移動機構100における第1移動部材110を第1正方向D11へ移動させるための構成を説明する要部の拡大横断平面図である。図10は、本実施形態の部材移動機構100の全体構成を、図3とは反対側から示す斜視図である。図11は、プリンタ1におけるクリーニング部材190の詳細な構成を説明する要部の拡大斜視図である。
【0062】
図7に示すように、トップカバー部材M2の基端部には、略1/4の円周長さを有する部分歯車171が、円周方向の一端部において一体的に固定されている。部分歯車171の回転軸172は、第1固定フレーム173に保持されている。第1固定フレーム173は、ケース体BD(装置本体M)の一部を構成している。トップカバー部材M2は、ケース体BD(装置本体M)に対して、部分歯車171の回転軸172を中心にして開閉される。
【0063】
第1固定フレーム173には、第1正方向D11及び第1負方向D12に沿って延びるレール部材174が形成されている。レール部材174には、ラック175が嵌合されて保持されている。ラック175は、第1移動部材110を第1正方向D11へ移動させるための力を付与する移動力付与部材として機能する。ラック175は、一対の中間歯車176を介して、部分歯車171に噛み合って連動する。
【0064】
また、図8及び図9に示すように、第1移動部材110には、第1正方向D11及び第1負方向D12に対して直交する方向に向けて、第1係合部113が突出されている。一方、ラック175の側面には、第1係合部113と係合する第2係合部177が設けられている。第1係合部113及び第2係合部177は、ラック175が移動を開始するときには、係合せず、且つ、ラック175が第1正方向D11に所定距離K移動した後に係合するように構成されている。
【0065】
部材移動機構100が前記の構成を備えるため、トップカバー部材M2が開かれることに伴って、部分歯車171及び一対の中間歯車176を介して、ラック175は、レール部材174に沿って第1正方向D11に移動すると共に、ラック175が第1正方向D11へ所定距離K移動した後更に移動することに伴って、部材移動機構100における第1移動部材110は、第1正方向D11に移動する。
【0066】
一方、図10に示すように、第2移動部材120は、長尺な帯板状に形成され、第2固定フレーム181に移動(摺動)可能に支持される。第2固定フレーム181は、ケース体BD(装置本体M)の一部を構成している。第2固定フレーム181は、第2移動部材120の第2正方向D21及び第2負方向D22に沿って延びている。第2固定フレーム181と第2移動部材120との間には、第2移動部材120に付勢力を付与する付勢部材としてコイルスプリング182が張設されている。コイルスプリング182は、第1正方向D11への第1移動部材110の移動に伴って帯状部材130を介して第2移動部材120が第2正方向D21へ移動することを許容する。また、コイルスプリング182は、第2正方向D21への第2移動部材120の移動に伴って第2移動部材120が第2負方向D22へ戻るように移動する方向の付勢力を発生(チャージ)させる。
【0067】
図10及び図11に示すように、第2固定フレーム181には、被クリーニング部材として光学センサ160が取り付けられている。光学センサ160は、例えば、画像の濃度を検出するセンサである。光学センサ160には、その上面に、透明部材からなる光透過用窓161が位置するように、第2固定フレーム181に固定されている。
【0068】
第2移動部材120には、切欠孔部123が形成されている。切欠孔部123は、第2移動部材120が通常の原点位置(ホームポジション)に位置しているときには、つまり、トップカバー部材M2が閉じられているときには、光学センサ160の光透過用窓161から出射される光を遮らないようにするために形成されている。この切欠孔部123の近傍における第2移動部材120の下面には、クリーニング部材としてのワイパー190が取り付けられている。
【0069】
部材移動機構100が前記の構成を備えるため、第2正方向D21及び第2負方向D22への第2移動部材120の移動に伴って、ワイパー190は、光学センサ160の光透過用窓161を摺接しながら往復移動して、光透過用窓161のクリーニングを行う。
【0070】
次に、図12から図15により、本実施形態の部材移動機構100の動作及び部材移動機構100を介して連係されるトップカバー部材M2の開閉とワイパー190によるクリーニングとの連係動作について説明する。
【0071】
図12は、プリンタ1におけるトップカバー部材M2が開き始めた時におけるトップカバー部材M2と部材移動機構100との連係動作状態を示す斜視図である。図13は、プリンタ1におけるトップカバー部材M2が開き始めた時における第1移動部材110とラック175との連係状態を示す要部の横断平面図である。図14は、プリンタ1におけるトップカバー部材M2が最大に開かれた時におけるトップカバー部材M2と部材移動機構100との連係動作状態を示す斜視図である。図15は、プリンタ1におけるトップカバー部材M2が最大に開かれた時における第1移動部材110とラック175との連係状態を示す要部の横断平面図である。
【0072】
図7に示すように、トップカバー部材M2が閉じられているときには、図9に示すように、部材移動機構100における第1移動部材110の第1係合部113とラック175の第2係合部177とは、互いに所定距離Kを置いて離間しており、係合しない状態にある。
また、このとき、部材移動機構100における第2移動部材120は、コイルスプリング182の付勢力により、図10及び図11に示すように、原点位置(ホームポジション)に保たれている。これによって、光学センサ160の光透過用窓161には、第2移動部材120の切欠孔部123が対向している。そのため、光透過用窓161から出射される光は遮られず、光学センサ160による画像の濃度の検出は、正常に行われる。
【0073】
この状態において、図12に示すように、トップカバー部材M2が回転軸172を中心にして開かれ始めると、部分歯車171は回転し、その回転力は、一対の中間歯車176を介してラック175に伝わって、ラック175は第1正方向D11への移動を開始する。ラック175が第1正方向D11への移動を開始して所定距離K移動するまでは、図13に示すように、第1移動部材110の第1係合部113とラック175の第2係合部177とは、互いに徐々に接近するものの、係合していない状態にある。
【0074】
トップカバー部材M2が約半分まで開かれて、ラック175が所定距離K移動されたときに、第1移動部材110の第1係合部113とラック175の第2係合部177とは係合する。
【0075】
そして、トップカバー部材M2が約半分まで開かれた状態から、図14に示すような最大に開かれた状態になるまでの間におけるラック175の移動時には、第1係合部113と第2係合部177とは、図15に示すような係合状態に保たれている。これによって、ラック175の移動に伴って、部材移動機構100における第1移動部材110は、第1正方向D11へ移動する。
【0076】
第1正方向D11への第1移動部材110の移動に伴って、第2移動部材120は、帯状部材130を介して第2正方向D21へ移動する。
この第2正方向D21への第2移動部材120の移動に伴って、ワイパー190は、同方向(第2正方向)D21へ移動し、光学センサ160の光透過用窓161に摺接して、光透過用窓161をクリーニングする。
【0077】
また、第2正方向D21への第2移動部材120の移動に伴って、コイルスプリング182は引っ張られ且つ伸ばされる。これにより、第2移動部材120を第2負方向D22へ戻るように移動させる付勢力が発生(チャージ)されることになる。
【0078】
そして、トップカバー部材M2を閉じると、部分歯車171及び一対の中間歯車176を介して、ラック175は、第1負方向D12へ戻るように移動される。これと共に、コイルスプリング182に発生された付勢力により、第2移動部材120は、第2負方向D22に戻るように移動する。
この第2移動部材120が第2負方向D22へ戻る移動に伴って、ワイパー190は、同方向(第2負方向)D22に移動し、光学センサ160の光透過用窓161に摺接して、光透過用窓161を再度クリーニングする。
【0079】
また、第2移動部材120が第2負方向D22へ戻る移動に伴って、帯状部材130を介して、第1移動部材110も第1負方向D12へ移動され(戻され)、図9に示すように、第1移動部材110の第1係合部113とラック175の第2係合部177とが互いに離間して係合しない状態に復帰する。
【0080】
本実施形態の部材移動機構100によれば、例えば、次の効果が奏される。
本実施形態の部材移動機構100は、第1正方向D11及び第1負方向D12へ移動する第1移動部材110と、第1正方向D11及び第1負方向D12のいずれとも異なる第2正方向D21並びに第2負方向D22へ移動する第2移動部材120と、第1移動部材110と第2移動部材120とを繋ぐ帯状部材130と、帯状部材130の移動方向を規制すると共に、帯状部材130の移動方向を1回以上変更させる帯状部材ガイド部材140と、を備える。
【0081】
このように、本実施形態の部材移動機構100によれば、第1移動部材110と第2移動部材120とを繋ぐ部材として、屈曲性に優れた帯状部材130を用いることにより、各種の駆動ユニットや機構部を回避しやすくして、帯状部材130の設置の自由度を高めることができる。しかも、帯状部材130は、屈曲方向を定めやすいので、部材移動機構100を組み付ける際に帯状部材130の設置を容易なものとすることができる。
【0082】
また、本実施形態の部材移動機構100は、第2移動部材120に付勢力を付与するコイルスプリング182を更に備えている。また、コイルスプリング182は、第1正方向D11への第1移動部材110の移動に伴って帯状部材130を介して第2移動部材120が第2正方向D21へ移動することを許容すると共に、第2正方向D21への第2移動部材120の移動に伴って第2移動部材120を第2負方向D22へ移動させる方向に付勢力を発生させる。
【0083】
そのため、本実施形態の部材移動機構100によれば、第1移動部材110を第1正方向D11へ向けて移動させる駆動部を設けるだけで、第2移動部材120を第2正方向D21へ移動させることが可能である。また、第2正方向D21への第2移動部材120の移動を利用して、第2移動部材120を第2負方向D22へ戻るように移動させるための付勢力を発生させる(蓄力させる)ことが可能である。従って、第1移動部材110及び第2移動部材120の両方を正方向及び負方向に往復移動させるための部材移動機構100の駆動部の構造を、簡易で且つ非常に安価に構成することができる。
【0084】
また、本実施形態の部材移動機構100においては、帯状部材130は、第1孔部131及び第2孔部132を有し、第1移動部材110は、第1孔部131に挿通される第1突起112を有し、第2移動部材120は、第2孔部132に挿通される第2突起122を有する。また、第1移動部材110と帯状部材130とは、第1孔部131に第1突起112が挿通されることにより連結され、第2移動部材120と帯状部材130とは第2孔部132に第2突起122が挿通されることにより連結される。
【0085】
そのため、本実施形態の部材移動機構100によれば、第1移動部材110と帯状部材130との連結及び第2移動部材120と帯状部材130との連結を、構造的にも組立面からも非常に簡単なものとすることが可能となる。従って、部材移動機構100の全体の製作コストの低減を図ることができる。
【0086】
また、本実施形態の部材移動機構100においては、帯状部材130は、樹脂部材、弾性部材又は金属部材から形成される。
そのため、本実施形態の部材移動機構100によれば、帯状部材130の屈曲半径を小さくして、帯状部材130を、微細な隙間等に通して配置することが可能である。従って、部材移動機構100をできるだけコンパクトにして、帯状部材130の設置の省スペース化を図ることができる。
【0087】
また、本実施形態の部材移動機構100においては、移動することにより第1移動部材110を第1正方向D11へ移動させるための力を付与するラック175を更に備え、第1移動部材110は第1係合部113を有し、ラック175は、第1係合部113と係合する第2係合部177を有する。また、第1係合部113及び第2係合部177は、ラック175が移動を開始するときには係合せず、且つ、ラック175が所定距離移動した後に係合するように構成されている。
【0088】
そのため、本実施形態の部材移動機構100によれば、ラック175の移動量の大きさに合わせて、第1係合部113及び第2係合部177の係合位置を設定することにより、ラック175の移動量が大きい場合であっても、第1移動部材110の移動量を任意に設定することができる。
【0089】
更に、本実施形態のプリンタ1は、部材移動機構100と、トップカバー部材M2と、光学センサ160と、部材移動機構100における第2移動部材120に連結され、第2正方向D21への第2移動部材120の移動に伴って移動して、光学センサ160のクリーニングを行うワイパー190と、を備えている。また、部材移動機構100における第1移動部材110は、トップカバー部材M2が開くことに伴って、第1正方向D11に移動する。
【0090】
そのため、本実施形態のプリンタ1によれば、例えば、トナーカートリッジの交換等を行うためにプリンタ1のトップカバー部材M2を開閉操作することに連動して、部材移動機構100の第1移動部材110、帯状部材130及び第2移動部材120を介してワイパー190を移動させて、光学センサ160の光透過用窓161をクリーニングすることができる。
【0091】
光学センサ160は装置本体M内に設置されることから、光透過用窓161のクリーニングの必要回数(頻度)は、それほど多くない。そこで、本実施形態では、光透過用窓161のクリーニングの必要回数(頻度)よりも一般的に多い頻度で行われるトップカバー部材M2の開閉と連動させて、光透過用窓161をクリーニングするように構成している。
これによって、ワイパー190を移動させるための特別な移動機構及びクリーニング回数や頻度をカウントする機構の設置を省略することができる。また、光学センサ160の光透過用窓161を、失念なく、確実に且つ十分にクリーニングすることができる。
【0092】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態において、部材移動機構100を、プリンタ1におけるトップカバー部材M2とワイパー190との連係動作に用いたものに適用しているが、これに制限されず、用紙カセットとワイパー190との連係動作などに用いてもよい。
【0093】
帯状部材ガイド部材140は、帯状部材130の移動方向を1回、又は3回以上変更してもよい。
本実施形態の画像形成装置は、プリンタ1であるが、これに限定されず、コピー機、ファクシミリ又はこれらの複合機等であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1……プリンタ(画像形成装置)、100……部材移動機構、110……第1移動部材、112……第1突起、113……第1係合部、120……第2移動部材、122……第2突起、130……帯状部材、131……第1孔部、132……第2孔部、140……帯状部材ガイド部材、160……光学センサ(被クリーニング部材)、175……ラック(移動力付与部材)、177……第2係合部、182……コイルスプリング(付勢部材)、190……ワイパー(クリーニング部材)、D11……第1正方向、D12……第2負方向、D21……第2正方向、D22……第2負方向、M2……トップカバー部材(開閉部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1正方向及び該第1正方向とは反対方向の第1負方向へ移動する第1移動部材と、
前記第1正方向及び前記第1負方向のいずれとも異なる第2正方向、並びに該第2正方向とは反対方向の第2負方向へ移動する第2移動部材と、
前記第1移動部材と前記第2移動部材とを繋ぐ帯状部材と、
前記帯状部材の移動方向を規制すると共に、前記帯状部材の移動方向を1回以上変更させる帯状部材ガイド部材と、
を備える部材移動機構。
【請求項2】
前記第2移動部材に付勢力を付与する付勢部材を更に備え、
前記付勢部材は、前記第1正方向への前記第1移動部材の移動に伴って前記帯状部材を介して前記第2移動部材が前記第2正方向へ移動することを許容すると共に、前記第2正方向への前記第2移動部材の移動に伴って前記第2移動部材を前記第2負方向へ移動させる方向に前記付勢力を発生させる
請求項1に記載の部材移動機構。
【請求項3】
前記帯状部材は、第1孔部及び第2孔部を有し、前記第1移動部材は、前記第1孔部に挿通される第1突起を有し、前記第2移動部材は、前記第2孔部に挿通される第2突起を有し、
前記第1移動部材と前記帯状部材とは、前記第1孔部に前記第1突起が挿通されることにより連結され、
前記第2移動部材と前記帯状部材とは、前記第2孔部に前記第2突起が挿通されることにより連結される
請求項1又は2に記載の部材移動機構。
【請求項4】
前記帯状部材は、樹脂部材、弾性部材又は金属部材から形成される
請求項1から3のいずれかに記載の部材移動機構。
【請求項5】
移動することにより前記第1移動部材を前記第1正方向へ移動させるための力を付与する移動力付与部材を更に備え、
前記第1移動部材は第1係合部を有し、前記移動力付与部材は、前記第1係合部と係合する第2係合部を有し、
前記第1係合部及び前記第2係合部は、前記移動力付与部材が移動を開始するときには係合せず、且つ、前記移動力付与部材が所定距離移動した後に係合するように構成されている
請求項1から4のいずれかに記載の部材移動機構。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の部材移動機構と、
開閉部材と、
被クリーニング部材と、
前記部材移動機構における前記第2移動部材に連結され、前記第2正方向への前記第2移動部材の移動に伴って移動して、前記被クリーニング部材のクリーニングを行うクリーニング部材と、
を備え、
前記部材移動機構における前記第1移動部材は、前記開閉部材が開くことに伴って前記第1正方向に移動する
画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−232501(P2011−232501A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−101965(P2010−101965)
【出願日】平成22年4月27日(2010.4.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】