説明

配線基板およびその製造方法

【課題】本発明の配線基板は、電気的信頼性を向上すること、および、層間接続部自体の体積抵抗値を低くすることを目的とする。また、本発明の配線基板の製造方法は、貫通孔の内部への導電性ペーストの充填を容易とすること、および、低コスト化を図ることを目的とする。
【解決手段】本発明の配線基板1は、第一絶縁基板11と、第一絶縁基板11の一方の面11aに設けられた配線回路12と、第一絶縁基板11に内在され、配線回路12に接して第一絶縁基板11の他方の面11bに露呈する層間接続部14と、を備え、層間接続部14は、第一絶縁基板11の他方の面11b側に露呈する第一金属部15と、第一金属部15と配線回路12とを電気的に接続する第二金属部16と、から構成され、第一金属部15は導電性ペースト、第二金属部16はメッキであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板およびその製造方法に関し、より詳細には、導電性ペーストを層間接続に用いた配線基板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種電気回路において、プリント回路基板が用いられている。プリント回路基板では、各層間を電気的に接続するために導電性ペーストが用いられている。このように導電性ペーストを層間接続に用いたプリント回路基板としては、例えば、特許文献1または2に開示されているようなものが挙げられる。
【0003】
従来、導電性ペーストを層間接続に用いたプリント回路基板では、導電性ペーストを充填するために基板に形成された貫通孔が小径化するにつれて、そのアスペクト比(貫通孔の孔径/貫通孔の長さ)が大きくなり、貫通孔への導電性ペーストの充填が困難となり、電気的信頼性を確保することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3345961号公報
【特許文献2】特許第3514647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の配線基板は、電気的信頼性を向上すること、および、層間接続部自体の体積抵抗値を低くすることを目的とする。また、本発明の配線基板の製造方法は、貫通孔の内部への導電性ペーストの充填を容易とすること、および、低コスト化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る配線基板は、絶縁基板と、前記絶縁基板の一方の面に設けられた配線回路と、前記絶縁基板に内在され、前記配線回路に接して前記絶縁基板の他方の面に露呈する層間接続部と、を備えた配線基板であって、前記層間接続部は、前記絶縁基板の他方の面に露呈する第一金属部と、前記第一金属部と前記配線回路とを電気的に接続する第二金属部と、から構成され、前記第一金属部は導電性ペースト、前記第二金属部はメッキであることを特徴とする。
【0007】
層間接続部は、第一金属部と、第二金属部と、から構成され、第一金属部は導電性ペースト、第二金属部はメッキであるので、貫通孔への導電性ペーストの充填が容易となり、層間接続部の電気的信頼性が向上する。
【0008】
本発明の請求項2に係る配線基板は、請求項1において、前記第二金属部における前記第一金属部側の内側面部は、前記第一金属部側に延在し、かつ、弧状をなしていることが好ましい。
【0009】
第一金属部と第二金属部の接触面積が大きくなるため、第一金属部と第二金属部の接続信頼性が向上する。
【0010】
本発明の請求項3に係る配線基板の製造方法は、絶縁基板と、前記絶縁基板の一方の面に設けられた配線回路と、前記絶縁基板に内在され、前記配線回路に接して前記絶縁基板の他方の面に露呈する層間接続部と、を備えた配線基板の製造方法であって、前記絶縁基板の一方の面に導電層を備えた基材を用い、前記絶縁基板に、前記絶縁基板の他方の面から前記導電層が露呈する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔が形成された絶縁基板の貫通孔内部に、前記貫通孔の途中までメッキ法により第二金属を充填する工程と、前記貫通孔にメッキ法により第二金属を充填した後、前記貫通孔の残りの内部空間に、第一金属からなる導電性ペーストを充填する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
第一金属部と、第二金属部と、から構成され、電気的信頼性に優れる層間接続部を容易に形成することができる。
【0012】
本発明の請求項4に係る配線基板の製造方法は、請求項3において、前記貫通孔に対するメッキをする工程は、ビアフィルメッキ法であることが好ましい。
【0013】
第二金属部における第一金属部側の内側面部を、第一金属部側に延在し、かつ、弧状に容易に形成することができる。
【0014】
本発明の請求項5に係る配線基板の製造方法は、請求項3または4において、前記貫通孔に対するメッキをする工程は、貫通孔内に第二金属部を形成するとともに、前記絶縁基板の他方の面に、さらに別の導電部を形成することが好ましい。
【0015】
第二金属部の形成とともに、絶縁基板の他方の面に配線回路などの導電部を形成することができるので、製造工程を簡略化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の配線基板によれば、層間接続部を、貫通孔内へのメッキ処理で形成された第二金属部と、貫通孔内への導電性ペーストの充填により形成された第一金属部とから形成するので、貫通孔に対して導電性ペーストが十分に充填され、電気的信頼性が向上する。また、メッキ処理により第二金属部を形成し、導電性ペーストにより第一金属部を形成するので、導電性ペーストの使用量を削減できるから、層間接続部自体の体積抵抗値を低くすることができる。
【0017】
本発明の配線基板の製造方法によれば、貫通孔が形成された基材の貫通孔内部に、貫通孔の中間までメッキにて導電体を充填した後、貫通孔内部に、導電体に連続する導電性ペーストを充填して層間接続部を形成することにより、導電性ペーストを充填する貫通孔のアスペクト比を小さくでき、貫通孔の内部への導電性ペーストの充填が容易となり、導電性ペーストの充填不足を引き起こすことなく第一金属部を形成し、電気的信頼性に優れる層間接続部を容易に形成することができる。また、メッキ処理により第二金属部を形成し、導電性ペーストにより第一金属部を形成するので、低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第一実施形態に係る配線基板を示す概略側断面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る製造方法において、第一配線基材の製造工程を示す概略側断面図である。
【図3】図2の次工程を示す概略側断面図である。
【図4】図3の次工程を示す概略側断面図である。
【図5】図4の次工程を示す概略側断面図である。
【図6】図5の次工程を示す概略側断面図である。
【図7】図6の次工程を示す概略側断面図である。
【図8】図7の次工程を示す概略側断面図である。
【図9】本発明の第二実施形態に係る配線基板を示す概略側断面図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係る製造方法において、第一配線基材の製造工程を示す概略側断面図である。
【図11】図10の次工程を示す概略側断面図である。
【図12】図11の次工程を示す概略側断面図である。
【図13】図12の次工程を示す概略側断面図である。
【図14】図13の次工程を示す概略側断面図である。
【図15】図14の次工程を示す概略側断面図である。
【図16】図15の次工程を示す概略側断面図である。
【図17】図16の次工程を示す概略側断面図である。
【図18】図17の次工程を示す概略側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、好適な実施形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
【0020】
<第一実施形態>
(配線基板)
図1は、本実施形態の配線基板1を示す概略側面断面図である。なお、図面は模式的なものであり、各層の厚みやその比率などは現実のものとは異なっている。
図1に示すように、本実施形態の配線基板1は、絶縁基板が複数枚(本実施形態では3枚)積層されて形成されている。
具体的には、配線基板1は、第一絶縁基板11およびその一方の面(図1における上側)11aに配線回路12を有する第一配線基材10と、第二絶縁基板21およびその一方の面(図1における上側)21aに配線回路22を有する第二配線基材20と、第三絶縁基板31および一方の面(図1における上側)31aに配線回路32を有する第三絶配線基板30とが、第一接着層41、第二接着層51を介して積層されて形成されている。
【0021】
第一配線基材10は、可撓性を有するポリイミド等の絶縁性樹脂により形成された第一絶縁基板11を備えている。また、第一絶縁基板11の一方の面(図1における上側)11a上には、配線回路12が形成されている。配線回路12は、銅等の導電性の高い金属により形成されている。また、配線回路12の一方の面(第一絶縁基板11と接する面とは反対側の面)12a上には、銅メッキ等からなるメッキ層13が形成されている。
第一絶縁基板11の他方の面(図1における下側)11b上には、加熱反応型の接着剤からなる第一接着層41が設けられている。
【0022】
第一絶縁基板11および第一接着層41には、第一絶縁基板11および第一接着層41に内在され、第一絶縁基板11および第一接着層41を厚さ方向に貫通し、配線回路12に接して第一接着層41の一方の面(第一絶縁基板11と接する面、図1における上側)41aとは反対側の面(他方の面、図1における下側)41bに露呈する層間接続部14が形成されている。
層間接続部14は、第一接着層41の他方の面41bに露呈する第一金属部15と、第一金属部15と連続し、第一金属部15と配線回路12とを電気的に接続する第二金属部16とで形成されている。第一金属部15は、第一接着層41に形成された貫通孔17内にはんだ等に使用される材料からなる導電性ペーストを充填することで形成されている。第二金属部16は、第一絶縁基板11に形成された貫通孔18内に銅等の金属をメッキ処理することで形成されている。また、第二金属部16における第一金属部15側の内側面部16aは、第一金属部15側に延在し、かつ、弓なりの曲線のような形、すなわち、弧状をなしている。
【0023】
第二配線基材20は、可撓性を有するポリイミド等の絶縁性樹脂により形成された第二絶縁基板21を備えている。また、第二絶縁基板21の一方の面(図1における上側)21a上には、配線回路22が形成されている。配線回路22は、銅等の導電性の高い金属により形成されている。また、配線回路22の一方の面(第二絶縁基板21と接する面とは反対側の面)22a上には、銅メッキ等からなるメッキ層23が形成されている。
第二絶縁基板21の他方の面(図1における下側)21b上には、加熱反応型の接着剤からなる第二接着層51が設けられている。
【0024】
第二絶縁基板21および第二接着層51には、第二絶縁基板21および第二接着層51に内在され、第二絶縁基板21および第二接着層51を厚さ方向に貫通し、配線回路22に接して第二接着層51の一方の面(第二絶縁基板21と接する面、図1における上側)51aとは反対側の面(他方の面、図1における下側)51bに露呈する層間接続部24が形成されている。
層間接続部24は、第二接着層51の他方の面51bに露呈する第一金属部25と、第一金属部25と連続し、第一金属部25と配線回路22とを電気的に接続する第二金属部26とで形成されている。第一金属部25は、第二接着層51に形成された貫通孔27内にはんだ等に使用される材料からなる導電性ペーストを充填することで形成されている。第二金属部26は、第二絶縁基板21に形成された貫通孔28内に銅等の金属をメッキ処理することで形成されている。また、第二金属部26における第一金属部25側の内側面部26aは、第一金属部25側に延在し、かつ、弧状をなしている。
【0025】
第三配線基材30は、可撓性を有するポリイミド等の絶縁性樹脂により形成された第三絶縁基板31を備えている。また、第三絶縁基板31の一方の面(図1における上側)31a上には、配線回路32が形成されている。配線回路32は、銅等の導電性の高い金属により形成されている。
【0026】
層間接続部14により、第一絶縁基板11の一方の面11a上の配線回路12と、第二絶縁基板21の一方の面21a上の配線回路22とが電気的に接続されている。また、層間接続部24により、第二絶縁基板21の一方の面21a上の配線回路22と、第三絶縁基板31の一方の面31a上の配線回路32とが電気的に接続されている。
【0027】
層間接続部14は、メッキ処理で形成された第二金属部16と、第二金属部16と連続し、導電性ペーストの充填により形成された第一金属部15とから構成されるので、貫通孔17に対して導電性ペーストが十分に充填され、層間接続部14の電気的信頼性が向上する。また、層間接続部24は、メッキ処理で形成された第二金属部26と、第二金属部26と連続し、導電性ペーストの充填により形成された第一金属部25とから構成されるので、貫通孔27に対して導電性ペーストが十分に充填され、層間接続部24の電気的信頼性が向上する。
また、第二金属部16における第一金属部15側の内側面部16aが、第一金属部15側に延在し、かつ、弧状をなしているので、第一金属部15と第二金属部16の接触面積が大きくなり、第一金属部15と第二金属部16の接続信頼性が向上する。また、第二金属部26における第一金属部25側の内側面部26aが、第一金属部25側に延在し、かつ、弧状をなしているので、第一金属部25と第二金属部26の接触面積が大きくなり、第一金属部25と第二金属部26の接続信頼性が向上する。
また、メッキ処理により第二金属部16を形成し、導電性ペーストにより第一金属部15を形成するので、導電性ペーストの使用量を削減できるから、層間接続部14自体の体積抵抗値を低くすることができる。したがって、配線基板1は、高速伝送時の伝送特性の劣化が少なく、高速伝送に好適に用いられる。
【0028】
(配線基板の製造方法)
次に、配線基板1の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
なお、配線基板1の製造方法は特に限定されないが、配線基板1は、一例として以下に示す各工程を経て製造される。
【0029】
(第一配線基材の製造工程)
第一配線基材10の製造工程では、まず、図2に示すように、ポリイミド等からなる第一絶縁基板11の一方の面11aに銅箔12Aが積層された片面銅張積層板を出発材料とする。
次いで、片面銅張積層板の一方側の銅箔12Aをパターニングして、図3に示すように、第一絶縁基板11の一方の面11a上に配線回路12を形成する。片面銅張積層板の一方側の銅箔12Aのパターニングは、例えば、フォトリソグラフィ技術により銅箔12Aの表面にマスクパターンを形成した後、銅箔12Aをエッチングすることで行われる。
【0030】
次いで、図4に示すように、第一絶縁基板11の他方の面11bに、加熱反応型の接着剤からなる第一接着層41を積層する。
【0031】
次いで、図5に示すように、第一接着層41の所定位置にレーザ等を用いて、第一接着層41の厚さ方向に貫通孔17を形成し、続いて、第一接着層41が積層された第一絶縁基板11の所定位置にレーザ等を用いて、貫通孔17と連続して、第一絶縁基板11の厚さ方向に貫通孔18を形成する。貫通孔17と、これに連続する貫通孔18とにより、第一接着層41の他方の面41bから配線回路12が露呈する。
【0032】
次いで、図6に示すように、第一絶縁基板11に形成された貫通孔18内をメッキ処理することにより、貫通孔18の内部に、第一接着層41に形成された貫通孔17との境界まで銅等の導電体を充填し、第二金属部16を形成する。このとき、第二金属部16における第一金属部15が設けられる側(図6における下側)の内側面部16aが弧状をなすようにする。貫通孔18の内部に、第二金属部16を形成するためのメッキ処理としては、ビアフィルメッキ法を用いることが好ましい。
また、第二金属部16の形成とともに、メッキ処理により、配線回路12の一方の面12a上にメッキ層13を形成する。
【0033】
次いで、図7に示すように、第一接着層41に形成された貫通孔17の内部に、第二金属部16に連続するように導電性ペーストを充填し、第一金属部15を形成する。これにより、第一金属部15と第二金属部16とからなる層間接続部14を形成する。
【0034】
(第二配線基材の製造工程)
第二配線基材20は、第一配線基材10と同様に製造される。
【0035】
(第三配線基材の製造工程)
第三配線基材30は、第一配線基材10と同様にして、第三絶縁基板31の一方の面31aに配線回路32を形成することにより製造される。
【0036】
(積層工程)
積層工程では、上述のように形成された第一配線基材10、第二配線基材20および第三配線基材30を厚さ方向に重ね合わせて積層する。
積層工程では、図8に示すように、第一絶縁基板11の他方の面11bに積層された第一接着層41と、第二絶縁基板21の一方の面21aとを対向させた状態で、第二配線基材20の一方側(図8における上側)に第一配線基材10を配置する。また、第二絶縁基板21の他方の面21bに積層された第二接着層51と、第三絶縁基板31の一方の面31aとを対向させた状態で、第三配線基材30の一方側(図8における上側)に第二配線基材20を配置する。そして、第一配線基材10、第二配線基材20および第三配線基材30の位置を互いに合わせながら、加熱プレスを行う。
【0037】
積層工程により、第一絶縁基板11の他方の面11bに積層された第一接着層41が、第二配線基材20と密着して積層され、第二絶縁基板21の他方の面21bに積層された第二接着層51が、第三配線基材30と密着して積層される。さらに、第一配線基材10の層間接続部14が、第二配線基材20の配線回路22に電気的に接続されるとともに、第二配線基材20の層間接続部24が、第三配線基材30の配線回路32に電気的に接続される。すなわち、第一配線基材10の導電回路12、第二配線基材20の導電回路22および第三配線基材30の導電回路32の各導電回路が電気的に接続された状態となる。
積層工程により各配線基板が積層され、図1に示す配線基板1が形成された時点で、配線基板1の全ての製造工程が完了する。
【0038】
第一配線基材10を構成する第一絶縁基板11の貫通孔18の内部に、メッキ処理により、第一接着層41の貫通孔17との境界まで銅等の導電体を充填して、第二金属部16を形成するので、貫通孔17の内部への導電性ペーストの充填が容易となり、導電性ペーストの充填不足を引き起こすことなく、第一金属部15を形成し、電気的信頼性に優れる層間接続部14を容易に形成することができる。また、メッキ処理により第二金属部16を形成し、導電性ペーストにより第一金属部15を形成するので、導電性ペーストの使用量を削減できるから、低コスト化を図ることができる。
また、メッキ処理と導電性ペーストにより、層間接続部14を形成するので、メッキ処理のみで層間接続部を形成した場合よりも、安価に配線基板1を形成することができる。また、導電性ペーストを充填する貫通孔17の内壁面には、コロイド処理などの前処理が不要となる。
さらに、貫通孔18に対するメッキ処理において、ビアフィルメッキ法を用いることにより、第二金属部16における第一金属部15側の内側面部を、容易に弧状に形成することができる。
なお、第二配線基材20の製造においても同様の効果が得られる。
【0039】
<第二実施形態>
(配線基板)
図9は、本実施形態の配線基板100を示す概略側面断面図である。なお、図面は模式的なものであり、各層の厚みやその比率などは現実のものとは異なっている。
図9に示すように、本実施形態の配線基板100は、絶縁基板が複数枚(本実施形態では3枚)積層されて形成されている。
具体的には、配線基板100は、第一絶縁基板111およびその一方の面(図9における上側)111a上に配線回路112を有する第一配線基材110と、第二絶縁基板121およびその一方の面(図9における上側)121a上に配線回路122を有する第二配線基材120と、第三絶縁基板131および一方の面(図9における上側)131aに配線回路132を有する第三絶配線基板130とが、第一接着層141、第二接着層151を介して積層されて形成されている。
【0040】
第一配線基材110は、可撓性を有するポリイミド等の絶縁性樹脂により形成された第一絶縁基板111を備えている。また、第一絶縁基板111の一方の面(図9における上側)111a上には、シード層113を介して配線回路112が形成されている。配線回路112は、銅メッキ等からなるメッキ層で形成されている。
第一絶縁基板111の他方の面(図9における下側)111b上には、加熱反応型の接着剤からなる第一接着層141が設けられている。
【0041】
第一絶縁基板111および第一接着層141には、第一絶縁基板111および第一接着層141に内在され、第一絶縁基板111および第一接着層141を厚さ方向に貫通し、配線回路112に接して第一接着層141の一方の面(第一絶縁基板111と接する面、図9における上側)141aとは反対側の面(他方の面、図9における下側)141bに露呈する層間接続部114が形成されている。
層間接続部114は、第一接着層141の他方の面141bに露呈する第一金属部115と、第一金属部115と連続し、第一金属部115と配線回路112とを電気的に接続する第二金属部116とで形成されている。第一金属部115は、第一接着層141に形成された貫通孔117内にはんだ等に使用される材料からなる導電性ペーストを充填することで形成されている。第二金属部116は、第一絶縁基板111に形成された貫通孔118内に銅等の金属をメッキ処理することで形成されている。また、第二金属部116における第一金属部115側の内側面部116aは、第一金属部115側に延在し、かつ、弧状をなしている。
【0042】
第二配線基材120は、可撓性を有するポリイミド等の絶縁性樹脂により形成された第二絶縁基板121を備えている。また、第二絶縁基板121の一方の面(図9における上側)121a上には、シード層123を介して配線回路122が形成されている。配線回路122は、銅メッキ等からなるメッキ層で形成されている。
第二絶縁基板121の他方の面(図9における下側)121b上には、加熱反応型の接着剤からなる第二接着層151が設けられている。
【0043】
第二絶縁基板121および第二接着層151には、第二絶縁基板121および第二接着層151に内在され、第二絶縁基板121および第二接着層151を厚さ方向に貫通し、配線回路122に接して第二接着層151の一方の面(第二絶縁基板121と接する面、図9における上側)151aとは反対側の面(他方の面、図9における下側)151bに露呈する層間接続部124が形成されている。
層間接続部124は、第二接着層151の他方の面151bに露呈する第一金属部125と、第一金属部125と連続し、第一金属部125と配線回路122とを電気的に接続する第二金属部126とで形成されている。第一金属部125は、第二接着層151に形成された貫通孔127内にはんだ等に使用される材料からなる導電性ペーストを充填することで形成されている。第二金属部126は、第二絶縁基板121に形成された貫通孔128内に銅等の金属をメッキ処理することで形成されている。また、第二金属部126における第一金属部125側の内側面部126aは、第一金属部125側に延在し、かつ、弧状をなしている。
【0044】
第三配線基材130は、可撓性を有するポリイミド等の絶縁性樹脂により形成された第三絶縁基板131を備えている。また、第三絶縁基板131の一方の面(図9における上側)131a上には、配線回路132が形成されている。配線回路132は、銅等の導電性の高い金属により形成されている。
【0045】
層間接続部114により、第一絶縁基板111の一方の面111a上の配線回路112と、第二絶縁基板121の一方の面121a上の配線回路122とが電気的に接続されている。また、層間接続部124により、第二絶縁基板121の一方の面121a上の配線回路122と、第三絶縁基板131の一方の面131a上の配線回路132とが電気的に接続されている。
【0046】
層間接続部114は、メッキ処理で形成された第二金属部116と、第二金属部116と連続し、導電性ペーストの充填により形成された第一金属部115とから構成されるので、貫通孔117に対して導電性ペーストが十分に充填され、層間接続部114の電気的信頼性が向上する。また、層間接続部124は、メッキ処理で形成された第二金属部126と、第二金属部126と連続し、導電性ペーストの充填により形成された第一金属部125とから構成されるので、貫通孔127に対して導電性ペーストが十分に充填され、層間接続部124の電気的信頼性が向上する。
また、第二金属部116における第一金属部115側の内側面部116aが、第一金属部115側に延在し、かつ、弧状をなしているので、第一金属部115と第二金属部116の接触面積が大きくなり、第一金属部115と第二金属部116の接続信頼性が向上する。また、第二金属部126における第一金属部125側の内側面部126aが、第一金属部125側に延在し、かつ、弧状をなしているので、第一金属部125と第二金属部126の接触面積が大きくなり、第一金属部125と第二金属部126の接続信頼性が向上する。
また、メッキ処理により第二金属部116を形成し、導電性ペーストにより第一金属部115を形成するので、導電性ペーストの使用量を削減できるから、層間接続部114自体の体積抵抗値を低くすることができる。したがって、配線基板100は、高速伝送時の伝送特性の劣化が少なく、高速伝送に好適に用いられる。
【0047】
(配線基板の製造方法)
次に、配線基板100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。
なお、配線基板100の製造方法は特に限定されないが、配線基板100は、一例として以下に示す各工程を経て製造される。
【0048】
(第一配線基材の製造工程)
第一配線基材110の製造工程では、まず、図10に示すように、ポリイミド等からなる第一絶縁基板111の一方の面111aにシード層113を形成する。
【0049】
次いで、図11に示すように、シード層113の一方の面(図11における上側)113a上に、フォトリソグラフィ技術により、所定の配線回路形状にパターニングされたメッキレジスト層161を形成する。
【0050】
次いで、図12に示すように、第一絶縁基板111の他方の面111bに、加熱反応型の接着剤からなる第一接着層141を積層する。
【0051】
次いで、図13に示すように、第一接着層141の所定位置にレーザ等を用いて、第一接着層141の厚さ方向に貫通孔117を形成し、続いて、第一接着層141が積層された第一絶縁基板111の所定位置にレーザ等を用いて、貫通孔117と連続して、第一絶縁基板111の厚さ方向に貫通孔118を形成する。貫通孔117と、これに連続する貫通孔118とにより、第一接着層141の他方の面141bからシード層113が露呈する。
【0052】
次いで、図14に示すように、第一絶縁基板111に形成された貫通孔118内をメッキ処理することにより、貫通孔118の内部に、第一接着層141に形成された貫通孔117との境界まで銅等の導電体を充填し、第二金属部116を形成する。このとき、第二金属部116における第一金属部115が設けられる側(図14における下側)の内側面部116aが弧状をなすようにする。貫通孔118の内部に、第二金属部116を形成するためのメッキ処理としては、ビアフィルメッキ法を用いることが好ましい。
また、第二金属部116の形成とともに、メッキ処理により、メッキレジスト層161の開口部161a内に銅等の導電体を充填し、シード層113の一方の面113a上に、配線回路112を形成する。
【0053】
次いで、図15に示すように、メッキレジスト層161を除去する。
次いで、図16に示すように、第一絶縁基板111の一方の面111a上に露呈しているシード層113を除去する。
【0054】
次いで、図17に示すように、第一接着層141に形成された貫通孔117の内部に、第二金属部116に連続するように導電性ペーストを充填し、第一金属部115を形成する。これにより、第一金属部115と第二金属部116とからなる層間接続部114を形成する。
【0055】
(第二配線基材の製造工程)
第二配線基材120は、第一配線基材110と同様に製造される。
【0056】
(第三配線基材の製造工程)
第三配線基材130は、第一配線基材110と同様にして、第三絶縁基板131の一方の面131aに配線回路132を形成することにより製造される。
【0057】
(積層工程)
積層工程では、上述のように形成された第一配線基材110、第二配線基材120および第三配線基材130を厚さ方向に重ね合わせて積層する。
積層工程では、図18に示すように、第一絶縁基板111の他方の面111bに積層された第一接着層141と、第二絶縁基板121の一方の面121aとを対向させた状態で、第二配線基材120の一方側(図18における上側)に第一配線基材110を配置する。また、第二絶縁基板121の他方の面121bに積層された第二接着層151と、第三絶縁基板131の一方の面131aとを対向させた状態で、第三配線基材130の一方側(図18における上側)に第二配線基材120を配置する。そして、第一配線基材110、第二配線基材120および第三配線基材130の位置を互いに合わせながら、加熱プレスを行う。
【0058】
積層工程により、第一絶縁基板111の他方の面111bに積層された第一接着層141が、第二配線基材120と密着して積層され、第二絶縁基板121の他方の面121bに積層された第二接着層151が、第三配線基材130と密着して積層される。さらに、第一配線基材110の層間接続部114が、第二配線基材120の配線回路122に電気的に接続されるとともに、第二配線基材120の層間接続部124が、第三配線基材130の配線回路132に電気的に接続される。すなわち、第一配線基材110の導電回路112、第二配線基材120の導電回路122および第三配線基材130の導電回路132の各導電回路が電気的に接続された状態となる。
積層工程により各配線基板が積層され、図9に示す配線基板1が形成された時点で、配線基板9の全ての製造工程が完了する。
【0059】
第一配線基材110を構成する第一絶縁基板111の貫通孔118の内部に、メッキ処理により、第一接着層141の貫通孔117との境界まで銅等の導電体を充填して、第二金属部116を形成するので、貫通孔117の内部への導電性ペーストの充填が容易となり、導電性ペーストの充填不足を引き起こすことなく、第一金属部115を形成し、電気的信頼性に優れる層間接続部114を容易に形成することができる。また、メッキ処理により第二金属部116を形成し、導電性ペーストにより第一金属部115を形成するので、導電性ペーストの使用量を削減できるから、低コスト化を図ることができる。
また、メッキ処理と導電性ペーストにより、層間接続部114を形成するので、メッキ処理のみで層間接続部を形成した場合よりも、安価に配線基板100を形成することができる。また、導電性ペーストを充填する貫通孔117の内壁面には、コロイド処理などの前処理が不要となる。
さらに、貫通孔118に対するメッキ処理において、ビアフィルメッキを用いることにより、第二金属部116における第一金属部115側の内側面部を、容易に弧状に形成することができる。
なお、第二配線基材120の製造においても同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0060】
1 配線基板、10 第一配線基材、11 第一絶縁基板、12 配線回路、13 メッキ層、14 層間接続部、15 第一金属部、16 第二金属部、17,18 貫通孔、20 第二配線基材、21 第二絶縁基板、22 配線回路、23 メッキ層、24 層間接続部、25 第一金属部、26 第二金属部、27,28 貫通孔、30 第三配線基材、31 第三絶縁基板、32 配線回路、41 第一接着層、51 第二接着層、100 配線基板、110 第一配線基材、111 第一絶縁基板、112 配線回路、113 シード層、114 層間接続部、115 第一金属部、116 第二金属部、117,118 貫通孔、120 第二配線基材、121 第二絶縁基板、122 配線回路、123 シード層、124 層間接続部、125 第一金属部、126 第二金属部、127,128 貫通孔、130 第三配線基材、131 第三絶縁基板、132 配線回路、141 第一接着層、151 第二接着層、161 メッキレジスト層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、前記絶縁基板の一方の面に設けられた配線回路と、前記絶縁基板に内在され、前記配線回路に接して前記絶縁基板の他方の面に露呈する層間接続部と、を備えた配線基板であって、
前記層間接続部は、前記絶縁基板の他方の面に露呈する第一金属部と、前記第一金属部と前記配線回路とを電気的に接続する第二金属部と、から構成され、
前記第一金属部は導電性ペースト、前記第二金属部はメッキであることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記第二金属部における前記第一金属部側の内側面部は、前記第一金属部側に延在し、かつ、弧状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
絶縁基板と、前記絶縁基板の一方の面に設けられた配線回路と、前記絶縁基板に内在され、前記配線回路に接して前記絶縁基板の他方の面に露呈する層間接続部と、を備えた配線基板の製造方法であって、
前記絶縁基板の一方の面に導電層を備えた基材を用い、前記絶縁基板に、前記絶縁基板の他方の面から前記導電層が露呈する貫通孔を形成する工程と、
前記貫通孔が形成された絶縁基板の貫通孔内部に、前記貫通孔の途中までメッキ法により第二金属を充填する工程と、
前記貫通孔にメッキ法により第二金属を充填した後、前記貫通孔の残りの内部空間に、第一金属からなる導電性ペーストを充填する工程と、を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記貫通孔に対するメッキをする工程は、ビアフィルメッキ法であることを特徴とする請求項3に記載の配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記貫通孔に対するメッキをする工程は、貫通孔内に第二金属部を形成するとともに、前記絶縁基板の他方の面に、さらに別の導電部を形成することを特徴とする請求項3または4に記載の配線基板の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−38231(P2013−38231A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173170(P2011−173170)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】