説明

酸素吸収接着ラベル、包装方法、包装体

【課題】酸素吸収接着ラベル、それを用いた包装方法、及び包装体の提供。
【解決手段】ガスバリアー層を含む基材層と接着剤層とからなる酸素吸収接着ラベルであって、接着剤層に酸素吸収物質を含み、該接着剤層の少なくとも一部が保護層で覆われていることを特徴とする酸素吸収接着ラベル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸素吸収接着ラベル、それを用いた包装方法、及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーなどで食材を購入し、各家庭でその購入した食材を調理して食べるという従来の形態に加え、最近では共働きのため調理の時間がない、自分の趣味の時間を多く取りたい等の理由により、家事を簡便に行いたいという意向から、調理に関してはスーパー等のバックヤードやセントラルキッチンなどで調理された調理済み内容物等を購入し、家庭で食す形態が増えてきている。
一方、スーパーやコンビニエンスストアの調理済内容物においては、調理済内容物の利便性を売りに個々の内容物の味、量等、好みに合わせた商品開発が活発になされ、多種類が市場に投入されている。また、スーパーやコンビニエンスストア等の惣菜販売者は、消費者の強いニーズである素材そのもののおいしさの提供および安心・安全・健康志向に応えるため、内容物保存料等を削減した惣菜等の提供を模索しているが、内容物保存料を削減すると内容物の腐敗開始が早くなるため、内容物の安全対策が必須となっている。また、内容物の腐敗に関する研究から、空気中の酸素の影響が重要であることが広く知られている。そのため、包装体内を無酸素状態で包装する種々の方法が検討されている。
【0003】
内容物の腐敗を防止する目的で、包装体内を無酸素状態に保つ方法として、包装体内を真空状態で包装する真空包装、包装体内を所望のガスにて密封するガス置換包装等が挙げられる。
例えば、真空包装の場合、包装体内を真空状態にするため、酸素による内容物の酸化等の腐敗を防止でき有効な手段である。また、保管、陳列スペースの点において有利であり、比較的長期の保存が必要な場合に多用されている。しかしながら、長期保管の場合、内容物内部に溶存している酸素が時間と共に内容物外に移行するため、その酸素によって腐敗が進んだり、包装体内を真空にするため、内容物が該包装体を包装しているフィルム等によって大気圧によって密着した包装形態になり、ボリューム感を与えることができない他、内容物の形態がいびつになってしまうため美粧性の観点で問題が残る。
【0004】
一方、ガス置換包装とは、不活性気体である窒素、アルゴン等で包装体内を密封して内容物の酸素による酸化劣化を抑制する手法であるが、内容物の微生物的な汚染防止の観点からこのガス置換技術に加え、微生物等の繁殖抑制・殺菌を目的として他種の気体を不活性気体に混合することがよく知られている。微生物等の繁殖抑制に使用される気体や殺菌に使用される気体の例として、低コスト・内容物安全の観点から二酸化炭素やアルコール等が挙げられる。二酸化炭素は主として微生物の繁殖を抑制する制菌作用を有し、アルコールは主として微生物の殺菌作用を有している。このような包装体内を所望のガスにて密封するガス置換包装は、内容物を大気圧によって押しつぶすこと無く、内容物を作ったままの形状でディスプレイできるため、商品をおいしく見せられる等のいわゆるディスプレイ効果による商品差別化が図れる点で優れている。そのため、賞味期限が数日から1ヶ月以内の比較的短期間の商品についてはガス置換包装の検討が主として行われている。しかしながら、真空包装と同様、長期保管の場合、内容物内部に溶存している酸素の内容物外への移行や包装材を透過する酸素によって腐敗が進む問題が残されている。
【0005】
このように、包装体内を真空包装する方法や包装体内を所望のガスにて密封するガス置換包装する方法では、少なくとも内容物から移行してくる酸素を包装時に完全に除去することは困難であり、時間経過によって少なからず、酸素が存在してしまうのである。この酸素は内容物の種類、量によって一定ではなく、賞味期限を短くしてしまう主原因であり、内容物の微生物的な汚染防止の観点より、一番早く腐敗するものにあわせてしまうため、製品の賞味期限を短くしてしまったり、ロスが多くなってしまうのである。そのため、この酸素を除去する酸素吸収剤が色々と検討されているのである。
従来の酸素吸収剤は、大きく分けて2種類ある。1つは鉄等の金属を用いた金属酸化を利用した酸素吸収剤であり、もう1つは有機化合物である低分子フェノール等の低分子化合物を用いた酸素吸収剤である。鉄等の金属を用いた金属酸化を利用した酸素吸収剤とは、鉄等の金属が酸素と結合して酸化鉄を合成する際に包装体内の酸素を使用することによって酸素を除去する酸素吸収剤であり、安価、かつ、有効な酸素吸収能力を有する。有機化合物である低分子フェノール等の低分子化合物を用いた酸素吸収剤は低湿度の環境において使用可能である点で有効である。
【0006】
しかしながら、このような酸素吸収剤は通常、小袋形状であり、包装体内においては小袋では子供や老人が間違って小袋を食べてしまう誤飲の問題が残されており、一般的な誤飲防止方法として、該小袋の一方の面に両面接着剤を具備し、その接着剤を利用して包装体内面や注意書に貼付することによって防止しているのであるが、包装工程や加工工程の観点より、酸素吸収剤が接着ラベル化することが望まれている。
近年、両面テープを使用して接着性を有する酸素吸収ラベルが検討されている。具体的には接着層を既に具備した接着ラベル型の酸素吸収剤であり、特許文献1が開示されている。特許文献1には、表示材層、接着層、鉄系脱酸素剤を熱可塑性樹脂と混練シート化後延伸した脱酸素シートを作成し、該シートを通気性シートおよび通気性接着層の順に積層接着し、作成した酸素吸収部材を両面テープにて包装体と一体化できる酸素吸収ラベルが開示されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているラベル型脱酸素剤はガスバリアーを有する樹脂を含まないため、該ラベル型脱酸素剤の外をガスバリアー性を有するフィルムで覆う必要があり、過剰包装となる他、電子レンジ等で再加熱する場合、内圧が水蒸気で上昇し、電子レンジ内部で破裂してしまう場合がある。また、該酸素吸収ラベルが多層構成であり、製造上では何回も接着加工を繰り返して行う必要があり、製造上の問題として製品歩留まり、工程が煩雑である等の問題が残されている。
【特許文献1】特開平8−198339号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ガスバリアー性を有し電子レンジ等の加熱調理に安全に使用できる酸素吸収接着ラベルの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
(1)ガスバリアー層を含む基材層と接着剤層とからなる酸素吸収接着ラベルであって、接着剤層に酸素吸収物質を含み、該接着剤層の少なくとも一部が保護層で覆われていることを特徴とする酸素吸収接着ラベル。
(2)ガスバリアー層を含む基材層と接着剤層とからなる酸素吸収接着ラベルであって、接着剤層の少なくとも一部に酸素吸収物質を含む酸素吸収機能部が接着され、該酸素吸収機能部を覆うように保護層が接着剤層の少なくとも一部に接着されていることを特徴とする酸素吸収接着ラベル。
(3)保護層の面積が、接着剤層の面積の30〜85%であり、厚さが3〜100μmであることを特徴とする(1)または(2)に記載の酸素吸収接着ラベル。
(4)保護層が熱収縮フィルムであることを特徴とする(1)または(2)に記載の酸素吸収接着ラベル。
(5)酸素吸収物質が酸化反応により酸素吸収することを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の酸素吸収接着ラベル。
(6)酸化反応が無機または有機物質の酸化反応であることを特徴とする(5)に記載の酸素吸収接着ラベル。
(7)無機物質が、鉄、チタン、亜鉛の少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする(6)に記載の酸素吸収接着ラベル。
(8)有機物質の酸化が、有機物質の自動酸化、酵素反応の少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする(6)に記載の酸素吸収接着ラベル。
(9)酵素反応に用いられる酵素が、カテコールオキシダーゼ、ラッカーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、3−ヒドロキシアントラニル酸オキシダーゼの少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする(8)に記載の酸素吸収接着ラベル。
(10)酵素反応に用いられる基質が、3,5−ジアミノ安息香酸、2,2’−アジノビス (3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)アンモニウム塩(ABTS)、カテコール、アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、N−アセチルシステインより選択される少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする(8)または(9)に記載の酸素吸収接着ラベル。
(11)酸素吸収機能部が、酸素吸収物質を支持体に担持させたものであることを特徴とする(2)に記載の酸素吸収接着ラベル。
(12)支持体が、プラスチック、金属、セラミック、結晶性セルロース、ゲル、紙より選択される少なくとも1つ以上であることを特徴とする(11)に記載の酸素吸収接着ラベル。
(13)接着剤層がアクリル系、ゴム系、シリコン系接着剤のいずれかを含むことを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の酸素吸収接着ラベル。
(14)内容物を収容した包装容器または袋に、少なくとも1つの通気路を残し、通気路以外を封緘し、該通気路を介して容器または袋内を脱気またはガス置換し、その後、(1)〜(13)のいずれかに記載の酸素吸収接着ラベルで該通気路を塞ぐことを特徴とする包装方法。
(15)酸素吸収接着ラベルの保護層部分が通気路を塞いでいることを特徴とする(14)に記載の包装方法。
(16)(1)〜(13)のいずれかに記載の酸素吸収接着ラベルを具備していることを特徴とする包装体。
【発明の効果】
【0010】
本発明が従来技術と最も相違するところは、従来技術が酸素バリアー性を有しない酸素吸収シートを両面テープで接着機能を具備して包装体内部に貼付するのに対し、酸素バリアー性を有する接着ラベルを包装体の外より通気路を塞ぐように貼付することで包装体に導入できる点である。そのため、包装体内の酸素を吸収する機能の他、包装体の最外部に導入することもできる。また、内容物を電子レンジ等で加熱する際、包装体の外観を損ねることなく加熱できる他、内圧上昇した包装体内の気体を安全に排出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明について、特にその好ましい形態を中心に、具体的に説明する。
本発明の酸素吸収接着ラベルは、ガスバリアー層を含む基材層、接着剤層の2層からなる。
基材層の材質は、ある程度の剛性を有していればどのようなものでも良く、紙、金属薄膜、樹脂等より構成される単層または多層構成等が挙げられる。更に、ガスバリアー層として、金属薄膜層、ガスバリアー樹脂層、無機系および有機系物質が蒸着・コーティング処理された層等が挙げられる。内容物が惣菜や弁当等の加工内容物である場合、容器または袋ごと電子レンジによって加熱する場合があり、電子レンジ内で接着ラベルの材料が電子の衝突によりスパークしてしまうことがあり、スパーク防止の観点より金属薄膜や金属蒸着等の金属が露出していない材料が好ましく、より好ましくは廃棄時の分別の観点より、容器または袋と同素材である樹脂製がよい。
【0012】
ガスバリアー層は、ガスバリアー性として二酸化炭素ガス透過量が1〜4935ml/m/day/MPa、酸素ガス透過量が1〜3948ml/m/day/MPa、または窒素ガス透過量が1〜1481ml/m/day/MPaを有するものが好ましく、より好ましくは二酸化炭素ガス透過量が10〜4500ml/m/day/MPa、酸素ガス透過量が10〜2500ml/m/day/MPa、または窒素ガス透過量が10〜1300ml/m/day/MPaを有するものであり、さらに好ましくは二酸化炭素ガス透過量が20〜4000ml/m/day/MPa、酸素ガス透過量が20〜1300ml/m/day/MPa、または窒素ガス透過量が20〜1000ml/m/day/MPaを有するものである。最も好ましくは二酸化炭素ガス透過量が20〜1000ml/m/day/MPa、酸素ガス透過量が20〜300ml/m/day/MPa、または窒素ガス透過量が20〜250ml/m/day/MPaを有するものである。また、耐熱性として、樹脂の軟化温度が90℃以上の樹脂が好ましく、より好ましくは95℃以上、さらに好ましくは98℃以上がよい。
【0013】
ガスバリアー層の厚さは、用いられる樹脂の酸素ガス透過量によって異なり、前述の酸素ガス透過量が1〜1974ml/m/day/MPaである厚さを確保することが好ましい。例えば、酸素ガス透過量の少ないエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH)の場合、酸素ガス透過量の観点からは数μm程度で前記酸素ガス透過量を達成することは可能であるが、該酸素吸収接着ラベルの取り扱いの観点より腰を有する樹脂である、例えば、複数の層を形成する多層の場合、ポリプロピレン系樹脂(PP)やポリエチレンテレフタレート(PET)等と積層することが好ましく、PPとEVOHの積層構成であるガスバリアー層の場合、15〜100μmが好ましい。より好ましくは20〜90μm、さらに好ましくは25〜85μmである。
【0014】
また、酸素吸収接着ラベルに用いられるガスバリアー層としてガスバリアー性樹脂や無機系物質を層状に具備している樹脂層を設け、ガスバリアー層としてもよい。無機系物質を層状に具備している樹脂層の例として、ガスバリアー性の乏しい低密度ポリエチレン樹脂層にシリカおよび/またはアルミナの無機系物質を蒸着処理にてガスバリアー性を付与したものがある。また、シリカおよび/またはアルミナの無機系物質やエチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH)や塩化ビニリデン等の有機系物質などをコーティングしても良い。
ガスバリアー性樹脂は、ガスバリアー性を有しない樹脂に層状に挟み込んでも、コーティングや蒸着の場合、酸素吸収接着ラベルの基材層の内側(接着剤層側)であっても外側であっても支障は無い。
【0015】
酸素吸収接着ラベルに用いられる樹脂とは、内容物包装用途に用いられる樹脂であれば支障がない。例えば、ポリエチレン系樹脂(HDPE、LLDPE等)、ポリプロピレン系樹脂(PP等)、ポリブテン−1系樹脂(PB等)、ポリ−4−メチルペンテン−1系樹脂をはじめとするポリオレフィン系樹脂(PO等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA等)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体樹脂(EMA等)、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH等)をはじめとするポリオレフィン系樹脂変性物(PO変性物等)、ポリエチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PET等)、ポリブチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PBT等)をはじめとする芳香族成分を一部含む、又はポリ乳酸系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂をはじめとする脂肪族成分のポリエステル系樹脂(PEST等)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC等)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC等)をはじめとする塩素系樹脂、αオレフィン−一酸化炭素共重合樹脂(含同水添樹脂)、αオレフィン(エチレン等)−スチレン共重合樹脂(含同水添樹脂)、エチレン−環状炭化水素系化合物共重合樹脂(含同水添樹脂)、ポリアミド系樹脂(Ny等)、カプロラクトン系樹脂等から選ばれる少なくとも一種を主体とする樹脂組成物を単層もしくはこれらの多層または異なる樹脂と積層させたもの、もしくはこれらの樹脂からなる延伸もしくは未延伸の樹脂シート等が挙げられる。好ましくは容器または袋への接着固定の剛性の観点より、ポリプロピレン系樹脂(PP等)、ポリ−4−メチルペンテン−1系樹脂、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体樹脂(EMA等)、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH等)、ポリエチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PET等)、ポリブチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PBT等)、ポリ乳酸系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC等)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC等)、αオレフィン(エチレン等)−スチレン共重合樹脂(含同水添樹脂)、ポリアミド系樹脂(Ny等)、カプロラクトン系樹脂等が良い。
【0016】
酸素吸収接着ラベルは、平面形状であって、容器の蓋と接触する面は接着剤が存在し、その接着剤を介して蓋に具備する通気路を隙間なく封緘(密封)をすることができ、包装容器内にあるガスを散逸しないように密封さえできればいかなる形状であっても良く、接着ラベルの平面形状の具体例としては、正方形、長方形、コーナー部が丸みをもった形状を有している四角形、多角形、円、半円、楕円、半楕円、星形、不定形等があげられ、それぞれつまみ部を有していても良い。
接着剤層に用いられる代表的な接着剤として溶剤タイプ、ホットメルトタイプ、反応性タイプ等が挙げられるが接着性を有しているものであれば支障はなく被包装物が食品である場合には、食品衛生法に適合した接着剤を使用することが好ましい。例えばゴム系接着剤、アクリル系接着剤、ビニルエーテル系接着剤、シリコン系接着剤やこれらの中から少なくとも一種を主体として選択される樹脂組成物等が挙げられる。ガスバリアー性、特にガス充填包装の観点において接着強度を幅広く設定でき、さらに食品衛生の観点よりアクリル系、ゴム系、シリコン系接着剤が好ましい。より好ましくは所望の接着強度を設定しやすいという観点より、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、さらに好ましくはゴム系接着剤、アクリル系接着剤である。さらに溶媒抽出物が少なく、不純物の少ない観点より、アクリル系接着剤が最も好ましい。
【0017】
また、これらの接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲内で、公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤、着色剤等を含有していてもよい。
ゴム系接着剤としては、例えば、シス−1,4−ポリイソプレンを主成分とする天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリイソブチレン、ブチルゴム等を主成分とする合成ゴム、又は、スチレン・ブタジエン・スチレン共重合ゴム(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレン共重合ゴム(SIS)等を主成分とするブロックゴム等から少なくとも一種選択される接着性エラストマーに、常温で液体又は固体で分子量が数百から約1万までの無定形オリゴマー(2量体以上の中分子量重合体)の熱可塑性樹脂であるロジン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、クロマン・インデン樹脂等の接着付与剤、または、鉱油、液状ポリブテン、液状ポリイソブチレン、液状ポリアクリル酸エステル等の軟化剤等を配合したもの等が挙げられる。
【0018】
アクリル系接着剤としては、例えば、ガラス転移温度(Tg)の低いホモポリマーであるアクリル酸アルキルエステルに代表される接着性を与える主モノマー、低級アルキル基のアクリル酸エステル、メタクリル酸アルキルエステル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなど主モノマーと共重合可能でTgが高くなるような凝集性を与えるコモノマー、アクリル酸やメタクリル酸など(アクリレートなど)のカルボキシル基含有モノマー、水酸基、エポキシ基、アミノ基などの接着性を与え架橋点となる官能基含有モノマーの接着性反応物等に、場合によっては上記接着付与剤、軟化剤等を配合したもの等が挙げられる。
【0019】
ビニルエーテル系接着剤としては、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のホモポリマー又はアクリレートとのコポリマー(接着性エラストマー)で、場合によっては上記接着付与剤、軟化剤等を配合したもの等が挙げられる。
シリコン系接着剤としては、例えば、高分子量のポリジメチルシロキサン又はポリジメチルジフェニルシロキサンに代表されるポリマー連鎖の末端に残存シラノール基(SiOH)を持つポリマー等(又は接着性エラストマー)と上記接着付与剤、軟化剤等を配合したもの等がある。
【0020】
接着強度はJIS−Z−0237の180度引きはがし法による測定方法において0.1〜10N/cmであることが接着時の接着強度と剥離時の剥離強度の観点より好ましい。より好ましくは0.2〜9.5N/cm、さらにより好ましくは0.3〜7.5N/cmである。
接着剤層の厚さは、用いられる接着剤によって異なるが接着強度が0.1〜10N/cmであれば良く、接着剤層の厚さに依存するものではない。例えば、アクリル系接着剤の場合、接着強度の観点より接着剤層の厚さは3〜50μmが好ましい。また、より好ましくは5〜40μm、さらに好ましくは8〜35μmである。
【0021】
酸素吸収接着ラベルにつまみを具備し、易開封性を付与してもよい。例えば、酸素吸収接着ラベルに半円状のつまみを具備し、蓋より該つまみ部を引き上げることにより簡単に開口する等の易開封性を付与した方が、包装体の加熱時の破裂防止という観点から好ましい。また、該ラベルの粘着剤としてアクリル系エマルジョン等を使用することにより包装体の加熱時に内容物からの水蒸気により粘着剤の接着強度が弱くなり、包装体内の内圧によって自動的に該ラベルの一部が開口し、破裂防止してもよい。
本発明の酸素吸収接着ラベルは、酸素吸収物質を、ガスバリアー性を有する接着剤層に導入することによって酸素吸収能力を有する一体型接着ラベルを作成することができ、該接着ラベル自体でガスバリアー包装体を密封することができる。そして、含気包装、ガス置換包装、真空包装等によって包装体内に存在する酸素や内容物より時間経過によって移行した酸素を除去することができる。酸素吸収接着ラベルに酸化吸収機能を導入する方法としては、接着剤層に酸素吸収機能を導入する方法や酸素吸収接着ラベルの接着層を利用して酸素吸収機能部を導入する方法等が挙げられるが、該接着ラベルに酸素吸収機能を導入することができればいかなる方法でも良い。
【0022】
酸素吸収接着ラベルを用い、内容物を酸素ガスバリアー容器または袋に含気包装した場合、酸素ガスバリアー容器または袋の一部に穴を開け、その穴に該酸素吸収接着ラベルを貼付することによって、包装体内の酸素が該酸素吸収ラベルに吸収され、無酸素または低酸素状態で包装できる。また、該包装体がガス置換されている場合、含気包装よりもさらに無酸素または低酸素状態を維持し、事故的にリークした場合でも侵入してきた酸素を能力の限界まで吸収しつづけることができる。酸素吸収ラベルの大きさを小さくする場合、ガス置換包装や真空包装である方が、残存酸素量が少なくなるため好ましい。また、本発明の酸素吸収接着ラベルは、酸素吸収機能と接着ラベルが一体化しているため、袋または容器内側に直接貼付、若しくは袋または容器外側に貼付することができ、小袋では子供や老人が食品と間違って直接食べたり、付帯の調味料やふりかけと間違って内包を破って食べたりする等の誤飲事故を防ぐことが可能である。
本発明でいう酸素吸収物質とは、様々な化学反応の中で、酸素を消費する化学反応をする物質を意味する。このような酸素吸収物質は様々であるが、酸素吸収物質が無毒であることが好ましく、より好ましくは酸素吸収反応時に副生成物や反応時生成物が無毒であること、さらに好ましくは酸素吸収反応時に副生成物や反応時生成物が無臭であることが良い。
【0023】
本発明でいう酸化反応とは、酸素を消費する化学反応を意味し、この酸素の消費によって酸素吸収機能を発揮する。酸素を消費する化学反応として、無機または有機物質の酸化反応等が挙げられる。特に無機物質としては金属が挙げられ、好ましくは鉄、チタン、亜鉛等の還元性低位酸化物が挙げられ、より好ましくは鉄、チタンである。これらの金属に酸素吸収反応を制御するための調整剤等を加えることが好ましい。調整剤とは活性炭、木炭、おがくず、フィラー等の水分を保持する物質等の酸素吸収反応を持続するための保湿担持体や塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム等のハロゲン化金属塩等の反応を促進するための促進剤等が挙げられる。また、有機物質として有機化合物の自動酸化を含む化学反応、酵素を利用した酵素自身もしくは酵素を触媒とした基質酸化等が挙げられる。自動酸化を含む化学反応に用いられる有機化合物は亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、シュウ酸塩、ピロガロール、カテコール、グルコース、ビタミンC等が挙げられる。また、酵素とは、様々な生体内で営まれる化学反応に触媒として作用する高分子物質であり、触媒する反応の型によって酸化還元反応を触媒する酵素(オキシダーゼ)、官能基の転移を触媒する酵素(トランスフェラーゼ)、加水分解反応を触媒する酵素(ヒドロラーゼ)、脱離反応と付加反応を触媒する酵素(リアーゼ)、異性化反応を触媒する酵素(イソメラーゼ)、ATPなどの加水分解と共役して2個の分子をつなぐ合成反応を触媒する酵素(リガーゼ)等に分類される。本来、酵素は生体を維持するため、これらの生体内の反応を触媒する働きを担っているが、本発明でいう酵素とは、これらの酵素反応の中で酸素を使用して酵素自身もしくは酵素および基質の反応によって酸素を吸収する酵素であれば支障はなく、これらを酸素を吸収する酵素として利用する。酸素を吸収する酵素反応とは例えば、酵素自体が酸化することによって酸素を吸収する反応や酵素が基質の酸化を促進して酸素を吸収する反応等が挙げられる。酵素自体が酸化する一例として、金属を有する酵素(例えば、銅酵素類等)等が挙げられる。このような金属を有する酵素は中心に金属を配位しているため酸素に対して不安定であり、酸素の存在によって中心にある金属が脱落し、酵素自体が酸化する。また、酵素が基質の酸化を促進して酸素を吸収する例として、基質を構成する水酸基、アミノ基から水素を引きぬき、二重結合を形成したり、基質同士が会合する反応等が挙げられる。また、酸素を吸収する反応は本発明で使用する酵素および基質を種々に選択することによって、酸素吸収速度、酸素吸収能力を所望の設定にすることができる。さらに、酵素が基質の酸化を促進して酸素を吸収する反応は同時に様々な基質が同時に存在しても、独自に酵素−基質間で反応をするため、数種類の酵素および基質を混在状態で用いることができる。例えば、1種類の酵素に反応性の異なる基質を数種用いた場合、酸素吸収速度、酸素吸収能力を制御することができる。
【0024】
このような酸素を吸収する反応をする酵素としてオキシダーゼ系、カタラーゼおよびペルオキシダーゼ系、フラビンモノオキシゲナーゼ系、銅ヒドロモノオキシゲナーゼ系、鉄モノオキシゲナーゼ系、リブロース2リン酸オキシゲナーゼ系、ジオキシゲナーゼ系等が挙げられる。具体的には、カテコールオキシダーゼ(EC 1.10.3.1)、ラッカーゼ(EC 1.10.3.2)、ビリルビンオキシダーゼ(EC 1.3.3.5)、アスコルビン酸オキシダーゼ(EC 1.10.3.3)、3−ヒドロキシアントラニル酸オキシダーゼ(EC 1.10.3.5)等が挙げられるが、基質を添加して反応させると酸素が存在した場合、この酸素を利用して酸素吸収する反応を顕著に促進する酵素は全てこれに含まれる。これらを単独、あるいは複数組み合わせてもよい。
【0025】
本来、酵素反応における基質とは、酵素との反応において酵素の反応選択性の高い物質をいうが、本発明に使用される基質とは、上記記載した酵素によって酸素を吸収する反応をするものであればよい。例として、水酸基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基等の活性の比較的高い官能基を有する化合物が好ましく、例えば、基質としては、ベンゾンジオール、ヒドロキノン、ポリフェノール、フェニレンジアミン、アスコルビン酸、シアニン色素、L−アスコルベート、アミノフェノール等フェノール誘導体、アニリン誘導体、トルイジン誘導体、安息香酸誘導体等で、具体例として、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、2,4−ジクロロフェノール、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5ジメチルアニリン(MAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)、N−エチル−N− スルホプロピル−m−アニシジン(ADPS)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(DAPS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(HDAPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン(TOPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニシジン(ADOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N−スルホプロピル−アニリン(HALPS)、o−ジアニシジン、o−トリジン、3,3−ジアミノベンジジン、3,3,5,5−テトラメチルベンジジン、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4−ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン(DA64)、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン(DA67)、3,5−ジニトロ安息香酸、5−アミノサリチル酸、3−ヒドロキシアントラニル酸、3,5−ジアミノ安息香酸等、さらに4−アミノアンチピリン、o−フェニレンジアミン、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、2−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン、2−アミノ−フェノール−4−スルホン酸、2,6−ジブロモ−4−アミノフェノール、2,2’−アジノール−(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)ジアンモニウム塩、2,2’−アジノビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)アンモニウム塩(ABTS)、カテコール、さらにタンニン、エピカテキン、エピガロカテキン、アスコルビン酸、ホモバニリン酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、チラミン、パラクレゾール、ジアセチルフルオレスシン誘導体、ピロガロール等も挙げられるが、ここに示した物質は一例に過ぎず、酵素を添加して酸素と反応させた場合、酸素を吸収する反応が顕著に促進される物質は全てこれに含まれる。好ましくは、酸素との反応性の良い、本来でいう酵素反応における基質が酵素の反応選択性の観点から良い。
【0026】
さらに、酸素吸収反応を酸素濃度のある閾値よりドラスチックに変化させたい場合や酸素吸収剤として感度が高すぎる場合は、酵素の阻害剤、基質アナログあるいは還元剤などの酸素吸収速度調整物質等を共存させることで酸素吸収反応を遅くする、あるいは感度を低下させることができる。阻害剤としてはアザイド、ジエチルジチオカルバミン酸、チオ硫酸塩、フッ化物、シアン化物、PCMB、EDTA、2価、3価の金属類等、基質アナログとしてはD−アミノ酸類、3,5−ジニトロ安息香酸、チオサルチル酸等、還元剤としてはジチオスレイトール、システイン、N−アセチルシステイン、グルタチオン、メルカプトエタノール、フェリシアン化カリウム、ヨウ化水素、チオ硫酸ナトリウム、アルデヒド、糖、ギ酸、シュウ酸等が挙げられるが、ここに示したのは一例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、種類や濃度を適宜、組み合わせて使えばよい。
【0027】
酸素吸収機能において水分を必要とする場合、積極的に作成時に水分を添加しても、内容物の水分を利用しても良い。内容物の水分を利用する場合、水分が一種の反応開始剤となり、保管時に脱酸素状態での保存が不要となる場合がある。しかしながら、長期の保存や物性低下を避ける観点より低温保存や脱酸素状態での保存が好ましい。
本発明では、酸素吸収物質を酸素吸収接着ラベルの接着剤層内に導入する。支持体を使用して酸素吸収機能部として酸素吸収接着ラベルに具備してもよい。酸素吸収機能部の接着剤に具備する方法として、公知の接着方法を使用すればよく、例えば、接着、粘着、ヒートシール等が挙げられる。好ましい方法として接着ラベルの接着機能を利用しても良い。
【0028】
本発明でいう支持体について説明する。本発明では、酸素吸収効率を良くするため酸素吸収物質の表面積を大きくする方が好ましく、酸素吸収物質が固体である場合、粉体にしたり、液体である場合は、取り扱いやすいように支持体に担持させる方が良い。本発明の支持体としては、プラスチック、金属、セラミック、結晶性セルロース、ゲル、紙等が挙げられる。これらに酸素吸収物質を塗布した形態、表面にコーティングした形態、浸漬した形態、粉体を支持体内に漉き込んだ形態、練り込む形態、接着剤で固めた形態、増粘剤、粘性体等でペーストした形態等が挙げられる。
【0029】
例えば、ラミネーターを用いてプラスチックフィルムやシートや紙(濾紙を含む)にバインダーで溶いた鉄を塗付したり、表面に印刷塗料とともにコーティングしたり、酸化反応液を紙、プラスチック、セラミック等の多孔質に浸漬したり、金属粉を紙内に漉き込んだり、粘着剤層に練りこんだり増粘剤、粘性体等でペーストしたり、結晶性セルロース、ゲル、紙を用いた場合、結晶性セルロースであるアビセル(商品名:旭化成(株))等を用い打錠成型したもの、ゼラチン、寒天等のゲルに包括させたもの等が挙げられるが、これらの記載に限定されるものではない。本発明の酸素吸収機能部の構造は、できるだけ酸素吸収機能を阻害しないで固形物として扱えるものが好ましい。より好ましくはプラスチック、セラミック、結晶性セルロース、ゲル、紙が挙げられ、さらに好ましくはプラスチック、結晶性セルロース、ゲル、紙、最も好ましくはプラスチック、結晶性セルロース、紙である。
【0030】
本発明でいう保護層は、該酸素吸収剤部を保護する役割を担い、保護層に熱収縮フィルムを用いた場合は、再加熱後の接着ラベルによる再密封防止の役割を担うこともできる。酸素吸収剤部の保護とは大きく2つ挙げられるが、(1)酸素吸収剤部に含有する酵素等の試薬が直接、内容物と接しない様にするための内容物からの隔離の意味合いでの安全性を確保するための保護、(2)内容物が水分を多量に含む場合、酸素吸収剤部に含有する試薬等が必要以上に内容物の水分によって希釈され、機能を保持できなくなることを防止するための保護等が挙げられる。
【0031】
保護層は、内容物保護および機能保護の観点より、面をなすフィルムやシートであることが好ましい。また、保護層の面積は、酸素吸収機能部の大きさと接着機能の観点より、接着剤層の面積の30〜85%が好ましく、より好ましくは接着剤層の面積の40〜80%、さらに好ましくは接着剤層の面積の50〜75%である。さらに、保護層の厚さは再密封を防止する観点から3〜100μmであることが好ましく、より好ましくは10〜80μm、さらに好ましくは15〜70μmである。また、保護層の透湿度は0.1〜300g/m/dayが酸素吸収機能の観点より好ましく、より好ましくは0.1〜280g/m/day、さらに好ましくは0.3〜260g/m/dayである。
【0032】
酸素吸収接着ラベルの保護層部分が通気路を塞いでいることとは、通気路の少なくとも一部を保護層が跨いでいる状態で塞いでいることが、再密封防止、衛生性の観点より好ましい。つまり保護層の大きさは、再密封防止の観点より、少なくとも一部は通気路の大きさ以上で、かつ、接着剤層の大きさより小さいことが接着ラベルで通気路を密封し、再加熱時に内圧開放後、接着ラベルの自重で再密封してしまうことを防止できる点で好ましく、さらに保護層が通気路を跨いである部分は、接着ラベルの接着層と蓋の接着部分が少なくなるため、再加熱時の内圧上昇時に速やかに内圧開放できるのである。保護層の形状が通気路の形状と同じ場合は、保護層の大きさは通気路の形状よりも大きいことが上記観点より好ましい。また、保護層の形状は通気路の形状と違う場合は、少なくとも一部が通気路の大きさ以上であれば再密封防止の観点から充分であり、好ましくは、通気路の形状、大きさ以上である。
【0033】
保護層は、一般に使用されるフィルム(以後、保護フィルムと言う)を用いてもよく、樹脂フィルムの他、金属、紙等で隔離することができれば、何を使用しても良いが、酸素検知濃度、酸素検知速度等の観点より、酸素透過度を暫時設定し易い樹脂フィルムが好ましい。酸素検知する濃度によって樹脂フィルムの酸素透過度や水蒸気透過度を必要によって選択すればよい。例えば、低酸素で、かつ、瞬時に酸素の有無を確認したい場合、酸素透過度の高く、かつ、なるべく薄い樹脂フィルムを使用する方が良い。
【0034】
使用できる樹脂フィルムは単層でも多層でも支障がなく、また使用される樹脂は所望の酸素濃度によって選択されればよい。例えば、ポリエチレン系樹脂(HDPE、LLDPE等)、ポリプロピレン系樹脂(PP等)、ポリブテン−1系樹脂(PB等)、ポリ−4−メチルペンテン−1系樹脂をはじめとするポリオレフィン系樹脂(PO等)、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA等)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体樹脂(EMA等)、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH等)をはじめとするポリオレフィン系樹脂変性物(PO変性物)、ポリエチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PET等)、ポリブチレンテレフタレート系(含変性)樹脂(PBT等)をはじめとする芳香族成分を一部含む、又はポリ乳酸系樹脂、ポリグリコール酸系樹脂をはじめとする脂肪族成分のポリエステル系樹脂(PEST等)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC等)、ポリ塩化ビニル系樹脂(PVC等)をはじめとする塩素系樹脂、αオレフィン−一酸化炭素共重合樹脂(含同水添樹脂)、αオレフィン(エチレン等)−スチレン共重合樹脂(含同水添樹脂)、エチレン−環状炭化水素系化合物共重合樹脂(含同水添樹脂)、ポリアミド系樹脂(Ny等)、カプロラクトン系樹脂等から選ばれる少なくとも一種を主体とする樹脂組成物を単層もしくはこれらの多層またはこの層と異なる樹脂を積層させたもの、もしくはこれらの樹脂からなる延伸(収縮性を有するフィルムも含む)もしくは未延伸の樹脂フィルム等が挙げられる。
【0035】
保護層が熱収縮性を有することが再密封防止の観点からより好ましい。保護層が熱収縮フィルムである場合、電子レンジ等で加熱処理した時、容器または袋内の内容物に含む水分が水蒸気として容器または袋外に通気路を開放口として噴出し、その水蒸気の熱が接着ラベルの熱収縮層に熱を伝導することにより接着ラベルを変形させ、その変形した接着ラベルが加熱処理後接着ラベルの自重で通気路を再度完全に塞ぐことを防止することができ、そのため、容器または袋内の減圧によって大気圧で容器または袋の凹みや潰れを防止できる。
【0036】
保護フィルムが熱収縮することによる再封止防止機能発現は、電子レンジ等の加熱時に発生する水蒸気を利用するため、熱収縮開始温度は、50℃以上が好ましく、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上である。水蒸気を利用した保護フィルムの熱収縮である観点より110℃以下が好ましい。このような熱収縮性付与は通常、延伸によって付与されるが、延伸方法はテンター式、バブル式等の公知のいずれの方法を用いても支障はなく、酸素吸収接着ラベルすべてが延伸処理されたものであっても、保護フィルムはフィルム内の一部に少なくとも一軸に延伸されたフィルムを貼合してもよい。貼合方法はドライラミネート、サンドラミネート、溶融ラミネート、接着剤による接着加工等の公知のいずれの方法を用いても支障はない。例えば、本発明の好ましい形態の一例を図1に示す。図1は酸素吸収接着ラベルが基材層として収縮することがないポリエチレンテレフタレートに接着剤層としてアクリル系接着剤を塗付し、該接着剤層に熱収縮層として延伸したポリスチレンフィルムを用いた場合であり、該熱収縮層の延伸したポリスチレンフィルムが容器から噴出した水蒸気によって収縮し、その収縮によってポリエチレンテレフタレート基材が熱収縮層側に曲がり、その曲がりによって、容器に密着することを防ぐことができる。曲がり加減は熱収縮層の収縮率をコントロールすることで調整することが重要になる。
【0037】
図1に例示した形態においては、延伸したポリスチレンフィルムの90℃の収縮率がMD(フィルムの機械生産方向)方向/TD(フィルムの機械生産方向の直角方向)方向=3%/3%である。しかし、収縮率はMD方向、TD方向共に同じ収縮率である必要はなく、収縮した時の変形形状の観点より、異方性があるほうが好ましく、好ましくはMD/TD(もしくはTD/MD)が1.1以上、より好ましくは1.3以上である。
本発明でいうガス置換について説明する。ガス置換とは密封容器内の空気を所望のガスに置換することを意味し、内容物の保存性向上や商品の色等に関する外観性等の効果が挙げられ、例えば、内容物等を不活性ガス中に保持することによって、(1)油脂成分の酸化防止、(2)ビタミン等の有効成分の保存、(3)かびや菌類や酵母の繁殖による腐敗防止、(4)色素の変色・退色防止、(5)香気の飛散防止等に効果が得られる。また、更に炭酸ガス等の制菌作用を有するガスにて置換することで内容物の保存性をさらに向上することもできる。
【0038】
使用されるガスは、一般に知られているガスであればいずれのものを使用しても良い。例えば、窒素、二酸化炭素(炭酸ガス)、酸素、アルゴン等が挙げられ、単独またはこれらの組み合わせて使用することができる。また、積極的にかびや菌類や酵母の殺菌目的等で一般に知られるオゾンや天然および合成抗菌性物質(例えばヒノキチオール等)を用いても良い。また、更に炭酸ガス等の制菌作用を有するガスにて置換することで内容物の保存性をさらに向上させることができる。内容物の保存性向上の観点より、酸素以外のガスを適宜使用できる。例えば、内容物の腐敗を防止するために殺菌作用を有するアルコール類をガス成分の一つとして用いても良い。成分比率は、殺菌作用の効果から0.5%以上が好ましく、飽和蒸気状態まで含有していても良い。ここでいうアルコール類とは炭化水素の水素原子を水酸基で置換した形の化合物を示し、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等を示し、内容物安全の観点より、好ましくはエタノール、プロパノール、イソプロパノールであり、より好ましくはエタノール、プロパノール、さらに好ましくはエタノールである。一般的なガス置換方法はチャンバー式、ガスフラッシュ式等が挙げられる。チャンバー式のガス置換方法とはチャンバー内部全体を一旦、真空状態に脱気し、そのままの状態で置換ガスを送り込みガス置換を行う方法であり、一般的にチャンバー式のガス置換は置換率が高く、確実にガス置換をすることができる特徴を有する。一方、ガスフラッシュ式のガス置換方法とは内容物を入れた容器内に置換ガスを直接フラッシュして、容器内の空気を置換ガスによって追い出すことによってガス置換を行う方法であり、その代表例としてガスパックシュリンクピロー包装がある。一般的にガスフラッシュ式はチャンバー式よりも置換率が低いといわれているがガスフラッシュ時間を調節することで所望のガス置換率が得られる。ガスフラッシュ式はチャンバー式に比べ設備的に安価であり、業者の設備投資コストを抑えることが可能である。本発明でいうガス置換方法は上記方法等によって容器内の内容物(種類や形状)、包装スピード、設置スペース、ガス置換率等に応じて適宜選択すれば良い。また、包装体内に酸素吸収剤を用いて無酸素包装したり、包装体内を所望のガスにて密封するガス置換包装する方法等もあり、適宜選択すれば良い。
【0039】
酸素吸収接着ラベルは上記記載の内容物包装関係(生鮮3品と呼ばれる鮮魚、生肉、生野菜の他、例えば、スーパーやコンビニエンスストア等で販売される惣菜(煮物、焼き物、蒸し物、炒め物)、弁当等)以外にも密封空間内の低酸素もしくは無酸素にするところであればいずれの用途に使用しても良く、例えば、精密機械部品包装やネジ等の金属部品包装や電子基板等の電機部品包装の他、医薬品、化粧品等への使用が挙げられる。
いずれの場合も包装体内の酸素を吸収する前(特に保管時)は、酸素を吸収する反応を開始しないように酸素と隔離しておくため、酸素を吸収する反応に必要である酸素濃度以下にて保管する事が好ましい。そのため、ガスバリアー性の材質による包装でガス置換されていることが好ましい。例えば、金属、ガラス等の酸素ガスバリアー性の高い容器を用いたり、ガスバリアーフィルムによる袋包装等の保存が挙げられる。また、より好ましくは製品の機能保持のため保存環境内の極少量の酸素および酸素ガスバリアー材料を透過して侵入した酸素を捕捉するため、これらの空間内に脱酸素剤等の酸素捕捉剤を入れても良い。
【0040】
本発明の酸素吸収接着ラベルを具備した容器または袋およびその包装体について説明する。本発明でいう袋とは、中に物を入れて口を閉じるようにした入れ物であり、少なくとも内容物を入れる本体と本体を覆う蓋からなる入れ物である。内容物を目視確認するという観点より上部を覆う蓋は透明であること、また、美粧性の観点よりも透明で光沢に優れる樹脂であることが良い。さらに容器と蓋の高さの関係において、内容物ボリューム感を容器のディスプレイ効果により発揮するという観点より、容器の高さが上部を覆う蓋の高さよりも低い方が良い。本発明でいう容器の形状は直方体、円柱、円錐、多角体、多面体、筒状体等の形状やそれらの組み合わされたものであっても支障はない。さらに、該接着ラベルによる通気路の封緘とは、ラベルが蓋に設けられた通気路(穴)を跨いだ状態で接着していることをいう。また、本体と蓋がヒンジ部を介して一体となったフードパックでも良いが本発明の袋または容器として、密封できることが好ましい。つまり、包装体内に外から酸素の流入がある場合、包装体内の酸素濃度が上昇してしまい、せっかく低濃度でガス置換しても吸収する酸素量が多くなり、効率的では無くなってしまうからである。好ましい袋または容器の酸素透過量としては低ければ低いほどよく、包装体1個あたり500ml/m/day/MPa以下が好ましく、より好ましくは酸素ガス透過量が300ml/m/day/MPaである。このような袋または容器の素材として、プラスチック、紙、金属等の素材が挙げられるが、酸素透過量が少ない材料であればいかなる素材を使用してもよく、好ましくは成形性の観点より、プラスチックやガスバリアーフィルムを積層した紙や金属等が良い。また、積層方法は公知の技術(ドライラミネート、サンドラミネート、熱ラミネート、塗付コーティング等)を使用して積層すれば良い。さらに、密封方法として公知の技術であればいかなる方法を用いても良く、例えばヒートシール、テープ止め、容器の場合には密封性嵌合等が挙げられる。
【0041】
袋または容器の材質は、袋または容器を形成できればどのようなものでも良く、プラスチック、金属、紙、その他の単体あるいは前記材料同士の積層体等が挙げられる。ここでいうプラスチックとは熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂をいうが、一般的に容器または袋に使用される樹脂であれば何でも良い。例えば、熱可塑性樹脂ではポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、セルロースアセテート樹脂、エチレン−ビニルアルコール系共重合体樹脂(EVOH等)等が挙げられ、熱硬化性樹脂ではユリア樹脂、メラニン樹脂、キシレン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられ、これらの単独樹脂または共重合樹脂等が挙げられる。
【0042】
容器または袋の成形には、これらの樹脂より構成される単層または多層構成等のフィルムおよびシート等を使用することができる。また、密封性の観点よりガスバリアープラスチックであることが好ましい。袋または容器の通気路を接着ラベルによって塞ぐことができれば、容器または蓋がガスバリアー性を有している方が好ましいが、ガスバリアー性を有していない容器および蓋の上よりガスバリアー性を有するフィルムによって通気路以外の部分を包装・封緘したり、ガスバリアー性を有している容器および蓋の上よりガスバリアー性を有していないフィルムによって通気路以外の部分を包装・封緘しても、該通気路を接着ラベルにて密封することで容器全体を密封しても支障はない。
【0043】
容器の場合、容器および蓋の開口面の縁の形状は直線状でも曲線状でも良い。また、容器開口面の形状は円形、三角形、四角形(長方形、正方形)、その他多角形であっても、菱形、楕円形、曲線からなる無定形であってもよい。また、袋および容器や蓋は、これらの樹脂より構成される単層または多層構成等のフィルムまたはシートからなり、多層構成の場合、多層にする方法として共押出方法、各種のラミネート方法等があるが、適宜選択すれば良い。本発明に用いられるシートには必要に応じてガスバリアー性を有する材料を用いてもよい。この熱可塑性樹脂シートから容器を成形するには、圧空成形、真空成形、真空圧空成形等の既知の熱成形方法によって成形されることが好ましい。また、通気路は、例えば成形された容器の任意の位置に抜き型といわれるカット刃を押切りして切り抜けばよい。また、受け容器および蓋の開口部に、様々な形状のフランジを有しても良い。フランジとは、受け容器と蓋の間を重ね合わせる際に重なり合う鍔状の結合部分を意味し、嵌合構造を具備していてもよい。嵌合構造とは受け容器と蓋の開口部に容器と蓋の間を嵌め合わせるための溝を有する形状を意味し、その嵌合部は大きく分けて、外嵌合と内嵌合と内外嵌合の3種類に分けられる。外嵌合は、容器を成形する際の金型の精度があまり必要無く安価で簡単に作成できる形状である。
【0044】
一方、内嵌合は外嵌合に比べ容器を成形する際の金型精度が必要であり、コスト的に高価になるが内容物が汁分を含む惣菜等の場合、汁分の容器外への流出を防ぐことができる。さらに内外嵌合は容器を成形する際の金型の精度が要求されコスト的にかなり高価になるが、嵌合部の嵌合強度が強く、多少の衝撃が加わっても容器と蓋が外れることが無く最も高級な嵌合形状である。
本発明でいう包装方法について説明する。
包装方法は袋または容器に内容物を入れ通気路以外の封を閉じた状態で通気路を本発明の酸素吸収接着ラベルによって塞ぐことにより密封封緘し、該酸素吸収接着ラベルの酸素吸収機能によって包装体内が低酸素または無酸素状態で密封することが好ましい。また、ガス置換包装の場合、本発明の包装方法は袋または容器に内容物を入れ通気路以外の封を閉じた状態で通気路を介して脱気またはガス置換をし、該通気路を接着ラベルにて塞ぐことにより密封封緘することが好ましい。
【0045】
通気路について説明する。通気路は、容器または袋内と外をガスが出入りすることができる通路である。また、大きさ、形状、数等はガスが包装容器の中と外を出入りすることができればよいが、蓋に設けられている方が、ガス置換後に孔を塞ぐ容易さや内容物の流出防止の観点より好ましく、より好ましくは蓋の天面である。孔の大きさは、包装容器の内容量1000cmに対して、孔の開口面積は0.3〜3cmであることが好ましい。より好ましくは0.4〜2.8cmで、さらに好ましくは0.6〜2.5cmである。この範囲であると、特に容器の場合、脱気やガス充填時の通過抵抗が小さく、ガス置換時の容器の変形が少なくてすむ上、接着ラベルの機械的強度が比較的小さくてもよい。
【0046】
通気路の開口形状は、包装容器の中と外を通気できればよい。例としては、通気路の開口形状として正方形、長方形、コーナー部が丸みをもった四角形、多角形、円、半円、楕円、不定形など完全に開口を有する切り抜き形状が挙げられる他、完全に切り抜きでない形状として、コの字、V字、U字、C字、不定形の切れこみ等が挙げられる。蓋を穿孔加工する際に切りくずがでないため、これらの切れこみ形状がより好ましい。
このような切れこみの場合の通気路の面積は切りこみの入れられた舌状部分を折り返し、穴を広げた時に開く最大面積で表わす。
さらに、通気路の数はできるだけ少ない方が、通気路を塞ぐときの煩雑さを低減することや包装容器の美粧性の観点から好ましく、できれば1枚の接着ラベルで塞ぐことがより好ましい。ただし、多数の穴の場合であっても、小さな穴を複数個1箇所に集中させて、これらを1枚の接着ラベルで塞ぐようにすると、接着ラベルの機械的強度が小さくても使用可能であり好ましい。
【0047】
容器または袋の開口部を封することによって通気路を介して包装容器または袋内部のガスを組成コントロールすることが可能になり、空気中の酸素濃度と異なる環境を実現できる。空気中の酸素濃度とことなる環境とは例えば、容器または袋内を脱気し、真空状態で密封包装した真空包装や容器または袋内をガス置換し、所望のガス雰囲気状態で密封包装したガス置換包装等が挙げられる。
本発明の酸素吸収接着ラベルを具備した容器の例を図3(A)、(B)及び図4に示す。また、図5に示すように酸素バリアーを有しない容器の場合であっても外層を酸素バリアー性を有するフィルム(熱収縮性を有するものも含む)で覆い、その外装に穴を開け、その穴を通気路とし、通気路上に本発明の酸素吸収接着ラベルを貼付しても良い。本発明の包装体とは、本発明の酸素吸収剤を具備した容器または袋を使用して内容物を包装したものをいう。
本発明の酸素吸収接着ラベルは、容器、袋およびその包装体内の環境に拠らず安定して酸素を吸収する。
【実施例】
【0048】
以下、測定方法等、本発明の実施例について詳細に説明する。
<1.酸素吸収接着ラベル作成>
1−1.接着剤層に酸素吸収機能部を接着する酸素吸収接着ラベルの作成(図1)
基材層(素材:PET75μm、直径35mmφ(図1の1)、アクリル系(以後AC系と記載)接着剤(図1の2))の中心に下記酸素吸収機能部(直径15mmφ(図1の3))を無酸素雰囲気のグローブボックス内にて接着し、中心を揃えて、保護フィルム(素材:延伸ポリスチレン25μm、直径22mmφ(図1の4))にて酸素吸収機能部を被覆し酸素吸収接着ラベルを作成した。作成した酸素吸収接着ラベルの保護フィルムを、アルミ箔をPETで被膜したセパレーターに貼付し、評価準備とした。
【0049】
(酸素吸収機能部:図1の3)
・酸素吸収機能部A(ろ紙に酵素および基質溶液を浸漬)
無酸素雰囲気のグローブボックス内にて基材層の中心に厚さ500μmの濾紙(直径15mmφ)を接着し、酵素および基質を溶媒として脱気した(酸素濃度0ppm)50mMの酢酸−酢酸ナトリウム酸緩衝液(pH=4.0に調整)にそれぞれ表1に示した濃度で溶解し、前調製酵素溶液、前調製基質溶液とした。これらの前調整酵素および基質溶液を混合し、反応溶液を200μl塗布し、中心を揃えて、保護フィルム(素材:延伸ポリスチレン25μm、直径22mmφ)にて濾紙を被覆し酸素吸収接着ラベルを作成した。
【0050】
・酸素吸収機能部B(ろ紙に金属をバインダーを用いて固定)
無酸素雰囲気のグローブボックス内にて脱気した(酸素濃度0ppm)60℃の温水に濃度5%になるようにゼラチンを溶解し、該溶解液に還元鉄を混ぜ、ろ紙上に塗付し、基材層の中心に塗付加工した厚さ200μmの濾紙(直径15mmφ)のを接着し、中心を揃えて、保護フィルム(素材:延伸ポリスチレン25μm、直径22mmφ)にて濾紙を被覆し酸素吸収接着ラベルを作成した。
【0051】
・酸素吸収機能部C(フィルムに金属をバインダーを用いて固定)
無酸素雰囲気のグローブボックス内にて脱気した(酸素濃度0ppm)2液系溶剤型ポリエーテル/ポリウレタンラミネート用接着剤に還元鉄を混ぜ、PETフィルム(厚さ50μm)に塗付し、基材層の中心に塗付加工したPETフィルム(直径15mmφ)のを接着し、中心を揃えて、保護フィルム(素材:延伸ポリスチレン25μm、直径22mmφ)にてPETフィルムを被覆し酸素吸収接着ラベルを作成した。
【0052】
・酸素吸収機能部D(ゲルに金属を固定)
無酸素雰囲気のグローブボックス内にて脱気した(酸素濃度0ppm)熱水に寒天を濃度4%になるように溶解し、その溶解液に還元チタンを混ぜ、厚さ400μmになるように型に入れ冷却して成形した。成形した寒天を直径15mmφにて打ち抜き基材層の中心を揃えて貼着し、保護フィルム(素材:延伸ポリスチレン25μm、直径22mmφ)にて寒天を被覆し酸素吸収接着ラベルを作成した。
・酸素吸収機能部E(金属を接着剤を用いて固定)
無酸素雰囲気のグローブボックス内にて2液系溶剤型ポリエーテル/ポリウレタン接着剤に還元鉄を混ぜ、直径15mmφ、厚さ350μm)になるように型に嵌めて固化させた。固化したものを基材層の中心に揃えて貼着し、さらに被覆するように保護フィルム(素材:延伸ポリスチレン25μm、直径22mmφ)にて被覆し酸素吸収接着ラベルを作成した。
【0053】
1−2.接着剤層が酸素吸収機能を具備する酸素吸収接着ラベルの作成(図2)
脱気したAC系溶剤型接着剤(図2の2)に表1に示す酸素吸収機能を発現する物質(図2の5)を表1の割合で混合し、混合した該接着剤をPET75μmのシートにコーティングして乾燥し、PET50μmのセパレーターに貼り付けた。その後、セパレーターとともに接着加工したシートを40mm幅にスリットし、さらに該シートのみを35mmφの円形に打ち抜いて、円形接着ラベル以外の不要部分を分離し、円形酸素吸収接着ラベルを得た。
【0054】
【表1】

【0055】
<2.評価>
酸素5%+窒素95%に調整したグローブボックス内に天面に20mmφの穴の開いた蓋および内容物を入れた容器を接着テープにて封をし、その穴の開いた天面にアルミ箔をPETで被膜したセパレーター(PET/AL/PET3層)を剥がした酸素吸収接着ラベルを蓋外側より接着し、密封容器を得た(容器内体積:500cc、内容物:親子丼(ご飯100g+具剤100g))。
評価は初期の酸素濃度(5%)を測定し初期の酸素濃度を確認した後、保存し、3日間経過後、包装体内の酸素濃度を測定した。(保存温度:20℃)。
(2−1)本体:低発泡耐熱PSPシート(発泡倍率4倍)にLLDPE/NY/EOH/NYの共押し出しフィルム(50μm)をドライラミネートしたものを成形したものを用いた(図6の7)。
(2−2)蓋 :延伸ポリスチレンシート(250μm)にLLDPE/NY/EVOH/NYの共押し出しフィルム(50μm)をドライラミネートしたものを成形したものを用いた。成形後に成形機の中間ポンスを用いてに蓋上面に直径20mmφに丸く打ち抜き、その後、成形蓋の周囲を打ち抜いて蓋を作成した(図6の8)。
(2−3)接着テープ:未延伸ナイロン(30μm)にAC系接着剤を25g/mで塗工し、10mm幅にスリットして紙管に巻いたものを用いた(図6の10)。
【0056】
<3.透湿度>
JIS−Z−0208に準拠して行った。(40℃−90%RH)
<4.酸素透過度>
ASTM−D−3985に準拠して行った。(20℃−60%RH)
<5.親子丼の作成>
本発明の親子丼は鶏肉、鶏卵、だしつゆ等を用いて通常の作成方法にて作った。また、ごはんは標準米を用い、炊飯機にて炊いたものを用いた。
<6.密封用包装容器内空間の酸素、二酸化炭素組成比率測定>
PBI Dansensor(株)社製チェックポイント(商品名)を用いて20℃における密封用包装容器内空間の酸素を測定した。窒素濃度は100%より酸素濃度および二酸化炭素濃度より算出した。
<7.保存温度測定>
三洋電機(株)社製ボタン型クールメモリー(商品名)を用いて温度を測定した。(接着ラベル保存温度5℃、評価保存温度20℃)
【0057】
<8.電子レンジ再加熱実験>
シャープ製1200W電子レンジで3分間加熱し、酸素吸収性接着ラベルの機能を確認した。その評価を3段階で評価した。
◎:酸素吸収接着ラベルが内圧上昇と共に剥がれ、安全に内圧開放を行った。
さらに冷却後、接着ラベルが通気路に再接着しなかった。
○:酸素吸収接着ラベルが内圧上昇と共に剥がれ、安全に内圧開放を行った。
×:酸素吸収接着ラベルが内圧上昇と共に剥がれなかった。
【0058】
[実施例1〜8]
上記酸素吸収接着ラベルを評価方法に従ってサンプルを作成し、容器内の酸素および二酸化炭素の組成を測定して評価した。尚、窒素の濃度は100%より酸素および二酸化炭素の組成濃度を引き算して算出した。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の酸素吸収接着ラベルは、包装の分野で好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の酸素吸収接着ラベル構造体の例を示す概念図とそのA−A’断面図。
【図2】本発明の酸素吸収接着ラベル構造体の別の例を示す概念図とそのB−B’断面図。
【図3】本発明の酸素吸収接着ラベルが酸素バリアー性を有する容器の例を示す概念図。(A)は酸素吸収接着ラベルが蓋の天面にある場合(B)は酸素吸収接着ラベルが蓋の側面にある場合を示す。
【図4】本発明の酸素吸収接着ラベルを酸素バリアー性を有する袋に使用した場合の例を示す概念図。
【図5】本発明の酸素吸収接着ラベルを酸素バリアー性を有しない容器に使用し酸素バリアー性を有する熱収縮フィルムにて覆った場合の例を示す概念図およびその断面図。
【図6】本発明の実施例に用いた蓋、容器、テープの斜視図。
【符号の説明】
【0061】
1 基材層
2 接着剤層
3 酸素吸収機能部
4 保護層(保護フィルム)
5 酸素吸収機能を具備した接着剤
6 酸素吸収接着ラベル
7 酸素バリアーを有する蓋
8 酸素バリアーを有する容器
9 酸素バリアーを有する袋
10 接着テープ
11 酸素バリアーを有しない蓋
12 酸素バリアーを有しない本体
13 酸素バリアーを有する熱収縮フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバリアー層を含む基材層と接着剤層とからなる酸素吸収接着ラベルであって、接着剤層に酸素吸収物質を含み、該接着剤層の少なくとも一部が保護層で覆われていることを特徴とする酸素吸収接着ラベル。
【請求項2】
ガスバリアー層を含む基材層と接着剤層とからなる酸素吸収接着ラベルであって、接着剤層の少なくとも一部に酸素吸収物質を含む酸素吸収機能部が接着され、該酸素吸収機能部を覆うように保護層が接着剤層の少なくとも一部に接着されていることを特徴とする酸素吸収接着ラベル。
【請求項3】
保護層の面積が、接着剤層の面積の30〜85%であり、厚さが3〜100μmであることを特徴とする請求項1または2に記載の酸素吸収接着ラベル。
【請求項4】
保護層が熱収縮フィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の酸素吸収接着ラベル。
【請求項5】
酸素吸収物質が酸化反応により酸素吸収することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の酸素吸収接着ラベル。
【請求項6】
酸化反応が無機または有機物質の酸化反応であることを特徴とする請求項5に記載の酸素吸収接着ラベル。
【請求項7】
無機物質が、鉄、チタン、亜鉛の少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項6に記載の酸素吸収接着ラベル。
【請求項8】
有機物質の酸化が、有機物質の自動酸化、酵素反応の少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項6に記載の酸素吸収接着ラベル。
【請求項9】
酵素反応に用いられる酵素が、カテコールオキシダーゼ、ラッカーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、3−ヒドロキシアントラニル酸オキシダーゼの少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項8に記載の酸素吸収接着ラベル。
【請求項10】
酵素反応に用いられる基質が、3,5−ジアミノ安息香酸、2,2’−アジノビス (3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)アンモニウム塩(ABTS)、カテコール、アスコルビン酸、グルタチオン、システイン、N−アセチルシステインより選択される少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の酸素吸収接着ラベル。
【請求項11】
酸素吸収機能部が、酸素吸収物質を支持体に担持させたものであることを特徴とする請求項2に記載の酸素吸収接着ラベル。
【請求項12】
支持体が、プラスチック、金属、セラミック、結晶性セルロース、ゲル、紙より選択される少なくとも1つ以上であることを特徴とする請求項11に記載の酸素吸収接着ラベル。
【請求項13】
接着剤層がアクリル系、ゴム系、シリコン系接着剤のいずれかを含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の酸素吸収接着ラベル。
【請求項14】
内容物を収容した包装容器または袋に、少なくとも1つの通気路を残し、通気路以外を封緘し、該通気路を介して容器または袋内を脱気またはガス置換し、その後、請求項1〜13のいずれかに記載の酸素吸収接着ラベルで該通気路を塞ぐことを特徴とする包装方法。
【請求項15】
酸素吸収接着ラベルの保護層部分が通気路を塞いでいることを特徴とする請求項14に記載の包装方法。
【請求項16】
請求項1〜13のいずれかに記載の酸素吸収接着ラベルを具備していることを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−94782(P2006−94782A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284742(P2004−284742)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(303046266)旭化成ライフ&リビング株式会社 (64)
【Fターム(参考)】