配線基板の製造方法および枠付き導体パターン含有樹脂シート
【課題】表面に導体膜が形成された樹脂シートを枠体に固定した状態で、導体パターンやビア導体を精度良く確実に形成できる配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】表面および裏面の一方に導体膜8を有する樹脂シート6と、常温〜200℃間における熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃であり、導体パターン8aを形成する際に用いる薬液に対する耐薬品性を有する枠体1と、を準備する工程と、枠体1の貫通孔4の開口部を樹脂シート6が閉塞するように、該樹脂シート6の周辺部を枠体1に固定する第1工程P1と、枠体1に固定された樹脂シート6の導体膜8に対し、露光および現像処理を施して導体パターン8aを形成する第2工程P2と、枠体1に固定された樹脂シート6にビアホールhを設け、該ビアホールhに導電性ペーストpを充填し、且つ該導電性ペーストpに熱硬化処理を施して導体パターン8aに一端が接続するビア導体vaを形成する第3工程P3と、を含む、配線基板20の製造方法。
【解決手段】表面および裏面の一方に導体膜8を有する樹脂シート6と、常温〜200℃間における熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃であり、導体パターン8aを形成する際に用いる薬液に対する耐薬品性を有する枠体1と、を準備する工程と、枠体1の貫通孔4の開口部を樹脂シート6が閉塞するように、該樹脂シート6の周辺部を枠体1に固定する第1工程P1と、枠体1に固定された樹脂シート6の導体膜8に対し、露光および現像処理を施して導体パターン8aを形成する第2工程P2と、枠体1に固定された樹脂シート6にビアホールhを設け、該ビアホールhに導電性ペーストpを充填し、且つ該導電性ペーストpに熱硬化処理を施して導体パターン8aに一端が接続するビア導体vaを形成する第3工程P3と、を含む、配線基板20の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電子部品を搭載するための配線基板や電子部品を検査する装置のプローブカードに用いるための配線基板などの製造方法、および該製造方法に用いる枠付き導体パターン含有樹脂シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、可撓性回路基板を用いて半導体パッケージを製造する工程内において、上記回路基板に形成される回路パターンの変形や損傷を防ぐため、複数の回路パターンに対応する複数の通孔が設けられた金属製のキャリアフレームに、予め複数の回路パターンが設けられた可撓性回路基板ストリップを両面接着テープによって接着し、かかる状態で、半導体チップの実装、樹脂封止部の形成、入出力端子の形成、および個々のパッケージへの個片化などの工程を、順次施すようにした半導体パッケージの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記製造方法によれば、可撓性回路基板に形成されている回路パターン外郭部の微細な伝導性トレースの変形や損傷を防げ、ショートを最少限に抑制し得る。
【0003】
しかしながら、樹脂シートの表面に形成した導体膜に対して、所要の導体パターンを形成する場合、前記金属製のキャリアフレームに上記樹脂シートを貼り付けた状態で、露光や現像などのフォトリソグラフィ技術を施すと、その過程で用いる酸性やアルカリ性の薬液に対する耐性が不足していたり、ビア導体となる導電性ペーストを熱硬化処理する際の熱変形などによって、上記樹脂シートと共に形成されつつある導体パターンが変形する場合がある、という問題があった。
上記のような問題は、前記金属製のキャリアフレームの表面に酸化被膜を形成したり、Crメッキなどの表面処理を施しても、十分に解決されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−54668号公報(第1〜16頁、図1〜18)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、表面に導体膜が形成された樹脂シートを枠体に固定した状態で、導体パターンやビア導体を精度良く確実に形成できる工程を含む配線基板の製造方法、およびこれに用いる枠付き導体パターン含有樹脂シートを提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、表面に導体膜が形成された樹脂シートを低熱膨張で且つ耐薬品性の優れた枠体に固定した状態で、上記導体膜に導体パターンを形成する工程および上記樹脂シートにビア導体を形成する工程を施す、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による配線基板の製造方法(請求項1)は、導体パターンおよびビア導体が形成された樹脂シートを備える配線基板の製造方法であって、表面および裏面の一方に導体膜を有する樹脂シートと、常温〜200℃間における熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃であり、導体パターンを形成する際に用いる薬液に対する耐薬品性を有する枠体と、を準備する工程と、前記枠体の貫通孔の開口部を上記樹脂シートが閉塞するように、該樹脂シートの周辺部を上記枠体に固定する第1工程と、前記枠体に固定された上記樹脂シートの導体膜に対し、露光および現像処理を施して導体パターンを形成する第2工程と、上記枠体に固定された樹脂シートにビアホールを設け、該ビアホールに導電性ペーストを充填し、且つ該導電性ペーストに熱硬化処理を施して上記導体パターンに一端が接続するビア導体を形成する第3工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、樹脂シートの周辺部を低熱膨張で且つ耐薬品性を有する枠体に固定した状態で、該樹脂シートの導体膜に対する露光および現像処理を施す第2工程により導体パターンが形成され、更に、上記樹脂シートに設けたビアホールに導電性ペーストを充填し、且つ該導電性ペーストに熱硬化処理を施す第3工程により、上記導体パターンに一端が接続するビア導体が形成される。かかる第2,3工程において、前記枠体は、酸性やアルカリ性の薬液による化学変化ないし劣化や、熱硬化処理による熱変形をほとんど生じない。従って、上記導体パターンやビア導体が所定の形状、寸法、および位置において精度良く形成できるので、これらを備えた配線基板を、効率良く確実に提供することができる。
【0008】
尚、前記枠体は、無機材料の繊維に対し、耐薬品性に優れた樹脂を含浸させた無機材料−樹脂の複合材からなり、例えば、ガラス繊維(無機材料の繊維)に対し、耐薬品性(耐酸性および耐アルカリ性)に優れたエポキシ樹脂、イミド樹脂など(樹脂)を含浸させた繊維状無機材料−樹脂の複合材からなる。
前記耐薬品性の「酸性やアルカリ性の薬液による化学変化ないし劣化をほとんど生じない」とは、各工程で用いる酸性やアルカリ性の薬液に個別に20分間浸漬した場合でも、腐食や劣化などが起きないことである。上記薬液は、例えば、現像液(NaOH、NaCO3溶液)やエッチング液(HCl、CuCl2溶液)などである。
また、前記枠体の常温〜200℃間における熱膨張係数の範囲を、面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃としたのは、かかる範囲を外れると、寸法変動率が0.01%を超えて、樹脂シートや微細な導体パターンおよびファインピッチのビア導体が、許容範囲を超えて変形ないし位置ズレするなどの事態を防ぐためである。即ち、該枠体は、200℃以下の温度領域に耐え、且つ寸法変動率が0.01%以下であると共に、導体パターンを形成する第2工程の各ステップで接触する酸性およびアルカリ性の双方の薬液に対する耐性を併有している。
更に、上記枠体は、厚みが約0.8mmで、且つ表面および裏面が平面視において矩形(正方形または長方形)の外形であり、且つその内側にほぼ相似形の矩形である貫通孔が形成されている。該枠体のコーナ付近には、例えば、位置合わせ用の小径な孔を形成しても良い。
【0009】
また、前記樹脂シートは、例えば、ポリイミド(以下、PIと称する)からなり、表面および裏面の一方に導体膜(例えば、銅薄膜)が被覆され、且つ他方に接着層が形成されていると共に、全体の厚みが約20〜40μmである。
更に、前記導体パターン(配線層あるいはパッド)は、単一の配線基板を構成する内部配線層あるいは外部接続端子であるほか、前記樹脂シートの縦横に複数の内部配線層などを併設している形態であって、多数個取り用の配線基板の一部を構成するものであっても良い。
また、前記導体パターンを形成する第2工程は、前記導体膜の上に感光性樹脂層を被覆するステップ、該感光性樹脂層を所定パターンで露光するステップ、該パターンに倣ったパターン部分以外の感光性樹脂層を現像液(アルカリ性)などにより除去するステップ、上記パターン部分の直下に位置する導体膜以外の導体膜をエッチング液(酸性)などにより除去するステップ、上記パターン部分に倣った導体膜からなる導体パターンの上に残留している感光性樹脂層のパターン部分を除去(アルカリ性)するステップ、および導体パターンの表層を粗化処理(酸性)するステップを含んでいる。
【0010】
更に、前記ビア導体を形成する第3工程は、前記樹脂シートに例えばレーザ加工などによりビアホールを形成するステップ、該ビアホール内を洗浄するデスミア処理(酸性)を施すステップ、上記ビアホール内に導電性ペーストを充填するステップ、および該導電性ペーストに熱硬化処理を施してビア導体を形成するステップを含んでいる。
また、上記第3工程のうち、ビアホールを形成するステップは、第2工程の前に行うと共に、デスミア処理、粗化処理、導電性ペーストの充填ステップ、および熱硬化処理を施す各ステップは、第2工程の後で行っても良い。
加えて、前記第3工程の後において、複数の前記枠付き導体パターン含有樹脂シートを、これと別途に製造され、複数のセラミック層または複数の樹脂層を積層した多層絶縁基板の表面および裏面の少なくとも一方に、順次あるいは同時に積層する第4工程、前記枠体および該枠体の貫通孔側に位置する前記樹脂シートを切断により除去する第5工程、残留した前記樹脂シート同士およびこれらの樹脂シートと上記多層絶縁基板とを加熱・圧着して接着する第6工程、および樹脂シートと該多層絶縁基板との周辺部を切断して除去する第7工程が順に行われる。
【0011】
また、本発明には、前記樹脂シートの周辺部は、前記枠体の貫通孔における表面側および裏面側の開口部ごとにテープを介して貼り付けることで固定されている、配線基板の製造方法(請求項2)も含まれる。
これによれば、前記樹脂シートの周辺部は、枠体の貫通孔における表面側および裏面側の開口部ごとに(接着)テープを介して貼り付けられているので、前記第2工程において、例えば、酸性の薬液に浸漬された後、アルカリ性の薬液に浸漬された場合でも、前側のステップの薬液が樹脂シートと枠体との隙間を介して、後側のステップの薬液と混ざり合うなどの不用意な事態を予防することができる。
尚、前記テープは、例えば、ポリエステル(以下、PEと称する)からなる。
また、前記樹脂シートは、平面視が同じ寸法の内形、外形、および貫通孔を有する一対の枠体間に周辺部が挟まれた状態で前記テープにより固定(接着)される。あるいは、内形、外形、および貫通孔の寸法が異なる一対の枠体のうち、平面視で一方の枠体における貫通孔の内側に該貫通孔と外形が相似形である他方の枠体を嵌め込み、該他方の枠体の表面、該他方の枠体の外側面と上記一方の枠体の貫通孔との間、および上記一方の枠体の裏面に樹脂シートの周辺部を巻き付けた状態で前記テープにより固定(接着)されるようしても良い。
【0012】
一方、本発明の枠付き導体パターン含有樹脂シート(請求項3)は、熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃であり、且つ導体パターンを形成する際に用いた薬液に対する耐薬品性を有する枠体と、かかる枠体の貫通孔の開口部に周辺部が貼り付けられ、表面および裏面の一方に導体パターンが形成され、且つ該導体パターンに一端が接続するビア導体が貫通している樹脂シートと、を備えている、ことを特徴とする。
【0013】
これによれば、例えば、ウェハに併設された複数の電子部品を検査する電子部品検査用の配線基板(プローブカード)を製造するに際し、外部と導通すべき外部接続端子を含む既製の配線基板を上記ウェハの反対側とし、上記電子部品側に配置すべき検査用の配線層に、上記枠付き導体パターン含有樹脂シートを用いることができる。これにより、検査すべき電子部品ごとに応じた専用の配線層を、かかる電子部品側にのみ積層した上記検査用配線基板を、少量生産で且つ短時間により製造(前記第4〜7工程)することができる。更に、製造すべき多層配線基板の一部として製造し、これを他の工程やユーザに提供することも可能である。
尚、上記既製の配線基板は、多層セラミック基板または多層樹脂基板である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に用いる枠体、樹脂シート、および第1工程を示す断面図。
【図2】図1中の一点鎖線部分Xの拡大図。
【図3】上記樹脂シートを貼り付けた枠体の平面図。
【図4】図3中のY−Y線の矢視に沿った断面図。
【図5】本発明の第2,3工程の概略を示す流れ図。
【図6】本発明の導体パターン含有樹脂シートを示す断面図。
【図7】本発明の第4工程の概略を示す概略断面図。
【図8】本発明の第5,6工程の概略を示す概略断面図。
【図9】本発明の第7工程および得られた配線基板を示す概略断面図。
【図10】上記樹脂シートを枠体に固定する異なる形態を示す断面図。
【図11】上記樹脂シートを枠体に固定する更に異なる形態を示す断面図。
【図12】上記樹脂シートに複数の導体パターンを形成する形態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明に用いる枠体1、樹脂シート6、および本発明の準備工程と、第1工程とを示す断面図、図2は、図1中の一点鎖線部分Xの部分拡大図である。
予め、図1,2に示す枠体1と樹脂シート6とを準備した(準備工程P0)。
上記枠体1は、例えば、ガラス繊維(無機材料の繊維)に対し、耐薬品性(耐酸性および耐アルカリ性)に優れたエポキシ樹脂(樹脂)を含浸させた繊維状無機材料−樹脂の複合材からなり、常温から200℃間における熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃(寸法変動率が0.01%以下)である。該枠体1は、後述するように、平面視の内形および外形がほぼ正方形を呈し且つ中央側に正方形の貫通孔4が貫通しており、該貫通孔4を囲み且つ厚みが約0.8mmである四辺の枠部2からなる。尚、上記エポキシ樹脂は、イミド樹脂などに替えても良い。
また、前記樹脂シート6は、平面視がほぼ正方形を呈し、図1,2に示すように、例えば、PIからなるベースシート7の表面に銅薄膜(導体膜)8が被覆され、且つ裏面に接着層9が形成されている。該樹脂シート6は、全体の厚みが約30μmであり、銅薄膜8の厚みが約5μm、接着層9の厚みが約3μmである。
【0016】
先ず、図1中の矢印で示すように、枠体1における表面側の貫通孔4の開口部を閉塞するように、樹脂シート6の周辺部を載置した後、該樹脂シート6の周辺部と枠体1の各枠部2の表面および裏面に沿って、PEのテープ(接着テープ)T1,T2を個別に貼り付けることにより、樹脂シート6を枠体1に固定した(第1工程P1)。
その結果、図3の平面図、および同中のY−Y線の矢視に沿った図4の断面図に示すように、枠体1の各枠部2の表面側に貫通孔4を閉塞するように樹脂シート6がテープT1により固定(接着)された。また、枠体1の各枠部2の裏面側では、樹脂シート6の周辺部と各枠部2の貫通孔4の開口部とに沿って、テープT2が貼り付けられた。即ち、樹脂シート6の周辺部は、枠体1の各枠部2の表面および裏面の全周において、テープT1,T2により封止された。
尚、図3に示すように、前記枠体1には、例えば、右上のコーナに位置合わせ用の斜辺3を設けたり、隣接する枠部2,2間にコーナ付近に、位置決め用の小径な孔5を開設しても良い。
【0017】
次いで、枠体1に固定された前記樹脂シート6の銅薄膜8に導体パターンを形成する第2工程P2、およびベースシート7にビア導体を形成する第3工程P3を行った。
先ず、図5に示す流れ図における最上段に示すように、枠体1に固定された樹脂シート6における所定の位置に対し、接着層9側からYAGレーザを照射し、該接着層9とベースシート7とを貫通し且つ銅薄膜8のみを残しており、全体がほぼ円錐形で且つ平均直径が約45μmのビアホールhを形成した(第3工程の第1ステップ:P3−S1)。尚、上記YAGレーザの照射条件は、波長:約355nm、平均出力:約0.04Wである。また、上記YAGレーザに替えて、炭酸ガスレーザなどを用いても良い。更に、上記ビアホールhを形成するステップは、第2工程P2の後で行っても良い。
次に、図5中の第2段に示すように、枠体1に固定された樹脂シート6における銅薄膜8のほぼ全面に、エポキシ系樹脂のフィルムからなる感光性樹脂層fを被覆した(第2工程の第1ステップ:P2−S1)。
【0018】
次いで、図5中の第3段に示すように、前記感光性樹脂層fに対し、所定のパターンでマスクされた紫外線uvを照射する露光を行った(第2工程の第2ステップ:P2−S2)。
引き続いて、露光後の感光性樹脂層fを含む樹脂シート6を枠体1と共に、アルカリ性の現像液(Na2CO3:1質量%、液温:25℃)中に約0.5分間浸漬し、上記感光性樹脂層fのうち、前記紫外線uvが照射されていない部分を除去する現像を行った(第2工程の第3ステップ:P2−S3)。その結果、図5中の第4段の右側に示すように、前記感光性樹脂層fは、露光された前記パターンに倣ったパターンを有する部分的な感光性樹脂層faとなった。
更に、上記感光性樹脂層faを含む樹脂シート6を枠体1と共に、酸性である2種類のエッチング液(HCl:3.2mol/l、液温:40℃→CuCl2:2.7mol/l、液温:40℃)中にそれぞれ約0.5分間ずつ順次浸漬し、図5中の第5段の右側に示すように、上記感光性樹脂層faの真下の位置を除く部分の銅薄膜8を除去した(第2工程の第4ステップ:P2−S4)。その結果、前記パターンに倣ったパターンを有する導体パターン8aが形成された。
【0019】
次に、前記感光性樹脂層faおよび導体パターン8aを含む樹脂シート6を枠体1と共に、アルカリ性の現像液(NaOH:3質量%、液温:60℃)中に約0.5分間浸漬し、図5中の第6段に示すように、上記感光性樹脂層faを除去した(第2工程の第5ステップ:P2−S5)。
次いで、図5中の第7段に示すように、導体パターン8aを含む樹脂シート6を枠体1と共に、酸性のエッチング液(硫酸系の過酸化水素溶液)に約0.5分間浸漬して、前記ビアホールh内を洗浄するデスミア処理を行った(第3工程の第2ステップ:P3−S2)。この際、導体パターン8a側は、マスクされていた。
引き続いて、図5中の第8段に示すように、酸性のエッチング液(有機酸系溶液)に約0.5分間浸漬して、導体パターン8aおよびベースシート7の表層を粗化する粗化処理を行った(第2工程の第6ステップ:P2−S6)。この際、接着層9側は、マスクされていた。
尚、以上の各工程で用いた酸性およびアルカリ性の各薬液にそれぞれ浸漬された枠体1には、腐食や劣化などが生じていなかった。
更に、図5中の第9段に示すように、ビアホールh内に、Ag粉末を含む導電性ペーストpを充填した(第3工程の第3ステップ:P3−S3)。
【0020】
そして、導体パターン8aを含み、且つビアホールh内に前記導電性ペーストpが充填された樹脂シート6を前記枠体1と共に、内部が窒素雰囲気とされた加熱炉(図示せず)に挿入し、上記導電性ペーストpに対し、170℃×1時間の熱硬化処理を施した(第3工程の第4ステップ:P3−S4)。その結果、図5中の第10段の右側に示すように、上記導電性ペーストpが硬化し、且つ一端が導体パターン8aに接続したビア導体vaを含む樹脂シート6aが得られた。
尚、上記熱硬化処理(P3−S4)中において、枠体1の寸法変動率は、0.01%以下であった。
以上のような第2,3工程を、別個に用意した複数の枠体1に固定した樹脂シート6に対しても、前記露光のパターンを個別に替えてそれぞれ施した。
その結果、図6に示すように、互いに異なるパターンの導体パターン8a,8b,8cと、これらに一端が接続されたビア導体va,vb,vcとを個別に有する樹脂シート6a,6b,6cが専用の枠体1に固定(接着)された本発明の枠付き導体パターン含有樹脂シート10a,10b,10cが得られた。尚、図6中の一点鎖線部分Z1〜Z3は、それらの上方に示す部分拡大図の位置を示す。
【0021】
次に、図7中の矢印で示すように、前記枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cを、別途に製造された多層セラミック(絶縁)基板12の表面13に順次積層する第4工程P4を行った。
多層セラミック基板12は、図7の下方に示すように、アルミナを主成分とするセラミック層s1〜s4を積層してなり、これらの層間にランド15〜17が配置され、少なくとも上記セラミック層s1〜s4の何れかを貫通するビア導体V1〜V5および上記ランド15〜17を介して、表面13の露出するビア導体V1と裏面14に設けた外部接続端子18との間が導通可能とされている。上記ランド16,17は、裏面14の周辺に位置する外部接続端子18を表面13の中央側に位置するビア導体V1に電気的に接続するための引き回し用のランドである。また、多層セラミック基板12の外周側には、図7中の破線で示す仮想の切断予定面cfにより区画された耳部(捨て代)19が位置している。尚、多層セラミック基板12は、図7と次述する図8とにおいては、水平方向に沿って若干縮めて図示されている。
【0022】
次いで、多層セラミック基板12の表面13上に順次積層された枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cの樹脂シート6a〜6cを各枠体1側の位置で、図示しない刃物により切断する第5工程P5を行った。
その結果、図8に示すように、多層セラミック基板12の表面13上に枠体1から分離された樹脂シート6a〜6cが積層された。かかる樹脂シート6a〜6cの周辺部は、多層セラミック基板12の表面13よりも外側に若干延出していた。尚、枠体1側には、周辺側の樹脂シート6xが残っていた。
更に、樹脂シート6a〜6cの相互、および該樹脂シート6a〜6cと多層セラミック基板12とを、これらの厚み方向に沿って圧着しつつ、約360℃に約1時間加熱して、接着する第6工程P6を行った。
【0023】
そして、前記耳部19と樹脂シート6a〜6cの周辺部とを、前記切断予定面cfに沿って図示しない刃物による切断で除去する第7工程P7を行った。その結果、図9に示すように、多層セラミック基板12とその表面13に積層された樹脂シート6a〜6cとを備えた電子部品検査用の配線基板20が得られた。
図9において、最上層の樹脂シート6aの表面には、追ってプローブ(図示せず)が取り付けられる複数のパッド(前記導体パターン)8aが突出し、該パッド8aは、前記ビア導体va〜vc、導体パターン(内部配線層)8b,8c、ビア導体V1〜V5、およびランド15〜17を介して、裏面14側の外部接続端子18と導通可能である。尚、セラミック層s1と樹脂シート6cとの層間にも、ビア導体vc,V1間を接続する前記同様のランドを設けても良い。
【0024】
以上のような配線基板20の製造方法によれば、低熱膨張で且つ耐薬品性を有する枠体1に樹脂シート6の周辺部を固定した状態で、該樹脂シート6の銅薄膜8に対し露光および現像処理を施す第2工程P2により導体パターン8a〜8cが形成され、更に、上記樹脂シート6に設けたビアホールhに導電性ペーストpを充填し、且つ該導電性ペーストpに熱硬化処理を施す第3工程P3により、上記導体パターン8a〜8cに一端が接続するビア導体va〜vcが形成された。かかる第2,3工程P2,P3において、枠体1は、酸性やアルカリ性の薬液による化学変化ないし劣化や、熱硬化処理による熱変形をほとんど生じなった。
しかも、樹脂シート6の周辺部は、枠体1の貫通孔4における表面側および裏面側の開口部ごとにテープT1,T2を介して貼り付けて固定されていたので、酸性の薬液とアルカリ性の薬液が枠体1と樹脂シート6との隙間を介して、混ざり合うなどの不具合を予防することもできた。
【0025】
その結果、上記導体パターン8a〜8cやビア導体va〜vcが所定の形状、寸法、および位置において精度良く形成された枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cを製作できた。そして、かかる枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cを検査すべき電子部品側である多層セラミック基板12の表面13上に積層し且つ接着したので、これらを備え、ファインピッチで且つ微細な導体パターン8a〜8cやビア導体va〜vcを含む電子部品検査装置に用いるプローブカード用の配線基板20を、効率良く確実に製造できた。
尚、予め多層セラミック基板12を製作しておき、検査すべき電子部品ごとに対応した樹脂シート6nを有する枠付き導体パターン含有樹脂シート10nを所要数製造し且つ上記多層セラミック基板12に積層・接着することで、短時間(短納期)且つ低コストで電子部品検査装置に用いるプローブカード用の配線基板20nを製造することも可能である。
【0026】
図10は、前記樹脂シート6を枠体1に固定する異なる形態の断面図である。
図10に示すように、樹脂シート6の周辺部の表面および裏面を、平面視の内外形および貫通孔4の寸法が同じ上下一対の枠体1の各枠部2によって挟むと共に、上記樹脂シート6の表・裏面の周辺部と各枠部2とに沿って前記同様のテープT1,T2を貼り付けることにより、一対の枠体1間に樹脂シート6を固定したものである。尚、一対の枠体1,1間の外周側には、図示のようなシール材sを挟み込むのが望ましい。
上記一対の枠体1に固定された樹脂シート6も、前記同様の第2,3工程を確実に施せ、前記同様の枠付き導体パターン含有樹脂シートを得ることができる。
【0027】
図11は、前記樹脂シート6を枠体1に固定する更に異なる形態を示す断面図である。
図11に示すように、平面視が互いに相似形で且つ大小の枠部2a,2bおよび貫通孔4a,4bを個別に有する一対の枠体1a,1bを用意し、大きな枠体1aの貫通孔4a内に間隔を置いて、小さな枠体1bの枠部2bを挿入し、樹脂シート6の周辺部を両者の枠部2a,2bの側面間で挟み、且つ該枠部2a,2bの表面または裏面に沿って添接すると共に、樹脂シート6の表・裏面の周辺部と枠部2a,2bとに沿って前記同様のテープT1,T2を貼り付けたものである。上記一対の枠体1a,1bに固定された樹脂シート6も、前記同様の第2,3工程を確実に施せ、前記同様の枠付き導体パターン含有樹脂シートを得られる。
【0028】
図12は、枠体1に貼り付けられた前記樹脂シート6に、複数の導体パターンを形成する形態を示す概略図である。
例えば、前記多層セラミック基板12に替えて、複数の配線基板が縦横に配置された多数個取りの配線基板(図示せず)の表面に前記枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cを積層する場合がある。この場合、図12に示すように、枠体1に貼り付けて固定した樹脂シート6に対し、前記第2,3工程による導体パターン6a〜6cおよびビア導体va〜vcを、上記樹脂シート6の中央側において、切断予定面cfにより縦横に区画された複数のパターン領域paごとに形成し、得られた枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cを、多数個取り用の配線基板の表面に積層するなどの前記第4〜7工程を施す。その結果、例えば、複数の前記配線基板20を効率良く製造することが可能である。
【0029】
本発明は、以上において説明した形態に限定されるものではない。
例えば、前記枠体1の材質は、前記同様の熱膨張係数および耐薬品性を備えていれば、特に限定されない。
また、前記樹脂シート6のベースシート7は、PEのフィルムとしても良い。
更に、前記導体膜は、Ag薄膜としたり、前記導電性ペーストは、Cu粉末を含むものとしても良い。
また、前記第3工程の全ステップ(P3−S1〜S4)は、前記第2工程の全ステップ(P2−S1〜S6)の後で行うようしても良い。
加えて、前記枠付き導体パターン含有樹脂シートは、少なくとも2個が多層絶縁基板の表面および裏面の少なくとも一方に積層される。かかる多層絶縁基板は、前記多層セラミック基板のほか、多層樹脂基板でも良く、上記積層を含む第4〜7工程によって得られる配線基板は、ICチップなどの電子部品を搭載するフリップチップ配線基板のものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、何れかの表面に導体膜が形成された樹脂シートを枠体に固定した状態で、導体パターンやビア導体を精度良く形成された配線基板、およびこれに用いる枠付き導体パターン含有樹脂シートを、短時間で効率良く製造できる。
【符号の説明】
【0031】
1,1a,1b…枠体
4,4a,4b…貫通孔
6,6a〜6c…樹脂シート
8…………………銅薄膜(導体膜)
8a〜8c………導体パターン
10a〜10c…枠付き導体パターン含有樹脂シート
20………………配線基板
T1,T2………テープ
va〜vc………ビア導体
P0………………準備工程
P1〜P3………第1〜第3工程
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、電子部品を搭載するための配線基板や電子部品を検査する装置のプローブカードに用いるための配線基板などの製造方法、および該製造方法に用いる枠付き導体パターン含有樹脂シートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、可撓性回路基板を用いて半導体パッケージを製造する工程内において、上記回路基板に形成される回路パターンの変形や損傷を防ぐため、複数の回路パターンに対応する複数の通孔が設けられた金属製のキャリアフレームに、予め複数の回路パターンが設けられた可撓性回路基板ストリップを両面接着テープによって接着し、かかる状態で、半導体チップの実装、樹脂封止部の形成、入出力端子の形成、および個々のパッケージへの個片化などの工程を、順次施すようにした半導体パッケージの製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記製造方法によれば、可撓性回路基板に形成されている回路パターン外郭部の微細な伝導性トレースの変形や損傷を防げ、ショートを最少限に抑制し得る。
【0003】
しかしながら、樹脂シートの表面に形成した導体膜に対して、所要の導体パターンを形成する場合、前記金属製のキャリアフレームに上記樹脂シートを貼り付けた状態で、露光や現像などのフォトリソグラフィ技術を施すと、その過程で用いる酸性やアルカリ性の薬液に対する耐性が不足していたり、ビア導体となる導電性ペーストを熱硬化処理する際の熱変形などによって、上記樹脂シートと共に形成されつつある導体パターンが変形する場合がある、という問題があった。
上記のような問題は、前記金属製のキャリアフレームの表面に酸化被膜を形成したり、Crメッキなどの表面処理を施しても、十分に解決されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−54668号公報(第1〜16頁、図1〜18)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、背景技術において説明した問題点を解決し、表面に導体膜が形成された樹脂シートを枠体に固定した状態で、導体パターンやビア導体を精度良く確実に形成できる工程を含む配線基板の製造方法、およびこれに用いる枠付き導体パターン含有樹脂シートを提供する、ことを課題とする。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
本発明は、前記課題を解決するため、表面に導体膜が形成された樹脂シートを低熱膨張で且つ耐薬品性の優れた枠体に固定した状態で、上記導体膜に導体パターンを形成する工程および上記樹脂シートにビア導体を形成する工程を施す、ことに着想して成されたものである。
即ち、本発明による配線基板の製造方法(請求項1)は、導体パターンおよびビア導体が形成された樹脂シートを備える配線基板の製造方法であって、表面および裏面の一方に導体膜を有する樹脂シートと、常温〜200℃間における熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃であり、導体パターンを形成する際に用いる薬液に対する耐薬品性を有する枠体と、を準備する工程と、前記枠体の貫通孔の開口部を上記樹脂シートが閉塞するように、該樹脂シートの周辺部を上記枠体に固定する第1工程と、前記枠体に固定された上記樹脂シートの導体膜に対し、露光および現像処理を施して導体パターンを形成する第2工程と、上記枠体に固定された樹脂シートにビアホールを設け、該ビアホールに導電性ペーストを充填し、且つ該導電性ペーストに熱硬化処理を施して上記導体パターンに一端が接続するビア導体を形成する第3工程と、を含む、ことを特徴とする。
【0007】
これによれば、樹脂シートの周辺部を低熱膨張で且つ耐薬品性を有する枠体に固定した状態で、該樹脂シートの導体膜に対する露光および現像処理を施す第2工程により導体パターンが形成され、更に、上記樹脂シートに設けたビアホールに導電性ペーストを充填し、且つ該導電性ペーストに熱硬化処理を施す第3工程により、上記導体パターンに一端が接続するビア導体が形成される。かかる第2,3工程において、前記枠体は、酸性やアルカリ性の薬液による化学変化ないし劣化や、熱硬化処理による熱変形をほとんど生じない。従って、上記導体パターンやビア導体が所定の形状、寸法、および位置において精度良く形成できるので、これらを備えた配線基板を、効率良く確実に提供することができる。
【0008】
尚、前記枠体は、無機材料の繊維に対し、耐薬品性に優れた樹脂を含浸させた無機材料−樹脂の複合材からなり、例えば、ガラス繊維(無機材料の繊維)に対し、耐薬品性(耐酸性および耐アルカリ性)に優れたエポキシ樹脂、イミド樹脂など(樹脂)を含浸させた繊維状無機材料−樹脂の複合材からなる。
前記耐薬品性の「酸性やアルカリ性の薬液による化学変化ないし劣化をほとんど生じない」とは、各工程で用いる酸性やアルカリ性の薬液に個別に20分間浸漬した場合でも、腐食や劣化などが起きないことである。上記薬液は、例えば、現像液(NaOH、NaCO3溶液)やエッチング液(HCl、CuCl2溶液)などである。
また、前記枠体の常温〜200℃間における熱膨張係数の範囲を、面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃としたのは、かかる範囲を外れると、寸法変動率が0.01%を超えて、樹脂シートや微細な導体パターンおよびファインピッチのビア導体が、許容範囲を超えて変形ないし位置ズレするなどの事態を防ぐためである。即ち、該枠体は、200℃以下の温度領域に耐え、且つ寸法変動率が0.01%以下であると共に、導体パターンを形成する第2工程の各ステップで接触する酸性およびアルカリ性の双方の薬液に対する耐性を併有している。
更に、上記枠体は、厚みが約0.8mmで、且つ表面および裏面が平面視において矩形(正方形または長方形)の外形であり、且つその内側にほぼ相似形の矩形である貫通孔が形成されている。該枠体のコーナ付近には、例えば、位置合わせ用の小径な孔を形成しても良い。
【0009】
また、前記樹脂シートは、例えば、ポリイミド(以下、PIと称する)からなり、表面および裏面の一方に導体膜(例えば、銅薄膜)が被覆され、且つ他方に接着層が形成されていると共に、全体の厚みが約20〜40μmである。
更に、前記導体パターン(配線層あるいはパッド)は、単一の配線基板を構成する内部配線層あるいは外部接続端子であるほか、前記樹脂シートの縦横に複数の内部配線層などを併設している形態であって、多数個取り用の配線基板の一部を構成するものであっても良い。
また、前記導体パターンを形成する第2工程は、前記導体膜の上に感光性樹脂層を被覆するステップ、該感光性樹脂層を所定パターンで露光するステップ、該パターンに倣ったパターン部分以外の感光性樹脂層を現像液(アルカリ性)などにより除去するステップ、上記パターン部分の直下に位置する導体膜以外の導体膜をエッチング液(酸性)などにより除去するステップ、上記パターン部分に倣った導体膜からなる導体パターンの上に残留している感光性樹脂層のパターン部分を除去(アルカリ性)するステップ、および導体パターンの表層を粗化処理(酸性)するステップを含んでいる。
【0010】
更に、前記ビア導体を形成する第3工程は、前記樹脂シートに例えばレーザ加工などによりビアホールを形成するステップ、該ビアホール内を洗浄するデスミア処理(酸性)を施すステップ、上記ビアホール内に導電性ペーストを充填するステップ、および該導電性ペーストに熱硬化処理を施してビア導体を形成するステップを含んでいる。
また、上記第3工程のうち、ビアホールを形成するステップは、第2工程の前に行うと共に、デスミア処理、粗化処理、導電性ペーストの充填ステップ、および熱硬化処理を施す各ステップは、第2工程の後で行っても良い。
加えて、前記第3工程の後において、複数の前記枠付き導体パターン含有樹脂シートを、これと別途に製造され、複数のセラミック層または複数の樹脂層を積層した多層絶縁基板の表面および裏面の少なくとも一方に、順次あるいは同時に積層する第4工程、前記枠体および該枠体の貫通孔側に位置する前記樹脂シートを切断により除去する第5工程、残留した前記樹脂シート同士およびこれらの樹脂シートと上記多層絶縁基板とを加熱・圧着して接着する第6工程、および樹脂シートと該多層絶縁基板との周辺部を切断して除去する第7工程が順に行われる。
【0011】
また、本発明には、前記樹脂シートの周辺部は、前記枠体の貫通孔における表面側および裏面側の開口部ごとにテープを介して貼り付けることで固定されている、配線基板の製造方法(請求項2)も含まれる。
これによれば、前記樹脂シートの周辺部は、枠体の貫通孔における表面側および裏面側の開口部ごとに(接着)テープを介して貼り付けられているので、前記第2工程において、例えば、酸性の薬液に浸漬された後、アルカリ性の薬液に浸漬された場合でも、前側のステップの薬液が樹脂シートと枠体との隙間を介して、後側のステップの薬液と混ざり合うなどの不用意な事態を予防することができる。
尚、前記テープは、例えば、ポリエステル(以下、PEと称する)からなる。
また、前記樹脂シートは、平面視が同じ寸法の内形、外形、および貫通孔を有する一対の枠体間に周辺部が挟まれた状態で前記テープにより固定(接着)される。あるいは、内形、外形、および貫通孔の寸法が異なる一対の枠体のうち、平面視で一方の枠体における貫通孔の内側に該貫通孔と外形が相似形である他方の枠体を嵌め込み、該他方の枠体の表面、該他方の枠体の外側面と上記一方の枠体の貫通孔との間、および上記一方の枠体の裏面に樹脂シートの周辺部を巻き付けた状態で前記テープにより固定(接着)されるようしても良い。
【0012】
一方、本発明の枠付き導体パターン含有樹脂シート(請求項3)は、熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃であり、且つ導体パターンを形成する際に用いた薬液に対する耐薬品性を有する枠体と、かかる枠体の貫通孔の開口部に周辺部が貼り付けられ、表面および裏面の一方に導体パターンが形成され、且つ該導体パターンに一端が接続するビア導体が貫通している樹脂シートと、を備えている、ことを特徴とする。
【0013】
これによれば、例えば、ウェハに併設された複数の電子部品を検査する電子部品検査用の配線基板(プローブカード)を製造するに際し、外部と導通すべき外部接続端子を含む既製の配線基板を上記ウェハの反対側とし、上記電子部品側に配置すべき検査用の配線層に、上記枠付き導体パターン含有樹脂シートを用いることができる。これにより、検査すべき電子部品ごとに応じた専用の配線層を、かかる電子部品側にのみ積層した上記検査用配線基板を、少量生産で且つ短時間により製造(前記第4〜7工程)することができる。更に、製造すべき多層配線基板の一部として製造し、これを他の工程やユーザに提供することも可能である。
尚、上記既製の配線基板は、多層セラミック基板または多層樹脂基板である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に用いる枠体、樹脂シート、および第1工程を示す断面図。
【図2】図1中の一点鎖線部分Xの拡大図。
【図3】上記樹脂シートを貼り付けた枠体の平面図。
【図4】図3中のY−Y線の矢視に沿った断面図。
【図5】本発明の第2,3工程の概略を示す流れ図。
【図6】本発明の導体パターン含有樹脂シートを示す断面図。
【図7】本発明の第4工程の概略を示す概略断面図。
【図8】本発明の第5,6工程の概略を示す概略断面図。
【図9】本発明の第7工程および得られた配線基板を示す概略断面図。
【図10】上記樹脂シートを枠体に固定する異なる形態を示す断面図。
【図11】上記樹脂シートを枠体に固定する更に異なる形態を示す断面図。
【図12】上記樹脂シートに複数の導体パターンを形成する形態を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下において、本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明に用いる枠体1、樹脂シート6、および本発明の準備工程と、第1工程とを示す断面図、図2は、図1中の一点鎖線部分Xの部分拡大図である。
予め、図1,2に示す枠体1と樹脂シート6とを準備した(準備工程P0)。
上記枠体1は、例えば、ガラス繊維(無機材料の繊維)に対し、耐薬品性(耐酸性および耐アルカリ性)に優れたエポキシ樹脂(樹脂)を含浸させた繊維状無機材料−樹脂の複合材からなり、常温から200℃間における熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃(寸法変動率が0.01%以下)である。該枠体1は、後述するように、平面視の内形および外形がほぼ正方形を呈し且つ中央側に正方形の貫通孔4が貫通しており、該貫通孔4を囲み且つ厚みが約0.8mmである四辺の枠部2からなる。尚、上記エポキシ樹脂は、イミド樹脂などに替えても良い。
また、前記樹脂シート6は、平面視がほぼ正方形を呈し、図1,2に示すように、例えば、PIからなるベースシート7の表面に銅薄膜(導体膜)8が被覆され、且つ裏面に接着層9が形成されている。該樹脂シート6は、全体の厚みが約30μmであり、銅薄膜8の厚みが約5μm、接着層9の厚みが約3μmである。
【0016】
先ず、図1中の矢印で示すように、枠体1における表面側の貫通孔4の開口部を閉塞するように、樹脂シート6の周辺部を載置した後、該樹脂シート6の周辺部と枠体1の各枠部2の表面および裏面に沿って、PEのテープ(接着テープ)T1,T2を個別に貼り付けることにより、樹脂シート6を枠体1に固定した(第1工程P1)。
その結果、図3の平面図、および同中のY−Y線の矢視に沿った図4の断面図に示すように、枠体1の各枠部2の表面側に貫通孔4を閉塞するように樹脂シート6がテープT1により固定(接着)された。また、枠体1の各枠部2の裏面側では、樹脂シート6の周辺部と各枠部2の貫通孔4の開口部とに沿って、テープT2が貼り付けられた。即ち、樹脂シート6の周辺部は、枠体1の各枠部2の表面および裏面の全周において、テープT1,T2により封止された。
尚、図3に示すように、前記枠体1には、例えば、右上のコーナに位置合わせ用の斜辺3を設けたり、隣接する枠部2,2間にコーナ付近に、位置決め用の小径な孔5を開設しても良い。
【0017】
次いで、枠体1に固定された前記樹脂シート6の銅薄膜8に導体パターンを形成する第2工程P2、およびベースシート7にビア導体を形成する第3工程P3を行った。
先ず、図5に示す流れ図における最上段に示すように、枠体1に固定された樹脂シート6における所定の位置に対し、接着層9側からYAGレーザを照射し、該接着層9とベースシート7とを貫通し且つ銅薄膜8のみを残しており、全体がほぼ円錐形で且つ平均直径が約45μmのビアホールhを形成した(第3工程の第1ステップ:P3−S1)。尚、上記YAGレーザの照射条件は、波長:約355nm、平均出力:約0.04Wである。また、上記YAGレーザに替えて、炭酸ガスレーザなどを用いても良い。更に、上記ビアホールhを形成するステップは、第2工程P2の後で行っても良い。
次に、図5中の第2段に示すように、枠体1に固定された樹脂シート6における銅薄膜8のほぼ全面に、エポキシ系樹脂のフィルムからなる感光性樹脂層fを被覆した(第2工程の第1ステップ:P2−S1)。
【0018】
次いで、図5中の第3段に示すように、前記感光性樹脂層fに対し、所定のパターンでマスクされた紫外線uvを照射する露光を行った(第2工程の第2ステップ:P2−S2)。
引き続いて、露光後の感光性樹脂層fを含む樹脂シート6を枠体1と共に、アルカリ性の現像液(Na2CO3:1質量%、液温:25℃)中に約0.5分間浸漬し、上記感光性樹脂層fのうち、前記紫外線uvが照射されていない部分を除去する現像を行った(第2工程の第3ステップ:P2−S3)。その結果、図5中の第4段の右側に示すように、前記感光性樹脂層fは、露光された前記パターンに倣ったパターンを有する部分的な感光性樹脂層faとなった。
更に、上記感光性樹脂層faを含む樹脂シート6を枠体1と共に、酸性である2種類のエッチング液(HCl:3.2mol/l、液温:40℃→CuCl2:2.7mol/l、液温:40℃)中にそれぞれ約0.5分間ずつ順次浸漬し、図5中の第5段の右側に示すように、上記感光性樹脂層faの真下の位置を除く部分の銅薄膜8を除去した(第2工程の第4ステップ:P2−S4)。その結果、前記パターンに倣ったパターンを有する導体パターン8aが形成された。
【0019】
次に、前記感光性樹脂層faおよび導体パターン8aを含む樹脂シート6を枠体1と共に、アルカリ性の現像液(NaOH:3質量%、液温:60℃)中に約0.5分間浸漬し、図5中の第6段に示すように、上記感光性樹脂層faを除去した(第2工程の第5ステップ:P2−S5)。
次いで、図5中の第7段に示すように、導体パターン8aを含む樹脂シート6を枠体1と共に、酸性のエッチング液(硫酸系の過酸化水素溶液)に約0.5分間浸漬して、前記ビアホールh内を洗浄するデスミア処理を行った(第3工程の第2ステップ:P3−S2)。この際、導体パターン8a側は、マスクされていた。
引き続いて、図5中の第8段に示すように、酸性のエッチング液(有機酸系溶液)に約0.5分間浸漬して、導体パターン8aおよびベースシート7の表層を粗化する粗化処理を行った(第2工程の第6ステップ:P2−S6)。この際、接着層9側は、マスクされていた。
尚、以上の各工程で用いた酸性およびアルカリ性の各薬液にそれぞれ浸漬された枠体1には、腐食や劣化などが生じていなかった。
更に、図5中の第9段に示すように、ビアホールh内に、Ag粉末を含む導電性ペーストpを充填した(第3工程の第3ステップ:P3−S3)。
【0020】
そして、導体パターン8aを含み、且つビアホールh内に前記導電性ペーストpが充填された樹脂シート6を前記枠体1と共に、内部が窒素雰囲気とされた加熱炉(図示せず)に挿入し、上記導電性ペーストpに対し、170℃×1時間の熱硬化処理を施した(第3工程の第4ステップ:P3−S4)。その結果、図5中の第10段の右側に示すように、上記導電性ペーストpが硬化し、且つ一端が導体パターン8aに接続したビア導体vaを含む樹脂シート6aが得られた。
尚、上記熱硬化処理(P3−S4)中において、枠体1の寸法変動率は、0.01%以下であった。
以上のような第2,3工程を、別個に用意した複数の枠体1に固定した樹脂シート6に対しても、前記露光のパターンを個別に替えてそれぞれ施した。
その結果、図6に示すように、互いに異なるパターンの導体パターン8a,8b,8cと、これらに一端が接続されたビア導体va,vb,vcとを個別に有する樹脂シート6a,6b,6cが専用の枠体1に固定(接着)された本発明の枠付き導体パターン含有樹脂シート10a,10b,10cが得られた。尚、図6中の一点鎖線部分Z1〜Z3は、それらの上方に示す部分拡大図の位置を示す。
【0021】
次に、図7中の矢印で示すように、前記枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cを、別途に製造された多層セラミック(絶縁)基板12の表面13に順次積層する第4工程P4を行った。
多層セラミック基板12は、図7の下方に示すように、アルミナを主成分とするセラミック層s1〜s4を積層してなり、これらの層間にランド15〜17が配置され、少なくとも上記セラミック層s1〜s4の何れかを貫通するビア導体V1〜V5および上記ランド15〜17を介して、表面13の露出するビア導体V1と裏面14に設けた外部接続端子18との間が導通可能とされている。上記ランド16,17は、裏面14の周辺に位置する外部接続端子18を表面13の中央側に位置するビア導体V1に電気的に接続するための引き回し用のランドである。また、多層セラミック基板12の外周側には、図7中の破線で示す仮想の切断予定面cfにより区画された耳部(捨て代)19が位置している。尚、多層セラミック基板12は、図7と次述する図8とにおいては、水平方向に沿って若干縮めて図示されている。
【0022】
次いで、多層セラミック基板12の表面13上に順次積層された枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cの樹脂シート6a〜6cを各枠体1側の位置で、図示しない刃物により切断する第5工程P5を行った。
その結果、図8に示すように、多層セラミック基板12の表面13上に枠体1から分離された樹脂シート6a〜6cが積層された。かかる樹脂シート6a〜6cの周辺部は、多層セラミック基板12の表面13よりも外側に若干延出していた。尚、枠体1側には、周辺側の樹脂シート6xが残っていた。
更に、樹脂シート6a〜6cの相互、および該樹脂シート6a〜6cと多層セラミック基板12とを、これらの厚み方向に沿って圧着しつつ、約360℃に約1時間加熱して、接着する第6工程P6を行った。
【0023】
そして、前記耳部19と樹脂シート6a〜6cの周辺部とを、前記切断予定面cfに沿って図示しない刃物による切断で除去する第7工程P7を行った。その結果、図9に示すように、多層セラミック基板12とその表面13に積層された樹脂シート6a〜6cとを備えた電子部品検査用の配線基板20が得られた。
図9において、最上層の樹脂シート6aの表面には、追ってプローブ(図示せず)が取り付けられる複数のパッド(前記導体パターン)8aが突出し、該パッド8aは、前記ビア導体va〜vc、導体パターン(内部配線層)8b,8c、ビア導体V1〜V5、およびランド15〜17を介して、裏面14側の外部接続端子18と導通可能である。尚、セラミック層s1と樹脂シート6cとの層間にも、ビア導体vc,V1間を接続する前記同様のランドを設けても良い。
【0024】
以上のような配線基板20の製造方法によれば、低熱膨張で且つ耐薬品性を有する枠体1に樹脂シート6の周辺部を固定した状態で、該樹脂シート6の銅薄膜8に対し露光および現像処理を施す第2工程P2により導体パターン8a〜8cが形成され、更に、上記樹脂シート6に設けたビアホールhに導電性ペーストpを充填し、且つ該導電性ペーストpに熱硬化処理を施す第3工程P3により、上記導体パターン8a〜8cに一端が接続するビア導体va〜vcが形成された。かかる第2,3工程P2,P3において、枠体1は、酸性やアルカリ性の薬液による化学変化ないし劣化や、熱硬化処理による熱変形をほとんど生じなった。
しかも、樹脂シート6の周辺部は、枠体1の貫通孔4における表面側および裏面側の開口部ごとにテープT1,T2を介して貼り付けて固定されていたので、酸性の薬液とアルカリ性の薬液が枠体1と樹脂シート6との隙間を介して、混ざり合うなどの不具合を予防することもできた。
【0025】
その結果、上記導体パターン8a〜8cやビア導体va〜vcが所定の形状、寸法、および位置において精度良く形成された枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cを製作できた。そして、かかる枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cを検査すべき電子部品側である多層セラミック基板12の表面13上に積層し且つ接着したので、これらを備え、ファインピッチで且つ微細な導体パターン8a〜8cやビア導体va〜vcを含む電子部品検査装置に用いるプローブカード用の配線基板20を、効率良く確実に製造できた。
尚、予め多層セラミック基板12を製作しておき、検査すべき電子部品ごとに対応した樹脂シート6nを有する枠付き導体パターン含有樹脂シート10nを所要数製造し且つ上記多層セラミック基板12に積層・接着することで、短時間(短納期)且つ低コストで電子部品検査装置に用いるプローブカード用の配線基板20nを製造することも可能である。
【0026】
図10は、前記樹脂シート6を枠体1に固定する異なる形態の断面図である。
図10に示すように、樹脂シート6の周辺部の表面および裏面を、平面視の内外形および貫通孔4の寸法が同じ上下一対の枠体1の各枠部2によって挟むと共に、上記樹脂シート6の表・裏面の周辺部と各枠部2とに沿って前記同様のテープT1,T2を貼り付けることにより、一対の枠体1間に樹脂シート6を固定したものである。尚、一対の枠体1,1間の外周側には、図示のようなシール材sを挟み込むのが望ましい。
上記一対の枠体1に固定された樹脂シート6も、前記同様の第2,3工程を確実に施せ、前記同様の枠付き導体パターン含有樹脂シートを得ることができる。
【0027】
図11は、前記樹脂シート6を枠体1に固定する更に異なる形態を示す断面図である。
図11に示すように、平面視が互いに相似形で且つ大小の枠部2a,2bおよび貫通孔4a,4bを個別に有する一対の枠体1a,1bを用意し、大きな枠体1aの貫通孔4a内に間隔を置いて、小さな枠体1bの枠部2bを挿入し、樹脂シート6の周辺部を両者の枠部2a,2bの側面間で挟み、且つ該枠部2a,2bの表面または裏面に沿って添接すると共に、樹脂シート6の表・裏面の周辺部と枠部2a,2bとに沿って前記同様のテープT1,T2を貼り付けたものである。上記一対の枠体1a,1bに固定された樹脂シート6も、前記同様の第2,3工程を確実に施せ、前記同様の枠付き導体パターン含有樹脂シートを得られる。
【0028】
図12は、枠体1に貼り付けられた前記樹脂シート6に、複数の導体パターンを形成する形態を示す概略図である。
例えば、前記多層セラミック基板12に替えて、複数の配線基板が縦横に配置された多数個取りの配線基板(図示せず)の表面に前記枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cを積層する場合がある。この場合、図12に示すように、枠体1に貼り付けて固定した樹脂シート6に対し、前記第2,3工程による導体パターン6a〜6cおよびビア導体va〜vcを、上記樹脂シート6の中央側において、切断予定面cfにより縦横に区画された複数のパターン領域paごとに形成し、得られた枠付き導体パターン含有樹脂シート10a〜10cを、多数個取り用の配線基板の表面に積層するなどの前記第4〜7工程を施す。その結果、例えば、複数の前記配線基板20を効率良く製造することが可能である。
【0029】
本発明は、以上において説明した形態に限定されるものではない。
例えば、前記枠体1の材質は、前記同様の熱膨張係数および耐薬品性を備えていれば、特に限定されない。
また、前記樹脂シート6のベースシート7は、PEのフィルムとしても良い。
更に、前記導体膜は、Ag薄膜としたり、前記導電性ペーストは、Cu粉末を含むものとしても良い。
また、前記第3工程の全ステップ(P3−S1〜S4)は、前記第2工程の全ステップ(P2−S1〜S6)の後で行うようしても良い。
加えて、前記枠付き導体パターン含有樹脂シートは、少なくとも2個が多層絶縁基板の表面および裏面の少なくとも一方に積層される。かかる多層絶縁基板は、前記多層セラミック基板のほか、多層樹脂基板でも良く、上記積層を含む第4〜7工程によって得られる配線基板は、ICチップなどの電子部品を搭載するフリップチップ配線基板のものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明によれば、何れかの表面に導体膜が形成された樹脂シートを枠体に固定した状態で、導体パターンやビア導体を精度良く形成された配線基板、およびこれに用いる枠付き導体パターン含有樹脂シートを、短時間で効率良く製造できる。
【符号の説明】
【0031】
1,1a,1b…枠体
4,4a,4b…貫通孔
6,6a〜6c…樹脂シート
8…………………銅薄膜(導体膜)
8a〜8c………導体パターン
10a〜10c…枠付き導体パターン含有樹脂シート
20………………配線基板
T1,T2………テープ
va〜vc………ビア導体
P0………………準備工程
P1〜P3………第1〜第3工程
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導体パターンおよびビア導体が形成された樹脂シートを備える配線基板の製造方法であって、
表面および裏面の一方に導体膜を有する樹脂シートと、常温〜200℃間における熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃であり、導体パターンを形成する際に用いる薬液に対する耐薬品性を有する枠体と、を準備する工程と、
上記枠体の貫通孔の開口部を上記樹脂シートが閉塞するように、該樹脂シートの周辺部を上記枠体に固定する第1工程と、
上記枠体に固定された上記樹脂シートの導体膜に対し、露光および現像処理を施して導体パターンを形成する第2工程と、
上記枠体に固定された樹脂シートにビアホールを設け、該ビアホールに導電性ペーストを充填し、且つ該導電性ペーストに熱硬化処理を施して上記導体パターンに一端が接続するビア導体を形成する第3工程と、を含む、
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂シートの周辺部は、前記枠体の貫通孔における表面側および裏面側の開口部ごとにテープを介して貼り付けることで固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃であり、且つ導体パターンを形成する際に用いた薬液に対する耐薬品性を有する枠体と、
上記枠体の貫通孔の開口部に周辺部が貼り付けられ、表面および裏面の一方に導体パターンが形成され、且つ該導体パターンに一端が接続するビア導体が貫通している樹脂シートと、を備えている、
ことを特徴とする枠付き導体パターン含有樹脂シート。
【請求項1】
導体パターンおよびビア導体が形成された樹脂シートを備える配線基板の製造方法であって、
表面および裏面の一方に導体膜を有する樹脂シートと、常温〜200℃間における熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃であり、導体パターンを形成する際に用いる薬液に対する耐薬品性を有する枠体と、を準備する工程と、
上記枠体の貫通孔の開口部を上記樹脂シートが閉塞するように、該樹脂シートの周辺部を上記枠体に固定する第1工程と、
上記枠体に固定された上記樹脂シートの導体膜に対し、露光および現像処理を施して導体パターンを形成する第2工程と、
上記枠体に固定された樹脂シートにビアホールを設け、該ビアホールに導電性ペーストを充填し、且つ該導電性ペーストに熱硬化処理を施して上記導体パターンに一端が接続するビア導体を形成する第3工程と、を含む、
ことを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記樹脂シートの周辺部は、前記枠体の貫通孔における表面側および裏面側の開口部ごとにテープを介して貼り付けることで固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の配線基板の製造方法。
【請求項3】
熱膨張係数が面内方向で12〜14ppm/℃で且つ面外方向で20〜30ppm/℃であり、且つ導体パターンを形成する際に用いた薬液に対する耐薬品性を有する枠体と、
上記枠体の貫通孔の開口部に周辺部が貼り付けられ、表面および裏面の一方に導体パターンが形成され、且つ該導体パターンに一端が接続するビア導体が貫通している樹脂シートと、を備えている、
ことを特徴とする枠付き導体パターン含有樹脂シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−222794(P2011−222794A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−91161(P2010−91161)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]