説明

配線基板の製造方法及びめっき装置

【課題】信頼性が高くかつ環境に配慮した配線基板を効率よく形成することが可能な配線基板の製造方法及びめっき装置を提供する。
【解決手段】配線基板の製造方法は、表面の少なくとも一部がスズ層24である配線パターン20と陽極42とをめっき槽45内で対向させ、めっき槽45の両端に配置された陰極を配線パターン20に接触させて電解めっきを行い、スズ層24の少なくとも一部を覆うように鉛フリーはんだ層30を形成することを含む。配線パターン20と陽極42との間隔を0.02〜0.1mとする。陰極44間の距離を2m以下とする。配線パターン20に流れる電流の電流密度が200〜1000A/mになるように電解めっき工程を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法及びめっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、環境対策として、鉛フリーはんだ(従来に較べて鉛の含有量が極端に少ないはんだ、あるいは、まったく鉛を含まないはんだ)の利用が期待されている。電解めっき法によって、配線パターンに、鉛フリーはんだを安定して形成することができれば、信頼性が高く、かつ、環境に配慮した配線基板を、効率よく製造することができる。
【0003】
本発明の目的は、信頼性が高くかつ環境に配慮した配線基板を効率よく形成することが可能な配線基板の製造方法及びめっき装置を提供することにある。
【特許文献1】特開2004−88092号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)本発明に係る配線基板の製造方法は、表面の少なくとも一部がスズ層である配線パターンと陽極とをめっき槽内で対向させ、前記めっき槽の両端に配置された陰極を前記配線パターンに接触させて電解めっきを行い、前記スズ層の少なくとも一部を覆うように鉛フリーはんだ層を形成することを含み、
前記配線パターンと前記陽極との間隔を0.02〜0.1mとし、前記陰極間の距離を2m以下として、前記配線パターンに流れる電流の電流密度が200〜1000A/mになるように前記電解めっきを行う。本発明によると、均質な鉛フリーはんだ層を、効率よく形成することができる。そのため、信頼性の高い配線基板を、効率よく製造することができる。
(2)本発明に係る配線基板の製造方法は、表面の少なくとも一部がスズ層である配線パターンと陽極とをめっき槽内で対向させ、陰極を前記配線パターンに接触させて電解めっきを行い、前記スズ層の少なくとも一部を覆うように鉛フリーはんだ層を形成することを含み、
前記めっき槽の長さは2m以下であり、
前記配線パターンと前記陽極との間隔を0.02〜0.1mとし、前記配線パターンに流れる電流の電流密度が200〜1000A/mになるように前記電解めっきを行う。本発明によると、均質な鉛フリーはんだ層を、効率よく形成することができる。そのため、信頼性の高い配線基板を、効率よく製造することができる。
(3)この配線基板の製造方法において、
前記電流密度が400〜800A/mになるように前記電解めっきを行ってもよい。
(4)この配線基板の製造方法において、
前記配線パターンと前記陽極との間隔を0.04〜0.08mとして前記電解めっきを行ってもよい。
(5)この配線基板の製造方法において、
1つの前記めっき槽を利用して、前記鉛フリーはんだ層を、厚みが1〜3μmとなるように形成してもよい。
(6)この配線基板の製造方法において、
複数の前記めっき槽を利用して、前記鉛フリーはんだ層を、厚みが3〜10μmとなるように形成してもよい。
(7)本発明に係るめっき装置は、めっき槽と、
前記めっき槽の内側に配置されてなり、0.02〜0.1mの間隔を開けてめっき対象物と対向する陽極と、
前記めっき槽の両端に、間隔が2m以下になるように配置された、前記めっき対象物と接触する陰極と、
前記めっき対象物に流れる電流の電流密度を200〜1000A/mに制御することが可能なコントローラと、
を含む。本発明によると、均質で信頼性の高いはんだ層を、効率よく形成することができる。
(8)本発明に係るめっき装置は、長さが2m以下のめっき槽と、
前記めっき槽の内側に配置されてなり、0.02〜0.1mの間隔を開けてめっき対象物と対向する陽極と、
前記めっき対象物と接触する1つの陰極と、
前記めっき対象物に流れる電流の電流密度を200〜1000A/mに制御することが可能なコントローラと、
を含む。本発明によると、均質で信頼性の高いはんだ層を、効率よく形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下、本発明を適用した実施の形態について図面を参照して説明する。ただし、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。また、本発明は、以下の実施の形態及び変形例を自由に組み合わせたものを含むものとする。
【0006】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を適用した第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図1〜図5は、この配線基板の製造方法について説明するための図である。
【0007】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、図1及び図2に示す、ベース基板10を用意することを含んでいてもよい。ここで、図1はベース基板10の上視図で、図2は図1のII−II線断面の一部拡大図である。ベース基板10の材料や構造は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの基板を利用してもよい。ベース基板10は、フレキシブル基板であってもよく、リジッド基板であってもよい。あるいは、ベース基板10は、テープ基板であってもよい。ベース基板10は、積層型の基板であってもよく、あるいは、単層の基板であってもよい。また、ベース基板10の外形も特に限定されるものではない。また、ベース基板10の材料についても特に限定されるものではない。ベース基板10は、有機系又は無機系のいずれの材料で形成されていてもよく、これらの複合構造をなしていてもよい。ベース基板10として、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)からなる基板又はフィルムを使用してもよい。あるいは、ベース基板10としてポリイミド樹脂からなるフレキシブル基板を使用してもよい。フレキシブル基板としてFPC(Flexible Printed Circuit)や、TAB(Tape Automated Bonding)技術で使用されるテープを使用してもよい。また、無機系の材料から形成されたベース基板10として、例えばセラミックス基板やガラス基板が挙げられる。有機系及び無機系の材料の複合構造として、例えばガラスエポキシ基板が挙げられる。ベース基板10は、貫通穴14を有していてもよい。貫通穴14の平面形状は特に限定されるものではないが、例えば矩形をなしていてもよい。貫通穴14を、デバイスホールと称してもよい。ただし、貫通穴を有しない基板を指して、ベース基板10としてもよい。
【0008】
ベース基板10には、樹脂層16が形成されていてもよい。樹脂層16の材料は特に限定されず、既に公知となっているいずれかの樹脂を利用してもよい。樹脂層16を、ソルダーレジストと称してもよい。樹脂層16の外形は特に限定されるものではない。樹脂層16は、後述する配線パターン20を部分的に覆うように形成されていてもよい。
【0009】
ベース基板10には、図1及び図2に示すように、配線パターン20が形成されてなる。配線パターン20は、その表面の少なくとも一部がスズ層24によって構成されてなる。配線パターン20は、その表面のすべてが、スズ層24によって形成されていてもよい。配線パターン20の構造は特に限定されないが、例えば、導電パターン22にスズ層24が形成された構造をなしていてもよい(図2参照)。スズ層24を形成する方法は特に限定されない。例えば、導電パターン22にめっき処理を行い、スズ層24を形成してもよい。このとき、該めっき処理工程は、電解めっき処理及び無電解めっき処理のいずれを適用してもよい。また、該めっき処理工程は、樹脂層16を形成する工程の前に行ってもよい。そして、導電パターン22を形成する方法も、特に限定されるものではない。例えば、銅箔をパターニングして、導電パターン22を形成してもよい。なお、導電パターン22の材料は特に限定されず、例えば銅によって形成されていてもよい。導電パターン22は、図2に示すように、ベース基板10に直接形成されていてもよい。あるいは、導電パターン22は、図示しない接着剤を介して、ベース基板10に設けられていてもよい。ただし、配線パターン20の構成はこれに限られるものではない。配線パターン20は、その表面の一部のみがスズ層24によって構成されていてもよい。例えば、配線パターン20のうち、樹脂層16から露出した領域のみが、スズ層24によって構成されていてもよい。そして、配線パターン20は、めっきリードを含んでいてもよい(図示せず)。該めっきリードによって、すべての配線パターン20が電気的に接続されていてもよい。
【0010】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、配線パターン20に電解めっき処理を行って、スズ層24の少なくとも一部を覆うように、鉛フリーはんだ層30を形成することを含む(図5参照)。ここで、「鉛フリーはんだ」とは、従来に比べ、鉛の含有量が極端に少ないはんだ、あるいは、鉛をまったく含まないはんだを指していてもよい。例えば、鉛フリーはんだ層30は、スズ−ビスマス合金はんだ層であってもよい。あるいは、鉛フリーはんだ層30は、銀、金、亜鉛、銅、ビスマスのうちのいずれか1つあるいは複数の金属とスズとの合金からなるはんだ層であってもよい。すなわち、鉛フリーはんだ層30は、鉛を含まないスズ合金はんだであってもよい。
【0011】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法では、図3及び図4に示すように、配線パターン20(ベース基板10における配線パターン20が形成された面)と陽極42とをめっき槽45内で対向させ、めっき槽45の両端に配置された陰極44を配線パターン20に接触させて電解めっきを行う。本工程は、配線パターン20(ベース基板10)と陽極42との間隔を0.02〜0.1mとして行う。本工程は、また、陰極44間の距離を2m以下として行う。そして、本工程では、配線パターン20に流れる電流の電流密度が200〜1000A/mになるように電解めっき処理を行う。例えば電源装置48の出力を制御することによって、電流密度を調整してもよい。本工程では、配線パターン20を流れる電流の電流密度が、めっき槽45の内側で、常に、200〜1000A/mになるように電解めっき処理を行ってもよい。なお、図3及び図4は、本工程を説明するための図である。ここで、図3はめっき装置100の斜視図であり、図4はめっき装置100の断面図である。
【0012】
鉛フリーはんだ層30を形成する領域は、特に限定されるものではない。例えば、鉛フリーはんだ層30は、配線パターン20における樹脂層16からの露出部のすべてを覆うように形成してもよい。あるいは、鉛フリーはんだ層30は、配線パターン20の樹脂層16からの露出部のうち、デバイスホール14付近の領域以外の部分(例えば、他の配線基板との電気的な接続に利用される部分)のみに形成してもよい。また、鉛フリーはんだ層30は、配線パターン20の樹脂層16からの露出部のうち、デバイスホール14付近の領域(例えば、半導体チップを搭載するための領域)のみに形成してもよい。めっき槽45の内側でのめっき液40の液面の高さを制御することで、鉛フリーはんだ層30を形成する領域を制限してもよい(図4参照)。
【0013】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法では、1つのめっき層45を利用して、鉛フリーはんだ層30を、1〜3μmの厚みに形成してもよい。鉛フリーはんだ層30の厚みは、電流密度や、配線パターン20と陽極42との間隔、めっき液の濃度や、ベース基板10の運搬速度などを制御することで調整してもよい。
【0014】
以上の工程によって、あるいは、上述の電解めっき工程を複数回行うことによって、配線基板1を形成してもよい(図5参照)。信頼性の高い配線基板を形成するためには、はんだ層は均一な厚みに形成することが好ましい。すなわち、配線パターンの一部のみに大量のはんだ金属が析出したり、はんだ層の厚みが部分的に変化したり、あるいはソルダーレジスト(樹脂層16)上にはんだ金属が析出したりすると、配線基板の信頼性を著しく低下させる。特に、鉛フリーはんだは、その挙動の制御が困難であり、均一な厚みのはんだ層を容易に形成することは難しかった。しかし、上記の条件下で電解めっき処理を行うことによって、鉛フリーはんだ層30を、均一な厚みに形成することができる。そのため、本方法によると、信頼性の高い配線基板を、効率よく製造することが可能になる。なお、配線パターン20を流れる電流の電流密度が、めっき槽45の内側で、常に、200〜1000A/mになるように電解めっき処理を行ってもよい。また、配線パターン20に流れる電流の電流密度が400〜800A/mになるように、めっき処理工程を行ってもよい。あるいは、配線パターン20と陽極42との間隔を0.04〜0.08mとしてめっき処理工程を行ってもよい。これによると、さらに信頼性の高い半導体装置を製造することができる。
【0015】
鉛フリーはんだ層30を形成する工程は、めっき装置100を利用して行ってもよい(図3及び図4参照)。以下、めっき装置100について説明する。
【0016】
めっき装置100は、めっき槽45を含む。めっき槽45の側壁にはスリットが形成されていてもよい。このとき、めっき装置100は、めっき対象物(配線パターン20)が、スリットの内側を通るように運搬される構造をなしていてもよい。また、めっき槽45は、めっき対象物を挟んで、側壁の高さが異なる構造をなしていてもよい(図4参照)。
【0017】
めっき装置100は、図示しない液面センサ及びめっき液供給ポンプを含んでいてもよい。該液面センサによってめっき液40の液面の高さ情報を取得し、液面が所定の高さになるように、ポンプの出力を制御してもよい。
【0018】
めっき装置100は、また、陽極42を含む。陽極42は、めっき槽45の内側に配置されてなる。陽極42は、0.02〜0.1mの間隔をあけてめっき対象物(配線パターン20)と対向するように配置されてなる。陽極42は、少なくとも一部がめっき液40に浸るように配置されていてもよい(図4参照)。すなわち、陽極42は、めっき液を介して、めっき対象物(配線パターン20)と対向するように配置されていてもよい。
【0019】
めっき装置100は、また、陰極44を含む。陰極44は、めっき槽45の両端に配置されてなる。陰極44は、間隔が2m以下になるように配置されてなる。なお、陰極44は、めっき槽45の外側に配置されていてもよい。このとき、めっき槽45の長さは、2m未満であってもよい。陰極44は、めっき対象物(配線パターン20)と接触するように配置されてなる。
【0020】
めっき装置100は、電源装置48を含んでいてもよい。電源装置48によって、めっき対象物に直流電流を流して、電解めっき工程を行ってもよい。そして、めっき装置100は、めっき対象物(配線パターン20)に流れる電流の電流密度を200〜1000A/mに制御することが可能なコントローラを含む。コントローラは、電源装置48の内部に形成されていてもよい。すなわち、コントローラは、電源装置48と一体的に形成されていてもよい。
【0021】
めっき装置100は、さらに、第2のめっき槽46を含んでいてもよい。このとき、めっき装置100は、めっき槽45から漏れ出しためっき液40を第2のめっき槽46で回収し、めっき液供給ポンプ(図示せず)によってめっき槽45に供給する構造をなしていてもよい。なお、めっき槽45と第2のめっき槽46とをあわせて、めっき槽と称してもよい。このとき、陰極44は、第2のめっき槽46の外側に配置されていてもよい。陰極44は、また、第2のめっき槽46のそれぞれの端部に配置されていてもよい。
【0022】
めっき装置100は、ベース基板10からめっき液40を取り除くためのめっき液除去機構(例えば圧縮空気噴出機構)を含んでいてもよい。めっき液除去機構は、めっき槽45と第2のめっき槽46との間に配置されていてもよい。これにより、ベース基板10に付着しためっき液40が第2のめっき槽46の外に持ち出されることを防止してもよい。
【0023】
めっき装置100は、さらに、陰極44とめっき対象物との通電性を高めるための機構を備えていてもよい。該機構は、例えば、純水滴下機構であってもよい。これにより、陰極44とめっき対象物との接点を濡らして、両者の通電性を高めてもよい。
【0024】
めっき装置100は、また、めっき対象物に流れる電流の電流密度を測るための測定装置を含んでいてもよい。該測定装置によって、めっき槽45の内側で、めっき対象物に流れる電流の電流密度を測定してもよい。そして、当該測定値に基づいて、電源装置48の出力を調整し、あるいは、コントローラを制御して、電解めっき処理工程を行ってもよい。
【0025】
上述のめっき装置100を利用すれば、鉛フリーはんだ層30を均一な厚みに形成することができる。すなわち、めっき装置100によると、信頼性の高い配線基板(鉛フリーはんだ層30)を効率よく形成することが可能になる。
【0026】
(変形例)
図6は、本発明を適用した第1の実施の形態の変形例に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【0027】
本変形例に係る配線基板の製造方法では、図6に示すように、複数のめっき槽47を利用して、鉛フリーはんだ層30を形成してもよい。これにより、鉛フリーはんだ層30を、厚みが3〜10μmとなるように形成してもよい。このとき、図6に示すように、2つのめっき槽47を利用して、鉛フリーはんだ層を形成してもよい。あるいは、3つ以上のめっき槽47を利用して、鉛フリーはんだ層を形成してもよい(図示せず)。そして、それぞれのめっき槽47には、同じ組成のめっき液が設けられていてもよい。なお、めっき槽47は、図6に示すように、周囲が一定の高さになるように形成されていてもよい。
【0028】
本変形例に係る配線基板の製造方法では、鉛フリーはんだ層を形成する工程を、めっき装置200を利用して行ってもよい。めっき装置200は、複数(2つあるいはそれ以上)のめっき槽47を含む。このとき、めっき槽47は、それぞれ、直列に配列されていてもよい。めっき装置200は、陰極44を含む。陰極44は、めっき槽47の端部に配置されていてもよい。陰極44は、2つのめっき槽47の間に配置されていてもよい。そして、めっき装置200は、それぞれのめっき槽47の外側に配置された第2のめっき槽を含んでいてもよい(図示せず)。
【0029】
(第2の実施の形態)
以下、本発明を適用した第2の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明する。図7は、この配線基板の製造方法について説明するための図である。
【0030】
本実施の形態に係る配線基板の製造方法は、表面の少なくとも一部がスズ層である配線パターンと陽極42とをめっき槽49内で対向させ、陰極44を配線パターンに接触させて電解めっきを行い、スズ層の少なくとも一部を覆うように鉛フリーはんだ層を形成することを含む。ここで、めっき槽49の長さは2m以下である。陰極44は、めっき槽49の外側に配置されていてもよい。このとき、図7に示すように、陰極44は、めっき槽49の一方の端部に設けられていてもよい。本工程は、配線パターン20(ベース基板10)と陽極42との間隔を0.02〜0.1mとして行う。そして、本工程では、配線パターン20に流れる電流の電流密度が200〜1000A/mになるように電解めっき処理を行う。このとき、めっき槽49の内側のすべての領域で、配線パターン20に流れる電流の電流密度が200〜1000A/mになるように電解めっき処理を行ってもよい。上記条件で電解めっき処理を行うことで、均一な厚みの鉛フリーはんだ層を形成することができるため、信頼性の高い配線基板を効率よく形成することが可能になる。
【0031】
本工程は、めっき装置300を利用して行ってもよい。めっき装置300は、長さが1m以下のめっき槽49を含む。めっき装置300は、めっき槽49の内側に配置されてなり、0.02〜0.1mの間隔をあけてめっき対象物と対向する陽極42を含む。めっき装置300は、めっき対象物と接触する1つの陰極44を含む。陰極44は、めっき槽49の外側に配置されていてもよい。陰極44は、また、めっき槽49の一方の端部に配置されていてもよい。めっき装置300は、めっき対象物に流れる電流の電流密度を200〜1000A/mに制御することが可能なコントローラを含む。コントローラは、電源装置の内部に設けられていてもよい。めっき装置300を利用することで、均質な鉛フリーはんだ層を、効率よく製造することが可能になる。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図2】図2は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図3】図3は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図4】図4は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図5】図5は、本発明を適用した第1の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図6】図6は、本発明を適用した第1の実施の形態の変形例に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【図7】図7は、本発明を適用した第2の実施の形態に係る配線基板の製造方法について説明するための図である。
【符号の説明】
【0034】
10…ベース基板、 14…貫通穴、 16…樹脂層、 20…配線パターン、 22…導電パターン、 24…スズ層、 30…鉛フリーはんだ層、 40…めっき液、 42…陽極、 44…陰極、 45…めっき槽、 46…第2のめっき槽、 47…めっき槽、 48…電源装置、 49…めっき槽、 100…めっき装置、 200…めっき装置、 300…めっき装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面の少なくとも一部がスズ層である配線パターンと陽極とをめっき槽内で対向させ、前記めっき槽の両端に配置された陰極を前記配線パターンに接触させて電解めっきを行い、前記スズ層の少なくとも一部を覆うように鉛フリーはんだ層を形成することを含み、
前記配線パターンと前記陽極との間隔を0.02〜0.1mとし、前記陰極間の距離を2m以下として、前記配線パターンに流れる電流の電流密度が200〜1000A/mになるように前記電解めっきを行う配線基板の製造方法。
【請求項2】
表面の少なくとも一部がスズ層である配線パターンと陽極とをめっき槽内で対向させ、陰極を前記配線パターンに接触させて電解めっきを行い、前記スズ層の少なくとも一部を覆うように鉛フリーはんだ層を形成することを含み、
前記めっき槽の長さは2m以下であり、
前記配線パターンと前記陽極との間隔を0.02〜0.1mとし、前記配線パターンに流れる電流の電流密度が200〜1000A/mになるように前記電解めっきを行う配線基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の配線基板の製造方法において、
前記電流密度が400〜800A/mになるように前記電解めっきを行う配線基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の配線基板の製造方法において、
前記配線パターンと前記陽極との間隔を0.04〜0.08mとして前記電解めっきを行う配線基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の配線基板の製造方法において、
1つの前記めっき槽を利用して、前記鉛フリーはんだ層を、厚みが1〜3μmとなるように形成する配線基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の配線基板の製造方法において、
複数の前記めっき槽を利用して、前記鉛フリーはんだ層を、厚みが3〜10μmとなるように形成する配線基板の製造方法。
【請求項7】
めっき槽と、
前記めっき槽の内側に配置されてなり、0.02〜0.1mの間隔を開けてめっき対象物と対向する陽極と、
前記めっき槽の両端に、間隔が2m以下になるように配置された、前記めっき対象物と接触する陰極と、
前記めっき対象物に流れる電流の電流密度を200〜1000A/mに制御することが可能なコントローラと、
を含むめっき装置。
【請求項8】
長さが2m以下のめっき槽と、
前記めっき槽の内側に配置されてなり、0.02〜0.1mの間隔を開けてめっき対象物と対向する陽極と、
前記めっき対象物と接触する1つの陰極と、
前記めっき対象物に流れる電流の電流密度を200〜1000A/mに制御することが可能なコントローラと、
を含むめっき装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−119820(P2007−119820A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311474(P2005−311474)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【出願人】(390037730)大和電機工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】