説明

配線シート、配線シート付き太陽電池セルおよび太陽電池モジュール

【課題】本発明は、複数の裏面電極型太陽電池セルを電気的に接続する配線シートであって、熱収縮などによる配線シートの変形を抑制し、寸法精度が高い配線シート、この配線シートに裏面電極型太陽電池セルが配置された配線シート付き太陽電池セルおよび太陽電池モジュールを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の配線シートは、半導体基板の一方の面側に第1導電型用電極および第2導電型用電極が配置された裏面電極型太陽電池セルを電気的に接続するための配線シートであって、絶縁性基材と、絶縁性基材上に設けられる第1の配線材とを有し、該第1の配線材は、裏面電極型太陽電池セルが配置されるセル配置部を複数備え、該セル配置部のそれぞれは、互いに電気的に絶縁された第1導電型用配線と第2導電型用配線とを含み、セル配置部間に第1導電型用配線および第2導電型用配線と電気的に絶縁された第2の配線材を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線シート、配線シート付き太陽電池セルおよび太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の太陽電池セルを接続して太陽電池パネルなどの太陽電池モジュールを製造する際に、従来の太陽電池モジュールは、太陽電池セルの両表面のそれぞれにp型電極とn型電極とが設けられ、各太陽電池セルに接続されたインターコネクタ同士を接続することによって、一般的に全ての太陽電池セルを直列に接続している(たとえば、特許文献1など)。
【0003】
また、p型電極とn型電極とが共に受光面とは反対の裏面に設けられた裏面電極型太陽電池セル同士をインターコネクタを介して接続する方法として、インターコネクタで太陽電池セルと太陽電池セルとが行方向に1枚ずつ接続され、この行方向に接続された太陽電池セルが列方向に複数配列され、列方向の太陽電池セル同士も一般的にすべて直列となるように(場合によっては、並列で繋げられる場合もある)インターコネクタで接続されて太陽電池モジュールが形成される(たとえば特許文献2および特許文献3など)。
【0004】
一方、図19に示すように、複数の太陽電池セルを一列で直列に接続した太陽電池ストリングにおいて、複数のセル配置部を有する配線シートに裏面電極型の太陽電池セルを載置して、配線シートにより各太陽電池セル間を電気的に接続する方法が開示されている(たとえば、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60−42854号公報
【特許文献2】特開2005−11869号公報
【特許文献3】特開2005−191479号公報
【特許文献4】特開2005−340362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
太陽電池セル同士を接続する場合、インターコネクタを介した接続でも配線シートによる接続であっても、接続の際にかかる熱などの諸条件により、複数の太陽電池セル同士の相対位置(たとえば隣接する太陽電池セル同士の間隔など)が不変であることが望ましい。しかしながら、特に、上記特許文献4に開示されるような配線シートを用いた太陽電池モジュールの形成においては、配線シートを構成する材料がポリエチレンテレフタレートなどの可撓性および熱伸縮性を有する樹脂材料であり、配線シート全体にわたり熱伸縮特性の差が潜在することがある。このような熱伸縮特性の差は熱処理による配線シートの変形につながり、配線パターンが細線状の場合は変形が電極の接続状態にも影響する虞がある。したがって、熱による配線シートの変形を抑制し、配線シートの配線と太陽電池セルの裏面電極との位置合わせをより精度よく行なう必要がある。
【0007】
本発明は、上記技術内容に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の裏面電極型太陽電池セルを電気的に接続する配線シートであって、熱伸縮などによる配線シートの変形を抑制し、寸法精度が高い配線シート、この配線シートに裏面電極型太陽電池セルが配置された配線シート付き太陽電池セルおよび太陽電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の配線シートは、半導体基板の一方の面側に第1導電型用電極および第2導電型用電極が配置された裏面電極型太陽電池セルを電気的に接続するための配線シートであって、絶縁性基材と、絶縁性基材上に設けられる第1の配線材とを有し、該第1の配線材は、裏面電極型太陽電池セルが配置されるセル配置部を複数備え、該セル配置部のそれぞれは、互いに電気的に絶縁された第1配線と第2配線とを含み、セル配置部間に第1配線および第2配線と電気的に絶縁された第2の配線材を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の配線シートの別の態様は、半導体基板の一方の面側に第1導電型用電極および第2導電型用電極が配置された裏面電極型太陽電池セルを電気的に接続するための第1の配線材が絶縁性基材上に設けられた配線シートであって、裏面電極型太陽電池セルを配置するセル配置部が、絶縁性基材上において第1方向と該第1方向と異なる第2方向とのそれぞれに複数配列されており、セル配置部のそれぞれは、互いに電気的に絶縁された第1配線と第2配線とを含み、第2方向において互いに隣り合うセル配置部のうちの一方のセル配置部の第1配線と他方のセル配置部の第2配線とが電気的に接続されており、第1方向において隣り合うセル配置部間において、いずれか一方のセル配置部の第1配線または第2配線と一体化された第2の配線材を有することを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記いずれかの配線シートに複数の裏面電極型太陽電池セルを接続した配線シートに関する。また、本発明は、上記いずれかの態様の配線シートを含む太陽電池モジュールに関する。
【0011】
また、本発明は、配線シート付き太陽電池セルに関し、半導体基板の一方の面側に第1導電型用電極および第2導電型用電極が配置された裏面電極型太陽電池セルと、該裏面電極型太陽電池セルを接続するための第1の配線材が絶縁性基材上に設けられた配線シートとを備えた配線シート付き太陽電池セルであって、第1の配線材は、裏面電極型太陽電池セルの第1導電型用電極に電気的に接続された第1配線と、裏面電極型太陽電池セルの第2導電型用電極に電気的に接続された第2配線とを含み、セル配置部間に第1配線および第2配線と電気的に絶縁された第2の配線材を有することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、半導体基板の一方の面側に第1導電型用電極および第2導電型用電極が配置された裏面電極型太陽電池セルと、該裏面電極型太陽電池セルを接続するための第1の配線材が絶縁性基材上に設けられた配線シートとを備えた配線シート付き太陽電池セルであって、裏面電極型太陽電池セルは、絶縁性基材上の第1の配線材が設けられる面において第1方向と該第1方向と異なる第2方向とのそれぞれに複数配列されており、第1の配線材は、裏面電極型太陽電池セルの第1導電型用電極に電気的に接続された第1配線と、第2導電型用電極に電気的に接続された第2配線とを含み、第2の方向において互いに隣り合う裏面電極型太陽電池セルのうちの一方の裏面電極型太陽電池セルの第1導電型用電極に電気的に接続された第1配線と、他方の裏面電極型太陽電池セルの第2導電型用電極に電気的に接続された第2配線とが電気的に接続されており、第1の方向において互いに隣り合う裏面電極型太陽電池セル間の配線シートに第1配線または第2配線と一体化された第2の配線材を有することを特徴とする配線シート付き太陽電池セルに関する。
【0013】
また、本発明は上記いずれかの配線シート付き太陽電池セルを含む太陽電池モジュールに関する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の配線シートによれば、配線シートを構成する絶縁性基板に裏面電極太陽電池セルを接続するための配線以外の配線材を含むので、配線シートにかかる熱による変形を抑制することができ、太陽電池セルを組み合わせた太陽電池モジュールの形成において、太陽電池セルを所望の位置に正確に配置できることから、より信頼性の高い太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明における配線シート付き太陽電池セルの一例を受光面側から見た模式的な平面図である。
【図2】本発明における裏面電極型太陽電池セルと配線シートとの配置関係を示す概略図である。
【図3】本発明の配線シートの一例の模式的な平面図である。
【図4】図1および図2に示される裏面電極型太陽電池セルの一例の模式的な断面図である。
【図5】(a)は図4に示される裏面電極型太陽電池セルの半導体基板の裏面の一例の模式的な平面図であり、(b)は図4に示される裏面電極型太陽電池セルの半導体基板の裏面の他の一例の模式的な平面図である。
【図6】本発明において、裏面電極型太陽電池セルの電極と配線シートのセル配置部との電気的な接続方法を図解する模式的な平面図である。
【図7】本発明において、配線シートと裏面電極型太陽電池セルとを電気的に接続した状態を図6のVII−VIIに沿った方向の断面図により模式的に示した図である。
【図8】(a)および(b)は、本発明の太陽電池モジュールの一例の製造方法の一例を図解する模式的な断面図である。
【図9】図3の破線部分の第1の配線材と第2の配線材との位置関係を示す一例の模式的な平面図である。
【図10】図3の破線部分に対応する部分の、第1の配線材と第2の配線材との位置関係を示す他の一例の模式的な平面図である。
【図11】絶縁性基材における第2の配線材の形態の一例を示す模式的な平面図である。
【図12】絶縁性基材における第2の配線材の形態の他の一例を示す模式的な平面図である。
【図13】絶縁性基材における第2の配線材の形態の他の一例を示す模式的な平面図である。
【図14】絶縁性基材における第2の配線材の形態の他の一例を示す模式的な平面図である。
【図15】絶縁性基材における第2の配線材の形態の他の一例を示す模式的な平面図である。
【図16】本実施の形態3の配線シートの一例の模式的な平面図である。
【図17】本実施の形態4の配線シートの一例の模式的な平面図である。
【図18】本実施の形態5の配線シートの一例の模式的な平面図である。
【図19】従来の一列で構成された配線シートの模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は同一部分または相当部分を表すものとする。また、以下では、太陽電池セルを設置するためのセル配置部(太陽電池セルが設置される配線シート上の配線部分)が単数または複数配列された構成を配線シート、配線シートに単数の太陽電池セルを配置、または配線シートに複数の太陽電池セルを第1方向および該第1方向と異なる第2方向にそれぞれ複数マトリクス状に配列した構成を配線シート付き太陽電池セルとして説明する。
【0017】
本発明において、上記第1方向と上記第2方向とは、たとえば、第1方向と第2方向とが直交して、マトリクス状に配列した形状が矩形となる場合や、第1方向と第2方向とが交差して、マトリクス状に配列した形状が平行四辺形や菱形となる場合が例示される。その他、また上記特定の方向は直線状に限られず、円弧状の一部に沿って配列したような場合も含まれる。このように、本発明において、上記第1方向と第2方向とは特に限定されず、それぞれの方向に沿った直線が交差する関係にあればよい。また、上記矩形や平行四辺形などの形状が、配線シートの一部に含まれていればよく、たとえば、矩形および平行四辺形の両方の形状が含まれる場合や、これらの形状の一部が単独でまたは組み合わされて含まれる場合も、後述のように隣接するセルが配線により特定の電気的な接続を形成していれば本発明の態様に含まれる。
【0018】
<実施の形態1>
(配線シート付き太陽電池セル)
図1に、本発明の配線シート付き太陽電池セルの一例を受光面側から見た模式的な平面図を示す。ここで、配線シート付き太陽電池セル100は、絶縁性基板11の表面上の第1の配線材16によって裏面電極型太陽電池セル20の複数が電気的に接続されることにより構成されている。また、図1に示す配線シートは、絶縁性基板11の表面上に第1の配線材16が設けられることにより、太陽電池セルを配置するためのセル配置部が第1方向と該第1方向と異なる第2方向とにそれぞれ複数配列された構成を有している。なお、図1においては、第1方向と第2方向とは直交しているが、上記のように第1方向と第2方向とは必ずしも直交するものではない。また、このように第1方向と第2方向とが直交する場合は、第1方向を列方向、第2方向を行方向と表現することもできる。
【0019】
以上のような構成の図1に示される配線シート付き太陽電池セル100においては、複数の裏面電極型太陽電池セル20は、絶縁性基板11の表面上において、通電経路が蛇行するようにして電気的に直列に接続されることになる。
【0020】
上記裏面電極型太陽電池セルと配線シートとの配置関係を図2に示す。図2は、図1に示す配線シート付き太陽電池セル100の列の一部に相当する。図2に示されるように、配線シート10の第1の配線材16は各セル配置部において互いに絶縁された第1導電型用配線12と第2導電型用配線13とを含む。第1導電型用配線(第1配線ということがある)は、後述する裏面電極型太陽電池セルの第1導電型用電極を電気的に接続するための配線であり、第2導電型用配線(第2配線ということがある)は、第2導電型用電極を電気的に接続するための配線である。、これらの第1導電型用配線と第2導電型用配線とは、第1方向に沿って交互に配列された交互配列部を含むことがある。図2においては、第1導電型用配線12の櫛歯に相当する部分と第2導電型用配線13の櫛歯に相当する部分とが1本ずつ交互に噛み合わさるように第1導電型用配線12および第2導電型用配線13がそれぞれ配置されている。その結果、櫛形状の第1導電型用配線12の櫛歯に相当する部分と櫛形状の第2導電型用配線13の櫛歯に相当する部分とはそれぞれ1本ずつ交互に所定の間隔を空けて配置されている交互配列部が形成されている。また、図2において交互配列部の第1方向に沿った両端部の一方には、第1導電型用配線12が配置され、他端には第2導電型用配線13が配置されている。
【0021】
そして、配線シート10の絶縁性基材11の表面上においては、櫛歯に相当する部分が噛み合わさるように所定の間隔をあけて配置され、第1導電型用配線12と第2導電型用配線13との組み合わせからなるセル配置部19が絶縁性基材11の表面の一方向に並べられている。ここで、図2においては、図1に示す配線シート付き太陽電池セルの一部を示しており、セル配置部19が3つで構成されているが、これに限られるものではなく、図1に示すように、セル配置部19は、絶縁性基材11の表面に隣接して配置されている他のセル配置部19と電気的に接続されていてもよい。
【0022】
そして、図2に示される構成の配線シート10の表面上に裏面電極型太陽電池セル20を設置することによって図1に示す配線シート付き太陽電池セルを作製することができる。本発明は、このような裏面電極型太陽電池セル20を配置し、後の太陽電池モジュールの製造工程を経ても寸法精度が維持される配線シートに関する。以下に、本発明の配線シートについて説明する。
【0023】
(配線シート)
図3に本実施の形態1の配線シートの配線材形状の模式的な平面図を示す。本発明の配線シート10は、絶縁性基材11と、絶縁性基材11の表面上に設置された第1の配線材16とを有する。
【0024】
第1の配線材16は、各セル配置部において互いに絶縁された第1導電型用配線12と第2導電型用配線13とを含む。上述のように、第1導電型用配線は、後述する裏面電極型太陽電池セルの第1導電型用電極を電気的に接続するための配線であり、第2導電型用配線は、第2導電型用電極を電気的に接続するための配線である。図3においては、第1導電型用配線12の櫛歯に相当する部分と第2導電型用配線13の櫛歯に相当する部分とがそれぞれ1本ずつ交互に所定の間隔を空けて配置されている。
【0025】
そして、絶縁性基材11の表面上において、1つの裏面電極型太陽電池セルの第1導電型用電極と第2導電型用電極にそれぞれ接続される第1導電型用配線12と第2導電型用配線13との組み合わせからなるセル配置部が絶縁性基材11の表面の第2方向に並べられて構成されている。ここで、それぞれの第2方向に並べられた第1の配線材16は、絶縁性基材11の表面の第2方向に隣接して並べられた第1の配線材16と、配線シートの第2方向の端部のセル配置部において電気的に接続されている。図3においては、上記1つの裏面電極型太陽電池セルの第1導電型用電極に接続される第1導電型用配線12と第2導電型用電極に接続される第2導電型用配線13との組み合わせからなるセル配置部が、3行4列配置されていることになる。
【0026】
本発明の配線シートにおいては、第2方向または第1方向に隣接する太陽電池セルを接続できるように第1導電型用配線12と第2導電型用配線13とが組み合わされた配線パターンであれば、そのパターンは特に限定されないが、以下の説明においては、上記配線シート10の第2方向の端部のセル配置部であって、第1方向に隣り合う裏面電極型太陽電池セルに対応する配線が、一方の裏面電極型太陽電池セルに対応する第1導電型用配線と他方の裏面電極型太陽電池セルに対応する第2導電型用配線とが電気的に接続されるパターンを有する場合について説明する。
【0027】
図3において、第1方向に隣り合う2つの裏面電極型太陽電池セルに対応する配線は、いずれも図3に向かって左端の太陽電池セルの第2導電型用電極に対応する位置に第2導電型用配線13が配置され、向かって右端に第1導電型用配線12が配置されるパターンを有する。そして、上記第1方向に隣り合う2つの裏面電極型太陽電池セルに対応する配線においては、一方の裏面電極型太陽電池セルの第2導電型用電極を接続するための第2導電型用配線13と他方の裏面電極型太陽電池セルの第1導電型用電極を接続するための第1導電型用配線12とが、この順で並ぶパターンが形成されている。
【0028】
上記配線形状を有する配線シートにおいて、第1方向に隣り合う太陽電池セルを直列に接続するには、たとえば、上記第2導電型用配線と第1導電型用配線とを、第2方向の端部において配線部18により接合すればよい。この場合、第2導電型用配線と第1導電型用配線の少なくとも一部が配線部18により電気的に接続されればよく、図3に示すように第1方向に隣り合う第2導電型用配線と第1導電型用配線とが第2方向にわたり全面で接続されている態様としてもよい。
【0029】
上記接続部18は、接続部18が隣接する第1導電型用配線12と第2導電型用配線13とを電気的に接続するように形成することができるものであればその形状等は特に限定されず、また、第1導電型用配線12および第2導電型用配線13などの第1の配線材16と別々に分けて形成されてもよく、第1の配線材16と一体化されて形成されてもよい。
【0030】
ここで、絶縁性基材11の材質としては、電気絶縁性の材質であれば特に限定なく用いることができ、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN:polyethylene naphthalate)、ポリイミド(PI、polyimide)、ポリフェニレンサルファイド(PPS:polyphenylene sulfide))、およびポリビニルフルオライド(PVF:polyvinyl fluoride)からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む材質を用いることができる。上記絶縁性基材11の材質のなかでも、PET、PENまたはPIを用いる場合は、後述の第2の配線材を設けることによる効果が大きい。
【0031】
また、絶縁性基材11の厚さは特に限定されず、たとえば10μm以上200μm以下とすることができる。なお、絶縁性基材11は、1層のみからなる単層構造であってもよく、2層以上からなる複数層構造であってもよい。
【0032】
また、第1の配線材16である第1導電型用配線12および第2導電型用配線13の材質としては、電気導電性の材質のものであれば特に限定なく用いることができ、たとえば、銅、アルミニウムおよび銀からなる群から選択された少なくとも1種を含む金属などを用いることができる。
【0033】
また、第1導電型用配線12および第2導電型用配線13の厚さもそれぞれ特に限定されず、たとえば5μm以上75μm以下とすることができる。
【0034】
また、第1導電型用配線12および第2導電型用配線13の形状も、上記のように隣接する列間における第1導電型用配線と第2導電型用配線との配置関係を満足する限り、それぞれ上述した形状に限定されず、適宜設定することができるものであることは言うまでもない。
【0035】
また、第1導電型用配線12の少なくとも一部の表面および/または第2導電型用配線13の少なくとも一部の表面には、たとえば、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、錫(Sn)、SnPbはんだ、およびITO(Indium Tin Oxide)からなる群から選択された少なくとも1種を含む電気導電性物質を設置してもよい。この場合には、第1導電型用配線12および第2導電型用配線13と後述する裏面電極型太陽電池セル20の電極との電気的接続を良好なものとし、第1導電型用配線12および/または第2導電型用配線13の耐候性を向上させることができる傾向にある。
【0036】
また、第1導電型用配線12の少なくとも一部の表面および/または第2導電型用配線13の少なくとも一部の表面には、たとえば黒化処理などの表面処理を施してもよい。
【0037】
なお、第1導電型用配線12および第2導電型用配線13もそれぞれ、1層のみからなる単層構造であってもよく、2層以上からなる複数層構造であってもよい。
【0038】
本発明の配線シート10は、さらに絶縁性基材11のセル配置部が設けられる面内に第2の配線材15を有する。該第2の配線材は、第1の配線材が設けられる領域以外に設けられる。本実施の形態1においては、第1方向に隣り合うセル配置部間にいずれのセル配置部の第1導電型配線および第2導電型配線とも電気的に絶縁された第2の配線材を有する。具体的には図3に示すように、第2の配線材15が、第1方向に隣り合う裏面電極型太陽電池セルに対応するセル配置部間であって、第1の配線材16と接触しない位置に設けられることを特徴とする。
【0039】
本発明の配線シート10を構成する絶縁性基材11は熱により伸縮する傾向があり、第1の配線材16は熱により膨張し、一度膨張した形状を維持するので、このような材料の熱による伸縮差に起因して第1の配線材16の有無により絶縁性基材11に部分的に寸法歪みが発生し、上記セル配置部の配列が所望の位置からずれる虞がある。したがって、太陽電池セルを配線シートに配置する工程において配線シートと太陽電池セルの裏面電極との位置合わせを精度よく行なうためには、位置を確認する工程を追加する必要がある等、製造効率の低下が懸念される。また、第1の配線材16が設けられる領域以外の領域においては絶縁性基材11が物理的に薄くなり、熱による伸縮のストレスがこのように薄い部分に集中してしまい、配線シートの部分的な歪みにより第1方向に隣接する太陽電池セルに対応する配線同士が接触して短絡することが懸念される。一方、本発明の配線シートは、上記第2の配線材15を有することによって、該部材の熱特性の向上や、該部材を設けることによる配線シートの絶縁性基材の厚みの増大により、配線シート全体の熱伸縮差が略均一なものとなり、寸法精度が良好に維持される。
【0040】
第2の配線材15としては、後述の第1の配線材16を構成する材質と同様の材質を採用することができ、たとえば、導電性の材料である銅、アルミニウムおよび銀からなる群から選択された少なくとも1種を含む金属などを用いることができる。また、絶縁性の材料により構成してもよく、製造工程の熱処理温度に対する耐熱性を有する材料としてたとえば、PEN、PI、PETなどを用いることができる。これらの材料は第2の配線材15を設ける位置により、すなわち、太陽電池セル間の電気的接続の要否により導電性または絶縁性を選択して用いる。
【0041】
なお、この第2の配線材15が、セル配置部および接続部のいずれにも接触しない本実施の形態1においては、導電性および絶縁性のいずれの材料も用いることができる。
【0042】
以下に、図3に示される構成の配線シート10の製造方法の一例について説明する。まず、たとえばPETフィルムなどの絶縁性基材11を用意し、その絶縁性基材11の一方の表面の全面にたとえば金属箔または金属プレートなどの電気導電性物質を貼り合わせる。
【0043】
次に、絶縁性基材11の表面に貼り合わされた電気導電性物質の一部をフォトエッチングなどにより除去して電気導電性物質をパターニングすることによって、絶縁性基材11の表面上にパターニングされた電気導電性物質からなる第1導電型用配線12および第2導電型用配線13から構成された第1の配線材16を形成する。
【0044】
また、上記第2の配線材15は、上記第1の配線材16と同様の材料を用いる場合、第1導電型用配線12および第2導電型用配線13の形成の際に、フォトエッチングなどによりパターニングして形成することができる。以上により、図3に示される構成の配線シート10を作製することができる。
【0045】
ここで、上記接続部18の材質としては、電気導電性の材質のものであれば特に限定なく用いることができ、たとえば、銅、アルミニウムおよび銀からなる群から選択された少なくとも1種を含む金属などを用いることができる。
【0046】
また、接続部18の厚さは特に限定されず、たとえば5μm以上75μm以下とすることができる。
【0047】
また、接続部18の形状も上述した形状に限定されず、適宜設定することができるものであることは言うまでもない。
【0048】
また、接続部18の少なくとも一部の表面にも、たとえば、ニッケル(Ni)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、錫(Sn)、SnPbはんだ、およびITO(Indium Tin Oxide)からなる群から選択された少なくとも1種を含む電気導電性物質を設置してもよい。この場合には、接続部18の電気的接続を良好なものとし、接続部18の耐候性を向上させることができる傾向にある。
【0049】
また、接続部18の少なくとも一部の表面にも、たとえば黒化処理などの表面処理を施してもよい。また、接続部18は、1層のみからなる単層構造であってもよく、2層以上からなる複数層構造であってもよい。
【0050】
(裏面電極型太陽電池セル)
図4に、図1および図2に示される裏面電極型太陽電池セル20の一例の模式的な断面図を示す。図4に示される裏面電極型太陽電池セル20は、たとえばn型またはp型の導電型を有するシリコン基板などの半導体基板21と、裏面電極型太陽電池セル20の受光面となる半導体基板21の凹凸表面上に形成された反射防止膜27と、裏面電極型太陽電池セル20の裏面となる半導体基板21の裏面に形成されたパッシベーション膜26とを有している。
【0051】
また、半導体基板21の裏面には、第1導電型不純物が拡散して形成された第1導電型不純物拡散領域22と第2導電型不純物が拡散して形成された第2導電型不純物拡散領域23とが所定の間隔を空けて交互に形成されているとともに、半導体基板21の裏面のパッシベーション膜26に設けられたコンタクトホールを通して第1導電型不純物拡散領域22に接する第1導電型用電極24および第2導電型不純物拡散領域23に接する第2導電型用電極25がそれぞれ設けられている。上記第1導電型または第2導電型がn型の場合は不純物としてたとえばリンなどを用い、p型の場合はたとえばボロンなどを不純物として用いればよい。
【0052】
ここで、n型またはp型の導電型を有する半導体基板21の裏面には、第1導電型不純物拡散領域22または第2導電型不純物拡散領域23と半導体基板21内部との界面において複数のpn接合が形成されることになる。半導体基板21がn型またはp型のいずれの導電型を有していても、第1導電型不純物拡散領域22および第2導電型不純物拡散領域23はそれぞれ半導体基板21内部と接合していることから、第1導電型用電極24および第2導電型用電極25はそれぞれ半導体基板21の裏面に形成された複数のpn接合にそれぞれ対応する電極となる。なお、半導体基板21の導電型を問わず、近接する第1導電型不純物拡散領域22と第2導電型不純物拡散領域23との接触によりpn接合が形成されてもよい。
【0053】
図5(a)に、図4に示される裏面電極型太陽電池セル20の半導体基板21の裏面の一例の模式的な平面図を示す。図5(a)に示すように、第1導電型用電極24および第2導電型用電極25はそれぞれ同一方向に伸長する帯状に形成されており、半導体基板21の裏面において上記の伸長方向と直交する方向にそれぞれ1本ずつ交互に配置されている。この交互に配置される第1導電型用電極と第2導電型用電極とは、図5(a)に示すように帯状の長さ方向に凹凸を有する配置としてもよいし、図5(b)の図4に示される裏面電極型太陽電池セル20の半導体基板21の裏面の他の一例の模式的な平面図に示されるように、帯状の両端が揃うように配置してもよい。
【0054】
ここで、裏面電極型太陽電池セル20の裏面の第1導電型用電極24および第2導電型用電極25のそれぞれの形状および配置は、図5(a)、図5(b)に示す構成に限定されず、配線シート10の第1導電型用配線12および第2導電型用配線13と対応してそれぞれ電気的に接続可能な形状および配置であればよい。
【0055】
上記半導体基板21としては、たとえば、n型またはp型の導電型を有する多結晶シリコンまたは単結晶シリコンなどからなるシリコン基板などを用いることができる。また、第1導電型用電極24および第2導電型用電極25としてはそれぞれ、たとえば、銀などの金属からなる電極を用いることができる。パッシベーション膜26としては、たとえば、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、または酸化シリコン膜と窒化シリコン膜との積層体などを用いることができる。上記反射防止膜27としては、たとえば、窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0056】
なお、本発明における裏面電極型太陽電池セルの概念には、上述した半導体基板21の一方の表面(裏面)のみに第1導電型用電極24および第2導電型用電極25の双方が形成された構成のものだけでなく、MWT(Metal Wrap Through)セル(半導体基板に設けられた貫通孔に電極の一部を配置した構成の太陽電池セル)などのいわゆるバックコンタクト型太陽電池セル(太陽電池セルの受光面と反対側の裏面から電流を取り出す構造の太陽電池セル)のすべてが含まれる。
【0057】
上述した裏面電極型太陽電池セル20の第1導電型用電極24および第2導電型用電極25はそれぞれ、配線シート10の第1導電型用配線12と第2導電型用配線13との組み合わせからなるセル配置部と、たとえば図6の模式的平面図および図7の模式的断面図に示すように電気的に接続されることになる。なお、図7は、配線シート10と裏面電極型太陽電池セル20とを電気的に接続した状態を図6のVII−VIIに沿った方向の断面により模式的に示した図である。
【0058】
すなわち、図6および図7に示すように、裏面電極型太陽電池セル20の第1導電型用電極24の櫛形状の櫛歯に相当する部分と配線シート10の第1導電型用配線12の櫛形状の櫛歯に相当する部分とが重ね合わされて接続されるとともに、裏面電極型太陽電池セル20の第2導電型用電極25の櫛形状の櫛歯に相当する部分と配線シート10の第2導電型用配線13の櫛形状の櫛歯に相当する部分とが重ね合わされて接続されることによって、図1に示す配線シート付き太陽電池セル100が作製されることになる。
【0059】
(配線シート付き太陽電池セルの製造方法)
配線シート付き太陽電池セル100の製造方法の一例を上記図1および図2を用いて説明する。ここで、図1に示す配線シート付き太陽電池セル100は、図2に示される構成の配線シート10の表面上のセル配置部に裏面電極型太陽電池セル20を設置することによって作製することができる。そして、裏面電極型太陽電池セル20の第1導電型用電極24は配線シート10の第1導電型用配線12と電気的に接続され、裏面電極型太陽電池セル20の第2導電型用電極25は配線シート10の第2導電型用配線13と電気的に接続されることになる。
【0060】
以上のように、上記本発明の配線シートにより裏面電極型太陽電池セルを電気的に接続することによって、たとえば図1に示される構成の配線シート付き太陽電池セルが作製される。この配線シート付き太陽電池セル100においては、複数の裏面電極型太陽電池セル20が、絶縁性基板11の表面上において、電気的に直列に接続されることになる。
【0061】
(太陽電池モジュール)
図8(a)および図8(b)に、本発明の太陽電池モジュールの一例の製造方法の一例を図解する模式的な断面図を示す。以下、図8(a)および図8(b)を参照して、上述のようにして作製された配線シート付き太陽電池セルを用いた本発明の太陽電池モジュールの一例の製造方法の一例について説明する。
【0062】
まず、図8(a)に示すように、配線シート付き太陽電池セルの裏面電極型太陽電池セル側に第1の透明樹脂31aを備えた透明基板33を設置するとともに、配線シート付き太陽電池セルの配線シート側に第2の透明樹脂31bを備えた裏面保護シート32を設置する。ここで、配線シート付き太陽電池セルとしては、上述のようにして複数の太陽電池セルを電気的に接続して作製された配線シート付き太陽電池セルの他、複数の分割された配線シート付き太陽電池セルを電気的に接続して作製された配線シート付き太陽電池セルを用いてもよい。
【0063】
次に、第1の透明樹脂31aを配線シート付き太陽電池セルの各裏面電極型太陽電池セルに圧着させるとともに、第2の透明樹脂31bを配線シート付き太陽電池セルの配線シートに圧着させた状態で加熱処理することによって、第1の透明樹脂31aと第2の透明樹脂31bとを一体化させて硬化させる。これにより、図8(b)に示すように、第1の透明樹脂31aと第2の透明樹脂31bとが一体化してなる封止材31中に上記の配線シート付き太陽電池セルが封止されてなる本発明の太陽電池モジュールの一例が作製される。
【0064】
図8(b)に示す太陽電池モジュールにおいては、封止材31の伸縮力によって裏面電極型太陽電池セルが配線シートに強く圧着され、裏面電極型太陽電池セルの第1導電型用電極24と配線シートの第1導電型用配線12との圧着および裏面電極型太陽電池セルの第2導電型用電極25と配線シートの第2導電型用配線13との圧着がそれぞれ強化されて、個々の裏面電極型太陽電池セルの電極と配線シートの配線との間に良好な電気的接続が得られることになる。
【0065】
ここで、配線シート付き太陽電池セルを封止材31中に封止するための圧着および加熱処理は、たとえばラミネータと呼ばれる真空圧着および加熱処理を行なう装置などを用いて行なうことができる。たとえばラミネータにより第1の透明樹脂31aおよび第2の透明樹脂31bを熱変形させ、第1の透明樹脂31aおよび第2の透明樹脂31bを熱硬化させることにより、これらの透明樹脂が一体化されて封止材31が形成され、封止材31中に上記の配線シート付き太陽電池セルが包み込まれるようにして封止されることになる。
【0066】
なお、真空圧着とは、大気圧よりも減圧した雰囲気下で圧着させる処理のことである。ここで、圧着方法として真空圧着を用いた場合には、第1の透明樹脂31aと第2の透明樹脂31bとの間に空隙が形成されにくくなり、第1の透明樹脂31aと第2の透明樹脂31bとを一体化して形成された封止材31中に気泡が残留しにくくなる傾向にある点で好ましい。また、真空圧着を用いた場合には、裏面電極型太陽電池セルと配線シートとの間の均一な圧着力の確保に有利となる傾向にもある。
【0067】
ここで、透明基板33としては、太陽光に対して透明な基板であれば特に限定なく用いることができ、たとえば、ガラス基板などを用いることができる。
【0068】
また、第1の透明樹脂31aおよび第2の透明樹脂31bとしては、太陽光に対して透明な樹脂を特に限定なく用いることができ、なかでも、エチレンビニルアセテート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂およびゴム系樹脂からなる群から選択された少なくとも1種の透明樹脂を用いることが好ましい。この場合には、封止材31が耐候性に優れるとともに、太陽光の透過性が高くなるため、太陽電池モジュールの出力(特に、短絡電流または動作時電流)を大きく損なうことなく十分な強度で透明基板33に固着させることができる。これにより、太陽電池モジュールの長期信頼性を確保することができる傾向にある。
【0069】
なお、第1の透明樹脂31aと第2の透明樹脂31bとはそれぞれ同一種類の透明樹脂を用いてもよく、異なる種類の透明樹脂を用いてもよい。
【0070】
また、上記の配線シート付き太陽電池セルを封止材31中に封止する際の加熱処理は、たとえば、第1の透明樹脂31aおよび第2の透明樹脂31bがそれぞれエチレンビニルアセテート樹脂からなる場合には、たとえば100℃以上200℃以下の温度に第1の透明樹脂31aおよび第2の透明樹脂31bをそれぞれ加熱することにより行なうことができる。
【0071】
また、裏面保護シート32としては、封止材31の裏面を保護することができるものであれば特に限定なく用いることができ、たとえば従来から用いられているPETなどの耐候性フィルムを用いることができる。
【0072】
また、封止材31中への水蒸気や酸素の透過を十分に抑制して長期的な信頼性を確保する観点から、裏面保護シート32は、たとえばアルミニウムなどの金属フィルムを含んでいても良い。
【0073】
また、太陽電池モジュールの端面などの裏面保護シート32を密着させることが難しい部分にはたとえばブチルゴムテープなどの水分透過防止テープを用いて完全に密着させることもできる。
【0074】
また、上記のようにして作製された本発明の太陽電池モジュールの一例においては、たとえばアルミニウム合金などからなるフレームが太陽電池モジュールの外周を取り囲むようにして取り付けられていてもよい。
【0075】
なお、本発明の配線シート、配線シート付き太陽電池セルおよび太陽電池モジュールはそれぞれ上記の構成に限定されず、様々な構成にすることができることは言うまでもない。
【0076】
第2の配線材15の形状について、図9および図10に図3の破線部分の配線パターンと第2の配線材との位置関係を示す一例の模式的な平面図すなわち、配線シートの第2方向の端部であって第1方向に隣接する太陽電池セルに対応するセル配置部における配線材および上記第2の配線材の配置の例を示す。上記第2の配線材15は、配線シートの第2方向端部において図3および図9に示すように棒状の第2の配線材15aとしてもよく、また、たとえば図10に示すように、第1方向に隣接する太陽電池セルに対応する配線材の第1導電型用配線12と第2導電型用配線13の領域以外を埋めるようにL字型の第2の配線材15bを形成してもよい。
【0077】
また、本発明の配線シート付き太陽電池セルおよび太陽電池モジュールにおいて、太陽電池セルおよび配線シートの電気的接続はそれぞれ、全て直列の場合について説明したが、直列、並列、または直列と並列とを組み合わせた電気的接続としてもよい。
【0078】
(作用)
以上のように、本発明においては、配線シートを構成する絶縁性基材上に上記第2の配線材を有するので、配線シート付き太陽電池セルおよび太陽電池モジュールの製造工程における熱等の処理により、太陽電池セルの位置ずれが起こることが無く、配線シートの配線材と裏面電極型太陽電池せるの各電極との接触を良好なものとすることができる。
【0079】
<実施の形態2>
本実施の形態2は、上記実施の形態1における上記第2の配線材が、複数の部材の複合体として形成される以外は、実施の形態1と同様であり、上記実施の形態1と重複する部分についてはその説明は省略する。
【0080】
図11〜図15に、図9に示される第2の配線材の形態の例を示す模式的な平面図を示す。
【0081】
上記第2の配線材15は、図11に示すように、第1方向に平行に配列された短冊状の第2の配線材15cの複合体とすることができる。また、図12に示すように、第2方向に垂直な短冊状の第2の配線材15dの複合体とすることができる。さらに、図11および図12の形態を組み合わせて、図13に示すように第2方向に平行に配列された短冊状の第2の配線材15fと、第2方向に垂直な短冊状の第2の配線材15eとの複合体としてもよい。また、図13に示す形態において、これらの部材は第1方向に平行な場合に限られず、図14に示すように、上記短冊が第2方向に対して傾いた形態の第2の配線材15gおよび第2の配線材15hとの複合体としてもよい。さらにまた、上記部材は棒状の部材の複合に限られず、図15に示すように、湾曲した形状の第2の配線材15iの複合体としてもよい。これらの複合体は例示にすぎず、上記形態を組み合わせて、たとえば、図15に示す湾曲した形状の第2の配線材15iと図12に示す第2方向に垂直な短冊状の第2の配線材15dとの複合体なども本発明に含まれる。
【0082】
上記種々の第2の配線材15は、上記絶縁性基材において部分的な熱伸縮差が生じることにより配線シートの一部が歪むことを抑制する場合に効果的である。上記各部材の形状は、絶縁性基材の熱伸縮特性に合わせて選択することができ、第1方向に伸縮する場合は、たとえば図12に示す形態の複合体を用いることで、第1方向の伸縮を抑制すればよい。
【0083】
<実施の形態3>
本実施の形態3は、上記第2の配線材が、セル配置部すなわち第1の配線材16と一体化して形成される以外は、実施の形態1と同様であり、上記実施の形態1と重複する部分についてはその説明は省略する。
【0084】
図16に示すように、本実施の形態3においては、上記第2の配線材15が、第1方向において隣り合うセル配置部間において、いずれか一方のセル配置部の第1配線または第2配線と一体化された形態であり、いずれか一方のセル配置部の第1配線または第2配線の一部の配線幅がその他の配線幅よりも大きくなるように形成される。この場合、上記第2の配線材15は、第1の配線材16と同一の材質として、配線材を形成する際に同時に絶縁性基材11上に形成することができる。
【0085】
本実施の形態3においても、各部材を上記実施の形態2に記載の複合体として形成することができる。
【0086】
<実施の形態4>
本実施の形態4は、セル配置部間に第1配線および第2配線と電気的に絶縁された第2の配線材を有する場合であって、上記第2の配線材が、2行2列の4つの太陽電池セルに対応するセル配置部に囲まれた領域であって、第1の配線材16と接触しない位置に設けられる以外は、実施の形態1と同様であり、上記実施の形態1と重複する部分についてはその説明は省略する。
【0087】
図17に示すように、上記第2の配線材15を、2行2列の4つの太陽電池セルに対応するセル配置部に囲まれた領域に設ける場合は、実施の形態1のように第1方向に隣接する太陽電池セルに対応するセル配置部間の全体にわたり形成される場合に比べて、上記部材による第1方向に隣接する太陽電池セル間の電位差への影響を抑制できるので好ましい。特に、第2の配線材15が導電性の材質の場合は、本実施の形態4によれば上記電位差に与える影響は考慮する必要がないので好ましい。
【0088】
また、本実施の形態4においても、各部材を上記実施の形態2に記載の複合体として形成することができる。
【0089】
<実施の形態5>
本実施の形態5は、上記第2の配線材が、上記配線材の接続部と接触するように形成される以外は、実施の形態1と同様であり、上記実施の形態1と重複する部分についてはその説明は省略する。
【0090】
本実施の形態5においては、図18に示すように、第2の配線材15が第1方向に隣接する太陽電池セルに対応するセル配置部間の全体にわたり形成され、かつ第1の配線材16の接続部18と接触するように形成される。この場合、上記実施の形態3と同様、第2の配線材15が、接続部18を同一の材質として、接続部を形成する際に同時に絶縁性基材11上に形成することができる。また、接続部18を第1の配線材16と一体化させて同一の材質により形成すれば、上記第2の配線材15と第1の配線材16と接続部18とを1の工程で形成することが可能となり、好ましい。
【0091】
本実施の形態5においても、各部材を上記実施の形態2に記載の複合体として形成することができる。
【0092】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行なったが、上述の各実施の形態の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
【0093】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、寸法精度が高く、太陽電池モジュールの出力効率および製造効率を向上させることができる配線シート、配線シート付き太陽電池セルおよび太陽電池モジュールを提供することができる。
【符号の説明】
【0095】
10 配線シート、11 絶縁性基板、12 第1導電型用配線、13 第2導電型用配線、15,15a,15b,15c,15d,15e,15f,15g,15h,15i 第2の配線材、16 第1の配線材、18 接続部、19 セル配置部、20 裏面電極型太陽電池セル、21 半導体基板、22 第1導電型不純物拡散領域、23 第2導電型不純物拡散領域、24 第1導電型用電極、25 第2導電型用電極、26 パッシベーション膜、27 反射防止膜、31 封止材、31a 第1の透明樹脂、31b 第2の透明樹脂、32 裏面保護シート、33 透明基板、100 配線シート付き太陽電池セル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の一方の面側に第1導電型用電極および第2導電型用電極が配置された裏面電極型太陽電池セルを電気的に接続するための配線シートであって、
前記配線シートは、絶縁性基材と、前記絶縁性基材上に設けられる第1の配線材とを有し、
前記第1の配線材は、前記裏面電極型太陽電池セルが配置されるセル配置部を複数備え、該セル配置部のそれぞれは、互いに電気的に絶縁された第1配線と第2配線とを含み、
前記セル配置部間に前記第1配線および前記第2配線と電気的に絶縁された第2の配線材を有する配線シート。
【請求項2】
半導体基板の一方の面側に第1導電型用電極および第2導電型用電極が配置された裏面電極型太陽電池セルを電気的に接続するための第1の配線材が絶縁性基材上に設けられた配線シートであって、
前記裏面電極型太陽電池セルを配置するセル配置部が、前記絶縁性基材上において第1方向と該第1方向と異なる第2方向とのそれぞれに複数配列されており、
前記セル配置部のそれぞれは、互いに電気的に絶縁された第1配線と第2配線とを含み、
前記第2方向において互いに隣り合うセル配置部のうちの一方のセル配置部の第1配線と他方のセル配置部の第2配線とが電気的に接続されており、
前記第1方向において隣り合うセル配置部間において、いずれか一方のセル配置部の前記第1配線または前記第2配線と一体化された第2の配線材を有する配線シート。
【請求項3】
複数の裏面電極型太陽電池セルを接続した請求項1または2に記載の配線シート。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の配線シートを含む太陽電池モジュール。
【請求項5】
半導体基板の一方の面側に第1導電型用電極および第2導電型用電極が配置された裏面電極型太陽電池セルと、該裏面電極型太陽電池セルを接続するための第1の配線材が絶縁性基材上に設けられた配線シートとを備えた配線シート付き太陽電池セルであって、
前記第1の配線材は、前記裏面電極型太陽電池セルの前記第1導電型用電極に電気的に接続された第1配線と、前記裏面電極型太陽電池セルの前記第2導電型用電極に電気的に接続された第2配線とを含み、
前記セル配置部間に前記第1配線および前記第2配線と電気的に絶縁された第2の配線材を有する配線シート付き太陽電池セル。
【請求項6】
半導体基板の一方の面側に第1導電型用電極および第2導電型用電極が配置された裏面電極型太陽電池セルと、該裏面電極型太陽電池セルを接続するための第1の配線材が絶縁性基材上に設けられた配線シートとを備えた配線シート付き太陽電池セルであって、
前記裏面電極型太陽電池セルは、前記絶縁性基材上の前記第1の配線材が設けられる面において第1方向と該第1方向と異なる第2方向とのそれぞれに複数配列されており、
前記第1の配線材は、前記裏面電極型太陽電池セルの前記第1導電型用電極に電気的に接続された第1配線と、前記第2導電型用電極に電気的に接続された第2配線とを含み、
前記第2の方向において互いに隣り合う前記裏面電極型太陽電池セルのうちの一方の裏面電極型太陽電池セルの前記第1導電型用電極に電気的に接続された前記第1配線と、他方の裏面電極型太陽電池セルの前記第2導電型用電極に電気的に接続された前記第2配線とが電気的に接続されており、
前記第1の方向において互いに隣り合う前記裏面電極型太陽電池セル間の配線シートに前記第1配線または前記第2配線と一体化された第2の配線材を有する、配線シート付き太陽電池セル。
【請求項7】
請求項5または6に記載の配線シート付き太陽電池セルを含む太陽電池モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−258158(P2010−258158A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105446(P2009−105446)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】