説明

配線器具

【課題】組立性がよく、ケースに対するカバーの中央領域の浮き上がりを確実に防止できる配線器具を提供する。
【解決手段】配線器具11は、2モジュールサイズの配線器具本体12と、配線器具本体12に収納するスイッチユニット13とを備える。配線器具本体12の上下面に、ケース16とカバー17とを取付状態で互いに係止する外側係止部26を設ける。配線器具本体12の内側中央領域に、ケース16とカバー17とを取付状態で互いに係止する内側係止部36を設ける。ケース16とカバー17とを組み立てる際には外側係止部26と一緒に内側係止部36を係止できて組立性がよく、内側係止部36でケース16に対するカバー17の中央領域の浮き上がりを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチユニットを有する2モジュールサイズ以上の配線器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、家庭用の屋内配線に用いられる配線器具では、玄関などの照明、トイレや風呂などの換気扇などの負荷について、オフ操作後の一定時間後または任意に設定した時間後に負荷を自動的にオフするようにした遅動スイッチやタイマスイッチがある。
【0003】
このような配線器具は、配線器具本体、およびこの配線器具本体に収納されるスイッチユニットを有し、オンオフ操作に対応して直ぐにオンオフするスイッチ回路とオフを遅らせる遅動回路との2回路とを有するスイッチユニットの場合には、配線器具本体が2モジュールサイズまたは3モジュールサイズとなっていることが多い(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
配線器具本体は、前面を開口したケース、およびケースの前面に取り付けられるカバーを有し、両側面には配線器具用取付枠であるサポートに取り付けるためのサポート取付部が設けられているために、上下面にケースとカバーとを取付状態で互いに係止する係止部が設けられている。
【0005】
スイッチユニットは、配線器具本体のケースとカバーとの間に収納され、カバーの前面から操作可能にカバーの内側から嵌合されるハンドル、およびハンドルとの間にスプリングを介在してハンドルの操作で反転動作するスイッチ機構を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−105814号公報(第2−4頁、図1−5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、2モジュールサイズまたは3モジュールサイズの配線器具では、配線器具本体の両側面にサポート取付部が設けられていて、ケースとカバーとを取付状態で係止する係止部を配線器具本体の上下面にしか設けられないこと、およびスイッチ機構のスプリングでケースに対してハンドルおよびこのハンドルを介してカバーを押圧することにより、係止部で係止されていないカバーの中央領域がケースから浮き上がりやすくなる。
【0008】
このようにカバーの中央領域が浮き上がると、カバーにハンドルが嵌合しているスイッチ機構の動作が不安定となりやすい問題がある。この問題を解決するために、カバーの中央領域をケースに対してねじで取り付けることも考えられるが、ねじの分だけ部品点数が増加するとともに、組立工数も増加して組立作業性が低下してしまう問題がある。
【0009】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、組立性がよく、ケースに対するカバーの中央領域の浮き上がりを確実に防止できる配線器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1記載の配線器具は、前面を開口したケース、およびケースの前面に取り付けられるカバーを有する2モジュールサイズ以上に形成され、両側面にサポート取付部が設けられ、上下面にケースとカバーとを取付状態で互いに係止する外側係止部が設けられ、内側中央領域にケースとカバーとを取付状態で互いに係止する内側係止部が設けられた配線器具本体と;配線器具本体のケースとカバーとの間に収納され、カバーの前面から操作可能にカバーの内側から嵌合されるハンドル、およびハンドルとの間にスプリングを介在してハンドルの操作で動作するスイッチ機構を有するスイッチユニットと;を具備しているものである。
【0011】
JISで規格化されたサポートは最小単位の配線器具を3個取り付けて1個用の配線ボックスに配置できるように構成されており、配線器具の最小単位を1モジュールという。2モジュールサイズは、最小単位の2個を一体に連接したサイズとなる。2モジュールサイズ以上とは、最小単位の3個を一体に連接した3モジュールサイズでもよいことを意味する。
【0012】
ケースおよびカバーは、絶縁性を有する合成樹脂によって形成される。配線器具本体の両側面のサポート取付部は、サポートに取り付けるためのもので、ケースおよびカバーのいずれか一方、あるいは両方の間に設けられていてもよい。
【0013】
外側係止部は、例えば、ケースの上下面に爪部を突設し、カバーの上下部にケースの上下面に被着するとともに爪部に引っ掛かる突片を突設することにより、ケースとカバーとを組み合わせた際にケースとカバーとを互いに係止するようにしてもよいが、このような構成に限られるものではなく、ケースとカバーとを組み合わせた際にこれらケースとカバーとを互いに係止可能とする構成であれば、どのような構成を用いてもよい。
【0014】
内側係止部は、例えば、ケースの内側およびカバーの内側の両方からフックをそれぞれ突出させ、ケースとカバーとを組み合わせた際に互いのフックが係合し、ケースとカバーとを係止するようにしてもよいが、このような構成に限られるものではなく、ケースとカバーとを組み合わせた際にこれらケースとカバーとを互いに係止可能とする構成であれば、どのような構成を用いてもよい。
【0015】
スイッチユニットは、ハンドルの操作によってスイッチ機構が動作する。スイッチ機構は、例えば、ハンドルのオンオフ操作に対応して直ぐにオンオフするスイッチ回路とオフを遅らせる遅動回路との2回路を有していてもよい。スプリングは、ハンドルおよびスイッチ機構の切換状態を維持するのに用いられる。
【0016】
請求項2記載の配線器具は、請求項1記載の配線器具において、内側係止部は、ケースに設けられたケースフック、カバーに設けられケースとカバーとの取付状態でケースフックと係止されるカバーフック、およびケースフックとカバーフックとの係止を位置決めする位置決め部が設けられているものである。
【0017】
位置決め部は、例えば、ケースフックの両側に、このケースフックに係止するカバーフックの両側と当接して係止位置を位置決めする位置決め壁を設けてもよいが、ケースとカバーとを組み合わせる際に、ケースフックとカバーフックとの係止を位置決めすることができれば、どのような構成を用いてもよい。
【0018】
請求項3記載の配線器具は、請求項2記載の配線器具において、スイッチユニットは、負荷制御回路が設けられる基板を有し、ケースは、内側の一側に設けられスイッチ機構を配置するスイッチ機構収納部、および内側の他側に設けられ基板を配置する基板収納部を有し、ケースフックは、ケースの内側のスイッチ機構収納部と基板収納部との間に配置され、カバーフックが係止される爪部を有するとともにこの爪部の突出方向の向きが基板収納部側に向けられているものである。
【0019】
負荷制御回路は、例えば、負荷のオフを遅らせる遅動回路などがある。
【0020】
カバーフックについては、特に限定していないが、ケースフックの爪部に互いに係合する爪部や、ケースフックの爪部に引っ掛かる孔部など、いずれの構成でもよい。
【発明の効果】
【0021】
請求項1記載の配線器具によれば、2モジュールサイズ以上に形成された配線器具本体であっても、配線器具本体の上下面にケースとカバーとを取付状態で互いに係止する外側係止部を設けるのに加えて、配線器具本体の内側中央領域にケースとカバーとを取付状態で互いに係止する内側係止部を設けたため、ケースとカバーとを組み立てる際には外側係止部と一緒に内側係止部を係止させることができて組立性がよく、内側係止部によりケースに対するカバーの中央領域の浮き上がりを確実に防止できる。
【0022】
請求項2記載の配線器具によれば、請求項1記載の配線器具の効果に加えて、内側係止部は、ケースフックおよびカバーフックを有するとともに、これらケースフックとカバーフックとの係止を位置決めする位置決め部を有するため、これらケースフックおよびカバーフックがケースおよびカバーの内側にあって取付時に外側から見えなくても、ケースフックとカバーフックとを容易に位置決めできて係止することができる。
【0023】
請求項3記載の配線器具によれば、請求項2記載の配線器具の効果に加えて、ケースフックの爪部が突出する向きをスイッチ機構収納部側に向けた場合には、そのスイッチ機構収納部側との間にカバーフックが侵入するスペースをあける必要から、ケースフックが基板収納部側に突出してしまうが、ケースフックの爪部が突出する向きを基板収納部側に向けているため、ケースフックをスイッチ機構収納部側に寄せて配置でき、基板収納部のスペースが広くなり、基板の装着を容易にでき、組立性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態を示す配線器具の分解状態の斜視図である。
【図2】同上配線器具の組立状態の断面図である。
【図3】同上配線器具のケースの斜視図である。
【図4】同上配線器具のカバーの斜視図である。
【図5】同上配線器具の組立状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0026】
図において、11は配線器具で、この配線器具11は、2モジュールサイズに形成されている配線器具本体12、およびこの配線器具本体12内に収納されているスイッチユニット13を備えている。
【0027】
配線器具本体12は、前面を開口したケース16、およびこのケース16の前面に取り付けられるカバー17を備えている。
【0028】
ケース16は、絶縁性を有する熱硬化性樹脂製で前面が開口されたケース本体20を有し、このケース本体20の内側の一側である上側にスイッチ機構収納部21が形成され、内側の他側である下側に基板収納部22が形成されている。
【0029】
ケース16の一側面には、配線器具用取付枠であるサポートに取り付けるためのサポート取付部23が形成されている。このサポート取付部23には、突部24およびこの突部24の前面に溝部25が形成されている。
【0030】
ケース16の上下面の両側近傍の4箇所には、外側係止部26を構成するケース外側係止部27が形成されている。このケース外側係止部27は、ケース16の上下面の中央領域より窪んだ窪み部28に係止爪29が突設されている。係止爪29は、ケース16の上下面に対して、前面側が傾斜面に、後面側が略垂直面に形成されている。
【0031】
ケース16のスイッチ機構収納部21の両側位置には、リリースボタン収納部30を介して上下に端子収納部31がそれぞれ形成され、リリースボタン収納部30および各端子収納部31にはケース16の背面に貫通するリリース操作孔32および電線挿入孔33が形成されている。スイッチ機構収納部21の両側の端子収納部31間である中央領域には一対の可動片収納部34が形成されている。
【0032】
ケース16の基板収納部22には、ケース16の奥行方向の2箇所に基板支持リブ35が形成されている。
【0033】
ケース16の内側中央領域であって、スイッチ機構収納部21と基板収納部22との間には、内側係止部36を構成するケース内側係止部37が形成されている。このケース内側係止部37は、前方へ向けて突出するケースフック38を有し、このケースフック38の前端下面には基板収納部22側へ向けて突出する爪部39が形成されている。この爪部39は、ケースフック38の下面に対して、前面側が傾斜面で、後面側が略垂直面に形成されている。ケースフック38の両側には、このケースフック38の爪部39側の両側に突出する位置決め部40が形成されている。ケースフック38および位置決め部40は、スイッチ機構収納部21の壁部の一部を構成するものであって、一方の可動片収納部34の壁部の一部を構成している。
【0034】
また、カバー17は、絶縁性を有する熱硬化性樹脂製で後面が開口されたカバー本体50を有し、このカバー本体50の前面には、上側に開口部51が形成されているとともに、この開口部51より下側一側に窓孔52が形成されている。開口部51の上下縁の中央部には、後方へ向けて開口する三角形状の受部53が形成されている。
【0035】
カバー17の両側面には、配線器具用取付枠であるサポートに取り付けるためのサポート取付部23が形成されている。一側のサポート取付部23には、ケース16の突部24の溝部25との間にサポートを挟み込んで保持する保持爪部54が形成されている。他側のサポート取付部23には、サポートに係合される複数の保持突部55が形成されている。
【0036】
カバー17の上下面の両側位置の4箇所には、外側係止部26を構成するカバー外側係止部56が形成されている。このカバー外側係止部56は、カバー17から後方へ向けて突設されてケース16の上下面の窪み部28に被着される係止片57を有し、この係止片57にケース16の係止爪29に係合して係止する係止孔58が形成されている。
【0037】
カバー17の内側中央領域であって、開口部51の下側近傍位置には、内側係止部36を構成するカバー内側係止部59が形成されている。このカバー内側係止部59は、カバー17の後面から後方へ向けて突設されたカバーフック60を有し、このカバーフック60の後端上面には上方へ向けて爪部61が突設されている。この爪部61は、カバーフック60の上面に対して、後面側が傾斜面で、前面側が略垂直面に形成されている。
【0038】
カバー17の後面には、ケース16の前面開口の内側に係合して組み合わされる複数の係合突部62が形成されている。
【0039】
また、スイッチユニット13は、ハンドル70、スイッチ機構71、および基板72を有している。
【0040】
ハンドル70は、カバー17の後面側から開口部51に嵌め込まれる外形状に形成され、上下面中央にはカバー17の受部53に揺動可能に係合される三角形状の揺動突起74が突設され、オンオフ操作に伴って左右方向に揺動可能としている。ハンドル70の前面には表示窓75が形成され、この表示窓75の内側にはスイッチ機構71のオン状態、オフ状態をそれぞれ異なる色で点灯表示するネオン管やLEDなどの図示しない表示部が配置される。ハンドル70の両側部には、ハンドル70を揺動操作するための図示しないハンドルプレートを取り付けるためのハンドルプレート取付部76が形成されている。ハンドル70の後面中央には上下一対のスプリング取付孔77が形成されている。
【0041】
スイッチ機構71は、ケース16の前面から、リリースボタン収納部30に配置されるリリースボタン79、各端子収納部31に収納される鎖状端子80、一側の端子収納部31の鎖状端子80と共通に組み合わされる共通端子金具81、他側の各鎖状端子80と組み合わされて各端子収納部31に収納される個別端子金具82、他方(下側)の可動片収納部34に配置される端子金具83および端子金具84、各可動片収納部34に配置される可動片85、および各可動片85に取り付けられたスプリング86を有している。
【0042】
共通端子金具81には、一方の可動片収納部34に配置される可動片受部87が延設されている。一方の個別端子金具82には、一方の可動片収納部34に配置される接点部88が延設されている。一方の端子金具83には、他方の可動片収納部34に配置される可動片受部83aが形成されているとともに、基板72に接続される基板接続部89が延設されている。他方の端子金具84には、他方の可動片収納部34に配置される接点部90、および基板72に接続される基板接続部91が延設されている。
【0043】
スプリング86の一端は可動片85の外側に圧入固定され、スプリング86の他端はハンドル70のスプリング取付孔77に圧入固定されている。
【0044】
一方の可動片収納部34には、可動片85が共通端子金具81の可動片受部87に接触して揺動可能として一方の個別端子金具82の接点部88に対して接離する第1のスイッチ部92が構成されている。この第1のスイッチ部92は、共通端子金具81と一方の個別端子金具82とに接続される負荷回路を、ハンドル70のオンオフ操作に対応して直ぐにオンオフするオンオフ回路のスイッチ部として機能する。
【0045】
他方の可動片収納部34には、可動片85が端子金具83の可動片受部83aに接触して揺動可能として端子金具84の接点部90に対して接離する第2のスイッチ部93が構成されている。この第2のスイッチ部93は、端子金具83,84が基板72に接続され、共通端子金具81と他方の個別端子金具82とに接続される負荷回路を、ハンドル70のオン操作に対応してオンするとともにオフ操作に対してオフを遅らせる基板72に形成された負荷制御回路としての遅動回路のスイッチ部として機能する。
【0046】
基板72は、ケース16の基板収納部22内に配置される基板72aと、ケース16の前面近傍でスイッチ機構収納部21から基板収納部22に亘って配置される基板72bとを備え、これら基板72a.72bが例えばスペーサなどを介して互いに固定されているとともに電気的に接続されている。
【0047】
基板72bには、ハンドル70の後方に対応してスプリング86などが挿通される挿通孔95が形成されている。基板72bのケース16に対向する面には、組立状態において、共通端子金具81および他方の個別端子金具82に対して電気的に接続される図示しない端子部が形成されている。さらに、基板72bには、端子金具83,84の基板接続部89,91が接続されている。
【0048】
そして、基板72には、共通端子金具81と他方の個別端子金具82とに接続される負荷回路を制御する負荷制御回路としての遅動回路が形成されている。この遅動回路は、ハンドル70のオン操作による第2のスイッチ部93のオンに対応して負荷回路に通電させるとともに、ハンドル70のオフ操作による第2のスイッチ部93のオフ後も予め設定された時間だけ負荷回路への通電状態を継続させた後に通電を遮断するように制御する。
【0049】
なお、基板72bの前面には、カバー17の窓孔52の内側位置に、遅動時間を設定する図示しない設定部が配置される。
【0050】
次に、配線器具11の組み立てについて説明する。
【0051】
ケース16内に、リリースボタン79、鎖状端子80、各端子金具81,82,83,84、および基板72を順に組み込む。
【0052】
ハンドル70の各スプリング取付孔77に、各可動片85を取り付けた各スプリング86を圧入固定する。ハンドル70に組み込んだ各可動片85をケース16の各可動片収納部34に挿入して各可動片受部87,83aに係合させる。
【0053】
カバー17の後面側から開口部51にハンドル70を嵌合し、カバー17をケース16の前方から被せて組み合わせ、ケース16およびカバー17の上下面4箇所の外側係止部26とケース16およびカバー17の内側中央領域の内側係止部36とでそれぞれ係止させる。
【0054】
ケース16およびカバー17の上下面4箇所の外側係止部26においては、カバー17の各係止片57の係止孔58がケース16の各係止爪29に係合し、ケース16とカバー17とが組み合わさって当接した取付状態で係止する。
【0055】
ケース16およびカバー17の内側中央領域の内側係止部36においては、カバーフック60の爪部61がケースフック38の爪部39に係合し、ケース16とカバー17とが組み合わさって当接した取付状態で係止する。このとき、内側係止部36には、ケースフック38とカバーフック60との係止を位置決めする位置決め部40を有するため、これらケースフック38およびカバーフック60がケース16およびカバー17の内側にあって取付時に外側から見えなくても、ケースフック38とカバーフック60とを容易に位置決めできて係止させることができる。
【0056】
配線器具11の組立状態では、基板72bの端子部が共通端子金具81および他方の個別端子金具82に対して電気的に接続され、基板72の遅動回路により第2のスイッチ部93のオフ後に第2のスイッチ部93に接続されている負荷回路に予め設定された時間だけ継続して通電できるようになる。
【0057】
次に、配線器具11の施工について説明する。
【0058】
配線器具11は、例えば、トイレの照明装置および換気扇のオンオフに利用し、オフ操作時には、照明装置は直ぐにオフさせ、換気扇は所定時間だけオンを継続させた後にオフさせる遅動動作をするように施工するものとする。
【0059】
配線器具11の両側のサポート取付部23を利用してサポートに取り付ける。壁面に設置された配線ボックスに導かれている照明装置および換気扇からの一方の電線をケース16の後面一側の電線挿入孔33から鎖状端子80に差し込んで共通端子金具81に接続し、また、照明装置からの他方の電線をケース16の後面他側の上側の電線挿入孔33から鎖状端子80に差し込んで一方の個別端子金具82に接続し、また、換気扇からの他方の電線をケース16の後面他側の下側の電線挿入孔33から鎖状端子80に差し込んで他方の個別端子金具82に接続する。これにより、照明装置が第1のスイッチ部92に配線され、換気扇が基板72の遅動回路に配線される。
【0060】
サポートを配線ボックスに取り付け、このサポートには化粧枠を取り付けるとともに、この化粧枠の内側にはハンドル70のハンドルプレート取付部76に取り付けるハンドルプレートを配置する。
【0061】
そして、ハンドルプレートによってハンドル70をオン操作する方向に揺動させることにより、スプリング86の付勢によって、接点部88,90から離反する方向に揺動していた各可動片85が、接点部88,90に接近する方向に揺動して接点部88,90に当接し、第1のスイッチ部92および第2のスイッチ部93ともオンする。
【0062】
そのため、第1のスイッチ部92のオンでこの第1のスイッチ部92に配線されている照明装置に通電されて照明装置が点灯し、第2のスイッチ部93のオンで基板72の遅動回路に配線されている換気扇に通電されて換気扇が動作する。
【0063】
一方、ハンドルプレートによってハンドル70をオフ操作する方向に揺動させることにより、スプリング86の付勢によって、接点部88,90に当接する方向に揺動していた各可動片85が、接点部88,90から離反する方向に揺動し、第1のスイッチ部92および第2のスイッチ部93ともオフする。
【0064】
そのため、第1のスイッチ部92のオフでこの第1のスイッチ部92に配線されている照明装置が直ぐに消灯するが、第2のスイッチ部93がオフしても基板72の遅動回路に配線されている換気扇が直ぐに停止することなく基板72の遅動回路を通じて通電が継続されて動作も継続する。
【0065】
基板72の遅動回路では、第2のスイッチ部93のオフ後も、換気扇に対する通電を継続し、第2のスイッチ部93のオフ時点から予め設定された時間経過したら換気扇に対する通電を遮断し、換気扇を停止させる。
【0066】
このように構成された配線器具11では、2モジュールサイズに形成された配線器具本体12であっても、配線器具本体12の上下面にケース16とカバー17とを取付状態で互いに係止する外側係止部26を設けるのに加えて、配線器具本体12の内側中央領域にケース16とカバー17とを取付状態で互いに係止する内側係止部36を設けたため、ケース16とカバー17とを組み立てる際には外側係止部26と一緒に内側係止部36を係止させることができて組立性がよく、しかも、内側係止部36によりケース16に対するカバー17の中央領域の浮き上がりを確実に防止できる。
【0067】
また、ケースフック38の爪部39が突出する向きをスイッチ機構収納部21側に向けた場合には、そのスイッチ機構収納部21側との間にカバーフック60が侵入するスペースをあける必要から、ケースフック38が基板収納部22側に突出してしまうが、ケースフック38の爪部39が突出する向きを基板収納部22側に向けているため、ケースフック38をスイッチ機構収納部21側に寄せて配置でき、基板収納部22のスペースが広くなり、基板収納部22への基板72の装着を容易にでき、組立性を向上できる。
【符号の説明】
【0068】
11 配線器具
12 配線器具本体
13 スイッチユニット
16 ケース
17 カバー
21 スイッチ機構収納部
22 基板収納部
23 サポート取付部
26 外側係止部
36 内側係止部
38 ケースフック
39 爪部
40 位置決め部
60 カバーフック
70 ハンドル
71 スイッチ機構
72 基板
86 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面を開口したケース、およびケースの前面に取り付けられるカバーを有する2モジュールサイズ以上に形成され、両側面にサポート取付部が設けられ、上下面にケースとカバーとを取付状態で互いに係止する外側係止部が設けられ、内側中央領域にケースとカバーとを取付状態で互いに係止する内側係止部が設けられた配線器具本体と;
配線器具本体のケースとカバーとの間に収納され、カバーの前面から操作可能にカバーの内側から嵌合されるハンドル、およびハンドルとの間にスプリングを介在してハンドルの操作で動作するスイッチ機構を有するスイッチユニットと;
を具備していることを特徴とする配線器具。
【請求項2】
内側係止部は、ケースに設けられたケースフック、カバーに設けられケースとカバーとの取付状態でケースフックと係止されるカバーフック、およびケースフックとカバーフックとの係止を位置決めする位置決め部が設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の配線器具。
【請求項3】
スイッチユニットは、負荷制御回路が設けられる基板を有し、
ケースは、内側の一側に設けられスイッチ機構を配置するスイッチ機構収納部、および内側の他側に設けられ基板を配置する基板収納部を有し、
ケースフックは、ケースの内側のスイッチ機構収納部と基板収納部との間に配置され、カバーフックが係止される爪部を有するとともにこの爪部の突出方向の向きが基板収納部側に向けられている
ことを特徴とする請求項2記載の配線器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−72139(P2011−72139A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221635(P2009−221635)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】