説明

酸解離性溶解抑止基前駆体、及び酸解離性溶解抑止基を有する環状化合物

【課題】塗布溶媒溶解性に優れ、高透明性、高感度、高微細加工性、高強度、低アウトガス性であるフォトレジスト基材及びフォトレジスト組成物、及びフォトレジスト基材の一部を構成する酸解離性溶解抑止基前駆体の提供。
【解決手段】式(1)で表される化合物を含むフォトレジスト組成物。


(式中、Rは、ベンゼンカルボン酸エステル部位と脂肪族縮合環部位を有す基で、Rは、水酸基、アルコキシ基、などの基で、Rは、水素原子である)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸解離性溶解抑止基前駆体、及び酸解離性溶解抑止基を有する環状化合物に関する。さらに詳しくは、半導体等の電気・電子分野や光学分野等で用いられる上記環状化合物からなるフォトレジスト基材、特に超微細加工用フォトレジスト基材に関する。
【背景技術】
【0002】
極端紫外光(Extream Ultra Violet、EUV)又は電子線によるリソグラフィーは、半導体等の製造において、高生産性、高解像度の微細加工方法として有用であり、それに用いる高感度、高解像度のフォトレジストを開発することが求められている。これらリソグラフィーにおいて使用するフォトレジストは、所望する微細パターンの生産性、解像度等の観点から、その感度を向上させることが欠かせない。
【0003】
極端紫外光による超微細加工の際に用いられるフォトレジストとしては、例えば、公知のKrFレーザーによる超微細加工の際に用いられていた化学増幅型ポリヒドロキシスチレン系フォトレジストが挙げられる。このレジストでは、50nm程度までの微細加工が可能であることが知られている。しかし、このレジストでは、極端紫外光による超微細加工の最大のメリットである50nm以細のパターンを作成すると、高感度、低レジストアウトガスをある程度まで実現できたとしても、最も重要なラインエッジラフネスを低減させることが不可能であるため、極端紫外光本来の性能を十分に引き出しているとは言えなかった。このような背景から、より高性能のフォトレジストを開発することが求められていた。
【0004】
この求めに応じ、例えば特許文献1は、他のレジスト化合物と比較して、光酸発生剤が高濃度である化学増幅ポジ型フォトレジストを用いる方法を開示している。しかし、この方法では、実施例において、ヒドロキシスチレン/スチレン/t−ブチルアクリレートからなるターポリマーからなる基材、全固形分中の少なくとも約5重量%のジ(t−ブチルフェニル)ヨードニウムオルト−トリフルオロメチルスルフォネートからなる光酸発生剤、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド乳酸塩及び乳酸エチルからなるフォトレジストに関して、極端紫外光を用いた場合の作成ライン幅等の具体的結果が例示されていなかった。従って、これらの結果については、ラインエッジラフネスの観点から、電子線を用いた場合で例示された100nmまでの加工が限界であると考えられた。これは基材として用いる高分子化合物の集合体又は各々の高分子化合物分子が示す立体的形状が大きく、該作製ライン幅及びその表面粗さに影響を及ぼすことがその主原因と推定される。
【0005】
特許文献2は、高感度、高解像度のフォトレジスト材料としてカリックスレゾルシナレン化合物を開示している。しかしながら、さらに、室温にてアモルファス状態である新規な低分子有機化合物が求められていた。この際、半導体製造工程で問題となるエッチング耐性の向上等、諸性能の向上が並行して求められていた。また、フォトレジスト基材は現行の半導体製造工程では、溶媒に溶解させて製膜工程に進めるため、塗布溶媒に対する高い溶解性が求められていた。
【0006】
特許文献3は、カリックスレゾルシナレン化合物を開示しているが、これら化合物は一部溶解性が不十分と考えられる上、フォトレジスト基材としての用途が記載されていない。
また、特許文献4は、塩基性不純物を低減した特定の低分子化合物を開示しているが、溶解性が不十分であったり、酸解離性溶解抑止基由来のアウトガスによる汚染等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−055457号公報
【特許文献2】特開2004−191913号公報
【特許文献3】米国特許第6093517号明細書
【特許文献4】特開2005−075767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、塗布溶媒溶解性に優れ、高透明性、高感度、高微細加工性、高強度、低アウトガス性であるフォトレジスト基材及びフォトレジスト組成物を提供することを目的とする。
本発明は、フォトレジスト基材の一部を構成する酸解離性溶解抑止基前駆体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、以下の化合物等が提供される。
1.下記式(1)で表される化合物。
【化1】

(式中、Rは、下記式(2)〜(4)のいずれかで表される基である。
は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーロキシル基、アルコキシアルコキシ基、シロキシ基、又はこれらの基と2価の基とが結合した基であり、
前記2価の基は、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、置換もしくは無置換のアリーレンオキシ基、置換もしくは無置換のシリレンオキシ基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基と、エステル結合、炭酸エステル結合又はエーテル結合が結合した基である。
は、水素原子、Rで表される基、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族基又は酸素原子を含む基である。
式(1)に複数あるR、R及びRは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【化2】

(式中、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基、又はアルキレン基及びエーテル結合から選択される1つ以上と置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を組み合わせた基であり、
置換基を有する場合の置換基は臭素原子、フッ素原子、ニトリル基、又は炭素数1〜10のアルキル基である。
は、式(5)で表される基である。
3’−L−O− (5)
(Lは、下記式(6)〜(8)で表される基から選択される1つ又は2つ以上が連結されているものであり、任意の連結順を取る。式(6)〜(8)で表される基がそれぞれ複数含まれる場合、同一でも異なっていてもよい。
【化3】

(式中、R4’〜R7’はそれぞれ、水素原子、アルキル基又はヘテロ原子含有アルキル基であり、下記式(i)で表される脂環構造含有基と結合して環状構造を形成していてもよく、複数のR4’〜R7’が互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
3’は下記式(i)で表される脂環構造含有基である。
【化4】

(式中、Zは、ヘテロ原子を有してもよい炭素数5〜20の脂環構造であり、Rは、ヘテロ原子、環状構造を有してもよい置換もしくは無置換の炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜15の芳香族基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルコキシアルキル基、アリーロキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と2価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基若しくはエーテル基が結合してなる基)が結合した基である。p及びqは、それぞれ独立に、0以上の整数である。複数のRは同一であっても、異なっていてもよく、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。)
、Rは、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、又はこれら基のうち2以上を組み合わせた基である。
は、アルキレン基、エーテル結合、アルキレン基を2以上組み合わせた基、又はアルキレン基1以上とエーテル結合1以上を組み合わせた基である。
xは1〜5、yは0〜3、zは0〜4の整数である。
複数のR、R、R、Ar、A、L、x、y及びzは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。))
2.R101−Xで表される化合物であって、
101が下記式(11)で表される基であり、
Xがハロゲン原子、水酸基、アリーロキシ基、又は下記式(15)で表される(メタ)アクリル酸エステル基である化合物。
【化5】

(式(11)において、
nは、それぞれ0又は1の整数である。
は、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
は、式(i)で表される脂環構造含有基である。
【化6】

(式中、Zは、ヘテロ原子を有してもよい炭素数5〜20の脂環構造であり、Rは、ヘテロ原子、環状構造を有してもよい置換もしくは無置換の炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜15の芳香族基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルコキシアルキル基、アリーロキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と2価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基若しくはエーテル基が結合してなる基)が結合した基である。p及びqは、それぞれ独立に、0以上の整数である。複数のRは同一であっても、異なっていてもよく、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。)
は、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
【化7】

(上記式(15)において、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。))
3.前記Zがアダマンチル骨格を有する1に記載の化合物。
4.前記R3’が、式(ii)又は(iii)で表わされる基である1又は3に記載の化合物。
【化8】

(R,R,p,qは式(i)と同じである。)
5.前記Rが式(iv)で表される基である4に記載の化合物。
【化9】

(R10は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ヘテロ元素含有アルキル基、炭素数6〜18の芳香族基又はヘテロ元素含有芳香族基であり、複数のR10は同じでも異なっていてもよい。R11は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜18の芳香族基、珪素、酸素、硫黄、窒素若しくはハロゲンを含有する基によって置換された炭素数1〜10のアルキル基、又は珪素、酸素、硫黄、窒素若しくはハロゲンを含有する基によって置換された炭素数6〜18の芳香族基である。rは1〜4の整数である。)
6.前記Zがノルボルニル骨格を有する1又は3に記載の化合物。
7.前記R3’が式(v)で表わされる基である1又は6に記載の化合物。
【化10】

(R,R,p,qは式(i)と同じである。)
8.前記Rが式(iv)で表される基である7に記載の化合物。
【化11】

(R10は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ヘテロ元素含有アルキル基、炭素数6〜18の芳香族基又はヘテロ元素含有芳香族基であり、複数のR10は同じでも異なっていてもよい。R11は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜18の芳香族基、珪素、酸素、硫黄、窒素若しくはハロゲンを含有する基によって置換された炭素数1〜10のアルキル基、又は珪素、酸素、硫黄、窒素若しくはハロゲンを含有する基によって置換された炭素数6〜18の芳香族基である。rは1〜4の整数である。)
9.1に記載の化合物であって、Rが前記式(11)で表される基である化合物。
10.1及び3〜9のいずれか1項に記載の化合物及び溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
11.光酸発生剤を含有する10に記載のフォトレジスト組成物。
12.塩基性有機化合物をクエンチャーとして含有する10又は11に記載のフォトレジスト組成物。
13.10〜12のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物を用いた微細加工方法。
14.13に記載の微細加工方法により作製した半導体装置。
15.14に記載の半導体装置を備えた装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば塗布溶媒溶解性に優れ、高透明性、高感度、高微細加工性、高強度、低アウトガス性であるフォトレジスト基材及びフォトレジスト組成物、及びフォトレジスト基材の一部を構成する酸解離性溶解抑止基前駆体が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】合成例1で製造した環状化合物(A)のH−NMRスペクトルである。
【図2】実施例1で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図3】実施例2で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図4】実施例3で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図5】実施例4で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図6】実施例5で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図7】実施例6で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図8】実施例7で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図9】実施例8で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図10】実施例9で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図11】実施例10で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図12】実施例11で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図13】実施例12で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図14】実施例33で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【図15】実施例34で製造した化合物のH−NMRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の化合物は式(1)で表される。
【化12】

式中、Rは、下記式(2)〜(4)のいずれかで表される基である。
は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20(好ましくは1〜6)の直鎖状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーロキシル基、アルコキシアルコキシ基、シロキシ基、又はこれらの基と2価の基とが結合した基である。
【0013】
上記2価の基は、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、置換もしくは無置換のアリーレンオキシ基、置換もしくは無置換のシリレンオキシ基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基と、エステル結合、炭酸エステル結合又はエーテル結合が結合した基である。
【0014】
は、水素原子、Rで表される基、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族基又は酸素原子を含む基である。
式(1)に複数あるR、R及びRは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【化13】

式中、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基(例えばフェニレン基等)、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基、又はアルキレン基及びエーテル結合から選択される1つ以上と置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を組み合わせた基であり、
置換基を有する場合の置換基は臭素原子、フッ素原子、ニトリル基、又は炭素数1〜10のアルキル基である。
【0015】
は、式(5)で表される基である。
3’−L−O− (5)
Lは、下記式(6)〜(8)で表される基から選択される1つ又は2つ以上が連結されているものであり、任意の連結順を取る。式(6)〜(8)で表される基がそれぞれ複数含まれる場合、同一でも異なっていてもよい。
【化14】

式中、R4’〜R7’はそれぞれ、水素原子、アルキル基又はヘテロ原子含有アルキル基であり、下記式(i)で表される脂環構造含有基と結合して環状構造を形成していてもよく、複数のR4’〜R7’が互いに結合して環状構造を形成してもよい。好ましくはR4’〜R7’はそれぞれ、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。
【0016】
3’は下記式(i)で表される脂環構造含有基である。
【化15】

式中、Zは、ヘテロ原子を有してもよい炭素数5〜20の脂環構造である。
は、ヘテロ原子、環状構造を有してもよい置換もしくは無置換の炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜15の芳香族基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルコキシアルキル基、アリーロキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と2価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基若しくはエーテル基が結合してなる基)が結合した基である。
p及びqは、それぞれ独立に、0以上の整数であり、好ましくは1〜2、より好ましくは1である。
複数のRは同一であっても、異なっていてもよく、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。
【0017】
尚、RはR101−O−(R101は後述の通り)としてもよい。
【0018】
、Rは、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、又はこれら基のうち2以上を組み合わせた基である。
【0019】
は、アルキレン基、エーテル結合、アルキレン基を2以上組み合わせた基、又はアルキレン基1以上とエーテル結合1以上を組み合わせた基である。xは1〜5、好ましくは1の整数である。yは0〜3、好ましくは1の整数である。zは0〜4、好ましくは0の整数である。
複数のR、R、R、Ar、A、L、x、y及びzは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【0020】
炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素(又はアルキル)基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が好ましい。
炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素(又はアルキル)基としては、t−ブチル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、2−エチルヘキシル基等が好ましい。
炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素(又はアルキル)基としては、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビアダマンチル基、ジアダマンチル基等が好ましい。
炭素数6〜10の芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましい。
アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、アダマンチルオキシメチル基等が好ましい。
シリル基としては、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基等が好ましい。
【0021】
尚、上記の各基は置換基を有していてもよく、具体的には、メチル基、エチル基等のアルキル基、ケトン基、エステル結合、アルコキシ基、ニトリル基、ニトロ基、水酸基等が挙げられる。
直鎖状アルコキシ基、分岐アルコキシ基、環状アルコキシ基、アリーロキシル基、アルコキシアルコキシ基、シロキシ基、アルキレンオキシ基、アリーレンオキシ基、シリレンオキシ基としては、上記の対応する基が酸素原子と結合した1価又は2価の基が挙げられる。
アリーレン基、アルキレン基としては、上記の対応する2価の基が挙げられる。
【0022】
上記式(i)におけるヘテロ原子を有してもよい炭素数5〜20の脂環構造としては、例えば、シクロペンチル環、シクロヘキシル環、シクロヘプチル環、シクロオクチル環、シクロノニル環、シクロデカニル環、デカリル環(パーヒドロナフタレン環)、ノルボルニル環、ボルニル環、イソボルニル環、アダマンチル環、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、トリシクロ[5.2.1.02、6]デカン環、テトラシクロ[4.4.0.12、5.17、10]ドデカン環等の単環あるいは多環構造、γ−ブチロラクチル環、4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03、7]ノナン−5−オ、4、8−ジオキサ−トリシクロ[4.2.1.03、7]ノナン−5−オン、4−オキサ−トリシクロ[4.3.1.13、8]ウンデカン−5−オン等の単環あるいは多環式ラクトン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1、4−ジオキサン等の単環あるいは多環式エーテル、及びこれらのパーフルオロ体等が挙げられ、アダマンチル環、ノルボルニル環、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環が好ましい。
【0023】
上記式(i)におけるヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜10の置換もしくは無置換の2価の炭化水素基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基等の直鎖状又は分岐アルキレン基やそれらのパーフルオロ体等が挙げられる。
環状構造を有してもよい炭素数1〜10の置換もしくは無置換の2価の炭化水素基の具体例としては、シクロプロパン、シクロペンタン、シクロヘキサン環などの単環式、アダマンチル環、ダマンチル環、ノルボルニル環、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環等の多環式やそれらのパーフルオロ体等が挙げられる。
【0024】
上記ヘテロ原子を有してもよい炭素数5〜20の脂環構造、ヘテロ原子を有してもよい炭素数1〜10の置換もしくは無置換の2価の炭化水素基が有してもよいヘテロ原子の具体例としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子等が挙げられる。
【0025】
例えば、R3’は(ii),(iii)又は(v)で表わされる基である。
【化16】

式中、R,R,p,qは式(i)と同じであり、その好適なものとして上記式(i)で挙げたものが挙げられる。
【0026】
例えば、式(ii),(iii),(v)のRは下記式(iv)の構造を有する。
【化17】

10は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ヘテロ元素含有アルキル基、炭素数6〜18の芳香族基又はヘテロ元素含有芳香族基であり、複数のR10は同じでも異なっていてもよい。好ましくは水素である。
11は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族基、珪素、酸素、硫黄、窒素若しくはハロゲンを含有する基によって置換された炭素数1〜10のアルキル基、又は珪素、酸素、硫黄、窒素若しくはハロゲンを含有する基によって置換された炭素数6〜18の芳香族基である。珪素、酸素、硫黄、窒素若しくはハロゲンを含有する基として、例えば、アルキルカルボニル、(アルコキシル基、アリーロキシ基)、ニトロ、ハロゲン化アルキルを挙げられる。炭素数6〜18の芳香族基として、例えば、フェニル、ナフチル(及びそれらのアルキルカルボニル、(アルコキシル基、アリーロキシ基)、ニトロ、ハロゲン化物)を挙げられる。アルキル基の炭素数は好ましくは1〜4である。ハロゲンは好ましくはフッ素である。
rは1〜4の整数である。
【0027】
3’としては、具体的に以下の基が挙げられる。
【化18】

【化19】

式中、点線は結合位置を示す。
【0028】
下記するように第1の化合物は、フォトレジスト基材として用いることができるだけではなく、他の用途に用いることができる。
他の用途としては、例えば、他の化合物をフォトレジスト基材として用い、第1の化合物を添加剤に用いてもよい。
【0029】
本発明の第2の化合物はR101−Xで表される。R101は下記式(11)で表される基である。
【化20】

式(11)において、nは、それぞれ0又は1の整数である。Rは、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。Rは好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
【0030】
は、上記式(i)で表される脂環構造含有基である。
は、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。Rは好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。
【0031】
Xはハロゲン原子、水酸基、アリーロキシ基、又は下記式(15)で表される(メタ)アクリル酸エステル基である。
【化21】

上記式(15)において、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0032】
各基の好適な例としては、上記に挙げたものがそれぞれ挙げられる。
【0033】
は、式(i)で表わされ、上記と同じものを好適に挙げることができる。Rとして具体的に以下の基が挙げられる。
【化22】

【化23】

【0034】
下記するように第2の化合物は、フォトレジスト基材の原料として用いることができるだけではなく、他の用途に用いることができる。
他の用途としては、例えば、フォトレジスト組成物の添加剤に用いてもよい。
また、下記するように第2の化合物を用いて製造した化合物は、フォトレジスト基材として用いることができるだけではなく、他の用途に用いることができる。
他の用途としては、例えば、他の化合物をフォトレジスト基材として用い、第2の化合物を用いて製造した化合物を添加剤に用いてもよい。
【0035】
本発明の第3の化合物は、上記式(1)においてRだけが式(11)で表される化合物である。
【0036】
第2の化合物(酸解離性溶解抑止基前駆体)は、例えば以下の製法1又は製法2により製造することができる。
【0037】
製法1
原料アルコールR−OHと、例えばブロモ酢酸(A1)を4−ジメチルアミノピリジン存在下、溶媒として塩化メチレン中で撹拌し、0℃で、脱水縮合剤であるジシクロヘキシルカルボジイミドをゆっくりと加える。その後、氷浴で冷却したまま、0℃で撹拌して反応させる。生じた白色固体(ジシクロヘキシルカルボジイミドの尿素化体)をろ過して除去し、後処理、精製を行い、第2の化合物であるブロモ酢酸エステル(B)が得られる。
【化24】

(式中、XはBrである。)
【0038】
製法2
原料アルコールR−OHと、例えばブロモ酢酸ブロミド(A2)を脱水テトラヒドロフラン中で0℃に冷却し、脱水ピリジンを滴下した後、室温まで昇温し撹拌して反応させる。後処理、精製を行い、第2の化合物であるブロモ酢酸エステル体(B)が得られる。
【化25】

(式中、XはBrである。)
【0039】
上記製法1及び2において、溶媒としてテトラヒドロフラン及び塩化メチレンをそれぞれ用いているがこれらに限定されず、反応剤、原料が溶解すれば他の溶媒を用いてもよい。
他の溶媒としては、例えば含ハロゲン溶媒や含酸素溶媒が挙げられる。
【0040】
上記製法1及び2において、反応剤の塩基として−ジメチルアミノピリジン及びピリジンをそれぞれ用いているがこれらに限定されず、他の有機塩基、無機塩基を用いてもよい。
【0041】
上記製法1において、脱水縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジイミドを用いているがこれに限定されず、他の従来公知の縮合剤をもちいてもよい。
【0042】
反応温度は、好ましくは−100℃〜100℃であり、特に好ましくは−50℃〜50℃である。
【0043】
第1の化合物は、対応するカリックスレソルシナレンに、第2の化合物(酸解離性溶解抑止基前駆体)を1種以上5種以下反応させて得ることができる。第3の化合物は、式(1)においてRに例えば−COOHを含有する対応するカリックスレソルシナレン化合物に第2の化合物(酸解離性溶解抑止基前駆体)を1種以上5種以下反応させて得ることができる。
【0044】
上述したように、第1の化合物は、対応するカリックスレゾルシナレン化合物に第2の化合物を反応させて得ることができるが、以下に具体的に製法を例示する。
【0045】
製法1’
対応するカリックスレソルシナレン化合物、第2の化合物、炭酸ナトリウム、溶媒としてジメチルホルムアミドを加え、窒素気流下80℃で加熱反応させた後、反応溶液を水に投入することにより生ずる沈殿をろ別、精製することによって得ることができる。
【0046】
製法2’
対応するカリックスレソルシナレン化合物、第2の化合物、水素化ナトリウム、溶媒としてテトラヒドロフランを加え、窒素気流下、0℃で反応させた後、反応溶液を水に投入し生ずる沈殿をろ別、精製することによって得ることができる。
【0047】
また、上述したように、第3の化合物は、式(1)においてRに例えば−COOHを含有するカリックスレソルシナレン化合物に第2の化合物を反応させて得ることができるが、以下に具体的に製法を例示する。
【0048】
製法1’ ’
式(1)においてRに−COOHを含有するカリックスレソルシナレン化合物、第2の化合物、溶媒としてN−メチルピロリドンを加え、窒素気流下、室温で、トリエチルアミン、DBUを添加、反応させた後、反応溶液を水に投入することにより生ずる沈殿をろ別精製し得ることができる。
【0049】
製法2’ ’
式(1)においてRに−COOHを含有するカリックスレソルシナレン化合物、第2の化合物、炭酸水素ナトリウム、溶媒としてN−メチルピロリドンを加え、窒素気流下、50度で反応させた後、反応溶液を水に投入することにより生ずる沈殿をろ別精製し得ることができる。
【0050】
上記製法1’,2’,1’ ’,2’ ’において、溶媒としてジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン及びN−メチルピロリドンをそれぞれ用いているがこれらに限定されず、反応剤、原料が溶解すれば他の溶媒を用いてもよい。
他の溶媒としては、例えば含ハロゲン溶媒、含酸素溶媒、芳香族溶媒(トルエン)が挙げられる。
【0051】
上記製法1’,2’,1’ ’,2’ ’において、反応剤の塩基として炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水素化ナトリウム、トリエチルアミン、DBUをそれぞれ用いているがこれらに限定されず、他の有機塩基、無機塩基を用いてもよい。
反応温度は、好ましくは−100℃〜100℃であり、特に好ましくは−50℃〜80℃である。
【0052】
本発明のフォトレジスト組成物は本発明の第1の化合物及び第2の化合物(フォトレジスト基材)を含む。フォトレジスト基材の含有量は、溶剤を除く全組成物中で好ましくは50〜99.9重量%であり、より好ましくは75〜95重量%である。
フォトレジスト基材として用いる場合において、本発明のフォトレジスト基材は、1種類の化合物でもよく、2種以上の混合物でもよい。
【0053】
本発明のフォトレジスト組成物に使用される溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコールモノアルキルエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル(EL)等の乳酸エステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル(PE)等の脂肪族カルボン酸エステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0054】
組成物中の溶剤以外の成分、即ちフォトレジスト固形分の量は所望のフォトレジスト層の膜厚を形成するために適する量とするのが好ましい。具体的にはフォトレジスト組成物の全重量の0.1〜50重量%が一般的であるが、用いる基材や溶剤の種類、あるいは、所望のフォトレジスト層の膜厚等に合わせて規定できる。溶剤は全組成物中好ましくは50〜99.9重量%配合する。
【0055】
本発明のフォトレジスト組成物は、基材の分子が、EUV及び/又は電子線に対して活性なクロモフォアを含み単独でフォトレジストとしての能力を示す場合には特に添加剤は必要としないが、フォトレジストとしての性能(感度)を増強する必要がある場合は、必要に応じて、クロモフォアとして光酸発生剤(PAG)等を含むことが一般的である。
【0056】
光酸発生剤としては、特に限定されず、化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような酸発生剤としては、ヨードニウム塩やスルホニウム塩等のオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキル又はビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類等のジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤等多種のものが知られている。
【0057】
オニウム塩系酸発生剤としては、下記式(a−0)で表される酸発生剤が例示できる。
【化26】

[式中、R51は、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、又は直鎖、分岐鎖又は環状のフッ素化アルキル基を表し;R52は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基、直鎖又は分岐鎖状のハロゲン化アルキル基、又は直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基であり;R53は置換基を有していてもよいアリール基であり;u’’は1〜3の整数である。]
【0058】
式(a−0)において、R51は、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、又は直鎖、分岐鎖又は環状のフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また、フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中全水素原子の個数に対する置換したフッ素原子の個数の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
51は、直鎖状アルキル基又はフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
【0059】
52は、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基、直鎖、又は分岐鎖状のハロゲン化アルキル基、又は直鎖又は分岐鎖状のアルコキシ基である。
52において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
52において、アルキル基は、直鎖又は分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、最も好ましくは1〜3である。
52において、ハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基である。ここでのアルキル基は、前記R52における「アルキル基」と同様のものが挙げられる。置換するハロゲン原子としては上記「ハロゲン原子」について説明したものと同様のものが挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが望ましく、全て置換されていることがより好ましい。
52において、アルコキシ基としては、直鎖状又は分岐鎖状であり、その炭素数は好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4、最も好ましくは1〜3である。
52は、これらの中でも水素原子が好ましい。
【0060】
53は置換基を有していてもよいアリール基であり、置換基を除いた基本環(母体環)の構造としては、ナフチル基、フェニル基、アントラセニル基等が挙げられ、本発明の効果やArFエキシマレーザー等の露光光の吸収の観点から、フェニル基が望ましい。
置換基としては、水酸基、低級アルキル基(直鎖又は分岐鎖状であり、その好ましい炭素数は5以下であり、特にメチル基が好ましい)等を挙げることができる。
53のアリール基としては、置換基を有しないものがより好ましい。
【0061】
u’’は1〜3の整数であり、2又は3であることが好ましく、特に3であることが望ましい。
【0062】
式(a−0)で表される酸発生剤の好ましいものとしては、以下の化学式で表されるものを挙げることができる。
【化27】

【0063】
式(a−0)で表される酸発生剤は1種又は2種以上混合して用いることができる。
式(a−0)で表される酸発生剤の他のオニウム塩系酸発生剤としては、例えば下記式(a−1)又は(a−2)で表される化合物が挙げられる。
【化28】

[式中、R”〜R”,R”,R”は、それぞれ独立に、置換又は無置換のアリール基又はアルキル基を表し;R”は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を表し;R”〜R”のうち少なくとも1つはアリール基を表し、R”及びR”のうち少なくとも1つはアリール基を表す。]
【0064】
式(a−1)中、R”〜R”はそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール基又はアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つは置換又は無置換のアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上が置換又は無置換のアリール基であることが好ましく、R”〜R”の全てが置換又は無置換のアリール基であることが最も好ましい。
【0065】
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部又は全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
【0066】
前記アリール基の置換基であるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n‐ブチル基、tert‐ブチル基が最も好ましい。
前記アリール基の置換基であるアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記アリール基の置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
【0067】
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
これらの中で、R”〜R”は全てフェニル基であることが最も好ましい。
【0068】
”は、直鎖、分岐又は環状のアルキル基又はフッ素化アルキル基を表す。
前記直鎖又は分岐のアルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記環状のアルキル基としては、前記R”で示したような環式基であって、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
前記フッ素化アルキル基としては、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。また。該フッ化アルキル基のフッ素化率(アルキル基中のフッ素原子の割合)は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子を全てフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるので好ましい。
”としては、直鎖又は環状のアルキル基、又はフッ素化アルキル基であることが最も好ましい。
【0069】
式(a−2)中、R”及びR”はそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール基又はアルキル基を表す。R”及びR”のうち、少なくとも1つは置換又は無置換のアリール基を表す。R”及びR”の全てが置換又は無置換のアリール基であることが好ましい。
”〜R”の置換又は無置換のアリール基としては、R”〜R”の置換又は無置換のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”は全てフェニル基であることが最も好ましい。
式(a−2)中のR”としては上記式(a−1)のR”と同様のものが挙げられる。
【0070】
式(a−1)、(a−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネート又はノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネート又はそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。また、これらのオニウム塩のアニオン部がメタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネートに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
【0071】
また、前記式(a−1)又は(a−2)において、アニオン部を下記式(a−3)又は(a−4)で表されるアニオン部に置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(a−1)又は(a−2)と同様)。
【化29】

[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”,Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
【0072】
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”,Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
【0073】
X”のアルキレン基の炭素数又はY”,Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶剤への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
【0074】
また、X”のアルキレン基又はY”,Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。該アルキレン基又はアルキル基中のフッ素原子の割合、即ちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
【0075】
本発明において、光酸発生剤として以下の式(40)〜(45)で示される化合物も使用できる。
【化30】

【0076】
式(40)中、Qはアルキレン基、アリーレン基又はアルコキシレン基であり、R15はアルキル基、アリール基、ハロゲン置換アルキル基又はハロゲン置換アリール基である。
【0077】
前記式(40)で示される化合物は、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)スクシンイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)フタルイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ジフェニルマレイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(4−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロベンゼンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(1−ナフタレンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ナフチルイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]へプト−5−エンー2,3−ジカルボキシイミド及びN−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ナフチルイミドからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0078】
【化31】

式(41)中、R16は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝又は環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基又は任意に置換されたアラルキル基である。
【0079】
前記式(41)で示される化合物は、ジフェニルジスルフォン、ジ(4−メチルフェニル)ジスルフォン、ジナフチルジスルフォン、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ジスルフォン、ジ(4−ヒドロキシフェニル)ジスルフォン、ジ(3−ヒドロキシナフチル)ジスルフォン、ジ(4−フルオロフェニル)ジスルフォン、ジ(2−フルオロフェニル)ジスルフォン及びジ(4−トルフルオロメチルフェニル)ジスルフォンからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0080】
【化32】

式(42)中、R17は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、任意に置換された直鎖、分枝又は環状アルキル基、任意に置換されたアリール基、任意に置換されたヘテロアリール基又は任意に置換されたアラルキル基である。
【0081】
前記式(42)で示される化合物は、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メチルフェニルアセトニトリル及びα−(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−ブロモフェニルアセトニトリルからなる群から選択される少なくとも一種類であることが好ましい。
【0082】
【化33】

式(43)中、R18は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ独立に、1以上の塩素原子及び1以上の臭素原子を有するハロゲン化アルキル基である。ハロゲン化アルキル基の炭素原子数は1〜5が好ましい。
【0083】
【化34】

【0084】
式(44)及び(45)中、R19及びR20はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数1〜3のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1〜3のアルコキシ基、又はフェニル基、トルイル基、ナフチル基等のアリール基であり、好ましくは、炭素原子数6〜10のアリール基である。
19及びL20はそれぞれ独立に1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基である。1,2−ナフトキノンジアジド基を有する有機基としては、具体的には、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基、1,2−ナフトキノンジアジド−6−スルホニル基等の1,2−キノンジアジドスルホニル基を好ましいものとして挙げることができる。特に、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル基及び1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル基が好ましい。
pは1〜3の整数、qは0〜4の整数、かつ1≦p+q≦5である。
19は単結合、炭素原子数1〜4のポリメチレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基、下記式(44a)で表わされる基、カルボニル結合、エステル結合、アミド結合又はエーテル結合を有する基である。
【0085】
19はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基又はアリール基であり、X20は、それぞれ独立に下記式(45a)で示される基である。
【化35】

式(45a)中、Z22はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基であり、R22はそれぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基であり、rは0〜3の整数である。
【0086】
その他の酸発生剤として、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルアゾメチルスルホニル)デカン等のビススルホニルジアゾメタン類、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−(ビストリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−(ビストリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)−1,3,5−トリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート等のハロゲン含有トリアジン誘導体等が挙げられる。
【0087】
これらの光酸発生剤の中で、特に好ましくは活性光線又は放射線の作用により有機スルホン酸を発生する化合物が好ましい。
【0088】
PAGの配合量は、溶剤を除く全組成物中0〜40重量%、好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量%である。
【0089】
本発明においては、放射線照射により酸発生剤から生じた酸のレジスト膜中における拡散を制御して、未露光領域での好ましくない化学反応を阻止する作用等を有する酸拡散制御剤(クエンチャー)をフォトレジスト組成物に配合してもよい。この様な酸拡散制御剤を使用することにより、フォトレジスト組成物の貯蔵安定性が向上する。また解像度が向上するとともに、電子線照射前の引き置き時間、電子線照射後の引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。
【0090】
このような酸拡散制御剤としては、例えば、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミン;1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の環状アミン等の窒素原子含有塩基性化合物、塩基性スルホニウム化合物、塩基性ヨードニウム化合物等の電子線放射分解性塩基性化合物が挙げられる。酸拡散制御剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。
【0091】
クエンチャーの配合量は、溶剤を除く全組成物中0〜40重量%、好ましくは0.01〜15重量%である。
本発明においては、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解制御剤、増感剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、顔料等を適宜、添加含有させることができる。
【0092】
溶解制御剤は、環状化合物のアルカリ現像液に対する溶解性が高すぎる場合に、その溶解性を低下させて現像時の溶解速度を適度にする作用を有する成分である。
【0093】
溶解制御剤としては、例えば、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン、アセナフテン等の芳香族炭化水素類;アセトフェノン、ベンゾフェノン、フェニルナフチルケトン等のケトン類;メチルフェニルスルホン、ジフェニルスルホン、ジナフチルスルホン等のスルホン類等を挙げることができる。さらに、例えば、酸解離性官能基が導入されたビスフェノール類、t−ブチルカルボニル基が導入されたトリス(ヒドロキシフェニル)メタン等をも挙げることができる。これらの溶解制御剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。溶解制御剤の配合量は、使用する環状化合物の種類に応じて適宜調節されるが、固形成分全重量の0〜50重量%が好ましく、0〜40重量%がより好ましく、0〜30重量%がさらに好ましい。
【0094】
増感剤は、照射された放射線のエネルギーを吸収して、そのエネルギーを酸発生剤に伝達し、それにより酸の生成量を増加する作用を有し、レジストの見掛けの感度を向上させる成分である。このような増感剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ビアセチル類、ピレン類、フェノチアジン類、フルオレン類等を挙げることができるが、特に限定はされない。これらの増感剤は、単独で又は2種以上を使用することができる。増感剤の配合量は、固形成分全重量の0〜50重量%が好ましく、0〜20重量%がより好ましく、0〜10重量%がさらに好ましい。
【0095】
界面活性剤は、本発明のフォトレジスト組成物の塗布性やストリエーション、レジストとしての現像性等を改良する作用を有する成分である。このような界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系あるいは両性のいずれでも使用することができる。これらのうち、ノニオン系界面活性剤が好ましい。ノニオン系界面活性剤は、フォトレジスト組成物に用いる溶剤との親和性がよく、より効果がある。ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類等の他、以下商品名で、エフトップ(ジェムコ社製)、メガファック(大日本インキ化学工業社製)、フロラード(住友スリーエム社製)、アサヒガード、サーフロン(以上、旭硝子社製)、ペポール(東邦化学工業社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社油脂化学工業社製)等の各シリーズ製品を挙げることができるが、特に限定はされない。界面活性剤の配合量は、固形成分全重量の0〜2重量%が好ましく、0〜1重量%がより好ましく、0〜0.1重量%がさらに好ましい。
【0096】
また、染料あるいは顔料を配合することにより、露光部の潜像を可視化させて、露光時のハレーションの影響を緩和できる。さらに、接着助剤を配合することにより、基板との接着性を改善することができる。
【0097】
酸拡散制御剤を配合した場合の感度劣化を防ぎ、またレジストパターン形状、引き置き安定性等の向上の目的で、さらに任意の成分として、有機カルボン酸又はリンのオキソ酸又はその誘導体を含有させることができる。尚、これらの化合物は、酸拡散制御剤と併用することもできるし、単独で用いてもよい。有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸等が好適である。リンのオキソ酸又はその誘導体としては、リン酸、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸又はそれらのエステル等の誘導体、ホスホン酸、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸又はそれらのエステル等の誘導体、ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸及びそれらのエステル等の誘導体が挙げられ、これらの中で特にホスホン酸が好ましい。
【0098】
レジストパターンを形成するには、まず、シリコンウェハー、ガリウムヒ素ウェハー、アルミニウムで被覆されたウェハー等の基板上に本発明のフォトレジスト組成物を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布手段によって塗布することによりレジスト膜を形成する。
【0099】
必要に応じて、基板上に表面処理剤を予め塗布してもよい。表面処理剤としては、例えばヘキサメチレンジシラザン等のシランカップリング剤(重合性基を有する加水分解重合性シランカップリング剤等)、アンカーコート剤又は下地剤(ポリビニルアセタール、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等)、これらの下地剤と無機微粒子とを混合したコーティング剤が挙げられる。
【0100】
必要に応じて、大気中に浮遊するアミン等が侵入するのを防ぐために、レジスト膜に保護膜を形成してもよい。保護膜を形成することにより、放射線によりレジスト膜中に発生した酸が、大気中に不純物として浮遊しているアミン等の酸と反応する化合物と反応して失活し、レジスト像が劣化し感度が低下することを防止できる。保護膜用の材料としては水溶性かつ酸性のポリマーが好ましい。例えば、ポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸等が挙げられる。
【0101】
高精度の微細パターンを得るため、また露光中のアウトガスを低減するため、放射線照射前(露光前)に加熱するのが好ましい。その加熱温度は、フォトレジスト組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは40〜150℃である。
【0102】
次いで、KrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線又はX線等の放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光する。露光条件等は、フォトレジスト組成物の配合組成等に応じて適宜選定される。本発明においては、高精度の微細パターンを安定して形成するために、放射線照射後(露光後)に加熱するのが好ましい。露光後加熱温度(PEB)は、フォトレジスト組成物の配合組成等により変わるが、20〜250℃が好ましく、より好ましくは40〜150℃である。
【0103】
次いで、露光されたレジスト膜をアルカリ現像液で現像することにより、所定のレジストパターンを形成できる。前記アルカリ現像液としては、例えば、モノ−、ジ−あるいはトリアルキルアミン類、モノ−、ジ−あるいはトリアルカノールアミン類、複素環式アミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン等のアルカリ性化合物の1種以上を溶解した、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%のアルカリ性水溶液を使用する。アルカリ現像液には、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類や前記界面活性剤を適量添加することもできる。これらのうちイソプロピルアルコールを10〜30重量%添加することが特に好ましい。尚、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を用いた場合は、一般に、現像後水で洗浄する。
【0104】
酸解離性溶解抑止基を有する環状化合物をフォトレジスト基材として用いる場合は、KrFエキシマレーザー、極端紫外線、電子線又はX線等の放射線により、レジスト膜を所望のパターンに露光することにより、酸解離性溶解抑止基が脱離ないし構造が変化することにより、アルカリ現像液に溶解するようになる。一方、パターンの露光されていない部分はアルカリ現像液に溶解しないことが好ましい。
【0105】
アルカリ現像液に対する非溶解性については、形成するパターンのサイズ、使用するアルカリ現像液の種類等の現像条件により、好ましい非溶解性が異なるため一概に規定することはできないが、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液をアルカリ現像液として用いる場合、フォトレジスト基材からなる薄膜の現像液溶解速度で表される非溶解性としては、1ナノメートル/秒未満が好ましく、0.5ナノメートル/秒未満が特に好ましい。
【0106】
尚、場合によっては上記アルカリ現像後、ポストベーク処理を行ってもよいし、基板とのレジスト膜の間には有機系又は無機系の反射防止膜を設けてもよい。
【0107】
レジストパターンを形成した後、エッチングすることによりパターン配線基板が得られる。エッチングは、プラズマガスを使用するドライエッチング、アルカリ溶液、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液等を用いるウェットエッチング等公知の方法で行うことができる。レジストパターンを形成した後、銅めっき、はんだめっき、ニッケルめっき、金めっき等のめっき処理を行うこともできる。
【0108】
エッチング後の残留レジストパターンは、有機溶剤やアルカリ現像液より強アルカリ性の水溶液で剥離することができる。上記有機溶剤としては、PGMEA、PGME、EL、アセトン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、強アルカリ水溶液としては、例えば、1〜20重量%の水酸化ナトリウム水溶液、及び1〜20重量%の水酸化カリウム水溶液が挙げられる。剥離方法としては、例えば、浸漬方法、スプレイ方式等が挙げられる。またレジストパターンが形成された配線基板は、多層配線基板でもよく、小径スルーホールを有していてもよい。
【0109】
本発明のフォトレジスト組成物を用いてレジストパターンを形成した後、金属を真空蒸着し、その後レジストパターンを溶液で溶離する方法、即ちリフトオフ法により配線基板を形成することもできる。
【0110】
本発明のフォトレジスト組成物を用いて微細加工方法により、半導体装置を作製できる。この半導体装置は、テレビ受像機、携帯電話、コンピュータ等の電気製品(電子機器)、ディスプレイ、コンピュータ制御する自動車等の様々な装置に備えることができる。
【0111】
本発明の化合物は公知の成形方法によって各種成形品(シリコンウェハ等の基板に形成した薄膜、フィルム、薄板、ファイバー等)を製造することができる。
【0112】
成形方法としては、射出成型法、射出圧縮成型法、押出成型法、ブロー成型法、加圧成型法、トランスファー成型法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、キャスト法、蒸着法、熱CVD法、プラズマCVD法、プラズマ重合法等が挙げられ、これら成形方法を所望の製品の形態、性能に応じて適宜選択できる。
【0113】
また、本発明の化合物を用いて上記の方法により薄膜を得て、得られた薄膜を熱、紫外線、深紫外線、真空紫外線、極端紫外線、電子線、プラズマ、X線等により硬化(環化付加反応)させてもよい。
【0114】
スピンコーティング法等により本発明の化合物を薄膜に形成する場合、本発明の化合物を有機溶媒に溶解させて塗料として用いることができる。
【0115】
有機溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、テトラクロロベンゼン、ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アニソール、アセトフェノン、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等が挙げられる。
【0116】
塗料中における本発明の化合物の濃度は、塗料の粘度や薄膜形成方法等を考慮して適宜調製すればよい。
薄膜の厚さは特に限定されないが、一般に10nm〜10μm程度のものが好適に使用される。薄膜の膜厚は、エリプソメータ、反射光学式膜厚計等による光学的膜厚測定、触針式膜厚測定器やAFM等による機械的膜厚測定が可能である。
【0117】
本発明の薄膜は、フォトレジスト薄膜としての用途の他、光学レンズ、光ファイバー、光導波路、フォトニック結晶等の種々の光情報処理装置向け光学薄膜、半導体用層間絶縁膜、半導体用保護膜等のULSI装置向け薄膜、液晶ディスプレー、液晶プロジェクター、プラズマディスプレー、ELディスプレー、LEDディスプレー等の画像表示装置向け薄膜、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等に使用される薄膜として有用である。さらにこれら薄膜は、CPU、DRAM、フラッシュメモリ等の半導体装置、情報処理用小型電子回路装置、高周波通信用電子回路装置等の電子回路装置、画像表示装置、光情報処理用装置、光通信用装置等の部材、表面保護膜、耐熱膜において利用することもできる。
【実施例】
【0118】
合成例1
窒素気流下、容量200ミリリットルの丸底フラスコに、3−メトキシフェノール(東京化成工業株式会社製)50.0g(402.8ミリモル)、4−ホルミル安息香酸(東京化成工業株式会社製)60.5g(402.8ミリモル)、脱水ジクロロメタン500ミリリットルを加えて氷水浴に浸漬させ、5℃以下に冷却した。この混合物に対して、三フッ化ホウ素エーテル付加体(和光純薬工業株式会社製)60.8ミリリットル(483.6ミリモル)を内温が15℃を越えないように滴下した後、室温まで昇温して8時間撹拌を継続した。反応溶液を氷水浴で冷却し、ゆっくり水を滴下してクエンチし、析出した固体をろ別した。さらに、ろ別した析出物を中性になるまで水洗し、その後、N−メチル−2−ピロリドンに溶解させ、酢酸エチルで再沈し、析出した固体をろ別することにより、環状化合物(A)を得た(収量94.4g)。
H−NMR測定の結果を図1に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物が下記式(1)の構造であることを確認した。
【化36】

【0119】
実施例1
2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの合成
【化37】

窒素気流下、ジムロート氏冷却管、滴下ロートを備えた1L丸底フラスコに1−アダマンタンカルボン酸100g(0.555mol)を封入し、メタノール250mlを加えた。濃硫酸2.5ml(0.047mol)を滴下ロートから徐々に滴下し、4時間加熱還流した。室温まで放冷後0℃まで冷却し、飽和食塩水を加えることで反応を停止させた。続いて、エーテル溶媒にて反応溶液を抽出し、得られた有機層を溶液が中性になるまで飽和食塩水にて洗浄した。分離した有機層に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した後、減圧下溶媒を留去することで1−アダマンタンカルボン酸メチルを得た(収量105g)。
【0120】
窒素気流下、300ml丸底フラスコに1−アダマンタンカルボン酸メチル8.07g(0.0415mol)、テトラヒドロフラン83.0mlを加えて攪拌した。0℃まで冷却し、メチルマグネシウムブロミド100.0ml(1.0M THF溶液、0.10mol)を加え、室温まで昇温し11時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液にて反応を停止させ、酢酸エチル溶媒にて反応溶液を抽出し、得られた溶液を飽和食塩水にて洗浄した。分離した有機層に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した後、減圧下溶媒を留去することで、2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オールを得た(収量7.95g)。
【0121】
窒素気流下、200ml丸底フラスコに2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オール8.0g(0.041mol)、ジクロロメタン50.0mlを加えて攪拌し、続いてピリジン5.0ml(0.062mol)を加えた。0℃まで冷却し、ブロモ酢酸ブロミド7.1ml(0.082mol)を加え、室温まで昇温した後、20時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて反応を停止させ、酢酸エチル溶媒にて反応溶液を抽出し、得られた溶液を飽和食塩水にて洗浄した。分離した有機層に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。残渣を中性シリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製することにより2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドを無色オイルとして得た(収量4.5g)。
H−NMR測定の結果を図2に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物が2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドであることを確認した。
【0122】
実施例2
窒素気流下、100ml丸底フラスコに合成例1で得たカリックスレゾルシナレン化合物0.812g(7.92mmol)、N−メチル−2−ピロリドン26.0mlを封入し、40℃まで加熱することで溶解させた。室温まで放冷した後0℃まで冷却し、トリエチルアミン0.99ml(7.10mmol)を加え10分攪拌し、実施例2で得た2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミド2.27g(7.20mmol)を加えた。室温まで昇温し20時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えることで反応を停止させた。続いて、酢酸エチルにて反応溶液を抽出し、純水及び飽和食塩水にて洗浄した。得られた溶液を濃縮し、酢酸エチル及びヘキサンの混合溶媒にて再沈殿させ、目的物を得た(収量1.14g)。H−NMR測定の結果を図3に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物が下記式(2)の構造であることを確認した。
【化38】

【0123】
実施例3
3−アダマンタン−1−イル−2−メチル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの合成
【化39】

窒素気流下、ジムロート氏冷却管、滴下ロートを備えた1L丸底フラスコに1−アダマンタン酢酸13.5g(0.0695mol)を封入し、メタノール31.0mlを加えた。濃硫酸0.31ml(0.00583mol)を滴下ロートから徐々に滴下し、4時間加熱還流した。室温まで放冷後0℃まで冷却し、飽和食塩水を加えることで反応を停止させた。続いて、エーテル溶媒にて反応溶液を抽出し、得られた有機層を溶液が中性になるまで飽和食塩水にて洗浄した。分離した有機層に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した後、減圧下溶媒を留去することで1−アダマンタン酢酸メチルを得た(収量14g)。
【0124】
窒素気流下、500ml丸底フラスコに1−アダマンタン酢酸メチル7.0g(0.034mol)、テトラヒドロフラン(THF)68.0mlを加えて攪拌した。0℃まで冷却し、メチルマグネシウムブロミド81.0ml(1.0MTHF溶液、0.081mol)を加え、室温まで昇温し7時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液にて反応を停止させ、酢酸エチル溶媒にて反応溶液を抽出し、得られた溶液を飽和食塩水にて洗浄した。分離した有機層に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した後、減圧下溶媒を留去することで、3−アダマンチル−2−メチル−プロパン−2−オールを得た(収量6.7g)。
【0125】
窒素気流下、100ml丸底フラスコに3−アダマンチル−2−メチル−プロパン−2−オール1.0g(4.8mmol)、テトラヒドロフラン10.0mlを加えて攪拌し、続いてピリジン0.6ml(7.4mmol)を加えた。0℃まで冷却し、ブロモ酢酸ブロミド0.84ml(9.6mmol)を加え、室温まで昇温した後、20時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にて反応を停止させ、酢酸エチル溶媒にて反応溶液を抽出し、得られた溶液を飽和食塩水にて洗浄した。分離した有機層に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。残渣を中性シリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=9/1)で精製することにより3−アダマンタン−1−イル−2−メチル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドを無色オイルとして得た(収量1.3g)。H−NMR測定の結果を図4に示す。
H−NMRスペクトルから、得られた化合物が3−アダマンタン−1−イル−2−メチル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドであることを確認した。
【0126】
実施例4
窒素気流下、100ml丸底フラスコに合成例1で得たカリックスレゾルシナレン化合物0.96g(0.94mmmol)、N−メチル−2−ピロリドン31.0mlを封入し、40℃まで加熱することで溶解させた。室温まで放冷した後0℃まで冷却し、トリエチルアミン1.0ml(7.2mmol,)を加え10分攪拌し、実施例3で得た3−アダマンタン−1−イル−2−メチル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミド2.3g(7.1mmmol)を加えた。室温まで昇温し20時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えることで反応を停止させた。続いて、酢酸エチルにて反応溶液を抽出し、純水及び飽和食塩水にて洗浄した。得られた溶液を濃縮し、酢酸エチル及びヘキサンの混合溶媒にて再沈殿させ、上記に示す環状化合物を得た(収量1.13g)。H−NMR測定の結果を図5に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物が下記式(3)の構造であることを確認した。
【化40】

【0127】
実施例5
アダマンチル−(クロロメトキシ)メタンの合成
【化41】

窒素気流下、100ml二口フラスコに1−ヒドロキシメチルアダマンタン10.0g(0.0601mol)、パラホルムアルデヒド2.32g(0.0773mol)、無水硫酸マグネシウム10.9g(0.0906mol)、塩化メチレン100.0mlを封入し、0℃にて攪拌した。別途滴下ロートを備えた100ml三口フラスコを用意し、テフロン(登録商標)チューブ及びガラス管にて前出の二口フラスコ内に接続した。フラスコ内に塩化ナトリウム19.8g(0.339mol)を加え、滴下ロートに濃硫酸12.0ml(0.221mol)を加えて、序々に滴下した。発生した塩酸ガスを窒素気流下、反応溶液内にてハブリングさせ、0℃にて6時間攪拌した。濾過により無水硫酸マグネシウムを除去し、濾液中の溶媒を減圧下留去した。残渣を減圧蒸留することにより、アダマンチル−(クロロメトキシ)メタンを無色オイルとして得た(収量5.52g)。
H−NMR測定の結果を図6に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物がアダマンチル−(クロロメトキシ)メタンであることを確認した。
【0128】
実施例6
窒素気流下、100ml丸底フラスコに合成例1で得たカリックスレゾルシナレン化合物2.0g(2.0mmol)、N−メチル−2−ピロリドン32.0mlを封入し、40℃まで加熱することで溶解させた。室温まで放冷した後0℃まで冷却し、トリエチルアミン2.7ml(19.4mmol)を加え10分攪拌し、実施例5で得たアダマンチル−(クロロメトキシ)メタン2.0g(8.7mmol)を加えた。室温まで昇温し20時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えることで反応を停止させた。続いて、酢酸エチルにて反応溶液を抽出し、純水及び飽和食塩水にて洗浄した。得られた溶液を濃縮し、酢酸エチル及びヘキサンの混合溶媒にて再沈殿させ、目的物を得た(収量2.7g)。H−NMR測定の結果を図7に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物が下記式(4)の構造であることを確認した。
【化42】

【0129】
実施例7
アダマンチル−(クロロメトキシ)エタンの合成
【化43】

実施例5の1−ヒドロキシメチルアダマンタンの代わりに1−アダマンタンエタノール5.67gを用いた以外は、実施例5と同様の手順でアダマンチル−(クロロメトキシ)エタンを無色オイルとして得た(収量2.97g)。H−NMR測定の結果を図8に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物がアダマンチル−(クロロメトキシ)エタンであることを確認した。
【0130】
実施例8
実施例6のアダマンチル−(クロロメトキシ)メタンの代わりに実施例7で得たアダマンチル−(クロロメトキシ)エタンを用いた以外は、実施例6と同様の手順で目的化合物を白色固体として得た(収量2.7g)。H−NMR測定の結果を図9に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物が下記式(5)の構造であることを確認した。
【化44】

【0131】
実施例9
2−(クロロメトキシ)ビシクロ[2.2.1]へプタンの合成
【化45】

実施例5の1−ヒドロキシメチルアダマンタンの代わりに実施例9で得たノルボルネオール7.7gを用いた以外は、実施例5と同様の方法により2−(クロロメトキシ)ビシクロ[2.2.1]へプタンを無色オイルとして得た(収量6.8g)。H−NMR測定の結果を図10に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物が2−(クロロメトキシ)ビシクロ[2.2.1]へプタンであることを確認した。
【0132】
実施例10
実施例6のアダマンチル−(クロロメトキシ)メタンの代わりに2−(クロロメトキシ)ビシクロ[2.2.1]へプタン1.4gを用いた以外は、実施例6と同様の方法により目的化合物を白色固体として得た(収量2.4g)。H−NMR測定の結果を図11に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物が下記式(6)の構造であることを確認した。
【化46】

【0133】
実施例11
2−(クロロメトキシ)−1,7,7トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンの合成
【化47】

実施例5の1−ヒドロキシメチルアダマンタンの代わりにボルネオール15gを用いる以外は、実施例5と同様の手順で2−(クロロメトキシ)−1,7,7トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンを無色オイルとして得た(収量11.1g)。H−NMR測定の結果を図12に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物が2−(クロロメトキシ)−1,7,7トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタンであることを確認した。
【0134】
実施例12
実施例6のアダマンチル−(クロロメトキシ)メタンの代わりに実施例11で得た2−(クロロメトキシ)−1,7,7トリメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン2.1gを用いた以外は、実施例6と同様の方法により目的化合物を白色固体として得た(収量3.8g)。H−NMR測定の結果を図13に示す。H−NMRスペクトルから、得られた化合物が下記式(7)の構造であることを確認した。
【化48】

【0135】
実施例13
2−(2−フェノキシエチル)アダマンチルブロモアセテートの合成
【化49】

窒素気流下、300ml丸底フラスコにリチウムビストリメチルシリルリチウムのテトラヒドロフラン溶液(1mol/l)100ml(100mmol)を加え、−78℃に冷却し、脱水酢酸エチル9.7ml(99.3mmol)を加え30分攪拌を行った。これに、2−アダマンタノン14g(93.2mmol)を加えた後、室温まで昇温し8時間攪拌を行った。反応溶液を氷水に投入し、酢酸エチルで抽出、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下溶媒を留去しメチル1−ヒドロキシ−1−(2−アダマンチル)アセテートを得た(収量20.0g(89.2mmol))。
【0136】
得られた化合物11.4g(47.16mmol)を、窒素気流下、テトラヒドロフランに溶解、−78℃に冷却し、水素化ジイソブチルアルミニウム1.04mo/lへキサン溶液167.8ml(174.5mmol)を滴下した。そのまま室温まで昇温し8時間攪拌を行った。反応溶液を氷水に投入し、希塩酸、酢酸エチルを加え抽出し、2−(1−ヒドロキシエチル)アダマンタノールを得た(収量8.6g(43.8mmol))。
【0137】
得られた化合物5.78g(29.47mmol)、トリフェニルホスフィン9.82g(29.47mmol)をジクロロメタン175mlに加え溶解させ氷冷した。この溶液に、N−ブロモサクシンイミド6.30g(29.47mmol)を徐々に加え、そのまま室温まで昇温し8時間攪拌を行った。反応溶液を減圧下、溶媒留去し残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル/ヘキサン=5/95)で精製し、2−(2−ブロモエチル)アダマンタノールを得た(収量5.81g(22.41mmol))。
【0138】
窒素気流下、得られた臭化物5.3g(20.59mmol)、炭酸セシウム13.42g(20.59mmol)、フェノール2.33g(20.59mmol)、脱水ジメチルホルムアミド100mlを加え50℃、3時間加熱攪拌した。放冷後、酢酸エチル、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え分液し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下溶媒を留去することにより、2−(2−フェノキシエチル)アダマンタノールを得た(収量5.5g(20.3mmol))。
【0139】
窒素気流下、得られた2−(2−フェノキシエチル)アダマンタノール5.1g(18.8mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)0.23g(1.88mmol)、トルエン100ml、ジメチルアニリン2.87ml(22.6mmol)を加え氷冷した。ブロモ酢酸ブロミド3.28ml(37.64mmol)を滴下した後、室温まで昇温し、このまま24時間攪拌を行った。酢酸エチル、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え抽出を行い、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=2/8)で精製し、2−(2−フェノキシエチル)アダマンチルブロモアセテートを得た(収量4.0g(10.34mmol))。
H−NMR:1.5−2.1(12H),2.49(2H),2.73(t,2H),3.81(s,2H),4.07(t,2H),6.8−7.0(m,3H)7.28(m,2H)(CDCl3))
【0140】
実施例14
2−(2−(p−メトキシフェノキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートの合成
【化50】

実施例13のフェノールをp−メトキシフェノールに代えた以外は実施例13と同様の方法を用いて合成を行い、2−(2−(p−メトキシフェノキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートを得た。
H−NMR:1.55−2.15(12H),2.49(2H),2.68(t,2H),3.77(s,3H),3.90(s,2H),3.99(t,2H),6.81(m,4H)(CDCl3))
【0141】
実施例15
2−(2−(p−フルオロフェノキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートの合成
【化51】

実施例13のフェノールをp−フルオロフェノールに代えた以外は実施例13と同様の方法を用いて合成を行い、2−(2−(p−フルオロフェノキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートを得た。
H−NMR:1.6−2.15(12H),2.49(2H),2.68(t,2H),3.80(s,2H),4.00(t,2H),6.8(m,2H),6.98(m,2H)(CDCl3))
【0142】
実施例16
2−(2−(p−ニトロフェノキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートの合成
【化52】

実施例13のフェノールをp−ニトロフェノールに代えた以外は実施例13と同様の方法を用いて合成を行い、2−(2−(p−ニトロフェノキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートを得た。
H−NMR:1.6−2.15(12H),2.49(m,2H),2.78(t,2H),3.82(s,2H),4.17(t,2H),6.93(m,2H),8.21(m,2H)(CDCl3))
【0143】
実施例17
2−(2−(1−ナフトキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートの合成
【化53】

実施例13のフェノールをα−ナフトールに代えた以外は実施例13と同様の方法を用いて合成を行い、2−(2−(1−ナフトキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートを得た。
H−NMR:1.6−2.15(12H),2.6(2H),2.89(t,2H),3.79(s,2H),4.25(t,2H),7.81(m,1H),7.35−7.52(m,4H),7.77(m,1H),8.2(m,1H)(CDCl3))
【0144】
実施例18
2−メトキシメチルアダマンチルブロモアセテートの合成
【化54】

窒素気流下、2−アダマンチルオキシラン4g(24.35mmol)、ナトリウムメトキシド1.58g(29.22mmol)を脱水DMF50ml、120℃で5時間加熱攪拌した。放冷後、酢酸エチル、水を加え抽出を行い有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をトルエンに溶解し再結晶することにより、2−メトキシメチル−2−アダマンタノールを得た(収量3.0g(15.4mmol))。
窒素気流下、2−メトキシメチル−2−アダマンタノール3.0g(15.4mmol)、DMAP0.19g(1.5mmol)をトルエンに溶解し氷冷した。N,N−ジメチルアニリン2.34ml(18.49mmol)を加え、ブロモ酢酸ブロミド2.68ml(30.8mmol)を徐々に滴下した。室温まで昇温しそのまま24時間攪拌を行った。反応溶液に酢酸エチル、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥を行い、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=3/97)で精製し、2−メトキシメチルアダマンチルブロモアセテートを得た(収量3.3g(10.62mmol))。
H−NMR:1.57−2.15(12H),2.5(2H),3.35(s,3H),3.85(s,2H),4.00(s,2H)(CDCl3))
【0145】
実施例19
2−イソプロピルアダマンチルブロモアセテートの合成
【化55】

窒素気流下、2−アダマンタノン8.76g(58.33mmol)を脱水テトラヒドロフラン500mlに溶解し、−78℃に冷却した。これに、2−プロピルリチウム1.07mol/lペンタン溶液100mlを加えた後、室温まで昇温さらに8時間攪拌を行った。反応溶液を氷冷水に投入後、酢酸エチルを加え抽出を行った。残渣をトルエンを使用、再結晶を行うことにより、2−イソプロピルアダマンタノールを得た(収量9.8g(50.43mmol))。
窒素気流下、2−イソプロピルアダマンタノール9.8g(50.43mmol)、DMAP0.62g(5.04mmol)、脱水トルエン250mlを加え氷冷した。N,N−ジメチルアニリン7.67ml(60.52mmol)を加え、ブロモ酢酸ブロミド8.79ml(100.9mmol)を徐々に滴下した。滴下終了後そのまま48時間攪拌を行った。反応溶液に酢酸エチル、飽和炭酸水溶液を加え、有機層を分離し無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒 酢酸エチル/ヘキサン=2/98)で精製し、2−イソプロピエルアダマンチルブロモアセテートを得た(収量5.28g(16.8mmol))。
H−NMR:0.98(d,6H),1.6−2.0(12H),2.48(1H),2.63(2H),3.85(s,2H)(CDCl3))
【0146】
実施例20
2−フェネチルアダマンチルブロモアセテートの合成
【化56】

窒素気流下、塩化亜鉛2.08g(15.2mmol)、塩化リチウム8.5g(200.6mmol)、脱水テトラヒドロフラン230mlを加え氷冷攪拌を行った。これに、フェネチルマグネシウムクロリド1.0mol/lテトラヒドロフラン溶液200mlを滴下し、さらに2−アダマンタノン23g(153.1mmol)テトラヒドロフラン溶液を加え、そのまま8時間攪拌した。反応溶液を氷冷水に投入し、酢酸エチルを加え抽出、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/ヘキサン=2/8)で精製し、2−フェネチルアダマンタノールを得た(収量4.1g(16.01mmol))。
窒素気流下、2−フェネチルアダマンタノール4.1g(16.01mmol)、DMAP0.20g(1.6mmol)、トルエン100mlを加え氷冷した。N,N−ジメチルアニリン2.44ml(19.2mmol)を加えた後、ブロモ酢酸ブロミド2.78ml(32.0mmol)を徐々に加えた後、室温まで昇温そのまま24時間攪拌を行った。反応溶液に、酢酸エチル、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液:酢酸エチル/ヘキサン=1/9)で精製することにより2−フェネチルアダマンチルブロモアセテートを得た(収量4.15g(11.0mmol))。
H−NMR:1.6−2.1(12H),2.5(4H),2.6(2H),3.73(s,2H),7.18(m,3H),7.25(m,2H)(CDCl3))
【0147】
実施例21
2−メチルノルボルニルブロモアセテートの合成
【化57】

窒素気流下、2−ノルボルナノン9.73g(88.33mmol)を脱水テトラヒドロフラン100mlに溶解し、−78℃に冷却した。この溶液にメチルマグネシウムブロミド1.06mmol/mlテトラヒドロフラン溶液を加え、室温まで昇温し8時間攪拌を行った。反応溶液を氷水に投入し酢酸エチルで抽出、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し減圧下、溶媒を留去した。残渣を減圧蒸留することにより、2−メチルノルボルネオールを得た(収量5.74g(45.51mmol))。
窒素気流下、2−メチルノルボルネオール5.74g(45.51mmol)をトルエン230mlに溶解し氷冷した。ピリジン4.42ml(54.6mmol)を加えた後、ブロモ酢酸ブロミド5.95ml(68.2mmol)を滴下し、室温まで昇温後24時間攪拌を行った。酢酸エチル、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下溶媒を留去した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開液 酢酸エチル/ヘキサン=5/95)で精製することにより、2−メチルノルボルニルブロモアセテートを得た(収量8.9g(36.0mmol))。
H−NMR:1.2−1.8(11H),2.21(1H),2.60(1H),3.89(s,2H),7.18(m,3H),(CDCl3))
【0148】
実施例22
2−エチルノルボルニルブロモアセテートの合成
【化58】

メチルマグネシウムブロミドテトラヒドロフラン溶液の代わりに、エチルマグネシウムブロミドテトラヒドロフラン溶液を使用した以外は実施例21と同様に合成を行い、2−エチルノルボルニルブロモアセテートを得た。
H−NMR:0.835(t,3H),1.2−1.8(10H),2.22(1H),2.66(1H),3.78(s,2H)(CDCl3))
【0149】
実施例23
2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの代わりに、実施例13で得た2−(2−フェノキシエチル)アダマンチルブロモアセテートを使用した以外は実施例2と同様の方法により目的の化合物(8)を得た。
【化59】

H−NMR:1.5−2.1(m,48H),2.35(8H),2.57(8H),3.4−3.7(12H),4.04(8H),4.85(m,8H),5.1−5.25,5.51−5.71,6.15−6.4,6.5(12H),6.6−6.8(8H),6.9(12H),7.25(8H),7.4−7.7(8H),8.9−9.1,9.1−9.2(4H)((CDSO))
【0150】
実施例24
2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの代わりに、実施例14で得た2−(2−(p−メトキシフェノキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートを使用した以外は実施例2と同様の方法により目的の化合物(9)を得た。
【化60】

H−NMR:1.4−2.1(m,48H),2.38(8H),2.57(8H),3.4−3.7(24H),4.00(8H),4.84(m,8H),5.1−5.25,5.51−5.71,6.15−6.4,6.49(12H),6.6−6.8(8H),6.84(16H),6.9(12H),7.4−7.6(8H),8.9−9.1,9.1−9.2(4H)((CDSO))
【0151】
実施例25
2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの代わりに、実施例15で得た2−(2−(p−フルオロフェノキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートを使用した以外は実施例2と同様の方法により目的の化合物(10)を得た。
【化61】

H−NMR:1.4−2.1(m,48H),2.34(8H),2.56(8H),3.4−3.65(24H),4.02(8H),4.85(m,8H),5.1−5.25,5.51−5.71,6.15−6.4,6.50(12H),6.6−6.8(8H),6.93(8H),7.10(8H),6.9(12H),7.4−7.6(8H),8.9−9.1,9.1−9.2(4H)((CDSO))
【0152】
実施例26
2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの代わりに、実施例16で得た2−(2−(p−ニトロフェノキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートを使用した以外は実施例2と同様の方法によりフォトレジスト基材(11)を得た。
【化62】

H−NMR:1.4−2.1(m,48H),2.33(8H),2.62(8H),3.4−3.65(24H),4.21(8H),4.86(m,8H),5.1−5.25,5.51−5.71,6.15−6.4,6.50(12H),6.6−6.8(8H),6.93(8H),7.12(8H),7.4−7.6(8H),8.19(8H),8.9−9.1,9.1−9.2(4H)((CDSO))
【0153】
実施例27
2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの代わりに、実施例17で得た2−(2−(1−ナフトキシ)エチル)アダマンチルブロモアセテートを使用した以外は実施例2と同様の方法により目的の化合物(12)を得た。
【化63】

H−NMR:1.4−2.1(m,48H),2.36(8H),2.71(8H),3.4−3.65(24H),4.21(8H),4.79(m,8H),5.1−5.25,5.51−5.71,6.15−6.4,6.50(12H),6.6−6.8(8H),6.96(4H),7.3−7.6(24H),7.81(4H),8.08(4H),8.9−9.1,9.1−9.2(4H)((CDSO))
【0154】
実施例28
2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの代わりに、実施例18で得た2−メトキシメチルアダマンチルブロモアセテートを使用した以外は実施例2と同様の方法により目的の化合物(13)を得た。
【化64】

H−NMR:1.5−2.1(m,48H),2.36(8H),2.57(8H),3.28(s,3H),3.4−3.7(12H),3.94(8H),4.81(8H),5.1−5.25,5.51−5.71,6.15−6.4,6.51(12H),6.6−6.8(8H),7.4−7.7(8H),8.9−9.1,9.1−9.2(4H)((CDSO))
【0155】
実施例29
2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの代わりに、実施例19で得た2−イソプロピルアダマンチルブロモアセテートを使用した以外は実施例2と同様の方法により目的の化合物(14)を得た。
【化65】

H−NMR:0.92(24H),1.5−2.1(m,48H),2.42(4H),2.49(8H),3.4−3.7(12H),4.82(8H),5.1−5.25,5.51−5.71,6.15−6.4,6.49(12H),6.6−6.8(8H),7.4−7.6(8H),8.9−9.1,9.1−9.2(4H)((CDSO))
【0156】
実施例30
2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの代わりに、実施例20で得た2−フェネチルアダマンチルブロモアセテートを使用した以外は実施例2と同様の方法により目的の化合物(15)を得た。
【化66】

H−NMR:1.5−2.1(m,48H),2.33(4H),2.56(8H),3.4−3.7(12H),4.87(8H),5.1−5.25,5.51−5.71,6.15−6.4,6.50(12H),7.1−7.35(m,20H),7.5−7.7(8H),8.9−9.1,9.1−9.2(4H)((CDSO))
【0157】
実施例31
2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの代わりに、実施例21で得た2−メチルノルボルニルブロモアセテートを使用した以外は実施例2と同様の方法により目的の化合物(16)を得た。
【化67】

H−NMR:1.1−1.4,1.45,1.58−1.7(m,48H),2.17(4H),3.4−3.7(12H),4.79(8H),5.1−5.25,5.51−5.71,6.15−6.4,6.50(12H),6.6−6.8(8H),7.4−7.6(8H),8.9−9.1,9.1−9.2(4H)((CDSO))
【0158】
実施例32
2−アダマンタン−1−イル−プロパン−2−オキシ−カルボニルメチルブロミドの代わりに、実施例22で得た2−エチルノルボルニルブロモアセテートを使用した以外は実施例2と同様の方法により目的の化合物(17)を得た。
【化68】

H−NMR:0.81(t,12H),1.1−1.8,1.9−2.1(m,44H),2.17(4H),3.4−3.7(12H),4.82(8H),5.1−5.25,5.51−5.71,6.15−6.4,6.50(12H),6.6−6.8(8H),7.4−7.6(8H),8.9−9.1,9.1−9.2(4H)((CDSO))
【0159】
実施例33
【化69】

窒素気流下、200ml丸底フラスコに水素化ナトリウム1.96g(0.082mol)を封入し、ヘキサンを用いて洗浄した。続いて、ジメチルスルホキシド40.0mlを加えて0℃まで冷却した後、5−ヒドロキシ−2−アダマンタノン7.0g(0.042mol)のジメチルスルホキシド溶液10.0mlを加えた。室温まで昇温して8時間攪拌した後、0℃まで冷却し純水を加えることで反応を停止させ、塩化メチレン溶媒にて反応溶液を抽出した。得られた有機層を純水、飽和食塩水にて洗浄し、分離した有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。得られた残渣を中性シリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)で精製することにより5−メトキシ−2−アダマンタノンを無色オイルとして得た(収量5.8g,収率77%)。
【0160】
窒素気流下、200ml丸底フラスコに5−メトキシ−2−アダマンタノン3.76g(0.021mol)、三塩化セリウム15.6g(0.063mol)、ジエチルエーテル60.0mlを加えて攪拌した。−78℃まで冷却し、エチルリチウム100.0ml(0.5Mベンゼン/シクロへキサン=9/1溶液、0.050mol)を加え3時間攪拌した後、室温まで昇温し2時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加えることで反応を停止させ、酢酸エチル溶媒にて反応溶液を抽出し、得られた溶液を飽和食塩水にて洗浄した。分離した有機層に無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した後、減圧下溶媒を留去することで、2−エチル−5−メトキシ−2−アダマンタノールを無色オイルとして得た(収量3.74g,収率85%)。
【0161】
窒素気流下、200ml丸底フラスコに2−エチル−5−メトキシ−2−アダマンタノール3.47g(0.017mol)、トルエン32.0mlを加えて攪拌し、続いてピリジン3.2ml(0.040mol)を加えた。0℃まで冷却し、ブロモ酢酸ブロミド5.9ml(0.068mol)を加え、室温まで昇温した後、24時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えることで反応を停止させ、酢酸エチル溶媒にて反応溶液を抽出して得られた溶液を飽和食塩水にて洗浄した。分離した有機層に無水硫酸ナトリウムを加えて乾燥した後、減圧下溶媒を留去した。残渣を中性シリカゲルカラム(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=10/1)で精製することにより2−エチル−5−メトキシ−2−アダマンチルオキシカルボニルメチルブロミドを無色オイルとして得た(収量3.24g,収率59%)。
【0162】
実施例34
窒素気流下、100ml丸底フラスコにカリックスレゾルシナレン化合物1.55g(1.52mmol)、N−メチル−2−ピロリドン30.0mlを封入し、40℃まで加熱することで溶解させた。室温まで放冷した後0℃まで冷却し、トリエチルアミン1.05ml(7.53mmol)を加えて10分攪拌し、2−エチル−5−メトキシ−2−アダマンチルオキシカルボニルメチルブロミド2.51g(7.58mmol)のN−メチル−2−ピロリドン溶液5.0ml、続いて1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.33ml(2.30mmol)を加えて、室温まで昇温し8時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム溶液を加えることで反応を停止させ、酢酸エチルにて反応溶液を抽出し、純水および飽和食塩水にて洗浄した。得られた溶液を濃縮した後、酢酸エチルおよびヘキサンの混合溶媒にて再沈殿させ、目的とする化合物(18)を白色固体として得た(収量2.18g、収率71%)。
【化70】

【0163】
評価例
基材、PAG(光酸発生材)、クエンチャー、溶剤からなるフォトレジスト溶液を作製し、電子線を使用してシリコンウェハにパターンを形成した。
基材として、実施例で得た化合物(2)〜(18)、PAGとしてトリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート、そしてクエンチャーとして1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンをそれぞれ表1の通り使用した。これらの固体成分の濃度が2重量%となるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルに溶解させ、フォトレジスト溶液とした。
これらのフォトレジスト溶液を、それぞれ、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)処理を施したシリコンウェハ上にスピンコートし、表1の温度でプリベーク(露光前ベーク)(PB)することにより薄膜を形成した。次いで、この薄膜を有する基板に対して電子線描画装置(加速電圧50kV)を用いて描画し、表2の通り露光後ベーク(PEB)した後、濃度が2.38重量%のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間現像処理し、純水にて60秒洗浄、その後、窒素気流により乾燥した。走査型電子顕微鏡による観察結果から得られた、サイズが1/1のライン/スペースパターンを作製した際の解像度(ハーフピッチ)と感度(必要な電子線ドーズ量)の結果を表2に記す。尚、クエンチャーとして1,4−ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンの代わりにトリn−オクチルアミンを用いても結果は同一であった。
【0164】
【表1】

基材・PAG・クエンチャーの質量%は全固体分に対する割合(計100%)である。
【0165】
【表2】

【0166】
上記のフォトレジスト薄膜を有する基板に対して、電子線描画装置に替えてEUV露光装置を用いてEUV光(波長:13.5nm)を照射した。その後、100℃で90秒ベークし、2.38重量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で30秒間、イオン交換水で30秒間リンスすることでパターンを形成した。走査型電子顕微鏡にて観察したところ、電子線描画装置の場合と同様の解像度であることが観察された。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明の化合物は、フォトレジスト基材又は組成物、特に極端紫外光や電子線用のフォトレジスト基材又は組成物に好適に使用できる。本発明のフォトレジスト及びフォトレジスト組成物は、半導体装置等の電気・電子分野や光学分野等において好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物。
【化71】

(式中、Rは、下記式(2)〜(4)のいずれかで表される基である。
は、水酸基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状アルコキシ基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーロキシル基、アルコキシアルコキシ基、シロキシ基、又はこれらの基と2価の基とが結合した基であり、
前記2価の基は、置換もしくは無置換のアルキレンオキシ基、置換もしくは無置換のアリーレンオキシ基、置換もしくは無置換のシリレンオキシ基、これらの基が2以上結合した基、又はこれらの基と、エステル結合、炭酸エステル結合又はエーテル結合が結合した基である。
は、水素原子、Rで表される基、炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族基又は酸素原子を含む基である。
式(1)に複数あるR、R及びRは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
【化72】

(式中、Arは、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基、置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を2つ以上組み合わせた基、又はアルキレン基及びエーテル結合から選択される1つ以上と置換もしくは無置換の炭素数6〜10のアリーレン基を組み合わせた基であり、
置換基を有する場合の置換基は臭素原子、フッ素原子、ニトリル基、又は炭素数1〜10のアルキル基である。
は、式(5)で表される基である。
3’−L−O− (5)
(Lは、下記式(6)〜(8)で表される基から選択される1つ又は2つ以上が連結されているものであり、任意の連結順を取る。式(6)〜(8)で表される基がそれぞれ複数含まれる場合、同一でも異なっていてもよい。
【化73】

(式中、R4’〜R7’はそれぞれ、水素原子、アルキル基又はヘテロ原子含有アルキル基であり、下記式(i)で表される脂環構造含有基と結合して環状構造を形成していてもよく、複数のR4’〜R7’が互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
3’は下記式(i)で表される脂環構造含有基である。
【化74】

(式中、Zは、ヘテロ原子を有してもよい炭素数5〜20の脂環構造であり、Rは、ヘテロ原子、環状構造を有してもよい置換もしくは無置換の炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜15の芳香族基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルコキシアルキル基、アリーロキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と2価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基若しくはエーテル基が結合してなる基)が結合した基である。p及びqは、それぞれ独立に、0以上の整数である。複数のRは同一であっても、異なっていてもよく、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。)
、Rは、それぞれ水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜12の芳香族基、又はこれら基のうち2以上を組み合わせた基である。
は、アルキレン基、エーテル結合、アルキレン基を2以上組み合わせた基、又はアルキレン基1以上とエーテル結合1以上を組み合わせた基である。
xは1〜5、yは0〜3、zは0〜4の整数である。
複数のR、R、R、Ar、A、L、x、y及びzは、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。))
【請求項2】
101−Xで表される化合物であって、
101が下記式(11)で表される基であり、
Xがハロゲン原子、水酸基、アリーロキシ基、又は下記式(15)で表される(メタ)アクリル酸エステル基である化合物。
【化75】

(式(11)において、
nは、それぞれ0又は1の整数である。
は、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
は、式(i)で表される脂環構造含有基である。
【化76】

(式中、Zは、ヘテロ原子を有してもよい炭素数5〜20の脂環構造であり、Rは、ヘテロ原子、環状構造を有してもよい置換もしくは無置換の炭素数1〜10の2価の炭化水素基であり、Rは水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜12の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数6〜15の芳香族基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルコキシアルキル基、アリーロキシアルキル基、シリル基、又はこれらの基と2価の基(置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のアリーレン基、置換もしくは無置換のシリレン基、これらの基が2以上結合してなる基、又はこれらの基とエステル基、炭酸エステル基若しくはエーテル基が結合してなる基)が結合した基である。p及びqは、それぞれ独立に、0以上の整数である。複数のRは同一であっても、異なっていてもよく、複数のRは同一であっても、異なっていてもよい。)
は、置換もしくは無置換の炭素数1〜10の直鎖状脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜10の分岐脂肪族炭化水素基、置換もしくは無置換の炭素数3〜20の環状脂肪族炭化水素基、又は置換もしくは無置換の炭素数6〜10の芳香族基である。
【化77】

(上記式(15)において、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。))
【請求項3】
前記Zがアダマンチル骨格を有する請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記R3’が、式(ii)又は(iii)で表わされる基である請求項1又は3に記載の化合物。
【化78】

(R,R,p,qは式(i)と同じである。)
【請求項5】
前記Rが式(iv)で表される基である請求項4に記載の化合物。
【化79】

(R10は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ヘテロ元素含有アルキル基、炭素数6〜18の芳香族基又はヘテロ元素含有芳香族基であり、複数のR10は同じでも異なっていてもよい。R11は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜18の芳香族基、珪素、酸素、硫黄、窒素若しくはハロゲンを含有する基によって置換された炭素数1〜10のアルキル基、又は珪素、酸素、硫黄、窒素若しくはハロゲンを含有する基によって置換された炭素数6〜18の芳香族基である。rは1〜4の整数である。)
【請求項6】
前記Zがノルボルニル骨格を有する請求項1又は3に記載の化合物。
【請求項7】
前記R3’が式(v)で表わされる基である請求項1又は6に記載の化合物。
【化80】

(R,R,p,qは式(i)と同じである。)
【請求項8】
前記Rが式(iv)で表される基である請求項7に記載の化合物。
【化81】

(R10は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、ヘテロ元素含有アルキル基、炭素数6〜18の芳香族基又はヘテロ元素含有芳香族基であり、複数のR10は同じでも異なっていてもよい。R11は、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜18の芳香族基、珪素、酸素、硫黄、窒素若しくはハロゲンを含有する基によって置換された炭素数1〜10のアルキル基、又は珪素、酸素、硫黄、窒素若しくはハロゲンを含有する基によって置換された炭素数6〜18の芳香族基である。rは1〜4の整数である。)
【請求項9】
請求項1に記載の化合物であって、Rが前記式(11)で表される基である化合物。
【請求項10】
請求項1及び3〜9のいずれか1項に記載の化合物及び溶剤を含有するフォトレジスト組成物。
【請求項11】
光酸発生剤を含有する請求項10に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項12】
塩基性有機化合物をクエンチャーとして含有する請求項10又は11に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物を用いた微細加工方法。
【請求項14】
請求項13に記載の微細加工方法により作製した半導体装置。
【請求項15】
請求項14に記載の半導体装置を備えた装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−153087(P2011−153087A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14682(P2010−14682)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】