説明

酸不安定化合物の安定な医薬製剤およびその製造方法

本発明は、(a)酸不安定ベンズイミダゾール誘導体を含有するコア、(b)シールコーティング層、(c)腸溶コーティング層を含有し、該組成物のコアが崩壊剤を含有しない、酸不安定ベンズイミダゾール誘導体の経口医薬製剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は一般に、酸不安定化合物の医薬製剤およびその製造方法に関する。より具体的には、本発明は、崩壊剤を本質的に含有しない、ベンズイミダゾール誘導体を含有する安定な医薬製剤を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
酸不安定薬は、本質的に置換されたベンズイミダゾール胃酸分泌抑制剤(オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール等)およびその製薬的に許容し得る塩からなる。これらの薬剤は、胃酸の分泌に対して強力な阻害剤作用を有するプロトンポンプ阻害剤として知られている。これらは、様々な消化管潰瘍の処置に適用されており、当分野では周知であり、米国特許第4,255,431号に記載されている。
【0003】
これらのベンズイミダゾール誘導体は、酸性媒体中で容易に破壊されるため経口投与製剤にすることが困難であることが分かっている。経口投与すると、医薬組成物は胃の中で強い酸性の胃液と接触して、これはベンズイミダゾール誘導体の分解および活性の喪失につながる。
【0004】
酸不安定の医薬を含有する医薬組成物は、腸溶コーティングによって酸性の胃液から保護される。しかしながら、腸溶コーティング材の多くは、それ自身がもともと酸性であるか、または酸性物質を含んでおり、ベンズイミダゾール誘導体と反応して分解を引き起こしうる。
【0005】
ベンズイミダゾール化合物に関連する安定性の課題は、従来技術においてよく認識されており、ベンズイミダゾール化合物を含有する安定な製剤を製造するために様々な手法が教示されている。ベンズイミダゾール化合物を安定化するための最も一般的な手法の1つとしては、アルカリ性コア、そして分離層および最後に腸溶層の使用がある。従来技術においては、充填剤および結合剤をコア中に使用し、ベンズイミダゾール誘導体に関連する安定性の問題を軽減することも述べられている。従来技術文献のいくつかには、酸不安定物質の経口投与に適したそのような組成物が記載されている。
【0006】
Lovgren et al.は、米国特許第4,786,505号において、酸の攻撃に耐性があり中性またはアルカリ性の媒体中で急速に溶解するオメプラゾールの安定な医薬調製物を記載している。オメプラゾールの粒子を水溶性のアルカリ性反応物質と混合し、粒子をpH緩衝ゾーンとして作用する「分離層」でコーティングして、薬物と最外層を形成する最終の腸溶コーティング物質中に存在する酸性基との接触を防止するものである。
【0007】
米国特許第4,853,230(Aktiebolaget Hassle)は、酸不安定化合物を、アルカリ性の反応性化合物または酸不安定化合物のアルカリ塩、場合によりアルカリ性化合物、と共に含有するコア物質、水に可溶性のまたは急速に分解する不活性な化合物または高分子の水溶性フィルム形成化合物、場合によりpH緩衝性アルカリ性化合物、を含有するシールコーティング層、そして最後に腸溶フィルム形成物質でコーティングされた医薬調製物を開示している。
【0008】
米国特許第5,997,903(Byk Golden Lomberg Chem Fab)は、活性成分またはその生理学的に塩が、結合剤、充填剤、塩基性無機化合物および場合によりさらなる錠剤助剤からなる群から選択されるものと混合されているコアを含有し、コアが不活性な水溶性の中間層、胃液に耐性のある外層でコーティングされているペレットまたは錠剤の形態の経口投与用医薬を包含している。この特許の請求項には、活性成分としてパントプラゾール、結合剤としてポリビニルピロリドンおよび/またはヒドロキシプロピルメチルセルロース、充填剤としてマンニトールが記載されている。Dietrich et al.によれば、錠剤の単独の充填剤としてマンニトールの使用には適当な結合剤が必要であるが、これはコアに対する適切な硬度に悪影響を及ぼす。同様の欧州特許EP0589981は、酸不安定化合物の経口薬に関し、これは活性成分としてパントプラゾールが1またはそれ以上の結合剤、充填剤、所望により1またはそれ以上の塩基性の生理学的に許容される無機化合物および他の錠剤助剤と混合されたコアを有し、コアを水溶性の中間層でコーティングした後、胃液に耐性のある外層でコーティングされている。
【0009】
米国特許第5,035,899(Saeki et al.)は、胃酸との接触から保護された酸不安定な薬物の組成物に関する。薬物を含有するコアは、水溶性の低い物質の微粒子で最初にコーティングした後、腸溶フィルムを形成する物質でコーティングされている。
【0010】
Sachs et al.は、米国特許第6,274,173において、パントプラゾール以外の酸不安定プロトンポンプ阻害剤、アルカリ性のペレットまたはコア錠、活性成分の放出を制御する少なくとも1つの非水溶性中間層、および小腸で可溶の外側の腸溶層を含有する、放出制御医薬組成物を開示している。シールコーティングは活性成分の放出を制御として記載され、それにより活性成分が修飾された放出形式で放出され、即ち、活性成分の一部が急速な形で放出され一部がコントロールされた形で放出される。
【0011】
米国特許第6,602,522(Andrx Pharmaceuticals)は、経口投与のためのオメプラゾールの医薬組成物を開示しており、これは治療上有効量の酸不安定化合物、例えば置換されたベンズイミダゾール(オメプラゾール等)、場合により表面活性剤、充填剤、製薬的に許容しうるアルカリ剤、結合剤を含有するコア;該コア上の、腸溶コーティング剤の層からなる単層のコーティングを含んでなるものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
活性成分が胃の中の酸に暴露されることがなく、且つよりアルカリ性の環境に入ったときに急速に放出され、それと同時にその組成物が安定であるような、薬物を含有する剤型が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
発明の概要
本発明の第一の目的は、より良好な安定性と効果的なバイオアベイラビリティーを有する、酸不安定ベンズイミダゾール誘導体の新規な、コスト面で有効な医薬製剤を提供することである。
【0014】
さらに本発明の目的は、崩壊剤を本質的に含有しないコア、シールコートおよびシールコート上の腸溶コートを含んでなる、酸不安定ベンズイミダゾール誘導体の新規医薬製剤を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる目的は、崩壊剤を本質的に含有せず、所望により結合剤を含有するコア、シールコートおよびシールコート上の腸溶コートを含んでなる、酸不安定ベンズイミダゾール誘導体のための新規医薬製剤を提供することである。
【0016】
本発明のさらなる目的は、活性成分の薬物動態に対してある特定の利点につながる、水溶性および非水溶性賦形剤の固有の組み合わせを採用した、酸不安定ベンズイミダゾール誘導体の新規医薬製剤を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる目的は、賦形剤の相互作用から薬物放出を制御するための賦形剤をそれらの水溶性および疎水性に基づいて選択することによる、良好な安定性および効果的なバイオアベイラビリティーを有する、酸不安定ベンズイミダゾール誘導体の新規医薬製剤の製造方法を提供することである。
【0018】
以下の態様によって、本発明の目的がさらに記載されるが、開示された発明は以下に記載された本発明の特定の態様に限定されず、当業者に自明である修飾も包含される。
【0019】
好ましい態様では、本製剤は、(a)有効量の酸不安定ベンズイミダゾール誘導体、充填剤および製薬的に許容しうるアルカリ剤を含有する圧縮コア;(b)該圧縮コアをコーティングする水溶性シールの少なくとも1つの層;および(c)シールコーティング層上の腸溶コーティングの少なくとも1つの層を含有し、圧縮コアが崩壊剤を含有しない。
【0020】
別の好ましい態様では、本製剤は、(a)治療上有効量の酸不安定ベンズイミダゾール誘導体、充填剤および製薬的に許容しうるアルカリ剤を含有する圧縮コア;該圧縮コアをコーティングする水溶性シールの少なくとも1つの層;および(c)シールコーティング層上の腸溶コーティングの少なくとも1つの層を含有し、圧縮コアが崩壊剤を含有せず、所望により結合剤を含有する。
【0021】
本発明の別の態様は、以下の工程、酸不安定ベンズイミダゾール誘導体、充填剤、製薬的に許容しうるアルカリ剤を含有し、結合剤を所望により含有し、崩壊剤を本質的に含有しない圧縮コアを形成する工程、該圧縮コアのシールコーティング、次いで酸不安定ベンズイミダゾール誘導体の胃での安定性に必須の、ベンズイミダゾール製剤に対して徐放特性をもたらす、腸溶コーティングによるコーティングを含んでなる、酸不安定ベンズイミダゾール誘導体の医薬製剤の製造方法を提供する。
【0022】
本発明の医薬投与形態または製剤において、酸不安定ベンズイミダゾール誘導体としては、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、チモプラゾールまたはピコプラゾールまたはそれらの製薬的に許容し得る塩、溶媒和物または水和物があげられるがこれらに限定されない。本発明の組成物に好ましいベンズイミダゾール誘導体は、パントプラゾールまたはその製薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくは水和物である。
【0023】
本発明の組成物の別の態様は、充填剤、アルカリ剤、流動促進剤、粘着防止剤、潤滑剤、シール−コーティング剤、腸溶コーティング剤、可塑剤、着色料、乳白剤および溶媒を含んでなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
発明の詳細な記載
本明細書は、本発明とされるものを具体的に特定し別途その範囲を主張する特許請求の範囲で結論付けられるが、本発明は、以下の詳細な記載を読み、記載された実施例を検討することにより、さらに容易に理解することができよう。
【0025】
本明細書において用いられる「酸不安定ベンズイミダゾール」なる用語は、pH4未満の水溶液中での半減期が10分未満である、治療を目的とするベンズイミダゾール化合物、例えばパントプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール等を意味する。
【0026】
本明細書において用いられる用語「徐放性錠剤」なる用語は、固形剤形の薬物を投与後すぐに放出するもの以外を意味する。本発明では、腸溶コーティングされたものは徐放性投与形態である。
【0027】
特に記載しなければ、本明細書において重量パーセントは、組成物または製剤の最終の重量に基づく。
【0028】
本明細書において用いられる用語「Cmax」は、パントプラゾール徐放錠剤の経口投与後に達する最大血漿/血液パントプラゾール濃度を意味する。
【0029】
本明細書において用いられる用語「Tmax」は、パントプラゾールの最大血漿濃度が達する時間を意味する。
【0030】
本明細書において用いられる用語「AUC(濃度曲線下面積)」は、あらかじめ決められた時間内(通常24時間)に血流によって吸収されたパントプラゾールの合計量を示す。AUCはバイオアベイラビリティーの尺度であり、パントプラゾールの血漿濃度レベルを時間で積分することにより計算される。
【0031】
本明細書において用いられるAUC 0-tは、直線台形法によって計算された、時間0から最後に測定した濃度までの時間軸に対するパントプラゾールの血漿濃度曲線の下の面積を示す。
【0032】
本明細書において用いられる、「AUC 0-∞」は、0から無限大の時間の、時間対パントプラゾール血漿濃度曲線の下の面積を示す。
【0033】
本発明は、コア、水溶性の不活性なコーティング剤のサブコート、そして次いで、サブコート上の腸溶コーティング剤のフィルムを含んでなり、コアがベンズイミダゾール誘導体、充填剤、製薬的に許容しうるアルカリ剤を含有し、および結合剤を所望により含有し、崩壊剤を本質的に含有しない、酸不安定ベンズイミダゾール誘導体の医薬組成物を記載する。
【0034】
意外にも、本発明者は、ベンズイミダゾール化合物の組成物、特にパントプラゾール組成物では、結合剤の添加は任意であり、崩壊剤の使用は本質的に回避できることを見出した。得られた製品はそれでも、優れた保存安定性とともに良好な結合特性と崩壊特性を有する。本発明の組成物は、崩壊剤を含有しないにもかかわらず、実質的な量の崩壊剤を有するパントプラゾールナトリウム塩セスキ水和物の市販の錠剤と生物学的等価性を示す。Wyeth Pharamaceutical Limitedは、パントプラゾールナトリウム塩セスキ水和物錠剤を米国でProtonixの商品名で販売している。Altana Pharmaは、ProtiumおよびZurcaleの商品名でパントプラゾール錠剤をヨーロッパ諸国で販売している。
【0035】
本発明の好ましい態様では、(1)酸不安定化合物組成物中に崩壊剤を本質的に含有しない、(2)所望により結合剤を含有し、(3)崩壊剤の不在下で、該組成物が、他の製剤の賦形剤の相互作用から、それらの水溶性および疎水性に基づいて薬物放出を制御する、製剤を開示する。
【0036】
コア錠
本発明の医薬組成物のコアは、活性成分のベンズイミダゾール誘導体、充填剤、アルカリ剤、潤滑剤および流動促進剤を含有する。
【0037】
本発明の組成物の一態様では、ベンズイミダゾール誘導体としては、オメプラゾール、ランソプラゾール、パントプラゾール、ラベプラゾール、チモプラゾールまたはピコプラゾールまたはその製薬的に許容しうる塩、溶媒和物または水和物が挙げられるがこれに限定されない。本発明の組成物に好ましいベンズイミダゾール誘導体は、パントプラゾールまたはその製薬的に許容し得る塩、溶媒和物または水和物である。
【0038】
本発明のベンズイミダゾール誘導体は、約10〜30重量%の量で用いられる。
【0039】
本発明の充填剤は、ポリオールの様々な例から選択される。本発明の組成物に適当ナポリオールの例としては、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、エリトリトールまたはマルチトールまたはそれらの組み合わせが挙げられるがこれに限定されない。本発明の組成物に好ましい充填剤は、マンニトールである。本発明において用いられるマンニトールは、マンニトールM25(Roquette(フランス))の商品名で商業的に入手可能である。好ましくは、充填剤は、約40〜70重量%の量で用いられる。
【0040】
本発明の医薬組成物のコアに用いられる潤滑剤の非限定的な例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、軽質鉱物油、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、およびタルクが挙げられる。好ましい潤滑剤は、ステアリン酸カルシウムである。ステアリン酸カルシウムは、Ferro, Portugalからステアリン酸カルシウムVGの商品名で商業的に入手可能である。好ましくは、潤滑剤は0.2〜5重量%の量で用いる。
【0041】
本発明の医薬組成物のコアに用いられる流動促進剤の非限定的な例としては、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素およびタルクが挙げられる。好ましい流動促進剤はタルクである。タルクは、Luzenac(イタリア)から商業的に入手可能である。好ましくは、流動促進剤は約0.5〜10重量%の量で用いる。
【0042】
酸不安定ベンズイミダゾール誘導体活性成分の周囲のpHの微小環境を約7より上にするために、本発明の医薬組成物はアルカリ剤を含有する。アルカリ剤の例としては、薬理学的に認められている弱酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属または金属塩、たとえば炭酸ナトリウム(無水または水和物であってよい)、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウム、および薬理学的に認められているアルカリ土類および土類金属の水酸化物および酸化物、たとえば水酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウム等が挙げられるがこれに限定されない。本発明の組成物に好ましいアルカリ剤は、無水炭酸ナトリウムである。無水炭酸ナトリウムは、Dr. Paul Lohmann(ドイツ)から商業的に入手可能である。好ましくは、アルカリ剤は約2〜10重量%の量で用いられる。
【0043】
本発明の組成物に任意で用いられる結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、および微晶性セルロースからなる群から選択される。ヒドロキシプロピルセルロースは、Aqualon- Hercules(米国)からKlucel EXF Pharmの商品名で商業的に入手可能である。本発明の組成物に任意で用いられる好ましい結合剤はヒドロキシプロピルセルロースである。好ましくは、結合剤は、所望により約0〜5重量%の量で用いられる。
【0044】
シールコーティング層
本組成物の水溶性シールコーティング層は水性媒体中で迅速に崩壊するように設計される。本発明のシールコーティング層は、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる群から選択される、少なくとも1つの水溶性ポリマーである。本発明のシールコーティング層に好ましい水溶性ポリマーは、3センチポワズの粘度を有する、低粘度ヒドロキシプロピルメチルセルロース.ヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、信越化学(日本)からMethocel E3 およびPharmacoat 603の商品名で商業的に入手可能である。好ましくは、シールコーティング層に含まれる水溶性のポリマーは、約1〜10重量%の量で用いられる。
【0045】
シールコーティング層はさらに、他の添加剤、可塑剤(プロピレングリコール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチルまたはクエン酸トリエチル等)およびタッキング防止剤(ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素またはタルク等)を含有することができる。シールコーティング層に好ましい可塑剤は、ポリエチレングリコール400である。ポリエチレングリコール400は、BASF Pharma(ドイツ)からLutroll E 400の商品名で商業的に入手可能である。好ましいタッキング防止剤はタルクであり、Luzenac(イタリア)から商業的に入手可能である。好ましくは、可塑剤およびタッキング防止剤は、それぞれ約0.1〜5重量%および0.2〜5重量%の量で用いられる。
【0046】
上記の可塑剤およびタッキング防止剤以外に、シールコーティング層は、所望により、当業者に知られている緩衝剤、着色料、乳白剤、界面活性剤または塩基を含有していてもよい。
【0047】
シールコーティング層は、任意の慣用のコーティング装置を用いてコア上に塗布される。但し、コアにシールコーティングを施すために、流動床コーター等のより高性能の装置を用いることもできる。
【0048】
腸溶コーティング層
本発明の組成物の腸溶層は、シールコーティング層上に生じる腸溶ポリマーを含んでなる1またはそれ以上の層を意味する。腸溶層は、小腸液に可溶であり、胃液には耐性のあるものである。腸溶層は、投与形態が胃を通過する間に酸による分解から酸不安定ベンズイミダゾール誘導体活性成分を保護するのを助ける。
【0049】
本発明の組成物の腸溶層は、1またはそれ以上の腸溶ポリマー、可塑剤、タッキング防止剤、乳白剤、着色料、および香味剤を含んでなる。
【0050】
本発明の組成物の腸溶ポリマーは、フタル酸セルロースおよびその誘導体、酢酸フタル酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルフタル酸セルロース、および酢酸フタル酸ポリビニルおよびメタクリル酸コポリマーからなる群から選択することができる。本発明の組成物に好ましい腸溶ポリマーはメタクリル酸コポリマーである。官能基としてメタクリル酸を有するアニオン性ポリマーは、腸溶ポリマーとして優れており、Degussa(ドイツ)から、Eudragit(登録商標)L 100-55(粉末)、Eudragit(登録商標) L30 D- 55 (Eudragit(登録商標)L 100-55の30%水性分散液)、Eudragit L100 (粉末) およびEudragit(登録商標)S 100 (粉末)の商品名で商業的に入手可能である。本発明の組成物にさらにより好ましい腸溶ポリマーは、Eudragit(登録商標) L30 D- 55(メタクリル酸 およびアクリル酸エチルベースのアニオン性ポリマーの水性分散液である)である。好ましくは、腸溶ポリマーは約5〜15重量%の量で用いられる。
【0051】
可塑剤の非限定的な例としては、プロピレングリコール、トリアセチン、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチルまたはクエン酸トリエチルが挙げられる。好ましい可塑剤はクエン酸トリエチルである。クエン酸は、Pfizer(米国)からCitroflexの商品名で商業的に入手可能である。クエン酸トリエチルはまた、Morflex Inc(米国)からも商業的に入手可能である。好ましくは、可塑剤は、約1〜5重量%の量で用いられる。
【0052】
タッキング防止剤の非限定的な例としては、ステアリン酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素およびタルクが挙げられる。好ましいタッキング防止剤はタルクである。タルクは、Luzenac(イタリア)から商業的に入手可能である。好ましくは、タッキング防止剤は約0.5〜10重量%の量で用いる。
【0053】
乳白剤は、例えば、二酸化チタンを含む、当業者に知られている様々な試薬から選択される。腸溶コーティング層に好ましい乳白剤は二酸化チタンである。二酸化チタンはKronos GermanyからTitanium dioxide Kronos 1170の商品名で商業的に入手可能である。好ましくは、乳白剤は約1〜5重量%の量で用いられる。
【0054】
腸溶層の着色料の非限定的な例としてはカラメル、レッド酸化鉄、イエロー酸化鉄、 F D C イエロー no. 6 およびブラックが挙げられる。腸溶層のための好ましい着色料は、F D C イエロー no. 6である。F D C イエロー no. 6 は、Colorcon(米国)から商業的に入手可能である。好ましくは、着色料は、約0〜5重量%の量である。
【0055】
腸溶コーティング層は、任意の慣用のコーティング装置を用いてシールコーティング層上に塗布する。但し、コアのシールコーティング層に腸溶ポリマーの水溶性分散液の腸溶コーティング層を塗布するために、流動床コーター等のより高性能の装置を用いることもできる。
【0056】
本発明の別の態様はさらに、酸不安定ベンズイミダゾール誘導体活性成分の医薬組成物の製造方法を提供する。
(1)ベンズイミダゾール誘導体活性成分を、希釈剤および50%の量のアルカリ剤と乾式混合し、(2)(1)で得られた混合物を、炭酸ナトリウムの水溶液とともに造粒し、(3)(2)で得られた湿塊を適当なサイズのシーブに通し、顆粒を適当な乾燥機で乾燥し、(4)得られた顆粒を適当なサイズのメッシュに通し、これを潤滑剤および流動促進剤と混合し、(5)この潤滑顆粒をコア錠に圧縮し、(6)低粘度の水溶性ポリマーを水に溶解し、可塑剤およびタッキング防止剤を該ポリマー水溶液に加え、(7)(5)で得られたコアを工程(6)で得られたコーティング溶液でシールコーティングし、(8)腸溶ポリマーを水に溶解または希釈し、可塑剤、着色料、タッキング防止剤および乳白剤を該溶液または懸濁液に加え、そして最後に(9)サブコートされたコアを適当なコーティング装置にて腸溶コーティングする。
【0057】
本発明の製造方法により、結合剤を所望により含有し、崩壊剤を本質的に含有せず、且つ保存安定性が依然として良好な、ベンズイミダゾール誘導体の医薬組成物を製造することが可能である。
【0058】
本発明の組成物は、慣用的な錠剤、ビーズ、および直径1〜6mmの範囲のミニタブレットのような種々の物理的形態に製剤化することができる。
【実施例】
【0059】
以下の非限定的な実施例によって本発明の具体的な態様を説明する。但し、これらは、何ら本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【0060】
実施例1
パントプラゾール徐放性錠剤
【表1】

手順:
1.パントプラゾールナトリウム塩セスキ水和物、マンニトールおよび炭酸ナトリウム(5mg)を適当なメッシュに通し、これらを混合した。
2.炭酸ナトリウム(5mg)を水に溶解し、得られた分散液を工程1で得られた混合物の造粒に用いた。
3.形成した顆粒を適当なメッシュに通し、適当な乾燥機で乾燥した。
4.乾燥した顆粒を適当なメッシュに通し、タルクおよびステアリン酸カルシウムと混合した。
5.潤滑顆粒をコア錠に圧縮した。
上で製造したコア錠は製造過程と取り扱い上の特性が良好であった。上記工程5で得られたコア錠の物理特性は、以下の表2に示す確立された薬局方の制限内にあった。
【表2】

【0061】
【表3】

手順:
6.工程5で得られたコア錠を、慣用のコーティングパンにて、上記組成(表3)に示すように調製したコート分散液でシールコートした。コーティング分散液は以下のとおり調製した:(i)HPMC E3を水に溶解し;(ii)PEG 400を工程(i)の溶液に溶解し;(iii)タルクおよびSpectracol F D C イエロー no. 6 lakeを少量の水に分散し、この分散液を時々攪拌しながら工程(ii)の分散液中に加えた。
【0062】
【表4】

手順:
7.工程6で得られたシールコートされた錠剤を、慣用のコーティングパンにて、上記の組成(表4)に示したとおり調製したコーティング分散液で腸溶コーティングした。腸溶コーティング分散液は、以下のとおり調製した:(i)タルク、Spectracol F D C イエロー no. 6 lakeおよび二酸化チタンを水に溶解し、5分間均一にし;(ii)クエン酸トリエチルをEudragit L30D-55中に加え;(iii)(i)の分散液を時々攪拌しながら(ii)の分散液に加えた。
【0063】
実施例2
パントプラゾール徐放性錠剤
【表5】

手順:
1.炭酸ナトリウム(5mg)の一部を精製水に溶解した
2.パントプラゾールナトリウム塩セスキ水和物、マンニトール25、適当な量の炭酸ナトリウム(5mg)、およびヒドロキシプロピルセルロース(Klucel EXF)を適当なメッシュに通し、これらを混合した。
3.工程2の混合物を工程1の溶液とともに造粒した。
4.顆粒を適当な乾燥機にて適温にて乾燥した。
5.乾燥した顆粒を適当なメッシュサイズに通し潤滑化した。
6.この潤滑顆粒をコア錠に圧縮した。
上で製造したコア錠は製造過程と取り扱い上の特性が良好であった。工程6で得られたコア錠の物理特性は、以下の表6に示す確立された薬局方の制限内にあった。
【表6】

【0064】
【表7】

手順:
7.工程6で得られたコア錠を、慣用のコーティングパンにて、上記の組成(表7)のとおり調製したコート分散液でシールコートした。シールコーティング分散液は以下のとおり調製した:(i)HPMC 3 cps を水に溶解し;(ii)PEG 400 を(i)の分散液に加え;(iii)タルクおよびSpectracol F D C イエロー no. 6 lake を十分量の水に分散し、この分散液を5分間均一にし;(iv)(iii)の分散液を、時々攪拌しながら(ii)の分散液に加えた。
【0065】
【表8】

手順:
8.工程7で得られたシールコートされた錠剤を、慣用のコーティングパンにて、上記の組成(表8)のとおり調製した腸溶コーティング分散液で腸溶コーティングした。腸溶コーティング分散液は以下のとおり調製した:(i)タルク、Spectracol F D C 6イエローlake および二酸化チタンを水に溶解して5分間均一にし;(ii)クエン酸トリエチルをEudragit L30D-55中に加え;(iii)(i)の分散液を、時々攪拌しながら(ii)の分散液に加えた。
【0066】
実施例3
ランソプラゾール徐放性錠剤:
【表9】

製造手順:
1.ランソプラゾール、適量のマンニトール25(5mg)および炭酸ナトリウム(5mg)を適当なシーブに通し、これらを混合した。
2.残りの量のマンニトール(5mg)および炭酸ナトリウム(5mg)を精製水に溶解した。
3.工程1の混合物を工程2の溶液とともに造粒した。
4.顆粒を適当な乾燥機にて適温にて乾燥した。
5.乾燥した顆粒を適当なメッシュサイズに通し潤滑化した。
6.この潤滑顆粒をコア錠に圧縮した。
上で製造したコア錠は製造過程と取り扱い上の特性が良好であった。工程6で得られたコア錠の物理特性は、以下の表10に示す確立された薬局方の制限内にあった。
【表10】

【0067】
【表11】

手順:
7.工程6で得られたコア錠を慣用のコーティングパンにて、上記の組成(表11)のとおり調製したシールコーティング分散液でシールコーティングした。シールコーティング分散液は、実施例1に記載の方法と同様に調製した。
【0068】
【表12】

手順:
8.工程7で得られたシールコートされた錠剤を、慣用のコーティングパンにて上記の組成(表12)のとおり調製した腸溶コーティング分散液で腸溶コーティングした。腸溶コーティング分散液は、実施例1に記載の方法と同様に調製した。
【0069】
実施例4
ラベプラゾール徐放性錠剤
【表13】

製造手順:
1.ラベプラゾールナトリウム、マンニトールおよび炭酸ナトリウム(2.5mg)を適当なシーブに通し、これらを混合した。
2.残りの量の炭酸ナトリウム(2.5mg)を精製水に溶解した。
3.工程1の混合物を工程2の溶液とともに造粒した。
4.顆粒を適当な乾燥機にて適温にて乾燥した。
5.乾燥した顆粒を適当なシーブに通した。
6.タルクおよびステアリン酸カルシウムを適当なシーブに通し、これを工程5の顆粒と混合した。
7.この潤滑顆粒をコア錠に圧縮した。
上で製造したコア錠は製造過程と取り扱い上の特性が良好であった。工程6で得られたコア錠の物理特性は、以下の表14に示す確立された薬局方の制限内にあった。
【表14】

【0070】
【表15】

手順:
8.工程7で得られたコア錠を、慣用のコーティングパンにて、上記の組成(表15)のとおり調製したコート分散液でシールコートした。シールコーティング分散液は、実施例1に記載の方法と同様に調製した。
【0071】
【表16】

手順:
9.工程8で得られたシールコートされた錠剤を、慣用のコーティングパンにて、上記の組成のとおり調製したコーティング分散液で腸溶コーティングした。腸溶コーティング分散液は、実施例1に記載の方法と同様に調製した。
【0072】
実施例5
実施例1および実施例2で製造した錠剤に対して、ICHガイドラインに従い加速安定性試験(温度/相対湿度 42℃+2℃/75%+5%(3ヶ月))を行った。結果は、保存期間の最後に錠剤に存在するパントプラゾールの量とし、確認済の高速液体クロマトグラフィー法で解析し、以下の表17に示す。
【表17】

【0073】
実施例6
徐放パントプラゾール製剤のバイオアベイラビリティー
この実施例は、濃度曲線下面積(AUC)およびCmaxによって測定した、実施例1の製剤 (表示量:40 mgパントプラゾール) の、Zurcale(登録商標)(表示量:40 mg パントプラゾール)によってもたらされるのと同程度のパントプラゾールのバイオアベイラビリティーをもたらす能力を実証する。Zurcaleは、Altana pharmaによってヨーロッパ諸国で販売されている。
【0074】
本実施例は、参照品Zurcale(登録商標)錠剤および実施例1の試験品パントプラゾール錠剤の経口投与後に達した血漿パントプラゾール濃度を測定したin-vivo試験を記載する。このin-vivo試験は、12人の健康な成人男性に対して断食下で行った。血漿パントプラゾールを、各製剤の単回経口投与の後、24時間測定した。各個人には、交差法で2種類の製剤それぞれを投与した。試験は2種類の製剤の投与の間に3日間の洗い出し期間を設け連続して2週間行い、個々の血漿レベルを、LC−MS/MS機器を用いる確認済みのアッセイ法を用いてあらかじめ決まった時間に測定した。SAS (SAS institute Inc.(米国). Version 9.1.3)として知られる商業的に入手可能な統計ソフトウェアプログラムを用いて、各時点で得られた血漿濃度値を評価し、Zurcale(登録商標)および被検製剤によって得られる濃度曲線下面積(AUC)および最大濃度(Cmax)を算出した。血漿濃度プロファイルを図1に示した。被検製剤は、このプログラムによって算出されたように、Zurcale(登録商標)のバイオアベイラビリティーと実質的に同等の、パントプラゾールのバイオアベイラビリティーをもたらした。参照品および被検製剤の両方について薬物動態パラメーターを表18に示した。
【表18】

上記より、本発明の製剤は、重要なことに、Zurcale(登録商標)と同等の、または生物学的等価である、パントプラゾールのバイオアベイラビリティーをもたらしていることが明白に示されている。
【0075】
本発明を、特定の好ましい態様を参照して詳細に記載したが、当然のことながら、本発明はこれらの態様には限定されない。むしろ、現時点での本発明の最良の実施形態を記載している本明細書の開示に照らして、多くの修飾および変更が本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者に開示される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、商業的に入手可能なパントプラゾール徐放錠剤「Zurcale」(Altana Pharma)および実施例1のパントプラゾールのバイオアベイラビリティーを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸不安定ベンズイミダゾール誘導体の経口医薬製剤であって、
(a)有効量の該酸不安定ベンズイミダゾール誘導体、充填剤およびアルカリ剤を含有する圧縮コア;
(b)少なくとも1つのシールコーティング層;および
(c)少なくとも腸溶コーティング層;
含有し、該圧縮コアが崩壊剤を含有しない、経口医薬製剤。
【請求項2】
酸不安定ベンズイミダゾール誘導体が、パントプラゾール、オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、チモプラゾールまたはピコプラゾールまたはその製薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくは水和物からなる群から選択される、請求項1記載の経口医薬製剤。
【請求項3】
酸不安定ベンズイミダゾール誘導体が、好ましくはパントプラゾールまたはその製薬的に許容し得る塩、溶媒和物もしくは水和物またはそれらの組合せである、請求項1記載の経口医薬製剤。
【請求項4】
充填剤がマンニトール、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、エリトリトールまたはマルチトールからなる群から選択される、請求項1記載の経口医薬製剤。
【請求項5】
好ましい充填剤がマンニトールである、請求項4記載の経口医薬製剤。
【請求項6】
アルカリ剤が、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウムおよび酸化マグネシウムからなる群から選択される、請求項1記載の経口医薬製剤。
【請求項7】
好ましいアルカリ剤が炭酸ナトリウムである、請求項6記載の経口医薬製剤。
【請求項8】
充填剤が、好ましくは約40〜70重量%の量で用いられる、請求項1記載の経口医薬製剤。
【請求項9】
アルカリ剤が、好ましくは約2〜10重量%の量で用いられる、請求項1記載の経口医薬製剤。
【請求項10】
場合により結合剤を含有する、請求項1記載の経口医薬製剤。
【請求項11】
結合剤がヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロースおよび微晶性のセルロースを含んでなる群から選択される、請求項10記載の経口医薬製剤。
【請求項12】
結合剤は好ましくはヒドロキシプロピルセルロースである、請求項11記載の経口医薬製剤。
【請求項13】
結合剤は好ましくは約0〜5重量%の量で用いられる、請求項10記載の経口医薬製剤。
【請求項14】
前記製剤のコアがさらに潤滑剤および流動促進剤を含有する、請求項1記載の経口医薬製剤。
【請求項15】
潤滑剤が好ましくは約0.2〜5重量%の量で用いられる、請求項14記載の経口医薬製剤。
【請求項16】
流動促進剤が好ましくは約0.2〜5重量%の量で用いられる、請求項14記載の経口医薬製剤。
【請求項17】
潤滑剤がステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、軽質鉱物油、ベヘン酸グリセリル、ポリエチレングリコール、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸からなる群から選択される、請求項14記載の経口医薬製剤。
【請求項18】
潤滑剤がステアリン酸カルシウムである、請求項17記載の経口医薬製剤。
【請求項19】
流動促進剤がケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素およびタルクからなる群から選択される、請求項14記載の経口医薬製剤。
【請求項20】
流動促進剤がタルクである、請求項19記載の経口医薬製剤。
【請求項21】
酸不安定ベンズイミダゾール誘導体の経口医薬製剤であって、
(a)重量%で以下のもの:
約10〜30%の該ベンズイミダゾール誘導体、
約40〜70%の充填剤、
約2〜10%のアルカリ剤
を含有する該酸不安定ベンズイミダゾール誘導体のコアであって、該アルカリ剤は炭酸ナトリウムであり、該コアは崩壊剤を本質的に含有しない、
(b)シールまたはシールコーティング層、および
(c)腸溶コーティング層
を含有する経口医薬製剤。
【請求項22】
以下のものを含有する、錠剤の形態のパントプラゾールの経口医薬製剤:
(a)パントプラゾールを含有するコアであって、該コアは重量%で以下のものを含有する:
約10〜30%のパントプラゾール、
約40〜70%のマンニトール、
約2〜10%の炭酸ナトリウムであって、該コアは本質的に崩壊剤を含有せず
(b)シールまたはシールコーティング層、および
(c)腸溶コーティング層。
【請求項23】
以下のものを含有する、錠剤の形態の酸不安定ベンズイミダゾール誘導体の経口医薬製剤:
(a)該酸不安定ベンズイミダゾール誘導体を含有するコアであって該コアは重量%で以下のものを含有する:
約10〜30%の該ベンズイミダゾール誘導体、
約40〜70%の充填剤、
約2〜10%のアルカリ性物質、
約0〜1%の結合剤、
約0.2〜5%の潤滑剤、
約0.5〜10%の流動促進剤であって、該コアは本質的に崩壊剤を含有せず、
(b)シールまたはシールコーティング層、および
(c)腸溶コーティング層。
【請求項24】
以下のものを含有する錠剤の形態のパントプラゾールの経口医薬製剤:
(a)パントプラゾールを含有するコアであって、該コアは重量%で以下のものを含有する:
約10〜30%の該パントプラゾール、
約40〜70%のマンニトール、
約2〜10%の炭酸ナトリウム、
約0〜1%のヒドロキシプロピルセルロース、
約0.2〜5%のステアリン酸カルシウム、
約0.2〜5%のタルクであって、該コアは本質的に崩壊剤を含有せず、
(b)シールまたはシールコーティング層、および
(c)腸溶コーティング層。
【請求項25】
以下のものを含有する、錠剤の形態のランソプラゾールの経口医薬製剤:
(a)ランソプラゾールを含有するコアであって、該コアは重量%で以下のものを含有する:
約10〜30%のランソプラゾール、
約40〜70%のマンニトール、
約2〜10%の炭酸ナトリウム、
約0〜1%のヒドロキシプロピルセルロース、
約0.2〜5%のステアリン酸カルシウム、
約0.2〜5%のタルクであって、該コアは本質的に崩壊剤を含有せず、
(b)シールまたはシールコーティング層、および
(c)腸溶コーティング層。
【請求項26】
以下のものを含有する、錠剤の形態のラベプラゾールの経口医薬製剤:
(a)ラベプラゾールを含有するコアであって、該コアは重量%で以下のものを含有する:
約10〜30%の該ラベプラゾール、
約40〜70%のマンニトール、
約2〜10%の炭酸ナトリウム、
約0〜1%のヒドロキシプロピルセルロース、
約0.2〜5%のステアリン酸カルシウム、
約0.2〜5%のタルクであって、該コアは本質的に崩壊剤を含有せず、
(b)シールまたはシールコーティング層、および
(c)腸溶コーティング層。
【請求項27】
以下の工程を含んでなる製造方法によって製造される、請求項1記載の経口医薬製剤:
(i)ベンズイミダゾール誘導体活性成分を、大量の希釈剤および50%の量のアルカリ剤と乾式混合し、
(ii)工程(i)で得られた混合物を、炭酸ナトリウムおよび少量の充填剤の水溶液とともに造粒し、
(iii)工程(ii)で得られた湿塊をシーブに通し、得られた顆粒を乾燥し、
(iv)乾燥した顆粒をシーブに通しこれを潤滑剤および流動促進剤と混合し、
(v)工程(iv)の潤滑顆粒をコア錠に圧縮し、
(vi)低粘度の水溶性ポリマーを水に溶解し、可塑剤およびタッキング防止剤を該ポリマー水溶液に加え、
(vii)工程(v)で得られたコアを工程(vi)で得られたコーティング溶液でシールコーティングし、
(viii)腸溶ポリマーを水に溶解し、可塑剤、着色料、タッキング防止剤および乳白剤を該溶液または懸濁液に加え、および
(ix)サブコートされたコアを工程(viii)で得られたコーティング溶液で腸溶コーティングする。

【図1】
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【公表番号】特表2009−523784(P2009−523784A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550912(P2008−550912)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【国際出願番号】PCT/IN2006/000463
【国際公開番号】WO2007/080601
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(506343313)ジュビラント・オルガノシス・リミテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】JUBILANT ORGANOSYS LIMITED
【Fターム(参考)】