説明

配線基板と接続方法

【課題】配線基板同士を良好に接続する。
【解決手段】他の基板との接続用の帯状の接続端子を有する配線基板同士を接続する配線基板の接続方法であって、前記接続端子同士が、導電性接合体を間に挟んだ状態で対向するように、前記配線基板同士を位置合わせする工程と、前記導電性接合体を加熱し、その後冷却して、前記接続端子同士を固着する工程とを備え、前記導電性接合体は、加熱により気泡を生ずる材料であり、前記接続端子は、それぞれの前記配線基板に複数併設されており、少なくとも一方の配線基板の、少なくとも1つの隣接する接続端子のスペース表面上には、突起が形成されている、配線基板の接続方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板と配線基板を電気的に接続する配線基板の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に電子部品を実装するフリップチップ実装においては、配線端子上にバンプを形成する。配線端子上にバンプを形成する技術として、近年、従来のソルダーペースト法やスーパーソルダー法等の技術と呼ばれる技術に代えて、配線端子上に、導電性粒子(例えば、はんだ粉)を自己集合させて、バンプを形成する方法、あるいは、配線基板と半導体チップの電極間に導電性粒子を自己集合させて、電極間に接続体を形成し、フリップチップを実装する方法が提案されている。(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)。
【0003】
図9(a)〜図9(d)、及び図10(a)〜10(d)は、導電性粒子を自己集合させるバンプ形成の技術を説明するための図である。
【0004】
先ず、図9(a)に示すように、複数のパッド電極32を有する基板31上に、はんだ粉116と気泡発生剤(図示せず)を含有した樹脂114を供給する。次に、図9(b)に示すように、樹脂114表面に、平板140を配設する。
【0005】
この状態で、樹脂114を加熱すると、図9(c)に示すように、樹脂114の中に含有する気泡発生剤から気泡30が発生する。そして、図9(d)に示すように、樹脂114は発生した気泡30が成長することで気泡外に押し出される。
【0006】
押し出された樹脂114は、図10(a)に示すように、基板31のパット電極32との界面、及び平板140との界面に柱状に自己集合する。なお、基板31の縁部に存在する樹脂114の一部は基板31の外縁から外部に押し出されることになる(図示省略)。
【0007】
次に、樹脂114を更に加熱すると図10(b)に示すように、樹脂114中に含有するはんだ粉116が溶融し、パッド電極32上に自己集合した樹脂114中に含有するはんだ粉116同士が溶融結合する。
【0008】
パッド電極32は、溶融結合したはんだ粉116に対して濡れ性が高いので、図10(c)に示すように、パッド電極32上に溶融はんだ粉よりなるバンプ19を形成する。
【0009】
最後に、図10(d)に示すように、樹脂114と平板140を除去することにより、パッド電極32上にバンプ19形成された基板31が得られる。なお、以上の工程においては、供給する樹脂114の量は誇張して示したものであり、実際には、パッド電極32上に自己集合するのに好適な量、及び誤差を考慮した樹脂114が供給される。
【0010】
この方法の特徴は、基板31と平板140の隙間に供給された樹脂114を加熱することによって、気泡発生剤から気泡30を発生させ、気泡30が成長することで樹脂114を気泡外に押し出すことにより、はんだ粉116を含んだまま樹脂114を基板31のパッド電極32と平板140との間に自己集合させる点にある。
【0011】
樹脂114がパッド電極32上に自己集合する現象は、図11(a)、(b)に示すようなメカニズムで起きているものと考えられる。
【0012】
図11(a)は、樹脂114が、成長した気泡(図示せず)によって基板31のパッド電極32上に押し出された状態を示した図である。パッド電極32に接した樹脂114は、その界面における界面張力(いわゆる樹脂の濡れ広がりに起因する力)Fsが、樹脂の粘度ηから発生する応力Fηよりも大きいので、パッド電極32の全面にわたって広がり、最終的に、パッド電極32の端部を境とした柱状樹脂が、パッド電極32と平板140間に形成される。
【0013】
なお、パッド電極32上に自己集合して形成された柱状の樹脂114には、図11(b)に示すように、気泡30の成長(又は移動)による応力Fbが加わるが、樹脂114の粘度ηによる応力Fηの作用により、その形状を維持することができ、一旦、自己集合した樹脂114が消滅することはない。
【0014】
ここで、自己集合した樹脂114が一定の形状を維持できるかどうかは、上記界面張力Fsの他にパッド電極32の面積S及びパッド電極32と平板140との隙間の距離Lや、樹脂114の粘度ηにも依存する。樹脂114を一定形状に維持させる目安をTとすると、安定性には、以下のような関係が成り立つものと考えられる。
【0015】
【数1】

【0016】
上記の説明のように、この方法は、樹脂114の界面張力による自己集合を利用して、
パッド電極32上に樹脂114を自己整合的に形成するものであるが、かかる界面張力による自己集合は、基板31表面に形成されたパッド電極32が凸状に形成されているが故に、基板31と平板140間に形成されたギャップの中で、基板31と平板140との間よりも狭くなっている、平板140とパッド電極32との間で起きる現象を利用したものと言える。
【0017】
上記の方法を用いると、樹脂114中に分散したはんだ粉を効率良くパッド電極上に自己集合させることができ、又、均一性に優れ、かつ、生産性の高いバンプ形成が実現できる。
【0018】
又、樹脂中に分散したはんだ粉を、樹脂が供給された基板上の複数の電極上に分け隔てなく自己集合させることができるので、上記の方法は、樹脂が供給された配線基板上の全ての電極上に一括してバンプを形成する際に、特に有用である。
【特許文献1】特許第3964911号公報
【特許文献2】特許第3955302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
以上のような樹脂を自己集合させることにより電極に、はんだ粉を自己集合させる技術は、バンプ形成のみならず、他の用途に用いることが考えられる。
【0020】
そのような用途として、本発明者は、基板同士の接続に当該技術を利用することを見いだした。
【0021】
とりわけ、携帯電話やデジタルカメラなどの電子機器の内部配線には、薄くて折り曲げ可能なフレキシブルプリント基板(以下、FPCと記す)が多く使用されている。近年、
携帯機器の小型化や可動部の増加に伴い、FPCの使用比率が高まっている。メインボードに使用される硬質基板にFPCを接続する場合、コネクタ接続が一般的であり、FPCを繰り返して脱着できることが大きなメリットである。脱着の必要がない場合でも容易に
基板間接続ができる利点がある。しかしながら、コネクタが占める三次元的なスペースが機器の小型化・薄型化に対して障害となる。また、現行のコネクタの最小ピッチは0.3mmのものが主流であり、それよりも狭ピッチの電極端子接続が困難である。
【0022】
一方、硬質基板とFPCを完全に一体化したリジットフレックス基板も存在する。リジッドフレックス基板は、FPCが硬質基板の内層に挟まれるため外周に接続部を必要とない利点があるが、製造工程が長く、特に層数の異なる硬質基板の組み合わせでは、工程が複雑となる。
【0023】
こうした中、最近では、別々の硬質基板の間をFPCで接続すると、リジットフレックス基板と同等の構造の配線基板を製造することができる。リジットフレックス基板と比較して工程を簡略化することができ、また配線基板の外形や構造が制約されることが少ない。
【0024】
そこで、かかる狭ピッチの電極端子を有する配線基板同士の接続に上記の技術を用いることは有効と考えられる。
【0025】
一方、本発明者は、上記方法を応用して配線基板と配線基板を接続する方法を検討している際に以下のような現象をも見出した。以下、その現象を説明する。
【0026】
図12に、接続検討する際に用いた配線基板を示す。配線基板31aには、帯状の配線33aが複数、併設されることにより図中の矢印で示す領域に接続端子34aを形成する。
【0027】
配線33aの幅は0.05mmで隣り合う配線とのスペース35aは0.05mmであり、ピッチ0.1mmの配線ルールである。図12に示した配線基板31aの接続端子34aの中央部に、はんだ粉と気泡発生剤(図示せず)を含有した樹脂114を適量塗布する。
【0028】
次に図13(a)において、一方の配線基板31bを重ね合わせた状態を示している。図13(b)は、図13(a)のA−Aの断面図である。配線基板31bには配線基板31aと同寸法で配線33bが配置され、お互いの接続端子34aと接続端子34bが対向し、互いに重なり合っている。この状態で、その塗布した樹脂114を加熱すると、接続端子34aと接続端子34bとが重なる領域に、はんだ粉が自己集合した後、溶融固化することで配線基板31aと配線基板31bが接続されることが期待される。
【0029】
しかしながら、実際に加熱を行った場合、図14(a)に示すように、接続端子34aと接続端子34bとが重なる領域以外まで樹脂114およびはんだ粉が大きく移動した。特に、スペース35a及び35bに隣接するスペース35a及び35bへの樹脂114及びはんだ粉の移動が顕著であった。
【0030】
図15は、移動、集合したはんだ粉が溶融固化した状態を示している。X線透視装置により、配線基板31aと配線基板31bの重なり部をX線透視観察すると、接続領域外にはんだが集合した部位16aや、接続端子にはんだが不足した部位16bや、未接続部位16cが観察され、全てのはんだ粉が接続端子34aと接続端子34bとが重なる領域に集合することはなかった。
【0031】
このように、微細な帯状の接続端子を併設してなる配線基板同士を、はんだ粉等の導電性粒子を電極上に自己集合させることにより接続するためには、上述の不具合を解消することが必要であることが分かった。
【0032】
本発明は、以上を鑑みてなされたものであり、接続端子同士を良好に接続することが出きる、配線基板の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記の目的を達成するために、複数の配線と前記複数の配線間に位置する突起とを有する第1の基板と、
複数の配線を有する第2の基板と、
前記第1の基板の前記配線と前記第2の基板の前記配線とを樹脂を介して接合した接続構造体を用いる。
【0034】
また、前記突起が、第1基板と第2基板の接合領域に、複数位置する請求項1記載の接続構造体を用いる。
【0035】
また、前記突起が、柱状突起であり、配線が帯状である請求項1または2記載の接続構造体を用いる。
【0036】
また、第2の基板の配線間に突起がある請求項1ないし3記載の接続構造体を用いる。
【0037】
また、第1の基板の突起の位置と、第2の基板の突起の位置が、帯状の配線の方向に対してずらして設けられている請求項3または4記載の接続構造体を用いる。
【0038】
また、他の基板との接続用の帯状の接続端子を有する配線基板同士を接続する配線基板の接続方法であって、
前記接続端子同士が、導電性接合体を間に挟んだ状態で対向するように、前記配線基板同士を位置合わせする工程と、前記導電性接合体を加熱し、その後冷却して、前記接続端子同士を固着する工程とを備え、
前記導電性接合体は、加熱により気泡を生ずる材料であり、前記接続端子は、それぞれの前記配線基板に複数併設されており、
少なくとも一方の配線基板の、少なくとも1つの隣接する接続端子のスペース表面上には、突起が形成されている、配線基板の接続方法を用いる。
【0039】
また、前記突起は、断続的に前記接続端子のスペース表面上に形成されている、請求項6に記載の配線基板の接続方法を用いる。
【0040】
また、前記突起は、前記接続端子のスペース表面上の長手方向に設けてあり、
位置合わせの状態において、対向する一方の前記接続端子のスペース表面上の前記突起と、他方の前記接続端子のスペース表面上に突起が形成されていない部分とが対向している、請求項6または7に記載の配線基板の接合方法を用いる。
【0041】
また、前記突起は、対向する双方の前記接続端子のスペース表面上のそれぞれに形成されており、前記突起は前記配線端子のスペース表面上にて等間隔に設けられており、前記位置合わせの状態において、対向する一方の前記接続端子のスペース表面上の突起の中心線と、対向する他方の前記接続端子のスペース表面上の少なくとも2つの前記突起で挟まれる前記部分の中心線が一致している、請求項8記載の配線基板の接続方法を用いる。
【0042】
また、前記突起は、前記接続端子のスペース表面上の長手方向に設けてあり、
位置合わせの状態において、対向する一方の前記接続端子のスペース表面上の前記突起と、他方の前記接続端子のスペース表面上に突起が形成されている部分とが対向している、請求項6から9のいずれかに記載の配線基板の接合方法を用いる。
【0043】
また、前記突起は、絶縁性樹脂で形成される請求項6から10のいずれかに記載の配線基板の接続方法を用いる。
【0044】
また、前記導電性接合体は、導電性粒子と気泡発生剤を含有した流動体であり、
前記流動体は、加熱により沸騰又は熱分解することにより気体を発生させる材料を含む、請求項6から11のいずれかに記載の配線基板の接続方法を用いる。
【0045】
また、前記導電性接合体は、異方性導電材料である、請求項6から12のいずれかに記載の配線基板の接続方法を用いる。
【発明の効果】
【0046】
以上のような本発明によれば、接続端子同士を良好に接続することができる、配線基板の接続方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下に本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0048】
(実施の形態1)
図1(a)、図1(b)により本発明の実施の形態1における配線基板を説明する。図1(a)は配線基板の平面図、図1(b)は、そのA−A直線断面図である。
【0049】
配線基板31aには、配線33aが複数併設されており、図中矢印で示す領域は、配線33a端部より形成される接続端子34aであり、接続端子34aの線路長は1.0mmである。配線の幅は0.05mmであり、隣り合う配線33aとのスペース35aの幅は0.05mmである。したがって配線33aはピッチ0.1mmの配線ルールで形成される。それぞれのスペース35aは、長手方向に断続的に複数の突起20aが選択的に形成されている。突起20aの高さは、接続端子34aより低く、スペース35aの幅程度の径である。
【0050】
突起20aの形成は、絶縁性樹脂である感光性のソルダーレジストを用いてフォトリソグラフィー法によりマスク露光、現像により突起20aのパターンを形成後、加熱により硬化処理をした。突起20aの形状は、約外径40μmの円形の柱状体を形成した。接続端子34aの領域内でのスペース35aに形成した突起20aの配置は、奇数列が端部から0.2mmと0.6mmの位置に間隔0.4mmで2つ形成したものと、偶数列が端部から0.4mmと0.8mmの位置に間隔0.4mmで2つ形成したものを交互に設けた。突起20aの高さは、配線33aの厚みが約15μm(銅箔厚12μm上にNi/Auメッキ厚3μmを形成)に対して約10μmで形成されるようにした。但し、この例は、あくまで一例であり、突起20aの形状、配置、数量、高さは接続基板の配線ルールや接続条件に合わせてその都度、具体的に決定することができる。たとえば、三角柱、四角柱などの柱状の場合もありうる。
【0051】
また、突起20aの絶縁性樹脂としては、耐熱性があり、フォトリソや印刷等の方法でパターン形成が可能な、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化樹脂のいずれでも良い。
【0052】
なお、上記構成において、配線基板31a又は、配線基板31bは、本発明の配線基板に相当し、接続端子34a又は接続端子34bは、本発明の接続端子に相当し、突起20a又は20bに相当し、スペース35aまたは35bは本発明のスペースに相当する。
【0053】
次に、図2(a)及び、そのA−A直線断面図である図2(b)に示すように、配線基板31aのうち突起20aを設けたスペース35aと配線33aからなる接続端子34aの上に導電性粒子16と気泡発生剤(図示せず)を含有した流動体14を供給する。本実施の形態1における流動体14としては樹脂を用いた。なお、導電性粒子16、気泡発生剤の具体例は、後述する。
【0054】
次に、図3(a)及び、そのA−A直線断面図である図3(b)に示すように、配線基板31aの上に流動体14を介して、接続対象である第2の配線基板31bを配置する。
【0055】
第2の配線基板31bは、第1の配線基板31aと同一形状であり、接続端子34aと同一形状、同一寸法の接続端子34bを有する。
【0056】
具体的には、配線基板31bの接続端子34bを、配線基板31aの接続端子34bに対向させ、さらに配線基板31aのスペース35aに形成した突起20aの中心線と、対向する他方の配線基板31bのスペース35bに形成した2つの突起20bで挟まれた中心線とが一致するように位置合わせして配置する。
【0057】
以上のように位置合わせすることで突起20a、突起20bは、流動体14を介して格子状に配置された構成となる。
【0058】
図3(b)に示した状態で接続端子34a、接続端子34bを含む領域に集中して加熱すると、流動体14においては、図3(c)に示すように、流動体14中に含有する気泡発生剤から気泡30が発生する。又、配線基板31aの配線33aと配線基板31bの配線基板31bとの間には、一定の隙間wが設けられており、当該一定の隙間wの寸法は、導電性粒子16の粒径よりも大きい。又、ここでは、配線基板31a及び配線基板31bは当該一定の隙間を維持するように固定又は保持されており、この固定又は保持状態にて流動体14は加熱されている。
【0059】
又、図3(b)及び図3(c)に示すように、接続端子34aに供給された流動体14は、互いの配線基板31a及び配線基板31bの端部間の表面張力によって接続端子34a、接続端子34bを含む領域に留めることができるので、この状態では、流動体14は当該領域を大きく超えて広がることは無い。
【0060】
次に、図3(d)及び図3(e)を参照して、気泡30発生後の過程について説明を続ける。
【0061】
図3(d)に示すように、流動体14は加熱により内部に気泡30を発生させる。加熱に応じて気泡30は成長する。又、流動体14内を動き廻る。これにより流動体14も移動する。
【0062】
詳細に述べると、加熱中の気泡30は、膨張により内圧が高くなると、より圧力が低い大気側に伸びるように成長する、又は移動を開始する。
【0063】
ここで上述したように、配線基板31bの接続端子34bを、配線基板31aの接続端子34bに対向させ、さらに配線基板31aのスペース35aに形成した突起20aの中心線と、対向する他方の配線基板31bのスペース35bに形成した2つの突起20bで挟まれた中心線とが重なり合うように配置されているので突起20a、突起20bは、格子状に配置された構成の中で流動体14から発生した気泡30は、成長、あるいは縦横に移動して大気に排出される。
【0064】
気泡30の成長や動きによって移動する流動体14は、図3(e)に示すように、接続端子34aの配線33aとの界面、及び接続端子34bの配線33bとの界面に集合する。それとともに、流動体14中の導電性粒子16は、配線33aおよび33b上に集合する。
【0065】
次に、流動体14をさらに加熱すると、図3(f)に示すように流動体14中に含有する導電性粒子16が溶融し、その結果、導電性粒子16の自己集合が完了する。つまり配線33aと配線34bの間に溶融した導電性粒子により接続される。
【0066】
次に、加熱を停止して冷却することで溶融した導電性粒子は固化する。これにより、接続端子34aと接続端子34bは完全に接続される。最後に、固化した導電性粒子を除く流動体14を残しておいても構わないが、接続後、微小な導電性粒子が流動体14上に残渣として残る場合もあるので、信頼性の面を考慮して、残渣と一緒に流動体14を除去することも好適である。
【0067】
以上の動作においては、配線基板31a及び配線基板31bの接続領域のスペース35a、35b表面上に、それぞれ突起20a、20bを形成することで、気泡30がスペース35a、35b内で長手方向に大きく移動して流動体14及び導電性粒子16を接続領域以外に押し出すことを抑制することができ、対向する接続端子34a及び接続端子34bのそれぞれの配線33a、33bとの隙間wに導電性粒子16を含む流動体14を効率よく自己集合させ、良好な接続を行うことが可能となっている。
【0068】
この原理について本発明者が見いだした、従来の配線基板における導電性粒子としてのはんだ粉の形成異常が形成される理由を説明しつつ、以下に説明する。
【0069】
図14(a)及び図15に示した、移動したはんだ粉が溶融して接続領域外に、はんだ粉が集合する現象には、以下の理由により生ずると考えられる。すなわち、塗布した流動体14としての樹脂を加熱した際に、樹脂中に含有する気泡発生剤から気泡が発生し、これが樹脂を移動させる。樹脂は接続端子34a、接続端子34bのも集合するが、ある程度、集合すると、図14(a)のA−A直線部分断面である図14(b)に示すように、樹脂は対向する端子の間で柱を形成する。この柱は、配線33a及び33bに沿った壁面として形成されることとなり、気泡はこの壁面を超えて成長又は移動し難くなる。
【0070】
したがって、配線33a及び33b上樹脂による壁面が形成された以降の気泡の成長の向き、又は、移動の向きは、スペース35a、35bの長手方向のみに限定されることになる。また、気泡が生ずる領域が細い矩形状の空間であるため気泡の圧力も増大する。
【0071】
これら原因により本来、対向する接続端子34a、接続端子34b間に集合すべき樹脂も、気泡の成長または移動にともない、接続領域外まで押し出されことにより図14(a)に示すような樹脂流れが発生するものと考えられる。漏れた樹脂に含まれたはんだ粉は、接続領域外にて集合し溶融固化する。
【0072】
一方、本来、接続端子34a、接続端子34b間で集合すべきはんだ粉が押し出されることにより、接続端子34a、接続端子34b間に形成されるべき、はんだの量に不足が生じることで、接続端子間にはんだが不足した部位や未接続の部位が生じたものと考えられる。これは、樹脂を集合させる気泡と接続端子34a、接続端子34bの界面に当たる配線33a、配線33b上の領域が、長手方向に限定されることも一因と考えられる。
【0073】
以上の不具合に対し、本実施の形態においては、上述した構成としたことにより、外部に漏れる流動体14の量は低減されることとなり、流動体14は気泡の成長や移動に伴い、その大部分は配線33a、配線33b間に自己集合されることとなる。したがって接続領域外へのはんだ集合、接合端子のはんだ不足、はんだ未接続などの課題が解決できることになり、均一性に優れ、かつ、生産性の高い配線基板同士の電気接続を行うことができる。
【0074】
ここで、本実施の形態1に使用する、突起20b、流動体14、導電性粒子16、及び気泡発生剤は、本発明の導電性接合体、導電性粒子、気泡発生剤にそれぞれ対応するが、その具体的な組成によって特に限定されない。しかしながら、それぞれ、以下の材料を使用することができる。
【0075】
流動体14としては、室温から導電性粒子16の溶融温度の範囲内において、流動可能な程度の粘度を有するものであれば良く、又、加熱することによって流動可能な粘度に低下するものも含む。代表的な例としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、フラン樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエステルエストラマ、フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、アラミド樹脂等の熱可塑樹脂、又は光(紫外線)硬化樹脂等、あるいはそれらを組み合わせた材料を使用することができる。樹脂以外にも、高沸点溶剤、オイル等も使用することができる。
【0076】
又、導電性粒子16及び気泡発生剤としては、図4及び図5に示すような材料から適宜組み合わせて使用することができる。なお、導電性粒子16の融点を、気泡発生剤の沸点よりも高い材料を用いれば、流動体14を加熱して気泡発生剤から気泡を発生させて、流動体14を自己集合させた後、さらに、流動体14を加熱して、自己集合した流動体中の導電性粒子を溶融させ、導電性粒子同士を金属結合させることができる。
【0077】
又、気泡発生剤は、沸点の異なる2種類以上の材料からなるものであっても良い。沸点が異なれば、気泡発生及び成長するタイミングに差が生じ、その結果、気泡の成長による流動体14の移動が段階的に行われるので、流動体14の自己集合過程が均一化さてこれにより、安定して配線基板接続を行うことができる。
【0078】
なお、気泡発生剤としては、図5に挙げた材料以外に、流動体14が加熱されたときに、気泡発生剤が熱分解することにより気泡を発生する材料も使用することができる。そのような気泡発生剤としては、図6に挙げた材料を使用することができる。例えば、結晶水を含む化合物(水酸化アルミニウム)を使用した場合、流動体14が加熱されたときに熱分解し、水蒸気が気泡となって発生する。
【0079】
又、以上の工程を示す各図においては、供給する流動体14の量は誇張して示したものであり、実際には、接続端子34a、接続端子34bの間に自己集合するのに好適な量、及び誤差を考慮した量が供給される。
【0080】
又、接続端子34a上に供給される流動体14(例えば、樹脂)の体積(VB)中に含有される導電性粒子16の全てが、配線33aと配線33bの接続に寄与したとすると、
接続部の総体積(VA)と、流動体14の体積(VB)とは以下のような関係式(1)が成り立つと考えられる。
【0081】
VA:VB≒SA:SB・・・(1)
式(1)中、SAは配線33aの総面積、SBは接続端子34aの面積をそれぞれ表す。
【0082】
これにより、流動体14中に含まれる導電性粒子16の含有量は、以下のような式(2)で表される。
【0083】
(導電性粒子の含有量、体積%)=VA/VB=SA/SB×100・・・(2)
よって、流動体14中に含まれる導電性粒子16の最適な含有量は、概ね、以下のような式(3)に基づいて設定することができる。
【0084】
(導電性粒子16の含有量、体積%)=(SA/SB×100)±α・・・(3)
なお、上記のパラメータ(±α)は、導電性粒子16が配線33aと配線33bの間に自己集合する際の過不足分を調整するためのもので、種々の条件により決めることができる。式(3)により、流動体14中に分散する導電性粒子16は、0.5〜30体積%の割合で流動体14中に含有していれば足りることになる。なお、一般に、導電性粒子16流動体14との重量比は、約7程度なので、上記0.5〜30体積%の割合は、概ね4〜75重量%の割合に相当する。
【0085】
なお、上述した実施の形態1では、接続端子34a上に流動体14を供給した後、接続端子34bを配置したが、それに限らず、先に、接続端子34aと接続端子34bとの位置を合わせと、隙間wを生ずるようにあらかじめ対向配置しておき、その後に導電性粒子16と気泡発生剤を含有した流動体14をこの隙間wに供給するようにしても良い。要するに、接続基板同士の位置合わせを行う工程の順序によって本発明は限定されるものではない。
【0086】
なお、この実施形態1では、突起20aが1つのスペース35aと35bあたり4個の場合をしめしたが、両端2個あれば、効果がある。
【0087】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2における配線基板を説明する。本実施の形態2を図7に示す。配線基板31aは、図1(a)、図1(b)に示す実施の形態1と同様に、接続端子34aの領域に突起20aが形成された構成であり、詳細な説明は省略する。他方の配線基板31bは、図1(a)、図1(b)に示す構成例と違い、接続端子34bの領域に突起を設けていない。
【0088】
これらの配線基板31aおよび配線基板31bを対向させ、位置合わせした場合でも、配線基板31aの接続端子34aの領域の突起20aが形成されていることから気泡の移動による接続領域外への樹脂流れを抑制することが可能となり、接続端子34a及び接続端子34b間の領域に導電性粒子16を含む樹脂を効率よく集合させ、良好な接続が得られる効果がある。
【0089】
さらに、突起20aの高さを、配線33aより高くすると、より効果がでる。
【0090】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における配線基板を説明する。
【0091】
本実施の形態3を図8(a)〜図8(c)に示す。図8(a)は配線基板の平面図、図8(b)は、そのA−A直線断面図、図8(c)は配線基板の接続方法を説明するための断面図である。
【0092】
図8(a)において配線基板31aは、図1(a)、図1(b)に示す実施の形態1と同様に、接続端子34aの領域に突起20aが形成された構成であり、突起の配置と高さ以外は同様であり、詳細な説明は省略する。矢印で示す領域は、配線33a端部より形成される接続端子34aであり、接続端子34aの線路長は1.0mmである。配線の幅は0.05mmであり、隣り合う配線33aとのスペース35aの幅は0.05mmである。したがって配線33aはピッチ0.1mmの配線ルールで形成される。それぞれのスペース35aは、長手方向に断続的に複数の突起20aが選択的に形成されている。
【0093】
突起20aの形状は、約外径40μmの円形の柱状体を形成した。接続端子34aの領域内でのスペース35aに形成した突起20aの配置は、端部から0.2mmと0.4mmと0.6mmと0.8mmの位置に間隔0.2mmで4つ形成した。
【0094】
図8(b)において、突起20aの高さT1は、配線33aの厚みT2が約15μm(銅箔厚12μm上にNi/Auメッキ厚3μmを形成)に対して約25μmで形成するようにした。突起20aの高さは接合部の高さを約20μmとした場合、接合部高さの1/2(半分)の10μmを配線33aの厚みT2より突出するような構成にした。この例は、あくまで一例であり、突起20aの形状、配置、数量、高さは接続基板の配線ルールや接続条件に合わせてその都度、具体的に決定することができる。
【0095】
なお、上記構成において、配線基板31a又配線基板31bは、本発明の配線基板に相当し、接続端子34a又は接続端子34bは、本発明の接続端子に相当し、突起20a又は20bに相当し、スペース35aまたは35bは本発明のスペースに相当する。
【0096】
図8(c)に示すように、配線基板31aの上に、接続対象である第2の配線基板31bを配置して、配線基板31aの突起20aと配線基板31bの突起20bが当接するような構成とした。このような構成にすると、必要な接合部の厚みT3の確保が容易となり、配線基板31aと配線基板31bの接合において接合部の隙間の調整が不要となる。
【0097】
これらの配線基板31aおよび配線基板31bを対向させ、位置合わせした場合でも、接続端子34a、接続端子34bの接合領域の突起20aが形成されていることから気泡の移動による接続領域外への樹脂流れを抑制することが可能となり、接続端子34a及び34b間の領域に導電性粒子16を含む樹脂を効率よく集合させ、良好な接続が得られる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明にかかる配線基板の接続方法等は、接続配線端子を良好に接続することができる効果を有し、配線基板と配線基板を電気的に接続する配線基板の接続方法及びそれに用いる配線基板等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】(a)本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法に用いる配線基板の構成図 、(b)図1(a)のA−A直線断面図
【図2】(a)本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法を説明するための平面図、(b)図2(a)のA−A断面図
【図3】(a)本発明の実施の形態1の配線基板の接続方法を説明するための平面図、(b)図3(a)のA−A直線断面図、(c)図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施に形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図、(d)図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施に形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図、(e)図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施に形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図、(f)図3(a)のA−A直線断面図により本発明の実施に形態1の配線基板の接続方法の工程を説明するための図
【図4】本発明の各実施の形態に係わる導電性粒子の材料の一例を示す図
【図5】本発明の各実施の形態に係わる気泡発生剤の材料の一例を示す図
【図6】本発明の各実施の形態に係わる気泡発生剤粉の材料の一例を示す図
【図7】本発明の実施の形態2の配線基板の接続方法を説明するための断面図
【図8】(a)本発明の実施の形態3の配線基板の接続方法を説明するための平面図、(b)図8(a)のA−A直線断面図、(c)本発明の実施の形態3の配線基板の接続方法を説明するための断面図
【図9】(a)従来の方法である樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図、(b)従来の方法である樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図、(c)従来の方法である樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図、(d)従来の方法である樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図
【図10】(a)従来の方法である樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図、(b)従来の方法である樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図、(c)従来の方法である樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図、(d)従来の方法である樹脂の自己集合を利用したバンプ形成方法の基本工程を示した工程断面図
【図11】(a)従来の方法である樹脂の自己集合のメカニズムを説明するための図、(b)従来の方法である樹脂の自己集合のメカニズムを説明するための図
【図12】従来の方法である樹脂の自己集合を利用して配線基板同士を接続する方法を説明するための図
【図13】(a)従来の方法である樹脂の自己集合を利用して配線基板同士を接続する方法を説明するための平面図、(b)図13(a)のA−A断面図
【図14】(a)従来の方法の場合の樹脂とはんだ粉が接続領域から押し出された状態を示す図、(b)従来の方法の場合の樹脂とはんだ粉が接続領域から押し出される原理を説明するための図
【図15】従来の方法において、はんだ粉が集合した後に、溶融固化した状態を説明するための図
【符号の説明】
【0100】
14 流動体
16 導電性粒子
20a、20b 突起
30 気泡
31a、31b 配線基板
33a、33b 配線
34a 、34b 接続端子
35a、35b スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配線と前記複数の配線間に位置する突起とを有する第1の基板と、
複数の配線を有する第2の基板と、
前記第1の基板の前記配線と前記第2の基板の前記配線とを樹脂を介して接合した接続構造体。
【請求項2】
前記突起が、第1基板と第2基板の接合領域に、複数位置する請求項1記載の接続構造体。
【請求項3】
突起が、柱状突起であり、配線が帯状である請求項1または2記載の接続構造体。
【請求項4】
第2の基板の配線間に突起がある請求項1ないし3記載の接続構造体。
【請求項5】
第1の基板の突起の位置と、第2の基板の突起の位置が、帯状の配線の方向に対してずらして設けられている請求項3または4記載の接続構造体。
【請求項6】
他の基板との接続用の帯状の接続端子を有する配線基板同士を接続する配線基板の接続方法であって、
前記接続端子同士が、導電性接合体を間に挟んだ状態で対向するように、前記配線基板同士を位置合わせする工程と、前記導電性接合体を加熱し、その後冷却して、前記接続端子同士を固着する工程とを備え、
前記導電性接合体は、加熱により気泡を生ずる材料であり、前記接続端子は、それぞれの前記配線基板に複数併設されており、
少なくとも一方の配線基板の、少なくとも1つの隣接する接続端子のスペース表面上には、突起が形成されている、配線基板の接続方法。
【請求項7】
前記突起は、断続的に前記接続端子のスペース表面上に形成されている、請求項6に記載の配線基板の接続方法。
【請求項8】
前記突起は、前記接続端子のスペース表面上の長手方向に設けてあり、
位置合わせの状態において、対向する一方の前記接続端子のスペース表面上の前記突起と、他方の前記接続端子のスペース表面上に突起が形成されていない部分とが対向している、請求項6または7に記載の配線基板の接合方法。
【請求項9】
前記突起は、対向する双方の前記接続端子のスペース表面上のそれぞれに形成されており、前記突起は前記配線端子のスペース表面上にて等間隔に設けられており、前記位置合わせの状態において、対向する一方の前記接続端子のスペース表面上の突起の中心線と、対向する他方の前記接続端子のスペース表面上の少なくとも2つの前記突起で挟まれる前記部分の中心線が一致している、請求項8記載の配線基板の接続方法。
【請求項10】
前記突起は、前記接続端子のスペース表面上の長手方向に設けてあり、
位置合わせの状態において、対向する一方の前記接続端子のスペース表面上の前記突起と、他方の前記接続端子のスペース表面上に突起が形成されている部分とが対向している、請求項6から9のいずれかに記載の配線基板の接合方法。
【請求項11】
前記突起は、絶縁性樹脂で形成される請求項6から10のいずれかに記載の配線基板の接続方法。
【請求項12】
前記導電性接合体は、導電性粒子と気泡発生剤を含有した流動体であり、
前記流動体は、加熱により沸騰又は熱分解することにより気体を発生させる材料を含む、請求項6から11のいずれかに記載の配線基板の接続方法。
【請求項13】
前記導電性接合体は、異方性導電材料である、請求項6から12のいずれかに記載の配線基板の接続方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2009−158766(P2009−158766A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−336247(P2007−336247)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】