説明

配線シート、配線シート付き太陽電池セル、太陽電池モジュール、配線シートの製造方法および太陽電池モジュールの製造方法

【課題】太陽電池モジュール内における裏面電極型太陽電池セルの充填率を安定して高めることができる配線シート、配線シート付き太陽電池セル、太陽電池モジュール、配線シートの製造方法および太陽電池モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】絶縁性基材と絶縁性基材の一方の面側に設置された配線とを含み、端部近傍領域内に、厚さ方向における少なくとも一部が除去された除去部分を有する配線シート、それを用いた配線シート付き太陽電池セル、太陽電池モジュール、配線シートの製造方法および太陽電池モジュールの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線シート、配線シート付き太陽電池セル、太陽電池モジュール、配線シートの製造方法および太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギ資源の枯渇の問題や大気中のCO2の増加のような地球環境問題などからクリーンなエネルギの開発が望まれており、特に太陽電池セルを用いた太陽光発電が新しいエネルギ源として開発、実用化され、発展の道を歩んでいる。
【0003】
太陽電池セルは、従来から、たとえば単結晶または多結晶のシリコン基板の受光面にシリコン基板の導電型と反対の導電型となる不純物を拡散することによってpn接合を形成し、シリコン基板の受光面と受光面の反対側の裏面にそれぞれ電極を形成して製造された両面電極型太陽電池セルが主流となっている。また、両面電極型太陽電池セルにおいては、シリコン基板の裏面にシリコン基板と同じ導電型の不純物を高濃度で拡散することによって、裏面電界効果による高出力化を図ることも一般的となっている。
【0004】
また、シリコン基板の受光面に電極を形成せず、シリコン基板の裏面のみに電極を形成した裏面電極型太陽電池セルを配線シート上に設置した配線シート付きの太陽電池セル(配線シート付き太陽電池セル)についても研究開発が進められている(たとえば特許文献1等参照)。
【0005】
以下、図29(a)および図29(b)の模式的断面図を参照して、特許文献1に記載の従来の配線シート付き太陽電池セルの製造方法について説明する。
【0006】
まず、図29(a)に示すように、配線シート100上に裏面電極型太陽電池セル80を設置する。
【0007】
ここで、裏面電極型太陽電池セル80のn型シリコン基板101の裏面のp+層102に接するp型用銀電極106の表面に形成された半田119が配線シート100のガラエポ基板111上に形成されたp配線112の表面に形成された半田119上に設置されるとともに、裏面電極型太陽電池セル80のn型シリコン基板101の裏面のn+層103に接するn型用銀電極107の表面に形成された半田119が配線シート100のガラエポ基板111上に形成されたn配線113の表面に形成された半田119上に設置される。
【0008】
そして、裏面電極型太陽電池セル80側から熱を与えて双方の半田119を溶解させた後に冷却することによって、図29(b)に示すように、裏面電極型太陽電池セル80のp型用銀電極106と配線シート100のp配線112とが半田119によって接続されるとともに、裏面電極型太陽電池セル80のn型用銀電極107と配線シート100のn配線113とが半田119によって接続されることによって、裏面電極型太陽電池セル80と配線シート100とが一体化されて配線シート付き太陽電池セルが作製される。
【0009】
また、特許文献2には、裏面電極型太陽電池セル毎に裏面電極型太陽電池セルの電極に合わせた配線パターンを有するプリント基板を1枚ずつ用意し、裏面電極型太陽電池セルの電極とプリント基板の配線パターンとを電気的に接続した後に、プリント基板の配線パターン同士をリード線で電気的に接続して配線シート付き太陽電池セルを作製する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−340362号公報
【特許文献2】特開2009−43842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
実際の太陽光発電においては、上記のようにして作製された配線シート付き太陽電池セルがEVA(エチレンビニルアセテート)などの透明樹脂からなる封止材中に封止された太陽電池モジュールの状態で使用される。
【0012】
そして、太陽電池モジュールは、その受光面積当たりの発電量の大きいものが良好な特性を有するものとされ、特許文献1に記載されているような配線シート付き太陽電池セルを封止材中に封止した太陽電池モジュールにおいても、その特性を向上させることが要望されている。
【0013】
しかしながら、特許文献1の方法においては、太陽電池モジュール内における裏面電極型太陽電池セルの充填率を向上させて、太陽電池モジュールの発電効率を向上させるという点についてまで想到するには至っていない。
【0014】
この課題を解決すべく、特許文献2に記載されているように、裏面電極型太陽電池セルが配置された配線シートの端部を裏面電極型太陽電池セルの受光面とは反対側に折り返して設置する提案がなされている。
【0015】
しかしながら、特許文献2に記載された方法よりも配線シートの折り返し位置の精度をさらに高めて裏面電極型太陽電池セルの充填率の高い太陽電池モジュールを作製することが求められていた。
【0016】
上記の事情に鑑みて、本発明の目的は、太陽電池モジュール内における裏面電極型太陽電池セルの充填率を安定して高めることができる配線シート、配線シート付き太陽電池セル、太陽電池モジュール、配線シートの製造方法および太陽電池モジュールの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、絶縁性基材と、絶縁性基材の一方の面側に設置された配線と、を含む配線シートであって、端部近傍領域内に、厚さ方向における少なくとも一部が除去された除去部分を有する配線シートである。
【0018】
ここで、本発明の配線シートにおいて、除去部分は、絶縁性基材の少なくとも一部を除去して形成することができる。
【0019】
また、本発明の配線シートにおいて、除去部分は、配線の少なくとも一部を除去して形成することができる。
【0020】
また、本発明の配線シートにおいて、除去部分は、面内において、連続的または間欠的に形成することができる。
【0021】
また、本発明の配線シートにおいて、除去部分は、面内において、複数設けられていてもよい。
【0022】
また、本発明の配線シートにおいて、除去部分は、絶縁性基材および配線を貫通する部分を有することができる。
【0023】
また、本発明は、上記の配線シートと、裏面電極型太陽電池セルと、を含み、配線シートの配線は、第1導電型用配線と、第2導電型用配線と、を有しており、裏面電極型太陽電池セルは、半導体基板と、半導体基板の一方の面側に設置された第1導電型用電極と第2導電型用電極とを有し、第1導電型用配線と第1導電型用電極とが電気的に接続され、第2導電型用配線と第2導電型用電極とが電気的に接続されている、配線シート付き太陽電池セルである。
【0024】
また、本発明は、上記の配線シート付き太陽電池セルを含む、太陽電池モジュールである。
【0025】
また、本発明は、絶縁性基材の一方の面側に配線が設置された配線シートと、裏面電極型太陽電池セルと、を含み、配線シートの配線は、第1導電型用配線と、第2導電型用配線と、を有しており、裏面電極型太陽電池セルは、半導体基板と、半導体基板の一方の面側に設置された第1導電型用電極と第2導電型用電極とを有し、第1導電型用配線と第1導電型用電極とが電気的に接続され、第2導電型用配線と第2導電型用電極とが電気的に接続されており、配線シートは、該配線シートの端部と該端部に最も近い裏面電極型太陽電池セルの接続箇所との間において、厚さ方向における少なくとも一部が除去された除去部分を有しているとともに、絶縁性基材側に折り返されており、配線シートに接続された裏面電極型太陽電池セルが封止材を用いて封止されている太陽電池モジュールである。
【0026】
また、本発明の太陽電池モジュールにおいては、配線シートを複数含み、該複数の配線シートの絶縁性基材の少なくとも一部が重なり合うように隣り合わせて配列されていることが好ましい。
【0027】
また、本発明の太陽電池モジュールにおいては、配線シートの除去部分が絶縁性基材および配線を貫通する貫通部を含み、配線シートの絶縁性基材側に折り返された部分の絶縁性基材間に介在された封止材が貫通部を通して外側の封止材と一体化していることが好ましい。
【0028】
また、本発明は、絶縁性基材の一方の面側に配線を形成する工程と、絶縁性基材および配線の少なくとも一方の厚さ方向における少なくとも一部を除去する工程と、を含む、配線シートの製造方法である。
【0029】
また、本発明の配線シートの製造方法においては、絶縁性基材および配線の少なくとも一方にレーザ光を照射することによって厚さ方向における少なくとも一部を除去する工程を含むことが好ましい。
【0030】
また、本発明は、絶縁性基材の一方の面側に配線が設置された配線シートと配線シートの配線に接続された裏面電極型太陽電池セルとを含む配線シート付き太陽電池セルを封止材を用いて封止する太陽電池モジュールの製造方法であって、配線シートの端部と該端部に最も近い裏面電極型太陽電池セルの接続箇所との間において、絶縁性基材および配線の少なくとも一方の厚さ方向における少なくとも一部を除去する工程と、除去する工程において除去された箇所を含む位置で、配線シートを絶縁性基材側に折り返す工程と、配線シートを封止材を用いて封止する工程と、を含む、太陽電池モジュールの製造方法である。
【0031】
また、本発明の太陽電池モジュールの製造方法において、封止する工程は、配線シートの裏面電極型太陽電池セルの接続側に第1の封止材および支持体をこの順序で配置した後に裏面電極型太陽電池セルを第1の封止材で封止する工程と、配線シートの裏面電極型太陽電池セルの接続側と反対側に第2の封止材および保護部材をこの順序で配置した後に配線シートを第2の封止材で封止する工程と、を含み、第1の封止材で封止する工程と第2の封止材で封止する工程との間に除去する工程と折り返す工程とを行なうことが好ましい。
【0032】
また、本発明の太陽電池モジュールの製造方法においては、配線シートが絶縁性基材側に折り返された部分の絶縁性基材間に封止材を配置する工程を含むことが好ましい。
【0033】
また、本発明の太陽電池モジュールの製造方法においては、配線シートの複数を、絶縁性基材の少なくとも一部が重なり合うように隣り合わせて配列する工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、太陽電池モジュール内における裏面電極型太陽電池セルの充填率を安定して高めることができる配線シート、配線シート付き太陽電池セル、太陽電池モジュール、配線シートの製造方法および太陽電池モジュールの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の配線シートの一例を配線の設置側から見たときの模式的な平面図である。
【図2】図1に示す配線シートを絶縁性基材側から見たときの模式的な平面図である。
【図3】図1および図2に示す配線シートを配線の設置側から見たときの模式的な拡大平面図である。
【図4】図3のIV−IVに沿った模式的な断面図である。
【図5】図1および図2に示す配線シートが芯に巻き取られてなる配線シートロールの一例の模式的な斜視図である。
【図6】図5に示す配線シートロールの使用方法の一例を図解する模式的な側面図である。
【図7】図1および図2に示す配線シートの製造方法の一例の製造工程の一部を図解する模式的な平面図である。
【図8】図1および図2に示す配線シートの製造方法の一例の製造工程の他の一部を図解する模式的な平面図である。
【図9】本発明に用いられる裏面電極型太陽電池セルの一例の裏面の模式的な平面図である。
【図10】図9のX−Xに沿った模式的な断面図である。
【図11】本発明の配線シート付き太陽電池セルの一例を受光面側から見たときの模式的な平面図である。
【図12】図11のXII−XIIに沿った模式的な断面図である。
【図13】(a)および(b)は、図11および図12に示す配線シート付き太陽電池セルの製造方法の一例について図解する模式的な断面図である。
【図14】図11および図12に示す配線シート付き太陽電池セルの裏面電極型太陽電池セルの設置側に第1の封止材を設置する工程の一例を図解する模式的な断面図である。
【図15】図11および図12に示す配線シート付き太陽電池セルの裏面電極型太陽電池セルが第1の封止材中に封止された後の形態の一例の模式的な断面図である。
【図16】図15に示す配線シート付き太陽電池セルの配線シートの両端を絶縁性基材側に折り返した形態の一例を図解する模式的な断面図である。
【図17】図16に示す配線シート付き太陽電池セルの配線シートの折り返し部分の模式的な拡大断面図である。
【図18】図16に示す配線シート付き太陽電池セルの配線シートの折り返し部分に導線を接続した形態の一例の模式的な平面図である。
【図19】本発明に用いられる第2の封止材の一例の模式的な平面図である。
【図20】本発明に用いられる裏面保護シートの一例の模式的な平面図である。
【図21】図16に示す配線シート付き太陽電池セルの配線シートの折り返し側に第2の封止材および裏面保護シートをそれぞれ設置する工程の一例を図解する模式的な断面図である。
【図22】図16に示す配線シート付き太陽電池セルが封止材中に封止された太陽電池モジュールの一例の模式的な断面図である。
【図23】図22に示す太陽電池モジュールへの端子ボックスの取り付けを図解する模式的な平面図である。
【図24】図7に示す絶縁性基材の表面の配線上に図9および図10に示す裏面電極型太陽電池セルを設置した形態の一例を図解する模式的な平面図である。
【図25】図7に示す絶縁性基材の表面の配線上に設置された図9および図10に示す裏面電極型太陽電池セル上に第1の封止材を設置する工程の一例を図解する模式的な断面図である。
【図26】図25に示す裏面電極型太陽電池セルが第1の封止材中に封止された後の形態の一例の模式的な断面図である。
【図27】図26に示す裏面電極型太陽電池セルが第1の封止材中に封止された後の絶縁性基材の一部を除去して除去部分を形成する工程の一例の模式的な斜視図である。
【図28】透光性基板の表面上に、裏面電極型太陽電池セルの電極が電気的に接続された配線を備えた2枚の絶縁性基材をその少なくとも一部が重なり合うように隣り合わせて配列して除去部分を形成する工程の一例を図解する模式的な斜視図である。
【図29】(a)および(b)は、従来の配線シート付き太陽電池セルの製造方法について図解する模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0037】
<実施の形態1>
図1に、本発明の配線シートの一例を配線の設置側から見たときの模式的な平面図を示し、図2に、図1に示す配線シートを絶縁性基材側から見たときの模式的な平面図を示す。ここで、配線シート10は、絶縁性基材11と、絶縁性基材11上において図1に示す形状にパターンニングされた配線16と、を有している。
【0038】
また、配線シート10は、第1方向50における一方の端部側となる端部近傍領域62a内および他方の端部側となる端部近傍領域62b内にはそれぞれ除去部分61が設けられている。
【0039】
ここで、除去部分61は、配線シート10の少なくとも一部が配線シート10の厚さ方向に除去された部分のことであり、この例において、除去部分61は、絶縁性基材11および配線16の双方がそれぞれ厚さ方向に除去された貫通孔である除去部分61aと、絶縁性基材11のみが厚さ方向に除去された部分である除去部分61bとから構成されているが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、除去部分61aまたは除去部分61bのいずれか一方から構成されていてもよい。
【0040】
また、この例においては、除去部分61aは第2方向51に沿って間欠的に形成され、除去部分61bは第2方向51に沿って連続的に形成されているが、除去部分61の大きさ、形状および個数(たとえば、単数または複数)などは特に限定されず、配線シート10の面内の一部の領域である端部近傍領域62aおよび端部近傍領域62bの少なくとも一方の領域内において配線シート10(絶縁性基材11および/または配線16)の一部がその厚さ方向に除去されていればよい。
【0041】
また、図1に示すように、除去部分61の一部に重なるように除去位置案内マーク63が配線16に形成されていることが好ましい。除去位置案内マーク63は、後述する除去部分61の形成工程において、除去部分61の形成位置の精度を高めることができる。
【0042】
なお、本明細書においては、第1方向50と第2方向51とが為す角度が90°である場合について説明するが、本発明においては、第1方向50と第2方向51とはそれぞれ異なる方向であればよく、第1方向50と第2方向51とが為す角度はたとえば90°±14°の範囲内のものとすることができる。また、本明細書において、第1方向50および第2方向51はそれぞれ本発明の図面の矢印の向きと同一方向、反対方向および双方向のいずれの意味も含んでおり、状況に応じて適宜使い分けることができる。
【0043】
図3に、図1および図2に示す配線シートを配線の設置側から見たときの模式的な拡大平面図を示す。図3に示すように、配線シート10の配線16は、絶縁性基材11の表面上に設置された、n型用配線12、p型用配線13、第1の接続用配線14aおよび第2の接続用配線14bを有している。
【0044】
ここで、n型用配線12、p型用配線13、第1の接続用配線14aおよび第2の接続用配線14bはそれぞれ導電性であり、n型用配線12およびp型用配線13はそれぞれ第1方向50に伸長する帯状に形成されており、第1の接続用配線14aおよび第2の接続用配線14bはそれぞれ第2方向51に伸長する形状に形成されている。
【0045】
また、複数のn型用配線12のそれぞれの一端が接続部21において第1の接続用配線14aに電気的に接続されており、複数のp型用配線13のそれぞれの一端が接続部21において第2の接続用配線14bに電気的に接続されている。
【0046】
そして、1本の第1の接続用配線14aとそれに電気的に接続する複数の帯状のn型用配線12とから1つのn型用櫛形配線が構成されており、1本の第2の接続用配線14bとそれに電気的に接続する複数の帯状のp型用配線13とから1つのp型用櫛形配線が構成されている。
【0047】
ここで、1つのp型用櫛形配線と1つのn型用櫛形配線とは互いの櫛歯が向かい合うようにして設置されており、n型用櫛形配線の櫛歯に相当する帯状のn型用配線12と、p型用櫛形配線の櫛歯に相当する帯状のp型用配線13とはそれぞれ1本ずつ交互に間隔をあけて第2方向51に配列されることにより交互配列部20を構成している。なお、交互配列部20は、n型用配線12とp型用配線13とが1本ずつ交互に配列された配線領域である。
【0048】
図4に、図3のIV−IVに沿った模式的な断面図を示す。ここで、図4に示すように、配線シート10においては、絶縁性基材11の一方の表面上にのみn型用配線12およびp型用配線13が設置されており、n型用配線12とp型用配線13とは1本ずつ交互に所定の間隔をあけて配置されて交互配列部20を構成している。ここで、交互配列部20は、後述する裏面電極型太陽電池セルが電気的に接続する箇所である接続箇所となる。
【0049】
また、図3に示すように、1つの交互配列部20において、n型用配線12の第1の接続用配線14a側とは反対側の端と第2の接続用配線14bとの間、およびp型用配線13の第2の接続用配線14b側とは反対側の端と第1の接続用配線14aとの間にはそれぞれ間隙18が設けられている。なお、間隙18は、配線シート10の絶縁性基材11の表面上において配線16が設けられていない領域である。
【0050】
さらに、図3においては、第2の接続用配線14bの一方の側面である第1の側面に複数のp型用配線13のそれぞれの一端が接続部21において電気的に接続されており、第2の接続用配線14bの他方の側面である第2の側面に複数のn型用配線12のそれぞれの一端が接続部21において電気的に接続されているため、第1方向50に隣り合って配置された交互配列部20は第2の接続用配線14bによって電気的に接続されている。さらに、図1に示すように、端部近傍領域62bにも配線16が形成されていることから、端部近傍領域62bに隣接し、かつ第2方向51に並んで配置された交互配列部20同士も電気的に接続されることになる。これにより、図1および図2に示す配線シート10においては、交互配列部20がU字状に電気的に接続されることになる。
【0051】
また、端部近傍領域62aおよび端部近傍領域62bはそれぞれ、配線シート10の第1方向50における一端から、その一端に最も近い位置に配置されている交互配列部20の端までの少なくとも一部の領域である。ここで、端部近傍領域62aおよび端部近傍領域62bはそれぞれ、配線シート10の第1方向50における一端から、その一端に最も近い交互配列部20の端からその一端側に1mm以上の距離をあけた箇所までの領域であることが好ましい。
【0052】
端部近傍領域62aおよび端部近傍領域62bはそれぞれ、たとえば、配線シート10の第1方向50における一端から配線シート10の第1方向50における内側に10mm以上150mm以下の距離だけ入り込んだ領域とすることができる。
【0053】
なお、上記において、絶縁性基材11の材質としては、電気絶縁性の材質であれば特に限定なく用いることができ、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN:Polyethylene naphthalate)、ポリフェニレンサルファイド(PPS:Polyphenylene sulfide)、ポリビニルフルオライド(PVF:Polyvinyl fluoride)およびポリイミド(Polyimide)からなる群から選択された少なくとも1種の樹脂を含む材質を用いることができる。
【0054】
また、絶縁性基材11の厚さは特に限定されず、たとえば25μm以上150μm以下とすることができる。
【0055】
なお、絶縁性基材11は、1層のみからなる単層構造であってもよく、2層以上からなる複数層構造であってもよい。
【0056】
また、配線16の材質としては、導電性の材質のものであれば特に限定なく用いることができ、たとえば、銅、アルミニウムおよび銀からなる群から選択された少なくとも1種を含む金属などを用いることができる。
【0057】
また、配線16の厚さも特に限定されず、たとえば10μm以上50μm以下とすることができる。
【0058】
また、配線16の少なくとも一部の表面には、たとえば、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、錫(Sn)、SnPbはんだ、およびITO(Indium Tin Oxide)からなる群から選択された少なくとも1種を含む導電性物質を設置してもよい。この場合には、配線シート10の配線16と後述する裏面電極型太陽電池セルの電極との電気的接続を良好なものとし、配線16の耐候性を向上させることができる傾向にある。
【0059】
また、配線16の少なくとも一部の表面には、たとえば防錆処理や黒化処理などの表面処理を施してもよい。
【0060】
なお、配線16も、1層のみからなる単層構造であってもよく、2層以上からなる複数層構造であってもよい。
【0061】
図1および図2に示す配線シート10は、たとえば、図1および図2に示される配線16および除去部分61のパターンが連続して形成された長尺の配線シート10が芯22に巻き取られてなるたとえば図5の模式的斜視図に示す配線シートロールからたとえば図6の模式的側面図に示すように必要な長さに引き出して切り取ることにより得ることができる。
【0062】
このように配線シート10が巻き取られてなる図5に示す構成の配線シートロールから、たとえば図6に示すように配線シート10を必要な長さに引き出して切り取って用いることにより、1本の共通した配線シートロールを用いて様々な大きさの太陽電池モジュールを作製することが可能となる。
【0063】
たとえば、配線シートロールから第1方向50に引き出された図1および図2に示す配線シート10を交互配列部20の途中で第2方向51に沿って切り取ることによって配線シート10の両端がそれぞれ途中で切断された交互配列部20から構成される場合には、たとえば、切り取られた配線シート10の一方の端において途中で切断された2つの交互配列部20に1本の帯状の導電性部材をその長手方向が第2方向51に一致するように貼り付けたものを配線シート10として用いることができる。これにより、切り取られた配線シート10の一方の端に位置する2つの交互配列部20の第2方向51に配列されたn型用配線12とp型用配線13とを電気的に接続することができるため、第2方向51において隣り合うこれら2つの交互配列部20同士を電気的に接続して配線シート10の交互配列部20をU字状に電気的に接続することができる。
【0064】
なお、芯22としては、配線シート10を巻き取ることができるものを特に限定なく用いることができる。
【0065】
また、図1および図2に示す配線シート10は、たとえば上記のように配線シートロールから引き出して得られたものだけでなく、予め所定の大きさに切り出された絶縁性基材11の表面上に予め、あるいは絶縁性基材11を切り出した後に配線16および除去部分61がそれぞれ形成されたものも用いることができる。
【0066】
図1および図2に示す配線シート10は、たとえば以下のようにして製造することができる。
【0067】
まず、図7の模式的平面図に示すように、絶縁性基材11の表面上に配線16を形成する。ここで、配線16は、たとえば、絶縁性基材11の表面に導電性物質を貼り合わせた後に、導電性物質の一部をフォトエッチングなどにより除去して導電性物質をパターンニングすることによって形成することができる。また、このパターンニングによって、除去部分61aの形成箇所に対応する領域の配線16部分は除去される。
【0068】
次に、図8の模式的斜視図に示すように、端部近傍領域62aおよび端部近傍領域62bのそれぞれの領域内の所定領域にレーザ光83を絶縁性基材11側からそれぞれ第2方向51に沿って連続的に照射することによって絶縁性基材11のみをその厚さ方向に直線状に除去することによって除去部分61bを形成する。
【0069】
ここで、除去部分61bは、たとえば、第2方向51に伸長するガイド81に沿ってレーザ光照射装置82を移動させながら、レーザ光照射装置82から連続的に絶縁性基材11にレーザ光83を照射することによって、絶縁性基材11のみをその厚さ方向にその厚さの少なくとも一部を除去することによって形成することができる。
【0070】
なお、レーザ光83としては、配線16には吸収されにくく、絶縁性基材11に吸収されやすい波長を有し、絶縁性基材11のみをその厚さ方向に除去することができるものであれば特に限定されず、たとえば、配線16が銅から形成され、絶縁性基材11がPENから形成される場合には、レーザ光83としては、たとえば、CO2レーザ光(たとえば波長9.3μm〜10.6μm)などを使用することができる。
【0071】
次に、端部近傍領域62aおよび端部近傍領域62bのそれぞれの領域内の除去部分61aの形成箇所に対応する領域の配線16の除去領域にレーザ光83を照射する。これにより、当該配線16の除去領域における絶縁性基材11がその厚さ方向にすべて除去されて除去部分61aが形成される。
【0072】
なお、説明の便宜上、図1、図2および図8においては、除去部分61bは、1本の直線状にしか図示していないが、この例において、除去部分61bは、第2方向51に伸長する4本の直線状の溝が所定の間隔をあけて並列したものにより構成されている。ただし、除去部分61bの本数はこれに限定されるものではなく、除去部分61bの形状も連続した直線状に限定されずたとえば破線状などであってもよい。除去部分61bの本数および形状は、たとえば、絶縁性基材11の弾性率や配線16の加工率などから定めることができる最適な配線シート10の折り返し部分の曲率半径となるように適宜設定すればよい。
【0073】
また、本実施の形態においては、除去部分61aの形成領域と除去部分61bの形成領域とが異なる領域となるように除去部分61aおよび除去部分61bをそれぞれ形成しているが、たとえば、除去部分61aは除去部分61bと重なる領域に形成されていてもよく、除去部分61bの一部または全部を除去部分61aとすることもできる。
【0074】
なお、本実施の形態においては、配線シート10にレーザ光83を照射することによって除去部分61を形成している。これにより、上記のようにレーザ光83の波長を適宜選択することができるため、特定の材料のみを除去することができる。また、レーザ光83の強度、照射径の可変および制御が容易であるため、除去部分61を任意の形状や厚さにすることが容易となる。除去部分61の形成方法としては、配線シート10へのレーザ光83の照射に限られるものではなく、たとえば切削工具による配線シート10の切削加工や、配線シート10のエッチングなどの方法も用いることができる。
【0075】
また、たとえば図1および図2に示すように、除去部分61の一部に重なるように除去位置案内マーク63が配線16に形成されている場合には、レーザ光照射装置82などの除去部分61の形成手段と、除去位置案内マーク63とを予め位置合わせすることにより、除去部分61の形成位置の精度を高めて除去部分61を形成することができる傾向にある。
【0076】
次に、たとえば図9の模式的平面図に示す裏面を有する裏面電極型太陽電池セルを用意する。ここで、裏面電極型太陽電池セル30においては、n型用電極34およびp型用電極35がそれぞれ帯状に形成されており、帯状のn型用電極34と帯状のp型用電極35とが半導体基板31の裏面上において、1本ずつ交互に所定の間隔をあけて配置されている。
【0077】
また、裏面電極型太陽電池セル30の周縁の一部には、n型用電極34およびp型用電極35が形成されていない部分である電極非形成部38が設けられており、電極非形成部38には、たとえば、裏面電極型太陽電池セル30を配線シート10上の正確な位置に設置するためのアライメントマークを設けることができる。
【0078】
なお、裏面電極型太陽電池セル30の裏面のn型用電極34およびp型用電極35のそれぞれの形状および配置は、図9に示す構成に限定されず、配線シート10のn型用配線12およびp型用配線13にそれぞれ電気的に接続可能な形状および配置であればよい。
【0079】
また、裏面電極型太陽電池セル30のn型用電極34の少なくとも一部の表面および/またはp型用電極35の少なくとも一部の表面には、たとえば、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、錫(Sn)、チタン(Ti)、SnPbはんだ、およびITO(Indium Tin Oxide)からなる群から選択された少なくとも1種を含む導電性物質を設置してもよい。この場合には、配線シート10の配線16(n型用配線12、p型用配線13)と裏面電極型太陽電池セル30の電極(n型用電極34、p型用電極35)との電気的接続を良好なものとし、裏面電極型太陽電池セル30の電極(n型用電極34、p型用電極35)の耐候性を向上させることができる傾向にある。
【0080】
また、裏面電極型太陽電池セル30のn型用電極34の少なくとも一部の表面および/またはp型用電極35の少なくとも一部の表面には、たとえば防錆処理や黒化処理などの表面処理を施してもよい。
【0081】
図10に、図9のX−Xに沿った模式的な断面図を示す。ここで、裏面電極型太陽電池セル30は、たとえばn型またはp型のシリコン基板などの半導体基板31と、裏面電極型太陽電池セル30の受光面となる半導体基板31の凹凸表面側に形成された反射防止膜37と、裏面電極型太陽電池セル30の裏面となる半導体基板31の裏面側に形成されたパッシベーション膜36とを有している。
【0082】
また、半導体基板31の裏面側には、たとえばリンなどのn型不純物が拡散して形成されたn型不純物拡散領域32と、たとえばボロンなどのp型不純物が拡散して形成されたp型不純物拡散領域33と、が所定の間隔を空けて交互に形成されているとともに、半導体基板31の裏面側のパッシベーション膜36に設けられたコンタクトホールを通してn型不純物拡散領域32に接するn型用電極34およびp型不純物拡散領域33に接するp型用電極35がそれぞれ設けられている。
【0083】
また、n型またはp型の導電型を有する半導体基板31の裏面側には、n型不純物拡散領域32またはp型不純物拡散領域33と半導体基板31内部との界面において複数のpn接合が形成されることになる。半導体基板31がn型またはp型のいずれの導電型を有していても、n型不純物拡散領域32およびp型不純物拡散領域33はそれぞれ半導体基板31内部と接合していることから、n型用電極34およびp型用電極35はそれぞれ半導体基板31の裏面側に形成された複数のpn接合にそれぞれ対応する電極となる。
【0084】
また、半導体基板31としては、たとえば、n型またはp型の多結晶シリコンまたは単結晶シリコンなどからなるシリコン基板などを用いることができる。なお、半導体基板31としては、裏面側でpn接合を形成するには、単結晶であることが好ましい。
【0085】
また、n型用電極34およびp型用電極35としてはそれぞれ、たとえば、銀などの金属からなる電極を用いることができる。
【0086】
また、パッシベーション膜36としては、たとえば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、または酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層体などを用いることができる。
【0087】
また、反射防止膜37としては、たとえば、窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0088】
なお、本発明における裏面電極型太陽電池セルの概念には、上述した半導体基板31の一方の表面側(裏面側)のみにn型用電極34およびp型用電極35の双方が形成された構成のものだけでなく、MWT(Metal Wrap Through)セル(半導体基板に設けられた貫通孔に電極の一部を配置した構成の太陽電池セル)などのいわゆるバックコンタクト型太陽電池セル(太陽電池セルの受光面側と反対側の裏面側から電流を取り出す構造の太陽電池セル)のすべてが含まれる。
【0089】
図11に、本発明の配線シート付き太陽電池セルの一例の模式的な平面図を示す。ここで、配線シート付き太陽電池セルは、図9および図10に示す構成を有する8つの裏面電極型太陽電池セル30が図1および図2に示す1枚の配線シート10の配線16の8つの交互配列部20上にそれぞれ設置された構成を有している。
【0090】
図12に、図11のXII−XIIに沿った模式的な断面図を示す。図12に示すように、配線シート付き太陽電池セルは、裏面電極型太陽電池セル30の裏面側と、配線シート10の配線16の設置側とが向かい合うようにして、配線シート10の配線16の交互配列部20上に裏面電極型太陽電池セル30の電極(n型用電極34およびp型用電極35)を設置することによって作製されている。
【0091】
なお、配線シート付き太陽電池セルは、配線シート10の配線16の交互配列部20上に裏面電極型太陽電池セル30の電極(n型用電極34およびp型用電極35)を設置して作製してもよく、裏面電極型太陽電池セル30の電極(n型用電極34およびp型用電極35)上に配線シート10の配線16の交互配列部20を設置して作製してもよい。
【0092】
ここで、図12に示すように、配線シート付き太陽電池セルにおいては、裏面電極型太陽電池セル30の裏面側のn型用電極34は配線シート10の絶縁性基材11の表面上に設置されたn型用配線12と導電性接着剤25を介して電気的に接続されるとともに、裏面電極型太陽電池セル30の裏面のp型用電極35は配線シート10の絶縁性基材11の表面上に設置されたp型用配線13と導電性接着剤25を介して電気的に接続されている。
【0093】
なお、配線シート10の配線16(n型用配線12およびp型用配線13)と裏面電極型太陽電池セル30の電極(n型用電極34およびp型用電極35)との接続は、配線シート10の配線16と裏面電極型太陽電池セル30の電極とを導通状態とすることが可能なように接続されていればよいため、上記のように導電性接着剤25を介して電気的に接続される場合に限られず、たとえば、配線シート10の配線16と裏面電極型太陽電池セル30の電極とが直接接触する(すなわち、n型用配線12とn型用電極34とが直接接触し、p型用配線13とp型用電極35とが直接接触する)ことによって電気的に接続されていてもよい。
【0094】
そして、配線シート10と裏面電極型太陽電池セル30との間における配線シート10の配線16および裏面電極型太陽電池セル30の電極以外の領域には、絶縁性樹脂17が設置されている。このような絶縁性樹脂17の設置により、裏面電極型太陽電池セル30と配線シート10とが絶縁性樹脂17によって強固に接合された配線シート付き太陽電池セルとすることが可能となる。
【0095】
以上のような構成の配線シート付き太陽電池セルにおいては、上述したように、配線シート付き太陽電池セルの配線シート10の隣り合う交互配列部20が電気的に接続されているため、配線シート付き太陽電池セルの配線シート10上において隣り合う裏面電極型太陽電池セル30同士は電気的に直列に接続されることになる。これにより、図11に示す配線シート付き太陽電池セルにおいては、裏面電極型太陽電池セル30がU字状に電気的に直列に接続されることになる。
【0096】
そして、図11に示す配線シート付き太陽電池セルにおいて、裏面電極型太陽電池セル30の受光面に光が入射することによって発生した電流は裏面電極型太陽電池セル30のn型用電極34およびp型用電極35から配線シート10のn型用配線12およびp型用配線13に取り出される。そして、配線シート10のn型用配線12およびp型用配線13に取り出された電流は、配線シート10の配線16の終端14c,14dから外部に取り出されることになる。
【0097】
以下、図13(a)および図13(b)の模式的断面図を参照して、図11および図12に示される構成の配線シート付き太陽電池セルの製造方法の一例について説明する。
【0098】
まず、図13(a)に示すように、図1および図2に示す構成の配線シート10を用意し、配線シート10の配線16の表面にはんだなどの導電性接着剤25と絶縁性樹脂17とを含有する樹脂組成物17aを塗布する。
【0099】
また、樹脂組成物17aの塗布方法は特に限定されないが、たとえば、ディスペンサを用いた塗布、インクジェット塗布またはスリットコーターなどを用いることができる。
【0100】
また、絶縁性樹脂17は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびエポキシ樹脂とアクリル樹脂との混合樹脂のいずれかを含んでいることが好ましい。なお、本発明において、絶縁性樹脂17は、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、およびエポキシ樹脂とアクリル樹脂との混合樹脂に限定されないことは言うまでもない。
【0101】
また、樹脂組成物17aは、樹脂成分以外の成分として、たとえば硬化剤などの従来から公知の添加剤を1種類以上含んでいてもよい。
【0102】
次に、図13(b)に示すように、裏面電極型太陽電池セル30のn型用電極34が配線シート10のn型用配線12上に位置し、裏面電極型太陽電池セル30のp型用電極35が配線シート10のp型用配線13上に位置するように、裏面電極型太陽電池セル30を配線シート10上に設置して加熱する。
【0103】
このとき、n型用電極34とn型用配線12との間の樹脂組成物17aの加熱、およびp型用電極35とp型用配線13との間の樹脂組成物17aの加熱によって、樹脂組成物17a中の導電性接着剤25が凝集し、n型用電極34とn型用配線12とを電気的に接続するとともに、p型用電極35とp型用配線13とを電気的に接続する一方で、絶縁性樹脂17がn型用電極34およびn型用配線12の接続部とp型用電極35およびp型用配線13の接続部との間の領域にはみ出してこの領域に充填されつつ硬化する。
【0104】
以上により、図11および図12に示される構成の配線シート付き太陽電池セルが製造される。
【0105】
ここで、絶縁性樹脂17の硬化時においては、絶縁性樹脂17自身が収縮することになるが、絶縁性樹脂17は、裏面電極型太陽電池セル30のパッシベーション膜36および配線シート10の絶縁性基材11のそれぞれに接着しているため、絶縁性樹脂17の硬化時の収縮力によって、裏面電極型太陽電池セル30と配線シート10との間の接合がより強固なものとなる。
【0106】
また、この例においては、配線シート10のn型用配線12およびp型用配線13のそれぞれの表面に樹脂組成物17aを塗布する場合について説明したが、裏面電極型太陽電池セル30のn型用電極34およびp型用電極35のそれぞれの表面に樹脂組成物17aを塗布してもよい。
【0107】
以下、図14〜図23を参照して、図11および図12に示される構成の配線シート付き太陽電池セルを用いた太陽電池モジュールの製造方法の一例について説明する。
【0108】
まず、図14の模式的断面図に示すように、加熱可能なプレート1301上に、テトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂からなる一対のフッ素樹脂シート1302,1303の間にEVA(エチレンビニルアセテート)樹脂などの中間樹脂1304を挟み込んだ構成の下敷き用シート1305を設置した後に、上記のようにして作製した配線シート付き太陽電池セルを下敷き用シート1305上に設置する。ここで、配線シート付き太陽電池セルは、下敷き用シート1305側が絶縁性基材11側となるように、下敷き用シート1305上に設置される。
【0109】
そして、配線シート付き太陽電池セルの裏面電極型太陽電池セル30上にEVAなどの透光性樹脂からなる第1の封止材41aを設置した後に、第1の封止材41a上に支持体の一例としてガラス基板などの太陽光に対して透明な透光性基板40を設置する。
【0110】
次に、透光性基板40とプレート1301との間に圧力を加えながらプレート1301を加熱することによって、図15の模式的断面図に示すように、配線シート付き太陽電池セルの裏面電極型太陽電池セル30を第1の封止材41a中に封止することができる。ここで、第1の封止材41aはたとえば架橋等によってその少なくとも一部が硬化する。
【0111】
第1の封止材41aとしては、太陽光に対して透明な樹脂を特に限定なく用いることができ、なかでも、エチレンビニルアセテート(EVA)樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂およびゴム系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の透光性樹脂を用いることが好ましい。この場合には、第1の封止材41aが耐候性に優れるとともに、太陽光の透過性が高くなるため、後述する太陽電池モジュールの出力(特に、短絡電流または動作時電流)を大きく損なうことなく十分な強度で透光性基板40に固着させることができる。これにより、太陽電池モジュールの長期信頼性を確保することができる傾向にある。
【0112】
また、上記の配線シート付き太陽電池セルの裏面電極型太陽電池セル30を第1の封止材41a中に封止する際の加熱処理は、たとえば、第1の封止材41aがEVA樹脂からなる場合には、たとえば100℃以上200℃以下の温度に第1の封止材41aを加熱することにより行なうことができる。
【0113】
なお、配線シート付き太陽電池セルの裏面電極型太陽電池セル30を第1の封止材41a中に封止するための圧着および加熱処理は、たとえばラミネータと呼ばれる真空圧着および加熱処理を行なう装置などを用いて行なうことができる。
【0114】
ここで、真空圧着とは、大気圧よりも減圧した雰囲気下で圧着させる処理のことである。また、圧着方法として真空圧着を用いた場合には、第1の封止材41a中にガスの気泡が残留しにくくなる傾向にある点で好ましい。
【0115】
たとえばラミネータにより第1の封止材41aを熱変形させ、第1の封止材41aを熱硬化させることにより、第1の封止材41a中に上記の配線シート付き太陽電池セルの裏面電極型太陽電池セル30が包み込まれるようにして封止されることになる。
【0116】
次に、図16の模式的断面図に示すように、裏面電極型太陽電池セル30を第1の封止材41a中に封止した後の配線シート付き太陽電池セルの絶縁性基材11の表面の第1方向50における両端にそれぞれ、絶縁性基材11よりも第1方向50における長さが短いシート状の第3の封止材41bを設置する。
【0117】
その後、配線シート付き太陽電池セルの配線シート10の第1方向50における両端をそれぞれ絶縁性基材11側に折り返して、折り返された配線シート10によって第3の封止材41bの一端を包み込む。
【0118】
ここで、図17の模式的な拡大断面図に示すように、配線シート10の折り返される箇所は絶縁性基材11の一部が第2方向51に沿ってその厚さ方向に除去された除去部分61bとされる。
【0119】
配線シート10の端部近傍領域62a,62bのそれぞれの除去部分61bでは絶縁性基材11の厚さが低減していることから、絶縁性基材11が除去されていない部分に比べて配線シート10の弾性が弱くなり、折り返しやすくなっている。したがって、配線シート10を折り返した際の折り返し位置が除去部分61bに定まるため、折り返し位置を高い精度で定めることができ、太陽電池モジュールにおける裏面電極型太陽電池セル30の充填率を安定して向上させることができる。
【0120】
このように、配線シート10を折り返しやすくすることで折り返し位置を高い精度で定めることが可能となるが、一方で折り返された部分の曲率半径が小さくなることで、折り返された部分での配線16にはより大きな応力がかかり、たとえば配線16が金属からなる場合には加工硬化現象によって脆くなる可能性がある。そこで、配線シート10の折り返し位置の高い精度と配線16の高い強度とを両立することができるように、配線シート10の除去部分61bにおける絶縁性基材11の除去幅、除去厚さ、除去領域および除去本数などの除去部分61bの形状を適宜設定することによって、配線シート10の折り返された部分の曲率半径を制御することが好ましい。
【0121】
また、第3の封止材41bに所定の厚さを持たせることによって、配線シート10の折り返された部分の曲率半径を有効に制御することができる。本実施の形態においては、第3の封止材41bの厚さを50μm以上300μm以下とすることが好ましい。
【0122】
なお、この例においては、配線シート10の両端をそれぞれ絶縁性基材11側に折り返しているが、配線シート10の一方の端のみを絶縁性基材11側に折り返してもよい。
【0123】
また、第3の封止材41bとしては、たとえば、第1の封止材41aと同一種類の樹脂を用いてもよく、異なる種類の樹脂を用いてもよく、複数種類の樹脂を積層したものを用いてもよい。第3の封止材41bがいずれの構成であっても、第3の封止材41bは封止工程を経た後においても所望の厚さを有するようにすることが、配線シート10の折り返された部分の曲率半径を制御するのに有効である観点から好ましい。
【0124】
次に、図18の模式的平面図に示すように、配線シート10の両端部の折り返しによって配線シート10の絶縁性基材11側に現れている配線16の終端14c,14dにそれぞれ導線1501を電気的に接続する。
【0125】
なお、図18に示す例においては、第1方向50に伸長する帯状の導線1501を配線シート10の配線16の終端14c,14dにそれぞれ接続しているが、導線1501の形状は帯状に限定されないことは言うまでもない。
【0126】
また、導線1501の材質は、導電性の材質であれば特に限定されず、たとえば、ニッケル(Ni)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、鉄(Fe)、白金(Pt)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、錫(Sn)およびSnPbはんだなどの少なくとも1種を含むものを用いることができる。
【0127】
また、導線1501の設置方法も特に限定されず、たとえば、従来から公知のはんだ等を用いて、配線シート10の配線16の終端14c,14dと、導線1501とを電気的に接続することができる。
【0128】
次に、たとえば図19の模式的平面図に示されるシート状の第2の封止材41cを用意する。ここで、第2の封止材41cの一部には開口部1601が設けられており、開口部1601は第2方向51に伸長する帯状に形成されている。ただし、開口部1601の形状はこの形状に限定されず、上述した2本の導線1501を通すことができる形状であればよく、たとえば第2方向51に伸長するスリット状などであってもよい。
【0129】
また、第2の封止材41cとしては、たとえば、第1の封止材41aおよび/または第3の封止材41bと同一種類の樹脂を用いてもよく、異なる種類の樹脂を用いてもよい。
【0130】
また、たとえば図20の模式的平面図に示されるシート状の裏面保護シート42を保護部材の一例として用意する。ここで、裏面保護シート42の一部には開口部1701が設けられており、開口部1701は第2方向51に伸長する帯状に形成されている。ただし、開口部1701の形状はこの形状に限定されるものではなく、上述した2本の導線1501を直接接触させることなく通すことができる形状であればよい。
【0131】
また、裏面保護シート42としては、たとえば従来から用いられているPETなどの耐候性フィルムを用いることができる。また、封止材中への水蒸気や酸素の透過を十分に抑制して長期的な信頼性を確保する観点から、裏面保護シート42は、たとえばアルミニウムなどの金属フィルムを含んでいても良い。
【0132】
次に、図21の模式的断面図に示すように、加熱可能なプレート1301上に、上記のように配線シート10の両端が絶縁性基材11側に折り返された配線シート付き太陽電池セルの透光性基板40側を設置する。
【0133】
そして、配線シート10の両端の折り返された部分の上に、図19に示す第2の封止材41cを設置し、さらには第2の封止材41c上には図20に示す裏面保護シート42を設置する。
【0134】
ここで、第2の封止材41cはその開口部1601から導線1501を引き出すようにして設置され、裏面保護シート42はその開口部1701から導線1501を引き出すようにして設置される。
【0135】
次に、裏面保護シート42とプレート1301との間に圧力を加えながらプレート1301を加熱することによって、図22の模式的断面図に示すように、第1の封止材41aと第3の封止材41bと第2の封止材41cとからなる封止材41中に配線シート付き太陽電池セルを封止することにより太陽電池モジュールが作製される。
【0136】
ここで、第3の封止材41bおよび第2の封止材41cはそれぞれたとえば架橋等によってその少なくとも一部が硬化する。また、第1の封止材41aもたとえば架橋等によってその少なくとも一部がさらに硬化し得る。
【0137】
また、たとえば図1および図2に示す配線シート10のように、絶縁性基材11および配線16のそれぞれを厚さ方向に貫通する貫通孔である除去部分61aを形成してもよい。これにより、配線シート10の絶縁性基材11側に折り返された部分の絶縁性基材11間に介在された封止材41が貫通孔である除去部分61aを通してその外側の封止材41と一体化させることができるため、配線シート10の絶縁性基材11側に折り返された部分に、より確実に封止材41を充填することができる。
【0138】
また、封止材41の周縁部などの裏面保護シート42を密着させることが難しい部分にはたとえばブチルゴムテープなどの水分透過防止テープを用いて裏面保護シート42を完全に密着させることもできる。
【0139】
また、たとえば図23の模式的平面図に示すように、裏面保護シート42の開口部1701から外部に引き出されている導線1501を端子ボックス2001の出力端子2002に接続することによって、端子ボックス2001を取り付けることもできる。ここで、導線1501と出力端子2002との電気的な接続方法は特に限定されず、たとえば従来から公知のはんだなどを用いて接続する方法がある。
【0140】
また、たとえばアルミニウム合金などからなる枠体を太陽電池モジュールの外周を取り囲むようにして取り付けることもできる。
【0141】
上記のようにして作製された太陽電池モジュールにおいては、配線シート付き太陽電池セルの配線シートの両端が折り返された状態で封止材中に封止されていることから、太陽電池モジュールの受光面となる透光性基板の表面にできるだけ多くの裏面電極型太陽電池セルの受光面を配置することができる。
【0142】
さらに、配線シート10の折り返し位置を高い精度で定めることができるため、配線シート10と透光性基板40との寸法公差を小さくすることができるため、太陽電池モジュールにおける裏面電極型太陽電池セル30の充填率を高めることができ、太陽電池モジュールの受光面積当たりの発電量(発電効率)が大きくなることから、太陽電池モジュールの特性を良好なものとすることができる。
【0143】
また、上記のように、配線シート付き太陽電池セルの配線シートを折り返す部分に配線シートの少なくとも一部をその厚み方向に除去した除去部分を設けることによって配線シートの折り返しが容易になる。そして、当該除去部分を配線シートの厚み方向に貫通する貫通孔とすることによって配線シートの折り返し部分で取り囲まれた領域に、より確実に封止材を充填することができる。さらに、当該除去部分をレーザ光の照射によって形成することにより、除去部分を容易に形成することができる。
【0144】
なお、上記のようにして作製された太陽電池モジュールの裏面電極型太陽電池セル30の受光面に光が入射することによって発生した電流は裏面電極型太陽電池セル30のn型用電極34およびp型用電極35から配線シート10のn型用配線12およびp型用配線13に取り出される。そして、配線シート10のn型用配線12およびp型用配線13に取り出された電流は、配線シート10の配線16の終端14c,14dから導電性部材71、導線1501および端子ボックス2001の出力端子2002を通して太陽電池モジュールの外部に取り出されることになる。
【0145】
<実施の形態2>
本実施の形態においては、絶縁性基材の表面上の配線と裏面電極型太陽電池セルの電極とを電気的に接続した後に除去部分を形成する点に特徴がある。
【0146】
まず、図7に示すように、絶縁性基材11の表面上に配線16を形成する。次に、図24の模式的平面図に示すように、図7に示す絶縁性基材11の表面の配線16上に、図9および図10に示す裏面電極型太陽電池セル30を設置して、絶縁性基材の表面上の配線と裏面電極型太陽電池セルの電極とを電気的に接続する。
【0147】
次に、図25の模式的断面図に示すように、加熱可能なプレート1301上に、テトラフルオロエチレンなどのフッ素樹脂からなる一対のフッ素樹脂シート1302,1303の間にEVA(エチレンビニルアセテート)樹脂などの中間樹脂1304を挟み込んだ構成の下敷き用シート1305を設置する。
【0148】
そして、下敷き用シート1305上に、図9および図10に示す裏面電極型太陽電池セル30が設置された図7に示す絶縁性基材11を設置した後に、裏面電極型太陽電池セル30上に第1の封止材41aおよび透光性基板40をこの順序で設置する。
【0149】
次に、透光性基板40とプレート1301との間に圧力を加えながらプレート1301を加熱することによって、図26の模式的断面図に示すように、裏面電極型太陽電池セル30を第1の封止材41a中に封止する。
【0150】
次に、図27の模式的斜視図に示すように、端部近傍領域62aおよび端部近傍領域62bのそれぞれの領域内の所定領域にレーザ光83を絶縁性基材11側からそれぞれ第2方向51に沿って連続的に照射して絶縁性基材11のみをその厚さ方向に直線状に除去することによって除去部分61bを形成する。なお、除去部分61aの形成箇所に対応する領域の配線16部分の除去は、たとえば、配線16の形成時における配線16のパターンニングとともに予め行なっておくことができる。
【0151】
ここで、除去部分61bの第1方向50における形成位置は、透光性基板40の第1方向50における端を基準にして決定することができる。これにより、太陽電池モジュールの絶縁強度を確保しつつ、透光性基板40の表面に現れる裏面電極型太陽電池セル30の受光面の面積が最大となるような折り返し部分に除去部分61bをより正確に形成することができるようになる。
【0152】
また、たとえば、透光性基板40の第1方向50における端から5mm以上離れるように除去部分61bを形成して配線シートを折り返すことにより、透光性基板40が太陽電池モジュールの外周となるアルミニウム合金などからなる枠体に組みつけられた際に絶縁性基材11上の配線16と枠体との距離を保って、絶縁性基材11上の配線16と枠体との絶縁強度を確保することができる。
【0153】
次に、実施の形態1と同様にして、端部近傍領域62aおよび端部近傍領域62bのそれぞれの領域内の除去部分61bの形成領域とは異なる領域に除去部分61aを形成する。なお、本実施の形態においても、実施の形態1と同様に、除去部分61aの形成領域と除去部分61bの形成領域とが異なる領域となるように除去部分61aおよび除去部分61bをそれぞれ形成しているが、たとえば、除去部分61aは除去部分61bと重なる領域に形成されていてもよく、除去部分61bの一部または全部を除去部分61aとすることもできる。
【0154】
その後も、実施の形態1と同様にして、導線1501が第2の封止材41cの開口部1601および裏面保護シート42の開口部1701からそれぞれ引き出されるようにして配線シート付き太陽電池セルを透光性基板40と裏面保護シート42との間の封止材41中に封止することによって太陽電池モジュールが作製される。
【0155】
本実施の形態における上記以外の説明は、実施の形態1と同様であるため、ここではその説明については省略する。
【0156】
<実施の形態3>
本実施の形態においては、透光性基板の表面上に、裏面電極型太陽電池セルの電極が電気的に接続された配線を備えた2枚の絶縁性基材をその少なくとも一部が重なり合うように隣り合わせて配列して除去部分を形成する点に特徴がある。
【0157】
まず、図7に示すように、絶縁性基材11の表面上に配線16を形成する。次に、図24に示すように、図7に示す絶縁性基材11の表面の配線16上に、図9および図10に示す裏面電極型太陽電池セル30を設置して、絶縁性基材の表面上の配線と裏面電極型太陽電池セルの電極とを電気的に接続する。ここまでは実施の形態2と同様である。
【0158】
次に、上記のようにして、裏面電極型太陽電池セル30の電極が電気的に接続された配線16を備えた絶縁性基材11の2枚をその少なくとも一部が重なり合うように隣り合わせて配列した状態で、図25に示すように、その重なり合わせて配列させた絶縁性基材11を下敷き用シート1305上に設置する。その後、裏面電極型太陽電池セル30上に第1の封止材41aおよび透光性基板40をこの順序で設置する。
【0159】
次に、透光性基板40とプレート1301との間に圧力を加えながらプレート1301を加熱することによって、図26に示すように、裏面電極型太陽電池セル30を第1の封止材41a中に封止する。
【0160】
次に、図28の模式的斜視図に示すように、端部近傍領域62aおよび端部近傍領域62bのそれぞれの領域内の所定領域にレーザ光83を絶縁性基材11側からそれぞれ第2方向51に沿って連続的に照射して絶縁性基材11の少なくとも一部をその厚さ方向に直線状に除去することによって除去部分61bを形成する。なお、除去部分61aの形成箇所に対応する領域の配線16部分の除去は、たとえば、配線16の形成時における配線16のパターンニングとともに予め行なっておくことができる。
【0161】
ここで、絶縁性基材11が重なり合っている部分に照射されるレーザ光83の強度を絶縁性基材11が重なり合っていない部分に照射されるレーザ光83の強度よりも大きくしてもよい。これにより、絶縁性基材11が重なり合って絶縁性基材11の厚みが厚くなっている部分においては、絶縁性基材11が重なり合っていない部分よりも多量の絶縁性基材11を除去することができることから、第2方向51全体にわたって、絶縁性基材11の除去後の厚さをより均一にすることが可能となる。
【0162】
次に、実施の形態1および実施の形態2と同様にして、端部近傍領域62aおよび端部近傍領域62bのそれぞれの領域内の除去部分61bの形成領域とは異なる領域に除去部分61aを形成する。なお、本実施の形態においても、実施の形態1および実施の形態2と同様に、除去部分61aの形成領域と除去部分61bの形成領域とが異なる領域となるように除去部分61aおよび除去部分61bをそれぞれ形成しているが、たとえば、除去部分61aは除去部分61bと重なる領域に形成されていてもよく、除去部分61bの一部または全部を除去部分61aとすることもできる。
【0163】
その後も、実施の形態1および実施の形態2と同様にして、導線1501が第2の封止材41cの開口部1601および裏面保護シート42の開口部1701からそれぞれ引き出されるようにして配線シート付き太陽電池セルを透光性基板40と裏面保護シート42との間の封止材41中に封止することによって太陽電池モジュールが作製される。
【0164】
本実施の形態における上記以外の説明は、実施の形態1および実施の形態2と同様であるため、ここではその説明については省略する。
【0165】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0166】
本発明は、配線シート、配線シート付き太陽電池セル、太陽電池モジュール、配線シートの製造方法および太陽電池モジュールの製造方法に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0167】
10,100 配線シート、11 絶縁性基材、12 n型用配線、13 p型用配線、14a 第1の接続用配線、14b 第2の接続用配線、14c,14d 終端、16 配線、17 絶縁性樹脂、17a 樹脂組成物、18 間隙、20 交互配列部、21 接続部、22 芯、25 導電性接着剤、30,80 裏面電極型太陽電池セル、31 半導体基板、32 n型不純物拡散領域、33 p型不純物拡散領域、34 n型用電極、35 p型用電極、36 パッシベーション膜、37 反射防止膜、38 電極非形成部、40 透光性基板、41 封止材、41a 第1の封止材、41b 第3の封止材、41c 第2の封止材、42 裏面保護シート、50 第1方向、51 第2方向、61,61a,61b 除去部分、62a,62b 端部近傍領域、63 除去位置案内マーク、81 ガイド、82 レーザ光照射装置、83 レーザ光、101 n型シリコン基板、102 p+層、103 n+層、106 p型用銀電極、107 n型用銀電極、111 ガラエポ基板、112 p配線、113 n配線、119 半田、1301 プレート、1302,1303 フッ素樹脂シート、1304 中間樹脂、1305 下敷き用シート、1501 導線、1601,1701 開口部、2001 端子ボックス、2002 出力端子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基材と、前記絶縁性基材の一方の面側に設置された配線と、を含む配線シートであって、
端部近傍領域内に、厚さ方向における少なくとも一部が除去された除去部分を有する、配線シート。
【請求項2】
前記除去部分は、前記絶縁性基材の少なくとも一部が除去されてなる、請求項1に記載の配線シート。
【請求項3】
前記除去部分は、前記配線の少なくとも一部が除去されてなる、請求項1または2に記載の配線シート。
【請求項4】
前記除去部分は、面内において、連続的または間欠的に形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の配線シート。
【請求項5】
前記除去部分は、面内において、複数設けられている、請求項1から4のいずれかに記載の配線シート。
【請求項6】
前記除去部分は、前記絶縁性基材および前記配線を貫通する部分を有する、請求項1から5のいずれかに記載の配線シート。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の配線シートと、
裏面電極型太陽電池セルと、を含み、
前記配線シートの前記配線は、第1導電型用配線と、第2導電型用配線と、を有しており、
前記裏面電極型太陽電池セルは、半導体基板と、前記半導体基板の一方の面側に設置された第1導電型用電極と第2導電型用電極とを有し、
前記第1導電型用配線と前記第1導電型用電極とが電気的に接続され、
前記第2導電型用配線と前記第2導電型用電極とが電気的に接続されている、
配線シート付き太陽電池セル。
【請求項8】
請求項7に記載の配線シート付き太陽電池セルを含む、太陽電池モジュール。
【請求項9】
絶縁性基材の一方の面側に配線が設置された配線シートと、裏面電極型太陽電池セルと、を含み、
前記配線シートの前記配線は、第1導電型用配線と、第2導電型用配線と、を有しており、
前記裏面電極型太陽電池セルは、半導体基板と、前記半導体基板の一方の面側に設置された第1導電型用電極と第2導電型用電極とを有し、
前記第1導電型用配線と前記第1導電型用電極とが電気的に接続され、
前記第2導電型用配線と前記第2導電型用電極とが電気的に接続されており、
前記配線シートは、該配線シートの端部と該端部に最も近い前記裏面電極型太陽電池セルの接続箇所との間において、厚さ方向における少なくとも一部が除去された除去部分を有しているとともに、前記絶縁性基材側に折り返されており、
前記配線シートに接続された前記裏面電極型太陽電池セルが封止材を用いて封止されている、太陽電池モジュール。
【請求項10】
前記配線シートを複数含み、該複数の配線シートの絶縁性基材の少なくとも一部が重なり合うように隣り合わせて配列されている、請求項9に記載の太陽電池モジュール。
【請求項11】
前記配線シートの前記除去部分が前記絶縁性基材および前記配線を貫通する貫通部を含み、
前記配線シートの前記絶縁性基材側に折り返された部分の前記絶縁性基材間に介在された封止材が、前記貫通部を通して外側の封止材と一体化している、請求項9または10に記載の太陽電池モジュール。
【請求項12】
前記絶縁性基材の一方の面側に配線を形成する工程と、
前記絶縁性基材および前記配線の少なくとも一方の厚さ方向における少なくとも一部を除去する工程と、を含む、配線シートの製造方法。
【請求項13】
前記絶縁性基材および前記配線の少なくとも一方にレーザ光を照射することによって厚さ方向における少なくとも一部を除去する工程を含む、請求項12に記載の配線シートの製造方法。
【請求項14】
絶縁性基材の一方の面側に配線が設置された配線シートと前記配線シートの前記配線に接続された裏面電極型太陽電池セルとを含む配線シート付き太陽電池セルを封止材を用いて封止する太陽電池モジュールの製造方法であって、
前記配線シートの端部と該端部に最も近い前記裏面電極型太陽電池セルの接続箇所との間において、前記絶縁性基材および前記配線の少なくとも一方の厚さ方向における少なくとも一部を除去する工程と、
前記除去する工程において除去された箇所を含む位置で、前記配線シートを前記絶縁性基材側に折り返す工程と、
前記配線シートを封止材を用いて封止する工程と、を含む、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項15】
前記封止する工程は、前記配線シートの前記裏面電極型太陽電池セルの接続側に第1の封止材および支持体をこの順序で設置した後に前記裏面電極型太陽電池セルを前記第1の封止材で封止する工程と、前記配線シートの前記裏面電極型太陽電池セルの接続側と反対側に第2の封止材および保護部材をこの順序で設置した後に前記配線シートを前記第2の封止材で封止する工程と、を含み、前記第1の封止材で封止する工程と前記第2の封止材で封止する工程との間に前記除去する工程と前記折り返す工程とを行なう、請求項14に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項16】
前記配線シートが前記絶縁性基材側に折り返された部分の前記絶縁性基材間に第3の封止材を設置する工程を含む、請求項14または15に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項17】
前記配線シートの複数を、前記絶縁性基材の少なくとも一部が重なり合うように隣り合わせて配列する工程を含む、請求項14から16のいずれかに記載の太陽電池モジュールの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate


【公開番号】特開2011−138929(P2011−138929A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297949(P2009−297949)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】