説明

配線基板、その製造方法、及び半導体装置

【課題】絶縁信頼性と製造歩留まりとの向上を図ることが可能な配線基板を提供すること。
【解決手段】本発明の配線基板によれば、有機層上に形成された厚みtが幅Wよりも大きいリード5からなる導体パターンを備えた配線基板10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、その製造方法、及び半導体装置に係り、特に、絶縁信頼性と製造歩留まりとを向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図29(a)は、従来技術によるCOF(chip on film)タイプの半導体装置の構成例を示す正面図、図29(b)は、図29(a)に対応する側面図である。
【0003】
COFタイプの半導体装置は、配線基板11を備えている。この場合、配線基板11は厚さ10〜50μm程度のポリイミドフィルムからなっている。配線基板11の上面には厚さ5〜10μm程度の銅からなる配線12が設けられている。この場合、配線12は、配線基板11上にCr、NiCr,NiTi等の下地金属と銅を真空蒸着、またはスパッタ等で連続的にそれぞれ数百Å、数千Å(1Å=10−8cm)程度に形成する。その後、銅を無電解あるいは電解メッキする等して、配線基板11に接着剤を介在することなく形成する。配線12の表面には錫、半田等の低融点金属のメッキ層(図示せず)が設けられている。配線12の一端部は接続端子12aとなっている。この場合、配線基板11の半導体チップ搭載領域にはデバイスホールは設けられておらず、半導体チップ搭載領域の全体に亘って半導体チップ13に対向する面を有している。そして、半導体チップ13の下面の周辺部に設けられた金からなるバンプ電極14が配線基板11の接続端子12aの上面にAuSn共晶合金により接合されていることにより、配線基板11の上面側の所定の箇所に半導体チップ13が搭載されている。その後、半導体チップ13と配線基板11で挟まれ形成された空間に、公知であるサイドポッティング方法によりエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂15(封止樹脂ともいう)を充填し、加熱して絶縁性樹脂15を硬化することによって半導体装置が作られる。
【0004】
特許文献1には、図29に示すような半導体装置の製造方法の一例として以下が記載されている。
【0005】
すなわち、図29に示すような半導体装置を製造するためには、図30(a)に示すようなボンディング装置を用意する。このボンディング装置は、ヒーター(図示せず)が内蔵されたステージ21の上方にボンディングツール22が上下動可能に配置された構造となっている。そして、半導体チップ13を、バンプ電極14を上方に向けて、ステージ21上に載置する。配線基板11の半導体チップ13が搭載された領域の周囲をクランプ23に挟持させ、ボンディングツール22を下降させる。
【0006】
次に、半導体チップ搭載領域の全体に亘って半導体チップ13に対向する下面を有する配線基板11を、半導体チップ13の上方にその下面側を、換言すれば、配線12が形成された面を半導体チップ13側に向けて配置する。
【0007】
次に、半導体チップ13の各バンプ電極14と配線基板11の各接続端子12aとを位置合わせする。
【0008】
次に、図30(b)に示すように、例えばステージ21を上昇させて、各バンプ電極14と各接続端子12aとを接触させ、またボンディングツール22を下降させる。この状態で、ステージ21を350℃〜450℃、特に好ましくは400℃程度に加熱して、半導体チップ13を加熱するとともに、ボンディングツール22を250℃〜350℃、特に好ましくは300℃程度にして、ボンディングツール22を配線基板11の上面に直接接触させて押圧し、各バンプ電極14と配線基板11に設けられた各接続端子12aとを1〜3秒程度加熱加圧する。このように界面が形成される事によって接合強度が向上すると記載されている。
【特許文献1】特開2001−210676
【特許文献2】特許第3284916号
【非特許文献1】三浦、芹沢、中村「LSIパッケージのAuSn共晶接合技術」、溶接学会論文集、p180−p186、1997年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような従来の半導体装置では、以下のような問題がある。
【0010】
すなわち、図29に示す半導体装置の場合、配線基板11を平坦状としたまま、半導体チップ13を接合しているが、このような場合、配線12と、半導体チップ13の下面側のエッジEdとの間隔が狭く、ボンディング時に配線基板11が変形すると、図31に示すように半導体チップ13の下面側のエッジEdが配線基板11の配線12とショートする恐れがある。
【0011】
この発生メカニズムを具体例を用いて説明する。
【0012】
例えば、ポリイミドからなる配線基板11上に形成された6μm厚さの銅パターンに、金バンプが形成された半導体チップ13を荷重100N、ボンディング温度300〜400℃で、さらにチップ搭載周辺をクランプして固定してボンディングした場合、ボンディング温度でポリイミドの軟化点温度まで加熱され軟化され、加圧される。
【0013】
配線基板11上に形成された銅リード同様接続端子12aは純銅であるので材料特性では延性に優れている。また、硬度も比較的低く、剛性が低い。純銅で形成された接続端子12aは、6μmと薄い。幅は約20μmである。さらに、初期ポリイミドとの接合は約1kg/cmであるので、パターンニング後の接続端子12aの幅は約20μm位であるので接続端子12aの密着強度は約2g/pin程度であり、非常に貧弱である。
【0014】
この様な状態のフレキシブルな配線基板11にバンプ電極14が形成された半導体チップ13を、先行文献1で示されたボンディング方法、即ち、ポリイミドの軟化点温度以上である300〜400℃の温度、100N以上の圧力でボンディング時間1〜3秒で接合した場合、ボンディングの荷重で接続端子12aがポリイミドに食い込み、接続端子12aが伸びようとする。しかし、接続端子12aの他端部はクランプ23で固定されているのでずれる事が出来ない。
【0015】
また、銅リードとポリイミドとの密着強度は貧弱である。従って、銅リードからなる配線12は、図31に示すように、接続端子12a近傍で上部へ湾曲変形する。最悪の場合、配線12はポリイミドからなる配線基板11から剥離し、空隙Vdを形成する。
【0016】
配線(以降「リード」とも称する)12が接続端子12a近傍で湾曲状に変形すると、以下の(1)〜(4)に示すような問題が発生する。
【0017】
(1)ボンディング時に溶融したSnあるいはAuSnがリード12に沿って流れ出し、ボンディング部分から離れる事により温度が下がり、溶融Sn或いはAuSnはんだの流動性が低下する事によってはんだ溜りSdが形成され溶融はんだ量が多い場合、ボンディング時の加圧状態下で半導体チップ13の表面にはんだが付着し、外観不良を発生させる。
【0018】
(2)銅リードからなる配線12は、接続端子12a近傍で上部へ湾曲変形し、配線12はポリイミドからなる配線基板11から剥離し湾曲するのでリード12と半導体チップ13のエッジ(Ed)とが電気的に短絡する恐れがある。
【0019】
(3)部分的に配線基板11とリード12との界面が剥離し、接合材であるはんだが界面に進入し、接合強度を劣化させる。
【0020】
(4)配線基板11にリード12が食い込んでしまうので、リード12がバンプ電極14によって切断されるか、リード12にクラックが発生し、温度サイクル等の信頼性試験中で初期クラックが成長して破断してしまう恐れがある。
【0021】
これら(1)〜(4)に対する解決策として特許文献1には、配線基板11の上面に半導体チップ13を搭載すると同時に、接続端子12aのバンプ電極14に接合される部分の近傍および該近傍に対応する部分における配線基板11を半導体チップ13の下面から離間するように変形している。すなわち、接続端子12aを、配線基板11と共にバンプ電極14に接合された部分から半導体チップ搭載領域の外部に向かって、漸次半導体チップ13から離間する傾斜領域を有するように成形し、リード12をフォーミングすることで半導体チップ13のエッジEdとの距離を確保する方法が記載されている。
【0022】
しかし、この方法ではボンディング時にすでにリード12には無数のクラックが生じており、図30(b)に示す状態でリードフォーミングを行えば、リード12が確実に破断してしまう。
【0023】
そこで、リードフォーミングを行なわずに講ずる解決策として、特許文献2に示すとおり、AuSnはんだのボンディング温度を250℃以下でボンディングする方法が記載されている。
【0024】
ボンディング温度を下げることによりポリイミドの変形量を低減する事は出来る。しかしながら、接合界面においては特許文献2で示されているように、300℃以下でのボンディングではその接合部ではAuSnのみが形成されCuの相互拡散が起きない。AuSnは脆い金属間化合物であるので、ボンディング強度を低下させ、チップは容易に剥がれてしまい、接合できなくなるという問題がある。
【0025】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、絶縁信頼性と製造歩留まりとの向上を図ることが可能な配線基板、その製造方法、及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0026】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0027】
すなわち、請求項1の発明は、4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ、厚みが幅よりも大きいように形成されたリードで構成されてなる導体パターンを備えた配線基板である。
【0028】
請求項2の発明は、請求項1に記載の配線基板において、前記有機層は、有機物からなるフレキシブル基板である。
【0029】
請求項3の発明は、請求項1に記載の配線基板において、前記有機層は、ポリイミド、エポキシ、及び液晶ポリマーのうちの少なくとも何れかである。
【0030】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の配線基板において、前記リードのリード方向に直交する断面における前記リードの形状が台形である。
【0031】
請求項5の発明は、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の配線基板において、前記リードのリード方向に直交する断面における前記リードの形状が方形である。
【0032】
請求項6の発明は、少なくとも2層を有する導体パターンであって、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ基板に形成され、下層側の導体パターンの方が、上層側の導体パターンよりも、小さく緻密である導体から形成されている。
【0033】
請求項7の発明は、請求項6に記載の配線基板において、前記下層側の導体パターンを形成する導体の結晶サイズが、前記上層側の導体パターンを形成する導体の結晶サイズよりも、小さく緻密である。
【0034】
請求項8の発明は、請求項6または請求項7に記載の配線基板において、前記各層における導体のリード方向に直交する断面における前記導体の形状が方形である。
【0035】
請求項9の発明は、請求項6乃至8のうち何れか1項に記載の配線基板において、前記各層における導体のリード方向に直交する断面における前記導体の形状が台形または逆台形である。
【0036】
請求項10の発明は、少なくとも2層を有する導体パターンであって、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ基板に形成され、下層側の導体パターンを形成する導体の方が、上層側の導体パターンを形成する導体よりも、構成元素が緻密な結晶配向面を主に有する配線基板である。
【0037】
請求項11の発明は、少なくとも2層を有する導体パターンであって、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ基板に形成され、前記導体パターンを形成する導体は、同一層においてリード方向に直交する断面における厚みよりも幅が大きく、上層側よりも下層側の方が硬度が高い配線基板である。
【0038】
請求項12の発明は、請求項11に記載の配線基板において、下層側の導体パターンを形成する導体は、鉄を含む合金からなる。
【0039】
請求項13の発明は、請求項11に記載の配線基板において、下層側の導体パターンを形成する導体は、チタンを含む合金からなる。
【0040】
請求項14の発明は、請求項11に記載の配線基板において、前記幅は、下層側よりも上層側の方が広い。
【0041】
請求項15の発明は、少なくとも2層を有する導体パターンであって、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ基板に形成され、前記導体パターンを形成する導体は、同一層においてリード方向に直交する断面における厚みよりも幅が大きく、上層側よりも下層側の方が導電率が低い配線基板である。
【0042】
請求項16の発明は、4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ導体パターンが基板に形成され、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における厚みが、他とは異なっている導体パターンを備えた配線基板である。
【0043】
請求項17の発明は、4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ導体パターンが基板に形成され、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えた配線基板である。
【0044】
請求項18の発明は、請求項17に記載の配線基板において、前記1未満の部位よりも、前記1以上の部位の方が多い領域に半導体チップを配置するようにしている。
【0045】
請求項19の発明は、請求項17に記載の配線基板において、少なくとも前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が1以上の部位が埋め込まれている。
【0046】
請求項20の発明は、請求項17乃至請求項19のうち何れか1項に記載の配線基板において、前記リード方向に直交する断面における厚みが他とは異なり、前記リード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えた前記導体パターンは、露出した前記1未満の部位の露出した面と前記1以上の部位の露出した面とが同一面を形成するようにしている。
【0047】
請求項21の発明は、4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板自体に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと半導体チップに予め設けられた複数のバンプ電極を介して半導体チップとを接続してなる半導体装置に適用され、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えた配線基板であって、前記バンプ電極が、前記1未満の部位よりも、前記1以上の部位の方が多い領域に電気的に接続され、前記1以上の部位のうち前記バンプ電極から最も離れた側面を含む面と、この面と前記バンプ電極の表面との間の最短距離が25μm乃至150μmである配線基板である。
【0048】
請求項22の発明は、4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ、厚みが幅よりも大きいように形成されたリードで構成されてなる導体パターンが形成され、電子部品が前記導体パターンに電気的に接続されて実装される配線基板であって、前記導体パターンを形成する導体の基板深さ方向における厚みが、前記電子部品を実装する箇所において、他の箇所よりも厚い導体パターンを備えている。
【0049】
請求項23の発明は、請求項22に記載の配線基板において、前記導体を微粒子で形成している。
【0050】
請求項24の発明は、請求項22または請求項23に記載の配線基板において、前記導体のリード方向に直交する断面の形状を蒲鉾状としている。
【0051】
請求項25の発明は、銅、ニッケル、及び銅を積層してなるクラッド材によって形成されてなる請求項1乃至24のうち何れか1項に記載の配線基板である。
【0052】
請求項26の発明は、4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ、厚みが幅よりも大きいように形成された部分を少なくとも有したリードで構成されてなる導体パターンと、吸水率が異なる少なくとも2層で構成される有機層とを備えた配線基板である。
【0053】
請求項27の発明は、請求項26に記載の配線基板において、前記有機層が、吸水率が小さい第1の有機層と、前記第1の有機層より吸水率が大きい第2の有機層とで構成されている。
【0054】
請求項28の発明は、請求項27に記載の配線基板において、前記第1の有機層上に前記導体パターンが形成されている。
【0055】
請求項29の発明は、請求項1乃至24のうち何れか1項に記載の配線基板を、CuあるいはCu合金、NiあるいはTi、及びCuあるいはCu合金銅を積層してなるクラッド材によって製造する方法である。
【0056】
請求項30の発明は、請求項1乃至24のうち何れか1項に記載の配線基板における導体を、ナノペーストを用いたインプリント手法により製造する方法である。
【0057】
請求項31の発明は、請求項1乃至16のうち何れか1項に記載の配線基板を使用した半導体装置である。
【0058】
請求項32の発明は、4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと半導体チップに予め設けられた複数のバンプ電極を介して半導体チップとを接続してなる半導体装置であって、前記配線基板は、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えており、前記バンプ電極は、前記1未満の部位よりも、前記1以上の部位の方が多い領域に電気的に接続された半導体装置である。
【0059】
請求項33の発明は、4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと半導体チップに予め設けられた複数のバンプ電極を介して半導体チップとを接続してなる半導体装置であって、前記配線基板は、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えており、前記バンプ電極は、前記1未満の部位よりも、前記1以上の部位の方が多い領域に、前記半導体チップの中央部側になるように前記領域の中心をオフセンターして電気的に接続された半導体装置である。
【0060】
請求項34の発明は、請求項33に記載の半導体装置において、前記半導体チップは、前記領域のサイズと同じかあるいはそれよりも小さい。
【0061】
請求項35の発明は、4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと予め設けられた複数の電極を介して能動デバイスおよび受動デバイスを接続してなる半導体装置であって、前記配線基板は、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備え、且つ前記比が1未満の部位の露出した面と1以上の部位の露出した面とが同一平面を形成し、前記受動デバイスを前記1未満の部位に、前記能動デバイスを前記1以上の部位に、それぞれ電気的に接続するようにした半導体装置である。
【0062】
請求項36の発明は、4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと能動デバイスに予め設けられた複数の電極を介して能動デバイスおよび受動デバイスを接続してなる半導体装置であって、前記配線基板は、吸水率が他よりも低い領域を複数の導体パターン下方近傍に備え、且つ、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えており、前記受動デバイスを前記1未満の部位に、前記能動デバイスを前記1以上の部位に、それぞれ電気的に接続している。
【0063】
請求項37の発明は、請求項35または請求項36に記載の半導体装置において、前記能動デバイスは液晶駆動用LSIである。
【0064】
請求項38の発明は、請求項35または請求項36に記載の半導体装置において、前記受動デバイスはコンデンサー又はコイル又は抵抗である。
【0065】
請求項39の発明は、少なくとも電極が形成されている能動デバイスのアクティブ面と導体パターンが形成されている回路基板の主面とで形成される空間が樹脂材料で封止されている半導体装置である。
【0066】
請求項40の発明は、4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと半導体チップに予め設けられた複数のバンプ電極を介して半導体チップとを接続してなる半導体装置であって、前記配線基板は、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えており、前記バンプ電極は、前記1未満の部位よりも、前記1以上の部位の方が多い領域に電気的に接続され、前記1以上の部位のうち前記バンプ電極から最も離れた側面を含む面と、この面と前記バンプ電極の表面との間の最短距離が25μm乃至150μmとしている。
【発明の効果】
【0067】
本発明によれば、絶縁信頼性と製造歩留まりとの向上を図ることが可能な配線基板、その製造方法、及び半導体装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0068】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら説明する。
【0069】
なお、以下の各実施の形態の説明に用いる図中の符号は、図29乃至図31と同一部分については同一符号を付して示すことにする。
【0070】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態について説明する。
【0071】
まず、本実施の形態に係る配線基板の製造方法を図1を用いて説明する。
【0072】
図1(a)に示すように、まず、支持体として50μmから125μm厚さのNiフィルム(以下、「Ni支持体」とも称する)1を用意する。
【0073】
次に、図1(b)に示すように、Niフィルム1の表面にポリイミド等の樹脂をベースとした感光性樹脂層2を形成する。感光性樹脂層2の膜厚は配線パターン幅の1倍〜3倍である約5μm〜30μm程度である。この形成方法は公知であるロールコート法、スピンコーティング法、キャスト法等の方法が使用できる。感光性樹脂を塗布後、80℃から120℃程度の温度で更に、不活性雰囲気中で固形化させフィルム状にするためにプリベークを行う。
【0074】
次に、図1(c)に示すように配線パターンの厚い部分を形成するためにその目的にあった所定のガラスマスク3を用意し、所定の波長の紫外線uを照射し、感光性樹脂層2に配線パターン形成部を露光し、感光性樹脂専用の現像液に浸漬或いはスプレーして現像し、洗浄、乾燥を行い、図1(d)に示す感光性樹脂層2のパターンニングを完成させる。形成された開口部4は予め設計された寸法(例えば、20μm〜30μm幅)に加工される。
【0075】
次に、図1(e)に示すように、Niフィルム1をカソード電位にして、公知の硫酸銅メッキ液に浸漬して電解メッキを行う。メッキ温度は20℃から30℃、電流密度は約1から5A/dm程度の条件とすると、感光性樹脂層2の開口部4内に銅が析出し、開口部4内が充填するまで硫酸銅メッキを行うことによって配線パターン5を形成する。硫酸銅メッキは開口部4表面から約5〜10μm程度オーバーメッキさせ頭頂部が露出するまで行う。
【0076】
次に、図1(f)に示すように、感光性樹脂の硬化を行う。温度は300℃、硬化時間1〜2時間、不活性雰囲気中で行うことによって、ポリイミド等の感光性樹脂が更に脱水重合してイミド化率を90%以上に重合反応を進めさせる。このことによって、耐熱性の高い感光性樹脂層2が形成される。感光性樹脂層2が形成された後、研磨面6まで公知の研磨方法で表面を研磨し、感光性樹脂層2及び厚い配線パターン5を平坦にする。厚い配線パターン5を研磨してその厚みを均一にさせることによって、高周波伝送特性が向上する。これは、研磨を行わないと、メッキ直後ではメッキ厚みバラツキが存在し且つ、表面に約1〜3μmと微小な凹凸が形成される為、数GHz程度の信号を伝送した場合、この凹凸がアンテナの役目をし高周波信号が漏れてしまい、EMI或いはEMCといった電磁波放射による伝送障害を発生させるからである。
【0077】
次に、図1(g)に示すように、すでに形成された感光性樹脂層2とその後図1(h)で形成されるポリイミド層7との密着強度を上げるための処理を行う。これは、物理的に微細な凹凸を形成するような処理では上述したようにアンテナの役目を再び形成することになってしまうので、ここでは物理的にアンカーを形成する手法は取れない。そこで、図1(g)に示す研磨後の基板を、真空装置(構成的にはフィルム用スパッター装置のような構成の装置)内に配置して、窒素、酸素、アルゴン等の反応ガス、好ましくは窒素ガス雰囲気でプラズマ処理を行う。すると、プラズマ処理することによってポリイミド分子環において結合エネルギーが一番低いC−N結合が切断され、そこに窒素、或いはOHで置換することによって−COOH等の官能基を形成することによってポリイミド等からなる感光性樹脂層2の表面の活性化エネルギーが増大する。更に、同一装置内で、プラズマ処理後に連続的にポリイミド等からなる感光性樹脂層2を形成する。この形成方法には、真空ラミネート、或いは常温低圧ラミネート方法が使用できる。
【0078】
こうして、図1(h)に示すようにNi支持体1上に厚い配線パターン5が形成され、更にポリイミド層7が形成された基板が形成される。
【0079】
次に、図1(i)に示すように、銅はエッチングせずNiだけエッチングする、つまり選択比が高いエッチング液(例えば、エンストリップNP(メルテックス社)、メッテックスSCB(マクダーミッド社)、トップリップAZ(奥野製薬)、オキシストリップOS(エバラユージライト社)のようなアルカリ系ニッケルエッチング液)でNiだけをエッチングし、Niフィルム1を前面除去し、露出した配線パターン5にAu、Sn、In等の表面処理(図示せず)する。その後、能動デバイス、受動デバイス等の電子部品を電気的に接続する領域を除いて感光性樹脂層2下面にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性表面保護膜(図示せず)を公知の方法で形成する。こうして配線基板10が形成される。
【0080】
図2(a)は、図1(i)に示すX部を倒置して示す詳細図である。また、図2(b)は、図2(a)に示す配線基板10を、図中R方向(右側)から見た図である。これは、配線パターン5のリード方向に相当する。
【0081】
図2(a)に示す断面図、すなわち、リード方向に対して直交する断面(以下、「幅方向断面」と称する)を見て分かるように、配線基板10の幅方向断面では、配線パターン5の厚みtと、幅Wとの間にt≧Wの関係が成り立つ。一方、図2(b)に示すように、リード方向(以降「長さ方向」とも称する)では、配線パターン5全体に亘ってその厚みはtである。
【0082】
上述したように、本実施の形態に係る配線基板においては、感光性樹脂層2の軟化点温度がボンディング温度よりも低い樹脂上に形成された配線(以降「リード」とも称する)の断面形状を方形にし、厚みtを幅W以上にしたのでリードの剛性が向上し、AuSnボンディングにおいてCuが相互に拡散するボンディング条件でボンディングするTCボンディング方法においてもリードが変形しない。したがって、半導体チップ13とエッジショートが起きない効果がある。
【0083】
更に、ボンディング時、バンプ電極14によってリードが切断、或いはリードにクラックが発生することはない。更に、リードが有機基板から剥離しないため、信頼性が向上する効果がある。更に、リード剛性が向上したので、ボンディング後のボンディング強度が向上し、チップ剥がれを起こさない効果がある。
【0084】
更に、従来回路基板では半導体チップ13が搭載される側における有機樹脂層の表面に存在していた官能基および炭化層が存在しないので、この官能基と金属塩化物が結合することにより樹脂表面の絶縁抵抗劣化あるいは炭化層の存在による絶縁抵抗劣化が発生しない。
【0085】
更に、配線パターン5で表面実装時に使用する面以外は、3面全てが感光性樹脂によって覆われているので、感光性樹脂との密着強度が非常に高い。更に、配線パターン5間が感光性樹脂で覆われているので、配線パターン5間の絶縁抵抗が非常に高い。
【0086】
更に、半導体チップ13の実装面において感光性樹脂層2の面が平坦で、スムースで、製造プロセスによる凹凸がないので、この凹凸内に金属等の導電物質が残渣として存在し、そのことによって、イオンマイグレイションが起きることがない。つまり、配線パターン5間の絶縁抵抗が高い。
【0087】
なお、幅方向の配線パターン5の断面形状は、図2(a)に示すような方形に限るものではなく、図3(a)に示すような逆台形形状、つまり半導体チップ13が搭載される側の表面に露出した配線パターン5のW幅が広い形状でもかまわない。なお、図3(b)は、図3(a)を図中R方向(右側)から見た図である。
【0088】
また、図4に示すように、配線パターン5が形成された層と、ポリイミド層7との間に、ポリイミドよりも吸水率の低い有機材料、例えば液晶ポリマー等の材料からなる低吸水率層30を挟んでも構わない。配線パターン5の裏面にバリア層が形成できるので、水分の侵入により配線パターン5裏面が酸化され、ピール強度が経時劣化することがない。
【0089】
更に、有機材料としてポリイミドを例に説明したが、特に配線パターン5形成時に使用した有機材料にエポキシ樹脂を用いても構わない。エポキシ樹脂は、ポリイミドよりもコストが安く、吸水率がポリイミドよりも低いので配線パターン5を酸化を抑制する効果を持っている。
【0090】
また、感光性樹脂の代わりに非感光性樹脂を用いても構わない。非感光性樹脂は感光性樹脂よりもコストが安く、吸水率が低い。この場合、ポリイミドエッチング工程を追加する必要がある。
【0091】
また、配線パターン5の形成には、電解めっきに限るものではなく、無電解めっきでも構わない。無電解めっきは、電解めっきよりも厚さの均一性に優れている。
【0092】
また、配線パターン5の形成において、析出後の銅結晶粒界(グレインサイズ)は同じであり、且つ析出した銅の硬度、導電率も同じであったが、電解めっき工程において、そのめっき条件を固定ではなく可変してもかまわない。つまり、メッキ当初は析出後の銅結晶サイズが大きくなる条件、つまりメッキ液温度が高く(30℃〜50℃)、電流密度が高い条件(例えば、5A/dm〜10A/dm)でめっきし、連続して、メッキ最終段階で析出Cuの結晶が緻密、つまり結晶グレインサイズが小さくなる条件、メッキ液温度を10℃、電流密度を2A/dm以下でめっきし、配線パターン5の断面において、実装面近傍では結晶サイズを粗にすることで、低硬度、高導電率となり実装に向いた性質の銅を析出し、一方対向面では結晶サイズを密にすることで、高硬度、低導電率となり、剛性が高くなり曲げ強度が向上した、機械的強度を向上させた層構成とする。
【0093】
析出銅の結晶サイズを連続的に変更するには、バッチ式のめっき装置よりもフープ式めっき装置でめっきすることで実施できる。フープ式では複数のめっき槽をタンデムに結合させることができるので、メッキ条件(温度、電流密度、めっき液)を異にして連続してめっきができるからである。
【0094】
また、配線基板10は、フレキシブル基板が好ましいが、フレキシブル基板よりもコストに優れたリジッド基板でも構わない。
【0095】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0096】
まず、本実施の形態に係る半導体装置を図5を用いて説明する。図5(a)にその幅方向断面図を、図5(b)に、図5(a)中R方向(右側)から見た図を示す半導体装置は、以下のようにして製造される。
【0097】
すなわち、図5に示すような半導体装置を製造する場合には、図30(a)に示すようなボンディング装置を用意する。このボンディング装置は、ヒーター(図示せず)が内蔵されたステージ21の上方に、ボンディングツール22が上下動可能に配置された構造となっている。そして、半導体チップ13を、バンプ電極14を上方に向けて、ステージ21上に載置する。能動デバイス、受動デバイス等の電子部品を電気的に接続する領域を除いて下面にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性表面保護膜(図示せず)を公知の方法で形成した配線基板10の半導体チップ13が搭載された領域の周囲をクランプ23に挟持させ、ボンディングツール22を下降させる。
【0098】
次に、半導体チップ搭載領域の全体に亘って半導体チップ13に対向する下面を有する配線基板10を、半導体チップ13の上方にその下面側を、換言すれば、配線12が形成された面を半導体チップ13側に向けて配置する。
【0099】
次に、半導体チップ13の各バンプ電極14と配線基板11の各接続端子12aとを位置合わせする。
【0100】
次に、図30(b)に示すように、例えばステージ21を上昇させて、各バンプ電極14と各接続端子12aとを接触させ、またボンディングツール22を下降させる。この状態で、ステージ21を350℃〜450℃、特に好ましくは400℃程度に加熱して、半導体チップ13を加熱するとともに、ボンディングツール22をCuがバンプ電極14に相互拡散する250℃〜350℃、特に好ましくは300℃程度にして、ボンディングツール22を配線基板10の上面に直接接触させて押圧し、各バンプ電極14と配線基板10に設けられた各接続端子12aとを1〜3秒程度加熱加圧する。ボンディング荷重は約10〜17mg/μm程度である。
【0101】
半導体チップ13には金のバンプ14が予め形成され、一方、配線12には予めSnが形成されている。Snは有機酸系の無電解めっき液を用いて形成し、Snの膜厚は約0.5〜1.0μmである。その後、半導体チップ13と感光性樹脂層2で形成される空間に公知であるサイドポッティング方法により絶縁性樹脂15(封止樹脂ともいう)を充填し、加熱して絶縁性樹脂15を硬化する。
【0102】
このようにして製造された本実施の形態に係る半導体装置は、図30に示すようなボンディング装置(「TABボンダー」とも称する)を用い、第1の実施の形態に示すような配線基板10を用いてAuSnボンディングを行ったので、バンプ電極14との接続近傍において、配線パターン5の剛性が高いのでボンディング時の配線パターン5の変形が発生しない。
【0103】
したがって、配線パターン5が湾曲せず、またポリイミド層7から剥離し、空隙Vdを形成することなく、Cuがバンプ電極14に相互拡散する300℃以上の温度でAuSn共晶ボンディングした半導体装置を形成することが可能となる。また、配線パターン5が湾曲せず、ボンディング前の平坦性を維持できるので10μmから30μm高さに形成された半導体チップ13と感光性樹脂層2で形成される空間に絶縁性樹脂15をスムースに注入することができるので、絶縁性樹脂15にボイド(気泡)を形成しない。したがって、温度サイクル試験、熱衝撃試験等の信頼性試験においてボイド膨張収縮が起きず、高信頼性の半導体装置を作ることができる。
【0104】
なお、上記では、TABボンダーを用いで半導体装置を形成する例について述べたが、TABボンダーに代えて、フリップチップボンダーを使用して、チップ裏面から主にボンディング温度を加えてもよい。
【0105】
また、半導体装置は、図5(a)に示すように配線パターン5と感光性樹脂層2とからなる面が平坦になっていたが、本実施の形態に係る半導体装置は、このような構成に限定されるものではなく、図6(b)に示すように、配線パターン5が、感光性樹脂層2の表面から突出している構成であっても構わない。配線パターン5の露出面、及び面積が増加するので絶縁性樹脂15との接触面積を増加させることができるので、絶縁性樹脂15の接着強度を向上させることができる。
【0106】
なお、図6(b)は、図6(a)に示す幅方向断面図を、図中R方向(右側)から見た図である。図7は、図6に示すような半導体装置用の配線基板の製造工程を示す図である。尚、能動デバイス、受動デバイス等の電子部品を電気的に接続する領域を除いて感光性樹脂層2上面にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性表面保護膜(図示せず)を公知の方法で形成されている。
【0107】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0108】
まず、本実施の形態に係る配線基板の製造方法を図8を用いて説明する。
【0109】
図8(a)に示すように、まず、支持体として50μmから125μm厚さのNiフィルム1を用意する。
【0110】
次に、図8(b)に示すように、Niフィルム1の表面にポリイミド等の樹脂をベースとした感光性樹脂層2を形成する。感光性樹脂層2の膜厚は配線パターン幅の1倍〜3倍である約5μm〜30μm程度である。この形成方法は公知であるロールコート法、スピンコーティング法、キャスト法等の方法が使用できる。感光性樹脂を塗布後、80℃から120℃程度の温度で更に、不活性雰囲気中で固形化させフィルム状にするためにプリベークを行う。
【0111】
次に、図8(c)に示すように配線パターンの厚い部分を形成するためにその目的にあった所定のガラスマスク3を用意し、所定の波長の紫外線uを照射し、感光性樹脂層2に配線パターン形成部を露光し、感光性樹脂専用の現像液に浸漬或いはスプレーして現像し、洗浄、乾燥を行い、図8(d)に示す感光性樹脂層2のパターンニングを完成させる。形成された開口部4は予め設計仕様に規定された寸法に加工される。
【0112】
次に、図8(e)に示すように、Niフィルム1をカソード電位にする。そして、第1の実施の形態では、配線パターン5の形成において、析出後の銅結晶粒界(グレインサイズ)の条件では同じであり、且つ析出した銅の硬度、導電率も同じであったが、本実施の形態では、メッキ当初は析出後の銅結晶サイズが大きくなる条件、つまりメッキ液温度が高く、電流密度が高い条件でめっきし、連続して、メッキ最終段階で析出Cuの結晶が緻密、つまり結晶グレインサイズが小さくなる条件、低メッキ液温度、低電流密度でめっきすることで配線パターンを形成する。
【0113】
すると、配線パターンの断面において実装面近傍では結晶サイズを粗にすることで、低硬度、高導電率となり、実装に向いた性質を有する銅を析出し銅層を形成する。一方、対向する側では結晶サイズを緻密にすることで、高硬度、低導電率となり、ボンディング時に荷重、熱が加わっても配線パターン自体の伸びや変形が少ない機械的強度の優れた性質の銅を析出し、銅層を形成する。
【0114】
具体的には、実装性に優れた銅を析出させるには、メッキ液温度を20℃から30℃、電流密度を1A/dm〜5A/dmでめっきし、配線パターンの断面において、実装面近傍では結晶サイズを粗にすることで実装に向いた性質の銅を析出する。
【0115】
一方、機械的特性に優れた銅を析出させるには、メッキ温度は10℃、電流密度は約1A/dm以下程度の条件でメッキを行うので結晶サイズを緻密にでき、高硬度、低伸び率、高剛性等、機械的特性の優れた銅を析出する。
【0116】
この銅は、図8(e)に示すように、ポリイミド等の感光性樹脂層2の開口部4の表面から約5〜10μm程度オーバーメッキさせ頭頂部が露出するまで行う。したがって、配線パターンは2層構造に形成される。
【0117】
更に、析出銅の結晶サイズを連続的に変更するには、バッチ式のめっき装置よりもフープ式(RtoR式ともいう)めっき装置でめっきすることで実施できる。フープ式では複数のめっき槽をタンデムに結合させることができるので、メッキ条件(温度、電流密度、めっき液)を異にして連続してめっきができるからである。
【0118】
更に、図8(e)に示すように、ポリイミド等からなる感光性樹脂層2の硬化を行う。温度は300℃、硬化時間1〜2時間、不活性雰囲気中で行うことによって、ポリイミドが更に脱水重合してイミド化率を90%以上に重合反応を進めさせる。このことによって、耐熱性の高い感光性樹脂層2が形成される。
【0119】
このようにして感光性樹脂層2が形成された後、図8(f)に示す研磨面6まで公知の研磨方法で表面を研磨し、感光性樹脂層2、及び下層Cu31と上層Cu32とからなる厚い配線パターンを平坦にする。厚い配線パターン研磨してその厚みを均一にさせることによって、高周波伝送特性が向上する。研磨を行わないと、メッキ直後ではメッキ厚みバラツキが存在し且つ、表面に約1〜3μmと微小な凹凸が形成される為、数GHz程度の信号を伝送した場合、この凹凸がアンテナの役目をして高周波信号が漏れる。そして、この漏れによりEMI或いはEMCといった電磁波放射による伝送障害を発生させる。
【0120】
次に、図8(g)示すように、感光性樹脂層2と、その後形成するポリイミド層7との密着強度を上げるための処理を行う。これは、物理的に微細な凹凸を形成するような処理では上述したようにアンテナの役目を再び形成することになってしまうので、ここでは物理的にアンカーを形成する手法は取れない。そこで、図8(g)に示す研磨後の基板を、真空装置(構成的にはフィルム用スパッター装置のような構成の装置)内に配置して、窒素、酸素、アルゴン等の反応ガス、好ましくは窒素ガス雰囲気でプラズマ処理を行う。すると、プラズマ処理することによってポリイミド分子環において結合エネルギーが一番低いC−N結合を切断し、そこに窒素、或いはOHで置換することによって−COOH等の官能基を形成することによって感光性樹脂層2の表面の活性化エネルギーが増大する。そして、同一装置内でプラズマ処理後に連続的にポリイミド層7を形成する。この形成方法には、真空ラミネート或いは、常温低圧ラミネート方法が使用できる。更に、上記では感光性樹脂層2の面に対して密着強度を上げるための処理を行ったが、感光性樹脂とポリイミド樹脂の互いに対向する面、両方に密着強度を上げるための処理を行ってもかまわない。この方が、より強く接着することができる。
【0121】
こうして、図8(h)に示すようにNi支持体1上に下層Cu31と上層Cu32とからなる厚い配線パターンが形成され、更にポリイミド層7が形成された基板が形成される。
【0122】
次に、図8(i)に示すように、銅をエッチングせずNiだけエッチングする、つまり選択比が高いエッチング液(例えば、エンストリップNP(メルテックス社)、メッテックスSCB(マクダーミッド社)、トップリップAZ(奥野製薬)、オキシストリップOS(エバラユージライト社)のようなアルカリ系ニッケルエッチング液)でNiだけをエッチングし、Niフィルム1を前面除去し、露出した下層Cu31にAu、Sn、In等で表面処理(図示せず)する。その後、能動デバイス、受動デバイス等の電子部品を電気的に接続する領域を除いて感光性樹脂層2下面にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性表面保護膜(図示せず)を公知の方法で形成する。こうして配線基板33が形成される。
【0123】
図9(a)は、図8(i)に示すY部を倒置して示す詳細図である。また、図9(b)は、図9(a)に示す配線基板33を、図中R方向(右側)から見た図である。これは、配線パターンのリード方向に相当する。
【0124】
図9(a)に示す断面図を見て分かるように、配線基板33の幅方向断面では、下層Cu31と上層Cu32とを加えて成る配線パターンの厚みtと、幅Wとの間にt<Wの関係が成り立つ。一方、図9(b)に示すように、リード方向(長さ方向)では全長に亘ってその厚みがtの、多層構造に構成された配線パターンが形成されている。
【0125】
上述したように、本実施の形態に係る配線基板においては、配線パターンを多層構造とし表面側を実装性に優れた下層Cu31とし、内側を機械的特性に優れた上層Cu32としたので、配線パターンの厚みを薄くすることができる。したがって、フレキシブル基板に対応した場合、その特徴である屈曲性を損なわない。
【0126】
なお、上記では、下層Cu31と上層Cu32とからなる配線パターンを、銅のみで形成した構成を示したが、これに限るものではなく、多層構造で且つ異種金属で構成される多層構造としても構わない。この場合、例えば、実装面は半田実装性に優れる銅を用いて、下層は銅より機械的強度が優れるNi及びその合金、Crおよびその合金等の材料或いは、Fe系またはTi系の銅合金としても良い。
【0127】
また、図10に示すように、配線パターンとポリイミド層7との間に、図4で説明した低吸水率層30を挟んだ構成としても構わない。なお、図10(b)は、図10(a)に示す幅方向断面図を、図中R方向(右側)から見た図である。
【0128】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0129】
まず、本実施の形態に係る半導体装置を図11を用いて説明する。図11(a)にその幅方向断面図を、図11(b)に、図11(a)中R方向(右側)から見た図を示す半導体装置は、以下のようにして製造される。
【0130】
すなわち、図11に示すような半導体装置を製造する場合には、図30(a)に示すようなボンディング装置を用意する。このボンディング装置は、ヒーター(図示せず)が内蔵されたステージ21の上方に、ボンディングツール22が上下動可能に配置された構造となっている。そして、半導体チップ13を、バンプ電極14を上方に向けて、ステージ21上に載置する。能動デバイス、受動デバイス等の電子部品を電気的に接続する領域を除いて下面にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性表面保護膜(図示せず)を公知の方法で形成する。配線基板33の半導体チップ13が搭載された領域の周囲をクランプ23に挟持させ、ボンディングツール22を下降させる。
【0131】
次に、半導体チップ搭載領域の全体に亘って半導体チップ13に対向する下面を有する配線基板33を半導体チップ13の上方にその下面側を、換言すれば、配線12が形成された面を半導体チップ13側に向けて配置する。
【0132】
次に、半導体チップ13の各バンプ電極14と配線基板33の各接続端子12aとを位置合わせする。
【0133】
次に、図30(b)に示すように、例えばステージ21を上昇させて、各バンプ電極14と各接続端子12aとを接触させ、またボンディングツール22を下降させる。この状態で、ステージ21を350℃〜450℃、特に好ましくは400℃程度に加熱して、半導体チップ13を加熱するとともに、ボンディングツール22をCuがバンプ電極14に相互拡散する250℃〜350℃、特に好ましくは300℃程度にして、ボンディングツール22を配線基板33の上面に直接接触させて押圧し、各バンプ電極14と配線基板33に設けられた各接続端子12aとを1〜3秒程度加熱加圧する。ボンディング荷重は約10〜17mg/μm程度である。
【0134】
半導体チップ13にはAuのバンプ電極14が予め形成され、一方、配線パターン5には予めSnが形成されている。Snは有機酸系の無電解めっき液を用いて形成し、Snの膜厚は約0.5〜1.0μmである。
【0135】
このようにして製造された本実施の形態に係る半導体装置は、図30に示すようなボンディング装置(「TABボンダー」とも称する)を用い、第3の実施の形態に示すような配線基板33を用いてAuSnボンディングを行ったので、バンプ電極14との接続近傍において、配線パターン5の剛性が高いのでボンディング時の配線パターン5の変形が発生しない。
【0136】
したがって、配線パターン5が湾曲せず、また感光性樹脂層2から剥離し、空隙Vdを形成することなく、300℃以上の温度でAuSn共晶ボンディングした半導体装置を形成することが可能となる。更に、配線パターン5を下層Cu31と上層Cu32とからなる多層構造にし、機械的強度の優れる材料を用いたので、その厚みを薄くすることができ、屈曲性の高い半導体装置を形成することが可能となる。
【0137】
なお、上記では、TABボンダーを用いて半導体装置を形成する例について述べたが、TABボンダーに代えて、フリップチップボンダーを使用して、チップ裏面から主にボンディング温度を加えてもよい。
【0138】
また、半導体装置は、図11(a)および図11(b)に示すように配線パターン5と感光性樹脂層2とからなる面が平坦になっていたが、本実施の形態に係る半導体装置は、このような構成に限定されるものではなく、図12及び図13に示すように、下層Cu31と上層Cu32とからなる配線パターンが感光性樹脂層2の表面から突出している構成であっても構わない。更には、図14に示すように、配線パターンとポリイミド層7との間に低吸水率層30を挟む構成にしても構わない。なお、図12(b)、図13(b)及び図14(b)は、図12(a)、図13(a)及び図14(a)に示す幅方向断面図を、それぞれ図中R方向(右側)から見た図である。また、図6(b)は、図6(a)に示す幅方向断面図を、図中R方向(右側)から見た図である。図15は、図13に示すような半導体装置用の配線基板の製造工程を示す図である。尚、能動デバイス、受動デバイス等の電子部品を電気的に接続する領域を除いて感光性樹脂層2下面にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性表面保護膜(図示せず)を公知の方法で形成されている。
【0139】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0140】
まず、本実施の形態に係る配線基板の製造方法を図16を用いて説明する。
【0141】
図16(a)に示すように、まず、支持体として50μmから125μm厚さのNiフィルム1を用意する。
【0142】
次に、図16(b)に示すように、Niフィルム1の表面に感光性を有するレジスト層34を形成する。この感光性レジスト層34の膜厚は約10μm以下程度である。この形成方法は公知であるロールコート法、スピンコーティング法、スプレー法、インクジェット等の方法が使用できる。感光性レジストの塗布後、80℃から120℃程度の温度で更に、不活性雰囲気中で固形化させフィルム状にするためにプリベークを行う。
【0143】
次に、図16(c)に示すように実装配線パターン層形成するためにその目的にあった所定のガラスマスク(図示せず)を用意し、所定の波長の紫外線を照射し配線パターン形成部を露光し、感光性レジスト専用の所定の現像液に浸漬或いはスプレーして現像し、洗浄、乾燥を行い、レジストのパターンニングを行い、開口部4を形成する。
【0144】
次に、図16(d)に示すように、Niフィルム1を陰極にして電解めっきを行う。めっきは公知である硫酸銅メッキ液を用いて、液温度20〜30℃程度、電流密度約1A/dm〜5A/dmで銅をレジスト層34の開口部4に析出する。これによって、配線パターン5を形成する。このとき、更にNi、Cr等のバリア層を形成してもよい。
【0145】
次に、図16(e)に示すように、その後、レジスト層34を剥離して、配線パターン5のみを残す。
【0146】
次に、図16(f)に示すように、ポリイミド等の樹脂をベースとした絶縁層39を形成する。絶縁層39の膜厚は約5μm〜30μm程度である。この形成方法は公知であるロールコート法、スピンコーティング法、キャスト法等の方法が使用できる。絶縁層39を塗布後、80℃から120℃程度の温度で更に、不活性雰囲気中で固形化させフィルム状にするためにプリベークを行う。機械的強度の高い配線パターン35の厚い部分を形成するために、その目的にあった所定のガラスマスク(共に図示せず)とを用意し、所定の波長の紫外線を照射し絶縁層39で厚い配線パターン形成部を露光し、絶縁層を形成している樹脂専用の所定の現像液に浸漬或いはスプレーして現像し、洗浄、乾燥を行い、パターンニングを完成させる。
【0147】
ここでは、図16(e)のレジスト層34の剥離後、絶縁層39にはポリイミド等の樹脂を塗布したがこれに限らず、例えば、図16(g)に示すように、レジスト層34の剥離後に層間絶縁層36を形成し、この表面に絶縁層39を塗布するようにしても良い。層間絶縁層36の膜厚は極薄く3μm以下である。また使用する材料は、ポリイミドよりも吸水率の低い材料、例えば液晶ポリマー等の材料を塗布、硬化させバリア層として形成してもよい。このようにすることによって、配線パターンと対向する面つまり基板裏面側から浸透する水分によって、配線パターン5裏面が酸化しピール強度が低下することを防ぐことができる。
【0148】
次に、図16(h)に示すように、配線パターン35、熱可塑性接着剤37と密着強度を上げるために表面活性化処理を行う。これは、物理的に微細な凹凸を形成するような処理では上述したようにアンテナの役目を再び形成することになってしまうので、ここでは物理的にアンカーを形成する手法は取れない。そこで、図16(h)に示す研磨後の基板を、真空装置(例えば、フィルム用スパッター装置)内に配置し、窒素、酸素、アルゴン等の反応ガス、好ましくは窒素ガス雰囲気でプラズマ処理を行う。すると、ポリイミド分子環において結合エネルギーが一番低いC−N結合を切断し、そこに窒素、或いはOHで置換することによって−COOH等の官能基を形成することによって絶縁層39表面の活性化エネルギーが増大する。次に、同一装置内でプラズマ処理後に連続的にポリイミド層を形成する。この形成方法には、真空ラミネート或いは、常温低圧ラミネート方法が使用できる。
【0149】
次に、図16(i)に示すように、Ni支持体1をカソード電位にして、公知の硫酸銅メッキ液に浸漬して電解メッキを行う。メッキ温度は20℃から30℃、電流密度は約1A/dm〜5A/dm程度の条件とすると、絶縁層39の開口部41内に銅が析出し、開口部41内が充填するまで硫酸銅メッキを行う。硫酸銅メッキは開口部41の表面から約5〜10μm程度オーバーメッキさせ頭頂部が露出するまで行う。これにより、配線パターン35が形成される。
【0150】
次にポリイミド層7の硬化を行う。温度は300℃、硬化時間1〜2時間、不活性雰囲気中で行うことによって、ポリイミドが更に脱水重合してイミド化率を90%以上に重合反応を進めさせる。このことによって、耐熱性の高いポリイミド層7が形成される。ポリイミド層7が形成された後、研磨面まで公知の研磨方法で表面を研磨し、ポリイミド層7及び厚い配線パターン35を平坦にする。厚い配線パターン35を研磨してその厚みを均一にさせることによって、高周波伝送特性が向上する。仮に、研磨を行わないと、メッキ直後ではメッキ厚みバラツキが存在し且つ、表面に約1〜3μmと微小な凹凸が形成される為、数GHz程度の信号を伝送した場合、この凹凸がアンテナの役目をし高周波信号が漏れる。この漏れによりEMI或いはEMCといった電磁波放射による伝送障害を発生させる。
【0151】
次に、図16(j)に示すように、熱可塑性接着剤37と密着強度を上げるために表面活性化処理を行う(図せず)。方法は図16(h)で示した方法と同一方法で可能である。その後、その片面にポリイミド系の熱可塑性接着剤37が3μm程度に形成された10μm以下のポリイミド層7を用意する。接着する方法は公知である真空ラミネート等の方法を用いて該ポリイミド層7を接着する。尚、表面活性化処理とポリイミド層ラミネートは同一装置で連続して表面活性化処理とラミネートを行ってもかまわない。
【0152】
次に、図16(k)に示すように、銅はエッチングせずNiだけエッチングする、つまり選択比が高いエッチング液(例えば、エンストリップNP(メルテックス社)、メッテックスSCB(マクダーミッド社)、トップリップAZ(奥野製薬)、オキシストリップOS(エバラユージライト社)のようなアルカリ系ニッケルエッチング液)でNiだけをエッチングし、Niフィルム1を前面除去し、露出した配線パターン5にAu、Sn、In等で表面処理(図示せず)する。その後、能動デバイス、受動デバイス等の電子部品を電気的に接続する領域を除いて絶縁層39下面にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性表面保護膜(図示せず)を公知の方法で形成する。こうして配線基板38が形成される。
【0153】
図17(a)は、このようにして形成された配線基板38の一例を示す上面図、図17(b)は、図17(a)中に示すA−A線に沿った断面図、図17(c)は、図17(a)中に示すB−B線に沿った断面図である。
【0154】
配線基板38に形成された配線パターンは、図17(b)に示すように、幅Wと厚みtとの関係がW>tである配線パターン5と、幅Wと厚みtとの関係がW=<tである配線パターン35とから構成されている。また、配線パターン35は半導体チップ搭載領域近傍に配置されている。更に、配線パターン35は半導体チップ13に形成されたバンプ電極14が接合される。つまり、半導体チップ13が搭載されるのは配線パターン35の上である。
【0155】
上述したように、本実施の形態に係る配線基板においては、配線パターン5と配線パターン35とを同一導電材料で形成し、且つ、半導体チップ13上に形成されたバンプ電極14が搭載される配線パターン35の領域のみをt>=Wとしたので、半導体チップ13を300℃以上の温度で行うTCボンディング方法を用いて、AuSnボンディングを行なった場合、バンプ電極14と接合する配線パターン35がt>Wの関係になっている為、ボンディング温度および荷重によってポリイミドが軟化しても配線パターン35は変形しない、したがって、配線パターンがチップ搭載領域近傍において湾曲することが無い。従って、チップエッジと配線パターンとがコンタクトしないので、電気的に短絡する事が無い。
【0156】
また、配線基板38中に配線パターン35が突起した構造としたため、ボンディング荷重および300℃以上のボンディング温度を加えられても、下方向に撓む事がなく、更に配線基板38中に配線パターン35が突起している構造の為、つまり、配線基板38中にアンカーを打った構造になっている為、ボンディング時の温度、荷重によって、配線パターンの引出し方向(図17(c)において右から左へ向かう方向)への銅の伸びが制約される。つまり、自由に配線パターンの材料であるCuが延びない。従って、延び及び撓みが抑制されるので、同一材料で配線パターンを形成しても、配線基板38から剥離する事がない。従って、配線基板38と、配線パターン間で空隙も形成しない。
【0157】
更に、配線基板38にアンカーを打った構造で且つ、ポリイミドとの接触面積が増大している配線パターン構造としたので、配線基板38との密着強度を高く維持できるので配線パターンが剥がれにくい。
【0158】
なお、上記では、配線パターン5と配線パターン35とを銅とし、同じめっき条件で形成したが、めっき条件を同一とせず変え、結晶サイズ、密度を変えても良い。つまり、配線パターン35は銅結晶サイズを緻密にし、硬度を高い銅特性とし、一方、配線パターン5で使用する銅を逆に、結晶サイズを大きく粗に形成して、硬度を低くした銅特性としてもよい。
【0159】
更に、配線パターン5と配線パターン35で使用する銅の結晶配向性を異なるものにしても良い。また、配線パターン35を銅単層で形成したが、多層構造で且つ異種金属で構成される多層構造としてもかまわない。また、配線パターン5は半田実装性に優れる銅を用いる一方、配線パターン35は銅より機械的強度が優れるNi、Cr等の材料、或いは、Fe系またはTi系の銅合金であってもかまわない。更に、剛性が高くなり、配線パターンの変形、延び、撓みを更に少なくする事が出来る。
【0160】
また、配線パターン35に銅以外の材料、例えばNi、Cr等の高硬度材料を使用する事でアンカー部である配線パターン35の厚みを更に薄くする事が出来る。これによって、生産効率を高くするという効果がもたらされる。
【0161】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0162】
まず、本実施の形態に係る半導体装置を図18を用いて説明する。図18(a)は、本実施の形態に係る半導体装置40の一例を示す上面図、図18(b)は、図18(a)中に示すA−A線に沿った断面図、図18(c)は、図18(a)中に示すB−B線に沿った断面図である。このような半導体装置40は、以下のようにして製造される。
【0163】
すなわち、図18に示すような半導体装置40を製造する場合には、図30(a)に示すようなボンディング装置を用意する。このボンディング装置は、ヒーター(図示せず)が内蔵されたステージ21の上方に、ボンディングツール22が上下動可能に配置された構造となっている。そして、半導体チップ13を、バンプ電極14を上方に向けて、ステージ21上に載置する。第5の実施の形態で説明した配線基板38の半導体チップ13が搭載された領域の周囲をクランプ23に挟持させ、ボンディングツール22を下降させる。
【0164】
次に、半導体チップ搭載領域の全体に亘って半導体チップ13に対向する下面を有する配線基板38を、半導体チップ13の上方にその下面側を、換言すれば、配線12が形成された面を半導体チップ13側に向けて配置する。
【0165】
次に、半導体チップ13の各バンプ電極14と配線基板38の各接続端子12aとを位置合わせする。
【0166】
次に、図30(b)に示すように、例えばステージ21を上昇させて、各バンプ電極14と各接続端子12aとを接触させ、またボンディングツール22を下降させる。この状態で、ステージ21を350℃〜450℃、特に好ましくは400℃程度に加熱して、半導体チップ13を加熱するとともに、ボンディングツール22をCuがバンプ電極14に相互拡散する250℃〜350℃、特に好ましくは300℃程度にして、ボンディングツール22を配線基板38の上面に直接接触させて押圧し、各バンプ電極14と配線基板38に設けられた各接続端子に対応する配線12とを1〜3秒程度加熱加圧する。ボンディング荷重は約10〜17mg/μm程度である。
【0167】
半導体チップ13にはバンプ電極14が予め形成され、一方、配線12は予めSnが形成されている。Snは有機酸系の無電解めっき液を用いて形成し、Snの膜厚は約0.5〜1.0μmである。その後、半導体チップ13と感光性樹脂層2で形成される空間に公知であるサイドポッティング方法により絶縁性樹脂15(封止樹脂ともいう)を充填し、加熱して絶縁性樹脂15を硬化する。その後、要求仕様に応じてコンデンサー、抵抗、コイル等の複数種類の受動部品100を表面実装(SMT実装ともいう)する。
【0168】
このようにして製造された本実施の形態に係る半導体装置40は、図30に示すようなボンディング装置(「TABボンダー」とも称する)を用い、配線基板38をボンディングツール22でAuSnボンディングしても、Auバンプとの接続近傍において、配線12を形成する導電性材料と同じ材料で配線基板38中に配線パターンの接続端子をアンカーしたため、配線12の剛性を高くでき且つ、配線12の撓みが少ない、且つ、延びを小さく出来るのでボンディング時の配線パターンの変形が発生しない。
【0169】
したがって、配線12が湾曲せず、また配線基板38から剥離し、空隙Vdを形成しないでCuがバンプ電極14に相互拡散する300℃以上の温度でAuSn共晶ボンディングした半導体装置40を形成できる。更に、配線パターンの接続端子では配線パターン35のみが厚く配線基板中38に突起し、配線パターン5はW>tとした構造にしたので、屈曲性の高い半導体装置40ができる。
【0170】
また、配線パターン5が湾曲せず、略ボンディング前の平坦性を維持できるので10μmから30μm高さに形成された半導体チップ13と感光性樹脂層2で形成される空間に絶縁性樹脂15をスムースに注入することができるので、絶縁性樹脂15にボイド(気泡)を形成しない。したがって、ボイドがないので温度サイクル試験、熱衝撃試験等の信頼性試験に於いてボイドぼ膨張収縮が起きないので高信頼性の半導体装置を作ることができる。
【0171】
なお、上記では、TABボンディング装置を用いて半導体装置40を形成したが、フリップチップボンダーを使用して、チップ裏面から主にボンディング温度を加えてもよい。また、半導体装置40は、配線パターン5と感光性樹脂層2とからなる面が平坦になっていたが、図12乃至図15にそのイメージを示すように、突出してもかまわない。また、図4及び図10に示すように、配線パターンとポリイミド層7との間に低吸水率層30を挟んだ構成としても構わない。これによって更に信頼性が向上した半導体装置40を形成できる。
【0172】
尚、半導体チップ13、受動部品100等を電気的に接続するために必要な領域を除いた配線基板38上面に保護膜を形成してもかまわない。そのほうが更に信頼性が向上する。
【0173】
(第7の実施の形態)
本発明の第7の実施の形態について説明する。
【0174】
まず、本実施の形態に係る配線基板の製造方法を図19を用いて説明する。
【0175】
図19(a)に示すように、まず、支持体として50μmから125μm厚さのNiフィルム1を用意する。
【0176】
次に、図19(b)に示すように、Niフィルム1の表面に感光性を有するレジスト層34を形成する。このレジスト層34の膜厚は約10μm以下程度である。この形成方法は公知であるロールコート法、スピンコーティング法、スプレー法、インクジェット等の方法が使用できる。レジスト層34を塗布後、80℃から120℃程度の温度で更に、不活性雰囲気中で固形化させフィルム状にするためにプリベークを行う。
【0177】
次に、図19(c)に示すように実装配線パターン層を形成するためにその目的にあった所定のガラスマスク(図示せず)を用意し、所定の波長の紫外線を照射し配線パターン形成部を露光し、感光性レジスト専用の現像液に浸漬或いはスプレーして現像し、洗浄、乾燥を行い、開口部4を形成することによってレジストのパターンニングを行う。
【0178】
次に、図19(d)に示すように、Niフィルム1を陰極にして電解めっきを行う。めっきは公知である硫酸銅メッキ液を用いて、液温度20〜30℃程度、電流密度約3A/dmで銅をレジスト層34の開口部4に析出させる。このとき、更にNi,Cr等のバリア層を形成してもよい。また、公知であるインクジェット技術を用いたインプリント技術を使用し、めっきレジストパターンを直接描画してもかまわない。また、ガラスマスクを用いて紫外線により露光し、現像してレジストパターンを形成するのに代えて、レーザー光を照射して300nm以下の波長を用い、この波長に感度を持つレジストを直接描画してレジストパターンを形成してもかまわない。
【0179】
次に、図19(e)に示すように、その後、レジスト層34を剥離して、実装する配線パターン5を形成する。このとき、配線パターン5をめっき方法で形成するのに代えて、インクジェット技術を用い、銅ナノペーストをインプリントして直接形成してもよい。
【0180】
次に、図19(f)に示すように、ポリイミド等の樹脂をベースとした絶縁層39を形成する。絶縁層39の膜厚は約5μm〜30μm程度である。この形成方法は公知であるロールコート法、スピンコーティング法、キャスト法等の方法が使用できる。絶縁層39を塗布後、80℃から120℃程度の温度で更に、不活性雰囲気中で固形化させフィルム状にするためにプリベークを行う。機械的強度の高い配線パターンの厚い部分を形成するためにその目的にあった所定のガラスマスク(図示せず)を用意し、所定の波長の紫外線を照射し絶縁層39で厚い配線パターン形成部を露光し、絶縁層39専用の所定の現像液に浸漬或いはスプレーして現像し、洗浄、乾燥を行い、厚い配線パターンのパターンニングのための開口部41を形成する。
【0181】
ここでは、図19(e)のレジスト層34の剥離後、絶縁層39としてポリイミド等の樹脂を塗布したがこれに限らず、例えば、図19(g)に示すように、レジスト層34の剥離後に層間絶縁層36を形成する。この膜厚は極薄く3μm以下である。また使用する材料は、ポリイミドよりも吸水率の低い材料、例えば液晶ポリマー等の材料を塗布、硬化させバリア層として形成してもよい。このようにすることによって、配線パターン5と対向する面つまり基板裏面側から浸透する水分によって、配線パターン5の裏面が酸化しピール強度が低下することを防ぐことができる。
【0182】
次に、図19(h)に示すように、配線パターン5との密着強度を上げるために表面活性化処理を行う。これは、物理的に微細な凹凸を形成するような処理では上述したようにアンテナの役目を再び形成することになってしまうので、ここでは物理的にアンカーを形成する手法は取れない。そこで、図19(h)に示す研磨後の基板を、真空装置(例えば、フィルム用スパッター装置)内に配置し、窒素、酸素、アルゴン等の反応ガス、好ましくは窒素ガス雰囲気でプラズマ処理を行う。すると、ポリイミド分子環において結合エネルギーが一番低いC−N結合を切断し、そこに窒素、或いはOHで置換することによって−COOH等の官能基を形成することによって絶縁層39の表面の活性化エネルギーが増大する。
【0183】
次に、図19(i)に示すように、Ni支持体1をカソード電位にして、公知の硫酸銅メッキ液に浸漬して電解メッキを行う。メッキ温度は20℃から30℃、電流密度は約5A/dm程度の条件とすると、絶縁層39の開口部41内に銅が析出し、開口部41内が充填するまで硫酸銅メッキを行う。硫酸銅メッキは開口部41の表面から約5〜10μm程度オーバーメッキさせ頭頂部が露出するまで行う。これにより、配線パターン35が形成される。
【0184】
このように形成された配線パターン35は、少なくともその一端部が後に搭載された半導体チップ13のバンプ電極14端から500μm離れた所に存在するような長さに形成される。つまり、最も変形し易いところに配線パターン35を形成するように設計されている。
【0185】
次に絶縁層39の硬化を行う。温度は300℃、硬化時間1〜2時間、不活性雰囲気中で行うことによって、ポリイミドが更に脱水重合してイミド化率を90%以上に重合反応を進めさせる。このことによって、耐熱性の高い絶縁層39が形成される。絶縁層39が形成された後、研磨面まで公知の研磨方法で表面を研磨し、絶縁層39及び厚い配線パターン35を平坦にする。
【0186】
このように、厚い配線パターン35を研磨してその厚みを均一にさせることによって、高周波伝送特性が向上する。仮に、研磨を行わないと、メッキ直後ではメッキ厚みバラツキが存在し、且つ表面に約1〜3μmと微小な凹凸が形成される為、数GHz程度の信号を伝送した場合、この凹凸がアンテナの役目をして高周波信号が漏れてしまう。そして、この漏れによりEMI或いはEMCといった電磁波放射による伝送障害を発生させてしまう。なお、上記記述では配線パターン35をめっき方法で形成したが、インクジェット技術を用い、銅ナノペーストをインプリントして直接形成してもよい。
【0187】
次に、図19(j)に示すように、熱可塑性接着剤37と密着強度を上げるために表面活性化処理を行う(図せず)。方法は図16(h)で示した方法と同一方法で可能である。その片面にポリイミド系の熱可塑性接着剤37が3μm程度に形成された10μm以下のポリイミド層7を用意する。接着する方法は公知である真空ラミネート等の方法を用いて該ポリイミドフィルムを接着する。尚、表面活性化処理とポリイミド層ラミネートは同一装置で連続して表面活性化処理とラミネートを行ってもかまわない。
【0188】
次に、図19(k)に示すように、銅はエッチングせずNiだけエッチングする、つまり選択比が高いエッチング液(例えば、エンストリップNP(メルテックス社)、メッテックスSCB(マクダーミッド社)、トップリップAZ(奥野製薬)、オキシストリップOS(エバラユージライト社)のようなアルカリ系ニッケルエッチング液)でNiだけをエッチングし、Niフィルム1を前面除去し、露出した配線パターン5にAu、Sn、In等で表面処理(図示せず)する。その後、能動デバイス、受動デバイス等の電子部品を電気的に接続する領域を除いて絶縁層39下面にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性表面保護膜(図示せず)を公知の方法で形成する。こうして配線基板42が形成される。
【0189】
図20(a)は、このようにして形成された配線基板42の一例を示す上面図、図20(b)は、図20(a)中に示すA−A線に沿った断面図、図20(c)は、図20(a)中に示すB−B線に沿った断面図である。
【0190】
配線基板42に形成された配線パターンは、図20(b)及び図20(c)に示すように、幅Wと厚みtとの関係がW>tである配線パターンP(配線パターン35と面していない配線パターン5)と、幅Wと厚みtとの関係がW≦tである配線パターンP(配線パターン35と、配線パターン35と面している配線パターン5とを加えた領域)とから構成されている。このように、銅で形成されている配線パターンPがW/t>1で形成されている一方、銅で形成された第一層(配線パターン5)と、銅或いはNi、Cr等の或いは少なくとも鉄やチタンを含む銅合金で形成されている第二層(配線パターン35)とで構成された配線パターンPは部分がW/t≦1で形成されている。また、図20(b)に示すように、配線パターンPの幅Wと、配線パターンPの幅Wとは等しい(すなわち、W=W)。配線パターンPが形成される領域は図20(a)に示すように、配線基板42に半導体チップ13を合わせたときに、バンプ電極14(図20(a)では予定位置を示す)から長さLbpが少なくとも外周方向に25μmから150μm大きく形成されている。
【0191】
以上のように構成した本実施の形態に係る配線基板では、半導体チップ13をCuがバンプ電極14に相互拡散する300℃以上の温度でTCボンディング方法を用いて、AuSnボンディングを行なった場合、バンプ電極14と接合する配線パターンPがW≦tの関係になっている為、ボンディング温度および荷重によってポリイミドが軟化しても配線パターンPは変形しない、したがって、配線パターンがチップ搭載領域近傍において湾曲することが無い。 従って、チップエッジと配線パターンがコンタクトしないので、電気的に短絡する事が無い。
【0192】
また、配線基板42中に配線パターンPが突起した構造とし、更に、配線基板42に半導体チップ13を合わせたときに、バンプ電極14(図20(a)では予定位置を示す)から長さLbpが少なくとも外周方向に25μmから150μm大きく形成されているので、
ボンディング荷重および300℃以上のボンディング温度を加えられても、下方向に撓む事がなく、さらに、配線基板42中に配線パターンPが突起している構造の為、つまり、配線基板42中にアンカーを打った構造になっている為、ボンディング時の温度、荷重によって、配線パターンの引出し方向(図20(c)における右から左に向かう方向)への伸びが制約される。つまり、配線パターンの材料であるCuが自由に延びない。従って、延びおよび撓みが抑制されるので、同一材料で配線パターンを形成しても、配線基板42から剥離する事がない。 従って、配線基板42と、配線パターン間で空隙Vdも形成しない。
【0193】
更に、配線基板42にアンカーを打った構造で且つ、ポリイミドとの接触面積が増大している配線パターン構造としたので、配線基板42との密着強度を高く維持できるので配線パターンが剥がれにくい。
【0194】
また、機械的特性が配線パターンPとは異なり、更に配線基板42中に突起させてアンカーさせ、半導体チップ13のサイズより500μm大きくしたので、ボンディング装置搭載精度起因によるボンディング位置がずれても必ず、配線パターン湾曲領域には配線パターンPが配置される事になる。
【0195】
なお、配線パターン5と配線パターン35を銅とし同じめっき条件で形成したが、めっき条件を同一とせず変え、結晶サイズ、密度を変えても良い。つまり、配線パターン35は銅結晶サイズを緻密にし、硬度を高い銅特性とし、一方、配線パターン5で使用する銅を逆に、結晶サイズを大きく粗に形成して、硬度を低くした銅特性としてもよい。
【0196】
更に、配線パターン5と配線パターン35で使用する銅の結晶配向性を異なる物にしても良い。更に、配線パターン35を銅単層で形成したが、多層構造で且つ異種金属で構成される多層構造としてもかまわない。
【0197】
更に、配線パターンを銅材料のみで構成したが、配線パターン5に半田実装性に優れる銅を用い、配線パターン35は銅で形成された第一層と第二層を銅より機械的強度が優れるNi、Cr、等の材料、或いはFe系またはTi系の銅合金であってもかまわない。これにより、より剛性が高くなり、配線パターンの変形、延び、撓みを更に少なくする事が出来る。
【0198】
更には、配線パターン35に銅以外の材料、例えばNi、Cr等の高硬度材料を使用する事でアンカー部である配線パターン35の厚みを更に薄くする事が出来る。これによって、 生産効率を高くなるという効果が得られる。
【0199】
(第8の実施の形態)
本発明の第8の実施の形態について説明する。
【0200】
まず、本実施の形態に係る半導体装置を図21を用いて説明する。図21(a)は、本実施の形態に係る半導体装置44の一例を示す上面図、図21(b)は、図21(a)中に示すA−A線に沿った断面図、図21(c)は、図21(a)中に示すB−B線に沿った断面図である。このような半導体装置44は、以下のようにして製造される。
【0201】
すなわち、図21に示すような半導体装置44を製造する場合には、図30(a)に示すようなボンディング装置を用意する。このボンディング装置は、ヒーター(図示せず)が内蔵されたステージ21の上方に、ボンディングツール22が上下動可能に配置された構造となっている。そして、半導体チップ13を、バンプ電極14を上方に向けて、ステージ21上に載置する。第7の実施の形態で説明した配線基板42の半導体チップ13が搭載された領域の周囲をクランプ23に挟持させ、ボンディングツール22を下降させる。
【0202】
次に、半導体チップ搭載領域の全体に亘って半導体チップ13に対向する下面を有する配線基板42を半導体チップ13の上方にその下面側を、換言すれば、配線12が形成された面を半導体チップ13側に向けて配置する。
【0203】
次に、半導体チップ13の各バンプ電極14と配線基板42の各接続端子12aとを位置合わせする。
【0204】
次に、図30(b)に示すように、例えばステージ21を上昇させて、各バンプ電極14と各接続端子12aとを接触させ、またボンディングツール22を下降させる。この状態で、ステージ21を350℃〜450℃、特に好ましくは400℃程度に加熱して、半導体チップ13を加熱するとともに、ボンディングツール22をCuがバンプ電極14に相互拡散する250℃〜350℃、特に好ましくは300℃程度にして、ボンディングツール22を配線基板42の上面に直接接触させて押圧し、各バンプ電極14と配線基板42に設けられた各接続端子に対応する配線パターンPとを1〜3秒程度加熱加圧する。ボンディング荷重は約10〜17mg/μm程度である。
【0205】
半導体チップ13にはバンプ電極14が予め形成され、一方、配線パターンPは予めSnが形成されている。Snは有機酸系の無電解めっき液を用いて形成し、Snの膜厚は約0.5〜1.0μmである。その後、半導体チップ13と感光性樹脂層2で形成される空間に公知であるサイドポッティング方法により絶縁性樹脂15(封止樹脂ともいう)を充填し、加熱して絶縁性樹脂15を硬化する。
【0206】
このようにして製造された本実施の形態に係る半導体装置44は、図30に示すようなボンディング装置(「TABボンダー」とも称する)を用い、配線基板42をボンディングツール22でAuSnボンディングしても、Auバンプとの接続近傍において、配線パターンを形成する導電性材料と同じ材料で配線基板42中に配線パターンPを配線基板42に半導体チップ13を合わせたときに、バンプ電極14(図20(a)では予定位置を示す)から長さLbpが少なくとも外周方向に25μmから150μm大きく形成したため、配線パターンPの剛性が高くでき且つ、配線パターンPの撓みが少ない、且つ、延びを小さく出来るのでボンディング時の配線パターンの変形が発生しない。
【0207】
したがって、配線パターンが湾曲せず、また配線基板42から剥離し、空隙Vdを形成しないで300℃以上の温度でAuSn共晶ボンディングした半導体装置44を形成できる。更に、配線パターンPの接続端子では配線パターンPのみが厚く配線基板42中に突起し、配線パターンPはW>tとした構造にしたので、屈曲性の高い半導体装置44ができる。
【0208】
また、配線パターン5が湾曲せず、略ボンディング前の平坦性を維持できるので10μmから30μm高さに形成された半導体チップ13と感光性樹脂層2で形成される空間に絶縁性樹脂15をスムースに注入することができるので、絶縁性樹脂15にボイド(気泡)を形成しない。したがって、ボイドがないので温度サイクル試験、熱衝撃試験等の信頼性試験においてボイドの膨張収縮が起きないので高信頼性の半導体装置を作ることができる。
【0209】
なお、上記では、TABボンディング装置を用いて半導体装置44を形成したが、フリップチップボンダーを使用して、チップ裏面から主にボンディング温度を加えてもよい。 このように、半導体チップ13側から主に加熱できる方が、熱伝導率が高い分ボンディングツール22の設定温度を下げる事が出来るのでボンディングツール22への負担が少なく出来る。したがって、配線基板42への加熱が少なくなるので熱変形量が相対的に少なくする事が出来、配線パターン変形量も少なくする事が出来る。
【0210】
また、半導体装置44は、配線パターン5と絶縁層39とからなる面が平坦になっていたが、図12乃至図15にそのイメージを示すように、突出してもかまわない。また、接合材としてAuSnはんだを用いたが、他の鉛レスはんだであるSnCu、SnAgCu、SnAg等のはんだ材でも構わない。
【0211】
更に、本実施の形態では、配線パターンPの略中央部に、半導体チップ13のバンプ電極14が配置された接合構造であったが、バンプ電極14が配線パターンPの中心線より内側(半導体チップ領域の中心に向かって)に配置された接合構造であってもかまわない。 この方が、バンプ電極14が配置される位置よりも外側に位置する配線パターンPの領域が大きくなる、あるいは広くなるので、配線パターンはより変形しなくなる。
【0212】
(第9の実施の形態)
本発明の第9の実施の形態について説明する。
【0213】
まず、本実施の形態に係る配線基板の製造方法を図22を用いて説明する。
【0214】
図22(a)に示すように、まず、第一の配線パターンを形成する材料である約3μm〜12μm厚さの銅箔46を用意する。ここで、銅箔46が薄い場合、製造工程において搬送する事が技術的に困難になるので、例えば、30μm程度の厚さのキャリア銅箔に剥離層を介して形成されたものを用いてもかまわない。 この銅箔46はあらかじめ熱処理され再結晶化され結晶サイズを大きくし硬度が低くされている方が好ましい。
【0215】
次に、図22(b)に示すように、銅箔46の表面(下面)にポリイミド等の樹脂層48を形成する。樹脂層48の膜厚は約5μm〜35μm程度である。この形成方法は公知であるロールコート法、スピンコーティング法、キャスト法等の方法が使用できる。樹脂層48の塗布後、80℃から120℃程度の温度で更に、不活性雰囲気中で固形化させフィルム状にするためにプリベークを行う。更に、イミド化率を高める為に300℃程度の温度で不活性雰囲気中でポストキュアー(硬化)し、ポリイミド樹脂層を形成する。
【0216】
次に、図22(c)に示すように形成したポリイミド等の樹脂層48一面にその後の製造工程において搬送を可能にさせる目的でPET等の有機系の材料で構成されたアクリル系接着材付の補強フィルム50を公知のラミネート方法を用いて張り合わせる。
【0217】
次に、図22(d)に示すように、銅箔46の表面に厚み10μm以下になるようにレジスト52を、ロールコート法、スピンコーティング法、キャスト法等の塗布方法で塗布し、約80℃程度の温度でプリベーキングを行いフィルム化する。
【0218】
次に、図22(e)に示すように、銅箔46を、第一の配線パターンを形成する為に、第一の配線パターンの設計データを基にガラスマスク54を制作し、そのガラスマスク54を用いて、所定の波長の紫外線uで露光し、続いて現像してレジスト52をパターンニングする。
【0219】
次に、図22(f)に示すように、パターンニングされたレジスト52をマスクにして銅箔46を塩化第二銅、塩化第一鉄、過酸化水素/硫酸系等の銅エッチング液を用いてエッチングし、第一の配線パターンPの形状に加工する。
【0220】
次に、図22(g)に示すように、レジスト52を剥離し、第一の配線パターンPを銅箔46によって形成する。
【0221】
次に、図22(h)に示すように、第一の配線パターンPに加工された銅箔46面にアクリル系接着剤が形成されたPETフィルム55を、公知のラミネート方法で張り合わせる。 アクリル系接着剤の厚みは銅箔46より若干厚く形成されているので、PETフィルム55の表面は平坦に張り合わされる。その後、樹脂層48の表面に形成されている補強フィルム50を剥離する。これは機械的に剥離する(PEEL OFF)。
【0222】
次に、図22(i)に示すように、第一の配線パターンPの上で、且つ第二の配線パターンが形成される位置の樹脂層48に、第二の配線パターン形状にスルーホールThを形成する。この形成方法は、例えばレーザー加工方法を使用する事が出来る。 ここで使用されるレーザーの波長は300nm以下が好ましい。 樹脂層48の熱劣化を起こしにくいからである。
【0223】
次に、図22(j)に示すように、第二の配線パターン形成する為に、形成されたスルーホールThを銅無電界めっきで充填する。無電界めっきで緻密に銅を析出する。こうする事で第二の配線パターンPに形成される銅の硬度を高くする事ができ、したがって、剛性を高くする事が出来る。結晶サイズを緻密にすることで、高硬度、低導電率となり、ボンディング時に荷重、熱が加わっても配線パターン自体の伸びや変形が少ない機械的強度の優れた性質の銅を析出し、銅層を形成する。
【0224】
次に、図22(k)に示すように、既に形成された樹脂層48とポリイミド膜56との密着強度を上げるための処理(図示せず)を行い、樹脂層48の下にポリイミド層56を形成する。ここで行う密着強度を上げるための処理は、物理的に微細な凹凸を形成するような処理では上述したようにアンテナの役目を再び形成することになってしまうので、ここでは物理的にアンカーを形成する手法は取れない。そこで、基板を、真空装置(例えば、フィルム用スパッター装置)内に配置して窒素、酸素、アルゴン等の反応ガス、好ましくは窒素ガス雰囲気でプラズマ処理を行う。すると、プラズマ処理することによってポリイミド分子環において結合エネルギーが一番低いC−N結合を切断し、そこに窒素、或いはOHで置換することによって−COOH等の官能基を形成することによってポリイミド膜56表面の活性化エネルギーが増大する。このように、同一装置内でプラズマ処理後に連続的にポリイミド膜56を形成する。この形成方法には、真空ラミネート或いは、常温低圧ラミネート方法が使用できる。尚、表面活性化処理とポリイミド層ラミネートは同一装置で連続して表面活性化処理とラミネートを行ってもかまわない。
【0225】
その後、図22(l)に示すように、配線パターンが形成されている面に形成されている表面補強用のPETフィルム55を剥がし、必要に応じて露出した第一の配線パターンPにAu、Sn、In等で表面処理(図示せず)する。その後、能動デバイス、受動デバイス等の電子部品を電気的に接続する領域を除いて樹脂層48上面にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性表面保護膜(図示せず)を公知の方法で形成する。こうして配線基板58を形成する事が出来る。
【0226】
以上のように構成した本実施の形態に係る配線基板58では、銅箔46を使用した為、ポリイミド等の樹脂層48と配線パターン間にバリア層を形成し易い。また、第二の配線パターンPを複数のピラーで形成する事が出来る。
【0227】
なお、上記では、第二の配線パターンPを形成するためのスルーホールThを一つで構成したが、図23に示すように、微小なピラーを複数形成してもかまわない。また、銅箔46において、ポリイミド等の樹脂層48の表面と接触する面に例えばNi、Cr、NiCr、NiV、NiTi等のバリア層をあらかじめスパッター、あるいは蒸着等の方法で形成しておいた銅箔を使用しても構わない。
【0228】
また、図22(k)では、ポリイミド膜56をラミネートした例について説明したが、ポリイミドに代えて液晶ポリマーからなる膜を用いてラミネートしてもかまわない。更に、数μmの液晶ポリマー層が形成されたポリイミドフィルムでもかまわない。この場合、ポリイミドよりも吸水率の小さい材料が好ましい。これによって、最終基板裏面から吸収され進入する水分を防ぐ事が出来る。
【0229】
(第10の実施の形態)
本発明の第10の実施の形態について説明する。
【0230】
まず、本実施の形態に係る半導体装置を図24を用いて説明する。図24(a)は、本実施の形態に係る半導体装置60の一例を示す上面図、図24(b)は、図24(a)中に示すA−A線に沿った断面図、図24(c)は、図24(a)中に示すB−B線に沿った断面図である。このような半導体装置60は、以下のようにして製造される。
【0231】
すなわち、図24に示すような半導体装置60を製造する場合には、図30(a)に示すようなボンディング装置を用意する。このボンディング装置は、ヒーター(図示せず)が内蔵されたステージ21の上方に、ボンディングツール22が上下動可能に配置された構造となっている。そして、半導体チップ13を、バンプ電極14を上方に向けて、ステージ21上に載置する。第9の実施の形態で説明した配線基板58の半導体チップ13が搭載された領域の周囲をクランプ23に挟持させ、ボンディングツール22を下降させる。そして、半導体チップ13を、バンプ電極14を上方に向けて、ステージ21上に載置し、配線基板58の半導体チップ13が搭載された領域の周囲をクランプ23に挟持させ、ボンディングツール22を下降させる。
【0232】
次に、半導体チップ搭載領域の全体に亘って半導体チップ13に対向する下面を有する配線基板58を半導体チップ13の上方にその下面側を、換言すれば、配線12が形成された面を半導体チップ13側に向けて配置する。
【0233】
次に、半導体チップ13の各バンプ電極14と配線基板58の各接続端子とを位置合わせする。
【0234】
次に、図30(b)に示すように、例えばステージ21を上昇させて、各バンプ電極14と各接続端子12aとを接触させ、またボンディングツール22を下降させる。この状態で、ステージ21を350℃〜450℃、特に好ましくは400℃程度に加熱して、半導体チップ13を加熱するとともに、ボンディングツール22をCuがバンプ電極14に相互拡散する250℃〜350℃、特に好ましくは300℃程度にして、ボンディングツール22を配線基板58の上面に直接接触させて押圧し、各バンプ電極14と配線基板58に設けられた各接続端子に対応する第二の配線パターンPの情報とを1〜3秒程度加熱加圧する。ボンディング荷重は約10〜17mg/μm程度である。
【0235】
半導体チップ13にはバンプ電極14が予め形成され、一方、配線基板58の配線パターンは予めSnが形成されている。Snは有機酸系の無電解めっき液を用いて形成し、Snの膜厚は約0.5〜1.0μmである。その後、半導体チップ13と樹脂層48で形成される空間に公知であるサイドポッティング方法により絶縁性樹脂15(封止樹脂ともいう)を充填し、加熱して絶縁性樹脂15を硬化する。
【0236】
このようにして製造された本実施の形態に係る半導体装置60は、図30に示すようなボンディング装置(「TABボンダー」とも称する)を用い、配線基板58をボンディングツール22でAuSnボンディングしても、Auバンプとの接続近傍において、配線パターンを形成する導電性材料と同じ材料で配線基板58中に配線パターンの接続端子をアンカーしたため、第二の配線パターンPの剛性を高くでき、且つ、第二の配線パターンPの撓みが少ない。その上、延びを小さく出来るのでボンディング時の配線パターンの変形が発生しない。
【0237】
したがって、配線パターンは湾曲せず、また配線基板58から剥離し、空隙Vdを形成しないでCuがバンプ電極14に相互拡散する300℃以上の温度でAuSn共晶ボンディングした半導体装置60を形成できる。更に、接続端子では第二の配線パターンPのみが厚く配線基板58中に突起し、その他の配線パターンである第一の配線パターンPはW>tとした構造にしたので、屈曲性の高い半導体装置60ができる。
【0238】
また、第二の配線パターンPを少なくとも柱状で少なくとも1つのピラー構造としたので、ボンディング時の圧力を分散させることができ、配線パターンを湾曲状に変形させることがない。
【0239】
更に、第二の配線パターンPが複数であるため、ポリイミドと第二の配線パターンPとの接触面積が増加するためピール強度が増す。更に、複数のピラーをポリイミドに打ち込んだ配線基板58にボンディングしているのでアンカー効果が増大し、配線パターンの変形が更に少ない半導体装置60とすることができる。
【0240】
更に、第二の配線パターンPを複数のピラー構造とし、ピラー間に絶縁樹脂が介在するため、ボンディング時の熱が、放熱体として作用する複数に均一に分散して放熱されるため、ポリイミドへの熱ダメージが少ない。したがって、配線パターンが変形しない。更には、配線パターンとポリイミド間に空隙Vdを形成しない。
【0241】
なお、上記では、TABボンディング装置を用いで半導体装置60を形成したが、フリップチップボンダーを使用して、チップ裏面から主にボンディング温度を加えてもよい。 このように、半導体チップ13側から主に加熱できる方が、熱伝導率が高い分ツール設定温度を下げる事が出来るのでボンディングツール22への負担が少なく出来る。したがって、配線基板58への加熱が少なくなるので熱変形量を相対的に少なくする事が出来、配線パターン変形量も少なくする事が出来る。
【0242】
また、接合材としてAuSnはんだを用いたが、他の鉛レスはんだであるSnCu、SnAgCu、SnAg等のはんだ材でもかまわない。
【0243】
更に、本実施の形態では、第二の配線パターンPの略中央部に、半導体チップ13のバンプ電極14が配置された接合構造であったが、バンプ電極14が第二の配線パターンPの中心線より内側(半導体チップ領域の中心に向かって)に配置された接合構造であってもかまわない。 この方が、バンプ電極14が配置される位置よりも外側に位置する第二の配線パターンPの領域が大きくなる、あるいは広くなるので、配線パターンはより変形しなくなる。
【0244】
また、図25に示すように、複数のピラー61(#1〜#3)で第二の配線パターンPを形成してもかまわない。なお、図25(b)は、図21(a)中に示すA−A線に沿った断面図、図25(c)は、図25(a)中に示すB−B線に沿った断面図である。
【0245】
(第11の実施の形態)
本発明の第11の実施の形態について説明する。
【0246】
まず、本実施の形態に係る配線基板の製造方法を図26を用いて説明する。
【0247】
図26(a)に示すように、第二の配線パターンPを形成する材料である銅箔46(#2)と、数μm厚さのNi47箔と、第一の配線パターンPの膜厚を有する銅箔46(#1)とがあらかじめ積層されたクラッド材を容易する。この材料は公知のクラッド方法で形成する事が出来る。
【0248】
次に、図26(b)に示すように、銅箔46(#2)の表面にレジスト52(#1)を10μm以下の膜厚にロールコート法、スピンコーティング法、キャスト法等の塗布方法で塗布し、約80℃程度の温度でプリベーキングを行いフィルム化する。
【0249】
次に、図26(c)及び図26(d)に示すように、銅箔46(#2)を第二の配線パターンPに形成する為にパターン設計データを基にガラスマスク54を制作し、そのガラスマスク54を用いて、所定の波長の紫外線uで露光、続いて現像してレジスト52(#1)をパターンニングする。
【0250】
次に、図26(e)に示すように、パターンニングされたレジスト52(#1)をマスクにして銅箔46(#2)を塩化第二銅、塩化第一鉄、過酸化水素/硫酸系等の銅エッチング液を用いてエッチングし、銅箔46(#2)を第二の配線パターンPの形状に加工する。その後、レジスト52(#1)を剥離する。
【0251】
次に、図26(f)に示すように、銅箔46(#2)の表面にポリイミド等の樹脂層48を形成する。樹脂層48の膜厚は約20μm〜35μm程度である。この形成方法は公知であるキャスト法等が使用できる。樹脂層48の形成後、80℃から120℃程度の温度で更に、不活性雰囲気中で固形化させフィルム状にするためにプリベークを行う。更に、イミド化率を高める為に300℃程度の温度で不活性雰囲気中でポストキュアー(硬化)し、ポリイミド樹脂層を形成する。
【0252】
次に、図26(g)に示すように、銅箔46(#1)の面にレジスト52(#2)を10μm以下の膜厚にロールコート法、スピンコーティング法、キャスト法等により塗布し、約80℃程度の温度でプリベーキングしフィルム化する。そして、銅箔46(#1)を第一の配線パターンPに形成する為にパターン設計データを基にガラスマスク55を用いて、所定の波長の紫外線で露光、続いて現像してレジスト52(#2)をパターンニングする(図26(h))。
【0253】
次に、図26(i)に示すように、パターンニングされたレジスト52(#2)をマスクにして銅箔46(#1)を塩化第二銅、塩化第一鉄、過酸化水素/硫酸系等の銅エッチング液を用いてエッチングし、銅箔を第一の配線パターンPの形状に加工する。 レジスト52(#2)を剥離する。 その後、パターンニングされた第一の配線パターンPをマスク代わりにして、Ni箔47をエッチングし、必要に応じて露出した第一の配線パターンPにAu、Sn、In等で表面処理(図示せず)する。その後、能動デバイス、受動デバイス等の電子部品を電気的に接続する領域を除いて樹脂層48上面にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性表面保護膜(図示せず)を公知の方法で形成する。このようにして、図26(j)に示すような配線基板62を形成する事が出来る。
【0254】
以上のように構成した本実施の形態に係る配線基板62では、NiをCuでサンドイッチしてなるクラッド材を用いたのでプロセスを短縮する事が出来る。また、第二の配線パターンPに使用する材料として、めっきで析出できない材料であるチタン、タングステン等の高融点金属を使用できるようになる。これによって、材料の制限が解除され、選択範囲が広がる効果がある。
【0255】
(第12の実施の形態)
本発明の第12の実施の形態について説明する。
【0256】
まず、本実施の形態に係る配線基板の製造方法を図27を用いて説明する。
【0257】
図27(a)に示すように、まず、支持体として50μmから125μm厚さのNiフィルム1を用意する。
【0258】
次に、図27(b)に示すように、Niフィルム1の表面に、少なくとも1つのノズルを有するインクジェットヘッド64を用いて10nm〜100nmの平均粒径を有する銀ナノ粒子、銅ナノ粒子、Auナノ粒子等含む導電性インクを直接Niフィルム1に第一の配線パターンPをインプリントする。第一の配線パターンPの厚みは数μmである。第一の配線パターンPはあらかじめパターン設計段階で作成されるCADデータを直接インクジェット印刷機に転送して第一の配線パターンPを直接描画する。
【0259】
ナノペースとの一回のプリントで所定の膜厚が得られない場合は数回プリントを繰り返し重ねてプリントを行ない、所定の膜厚を得る。その後、Niフィルム1にプリントされたままベーキングする。ベーキング温度は150℃から250℃で、不活性雰囲気中で実施する。 ベーキングする事でナノ粒子表面に形成されている凝集防止剤が熱分解し、無機、金属のナノ粒子表面が露出し、露出した金属ナノ粒子同士の表面がコンタクトし、ナノ直径の粒子であることで表面の活性エネルギーが高まりその高い表面エネルギーとベーキング温度による熱エネルギーで粒子同士がコンタクトした部分で局部分的に溶融しバインドされる。これが繰り返されてナノ粒子同士が結合し、導体である第一の配線パターンPを形成する。
【0260】
次に、図27(c)に示すように、少なくとも1つのノズルを有するインクジェットヘッド64を用いて10nm〜100nmの平均粒径を有する銀ナノ粒子、銅ナノ粒子、Auナノ粒子等含む導電性インクを直接第一の配線パターンP上に第二のパターンP2をインプリントする。第二の配線パターンPは第一の配線パターンPとは異なる材料のナノ粒子を使用してもかまわない。
【0261】
次に、図27(d)に示すように、第一の配線パターンPおよび第二の配線パターンPがあらかじめ形成されたNiフィルム1にキャスト法等の公知方法で液晶ポリマー、ポリイミド等の絶縁樹脂66を塗布する。塗布する厚さは最終膜厚が10μm〜40μmに仕上がるような膜厚に塗布する。絶縁樹脂66の硬化を行う。ポリイミドの場合温度は300℃、硬化時間1〜2時間、不活性雰囲気中で行うことによって、ポリイミドが更に脱水重合してイミド化率を90%以上に重合反応を進めさせる。
【0262】
このことによって、耐熱性の高い絶縁樹脂層66が形成される。必要があれば、絶縁樹脂層66が形成された後、形成された絶縁樹脂表面を公知の研磨方法で表面を研磨し、絶縁樹脂層66を平坦にしてもよい。
【0263】
次に、図27(e)に示すように、Niフィルム1を専用のエッチング液でNiのみを除去する。更に、必要であれば図27(f)に示すように、無電解Cu、Ni、Au等あるいはその組み合わせによって表面処理を行う。その後、能動デバイス、受動デバイス等の電子部品を電気的に接続する領域を除いて絶縁樹脂層66上面にポリイミド樹脂、エポキシ樹脂等の絶縁性表面保護膜(図示せず)を公知の方法で形成する。このようにして本実施の形態に係る配線基板68を製造する。
【0264】
以上のように構成した本実施の形態に係る配線基板では、ナノ粒子を使用し、更にインクジェット印刷技術でインプリント方法により第一の配線パターンP、及び第二の配線パターンPを形成したので、劇的に工程を短縮することができる。更に、配線パターンを直接描画で形成したのでレジスト密着強化剤(シランカップリング剤等)、レジスト、レジスト剥離液、エッチング液等の化学薬品を全く使用しないので環境を小さくすることができる。更に、インプリント方法なので、ロールトゥロール(RtoRともいう)の様な連続生産方式で生産する事が出来る。
【0265】
なお、配線抵抗が高い、或いは、はんだ実装する際にはんだ濡れ性が悪い場合には、それを改善する為に表面処理することができる。
【0266】
(第13の実施の形態)
本発明の第13の実施の形態について説明する。
【0267】
まず、本実施の形態に係る半導体装置を図28を用いて説明する。図28(a)は、本実施の形態に係る半導体装置70の一例を示す上面図、図28(b)は、図28(a)中に示すA−A線に沿った断面図、図28(c)は、図28(a)中に示すB−B線に沿った断面図である。このような半導体装置70は、以下のようにして製造される。
【0268】
すなわち、図28に示すような半導体装置70を製造する場合には、図30(a)に示すようなボンディング装置を用意する。このボンディング装置は、ヒーター(図示せず)が内蔵されたステージ21の上方に、ボンディングツール22が上下動可能に配置された構造となっている。そして、半導体チップ13を、バンプ電極14を上方に向けて、ステージ21上に載置する。更に、配線基板68の半導体チップ13が搭載された領域の周囲をクランプ23に挟持させ、ボンディングツール22を下降させる。
【0269】
次に、半導体チップ搭載領域の全体に亘って半導体チップ13に対向する下面を有する配線基板68を、半導体チップ13の上方にその下面側を、換言すれば、配線12が形成された面を半導体チップ13側に向けて配置する。
【0270】
次に、半導体チップ13の各バンプ電極14と配線基板68の各接続端子12aとを位置合わせする。このとき、第2、第4、第6、第8、第10の各実施の形態では、接合する配線パターンの略中央部に搭載する半導体チップ13のバンプ電極14が配置された接合構造であったが、バンプ電極14が配線パターンの中心線より内側(半導体チップ領域の中心に向かって)につまり、第二の配線パターンPのリード方向長さの中心線CLからバンプ電極14のリード方向の中心線CLまでの長さLだけXY方向オフセットしてアライメントしてボンディングする。つまりオフセット量Lをもってボンディングする。
【0271】
次に、図30(b)に示すように、例えばステージ21を上昇させて、各バンプ電極14と各接続端子12aとを接触させ、またボンディングツール22を下降させる。この状態で、ステージ21を350℃〜450℃、特に好ましくは400℃程度に加熱して、半導体チップ13を加熱するとともに、ボンディングツール22をCuがバンプ電極14に相互拡散する250℃〜350℃、特に好ましくは300℃程度にして、ボンディングツール22を配線基板68の上面に直接接触させて押圧し、各バンプ電極14と配線基板68に設けられた各接続端子に対応する第二の配線パターンPとを1〜3秒程度加熱加圧する。ボンディング荷重は約10〜17mg/μm程度である。
【0272】
半導体チップ13には金によるバンプ電極14が予め形成され、一方、配線基板68の配線パターンは予めSnが形成されている。Snは有機酸系の無電解めっき液を用いて形成し、Sn膜厚は約0.5〜1.0μmである。その後、半導体チップ13と感光性樹脂層2で形成される空間に公知であるサイドポッティング方法により絶縁性樹脂15(封止樹脂ともいう)を充填し、加熱して絶縁性樹脂15を硬化する。
【0273】
このようにして製造された本実施の形態に係る半導体装置70は、図30に示すようなボンディング装置(「TABボンダー」とも称する)を用い、配線基板68をボンディングツール22でAuSnボンディングしても、Auバンプとの接続近傍において、配線パターンを形成する導電性材料と同じ材料で配線基板68中に配線パターンの接続端子をアンカーにし、更に、配線パターンの接続端子では第二の配線パターンPのみが厚く配線基板68中に突起し、その他の配線パターンである第一の配線パターンPについてはW>tとした構造にし、更に、第2の配線パターンPを少なくとも柱状で少なくとも1つのピラー構造として、バンプ電極14が第二の配線パターンPの中心線より内側(半導体チップ13の領域の中心に向かって)に位置合わせを行いボンディングした半導体の接合構造であるので、第二の配線パターンPの剛性が高くでき且つ、第二の配線パターンPの撓みが殆どない、且つ、延びを小さく出来、ボンディング時の圧力を分散させるのでボンディング時の配線パターンの変形が発生しない。また、配線パターンを湾曲状に変形させることがない。
【0274】
更に、第二の配線パターンPが複数であるため、ポリイミドと第二の配線パターンPとの接触面積が増加するためピール強度が増す。更に、複数のピラーをポリイミドに打ち込んだ配線基板68にボンディングしているのでアンカー効果が増大し、配線パターンの変形が更に少ない半導体装置70である。したがって、配線パターンが湾曲せず、また配線基板68から剥離し、空隙Vdを形成しないで300℃以上の温度でAuSn共晶ボンディングした半導体装置70を形成できる。また、屈曲性の高い半導体装置70ができる。
【0275】
なお、上記では、接合材としてAuSnはんだを用いたが、他の鉛レスはんだであるSnCu、SnAgCu、SnAg等のはんだ材でもかまわない。
【0276】
以上、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲の発明された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0277】
【図1】第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法を説明するための工程図。
【図2】図1(i)に示すX部を倒置して示す詳細図(図2(a))と、図2(a)に示す配線基板10を図中R方向から見た図(図2(b))。
【図3】第1の実施の形態に係る配線基板の変形例を示す図2(a)及び図2(b)に対応する図。
【図4】第1の実施の形態に係る配線基板の変形例(低吸水率層を備えた構成)を示す図2(a)及び図2(b)に対応する図。
【図5】第2の実施の形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図6】第2の実施の形態に係る半導体装置の変形例を示す図。
【図7】図6に示すような半導体装置用の配線基板の製造工程を示す工程図。
【図8】第3の実施の形態に係る配線基板の製造方法を説明するための工程図。
【図9】図8(i)に示すY部を倒置して示す詳細図(図9(a))と、図9(a)に示す配線基板を図中R方向から見た図(図9(b))。
【図10】第3の実施の形態に係る配線基板の変形例(低吸水率層を備えた構成)を示す図9(a)及び図9(b)に対応する図。
【図11】第4の実施の形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図12】第4の実施の形態に係る配線基板の構成例を示す図。
【図13】第4の実施の形態に係る半導体装置の別の構成例を示す図。
【図14】第4の実施の形態に係る配線基板の別の構成例を示す図。
【図15】図13に示す半導体装置用の配線基板の製造工程を説明するための工程図。
【図16】第5の実施の形態に係る配線基板の製造方法を説明するための工程図。
【図17】第5の実施の形態に係る配線基板の構成例を示す図。
【図18】第6の実施の形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図19】第7の実施の形態に係る配線基板の製造方法を説明するための工程図。
【図20】第7の実施の形態に係る配線基板42の構成例を示す図。
【図21】第8の実施の形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図22】第9の実施の形態に係る配線基板の製造方法を説明するための工程図。
【図23】複数のピラーを備えた配線基板の一例を示す立面図。
【図24】第10の実施の形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図25】第10の実施の形態に係る半導体装置の別の構成例を示す図。
【図26】第11の実施の形態に係る配線基板の製造方法を説明するための工程図。
【図27】第12の実施の形態に係る配線基板の製造方法を説明するための工程図。
【図28】第13の実施の形態に係る半導体装置の構成例を示す図。
【図29】従来技術によるCOFタイプの半導体装置の構成例を示す正面図及び側面図。
【図30】ボンディング装置の動作を説明するための概念図。
【図31】従来技術によって接合された半導体チップと配線基板との接合部近傍を示す拡大図。
【符号の説明】
【0278】
1…Niフィルム(Ni支持体)、2…感光性樹脂層、3…ガラスマスク、4…開口部、5…配線パターン、6…研磨面、7…ポリイミド層、10…配線基板、11…配線基板、12…配線(リード)、12a…接続端子、13…半導体チップ、14…バンプ電極、15…絶縁性樹脂、21…ステージ、22…ボンディングツール、23…クランプ、30…低吸水率層、31…下層Cu、32…上層Cu、33…配線基板、34…レジスト層、35…配線パターン、36…層間絶縁層、37…熱可塑性接着剤、38…配線基板、39…絶縁層、40…半導体装置、41…開口部、42…配線基板、44…半導体装置、46…銅箔、47…Ni箔、48…樹脂層、50…補強フィルム、52…レジスト、54…ガラスマスク、55…PETフィルム、56…ポリイミド膜、58…配線基板、60…半導体装置、61…ピラー、62…配線基板、64…インクジェットヘッド、66…ポリイミド樹脂層、68…配線基板、70…半導体装置、100…受動部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ、厚みが幅よりも大きいように形成されたリードで構成されてなる導体パターンを備えた配線基板。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板において、
前記有機層は、有機物からなるフレキシブル基板である配線基板。
【請求項3】
請求項1に記載の配線基板において、
前記有機層は、ポリイミド、エポキシ、及び液晶ポリマーのうちの少なくとも何れかである配線基板。
【請求項4】
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の配線基板において、
前記リードのリード方向に直交する断面における前記リードの形状が台形である配線基板。
【請求項5】
請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の配線基板において、
前記リードのリード方向に直交する断面における前記リードの形状が方形である配線基板。
【請求項6】
少なくとも2層を有する導体パターンであって、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ基板に形成され、下層側の導体パターンの方が、上層側の導体パターンよりも、小さく緻密である導体から形成されてなる配線基板。
【請求項7】
請求項6に記載の配線基板において、
前記下層側の導体パターンを形成する導体の結晶サイズが、前記上層側の導体パターンを形成する導体の結晶サイズよりも、小さく緻密である配線基板。
【請求項8】
請求項6または請求項7に記載の配線基板において、
前記各層における導体のリード方向に直交する断面における前記導体の形状が方形である配線基板。
【請求項9】
請求項6乃至8のうち何れか1項に記載の配線基板において、
前記各層における導体のリード方向に直交する断面における前記導体の形状が台形または逆台形である配線基板。
【請求項10】
少なくとも2層を有する導体パターンであって、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ基板に形成され、下層側の導体パターンを形成する導体の方が、上層側の導体パターンを形成する導体よりも、構成元素が緻密な結晶配向面を主に有する配線基板。
【請求項11】
少なくとも2層を有する導体パターンであって、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ基板に形成され、前記導体パターンを形成する導体は、同一層においてリード方向に直交する断面における厚みよりも幅が大きく、上層側よりも下層側の方が硬度が高い配線基板。
【請求項12】
請求項11に記載の配線基板において、
下層側の導体パターンを形成する導体は、鉄を含む合金からなる配線基板。
【請求項13】
請求項11に記載の配線基板において、
下層側の導体パターンを形成する導体は、チタンを含む合金からなる配線基板。
【請求項14】
請求項11に記載の配線基板において、
前記幅は、下層側よりも上層側の方が広い配線基板。
【請求項15】
少なくとも2層を有する導体パターンであって、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ基板に形成され、前記導体パターンを形成する導体は、同一層においてリード方向に直交する断面における厚みよりも幅が大きく、上層側よりも下層側の方が導電率が低い配線基板。
【請求項16】
4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ導体パターンが基板に形成され、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における厚みが、他とは異なっている導体パターンを備えた配線基板。
【請求項17】
4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ導体パターンが基板に形成され、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えた配線基板。
【請求項18】
請求項17に記載の配線基板において、
前記1未満の部位よりも、前記1以上の部位の方が多い領域に半導体チップを配置するようにした配線基板。
【請求項19】
請求項17に記載の配線基板において、
少なくとも前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が1以上の部位が埋め込まれている配線基板。
【請求項20】
請求項17乃至請求項19のうち何れか1項に記載の配線基板において、
前記リード方向に直交する断面における厚みが他とは異なり、前記リード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えた前記導体パターンは、露出した前記1未満の部位の露出した面と前記1以上の部位の露出した面とが同一面を形成するようにした配線基板。
【請求項21】
4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板自体に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと半導体チップに予め設けられた複数のバンプ電極を介して半導体チップとを接続してなる半導体装置に適用され、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えた配線基板であって、
前記バンプ電極が、前記1未満の部位よりも、前記1以上の部位の方が多い領域に電気的に接続され、前記1以上の部位のうち前記バンプ電極から最も離れた側面を含む面と、この面と前記バンプ電極の表面との間の最短距離が25μm乃至150μmである配線基板。
【請求項22】
4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ、厚みが幅よりも大きいように形成されたリードで構成されてなる導体パターンが形成され、電子部品が前記導体パターンに電気的に接続されて実装される配線基板であって、
前記導体パターンを形成する導体の基板深さ方向における厚みが、前記電子部品を実装する箇所において、他の箇所よりも厚い導体パターンを備えた配線基板。
【請求項23】
請求項22に記載の配線基板において、
前記導体を微粒子で形成してなる配線基板。
【請求項24】
請求項22または請求項23に記載の配線基板において、
前記導体のリード方向に直交する断面の形状を蒲鉾状とした配線基板。
【請求項25】
銅、ニッケル、及び銅を積層してなるクラッド材によって形成されてなる請求項1乃至24のうち何れか1項に記載の配線基板。
【請求項26】
4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して有機層に埋められ、厚みが幅よりも大きいように形成された部分を少なくとも有したリードで構成されてなる導体パターンと、
吸水率が異なる少なくとも2層で構成される有機層と
を備えた配線基板。
【請求項27】
請求項26に記載の配線基板において、
前記有機層が、吸水率が小さい第1の有機層と、前記第1の有機層より吸水率が大きい第2の有機層とで構成されている配線基板。
【請求項28】
請求項27に記載の配線基板において、
前記第1の有機層上に前記導体パターンが形成された配線基板。
【請求項29】
請求項1乃至24のうち何れか1項に記載の配線基板を、CuあるいはCu合金、NiあるいはTi、及びCuあるいはCu合金銅を積層してなるクラッド材によって製造する方法。
【請求項30】
請求項1乃至24のうち何れか1項に記載の配線基板における導体を、ナノペーストを用いたインプリント手法により製造する方法。
【請求項31】
請求項1乃至16のうち何れか1項に記載の配線基板を使用した半導体装置。
【請求項32】
4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと半導体チップに予め設けられた複数のバンプ電極を介して半導体チップとを接続してなる半導体装置であって、
前記配線基板は、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えており、
前記バンプ電極は、前記1未満の部位よりも、前記1以上の部位の方が多い領域に電気的に接続された半導体装置。
【請求項33】
4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと半導体チップに予め設けられた複数のバンプ電極を介して半導体チップとを接続してなる半導体装置であって、
前記配線基板は、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えており、
前記バンプ電極は、前記1未満の部位よりも、前記1以上の部位の方が多い領域に、前記半導体チップの中央部側になるように前記領域の中心をオフセンターして電気的に接続された半導体装置。
【請求項34】
請求項33に記載の半導体装置において、
前記半導体チップは、前記領域のサイズと同じかあるいはそれよりも小さい半導体装置。
【請求項35】
4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと予め設けられた複数の電極を介して能動デバイスおよび受動デバイスを接続してなる半導体装置であって、
前記配線基板は、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備え、且つ前記比が1未満の部位の露出した面と1以上の部位の露出した面とが同一平面を形成し、
前記受動デバイスを前記1未満の部位に、前記能動デバイスを前記1以上の部位に、それぞれ電気的に接続するようにした半導体装置。
【請求項36】
4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと能動デバイスに予め設けられた複数の電極を介して能動デバイスおよび受動デバイスを接続してなる半導体装置であって、
前記配線基板は、吸水率が他よりも低い領域を複数の導体パターン下方近傍に備え、且つ、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えており、
前記受動デバイスを前記1未満の部位に、前記能動デバイスを前記1以上の部位に、それぞれ電気的に接続した半導体装置。
【請求項37】
請求項35または請求項36に記載の半導体装置において、
前記能動デバイスは液晶駆動用LSIである半導体装置。
【請求項38】
請求項35または請求項36に記載の半導体装置において、
前記受動デバイスはコンデンサー又はコイル又は抵抗である半導体装置。
【請求項39】
少なくとも電極が形成されている能動デバイスのアクティブ面と導体パターンが形成されている回路基板の主面とで形成される空間が樹脂材料で封止されている半導体装置。
【請求項40】
4面を有する複数のリードが予め決められた間隔と配列で隣接し、少なくとも電気的に接続する面が露出して配線基板に埋められたリードで構成されてなる導体パターンと半導体チップに予め設けられた複数のバンプ電極を介して半導体チップとを接続してなる半導体装置であって、
前記配線基板は、前記導体パターンを形成する導体のリード方向に直交する断面における幅に対する厚みの比が、1未満の部位と、1以上の部位とを備えており、
前記バンプ電極は、前記1未満の部位よりも、前記1以上の部位の方が多い領域に電気的に接続され、前記1以上の部位のうち前記バンプ電極から最も離れた側面を含む面と、この面と前記バンプ電極の表面との間の最短距離が25μm乃至150μmである半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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