配線基板
【課題】塩素を含む絶縁性接着剤を介して基板の上に部材を固定するに際し、電極配線の腐食を防止することができる配線基板を提供する。
【解決手段】隣り合う第2引き出し配線8間のうち高電位側の第2引き出し配線8に、ACF13の硬化が不十分であるはみ出し部分13bに位置するガード電極18を設ける。これにより、高電位側の第2引き出し配線8(第1電極配線16)とガード電極18とが接続され、高電位側の第2引き出し配線8とガード電極18とが同電位状態となるので、高電位側のガード電極18と低電位側の第2引き出し配線8との間に電位差が生じ、腐食の原因の一つである塩素をガード電極18に凝集させることができる。このため、金属材料からなる第2電極配線17を腐食から防止することができる。
【解決手段】隣り合う第2引き出し配線8間のうち高電位側の第2引き出し配線8に、ACF13の硬化が不十分であるはみ出し部分13bに位置するガード電極18を設ける。これにより、高電位側の第2引き出し配線8(第1電極配線16)とガード電極18とが接続され、高電位側の第2引き出し配線8とガード電極18とが同電位状態となるので、高電位側のガード電極18と低電位側の第2引き出し配線8との間に電位差が生じ、腐食の原因の一つである塩素をガード電極18に凝集させることができる。このため、金属材料からなる第2電極配線17を腐食から防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に電極配線を形成してなる配線基板に関し、例えばEL表示装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属材料の中でも電気抵抗値が特に低いCrやAl等の金属材料は、例えば配線基板において半導体チップの端子間の狭い領域に引き回す場合や狭額縁状に形成する場合等、配線を極力細くする際に非常に有効な材料である。しかし、金属材料は腐食によって配線品質を維持できなくなるといった問題がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、金属配線の腐食の問題を解消するために、いわゆるCOG(Chip On Glass;COG)方式の実装構造において、隣り合う金属配線間に導電性酸化膜からなるガード電極が設けられた配線基板が提案されている。これによると、隣り合う金属配線間に電位差が生じる場合、隣り合う金属配線間にガード電極が介在したことによって、陽極側の金属配線の腐食を防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3695307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される構成では、ガード電極は電位差の生じる全ての隣り合う金属配線間に配置されているので、ガード電極の幅だけ金属配線の幅が細くなってしまい、電気抵抗値を低くするという金属材料の効果が薄れてしまうという問題がある。また、隣り合う金属配線間にガード電極が配置されているので、各金属配線を狭ピッチ化できないという問題もある。
【0006】
そして、特許文献1では、隣り合う金属配線間にガード電極が配置されているものの、どのようなメカニズムで金属配線に腐食が発生し、ガード電極がどのように作用することで腐食を防止できるのかが不明である。
【0007】
そこで、本発明者らは、特許文献1と同様のCOG構造における金属配線の腐食のメカニズムについて検討した。具体的に、ACF(Anisotropic Conductive Film;ACF)を介して、基板と半導体チップとを電気的に接続する構造について検討した。
【0008】
ここで、ACFは、絶縁性の接着剤(バインダー)に数μm程度のサイズの導電粒子が混入させられた接着フィルムである。各導電粒子間の距離は導電粒子のサイズのレベルでは非常に大きいため、ACF単体では導電粒子同士が電気的に接続されることはなく、絶縁性が維持されている。しかし、例えば配線パッドの上にACFが配置され、ACFが半導体チップの端子で配線パッドに押し付けられると、ACF内の導電粒子が潰され、端子がACF内の導電粒子に接触すると共に導電粒子が配線パッドに接触する。これにより、端子は導電粒子を介して配線パッドに電気的に接続され、ACFのうちACF内の導電粒子が潰されない部分の絶縁性は維持される。このような接着剤であるACFは熱硬化性であり、塩素を含んでいるものが一般的である。
【0009】
図14は、ACFを介して半導体チップと基板とを電気的に接続するACF接続工程のうちの圧着工程を示した図である。この図に示されるように、半導体チップ30には外部接続用の出力バンプ31が設けられている。また、半導体チップ30が実装されるガラス等の基板32には、出力バンプ31と電気的に接続される引き出し配線33がパターニングされている。そして、基板32の引き出し配線33と半導体チップ30の出力バンプ31とが向かい合わされ、引き出し配線33と出力バンプ31との間にACF34が挟まれている。ACF34には上述のように導電粒子35が混入させられている。
【0010】
このような積層構造がACF接続で用いられる熱圧着装置36に配置され、図14に示されるように半導体チップ30の上にヒータヘッド37が配置される。そして、圧着工程が行われる。ここで、圧着条件は、例えば、加熱温度が160〜200℃、加熱時間が5〜10sec、圧力が50〜150MPaである。
【0011】
そして、熱圧着装置36のヒータヘッド37で半導体チップ30を基板32側に押圧すると共に、ヒータヘッド37を加熱することにより半導体チップ30を介してACF34を構成する接着剤を溶解する。この後、ACF34を冷却し、ACF34を構成する接着剤を硬化する。これにより、ACF34を構成する接着剤中の導電粒子35が、半導体チップ30の出力バンプ31と引き出し配線33との間で潰される。出力バンプ31と引き出し配線33とは、潰された導電粒子35の反発力すなわち潰された導電粒子35が元の形に戻ろうとする復元力により出力バンプ31および引き出し配線33に対して導電粒子35の接触が維持されることによって導通する。
【0012】
上記のように圧着工程を行うと、ACF34を構成する接着剤の一部が半導体チップ30と基板32との間からはみ出す。すなわち、半導体チップ30の側面よりも半導体チップ30の外側にはみ出したはみ出し部分38が生じる。このはみ出し部分38は、ヒータヘッド37で加熱される半導体チップ30に直接接触しないので熱硬化せずに硬化が不十分なために硬化度が低く、手で触って柔らかい状態となっている。そして、この硬化が不十分であるはみ出し部分38に覆われた引き出し配線33に腐食が発生した。
【0013】
例えば、65℃、95%の高温高湿雰囲気下において、塩素濃度が50ppm以下の接着剤を100℃以上の温度で熱硬化させた場合には引き出し配線33に腐食は発生しなかったが、接着剤を加熱せずに熱硬化させない場合は引き出し配線33に腐食が発生した。この腐食が起こるメカニズムを、図15を参照して説明する。
【0014】
まず、隣り合う一対の引き出し配線33において、例えば一方の引き出し配線33(陽極)に15Vを印加し、他方の引き出し配線33(陰極)を0Vとする。なお、図15は、陽極の引き出し配線33に係る断面図を示している。
【0015】
図15(a)に示されるように、高温高湿雰囲気の条件下では、ACF34の接着剤の硬化が不十分であるはみ出し部分38に水分が浸透する。これにより、図15(b)に示されるように、ACF34中の遊離塩素が水に溶出する。このような状態で各引き出し配線33に上記の電圧が印加されると、図15(c)に示されるように、電圧印加によって塩素イオン(Cl−)が陽極の引き出し配線33の表面に移動する。これにより、図15(d)に示されるように、塩素イオン(Cl−)が陽極の引き出し配線33の表面に凝集する。これにより、陽極の引き出し配線33に腐食が発生する。以上のように、発明者らは、水と電圧と塩素の3条件が揃うと陽極の引き出し配線33に腐食が発生することを発見した。
【0016】
そして、引き出し配線33を構成する金属材料として例えばAlを採用した場合、以下のような化学反応を起こすものと考えられる。
(1)Al + 3OH− → Al(OH)3 + 3e−
(2)Al(OH)3 + Cl− → Al(OH)2Cl + OH−
(3)Al + 4Cl− → AlCl4− + 3e−
(4)AlCl4− + 3H2O → Al(OH)3 + 3H+ + 4Cl−
この場合、(1)→(2)という反応で腐食が起こる、あるいは(3)→(4)という反応で腐食が起こるものと考えられる。
【0017】
上記では、引き出し配線33としてAlを採用した場合について説明したが、もちろんAl以外の金属材料についても同様のメカニズムにより腐食が発生すると考えられる。
【0018】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、塩素を含む絶縁性接着剤を介して基板の上に半導体チップやFPC等の部材を固定するに際し、電極配線の腐食を防止することができる配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、基板(2)の上に導電性酸化物からなる複数の第1電極配線(16)が形成され、複数の第1電極配線(16)の上それぞれに金属材料からなる第2電極配線(17)がそれぞれ形成されており、第2電極配線(17)の端部(17a)を覆うと共に第2電極配線(17)に電気的に接続された部材(9、15)が、塩素を含む絶縁性接着剤(13)を介して基板(2)に固定されており、複数の第1電極配線(16)のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第1電極配線(16)の間に配置されると共に、一対の第1電極配線(16)のうち相対的に高電位側の第1電極配線(16)に接続され、導電性酸化物からなる配線状のガード電極(18)を備えた配線基板であって、絶縁性接着剤(13)は、基板(2)と部材(9、15)との間からはみ出すと共に、基板(2)と部材(9、15)との間から露出した第1電極配線(16)、第2電極配線(17)、およびガード電極(18)の一部を覆うはみ出し部分(13b)を有している。
【0020】
また、一対の第1電極配線(16)を構成する相対的に高電位側の第1電極配線(16)と相対的に低電位側の第1電極配線(16)との間のはみ出し部分(13b)において、ガード電極(18)のうち相対的に低電位側の第1電極配線(16)側の端部は、相対的に高電位側の第1電極配線(16)の上に形成された第2電極配線(17)のうち相対的に低電位側の第1電極配線(16)側の端部よりも相対的に低電位側の第1電極配線(16)側に位置するように、相対的に高電位側の第1電極配線(16)の上に形成された第2電極配線(17)から露出している。
【0021】
そして、ガード電極(18)の一端部(18a)は高電位側の第1電極配線(16)のうち基板(2)と部材(9、15)との間に位置する部分に電気的に接続され、ガード電極の他端部(18b)は高電位側の第1電極配線(16)のうちはみ出し部分(13b)から突出した部分に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0022】
これによると、絶縁性接着剤(13)のはみ出し部分(13b)では、高電位側の第1電極配線(16)と低電位側の第1電極配線(16)との間にガード電極(18)が介在すると共に、第2電極配線(17)から露出したガード電極(18)が低電位側の第1電極配線(16)に対して電位差を生じさせる部分となるので、はみ出し部分(13b)に水分と塩素が存在し、ガード電極(18)と低電位側の第1電極配線(16)との間に電位差が生じることでガード電極(18)の表面に塩素が凝集したとしても、導電性酸化物からなるガード電極(18)に腐食が発生することはない。すなわち、はみ出し部分(13b)に含まれる塩素はガード電極(18)に凝集するので、高電位側の第1電極配線(16)の上に設けられた金属材料からなる第2電極配線(17)の腐食を防止することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明では、ガード電極(18)が接続された高電位側の第1電極配線(16)のうち、一対の第1電極配線(16)でガード電極(18)を挟む部分の配線幅が、一対の第1電極配線(16)でガード電極(18)を挟まない部分の配線幅よりも小さいことを特徴とする。
【0024】
このように、高電位側の第1電極配線(16)のうち一対の第1電極配線(16)でガード電極(18)を挟む部分の配線幅を部分的に小さくしているので、高電位側の第1電極配線(16)全体の配線抵抗の上昇を最小限に抑えることができる。また、第1電極配線(16)の配線幅内にガード電極(18)を位置させることができるので、一対の第1電極配線(16)の間を狭ピッチ化することができる。
【0025】
請求項3に記載の発明では、ガード電極(18)の一端部(18a)は、2つ以上に分割されていると共に分割されたそれぞれが高電位側の第1電極配線(16)のうち基板(2)と部材(9、15)との間に位置する部分にそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする。
【0026】
また、請求項4に記載の発明では、ガード電極の他端部(18b)は、2つ以上に分割されていると共に分割されたそれぞれが高電位側の第1電極配線(16)のうちはみ出し部分(13b)から突出した部分にそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする。
【0027】
請求項3および請求項4によると、高電位側の第1電極配線(16)とガード電極(18)とは2箇所以上で短絡されているので、微細化による高電位側の第1電極配線(16)とガード電極(18)との断線のリスクを減らすことができる。すなわち、第1電極配線(16)とガード電極(18)との電気的接続の冗長性を確保することができる。
【0028】
請求項5に記載の発明では、一対の第1電極配線(16)のうちガード電極(18)を挟まない部分において、高電位側の第1電極配線(16)の配線幅とこの高電位側の第1電極配線(16)に対して相対的に低電位側の第1電極配線(16)の配線幅とが異なることを特徴とする。
【0029】
これによると、隣り合う一対の第1電極配線(16)およびこの第1電極配線(16)の上に形成される第2電極配線(17)の電気抵抗値が揃うようにすることができる。このため、各電極配線(16、17)に流れる電流の大きさも揃えることができる。
【0030】
請求項6に記載の発明では、第2電極配線(17)は、Alを含む金属材料で形成されていることを特徴とする。
【0031】
このように、第2電極配線(17)がAlを含む金属材料で形成されているので、第2電極配線(17)の配線抵抗を小さくすることができる。
【0032】
請求項7に記載の発明では、第2電極配線(17)は、Al、Nd、Mo、Nbのうち少なくとも2種類以上の合金で形成されていることを特徴とする。
【0033】
このように、第2電極配線(17)は合金であるので、第2電極配線(17)の耐腐食性を向上させることができる。
【0034】
請求項8に記載の発明では、第2電極配線(17)は、AlおよびNdのいずれか1つまたは両方を含む金属層(17c)とMoおよびNbのいずれか1つまたは両方を含む金属層(17b、17d)との少なくとも2層以上の積層配線であることを特徴とする。
【0035】
これによると、AlおよびNdのいずれかを含む金属層(17c)がMoおよびNbのいずれかを含む金属層(17b、17d)で覆われているので、AlおよびNdのいずれかを含む金属層(17c)が水分や塩素との接触が防止され、第2電極配線(17)の耐腐食性を向上させることができる。
【0036】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態に係るEL表示装置の分解平面図である。
【図2】図1に示されるEL表示装置の断面図である。
【図3】複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】(a)は高電位側の第2引き出し配線を構成する第1電極配線の平面図であり、(b)は高電位側の第2引き出し配線を構成する第2電極配線の平面図である。
【図6】第2実施形態において、複数の第1引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第1引き出し配線を示した平面図である。
【図7】第3実施形態において、複数の端子配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の端子配線を示した平面図である。
【図8】第4実施形態において、複数の端子配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の端子配線を示した平面図である。
【図9】第5実施形態において、複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図である。
【図10】第6実施形態において、複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図である。
【図11】(a)は第7実施形態において複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図12】他の実施形態において、ガード電極の形状を説明するための図である。
【図13】他の実施形態において、ガード電極の形状を説明するための図である。
【図14】課題を説明するための図であり、ACFを介して半導体チップを基板に接着する圧着工程を示した図である。
【図15】課題を説明するための図であり、腐食が起こるメカニズムを説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0039】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係るEL表示装置は、例えば車両に搭載され、所定の情報を画像表示する車両用表示器として用いられる。
【0040】
図1は、本発明に係る配線基板を適用したEL表示装置の分解平面図である。また、図2は、図1に示されるEL表示装置の断面図である。これら図1および図2を参照してEL表示装置1の構成を説明する。
【0041】
まず、図2に示されるように、EL表示装置1は、透明なガラス等によって形成された基板2を有している。その基板2の一面には、第1電極3がストライプ状に形成されている。また、第1電極3の上にEL発光層4が一様な厚さで平面的に形成されている。さらに、EL発光層4の上には第2電極5がストライプ状に形成されている。
【0042】
第1電極3は、ホール注入電極として機能するITO等の導電性酸化膜によって形成された電極である。この第1電極3は、いわゆるデータ線である。また、第2電極5は、電子注入電極として機能するAl等の光反射性材料によって形成された電極である。この第2電極5は、いわゆる走査線である。これら第1電極3を構成するITO等の導電性酸化膜の厚さは例えば150nmであり、第2電極5を構成するAl等の光反射性材料の厚さは例えば200nmである。
【0043】
EL発光層4は、例えばホール注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等が順に形成されたEL膜である。EL膜として、無機EL膜や有機EL膜が採用される。
【0044】
そして、第1電極3および第2電極5は、図1に示されるように、互いに直交するようにそれぞれ形成されており、第1電極3と第2電極5との交差に画素がそれぞれ形成されている。したがって、各画素は基板2の一面においてドッド・マトリクス状に配列されており、このドット・マトリクス状に配列された各画素により有効表示領域6が形成される。この有効表示領域6に画像が表示される。
【0045】
また、第1電極3はカラム配線としての第1引き出し配線7に接続され、第2電極5はロウ配線としての第2引き出し配線8に接続されている。これら第1引き出し配線7および第2引き出し配線8は、基板2の外縁部に実装された駆動用IC9まで基板2の外縁部にそれぞれ引き回されている。第1引き出し配線7および第2引き出し配線8は、例えば150nmの厚さのITO等の導電性酸化膜上に例えば550nmの厚さのAlを含む金属材料が積層された積層配線構造になっている。なお、「Alを含む金属材料」とは、Alそのものでも良いし、Alを含んだAl合金でも良い。
【0046】
そして、図2に示されるように、接着剤10を介して有効表示領域6を覆うカバー11が基板2の一面に装着される。これにより、EL発光層4が封止されている。また、第1引き出し配線7および第2引き出し配線8の一部がカバー11から露出し、上述のように駆動用IC9まで引き伸ばされている。
【0047】
さらに、基板2の一面には、第1引き出し配線7および第2引き出し配線8の各端部から一定間隔を空けてさらに基板2の外縁側に端子配線12が形成されている。この端子配線12は、第1引き出し配線7および第2引き出し配線8と同様に、例えば150nmの厚さのITO等の導電性酸化膜上に例えば550nmの厚さのAlを含む金属材料が積層された積層配線構造になっている。
【0048】
駆動用IC9は、導電接合要素であるACF13を介して基板2に固定され、上記の第1引き出し配線7、第2引き出し配線8、および端子配線12に電気的に接続された電子部品である。駆動用IC9は、外部からの指令に基づいて、第1電極3および第2電極5に所望の電圧をそれぞれ印加することにより、有効表示領域6に所望の画像を表示させるための集積回路である。なお、駆動用IC9は半導体チップである。
【0049】
図2に示されるように、駆動用IC9は出力側バンプ9aおよび入力側バンプ9bを有している。そして、出力側バンプ9aが第1引き出し配線7や第2引き出し配線8に電気的に接続され、入力側バンプ9bが端子配線12に電気的に接続されている。
【0050】
ACF13は、塩素を含む絶縁性の接着剤に導電粒子13aが混入させられた接着フィルムである。ACF13の厚さは、例えば20μmである。また、ACF13の接着剤に含まれる導電粒子13aの材質は例えばNi/Auめっきの樹脂粒子であり、大きさは例えば3μmφであり、密度は例えば40000pcs/mm2である。
【0051】
駆動用IC9は以下のようにCOG実装される。まず、第1引き出し配線7、第2引き出し配線8、および端子配線12の端部を覆うようにACF13が基板2の上に貼付され、ACF13が基板2に仮圧着される。続いて、ACF13表面のカバーフィルムが剥がされ、駆動用IC9の出力側バンプ9aおよび入力側バンプ9bがACF13側に向けられると共にACF13の上に駆動用IC9が配置される。
【0052】
そして、図14に示された熱圧着装置36のヒータヘッド37で駆動用IC9を基板2側に押さえ付けると共にヒータヘッド37で駆動用IC9を介してACF13を加熱する。ここで、圧着条件は、例えば、加熱温度が160〜200℃、加熱時間が5〜10sec、圧力が50〜150MPaである。
【0053】
COG実装前は駆動用IC9の出力側バンプ9aおよび入力側バンプ9bは例えば高さが約10μmである。ヒータヘッド37によって駆動用IC9が基板2側に押し付けられることで、各バンプ9a、9bによって、各バンプ9a、9bと各配線7、8、12との間の導電粒子13aが潰される。これにより、各バンプ9a、9bと各配線7、8、12とが導通する。また、ACF13のうち各バンプ9a、9bと各配線7、8、12との間に位置していない導電粒子13aは潰されることはないので、基板2の一面の面方向に対しては絶縁性が維持されている。
【0054】
このように、本実施形態では、EL表示装置1は、基板2上に半導体チップである駆動用IC9が直接に実装されるいわゆるCOG方式により形成されている。
【0055】
また、駆動用IC9が基板2にCOG実装されたことで、ACF13には基板2と駆動用IC9との間からはみ出すと共に、基板2と駆動用IC9との間から露出した各配線7、8、12の一部を覆うはみ出し部分13bが形成されている。このはみ出し部分13bは、ヒータヘッド37で加熱される駆動用IC9に直接接触しないので、熱硬化せずに硬化が不十分な状態で基板2と駆動用IC9との間から露出している。つまり、駆動用IC9の側面よりも側面の外側に突出した状態になっている。
【0056】
なお、駆動用IC9に対してACF13の平面サイズが非常に大きい場合、はみ出し部分13bのうち駆動用IC9に近い部分は硬化が不十分な状態となっているが、はみ出し部分13bのうち駆動用IC9から遠い部分は熱が伝達されずに未硬化となっている場合もあり得る。
【0057】
そして、駆動用IC9やカバー11の外周には、各導電接続部に水滴等が付着することを防止するための防滴材14が設けられている。
【0058】
さらに、端子配線12には、配線接続要素としてFPC(Flexible Printed Circuit;FPC)15が電気的に接続されている。このFPC15は、フィルム状の絶縁体の上に金属配線パターン15aが形成され、この金属配線パターン15aの端部に金属配線端子15bが形成された電子部品である。なお、金属配線端子15bとしては、はんだめっきやAuめっきやSnめっき等が採用される。
【0059】
具体的には、駆動用IC9と端子配線12との電気的接続と同様に、FPC15に設けられた金属配線端子15bがACF13の導電粒子13aを介して端子配線12に電気的に接続され、端子配線12とFPC15とが導通している。また、FPC15と基板2の接続部には、水滴等が付着することを防止するための防滴材14が設けられている。
【0060】
FPC15のうち基板2側とは反対側の端部には図示しない外部接続端子が設けられており、この外部接続端子が図示しない外部回路に接続される。そして、この外部回路から伝送される信号に基づいて駆動用IC9が駆動され、駆動用IC9により第1電極3にデータ信号が入力され、第2電極5に走査信号が入力される。
【0061】
本実施形態に係るEL表示装置1は以上のように構成されており、第1電極3と第2電極5との間に流れる電流が画素毎に制御され、各画素が選択的に発光させられることにより、有効表示領域6内に文字や数字等の画像が表示される。
【0062】
次に、第2引き出し配線8の端部の具体的な構造について図3および図4を参照して説明する。図3は、図1に示された複数の第2引き出し配線8のうち互いに隣り合う一対の第2引き出し配線8を示した平面図である。また、図4は図3のA−A断面図である。
【0063】
図3に示されるように、駆動用IC9と第2引き出し配線8とが駆動用IC9の出力側バンプ9aによって電気的に接続されている。そして、互いに隣り合う一対の第2引き出し配線8には高電位側(V1)と低電位側(V2)という相対的にV1>V2の関係になっている。
【0064】
また、図4に示されるように、第2引き出し配線8は、基板2の上に形成されたITO等の導電性酸化物からなる第1電極配線16と、この第1電極配線16の上に形成されたAl等の金属材料からなる第2電極配線17との積層構造になっている。このように、高電位側および低電位側の各第2引き出し配線8が第1電極配線16および第2電極配線17の2層構造になっている。本実施形態では、第1電極配線16と第2電極配線17との各配線幅は同じである。
【0065】
なお、図4では、高電位側の第2引き出し配線8に係る断面図を示しているが、低電位側の第2引き出し配線8に係る断面も図4に示される断面図と同じである。
【0066】
そして、図3に示されるように、一対の第2引き出し配線8のうち高電位側の第2引き出し配線8は、高電位側の第2引き出し配線8と低電位側の第2引き出し配線8との間に位置すると共に、第1電極配線16に接続されたガード電極18を備えている。
【0067】
言い換えると、高電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16は、互いに隣り合う一対の第1電極配線16の間に配置されると共に、当該一対の第1電極配線16のうち相対的に高電位側の第1電極配線16に接続されたガード電極18を備えている。このガード電極18は、基板2の一面のうち基板2と駆動用IC9との間の領域からはみ出し部分13b側に延びると共に、ACF13のはみ出し部分13bとACF13の形成されていない部分との境界線を越えて形成されているとも言える。つまり、ACF13のはみ出し部分13bでは、高電位側および低電位側の各第2引き出し配線8の間にはガード電極18の中間部分のみが位置している。
【0068】
図5(a)は高電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16の平面図であり、図5(b)は高電位側の第2引き出し配線8を構成する第2電極配線17の平面図である。
【0069】
図5(a)に示されるように、ガード電極18は第1電極配線16の一部として設けられている。つまり、ガード電極18は第1電極配線16と同じITO等の導電性酸化物で形成されている。ここで、ガード電極18の厚さは第1電極配線16と同じ例えば150nmである。また、ガード電極は配線状をなしており、ガード電極18の一方と他方が第1電極配線16にそれぞれ接続された状態になっている。このため、第1電極配線16とガード電極18とで囲まれた空間(窓部)が形成される。
【0070】
一方、図5(b)に示されるように、第1電極配線16の上に形成される第2電極配線17にはガード電極18は設けられていない。したがって、図5(b)に示される第2電極配線17が図5(a)に示される第1電極配線16の上に形成されると、図3に示されるように、ガード電極18が第2電極配線17から突出した状態となる。そして、第2電極配線17の端部17aが駆動用IC9で覆われると共にACF13中の導電粒子13aおよび出力側バンプ9aを介して駆動用IC9に電気的に接続される。
【0071】
ここで、図5(a)に示されるように、高電位側の第1電極配線16のうちガード電極18が設けられた部分の配線幅が、ガード電極18が設けられていない部分の配線幅よりも細くなっている。なお、「高電位側の第1電極配線16のうちガード電極18が設けられた部分」とは、ガード電極18が接続された高電位側の第1電極配線16のうち、一対の第1電極配線16でガード電極18を挟む部分である。また、「高電位側の第1電極配線16のうちガード電極18が設けられていない部分」とは、一対の第1電極配線16でガード電極18を挟まない部分である。
【0072】
そして、図3に示されるように、ガード電極18の一端部18aは高電位側の第1電極配線16のうち基板2と駆動用IC9との間に位置する部分に電気的に接続されている。また、ガード電極の他端部18bは高電位側の第1電極配線16のうちはみ出し部分13bから突出した部分に電気的に接続されている。つまり、ガード電極18の他端部18bは、基板2上のうちはみ出し部分13bが形成されていない領域に位置している。このようにガード電極18の一端部18aおよび他端部18bが位置しているので、ガード電極18の一端部18aと他端部18bとの間の中間部分が、ACF13のはみ出し部分13bに覆われている。
【0073】
このように、ITO等の導電性酸化膜の上にAlを含む金属材料が積層されることによって形成されている第2引き出し配線8の間であって、かつ、ACF13のはみ出し部分13bに、導電性酸化膜からなるガード電極18を介在させている。このような構造により、はみ出し部分13bに位置する隣り合う高電位側と低電位側の各第2引き出し配線8において、電位差が生じるのはガード電極18と低電位側の第2引き出し配線8となるので、はみ出し部分13bに腐食の原因となる水分と塩素が存在した状態でガード電極18に低電位側の第2引き出し配線8よりも高い電圧が印加されてガード電極18の表面に塩素が凝集したとしても、導電性酸化物からなるガード電極18に腐食が発生することはない。
【0074】
また、一対の第1電極配線16を構成する相対的に高電位側の第1電極配線16と相対的に低電位側の第1電極配線16との間のはみ出し部分13bにおいて、ガード電極18のうち相対的に低電位側の第1電極配線16側の端部は、相対的に高電位側の第1電極配線16の上に形成された第2電極配線17のうち相対的に低電位側の第1電極配線16側の端部よりも相対的に低電位側の第1電極配線16側に位置するように、相対的に高電位側の第1電極配線16の上に形成された第2電極配線17から露出している。
【0075】
言い換えると、高電位側の第2引き出し配線8のうち低電位側の第2引き出し配線8側の端部と低電位側の第2引き出し配線8のうち高電位側の第2引き出し配線8側の端部との間のはみ出し部分13bにおいて、ガード電極18と高電位側の第2引き出し配線8との間、およびガード電極18と低電位側の第2引き出し配線8との間にははみ出し部分13bのみが存在し、各第2引き出し配線8の構成部分は存在していない。
【0076】
このように、高電位側の第2引き出し配線8と低電位側の第2引き出し配線8との間で電位差を生じさせる部分はガード電極18のみであるから、はみ出し部分13bにおいてACF13のはみ出し部分13bに含まれる塩素が凝集するのはガード電極18のみである。したがって、高電位側の第2引き出し配線8を構成する金属材料で形成された第2電極配線17には塩素が凝集することもないし、ひいては高電位側の第2電極配線17に腐食が発生することもない。
【0077】
ここまで、隣り合う一対の第2引き出し配線8について説明したが、電位差の大小関係が成り立つ限り、各第2引き出し配線8にガード電極18がそれぞれ設けられる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態では、各引き出し配線7、8や端子配線12を、導電性酸化物からなる第1電極配線16の上に金属材料からなる第2電極配線17を形成した積層構造とし、隣り合う第2引き出し配線8間のうち相対的に高電位側の第2引き出し配線8に、ACF13の硬化が不十分であるはみ出し部分13bに位置するガード電極18を設けたことが特徴となっている。
【0079】
これにより、高電位側の第2引き出し配線8(第1電極配線16)とガード電極18とが接続され、高電位側の第2引き出し配線8とガード電極18とが同電位状態となるので、隣り合う第2引き出し配線8間において、電位差が生じるのは高電位側のガード電極18と低電位側の第2引き出し配線8となる。このため、腐食の原因の一つである塩素を、腐食しないガード電極18に凝集させることができるので、各配線8を構成する金属材料からなる第2電極配線17を腐食から防止することができる。なお、本実施形態ではガード電極18の厚さは第1電極配線16と同じであるが、高電位側の第2引き出し配線8とガード電極18とが同電位状態であれば、ガード電極18の厚さは第1電極配線16と異なっていても良い。
【0080】
また、本実施形態では、高電位側の第1電極配線16においてガード電極18が設けられる部分の配線幅をガード電極18が設けられない部分の配線幅よりも部分的に小さくしている。このため、第1電極配線16全体(つまり高電圧側の配線8)の配線抵抗の上昇を最小限に抑えることができる。そして、ガード電極18が設けられない部分の配線幅の範囲内にガード電極18を配置できるので、各配線8のピッチを狭くすることができ、ひいては狭ピッチ化することができる。
【0081】
特に、図1に示されるように、基板2の外縁部に第2引き出し配線8を引き回す場合には、各第2引き出し配線8を狭ピッチ化することができるので、基板2のサイズや外縁部のスペースを大きくする必要がなく、表示パネルを狭額縁化することができる。
【0082】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、駆動用IC9が特許請求の範囲の「部材」に対応し、ACF13が特許請求の範囲の「絶縁性接着剤」に対応する。
【0083】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。上記第1実施形態では、第2引き出し配線8にガード電極18を設けることについて説明した。しかしながら、第1引き出し配線7についても隣り合う第1引き出し配線7間で電位差が生じる場合には高電位側の第1引き出し配線7にガード電極18を設けることで、金属材料で形成された第2電極配線17の腐食を防止することができる。
【0084】
図6は、複数の第1引き出し配線7のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第1引き出し配線7を示した平面図である。この図に示されるように、隣り合う第1引き出し配線7間のうち高電位側(V1)の第1引き出し配線7に、ACF13の硬化が不十分であるはみ出し部分13bに位置するガード電極18が設けられている。なお、第1引き出し配線7の断面構造は、図4に示されるように、導電性酸化物からなる第1電極配線16の上に金属材料からなる第2電極配線17が形成された積層構造である。
【0085】
このように、第1引き出し配線7にガード電極18を設けることにより、高電位側の第1引き出し配線7を構成する金属材料からなる第2電極配線17の腐食を防止することができる。
【0086】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。上記第1、第2実施形態では、第1、第2引き出し配線7、8にガード電極18をそれぞれ設けることについて説明した。しかしながら、端子配線12にガード電極18を設けることもできる。
【0087】
図7は、複数の端子配線12のうち互いに隣り合う少なくとも一対の端子配線12を示した平面図である。この図に示されるように、端子配線12についても隣り合う端子配線12間で電位差が生じる場合には高電位側の端子配線12にガード電極18を設けることで、金属材料で形成された第2電極配線17の腐食を防止することができる。
【0088】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分について説明する。上記第1〜第3実施形態では、ACF13を介して第1、第2引き出し配線7、8や端子配線12に駆動用IC9を接続した場合にACF13のはみ出し部分13bにガード電極18をそれぞれ設けることについて説明した。しかしながら、図2に示されるように、ACF13を介して端子配線12にFPC15を接続する場合にもACF13のはみ出し部分13bが設けられるので、端子配線12とFPC15との接続関係に基づいて端子配線12にガード電極18を設けることもできる。
【0089】
図8は、複数の端子配線12のうち互いに隣り合う少なくとも一対の端子配線12を示した平面図である。この図に示されるように、各端子配線12にはFPC15の金属配線端子15bが電気的に接続されている。そして、複数の端子配線12にFPC15が接続されたことにより、隣り合う端子配線12間で電位差が生じる場合、高電位側の端子配線12にガード電極18が設けられる。これにより、端子配線12を構成する金属材料で形成された第2電極配線17の腐食を防止することができる。
【0090】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、FPC15が特許請求の範囲の「部材」に対応する。
【0091】
(第5実施形態)
本実施形態では、上記各実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、各引き出し配線7、8や端子配線12を構成する第1電極配線16および第2電極配線17の配線幅はガード電極18を除いて同じであった。本実施形態では、これら第1電極配線16と第2電極配線17との配線幅やピッチを規定したことが特徴となっている。
【0092】
図9は、複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図である。この図に示されるように、高電位側の第2引き出し配線8のうち、ガード電極18が設けられていない部分の第1電極配線16の配線幅をTとするとT=50μmであり、第2電極配線17の配線幅をT’とするとT’=40μmである。また、第2電極配線17は第1電極配線16に沿って形成されており、第1電極配線16の端部と第2電極配線17の端部との幅をLとするとL=5μmである。
【0093】
また、ガード電極18の幅をIとするとI=10μmであり、高電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16とガード電極18との間のスペースをJとするとJ=5μmである。
【0094】
一方、低電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16の配線幅をUとするとU=50μmであり、第2電極配線17の配線幅をU’とするとU’=40μmである。また、第2電極配線17は第1電極配線16に沿って形成されており、第1電極配線16の端部と第2電極配線17の端部との幅をMとするとM=5μmである。
【0095】
そして、高電位側の第2引き出し配線8のうちガード電極18が設けられていない部分において、各第2引き出し配線8を構成する各第1電極配線16の間隔をVとするとV=35μmであり、各第2電極配線17の間隔をWとするとW=45μmである。
【0096】
以上のように、各第2引き出し配線8において、第1電極配線16の配線幅を第2電極配線17の配線幅よりも広くすることもできる。なお、本実施形態では、第2引き出し配線8と駆動用IC9との接続部分について説明したが、第1引き出し配線7や端子配線12についても同様である。また、端子配線12とFPC15との接続部分についても同様に各配線幅や間隔を規定することができる。
【0097】
(第6実施形態)
本実施形態では、第5実施形態と異なる部分について説明する。図10は、複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図である。この図に示されるように、本実施形態では、高電位側の第2引き出し配線8のうち、ガード電極18が設けられていない部分の第1電極配線16の配線幅をPとするとこの配線幅PはP=60μmであり、第5実施形態で示された配線幅Tよりも大きい値になっている。第2電極配線17の配線幅P’についても同様にP’=50μmであり、第5実施形態で示された配線幅T’よりも大きくなっている。また、第2電極配線17は第1電極配線16に沿って形成されており、第1電極配線16の端部と第2電極配線17の端部との幅をNとするとN=5μmである。
【0098】
また、ガード電極18の幅をGとするとG=10μmであり、高電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16とガード電極18との間のスペースをHとするとH=5μmである。
【0099】
一方、低電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16の配線幅をQとするとQ=50μmであり、第2電極配線17の配線幅をQ’とするとQ’=40μmである。
【0100】
そして、高電位側の第2引き出し配線8のうちガード電極18が設けられていない部分において、各第2引き出し配線8を構成する各第1電極配線16の間隔をRとするとR=25μmであり、各第2電極配線17の間隔をSとするとS=35μmである。また、第2電極配線17は第1電極配線16に沿って形成されており、第1電極配線16の端部と第2電極配線17の端部との幅をOとするとO=5μmである。
【0101】
このような構造によると、駆動用IC9の出力側バンプ9aと第2電極配線17から有効表示領域6までの電気抵抗値を揃えることができる。したがって、各第2引き出し配線8に等電圧を印加したときに、駆動用IC9の出力側バンプ9aと第2電極配線17との接続部から有効表示領域6までに流れる電流値を揃えることができる。
【0102】
なお、第1引き出し配線7や端子配線12、端子配線12とFPC15との接続部分についても上記と同様に各配線幅や間隔を規定することができる。
【0103】
(第7実施形態)
本実施形態では、上記各実施形態と異なる部分について説明する。図11(a)は、複数の第2引き出し配線8のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線8を示した平面図である。また、図11(b)は、図11(a)のB−B断面図である。
【0104】
図11(b)に示されるように、第2引き出し配線8を構成する第2電極配線17は、第1電極配線16の上に形成された第1金属層17bと、この第1金属層17bの上に形成された第2金属層17cと、この第2金属層17cの上に形成された第3金属層17dと、で構成された積層構造になっている。
【0105】
第1金属層17bは例えばMoで形成され、厚さは例えば50nmである。第2金属層17cは例えばAlNdで形成され、厚さは例えば450nmである。また、第3金属層17dは例えばMoNbで形成され、厚さは例えば50nmである。導電性酸化膜である第1電極配線16の厚さは例えば150nmである。
【0106】
以上のように、金属材料で構成された第2電極配線17を複数の金属層17b〜17dとすることで、腐食が発生しやすいAlNdからなる第2金属層17cを第1金属層17bおよび第3金属層17dで覆うことができ、AlNdからなる第2金属層17cの水分や塩素との接触が防止され、第2金属層17cの耐腐食性を向上させることができる。
【0107】
なお、本実施形態では、第2引き出し配線8の構造について説明したが、第1引き出し配線7や端子配線12についても上記と同様の構造とすることができる。
【0108】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、車両用のEL表示装置1を例に説明したが、車両用のEL表示装置1に限らず、基板2にACF13を介して半導体チップが実装される装置に適用することができる。
【0109】
上記各実施形態で示されたEL表示装置1の構成は一例を示すものであり、形状や材質などについて適宜変更することができる。例えば、ガード電極18は1本の配線状に形成されたものであったが、ガード電極18の形状はこれに限らず他の形状でも良い。
【0110】
具体的には、図12(a)に示されるように、ガード電極18の他端部18bが第2引き出し配線8の延設方向にそって引き伸ばされて第1電極配線16に接続されていても良い。つまり、ガード電極18は中間部から他端部18bの先端まで直線状に形成されている。また、図12(b)に示されるように、ガード電極18は二重に設けられていても良い。これにより、ガード電極18の冗長性を確保できる。
【0111】
さらに、図13(a)に示されるように、1つのガード電極18に第2引き出し配線8に並行に延びる部分が2箇所設けられていても良い。これにより、第2引き出し配線8とガード電極18との間に空間部分が2箇所設けられる。そして、ガード電極18のうち第2引き出し配線8に並行に延びる2箇所のうちの1箇所が断線したとしても、もう1箇所が接続されているので、ガード電極18の冗長性を確保できる。
【0112】
また、図13(b)に示されるように、ガード電極18の他端部18bが2つに分割され、それぞれが第1電極配線16に接続されていても良い。このように、ガード電極18と第1電極配線16とが2箇所以上で接続されているため、1箇所が断線しても、もう1箇所が接続されていることにより、ガード電極18と第1電極配線16との同電位状態は保たれる。すなわち、ガード電極18の断線のリスクを減らすことができる。
【0113】
なお、ガード電極18の一端部18a側が複数に分割されていても良い。また、ガード電極18の一端部18aと他端部18bの両方がそれぞれ複数に分割されていても良い。
【0114】
上記図12および図13では、第2引き出し配線8を例に説明したが、もちろん、第1引き出し配線7や端子配線12に設けられるガード電極18についても同様のことが言える。
【0115】
そして、第5、第6実施形態で配線幅の一例が示されたように、各配線7、8、12のうちガード電極18を挟まない部分において、高電位側の第1電極配線16の配線幅とこの高電位側の第1電極配線16に対して相対的に低電位側の第1電極配線16の配線幅とが異ならせることができる。これにより、各配線7、8、12の配線抵抗を調節することができる。
【0116】
さらに、第7実施形態では、第2電極配線17が3つの金属層17b〜17dで構成されていたが、第2電極配線17は、Al、Nd、Mo、Nbのうち少なくとも2種類以上の合金で形成されていても良い。また、第2電極配線17は、第2金属層17cが水分や塩素との接触から防止されるように第2金属層17cの上層が覆われていれば良いので、第2電極配線17は3層ではなく少なくとも2層以上の積層配線となっていれば良い。このように、第2電極配線17を合金とすることで、第2電極配線17の耐腐食性を向上させることができる。
【0117】
上記各実施形態では、第2電極配線17は第1電極配線16と同じ配線幅であるかまたは第2電極配線17は第1電極配線16よりも小さい配線幅であった。すなわち、第2電極配線17は第1電極配線16の上のみ(もしくは第1電極配線16のうちガード電極18を除く範囲内)に形成されていた。しかし、これは各電極配線16、17の配線幅の一例である。したがって、第2電極配線17は第1電極配線16よりも大きい配線幅になっていても良い。このような場合であっても、はみ出し部分13bにおいて、ガード電極18のうち相対的に低電位側の第1電極配線16側の端部は、相対的に高電位側の第2電極配線17から露出していれば良い。これにより、相対的に低電位側の第1電極配線16に対してガード電極18が高電位側の電極となる。
【符号の説明】
【0118】
2 基板
9 駆動用IC
13 ACF
13b はみ出し部分
16 第1電極配線
17 第2電極配線
17a 第2電極配線の端部
17b 第1金属層
17c 第2金属層
17d 第3金属層
18 ガード電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に電極配線を形成してなる配線基板に関し、例えばEL表示装置に好適である。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属材料の中でも電気抵抗値が特に低いCrやAl等の金属材料は、例えば配線基板において半導体チップの端子間の狭い領域に引き回す場合や狭額縁状に形成する場合等、配線を極力細くする際に非常に有効な材料である。しかし、金属材料は腐食によって配線品質を維持できなくなるといった問題がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、金属配線の腐食の問題を解消するために、いわゆるCOG(Chip On Glass;COG)方式の実装構造において、隣り合う金属配線間に導電性酸化膜からなるガード電極が設けられた配線基板が提案されている。これによると、隣り合う金属配線間に電位差が生じる場合、隣り合う金属配線間にガード電極が介在したことによって、陽極側の金属配線の腐食を防止できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3695307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示される構成では、ガード電極は電位差の生じる全ての隣り合う金属配線間に配置されているので、ガード電極の幅だけ金属配線の幅が細くなってしまい、電気抵抗値を低くするという金属材料の効果が薄れてしまうという問題がある。また、隣り合う金属配線間にガード電極が配置されているので、各金属配線を狭ピッチ化できないという問題もある。
【0006】
そして、特許文献1では、隣り合う金属配線間にガード電極が配置されているものの、どのようなメカニズムで金属配線に腐食が発生し、ガード電極がどのように作用することで腐食を防止できるのかが不明である。
【0007】
そこで、本発明者らは、特許文献1と同様のCOG構造における金属配線の腐食のメカニズムについて検討した。具体的に、ACF(Anisotropic Conductive Film;ACF)を介して、基板と半導体チップとを電気的に接続する構造について検討した。
【0008】
ここで、ACFは、絶縁性の接着剤(バインダー)に数μm程度のサイズの導電粒子が混入させられた接着フィルムである。各導電粒子間の距離は導電粒子のサイズのレベルでは非常に大きいため、ACF単体では導電粒子同士が電気的に接続されることはなく、絶縁性が維持されている。しかし、例えば配線パッドの上にACFが配置され、ACFが半導体チップの端子で配線パッドに押し付けられると、ACF内の導電粒子が潰され、端子がACF内の導電粒子に接触すると共に導電粒子が配線パッドに接触する。これにより、端子は導電粒子を介して配線パッドに電気的に接続され、ACFのうちACF内の導電粒子が潰されない部分の絶縁性は維持される。このような接着剤であるACFは熱硬化性であり、塩素を含んでいるものが一般的である。
【0009】
図14は、ACFを介して半導体チップと基板とを電気的に接続するACF接続工程のうちの圧着工程を示した図である。この図に示されるように、半導体チップ30には外部接続用の出力バンプ31が設けられている。また、半導体チップ30が実装されるガラス等の基板32には、出力バンプ31と電気的に接続される引き出し配線33がパターニングされている。そして、基板32の引き出し配線33と半導体チップ30の出力バンプ31とが向かい合わされ、引き出し配線33と出力バンプ31との間にACF34が挟まれている。ACF34には上述のように導電粒子35が混入させられている。
【0010】
このような積層構造がACF接続で用いられる熱圧着装置36に配置され、図14に示されるように半導体チップ30の上にヒータヘッド37が配置される。そして、圧着工程が行われる。ここで、圧着条件は、例えば、加熱温度が160〜200℃、加熱時間が5〜10sec、圧力が50〜150MPaである。
【0011】
そして、熱圧着装置36のヒータヘッド37で半導体チップ30を基板32側に押圧すると共に、ヒータヘッド37を加熱することにより半導体チップ30を介してACF34を構成する接着剤を溶解する。この後、ACF34を冷却し、ACF34を構成する接着剤を硬化する。これにより、ACF34を構成する接着剤中の導電粒子35が、半導体チップ30の出力バンプ31と引き出し配線33との間で潰される。出力バンプ31と引き出し配線33とは、潰された導電粒子35の反発力すなわち潰された導電粒子35が元の形に戻ろうとする復元力により出力バンプ31および引き出し配線33に対して導電粒子35の接触が維持されることによって導通する。
【0012】
上記のように圧着工程を行うと、ACF34を構成する接着剤の一部が半導体チップ30と基板32との間からはみ出す。すなわち、半導体チップ30の側面よりも半導体チップ30の外側にはみ出したはみ出し部分38が生じる。このはみ出し部分38は、ヒータヘッド37で加熱される半導体チップ30に直接接触しないので熱硬化せずに硬化が不十分なために硬化度が低く、手で触って柔らかい状態となっている。そして、この硬化が不十分であるはみ出し部分38に覆われた引き出し配線33に腐食が発生した。
【0013】
例えば、65℃、95%の高温高湿雰囲気下において、塩素濃度が50ppm以下の接着剤を100℃以上の温度で熱硬化させた場合には引き出し配線33に腐食は発生しなかったが、接着剤を加熱せずに熱硬化させない場合は引き出し配線33に腐食が発生した。この腐食が起こるメカニズムを、図15を参照して説明する。
【0014】
まず、隣り合う一対の引き出し配線33において、例えば一方の引き出し配線33(陽極)に15Vを印加し、他方の引き出し配線33(陰極)を0Vとする。なお、図15は、陽極の引き出し配線33に係る断面図を示している。
【0015】
図15(a)に示されるように、高温高湿雰囲気の条件下では、ACF34の接着剤の硬化が不十分であるはみ出し部分38に水分が浸透する。これにより、図15(b)に示されるように、ACF34中の遊離塩素が水に溶出する。このような状態で各引き出し配線33に上記の電圧が印加されると、図15(c)に示されるように、電圧印加によって塩素イオン(Cl−)が陽極の引き出し配線33の表面に移動する。これにより、図15(d)に示されるように、塩素イオン(Cl−)が陽極の引き出し配線33の表面に凝集する。これにより、陽極の引き出し配線33に腐食が発生する。以上のように、発明者らは、水と電圧と塩素の3条件が揃うと陽極の引き出し配線33に腐食が発生することを発見した。
【0016】
そして、引き出し配線33を構成する金属材料として例えばAlを採用した場合、以下のような化学反応を起こすものと考えられる。
(1)Al + 3OH− → Al(OH)3 + 3e−
(2)Al(OH)3 + Cl− → Al(OH)2Cl + OH−
(3)Al + 4Cl− → AlCl4− + 3e−
(4)AlCl4− + 3H2O → Al(OH)3 + 3H+ + 4Cl−
この場合、(1)→(2)という反応で腐食が起こる、あるいは(3)→(4)という反応で腐食が起こるものと考えられる。
【0017】
上記では、引き出し配線33としてAlを採用した場合について説明したが、もちろんAl以外の金属材料についても同様のメカニズムにより腐食が発生すると考えられる。
【0018】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、塩素を含む絶縁性接着剤を介して基板の上に半導体チップやFPC等の部材を固定するに際し、電極配線の腐食を防止することができる配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、基板(2)の上に導電性酸化物からなる複数の第1電極配線(16)が形成され、複数の第1電極配線(16)の上それぞれに金属材料からなる第2電極配線(17)がそれぞれ形成されており、第2電極配線(17)の端部(17a)を覆うと共に第2電極配線(17)に電気的に接続された部材(9、15)が、塩素を含む絶縁性接着剤(13)を介して基板(2)に固定されており、複数の第1電極配線(16)のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第1電極配線(16)の間に配置されると共に、一対の第1電極配線(16)のうち相対的に高電位側の第1電極配線(16)に接続され、導電性酸化物からなる配線状のガード電極(18)を備えた配線基板であって、絶縁性接着剤(13)は、基板(2)と部材(9、15)との間からはみ出すと共に、基板(2)と部材(9、15)との間から露出した第1電極配線(16)、第2電極配線(17)、およびガード電極(18)の一部を覆うはみ出し部分(13b)を有している。
【0020】
また、一対の第1電極配線(16)を構成する相対的に高電位側の第1電極配線(16)と相対的に低電位側の第1電極配線(16)との間のはみ出し部分(13b)において、ガード電極(18)のうち相対的に低電位側の第1電極配線(16)側の端部は、相対的に高電位側の第1電極配線(16)の上に形成された第2電極配線(17)のうち相対的に低電位側の第1電極配線(16)側の端部よりも相対的に低電位側の第1電極配線(16)側に位置するように、相対的に高電位側の第1電極配線(16)の上に形成された第2電極配線(17)から露出している。
【0021】
そして、ガード電極(18)の一端部(18a)は高電位側の第1電極配線(16)のうち基板(2)と部材(9、15)との間に位置する部分に電気的に接続され、ガード電極の他端部(18b)は高電位側の第1電極配線(16)のうちはみ出し部分(13b)から突出した部分に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0022】
これによると、絶縁性接着剤(13)のはみ出し部分(13b)では、高電位側の第1電極配線(16)と低電位側の第1電極配線(16)との間にガード電極(18)が介在すると共に、第2電極配線(17)から露出したガード電極(18)が低電位側の第1電極配線(16)に対して電位差を生じさせる部分となるので、はみ出し部分(13b)に水分と塩素が存在し、ガード電極(18)と低電位側の第1電極配線(16)との間に電位差が生じることでガード電極(18)の表面に塩素が凝集したとしても、導電性酸化物からなるガード電極(18)に腐食が発生することはない。すなわち、はみ出し部分(13b)に含まれる塩素はガード電極(18)に凝集するので、高電位側の第1電極配線(16)の上に設けられた金属材料からなる第2電極配線(17)の腐食を防止することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明では、ガード電極(18)が接続された高電位側の第1電極配線(16)のうち、一対の第1電極配線(16)でガード電極(18)を挟む部分の配線幅が、一対の第1電極配線(16)でガード電極(18)を挟まない部分の配線幅よりも小さいことを特徴とする。
【0024】
このように、高電位側の第1電極配線(16)のうち一対の第1電極配線(16)でガード電極(18)を挟む部分の配線幅を部分的に小さくしているので、高電位側の第1電極配線(16)全体の配線抵抗の上昇を最小限に抑えることができる。また、第1電極配線(16)の配線幅内にガード電極(18)を位置させることができるので、一対の第1電極配線(16)の間を狭ピッチ化することができる。
【0025】
請求項3に記載の発明では、ガード電極(18)の一端部(18a)は、2つ以上に分割されていると共に分割されたそれぞれが高電位側の第1電極配線(16)のうち基板(2)と部材(9、15)との間に位置する部分にそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする。
【0026】
また、請求項4に記載の発明では、ガード電極の他端部(18b)は、2つ以上に分割されていると共に分割されたそれぞれが高電位側の第1電極配線(16)のうちはみ出し部分(13b)から突出した部分にそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする。
【0027】
請求項3および請求項4によると、高電位側の第1電極配線(16)とガード電極(18)とは2箇所以上で短絡されているので、微細化による高電位側の第1電極配線(16)とガード電極(18)との断線のリスクを減らすことができる。すなわち、第1電極配線(16)とガード電極(18)との電気的接続の冗長性を確保することができる。
【0028】
請求項5に記載の発明では、一対の第1電極配線(16)のうちガード電極(18)を挟まない部分において、高電位側の第1電極配線(16)の配線幅とこの高電位側の第1電極配線(16)に対して相対的に低電位側の第1電極配線(16)の配線幅とが異なることを特徴とする。
【0029】
これによると、隣り合う一対の第1電極配線(16)およびこの第1電極配線(16)の上に形成される第2電極配線(17)の電気抵抗値が揃うようにすることができる。このため、各電極配線(16、17)に流れる電流の大きさも揃えることができる。
【0030】
請求項6に記載の発明では、第2電極配線(17)は、Alを含む金属材料で形成されていることを特徴とする。
【0031】
このように、第2電極配線(17)がAlを含む金属材料で形成されているので、第2電極配線(17)の配線抵抗を小さくすることができる。
【0032】
請求項7に記載の発明では、第2電極配線(17)は、Al、Nd、Mo、Nbのうち少なくとも2種類以上の合金で形成されていることを特徴とする。
【0033】
このように、第2電極配線(17)は合金であるので、第2電極配線(17)の耐腐食性を向上させることができる。
【0034】
請求項8に記載の発明では、第2電極配線(17)は、AlおよびNdのいずれか1つまたは両方を含む金属層(17c)とMoおよびNbのいずれか1つまたは両方を含む金属層(17b、17d)との少なくとも2層以上の積層配線であることを特徴とする。
【0035】
これによると、AlおよびNdのいずれかを含む金属層(17c)がMoおよびNbのいずれかを含む金属層(17b、17d)で覆われているので、AlおよびNdのいずれかを含む金属層(17c)が水分や塩素との接触が防止され、第2電極配線(17)の耐腐食性を向上させることができる。
【0036】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態に係るEL表示装置の分解平面図である。
【図2】図1に示されるEL表示装置の断面図である。
【図3】複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】(a)は高電位側の第2引き出し配線を構成する第1電極配線の平面図であり、(b)は高電位側の第2引き出し配線を構成する第2電極配線の平面図である。
【図6】第2実施形態において、複数の第1引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第1引き出し配線を示した平面図である。
【図7】第3実施形態において、複数の端子配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の端子配線を示した平面図である。
【図8】第4実施形態において、複数の端子配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の端子配線を示した平面図である。
【図9】第5実施形態において、複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図である。
【図10】第6実施形態において、複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図である。
【図11】(a)は第7実施形態において複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図であり、(b)は(a)のB−B断面図である。
【図12】他の実施形態において、ガード電極の形状を説明するための図である。
【図13】他の実施形態において、ガード電極の形状を説明するための図である。
【図14】課題を説明するための図であり、ACFを介して半導体チップを基板に接着する圧着工程を示した図である。
【図15】課題を説明するための図であり、腐食が起こるメカニズムを説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0039】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係るEL表示装置は、例えば車両に搭載され、所定の情報を画像表示する車両用表示器として用いられる。
【0040】
図1は、本発明に係る配線基板を適用したEL表示装置の分解平面図である。また、図2は、図1に示されるEL表示装置の断面図である。これら図1および図2を参照してEL表示装置1の構成を説明する。
【0041】
まず、図2に示されるように、EL表示装置1は、透明なガラス等によって形成された基板2を有している。その基板2の一面には、第1電極3がストライプ状に形成されている。また、第1電極3の上にEL発光層4が一様な厚さで平面的に形成されている。さらに、EL発光層4の上には第2電極5がストライプ状に形成されている。
【0042】
第1電極3は、ホール注入電極として機能するITO等の導電性酸化膜によって形成された電極である。この第1電極3は、いわゆるデータ線である。また、第2電極5は、電子注入電極として機能するAl等の光反射性材料によって形成された電極である。この第2電極5は、いわゆる走査線である。これら第1電極3を構成するITO等の導電性酸化膜の厚さは例えば150nmであり、第2電極5を構成するAl等の光反射性材料の厚さは例えば200nmである。
【0043】
EL発光層4は、例えばホール注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等が順に形成されたEL膜である。EL膜として、無機EL膜や有機EL膜が採用される。
【0044】
そして、第1電極3および第2電極5は、図1に示されるように、互いに直交するようにそれぞれ形成されており、第1電極3と第2電極5との交差に画素がそれぞれ形成されている。したがって、各画素は基板2の一面においてドッド・マトリクス状に配列されており、このドット・マトリクス状に配列された各画素により有効表示領域6が形成される。この有効表示領域6に画像が表示される。
【0045】
また、第1電極3はカラム配線としての第1引き出し配線7に接続され、第2電極5はロウ配線としての第2引き出し配線8に接続されている。これら第1引き出し配線7および第2引き出し配線8は、基板2の外縁部に実装された駆動用IC9まで基板2の外縁部にそれぞれ引き回されている。第1引き出し配線7および第2引き出し配線8は、例えば150nmの厚さのITO等の導電性酸化膜上に例えば550nmの厚さのAlを含む金属材料が積層された積層配線構造になっている。なお、「Alを含む金属材料」とは、Alそのものでも良いし、Alを含んだAl合金でも良い。
【0046】
そして、図2に示されるように、接着剤10を介して有効表示領域6を覆うカバー11が基板2の一面に装着される。これにより、EL発光層4が封止されている。また、第1引き出し配線7および第2引き出し配線8の一部がカバー11から露出し、上述のように駆動用IC9まで引き伸ばされている。
【0047】
さらに、基板2の一面には、第1引き出し配線7および第2引き出し配線8の各端部から一定間隔を空けてさらに基板2の外縁側に端子配線12が形成されている。この端子配線12は、第1引き出し配線7および第2引き出し配線8と同様に、例えば150nmの厚さのITO等の導電性酸化膜上に例えば550nmの厚さのAlを含む金属材料が積層された積層配線構造になっている。
【0048】
駆動用IC9は、導電接合要素であるACF13を介して基板2に固定され、上記の第1引き出し配線7、第2引き出し配線8、および端子配線12に電気的に接続された電子部品である。駆動用IC9は、外部からの指令に基づいて、第1電極3および第2電極5に所望の電圧をそれぞれ印加することにより、有効表示領域6に所望の画像を表示させるための集積回路である。なお、駆動用IC9は半導体チップである。
【0049】
図2に示されるように、駆動用IC9は出力側バンプ9aおよび入力側バンプ9bを有している。そして、出力側バンプ9aが第1引き出し配線7や第2引き出し配線8に電気的に接続され、入力側バンプ9bが端子配線12に電気的に接続されている。
【0050】
ACF13は、塩素を含む絶縁性の接着剤に導電粒子13aが混入させられた接着フィルムである。ACF13の厚さは、例えば20μmである。また、ACF13の接着剤に含まれる導電粒子13aの材質は例えばNi/Auめっきの樹脂粒子であり、大きさは例えば3μmφであり、密度は例えば40000pcs/mm2である。
【0051】
駆動用IC9は以下のようにCOG実装される。まず、第1引き出し配線7、第2引き出し配線8、および端子配線12の端部を覆うようにACF13が基板2の上に貼付され、ACF13が基板2に仮圧着される。続いて、ACF13表面のカバーフィルムが剥がされ、駆動用IC9の出力側バンプ9aおよび入力側バンプ9bがACF13側に向けられると共にACF13の上に駆動用IC9が配置される。
【0052】
そして、図14に示された熱圧着装置36のヒータヘッド37で駆動用IC9を基板2側に押さえ付けると共にヒータヘッド37で駆動用IC9を介してACF13を加熱する。ここで、圧着条件は、例えば、加熱温度が160〜200℃、加熱時間が5〜10sec、圧力が50〜150MPaである。
【0053】
COG実装前は駆動用IC9の出力側バンプ9aおよび入力側バンプ9bは例えば高さが約10μmである。ヒータヘッド37によって駆動用IC9が基板2側に押し付けられることで、各バンプ9a、9bによって、各バンプ9a、9bと各配線7、8、12との間の導電粒子13aが潰される。これにより、各バンプ9a、9bと各配線7、8、12とが導通する。また、ACF13のうち各バンプ9a、9bと各配線7、8、12との間に位置していない導電粒子13aは潰されることはないので、基板2の一面の面方向に対しては絶縁性が維持されている。
【0054】
このように、本実施形態では、EL表示装置1は、基板2上に半導体チップである駆動用IC9が直接に実装されるいわゆるCOG方式により形成されている。
【0055】
また、駆動用IC9が基板2にCOG実装されたことで、ACF13には基板2と駆動用IC9との間からはみ出すと共に、基板2と駆動用IC9との間から露出した各配線7、8、12の一部を覆うはみ出し部分13bが形成されている。このはみ出し部分13bは、ヒータヘッド37で加熱される駆動用IC9に直接接触しないので、熱硬化せずに硬化が不十分な状態で基板2と駆動用IC9との間から露出している。つまり、駆動用IC9の側面よりも側面の外側に突出した状態になっている。
【0056】
なお、駆動用IC9に対してACF13の平面サイズが非常に大きい場合、はみ出し部分13bのうち駆動用IC9に近い部分は硬化が不十分な状態となっているが、はみ出し部分13bのうち駆動用IC9から遠い部分は熱が伝達されずに未硬化となっている場合もあり得る。
【0057】
そして、駆動用IC9やカバー11の外周には、各導電接続部に水滴等が付着することを防止するための防滴材14が設けられている。
【0058】
さらに、端子配線12には、配線接続要素としてFPC(Flexible Printed Circuit;FPC)15が電気的に接続されている。このFPC15は、フィルム状の絶縁体の上に金属配線パターン15aが形成され、この金属配線パターン15aの端部に金属配線端子15bが形成された電子部品である。なお、金属配線端子15bとしては、はんだめっきやAuめっきやSnめっき等が採用される。
【0059】
具体的には、駆動用IC9と端子配線12との電気的接続と同様に、FPC15に設けられた金属配線端子15bがACF13の導電粒子13aを介して端子配線12に電気的に接続され、端子配線12とFPC15とが導通している。また、FPC15と基板2の接続部には、水滴等が付着することを防止するための防滴材14が設けられている。
【0060】
FPC15のうち基板2側とは反対側の端部には図示しない外部接続端子が設けられており、この外部接続端子が図示しない外部回路に接続される。そして、この外部回路から伝送される信号に基づいて駆動用IC9が駆動され、駆動用IC9により第1電極3にデータ信号が入力され、第2電極5に走査信号が入力される。
【0061】
本実施形態に係るEL表示装置1は以上のように構成されており、第1電極3と第2電極5との間に流れる電流が画素毎に制御され、各画素が選択的に発光させられることにより、有効表示領域6内に文字や数字等の画像が表示される。
【0062】
次に、第2引き出し配線8の端部の具体的な構造について図3および図4を参照して説明する。図3は、図1に示された複数の第2引き出し配線8のうち互いに隣り合う一対の第2引き出し配線8を示した平面図である。また、図4は図3のA−A断面図である。
【0063】
図3に示されるように、駆動用IC9と第2引き出し配線8とが駆動用IC9の出力側バンプ9aによって電気的に接続されている。そして、互いに隣り合う一対の第2引き出し配線8には高電位側(V1)と低電位側(V2)という相対的にV1>V2の関係になっている。
【0064】
また、図4に示されるように、第2引き出し配線8は、基板2の上に形成されたITO等の導電性酸化物からなる第1電極配線16と、この第1電極配線16の上に形成されたAl等の金属材料からなる第2電極配線17との積層構造になっている。このように、高電位側および低電位側の各第2引き出し配線8が第1電極配線16および第2電極配線17の2層構造になっている。本実施形態では、第1電極配線16と第2電極配線17との各配線幅は同じである。
【0065】
なお、図4では、高電位側の第2引き出し配線8に係る断面図を示しているが、低電位側の第2引き出し配線8に係る断面も図4に示される断面図と同じである。
【0066】
そして、図3に示されるように、一対の第2引き出し配線8のうち高電位側の第2引き出し配線8は、高電位側の第2引き出し配線8と低電位側の第2引き出し配線8との間に位置すると共に、第1電極配線16に接続されたガード電極18を備えている。
【0067】
言い換えると、高電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16は、互いに隣り合う一対の第1電極配線16の間に配置されると共に、当該一対の第1電極配線16のうち相対的に高電位側の第1電極配線16に接続されたガード電極18を備えている。このガード電極18は、基板2の一面のうち基板2と駆動用IC9との間の領域からはみ出し部分13b側に延びると共に、ACF13のはみ出し部分13bとACF13の形成されていない部分との境界線を越えて形成されているとも言える。つまり、ACF13のはみ出し部分13bでは、高電位側および低電位側の各第2引き出し配線8の間にはガード電極18の中間部分のみが位置している。
【0068】
図5(a)は高電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16の平面図であり、図5(b)は高電位側の第2引き出し配線8を構成する第2電極配線17の平面図である。
【0069】
図5(a)に示されるように、ガード電極18は第1電極配線16の一部として設けられている。つまり、ガード電極18は第1電極配線16と同じITO等の導電性酸化物で形成されている。ここで、ガード電極18の厚さは第1電極配線16と同じ例えば150nmである。また、ガード電極は配線状をなしており、ガード電極18の一方と他方が第1電極配線16にそれぞれ接続された状態になっている。このため、第1電極配線16とガード電極18とで囲まれた空間(窓部)が形成される。
【0070】
一方、図5(b)に示されるように、第1電極配線16の上に形成される第2電極配線17にはガード電極18は設けられていない。したがって、図5(b)に示される第2電極配線17が図5(a)に示される第1電極配線16の上に形成されると、図3に示されるように、ガード電極18が第2電極配線17から突出した状態となる。そして、第2電極配線17の端部17aが駆動用IC9で覆われると共にACF13中の導電粒子13aおよび出力側バンプ9aを介して駆動用IC9に電気的に接続される。
【0071】
ここで、図5(a)に示されるように、高電位側の第1電極配線16のうちガード電極18が設けられた部分の配線幅が、ガード電極18が設けられていない部分の配線幅よりも細くなっている。なお、「高電位側の第1電極配線16のうちガード電極18が設けられた部分」とは、ガード電極18が接続された高電位側の第1電極配線16のうち、一対の第1電極配線16でガード電極18を挟む部分である。また、「高電位側の第1電極配線16のうちガード電極18が設けられていない部分」とは、一対の第1電極配線16でガード電極18を挟まない部分である。
【0072】
そして、図3に示されるように、ガード電極18の一端部18aは高電位側の第1電極配線16のうち基板2と駆動用IC9との間に位置する部分に電気的に接続されている。また、ガード電極の他端部18bは高電位側の第1電極配線16のうちはみ出し部分13bから突出した部分に電気的に接続されている。つまり、ガード電極18の他端部18bは、基板2上のうちはみ出し部分13bが形成されていない領域に位置している。このようにガード電極18の一端部18aおよび他端部18bが位置しているので、ガード電極18の一端部18aと他端部18bとの間の中間部分が、ACF13のはみ出し部分13bに覆われている。
【0073】
このように、ITO等の導電性酸化膜の上にAlを含む金属材料が積層されることによって形成されている第2引き出し配線8の間であって、かつ、ACF13のはみ出し部分13bに、導電性酸化膜からなるガード電極18を介在させている。このような構造により、はみ出し部分13bに位置する隣り合う高電位側と低電位側の各第2引き出し配線8において、電位差が生じるのはガード電極18と低電位側の第2引き出し配線8となるので、はみ出し部分13bに腐食の原因となる水分と塩素が存在した状態でガード電極18に低電位側の第2引き出し配線8よりも高い電圧が印加されてガード電極18の表面に塩素が凝集したとしても、導電性酸化物からなるガード電極18に腐食が発生することはない。
【0074】
また、一対の第1電極配線16を構成する相対的に高電位側の第1電極配線16と相対的に低電位側の第1電極配線16との間のはみ出し部分13bにおいて、ガード電極18のうち相対的に低電位側の第1電極配線16側の端部は、相対的に高電位側の第1電極配線16の上に形成された第2電極配線17のうち相対的に低電位側の第1電極配線16側の端部よりも相対的に低電位側の第1電極配線16側に位置するように、相対的に高電位側の第1電極配線16の上に形成された第2電極配線17から露出している。
【0075】
言い換えると、高電位側の第2引き出し配線8のうち低電位側の第2引き出し配線8側の端部と低電位側の第2引き出し配線8のうち高電位側の第2引き出し配線8側の端部との間のはみ出し部分13bにおいて、ガード電極18と高電位側の第2引き出し配線8との間、およびガード電極18と低電位側の第2引き出し配線8との間にははみ出し部分13bのみが存在し、各第2引き出し配線8の構成部分は存在していない。
【0076】
このように、高電位側の第2引き出し配線8と低電位側の第2引き出し配線8との間で電位差を生じさせる部分はガード電極18のみであるから、はみ出し部分13bにおいてACF13のはみ出し部分13bに含まれる塩素が凝集するのはガード電極18のみである。したがって、高電位側の第2引き出し配線8を構成する金属材料で形成された第2電極配線17には塩素が凝集することもないし、ひいては高電位側の第2電極配線17に腐食が発生することもない。
【0077】
ここまで、隣り合う一対の第2引き出し配線8について説明したが、電位差の大小関係が成り立つ限り、各第2引き出し配線8にガード電極18がそれぞれ設けられる。
【0078】
以上説明したように、本実施形態では、各引き出し配線7、8や端子配線12を、導電性酸化物からなる第1電極配線16の上に金属材料からなる第2電極配線17を形成した積層構造とし、隣り合う第2引き出し配線8間のうち相対的に高電位側の第2引き出し配線8に、ACF13の硬化が不十分であるはみ出し部分13bに位置するガード電極18を設けたことが特徴となっている。
【0079】
これにより、高電位側の第2引き出し配線8(第1電極配線16)とガード電極18とが接続され、高電位側の第2引き出し配線8とガード電極18とが同電位状態となるので、隣り合う第2引き出し配線8間において、電位差が生じるのは高電位側のガード電極18と低電位側の第2引き出し配線8となる。このため、腐食の原因の一つである塩素を、腐食しないガード電極18に凝集させることができるので、各配線8を構成する金属材料からなる第2電極配線17を腐食から防止することができる。なお、本実施形態ではガード電極18の厚さは第1電極配線16と同じであるが、高電位側の第2引き出し配線8とガード電極18とが同電位状態であれば、ガード電極18の厚さは第1電極配線16と異なっていても良い。
【0080】
また、本実施形態では、高電位側の第1電極配線16においてガード電極18が設けられる部分の配線幅をガード電極18が設けられない部分の配線幅よりも部分的に小さくしている。このため、第1電極配線16全体(つまり高電圧側の配線8)の配線抵抗の上昇を最小限に抑えることができる。そして、ガード電極18が設けられない部分の配線幅の範囲内にガード電極18を配置できるので、各配線8のピッチを狭くすることができ、ひいては狭ピッチ化することができる。
【0081】
特に、図1に示されるように、基板2の外縁部に第2引き出し配線8を引き回す場合には、各第2引き出し配線8を狭ピッチ化することができるので、基板2のサイズや外縁部のスペースを大きくする必要がなく、表示パネルを狭額縁化することができる。
【0082】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、駆動用IC9が特許請求の範囲の「部材」に対応し、ACF13が特許請求の範囲の「絶縁性接着剤」に対応する。
【0083】
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について説明する。上記第1実施形態では、第2引き出し配線8にガード電極18を設けることについて説明した。しかしながら、第1引き出し配線7についても隣り合う第1引き出し配線7間で電位差が生じる場合には高電位側の第1引き出し配線7にガード電極18を設けることで、金属材料で形成された第2電極配線17の腐食を防止することができる。
【0084】
図6は、複数の第1引き出し配線7のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第1引き出し配線7を示した平面図である。この図に示されるように、隣り合う第1引き出し配線7間のうち高電位側(V1)の第1引き出し配線7に、ACF13の硬化が不十分であるはみ出し部分13bに位置するガード電極18が設けられている。なお、第1引き出し配線7の断面構造は、図4に示されるように、導電性酸化物からなる第1電極配線16の上に金属材料からなる第2電極配線17が形成された積層構造である。
【0085】
このように、第1引き出し配線7にガード電極18を設けることにより、高電位側の第1引き出し配線7を構成する金属材料からなる第2電極配線17の腐食を防止することができる。
【0086】
(第3実施形態)
本実施形態では、第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。上記第1、第2実施形態では、第1、第2引き出し配線7、8にガード電極18をそれぞれ設けることについて説明した。しかしながら、端子配線12にガード電極18を設けることもできる。
【0087】
図7は、複数の端子配線12のうち互いに隣り合う少なくとも一対の端子配線12を示した平面図である。この図に示されるように、端子配線12についても隣り合う端子配線12間で電位差が生じる場合には高電位側の端子配線12にガード電極18を設けることで、金属材料で形成された第2電極配線17の腐食を防止することができる。
【0088】
(第4実施形態)
本実施形態では、第1〜第3実施形態と異なる部分について説明する。上記第1〜第3実施形態では、ACF13を介して第1、第2引き出し配線7、8や端子配線12に駆動用IC9を接続した場合にACF13のはみ出し部分13bにガード電極18をそれぞれ設けることについて説明した。しかしながら、図2に示されるように、ACF13を介して端子配線12にFPC15を接続する場合にもACF13のはみ出し部分13bが設けられるので、端子配線12とFPC15との接続関係に基づいて端子配線12にガード電極18を設けることもできる。
【0089】
図8は、複数の端子配線12のうち互いに隣り合う少なくとも一対の端子配線12を示した平面図である。この図に示されるように、各端子配線12にはFPC15の金属配線端子15bが電気的に接続されている。そして、複数の端子配線12にFPC15が接続されたことにより、隣り合う端子配線12間で電位差が生じる場合、高電位側の端子配線12にガード電極18が設けられる。これにより、端子配線12を構成する金属材料で形成された第2電極配線17の腐食を防止することができる。
【0090】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、FPC15が特許請求の範囲の「部材」に対応する。
【0091】
(第5実施形態)
本実施形態では、上記各実施形態と異なる部分について説明する。上記各実施形態では、各引き出し配線7、8や端子配線12を構成する第1電極配線16および第2電極配線17の配線幅はガード電極18を除いて同じであった。本実施形態では、これら第1電極配線16と第2電極配線17との配線幅やピッチを規定したことが特徴となっている。
【0092】
図9は、複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図である。この図に示されるように、高電位側の第2引き出し配線8のうち、ガード電極18が設けられていない部分の第1電極配線16の配線幅をTとするとT=50μmであり、第2電極配線17の配線幅をT’とするとT’=40μmである。また、第2電極配線17は第1電極配線16に沿って形成されており、第1電極配線16の端部と第2電極配線17の端部との幅をLとするとL=5μmである。
【0093】
また、ガード電極18の幅をIとするとI=10μmであり、高電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16とガード電極18との間のスペースをJとするとJ=5μmである。
【0094】
一方、低電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16の配線幅をUとするとU=50μmであり、第2電極配線17の配線幅をU’とするとU’=40μmである。また、第2電極配線17は第1電極配線16に沿って形成されており、第1電極配線16の端部と第2電極配線17の端部との幅をMとするとM=5μmである。
【0095】
そして、高電位側の第2引き出し配線8のうちガード電極18が設けられていない部分において、各第2引き出し配線8を構成する各第1電極配線16の間隔をVとするとV=35μmであり、各第2電極配線17の間隔をWとするとW=45μmである。
【0096】
以上のように、各第2引き出し配線8において、第1電極配線16の配線幅を第2電極配線17の配線幅よりも広くすることもできる。なお、本実施形態では、第2引き出し配線8と駆動用IC9との接続部分について説明したが、第1引き出し配線7や端子配線12についても同様である。また、端子配線12とFPC15との接続部分についても同様に各配線幅や間隔を規定することができる。
【0097】
(第6実施形態)
本実施形態では、第5実施形態と異なる部分について説明する。図10は、複数の第2引き出し配線のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線を示した平面図である。この図に示されるように、本実施形態では、高電位側の第2引き出し配線8のうち、ガード電極18が設けられていない部分の第1電極配線16の配線幅をPとするとこの配線幅PはP=60μmであり、第5実施形態で示された配線幅Tよりも大きい値になっている。第2電極配線17の配線幅P’についても同様にP’=50μmであり、第5実施形態で示された配線幅T’よりも大きくなっている。また、第2電極配線17は第1電極配線16に沿って形成されており、第1電極配線16の端部と第2電極配線17の端部との幅をNとするとN=5μmである。
【0098】
また、ガード電極18の幅をGとするとG=10μmであり、高電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16とガード電極18との間のスペースをHとするとH=5μmである。
【0099】
一方、低電位側の第2引き出し配線8を構成する第1電極配線16の配線幅をQとするとQ=50μmであり、第2電極配線17の配線幅をQ’とするとQ’=40μmである。
【0100】
そして、高電位側の第2引き出し配線8のうちガード電極18が設けられていない部分において、各第2引き出し配線8を構成する各第1電極配線16の間隔をRとするとR=25μmであり、各第2電極配線17の間隔をSとするとS=35μmである。また、第2電極配線17は第1電極配線16に沿って形成されており、第1電極配線16の端部と第2電極配線17の端部との幅をOとするとO=5μmである。
【0101】
このような構造によると、駆動用IC9の出力側バンプ9aと第2電極配線17から有効表示領域6までの電気抵抗値を揃えることができる。したがって、各第2引き出し配線8に等電圧を印加したときに、駆動用IC9の出力側バンプ9aと第2電極配線17との接続部から有効表示領域6までに流れる電流値を揃えることができる。
【0102】
なお、第1引き出し配線7や端子配線12、端子配線12とFPC15との接続部分についても上記と同様に各配線幅や間隔を規定することができる。
【0103】
(第7実施形態)
本実施形態では、上記各実施形態と異なる部分について説明する。図11(a)は、複数の第2引き出し配線8のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第2引き出し配線8を示した平面図である。また、図11(b)は、図11(a)のB−B断面図である。
【0104】
図11(b)に示されるように、第2引き出し配線8を構成する第2電極配線17は、第1電極配線16の上に形成された第1金属層17bと、この第1金属層17bの上に形成された第2金属層17cと、この第2金属層17cの上に形成された第3金属層17dと、で構成された積層構造になっている。
【0105】
第1金属層17bは例えばMoで形成され、厚さは例えば50nmである。第2金属層17cは例えばAlNdで形成され、厚さは例えば450nmである。また、第3金属層17dは例えばMoNbで形成され、厚さは例えば50nmである。導電性酸化膜である第1電極配線16の厚さは例えば150nmである。
【0106】
以上のように、金属材料で構成された第2電極配線17を複数の金属層17b〜17dとすることで、腐食が発生しやすいAlNdからなる第2金属層17cを第1金属層17bおよび第3金属層17dで覆うことができ、AlNdからなる第2金属層17cの水分や塩素との接触が防止され、第2金属層17cの耐腐食性を向上させることができる。
【0107】
なお、本実施形態では、第2引き出し配線8の構造について説明したが、第1引き出し配線7や端子配線12についても上記と同様の構造とすることができる。
【0108】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、車両用のEL表示装置1を例に説明したが、車両用のEL表示装置1に限らず、基板2にACF13を介して半導体チップが実装される装置に適用することができる。
【0109】
上記各実施形態で示されたEL表示装置1の構成は一例を示すものであり、形状や材質などについて適宜変更することができる。例えば、ガード電極18は1本の配線状に形成されたものであったが、ガード電極18の形状はこれに限らず他の形状でも良い。
【0110】
具体的には、図12(a)に示されるように、ガード電極18の他端部18bが第2引き出し配線8の延設方向にそって引き伸ばされて第1電極配線16に接続されていても良い。つまり、ガード電極18は中間部から他端部18bの先端まで直線状に形成されている。また、図12(b)に示されるように、ガード電極18は二重に設けられていても良い。これにより、ガード電極18の冗長性を確保できる。
【0111】
さらに、図13(a)に示されるように、1つのガード電極18に第2引き出し配線8に並行に延びる部分が2箇所設けられていても良い。これにより、第2引き出し配線8とガード電極18との間に空間部分が2箇所設けられる。そして、ガード電極18のうち第2引き出し配線8に並行に延びる2箇所のうちの1箇所が断線したとしても、もう1箇所が接続されているので、ガード電極18の冗長性を確保できる。
【0112】
また、図13(b)に示されるように、ガード電極18の他端部18bが2つに分割され、それぞれが第1電極配線16に接続されていても良い。このように、ガード電極18と第1電極配線16とが2箇所以上で接続されているため、1箇所が断線しても、もう1箇所が接続されていることにより、ガード電極18と第1電極配線16との同電位状態は保たれる。すなわち、ガード電極18の断線のリスクを減らすことができる。
【0113】
なお、ガード電極18の一端部18a側が複数に分割されていても良い。また、ガード電極18の一端部18aと他端部18bの両方がそれぞれ複数に分割されていても良い。
【0114】
上記図12および図13では、第2引き出し配線8を例に説明したが、もちろん、第1引き出し配線7や端子配線12に設けられるガード電極18についても同様のことが言える。
【0115】
そして、第5、第6実施形態で配線幅の一例が示されたように、各配線7、8、12のうちガード電極18を挟まない部分において、高電位側の第1電極配線16の配線幅とこの高電位側の第1電極配線16に対して相対的に低電位側の第1電極配線16の配線幅とが異ならせることができる。これにより、各配線7、8、12の配線抵抗を調節することができる。
【0116】
さらに、第7実施形態では、第2電極配線17が3つの金属層17b〜17dで構成されていたが、第2電極配線17は、Al、Nd、Mo、Nbのうち少なくとも2種類以上の合金で形成されていても良い。また、第2電極配線17は、第2金属層17cが水分や塩素との接触から防止されるように第2金属層17cの上層が覆われていれば良いので、第2電極配線17は3層ではなく少なくとも2層以上の積層配線となっていれば良い。このように、第2電極配線17を合金とすることで、第2電極配線17の耐腐食性を向上させることができる。
【0117】
上記各実施形態では、第2電極配線17は第1電極配線16と同じ配線幅であるかまたは第2電極配線17は第1電極配線16よりも小さい配線幅であった。すなわち、第2電極配線17は第1電極配線16の上のみ(もしくは第1電極配線16のうちガード電極18を除く範囲内)に形成されていた。しかし、これは各電極配線16、17の配線幅の一例である。したがって、第2電極配線17は第1電極配線16よりも大きい配線幅になっていても良い。このような場合であっても、はみ出し部分13bにおいて、ガード電極18のうち相対的に低電位側の第1電極配線16側の端部は、相対的に高電位側の第2電極配線17から露出していれば良い。これにより、相対的に低電位側の第1電極配線16に対してガード電極18が高電位側の電極となる。
【符号の説明】
【0118】
2 基板
9 駆動用IC
13 ACF
13b はみ出し部分
16 第1電極配線
17 第2電極配線
17a 第2電極配線の端部
17b 第1金属層
17c 第2金属層
17d 第3金属層
18 ガード電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(2)の上に導電性酸化物からなる複数の第1電極配線(16)が形成され、前記複数の第1電極配線(16)の上それぞれに金属材料からなる第2電極配線(17)がそれぞれ形成されており、
前記第2電極配線(17)の端部(17a)を覆うと共に前記第2電極配線(17)に電気的に接続された部材(9、15)が、塩素を含む絶縁性接着剤(13)を介して前記基板(2)に固定されており、
前記複数の第1電極配線(16)のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第1電極配線(16)の間に配置されると共に、前記一対の第1電極配線(16)のうち相対的に高電位側の第1電極配線(16)に接続され、導電性酸化物からなる配線状のガード電極(18)を備えた配線基板であって、
前記絶縁性接着剤(13)は、前記基板(2)と前記部材(9、15)との間からはみ出すと共に、前記基板(2)と前記部材(9、15)との間から露出した前記第1電極配線(16)、前記第2電極配線(17)、およびガード電極(18)の一部を覆うはみ出し部分(13b)を有し、
前記一対の第1電極配線(16)を構成する前記相対的に高電位側の第1電極配線(16)と相対的に低電位側の第1電極配線(16)との間の前記はみ出し部分(13b)において、前記ガード電極(18)のうち前記相対的に低電位側の第1電極配線(16)側の端部は、前記相対的に高電位側の第1電極配線(16)の上に形成された第2電極配線(17)のうち前記相対的に低電位側の第1電極配線(16)側の端部よりも前記相対的に低電位側の第1電極配線(16)側に位置するように、前記相対的に高電位側の第1電極配線(16)の上に形成された前記第2電極配線(17)から露出しており、
前記ガード電極(18)の一端部(18a)は前記高電位側の第1電極配線(16)のうち前記基板(2)と前記部材(9、15)との間に位置する部分に電気的に接続され、前記ガード電極の他端部(18b)は前記高電位側の第1電極配線(16)のうち前記はみ出し部分(13b)から突出した部分に電気的に接続されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記ガード電極(18)が接続された高電位側の第1電極配線(16)のうち、前記一対の第1電極配線(16)で前記ガード電極(18)を挟む部分の配線幅が、前記一対の第1電極配線(16)で前記ガード電極(18)を挟まない部分の配線幅よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記ガード電極(18)の一端部(18a)は、2つ以上に分割されていると共に分割されたそれぞれが前記高電位側の第1電極配線(16)のうち前記基板(2)と前記部材(9、15)との間に位置する部分にそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記ガード電極の他端部(18b)は、2つ以上に分割されていると共に分割されたそれぞれが前記高電位側の第1電極配線(16)のうち前記はみ出し部分(13b)から突出した部分にそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項5】
前記一対の第1電極配線(16)のうち前記ガード電極(18)を挟まない部分において、前記高電位側の第1電極配線(16)の配線幅とこの高電位側の第1電極配線(16)に対して相対的に低電位側の第1電極配線(16)の配線幅とが異なることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項6】
前記第2電極配線(17)は、Alを含む金属材料で形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項7】
前記第2電極配線(17)は、Al、Nd、Mo、Nbのうち少なくとも2種類以上の合金で形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項8】
前記第2電極配線(17)は、AlおよびNdのいずれか1つまたは両方を含む金属層(17c)とMoおよびNbのいずれか1つまたは両方を含む金属層(17b、17d)との少なくとも2層以上の積層配線であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項1】
基板(2)の上に導電性酸化物からなる複数の第1電極配線(16)が形成され、前記複数の第1電極配線(16)の上それぞれに金属材料からなる第2電極配線(17)がそれぞれ形成されており、
前記第2電極配線(17)の端部(17a)を覆うと共に前記第2電極配線(17)に電気的に接続された部材(9、15)が、塩素を含む絶縁性接着剤(13)を介して前記基板(2)に固定されており、
前記複数の第1電極配線(16)のうち互いに隣り合う少なくとも一対の第1電極配線(16)の間に配置されると共に、前記一対の第1電極配線(16)のうち相対的に高電位側の第1電極配線(16)に接続され、導電性酸化物からなる配線状のガード電極(18)を備えた配線基板であって、
前記絶縁性接着剤(13)は、前記基板(2)と前記部材(9、15)との間からはみ出すと共に、前記基板(2)と前記部材(9、15)との間から露出した前記第1電極配線(16)、前記第2電極配線(17)、およびガード電極(18)の一部を覆うはみ出し部分(13b)を有し、
前記一対の第1電極配線(16)を構成する前記相対的に高電位側の第1電極配線(16)と相対的に低電位側の第1電極配線(16)との間の前記はみ出し部分(13b)において、前記ガード電極(18)のうち前記相対的に低電位側の第1電極配線(16)側の端部は、前記相対的に高電位側の第1電極配線(16)の上に形成された第2電極配線(17)のうち前記相対的に低電位側の第1電極配線(16)側の端部よりも前記相対的に低電位側の第1電極配線(16)側に位置するように、前記相対的に高電位側の第1電極配線(16)の上に形成された前記第2電極配線(17)から露出しており、
前記ガード電極(18)の一端部(18a)は前記高電位側の第1電極配線(16)のうち前記基板(2)と前記部材(9、15)との間に位置する部分に電気的に接続され、前記ガード電極の他端部(18b)は前記高電位側の第1電極配線(16)のうち前記はみ出し部分(13b)から突出した部分に電気的に接続されていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記ガード電極(18)が接続された高電位側の第1電極配線(16)のうち、前記一対の第1電極配線(16)で前記ガード電極(18)を挟む部分の配線幅が、前記一対の第1電極配線(16)で前記ガード電極(18)を挟まない部分の配線幅よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記ガード電極(18)の一端部(18a)は、2つ以上に分割されていると共に分割されたそれぞれが前記高電位側の第1電極配線(16)のうち前記基板(2)と前記部材(9、15)との間に位置する部分にそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記ガード電極の他端部(18b)は、2つ以上に分割されていると共に分割されたそれぞれが前記高電位側の第1電極配線(16)のうち前記はみ出し部分(13b)から突出した部分にそれぞれ電気的に接続されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項5】
前記一対の第1電極配線(16)のうち前記ガード電極(18)を挟まない部分において、前記高電位側の第1電極配線(16)の配線幅とこの高電位側の第1電極配線(16)に対して相対的に低電位側の第1電極配線(16)の配線幅とが異なることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項6】
前記第2電極配線(17)は、Alを含む金属材料で形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項7】
前記第2電極配線(17)は、Al、Nd、Mo、Nbのうち少なくとも2種類以上の合金で形成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項8】
前記第2電極配線(17)は、AlおよびNdのいずれか1つまたは両方を含む金属層(17c)とMoおよびNbのいずれか1つまたは両方を含む金属層(17b、17d)との少なくとも2層以上の積層配線であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の配線基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【公開番号】特開2011−210819(P2011−210819A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75120(P2010−75120)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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