説明

配信装置及びプログラム

【課題】ユーザがオーディオデータと楽曲データを自由に選曲してこれらを組み合わせたコンテンツデータを制作し、これを配信する。
【解決手段】合成オーディオファイルは、ナレーション1、「楽曲1」に相当する無音期間、ナレーション2、「楽曲2」に相当する無音期間、「楽曲3」に相当する無音期間、ナレーション3、「楽曲4」に相当する無音期間、という順序で再生されることになる。このオーディオファイルの再生と同期して、複数のMIDIファイルが順次再生される。データ配信装置30は、これらの合成オーディオファイルとMIDIファイルとの組を、1つの番組として配信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーディオデータと、例えばMIDI(Musical Instrument Digital Interface)などの規格に準拠した楽曲データとを配信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
楽曲を再生する手段として、コンパクトディスクなどの記憶媒体から音声波形を表すオーディオデータを読み出して放音する装置がある。また、これとは別の楽曲再生手段として、MIDI形式の楽曲データ(以下、MIDIデータという)をフレキシブルディスクなどの記憶媒体から読み出し、このMIDIデータに従って音源を駆動して自動演奏を行うという装置がある。最近では、これらを複合した楽曲再生の形態、すなわちコンパクトディスク等の記憶媒体に格納されているオーディオデータを読み出して再生し、さらにその再生に同期してフレキシブルディスク等の記憶媒体に格納されているMIDIデータを読み出して自動演奏を行う、という技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。この特許文献1においてオーディオデータと楽曲データなどの音楽コンテンツは、そのコンテンツ制作者によって予め制作されたものである。
【特許文献1】特開2003−271138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、これらオーディオデータと楽曲データの選曲や組み合わせを自由に行い得る環境が整えば、ユーザはその環境を利用して自身だけのコンテンツを制作することができる。さらに、そのコンテンツを多数のユーザに提供し得る仕組みがあれば、そのコンテンツの流通を促すことが可能となる。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザがオーディオデータと楽曲データを自由に選曲してこれらを組み合わせたコンテンツを制作し、これを配信する仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した課題を解決するため、本発明に係る配信装置は、音声を出力するためのオーディオデータと自動演奏を行うための楽曲データとをそれぞれ1又は複数指定するデータ指定情報を取得するデータ指定情報取得手段と、前記データ指定情報によって指定される前記オーディオデータ及び前記楽曲データを再生する順番を指定する順番指定情報を取得する順番指定情報取得手段と、前記データ指定情報によって指定される前記オーディオデータ及び前記楽曲データのそれぞれの再生期間と、前記順番指定情報によって指定される再生の順番とに基づいて、前記オーディオデータ及び前記楽曲データの各々の再生開始時期を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された各々のオーディオデータの再生開始時期に従って、各々の前記オーディオデータを時系列に且つ前記楽曲データの再生期間を空けて配置して合成した合成オーディオデータを生成する合成オーディオデータ生成手段と、前記算出手段によって算出された各々の楽曲データの再生開始時期と、当該楽曲データに割り当てられた楽曲データ識別子とを対応付けた再生予定情報を生成する再生予定情報生成手段と、前記合成オーディオデータ生成手段によって生成された前記合成オーディオデータを配信する第1の配信手段と、前記再生予定情報生成手段によって生成された再生予定情報を配信する第2の配信手段と、前記第2の配信手段によって前記再生予定情報が配信された配信先から、前記楽曲データ識別子を含む楽曲データの要求があったときには、前記楽曲データを記憶する記憶手段から当該楽曲データを読み出して配信する第3の配信手段とを備える。
【0005】
本発明の好ましい態様においては、さらに、前記配信装置は、前記オーディオデータを配信すること又は前記楽曲データを配信することに応じて、当該オーディオデータ又は当該楽曲データの配信先の使用者に対価を課金するための処理を行う課金手段を備える。この場合、前記再生予定情報に含まれる複数の前記楽曲データ識別子は、楽曲データの再利用が許された第1のグループと、楽曲データの再利用が許されない第2のグループとに区分されており、前記課金手段は、前記再生予定情報に含まれる複数の前記楽曲データ識別子のうち、前記第1のグループに属する前記楽曲データ識別子が割り当てられた楽曲データの配信先の使用者には課金をしないか又は低い対価を課金し、前記再生予定情報に含まれる複数の前記楽曲データ識別子のうち、前記第2のグループに属する前記楽曲データ識別子が割り当てられた楽曲データの配信先の使用者には高い対価を課金するようにしてもよい。前記第2のグループに属する前記楽曲データ識別子によって特定される楽曲データは、典型的には、著作権によって保護されている。
【0006】
また、本発明は、コンピュータを、音声を出力するためのオーディオデータと自動演奏を行うための楽曲データとをそれぞれ1又は複数指定するデータ指定情報を取得するデータ指定情報取得手段と、前記データ指定情報によって指定される前記オーディオデータ及び前記楽曲データを再生する順番を指定する順番指定情報を取得する順番指定情報取得手段と、前記データ指定情報によって指定される前記オーディオデータ及び前記楽曲データのそれぞれの再生期間と、前記順番指定情報によって指定される再生の順番とに基づいて、前記オーディオデータ及び前記楽曲データの各々の再生開始時期を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された各々のオーディオデータの再生開始時期に従って、各々の前記オーディオデータを時系列に且つ前記楽曲データの再生期間を空けて配置して合成した合成オーディオデータを生成する合成オーディオデータ生成手段と、前記算出手段によって算出された各々の楽曲データの再生開始時期と、当該楽曲データに割り当てられた楽曲データ識別子とを対応付けた再生予定情報を生成する再生予定情報生成手段と、前記合成オーディオデータ生成手段によって生成された前記合成オーディオデータを配信する第1の配信手段と、前記再生予定情報生成手段によって生成された再生予定情報を配信する第2の配信手段と前記第2の配信手段によって前記再生予定情報が配信された配信先から、前記楽曲データ識別子を含む楽曲データの要求があったときには、前記楽曲データを記憶する記憶手段から当該楽曲データを読み出して配信する第3の配信手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザがオーディオデータと楽曲データを自由に選曲し、これらを組み合わせたコンテンツを制作し、さらにこれを配信することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(1)実施形態の構成
図1は、本実施形態に係る楽曲配信システム100の全体構成を示す図である。
この楽曲配信システム100は、複数のオーディオ再生装置10a,10bと、複数の自動演奏装置20a,20bと、データ配信装置30とを備えている。オーディオ再生装置10は、オーディオデータを再生して音声またはオーディオ信号を出力する装置であり、例えばパーソナルコンピュータである。自動演奏装置20は、MIDIの規格に準拠した楽曲データであるMIDIデータに基づいて自動演奏を行う装置であり、例えば自動演奏ピアノである。データ配信装置30は、インターネットや固定電話網など様々な通信網によって構成されるネットワーク40を介して、オーディオ再生装置10や自動演奏装置20にオーディオデータやMIDIデータを配信する装置であり、例えばWWW(World Wide Web)サーバ装置である。図では、オーディオ再生装置10a,10bと、複数の自動演奏装置20a,20bをそれぞれ2つずつしか図示していないが、これらはそれぞれ3つ以上あってもよい。オーディオ再生装置10a,10bは同じ構成及び動作であるから、以下の説明においてそれぞれを区別する必要のないときは、「オーディオ再生装置10」と総称する。自動演奏装置20a,20bについても同様に、「自動演奏装置20」と総称する。
【0009】
オーディオ再生装置10、自動演奏装置20及びデータ配信装置30はそれぞれ有線又は無線によってネットワーク40に接続されている。オーディオ再生装置10と自動演奏装置20とは有線又は無線で相互に接続可能であり、これらの装置が協働することによって、楽曲を再生する再生システムとして機能する。特にオーディオ再生装置10は、データ配信装置30にアクセスし、そのデータ配信装置30に記憶されているオーディオデータやMIDIデータ、或いは、オーディオ再生装置10自身が用意したオーディオデータやMIDIデータを適宜組み合わせたコンテンツデータを作成するよう、データ配信装置30に指示する指示装置として機能する。このようにオーディオデータやMIDIデータからなるコンテンツデータを、以下では「番組」という。つまり、テレビ番組やラジオ番組と同じように、時系列に並べられた複数のコンテンツの全体を、ユーザに提供する1つの「番組」として表現しているのである。例えばオーディオ再生装置10bが、データ配信装置30に対してオーディオデータやMIDIデータを組み合わせた番組を作成するよう指示すると、データ配信装置30はその番組を作成し、作成した番組を例えばオーディオ再生装置10a及び自動演奏装置20aに配信する。なお、オーディオデータ及びMIDIデータは、それぞれファイル形式のデータとして取り扱われるから、以下では、「オーディオファイル」と「MIDIファイル」という。また、MIDIファイルに基づいて自動演奏を行うことを、以下では必要に応じて、MIDIファイルを再生する、という。
【0010】
(1−1)データ配信装置30の構成
図2は、データ配信装置30の構成である。
データ配信装置30は、制御部31と、通信部32と、記憶部33とを備えている。制御部31は、例えばCPUなどの演算装置とROMやRAMなどの各種メモリを備えている。演算装置がこれらのメモリや記憶部に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、データ配信装置30の各部を制御する。通信部32は、ネットワーク40に接続されており、制御部31による制御の下でオーディオ再生装置10や自動演奏装置20と通信を行う。
【0011】
記憶部33は、例えばハードディスクなどの大容量の記憶手段である。この記憶部33には、オーディオ再生装置10乃至自動演奏装置20のユーザを認証してその正当性を確認するための認証データと、各種のオーディオファイル群と、各種のMIDIファイル群と、これらオーディオファイルやMIDIファイルを用いて番組を作成し、配信するための手順が記述された配信プログラムのほか、各種の画面データが記憶されている。オーディオファイル群には、それぞれが番組を作成するパーツとなるオーディオファイル(以下、単体オーディオファイルという)と、その単体オーディオファイルが合成されて1つの番組を表したオーディオファイル(以下、合成オーディオファイルという)とが含まれている。なお、以下の説明において、単に「オーディオファイル」という場合には、単体オーディオファイルと、合成オーディオファイルの両方を指すものとする。
【0012】
認証データは、例えばユーザIDとパスワードの組である。ユーザIDは、所定の手続きを経て所定の料金をデータ配信装置30の管理者に支払ったユーザに対して、データ配信装置30から割り当てられた文字列である。パスワードは、そのユーザが自ら指定した文字列である。このシステムで取り扱われる合成オーディオファイルやMIDIファイルの中には、著作権によって保護されるべきものがあるが、それらは、上記のようにデータ配信装置30の管理者に料金を支払ったユーザのオーディオ再生装置10や自動演奏装置20に対してのみ、再生可能に配信されるようになっている。
【0013】
さらに、この記憶部33には、番組管理テーブル33aと、番組表33bとが記憶されている。番組管理テーブル33aには、オーディオ再生装置10及び自動演奏装置20からなる再生システムにおいて、再生対象となる合成オーディオファイルを特定するための情報が記述されている。番組表33bには、合成オーディオファイルと同期して再生されるMIDIファイルの再生予定に関する情報が記述されている。
【0014】
(1−2)データ構造
次に、本実施形態で取り扱われる合成オーディオファイルとMIDIファイルの内容を説明する。
図3は、合成オーディオファイルとMIDIファイルとの関係を表した図である。
1つの合成オーディオファイルには、複数のMIDIファイルが対応付けられている。合成オーディオファイルは、例えば44.1(kHz)などの所定のサンプリング周波数を基準にしてサンプリングされた時系列の音声波形をデジタル化したデータである。この合成オーディオファイルには、音声波形を表す実体データのほかに、オーディオファイルの先頭(つまりオーディオファイルの再生開始時点)からの経過時間を表す多数のタイムコードが含まれている。図3に示した例では、合成オーディオファイルの実体データには、例えばユーザが楽曲の案内や感想を述べた音声であるナレーション1,ナレーション2,ナレーション3が含まれており、ナレーションとナレーションとの間には、MIDIファイルによって表された楽曲の再生期間に相当する無音期間がある。これらのナレーション1,ナレーション2,ナレーション3は、元々は単体オーディオファイルであったが、これらの単体ファイルが同一の時間軸上で合成されて1つの合成オーディオファイルが構成されている。
【0015】
合成オーディオファイルとMIDIファイルの同期再生とは、合成オーディオファイルを再生しつつ、その合成オーディオファイルの無音期間の再生に同期して、対応する楽曲のMIDIファイルを再生することである。オーディオファイルはひとまとまりのファイル形式のデータであるから、図3の場合には、ナレーション1、「楽曲1」に相当する無音期間、ナレーション2、「楽曲2」に相当する無音期間、「楽曲3」に相当する無音期間、ナレーション3、「楽曲4」に相当する無音期間、という順序で再生されることになる。このオーディオファイルの再生と同期して、複数のMIDIファイルが順次再生されるわけである。例えば図3に示した合成オーディオファイルが再生される場合には、まず、合成オーディオファイルの最初の「ナレーション1」部分において楽曲1の説明がなされ、次に、合成オーディオファイルの無音期間の部分と、「楽曲1」のMIDIファイルとが同期再生される。そして、「楽曲1」のMIDIファイルの再生が終わると、合成オーディオファイルの「ナレーション2」の部分が再生されて楽曲2及び楽曲3の説明がなされる。次いで、合成オーディオファイルの無音期間の部分と「楽曲2」のMIDIファイルとが同期再生され、続けて、合成オーディオファイルの無音期間の部分と「楽曲3」のMIDIファイルとが同期再生される。さらに、オーディオファイル「ナレーション3」部分の再生の後に、合成オーディオファイルの無音期間の部分と「楽曲4」のMIDIファイルとが同期再生される。
【0016】
次に、図4は、1つのMIDIファイルの構造を示す図である。
このMIDIファイルは、SMF(Standard MIDI File)とも呼ばれており、図4上段に示すように、ヘッダチャンクとトラックチャンクによって構成されている。ヘッダチャンクには、チャンクタイプ等のSMFの属性情報が含まれている。トラックチャンクには、実体となるMIDIデータが含まれている。トラックチャンクには、同図下段に示すように、演奏制御等を指示するイベントと、先行するイベントと後発のイベントとの発生時間間隔を示すデルタタイムとが含まれている。イベントには、発音又は消音すべき旨を示すノートオン・ノートオフ情報や、発音すべき音の高さを示すノートナンバ情報や、発音の強弱を示すベロシティ情報などが含まれている。
【0017】
次に、図5は、上述した番組管理テーブル33aの一例を示す図である。
番組管理テーブル33aは、オーディオ再生装置10からの番組作成指示に従って制御部31により生成されて記憶部33に記憶される。この番組管理テーブル33aは、各々の合成オーディオファイルを識別するためのファイル識別子と、合成オーディオファイルに対応する番組に割り当てられた番組識別子とが対応付けられて記述されている。ファイル識別子は、合成オーディオファイルのファイル名、データサイズ及び作成日時の組によって表現されている。例えば、ファイル名「piano-fan.wab」という合成オーディオファイルのデータサイズは「41.5(MB)」であり、その作成日時は「2006/1/25」である。このファイル名「piano-fan.wab」、データサイズ「41.5(MB)」及び作成日時「2006/1/25」の組によって、1つの合成オーディオファイルが一意に特定される。そして、この合成オーディオファイルによって表される番組の番組識別子は「CID001」である。データ配信装置30は、合成オーディオファイルのファイル識別子をキーにしてこの番組管理テーブル33aを検索し、その結果、対応する番組識別子を特定することができる。
【0018】
次に、図6は、上述した番組識別子「CID001」によって特定される番組表33bの内容を示す図である。
番組表33bは、オーディオ再生装置10からの番組作成指示に従って制御部31により生成されて記憶部33に記憶される。この番組表33bには、番組識別子と、その番組において各MIDIファイルが再生される再生スケジュールと、各MIDIファイルが格納された位置を表すURLと、各MIDIファイルのファイル名とが対応付けられて記述されている。再生スケジュールは、番組(合成オーディオファイル)の再生開始時を始期とした、MIDIファイルの再生開始時期と再生終了時期とを含んでいる。図では、番組の再生開始から1分16秒後に自動演奏されるべきMIDIファイルのファイル名が、「piano-fan001.mid」であり、そのURLが「http://www.abc.co.jp/CID001/piano-fan001.mid」であることが例示されている。
【0019】
(1−3)オーディオ再生装置10の構成
次に、図7のブロック図を参照しながら、オーディオ再生装置10の構成について説明する。
オーディオ再生装置10は、制御部11と、第1通信部12と、第2通信部13と、記憶部14と、操作部15と、表示部16と、放音部17とを備えている。制御部11は、例えばCPUなどの演算装置とROMやRAMなどの各種メモリを備えている。演算装置がこれらのメモリや記憶部に記憶されているコンピュータプログラムを読み出して実行することにより、オーディオ再生装置10の各部を制御する。第1通信部12は、ネットワーク40に接続されており、制御部11による制御の下でデータ配信装置30と通信を行う。第2通信部13は、例えばUSBインタフェースや無線通信回路であり、有線又は無線を介して自動演奏装置20と通信を行う。操作部15はキーボードやマウスなどを備えており、ユーザによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号を制御部に供給する。表示部16は、例えば液晶ディスプレイ装置であり、制御部11から与えられるデータに基づいてユーザとの対話画面や各種の情報を表示する。記憶部14は、例えばハードディスクなどの大容量の記憶手段であり、WWWブラウザプログラムやオーディオ再生プログラムのほか、各種のオーディオファイルが記憶されている。このオーディオファイルには、データ配信装置30からダウンロードした合成オーディオファイルと、ユーザが磁気ディスク、フレキシブルディスク、コンパクトディスク又はDVD(Digital Versatile Disk)などからこのオーディオ再生装置10に記憶させた単体オーディオファイルが含まれている。
【0020】
(1−4)自動演奏装置20の構成
次に、図8のブロック図を参照しながら、自動演奏装置20の構成について説明する。
自動演奏装置20は、コントローラ21と、記憶部22と、第1通信部23と、第2通信部24と、操作部25と、演奏部26とを備えている。第1通信部23は、ネットワーク40に接続されており、コントローラ21による制御の下でデータ配信装置30と経由の通信を行う。第2通信部24は、例えばUSBインタフェースや無線通信回路であり、オーディオ再生装置10の第2通信部13と通信を行う。コントローラ21は、例えばCPUなどの演算装置とROMやRAMなどの各種メモリを備えており、CPUがROMや記憶部に格納されている各種プログラムを実行することで自動演奏装置20全体を制御する。このコントローラ21は、時間を計測する計時部21aを備えている。計時部21aは、水晶振動子とアンプにより構成された発振回路(いずれも図示略)を備えており、その発振回路から出力される発信信号を適宜分周してタイミング制御用のクロックを生成し、生成したクロックに基づいて時間を計測する。
【0021】
記憶部22は、例えばハードディスクなどの大容量の記憶手段であり、第1通信部23を介してダウンロードされた番組表やMIDIファイルを記憶する。コントローラ21は、記憶部22に記憶されているMIDIファイルを読み出し、そのファイルに含まれているイベントをタイミングを図って、順次、演奏部26に供給する。このとき、コントローラ21は、オーディオ再生装置10から供給されるタイムコードと、計時部21aによって計測されるオーディオファイルの再生開始からの経過時間とを常に同期させておく。そして、コントローラ21は、計時部21aによって特定される経過時間を基準として、演奏部26に或るイベントを供給すると、そのイベントに後続するデルタタイムによって示される時間だけ待機してから、その次のイベントを供給する、という動作を繰り返す。これにより、オーディオファイルの再生とMIDIファイルの再生との同期を維持することができる。
【0022】
演奏部26は、MIDIファイルから抽出されたイベントに従って演奏音を出力するほか、ユーザによる鍵操作に応じて打弦による演奏音を出力する。前者を「自動演奏」と呼び、後者を「手動演奏」という。演奏部26は、駆動機構26aと、キーセンサ26bと、ペダルセンサ26cと、ピアノ電子回路26dと、ピアノ音源26eと、ミキサ26fと、アンプ26gと、スピーカ26hとを有している。駆動機構26aは、複数の鍵や複数のペダルのほか、各鍵に対応して設けられた駆動ソレノイド群などを有している。キーセンサ26b及びペダルセンサ26cは、手動演奏を行うための構成であり、複数の鍵やペダルの各々に対応して設けられている。これらキーセンサ26b及びペダルセンサ26cは、鍵及びペダルを押したときの強さや深さなどを検出し、検出した鍵若しくはペダルを特定するキー番号若しくはペダル番号、ベロシティー情報(押鍵強度等に対応したデータ)等を含む検出結果をピアノ電子回路26dに供給する。
【0023】
ピアノ電子回路26dは、自動演奏を行う場合には、コントローラ21からイベントを受け取り、そのイベントをピアノ音源26eに供給する。ピアノ音源26eは、イベントにより指示された演奏音を出力するためのオーディオ信号を生成する。また、ピアノ電子回路26dは、コントローラ21から受け取ったイベントに従って、駆動機構26aが備える駆動ソレノイド群に対して通電制御を行う。具体的には、ピアノ電子回路26dは、ある演奏音についてノートオン(押鍵)のイベントをコントローラ21から受け取った場合には、その演奏音の鍵に対応したソレノイドに駆動電流を流し、鍵を押下させるのに必要な磁力をソレノイドにより発生させる。一方、ある演奏音についてノートオフ(離鍵)のイベントを受け取った場合、ピアノ電子回路26dは、その演奏音の鍵に対応したソレノイドに駆動電流を流し、鍵を離鍵させるのに必要な磁力をソレノイドにより発生させる。
【0024】
また、ピアノ電子回路26dは、手動演奏を行う場合、キーセンサ26b及びペダルセンサ26cから供給される検出結果に基づいてイベントを生成する。例えば、「ドの音(ノートナンバ)を強さ10(ベロシティ)で発音(ノートオン)せよ」といった演奏制御を指示するイベントを生成し、そのイベントをピアノ音源26eに供給する。ピアノ音源26eは、このイベントに従って、指示された演奏音を出力するためのオーディオ信号を生成する。
【0025】
上記のようにしてピアノ音源26eにより生成されたオーディオ信号は、ミキサ26fへ出力される。ミキサ26fは、ピアノ音源26eから出力されるオーディオ信号を、必要に応じて他のオーディオ信号と混合してアンプ26gに出力する。この信号はアンプ26gによって増幅され、スピーカ26hから演奏音として出力される。
【0026】
(2)実施形態の動作
次に、実施形態の動作を説明する。
(2−1)番組作成までの動作
まず、図9のシーケンスを参照しながら、オーディオ再生装置10bがデータ配信装置30にアクセスして番組を作成するまでの動作について説明する。
図9において、ユーザはオーディオ再生装置10bの操作部15を用いて、WWWブラウザプログラムを起動させ、所定のURLを指定する操作を行う。このURLは、データ配信装置30が記憶している認証画面データの格納位置を示すURLである。オーディオ再生装置10の制御部11はこの操作を受け付けて(ステップS1)、上記URLを含む要求を第1通信部12から送信する(ステップS2)。一方、データ配信装置30の制御部31は、前述した配信プログラムを常時実行しており、通信部32が上記要求を受信すると、認証画面データを記憶部33から読み出し、これをオーディオ再生装置10に送信する(ステップS3)。
【0027】
オーディオ再生装置10の制御部11は、第1通信部12によって認証画面データを受信すると、この内容を解釈して表示部16に表示する。この認証画面データには、ユーザID及びパスワードの入力欄が設けられており、ユーザは、操作部15を用いて、その入力欄に自身のユーザID及びパスワードを入力する。制御部11は、入力されたユーザID及びパスワードを第1通信部12から送信する(ステップS4)。データ配信装置30の制御部31は、これらユーザID及びパスワードを受信すると、それらの組を記憶部に記憶された認証データと照合し、両者が一致するか否かによってユーザ認証を行う(ステップS5)。認証を経てユーザの正当性が確認されると、制御部31は、番組作成画面データを記憶部33から読み出し、これをオーディオ再生装置10に送信する(ステップS6)。
【0028】
オーディオ再生装置10の制御部11は、番組作成画面データを受信すると、この内容を解釈して番組作成画面を表示部16に表示する(ステップS7)。この番組作成画面において、ユーザは、所望するオーディオファイルやMIDIファイルをそれぞれ1又は複数選択し、その再生順を指定する操作を行う。制御部11は、その操作を受け付ける(ステップS8)。
【0029】
ここで、図10は、この番組作成画面の一例を表した図である。図中の番組名の入力欄b1にはユーザが所望する番組名(ここでは「ピアノファン!」)が入力される。図中右方のオーディオファイルリストb2、MIDIファイルリストb3、ローカルオーディオファイルリストb4、ローカルMIDIファイルリストb5には、単体オーディオファイル又はMIDIファイルのファイル名が列挙されており、ユーザがその中からいずれか1つのファイル名を選択して「プレイリストに追加」というソフトボタンb7を指定すると、選択されたファイル名がプレイリストの入力欄b6に次々と追加されるようになっている。オーディオファイルリストb2及びMIDIファイルリストb3は、データ配信装置30の記憶部33に記憶されているファイル群のリストである。ローカルオーディオファイルリストb4及びローカルMIDIファイルリストb5は、オーディオ再生装置10の記憶部14に記憶されているファイル群のリストである。
【0030】
図10に示した例では、ローカルオーディオファイルリストb4の中から単体オーディオファイル「narration1.wav」が選択され、次に、MIDIファイルリストb3の中からMIDIファイル「pianofan001.mid」が選択され、さらに、ローカルオーディオファイルリストb4の中から単体オーディオファイル「narration2.wav」が選択され、・・・といった具合である。プレイリストb6に追加されたファイル名は、「プレイリストから削除」というソフトボタンb8や、「並び替え」というソフトボタンb9によって削除や順番の並び替えが自由にできるようになっている。また、図示は省略しているが、この番組作成画面において、ユーザは番組の内容を案内するための説明を入力することもできる。
【0031】
ユーザが、この番組作成画面を用いて所望するファイルを組み合わせたプレイリストを作成し、「登録」というソフトボタンb10を指定すると、制御部11は、番組名と、各々のファイル名(データ指定情報)と、その再生順(順番指定情報)とを、番組の登録要求として第1通信部12からデータ配信装置30に送信する(ステップS9)。なお、ローカルファイルリストb4やローカルMIDIリストb5からファイル名が選択されたときには、そのファイル名の単体オーディオファイルやMIDIファイルも上記番組要求とともに、オーディオ再生装置10からデータ配信装置30に送信される。また、ユーザが番組の内容を案内するための説明を入力した場合には、それらもオーディオ再生装置10からデータ配信装置30に送信される。
【0032】
データ配信装置30の制御部31は、この登録要求を受信すると、それらをいったん記憶部33に記憶する。そして、制御部31は、番組を構成するファイルとして、その登録要求に含まれているファイル名(データ指定情報)によって指定される単体オーディオファイル及びMIDIファイルを選択する(ステップS10)。次に、制御部31は、登録要求に含まれている再生順(順番指定情報)に従って、各々のオーディオファイルとMIDIファイルの再生の順番を決定する(ステップS11)。次に、制御部31は、ステップS10にて選択した単体オーディオファイルとMIDIファイルのファイル長などを参照して、それぞれのファイルを再生するのに要する期間(再生期間)を特定する(ステップS12)。
【0033】
そして、制御部31は、それぞれのファイルの再生期間をその再生順に従って順次加算し、各々のMIDIファイルの再生開始時期と再生終了時期を算出する。始期は、番組の開始時点、つまり最初に再生される単体オーディオファイル又はMIDIファイルの再生開始時点である。これにより、図11に示すように、各々の単体オーディオファイル及びMIDIファイルのファイル名と、各々のファイルについて算出された再生開始時期及び再生終了時期とが対応付けられて、記憶部33に記憶されることになる(ステップS13)。
【0034】
そして、制御部31は、記憶部33に記憶されている上記の対応関係に基づいて、MIDIデータの再生期間に相当する期間を空けて、各々の単体オーディオファイルをその再生順に時系列に配置して合成した合成オーディオデータを生成し、記憶部33に記憶する(ステップS14)。これにより、図12に模式的に示すような構成の合成オーディオファイルが生成されて記憶部33に記憶されることになる。
【0035】
次に、制御部31は、その合成オーディオファイル(番組)に対して番組識別子を発行する。さらに、制御部31は、MIDIファイルの再生開始時期及び再生終了時期と、そのMIDIファイルの格納位置を示すURLと、MIDIファイルのファイル名とを対応付けて、図6に示すような番組表33bを生成し、これを記憶部33に記憶する。また、制御部31は、番組作成画面に入力された番組名を用いるなどして、合成オーディオファイルのファイル名を生成し、そのファイル名と、合成オーディオファイルのデータサイズと、作成日時とを対応付けて、図5に示したような番組管理テーブル33aを生成して記憶部33に記憶する(ステップS15)。
【0036】
そして、制御部31は、番組の登録が完了したことを意味する登録完了通知をオーディオ再生装置10に送信する(ステップS16)。オーディオ再生装置10の制御部11が、受信した登録完了通知を表示部16に表示することで、ユーザは、番組の登録を完了したことを確認することができる。
以上で、番組の作成が完了する。
【0037】
(2−2)合成オーディオファイルを取得するまでの動作
次に、図13のシーケンスを参照しながら、オーディオ再生装置10aがデータ配信装置30から、ユーザの所望する合成オーディオファイルを取得するまでの動作について説明する。
図13において、ユーザはオーディオ再生装置10aの操作部15を用いて、WWWブラウザプログラムを起動させ、所定のURLを指定する操作を行う。このURLは、データ配信装置30が記憶している認証画面データの格納位置を示すURLである。オーディオ再生装置10aの制御部11はこの操作を受け付けて(ステップS21)、上記URLを含む要求を第1通信部12から送信する(ステップS22)。一方、データ配信装置30の制御部31は、前述した配信プログラムを常時実行しており、通信部32が上記要求を受信すると、認証画面データを記憶部33から読み出し、これをオーディオ再生装置10aに送信する(ステップS23)。
【0038】
オーディオ再生装置10aの制御部11は、第1通信部12によって認証画面データを受信すると、この内容を解釈して表示部16に表示する。この認証画面データには、ユーザID及びパスワードの入力欄が設けられており、ユーザは、操作部15を用いて、その入力欄に自身のユーザID及びパスワードを入力する。制御部11は、入力されたユーザID及びパスワードを第1通信部12から送信する(ステップS24)。データ配信装置30の制御部31は、これらユーザID及びパスワードを受信すると、それらの組を記憶部に記憶された認証データと照合し、両者が一致するか否かによってユーザ認証を行う(ステップS25)。認証を経てユーザの正当性が確認されると、制御部31は、番組の一覧画面データを記憶部33から読み出して(ステップS26)、これをオーディオ再生装置10aに送信する(ステップS27)。
【0039】
オーディオ再生装置10aの制御部11は、第1通信部12によって一覧画面データを受信すると、この内容を解釈して表示部16に表示する(ステップS28)。図14はこの表示例を表しており、図中の「1 ピアノファン!」、「2 ピアノの調べNo1」及び「3 ピアノの調べNo2」という文字列はそれぞれの番組名を表しており、その文字列の下方には、番組作成時にそれぞれの番組の内容について入力された説明が記述されている。ユーザはこの説明を参照して所望の番組を選ぶことができる。これらの文字列にはHTML(Hyper Text Markup Language)のアンカータグによって、それぞれの番組に対応する合成オーディオファイルの格納位置を示すURLが関連づけられている。ユーザが例えば「1 ピアノファン!」という文字列を指定してダウンロードを指示する操作を行うと、オーディオ再生装置10aの制御部11は、この操作を受け付け(ステップS29)、その文字列に関連づけられているURLを含む要求を第1通信部12から送信する(ステップS30)。
【0040】
データ配信装置30の通信部32がこの要求を受信すると、制御部31は、上記URLに基づいて記憶部33から合成オーディオファイルを読み出し(ステップS31)、これを通信部32からオーディオ再生装置10aに送信する(ステップS32)。オーディオ再生装置10aの制御部11は、第1通信部12によってこの合成オーディオファイルを受信すると、これを記憶部14に記憶する(ステップS33)。
以上で、合成オーディオファイルのダウンロードが完了する。
【0041】
(2−3)オーディオ再生装置10a及び自動演奏装置20による再生動作
次に、図15のシーケンスを参照しながら、オーディオ再生装置10aと自動演奏装置20とが再生を行う動作について説明する。
図15において、ユーザは、オーディオ再生装置10aと自動演奏装置20とを、有線又は無線により通信可能に接続する(ステップS41)。そして、ユーザはオーディオ再生装置10aの操作部15を操作して、オーディオファイルの再生を行いたい旨の指示を行うと、オーディオ再生装置10aの制御部11はその操作を受け付ける(ステップS42)。そして、制御部11は、オーディオ再生プログラムを起動して、記憶部14に記憶されている合成オーディオファイルを参照して、図16に示すような画面を表示部16に表示する。この画面には、「1 ピアノファン!」、「2 ピアノ協奏曲全集No1」、「3 ベストピアノ」というように、記憶部14に記憶された合成オーディオファイルに対応する番組名の一覧が記されている。ここで、ユーザが操作部15を操作して例えば「1 ピアノファン!」を選択し、「再生」というソフトボタンを指定すると、制御部11はその操作を受け付ける(ステップS43)。
【0042】
次に、オーディオ再生装置10aの制御部11は、ユーザID及びパスワードの入力欄が設けられた認証画面を表示部16に表示する。この認証画面の画面データは、オーディオ再生装置10aの記憶部14に記憶されたものであってもよいし、データ配信装置30にアクセスして取得したものであってもよい。ユーザが操作部15を用いてその入力欄に自身のユーザID及びパスワードを入力すると、制御部11はその操作を受け付ける(ステップS43)。そして、制御部11は、ステップS42にて選択された合成オーディオファイルのファイル識別子、つまりファイル名「piano-fan.wab」、データサイズ「41.5(MB)」及び作成日時「2006/1/25」をファイル管理テーブル(FAT;File Allocation Table)から読み出し、これらをステップS42にて入力されたユーザID及びパスワードとともに、第2通信部13から自動演奏装置20に送信する(ステップS44)。
【0043】
自動演奏装置20のコントローラ21は、第2通信部24によってファイル識別子、ユーザID及びパスワードを受信すると、これを第1通信部23からデータ配信装置30に転送する(ステップS45)。データ配信装置30の制御部31は、このファイル識別子、ユーザID及びパスワードを通信部32によって受信すると、ユーザID及びパスワードを記憶部33に記憶された認証データと照合し、両者が一致するか否かによってユーザ認証を行う(ステップS46)。認証を経てユーザの正当性が確認されると、制御部31は、図5に示した番組管理テーブル33aにおいてこのファイル識別子に合致するレコードを検索し、検索によって特定されたレコードに記述された番組識別子「CID001」を特定する(ステップS47)。そして、制御部31は、その番組識別子「CID001」に対応する番組表33b(図6参照)を記憶部33から読み出し(ステップS48)、通信部32から自動演奏装置20に送信する(ステップS49)。
【0044】
自動演奏装置20のコントローラ21は、第1通信部23によって番組表33bを受信すると、その番組表33bに記述されているファイル名をキーにして記憶部33の記憶内容を検索し、そのファイル名のMIDIファイルが記憶部33に記憶されているか否かを判断する(ステップS50)。ここでは、図6に記述されているファイル名である「piano-fan001.mid」、「piano-fan002.mid」、「piano-fan003.mid」、「piano-fan004.mid」の全てが記憶部33に記憶されていなかったとする。この場合、コントローラ21は、まずファイル名「piano-fan001.mid」に対応するURL(http://www.abc.co.jp/midi/piano-fan001.mid)を含む要求を第1通信部23から送信する(ステップS51)。このURLはデータ配信装置30が記憶しているMIDIファイル「piano-fan001.mid」の格納位置を示すURLである。
【0045】
データ配信装置30の制御部31は、通信部32によって上記要求を受信すると、URLを参照して記憶部33からMIDIファイル「piano-fan001.mid」を読み出し、これを自動演奏装置20に送信する(ステップS52)。同様に、自動演奏装置20のコントローラ21はファイル名「piano-fan002.mid」に対応するURL(http://www.abc.co.jp/midi/piano-fan002.mid)を含む要求(HTTPリクエスト)をデータ配信装置30に送信する。データ配信装置30の制御部31は、通信部32が上記要求を受信すると、MIDIファイル「piano-fan002.mid」を記憶部33から読み出し、これを自動演奏装置20に送信する。さらに、自動演奏装置20のコントローラ21は、ファイル名「piano-fan003.mid」及びファイル名「piano-fan004.mid」のMIDIファイルについても、同様にしてデータ配信装置30から取得する。
【0046】
自動演奏装置20のコントローラ21は、上記のようにして送信されてくるMIDIファイルを第1通信部23によって受信し、記憶部22に記憶する(ステップS53)。それが完了すると、コントローラ21は、ダウンロードが完了した旨の通知を第2通信部24からオーディオ再生装置10aに送信する(ステップS54)。オーディオ再生装置10aの制御部11は、その通知を第2通信部13によって受信すると、図17に示すような画面を表示部16に表示する。ユーザが操作部15を操作して再生を行う旨を指示すると、制御部11はこの操作を受け付け、再生開始通知を第2通信部13から自動演奏装置20に送信する(ステップS55)。自動演奏装置20のコントローラ21は第2通信部24によってこの再生開始通知を受信する。
【0047】
以降、オーディオ再生装置10aと自動演奏装置20はともに同期再生の処理に移行する。(ステップS56,S57)。つまり、オーディオ再生装置10aの制御部11は、合成オーディオファイルを記憶部14から読み出し、読み出した合成オーディオファイルに基づいてオーディオ信号を生成し、これをタイムコードとともに第2通信部13経由で自動演奏装置20に順次供給する(ステップS58)。一方、自動演奏装置20のコントローラ21は、図18に示すフローチャートに従って再生処理を実行する。
【0048】
図18において、コントローラ21は、オーディオ再生装置10aから合成オーディオファイルの再生開始通知を受信したときからの経過時間が、番組表33bに記されたMIDIファイルの再生開始時期(ここでは図6の「1分16秒」)に至ったか否かを判断する(ステップS101)。再生開始時期に至るまでの間は(ステップS101;NO)、コントローラ21は、第2通信部24によって受信したオーディオ信号をミキサ26fに供給する(ステップS102)。ミキサ26fは、コントローラ21から供給されるオーディオ信号をアンプ26gに出力し、アンプ26gはこれを増幅してスピーカ26hから再生音として出力する。このステップS101,102の処理が、MIDIファイルの再生開始時期に至るまでの間、繰り返される。これにより、例えば図3に示した合成オーディオファイルの「ナレーション1」が、楽曲1の再生開始時期の直前まで再生されることになる。
【0049】
さて、オーディオファイルの再生開始からの経過時間が1分16秒に到達すると、コントローラ21は、再生開始時期に至ったと判断し(ステップS101;YES)、番組表33bにおいて再生開始時期が到来したMIDIファイル「piano-fan001.mid」を記憶部22から読み出し、そのファイルからイベントを抽出してピアノ電子回路26dに順次供給する(ステップS103)。ピアノ電子回路26dはこのイベントをピアノ音源26eに転送し、ピアノ音源26eは、そのイベントにより指示された音をピアノの演奏音で表現したオーディオ信号を生成する。このオーディオ信号はミキサ26fへ出力され、ミキサ26fは、それをアンプ26gに出力する。アンプ26gはこれを増幅し、スピーカ26hから演奏音として出力させる。また、このとき、ピアノ電子回路26dは、コントローラ21から供給されるイベントに基づいて駆動機構に対して駆動信号を供給し、その駆動機構によって鍵やペダルを駆動させて自動演奏を行わせるようにしても良い。
【0050】
このステップS103の処理が、番組表33bに記された再生終了時期に至るまでの期間(ここでは図6の「5分48秒」)にわたって繰り返される(ステップS104;NO)。この期間、合成オーディオファイルも再生されているが、それは無音期間の再生に過ぎないので、ユーザに聞こえるのはMIDIファイルに基づく演奏音のみである。つまり、合成オーディオファイルの無音期間に、「楽曲1」の演奏音が自動演奏装置20のスピーカ26hから放音されることになる。
【0051】
そして、番組表33bに記された再生終了時期に至ると(ステップS104;YES)、コントローラ21の処理はステップS101に戻る。そして、次に再生すべきMIDIファイル「piano-fan002.mid」について、上述した処理が繰り返される。
以上のような処理を経ることで、まず最初に「ナレーション1」が再生され、次に、オーディオファイルの無音期間の再生と同期して「楽曲1」が自動演奏される。次いで、「ナレーション2」が再生され、その次にオーディオファイルの無音期間の再生と同期して「楽曲2」及び「楽曲3」が順次自動演奏される。そして、「ナレーション3」が再生され、最後にオーディオファイルの無音期間の再生と同期して「楽曲4」が自動演奏されることになる。
【0052】
オーディオ再生装置10aの制御部11は、合成オーディオファイルの再生が終了すると(図15のステップS59)、その旨の再生終了通知を第2通信部13から自動演奏装置20に送信する(ステップS60)。自動演奏装置20のコントローラ21は、再生終了通知を受信すると、図18に示す処理を終了する(ステップS61)。
【0053】
なお、ステップS46のユーザ認証において、正当なユーザであるとの確認がなされなかった場合には、オーディオ再生装置10aによって合成オーディオファイルの単独再生がなされる。つまり、制御部11はステップS42で指定された合成オーディオファイルを記憶部14から読み出してオーディオ信号を生成し、順次、放音部17に供給する。放音部17は、オーディオ信号に応じた再生音をスピーカから出力する。例えば図3に示したオーディオファイルが単独再生される場合には、「ナレーション1」が再生され、無音期間の後に「ナレーション2」が再生され、再び無音期間の後に「ナレーション3」が再生されることになる。つまり、オーディオ再生装置10aの正当なユーザのみが、合成オーディオファイルに加えて、MIDIファイルを同期した状態で再生させることができるのである。
【0054】
上述した実施形態によれば、番組の作成者たるユーザは、所定の料金をデータ配信装置30の管理者に支払うことで、データ配信装置30によって記憶されたオーディオファイル及びMIDIファイルや、自身のオーディオ再生装置にによって記憶されたオーディオファイル及びMIDIファイルを組み合わせて、独自の番組(合成オーディオファイル及びMIDIファイルのセット)を作成し、それをデータ配信装置30によりネットワーク上に公開させることができる。一方、番組の聴取者たるユーザは、所定の料金をデータ配信装置30の管理者に支払うことで、データ配信装置30により公開されている合成オーディオファイル及びMIDIファイルを取得することができる。そして、オーディオ再生装置10及び自動演奏装置20からなる再生システムは、合成オーディファイルの再生と同期を保った状態で、MIDIファイルに基づいた複数の楽曲を自動演奏することができる。従って、合成オーディオファイルの再生を楽しみながらも、再生スケジュールに沿ってライブ感のある楽曲演奏をも楽しむことができ、従来にない面白みを感じることができる。
【0055】
(3)変形例
上述した実施形態を次のように変形してもよい。
(3−1)変形例1
実施形態では、自動演奏装置20が、オーディオ再生装置10から合成オーディオファイルのファイル識別子を取得し、次に、そのファイル識別子を指定してデータ配信装置30から番組表33bを取得し、さらに、その番組表33bに記されたURLに基づいて、必要なMIDIファイルを取得していた。この方法によれば、自動演奏装置20が番組表33bを参照することで、まず自動演奏の対象となる全てのMIDIファイルを特定することができるので、自身が記憶していないMIDIファイルだけをダウンロードすることができ、無駄なダウンロード処理が発生しない。
【0056】
これに対し、自動演奏装置20が、オーディオ再生装置10から合成オーディオファイルのファイル識別子を取得すると、次に、そのファイル識別子を指定して、番組表33b及びその番組表33bに記されたMIDIファイルをデータ配信装置30から一度に取得するようにしてもよい。つまり、自動演奏装置20のコントローラ21は、オーディオ再生装置10から合成オーディオファイルのファイル識別子を第2通信部24によって受信すると、そのファイル識別子を第1通信部23からデータ配信装置30に送信する。データ配信装置30の制御部31はこのファイル識別子を通信部32によって受信すると、このファイル識別子に合致するレコードを検索し、検索によって特定されたレコードに記述された番組識別子「CID001」を特定する。そして、制御部31は、その番組識別子「CID001」に対応する番組表33bと、その番組表33bに記されたMIDIファイルを記憶部33から全て読み出し、通信部32から自動演奏装置20に送信する。自動演奏装置20のコントローラ21は、番組表33bとMIDIファイルを第1通信部23によって受信すると、それらを記憶部22に記憶する。このようにすれば、番組表とMIDIファイルの一括ダウンロードが可能となる。
【0057】
(3−2)変形例2
実施形態では、1つのデータ配信装置30が、合成オーディオファイル、番組表33b及びMIDIファイルの全てを記憶しておき、これらをオーディオ再生装置10や自動演奏装置20からの要求に応じて配信していた。
これに対し、これら合成オーディオファイル、番組表33b及びMIDIファイルを記憶するデータ配信装置30をそれぞれ別々の装置としてもよい。図19は、この変形例に係るシステム全体の一例を示す図である。図に示すように、データ配信装置30aは、オーディオファイル(単体オーディオファイルと合成オーディオファイルを含む)と番組表とを記憶しており、データ配信装置30bは、その番組表に記された複数のMIDIファイルのうちのいくつかを記憶しており、データ配信装置30cは、その番組表に記された複数のMIDIファイルのうちの残りのMIDIファイルを記憶している。例えばオーディオ再生装置10bのユーザ(番組作成者)は、オーディオ再生装置10bをデータ配信装置30aにアクセスさせ、単体オーディオファイルやMIDIファイルを組み合わせて番組を作成する。その結果作成された合成オーディオファイルはデータ配信装置30aに記憶される。次に、オーディオ再生装置10aのユーザ(番組聴取者)は、オーディオ再生装置10aをデータ配信装置30aにアクセスさせて、合成オーディオファイルと番組表を取得する。その番組表には、複数のMIDIファイルのURLがそれぞれ記述されており、自動演奏装置20aは、番組表に記されたURLに基づき、データ配信装置30bやデータ配信装置30cからMIDIファイルをそれぞれ取得する。単体オーディオファイルやMIDIファイルを提供するサービス提供者にとっては、膨大な数のファイル群の全てを自ら用意するのは容易ではないが、上記のように、それぞれのファイルを複数のサービス提供者によって分担して用意するのであれば、お互いに保有しているファイル群を活用しあうことができ、ユーザに多様な楽曲を提供することが可能となる。特に単体オーディオファイルとMIDIファイルは、ファイルの作成手法やそのデータ構造或いはファイルの利用目的などが異なるので、それらを別々に用意して提供することは、各々のサービス提供者にとって都合がよい。
【0058】
また、前述した番組表には、MIDIファイルのURLが記述されていたが、実施形態のようにデータ配信装置が1つだけの場合には、このURLは必ずしも必須ではなく、MIDIファイルのファイル名があれば、MIDIファイルの在処を特定できる。これに対し、MIDIファイルが複数のデータ配信装置に分散されて記憶されている場合には、番組表にURLが記述されていると都合がよい。
【0059】
また、オーディオ再生装置10及び自動演奏装置20からなる再生システムを、1つの装置として構成してもよいし、さらに複数の装置に機能を分離して持たせてもよい。
【0060】
(3−3)変形例3
さらに、図19に示すように、データ配信装置30a,30b,30cを決済システム50に接続し、オーディオファイルやMIDIファイルの対価を逐一、オーディオ再生装置10や自動演奏装置20のユーザに課金するようにしてもよい。この決済システム50は、図示せぬ全銀協(全国銀行協会)ネットワーク40やCAFIS(Credit And Finance Information System)網などの各種の金融ネットワークや金融機関を含むシステムである。データ配信装置30a,30b,30cは、オーディオファイルやMIDIファイルの対価を、オーディオ再生装置10や自動演奏装置20のユーザに課金するための課金処理を行って、この決済システム50に対して決済処理を依頼する。この依頼に応じて、決済システム50による決済処理が実行される。
【0061】
この課金処理の詳細は以下のとおりである。
データ配信装置30の記憶部33には、単体又は合成オーディオファイルやMIDIファイルと、その価格データとが対応付けられて記憶されている。また、記憶部33には、オーディオ再生装置10や自動演奏装置20のユーザに関する情報が、各々のユーザからの事前の届け出に基づいて記憶されている。このユーザに関する情報とは、例えば氏名、住所、生年月日、ユーザ識別子、銀行口座、クレジットカード番号などである。データ配信装置30の制御部31は、合成オーディオファイルやMIDIファイルのダウンロードが完了すると、そのファイルに対応付けられている価格データを特定するとともに、そのファイルを取得したユーザに割り当てられたユーザ識別子を特定する。価格データは前述のとおりファイルに対応付けられて記憶部に記憶されているので、それを用いる。また、ファイルをダウンロードしたユーザのユーザ識別子については、オーディオ再生装置10や自動演奏装置20がデータ配信装置30にアクセスする際の認証処理にて入力されたユーザIDを制御部31が記憶しておけばよい。そして、制御部31は、特定した価格データを、ユーザ識別子、銀行口座又はクレジットカード番号とともに、決済システム50に通知して決済処理を依頼する。ここまでが、制御部がファイルの対価を課金するための課金処理である。この通知に応じて、決済システム50は、通知された金額を、通知された銀行口座から引き落としたり、通知されたクレジットカード番号に基づいて引き落とすなどの決済処理を行う。このようにしてユーザから徴収された対価は、単体又は合成オーディオファイルやMIDIファイルの著作権料の一部に充当される。
【0062】
(3−4)変形例4
実施形態では、MIDIファイルを自動演奏装置20にダウンロードし、そのMIDIファイルを再生した後も記憶部22に記憶させたままであるから、MIDIファイルの再利用(複数回の再生)が可能であった。
これに対し、各々のMIDIファイルを、上記のようなダウンロード形式で再生するものと、いわゆるストリーム形式で再生するものに分けてもよい。ストリーム再生とは、取得したMIDIファイルを例えばRAMなどの揮発性の記憶手段にバッファリングし、それを順次読み出して再生するが、その再生後は、記憶手段からMIDIファイルを消去する、という再生の形態である。つまり、再利用ができない再生形態である。
【0063】
例えば、著作権の対象となる楽曲のMIDIファイルをストリーム形式で再生し、著作権の対象とならない楽曲のMIDIファイルをダウンロード形式で再生するといった形態が考えられる。また、変形例3で説明したように、MIDIファイルの対価を課金するのであれば、同じ楽曲のMIDIファイルに対し、低い対価を支払った場合にはストリーム形式で再生し、高い対価を支払った場合にはダウンロード形式で再生するといった形態も考えられる。
【0064】
ダウンロード形式の再生とストリーム形式の再生は、以下のようにして実現する。
データ配信装置30の記憶部33に記憶されたMIDIファイル群は、MIDIファイルの再利用が許された第1のグループと、MIDIファイルの再利用が許されない第2のグループとに区分されている。例えば、番組表において、第1のグループに属するMIDIファイルには、その第1のグループを意味するフラグを対応付けて記述し、第2のグループに属するMIDIファイルには、その第2のグループを意味するフラグを対応付けて記述しておく。
自動演奏装置20のコントローラ21は、番組表を取得すると、その番組表に記述されているフラグの種類に応じて、MIDIファイルの取得及び再生の形態を異ならせる。具体的には、第1のグループのフラグと対応付けられているMIDIファイルに関しては、コントローラ21は、番組表を取得すると直ちにデータ配信装置30からそのMIDIファイルを取得して記憶部22に記憶しておく。そして、コントローラ21は、番組表に記された再生開始時期が到来すると、記憶部22からMIDIファイルを読み出し、各イベントをオーディオファイルの再生と同期させて順次、ピアノ電子回路26dに供給する。一方、第2のグループのフラグと対応付けられているMIDIファイルについては、コントローラ21は、番組表に記された再生開始時期の所定期間だけ前になると、データ配信装置30からそのMIDIファイルを取得してコントローラ21内のRAMに一時的に記憶し、これをオーディオファイルの再生と同期させて順次読み出し、電子ピアノ回路に供給する。そして、コントローラ21は、RAMに記憶されたMIDIファイルを、その読み出し乃至再生後に消去する。
これにより、MIDIファイルの再利用を制限することができる。
【0065】
(3−5)変形例5
実施形態では、オーディオ再生装置10及び自動演奏装置20が、それぞれネットワーク40経由で通信を行う機能を備えていたが、これに限らず、いずれか一方がその通信機能を備えておき、他方はその一方の通信機能を利用してネットワーク40経由でファイルをダウンロードするようにしてもよい。例えば、オーディオ再生装置10のみがネットワーク40経由の通信機能を備えている場合に、自動演奏装置20が番組表やMIDIファイルを取得しようとするときには、オーディオ再生装置10が自動演奏装置20からの要求を第2通信部13によって受信し、これを第1通信部12からデータ配信装置30に転送する。その要求に応じて送信されてくる番組表やMIDIファイルをオーディオ再生装置10の第1通信部12が受信すると、それらを第2通信部13によって自動演奏装置20に転送する。
【0066】
(3−6)変形例6
オーディオファイルに基づく再生とMIDIファイルに基づく自動演奏との同期の取り方は、実施形態に記載したものに限らず、どのようなものであってもよい。例えば特開2003−271138号公報や特開2006−47761号公報に開示されているような方法を用いてもよい。前者の方法は、オーディオ信号のピーク時期を検出し、そのピーク時期において時間管理用のイベントを生成し、そのイベントと計時手段による計時結果とに基づいて同期をとるというものである。
【0067】
また、後者の方法は、オーディオ再生装置10から自動演奏装置20に供給されるオーディオ信号を構成する複数チャネルのうちのいずれかを同期用チャネルとして利用するものであり、具体的には以下のとおりである。オーディオ再生装置10の制御部11は、オーディオファイルの再生時に、チャネル(L)にオーディオデータが含まれ、チャネル(R)に時間情報とファイル識別子とが含まれて成るLTCを生成する。LTCは、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)に準拠したタイムコードであり、時間情報とファイル識別子とを含んでいる。自動演奏装置20のコントローラ21は、LTCに含まれる時間情報と計時部21aによる計時結果とに基づいて、オーディオファイルとMIDIファイルとの再生の同期をとる。
このように、オーディオ信号の或るチャネルを用いた場合には、オーディオ再生装置10から自動演奏装置20に対し、オーディオ信号を送信するだけで必要な指示を行うことができる。
【0068】
(3−7)変形例7
実施形態では、ファイル識別子として、ファイル名、データサイズ及び作成日時の組を用いたが、データサイズや作成日時はいずれか一方のみでもよい。なお、「作成日時」という用語の意味には更新日時も含まれている。また、ファイル識別子は、オーディオファイルを特定することが可能な識別子であればなんでもよく、例えばシーケンシャルに割り当てられた番号など様々なものを利用することができる。
【0069】
(3−8)変形例8
実施形態においてファイルの再生時には、オーディオファイルに基づく再生音を自動演奏装置20のスピーカ26hから出力していたが、必ずしもそうである必要はなく、オーディオ再生装置10の放音部17から出力してもよいし、自動演奏装置20のスピーカ26hとオーディオ再生装置10の放音部17の双方から出力してもよい。オーディオ再生装置10の放音部17から出力する場合、オーディオ再生装置10はオーディオ信号を自動演奏装置20に出力する必要はないが、MIDIファイルとの同期再生のために、タイムコードを出力する必要はある。自動演奏装置20のコントローラ21は、タイムコードと計時部21aの計時結果と再生スケジュールに従って、MIDIファイルに基づいた自動演奏を行う。
【0070】
(3−9)変形例9
実施形態では、自動演奏装置が番組表を取得すると、直ちに、自動演奏に必要なMIDIファイルをダウンロードしていたが、これに限らない。例えば番組表を取得すると、直ちに合成オーディオファイルの再生を開始し、その再生中に、最初のMIDIファイルの再生開始時期までにそのMIDIファイルを取得するようにしてもよい。そして、2番目以降に再生されるMIDIファイルについても、各々の再生開始時期までに取得できていればよい。
【0071】
(3−10)変形例10
また、合成オーディオファイルやMIDIファイルの内容は、図3に例示したものに限らず、その内容は任意である。合成オーディオファイルにおいてナレーションは必須ではなく、楽曲だけからなる合成オーディオファイルであってもよい。
【0072】
(3−11)変形例11
実施形態で説明した図15においては、オーディオ再生装置10が、ユーザID及びパスワードの入力欄が設けられた認証画面を表示部16に表示していたが、これを自動演奏装置20が表示してもよい。具体的には、自動演奏装置20の記憶部22には、認証画面の画面データが記憶されており、コントローラ21は、その画面データに基づいて認証画面を図示せぬ表示部に表示する。ユーザが操作部25を用いて、認証画面の入力欄に自身のユーザID及びパスワードを入力すると、コントローラ21は、入力されたユーザIDとパスワードに加えて、ファイル識別子を第1通信部23からデータ配信装置30に送信する。データ配信装置30の制御部31は、このファイル識別子、ユーザID及びパスワードを通信部32によって受信すると、ユーザID及びパスワードを記憶部33に記憶された認証データと照合し、両者が一致するか否かによってユーザ認証を行う。
【0073】
(3−12)変形例12
実施形態では、オーディオ再生装置10としてパーソナルコンピュータを例示したが、ネットワーク40経由の通信機能や自動演奏装置20との間でデータの授受を行うための機能を搭載したものであれば、どのようなものであってもよく、例えば携帯電話、PHS(Personal Handyphone System:登録商標)、PDA(Personal Digital Assistance)、携帯音楽プレーヤなどであってもよい。また、上述した制御部11、制御部31、コントローラ21が実行するプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、コンパクトディスク、DVD(Digital Versatile Disk)、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。即ち、本発明をプログラムとして実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施形態における配信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態におけるデータ配信装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態における合成オーディオファイルとMIDIファイルとの対応関係を説明する図である。
【図4】同実施形態におけるMIDIファイルの構成を示す図である。
【図5】同実施形態における番組管理テーブルの一例を示す図である。
【図6】同実施形態における番組表の一例を示す図である。
【図7】同実施形態におけるオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図8】同実施形態における自動演奏装置の構成を示すブロック図である。
【図9】同実施形態における動作例を説明するシーケンス図である。
【図10】同実施形態におけるオーディオ再生装置に表示される画面例を示す図である。
【図11】同実施形態における単体オーディオファイルとMIDファイルの再生順などを例示する図である。
【図12】同実施形態における合成オーディオファイルとMIDファイルとの対応関係を示す図である。
【図13】同実施形態における動作例を説明するシーケンス図である。
【図14】同実施形態におけるオーディオ再生装置に表示される画面例を示す図である。
【図15】同実施形態における動作例を説明するシーケンス図である。
【図16】同実施形態におけるオーディオ再生装置に表示される画面例を示す図である。
【図17】同実施形態におけるオーディオ再生装置に表示される画面例を示す図である。
【図18】同実施形態における自動演奏装置のコントローラの動作を説明するフローチャートである。
【図19】変形例における配信システムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
10・・・オーディオ再生装置、20・・・自動演奏装置、30・・・データ配信装置、21・・・コントローラ、22・・・記憶部、23・・・第1通信部、24・・・第2通信部、26・・・演奏部、26d・・・ピアノ電子回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を出力するためのオーディオデータと自動演奏を行うための楽曲データとをそれぞれ1又は複数指定するデータ指定情報を取得するデータ指定情報取得手段と、
前記データ指定情報によって指定される前記オーディオデータ及び前記楽曲データを再生する順番を指定する順番指定情報を取得する順番指定情報取得手段と、
前記データ指定情報によって指定される前記オーディオデータ及び前記楽曲データのそれぞれの再生期間と、前記順番指定情報によって指定される再生の順番とに基づいて、前記オーディオデータ及び前記楽曲データの各々の再生開始時期を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された各々のオーディオデータの再生開始時期に従って、各々の前記オーディオデータを時系列に且つ前記楽曲データの再生期間を空けて配置して合成した合成オーディオデータを生成する合成オーディオデータ生成手段と、
前記算出手段によって算出された各々の楽曲データの再生開始時期と、当該楽曲データに割り当てられた楽曲データ識別子とを対応付けた再生予定情報を生成する再生予定情報生成手段と、
前記合成オーディオデータ生成手段によって生成された前記合成オーディオデータを配信する第1の配信手段と、
前記再生予定情報生成手段によって生成された再生予定情報を配信する第2の配信手段と、
前記第2の配信手段によって前記再生予定情報が配信された配信先から、前記楽曲データ識別子を含む楽曲データの要求があったときには、前記楽曲データを記憶する記憶手段から当該楽曲データを読み出して配信する第3の配信手段と
を備えることを特徴とする配信装置。
【請求項2】
前記オーディオデータを配信すること又は前記楽曲データを配信することに応じて、当該オーディオデータ又は当該楽曲データの配信先の使用者に対価を課金する処理を行う課金手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の配信装置。
【請求項3】
前記再生予定情報に含まれる複数の前記楽曲データ識別子は、楽曲データの再利用が許された第1のグループと、楽曲データの再利用が許されない第2のグループとに区分されており、
前記課金手段は、
前記再生予定情報に含まれる複数の前記楽曲データ識別子のうち、前記第1のグループに属する前記楽曲データ識別子が割り当てられた楽曲データの配信先の使用者には課金をしないか又は低い対価を課金し、
前記再生予定情報に含まれる複数の前記楽曲データ識別子のうち、前記第2のグループに属する前記楽曲データ識別子が割り当てられた楽曲データの配信先の使用者には高い対価を課金する
ことを特徴とする請求項2記載の配信装置。
【請求項4】
前記第2のグループに属する前記楽曲データ識別子によって特定される楽曲データは、著作権によって保護されている
ことを特徴とする請求項3記載の配信装置。
【請求項5】
コンピュータを、
音声を出力するためのオーディオデータと自動演奏を行うための楽曲データとをそれぞれ1又は複数指定するデータ指定情報を取得するデータ指定情報取得手段と、
前記データ指定情報によって指定される前記オーディオデータ及び前記楽曲データを再生する順番を指定する順番指定情報を取得する順番指定情報取得手段と、
前記データ指定情報によって指定される前記オーディオデータ及び前記楽曲データのそれぞれの再生期間と、前記順番指定情報によって指定される再生の順番とに基づいて、前記オーディオデータ及び前記楽曲データの各々の再生開始時期を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された各々のオーディオデータの再生開始時期に従って、各々の前記オーディオデータを時系列に且つ前記楽曲データの再生期間を空けて配置して合成した合成オーディオデータを生成する合成オーディオデータ生成手段と、
前記算出手段によって算出された各々の楽曲データの再生開始時期と、当該楽曲データに割り当てられた楽曲データ識別子とを対応付けた再生予定情報を生成する再生予定情報生成手段と、
前記合成オーディオデータ生成手段によって生成された前記合成オーディオデータを配信する第1の配信手段と、
前記再生予定情報生成手段によって生成された再生予定情報を配信する第2の配信手段と、
前記第2の配信手段によって前記再生予定情報が配信された配信先から、前記楽曲データ識別子を含む楽曲データの要求があったときには、前記楽曲データを記憶する記憶手段から当該楽曲データを読み出して配信する第3の配信手段と
して機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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