説明

配合成分が安定化された固形製剤

【課題】ユビデカレノンとビタミンB1類を同時に配合した固形製剤を製造したところ、成分の安定性が不十分であることがわかった。本発明はユビデカレノン及びビタミンB1類を同時配合しても、保存時のユビデカレノン及びビタミンB1類の分解が抑制された、安定化された固形製剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 ユビデカレノン、ビタミンB1類及び酸を含有する固形製剤において、ユビデカレノン及び酸を含有する群とビタミンB1類を含有する群に群分け配合されていることを特徴とする固形製剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はユビデカレノン及びビタミンB1類を配合した製剤に関し、さらに詳しくは、保存時のユビデカレノン及びビタミンB1類の分解が抑制され、配合成分が安定化された製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ユビデカレノンとビタミンB1類は共に細胞のミトコンドリアにおけるエネルギー代謝改善作用があり、特にこの両成分を組み合わせると高い効果を有することが報告されている(特許文献1)。
【0003】
従来、ユビデカレノン、ビタミンB1類およびゼラチンを配合すると、成分の安定性が低下し、その安定性を向上させるために有機酸を配合するという技術(特許文献2)などが知られている。
【0004】
また、ユビデカレノンの分解はクエン酸などの酸により抑制されることも報告されている(特許文献2〜4)。
【0005】
さらに、ビタミンB1類、特にビタミンB1誘導体は一般的に酸性領域で安定であることが知られている(非特許文献1)が、pH3以下の強い酸性領域では逆に不安定になるという報告もなされている(非特許文献1、2)。
【0006】
すなわち、ユビデカレノンおよびビタミンB1類はそれぞれ弱酸性領域では安定であることが示唆されている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−287560号公報
【特許文献2】特開2001−354553号公報
【特許文献3】特許第3406911号公報
【特許文献4】特開昭59−161314号公報
【非特許文献1】J.J.Windheuser and T.Higuchi [Kinetics of Thiamine Hydrolysis] J.Pharm.Sci.50(4):354(1962)
【非特許文献2】稲津ら「ビタミンB1類の安定性に関する研究(第9報)酸性水溶液中のチアミン−O−エステルの安定性」薬学雑誌88巻 1552頁 1968年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らはユビデカレノンとビタミンB1類を同時に配合した固形製剤を製造したところ、それらの成分の安定性が不十分であることがわかった。そこで、弱酸性領域では安定であるそれらの成分の安定性を向上させるために、製剤中に酸を配合したところ、予想に反してそれぞれの成分の分解が促進されてしまうことを見出した。さらに、ユビデカレノンとビタミンB1類を別の群で群分け配合したが、両成分の安定性を向上させるには至らなかった。
【0009】
本発明はユビデカレノン及びビタミンB1類を同時配合しても、保存時のユビデカレノン及びビタミンB1類の分解がともに抑制された、安定化された固形製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らはかかる課題を解決するべく鋭意検討した結果、固形製剤中にユビデカレノン及び酸を含有する群とビタミンB1類を含有する群とで群分けして配合することにより、ユビデカレノンとビタミンB1類の分解が共に抑制され、優れた安定性を有する製剤にすることができることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち本発明は
(1)ユビデカレノン、ビタミンB1類及び酸を含有する固形製剤において、ユビデカレノン及び酸を含有する群とビタミンB1類を含有する群に群分け配合されていることを特徴とする固形製剤。
(2)ユビデカレノン及び酸を含有する群とビタミンB1類を含有する群の少なくとも一方が造粒されている(1)記載の固形製剤。
(3)ビタミンB1類がビタミンB1誘導体である(1)または(2)に記載の固形製剤。
(4)酸がクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、酢酸から選ばれる1種又は2種以上である(1)または(2)に記載の固形製剤。
である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、ユビデカレノンとビタミンB1類を同時に安定に配合した固形製剤を得ることが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明でユビデカレノンとは、ユビキノン、コエンザイムQ10、補酵素Qなどとも称される成分であり、最近ではサプリメントなどでも提供されている。
【0014】
ユビデカレノンの配合量は効果の点から成人1日あたり10〜100mgが好ましい。
【0015】
本発明においてビタミンB1類とはチアミン、ビタミンB1誘導体(ジセチアミン、フルスルチアミン、オクトチアミン、シコチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、プロスルチアミン、ベンフォチアミンなど)、それらの塩などがあげられるが、本発明による安定性の向上の点およびユビデカレノンと同時配合した際の薬効の点からビタミンB1誘導体が好ましく、特にジセチアミンまたはフルスルチアミンが好ましい。
【0016】
ビタミンB1類の配合量は効果の点から成人1日あたりチアミン換算量で5〜100mgが好ましい。
【0017】
ユビデカレノンとビタミンB1類の配合比はユビデカレノン1質量部に対してビタミンB1類0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
【0018】
本発明で配合する酸は固形製剤に配合することから不揮発性の酸であり、経口することができる酸であれば広く使用可能であるが、緩衝能と安全性の観点からクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、酢酸などが好ましいが、ユビデカレノンの安定性の点からクエン酸が最も好ましい。
【0019】
酸の配合量は、成分の安定性の点から、製剤1gを50mLの精製水に懸濁したときのpHが2.5〜3.5になる量が好ましい。
【0020】
本発明における群分け配合とは、ユビデカレノン及び酸を配合する群と、ビタミンB1類を配合する群とを、両者の接触が抑制された状態で含有することを意味する。具体的には、少なくとも一方の群を造粒した後に両群を混合した粉粒物(その粉粒物を封入したカプセル剤、その粉粒物を打錠した錠剤などを含む)、両群を2層以上の層に分けて打錠した錠剤などがあげられるが、本願発明では、少なくとも一方の群を造粒して配合すると、成分のばらつき防止、作業効率などの点でより好ましい。
【0021】
造粒法としては一般的に用いられている造粒法、例えば攪拌造粒法、流動層造粒法、転動流動造粒法、練合造粒法、押し出し造粒法、乾式造粒法、溶融造粒法、噴霧造粒法などのいずれも利用できる。造粒物の平均粒子径は50〜500μmが好ましい。
【0022】
また、本発明においてはユビデカレノンとビタミンB1類以外の有効成分及び添加剤を加えることができる。例えば、アセンヤク末、アマチャ末、アロエ末、ウイキョウ末、エイジツ末、オウゴン末、オウバク末、オウレン末、オンジ末、カッコン末、カノコソウ末、カンゾウ末、キキョウ末、クジン末、ケイヒ末、ゲンチアナ末、ゲンノショウコ末、コウジン末、コウブシ末、コウボク末、ゴオウ末、ゴミシ末、サイコ末、サイシン末、サンキライ末、サンシシ末、サンショウ末、サンヤク末、ジオウ末、ジキタリス末、シャクヤク末、シュクシャ末、ショウキョウ末、セネガ末、センキュウ末、センナ末、センブリ末、ソウジュツ末、ソヨウ末、ダイオウ末、タイソウ末、タクシャ末、チクセツニンジン末、チョウジ末、チョレイ末、チンピ末、トウガラシ末、トウキ末、トウニン末、トコン末、トラガント末、ニガキ末、ニンジン末、ビャクジュツ末、ブクリョウ末、ボウイ末、ボタンピ末、ボレイ末、ヨクイニン末、リュウタン末などの生薬末、ウイキョウ油、カンゾウエキス、キキョウ流エキス、ケイヒ油、チョウジ油、ベラドンナエキス、ロートエキスなどの生薬抽出物、d−マレイン酸クロルフェニラミン、L−アスパラギン酸、L−アスパラギン酸カリウム、L−アスパラギン酸マグネシウム、L−イソロイシン、L−グルタミン、L−フェニルアラニン、L−メチオニン、L−塩酸ヒスチジン、アスコルビン酸、アスピリン、アズレンスルホン酸ナトリウム、アセトアミノフェン、アミノエチルスルホン酸、アルジオキサ、イソプロピルアンチピリン、イブプロフェン、ウルソデオキシコール酸、エテンザミド、エルゴカルシフェロール、カフェイン、グアイフェネシン、グアヤコールスルホン酸カリウム、グリチルリチン酸二カリウム、コレカルシフェロール、コンドロイチン硫酸ナトリウム、サリチルアミド、シアノコバラミン、ジブロフィリン、スクラルファート、セミアルカリプロティナーゼ、タンニン酸アルブミン、タンニン酸ベルベリン、チアミンジスルフィド、テオフィリン、デヒドロコール酸、トラネキサム酸、ニコチン酸アミド、ノスカピン、パルミチン酸レチノール、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ピコスルファートナトリウム、ビサコジル、ヒベンズ酸チペピジン、フェノールフタリン酸デキストロメトルファン、フェンジゾ酸クロペラスチン、フマル酸クレマスチン、フマル酸第一鉄、ブロムワレリル尿素、ヘスペリジン、ヘプロニカート、マレイン酸カルビノキサミン、マレイン酸クロルフェニラミン、マレイン酸フェニラミン、メキタジン、メチルメチオニンスルホニウムクロリド(VU)、ヨウ化イソプロパミド、リボフラビン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、リン酸ジメモルファン、リン酸ピリドキサール、リン酸リボフラビンナトリウム、リン酸水素カルシウム、安息香酸ナトリウムカフェイン、塩化カルニチン、塩化ベルベリン、塩酸アルギニン、塩酸イソチペンジル、塩酸クロペラスチン、塩酸クロルヘキシジン、塩酸ジサイクロミン、塩酸ジフェニドール、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸セトラキサート、塩酸トリプロリジン、塩酸トリメトキノール、塩酸ノスカピン、塩酸パパベリン、塩酸ヒドロキソコバラミン、塩酸ピリドキシン、塩酸フェニルプロパノールアミン、塩酸フェニレフリン、塩酸ブロムヘキシン、塩酸メクリジン、塩酸メトキシフェナミン、塩酸ラニチジン、塩酸リジン、塩酸ロペラミド、酸化マグネシウム、次没食子酸ビスマス、酒石酸アリメマジン、臭化ブチルスコポラミン、臭化メチルアトロピン、臭化メチルオクタトロピン、臭化メチルベナクチジウム、臭化水素酸スコポラミン、臭化水素酸デキストロメトルファン、酢酸トコフェロール、酢酸ヒドロキソコバラミン、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウム共沈物、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、沈降炭酸カルシウム、銅クロロフィリンナトリウム、乳酸カルシウム、無水カフェイン、葉酸、酪酸リボフラビンなどの洋薬成分、乳糖、白糖、マンニトール、デンプン、結晶セルロースなどの賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドンなどの崩壊剤、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーE、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、エチルセルロースなどのコーティング剤、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸カルシウム、水酸化アルミナマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどの流動化剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルクなどの滑択剤、香料、色素および矯味剤などがあげられる。
【0023】
本発明の固形製剤は、一般的な方法で製造することができ、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドライシロップなどの剤形にすることができる。
【0024】
以下に、実施例、比較例、試験例を挙げ、本発明を更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0025】
ユビデカレノン、ビタミンB1誘導体(塩酸ジセチアミン)、酸(クエン酸)、有効成分(リボフラビン)、賦形剤(乳糖、結晶セルロース)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース)、崩壊剤(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、流動化剤(軽質無水ケイ酸)を表1記載の割合でA群、B群それぞれ秤量し、ビニール袋中で混合後、篩を篩過して混合粉末を得た。次に、A群、B群それぞれ攪拌造粒機を用いて、エタノールによる攪拌造粒を行い、流動層乾燥機により45℃で乾燥後、篩で整粒して造粒物を得た。次にA群、B群及び滑択剤(ステアリン酸マグネシウム)を表1記載の割合で添加し、ビニールで混合し、ロータリー式打錠機によって、表1記載の1錠重量で、回転数30rpm、圧縮圧900kgf、8.5mmφ、糖衣面の杵を用いて打錠して錠剤を得た。
【0026】
また、表1記載の処方で同様にして比較例1〜4の錠剤を得た。表からも明らかであるが、比較例1は酸を配合せず、全成分を同一群で調製したものを、比較例2は酸を配合し全成分を同一群で調製したものを、比較例3はユビデカレノンとビタミンB1誘導体を別群で配合したが酸を配合していないものを、比較例4はユビデカレノンとビタミンB1を別群で配合し、ビタミンB1誘導体の群に酸を配合したものを、それぞれ示している。
【0027】
試験例1
実施例1及び比較例1〜4で得られた錠剤を65℃で所定期間保存した後、ユビデカレノンと塩酸ジセチアミン含量を高速液体クロマトグラフ法により測定し、その残存率を百分率で示すことにより、安定性を評価した。
【0028】
【表1】

【0029】
安定な製剤としては、65℃で2週間保存した時の残存率は85%以上が望ましい。ユビデカレノンと塩酸ジセチアミンを群分けせず、クエン酸を添加しない比較例1では、ユビデカレノンが2週間で残存率45%と大きく低下した。比較例1にクエン酸を添加した比較例2では、ユビデカレノンの分解は抑制されたが、塩酸ジセチアミンが残存率77%と大きく低下した。ユビデカレノンをA群に、塩酸ジセチアミンをB群に群分けした比較例3ではユビデカレノンが残存率41%と大きく低下し、群分けのみではユビデカレノンを安定化できないことが分かる。ユビデカレノンをA群に、塩酸ジセチアミンとクエン酸をB群に群分けした比較例4では、塩酸ジセチアミンが残存率79%と大きく低下した。
これら比較例に対して、ユビデカレノンとクエン酸をA群に、塩酸ジセチアミンをB群に群分けした実施例1では、ユビデカレノンの残存率が92%、塩酸ジセチアミンの残存率が86%と同時に分解が抑えられた、安定化された製剤であることが分かる。
【実施例2】
【0030】
ユビデカレノン、ビタミンB1誘導体(塩酸フルスルチアミン)、酸(クエン酸)、添加剤を表2記載の割合でA群、B群それぞれ秤量し、ビニール袋中で混合後、ヤリヤ粉砕機を用いて粉砕して混合粉末を得た。次に、A群は練合造粒機を用いて精製水による練合造粒を行い、流動層乾燥機で80℃で乾燥後、整粒機を用いて直径0.7mmのスクリーンを用いて整粒して造粒物を得た。B群は攪拌造粒機を用いて、精製水による攪拌造粒を行い、流動層乾燥機で80℃で乾燥後、22号の篩で整粒して造粒物を得た。次にA群、B群及び後末添加成分を表2記載の割合で添加し、ビニール袋中で混合し、ロータリー式打錠機によって、表2記載の1錠重量で、回転数40rpm、圧縮圧1000kgf、直径8.5mm、2段R面の杵を用いて打錠して錠剤を得た。
【0031】
また、表2記載の処方で同様にして比較例5、6の錠剤を得た。表からも明らかであるが、比較例5はビタミンB1誘導体も酸も配合していないものを、比較例6はユビデカレノンとビタミンB1誘導体を別群で配合したが酸を配合していないものを、それぞれ示している。
【0032】
試験例2
実施例2及び比較例5,6で得られた錠剤を50℃で所定期間保存した後、ユビデカレノンと塩酸フルスルチアミン含量を高速液体クロマトグラフ法により測定し、その残存率を百分率で示すことにより、安定性を評価した。結果を表2に示した。
【0033】
【表2】

【0034】
安定な製剤としては、50℃で2ヶ月保存した時の残存率は85%以上が望ましい。ビタミンB1誘導体も酸も配合していない比較例5では、ユビデカレノンの2ヶ月での残存率は91%と安定であったが、ユビデカレノンとビタミンB1誘導体を別群で配合したが酸を配合していない比較例6ではユビデカレノンが残存率35%と大きく低下し、群分けのみではユビデカレノンを安定化できないことがわかった。これら比較例に対して、ユビデカレノンとクエン酸をA群に、塩酸フルスルチアミンをB群に群分けした実施例2では、ユビデカレノンの残存率が91%、塩酸フルスルチアミンの残存率が87%と同時に分解が抑えられた、安定化された製剤であることがわかった。
【実施例3】
【0035】
ユビデカレノン、ビタミンB1誘導体(塩酸ジセチアミン)、酸(クエン酸)、有効成分、添加剤を表3記載の割合でA群、B群それぞれ秤量し、ビニール袋中で混合後、ヤリヤ粉砕機を用いて粉砕して混合粉末を得た。次に、A群は練合造粒機を用いて表3記載の造粒液を用いて練合造粒を行い、流動層乾燥機で80℃で乾燥後、整粒機を用いて直径0.7mmのスクリーンを用いて整粒して造粒物を得た。B群は攪拌造粒機を用いて、精製水による攪拌造粒を行い、流動層乾燥機で80℃で乾燥後、22号の篩で整粒して造粒物を得た。次にA群、B群及び後末添加成分を表2記載の割合で添加し、ビニールで混合し、ロータリー式打錠機によって、表2記載の1錠重量で、回転数30rpm、圧縮圧900kgf、直径8.5mm、糖衣面の杵を用いて打錠して錠剤を得た。
【0036】
【表3】

【実施例4】
【0037】
実施例3の素錠に、コーティング機を用いてフィルムコーティング錠を製造した。コーティング基剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、酸化チタン、マクロゴール6000、精製水を含む下記のコーティング液を用いて製造した。1錠あたりのコーティング量は20mgとし、仕込量2700錠で製造した。
【0038】
〔コーティング液の配合処方〕
ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910 24g
酸化チタン 4g
マクロゴール6000 2g
精製水 170g
【0039】
試験例
実施例3及び4で得られた錠剤を65℃、50℃、40℃で所定期間保存した後、ユビデカレノンと塩酸ジセチアミン含量を高速液体クロマトグラフ法により測定し、その残存率を百分率で示すことにより、安定性を評価した。表4に示したとおり、ユビデカレノン及び塩酸ジセチアミンは安定であった。
【0040】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、優れたエネルギー代謝改善効果を有する医薬品、食品、機能性食品などに利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユビデカレノン、ビタミンB1類及び酸を含有する固形製剤において、ユビデカレノン及び酸を含有する群と、ビタミンB1類を含有する群に群分け配合されていることを特徴とする固形製剤。
【請求項2】
ユビデカレノン及び酸を含有する群と、ビタミンB1類を含有する群の少なくとも一方が造粒されていることを特徴とする請求項1記載の固形製剤。
【請求項3】
ビタミンB1類がビタミンB1誘導体である請求項1または2に記載の固形製剤。
【請求項4】
酸がクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸および酢酸から選ばれる1種又は2種以上である請求項1または2に記載の固形製剤。

【公開番号】特開2006−182770(P2006−182770A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343020(P2005−343020)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】