配管部材接続装置
【課題】配管接続時の雌側配管に対する雄側配管の安定性を高めた配管部材接続装置を提供する。
【解決手段】配管部材接続装置は、雄側筒部11よりも外径寸法が大きく軸方向反先端側に形成された雄側大径筒部13を有する雄側配管部材10と、雌側筒部3よりも内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側大径筒状部4、および雌側大径筒状部4よりもさらに内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側係合筒状部5を有する雌側配管部材1と、両配管部材1、10が接続されたときに雌側配管部材1に係合する継手側係合部28とを有する継手部材20と、を備えている。継手側係合部28を雌側配管部材1に係合させて両配管部材1、10を接続したときに、雌側配管部材1は、継手部材20と一体となった雄側配管部材10の径方向の動きを、雌側筒部3、雌側大径筒状部4および雌側係合筒状部5によって制限する。
【解決手段】配管部材接続装置は、雄側筒部11よりも外径寸法が大きく軸方向反先端側に形成された雄側大径筒部13を有する雄側配管部材10と、雌側筒部3よりも内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側大径筒状部4、および雌側大径筒状部4よりもさらに内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側係合筒状部5を有する雌側配管部材1と、両配管部材1、10が接続されたときに雌側配管部材1に係合する継手側係合部28とを有する継手部材20と、を備えている。継手側係合部28を雌側配管部材1に係合させて両配管部材1、10を接続したときに、雌側配管部材1は、継手部材20と一体となった雄側配管部材10の径方向の動きを、雌側筒部3、雌側大径筒状部4および雌側係合筒状部5によって制限する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄側の配管部材と雌側の配管部材とを接続する継手部材を備えた配管部材接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の配管部材接続装置としては例えば特許文献1に記載の配管部材接続装置が知られている。この配管部材接続装置は、先端側に挿入部を有する雄側配管と、挿入部が挿入される内管部を有する雌側配管と、雌側配管に設けられた受口部の外周面に取り付けられて雄側配管と雌側配管とを連結するリング状のストッパと、から構成されている。
【0003】
さらに、雄側配管は挿入部の反先端側に挿入部よりも大径である環状突起を備えている。雌側配管の受口部は内管部よりも大きな内径寸法で形成され、受口部には周方向に伸長する形状の孔部が開口されている。ストッパは、ストッパを受口部の外周面に取り付けるときに孔部に嵌め入れられる円弧状凸条部を備えている。
【0004】
この配管部材接続装置においては、予め受口部の孔部にストッパの円弧状凸条部を嵌め入れて雌側配管とストッパを一体化しておいた後、雄側配管の挿入部を雌側配管の受口部から挿入してさらに進入させることにより、環状突起は対向する円弧状凸条部をストッパの弾性力に抗して外側に押し広げながら、円弧状凸条部の内壁面を沿うように軸方向に移動する。そして、環状突起が円弧状凸条部を通過して受口部の周壁内面の受部に当接すると同時に、円弧状凸条部が軸心側に変位するように弾性復帰する結果、環状突起は受部と円弧状凸条部の係止面との間に挟まれて固定され、雌側配管と雄側配管の接続が完了する。
【特許文献1】特許第2733647号公報(図1および図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この雄側配管は、雌側配管との接続が完了した状態で、挿入部が雌側配管の内管部に内接すること、および環状突起が受部と円弧状凸条部の係止面とで挟持されることにより支持されている。
【0006】
しかしながら、このように雄側配管は挿入部および環状突起でのみ支持されているにすぎず、特に雄側配管の径方向についての支持が十分ではなく、配管に伝わる振動や振幅、内部を流れる流体の挙動等により、雌側配管に対する雄側配管の接続時の安定性が損なわれ、雌側配管と雄側配管との間のシール性や接続強度が低下してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は雌側配管に対する雄側配管の接続時の安定性を高めた配管部材接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。すなわち、第1の発明は、軸方向先端寄りに雄側筒部(11)を有する雄側配管部材(10、30)と、雄側筒部(11)が挿入される雌側筒部(3)を有する雌側配管部材(1)と、雄側配管部材(10)に取り付けられて両配管部材(1、10)を結合する継手部材(20、40)と、を備え、前記雄側配管部材(10)と前記雌側配管部材(1)とを接続する配管部材接続装置であって、
雄側配管部材(10)は雄側筒部(11)よりも外径寸法が大きく軸方向反先端側に形成された雄側大径筒部(13、31)を有しており、
雌側配管部材(1)は、雌側筒部(3)よりも内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側大径筒状部(4)と、雌側大径筒状部(4)よりもさらに内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側係合筒状部(5)と、を有しており、
継手部材(20)は、弾性変形する腕部(24)と、腕部(24)の弾性変形に伴って雌側配管部材(1)の軸心側に変位し、両配管部材(1、10)を結合したときに雌側配管部材(1)に係合する継手側係合部(28)とを有しており、
継手側係合部(28)を雌側配管部材(1)に係合させて両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、
雌側大径筒状部(4)は雄側大径筒部(13)の径方向外方に位置し、雌側係合筒状部(5)は継手側係合部(28)の径方向外方に位置することにより、雌側配管部材(1)は、雄側配管部材(10)の径方向の動きを雌側筒部(3)、雌側大径筒状部(4)および雌側係合筒状部(5)によって制限することを特徴とする。
【0009】
雌側筒部(3)、雌側大径筒状部(4)および雌側係合筒状部(5)によって雄側配管部材(10)の径方向の動きを制限するというのは、両配管部材が接続された状態において、雄側配管部材(10)が許容範囲を超えて径方向に移動したり、雌側配管部材(1)の軸心に対して許容範囲を超えて傾いたりして、配管部材間の所定のシール性や結合力が損なわれることがないように雄側配管部材(10)の径方向の動きを抑制できるものである。したがって、許容範囲内の移動や傾きのときには雌側配管部材(1)の当該各部は、雄側配管部材(10)や継手部材(20)に必ずしも接触する位置関係になくてもよい。
【0010】
この発明によれば、継手部材や雄側配管部材の径方向の動きを内径寸法の異なる少なくとも3段構成の雌側配管部材の内壁面により制限するので、雌側配管部材に対する雄側配管部材の結合力を安定させ、両配管部材間の接続性およびシール性を良好に確保できる。また、雌側配管部材と雄側配管部材の位置関係が安定するため、両配管部材の接続作業や脱離作業をスムーズに行うことにも寄与する。
【0011】
また、継手側係合部(28)を雌側配管部材(1)に係合させて両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、雄側筒部(11)は雌側筒部(3)に嵌まり雄側大径筒部(13)は雌側大径筒状部(4)に嵌まるとともに、継手側係合部の径方向外側面(25)と雌側係合筒状部の内壁面(7)は、雄側大径筒部(13)と雌側大径筒状部(4)の嵌め合い部よりも雌側配管部材(1)の軸心から離れた位置で嵌め合うことが好ましい。
【0012】
雄側筒部(11)と雌側筒部(3)、雄側大径筒部(13)と雌側大径筒状部(4)、および継手側係合部の径方向外側面(25)と雌側係合筒状部の内壁面(7)の各嵌め合いは、両配管部材が接続された状態で雄側部位と雌側部位との間に所定の隙間が形成されるとともに、両配管部材間に所定の結合力を提供できるものである。また、継手側係合部の径方向外側面(25)と雌側係合筒状部の内壁面(7)の嵌め合いについては、継手側係合部(28)が腕部(24)の弾性変形により変位可能に構成されているので、両配管部材が接続された状態で両者の隙間がゼロとなるように構成してもよい。
【0013】
この発明によれば、内径寸法の異なる少なくとも3段構成の雌側配管部材の各内壁面が雄側の部材(継手部材および雄側配管部材)と嵌合する関係にあるので、さらに両配管部材間の隙間を小さくでき、両配管部材間の径方向および周方向のがたつきが減少するので、車両振動や配管内の流体流動により引き起こされる厳しい条件においても耐えうる配管部材接続装置を提供できる。
【0014】
また、継手側係合部(28)を雌側配管部材(1)に係合させて両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、継手側係合部(28)の動きは雌側係合筒状部(5)によって径方向に制限されているとともに、雌側配管部材(1)によって軸方向にも制限されているように構成してもよい。
【0015】
この発明によれば、継手側係合部の動きが軸心から最も遠い位置で径方向および軸方向に制限されるので、雌側配管部材に対する雄側配管部材の結合力および接続性をさらに安定させることができる。
【0016】
また、雄側筒部(11)の外径寸法と雌側筒部(3)の内径寸法の差は0.10mm以下であり、雄側大径筒部(13)の外径寸法と雌側大径筒状部(4)の内径寸法の差は0.30mm以下であることが好ましい。この発明によれば、雄側筒部と雌側筒部の寸法差やこれらよりも径寸法の大きい雄側大径筒部と雌側大径筒状部の寸法差を適切な値にして、両配管部材間の隙間を確保するので、配管部材の振動や振幅を抑え、経年使用に伴う両配管部材間のシール部の磨耗を抑制することができる。
【0017】
また、継手部材(20)は雄側配管部材(10)に対して軸方向に移動可能なように取り付けられており、雌側配管部材(1)は雌側係合筒状部(5)よりも軸方向先端寄りに設けられて軸心側に突出する雌側突部(6)を有しており、
継手側係合部(28)が雌側配管部材(1)に係合した状態で、雄側配管部材(10)と雌側配管部材(1)を互いに離そうとする力が働いたとき、雄側大径筒部(13)と雌側突部(6)は軸方向の両側から継手側係合部(28)を挟持するように構成することが好ましい。
【0018】
この発明によれば、例えば、配管内を流れる流体の内圧が上昇したときなど、両配管部材を互いに引き離そうとする力が働いたときに、継手側係合部が軸方向の両側から挟まれるので、継手側係合部を保持する力が強くなり両配管部材の接続強度がさらに向上する。
【0019】
また、雌側大径筒状部(4)の軸方向長さは雄側大径筒部(13)の軸方向長さ以上であることが好ましい。この発明によれば、継手側係合部が雄側大径筒部および雌側突部によって軸方向の両側から挟持されている状態から、雄側配管部材を雌側配管部材の軸方向反先端側に移動させると、雄側大径筒部は雌側大径筒状部の内壁面に沿って当該軸方向反先端側に十分に移動することができるので、継手側係合部の挟持状態が十分に解除され、さらに腕部を軸心側に弾性変形させることにより継手側係合部が軸心側に変位し、継手側係合部と雌側配管部材の係合を確実かつ容易に解除することができる。
【0020】
また、雌側配管部材(1)は雌側係合筒状部(5)よりも軸方向先端寄りに設けられて軸心側に突出する雌側突部(6)を有し、雌側突部(6)の軸方向端面は、その軸心側部位が反軸心側部位よりも雌側筒部(3)寄りに位置するように軸方向に対して傾斜していることが好ましい。
【0021】
この発明によれば、雌側配管部材の被挿入口端部である雌側突部の軸方向端面をテーパ状に形成し、さらにその長さを長く形成することができるので、両配管部材を接続する作業において継手側係合部の雌側配管部材内への誘い込みが向上し、さらにスムーズな接続作業を提供できる。
【0022】
また、上記継手部材(40)は雄側大径筒部(31)よりも雄側配管部材(30)の軸方向先端寄りで雄側配管部材(30)に取り付けられることが好ましい。この発明によれば、両配管部材の接続状態において、継手側係合部および腕部が雌側配管部材と雄側配管部材との間にほぼ収納される状態となり、構成部品の軸方向長さを短くすることができるので、配管部材接続装置の軸方向長さを小型化できる。また、継手側係合部および腕部が外部から隠れるように収納されるので、これらが周囲の他部品と緩衝して損傷したり、誤って操作されて不具合が生じたりすることを防止できる。
【0023】
上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1実施形態)
第1実施形態の配管部材接続装置は、それぞれ配管と一体となっている2つの配管部材を接続する装置であり、雌側配管部材と継手部材とを係合させることにより雌側配管部材と雄側配管部材を接続するものである。配管部材接続装置は、内部に冷媒等の流体が流れる配管同士を接続する装置であり、例えば車両用等の空調用冷凍サイクルや給湯用冷凍サイクルを構成する配管の接続に用いられる。配管内を流れる冷媒は、例えばアンモニア、イソブタン、二酸化炭素、水、フロン類等である。
【0025】
本実施形態について図1〜図7を用いて説明する。図1は本実施形態の配管部材接続装置における、継手部材20が取り付けられた雄側配管部材10と雌側配管部材1の分解斜視図である。図2は継手部材20の構成を示す斜視図である。図3は、配管部材接続装置の接続作業において、雄側筒部11を雌側筒部3内に挿入し継手側当接部26が雌側当接部8に当接する直前の状態を示した破断図である。
【0026】
本実施形態の配管部材接続装置は、図1および図3に示すように、雄配管部材10と、雄側配管部材10の外周面に外嵌するように取り付けられた継手部材20と、継手部材20と係合することにより内挿された雄側配管部材10と結合されて接続される雌側配管部材1と、から主に構成されている。
【0027】
雄側配管部材10は、冷媒配管である配管部15と、配管部15よりも外径寸法が大きく形成された雄側大径筒部13と、雄側大径筒部13よりも外径寸法が小さく雌側配管部材1に内嵌される程度の外径寸法を有する雄側筒部11と、から構成されている。雄側配管部材10は、これら各部が一体に形成されることにより軸方向に階段状に伸長する内周面を備え、全体的に筒状に形成されている。
【0028】
雄側筒部11は、雄側配管部材10の軸方向先端寄りに設けられた雌側配管部材1への挿入側端部であり、雌側配管部材1の雌側接続部と嵌まり合って接続される雄側接続部である。雄側筒部11には環状溝部が軸方向に2列並んで形成されており、この環状溝部のそれぞれには弾性変形するゴム材で形成されているOリング12が外嵌するように設けられている。Oリング12は、両配管部材1、10が接続されたときに雌側配管部材1の雌側筒部3の内周面に圧接して弾性変形し、雄側筒部11の外周面と雌側筒部3の内周面との間をシールして冷媒を外部に漏らさない働きをしている。なお、本実施形態ではOリングは一例として2個使用しているが、1個または3個以上であってもよい。
【0029】
雄側大径筒部13の外周には軸心側に凹んだ凹部が複数箇所形成されている。これらの凹部は、雄側配管部材10と雌側配管部材1が接続状態になったとき、雌側配管部材1に形成される回り止め手段(複数の凸部)と嵌め合うことにより、雌側配管部材1に対する雄側配管部材10の回り止めとして機能する。
【0030】
配管部15の雄側大径筒部13寄りの外周には、軸心側に凹んだ環状溝部14が設けられている。環状溝部14は、継手部材20を雄側配管部材10の外周部に装着するときに、その位置決めを行う構成部品であり、さらに雄側配管部材10に対する継手部材20の軸方向の変位量を制限するストッパ機能を果たしている。
【0031】
なお、環状溝部14の代わりに、配管部15の外周に環状突部を形成し、継手部材20側に当該環状突部と嵌め合う環状溝部を形成してもよい。また、雄側配管部材10は、アルミニウム合金などのパイプ材に拡管、絞り等の塑性変形加工を施すことにより形成してもよいし、樹脂材料を金型に流した樹脂材料を冷却して一体成形することにより形成してもよい。
【0032】
継手部材20は、図2に示すように、雄側配管部材10の軸心(図2の一点鎖線)と同じ軸心の周りに円弧状に配された各部を有するリング状部材であり、雌側配管部材1と雄側配管部材10の間に介在されて両配管部材1、10を接続することができる。継手部材20は当該軸心の周りにそれぞれ円弧状の摺接部22および腕部24を2組備え、この2組の摺接部22および腕部24を連結する円弧状の連結部29を備えている。また、継手部材20は、金属材料にプレス加工を施すことにより形成してもよいし、樹脂材料を金型に流して一体成形することにより形成してもよい。
【0033】
2組の摺接部22および腕部24は当該軸心周りの周方向に点対称の位置に間隔をあけて配置されている。2つの摺接部22間および2つの腕部24間は、当該軸心周りの一方側において連結部29により連結されているが、他方側は連結されていない。また、継手部材20は当該軸心周りに摺接部22および腕部24を三組以上備えるように構成してもよい。
【0034】
図3に示すように、1組の摺接部22および腕部24は、当該軸心を含む平面における切断面が略U字状を呈している。当該軸心に平行に伸長する摺接部22は、配管部15の外周面に接して軸方向に摺動可能に設けられている。腕部24は摺接部22に平行となるように屈曲部23を介して摺接部22の径方向外側に設けられている。連結部29は、向かい合う摺接部22間の径方向距離である径方向寸法を一定に保つように2つの摺接部22を支持するとともに、摺接部22を配管部15に押し付ける押圧力を提供している。
【0035】
腕部24は屈曲部23を起点として軸方向に伸長する長さが摺接部22よりも長くなるように構成されている。屈曲部23は摺接部22から反軸心側に立ち上がった円弧状の連結部でもあり、腕部24は屈曲部23を介して摺接部22に対して傾くように弾性変形可能に構成されている。
【0036】
腕部24の反屈曲部側には、腕部24よりも反軸心側(雄側配管部材10の半径方向外向き)に突出する継手側突部28が設けられている。継手側突部28は、腕部24の弾性変形に伴って雌側配管部材1の半径方向に縮径および拡径するように変位し、雌側配管部材1側と嵌め合い、引っかかり合い等により係合する継手側係合部である。腕部24は、継手側突部28に対して軸心側に向かう外力が働くと屈曲部23の腕部側を支点として縮径するように軸心側に弾性変位してたわみ、外力が解除されると今度は反軸心側にたわんで弾性変形し、最終的には自然状態に戻る。
【0037】
雌側配管部材1は、冷媒配管である配管部2と、配管部2よりも内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側筒部3と、雌側筒部3よりも内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側大径筒状部4と、雌側大径筒状部4よりも内径寸法が大きい形状で雌側大径筒状部4から軸方向端部(先端寄り)に向かって延設されている雌側係合筒状部5と、から構成されている。そして、これらが一体に形成されて全体として少なくとも3つの異なる内径寸法を備えた3段構成の筒状体をなしている。
【0038】
雌側筒部3は、雄側配管部材10の雄側筒部11が内嵌される程度の内径寸法を有している。雌側筒部3の内周面は、雌側配管部材1と雄側配管部材10とが接続されたときに雄側筒部11とのシール面として機能する。雌側筒部3の内径寸法と雄側筒部11の外径寸法との差は0.10mm以下であることが好ましい。
【0039】
雌側大径筒状部4は、雌側筒部3と雌側係合筒状部5をつなぐ筒体状であり、その内径寸法は雄側大径筒部13の外径寸法と同等に形成されている。雌側配管部材1を金属材料で形成する場合には、雌側大径筒状部4は雌側筒部3の軸方向先端側部位を拡径するように塑性変形させることにより形成される。雌側大径筒状部4の内径寸法と雄側大径筒部13の外径寸法との差は0.30mm以下であることが好ましい。また、雌側大径筒状部4の内周面の軸方向長さAは雄側大径筒部13の外周面の軸方向長さB以上であることが好ましい。
【0040】
雌側大径筒状部4は必ずしも雌側配管部材1の軸心周りの全周にわたって形成されている必要はない。雌側大径筒状部4は雌側配管部材1の軸心周りの一部に形成されて雄側大径筒部13の外側を覆い、雄側配管部材10が径方向に一定量以上(許容範囲を超えて)変位するのを阻止している。
【0041】
雌側係合筒状部5は、雌側大径筒状部4よりも、内径寸法が大きく形成され軸方向端部側(先端側)に形成されている。雌側係合筒状部5は必ずしも雌側配管部材1の軸心周りの全周にわたって形成されている必要はない。雌側係合筒状部5は雌側配管部材1の軸心周りの一部に形成されて継手側突部の径方向外側面25を覆い、雄側配管部材10が径方向に一定量以上(許容範囲を超えて)変位するのを阻止している。雌側配管部材1を金属材料で形成する場合には、雌側係合筒状部5は雌側大径筒状部4の軸方向先端側部位を拡径するように塑性変形させることにより形成される。
【0042】
雌側係合筒状部5よりも軸方向先端部(雄側配管部材10が挿入される側)寄りには、雌側配管部材1の軸心側に突出し、継手側突部28が係合する雌側突部6が設けられている。雌側突部6は、継手側突部28と嵌め合い、引っかかり合い等により係合する雌側係合部である。雌側突部6は、継手側突部28が雌側配管部材1に係合して両配管部材1、10が接続されている状態において両配管部材1、10を互いに離そうとする力が働いたとき、継手側突部28の腕部側端面(反雄側筒部11側にある端面)を押圧して、継手側突部28の軸方向の移動を阻止している。
【0043】
この雌側係合筒状部の内壁面7は、両配管部材1、10を接続するときに継手側突部28と雌側突部6の係合が完了するまでの一連の過程において継手側突部28が変位することにより、継手側突部の径方向外側面25が変位することができる軌道上に交差するように配置されている。この構成により、継手側突部28が雌側突部6に係合する過程において、継手側突部28の軸心側の変位量の大きさによっては継手側突部28が縮径した変位から拡径する方向に変位することにより、継手側突部の径方向外側面25は雌側係合筒状部の内壁面7を叩くことができる。
【0044】
雌側係合筒状部5および雌側突部6は、雌側配管部材1の全周に渡って形成してもよいし、少なくとも継手部材20の継手側突部起28と対応する位置に周方向に部分的に形成してもよい。また、雌側配管部材1は、アルミニウム合金などのパイプ材に拡管等の塑性変形加工を施すことにより形成してもよいし、金型に流した樹脂材料を冷却して一体成形することにより形成してもよい。
【0045】
次に、作業者が上記構成に基づく配管部材接続装置の雌側配管部材1と雄側配管部材10を接続するときの作業工程を図3〜図6にしたがって説明する。まず、あらかじめ雄側配管部材10の配管部15の外周部に継手部材20の摺接部22を拡径するように撓ませて嵌め、雄側配管部材10に継手部材20を取り付けておく。このとき、摺接部22の反屈曲部側で軸心側に突出するように形成された第1摺動制止部21を環状溝部14に収納して継手部材20を配置させる。そして、作業者は、図3に示すように、雄側配管部材10の雄側筒部11を雌側配管部材1の開口端部から挿入し、雄側筒部11の外周面を雌側筒部3の内周面に対向させて雄側筒部11を雌側筒部3に嵌める。
【0046】
雌側突部6は、雌側係合筒状部5よりも軸方向先端寄りに設けられて軸心側に突出している。さらに、雌側突部6の軸方向端面は、その軸心側部位が反軸心側部位よりも雌側筒部3寄りに位置するように軸方向に対して傾斜した形状である。この構成により、雌側配管部材1の被挿入口端部である雌側突部6の軸方向端面がテーパ状に形成され、さらにその長さが長く形成されることになるので、両配管部材1、10を接続する作業において継手側突部28が雌側配管部材1内部へスムーズに進入することとなり、さらにスムーズな接続作業を提供することができる。
【0047】
さらに雄側配管部材10の挿入を進めると、雄側筒部11に設置したOリング12が雌側筒部3の内周面に圧接されて弾性変形するとともに、継手側突部28の反屈曲部側先端に形成された継手側当接部26が雌側係合筒状部5の軸方向先端部に位置する雌側当接部8に当接する。
【0048】
引き続いて雄側配管部材10の挿入を進めると、軸方向に並んだOリング12の両方が雌側筒部3の内周面に圧接されて弾性変形して両配管部材間にシール部が形成され、雄側大径筒部13の外周面が雌側大径筒状部4の内周面に対向し、雄側大径筒部13は雌側大径筒状部4に嵌まる。さらに、雌側突部6によって継手側突部の径方向外側面25が軸心側に押されて継手側突部28が軸心側に変位する。
【0049】
継手側突部の径方向外側面25の屈曲部側端部が雌側突部6によって押されている状態の最終段階では、継手側突部28の変位は軸心側に最大となり、腕部24のたわみ量や、摺接部22あるいは腕部24の自然状態に対する腕部24の傾斜角度も最大となる(以上、図4参照)。図4は、両配管部材の接続作業において同接続作業において、雌側突部6によって継手部材20の腕部28が軸心側に最大限弾性変形した状態を示した破断図である。
【0050】
次に、図4に示す継手側突部28が雌側突部6によって押されている状態の最終段階から、継手側部材20が雌側配管部材1の配管部15側にわずかに移動すると、雌側突部6による押さえ力が解除されて雌側突部6には全く外力が及ばなくフリーの状態になり、腕部24が自然状態に戻ろうと拡径する方向に弾性変形する。この弾性変形に伴って、継手側突部28は反軸心側に変位し、自然状態に復帰する。
【0051】
ただし、腕部28が軸心側に最大限弾性変形した状態における継手側突部28の軸心側への変位量の大きさによっては、継手側突部28は自然状態を通り越してさらに反軸心側に拡径した状態に変位しようとする。この一連の弾性変形における変位の過程において、継手側突部の径方向外側面25は雌側係合筒状部の内壁面7を叩き、この衝突により打撃音が発生する。この場合、継手側突部の径方向外側面25は雌側係合筒状部の内壁面7を叩いた後、元の自然状態に復帰する。
【0052】
自然状態に復帰した継手側部材20は、図5に示すように、継手側突部の径方向外側面25と雌側係合筒状部の内壁面7との間に所定間隔を形成するように弾性復帰して雌側突部6に係合する。この状態では、雌側突部6の係合面と継手側突部28の係合面とが互いに対向した状態で引っかかりあうことにより(図7の拡大図参照)、雄側配管部材10と雌側配管部材1とが離れる方向に抜けること(雄側配管部材10が軸方向反先端部側に移動し、雌側配管部材1が軸方向反先端部側に移動すること)を確実に防止できるので、両係合部による係合が完了することになる。図5は配管部材接続作業において雌側突部6と継手部材20の継手側突部28との係合が完了した状態を示した破断図である。
【0053】
作業者は、上記打撃音が発生する場合には、打撃音を聞くことにより、接続作業が完了したと判断することができる。このとき作業者は、この打撃音によって作業完了を判断することにより、両配管部材を引っ張る抜け防止の確認や、係合部分の目視確認や、手に伝わる感触を頼りにした確認などが不要になり、安定した接続作業の品質を提供することができる。
【0054】
さらに、作業完了後、両配管部材の内部の圧力が内部を流れる流体によって上昇する場合がある。このときには両配管部材1、10を互いに離そうとする力が働いて両配管部材が互いに離れる方向に移動することにより、これに伴って第1摺動制止部21が環状溝部14内を雄側筒部11側に摺動し、第2摺動制止部27が雄側大径筒部13の配管部15側の側壁に当接することになる。第2摺動制止部27は継手側当接部26よりも軸心側において径方向に延設される壁面であり、継手側突部28の反屈曲部側端面でもある。
【0055】
図6は雄側配管部材10と雌側配管部材1が両配管内部の内圧上昇によりロックされた状態を示した破断図である。雌側係合筒状部の内壁面7における軸方向反先端側の端部(以下、上記端部とする)から、雌側突部6の軸方向反先端側の端面までに至る当該内壁面7に平行な長さは、図6に示す寸法Cで表わすものである。また、継手側突部28の雌側突部6に係合する係合面から第2摺動制止部27に至る軸方向長さは、図6に示す寸法Dで表わすものである。上記端部は、径方向外側に拡径するように形成された連絡部によって雌側大径筒状部4の軸方向反先端側部位と一体に形成されている。
【0056】
雌側係合筒状部の内壁面7、雌側突部6および継手側突部28は、寸法Cが寸法Dよりも長くなるように形成されている。これにより、雄側配管部材10、雌側配管部材1および継手部材20がロックされた状態で、継手側突部28は雌側係合筒状部5の軸心側に収容されている。このとき、雄側大径筒部13の軸方向反先端側の側面は、上記端部よりも雌側突部寄りに位置した状態で、第2摺動制止部27に当接している。
【0057】
以上のように、雄側大径筒部13と雌側突部6は軸方向の両側から継手側突部28を挟持することになる。このため、雌側突部6、継手側突部28および雄側大径筒部13が互いに拘束し合うので、両配管部材は軸方向のいずれの方向にもロックされ、さらに強固な結合力を提供することができる(以上、図6参照)。このようなロック状態は機器が一度作動すれば普通に起こり得る状態である。また、作業者が係合作業完了後に、両配管部材1、10を互いに軸方向に離す方向に引っ張れば、同様のロック状態を提供することができる。
【0058】
次に、作業者が両配管部材1、10の接続を外す手順について説明する。まず、両配管部材1、10のロック状態を解除するために、作業者は両配管部材1、10を互いに軸方向に寄せ合う方向に操作すると、雄側配管部材10が雌側配管部材1の内部にさらに深く進入するように移動することにより、これに伴って第1摺動制止部21が環状溝部14を反雄側筒部11側に摺動し、継手部材20、雌側配管部材1および雄側配管部材10の位置関係が上述の図5に示す状態になる。
【0059】
このとき、上記寸法Cと寸法Dの関係により、雄側大径筒部13の軸方向反先端側の側面と第2摺動制止部27の間には軸方向に所定の隙間が形成されている。継手側突部28は、この隙間が形成されることで軸方向および径方向の拘束が解除されて軸心側に変位することが可能となる。
【0060】
次に、図7に示すように、作業者がこの状態から腕部24に対して軸心側に向けて外力を加えると、腕部24が軸心側に弾性変形するに伴い、継手側突部28が軸心側に変位し、継手側突部28と雄側突部6の係合が解除される(図7の二点鎖線で示した継手部材20を参照)。図7は継手部材20と雌側配管部材1の係合を解除するときの操作を示した拡大図である。そして、このように継手側突部28と雄側突部6の係合が解除された状態から、作業者が両配管部材1、10を互いに軸方向に離す方向に引っ張ると、両配管部材1、10は軸方向にスムーズに脱離し、完全に取り外される。
【0061】
上述の両配管部材1、10のロック状態を解除する作業においては、雌側大径筒状部4の内周面の軸方向長さAが雄側大径筒部13の外周面の軸方向長さB以上である構成が有効である。つまり、この構成を採用した場合には、継手側突部28が軸方向の両側から挟持されている状態から、雄側配管部材10を雌側配管部材1の軸方向反先端側(両配管部材が互いに軸方向にさらに重なるような方向)に移動させると、雄側大径筒部13は雌側大径筒状部4の内周面に沿って当該軸方向反先端側に十分に移動することができるため、継手側突部28の挟持されている状態が十分に解除されることになり、継手側突部28と雌側配管部材1の係合を確実かつ容易に解除することができる。
【0062】
以上のように本実施形態の配管部材接続装置は、継手側突部28を雌側配管部材1に係合させて両配管部材1、10を結合して接続したときに、雌側大径筒状部4は雄側大径筒部13の径方向外方に位置し、雌側係合筒状部5は継手側突部28の径方向外方に位置することにより、雌側配管部材1は、雄側配管部材10の径方向の動きを雌側筒部3、雌側大径筒状部4および雌側係合筒状部5によって制限する。
【0063】
この構成によれば、継手部材20や雄側配管部材10の径方向の動きを内径寸法の異なる少なくとも3段構成の雌側配管部材1の内壁面により制限するため、雌側配管部材1と雄側配管部材10の結合力を安定させ、両配管部材間の接続性およびシール性を良好に確保する。また、両配管部材の脱着作業をスムーズに行うことができる。
【0064】
また、配管部材接続装置は、継手側突部28を雌側配管部材1に係合させて両配管部材1、10を結合して接続したときに、雄側筒部11は雌側筒部3に嵌まり雄側大径筒部13は雌側大径筒状部4に嵌まるとともに、継手側突部の径方向外側面25と雌側係合筒状部の内壁面7は、雄側大径筒部13と雌側大径筒状部4の嵌め合い部よりも雌側配管部材1の軸心から離れた位置で嵌め合うように構成されている。これらの嵌め合い部には、雄側部位と雌側部位との間に所定の隙間が形成されている。
【0065】
この構成を採用した場合には、内径寸法の異なる少なくとも3段構成の雌側配管部材1の各内壁面が雄側の部材と嵌合するため、さらに両配管部材間の隙間を小さくして両配管部材間のがたつきを径方向や周方向に小さくでき、両配管部材間のシール性能を向上することができる。
【0066】
また、配管部材接続装置は、継手側突部28を雌側配管部材1に係合させて両配管部材1、10を結合して接続したときに、継手側突部28の動きを雌側係合筒状部5によって径方向に制限するとともに、雌側配管部材1によって軸方向にも制限する構成を採用できる。この構成によれば、継手側突部28の挙動を軸心から最も遠い位置で径方向および軸方向に制限するため、雌側配管部材1と雄側配管部材10の結合力および接続性をさらに高め、両配管部材間のシール性能を向上することができる。
【0067】
また、雄側筒部11の外径寸法と雌側筒部3の内径寸法の差を0.10mm以下とし、雄側大径筒部13の外径寸法と雌側大径筒状部4の内径寸法の差を0.30mm以下とした場合には、雄側筒部11と雌側筒部3の寸法差およびこれらより径寸法の大きい雄側大径筒部13と雌側大径筒状部4の寸法差を適切な値に設定して両配管部材間の隙間を所定値に確保できるので、配管接続時の雄側配管部材10の径方向変位や軸心に対する傾きが許容範囲内に収まるように設定することができる。これにより、シール性や配管の結合力を損なわず、経年劣化を遅らすことができる耐久性の高い配管部材接続装置を提供できる。
【0068】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態の配管部材接続装置に対して、継手部材40を雄側配管部材30に取り付ける位置を雄側大径筒部31よりも軸方向先端寄りに設定した点が異なっている。この構成を採用することに伴い、継手部材40および雄側配管部材30の各部構造に特徴があり、以下に図8〜図13を用いて説明する。図8は本実施形態の継手部材40の構成を示す斜視図である。図9は、配管部材接続装置の接続作業において、雄側筒部11を雌側配管部材1内に挿入し、継手側当接部45が雌側当接部8に当接した状態を示した破断図である。
【0069】
継手部材20は、環状に形成された取付リング41と、取付リング41から略L字状に延設される腕部42と、雌側突部6と係合することになる継手側突部46と、を備えている。取付リング41は、雄側配管部材30の外周面に外嵌めされるように取り付けられ、雄側配管部材30に対して軸方向に摺動可能である。取付リング41は、雄側配管部材30に外嵌めされた状態においてはリングの中心が雄側配管部材30の軸心と一致するように構成されている。継手部材20は、金属材料にプレス加工を施すことにより形成してもよいし、樹脂材料を金型に流して一体成形することにより形成してもよい。
【0070】
取付リング41は、周方向に完全に閉じたリング状でなくてもよく、例えば第1実施形態の継手部材20のように略C字状のリングで構成してもよい。略C字状のリングで構成した場合には、取付リング41の内周面に雄側配管部材30を通すことなく、取付リングを拡径するように弾性変形させた状態で雄側配管部材30の外周面に対して径方向外方から嵌めこむことができる。
【0071】
腕部42は、取付リング41の軸心を含む平面における切断面が取付リング41の外周部から径方向に伸長した後、曲がり部を介して軸方向に伸長する略L字形状を呈している。継手側突部46は、腕部42の弾性変形に伴って雌側配管部材1の径方向に縮径および拡径するように変位し、雌側配管部材1側と嵌め合い、引っかかり合い等により係合する継手側係合部である。継手側突部46には、継手側突部46の腕部側端面に形成された継手側当接部47と、継手側突部46の腕部側端面から腕部42と平行に(軸方向に)突出する継手側当接部45と、継手側突部46の反腕部側端面から突出するロック解除操作部44と、が設けられている。
【0072】
また、雄側配管部材30の雄側大径筒部31には、外周部に軸方向に伸長する溝部である逃し部32が形成され、この逃し部32には、雄側配管部材30に取り付けられた継手部材40の腕部42が配置されている。
【0073】
継手側突部46に軸心側に向けての外力がかかると、腕部42の継手側突部46側部位は、外力が働いていない自然状態よりも大きく軸心側に変位し、腕部42の軸心に平行な部位は軸心に対して傾くように弾性変形し、外力が解除されると今度は反軸心側にたわんで弾性変形し、最終的には自然状態に戻る。
【0074】
次に、作業者が上記構成に基づく配管部材接続装置の雌側配管部材1と雄側配管部材30を接続するときの作業工程を図9〜図12にしたがって説明する。まず、あらかじめ継手部材40の取付リング41に雄側筒部11を内挿し、雄側筒部11の雄側大径筒部側に取付リング41を位置させて、雄側配管部材30に継手部材40を取り付ける。このとき、腕部42の軸方向に伸長する部位は、逃し部32を軸方向に貫通するように配置されている(図13参照)。そして、作業者は、図9に示すように、雄側筒部11を雌側配管部材1の開口端部から挿入し、雄側筒部11の外周面を雌側筒部3の内周面に対向させ、雄側筒部11を雌側筒部3に嵌める。図13は図11のXIII−XIII切断面についての矢視図であり、雌側配管部材1を除いた図である。
【0075】
さらに雄側配管部材30の挿入を進めると、継手側当接部45が雌側当接部8に当接する(図9参照)。引き続き雄側配管部材10の挿入を進めると、雌側突部6によって継手側突部の径方向外側面43が軸心側に押されて腕部42が大きく軸心側にたわんで弾性変形し、継手側突部46が軸心側に変位する。
【0076】
継手側突部の径方向外側面43における腕部側端部が雌側突部6によって押されている状態の最終段階では、継手側突部46の変位は軸心側に最大となり、腕部42のたわみ量は最大となる(以上、図10参照)。図10は、両配管部材の同接続作業において、雌側突部6によって継手部材40の腕部42が軸心側に最大限弾性変形した状態を示した破断図である。
【0077】
次に、図10のように継手側突部46が雌側突部6によって押されている状態の最終段階から、継手側部材40が雌側配管部材1の雌側筒部3側にわずかに移動すると、軸方向に並んだOリング12の両方が雌側筒部3の内周面に圧接されて弾性変形して両配管部材間にシール部が形成されるとともに、雌側突部6による押さえ力が解除されて雌側突部6には全く外力が及ばなくフリーの状態になり、腕部42が自然状態に向けて拡径する方向(反軸心側)に弾性変形する。この弾性変形に伴って、継手側突部46は反軸心側に変位して自然状態に復帰し、継手側突部46は雌側突部6、雌側係合筒状部5および雌側大径筒状部4で囲まれる空間に収容されるようになる(以上、図11参照)。
【0078】
また、腕部42が軸心側に最大限弾性変形した状態における継手側突部46の軸心側への変位量の大きさによっては、継手側突部46は自然状態を通り越してさらに反軸心側に拡径した状態に変位しようとする。この一連の弾性変形における変位の過程において継手側突部の径方向外側面43は雌側係合筒状部の内壁面7を叩き、この衝突により打撃音が発生する。この場合、継手側突部の径方向外側面43は雌側係合筒状部の内壁面7を叩いた後、元の自然状態に復帰する。
【0079】
このように図11に示す段階では、継手側当接部45は雌側配管部材1の内壁面に当接し、継手部材40の挿入方向の動きが拘束されているが、継手側突部46の反腕部側端面(雄側大径筒部31の反挿入側端面)と雌側突部6の軸方向反先端側面(雄側大径筒部31の挿入側端面)との間には、所定の隙間が形成されることになる。
【0080】
図11および図12に示すように、雌側突部6の軸方向反先端側の端面から、継手側当接部45が当接する雌側配管部材1の内壁面部位までに至る軸方向長さは、寸法Eで表わすものである。継手側突部46の雌側突部6に係合する係合面から継手側当接部45に至る軸方向長さの寸法は、図12に示す寸法Fで表わすものである。雌側配管部材1の各部および継手側突部46は、寸法Eが寸法Fよりも長くなるように形成されている。この寸法Fと寸法Eの差によって上記所定の隙間が形成されることになる。図12は、雄側配管部材30と雌側配管部材1が両配管内部の内圧上昇によりロックされた状態を示した破断図である。
【0081】
さらに、図11に示す段階では、取付リング41の腕部側の軸方向端面は雄側大径筒部31の挿入側端面に当接しており、雄側大径筒部31の反挿入側端面と継手側当接部47との間には軸方向に隙間が形成されている。
【0082】
取付リング41の腕部側の軸方向端面から継手側当接部47に至る軸方向長さの寸法は、図12に示す寸法Gで表わすものである。さらに、雄側大径筒部31の軸方向長さは寸法Hで表わすものである。継手部材40および雄側大径筒部31は、寸法Gが寸法Hよりも長くなるように形成されている。この寸法Gと寸法Hの差によって上記軸方向の隙間が形成されることになる。
【0083】
さらに、作業完了後、両配管部材1、30の内部の圧力が内部を流れる流体によって上昇する場合がある。このときには両配管部材を互いに離そうとする力が働いて両配管部材が互いに離れる方向に移動することにより、雌側突部6の係合面(雌側突部6の軸方向反先端側面)と継手側突部46の係合面(継手側突部46の雌側突部6に係合する係合面)とが互いに対向した状態で引っかかりあい、雄側配管部材30と雌側配管部材1とが離れる方向に抜けることを確実に防止できる。また、作業者が係合作業完了後に、両配管部材1、10を互いに軸方向に離す方向に引っ張れば、同様のロック状態を提供することができる。
【0084】
このように雄側配管部材30、雌側配管部材1および継手部材40がロックされた状態では、寸法Eが寸法Fよりも長く構成されていることにより、継手側突部46は雌側係合筒状部5の軸心側に収容されているとともに、継手側当接部45と雌側配管部材1の内壁面との間には軸方向に所定の隙間(EとFの差に相当する)が形成されている。
【0085】
また、寸法Gが寸法Hよりも長く構成されていることにより、雄側大径筒部31の反挿入側端面と継手側当接部47が当接するとともに、取付リング41の腕部側の軸方向端面と雄側大径筒部31の挿入側端面との間には所定の隙間(GとHの差に相当する)が形成されている。
【0086】
以上のように、雄側大径筒部31と雌側突部6は軸方向の両側から継手側突部46を挟持することになる。このため、雌側突部6、継手側突部46および雄側大径筒部31が互いに拘束し合うので、両配管部材は軸方向のいずれの方向にもロックされ、さらに強固な結合力を提供することができる。
【0087】
次に、作業者が両配管部材1、30の接続を外す手順について説明する。まず、両配管部材1、30のロック状態を解除するために、作業者は両配管部材1、30を互いに軸方向に寄せ合う方向に操作すると、雄側配管部材30が雌側配管部材1の内部にさらに深く進入するように移動することにより、これに伴って雌側突部6の係合面と継手側突部46の係合面との接触が解除され、継手側突部46の反腕部側端面と雌側突部6の軸方向反先端側面との間に所定の隙間(寸法Eと寸法Fとの差に相当)が生じる図11に示す状態になる。
【0088】
次に、作業者がこの状態からロック解除操作部44に対して軸心側に向けて外力を加えると、腕部42が軸心側に弾性変形するに伴い、継手側突部46が軸心側に大きく変位して雄側突部6から離脱する。そして、このように継手側突部46と雄側突部6の係合が解除された状態から、作業者が両配管部材1、30を互いに軸方向に離す方向に引っ張ると、両配管部材1、30は軸方向にスムーズに離れて完全に取り外される。本実施形態の配管部材接続装置は、その他の構成部品は第1実施形態と同様であり、その構成および作用効果においても同様である。
【0089】
以上のように本実施形態の配管部材接続装置によれば、継手部材40は雄側大径筒部31よりも雄側配管部材30の軸方向先端寄りで雄側配管部材30に取り付けられることにより、両配管部材の接続状態において、継手側突部46および腕部42が雌側配管部材1と雄側配管部材30との間にほぼ収納される状態となり、構成部品の軸方向長さを短くすることができ、配管部材接続装置を小型化できる。また、配管接続が完了した状態において継手側突部46および腕部42が外部に露出しないので、これらが他の部品と衝突して損傷したり、誤って操作されたりする不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1実施形態の配管部材接続装置における、継手部材20が取り付けられた雄側配管部材10と雌側配管部材1の分解斜視図である。
【図2】同配管部材接続装置の継手部材20の構成を示す斜視図である。
【図3】同配管部材接続装置の接続作業において、雄側筒部11を雌側筒部3内に挿入し、継手側当接部26が雌側当接部8に当接する直前の状態を示した破断図である。
【図4】同接続作業において、雌側突部6によって継手部材20の腕部28が軸心側に最大限弾性変形した状態を示した破断図である。
【図5】同接続作業において、雌側突部6と継手部材20の継手側突部28との係合が完了した状態を示した破断図である。
【図6】同配管部材接続装置の雄側配管部材10と雌側配管部材1が両配管内部の内圧上昇によりロックされた状態を示した破断図である。
【図7】同配管部材接続装置において継手部材20と雌側配管部材1との係合を解除するときの操作を示した拡大図である。
【図8】第2実施形態の配管部材接続装置における継手部材40の構成を示す斜視図である。
【図9】同配管部材接続装置の接続作業において、雄側筒部11を雌側配管部材1内に挿入し、継手側当接部45が雌側当接部8に当接した状態を示した破断図である。
【図10】同接続作業において、雌側突部6によって継手部材40の腕部42が軸心側に最大限弾性変形した状態を示した破断図である。
【図11】同接続作業において、雌側突部6と継手部材40の継手側突部46との係合が完了した状態を示した破断図である。
【図12】同配管部材接続装置の雄側配管部材30と雌側配管部材1が両配管内部の内圧上昇によりロックされた状態を示した破断図である。
【図13】図11のXIII−XIII切断面についての矢視図であり、雌側配管部材1を除いた図である。
【符号の説明】
【0091】
1…雌側配管部材
3…雌側筒部
4…雌側大径筒状部
5…雌側係合筒状部
6…雌側突部
7…雌側係合筒状部の内壁面
10、30…雄側配管部材
11…雄側筒部
13、31…雄側大径筒部
14…環状溝部
20、40…継手部材
24…腕部
25…継手側突部の径方向外側面(継手側係合部の径方向外側面)
28…継手側突部(継手側係合部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、雄側の配管部材と雌側の配管部材とを接続する継手部材を備えた配管部材接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の配管部材接続装置としては例えば特許文献1に記載の配管部材接続装置が知られている。この配管部材接続装置は、先端側に挿入部を有する雄側配管と、挿入部が挿入される内管部を有する雌側配管と、雌側配管に設けられた受口部の外周面に取り付けられて雄側配管と雌側配管とを連結するリング状のストッパと、から構成されている。
【0003】
さらに、雄側配管は挿入部の反先端側に挿入部よりも大径である環状突起を備えている。雌側配管の受口部は内管部よりも大きな内径寸法で形成され、受口部には周方向に伸長する形状の孔部が開口されている。ストッパは、ストッパを受口部の外周面に取り付けるときに孔部に嵌め入れられる円弧状凸条部を備えている。
【0004】
この配管部材接続装置においては、予め受口部の孔部にストッパの円弧状凸条部を嵌め入れて雌側配管とストッパを一体化しておいた後、雄側配管の挿入部を雌側配管の受口部から挿入してさらに進入させることにより、環状突起は対向する円弧状凸条部をストッパの弾性力に抗して外側に押し広げながら、円弧状凸条部の内壁面を沿うように軸方向に移動する。そして、環状突起が円弧状凸条部を通過して受口部の周壁内面の受部に当接すると同時に、円弧状凸条部が軸心側に変位するように弾性復帰する結果、環状突起は受部と円弧状凸条部の係止面との間に挟まれて固定され、雌側配管と雄側配管の接続が完了する。
【特許文献1】特許第2733647号公報(図1および図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この雄側配管は、雌側配管との接続が完了した状態で、挿入部が雌側配管の内管部に内接すること、および環状突起が受部と円弧状凸条部の係止面とで挟持されることにより支持されている。
【0006】
しかしながら、このように雄側配管は挿入部および環状突起でのみ支持されているにすぎず、特に雄側配管の径方向についての支持が十分ではなく、配管に伝わる振動や振幅、内部を流れる流体の挙動等により、雌側配管に対する雄側配管の接続時の安定性が損なわれ、雌側配管と雄側配管との間のシール性や接続強度が低下してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は雌側配管に対する雄側配管の接続時の安定性を高めた配管部材接続装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。すなわち、第1の発明は、軸方向先端寄りに雄側筒部(11)を有する雄側配管部材(10、30)と、雄側筒部(11)が挿入される雌側筒部(3)を有する雌側配管部材(1)と、雄側配管部材(10)に取り付けられて両配管部材(1、10)を結合する継手部材(20、40)と、を備え、前記雄側配管部材(10)と前記雌側配管部材(1)とを接続する配管部材接続装置であって、
雄側配管部材(10)は雄側筒部(11)よりも外径寸法が大きく軸方向反先端側に形成された雄側大径筒部(13、31)を有しており、
雌側配管部材(1)は、雌側筒部(3)よりも内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側大径筒状部(4)と、雌側大径筒状部(4)よりもさらに内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側係合筒状部(5)と、を有しており、
継手部材(20)は、弾性変形する腕部(24)と、腕部(24)の弾性変形に伴って雌側配管部材(1)の軸心側に変位し、両配管部材(1、10)を結合したときに雌側配管部材(1)に係合する継手側係合部(28)とを有しており、
継手側係合部(28)を雌側配管部材(1)に係合させて両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、
雌側大径筒状部(4)は雄側大径筒部(13)の径方向外方に位置し、雌側係合筒状部(5)は継手側係合部(28)の径方向外方に位置することにより、雌側配管部材(1)は、雄側配管部材(10)の径方向の動きを雌側筒部(3)、雌側大径筒状部(4)および雌側係合筒状部(5)によって制限することを特徴とする。
【0009】
雌側筒部(3)、雌側大径筒状部(4)および雌側係合筒状部(5)によって雄側配管部材(10)の径方向の動きを制限するというのは、両配管部材が接続された状態において、雄側配管部材(10)が許容範囲を超えて径方向に移動したり、雌側配管部材(1)の軸心に対して許容範囲を超えて傾いたりして、配管部材間の所定のシール性や結合力が損なわれることがないように雄側配管部材(10)の径方向の動きを抑制できるものである。したがって、許容範囲内の移動や傾きのときには雌側配管部材(1)の当該各部は、雄側配管部材(10)や継手部材(20)に必ずしも接触する位置関係になくてもよい。
【0010】
この発明によれば、継手部材や雄側配管部材の径方向の動きを内径寸法の異なる少なくとも3段構成の雌側配管部材の内壁面により制限するので、雌側配管部材に対する雄側配管部材の結合力を安定させ、両配管部材間の接続性およびシール性を良好に確保できる。また、雌側配管部材と雄側配管部材の位置関係が安定するため、両配管部材の接続作業や脱離作業をスムーズに行うことにも寄与する。
【0011】
また、継手側係合部(28)を雌側配管部材(1)に係合させて両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、雄側筒部(11)は雌側筒部(3)に嵌まり雄側大径筒部(13)は雌側大径筒状部(4)に嵌まるとともに、継手側係合部の径方向外側面(25)と雌側係合筒状部の内壁面(7)は、雄側大径筒部(13)と雌側大径筒状部(4)の嵌め合い部よりも雌側配管部材(1)の軸心から離れた位置で嵌め合うことが好ましい。
【0012】
雄側筒部(11)と雌側筒部(3)、雄側大径筒部(13)と雌側大径筒状部(4)、および継手側係合部の径方向外側面(25)と雌側係合筒状部の内壁面(7)の各嵌め合いは、両配管部材が接続された状態で雄側部位と雌側部位との間に所定の隙間が形成されるとともに、両配管部材間に所定の結合力を提供できるものである。また、継手側係合部の径方向外側面(25)と雌側係合筒状部の内壁面(7)の嵌め合いについては、継手側係合部(28)が腕部(24)の弾性変形により変位可能に構成されているので、両配管部材が接続された状態で両者の隙間がゼロとなるように構成してもよい。
【0013】
この発明によれば、内径寸法の異なる少なくとも3段構成の雌側配管部材の各内壁面が雄側の部材(継手部材および雄側配管部材)と嵌合する関係にあるので、さらに両配管部材間の隙間を小さくでき、両配管部材間の径方向および周方向のがたつきが減少するので、車両振動や配管内の流体流動により引き起こされる厳しい条件においても耐えうる配管部材接続装置を提供できる。
【0014】
また、継手側係合部(28)を雌側配管部材(1)に係合させて両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、継手側係合部(28)の動きは雌側係合筒状部(5)によって径方向に制限されているとともに、雌側配管部材(1)によって軸方向にも制限されているように構成してもよい。
【0015】
この発明によれば、継手側係合部の動きが軸心から最も遠い位置で径方向および軸方向に制限されるので、雌側配管部材に対する雄側配管部材の結合力および接続性をさらに安定させることができる。
【0016】
また、雄側筒部(11)の外径寸法と雌側筒部(3)の内径寸法の差は0.10mm以下であり、雄側大径筒部(13)の外径寸法と雌側大径筒状部(4)の内径寸法の差は0.30mm以下であることが好ましい。この発明によれば、雄側筒部と雌側筒部の寸法差やこれらよりも径寸法の大きい雄側大径筒部と雌側大径筒状部の寸法差を適切な値にして、両配管部材間の隙間を確保するので、配管部材の振動や振幅を抑え、経年使用に伴う両配管部材間のシール部の磨耗を抑制することができる。
【0017】
また、継手部材(20)は雄側配管部材(10)に対して軸方向に移動可能なように取り付けられており、雌側配管部材(1)は雌側係合筒状部(5)よりも軸方向先端寄りに設けられて軸心側に突出する雌側突部(6)を有しており、
継手側係合部(28)が雌側配管部材(1)に係合した状態で、雄側配管部材(10)と雌側配管部材(1)を互いに離そうとする力が働いたとき、雄側大径筒部(13)と雌側突部(6)は軸方向の両側から継手側係合部(28)を挟持するように構成することが好ましい。
【0018】
この発明によれば、例えば、配管内を流れる流体の内圧が上昇したときなど、両配管部材を互いに引き離そうとする力が働いたときに、継手側係合部が軸方向の両側から挟まれるので、継手側係合部を保持する力が強くなり両配管部材の接続強度がさらに向上する。
【0019】
また、雌側大径筒状部(4)の軸方向長さは雄側大径筒部(13)の軸方向長さ以上であることが好ましい。この発明によれば、継手側係合部が雄側大径筒部および雌側突部によって軸方向の両側から挟持されている状態から、雄側配管部材を雌側配管部材の軸方向反先端側に移動させると、雄側大径筒部は雌側大径筒状部の内壁面に沿って当該軸方向反先端側に十分に移動することができるので、継手側係合部の挟持状態が十分に解除され、さらに腕部を軸心側に弾性変形させることにより継手側係合部が軸心側に変位し、継手側係合部と雌側配管部材の係合を確実かつ容易に解除することができる。
【0020】
また、雌側配管部材(1)は雌側係合筒状部(5)よりも軸方向先端寄りに設けられて軸心側に突出する雌側突部(6)を有し、雌側突部(6)の軸方向端面は、その軸心側部位が反軸心側部位よりも雌側筒部(3)寄りに位置するように軸方向に対して傾斜していることが好ましい。
【0021】
この発明によれば、雌側配管部材の被挿入口端部である雌側突部の軸方向端面をテーパ状に形成し、さらにその長さを長く形成することができるので、両配管部材を接続する作業において継手側係合部の雌側配管部材内への誘い込みが向上し、さらにスムーズな接続作業を提供できる。
【0022】
また、上記継手部材(40)は雄側大径筒部(31)よりも雄側配管部材(30)の軸方向先端寄りで雄側配管部材(30)に取り付けられることが好ましい。この発明によれば、両配管部材の接続状態において、継手側係合部および腕部が雌側配管部材と雄側配管部材との間にほぼ収納される状態となり、構成部品の軸方向長さを短くすることができるので、配管部材接続装置の軸方向長さを小型化できる。また、継手側係合部および腕部が外部から隠れるように収納されるので、これらが周囲の他部品と緩衝して損傷したり、誤って操作されて不具合が生じたりすることを防止できる。
【0023】
上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1実施形態)
第1実施形態の配管部材接続装置は、それぞれ配管と一体となっている2つの配管部材を接続する装置であり、雌側配管部材と継手部材とを係合させることにより雌側配管部材と雄側配管部材を接続するものである。配管部材接続装置は、内部に冷媒等の流体が流れる配管同士を接続する装置であり、例えば車両用等の空調用冷凍サイクルや給湯用冷凍サイクルを構成する配管の接続に用いられる。配管内を流れる冷媒は、例えばアンモニア、イソブタン、二酸化炭素、水、フロン類等である。
【0025】
本実施形態について図1〜図7を用いて説明する。図1は本実施形態の配管部材接続装置における、継手部材20が取り付けられた雄側配管部材10と雌側配管部材1の分解斜視図である。図2は継手部材20の構成を示す斜視図である。図3は、配管部材接続装置の接続作業において、雄側筒部11を雌側筒部3内に挿入し継手側当接部26が雌側当接部8に当接する直前の状態を示した破断図である。
【0026】
本実施形態の配管部材接続装置は、図1および図3に示すように、雄配管部材10と、雄側配管部材10の外周面に外嵌するように取り付けられた継手部材20と、継手部材20と係合することにより内挿された雄側配管部材10と結合されて接続される雌側配管部材1と、から主に構成されている。
【0027】
雄側配管部材10は、冷媒配管である配管部15と、配管部15よりも外径寸法が大きく形成された雄側大径筒部13と、雄側大径筒部13よりも外径寸法が小さく雌側配管部材1に内嵌される程度の外径寸法を有する雄側筒部11と、から構成されている。雄側配管部材10は、これら各部が一体に形成されることにより軸方向に階段状に伸長する内周面を備え、全体的に筒状に形成されている。
【0028】
雄側筒部11は、雄側配管部材10の軸方向先端寄りに設けられた雌側配管部材1への挿入側端部であり、雌側配管部材1の雌側接続部と嵌まり合って接続される雄側接続部である。雄側筒部11には環状溝部が軸方向に2列並んで形成されており、この環状溝部のそれぞれには弾性変形するゴム材で形成されているOリング12が外嵌するように設けられている。Oリング12は、両配管部材1、10が接続されたときに雌側配管部材1の雌側筒部3の内周面に圧接して弾性変形し、雄側筒部11の外周面と雌側筒部3の内周面との間をシールして冷媒を外部に漏らさない働きをしている。なお、本実施形態ではOリングは一例として2個使用しているが、1個または3個以上であってもよい。
【0029】
雄側大径筒部13の外周には軸心側に凹んだ凹部が複数箇所形成されている。これらの凹部は、雄側配管部材10と雌側配管部材1が接続状態になったとき、雌側配管部材1に形成される回り止め手段(複数の凸部)と嵌め合うことにより、雌側配管部材1に対する雄側配管部材10の回り止めとして機能する。
【0030】
配管部15の雄側大径筒部13寄りの外周には、軸心側に凹んだ環状溝部14が設けられている。環状溝部14は、継手部材20を雄側配管部材10の外周部に装着するときに、その位置決めを行う構成部品であり、さらに雄側配管部材10に対する継手部材20の軸方向の変位量を制限するストッパ機能を果たしている。
【0031】
なお、環状溝部14の代わりに、配管部15の外周に環状突部を形成し、継手部材20側に当該環状突部と嵌め合う環状溝部を形成してもよい。また、雄側配管部材10は、アルミニウム合金などのパイプ材に拡管、絞り等の塑性変形加工を施すことにより形成してもよいし、樹脂材料を金型に流した樹脂材料を冷却して一体成形することにより形成してもよい。
【0032】
継手部材20は、図2に示すように、雄側配管部材10の軸心(図2の一点鎖線)と同じ軸心の周りに円弧状に配された各部を有するリング状部材であり、雌側配管部材1と雄側配管部材10の間に介在されて両配管部材1、10を接続することができる。継手部材20は当該軸心の周りにそれぞれ円弧状の摺接部22および腕部24を2組備え、この2組の摺接部22および腕部24を連結する円弧状の連結部29を備えている。また、継手部材20は、金属材料にプレス加工を施すことにより形成してもよいし、樹脂材料を金型に流して一体成形することにより形成してもよい。
【0033】
2組の摺接部22および腕部24は当該軸心周りの周方向に点対称の位置に間隔をあけて配置されている。2つの摺接部22間および2つの腕部24間は、当該軸心周りの一方側において連結部29により連結されているが、他方側は連結されていない。また、継手部材20は当該軸心周りに摺接部22および腕部24を三組以上備えるように構成してもよい。
【0034】
図3に示すように、1組の摺接部22および腕部24は、当該軸心を含む平面における切断面が略U字状を呈している。当該軸心に平行に伸長する摺接部22は、配管部15の外周面に接して軸方向に摺動可能に設けられている。腕部24は摺接部22に平行となるように屈曲部23を介して摺接部22の径方向外側に設けられている。連結部29は、向かい合う摺接部22間の径方向距離である径方向寸法を一定に保つように2つの摺接部22を支持するとともに、摺接部22を配管部15に押し付ける押圧力を提供している。
【0035】
腕部24は屈曲部23を起点として軸方向に伸長する長さが摺接部22よりも長くなるように構成されている。屈曲部23は摺接部22から反軸心側に立ち上がった円弧状の連結部でもあり、腕部24は屈曲部23を介して摺接部22に対して傾くように弾性変形可能に構成されている。
【0036】
腕部24の反屈曲部側には、腕部24よりも反軸心側(雄側配管部材10の半径方向外向き)に突出する継手側突部28が設けられている。継手側突部28は、腕部24の弾性変形に伴って雌側配管部材1の半径方向に縮径および拡径するように変位し、雌側配管部材1側と嵌め合い、引っかかり合い等により係合する継手側係合部である。腕部24は、継手側突部28に対して軸心側に向かう外力が働くと屈曲部23の腕部側を支点として縮径するように軸心側に弾性変位してたわみ、外力が解除されると今度は反軸心側にたわんで弾性変形し、最終的には自然状態に戻る。
【0037】
雌側配管部材1は、冷媒配管である配管部2と、配管部2よりも内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側筒部3と、雌側筒部3よりも内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側大径筒状部4と、雌側大径筒状部4よりも内径寸法が大きい形状で雌側大径筒状部4から軸方向端部(先端寄り)に向かって延設されている雌側係合筒状部5と、から構成されている。そして、これらが一体に形成されて全体として少なくとも3つの異なる内径寸法を備えた3段構成の筒状体をなしている。
【0038】
雌側筒部3は、雄側配管部材10の雄側筒部11が内嵌される程度の内径寸法を有している。雌側筒部3の内周面は、雌側配管部材1と雄側配管部材10とが接続されたときに雄側筒部11とのシール面として機能する。雌側筒部3の内径寸法と雄側筒部11の外径寸法との差は0.10mm以下であることが好ましい。
【0039】
雌側大径筒状部4は、雌側筒部3と雌側係合筒状部5をつなぐ筒体状であり、その内径寸法は雄側大径筒部13の外径寸法と同等に形成されている。雌側配管部材1を金属材料で形成する場合には、雌側大径筒状部4は雌側筒部3の軸方向先端側部位を拡径するように塑性変形させることにより形成される。雌側大径筒状部4の内径寸法と雄側大径筒部13の外径寸法との差は0.30mm以下であることが好ましい。また、雌側大径筒状部4の内周面の軸方向長さAは雄側大径筒部13の外周面の軸方向長さB以上であることが好ましい。
【0040】
雌側大径筒状部4は必ずしも雌側配管部材1の軸心周りの全周にわたって形成されている必要はない。雌側大径筒状部4は雌側配管部材1の軸心周りの一部に形成されて雄側大径筒部13の外側を覆い、雄側配管部材10が径方向に一定量以上(許容範囲を超えて)変位するのを阻止している。
【0041】
雌側係合筒状部5は、雌側大径筒状部4よりも、内径寸法が大きく形成され軸方向端部側(先端側)に形成されている。雌側係合筒状部5は必ずしも雌側配管部材1の軸心周りの全周にわたって形成されている必要はない。雌側係合筒状部5は雌側配管部材1の軸心周りの一部に形成されて継手側突部の径方向外側面25を覆い、雄側配管部材10が径方向に一定量以上(許容範囲を超えて)変位するのを阻止している。雌側配管部材1を金属材料で形成する場合には、雌側係合筒状部5は雌側大径筒状部4の軸方向先端側部位を拡径するように塑性変形させることにより形成される。
【0042】
雌側係合筒状部5よりも軸方向先端部(雄側配管部材10が挿入される側)寄りには、雌側配管部材1の軸心側に突出し、継手側突部28が係合する雌側突部6が設けられている。雌側突部6は、継手側突部28と嵌め合い、引っかかり合い等により係合する雌側係合部である。雌側突部6は、継手側突部28が雌側配管部材1に係合して両配管部材1、10が接続されている状態において両配管部材1、10を互いに離そうとする力が働いたとき、継手側突部28の腕部側端面(反雄側筒部11側にある端面)を押圧して、継手側突部28の軸方向の移動を阻止している。
【0043】
この雌側係合筒状部の内壁面7は、両配管部材1、10を接続するときに継手側突部28と雌側突部6の係合が完了するまでの一連の過程において継手側突部28が変位することにより、継手側突部の径方向外側面25が変位することができる軌道上に交差するように配置されている。この構成により、継手側突部28が雌側突部6に係合する過程において、継手側突部28の軸心側の変位量の大きさによっては継手側突部28が縮径した変位から拡径する方向に変位することにより、継手側突部の径方向外側面25は雌側係合筒状部の内壁面7を叩くことができる。
【0044】
雌側係合筒状部5および雌側突部6は、雌側配管部材1の全周に渡って形成してもよいし、少なくとも継手部材20の継手側突部起28と対応する位置に周方向に部分的に形成してもよい。また、雌側配管部材1は、アルミニウム合金などのパイプ材に拡管等の塑性変形加工を施すことにより形成してもよいし、金型に流した樹脂材料を冷却して一体成形することにより形成してもよい。
【0045】
次に、作業者が上記構成に基づく配管部材接続装置の雌側配管部材1と雄側配管部材10を接続するときの作業工程を図3〜図6にしたがって説明する。まず、あらかじめ雄側配管部材10の配管部15の外周部に継手部材20の摺接部22を拡径するように撓ませて嵌め、雄側配管部材10に継手部材20を取り付けておく。このとき、摺接部22の反屈曲部側で軸心側に突出するように形成された第1摺動制止部21を環状溝部14に収納して継手部材20を配置させる。そして、作業者は、図3に示すように、雄側配管部材10の雄側筒部11を雌側配管部材1の開口端部から挿入し、雄側筒部11の外周面を雌側筒部3の内周面に対向させて雄側筒部11を雌側筒部3に嵌める。
【0046】
雌側突部6は、雌側係合筒状部5よりも軸方向先端寄りに設けられて軸心側に突出している。さらに、雌側突部6の軸方向端面は、その軸心側部位が反軸心側部位よりも雌側筒部3寄りに位置するように軸方向に対して傾斜した形状である。この構成により、雌側配管部材1の被挿入口端部である雌側突部6の軸方向端面がテーパ状に形成され、さらにその長さが長く形成されることになるので、両配管部材1、10を接続する作業において継手側突部28が雌側配管部材1内部へスムーズに進入することとなり、さらにスムーズな接続作業を提供することができる。
【0047】
さらに雄側配管部材10の挿入を進めると、雄側筒部11に設置したOリング12が雌側筒部3の内周面に圧接されて弾性変形するとともに、継手側突部28の反屈曲部側先端に形成された継手側当接部26が雌側係合筒状部5の軸方向先端部に位置する雌側当接部8に当接する。
【0048】
引き続いて雄側配管部材10の挿入を進めると、軸方向に並んだOリング12の両方が雌側筒部3の内周面に圧接されて弾性変形して両配管部材間にシール部が形成され、雄側大径筒部13の外周面が雌側大径筒状部4の内周面に対向し、雄側大径筒部13は雌側大径筒状部4に嵌まる。さらに、雌側突部6によって継手側突部の径方向外側面25が軸心側に押されて継手側突部28が軸心側に変位する。
【0049】
継手側突部の径方向外側面25の屈曲部側端部が雌側突部6によって押されている状態の最終段階では、継手側突部28の変位は軸心側に最大となり、腕部24のたわみ量や、摺接部22あるいは腕部24の自然状態に対する腕部24の傾斜角度も最大となる(以上、図4参照)。図4は、両配管部材の接続作業において同接続作業において、雌側突部6によって継手部材20の腕部28が軸心側に最大限弾性変形した状態を示した破断図である。
【0050】
次に、図4に示す継手側突部28が雌側突部6によって押されている状態の最終段階から、継手側部材20が雌側配管部材1の配管部15側にわずかに移動すると、雌側突部6による押さえ力が解除されて雌側突部6には全く外力が及ばなくフリーの状態になり、腕部24が自然状態に戻ろうと拡径する方向に弾性変形する。この弾性変形に伴って、継手側突部28は反軸心側に変位し、自然状態に復帰する。
【0051】
ただし、腕部28が軸心側に最大限弾性変形した状態における継手側突部28の軸心側への変位量の大きさによっては、継手側突部28は自然状態を通り越してさらに反軸心側に拡径した状態に変位しようとする。この一連の弾性変形における変位の過程において、継手側突部の径方向外側面25は雌側係合筒状部の内壁面7を叩き、この衝突により打撃音が発生する。この場合、継手側突部の径方向外側面25は雌側係合筒状部の内壁面7を叩いた後、元の自然状態に復帰する。
【0052】
自然状態に復帰した継手側部材20は、図5に示すように、継手側突部の径方向外側面25と雌側係合筒状部の内壁面7との間に所定間隔を形成するように弾性復帰して雌側突部6に係合する。この状態では、雌側突部6の係合面と継手側突部28の係合面とが互いに対向した状態で引っかかりあうことにより(図7の拡大図参照)、雄側配管部材10と雌側配管部材1とが離れる方向に抜けること(雄側配管部材10が軸方向反先端部側に移動し、雌側配管部材1が軸方向反先端部側に移動すること)を確実に防止できるので、両係合部による係合が完了することになる。図5は配管部材接続作業において雌側突部6と継手部材20の継手側突部28との係合が完了した状態を示した破断図である。
【0053】
作業者は、上記打撃音が発生する場合には、打撃音を聞くことにより、接続作業が完了したと判断することができる。このとき作業者は、この打撃音によって作業完了を判断することにより、両配管部材を引っ張る抜け防止の確認や、係合部分の目視確認や、手に伝わる感触を頼りにした確認などが不要になり、安定した接続作業の品質を提供することができる。
【0054】
さらに、作業完了後、両配管部材の内部の圧力が内部を流れる流体によって上昇する場合がある。このときには両配管部材1、10を互いに離そうとする力が働いて両配管部材が互いに離れる方向に移動することにより、これに伴って第1摺動制止部21が環状溝部14内を雄側筒部11側に摺動し、第2摺動制止部27が雄側大径筒部13の配管部15側の側壁に当接することになる。第2摺動制止部27は継手側当接部26よりも軸心側において径方向に延設される壁面であり、継手側突部28の反屈曲部側端面でもある。
【0055】
図6は雄側配管部材10と雌側配管部材1が両配管内部の内圧上昇によりロックされた状態を示した破断図である。雌側係合筒状部の内壁面7における軸方向反先端側の端部(以下、上記端部とする)から、雌側突部6の軸方向反先端側の端面までに至る当該内壁面7に平行な長さは、図6に示す寸法Cで表わすものである。また、継手側突部28の雌側突部6に係合する係合面から第2摺動制止部27に至る軸方向長さは、図6に示す寸法Dで表わすものである。上記端部は、径方向外側に拡径するように形成された連絡部によって雌側大径筒状部4の軸方向反先端側部位と一体に形成されている。
【0056】
雌側係合筒状部の内壁面7、雌側突部6および継手側突部28は、寸法Cが寸法Dよりも長くなるように形成されている。これにより、雄側配管部材10、雌側配管部材1および継手部材20がロックされた状態で、継手側突部28は雌側係合筒状部5の軸心側に収容されている。このとき、雄側大径筒部13の軸方向反先端側の側面は、上記端部よりも雌側突部寄りに位置した状態で、第2摺動制止部27に当接している。
【0057】
以上のように、雄側大径筒部13と雌側突部6は軸方向の両側から継手側突部28を挟持することになる。このため、雌側突部6、継手側突部28および雄側大径筒部13が互いに拘束し合うので、両配管部材は軸方向のいずれの方向にもロックされ、さらに強固な結合力を提供することができる(以上、図6参照)。このようなロック状態は機器が一度作動すれば普通に起こり得る状態である。また、作業者が係合作業完了後に、両配管部材1、10を互いに軸方向に離す方向に引っ張れば、同様のロック状態を提供することができる。
【0058】
次に、作業者が両配管部材1、10の接続を外す手順について説明する。まず、両配管部材1、10のロック状態を解除するために、作業者は両配管部材1、10を互いに軸方向に寄せ合う方向に操作すると、雄側配管部材10が雌側配管部材1の内部にさらに深く進入するように移動することにより、これに伴って第1摺動制止部21が環状溝部14を反雄側筒部11側に摺動し、継手部材20、雌側配管部材1および雄側配管部材10の位置関係が上述の図5に示す状態になる。
【0059】
このとき、上記寸法Cと寸法Dの関係により、雄側大径筒部13の軸方向反先端側の側面と第2摺動制止部27の間には軸方向に所定の隙間が形成されている。継手側突部28は、この隙間が形成されることで軸方向および径方向の拘束が解除されて軸心側に変位することが可能となる。
【0060】
次に、図7に示すように、作業者がこの状態から腕部24に対して軸心側に向けて外力を加えると、腕部24が軸心側に弾性変形するに伴い、継手側突部28が軸心側に変位し、継手側突部28と雄側突部6の係合が解除される(図7の二点鎖線で示した継手部材20を参照)。図7は継手部材20と雌側配管部材1の係合を解除するときの操作を示した拡大図である。そして、このように継手側突部28と雄側突部6の係合が解除された状態から、作業者が両配管部材1、10を互いに軸方向に離す方向に引っ張ると、両配管部材1、10は軸方向にスムーズに脱離し、完全に取り外される。
【0061】
上述の両配管部材1、10のロック状態を解除する作業においては、雌側大径筒状部4の内周面の軸方向長さAが雄側大径筒部13の外周面の軸方向長さB以上である構成が有効である。つまり、この構成を採用した場合には、継手側突部28が軸方向の両側から挟持されている状態から、雄側配管部材10を雌側配管部材1の軸方向反先端側(両配管部材が互いに軸方向にさらに重なるような方向)に移動させると、雄側大径筒部13は雌側大径筒状部4の内周面に沿って当該軸方向反先端側に十分に移動することができるため、継手側突部28の挟持されている状態が十分に解除されることになり、継手側突部28と雌側配管部材1の係合を確実かつ容易に解除することができる。
【0062】
以上のように本実施形態の配管部材接続装置は、継手側突部28を雌側配管部材1に係合させて両配管部材1、10を結合して接続したときに、雌側大径筒状部4は雄側大径筒部13の径方向外方に位置し、雌側係合筒状部5は継手側突部28の径方向外方に位置することにより、雌側配管部材1は、雄側配管部材10の径方向の動きを雌側筒部3、雌側大径筒状部4および雌側係合筒状部5によって制限する。
【0063】
この構成によれば、継手部材20や雄側配管部材10の径方向の動きを内径寸法の異なる少なくとも3段構成の雌側配管部材1の内壁面により制限するため、雌側配管部材1と雄側配管部材10の結合力を安定させ、両配管部材間の接続性およびシール性を良好に確保する。また、両配管部材の脱着作業をスムーズに行うことができる。
【0064】
また、配管部材接続装置は、継手側突部28を雌側配管部材1に係合させて両配管部材1、10を結合して接続したときに、雄側筒部11は雌側筒部3に嵌まり雄側大径筒部13は雌側大径筒状部4に嵌まるとともに、継手側突部の径方向外側面25と雌側係合筒状部の内壁面7は、雄側大径筒部13と雌側大径筒状部4の嵌め合い部よりも雌側配管部材1の軸心から離れた位置で嵌め合うように構成されている。これらの嵌め合い部には、雄側部位と雌側部位との間に所定の隙間が形成されている。
【0065】
この構成を採用した場合には、内径寸法の異なる少なくとも3段構成の雌側配管部材1の各内壁面が雄側の部材と嵌合するため、さらに両配管部材間の隙間を小さくして両配管部材間のがたつきを径方向や周方向に小さくでき、両配管部材間のシール性能を向上することができる。
【0066】
また、配管部材接続装置は、継手側突部28を雌側配管部材1に係合させて両配管部材1、10を結合して接続したときに、継手側突部28の動きを雌側係合筒状部5によって径方向に制限するとともに、雌側配管部材1によって軸方向にも制限する構成を採用できる。この構成によれば、継手側突部28の挙動を軸心から最も遠い位置で径方向および軸方向に制限するため、雌側配管部材1と雄側配管部材10の結合力および接続性をさらに高め、両配管部材間のシール性能を向上することができる。
【0067】
また、雄側筒部11の外径寸法と雌側筒部3の内径寸法の差を0.10mm以下とし、雄側大径筒部13の外径寸法と雌側大径筒状部4の内径寸法の差を0.30mm以下とした場合には、雄側筒部11と雌側筒部3の寸法差およびこれらより径寸法の大きい雄側大径筒部13と雌側大径筒状部4の寸法差を適切な値に設定して両配管部材間の隙間を所定値に確保できるので、配管接続時の雄側配管部材10の径方向変位や軸心に対する傾きが許容範囲内に収まるように設定することができる。これにより、シール性や配管の結合力を損なわず、経年劣化を遅らすことができる耐久性の高い配管部材接続装置を提供できる。
【0068】
(第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態の配管部材接続装置に対して、継手部材40を雄側配管部材30に取り付ける位置を雄側大径筒部31よりも軸方向先端寄りに設定した点が異なっている。この構成を採用することに伴い、継手部材40および雄側配管部材30の各部構造に特徴があり、以下に図8〜図13を用いて説明する。図8は本実施形態の継手部材40の構成を示す斜視図である。図9は、配管部材接続装置の接続作業において、雄側筒部11を雌側配管部材1内に挿入し、継手側当接部45が雌側当接部8に当接した状態を示した破断図である。
【0069】
継手部材20は、環状に形成された取付リング41と、取付リング41から略L字状に延設される腕部42と、雌側突部6と係合することになる継手側突部46と、を備えている。取付リング41は、雄側配管部材30の外周面に外嵌めされるように取り付けられ、雄側配管部材30に対して軸方向に摺動可能である。取付リング41は、雄側配管部材30に外嵌めされた状態においてはリングの中心が雄側配管部材30の軸心と一致するように構成されている。継手部材20は、金属材料にプレス加工を施すことにより形成してもよいし、樹脂材料を金型に流して一体成形することにより形成してもよい。
【0070】
取付リング41は、周方向に完全に閉じたリング状でなくてもよく、例えば第1実施形態の継手部材20のように略C字状のリングで構成してもよい。略C字状のリングで構成した場合には、取付リング41の内周面に雄側配管部材30を通すことなく、取付リングを拡径するように弾性変形させた状態で雄側配管部材30の外周面に対して径方向外方から嵌めこむことができる。
【0071】
腕部42は、取付リング41の軸心を含む平面における切断面が取付リング41の外周部から径方向に伸長した後、曲がり部を介して軸方向に伸長する略L字形状を呈している。継手側突部46は、腕部42の弾性変形に伴って雌側配管部材1の径方向に縮径および拡径するように変位し、雌側配管部材1側と嵌め合い、引っかかり合い等により係合する継手側係合部である。継手側突部46には、継手側突部46の腕部側端面に形成された継手側当接部47と、継手側突部46の腕部側端面から腕部42と平行に(軸方向に)突出する継手側当接部45と、継手側突部46の反腕部側端面から突出するロック解除操作部44と、が設けられている。
【0072】
また、雄側配管部材30の雄側大径筒部31には、外周部に軸方向に伸長する溝部である逃し部32が形成され、この逃し部32には、雄側配管部材30に取り付けられた継手部材40の腕部42が配置されている。
【0073】
継手側突部46に軸心側に向けての外力がかかると、腕部42の継手側突部46側部位は、外力が働いていない自然状態よりも大きく軸心側に変位し、腕部42の軸心に平行な部位は軸心に対して傾くように弾性変形し、外力が解除されると今度は反軸心側にたわんで弾性変形し、最終的には自然状態に戻る。
【0074】
次に、作業者が上記構成に基づく配管部材接続装置の雌側配管部材1と雄側配管部材30を接続するときの作業工程を図9〜図12にしたがって説明する。まず、あらかじめ継手部材40の取付リング41に雄側筒部11を内挿し、雄側筒部11の雄側大径筒部側に取付リング41を位置させて、雄側配管部材30に継手部材40を取り付ける。このとき、腕部42の軸方向に伸長する部位は、逃し部32を軸方向に貫通するように配置されている(図13参照)。そして、作業者は、図9に示すように、雄側筒部11を雌側配管部材1の開口端部から挿入し、雄側筒部11の外周面を雌側筒部3の内周面に対向させ、雄側筒部11を雌側筒部3に嵌める。図13は図11のXIII−XIII切断面についての矢視図であり、雌側配管部材1を除いた図である。
【0075】
さらに雄側配管部材30の挿入を進めると、継手側当接部45が雌側当接部8に当接する(図9参照)。引き続き雄側配管部材10の挿入を進めると、雌側突部6によって継手側突部の径方向外側面43が軸心側に押されて腕部42が大きく軸心側にたわんで弾性変形し、継手側突部46が軸心側に変位する。
【0076】
継手側突部の径方向外側面43における腕部側端部が雌側突部6によって押されている状態の最終段階では、継手側突部46の変位は軸心側に最大となり、腕部42のたわみ量は最大となる(以上、図10参照)。図10は、両配管部材の同接続作業において、雌側突部6によって継手部材40の腕部42が軸心側に最大限弾性変形した状態を示した破断図である。
【0077】
次に、図10のように継手側突部46が雌側突部6によって押されている状態の最終段階から、継手側部材40が雌側配管部材1の雌側筒部3側にわずかに移動すると、軸方向に並んだOリング12の両方が雌側筒部3の内周面に圧接されて弾性変形して両配管部材間にシール部が形成されるとともに、雌側突部6による押さえ力が解除されて雌側突部6には全く外力が及ばなくフリーの状態になり、腕部42が自然状態に向けて拡径する方向(反軸心側)に弾性変形する。この弾性変形に伴って、継手側突部46は反軸心側に変位して自然状態に復帰し、継手側突部46は雌側突部6、雌側係合筒状部5および雌側大径筒状部4で囲まれる空間に収容されるようになる(以上、図11参照)。
【0078】
また、腕部42が軸心側に最大限弾性変形した状態における継手側突部46の軸心側への変位量の大きさによっては、継手側突部46は自然状態を通り越してさらに反軸心側に拡径した状態に変位しようとする。この一連の弾性変形における変位の過程において継手側突部の径方向外側面43は雌側係合筒状部の内壁面7を叩き、この衝突により打撃音が発生する。この場合、継手側突部の径方向外側面43は雌側係合筒状部の内壁面7を叩いた後、元の自然状態に復帰する。
【0079】
このように図11に示す段階では、継手側当接部45は雌側配管部材1の内壁面に当接し、継手部材40の挿入方向の動きが拘束されているが、継手側突部46の反腕部側端面(雄側大径筒部31の反挿入側端面)と雌側突部6の軸方向反先端側面(雄側大径筒部31の挿入側端面)との間には、所定の隙間が形成されることになる。
【0080】
図11および図12に示すように、雌側突部6の軸方向反先端側の端面から、継手側当接部45が当接する雌側配管部材1の内壁面部位までに至る軸方向長さは、寸法Eで表わすものである。継手側突部46の雌側突部6に係合する係合面から継手側当接部45に至る軸方向長さの寸法は、図12に示す寸法Fで表わすものである。雌側配管部材1の各部および継手側突部46は、寸法Eが寸法Fよりも長くなるように形成されている。この寸法Fと寸法Eの差によって上記所定の隙間が形成されることになる。図12は、雄側配管部材30と雌側配管部材1が両配管内部の内圧上昇によりロックされた状態を示した破断図である。
【0081】
さらに、図11に示す段階では、取付リング41の腕部側の軸方向端面は雄側大径筒部31の挿入側端面に当接しており、雄側大径筒部31の反挿入側端面と継手側当接部47との間には軸方向に隙間が形成されている。
【0082】
取付リング41の腕部側の軸方向端面から継手側当接部47に至る軸方向長さの寸法は、図12に示す寸法Gで表わすものである。さらに、雄側大径筒部31の軸方向長さは寸法Hで表わすものである。継手部材40および雄側大径筒部31は、寸法Gが寸法Hよりも長くなるように形成されている。この寸法Gと寸法Hの差によって上記軸方向の隙間が形成されることになる。
【0083】
さらに、作業完了後、両配管部材1、30の内部の圧力が内部を流れる流体によって上昇する場合がある。このときには両配管部材を互いに離そうとする力が働いて両配管部材が互いに離れる方向に移動することにより、雌側突部6の係合面(雌側突部6の軸方向反先端側面)と継手側突部46の係合面(継手側突部46の雌側突部6に係合する係合面)とが互いに対向した状態で引っかかりあい、雄側配管部材30と雌側配管部材1とが離れる方向に抜けることを確実に防止できる。また、作業者が係合作業完了後に、両配管部材1、10を互いに軸方向に離す方向に引っ張れば、同様のロック状態を提供することができる。
【0084】
このように雄側配管部材30、雌側配管部材1および継手部材40がロックされた状態では、寸法Eが寸法Fよりも長く構成されていることにより、継手側突部46は雌側係合筒状部5の軸心側に収容されているとともに、継手側当接部45と雌側配管部材1の内壁面との間には軸方向に所定の隙間(EとFの差に相当する)が形成されている。
【0085】
また、寸法Gが寸法Hよりも長く構成されていることにより、雄側大径筒部31の反挿入側端面と継手側当接部47が当接するとともに、取付リング41の腕部側の軸方向端面と雄側大径筒部31の挿入側端面との間には所定の隙間(GとHの差に相当する)が形成されている。
【0086】
以上のように、雄側大径筒部31と雌側突部6は軸方向の両側から継手側突部46を挟持することになる。このため、雌側突部6、継手側突部46および雄側大径筒部31が互いに拘束し合うので、両配管部材は軸方向のいずれの方向にもロックされ、さらに強固な結合力を提供することができる。
【0087】
次に、作業者が両配管部材1、30の接続を外す手順について説明する。まず、両配管部材1、30のロック状態を解除するために、作業者は両配管部材1、30を互いに軸方向に寄せ合う方向に操作すると、雄側配管部材30が雌側配管部材1の内部にさらに深く進入するように移動することにより、これに伴って雌側突部6の係合面と継手側突部46の係合面との接触が解除され、継手側突部46の反腕部側端面と雌側突部6の軸方向反先端側面との間に所定の隙間(寸法Eと寸法Fとの差に相当)が生じる図11に示す状態になる。
【0088】
次に、作業者がこの状態からロック解除操作部44に対して軸心側に向けて外力を加えると、腕部42が軸心側に弾性変形するに伴い、継手側突部46が軸心側に大きく変位して雄側突部6から離脱する。そして、このように継手側突部46と雄側突部6の係合が解除された状態から、作業者が両配管部材1、30を互いに軸方向に離す方向に引っ張ると、両配管部材1、30は軸方向にスムーズに離れて完全に取り外される。本実施形態の配管部材接続装置は、その他の構成部品は第1実施形態と同様であり、その構成および作用効果においても同様である。
【0089】
以上のように本実施形態の配管部材接続装置によれば、継手部材40は雄側大径筒部31よりも雄側配管部材30の軸方向先端寄りで雄側配管部材30に取り付けられることにより、両配管部材の接続状態において、継手側突部46および腕部42が雌側配管部材1と雄側配管部材30との間にほぼ収納される状態となり、構成部品の軸方向長さを短くすることができ、配管部材接続装置を小型化できる。また、配管接続が完了した状態において継手側突部46および腕部42が外部に露出しないので、これらが他の部品と衝突して損傷したり、誤って操作されたりする不具合を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1実施形態の配管部材接続装置における、継手部材20が取り付けられた雄側配管部材10と雌側配管部材1の分解斜視図である。
【図2】同配管部材接続装置の継手部材20の構成を示す斜視図である。
【図3】同配管部材接続装置の接続作業において、雄側筒部11を雌側筒部3内に挿入し、継手側当接部26が雌側当接部8に当接する直前の状態を示した破断図である。
【図4】同接続作業において、雌側突部6によって継手部材20の腕部28が軸心側に最大限弾性変形した状態を示した破断図である。
【図5】同接続作業において、雌側突部6と継手部材20の継手側突部28との係合が完了した状態を示した破断図である。
【図6】同配管部材接続装置の雄側配管部材10と雌側配管部材1が両配管内部の内圧上昇によりロックされた状態を示した破断図である。
【図7】同配管部材接続装置において継手部材20と雌側配管部材1との係合を解除するときの操作を示した拡大図である。
【図8】第2実施形態の配管部材接続装置における継手部材40の構成を示す斜視図である。
【図9】同配管部材接続装置の接続作業において、雄側筒部11を雌側配管部材1内に挿入し、継手側当接部45が雌側当接部8に当接した状態を示した破断図である。
【図10】同接続作業において、雌側突部6によって継手部材40の腕部42が軸心側に最大限弾性変形した状態を示した破断図である。
【図11】同接続作業において、雌側突部6と継手部材40の継手側突部46との係合が完了した状態を示した破断図である。
【図12】同配管部材接続装置の雄側配管部材30と雌側配管部材1が両配管内部の内圧上昇によりロックされた状態を示した破断図である。
【図13】図11のXIII−XIII切断面についての矢視図であり、雌側配管部材1を除いた図である。
【符号の説明】
【0091】
1…雌側配管部材
3…雌側筒部
4…雌側大径筒状部
5…雌側係合筒状部
6…雌側突部
7…雌側係合筒状部の内壁面
10、30…雄側配管部材
11…雄側筒部
13、31…雄側大径筒部
14…環状溝部
20、40…継手部材
24…腕部
25…継手側突部の径方向外側面(継手側係合部の径方向外側面)
28…継手側突部(継手側係合部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向先端寄りに雄側筒部(11)を有する雄側配管部材(10、30)と、前記雄側筒部(11)が挿入される雌側筒部(3)を有する雌側配管部材(1)と、前記雄側配管部材(10)に取り付けられて前記両配管部材(1、10)を結合する継手部材(20、40)と、を備え、前記雄側配管部材(10)と前記雌側配管部材(1)を接続する配管部材接続装置であって、
前記雄側配管部材(10)は前記雄側筒部(11)よりも外径寸法が大きく軸方向反先端側に形成された雄側大径筒部(13、31)を有しており、
前記雌側配管部材(1)は、前記雌側筒部(3)よりも内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側大径筒状部(4)と、前記雌側大径筒状部(4)よりもさらに内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側係合筒状部(5)と、を有しており、
前記継手部材(20)は、弾性変形する腕部(24)と、前記腕部(24)の弾性変形に伴って前記雌側配管部材(1)の軸心側に変位し、前記両配管部材(1、10)を結合したときに前記雌側配管部材(1)に係合する継手側係合部(28)とを有しており、
前記継手側係合部(28)を前記雌側配管部材(1)に係合させて前記両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、
前記雌側大径筒状部(4)は前記雄側大径筒部(13)の径方向外方に位置し、前記雌側係合筒状部(5)は前記継手側係合部(28)の径方向外方に位置することにより、
前記雌側配管部材(1)は、前記雄側配管部材(10)の径方向の動きを前記雌側筒部(3)、前記雌側大径筒状部(4)および前記雌側係合筒状部(5)によって制限することを特徴とする配管部材接続装置。
【請求項2】
前記継手側係合部(28)を前記雌側配管部材(1)に係合させて前記両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、
前記雄側筒部(11)は前記雌側筒部(3)に嵌まり前記雄側大径筒部(13)は前記雌側大径筒状部(4)に嵌まるとともに、
前記継手側係合部の径方向外側面(25)と前記雌側係合筒状部の内壁面(7)は、前記雄側大径筒部(13)と前記雌側大径筒状部(4)の嵌め合い部よりも前記雌側配管部材(1)の軸心から離れた位置で嵌め合っていることを特徴とする請求項1に記載の配管部材接続装置。
【請求項3】
前記継手側係合部(28)を前記雌側配管部材(1)に係合させて前記両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、
前記継手側係合部(28)の動きは前記雌側係合筒状部(5)によって径方向に制限されているとともに、前記雌側配管部材(1)によって軸方向にも制限されていることを特徴とする請求項1または2に記載の配管部材接続装置。
【請求項4】
前記雄側筒部(11)の外径寸法と前記雌側筒部(3)の内径寸法の差は0.10mm以下であり、前記雄側大径筒部(13)の外径寸法と前記雌側大径筒状部(4)の内径寸法の差は0.30mm以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の配管部材接続装置。
【請求項5】
前記継手部材(20)は前記雄側配管部材(10)に対して軸方向に移動可能なように取り付けられており、
前記雌側配管部材(1)は前記雌側係合筒状部(5)よりも軸方向先端寄りに設けられて軸心側に突出する雌側突部(6)を有しており、
前記継手側係合部(28)が前記雌側配管部材(1)に係合した状態で、前記雄側配管部材(10)と前記雌側配管部材(1)を互いに離そうとする力が働いたとき、
前記雄側大径筒部(13)と前記雌側突部(6)は軸方向の両側から前記継手側係合部(28)を挟持することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の配管部材接続装置。
【請求項6】
前記雌側大径筒状部(4)の内周面の軸方向長さは前記雄側大径筒部(13)の外周面の軸方向長さ以上であることを特徴とする請求項5に記載の配管部材接続装置。
【請求項7】
前記雌側配管部材(1)は前記雌側係合筒状部(5)よりも軸方向先端寄りに設けられて軸心側に突出する雌側突部(6)を有し、
前記雌側突部(6)の軸方向端面は、その軸心側部位が反軸心側部位よりも前記雌側筒部(3)寄りに位置するように軸方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の配管部材接続装置。
【請求項8】
前記継手部材(40)は前記雄側大径筒部(31)よりも前記雄側配管部材(30)の軸方向先端寄りで前記雄側配管部材(30)に取り付けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の配管部材接続装置。
【請求項1】
軸方向先端寄りに雄側筒部(11)を有する雄側配管部材(10、30)と、前記雄側筒部(11)が挿入される雌側筒部(3)を有する雌側配管部材(1)と、前記雄側配管部材(10)に取り付けられて前記両配管部材(1、10)を結合する継手部材(20、40)と、を備え、前記雄側配管部材(10)と前記雌側配管部材(1)を接続する配管部材接続装置であって、
前記雄側配管部材(10)は前記雄側筒部(11)よりも外径寸法が大きく軸方向反先端側に形成された雄側大径筒部(13、31)を有しており、
前記雌側配管部材(1)は、前記雌側筒部(3)よりも内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側大径筒状部(4)と、前記雌側大径筒状部(4)よりもさらに内径寸法が大きく軸方向先端寄りに形成された雌側係合筒状部(5)と、を有しており、
前記継手部材(20)は、弾性変形する腕部(24)と、前記腕部(24)の弾性変形に伴って前記雌側配管部材(1)の軸心側に変位し、前記両配管部材(1、10)を結合したときに前記雌側配管部材(1)に係合する継手側係合部(28)とを有しており、
前記継手側係合部(28)を前記雌側配管部材(1)に係合させて前記両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、
前記雌側大径筒状部(4)は前記雄側大径筒部(13)の径方向外方に位置し、前記雌側係合筒状部(5)は前記継手側係合部(28)の径方向外方に位置することにより、
前記雌側配管部材(1)は、前記雄側配管部材(10)の径方向の動きを前記雌側筒部(3)、前記雌側大径筒状部(4)および前記雌側係合筒状部(5)によって制限することを特徴とする配管部材接続装置。
【請求項2】
前記継手側係合部(28)を前記雌側配管部材(1)に係合させて前記両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、
前記雄側筒部(11)は前記雌側筒部(3)に嵌まり前記雄側大径筒部(13)は前記雌側大径筒状部(4)に嵌まるとともに、
前記継手側係合部の径方向外側面(25)と前記雌側係合筒状部の内壁面(7)は、前記雄側大径筒部(13)と前記雌側大径筒状部(4)の嵌め合い部よりも前記雌側配管部材(1)の軸心から離れた位置で嵌め合っていることを特徴とする請求項1に記載の配管部材接続装置。
【請求項3】
前記継手側係合部(28)を前記雌側配管部材(1)に係合させて前記両配管部材(1、10)を結合して接続したときに、
前記継手側係合部(28)の動きは前記雌側係合筒状部(5)によって径方向に制限されているとともに、前記雌側配管部材(1)によって軸方向にも制限されていることを特徴とする請求項1または2に記載の配管部材接続装置。
【請求項4】
前記雄側筒部(11)の外径寸法と前記雌側筒部(3)の内径寸法の差は0.10mm以下であり、前記雄側大径筒部(13)の外径寸法と前記雌側大径筒状部(4)の内径寸法の差は0.30mm以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の配管部材接続装置。
【請求項5】
前記継手部材(20)は前記雄側配管部材(10)に対して軸方向に移動可能なように取り付けられており、
前記雌側配管部材(1)は前記雌側係合筒状部(5)よりも軸方向先端寄りに設けられて軸心側に突出する雌側突部(6)を有しており、
前記継手側係合部(28)が前記雌側配管部材(1)に係合した状態で、前記雄側配管部材(10)と前記雌側配管部材(1)を互いに離そうとする力が働いたとき、
前記雄側大径筒部(13)と前記雌側突部(6)は軸方向の両側から前記継手側係合部(28)を挟持することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の配管部材接続装置。
【請求項6】
前記雌側大径筒状部(4)の内周面の軸方向長さは前記雄側大径筒部(13)の外周面の軸方向長さ以上であることを特徴とする請求項5に記載の配管部材接続装置。
【請求項7】
前記雌側配管部材(1)は前記雌側係合筒状部(5)よりも軸方向先端寄りに設けられて軸心側に突出する雌側突部(6)を有し、
前記雌側突部(6)の軸方向端面は、その軸心側部位が反軸心側部位よりも前記雌側筒部(3)寄りに位置するように軸方向に対して傾斜していることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の配管部材接続装置。
【請求項8】
前記継手部材(40)は前記雄側大径筒部(31)よりも前記雄側配管部材(30)の軸方向先端寄りで前記雄側配管部材(30)に取り付けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の配管部材接続装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−275080(P2008−275080A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−119891(P2007−119891)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(501022158)デンソーエアーズ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(501022158)デンソーエアーズ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】
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