説明

重合性化合物、および、液晶媒体および液晶ディスプレイにおけるそれらの使用

【課題】重合性化合物、および、液晶媒体および液晶ディスプレイにおけるそれらの使用を提供する。
【解決手段】本発明は、重合性化合物と、それらを調製するための方法および中間体と、光学的、電気光学的および電子的目的のためで、特に、ポリマー安定化ブルー相を有する液晶(LC:liquid−crystal)媒体およびLCディスプレイにおいて、および、PSまたはPSA(「polymer sustained(ポリマー維持)」または「polymer sustained alignment(ポリマー維持配向)」)タイプのLCディスプレイのためのLC媒体におけるそれらの使用と、これらの化合物を含むLC媒体およびLCディスプレイとに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合性化合物;それらを調製するための方法および中間体;光学的、電気光学的および電子的目的のため、特に、ポリマー安定化ブルー相を有する液晶(LC:liquid−crystal)媒体およびLCディスプレイにおける、および、PSまたはPSA(「polymer sustained(ポリマー維持)」または「polymer sustained alignment(ポリマー維持配向)」)タイプのLCディスプレイのためのLC媒体におけるそれらの使用;およびこれらの化合物を含むLC媒体およびLCディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ブルー相(略して、ブルー相)において動作するディスプレイ素子用の媒体は先行技術より既知である。そのようなディスプレイは、例えば、国際特許出願公開第2004/046805号パンフレット(特許文献1)および国際特許出願公開第2008/061606号パンフレット(特許文献2)に記載されている。
【0003】
ブルー相は、一般に、ネマチック状態から光学的等方状態に転移する際に観察される。名称が示唆する通り、液晶ブルー相における媒体は青色のことがあるが、無色のこともある。今日までの努力の目的は、1度未満から実用に有用な範囲までブルー相の温度範囲を広げることであった(H.Kikuchiら、Nature Materials(2002年)、1巻(1号)、64〜68頁(非特許文献1);Kikuchi、H.ら、Polymeric Materials Science and Engineering(2003年)、89巻、90〜91頁(非特許文献2)参照)。
【0004】
この目的のために、重合性化合物をLC媒体に加え、次いで、LC媒体中において、その場で、この化合物を重合することが先行技術において提案されてきた。ポリマーまたは該方法で形成されるポリマーネットワークが、ブルー相を安定させると特許請求されている。
【0005】
先行技術において今日までに記載されたポリマー安定化ブルー相は、例えば、モノマーとして、二反応性のメソゲンモノマーと共に、一反応性の非メソゲンモノマーを使用する。
【0006】
国際特許出願公開第2005/080529号パンフレット(特許文献3)には、例えば、一反応性および多反応性モノマーを含むポリマー安定化ブルー相が記載されている。
【0007】
本発明は、ブルー相の安定化に適するモノマーおよび対応するポリマーを見出す目的に基づくものである。特に、ポリマーは、安定化されたLC相の特性において以下の効果を有するよう意図される:
−ブルー相の広い温度範囲、
−速い応答時間、
−重合の際の透明点の変化が小さいこと、
−低い動作電圧(Vop)、
−温度による動作電圧の変動が小さいこと、
−明瞭な中間階調を達成するために動作電圧を変化した場合、セルの透過率のヒステリシスが低いこと。
【0008】
加えて、良好な「電圧保持率」(VHR:voltage holding ratio)を有し、高い透明点を有し、光および温度への曝露に対して安定なモノマーが必要とされている。LC媒体中での良好な分散を達成するためには、LC材料における良好な溶解性またはLC媒体との良好な混和性が更に必要である。
【0009】
よって、本発明は、特に、ポリマー安定化ブルー相を有するLCディスプレイにおいて使用するために、改良された重合性化合物、および、そのような化合物を含むLC媒体を提供する目的に基づくものである。本発明による重合性化合物は、ブルー相を安定化することが意図される。本発明によるLC媒体は、特に、上述の特性より選択される1つ以上の改良された特性を有することが意図される。特に、LC媒体は広いブルー相を有し、速いスイッチングを可能とし、良好な電圧保持率(VHR:voltage holding ratio)を有し、スイッチプロセスのために低い電圧(Vop)を必要とし、低いヒステリシス(ΔV)を示し、低いメモリー効果(ME:memory effect)有することが意図される。LC媒体は、光および温度への曝露に対して安定であることが意図される。
【0010】
更に、所謂PSまたはPSA(それぞれ、「polymer sustained(ポリマー維持)」または「polymer sustained alignment(ポリマー維持配向)」)ディスプレイ(また、用語「polymer stabilised(ポリマー安定化)」も使用されることがある。)は、先行技術より既知である。これらのディスプレイにおいては、少量(例えば、0.3質量%、典型的には、1質量%未満)の1種類以上の重合性化合物(1種類または多種類)をLC媒体に添加し、LCセルに導入後、電極間に電圧を印加して、または印加せずに、通常、UV光重合によって、その場で重合または架橋する。反応性メソゲンまたは「RM(reactive mesogen)」としても既知の重合性メソゲンまたは液晶化合物をLC混合物に添加することが特に適切であると証明されてきた。
【0011】
他に示さない限り、PSディスプレイおよびPSAディスプレイの代表として、用語「PSA」を下で使用する。
【0012】
当面のところ、PS(A)の原理は、さまざまな古典的なLCディスプレイ中で使用されている。よって、例えば、PSA−VA、PSA−OCB、PAS−IPS、PSA−FFSおよびPSA−TNディスプレイが既知である。好ましくは、PSA−VAおよびPSA−OCBディスプレイの場合は電圧を印加して、PSA−IPSディスプレイの場合は電圧を印加するかまたは印加せずに、重合性化合物(1種類または複数種類)の重合が行われる。テストセルにおいて示される通り、PS(A)法は結果としてセル中に「プレチルト」を生じる。例えば、PSA−OCBディスプレイの場合、ベンド構造を安定化でき、オフセット電圧が不必要となるか低減できる。PSA−VAディスプレイの場合、プレチルトは応答時間に対して正の効果を有する。PSA−VAディスプレイに対しては、標準的なMVAまたはPVAピクセルおよび電極レイアウトを使用できる。加えて、しかしながら、電極の一方側のみを構造化して突起を設けないことも例えば可能であり、そのために製造が著しく簡略化され、同時に結果としてコントラストが非常に良好となり、同時に光透過性が非常に良好となる。
【0013】
PSA−VAディスプレイは、例えば、特開平10−036847号公報(特許文献4)、欧州出願公開第1 170 626号公報(特許文献5)、米国特許第6,861,107号明細書(特許文献6)、米国特許第7,169,449号明細書(特許文献7)、米国出願公開第2004/0191428号公報(特許文献8)、米国出願公開第2006/0066793号公報(特許文献9)および米国出願公開第2006/0103804号公報(特許文献10)に記載されている。PSA−OCBディスプレイは、例えば、T.−J−Chenら、Jpn.J.Appl.Phys.45巻、2006年、2702〜2704頁(非特許文献3)およびS.H.Kim、L.−C−Chien、Jpn.J.Appl.Phys.43巻、2004年、7643〜7647頁(非特許文献4)に記載されている。PSA−IPSディスプレイは、例えば、米国特許第6,177,972号明細書(特許文献11)およびAppl.Phys.Lett.1999年、75巻(21号)、3264頁(非特許文献5)に記載されている。PSA−TNディスプレイは、例えば、Optics Express 2004年、12巻(7号)、1221頁(非特許文献6)に記載されている。
【0014】
上記の従来のLCディスプレイと同様に、PSAディスプレイは、アクティブマトリクスまたはパッシブマトリクスディスプレイのいずれとしても動作できる。アクティブマトリクスディスプレイの場合、通常、例えば、トランジスタ(例えば、薄膜トランジスタまたは「TFT(thin−film transistor)」)などの集積非線形アクティブ素子により個々のピクセルがアドレスされ、一方、パッシブマトリクスディスプレイの場合、通常、アドレッシングはマルチプレックス法により行われる(両法とも先行技術より既知である)。
【0015】
しかしながら、LC混合物および重合性成分の全ての組合せがPSAディスプレイに適切であるとは限らない。というのは、例えば、不適切なチルトが確立されるか、または、チルトが全く確立されないため、または、例えば、所謂「電圧保持率」(VHRまたはHR:voltage holding ratio)がTFTディスプレイ用途には不適切であるためである。加えて、先行技術より既知のLC混合物およびRMは、PSAディスプレイにおいて使用する際には、依然として幾つかの不都合を有することが見出されてきた。よって、LC混合物において可溶の全ての既知のRMが、PSAディスプレイにおける使用に適している訳ではない。
【0016】
加えて、LCホスト混合物/RMの選択された組み合わせは可能な限り低い回転粘度および可能な限り良好な電気的特性を有していなければならない。特に、それは、可能な限り高いVHRを有していなければならない。PSAディスプレイにおいて、UV曝露はディスプレイの製造プロセスにおいて不可欠な部分であるが、また、製造完了後のディスプレイを動作する際に通常の曝露としても起きるため、UV光での照射後の高いVHRが特に必要である。
【0017】
特に低いプレチルト角を生成するPSAディスプレイ用の新規な材料が入手可能となれば、特に望ましいであろう。ここで、同一の曝露時間での重合の際に今日までに既知の材料よりも低いプレチルト角を生成する材料、および/または、それを使用して、既知の材料を使用して達成できる(より高い)プレチルト角を更に短い曝露時間後で既に達成できる材料が特に好ましい。よって、ディスプレイの製造時間(タクトタイム)を短縮でき、製造プロセスのコストを低減できる。
【0018】
PSAディスプレイの製造における更なる問題は、特に、ディスプレイ中にプレチルト角を生成するための重合工程後における、残存量の未重合RMの存在または除去である。制御されていない様式による重合のために、例えば、このタイプの未反応RMが、例えば、ディスプレイの製造完了後の動作の際にディスプレイの特性に悪影響を及ぼすことがある。
【0019】
よって、先行技術より既知のPSAディスプレイは、所謂「画像の固着」または「画像の焼付」(即ち、個々のピクセルの一時的なアドレスによりLCディスプレイ中に生成された画像が、これらのピクセル内の電界がスイッチオフされた後でさえ、または、他のピクセルをアドレスした後においてさえも、依然として見えるままで残る。)と言った望ましくない効果をしばしば示す。
【0020】
従って、PSAディスプレイを製造する際のRMの重合が可能な限り完全に進行し、ディスプレイ内の未重合RMの存在が可能な限り除外されるか、または、最小限に低減されることが望ましい。このためには、最も効果的で、可能な限り完全な重合を可能とする材料が必要である。
【0021】
よって、上記の不都合を示さないか、または、僅かな程度にのみ示し、改良された特性を有するPSAディスプレイおよびLC媒体、および、そのようなディスプレイにおいて使用するための重合性化合物に対する多大な要求が依然としてある。加えて、有利な特性を有し、特に、高い比抵抗と同時に、広い動作温度範囲、低温においてすら短い応答時間、および、低い閾電圧、低いプレチルト角、複数の中間階調、高いコントラストおよび広い視野角、UV曝露後の高い値の電圧保持率(VHR:voltage holding ratio)、および、LTSとしても知られている低温安定性、即ち、個々の成分が自発的に結晶化してしまうことに対するLC混合物の安定性を可能とするPSAディスプレイ、および、PSAディスプレイにおいて使用するための材料に対する多大な要求がある。
【0022】
よって、本発明は、上に示される不都合を有していないか、または、低減された程度にのみ有しており、可能な限り迅速および完全に重合し、可能な限り迅速に低いプレチルト角の確立が可能となり、ディスプレイにおける画像固着の発生を低減または防止し、好ましくは同時に、非常に高い比抵抗値、低い閾電圧および短い応答時間が可能となる、PSAディスプレイにおいて使用するための新規で適切な材料、特にRM、および該材料を含むLC媒体を提供する更なる目的に基づく。加えて、LC媒体は、好ましいLC相特性および高いVHRおよびLTS値を有していなければならない。
【0023】
上記の目的は、本出願において記載される通りの材料、方法およびLCディスプレイを提供することにより、本発明に従って達成された。特に、驚くべきことに、そのようなLCディスプレイを製造するために、上記の通りの本発明による1種類以上の重合性化合物を含むLC媒体を使用するか、本発明による1種類以上の化合物を重合された形態で含有するブルー相を有するLCディスプレイまたはPSAディスプレイを提供するをことにより、上記の目的を部分的または完全に達成できることが見出された。
【0024】
本発明による重合性化合物は中央のメソゲン基と、直接またはスペーサー基を介してメソゲン基に連結されている少なくとも2個の重合性基を含有し、ただし、中央のメソゲン基は、2個のジフルオロメチレンオキシ架橋(CFOまたはOCF)によって互いに連結されている3個の環式基から成る。
【0025】
ポリマー安定化ブルー相を有するLCディスプレイのために本発明によるLC媒体において本発明による重合性化合物を使用すると、結果として、ブルー相が著しく安定化される。加えて、驚くべきことに、先行技術に記載される通りの重合性化合物およびLC媒体と比較して、ポリマー安定化ブルー相を有するLC媒体において本発明による重合性化合物を使用すると、ヒステリシス(ΔV50)の著しい低減およびコントラストの増加を達成できることが見出された。
【0026】
PSAディスプレイにおいては、本発明によるLC媒体において本発明による重合性化合物を使用すると、結果として、特に迅速に所望のプレチルトが達成され、ディスプレイの製造時間が著しく短縮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】国際特許出願公開第2004/046805号パンフレット
【特許文献2】国際特許出願公開第2008/061606号パンフレット
【特許文献3】国際特許出願公開第2005/080529号パンフレット
【特許文献4】特開平10−036847号公報
【特許文献5】欧州出願公開第1 170 626号公報
【特許文献6】米国特許第6,861,107号明細書
【特許文献7】米国特許第7,169,449号明細書
【特許文献8】米国出願公開第2004/0191428号公報
【特許文献9】米国出願公開第2006/0066793号公報
【特許文献10】米国出願公開第2006/0103804号公報
【特許文献11】米国特許第6,177,972号明細書
【特許文献12】米国出願公開第2009/0267025号公報(国際特許出願公開第2006/063662号パンフレット)
【特許文献13】米国出願公開第2009/051855号公報
【特許文献14】米国出願公開第2009/0059132号公報
【特許文献15】米国出願公開第2009/0059157号公報
【特許文献16】米国特許第7,070,838号明細書
【特許文献17】特開2005−015473号公報
【非特許文献】
【0028】
【非特許文献1】H.Kikuchiら、Nature Materials(2002年)、1巻(1号)、64〜68頁
【非特許文献2】Kikuchi、H.ら、Polymeric Materials Science and Engineering(2003年)、89巻、90〜91頁
【非特許文献3】T.−J−Chenら、Jpn.J.Appl.Phys.45巻、2006年、2702〜2704頁
【非特許文献4】S.H.Kim、L.−C−Chien、Jpn.J.Appl.Phys.43巻、2004年、7643〜7647頁
【非特許文献5】Appl.Phys.Lett.1999年、75巻(21号)、3264頁
【非特許文献6】Optics Express 2004年、12巻(7号)、1221頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
例えば、米国特許第7,440,160号明細書(国際特許出願公開第2004/046805号パンフレット(特許文献1))およびそこで引用される文献などの先行技術には、液晶ブルー相(略してブルー相)において動作するLCディスプレイ素子のためのLC媒体が記載されている。国際特許出願公開第2005/080529号パンフレット(特許文献3)には、一反応性および多反応性モノマーを含むポリマー安定化ブルー相が記載されている。米国出願公開第2009/0267025号公報(国際特許出願公開第2006/063662号パンフレット(特許文献12))、米国出願公開第2009/051855号公報(特許文献13)、米国出願公開第2009/0059132号公報(特許文献14)、米国出願公開第2009/0059157号公報(特許文献15)および国際特許出願公開第2008/061606号パンフレット(特許文献2)には、液晶反応性成分(反応性メソゲンとしても知られ、略して「RM(reactive mesogen)」)を含むブルー相のポリマー安定化が記載されている。しかしながら、上述の文献においては、直接またはエステル基を介してのいずれかによって連結されているフェニル基を含有するRM、例えば、以下の2種類のRMなどの使用が好ましいとされている。
【0030】
【化1】

式中、xは、3または6のいずれかを表す。
【0031】
しかしながら、ポリマー安定化ブルー相のために、または、PSAディスプレイにおいて、反応性成分、好ましくは本発明による重合性化合物から成る成分を使用することは記載されておらず、先行技術では自明でない。
【0032】
米国特許第7,070,838号明細書(特許文献16)には、2−ジ−またはトリフルオロメチル−1,4−フェニル環を含有する重合性化合物、および、コレステリック相を有する重合性混合物、LCポリマーおよびLCディスプレイにおいて、および、光学フィルムにおいて、該重合性化合物を使用することが記載されている。また、該文献には、以下の構造を有する式1a−2−19の特定の化合物が開示されている。
【0033】
【化2】

しかしながら、LCディスプレイにおいて使用する際のこの化合物の特性は開示されていない。加えて、ブルー相の安定化のために、または、PSAディスプレイにおいて、このタイプの化合物を使用することは記載されておらず、米国特許第7,070,838号明細書(特許文献16)では自明でない。
【0034】
特開2005−015473号公報(特許文献17)には、不飽和のスペーサー基(アルキニレンまたはアルケニレン)を含有する重合性化合物が開示されている。また、CFO架橋を介して連結されているフェニル環を含有する式1−13−77〜1−13−84、1−13−134、1−13−135、1−56−9、1−56−10、1−56−23、1−56−24の特定の化合物、および、光学的異方性フィルムの製造のために、および、強誘電体LC媒体において該化合物を使用することも、該文献において開示されている。また、例えば、以下の構造を有する特定の化合物も、該文献において開示されている。
【0035】
【化3】

しかしながら、ブルー相の安定化のために、または、PSAディスプレイにおいて、このタイプの化合物を使用することは記載されておらず、特開2005−015473号公報(特許文献17)では自明でない。
【課題を解決するための手段】
【0036】
本発明は、ブルー相を有するLCディスプレイにおける、または、PSまたはPSAタイプのLCディスプレイにおける、式Iの化合物の使用と、または、式Iの1種類以上の化合物を重合して得ることができるポリマーの使用とに関する。
【0037】
【化4】

式中、個々の基は以下の意味を有する:
、Pは、それぞれ互いに独立に、重合性基を表し、
Sp、Spは、それぞれ互いに独立に、スペーサー基を表し、
s1、s2は、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、
、Qは、それぞれ互いに独立に、−CFO−または−OCF−を表し、
、A、Aは、それぞれ互いに独立に、以下の群より選択される基を表し:
a)トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンおよび1,4’−ビシクロヘキシレンから成る群(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はFで置き換えられていてもよい)、
b)1,4−フェニレンおよび1,3−フェニレンから成る群(ただし加えて、1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はLで置き換えられていてもよい)、
c)テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、テトラヒドロフラン−2,5−ジイル、シクロブタ−1,3−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイルおよびセレノフェン−2,5−ジイルから成る群(加えて、それぞれの基はLにより一置換または多置換されていてもよい)、
d)飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和で、置換されていてもよく、5〜20個の環式C原子を有する多環式基(また、該基の1つ以上はヘテロ原子で置き換えられていてもよい。)から成る群であって、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、
【0038】
【化5】

からなる群(ただし加えて、これらの基における1個以上のH原子はLで置き換えられていてもよく、および/または、1個以上の二重結合は単結合で置き換えられていてもよく、および/または、1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよい)より選択される群、
Lは、それぞれの出現において同一または異なって、F、Cl、CN、SCN、SF、または、直鎖状または分岐状で、それぞれの場合でフッ素化されていてもよく、1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、
、R00は、それぞれ互いに独立に、H、F、または、直鎖状または分岐状で1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個以上のH原子はFで置き換えられていても良く、
Mは、−O−、−S−、−CH−、−CHY−または−CY−を表し、
およびYは、それぞれ互いに独立に、Rに対して上で示される意味の1つを有するか、または、ClまたはCNを表し、好ましくは、H、F、Cl、CN、OCFまたはCFを表す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物と、任意成分として追加的に1種類以上の重合性化合物とを含むLC媒体に関する。
【0040】
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物と、1種類以上の追加の化合物(この化合物も、メソゲン、液晶および/または重合性でもよい)を含むLC媒体に関する。
【0041】
本発明は、更に、式Iの1種類以上の化合物を重合して得ることができるポリマーを含み、および、任意成分として1種類以上の追加の化合物(この化合物も、メソゲン、液晶および/または重合性でもよい)含むLC媒体に関する。
【0042】
本発明は、更に、
−式Iの1種類以上の重合性化合物を含む重合性成分、または、この重合性成分の重合された形態と、
−上および下に記載される通りで、1種類以上、好ましくは2種類以上の低分子量(即ち、モノマー性および非重合性の)化合物(この化合物は、好ましくは、メソゲンまたは液晶である。)を含み、下では「LCホスト混合物」とも呼ばれる液晶成分と
を含むLC媒体に関する。
【0043】
本発明は、更に、ブルー相を有するLCディスプレイにおける、または、PSまたはPSAタイプのLCディスプレイにおける、1種類以上の式Iの化合物を含むLC媒体の使用に関する。
【0044】
本発明は、更に、1種類以上の低分子量液晶化合物、または、上および下に記載される通りのLCホスト混合物を、1種類以上の式Iの化合物と、任意成分として、更なる液晶化合物および/または添加剤と混合して、上および下に記載される通りのLC媒体を調製する方法に関する。
【0045】
本発明は、更に、特に可能な限り広い温度範囲にわたって、ブルー相を安定化するための、LCディスプレイにおける、式Iの化合物およびそれらを含む本発明によるLC媒体の使用に関する。
【0046】
本発明は、更に、PSAディスプレイにおいて、好ましくは電界または磁界を印加して、式Iの化合物(1種類または多種類)をその場(in situ)で重合することによりLC媒体中にチルト角を生成するための、PSおよびPSAディスプレイにおける、式Iの化合物およびそれらを含む本発明によるLC媒体の使用に関する。
【0047】
本発明は、更に、1種類以上の式Iの化合物または本発明によるLC媒体を含有するLCディスプレイ、特には、PSまたはPSAディスプレイ、特に好ましくは、ブルー相を有するディスプレイ、PSA−VA、PSA−OCB、PSA−IPS、PSA−FFSまたはPSA−TNディスプレイに関する。
【0048】
本発明は、更に、2枚の基板および2つの電極(ただし、少なくとも一方の基板は光に対して透明であり、少なくとも一方の基板は1つまたは2つの電極を有する。)と、基板間に配置され、重合された成分および低分子量成分を含むLC媒体層(ただし、重合された成分は、1種類以上の重合性化合物を、LCセルの基板間においてLC媒体中で、好ましくは、電極に電圧を印加しながら重合することで得ることができ、少なくとも1種類の重合性化合物は式Iより選択されることを特徴とする。)とを有するLCセルを含有するPSまたはPSAタイプのLCディスプレイに関する。
【0049】
本発明は、更に、上および下に記載される通りの1種類以上の低分子量液晶化合物またはLCホスト混合物と、少なくとも1種類は式Iより選択される1種類以上の重合性化合物とを含むLC媒体を、上および下に記載される通りの2枚の基板および2個の電極を有するLCセル中に導入し、好ましくは電極に電圧を印加しながら、重合性化合物を重合する上および下に記載される通りのLCディスプレイを製造する方法に関する。
【0050】
本発明によるPSおよびPSAディスプレイは、LCセルを形成する一方または両方の基板上に設けられ、好ましくは、透明層の形態の2つの電極を有する。それぞれの場合において、例えば、本発明によるPSA−VA、PSA−OCBまたはPSA−TNディスプレイにおける通り、1つの電極が2枚の基板のそれぞれに設けられているか、または、例えば、本発明によるPSA−IPSまたはPSA−FFSディスプレイにおける通り、両方の電極が2枚の基板の一方のみに設けられ、他方の基板は電極を有していないかのいずれかである。
【0051】
本発明は、更に、式Iの新規な化合物、それを調製する方法、これらのプロセスにおいて使用されるか、または、これらのプロセスより得られる新規な中間体に関し、特に、式Iおよび上および下で定義される通りのそれのサブ式の化合物{ただし、1個以上の基A、AおよびAは、置換されていてもよく、飽和または部分的または完全に不飽和で5〜20個の環式C原子(1つ以上はヘテロ原子で置き換えられていてもよい。)を有する多環式基からなる、式Iにおいて定義される通りの群d)より選択される。}に関する。
【0052】
その中に存在するLC媒体または重合性成分またはその重合された成分が、以下の式の化合物を一切含まないLC媒体、LCディスプレイ、上および下に記載される方法および使用が特に好ましい。
【0053】
【化6】

式中、P、P、Sp、Sp、s1、s2およびLは上および下に示される意味を有し、rは、0、1、2、3または4を表し、ZおよびZは、それぞれ互いに独立に、−COO−または−OCO−を表す。
【0054】
上および下において、以下の意味を適用する。
【0055】
用語「環式C原子」は、他のC原子および/またはヘテロ原子と共に炭素環式またはヘテロ環式基を形成しているC原子を表す。
【0056】
用語「チルト」および「チルト角」は、LCディスプレイ(本明細書において、好ましくは、PSまたはPSAディスプレイ)においてLC媒体のLC分子のセル表面に対するチルトした配向に関する。本明細書において、チルト角は、LC分子の分子長軸(LCダイレクタ)と、LCセルを形成する平坦で平行な外板の表面との間の平均角(90°未満)を表す。本明細書においては、低い値のチルト角(即ち、角度90°から大きく外れている)は、大きいチルトに対応する。チルト角を測定する適切な方法は、例に与えられている。他に示さない限り、上および下で開示される角度の値は、この測定方法に関するものである。
【0057】
用語「メソゲン基」は当業者には既知であり文献に記載されており、それの引力および斥力的相互作用の異方性により、低分子量または高分子物質中で液晶(LC;liquid−crystal)相の発生に本質的に寄与する基を表す。メソゲン基を含有する化合物(メソゲン化合物)は、それ自身では必ずしもLC相を有する必要はない。また、他の化合物と混合後および/または重合後のみに、メソゲン化合物がLC相挙動を示すことも可能である。典型的なメソゲン基は、例えば、剛直な棒状または円盤状の形状の単位である。メソゲンまたはLC化合物に関して使用される用語および定義の概説が、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁において与えられている。
【0058】
上および下で「Sp」としても言及される用語「スペーサー基」または「スペーサー」は、当業者には既知であり文献に記載されており、例えば、Pure Appl.Chem.73巻(5号)、888頁(2001年)およびC.Tschierske、G.Pelzl、S.Diele、Angew.Chem.2004年、116巻、6340〜6368頁を参照。他に示さない限り、用語「スペーサー基」または「スペーサー」は、上および下において、重合性メソゲン化合物中でメソゲン基および重合性基(1個または複数)を互いに連結している柔軟性基を表す。
【0059】
用語「反応性メソゲン」または「RM」は、1個のメソゲン基および重合に適切な1個以上の官能基(重合性基または基Pとしても言及される)を含有する化合物を表す。
【0060】
用語「低分子量化合物」および「非重合性化合物」は、通常、モノマー性で、当業者に既知の通常の条件下、特にRMの重合のために使用される条件下における重合に適切な官能基を含有しない化合物を表す。
【0061】
「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを表す。
【0062】
「1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ」などの定義は、カルボニル基(CO)を含有する基およびアルケニルおよびアルキニルなどの不飽和基が少なくとも2個のC原子を有すること、および、分岐状の基が少なくとも3個のC原子を有することを意味する。
【0063】
重合性基Pa、bは、例えば、フリーラジカルまたはイオン性連鎖重合、重付加または重縮合などの重合反応に適するか、または、例えば、ポリマー主鎖上への付加または縮合といったポリマー類似反応に適する基である。連鎖重合のための基、特に、C=C二重結合またはC≡C三重結合を含有するもの、および、例えば、オキセタンまたはエポキシド基などの開環重合に適する基が特に好ましい。
【0064】
好ましい基Pa、bは、CH=CW−CO−O−、CH=CW−CO−、
【0065】
【化7】

CH=CW−(O)k3−、CW=CH−CO−(O)k3−、CW=CH−CO−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH−CH=CH−O−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−およびWSi−から成る群より選択され、式中、Wは、H、F、Cl、CN、CF、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、F、ClまたはCHを表し、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルを表し、W、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを表し、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルを表し、Pheは、上で定義される通りでP−Spとは異なる1個以上の基Lで置換されていてもよい1,4−フェニレンを表し、k、kおよびkは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、kは、好ましくは、1を表し、kは1〜10の整数を表す。
【0066】
特に好ましい基Pa、bは、CH=CW−CO−O−、CH=CW−CO−、
【0067】
【化8】

CH=CW−O−、CW=CH−CO−(O)k3−、CW=CH−CO−NH−、CH=CW−CO−NH−、(CH=CH)CH−OCO−、(CH=CH−CHCH−OCO−、(CH=CH)CH−O−、(CH=CH−CHN−、(CH=CH−CHN−CO−、CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、CH=CH−(CO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−およびWSi−から成る群より選択され、式中、Wは、H、F、Cl、CN、CF、フェニルまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、F、ClまたはCHを表し、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜5個のC原子を有するアルキル、特に、H、メチル、エチルまたはn−プロピルを表し、W、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、Cl、1〜5個のC原子を有するオキサアルキルまたはオキサカルボニルアルキルを表し、WおよびWは、それぞれ互いに独立に、H、Clまたは1〜5個のC原子を有するアルキルを表し、Pheは1,4−フェニレンを表し、k、kおよびkは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、kは、好ましくは、1を表し、kは1〜10の整数を表す。
【0068】
非常に特に好ましい基Pa、bは、CH=CW−CO−O−、特には、CH=CH−CO−O−、CH=C(CH)−CO−O−およびCH=CF−CO−O−、更には、CH=CH−O−、(CH=CH)CH−O−CO−、(CH=CH)CH−O−、
【0069】
【化9】

から成る群より選択される。
【0070】
更に非常に特に好ましい基Pa、bは、ビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシド基から成る群より選択され、特に好ましくは、アクリレートまたはメタクリレート基を表す。
【0071】
好ましいスペーサー基Spa、bは、基Pa/b−Spa/b−が式Pa/b−Sp”−X”−に一致するように式Sp”−X”より選択され、ただし、
Sp”は、1〜20個、好ましくは1〜12個のC原子を有するアルキレンを表し、該基は、F、Cl、Br、IまたはCNで一置換または多置換されていてもよく、ただし加えて、1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、−O−、−S−、−NH−、−N(R)−、−Si(R00000)−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−N(R00)−CO−O−、−O−CO−N(R00)−、−N(R00)−CO−N(R00)−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
X”は、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−、−CO−N(R00)−、−N(R00)−CO−、−N(R00)−CO−N(R00)−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CY=CY−、−C≡C−、−CH=CH−CO−O−、−O−CO−CH=CH−または単結合を表し、
00およびR000は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、および
およびYは、それぞれ互いに独立に、H、F、ClまたはCNを表す。
【0072】
X’は、好ましくは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−O−COO−、−CO−NR−、−NR−CO−、−NR−CO−NR−または単結合である。
【0073】
典型的なスペーサー基Sp”は、例えば、−(CHp1−、−(CHCHO)q1−CHCH−、−CHCH−S−CHCH−、−CHCH−NH−CHCH−または−(SiR00000−O)p1−であり、式中、p1は1〜12の整数、q1は1〜3の整数、およびR00およびR000は上で示される意味を有する。
【0074】
特に好ましい基−Sp”−X”−は、−(CHp1−、−(CHp1−O−、−(CHp1−O−CO−、−(CHp1−O−CO−O−であり、式中、p1およびq1は上で示される意味を有する。
【0075】
特に好ましい基Sp”は、例えば、それぞれの場合で直鎖状のエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、ヘプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン、オクタデシレン、エチレンオキシエチレン、メチレンオキシブチレン、エチレンチオエチレン、エチレン−N−メチルイミノエチレン、1−メチルアルキレン、エテニレン、プロペニレンおよびブテニレンである。
【0076】
本発明の更に好ましい実施形態において、式IにおけるPおよび/またはPは、2個以上の重合性基を含有する基(多官能重合性基)を表す。このタイプの適切な基、それらを含有する重合性化合物およびそれらの調製は、例えば、米国特許第7,060,200号明細書または米国特許出願公開第2006/0172090号公報に記載されている。
【0077】
以下の式より選択される多官能重合性基が特に好ましい。
【0078】
【化10】

式中、
alkylは、単結合または1〜12個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキレンを表し、ただし、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−C(R00)=C(R000)−、−C≡C−、−N(R00)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、ClまたはCNで置き換えられていてもよく、ただし、R00およびR000は上で示される意味を有し、
aaおよびbbは、それぞれ互いに独立に、0、1、2、3、4、5または6を表し、
Xは、X’に示される意味の1つを有し、および
1〜5は、それぞれ互いに独立に、Pに示される意味の1つを有する。
【0079】
式IおけるAは、好ましくは、以下の式から成る群より選択される基を表す。
【0080】
【化11】

式中、個々の環は、また、上および下で記載される通りのLによって追加的に一置換または多置換されていてもよい。
【0081】
式IおけるAは、特に好ましくは、以下の式から成る群より選択される基を表す。
【0082】
【化12】

式IおけるAおよびAは、好ましくは、それぞれ互いに独立に、以下の式から成る群より選択される基を表す。
【0083】
【化13】

式中、個々の環は、また、上および下で記載される通りのLによって追加的に一置換または多置換されていてもよい。
【0084】
式IおけるAおよびAは、特に好ましくは、それぞれ互いに独立に、以下の式から成る群より選択される基を表す。
【0085】
【化14】

式IおけるAおよびAは、更に好ましくは、それぞれ互いに独立に、以下の式から成る群より選択される基を表す。
【0086】
【化15】

式Iおよび上および下で示されるそれのサブ式の更に特に好ましい化合物は、以下のものである。
【0087】
−Qが−CFO−を表し、および、Qが−OCF−を表す。
−Qが−OCF−を表し、および、Qが、−CFO−を表す。
−QおよびQが、−CFO−を表す。
−QおよびQが、−OCF−を表す。
−s1およびs2が、それぞれ、0を表す。
−s1およびs2が、それぞれ、1を表す。
−s1が1を表しおよびs2が0を表すか、または、s1が0を表しs2が1を表す。
−AおよびAが、同一の意味を有する。
【0088】
式Iおよび上および下で示されるそれのサブ式の非常に特に好ましい化合物は、Qが−CFO−を表し、Qが−OCF−を表すものである。
【0089】
式Iの非常に特に好ましい化合物は、以下の式から成る群より選択される。
【0090】
【化16】

【0091】
【化17】

【0092】
【化18】

【0093】
【化19】

【0094】
【化20】

【0095】
【化21】

【0096】
【化22】

【0097】
【化23】

【0098】
【化24】

【0099】
【化25】

式中、Lは、それぞれの出現において、同一または異なって、上および下で示される意味の1つを有し、rは、0、1、2、3または4を表し、nは、1および24の間、好ましくは1および12の間、非常に特に好ましくは2および8の間の整数を表し、ただし、単結合または二重結合の末端において基が述べられていない場合、それは、末端CHまたはCH基である。
【0100】
式I1〜I73において、
【0101】
【化26】

は、好ましくは、以下の式から成る群より選択される基を表す。
【0102】
【化27】

式Iおよびそれのサブ式の化合物におけるPおよびPは、好ましくは、アクリレートまたはメタクリレート、更には、フルオロアクリレートを表す。
【0103】
式Iおよびそれのサブ式の化合物におけるSpおよびSpは、好ましくは、−(CHp1−、−(CHp1−O−、−(CHp1−O−CO−または−(CHp1−O−CO−O−およびそれらの鏡像から成る群より選択される基を表し、式中、p1は、1〜12、好ましくは、1〜6、特に好ましくは、1、2または3を表し、ただし、これらの基は、O原子が直接隣り合わないようにして、PまたはPに連結されている。
【0104】
本発明は、更に、式Iの新規な化合物に関する。
【0105】
【化28】

式中、P、P、Sp、Sp、s1、s2、Q、Q、A、AおよびAは、上および下に示される意味を有し、式中、基A、AおよびAの1つ以上は、
1,3−フェニレン(ただし加えて、1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はLで置き換えられていてもよい。)から成る群b1)、または
飽和、部分飽和または完全不飽和で、置換されていてもよく、5〜20個の環式C原子を有する多環式基(また、1個以上の該基はヘテロ原子で置き換えられていてもよい。)から成る群d)より選択され、
好ましくは、1個以上の基A、AおよびAは、1,3−フェニレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、
【0106】
【化29】

から成る群より選択され、
ただし加えて、これらの基における1個以上のH原子はLで置き換えられていてもよく、および/または、1個以上の二重結合は単結合で置き換えられていてもよく、および/または、1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、式中、L、R、R00、M、YおよびYは、式Iにおいて示される意味を有する。
【0107】
これらの新規な化合物のなかでも、以下の化合物が特に好ましい。
【0108】
−Aが、群b1)またはd)より選択される基を表す化合物。
【0109】
−Aおよび/またはAが、群b1)またはd)より選択される基を表す化合物。
【0110】
−Aが群b1)またはd)より選択される基を表し、AおよびAが群d)より選択される基を表さない化合物。
【0111】
−Aおよび/またはAが群b1)またはd)より選択される基を表し、Aが群b1)またはd)より選択される基を表さない化合物。
【0112】
−Aおよび/またはAおよび/またはAが、群d)より選択される基を表す化合物。
【0113】
−群d)からの基が、
【0114】
【化30】

からなる群d1)より選択される化合物。ただし加えて、これらの基における1個以上のH原子は、式Iにおいて定義される通りのLによって置き換えられていてもよく、ただし、Lは、特に好ましくは、F、CN、SCN、SF、CHF、CHF、CF、OCHF、OCHFまたはOCFを表す。
【0115】
−群d)からの基が、
【0116】
【化31】

からなる群d2)より選択される化合物。ただし加えて、これらの基における1個以上のH原子は、式Iにおいて定義される通りのLによって置き換えられていてもよく、ただし、Lは、特に好ましくは、F、CN、SCN、SF、CHF、CHF、CF、OCHF、OCHFまたはOCFを表す。
【0117】
−基PおよびPが、ビニルオキシ、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、クロロアクリレート、オキセタンおよびエポキシド基、特に好ましくは、アクリレートまたはメタクリレート基から成る群より選択される化合物。
【0118】
−基SpおよびSpが、−(CHp1−、−(CHp1−O−、−(CHp1−O−CO−または−(CHp1−O−CO−O−およびそれらの鏡像から成る群より選択され、式中、p1が、1〜12、好ましくは、1〜6、特に好ましくは、1、2または3を表し、ただし、これらの基は、O原子が直接隣り合わないようにして、PまたはPに連結されている化合物。
【0119】
−Qが−CFO−を表し、および、Qが−OCF−を表す化合物。
【0120】
−Qが−OCF−を表し、および、Qが−CFO−を表す化合物。
【0121】
−QおよびQが、−CFO−を表す化合物。
【0122】
−QおよびQが、−OCF−を表す化合物。
【0123】
−s1およびs2が、それぞれ、0を表す化合物。
【0124】
−s1およびs2が、それぞれ、1を表す化合物。
【0125】
−s1が1を表しおよびs2が0を表すか、または、s1が0を表しs2が1を表す化合物。
【0126】
これらの新規な化合物のなかでも、Qが−CFO−を表し、Qが−OCF−を表すものが非常に特に好ましい。
【0127】
これらの新規な化合物のなかでも、1つ以上の以下の群:
式I9〜I14から成る群、
式I19〜I24から成る群、
式I33〜I38から成る群、
式I43〜I48から成る群、
式I57〜I62から成る群、および
式I67〜I72から成る群
より選択され、式中、Lが上および下で示される意味の1つを有し、nが、1および24の間、好ましくは1および12の間、非常に特に好ましくは2および8の間の整数であるものが非常に特に更に好ましい。
【0128】
本発明は、更に、式Iの化合物を調製するためで、式IAより選択される新規な中間体に関する。
【0129】
【化32】

式中、Q、Q、A、A、A、Sp、Sp、s1およびs2は、式Iまたはそれのサブ式において示される意味、または、上および下で示される好ましい意味の1つを有し、GおよびG’は、それぞれ互いに独立に、H原子または保護基を表す。
【0130】
適切な保護基Gは当業者に既知である。好ましい保護基は、アルキル、アクリルおよびアルキルシリルまたはアリールシリル基、2−テトラヒドロピラニルまたはメトキシメチルである。
【0131】
式IおよびIAおよびそれらのサブ式の化合物および中間体は、例えば、Houben−Weyl編、Methoden der organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Thieme−Verlag社、Stuttgart市などの有機化学の標準的な著作に記載されている当業者に既知の方法に類似して調製できる。
【0132】
式IおよびIAおよびそれらのサブ式の化合物および中間体を調製するための特に適切で好ましい方法は以下のスキームにおいて例により表されており、好ましくは、下記の1つ以上の工程を含有する。
【0133】
当業者は適切な様式において合成を修正し、よって、本発明による更なる化合物を得ることできるであろう。例えば、環に直接結合しているアルコキシスペーサーまたはアクリレート類を含有する特に好ましい化合物は、例えば、化合物2などのジヒドロキノン誘導体をジチアニリウム塩3と反応させることで得られる。ここで、最初に形成された化合物4は化合物5に転化される。続いて、例えば、メタクリル酸を使用するエステル化によって、ヒドロキシル基を適切に官能化することができる(スキーム1参照)。
【0134】
【化33】

【0135】
アルコキシスペーサーを含有する本発明による化合物(例えば、スキーム2における化合物8)を入手する場合、次いで、化合物5をブロモアルカノール類6と、適切な塩基の存在下において反応させる。続いて、アクリル酸を使用して、生成物を再びエステル化できる。
【0136】
【化34】

【0137】
もしくは、また、光延反応においてスペーサーを導入することもできる(スキーム3参照)。
【0138】
【化35】

【0139】
本発明によるPSAディスプレイを製造するために、電圧を印加しながらLCディスプレイの基板間のLC媒体中において、重合性化合物をその場での重合により重合または架橋(1つの化合物が2個以上の重合性基を含有する場合)する。重合は1つの工程で行うことができる。また、最初に、プレチルト角を生成するために第1工程において電圧を印加しながら重合を行い、続いて、第2の重合工程において電圧を印加せずに、第1工程において反応しなかった化合物を重合または架橋する(「最終硬化」)ことも可能である。
【0140】
適切で好ましい重合方法は、例えば、熱または光重合で、好ましくは光重合であり、特にはUV光重合である。また、ここに1種類以上の開始剤を加えることもできる。重合の適切な条件および開始剤の適切なタイプおよび量は当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、商業的に入手可能な光重合開始剤Irgacure651(登録商標)、Irgacure184(登録商標)、Irgacure907(登録商標)、Irgacure369(登録商標)またはDarocure1173(登録商標)(Ciba社)がフリーラジカル重合に適する。開始剤を使用する場合、開始剤の比率は、好ましくは0.001〜5質量%、特に好ましくは0.001〜1質量%である。
【0141】
また、本発明による重合性化合物は開始剤を使用しない重合にも適し、このことは、例えば、材料費がより低く、特に、開始剤またはそれの分解生成物の残存し得る量によるLC媒体の汚染が少ないなどの特筆すべき利点を伴う。よって、開始剤を添加することなく重合を行うこともできる。よって、好ましい実施形態において、LC媒体は重合開始剤を含まない。
【0142】
また、例えば、保存または輸送中におけるRMの好ましくない自発的な重合を防止するために、重合性成分またはLC媒体は1種類以上の安定剤を含んでも構わない。安定剤の適切なタイプおよび量は当業者に既知であり、文献に記載されている。例えば、Irganox(登録商標)シリーズ(Ciba社)からの商業的に入手可能な安定剤、例えば、Irganox(登録商標)1076などが特に適切である。安定剤を使用する場合、安定剤の割合は、RMまたは重合性成分の総量を基礎として、好ましくは10〜10,000ppm、非常に好ましくは50〜500ppmである。
【0143】
本発明による重合性化合物は個別に重合できるが、また、2種類以上の本発明による重合性化合物を含む混合物、または、1種類以上の本発明による重合性化合物と、1種類以上の更なる重合性化合物(コモノマー)とを含む混合物を重合することも可能であり、コモノマーは、好ましくは、メソゲン性または液晶性である。そのような混合物を重合する場合、コポリマーが形成される。本発明は、更に、上述および下述の重合性混合物に関する。重合性化合物およびコモノマーはメソゲン性または非メソゲン性であり、好ましくは、メソゲン性または液晶性である。
【0144】
本発明によるディスプレイにおける使用に適切で好ましいコモノマーは、例えば、以下の式より選択される。
【0145】
【化36】

【0146】
【化37】

【0147】
【化38】

【0148】
【化39】

式中、個々の基は以下の意味を有する:
およびPは、それぞれ互いに独立に、重合性基(好ましくは、Pに対して、上および下で示される意味の1つを有する。)、特に好ましくは、アクリレート、メタクリレート、フルオロアクリレート、オキセタン、ビニルオキシまたはエポキシド基を表し、
SpおよびSpは、それぞれ互いに独立に、単結合またはスペーサー(好ましくは、Spに対して、上および下で示される意味の1つを有する。)、特に好ましくは、−(CHp1−、−(CHp1−O−、−(CHp1−CO−O−または−(CHp1−O−CO−O−を表し、式中、p1は1〜12の整数であり、ただし、最後に述べた基において隣接する環への連結はO原子を介して起こり、
ただし加えて、存在する基P−Sp−およびP−Sp−の少なくとも1つがRaaを表さないことを条件として、1個以上の基P−Sp−およびP−Sp−は基Raaを表してもよく、
aaは、H、F、Cl、CN、または、1〜25個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキル(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH基は、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、それぞれ互いに独立に、C(R)=C(R00)−、−C≡C−、−N(R)−、−O−、−S−、−CO−、−CO−O−、−O−CO−、−O−CO−O−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子は、F、Cl、CNまたはP−Sp−で置き換えられていてもよい。)、特に好ましくは、直鎖状または分岐状で一フッ素化または多フッ素化されていてもよく1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニルまたはアルキルカルボニルオキシ(ただし、アルケニルおよびアルキニル基は少なくとも2個のC原子を有し、分岐状の基は少なくとも3個のC原子を有する。)を表し、
およびR00は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一または異なって、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
およびRは、それぞれ互いに独立に、H、F、CHまたはCFを表し、
は、−O−、−CO−、−C(R)−または−CFCF−を表し、
およびZは、それぞれ互いに独立に、−CO−O−、−O−CO−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−または−(CH−を表し、ただし、nは、2、3または4であり、
Lは、それぞれの出現において同一または異なって、F、Cl、CN、SCN、SF、または、直鎖状または分岐状で一フッ素化または多フッ素化されていてもよく1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシ、好ましくは、Fを表し、
L’およびL”は、それぞれ互いに独立に、H、FまたはClを表し、
rは、0、1、2、3または4を表し、
sは、0、1、2または3を表し、
tは、0、1または2を表し、
xは、0または1を表す。
【0149】
式IまたはIAの化合物に加えて、LC媒体または重合性成分は、好ましくは、式M16〜M29から成る、特に好ましくは、式M16〜M21から成る、非常に特に好ましくは、式M16、M17およびM18から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0150】
LC媒体または重合性成分は、好ましくは、ZおよびZが−COO−または−OCO−を表す式M10の化合物を含まない。
【0151】
上記の重合性化合物に加え、本発明によるLCディスプレイにおいて使用するためのLC媒体は、1種類以上、好ましくは2種類以上の低分子量(即ち、モノマー性または非重合の)化合物を含むLC混合物(「ホスト混合物」)を含む。低分子量化合物は、重合性化合物の重合のために使用される条件下において重合反応に対して安定または非反応性である。原理的には、従来のVAおよびOCBディスプレイにおける使用に適する任意のLC混合物がホスト混合物として適する。
【0152】
適切なLC混合物は当業者に既知で文献に記載されている。VAディスプレイ用のLC媒体は欧州特許出願公開第1 378 557号公報に記載されている。OCBディスプレイ用のLC媒体は欧州特許出願公開第1 306 418号公報およびドイツ国特許出願公開第102 24 046号公報に記載されている。ブルー相を有するLCディスプレイ用のLC媒体は、国際特許出願公開第2006/063662号パンフレットおよびそこで引用されている文献に記載されている。
【0153】
ブルー相を有するLCディスプレイにおける使用のための特に好ましいLC媒体を、下に記載する。
【0154】
ブルー相を有する本発明によるLC媒体は、好ましくは、以下の重合性成分A、液晶成分B、任意成分として液晶成分C、および光学活性および/またはキラル化合物を含む成分Dを含む。
【0155】
−好ましくは1〜25%、特に好ましくは2〜20%、非常に特に好ましくは3〜15%の濃度において、式Iの1種類以上の化合物と、任意成分として1種類以上の追加の重合性化合物とを含み、好ましくは主にこれらより成り、非常に好ましくは排他的にこれらより成る重合性成分A。
【0156】
1種類以上、好ましくは2種類以上の低分子量(即ち、モノマー性および非重合性)化合物を、好ましくは20〜100%の濃度において、好ましくは正の誘電異方性を有する化合物を、好ましくは、1種類以上の式IIの化合物を含み、好ましくは主にこれらより成り、非常に特に好ましくは、排他的にこれらよりなる液晶成分B。
【0157】
【化40】

式中、個々の基は以下の意味を有する:
22は、H、F、Cl、CN、NCS、SF、SOCF、または、1〜20個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを表し、該基は無置換であるか、F、ClまたはCNで一置換または多置換されており、ただし加えて、また、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−NH−、−NR01−、−SiR0102−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY01=CY02−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
01、Y02は、それぞれ互いに独立に、F、ClまたはCNを表し、また、基Y01およびY02の一方はHも表し、
01、R02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
21、A22、A23は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一または異なって、
【0158】
【化41】

を表し、
21、Z22は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一または異なって、単結合、−(CH−、−CHCH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−を表し、
22は、F、Cl、−CN、−NCS、−SF、−SOCF、または、1〜3個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキルアルコキシまたはアルコキシを表し、該基は、F、ClまたはCNで一置換または多置換されており、
21、L22は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
mは、0、1または2を表し、
nは、0、1、2または3を表し、
oは、0、1または2を表し、ただし、
m+n+oは、0、1、2または3、好ましくは、0、1または2を表す。
【0159】
−任意成分として、1種類以上、好ましくは2種類以上の低分子量(即ち、モノマー性および非重合性)化合物を、好ましくは1〜25%の濃度において、好ましくは、1種類以上の式IIIの化合物を含む、好ましくは主にこれらより成る、非常に特に好ましくは、排他的にこれらよりなる液晶成分C。
【0160】
【化42】

式中、
a、b、c、dは、それぞれ互いに独立に、0、1または2を表し、ただし、
a+b+c+dは、0、1、2、3または4であり、
31、A32、A33、A34は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一または異なって、
【0161】
【化43】

を表し、
31、Z32、Z33、Z34は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一または異なって、単結合、−(CH−、−CHCH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−を表し、
33は、1〜15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ(該基は無置換であるか、F、ClまたはCNで一置換または多置換されており、ただし加えて、また、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−で置き換えられていてもよい。)、好ましくは、直鎖状で10個までのC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたは−O−アルキレン−O−基(該基は無置換であるか、または、FまたはClで一置換または多置換されている。)を表し、
31、L32、L33、L34は、それぞれ互いに独立に、H、F、Cl、CN、または、1〜15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、該基は無置換であるか、または、F、ClまたはCNで一置換または多置換されており、ただし加えて、また、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−で置き換えられていてもよく、ただし、基L31、L32、L33およびL34の少なくとも1つは、H以外であることを条件とし、
33は、F、Cl、CF、OCF、CN、NCS、−SFまたは−SO−Rを表し、
およびRは、それぞれ互いに独立に、H、1〜7個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ、好ましくは、メチル、エチル、プロピルまたはブチルを表し、および
は、1〜7個のC原子を有するアルキル(該基は無置換であるか、または、FまたはClで一置換または多置換されている。)、好ましくは、CF、Cまたはn−Cを表す。
【0162】
−好ましくは、1〜20%の濃度において、好ましくは、20μm−1以上、好ましくは40μm−1以上、非常に特に好ましくは60μm−1以上のHTPを有する1種類以上の光学活性および/またはキラル化合物を含む成分D。
【0163】
キラル成分Dは、好ましくは、メソゲン構造を有する1種類以上のキラル化合物を含み、好ましくは、1つ以上の中間相、特に好ましくは、少なくとも1つのコレステリック相を有する。成分Dの好ましいキラル化合物は、例えば、コレステリルノナノエート(CN)、R/S−811、R/S−1011、R/S−2011、R/S−3011、R/S−4011、R/S−5011またはCB−15(メルク社、Darmstadt市)など先行技術より既知であるか、および/または商業的に入手可能なキラルドーパントである。例えば、ドイツ国特許第34 25 503号明細書、ドイツ国特許第35 34 777号明細書、ドイツ国特許第35 34 778号明細書、ドイツ国特許第35 34 779号明細書、ドイツ国特許第35 34 780号明細書、ドイツ国特許第43 42 280号明細書、欧州特許公開第01 038 941号明細書およびドイツ国特許第195 41 820号明細書において開示される通りの1個以上のキラル基および1個以上のメソゲン基を含有するキラルドーパントが特に好ましい。更に、例えば、国際特許出願公開第98/00428号パンフレットに記載される通りのソルビトール類、例えば、英国特許出願公開第2 328 207号公報に記載される通りのヒドロベンゾイン類、例えば、国際特許出願公開第02/94805号パンフレットに記載される通りのキラルなビナフトール類、例えば、国際特許出願公開第02/34739号パンフレットに記載される通りのキラルなビナフトールアセタール類、例えば、国際特許出願公開第02/06265号パンフレットに記載される通りのキラルなTADDOL類、または、例えば、国際特許出願公開第02/06196号パンフレットまたは国際特許出願公開第02/06195号パンフレットに記載される通りのフッ素化された架橋基を含有するキラル化合物が好ましい。
【0164】
ブルー相を有する本発明によるLC媒体の透明点は、好ましくは、−30℃〜100℃の範囲内である。
【0165】
LC媒体は、好ましくは、1種類、2種類、3種類、4種類、または、4種類より多いキラル化合物を含む。LC媒体は、好ましくは、0.01〜25%、好ましくは0.1〜20%、特に好ましくは0.5〜20%、非常に特には3〜15%の総濃度でキラル化合物を含む。
【0166】
LC媒体中の全ての重合性化合物の総含有量における式Iの化合物の割合、または、重合性成分A)における式Iの化合物の割合は、好ましくは、20〜80%、特に好ましくは、40〜60%である。
【0167】
更に好ましい実施形態において、LC媒体における全ての重合性化合物の総含有量における式Iの化合物の割合、または、重合性成分A)における式Iの化合物の割合は、少なくとも50%、特に好ましくは、60%〜100%である。
【0168】
更に特に好ましい実施形態を下に記載する。
【0169】
−LC媒体は、1種類、2種類、または、3種類の式Iの化合物を含む。
【0170】
−式IIの化合物に追加して、成分Bは、1種類以上の式Zのエステル化合物を含む。
【0171】
【化44】


式中、Rは、式IIにおいてR22に示される意味の1つを有し、
【0172】
【化45】

は、F、Cl、CN、NCS、OCF、CFまたはSFを表し、(F)はFまたはHを表し、
好ましくは、5〜35%、特に好ましくは、10〜30%、非常に特に好ましくは、10〜20%の濃度で含む。
【0173】
−式IIの化合物に追加して、成分Bは、1種類以上の式Nの化合物を含む。
【0174】
【化46】

式中、Rは、式IIにおいてR22に示される意味の1つを有し、好ましくは、alkylまたはalkyl−C≡Cを表し、「alkyl」は、好ましくは直鎖状であり1〜7個のC原子を有するアルキルを表し、(F)はFまたはHを表し、nは0または1を表す。
【0175】
−式IIの化合物に追加して、成分Bは、1種類以上の式Eの化合物を含む。
【0176】
【化47】

式中、Rは、式IIにおいてR22に示される意味の1つを有し、好ましくは、C1〜C7−アルキルを表し、
【0177】
【化48】

好ましくは、10〜30%、特に好ましくは、15〜25%の濃度で含む。
【0178】
−LC媒体は、式Q1および/またはQ2の1種類の化合物を追加的に含む。
【0179】
【化49】

式中、Rは、式IIにおいてR22に示される意味の1つを有し、Xは、式ZにおいてXに示される意味の1つを有し、YはHまたはFであり、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、0または1を表す。
【0180】
−LC媒体は、式Dx1および/またはDx2の1種類の化合物を追加的に含む。
【0181】
【化50】

式中、Rは、式IIにおいてR22に示される意味の1つを有する。
【0182】
式Iの1種類以上の化合物に加え、特に、X22がF、Cl、CN、NCS、CFまたはOCFを表す式IIの1種類以上の化合物を含むLC媒体が好ましい。式I、II、III、Z、N、E、Q1、Q2、Dx1およびDx2の化合物は無色で安定であり、互いに、または、他の液晶物質と容易に混和できる。
【0183】
本発明によるLC媒体の式I、II、III、Z、N、E、Q1、Q2、Dx1およびDx2の個々の成分および化合物は既知であるか、または、それらの調製方法が文献に記載されている標準的な方法に基づいているため、それらの調製方法を当業者は容易に先行技術より導くことができる。
【0184】
本発明によるLC媒体は、それ自身は従来の方法で調製され、例えば、1種類以上の上述の化合物を、上で定義される通りの1種類以上の重合性化合物と、および、任意成分として更なる液晶化合物および/または添加剤と混合することにより調製される。一般に、より少量で使用される成分の所望量を、主要構成成分を構成する成分に、有利には昇温して、溶解する。また、成分の溶液を、有機溶媒、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノールに混合し、完全に混合後、例えば蒸留により、溶媒を再び除去することも可能である。本発明は、更に、本発明によるLC媒体を調製するための方法にも関する。
【0185】
また、ブルー相を有するLCディスプレイ用の本発明によるLC媒体は、例えば、重合開始剤、禁止剤、安定剤または表面活性化物質などの当業者に既知で文献に記載されている更なる添加剤も含んでもよい。これらは重合性でも非重合性でもよい。従って、重合性添加剤は重合性成分に属することとなる。従って、非重合性添加剤は液晶成分に属することとなる。
【0186】
偏光板、電極基板および表面処理された電極層を備え、ブルー相を有する本発明によるLCディスプレイの構造は、先行技術、例えば、ドイツ国特許出願公開第102 17 273号公報、ドイツ国特許第102 41 301号明細書、ドイツ国特許第102 536 06号明細書、ドイツ国特許第103 13 979号明細書に記載される通りで、当業者に既知のこのタイプのディスプレイに関する従来構造に対応する。
【0187】
本発明によるLCディスプレイは、好ましくは、以下の構成要素を含む:
−1枚または2枚の基板、
−2枚の基板の一方のみに2つの電極を有するか、または、2枚の基板のそれぞれに1つの電極を有する電極配置、
−1枚または2枚の偏光板、および
−2枚の基板の間に配置される本発明によるLC媒体の層、
ただし、スイッチが入っていない状態においてLC媒体が光学的等方相、好ましくは、ブルー相を有する温度においてディスプレイが動作される。
【0188】
LC媒体のブルー相への相転移は、通常、ブルー相より低温で存在するコレステリック相より出発して起きる。本発明によるLCディスプレイの動作温度(即ち、ポリマー安定化後)は、好ましくは、LC媒体がブルー相へ相転移(即ち、通常、コレステリック相−ブルー相転移)する温度より高く、特に好ましくは、この相転移温度より0.2〜50°、非常に特に好ましくは、0.1〜40°高い。更に、LCディスプレイの動作温度は、好ましくは、ブルー相から等方相へのLC媒体の相転移温度(透明点としても知られている)よりも低い。しかしながら、また、等方相において、即ち、透明点より上であってもディスプレイは動作できる。
【0189】
例えば、物理的特性を適合させるために、また、ブルー相を有する本発明によるLC媒体は、式IIおよびIIIの上述の化合物に加え、および、式Z、N、E、Q1、Q2、Dx1およびDx2の上述の化合物に加えて、または、代えて、更なる液晶化合物を含んでよい。そのような化合物は、当業者に既知である。それらのLC媒体における濃度は、好ましくは0〜30%、特に好ましくは0〜20%、非常に特に好ましくは5〜15%である。
【0190】
本発明によるLC媒体の液晶成分(即ち、ポリマー安定化前)は、好ましくは、全体の幅が2℃以上、好ましくは5℃以上、特に好ましくは10℃以上、非常に特に好ましくは20℃以上のブルー相の温度範囲、または、複数の逐次的なブルー相が生じる場合、全てのブルー相を合わせた温度範囲を有する。
【0191】
本発明によるLC媒体の液晶成分(即ち、ポリマー安定化前)は、少なくとも、好ましくは10℃〜30℃、特に好ましくは10℃〜40℃、非常に特に好ましくは0℃〜50℃の範囲におけるブルー相(単一または複数)の温度範囲を示す。
【0192】
上および下において「少なくとも」は、ブルー相(単一または複数)が、それぞれの場合において示される下限値よりも下までも広がってよいこと、および/または、それぞれの場合において示される上限値よりも上までも広がってよいことを意味する。
【0193】
更に好ましい実施形態において、本発明によるLC媒体の液晶成分(即ち、ポリマー安定化前)は、少なくとも20℃〜40℃、特に好ましくは少なくとも30℃〜80℃、非常に特に好ましくは少なくとも30℃〜90℃の範囲におけるブルー相(単一または複数)の温度範囲を示す。更に、少なくとも−20℃〜50℃のブルー相(単一または複数)の温度範囲を有するLC媒体が好ましい。
【0194】
重合された成分を含む本発明によるLC媒体(即ち、ポリマー安定化後)は、好ましくは、少なくとも、30℃〜70℃、好ましくは20℃〜70℃、特に好ましくは0℃〜80℃、非常に特に好ましくは−20℃〜80℃の範囲におけるブルー相(単一または複数)の温度範囲を示す。
【0195】
重合性成分を含む本発明によるLC媒体の相転移温度、特に、コレステリック相からブルー相への転移温度(T(Ch,BP))(T(N,BP)としても知られている)は好ましくは重合性成分の重合によって上昇せず、および/または、透明点、および/または、ブルー相から等方相への転移温度(T(BP,I))は、好ましくは、重合性成分の重合によって低下しない。このことは、好ましくは、透明点および/またはT(BP,I)がより低温にシフトしないように、および/または相転移温度T(Ch,BP)が高温にシフトしないように、ブルー相(単一または複数)のポリマー安定化が行われること、即ち、ブルー相(単一または複数)が、好ましくは、少なくともより低温まで、特に好ましくは、より低温およびより高温の両者にまで広げられていることを意味する。
【0196】
PSAディスプレイにおいて、特には、PSA−VA、PSA−OCB、PSA−IPS、PSA−FFSまたはPSA−TNディスプレイにおいて使用するための特に好ましいLC媒体を下に記載する。
【0197】
本発明によるPSA−VA、PSA−OCB、PSA−IPS、PSA−FFSまたはPSA−TNディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体は、好ましくは、以下を含む:
−5%未満、特に好ましくは1%未満、非常に特に好ましくは0.5%未満の重合性成分、
−95%より多い、特に好ましくは99%より多い液晶成分、
−5質量%未満、特に好ましくは1質量%未満、非常に特に好ましくは0.5質量%未満の重合性化合物、特には、上述の式Iまたはそれのサブ式の重合性化合物、
−本発明による式Iまたはそのサブ式の1種類、2種類または3種類の重合性化合物、
−本発明による式Iまたはそのサブ式の重合性化合物を排他的に含む重合性成分、
−ネマチック液晶相を有するLC化合物またはLC混合物である液晶成分、
−アキラルな化合物を排他的に含む重合性および/または液晶成分、
−1個の重合性基(一反応性)を含有する1種類以上の重合性化合物および2個以上、好ましくは2個の重合性基(二反応性または多反応性)を含有する1種類以上の重合性化合物(好ましくは、式Iまたはそれのサブ式の化合物より、および任意に、式M1〜M29を含むリストより選択される上述のコモノマーより選択される。)を含む重合性成分、
−2個の重合性基(二反応性)を含有する本発明による重合性化合物(好ましくは、式Iまたはそれのサブ式の化合物より、および任意に追加して、式M1〜M29を含むリストからの上述のコモノマーより選択される。)を排他的に含む重合性成分、
−本発明による、特には、式Iまたはそれのサブ式およびコモノマーの重合性化合物を別とすれば、末端ビニルオキシ基(−O−CH=CH)を含有する化合物を含まず、
−好ましくは、本発明による重合性化合物より選択され、特には、式Iまたはそのサブ式の1〜5種類、好ましくは、1種類、2種類または3種類の重合性化合物。
【0198】
PSA−VAディスプレイにおいて使用するために特に好ましいLC媒体を以下に示す。
【0199】
a)式CYおよび/またはPYの1種類以上の化合物を含むLC媒体。
【0200】
【化51】

式中、個々の基は以下の意味を有する:
aは、1または2を表し、
bは、0または1を表し、
【0201】
【化52】

およびRは、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキル(ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよい。)、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、
およびZは、それぞれ互いに独立に、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CH−CHO−または単結合、好ましくは、単結合を表し、
1〜4は、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF、CF、CH、CHF、CHFを表す。
【0202】
好ましくは、基LおよびLの両者がFを表すか、基LおよびLの一方がFを表し、他方がClを表すか、または、基LおよびLの両者がFを表すか、基LおよびLの一方がFを表し、他方がClを表す。
【0203】
式CYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0204】
【化53】

【0205】
【化54】

【0206】
【化55】

【0207】
【化56】

式中、aは1または2を表し、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、(O)はO原子または単結合を表す。alkenylは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を表す。
【0208】
式PYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0209】
【化57】

【0210】
【化58】

【0211】
【化59】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、(O)はO原子または単結合を表す。alkenylは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を表す。
【0212】
b)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0213】
【化60】

式中、個々の基は、以下の意味を有する:
【0214】
【化61】

【0215】
【化62】

およびRは、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−O−CO−または−CO−O−で置き換えられていてもよく、
は、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CH−CHO−または単結合、好ましくは、単結合を表す。
【0216】
式ZKの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0217】
【化63】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylは、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を表す。
【0218】
c)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0219】
【化64】

式中、個々の基は、それぞれの出現において同一または異なって、以下の意味を有する:
およびRは、それぞれ互いに独立に、上でRに示される意味の1つを有し、
【0220】
【化65】

【0221】
【化66】

eは、1または2を表す。
【0222】
式DKの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0223】
【化67】

【0224】
【化68】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylおよびalkenylは、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenylは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を表す。
【0225】
d)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0226】
【化69】

【0227】
【化70】

fは、0または1を表し、
およびRは、それぞれ互いに独立に、1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個または2個の隣接していないCH基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−または−COO−で置き換えられていてもよく、
およびZは、それぞれ互いに独立に、−CHCH−、−CH=CH−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−CF=CF−、−CH=CH−CHO−または単結合、好ましくは、単結合を表し、
およびLは、それぞれ互いに独立に、F、Cl、OCF、CF、CH、CHF、CHFを表す。
【0228】
好ましくは、両方の基LおよびLがFを表すか、基LおよびLの一方がFを表し、他方がClを表す。
【0229】
式LYの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0230】
【化71】

【0231】
【化72】

【0232】
【化73】

式中、Rは上述の意味を有し、alkylは1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、(O)はO原子または単結合を表し、vは1〜6の整数を表す。Rは、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル、または、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル、特に、CH、C、n−C、n−C、n−C11、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を表す。
【0233】
e)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0234】
【化74】

式中、alkylはC1〜6−アルキルを表し、LはHまたはFを表し、Xは、F、Cl、OCF、OCHFまたはOCH=CFを表す。XがFを表す式G1の化合物が特に好ましい。
【0235】
f)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0236】
【化75】

【0237】
【化76】

式中、RはRに上で示される意味の1つを有し、alkylはC1〜6−アルキルを表し、dは0または1を表し、zおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6の整数を表す。これらの化合物におけるRは、特に好ましくは、C1〜6−アルキルまたは−アルコキシまたはC2〜6−アルケニルであり、dは、好ましくは、1である。本発明によるLC媒体は、好ましくは、上述の式の1種類以上の化合物を5質量%以上の量で含む。
【0238】
g)以下の式から成る群より選択される1種類以上のビフェニル化合物を追加的に含むLC媒体。
【0239】
【化77】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylおよびalkenylは、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenylは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を表す。
【0240】
LC混合物における式B1〜B3のビフェニル類の割合は、好ましくは、少なくとも3質量%、特には、5質量%以上である。
【0241】
式B2の化合物が特に好ましい。
【0242】
式B1〜B3の化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0243】
【化78】

式中、alkylは、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表す。本発明による媒体は、特に好ましくは、式B1aおよび/またはB2cの1種類以上の化合物を含む。
【0244】
h)以下の1種類以上のターフェニル化合物を追加的に含むLC媒体。
【0245】
【化79】

およびRは、それぞれ互いに独立に、Rについて上に示される意味の1つを有し、および
【0246】
【化80】

式中、LはFまたはCl、好ましくは、Fを表し、Lは、F、Cl、OCF、CF、CH、CHFまたはCHF、好ましくは、Fを表す。
【0247】
式Tの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0248】
【化81】

【0249】
【化82】

【0250】
【化83】

式中、Rは1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表し、Rは2〜7個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表し、(O)は酸素原子または単結合を表し、mは1〜6の整数を表す。Rは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を表す。
【0251】
Rは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたはペントキシを表す。
【0252】
本発明によるLC媒体は、好ましくは、式Tおよびそれの好ましいサブ式のターフェニル類を、0.5〜30質量%、特には、1〜20質量%の量で含む。
【0253】
式T1、T2、T3およびT21の化合物が特に好ましい。これらの化合物において、Rは、好ましくは、アルキル、更には、アルコキシを表し、それぞれは、1〜5個のC原子を有する。
【0254】
本発明による混合物において、混合物のΔn値が0.1以上である場合、ターフェニル類は、好ましく使用される。好ましい混合物は、2〜20質量%の式Tの1種類以上のターフェニル化合物(好ましくは、化合物T1〜T22の群より選択される。)を含む。
【0255】
i)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0256】
【化84】

【0257】
【化85】

式中、RおよびRは上で示される意味を有し、好ましくは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニルを表す。
【0258】
好ましい媒体は、式O1、O3およびO4より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0259】
k)以下の式の1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0260】
【化86】

式中、
【0261】
【化87】

は、H、CH、Cまたはn−Cを表し、(F)は任意のフッ素置換基を表し、qは、1、2または3を表し、RはRに示される意味の1つを有する。LC媒体は、式FIおよびその好ましいサブ式の化合物を、好ましくは3質量%より多く、特には5質量%以上、非常に特に好ましくは5〜30質量%の量において含む。
【0262】
式FIの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される:
【0263】
【化88】

【0264】
【化89】

式中、Rは、好ましくは、直鎖状のアルキルを表し、Rは、CH、Cまたはn−Cを表す。式FI1、FI2およびFI3の化合物が特に好ましい。
【0265】
m)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むLC媒体。
【0266】
【化90】

式中、RはRに示される意味を有し、alkylは1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0267】
n)例えば、以下の式から成る群より選択される化合物などのテトラヒドロナフチルまたはナフチル単位を含有する1種類以上化合物を追加的に含むLC媒体。
【0268】
【化91】

【0269】
【化92】

式中、R10およびR11は、それぞれ互いに独立に、Rに示される意味の1つを有し、好ましくは、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシまたは2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニルを表し、ZおよびZは、それぞれ互いに独立に、−C−、−CH=CH−、−(CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CH−CHCH−、−CHCHCH=CH−、−CHO−、−OCH−、−CO−O−、−O−CO−、−C−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CH−または単結合を表す。
【0270】
o)以下の式の1種類以上のジフルオロジベンゾクロマン類および/またはクロマン類を追加的に含むLC媒体。
【0271】
【化93】

式中、R11およびR12は、それぞれ互いに独立に、上で示される意味を有し、cは0または1を表す。LC媒体は、式BCおよび/またはCR、並びにそれらの好ましいサブ式の化合物を、好ましくは、3〜20質量%の量、特に3〜15質量%の量においてである。
【0272】
式BCおよびCRの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0273】
【化94】

【0274】
【化95】

式中、alkylおよびalkylは、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、alkenylおよびalkenylは、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。alkenylおよびalkenylは、好ましくは、CH=CH−、CH=CHCHCH−、CH−CH=CH−、CH−CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−、CH−(CH−CH=CH−またはCH−CH=CH−(CH−を表す。
【0275】
1種類、2種類または3種類の式BC2の化合物を含む混合物が、非常に特に好ましい。
【0276】
p)以下の式の1種類以上のフッ素化されたフェナントレン類および/またはジベンゾフラン類を追加的に含むLC媒体。
【0277】
【化96】

式中、R11およびR12は、それぞれ互いに独立に、上で示される意味を有し、bは0または1を表し、LはFを表し、rは1、2または3を表す。
【0278】
式PHおよびBFの特に好ましい化合物は、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0279】
【化97】

式中、RおよびR’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表す。
【0280】
q)1〜8種類、好ましくは1〜5種類の式CY1、CY2、PY1および/またはPY2の化合物を含むLC媒体。これらの化合物の混合物全体における割合は、好ましくは、5〜60%、特に好ましくは、10〜35%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、それぞれの場合で、2〜20%である。
【0281】
r)1〜8種類、好ましくは1〜5種類の式CY9、CY10、PY9および/またはPY10の化合物を含むLC媒体。これらの化合物の混合物全体における割合は、好ましくは、5〜60%、特に好ましくは、10〜35%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、それぞれの場合で、2〜20%である。
【0282】
s)1〜10種類、好ましくは、1〜8種類の式ZKの化合物、特には、式ZK1、ZK2および/またはZK6の化合物を含むLC媒体。これらの化合物の混合物全体における割合は、好ましくは、3〜45%、特に好ましくは、5〜25%である。これらの個々の化合物の含有量は、好ましくは、それぞれの場合で、2〜20%である。
【0283】
t)混合物全体における式CY、PYおよびZKの化合物の割合が70%より高く、好ましくは、80%より高いLC媒体。
【0284】
u)プレチルト角が、好ましくは、86°以下であるPSA−VAディスプレイ。
【0285】
PSA−OCB、PSA−TN、PSA−IPSまたはPSA−FFSディスプレイにおいて使用するために特に好ましいLC媒体を下に示す。
【0286】
a)以下の式から成る群より選択される1種類以上の化合物を含むLC媒体。
【0287】
【化98】

式中、
は、それぞれの出現において同一または異なって、それぞれ9個までのC原子を有するn−アルキル、アルコキシ、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルを表し、
は、F、Cl、または、それぞれの場合でハロゲン化されており、それぞれ6個までのC原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシを表し、
は、−CFO−または単結合を表し、
1〜6は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表す。
【0288】
は、好ましくは、F、Cl、CF、CHF、OCF、OCHF、OCFHCF、OCFHCHF、OCFHCHF、OCFCH、OCFCHF、OCFCHF、OCFCFCHF、OCFCFCHF、OCFHCFCF、OCFHCFCHF、OCFCFCF、OCFCFCClF、OCClFCFCFまたはCH=CF、特に好ましくは、FまたはOCFである。
【0289】
式AAの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0290】
【化99】

【0291】
【化100】

式中、RおよびXは上で示される意味を有し、Xは、好ましくは、Fを表す。式AA2およびAA6の化合物が特に好ましい。
【0292】
式BBの化合物は、好ましくは、以下のサブ式から成る群より選択される。
【0293】
【化101】

式中、RおよびXは上で示される意味を有し、Xは、好ましくは、Fを表す。式BB1、BB2およびBB5の化合物が特に好ましい。
【0294】
式CCの化合物は、好ましくは、以下のサブ式より選択される。
【0295】
【化102】

式中、Rは、それぞれの出現において同一または異なって、上で示される意味を有し、好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキルを表す。
【0296】
上述の好ましい実施形態a)〜y)の化合物を上記の重合された化合物と組み合わせることにより、本発明によるLC媒体において常に高い透明点および高いHR値と同時に低い閾電圧、低い回転粘度および非常に良好な低温安定性が生じ、PSAディスプレイにおいて特に低いプレチルト角を迅速に確立できる。特に、先行技術からの媒体と比較し、PSAディスプレイにおいて、LC媒体は著しく短縮された応答時間、また、特に、短縮された中間階調応答時間を示す。
【0297】
液晶混合物は、好ましくは、少なくとも80K、特に好ましくは、少なくとも100Kのネマチック相範囲、および、20℃において、250mPa・s以下、好ましくは、200mPa・s以下の回転粘度を有する。
【0298】
PSA−VAタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体は、20℃および1kHzにおいて、好ましくは、約−0.5〜−10、特には、約−2.5〜−7.5の負の誘電異方性Δεを有する。
【0299】
本発明によるVAタイプのディスプレイにおいては、スイッチが切れている状態で、LC媒体層における分子は電極表面に垂直に配向している(ホメオトロピック的)か、または、チルトホメオトロピック配向を有している。電極に電圧を印加すると、電極表面に平行な分子長軸を有するLC分子の再配向が起きる。
【0300】
本発明によるOCBタイプのディスプレイにおいては、LC媒体層における分子は「ベンド」配向を有する。電圧を印加すると、電極表面に垂直な分子長軸を有するLC分子の再配向が起きる。
【0301】
PSA−OCBタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体は、20℃および1kHzにおいて、好ましくは、約+4〜+17の正の誘電異方性Δεを有する。
【0302】
VAタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体における複屈折率Δnは、好ましくは、0.16未満、特に好ましくは、0.06および0.14の間、特には、0.07および0.12の間である。
【0303】
OCBタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体における複屈折率Δnは、好ましくは、0.14および0.22の間、特には、0.16および0.22の間である。
【0304】
PSA−TN、PSA−IPSまたはPSA−FFSタイプのディスプレイにおいて使用するための本発明によるLC媒体における複屈折率Δnは、好ましくは、0.007および0.15の間、特には、0.08および0.13の間である。これらの媒体の誘電異方性は、好ましくは、+2および+17の間、特には、+3および+15の間である。
【0305】
また、本発明によるLC媒体は、例えば、重合開始剤、禁止剤、安定剤、表面活性化物質またはキラルドーパントなどの当業者に既知で文献に記載されている更なる添加剤を含んでもよい。これらは重合性でも非重合性でもよい。従って、重合性添加剤は重合性成分に属することとなる。従って、非重合性添加剤は液晶成分に属することとなる。
【0306】
LC媒体は、例えば、1種類以上のキラルドーパント、好ましくは下の表Bからの化合物から成る群より選択されるものを含有することができる。
【0307】
更に、例えば、0〜15質量%の多色性色素を、更に、導電性を向上するために、ナノ粒子、導電性塩、好ましくは、エチルジメチルドデシルアンモニウム4−ヘキソキシベンゾエート、テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレートまたはクラウンエーテル類の錯塩(例えば、Hallerら、Mol.Cryst.Liq.Cryst.24巻、249〜258頁(1973年)参照)を、または、ネマチック相の誘電異方性、粘度および/または配向を改変するための物質を加えることができる。このタイプの物質は、例えば、独国特許出願公開第22 09 127号公報、独国特許出願公開第22 40 864号公報、独国特許出願公開第23 21 632号公報、独国特許出願公開第23 38 281号公報、独国特許出願公開第24 50 088号公報、独国特許出願公開第26 37 430号公報および独国特許出願公開第28 53 728号公報に記載されている。
【0308】
本発明によるLC媒体の好ましい実施形態a)〜z)の個々の成分は既知であるか、または、それらの調製方法が文献に記載されている標準的な方法に基づいているため、それらの調製方法を当業者が容易に先行技術より導くことができる。式CYの対応する化合物は、例えば、欧州特許出願公開第0 364 538号公報に記載されている。式ZKの対応する化合物は、例えば、独国特許出願公開第26 36 684号公報および独国特許出願公開第33 21 373号公報に記載されている。
【0309】
本発明に従って使用できるLC媒体は、それ自身は従来の様式で調製され、例えば、1種類以上の上述の化合物を、上で定義される通りの1種類以上の重合性化合物と、および、任意成分として更なる液晶化合物および/または添加剤と混合することにより調製される。一般に、より少量で使用される成分の所望量を、主要構成成分を構成する成分に、有利には昇温して、溶解する。また、成分の溶液を、有機溶媒、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノールに混合し、完全に混合後、例えば蒸留により、溶媒を再び除去することも可能である。本発明は、更に、本発明によるLC媒体を調製するための方法にも関する。
【0310】
また、本発明によるLC媒体が、例えば、H、N、O、Cl、Fが対応する同位体に置き換えられた化合物も含んでよいことは、当業者に言うまでもない。
【0311】
本発明によるPSAディスプレイの構造は、冒頭で引用した先行技術に記載される通りのPSAディスプレイに対する通常の構成に対応している。突起のない構成、特に加えて、カラーフィルター側の電極が構造化されておらず、TFT側の電極のみがスロットを有するものが好ましい。PSA−VAディスプレイ用に特に適切で好ましい電極構造は、例えば、米国特許出願公開第2006/0066793号公報に記載されている。
【0312】
以下の例は、本発明を限定することなく説明する。しかしながら、それらは、当業者に対して、好ましく使用される化合物、それらのそれぞれの濃度およびそれらの互いの組み合わせの好ましい混合の考え方を示す。加えて、例は、どのような特性および特性の組み合わせが可能であるかを例示する。
【0313】
以下の略称を使用する:
(n、m、z:それぞれの場合において互いに独立に、1、2、3、4、5または6)
【0314】
【表1】

【0315】
【表2】

【0316】
【表3】

【0317】
【表4】

【0318】
【表5】

【0319】
【表6】

本発明の好ましい実施形態において、本発明によるLC媒体は、表Aからの化合物から成る群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0320】
表Bに、本発明によるLC媒体に添加できる可能なキラルドーパントを示す。
【0321】
【表7】

【0322】
【表8】

LC媒体は、好ましくは0〜10質量%、特には0.01〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%のドーパントを含む。LC媒体は、好ましくは、表Bからの化合物から成る群より選択される1種類以上のドーパントを含む。
【0323】
表Cに、本発明によるLC媒体に添加できる可能な安定剤を示す(nは、ここで、1〜12の整数、好ましくは、1、2、3、4、5、6、7または8を表し、末端メチル基は示されていない)。
【0324】
【表9】

【0325】
【表10】

【0326】
【表11】

【0327】
【表12】

【0328】
【表13】

LC媒体は、好ましくは0〜10質量%、特には1ppm〜5質量%、特に好ましくは1ppm〜1質量%の安定剤を含む。LC媒体は、好ましくは、表Cからの化合物から成る群より選択される1種類以上の安定剤を含む。
【0329】
表Dに、本発明によるLC媒体において、好ましくは、反応性メソゲン化合物として使用できる化合物を例示する。
【0330】
【表14】

【0331】
【表15】

【0332】
【表16】

【0333】
【表17】

【0334】
【表18】

【0335】
【表19】

本発明の好ましい実施形態において、メソゲン媒体は、表Dからの化合物群より選択される1種類以上の化合物を含む。
【0336】
加えて、以下の略称および記号を使用する:
20℃における容量閾電圧[V]、
20℃および589nmにおける異常光屈折率、
20℃および589nmにおける常光屈折率、
Δn 20℃および589nmにおける光学異方性、
ε 20℃および1kHzにおけるダイレクターに垂直な誘電率、
ε 20℃および1kHzにおけるダイレクターに平行な誘電率、
Δε 20℃および1kHzにおける誘電異方性、
cl.p.、T(N,I) 透明点[℃]、
γ 20℃における回転粘度[mPa・s]、
20℃における「スプレイ(splay)」変形に対する弾性定数[pN]
20℃における「ツイスト(twist)」変形に対する弾性定数[pN]、
20℃における「ベンド(bend)」変形に対する弾性定数[pN]。
【0337】
他に明記しない限り、本出願において全ての濃度は質量パーセントで示されており、対応する混合物全体(全ての固体または液晶成分を含み、溶媒を含まない。)に関する。
【0338】
他に明記しない限り、例えば、融点T(C,N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および透明点T(N,I)などの本出願において示される全ての温度の値は摂氏度(℃)で示される。M.p.は融点を表し、cl.p.は透明点である。更に、Tgはガラス状態、Cは結晶状態、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、および、Iは等方相である。これらの記号の間のデータは転移温度を表す。
【0339】
全ての物理的特性は「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月、ドイツ国メルク社に従って決定されるか決定されたものであり、それぞれの場合で他に明示しない限り、20℃の温度が適用され、Δnは589nmで決定され、Δεは1kHzで決定される。
【0340】
本発明において、用語「閾電圧」は、他に明示しない限り、フレデリックス閾値としても既知の容量閾値(V)に関する。例において、一般的に通常であるが、10%相対コントラストに対する光学的閾値(V10)も示される場合がある。
【0341】
容量閾電圧を測定するために使用されるディスプレイは20μmの間隔で離れている2枚の平坦で平行なガラス製外板を有し、それぞれの外板は内側に電極層および最表面にラビングされていないポリイミド配向層を有する。この配向層は液晶分子のホメオトロピックエッジ配向をもたらす。
【0342】
チルト角を測定するために使用されるディスプレイまたはテストセルは4μmの間隔で離れている2枚の平坦で平行なガラス製外板を有し、それぞれの外板は内側に電極層および最表面にポリイミド配向層を有する。ここで、2つのポリイミド層は互いに逆平行にラビングされており、液晶分子のホメオトロピックエッジ配向に効果を有する。
【0343】
重合性化合物は、同時に電圧をディスプレイに印加(通常、10V〜30Vの交流、1kHz)しながら、所定時間、規定された強度のUVA光(通常、365nm)照射により、ディスプレイまたはテストセル内で重合する。例においては、他に示さない限り、50mW/cmの水銀蒸気ランプを使用し、365nm帯域通過フィルターが装着された標準的なUVメーター(Ushio UNIメーターモデル)を使用して強度を測定する。
【0344】
チルト角は、結晶回転実験(Autronic−Melchers TBA−105)によって決定される。ここで、低い値(即ち、角度90°から大きく外れている)が大きなチルトに対応する。
【0345】
VHR値は次の通り測定する:0.3%の重合性モノマー化合物をLCホスト混合物に添加し、生じる混合物をTN−VHRテストセル(90°でラビング、TNポリイミド配向層、層厚dは約6μm)に導入する。2時間のUV曝露(日照試験)の前後において、100℃で5分後に、1V、60Hz、64μ秒パルスにてHR値を決定する(測定装置:Autronic−Melchers VHRM−105)。
【0346】
「LTS(low−temperature stability)」とも呼ばれる低温安定性、即ち、低温において個々の成分が自発的に結晶化することに対するLC混合物の安定性を検討するために、1gのLC/RM混合物を含有するボトルを−10℃における貯蔵室に配置し、混合物が結晶化していないか、混合物を定期的に確認する。
【0347】
所謂「HTP(「helical twisting power」、らせんツイスト能)」は、LC媒体中における光学活性またはキラル物質のらせんツイストする能力(μm)を表す。他に示さない限り、20℃の温度において、商業的に入手可能なネマチックLCホスト混合物MLD−6260(メルク社)中においてHTPを測定する。
【実施例】
【0348】
<例1>
化合物(1):5−{4−[(4−{[4−(5−アクリロイルオキシペンタ−1−イニル)フェニル]ジフルオロメトキシ}−3−メチルフェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンタ−4−イニルアクリレート
1.1. 1,4−ビス−[(4−ブロモフェニル)ジフルオロメトキシ]−2−メチルベンゼン
【0349】
【化103】

最初に、102g(0.24mol)の2−(4−ブロモフェニル)−5,6−ジヒドロ−4H−1,3−ジチイン−1−イリウムトリフレートを500mlのジクロロメタン中に−70℃において導入し、38ml(0.27mol)のトリエチルアミンを加え、100mlのジクロロメタン中の9.0g(72.5mmol)の2−メチルヒドロキノンの溶液を加える。30分後、117ml(0.73mol)のトリエチルアミン トリスヒドロフルオリドを加え、続いて、100mlのジクロロメタン中の37ml(0.72mol)の臭素の溶液を滴下により流入させる。続いて、混合物を1時間撹拌し、冷却を取り外し、バッチを5℃まで解凍させて、1lの10パーセント水酸化ナトリウム溶液に加える。水相を分離および除去し、ジクロロメタンで3回抽出する。合わせた有機相を水洗し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、溶媒を真空中で除去する。残渣をシリカゲルに通してヘプタン/トルエン(4:1)で濾過して、粗生成物をエタノールより再結晶し、1,4−ビス−[(4−ブロモフェニル)ジフルオロメトキシ]−2−メチルベンゼンを、無色の固体として得る。
【0350】
1.2. 5−{4−[(4−{ジフルオロ−[4−(5−ヒドロキシペンタ−1−イニル)フェニル]メトキシ}−3−メチルフェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンタ−4−イン−1−オール
【0351】
【化104】

最初に、29.5g(55.2mmol)の1,4−ビス−[(4−ブロモフェニル)ジフルオロメトキシ]−2−メチルベンゼンを400mlのDMFに導入し、30mlのトリエチルアミン、1g(5.2mmol)のヨウ化銅(I)および4.0g(5.7mmol)の塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)を加え、混合物を60℃まで温め、100mlのDMF中の17.0g(0.2mol)の1−ペンチノールの溶液を加える。バッチを放置して75℃において一晩撹拌し、MTBエーテルを加え、混合物を2回水洗する。水相をMTBエーテルで抽出し、合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥する。溶媒を真空中で除去し、残渣をヘプタン/トルエン(1:1)より再結晶して、5−{4−[(4−{ジフルオロ−[4−(5−ヒドロキシペンタ−1−イニル)フェニル]メトキシ}−3−メチルフェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンタ−4−イン−1−オールを、無色の固体として得る。
【0352】
1.3. 5−{4−[(4−{[4−(5−アクリロイルオキシペンタ−1−イニル)フェニル]ジフルオロメトキシ}−3−メチルフェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンタ−4−イニルアクリレート
【0353】
【化105】

最初に、2.20g(4.07mmol)の5−{4−[(4−{ジフルオロ−[4−(5−ヒドロキシペンタ−1−イニル)フェニル]メトキシ}−3−メチルフェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンタ−4−イン−1−オールを70mlのジクロロメタン中に導入し、2.5ml(18mmol)のトリエチルアミン、および続いて、10mlのジクロロメタン中の1.2ml(15mmol)のアクリロイルクロリドを氷冷しながら加える。冷却を取り外し、バッチを放置して室温で2時間撹拌する。溶媒を真空中で除去し、残渣をシリカゲル上においてヘプテン/MTBエーテル(3:2)でクロマトグラフにかけ、5−{4−[(4−{[4−(5−アクリロイルオキシペンタ−1−イニル)フェニル]ジフルオロメトキシ}−3−メチルフェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンタ−4−イニルアクリレートを、融点51℃の無色の固体として得る。
【0354】
相挙動 Tg−50C51I。
【0355】
<例2>
化合物(2):5−{4−[(4−{[4−(5−メタクリロイルオキシペンチル)フェニル]ジフルオロメトキシ}−3−メチルフェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンチルメタクリレート
2.1. 5−{4−[(4−{ジフルオロ−[4−(5−ヒドロキシペンチル)フェニル]メトキシ}−2−メチル−フェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンタン−1−オール
【0356】
【化106】

5−{4−[(4−{ジフルオロ−[4−(5−ヒドロキシペンタ−1−イニル)フェニル]メトキシ}−3−メチル−フェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンタ−4−イン−1−オールを、パラジウム/活性炭触媒上でTHF中において完全に水素化する。触媒を濾別し、濾液を真空中で蒸発させて、5−{4−[(4−{ジフルオロ−[4−(5−ヒドロキシペンチル)フェニル]メトキシ}−2−メチルフェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンタン−1−オール(それは、更なる反応のためには十分な純度である。)を得る。
【0357】
2.2. 5−{4−[(4−{[4−(5−メタクリロイルオキシペンチル)フェニル]ジフルオロメトキシ}−3−メチルフェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンチルメタクリレート
【0358】
【化107】

1.3.において記載されるものと類似の合成により、5−{4−[(4−{ジフルオロ−[4−(5−ヒドロキシペンチル)フェニル]メトキシ}−2−メチルフェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンタン−1−オールおよびメタクリロイルクロリドより出発して、5−{4−[(4−{[4−(5−メタクリロイルオキシペンチル)フェニル]ジフルオロメトキシ}−3−メチルフェノキシ)ジフルオロメチル]フェニル}ペンチルメタクリレートを、26℃の融点の無色の固体として得る。
【0359】
相挙動 Tg−56C26N(−11)I。
【0360】
<例3〜25>
本発明による以下の化合物を、例1および2に類似して調製する。
【0361】
【化108】

【0362】
【化109】

【0363】
【化110】

【0364】
【化111】

【0365】
【化112】

【0366】
【化113】

【0367】
【化114】

【0368】
<使用例>
以下のモノマーを使用する。
【0369】
【化115】

【0370】
以下の添加剤を使用する。
【0371】
【化116】

【0372】
以下のベース混合物(ホスト)H1を使用する。
【0373】
【表20】

本発明による重合性LC混合物M1(例5からの本発明によるモノマー(5)を含む。)および比較混合物C1〜C3(先行技術からのモノマーRM257を含む。)を、ベース混合物H1より、上述のモノマーおよび添加剤を混合して調製する。混合物の組成を表1に示す。
【0374】
【表21】

重合前に下に記載する通り、混合物の特性を解析する。次いで、ブルー相において一度照射(180秒)して反応性成分を重合し、結果として得られる媒体の特性を再解析する。
【0375】
<重合に関する記載>
サンプルを重合する前に、約10ミクロンの厚みおよび2×2.5cmの面積を有するテストセルにおいて媒体の相特性を決定する。毛細管現象によって75℃の温度で充填を行う。加熱ステージを備える偏光顕微鏡下において1℃/分の温度変化で測定を行う。
【0376】
約3.0mW/cmの有効出力を有するUVランプ(Dymax社、Bluewave 200、365nm干渉フィルター)で、180秒間の照射によって媒体の重合を行う。重合は、電気光学的テストセル内において直接行う。
【0377】
最初に、媒体がブルー相I(BP−I)内にある温度において重合を行う。複数の段階的工程において重合を行い、これにより徐々に重合が完了する結果となる。一般に、重合中にブルー相の温度範囲は変化する。従って、それぞれの段階的工程間において、媒体が引き続きブルー相内にあるように温度を適合させる。実際には、このことは、それぞれ約5秒以上の照射操作後に偏光顕微鏡下においてサンプルを観察することによって行うことができる。サンプルがより暗くなる場合、このことは、等方相への転移を示す。それに応じて、次の段階的工程のための温度を下げる。
【0378】
示される照射強度において最大の安定化の結果となる全照射時間は、典型的には180秒である。最適化された照射/温度プログラムに従って、更なる重合を行うことができる。
【0379】
あるいは、重合前に特に広いブルー相が既に存在している場合、1回の照射工程において重合を行うこともできる。
【0380】
<電気光学的特性の解析>
上記の重合およびブルー相の安定化後、ブルー相の相幅を決定する。引き続き、この範囲内、および、必要であればこの範囲外の種々の温度において、電気光学的特性の解析を行う。使用されるテストセルには、片側においてセル表面上に交差指電極が取り付けられている。セル間隙、電極間距離および電極幅は、典型的には、それぞれ10ミクロンである。下では、この均一な寸法を間隙幅で呼称する。電極で覆われている面積は約0.4cmである。テストセルは配向層を有していない。
【0381】
電気光学的特性を解析するために、交差偏光フィルターの間にセルを配置する。ここで、電極の長軸方向は、偏光フィルターの軸に対して45°の角度をとる。セル面に対して直角にてDMS301(Autronic−Melchers社)を使用して、または、偏光顕微鏡上の高感度カメラを用いて測定を行う。電圧を印加していない状態において、既述の配置は本質的に暗画像を与える(0%透過と定義)。
【0382】
テストセルにおいて最初に特性動作電圧、次いで応答時間を測定する。下記の通り、動作電圧は、交流信号(周波数100Hz)および可変な振幅を有する矩形電圧の形式でセル電極に印加される。
【0383】
動作電圧を増加しながら、透過率を測定する。透過率の最大値の到達をもって、動作電圧の特性量V100と定義する。同様に、最大透過率の10%において、特性電圧V10を定義する。これらの値は、ブルー相の範囲における種々の温度において測定される。
【0384】
ブルー相の温度範囲の上限および下限において、比較的高い特性動作電圧V100が観測される。最小動作電圧の領域においては、温度と共に、V100が一般に緩やかにのみ増加する。この温度範囲はTおよびTによって限定され、使用可能な平坦温度範囲(flat temperature range:FR)と呼ばれる。この「平坦範囲」(FR)の幅は(T−T)であり、平坦範囲幅(width of the flat range:WFR)として知られている。
【0385】
およびTの正確な値は、V100/温度図において、平坦曲線部分FRと、隣接する急峻曲線部分とにおける接線の交点によって決定される。
【0386】
測定の第2段階において、スイッチのオンおよびオフの際の応答時間(τon、τoff)を決定する。応答時間τonは、選択された温度においてV100のレベルにおける電圧を印加後に90%強度を達成する時間によって定義される。応答時間τoffは、電圧を0Vに低下後にV100における最大強度より出発して90%減少するまでの時間によって定義される。また、ブルー相の領域における種々の温度においても、応答時間を決定する。
【0387】
更なる特性解析として、FR内の温度において、0VおよびV100の間で動作電圧を連続的に増加および減少する際の透過率を測定する。2つの曲線の相違はヒステリシスとして既知である。0.5V100における透過率の相違および50%透過における電圧の相違は、例えば、特性ヒステリシス値であり、それぞれ、ΔT50およびΔV50として知られている。更に、最初にスイッチを入れる際および引き続いてスイッチを切る際のコントラストは、それぞれの最大および最小透過率の比として区別される。
【0388】
結果を表2にまとめる。
【0389】
【表22】

本発明によるモノマー(5)を使用して調製されるポリマー安定化媒体M1は、ポリマー安定化媒体C1およびC2と比較して、ヒステリシス(V50)の低減、および、ポリマー安定化媒体C1〜C3(先行技術からのモノマーRM257を使用して調製される。)と比較して、スイッチonのときの幾分低いコントラストおよびスイッチoffのときのコントラストの著しい増加を示す。特に、本発明による媒体M1におけるスイッチonのコントラストおよびスイッチoffのコントラストは互いに近く、それは、ブルー相の非常に良好な安定化を意味する。混合物C2に類似しているが、より少ないキラルドーパントを含む混合物C3の場合、スイッチonおよびoffのコントラストは、同様に非常に似ている。M1、C1およびC2と比較して、より低いコントラストは、従って、C3の場合に可視ブルー相が存在すると言う事実による。
【0390】
これより、特に、高濃度のキラルドーパントを有する媒体の場合、本発明によるモノマーはブルー相の安定化に特に適していることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブルー相を有するLCディスプレイにおける、または、PSまたはPSAタイプのLCディスプレイにおける、式Iの化合物の使用、または、式Iの1種類以上の化合物を重合して得ることができるポリマーの使用。
【化1】

(式中、個々の基は以下の意味を有する:
、Pは、それぞれ互いに独立に、重合性基を表し、
Sp、Spは、それぞれ互いに独立に、スペーサー基を表し、
s1、s2は、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、
、Qは、それぞれ互いに独立に、−CFO−または−OCF−を表し、
、A、Aは、それぞれ互いに独立に、以下の群より選択される基を表し:
a)トランス−1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレンおよび1,4’−ビシクロヘキシレンから成る群(ただし加えて、1個以上の隣接していないCH基は−O−および/または−S−で置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はFで置き換えられていてもよい)、
b)1,4−フェニレンおよび1,3−フェニレンから成る群(ただし加えて、1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はLで置き換えられていてもよい)、
c)テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、テトラヒドロフラン−2,5−ジイル、シクロブタ−1,3−ジイル、ピペリジン−1,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイルおよびセレノフェン−2,5−ジイルから成る群(加えて、それぞれの基はLにより一置換または多置換されていてもよい)、
d)飽和、部分的に不飽和または完全に不飽和で、置換されていてもよく、5〜20個の環式C原子(1つ以上はヘテロ原子で置き換えられていてもよい。)を有する多環式基から成る群であって、好ましくは、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、
【化2】

からなる群(ただし加えて、これらの基における1個以上のH原子はLで置き換えられていてもよく、および/または、1個以上の二重結合は単結合で置き換えられていてもよく、および/または、1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよい)より選択される群、
Lは、それぞれの出現において同一または異なって、F、Cl、CN、SCN、SF、または、直鎖状または分岐状で、それぞれの場合でフッ素化されていてもよく、1〜12個のC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、
、R00は、それぞれ互いに独立に、H、F、または、直鎖状または分岐状で1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、ただし加えて、1個以上のH原子はFで置き換えられていても良く、
Mは、−O−、−S−、−CH−、−CHY−または−CY−を表し、
およびYは、それぞれ互いに独立に、Rに対して上で示される意味の1つを有するか、または、ClまたはCNを表し、好ましくは、H、F、Cl、CN、OCFまたはCFを表す。)
【請求項2】
請求項1に記載の式Iの1種類以上の化合物と、任意成分として追加的に1種類以上の重合性化合物および/または1種類以上の液晶化合物とを含むか、または、請求項1に記載の式Iの1種類以上の化合物を重合して得ることができるポリマーを含む液晶(LC:liquid−crystal)媒体。
【請求項3】
−請求項1に記載の式Iの1種類以上の化合物を含む重合性成分Aと、
−式IIの1種類以上の化合物を含む液晶成分Bと、
−任意成分として、式IIIの1種類以上の化合物を含む液晶成分Cと、および
−1種類以上の光学活性および/またはキラル化合物を含む成分Dと
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のLC媒体。
【化3】

(式中、個々の基は以下の意味を有する:
22は、H、F、Cl、CN、NCS、SF、SOCF、または、1〜20個のC原子を有する直鎖状または分岐状のアルキルを表し、該基は無置換であるか、F、ClまたはCNで一置換または多置換されており、ただし加えて、また、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−NH−、−NR01−、−SiR0102−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−S−CO−、−CO−S−、−CY01=CY02−または−C≡C−で置き換えられていてもよく、
01、Y02は、それぞれ互いに独立に、F、ClまたはCNを表し、また、基Y01およびY02の一方はHも表し、
01、R02は、それぞれ互いに独立に、Hまたは1〜12個のC原子を有するアルキルを表し、
21、A22、A23は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一または異なって、
【化4】


を表し、
21、Z22は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一または異なって、単結合、−(CH−、−CHCH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−を表し、
22は、F、Cl、−CN、−NCS、−SF、−SOCF、または、1〜3個のC原子を有するアルキル、アルケニル、アルケニルオキシ、アルキルアルコキシまたはアルコキシを表し、該基は、F、ClまたはCNで一置換または多置換されており、
21、L22は、それぞれ互いに独立に、HまたはFを表し、
mは、0、1または2を表し、
nは、0、1、2または3を表し、
oは、0、1または2を表し、ただし、
m+n+oは、0、1、2または3、好ましくは、0、1または2を表す。)
【化5】

(式中、
a、b、c、dは、それぞれ互いに独立に、0、1または2を表し、ただし、
a+b+c+dは、0、1、2、3または4であり、
31、A32、A33、A34は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一または異なって、
【化6】

を表し、
31、Z32、Z33、Z34は、それぞれ互いに独立に、それぞれの出現において同一または異なって、単結合、−(CH)−、−CHCH−、−CF−CF−、−CF−CH−、−CH−CF−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−(CHO−、−O(CH−、−CH=CF−、−C≡C−、−CHO−、−OCH−、−CFO−、−OCF−、−CO−O−または−O−CO−を表し、
33は、1〜15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ(該基は無置換であるか、F、ClまたはCNで一置換または多置換されており、ただし加えて、また、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−で置き換えられていてもよい。)、好ましくは、直鎖状で10個までのC原子を有するアルキル、アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたは−O−アルキレン−O−基(該基は無置換であるか、または、FまたはClで一置換または多置換されている。)を表し、
31、L32、L33、L34は、それぞれ互いに独立に、H、F、Cl、CN、または、1〜15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシを表し、該基は無置換であるか、または、F、ClまたはCNで一置換または多置換されており、ただし加えて、また、1個以上の隣接していないCH基は、それぞれ互いに独立に、Oおよび/またはS原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、−SiR−、−CH=CH−、−C≡C−、−CO−O−および/または−O−CO−で置き換えられていてもよく、ただし、基L31、L32、L33およびL34の少なくとも1つは、H以外であることを条件とし、
33は、F、Cl、CF、OCF、CN、NCS、−SFまたは−SO−Rを表し、
およびRは、それぞれ互いに独立に、H、1〜7個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ、好ましくは、メチル、エチル、プロピルまたはブチルを表し、および
は、1〜7個のC原子を有するアルキル(該基は無置換であるか、または、FまたはClで一置換または多置換されている。)、好ましくは、CF、Cまたはn−Cを表す。)
【請求項4】
式Z、Q1およびQ2より選択される1種類以上の化合物を追加的に含むことを特徴とする請求項3に記載のLC媒体。
【化7】

(式中、Rは、式IIにおいてR22に示される意味の1つを有し、
【化8】

は、F、Cl、CN、NCS、OCF、CFまたはSFを表し、
は、式IIにおいてR22に示される意味の1つを有し、
は、式ZにおいてXに示される意味の1つを有し、
は、HまたはFを表し、
(F)はFまたはHを表し、および
nおよびmは、それぞれ互いに独立に、0または1を表す。)
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか一項に記載のLC媒体を調製する方法であって、
1種類以上の液晶化合物を、請求項1に記載の式Iの1種類以上の化合物と、任意成分として、更なる液晶化合物および/または添加剤と混合する方法。
【請求項6】
請求項1に記載の式Iの1種類以上の化合物を含有するか、または、請求項2〜4のいずれか一項に記載のLC媒体を含有するLCディスプレイ。
【請求項7】
PSまたはPSAディスプレイ、ブルー相を有するディスプレイ、PSA−VA、PSA−OCB、PSA−IPS、PSA−FFSまたはPSA−TNディスプレイであることを特徴とする請求項6に記載のLCディスプレイ。
【請求項8】
2枚の基板および2つの電極(ただし、少なくとも一方の基板は光に対して透明であり、少なくとも一方の基板は1つまたは2つの電極を有する。)と、基板間に配置され、重合された成分および低分子量成分を含むLC媒体層(ただし、重合された成分は、1種類以上の重合性化合物を、LCセルの基板間においてLC媒体中で、好ましくは、電極に電圧を印加しながら重合することで得ることができ、少なくとも1種類の重合性化合物は請求項1に記載の式Iの化合物であることを特徴とする。)とを有するLCセルを含む請求項6または7に記載のLCディスプレイ。
【請求項9】
請求項8に記載のLCディスプレイを製造する方法であって、
請求項2〜4のいずれか一項に記載のLC媒体を請求項8に記載の2枚の基板および2つの電極を有するLCセル中に導入し、任意に電極に電圧を印加しながら、重合性化合物を重合する方法。
【請求項10】
式Iの化合物。
【化9】

(式中、P、P、Sp、Sp、Q、Q、s1、s2、A、AおよびAは、請求項1において示される意味を有し、式中、基A、AおよびAの1つ以上は、
1,3−フェニレン(ただし加えて、1個または2個のCH基はNで置き換えられていてもよく、ただし加えて、1個以上のH原子はLで置き換えられていてもよい。)から成る群b1)、または
飽和、部分不飽和または完全不飽和で、置換されていてもよく、5〜20個の環式C原子を有する多環式基(また、1個以上の該基はヘテロ原子で置き換えられていてもよい。)から成る群d)から成る群より選択され、
好ましくは、1個以上の基A、AおよびAは、1,3−フェニレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタン−1,3−ジイル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイル、スピロ[3.3]ヘプタン−2,6−ジイル、
【化10】

から成る群より選択され、
ただし加えて、これらの基における1個以上のH原子はLで置き換えられていてもよく、および/または、1個以上の二重結合は単結合で置き換えられていてもよく、および/または、1個以上のCH基はNで置き換えられていてもよく、L、R、R00、M、YおよびYは、請求項1において示される意味を有する。)
【請求項11】
式IAの化合物。
【化11】

(式中、Q、Q、A、A、A、Sp、Sp、s1およびs2は請求項1または10において示される意味を有し、GおよびG’は、それぞれ互いに独立に、H原子または保護基を表す。)
【請求項12】
請求項10に記載の式Iの1種類以上の化合物を含むLC媒体またはLCディスプレイ。

【公開番号】特開2011−232753(P2011−232753A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97696(P2011−97696)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】