説明

配線回路基板およびそれを備えた燃料電池

【課題】導体層の腐食を十分に防止することが可能な配線回路基板およびそれを備えた燃料電池を提供する。
【解決手段】FPC基板1のベース絶縁層2の一面には、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pが形成される。集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pは被覆層6a〜6nにより被覆される。被覆層6a〜6nは樹脂組成物を含む。樹脂組成物は、温度40℃でかつ相対湿度90%の環境において150g/(m・24h)以下の透湿度を有する。また、樹脂組成物は、80℃以上のガラス転移温度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線回路基板およびそれを備えた燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等のモバイル機器には、小型でかつ高容量の電池が求められる。そこで、リチウム二次電池等の従来の電池に比べて、高エネルギー密度を得ることが可能な燃料電池の開発が進められている。燃料電池としては、例えば直接メタノール型燃料電池(Direct Methanol Fuel Cells)がある。
【0003】
直接メタノール型燃料電池では、メタノールが触媒によって分解され、水素イオンが生成される。その水素イオンと空気中の酸素とを反応させることにより電力を発生させる。この場合、化学エネルギーを極めて効率良く電気エネルギーに変換することができ、非常に高いエネルギー密度を得ることができる。
【0004】
このような直接メタノール型燃料電池の内部では、燃料極、空気極および電解質極からなる電極膜が屈曲されたフレキシブル配線回路基板(以下、FPC基板と略記する)間に配置される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−300238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載されているFPC基板においては、ベース絶縁層上に所定のパターンを有する導体層が形成される。また、導体層は、カーボンブラックまたは黒鉛を含む導電性の被覆層により被覆される。これにより、メタノール等の付着による導体層の腐食が防止されつつ電極膜と導体層との導電性が確保されている。
【0007】
このようなFPC基板をより長期に渡って使用するために、導体層の防食性が向上されることが望ましい。
【0008】
本発明の目的は、電極膜と導体層との導電性を確保しつつ導体層の腐食を十分に防止することが可能な配線回路基板およびそれを備えた燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)第1の発明に係る配線回路基板は、燃料電池に用いられる配線回路基板であって、絶縁層と、絶縁層上に設けられ、所定のパターンを有する導体層と、導体層の表面を被覆する被覆層とを備え、被覆層は導電材料および樹脂組成物を含み、樹脂組成物は、温度40℃でかつ相対湿度90%の環境において150g/(m・24h)以下の透湿度を有するものである。
【0010】
この配線回路基板においては、絶縁層上に設けられた所定のパターンを有する導体層の表面が被覆層により被覆される。被覆層の樹脂組成物は温度40℃でかつ相対湿度90%の環境において150g/(m・24h)以下の透湿度を有する。この場合、燃料電池の燃料または燃料から派生する生成物が被覆層を透過して導体層に付着することが防止される。これにより、配線回路基板の導体層が腐食することが十分に防止される。
【0011】
(2)第2の発明に係る配線回路基板は、燃料電池に用いられる配線回路基板であって、絶縁層と、絶縁層上に設けられ、所定のパターンを有する導体層と、導体層の表面を被覆する被覆層とを備え、被覆層は導電材料および樹脂組成物を含み、樹脂組成物は、80℃以上のガラス転移温度を有するものである。
【0012】
この配線回路基板においては、絶縁層上に設けられた所定のパターンを有する導体層の表面が被覆層により被覆される。被覆層の樹脂組成物は80℃以上のガラス転移温度を有する。この場合、被覆層の厚みが小さくても、燃料電池の燃料または燃料から派生する生成物が被覆層を透過して導体層に付着することが防止される。これにより、配線回路基板の導体層が腐食することが十分に防止される。
【0013】
(3)被覆層は、樹脂組成物100重量部に対して5重量部以上70重量部以下の導電材料を含んでもよい。この場合、被覆層の導電性が十分に確保されつつ配線回路基板の導体層が腐食することが十分に防止される。
【0014】
(4)樹脂組成物は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂およびポリエステル樹脂の少なくとも1つを含んでもよい。この場合、配線回路基板のフレキシブル性が良好になる。特に、樹脂組成物がフェノール樹脂またはエポキシ樹脂を含む場合、配線回路基板のフレキシブル性が良好になりかつ耐薬品性が良好になる。
【0015】
(5)導電材料は、金属材料、炭素材料および導電性高分子材料のうち少なくとも1つを含んでもよい。この場合、被覆層の導電性をより十分に確保することができる。
【0016】
(6)金属材料は、銀を含んでもよい。この場合、被覆層の導電性をさらに十分に確保することができる。
【0017】
(7)炭素材料は、カーボンブラックおよび黒鉛のうち少なくとも一方を含んでもよい。この場合、被覆層の導電性をさらに十分に確保することができる。
【0018】
(8)第3の発明に係る燃料電池は、第1または第2の発明に係る配線回路基板と、電池要素と、配線回路基板および電池要素を収容する筺体とを備えるものである。
【0019】
この燃料電池においては、第1または第2の発明に係る配線回路基板および電池要素が筺体内に収容される。電池要素の電力は、配線回路基板を通して筺体の外部に供給される。
【0020】
配線回路基板においては、燃料電池の燃料または燃料から派生する生成物が被覆層を透過して導体層に付着することが防止される。これにより、配線回路基板の導体層が腐食することが十分に防止される。その結果、燃料電池の信頼性を向上させるとともに、燃料電池をより長期に渡って使用することが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、配線回路基板の導体層の腐食を十分に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】(a)は第1の実施の形態に係るフレキシブル配線回路基板の平面図であり、(b)は(a)のフレキシブル配線回路基板のA−A線断面図である。
【図2】FPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図3】FPC基板の製造方法を説明するための工程断面図である。
【図4】(a)はFPC基板を用いた燃料電池の外観斜視図であり、(b)は(a)の燃料電池内における作用を説明するための図である。
【図5】実施例1〜8および比較例1〜5のFPC基板の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[1]第1の実施の形態
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態に係る配線回路基板について説明する。なお、本実施の形態では、配線回路基板の例として、屈曲性を有するフレキシブル配線回路基板について説明する。
【0024】
(1)フレキシブル配線回路基板の構成
図1(a)は第1の実施の形態に係るフレキシブル配線回路基板の平面図であり、図1(b)は図1(a)のフレキシブル配線回路基板のA−A線断面図である。以下の説明においては、フレキシブル配線回路をFPC基板と略記する。
【0025】
図1(a)および図1(b)に示すように、FPC基板1は、例えばポリイミドからなるベース絶縁層2を備える。ベース絶縁層2は第1絶縁部2a、第2絶縁部2b、第3絶縁部2cおよび第4絶縁部2dからなる。第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bは、それぞれ矩形形状を有し、互いに隣接するように一体的に形成される。以下、第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとの境界線に平行な辺を側辺と称し、第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bの側辺に垂直な一対の辺を端辺と称する。
【0026】
第3絶縁部2cは、第1絶縁部2aの1つの角部における側辺の一部から延出する。第4絶縁部2dは、第1絶縁部2aの上記角部の対角に位置する第2絶縁部2bの角部における側辺の一部から延出する。
【0027】
第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとの境界線上にベース絶縁層2をほぼ二等分するように折曲部B1が設けられる。後述のように、ベース絶縁層2は、折曲部B1に沿って折曲可能である。折曲部B1は、例えば線状の浅い溝であってもよく、または、線状の印等でもよい。あるいは、折曲部B1でベース絶縁層2を折曲可能であれば、折曲部B1に特に何もなくてもよい。ベース絶縁層2を折曲部B1に沿って折曲する場合、第1絶縁部2aと第2絶縁部2bとが対向する。この場合、第3絶縁部2cと第4絶縁部2dとは対向しない。
【0028】
第1絶縁部2aには、複数(本例では端辺方向に沿って4個かつ側辺方向に沿って5個の合計20個)の開口H1が形成される。また、第2絶縁部2bには、複数(本例では端辺方向に沿って4個かつ側辺方向に沿って5個の合計20個)の開口H2が形成される。
【0029】
ベース絶縁層2の一面には、矩形の集電部3a,3b,3c,3d,3e,3f,3g,3h,3i,3j、接続導体部3k,3l,3m,3nおよび引き出し導体部3o,3pが形成される。集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pは例えば銅からなる。
【0030】
集電部3a〜3jの各々は長方形状を有する。集電部3a〜3eは、第1絶縁部2aの端辺に沿って平行に延びかつ第1絶縁部2aの側辺方向に沿って設けられる。ここで、集電部3a〜3eの各々は、第1絶縁部2aの端辺に平行に並ぶ4個の開口H1を含む第1絶縁部2aの領域に形成される。
【0031】
同様に、集電部3f〜3jは、第2絶縁部2bの端辺に沿って平行に延びかつ第2絶縁部2bの側辺方向に沿って設けられる。ここで、集電部3f〜3jの各々は、第2絶縁部2bの端辺に平行に並ぶ4個の開口H2を含む第2絶縁部2bの領域に形成される。
【0032】
この場合、集電部3a〜3eと集電部3f〜3jとは、屈曲部B1を中心として対称な位置に配置される。
【0033】
接続導体部3k〜3nは、屈曲部B1をまたぐように第1絶縁部2aおよび第2絶縁部2bにわたって形成される。接続導体部3kは集電部3bと集電部3fとを電気的に接続し、接続導体部3lは集電部3cと集電部3gとを電気的に接続し、接続導体部3mは集電部3dと集電部3hとを電気的に接続し、接続導体部3nは集電部3eと集電部3iとを電気的に接続する。
【0034】
第1絶縁部2aの開口H1上における集電部3a〜3eの部分には、開口H1よりも径大の開口H11が形成される。また、第2絶縁部2bの開口H2上における集電部3f〜3jの部分には、開口H2よりも径大の開口H12が形成される。
【0035】
引き出し導体部3oは、集電部3aの外側の短辺から第3絶縁部2c上に直線状に延びるように形成される。引き出し導体部3pは、集電部3jの外側の短辺から第4絶縁部2d上に直線状に延びるように形成される。
【0036】
集電部3aおよび引き出し導体部3oの一部を覆うように、第1絶縁部2a上に被覆層6aが形成される。これにより、引き出し導体部3oの先端部は被覆層6aに覆われずに露出する。この露出した引き出し導体部3oの部分を、引き出し電極5aと称する。また、集電部3b〜3eをそれぞれ覆うように、第1絶縁部2a上に被覆層6b,6c,6d,6eが形成される。集電部3a〜3eの開口H11内において、被覆層6a〜6eは第1絶縁部2aの上面に接する。
【0037】
集電部3jおよび引き出し導体部3pの一部を覆うように、第2絶縁部2b上に被覆層6jが形成される。これにより、引き出し導体部3pの先端部は被覆層6jに覆われずに露出する。この露出した引き出し導体部3pの部分を、引き出し電極5bと称する。また、集電部3f〜3iをそれぞれ覆うように、第2絶縁部2b上に被覆層6f,6g,6h,6iが形成される。集電部3f〜3jの開口H12内において、被覆層6f〜6jは第2絶縁部2bの上面に接する。
【0038】
接続導体部3k〜3nをそれぞれ覆うように、第1絶縁部2a上および第2絶縁部2b上に被覆層6k,6l,6m,6nが形成される。
【0039】
被覆層6a〜6nは、導電材料を含有した樹脂組成物からなる。樹脂組成物として、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂もしくはポリエステル樹脂、またはこれらの樹脂を2種類以上混合した樹脂を用いることができる。この場合、FPC基板1のフレキシブル性が良好になる。特に、樹脂組成物がフェノール樹脂またはエポキシ樹脂を含む場合、FPC基板1のフレキシブル性が良好になりかつ耐薬品性が良好になる。
【0040】
樹脂組成物は、温度40℃でかつ相対湿度90%の環境において150g/(m・24h)以下の透湿度を有する。また、樹脂組成物は、80℃以上のガラス転移温度Tgを有する。
【0041】
一方、導電材料として、例えば金(Au)、銀もしくはナノ銀粒子等の金属材料、カーボンブラック、黒鉛もしくはカーボンナノチューブ等の炭素材料、またはポリチオフェンもしくはポリアニリン等の導電性高分子材料を用いることができ、またはこれらの材料を2種類以上混合した材料を用いることができる。
【0042】
被覆層6a〜6nは、樹脂組成物100重量部に対して5重量部以上70重量部以下の導電材料を含むことが好ましい。この場合、被覆層6a〜6nに十分な導電性を付与するとともに、樹脂組成物の透湿度の増加またはガラス転移温度Tgの減少を防止することができる。
【0043】
(2)FPC基板の製造方法
次に、図1に示したFPC基板1の製造方法を説明する。図2および図3は、FPC基板1の製造方法を説明するための工程断面図である。なお、図2および図3は、図1のFPC基板1のA−A線から見た工程断面図である。
【0044】
まず、図2(a)に示すように、例えばポリイミドからなる絶縁膜20と例えば銅からなる導体膜30とからなる2層CCL(Copper Clad Laminate:銅張積層板)を用意する。絶縁膜20の厚みは例えば12.5μmであり、導体膜30の厚みは例えば12μmである。
【0045】
次に、図2(b)に示すように、導体膜30上に所定のパターンを有するエッチングレジスト22が形成される。エッチングレジスト22は、例えば、ドライフィルムレジスト等により導体膜30上にレジスト膜を形成し、そのレジスト膜を所定のパターンで露光し、その後、現像することにより形成される。
【0046】
次に、図2(c)に示すように、エッチングにより、エッチングレジスト22の下の領域を除く導体膜30の領域が除去される。次に、図2(d)に示すように、エッチングレジスト22を剥離液により除去する。これにより、絶縁膜20上に集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3p(図1参照)が形成される。なお、図2(d)には、集電部3c,3h、接続導体部3lおよび引き出し導体部3oのみが表される。
【0047】
スパッタ、蒸着またはめっき等の一般的な方法により絶縁膜20上に集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを形成してもよい。
【0048】
続いて、図3(e)に示すように、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pを覆うように絶縁膜20上に導電材料を含有する樹脂組成物の塗布またはラミネートにより被覆膜60が形成される。被覆膜60の厚みは例えば25μmである。
【0049】
次に、図3(f)に示すように、被覆膜60を所定のパターンで露光し、その後、現像することにより、被覆層6a〜6n(図1(a)参照)が形成される。ここで、引き出し電極5a,5b(図1(a)参照)が被覆層6a,6jから露出する。
【0050】
そして、図3(g)に示すように、絶縁膜20が所定の形状に切断されることにより、ベース絶縁層2、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3n、引き出し導体部3o,3pおよび被覆層6a〜6nを備えるFPC基板1が完成する。
【0051】
なお、ベース絶縁層2の厚みは、1μm以上100μm以下であることが好ましく、5μm以上50μm以下であることがより好ましく、5μm以上30μm以下であることがさらに好ましい。ベース絶縁層2の厚みが1μm未満であると、FPC基板1の耐久性および取り扱い性が低下する。また、ベース絶縁層2の厚みが100μmを超えると、FPC基板1のフレキシブル性が低下するとともに、FPC基板1の小型化が困難になる。
【0052】
また、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの厚みは、3μm以上35μm以下であることが好ましく、5μm以上20μm以下であることがより好ましい。被覆層6a〜6nの厚みは、1μm以上300μm以下であることが好ましく、5μm以上100μm以下であることがより好ましい。
【0053】
さらに、図2および図3では、サブトラクティブ法によるFPC基板1の製造方法を示したが、これに限定されず、セミアディティブ法等の他の製造方法を用いてもよい。さらに、図2および図3では、露光法を用いて被覆層6a〜6nを形成する例を示したが、これに限定されず、印刷技術を用いて所定のパターンの被覆膜を形成し、その後、熱硬化処理を行うことに被覆層6a〜6nを形成してもよい。
【0054】
(3)効果
本実施の形態に係るFPC基板1においては、ベース絶縁層2上に設けられた所定のパターンを有する集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの表面が被覆層6a〜6nにより被覆される。被覆層6a〜6nの樹脂組成物は、温度40℃でかつ相対湿度90%の環境において150g/(m・24h)以下の透湿度を有する。または、被覆層6a〜6nの樹脂組成物は80℃以上のガラス転移温度Tgを有する。
【0055】
この場合、燃料電池の燃料であるメタノールまたはメタノールから派生する蟻酸等の生成物が被覆層6a〜6nを透過して集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pに付着することが防止される。これにより、FPC基板1の集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pが腐食することが十分に防止される。
【0056】
[2]第2の実施の形態
以下、第2の実施の形態に係る燃料電池について説明する。本実施の形態に係る燃料電池は、第1の実施の形態に係るFPC基板1を備える。
【0057】
図4(a)は、FPC基板1を用いた燃料電池100の外観斜視図であり、図4(b)は、燃料電池100内における作用を説明するための図である。なお、図4(b)は、図4(a)の燃料電池100のB−B線から見た断面図である。
【0058】
図4(a)に示すように、燃料電池100は、半体31a,31bからなる直方体状の筐体31を有する。なお、図4(a)では、半体31aを破線により示している。FPC基板1は、被覆層6a〜6nが形成された一面を内側にして図1の折曲部B1に沿って折曲された状態で半体31a,31bにより狭持される。
【0059】
FPC基板1の引き出し電極5a,5bは、筐体31の外側に露出される。引き出し電極5a,5bには、種々の外部回路の端子が電気的に接続される。
【0060】
図4(b)に示すように、筐体31内において、複数(本実施の形態では5個)の電極膜35が、折曲されたFPC基板1の被覆層6aと被覆層6fとの間、被覆層6bと被覆層6gとの間、被覆層6cと被覆層6hとの間、被覆層6dと被覆層6iとの間、および被覆層6eと被覆層6jとの間にそれぞれ配置される。これにより、複数の電極膜35が直列接続される。なお、図4(b)には、被覆層6eおよび被覆層6jの間の電極膜35のみが表される。
【0061】
各電極膜35は燃料極35a、空気極35bおよび電解質膜35cからなる。燃料極35aは電解質膜35cの一面に形成され、空気極35bは電解質膜35cの他面に形成される。複数の電極膜35の燃料極35aはFPC基板1の被覆層6f〜6jにそれぞれ対向し、複数の電極膜35の空気極35bはFPC基板1の被覆層6a〜6eにそれぞれ対向する。
【0062】
各電極膜35の燃料極35aには、FPC基板1の開口H2,H12を通して燃料が供給される。なお、本実施の形態では、燃料としてメタノールを用いる。電極膜35の空気極35bには、FPC基板1の開口H1,H11を通して空気が供給される。
【0063】
この場合、複数の燃料極35aにおいて、メタノールが水素イオンと二酸化炭素とに分解され、電子が生成される。生成された電子は、FPC基板1の集電部3j(図1参照)から引き出し電極5bに導かれる。メタノールから分解された水素イオンは、電解質膜35cを透過して空気極35bに達する。複数の空気極35bにおいて、引き出し電極5aから集電部3a(図1参照)に導かれた電子を消費しつつ水素イオンと酸素とが反応し、水が生成される。このようにして、引き出し電極5a,5bに接続された外部回路に電力が供給される。
【0064】
このように、第2の実施の形態に係る燃料電池100においては、第1の実施の形態に係るFPC基板1が使用されるので、燃料電池100の信頼性を向上させるとともに、燃料電池100をより長期に渡って使用することが可能になる。
【0065】
[3]他の実施の形態
上記実施の形態において、FPC基板1のベース絶縁層2の材料としてポリイミドが用いられたが、これに限定されない。例えば、ポリイミドに代えて、ポリアミドイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、液晶ポリマー、ポリオレフィン、またはエポキシ等の他の絶縁材料を用いてもよい。
【0066】
また、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pの材料として銅が用いられたが、これに限定されない。例えば、銅に代えて金(Au)、銀、もしくはアルミニウム等の他の金属、または銅合金、金合金、銀合金もしくはアルミニウム合金等の合金を用いてもよい。
【0067】
上記実施の形態において、FPC基板1は5対の集電部(集電部3a,3f、集電部3b,3g、集電部3c,3h、集電部3d,3iおよび集電部3e,3j)を有するが、これに限定されない。FPC基板1の集電部の数は2対以上であれば、4対以下であってもよいし、6対以上であってもよい。これにより、任意の数の電極膜35を直列接続することができる。
【0068】
また、FPC基板1が1対の集電部を有してもよい。この場合、接続導体部3k〜3nは設けられない。
【0069】
[4]請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0070】
上記実施の形態においては、ベース絶縁層2が絶縁層の例であり、集電部3a〜3j、接続導体部3k〜3nおよび引き出し導体部3o,3pが導体層の例であり、被覆層6a〜6nが被覆層の例であり、FPC基板1が配線回路基板の例であり、電極膜35が複数の電池要素の例であり、筺体31が筺体の例であり、燃料電池100が燃料電池の例である。
【0071】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0072】
[5]実施例
(1)実施例および比較例
以下の実施例1〜8および比較例1〜5では、上記実施の形態に基づいて被覆層に用いられる樹脂組成物を形成した。その後、樹脂組成物を含む被覆層を有するFPC基板を作製した。
【0073】
実施例1においては、MEK(Methyl Ethyl Ketone:メチルエチルケトン)に溶解させたエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)100重量部、硬化剤である酸無水物(新日本理化株式会社製MH−700)8重量部および触媒であるイミダゾール(四国化成工業株式会社製2E4MZ)2重量部を混合し、塗布液を調製した。この塗布液を乾燥および硬化させることにより、厚み25μmの樹脂組成物を形成した。
【0074】
実施例2においては、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)100重量部に代えて、エポキシ樹脂(東都化成株式会社製YP50EK35)100重量部を添加した点を除いて、実施例1の樹脂組成物と同様の樹脂組成物を形成した。
【0075】
実施例3においては、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)100重量部に代えて、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)50重量部およびエポキシ樹脂(DIC株式会社製EXA−4850)50重量部を添加した点を除いて、実施例1の樹脂組成物と同様の樹脂組成物を形成した。
【0076】
実施例4においては、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)100重量部に代えて、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)80重量部およびエポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製エポフレンド)20重量部を添加した点を除いて、実施例1の樹脂組成物と同様の樹脂組成物を形成した。
【0077】
実施例5においては、MEKに溶解させたレゾール型アルキルフェノール樹脂(日立化成工業株式会社製ヒタノール4010)95重量部、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1010)5重量部、添加剤であるアミノフェノール2重量部を混合し、塗布液を調製した。この塗布液を乾燥および硬化させることにより、厚み25μmの樹脂組成物を形成した。
【0078】
実施例6においては、厚みが12μmである点を除いて、実施例1の樹脂組成物と同様の樹脂組成物を形成した。
【0079】
実施例7および8においては、実施例1の樹脂組成物と同様の樹脂組成物を形成した。
【0080】
比較例1においては、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)100重量部に代えて、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)80重量部およびエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製YL−7410)20重量部を添加した点を除いて、実施例1の樹脂組成物と同様の樹脂組成物を形成した。
【0081】
比較例2においては、エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)80重量部に代えてエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製jER−1007)50重量部、およびエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製YL−7410)20重量部に代えてエポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン株式会社製YL−7410)50重量部を添加した点を除いて、比較例1の樹脂組成物と同様の樹脂組成物を形成した。
【0082】
比較例3においては、厚みが12μmである点を除いて、比較例1の樹脂組成物と同様の樹脂組成物を形成した。
【0083】
比較例4および5においては、比較例2の樹脂組成物と同様の樹脂組成物を形成した。
【0084】
図5は、実施例1〜8および比較例1〜5のFPC基板1sの模式的断面図である。図5に示すように、実施例1〜8および比較例1〜5のFPC基板1sにおいては、塩化第二鉄を用いて2層CCLをエッチングすることにより、ベース絶縁層2s上に所定のパターンを有する導体層3sが形成される。また、導体層3sは、導電材料および樹脂組成物を含む被覆層6sにより被覆される。
【0085】
実施例1のFPC基板1sにおいては、実施例1の樹脂組成物の塗布液に、黒鉛18重量部およびカーボンブラック10重量部を添加した。この塗布液をFPC基板1sの導体層3s上に塗布することにより、厚み25μmの被覆層6sを形成した。
【0086】
実施例2のFPC基板1sにおいては、実施例1の樹脂組成物の塗布液に代えて、実施例2の樹脂組成物の塗布液を用いた点を除いて、FPC基板1sの導体層3s上に、実施例1の被覆層6sと同様の被覆層6sを形成した。
【0087】
実施例3のFPC基板1sにおいては、実施例1の樹脂組成物の塗布液に代えて、実施例3の樹脂組成物の塗布液を用いた点を除いて、FPC基板1sの導体層3s上に、実施例1の被覆層6sと同様の被覆層6sを形成した。
【0088】
実施例4のFPC基板1sにおいては、実施例1の樹脂組成物の塗布液に代えて、実施例4の樹脂組成物の塗布液を用いた点を除いて、FPC基板1sの導体層3s上に、実施例1の被覆層6sと同様の被覆層6sを形成した。
【0089】
実施例5のFPC基板1sにおいては、実施例1の樹脂組成物の塗布液に代えて、実施例5の樹脂組成物の塗布液を用いた点を除いて、FPC基板1sの導体層3s上に、実施例1の被覆層6sと同様の被覆層6sを形成した。
【0090】
実施例6のFPC基板1sにおいては、実施例1の樹脂組成物の塗布液に代えて、実施例6の樹脂組成物の塗布液を用いた点および被覆層6sの厚みが12μmである点を除いて、FPC基板1sの導体層3s上に、実施例1の被覆層6sと同様の被覆層6sを形成した。
【0091】
実施例7のFPC基板1sにおいては、実施例1の樹脂組成物の塗布液45重量部に導電成分として導電性カーボンブラック(ライオン株式会社製ケッチェンブラックEC−DJ600)10重量部と黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製)45重量部とを予め混合した。その後、3本ロール機を用いて混合物中の導電性カーボンブラックおよび黒鉛を分散させることにより被覆層6sの前駆体を形成した。この前駆体をFPC基板1sの導体層3s上に塗布することにより、厚み25μmの被覆層6sを形成した。
【0092】
実施例8のFPC基板1sにおいては、実施例1の樹脂組成物の塗布液30重量部に導電成分として銀粒子(DOWAハイテック株式会社製FAシリーズ)70重量部を配合し、予め混合した。その後、3本ロール機を用いて混合物中の銀粒子を分散させることにより被覆層6sの前駆体を形成した。この前駆体をFPC基板1sの導体層3s上に塗布することにより、厚み25μmの被覆層6sを形成した。
【0093】
比較例1のFPC基板1sにおいては、実施例1の樹脂組成物の塗布液に代えて、比較例1の樹脂組成物の塗布液を用いた点を除いて、FPC基板1sの導体層3s上に、実施例1の被覆層6sと同様の被覆層6sを形成した。
【0094】
比較例2のFPC基板1sにおいては、実施例1の樹脂組成物の塗布液に代えて、比較例2の樹脂組成物の塗布液を用いた点を除いて、FPC基板1sの導体層3s上に、実施例1の被覆層6sと同様の被覆層6sを形成した。
【0095】
比較例3のFPC基板1sにおいては、実施例1の樹脂組成物の塗布液に代えて、比較例3の樹脂組成物の塗布液を用いた点および被覆層6sの厚みが12μmである点を除いて、FPC基板1sの導体層3s上に、実施例1の被覆層6sと同様の被覆層6sを形成した。
【0096】
比較例4のFPC基板1sにおいては、比較例2の樹脂組成物の塗布液45重量部に導電成分として導電性カーボンブラック(ライオン株式会社製ケッチェンブラックEC−DJ600)10重量部と黒鉛(日本黒鉛工業株式会社製)45重量部とを予め混合した。その後、3本ロール機を用いて混合物中の導電性カーボンブラックおよび黒鉛を分散させることにより被覆層6sの前駆体を形成した。この前駆体をFPC基板1sの導体層3s上に塗布することにより、厚み25μmの被覆層6sを形成した。
【0097】
比較例5のFPC基板1sにおいては、比較例2の樹脂組成物の塗布液30重量部に導電成分として銀粒子(DOWAハイテック株式会社製FAシリーズ)70重量部を予め混合した。その後、3本ロール機を用いて混合物中の銀粒子を分散させることにより被覆層6sの前駆体を形成した。この前駆体をFPC基板1sの導体層3s上に塗布することにより、厚み25μmの被覆層6sを形成した。
【0098】
(2)樹脂組成物の透湿度およびガラス転移温度ならびに被覆層の耐食効果について
実施例1〜8および比較例1〜5の各樹脂組成物の透湿度およびガラス転移温度Tgを測定した。また、実施例1〜8および比較例1〜5の各FPC基板1sの被覆層6sの耐食効果を評価した。
【0099】
実施例1〜8および比較例1〜5の各樹脂組成物の透湿度を以下のカップ法(JIS Z0208)により測定した。カップ法においては、カップ内に吸湿剤である塩化カルシウムを封入する。また、カップの口を覆うように実施例1〜8および比較例1〜5の樹脂組成物を取り付け、カップの周縁部を封ろう剤により密封する。
【0100】
このカップを温度40℃および相対湿度90%の環境に24時間放置し、放置後の塩化カルシウムの質量の増加量を測定することにより、24時間当たりに透湿面積S[cm]の樹脂組成物を通過する水蒸気の質量M[mg]を測定した。透湿度WVTRsampleは以下の式により算出される。
【0101】
WVTRsample=240×M/(T・S)[g/(m・24h)]
実施例1〜8および比較例1〜5の各樹脂組成物のガラス転移温度Tgを、粘弾性測定装置RSAIII(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社)を用いて測定した。
【0102】
実施例1〜8および比較例1〜5の各FPC基板1sの被覆層6sの耐食効果を以下の浸漬試験により評価した。実施例1〜8および比較例1〜5のFPC基板1sを温度60℃かつ濃度10%のメタノール水溶液に7日間浸漬させる。その後、FPC基板1sの導体層3sの外観の腐食状態を観測することにより、被覆層6sの耐食効果を評価した。
【0103】
樹脂組成物の透湿度およびガラス転移温度Tgの測定結果ならびにFPC基板1sの浸漬試験の結果を表1に示す。
【0104】
【表1】

【0105】
表1に示すように、実施例1の樹脂組成物の透湿度は93g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは111℃であった。また、浸漬試験の結果、実施例1のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測されなかった。
【0106】
実施例2の樹脂組成物の透湿度は131g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは103℃であった。また、浸漬試験の結果、実施例2のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測されなかった。
【0107】
実施例3の樹脂組成物の透湿度は105g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは92℃であった。また、浸漬試験の結果、実施例3のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測されなかった。
【0108】
実施例4の樹脂組成物の透湿度は135g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは111℃であった。また、浸漬試験の結果、実施例4のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測されなかった。
【0109】
実施例5の樹脂組成物の透湿度は40g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは169℃であった。また、浸漬試験の結果、実施例5のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測されなかった。
【0110】
実施例6の樹脂組成物の透湿度は145g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは111℃であった。また、浸漬試験の結果、実施例6のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測されなかった。
【0111】
実施例7の樹脂組成物の透湿度は93g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは111℃であった。また、浸漬試験の結果、実施例7のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測されなかった。
【0112】
実施例8の樹脂組成物の透湿度は93g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは111℃であった。また、浸漬試験の結果、実施例8のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測されなかった。
【0113】
一方、比較例1の樹脂組成物の透湿度は155g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは75℃であった。また、浸漬試験の結果、比較例1のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測された。
【0114】
比較例2の樹脂組成物の透湿度は250g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは28℃であった。また、浸漬試験の結果、比較例2のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測された。
【0115】
比較例3の樹脂組成物の透湿度は260g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは75℃であった。また、浸漬試験の結果、比較例3のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測された。
【0116】
比較例4の樹脂組成物の透湿度は250g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは28℃であった。また、浸漬試験の結果、比較例4のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測された。
【0117】
比較例5の樹脂組成物の透湿度は250g/(m・24h)であり、ガラス転移温度Tgは28℃であった。また、浸漬試験の結果、比較例5のFPC基板1sの導体層3sに腐食が観測された。
【0118】
実施例1〜8および比較例1〜5の結果から、FPC基板1sの被覆層6sに含まれる樹脂組成物の透湿度が150g/(m・24h)以下またはガラス転移温度Tgが80℃以上である場合、FPC基板1sの導体層3sの腐食が十分に防止されることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、燃料電池に用いる種々の配線回路基板に有効に利用できる。
【符号の説明】
【0120】
1,1s FPC基板
2,2s ベース絶縁層
2a 第1絶縁部
2b 第2絶縁部
2c 第3絶縁部
2d 第4絶縁部
3a〜3j 集電部
3k〜3n 接続導体部
3o,3p 引き出し導体部
3s 導体層
5a,5b 引き出し電極
6a〜6n,6s 被覆層
20 絶縁膜
22 エッチングレジスト
30 導体膜
60 被覆膜
B1 屈曲部
H1,H2,H11,H12 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池に用いられる配線回路基板であって、
絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、所定のパターンを有する導体層と、
前記導体層の表面を被覆する被覆層とを備え、
前記被覆層は導電材料および樹脂組成物を含み、
前記樹脂組成物は、温度40℃でかつ相対湿度90%の環境において150g/(m・24h)以下の透湿度を有することを特徴とする配線回路基板。
【請求項2】
燃料電池に用いられる配線回路基板であって、
絶縁層と、
前記絶縁層上に設けられ、所定のパターンを有する導体層と、
前記導体層の表面を被覆する被覆層とを備え、
前記被覆層は導電材料および樹脂組成物を含み、
前記樹脂組成物は、80℃以上のガラス転移温度を有することを特徴とする配線回路基板。
【請求項3】
前記被覆層は、前記樹脂組成物100重量部に対して5重量部以上70重量部以下の前記導電材料を含むことを特徴とする請求項1または2記載の配線回路基板。
【請求項4】
前記樹脂組成物は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂およびポリエステル樹脂の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の配線回路基板。
【請求項5】
前記導電材料は、金属材料、炭素材料および導電性高分子材料のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の配線回路基板。
【請求項6】
前記金属材料は、銀を含むことを特徴とする請求項5記載の配線回路基板。
【請求項7】
前記炭素材料は、カーボンブラックおよび黒鉛のうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項5記載の配線回路基板。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の配線回路基板と、
電池要素と、
前記配線回路基板および前記複数の電池要素を収容する筺体とを備えることを特徴とする燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−181902(P2011−181902A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8659(P2011−8659)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】