説明

重畳回路

【課題】外付け部品点数を増加させずに、レーザーダイオード制御用の高周波重畳回路における重畳周波数及びその高調波成分の不要輻射を低減させること。
【解決手段】重畳出力信号の振幅を設定するためバイアス信号を生成するバイアス回路(4)と、重畳出力信号の周波数を設定するための発振信号を生成する発振器(3)と、このバイアス信号及び発振信号に基づき重畳出力信号を出力する出力回路(1)とを備える重畳回路において、出力回路は、出力回路の電源に接続される第1のキャパシタ(5)、第2のキャパシタ(6)、第3のキャパシタ(7a、7b)、第1のローパスフィルタ(8)、及び第2のローパスフィルタ(9)の少なくともいずれかを備えることで、電源電流の変化を抑制し、不要輻射を低減させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスクドライブ等に用いられるレーザーダイオードを制御する高周波重畳回路に関する。
【背景技術】
【0002】
光ディスクドライブ等に用いられるレーザーダイオードが出力するレーザーには、シングルモードとマルチモードがある。しかし、シングルモードでは、マルチモードに比べてモードホッピング雑音や、戻り光雑音が大きいという欠点があるため、マルチモードで動作させることが望ましい。
レーザーダイオードは、レーザーの出力直後はマルチモードで動作しており、その後、数nsec(ナノ秒)といった時間でシングルモードへと移行する。そこで、レーザーダイオードをマルチモードで動作させ続けるために、数百MHzという周波数でレーザーダイオード出力のオン、オフを繰り返させるということを行っており、そのために高周波重畳回路(以下、単に「重畳回路」ともいう)による制御が必要となる。
【0003】
図8は、従来の重畳回路の構成図である。図8に示される重畳回路は、ロジック回路2を含む出力回路1と、発振器3と、重畳振幅設定バイアス回路4とによって構成されている。出力回路1からの出力信号は、ハイパスフィルタ(HPF)10を介して、レーザーダイオードに印加される。
また、重畳による出力変動によってレーザーダイオードの発光閾値を越えるように、重畳振幅設定バイアス回路4によって重畳振幅が設定される。また、マルチモードが維持されるように、発振器3によって重畳周波数が設定される。
【0004】
この重畳回路では、まず、重畳振幅設定バイアス回路4から出力される電流が、MOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタQ1a、Q1bに流れる。そして、この電流を増幅した電流が、MOSトランジスタQ2a、Q2bに流れることになる。これにより、重畳振幅が設定される。
また、発振器3で生成される発振信号は、ロジック回路2を介して出力され、重畳回路の出力段であるMOSトランジスタQ2a、Q2bのオン、オフを制御する。具体的には、ロジック回路2から出力される発振信号により、スイッチSW2aがオンであり、スイッチSW3aがオフであるとき、MOSトランジスタQ2aはオンとなる。同時に、スイッチSW2bがオフであり、スイッチSW3bがオンであるとき、MOSトランジスタQ2aはオフとなる。
【0005】
また、ロジック回路2から出力される発振信号により、スイッチSW2aがオフであり、スイッチSW3aがオンであるとき、MOSトランジスタQ2aはオフとなる。同時に、スイッチSW2bがオンであり、スイッチSW3bがオフであるとき、MOSトランジスタQ2aはオンとなる。
尚、電流のミラー元になる側にあるスイッチSW1a、SW1bは、ロジック回路2で制御しているのではなく、常にオンしている。これらスイッチが挟まれている理由はミラー精度を保つためである。各スイッチがオン抵抗のない理想回路であればスイッチSW1a、SW1bはなくても良いことになる。
【0006】
このように、MOSトランジスタQ2aとQ2bは、常にどちらか一方のみがオンとなるように制御され、それが交互に切り替わり、出力回路1の出力端への電流の放出と吸入を繰り返すことで、図8の重畳回路は高周波の重畳信号を出力する。
ここで、MOSトランジスタQ2a、Q2bでの貫通電流の発生を防ぐため、これらが同時にオンとなることがないようにロジック回路2で切り替えのタイミングが制御されている。
【0007】
しかし、重畳周波数は数百MHz以上であり、そのような高周波は不要輻射を発生させやすい。また、基本波のn倍(n≧2の整数)の高調波も発生する。このため、不要輻射を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−346874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のような手法により不要輻射を抑制することは可能であるが、不要輻射の影響を十分に抑えるためには、外付けのフィルタやバイパスコンデンサ等が必要となる。一方で、コスト削減のためには、外付けの部品点数の削減が求められる。よって、不要輻射を低減するために、フィルタ等を外付けとするのではなく、より効果的な箇所にフィルタやバイパスコンデンサを設けることにより、不要輻射に対する対策を施すことが求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、外付け部品点数を増加させずに、不要輻射を低減することを可能とする重畳回路の提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題を解決するために、本発明の一態様によれば、重畳出力信号の振幅を設定するためバイアス信号を生成するバイアス回路と、前記重畳出力信号の周波数を設定するための発振信号を生成する発振器と、前記バイアス信号及び前記発振信号に基づき前記重畳出力信号を出力する出力回路と、を備え、前記出力回路は、前記出力回路の電源に接続されるキャパシタを有することを特徴とするレーザーダイオード制御用の高周波重畳回路が提供される。
【0011】
この構成によれば、電源電流の変化を抑制することで、不要輻射の発生を抑えることが可能である。
また、本発明の他の態様によれば、重畳出力信号の振幅を設定するためバイアス信号を生成するバイアス回路と、前記重畳出力信号の周波数を設定するための発振信号を生成する発振器と、前記バイアス信号及び前記発振信号に基づき前記重畳出力信号を出力する出力回路と、を備え、前記出力回路は、出力トランジスタと、前記出力トランジスタを駆動するための駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタを制御する制御回路と、を有し、さらに、前記出力トランジスタを駆動する前記駆動トランジスタからの信号ライン、前記駆動トランジスタを流れる電流の電流ライン、前記駆動トランジスタを制御する前記制御回路からの制御ライン、の少なくとも1つに接続されるキャパシタをさらに有することを特徴とするレーザーダイオード制御用の高周波重畳回路が提供される。
【0012】
この構成によれば、重畳電流の急峻な変化を抑えることで、不要輻射を低減することが可能である。
また、本発明の他の態様によれば、前記キャパシタは、前記電流ラインと前記制御ラインとの間に接続されていてもよい。
この構成によれば、重畳電流の急峻な変化を抑えることで、不要輻射を低減することが可能である。
【0013】
また、本発明の他の態様によれば、レーザーダイオード制御用の高周波重畳回路は、前記制御回路の電源端子と電源との間にローパスフィルタを有していてもよい。
この構成によれば、デジタル信号の遷移により発生する急峻な電流変化は不要輻射の原因となりうるが、ローパスフィルタにより電源雑音の抑制、及び出力回路への伝播を防ぐことで、不要輻射を低減させることが可能である。
【0014】
また、本発明の他の態様によれば、重畳出力信号の振幅を設定するためバイアス信号を生成するバイアス回路と、前記重畳出力信号の周波数を設定するための発振信号を生成する発振器と、前記バイアス信号及び前記発振信号に基づき前記重畳出力信号を出力する出力回路と、を備え、前記発振器は、2値化回路を含み、前記2値化回路の電源端子と電源との間にローパスフィルタを有することを特徴とするレーザーダイオード制御用の高周波重畳回路が提供される。
【0015】
この構成によれば、不要輻射を大幅に低減させることが可能である。
また、本発明の他の態様によれば、重畳出力信号の振幅を設定するためバイアス信号を生成するバイアス回路と、前記重畳出力信号の周波数を設定するための発振信号を生成する発振器と、前記バイアス信号及び前記発振信号に基づき前記重畳出力信号を出力する出力回路と、を備え、前記出力回路は、前記出力回路の出力端子に接続されるキャパシタを有することを特徴とするレーザーダイオード制御用の高周波重畳回路が提供される。
【0016】
この構成によれば、重畳回路の出力端の揺れを抑えるとともに、重畳回路を用いたレーザーダイオードドライバでDC電流出力回路が出力する大電流のDC電流の重畳周波数及びその高調波での変動を防ぐことで、不要輻射を低減することが可能である。
また、本発明の他の態様によれば、レーザーダイオード制御用の高周波重畳回路は、前記出力回路の後段にハイパスフィルタをさらに備え、前記キャパシタは、前記出力回路の出力端子と前記ハイパスフィルタとの接続点に接続されていてもよい。
この構成によれば、重畳回路の出力端の揺れを抑えるとともに、重畳回路を用いたレーザーダイオードドライバでDC電流出力回路が出力する大電流のDC電流の重畳周波数及びその高調波での変動を防ぐことで、不要輻射を低減することが可能である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一態様によれば、重畳回路において不要輻射の原因となりうる箇所に、キャパシタやフィルタを設ける対策を施すことで、外付け部品点数を増加させることなく、電流の急峻な変化を抑制し、不要輻射を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る高周波重畳回路の構成の一例を示す回路図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る高周波重畳回路の構成の一例を示す回路図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る高周波重畳回路を用いたレーザーダイオードドライバの構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る高周波重畳回路の構成の一例を示す回路図である。
【図5】本発明の第4実施形態に係る高周波重畳回路の構成の一例を示す回路図である。
【図6】本発明の第5実施形態に係る高周波重畳回路の構成の一例を示す回路図である。
【図7】本発明の第6実施形態に係る高周波重畳回路の構成の一例を示す回路図である。
【図8】従来の高周波重畳回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下の説明において参照する各図では、他の図と同等部分は同一符号によって示す。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る重畳回路の構成の一例を示す図である。図1に示される重畳回路は、ロジック回路2を含む出力回路1と、発振器3と、重畳振幅設定バイアス回路4とを基本構成とする。これらの構成及び動作は、図8に示される重畳回路の構成及び動作と同様である。本実施形態の重畳回路においては、これらの基本構成に加えて、出力回路1が、出力回路の電源とグランドとの間に接続されるキャパシタ5を備えている点が特徴である。
【0020】
出力回路1は、ロジック回路2と、4つのp型MOSトランジスタQ1a、Q2a、Q3a、Q4aと、4つのn型MOSトランジスタQ1b、Q2b、Q3b、Q4bと、スイッチSW1a、SW2a、SW3a、SW1b、SW2b、SW3bと、定電流源13a、13b、14a、14bと、キャパシタ5と、を含んで構成される。
ロジック回路2は、スイッチSW2a、SW2b、SW3a、SW3bのオン、オフを制御する回路である。
【0021】
スイッチSW1a、SW2aは、それぞれ、トランジスタQ3a、Q4aのドレインと、グランドとの間の接続を切り替えるスイッチである。また、スイッチSW1b、SW2bは、それぞれ、電源LVDDと、トランジスタQ3b、Q4bのドレインとの間の接続を切り替えるスイッチである。
重畳振幅設定バイアス回路4の二つの出力端子は、トランジスタQ1a(又はQ1b)のドレイン、トランジスタQ3a(又はQ3b)のゲート、及びQ4a(又はQ4b)のゲートにそれぞれ接続されている。
【0022】
ロジック回路2は、常にオンとなるスイッチSW1a、SW1bを除いた各スイッチを制御する回路である。本実施形態において、ロジック回路2は、スイッチSW2aがオンの時にはスイッチSW3aがオフとなり、これと同時に、スイッチSW2bはオフ、スイッチSW3bはオン、となるように制御する。
この時、電源LVDDからの出力電流は、トランジスタQ1a及びQ2aのソース、定電流源13a及び14aに流れる。また、定電流源13aからの電流は、トランジスタQ3aのソースに流れ、そのトランジスタQ3aのソース電圧がトランジスタQ1aのゲートに印加される。同様に、定電流源14aからの電流は、トランジスタQ4aのソースに流れ、そのトランジスタQ4aのソース電圧がトランジスタQ2aのゲートに印加される。スイッチSW2aがオンとなるタイミングでは、重畳振幅設定バイアス回路4によって決まるトランジスタQ4aのソース電圧がトランジスタQ2aのゲートに印加され、その印加電圧に応じた電流が流れるようにトランジスタQ2aはONとなる。なお、この時、スイッチSW3bがオンとなっているため、トランジスタQ2bはOFFとなる。
【0023】
また、別のタイミングにおいて、ロジック回路2は、スイッチSW2aがオフの時にはスイッチSW3aがオンとなり、同時に、スイッチSW2bがオンの時にはスイッチSW3bがオフとなるように制御する。
この時、電源LVDDからの出力電流は、トランジスタQ3bのドレイン及びトランジスタQ4bのドレインに流れ、トランジスタQ4bのソース電圧がトランジスタQ2bのゲートに印加され、その印加電圧に応じた電流が流れるようにトランジスタQ2bがONとなる。なお、この時、スイッチSW3aがオンとなっているため、トランジスタQ2aはOFFとなる。
【0024】
このように、MOSトランジスタQ2aとQ2bは、常にどちらか一方のみがオンとなり、かつ、重畳振幅設定バイアス回路4により制御された値の電流が流れるように制御され、それが交互に切り替わり、出力回路1の出力端への電流の放出と吸入を繰り返すことで、図1の重畳回路は高周波の重畳信号を出力する。
また、キャパシタ5は、その一方の端子が、他の素子を介さずに直接電源LVDDに接続され、他方の端子がグランドに他の素子を介さずに直接接続されている。
【0025】
ここで、出力回路1は比較的大きな電流を出力し、また、重畳周波数によりその出力量も変化する。そのため、出力回路1の電源は重畳周波数及びその高調波で揺れやすく、不要輻射の原因になりうる。そこで、本実施形態の重畳回路は、キャパシタ5を備えることで電源の揺れを低減し、不要輻射の発生を抑えることが可能である。
すなわち、キャパシタ5は、上記のように電源LVDDとグランドとの間に直接接続されている。つまり、キャパシタ5は、出力回路1の他の回路全体と並列関係にあるため、出力回路1の電源が重畳周波数及びその高調波で揺れたとして、その電圧の揺れが直接キャパシタ5に印加される。
【0026】
よって、キャパシタ5の容量を、シミュレーション等で予め求めることができる不要輻射の大きさに応じて適切な大きさに設定することで、不要輻射自体が出力回路1の出力に与える影響を小さくすることができる。なお、キャパシタ5の容量は、一般的な光ディスクドライブのレーザーダイオード制御用の高調波重畳回路であれば、40pF程度となる。
【0027】
(第2実施形態)
図2は、本実施形態に係る重畳回路の構成の一例を示す図である。図2に示される重畳回路は、ロジック回路2を含む出力回路1と、発振器3と、重畳振幅設定バイアス回路4とを含む基本構成に加えて、出力回路1の出力端とグランドとの間に接続されたキャパシタ6を備える点が特徴である。
キャパシタ6は、より具体的には、その一方の端子が、他の素子を介さずに直接トランジスタQ2aのドレイン及びQ2bのドレインに接続され、他方の端子がグランドに他の素子を介さずに直接接続されている。
また、図3は、本実施形態に係る重畳回路を用いたレーザーダイオードドライバの構成の一例を示す図である。図3に示されるレーザーダイオードドライバは、本実施形態の重畳回路11と、DC電流出力回路12と、レーザーダイオード13とを含んで構成される。
【0028】
図3に示されるように、本実施形態の重畳回路11の出力端は、DC電流出力回路12の出力端と同じノードに繋がっていることで、高周波を重畳している。
ここで、DC電流出力回路12の出力段は、通常100mA以上を出力可能な大きなMOSトランジスタで構成される。よって、チャネル長変調効果も大きく、重畳回路11の出力端と、DC電流出力回路12の出力端とが接続されているノードが揺れることで、大電流であるDC電流が変動してしまう。
【0029】
そこで、本実施形態の重畳回路では、キャパシタ6を設けることで、重畳出力端の揺れを抑えるとともに、大電流であるDC電流の重畳周波数及びその高調波での変動を防ぐことで、不要輻射を低減することができる。
すなわち、キャパシタ6は、上記のように出力回路1の出力端とグランドとの間に直接接続されている。つまり、出力回路1の電源が重畳周波数及びその高調波で揺れる際に、その電圧の揺れが出力回路1の出力端においてキャパシタ6に印加される。
【0030】
よって、キャパシタ6の容量を、シミュレーション等で予め求めることができる不要輻射の大きさに応じて適切な大きさに設定することで、不要輻射自体が出力回路1の出力に与える影響を小さくすることができる。なお、キャパシタ6の容量は、一般的な光ディスクドライブのレーザーダイオード制御用の高調波重畳回路であれば、10pF程度となる。
なお、図2の重畳回路においてキャパシタ6は、HPF10の前と後ろのいずれにも設けることができるが、HPF10の前に置くことで、ノイズの根元である重畳出力段での揺れも抑えることができるため、より好適である。
【0031】
(第3実施形態)
図4は、本実施形態に係る重畳回路の構成の一例を示す図である。図4に示される重畳回路は、ロジック回路2を含む出力回路1と、発振器3と、重畳振幅設定バイアス回路4とを含む基本構成に加えて、キャパシタ7a及び7bを備える点が特徴である。
キャパシタ7a及び7bは、出力回路1の出力のオン、オフを制御する信号線と、出力MOSトランジスタQ2a、Q2bをそれぞれ駆動するMOSトランジスタQ4a、Q4bのドレインとの間に接続されている。より具体的には、キャパシタ7aは、その一方の端子が、トランジスタQ4aのドレインとスイッチSW2aとの間に接続され、他方の端子がロジック回路2からスイッチSW3aへの制御線に接続されている。また、キャパシタ7bは、その一方の端子が、トランジスタQ4bのドレインとスイッチSW2bとの間に接続され、他方の端子がロジック回路2からスイッチSW3bへの制御線に接続されている。
【0032】
電流源14a、14bからの電流が流れるラインは、それぞれ、出力MOSトランジスタQ2a、Q2bを駆動させるラインである。このラインと、ロジック回路2の出力である出力MOSトランジスタQ2a、Q2bのオン、オフを制御する信号線とに負荷を与えることで、重畳出力の遷移を鈍らせる。これにより、重畳電流の急峻な変化を抑え、重畳周波数の高調波の不要輻射を低減することが可能となる。
【0033】
キャパシタ7a、7bの容量を、シミュレーション等で予め求めることができる不要輻射の大きさに応じて適切な大きさに設定することで、不要輻射自体が出力回路1の出力に与える影響を小さくすることができる。なお、キャパシタ7a、7bの容量は、一般的な光ディスクドライブのレーザーダイオード制御用の高調波重畳回路であれば、100fF程度となる。
【0034】
なお、負荷の与え方としては、出力MOSトランジスタQ2a、Q2bのゲート、ロジック回路2の出力ノード、MOSトランジスタQ4a、Q4bのドレインに対して、グランドとの間にキャパシタを接続するという方法でもよい。また、図4のキャパシタ7a、7bのように接続すると、1つのキャパシタにより2つのノードに負荷を与えることができるので、より好適である。
【0035】
(第4実施形態)
図5は、本実施形態に係る重畳回路の構成の一例を示す図である。図5に示される重畳回路は、ロジック回路2を含む出力回路1と、発振器3と、重畳振幅設定バイアス回路4とを含む基本構成に加えて、電源LVDDとロジック回路2との間に他の素子を介さずに接続されるローパスフィルタ(LPF)8を備える点が特徴である。
ロジック回路2では信号をデジタル化しているため、その電流変化は急峻であると考えられる。LPF8を設けることにより、信号の遷移によって発生する電源雑音の抑制、及び重畳回路への伝播を防ぐことで、不要輻射を低減することができる。
【0036】
(第5実施形態)
図6は、本実施形態に係る重畳回路の構成の一例を示す図である。図6に示される重畳回路は、ロジック回路2を含む出力回路1と、発振器3と、重畳振幅設定バイアス回路4とを含む基本構成に、ローパスフィルタ(LPF)9を備える点が特徴である。また、本実施形態において、発振器3は、発振回路3aと、二値化回路3bとを備えている。
LPF9は、二値化回路3bの電源AVDDと、二値化回路3bとの間に、他の素子を介さずに接続されている。
発振器3では、発振回路3aは、例えばVCOやリングオシレータであり、ここで生成されたアナログ信号を二値化回路3bでデジタル化する。ここで、デジタル信号の遷移は急峻な電流変化を起こし、不要輻射の原因になると考えられるが、LPF9により、信号の遷移によって発生する電源雑音の抑制、及び重畳回路への伝播を防ぐことで、不要輻射を低減することができる。
【0037】
(第6実施形態)
図7は、本実施形態に係る重畳回路の構成の一例を示す図である。図7に示される重畳回路は、ロジック回路2を含む出力回路1と、発振器3と、重畳振幅設定バイアス回路4とを含む基本構成に、第1実施形態〜第5実施形態において説明した構成を全て加えたものである。つまり、基本構成に加えて、キャパシタ5、キャパシタ6、キャパシタ7a、7b、LPF8、LPF9を備える。また、発振器3は、発振回路3aと二値化回路3bとを備える。
【0038】
図7に示されるように、重畳回路は、第1実施形態〜第5実施形態において説明した構成を全て同時に備えることが可能である。これにより、不要輻射を大幅に低減させることが可能である。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の範囲は、図示され記載された例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明が目的とするものと均等な効果をもたらす全ての実施形態をも含む。さらに、本発明の範囲は、すべての開示されたそれぞれの特徴のうち特定の特徴のあらゆる所望する組み合わせによって画されうる。
【符号の説明】
【0039】
1 出力回路
2 ロジック回路
3 発振器
3a 発振回路
3b 二値化回路
4 重畳振幅設定バイアス回路
5 キャパシタ
6 キャパシタ
7a、7b キャパシタ
8 ローパスフィルタ(LPF)
9 ローパスフィルタ(LPF)
10 ハイパスフィルタ(HPF)
11 重畳回路
12 電流出力回路
13 レーザーダイオード
13a、13b、14a、14b 定電流源
AVDD、LVDD 電源
Q1a、Q2a、Q3a、Q4a p型MOSトランジスタ
Q1b、Q2b、Q3b、Q4b n型MOSトランジスタ
SW1a、SW1b、SW2a、SW2b、SW3a、SW3b スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重畳出力信号の振幅を設定するためバイアス信号を生成するバイアス回路と、
前記重畳出力信号の周波数を設定するための発振信号を生成する発振器と、
前記バイアス信号及び前記発振信号に基づき前記重畳出力信号を出力する出力回路と、を備え、
前記出力回路は、前記出力回路の電源に接続されるキャパシタを有することを特徴とするレーザーダイオード制御用の高周波重畳回路。
【請求項2】
重畳出力信号の振幅を設定するためバイアス信号を生成するバイアス回路と、
前記重畳出力信号の周波数を設定するための発振信号を生成する発振器と、
前記バイアス信号及び前記発振信号に基づき前記重畳出力信号を出力する出力回路と、を備え、
前記出力回路は、出力トランジスタと、前記出力トランジスタを駆動するための駆動トランジスタと、前記駆動トランジスタを制御する制御回路と、を有し、さらに、
前記出力トランジスタを駆動する前記駆動トランジスタからの信号ライン、前記駆動トランジスタを流れる電流の電流ライン、前記駆動トランジスタを制御する前記制御回路からの制御ライン、の少なくとも1つに接続されるキャパシタをさらに有することを特徴とするレーザーダイオード制御用の高周波重畳回路。
【請求項3】
前記キャパシタは、前記電流ラインと前記制御ラインとの間に接続されることを特徴とする請求項2に記載のレーザーダイオード制御用の高周波重畳回路。
【請求項4】
前記制御回路の電源端子と電源との間にローパスフィルタを有することを特徴とする請求項2に記載のレーザーダイオード制御用の高周波重畳回路。
【請求項5】
重畳出力信号の振幅を設定するためバイアス信号を生成するバイアス回路と、
前記重畳出力信号の周波数を設定するための発振信号を生成する発振器と、
前記バイアス信号及び前記発振信号に基づき前記重畳出力信号を出力する出力回路と、を備え、
前記発振器は、2値化回路を含み、前記2値化回路の電源端子と電源との間にローパスフィルタを有することを特徴とするレーザーダイオード制御用の高周波重畳回路。
【請求項6】
重畳出力信号の振幅を設定するためバイアス信号を生成するバイアス回路と、
前記重畳出力信号の周波数を設定するための発振信号を生成する発振器と、
前記バイアス信号及び前記発振信号に基づき前記重畳出力信号を出力する出力回路と、を備え、
前記出力回路は、前記出力回路の出力端子に接続されるキャパシタを有することを特徴とするレーザーダイオード制御用の高周波重畳回路。
【請求項7】
前記出力回路の後段にハイパスフィルタをさらに備え、
前記キャパシタは、前記出力回路の出力端子と前記ハイパスフィルタとの接続点に接続されることを特徴とする請求項6に記載のレーザーダイオード制御用の高周波重畳回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−80541(P2013−80541A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220136(P2011−220136)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(303046277)旭化成エレクトロニクス株式会社 (840)
【Fターム(参考)】