説明

酸化クロムの処理及びフッ化ビニルの触媒的製造

【課題】1,1−ジフルオロエタンからフッ化ビニルへの脱フッ化水素のために有用な触媒の調製法を提供すること。
【解決手段】 (i)表面Bを含有する塊状酸化クロム組成物を高められた温度においてHFで処理することにより該組成物中に存在する表面Bを減少させるか及び/又は(ii)Bを含有する塊状酸化クロム組成物を酸素又は酸素−含有環境(例えば空気)中で高められた温度において、未処理の塊状組成物の表面分析と比較して少なくとも2倍に組成物の表面上のBを増大させるのに十分な時間加熱することにより該組成物を処理してその表面上に存在するBを増大することを含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明はフッ化ビニルの製造方法、さらに特定的には、1,1−ジフルオロエタンからフッ化ビニルへの脱フッ化水素化(dehydrofluorination)のための触媒及び触媒的方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
フッ化ビニル(すなわちCH=CHF又はVF)は、優れた耐候性及び耐薬品性を有するフルオロカーボンポリマーの製造のための有用なモノマーである。
【0003】
フッ化ビニルはアセチレン及びフッ化水素から水銀触媒を用いて製造することができる。1,1−ジフルオロエタン(すなわちCHFCH又はHFC−152a)の脱フッ化水素化によってそれを製造することもできる。特許文献1は、フッ化ビニル及び1,1−ジフルオロエタンの製造法を開示している。この方法ではHF及びアセチレンにクロム触媒(例えば酸化クロム又はクロム塩触媒)の上を通過させ、VF及びHFC−152aの混合物を得る。これらの触媒を用いて生成物HFC−152aからVFに転化させる方法もこの特許に開示されている。該特許はこのHFC−152aの転化のために、HF及びアセチレンの反応に用いられ、その活性が低下しており、次いで加熱された触媒上に空気又は酸素を通過させることにより(例えば約600〜700℃で1〜3時間)処理され、HFC−152aからVFへの脱フッ化水素化で用いるために活性化されている触媒を用いることを記載している(例えば約200℃〜400℃において、及び1時間に触媒の体積当たりに約20〜約80体積の速度において)。HFC−152aからVFへの転化のためのもっと有効な触媒の開発における興味が進行中である。
【特許文献1】米国特許第2,892,000号
【発明の開示】
【0004】
発明の概略
本発明はフッ化ビニルの製造のための有利な方法、ならびに該方法で有用な触媒の調製に用いることができる有利な方法を提供する。表面Bを含有する塊状(bulk)酸化クロム組成物に存在する表面Bを減少させる方法を提供する。該方法は、該塊状酸化クロム組成物を高められた温度(例えば200〜400℃)でHFと接触させることを含む。Bを含有する塊状酸化クロム組成物を処理してその表面上に存在するBを増大させる(enrich)ための方法も提供する。この方法は、該組成物を酸素又は酸素−含有環境(例えば空気)中で、高められた温度において、組成物の表面上のBを未処理の塊状組成物の表面B含有量と比較して少なくとも2倍(at least a factor of two)に増大させるのに十分な時間加熱することを含む。さらに、最初に上記の通りに塊状酸化クロム組成物を処理してその表面上に存在するBを増大させ、表面−増大組成物を高温で気相のHFと接触させることにより、Bを含有する塊状酸化クロム組成物に存在するBの量を減少させる方法を提供する。
【0005】
本明細書において、1,1−ジフルオロエタンを気相において、約225℃〜375℃の温度で、クロムが触媒の金属カチオンの少なくとも95原子パーセントである3価クロム触媒(好ましくは主にアルファ−酸化クロムの形態を有するか及び/又はアルカリ金属酸化物として1000ppm未満のアルカリ金属を含有する3価クロム触媒)と接触させることを含む方法を提供する。これらの方法の有利な実施態様を提供し、その実施態様では、上記の通りに塊状酸化クロム組成物に存在するBを減少させることにより触媒を調製する。さらに別の有利な実施態様を提供し、その実施態様ではクロムが触媒の金属カチオンの少なくとも99原子パーセントである。空間速度が1時間に触媒の容量当たり約200容量〜2000容量の1,1−ジフルオロエタンである有利な実施態様も提供する。
【0006】
詳細な議論
本発明は、選ばれた高純度3価クロム触媒の存在下で1,1−ジフルオロエタンを接触させることによるフッ化ビニルの製造法を提供する。好ましい触媒はCrを含む。特に好ましいのは主にアルファ−酸化クロムの形態を有するCr(特に本質的にアルファ−酸化クロムから成るCr)である。(NHCrの熱分解により調製されるCrが含まれる。
【0007】
本発明の方法に適した二クロム酸アンモニウムの熱分解により調製されるCrは、米国特許第4,843,181及び5,036,036号に開示されている方法を含む当該技術分野において既知のいずれの方法によっても調製することができ、これらの特許は引用することによりその記載事項が本明細書の内容となる。この方法で得られるCrは少量の汚染物(例えばカリウム)を含有し得、それは最初の(NH)Crのための製造法の結果として存在する。カリウム又は他の水溶性不純物の量は、従来の方法における水洗により減少させることができる。
【0008】
本発明の方法で用いることができる他のCr触媒には、x−線回折により決定されるアルファ−酸化クロム形態を示すようにそれを転化させる処理が施された非晶質酸化クロム触媒が含まれる。処理のためのいくつかの方法を利用することができるが、有用な方法は、非晶質酸化クロムを空気中で高温に(例えば400〜500℃)、十分な時間(通常24〜48時間)加熱することである。
【0009】
を含有する塊状酸化クロム組成物を酸素中、空気中又は他の酸素−含有環境中で、高められた温度において(例えば400〜500℃)、組成物の表面上のBを濃縮するのに十分な時間加熱することができる。一般にこの方法で、未処理の塊状組成物の表面分析と比較して少なくとも2倍に表面上のBを濃縮するのが望ましい。この方法は、例えばCrが組成物の金属カチオンの約95〜99原子パーセントであり、Bが組成物の金属カチオンの約0.1〜5原子パーセントである塊状酸化クロム組成物における表面Bを増大させるために用いることができる。出発塊状酸化クロム組成物が非晶質である場合、この熱処理を用い、同時に組成物内においてアルファ−酸化クロム形態を与えることができる。次いで酸化クロム組成物の表面上に存在するBの量を、高められた温度(例えば200〜400℃)において気相のHFで処理することにより減少させることができる。
【0010】
例えばGuignet’s green(商業的に入手可能な緑顔料であり、下記のような典型的組成を有する:Cr 79〜83%、HO 16〜18%、B 1.5〜2.7%)を表面濃縮のこの方法により処理し、それを本質的にアルファ−形態に転化させることができる。この熱処理の後に、熱処理された材料を高温で(通常200〜300℃)HFで処理してホウ素をBFとして除去することにより、Bとして存在するホウ素を除去することができる。HFを用いるこの処理の間に、少量の酸化クロムがオキシフッ化クロムに転化し得る。処理の前、Guignet’s greenは、もし有しているとしても少量のアルファ−酸化クロム形態しか有していないと思われる。ホウ素を除去するための上記の熱処理の後、得られるクロム触媒はアルファ−酸化クロムに典型的なx−線パターンを有する。
【0011】
触媒の構造は重要ではなく、例えばペレット、粉末又は顆粒を含むことができる。3価クロム触媒はアルカリ金属酸化物として1000ppm未満のアルカリ金属及びBとして2000ppm未満のホウ素を含有するのが好ましい。触媒の金属カチオンが少なくとも約99原子パーセントにおいてクロムである、より好ましくは約99.5原子パーセントか又はそれ以上においてクロムである触媒を用いるのが、1,1−ジフルオロエタンの転化のために特に有利であることが見いだされた。
【0012】
一般にCr触媒は使用前にHFで処理される。これは表面酸化クロムのいくらかをオキシフッ化クロムに転化させると思われる。この予備処理は、本発明の反応を行うために用いられるべき反応器であることができる適した容器にCrを入れ、その後乾燥されたCr上にHFを通過させ、Crを部分的にHFで飽和させることにより行うことができる。これは例えば約200℃〜約450℃の温度で、ある時間(例えば約15〜300分)、Cr上にHFを通過させることにより簡単に行われる。それにもかかわらず、このHF処理は必須ではない。
【0013】
反応温度は通常約200℃〜約400℃、好ましくは約225℃〜375℃の範囲内である。1,1−ジフルオロエタンは1時間に触媒の容量当たり約200容量〜約2000容量;好ましくは1時間に触媒の容量当たり400容量〜1000容量の速度で触媒上を通過させられる。 反応圧力は減圧、大気圧又は過圧であることができる。一般に大気圧近辺の圧力が好ましい。
【0014】
フッ化ビニル及びフッ化水素への1,1−ジフルオロエタンの脱フッ化水素化は、平衡反応である。公開文献に従うと、下記のフッ化ビニル(VF)の平衡濃度が決定されている;227℃において約13% VF、327℃において約40% VF、及び427℃において約99% VF。
【0015】
未反応の出発材料は、追加のCH=CHFの製造のための反応器に再循環させることができる。フッ化水素(沸点 −72℃)は、蒸留などの通常の方法により反応生成物及び未反応1,1−ジフルオロエタン(沸点 −25℃)から回収することができる。
【0016】
本発明の方法は、周知の化学工学的実行を用い、気相で容易に行うことができる。
【0017】
反応領域及びそれに伴う供給ライン、流出ライン及び伴う装置は、フッ化水素に耐性の材料で構築されねばならない。フッ素化の技術分野において周知の典型的構築材料は、ステンレススチール、特にオーステナイト型のもの、周知の高ニッケル合金、例えばMonelニッケル−銅合金、Hastelloyニッケル−ベース合金及びInconelニッケル−クロム合金、ならびに銅−クラッドスチールを含む。炭化ケイ素も反応器の二次加工に適している。
【0018】
当該技術分野における熟練者は本明細書の記載を用い、さらに苦心することなく本発明をその最大まで利用することができると思われる。下記の好ましい特定の実施態様は例示とみなされるべきであり、いかようにも開示の残りを束縛するとみなされるべきではない。
【実施例】
【0019】
触媒の評価のための一般的方法
流動砂床内に保持された12”(30.5cm)X1/2”(1.3cm)の炭素鋼管から成る固定−床反応器で触媒評価を行った。床の中心で温度を測定した。供給材料は反応器を通る逆流として送った。反応器に評価されるべき触媒を装填した。次いでそれを窒素流(50cc/分)中で約250℃に約30分間加熱した。温度を175℃に下げ、1:1の比率のHF:窒素流(全流量 100cc/分)を通過させた。HFが反応器の出口で観察された後、HF/窒素比を4:1(全流量 100cc/分)に変え、反応器の温度を徐々に350〜400℃に上げた。反応器の内容物を350℃〜400℃に約30分間保った。次いで反応器の内容物を触媒評価に望ましい操作条件とした。
【0020】
生成物分析のための一般的方法
下記の一般的方法は、用いられる方法の代表的例である。全反応器流出物の一部を、不活性炭素支持体上にKrytoxTM過フッ素化ポリエーテルを含有する20’(6.1m)長さx1/8”(0.32cm)直径の管を装着したHewlett Packard HP 5890グスクロマトグラフを用いる有機生成物分析のためにオン−ラインで試料採取した。ヘリウム流量は35mL/分であった。ガスクロマトグラフィー条件は3分の初期保持時間の間、70℃であり、その後6℃/分の速度で180℃までの温度プログラミングが続いた。他に指示がなければ、報告される結果はモル%における結果である。
【0021】
有機生成物及び又、無機酸HFを含有する反応器流出物の本体を、廃棄の前に苛性アルカリ水溶液で処理して酸を中和した。
【0022】
凡例
1141はCH=CHFである。
F152aはCHCHFである。
SVは空間速度である(1時間当たり、触媒の容量当たりのF152aの体積)。
【0023】
実施例1
F152aの脱フッ化水素化
触媒:Guignet’s Green Cr
5cc、3.4g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)
商業的に入手可能なGuignet’s Green Crを触媒として用い、使用前にHFを用いて400℃に処理した。多様な条件下における結果を表に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
実験のいくつかにおいて、微量のメタン(0.1%未満)が見いだされた。
【0026】
実施例2
F152aの脱フッ化水素化
触媒:アルファ−Cr
5cc、7.4g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)
米国特許第5,036,036号に記載の方法に従って調製される二クロム酸アンモニウムの熱分解から得られるアルファ−酸化クロムを用いた。触媒は使用前にHFを用いて400℃に処理した。多様な条件下における結果を表に示す。
【0027】
【表2】

【0028】
少量の(最高約1%)のメタン及び他の未同定生成物が存在した。
【0029】
実施例3
F152aの脱フッ化水素化(寿命試験)
触媒:Guignet’s Green Cr
5cc、3.4g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)
275℃に保持されている反応器に50cc/分(SVは600であった)のF152aを供給した。接触時間は6秒であった。商業的に入手可能なGiugnet’s green Cr触媒を使用前にHFを用いて400℃に処理した。多様な条件下における結果を表に示す。
【0030】
【表3】

【0031】
実施例4
F152aの脱フッ化水素化(寿命試験)
触媒:アルファ−Cr
5cc、7.4g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)
アルファ−酸化クロムを実施例2に記載の方法と同じ方法で調製した。275℃に保持されている反応器に50cc/分(SVは600であった)のF152aを供給した。接触時間は6秒であった。触媒を使用前にHFを用いて400℃に処理した。多様な条件下における結果を表に示す。
【0032】
【表4】

【0033】
実施例3及び実施例4のデータの比較は、触媒の安定性の点におけるアルファ−酸化クロムの優秀性を示している。
【0034】
実施例5
F152aの脱フッ化水素化
触媒:アルファ−酸化クロム
5cc、6.5g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)
硝酸クロムから水酸化クロムを沈澱させ、続いて空気中で500℃において72時間焼成することにより調製されたアルファ−酸化クロムを用いた。触媒は使用前にHF流中で400℃に活性化された。多様な条件下における結果を表に示す。
【0035】
【表5】

【0036】
少量の他の未同定生成物が存在した。
【0037】
実施例6
F152aの脱フッ化水素化
触媒:焼成Guignet’s Green Cr
5cc、3.3g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)
商業的に入手可能なGuignet’s Green Crの試料を、使用前に空気中で500℃において72時間焼成した。X−線検査は、それが本質的にアルファ−酸化クロムに転化したことを示した。反応器に25cc/分(SVは300であった)のF152aを供給した。触媒は使用前にHFで活性化しなかった。報告される結果は面積%における結果である。多様な条件下における結果を表に示す。
【0038】
【表6】

【0039】
実施例7
F152aの脱フッ化水素化
触媒:焼成Guignet’s Green Cr
5cc、3.3g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)
商業的に入手可能なGuignet’s Green Crの試料を、使用前に空気中で500℃において72時間焼成し、次いでHF流中で400℃に活性化した。活性化の経過中に、有意な量の三フッ化ホウ素が製造され、それを水中でホウ酸に加水分解し、標準的方法でホウ酸として同定した。x−線光電子スペクトル分析を介した触媒表面の検査は、触媒表面の約10%が酸化ホウ素(ホウ素として表す)を含有していることを示し、HFを用いる処理の前の500℃における空気中の焼成の間に、触媒の本体からホウ素が触媒表面上に濃縮されたことを示す(焼成の前の約3%と比較して)。HF処理の後、同じ方法により検出されるホウ素はなかった。多様な条件下における結果を表に示す。
【0040】
【表7】

【0041】
高温において少量の未同定生成物があった。
【0042】
実施例8
F152aの脱フッ化水素化
触媒:アルファ−酸化クロム
10cc、14.4g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)
米国特許第5,036,036号に記載の方法に従って調製される二クロム酸アンモニウムの熱分解から得られるアルファ−酸化クロムを用いた。それを使用前にHF流中で350℃まで活性化した。報告される結果は面積%における結果である。多様な条件下における結果を表に示す。
【0043】
【表8】

【0044】
実施例9
F152aの脱フッ化水素化
触媒:高表面積非晶質酸化クロム
5cc、6.5g、10〜20メッシュ(2.0〜0.84mm)
約200m/gの表面積を有する市販の酸化クロムの試料を用いた。この試料のX−線回折パターンは、それが本質的に非晶質であることを示した。触媒は使用前にHF流中で350℃まで活性化した。多様な条件下における結果を表に示す。
【0045】
【表9】

【0046】
同等の接触時間における実施例9で得られる結果の実施例8の結果との比較は、アルファ−酸化クロムを用いて得られる転化率のほうが高く、アルファ−酸化クロム触媒の安定性の方が優れていることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面Bを含有する塊状酸化クロム組成物を約200〜400℃の温度でHFと接触させる
ことを含んでなる、表面Bを含有する塊状酸化クロム組成物中に存在する表面Bを減少させる方法。
【請求項2】
を含有する塊状酸化クロム組成物を、酸素又は酸素−含有環境中で、高められた温度において、未処理の塊状組成物の表面B含有量と比較して少なくとも2倍に組成物の表面上のBを増大させるのに十分な時間加熱し、
表面−増大された組成物を約200〜400℃の温度で気相においてHFと接触させる
ことを含んでなる、Bを含有する塊状酸化クロム組成物中に存在するBの量を減少させる方法。
【請求項3】
1,1−ジフルオロエタンを、気相において、約225℃〜375℃の温度で、主にアルファ−酸化クロムの形態を有し、クロムが触媒の金属カチオンの少なくとも95原子パーセントである3価クロム触媒と接触させることを含んでなり;該触媒が塊状酸化クロム組成物を約200〜400℃の温度でHFと接触させることにより表面Bを含有する該塊状酸化クロム組成物中に存在する表面Bを減少させて調製される
フッ化ビニルの製造方法。
【請求項4】
クロムが触媒の金属カチオンの少なくとも99原子パーセントである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
空間速度が1時間に触媒の容量当たり約200容量〜2000容量の1,1−ジフルオロエタンである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1,1−ジフルオロエタンを、気相において、約225℃〜375℃の温度で、主にアルファ−酸化クロムの形態を有し、ここでクロムが触媒の金属カチオンの少なくとも95原子パーセントである3価クロム触媒と接触させることを含んでなり;該触媒が塊状酸化クロム組成物を酸素又は酸素−含有環境中で、高められた温度において、未処理の塊状組成物の表面B含有量と比較して少なくとも2倍に組成物の表面上のBを増大させるのに十分な時間加熱し、表面−増大された組成物を約200〜400℃の温度で気相においてHFと接触させることにより塊状酸化クロム組成物中に存在するBの量を減少させることにより調製される
フッ化ビニルの製造方法。
【請求項7】
クロムが触媒の金属カチオンの少なくとも99原子パーセントである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
空間速度が1時間に触媒の容量当たり約200容量〜2000容量の1,1−ジフルオロエタンである請求項6に記載の方法。
【請求項9】
1,1−ジフルオロエタンを、気相において、主にアルファ−酸化クロムの形態を有し、アルカリ金属酸化物として1000ppm未満のアルカリ金属を含有し、ここでクロムが触媒の金属カチオンの少なくとも99原子パーセントである3価クロム触媒と、約225℃〜375℃の温度で接触させる
ことを含んでなるフッ化ビニルの製造方法。
【請求項10】
空間速度が1時間に触媒の容量当たり約200容量〜2000容量の1,1−ジフルオロエタンである請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1,1−ジフルオロエタンを、気相において、主にアルファ−酸化クロムの形態を有し、ここでクロムが触媒の金属カチオンの少なくとも95原子パーセントである3価クロム触媒と約225℃〜375℃の温度で接触させることを含んでなり;空間速度が1時間に触媒の容量当たり約200容量〜2000容量の1,1−ジフルオロエタンである
フッ化ビニルの製造方法。

【公開番号】特開2007−191394(P2007−191394A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47833(P2007−47833)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【分割の表示】特願平9−503216の分割
【原出願日】平成8年6月7日(1996.6.7)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】