説明

金及び還元可能な酸化物ベースの組成物、それらの製造方法及び、特に一酸化炭素酸化のための、触媒形態での利用方法

この発明は、還元可能な酸化物ベースの支持体上の金ベースの組成物であって、ハロゲン/金モル比に関して、ハロゲン含量が0.05以下であり、金が、10nm以下のサイズの粒子形態で含まれ、組成物が還元処理に曝されることを特徴とする当該組成物に関係する。該組成物は、還元可能な酸化物ベースの化合物を金ハリドベースの化合物と接触させ、それにより、その懸濁液を形成し、こうして得られた媒質のpHを少なくとも8に固定し、その後、固体を反応媒質から分離して、該固体を塩基性溶液で洗浄することにある方法によって得ることができる。該方法は又、洗浄の前又はその後に行なう還元処理をも含む。この発明の組成物は、煙草の煙及び空気の処理のために、一酸化炭素酸化方法における触媒の形態で用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金及び還元可能な酸化物ベースの組成物、その製造方法及び触媒としての特に一酸化炭素の酸化のための触媒としての利用方法に関係する。
【背景技術】
【0002】
金ベースの触媒は、既に存在しており、特に、COの酸化方法において用いられている。その上、これらの酸化方法の幾つかは、比較的低温で例えば250℃より低温で、特に水性ガスシフト反応において行なわれる。COを周囲温度で例えば空気処理プロセスにおいて及び/又は種々の条件下例えば非常に高い空間速度(HSV)で酸化する試みが為されてきた(例えば、煙草の煙の処理の場合など)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
今日、入手可能で、経済的観点から使用できる触媒は、この要求を満たす十分な性能を提供していない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
低温及び/又は高HSVで効果的な触媒を提供することは、この発明の目的である。
【0005】
この目的のために、この発明の組成物は、少なくとも一種の還元可能な酸化物ベースの支持体上の金に基づき、唯一の還元可能な酸化物が酸化セリウム、酸化ジルコニウムと組み合わせた酸化セリウム、酸化プラセオジムと組み合わせた酸化セリウム、二酸化チタン又は酸化第一錫と組み合わせた酸化セリウム(Ti/Ce又はSn/Ce原子比50%未満)である支持体を有する組成物を除外して、ハロゲン/金モル比により表されるハロゲン含量が、0.05以下であること、金が、10nm以下のサイズの粒子の形態で存在すること、及び還元処理を受けたことを特徴とする。
【0006】
この発明は又、第一の具体例において、次のステップを含むことを特徴とするこの組成物の製造方法にも関係する:
− 少なくとも一種の還元可能な酸化物ベースの化合物を金ハリドベースの化合物と接触させて、これらの化合物の懸濁液を生成し、そうして形成された媒質のpHを8以上の値に固定し;
− 固体を、該反応媒質から分離し;
− 該固体を、塩基性溶液で洗浄する;
この方法は、更に、前記の洗浄ステップの前又は後に還元処理を含む。
【0007】
この発明は又、下記の工程を含むことを特徴とする第二の具体例による方法にも関係する:
− 金を、含浸又はイオン交換により、少なくとも一種の還元可能な酸化物ベースの化合物上に付着させ;
− 先行する工程から生じた固体を少なくとも10のpHを有する塩基性溶液で洗う;
この方法は、更に、前述の洗浄工程の前又は後に還元処理を包含する。
【0008】
この発明のこれらの組成物は、低温、高HSVで効果的であり、低い金含有量でも効果的である。
【0009】
この発明の他の特徴、詳細及び利点は、下記の記載及び発明を例証するために与えた様々な具体的な非制限的例を読むことにより更に一層完全になろう。
【0010】
この記載において言及される元素の周期律表は、the Bulletin of the Chemical Society of France, no. 1, January 1966の補遺で公開されたものである。
【0011】
希土類は、イットリウム及び原子番号57〜71(両端を含む)を有する周期律表の元素よりなる群の元素を意味する。
【0012】
比表面積は、Journal of the American Chemical Society, 60, 309 (1938)に記載されたBRUNAUER-EMMETT-TELLER法に基づいて、ASTM D3663−78標準に従って窒素吸着により測定したBET比表面積を意味する。
【0013】
上記のように、この発明の組成物は、金及び還元可能な酸化物を含む。この還元可能な酸化物は、支持体を形成する。
【0014】
用語「支持体」は、この発明の組成物においては、該組成物中の大部分の構成要素を指すと、広義に理解されなければならず、支持される元素は、本質的に、これらの構成要素の表面に存在する。簡単のため、我々は、この記載の残りにおいて、支持体及び支持される相のことを語るが、我々は、支持される相に属すると記載された元素が、例えば支持体の実際の製造中にその中に導入されたことにより該支持体中に存在した場合でも、本発明の範囲を超えて拡大するものではないということは理解されるべきである。
【0015】
還元可能な酸化物は、幾つかの酸化度を有しうる金属の酸化物を意味する。
【0016】
この支持体のこの組成物中で用いられる金属は、本質的に又は専ら該金属の酸化物からなる形態で存在するということは認められるべきである。「本質的に〜からなる」は、ここでは、例えば水酸化物又はオキシ水酸化物型の非晶質種が痕跡的にのみ存在することを意味する。
【0017】
XRディフラクトグラムが酸化物相に集中する回折線を示さないか又は酸化物相に集中するハローを示すがピークの中間高度における幅が2nm未満の微結晶サイズをデバイ‐シェラー法により計算するのに役立つ任意の生成物を非晶質と定義することにより、本発明のコンテキストにおいて「非晶質種は、痕跡的にのみ存在する」という表現により、純粋な金属酸化物のXRダイヤグラムと、同じ金属の酸化物であってこれらの種を含むもののXRダイヤグラムとの比較が、如何なる検出可能な差異をも示さず、特に、ハローを示さないということが理解されるにちがいない。
【0018】
本発明のコンテキストにおいて適当な還元可能な酸化物として、遷移金属の酸化物及び希土類酸化物を挙げることができる。遷移金属は、周期律表のIIIA族及びIIB族の元素を意味する。
【0019】
一層特に、チタン、マンガン、鉄、銅、コバルト及び錫の酸化物を挙げることができる。それ故、支持体は、有利には、これらの酸化物の少なくとも一つに基づくものであってよい。
【0020】
上記のように、本発明のコンテキストは、幾つかの特定の支持体を含まない。これらは、酸化セリウムベースの、酸化セリウム及び酸化ジルコニウムベースの、酸化セリウム及び酸化プラセオジムベースの、二酸化チタン又は酸化第一錫と組み合せた酸化セリウムベース(Ti/Ce又はSn/Ce原子比50%未満)の支持体である(これらの酸化物が、支持体中に存在する唯一の還元可能な酸化物である限り)。それ故、上記の酸化物ベースであるが、他の還元可能な酸化物例えば二酸化マンガンをも含む支持体は、本発明から除かれないことは認められるべきである。
【0021】
この支持体に用いられる化合物は又、金が十分な触媒活性を有するように、その表面での金の分散を可能にするだけ十分に高い比表面積をも有しなければならない。
【0022】
最後に、この発明の組成物は、還元処理を受けなければならなかった。還元処理は、支持体(還元可能な酸化物)と支持された相(金)の両方が還元されるような条件下で行われる処理を意味する。この組成物がかかる処理を受けたという事実は、支持体中の酸素空位の存在により反映されうる(即ち、この支持体を形成する酸化物の酸素の量が、化学量論的量より少ない)。この酸素空位は、例えば、X線回折により又はXPS技術を利用する分析によって示されうる。
【0023】
この発明の組成物は、金を、銀、白金、パラジウム及び銅から選択する少なくとも一種の他の金属元素と共に含むことができるということには注意すべきである。この場合、他の金属元素は、例えば、金に対して400%以下の、一層詳細には120%以下の、特に、5〜50%(金属元素の金に対するモル%)の量で存在しうる。この種の組成物は、高HSVで用いる場合、それらの最高の効率に達することができる(しかも一層迅速に)。
【0024】
この組成物の金含有量、又は金及び上記の金属元素の含有量は臨界的ではなく、触媒活性を得るために触媒において一般的に用いられる含有量に相当する。例えば、この含有量は、5%以下であり、特に、1%以下である。それは、一層詳細には、0.5%以下であり、0.25%以下でさえある。5%より高い含有量は、一般に、経済的利益を有しない。これらの含有量は、金(適宜、金属元素を伴う)の、支持体を作っている酸化物に対する質量パーセンテージとして表される。
【0025】
この発明の組成物は、他の2つの特有な特徴を有している。
【0026】
第一の特徴は、そのハロゲン含有量である。このハロゲンは、一層詳細には、臭素又は塩素であってよい。この含有量は、ハロゲン/金モル比により表され、0.05以下である。一層詳細には、それは、0.04以下であり、尚一層詳細には0.025以下である。
【0027】
このハロゲンは、次の方法を利用することにより測定することができる。分析に必要な量の触媒を、酸水素ガス吹管の火炎(約2000℃のH2/O2混合物)中で蒸発させる。その結果生成した蒸気を、過酸化水素を含む水溶液中にトラップさせる。酸水素ガス吹管での処理後に固体残留物が得られるならば、それを、燃焼ガス(水+H22)が集められた溶液中の懸濁物中に位置させ、次いで、濾過する。集められた濾液を、次いで、イオンクロマトグラフィーにより分析して、ハロゲン含有量を適当な希釈因子を組み込むことにより計算する。この触媒のハロゲン含有量を、最後に、分析に用いた触媒の質量を考慮することによって計算する。
【0028】
他の特徴は、組成物中に存在する金粒子のサイズである。これらの粒子は、10nm以下のサイズを有する。好ましくは、それは、3nm以下である。
【0029】
ここで、及び本願の記載の残りにおいて、このサイズは、組成物のX線スペクトルの分析により、金の回折ピークの中間高度における幅(w)を利用して測定される。この粒子サイズは、この幅wの値の逆数(1/w)に比例する。XR分析は、3nm未満のサイズの粒子について、金に相当する相の検出、又は0.25%未満の金含有量の金の検出には適していないということが注意されうる。これらの2つの場合には、TEM分析を、利用することができる。
【0030】
この発明の組成物の製造方法を、今から説明する。
【0031】
この方法は、第一の具体例に従って実施することができる。
【0032】
この第一の具体例において、この方法の第一のステップは、還元可能な酸化物ベースの化合物を金ハリドベースの化合物及び適用可能であれば白金、パラジウム又は銅ベースの化合物と接触させることにある。この接触は、一般に水性懸濁液である懸濁液の形成により実施される。
【0033】
この初期懸濁液は、この支持体を、液相中に分散させることにより及び金化合物の溶液又は分散と混合することにより調製される上記の種類の還元可能な酸化物ベースの支持体の予備的分散から得ることができる。この種の化合物として、金の塩素又は臭素化合物例えばクロロ金酸HAuCl4又はその塩例えばNaAuCl4(最も一般的な化合物)を利用することができる。
【0034】
銀、白金、パラジウム又は銅をも含む組成物の調製の場合、無機酸の塩(例えば、硝酸塩、硫酸塩又は塩化物)を、これらの元素の化合物として選択することができる。
【0035】
有機酸の塩及び特に飽和脂肪族カルボン酸の塩又はヒドロキシカルボン酸の塩を利用することもできる。例えば、蟻酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩又はクエン酸塩を挙げることができる。最後に、白金に関して、特に、テトラアンミン白金(II)水酸化物を挙げることができる。
【0036】
この方法の記載の残りについて、金ハリドベースの化合物だけが言及されるが、この記載は、銀、白金、パラジウム又は銅の化合物が上記のように用いられる場合に対して同様に適用されるということは理解されるべきである。
【0037】
最初の懸濁液は、例えば、金化合物の溶液又は分散を支持体の分散中に導入することによって得ることができる。
【0038】
この方法の特別の特徴により、こうして形成された懸濁液のpHを、少なくとも8の、一層詳細には少なくとも8.5の、尚一層詳細には少なくとも9の値に調節する。
【0039】
好ましくは、このpHを、懸濁液の形成中、還元可能な酸化物ベースの化合物と金ハリドベースの化合物とを接触させる際に、塩基性化合物の付随的導入によって、少なくとも8の値に維持する。例えば、金化合物の溶液又は分散を支持体の分散中に導入する際に、塩基性化合物を同時に加える。塩基性化合物の流量を、媒質のpHを一定の値(即ち、固定した値プラスマイナス0.3pH単位)に維持するために調節することができる。
【0040】
塩基性化合物として、特に、水酸化物又は炭酸塩型の製品を利用することができる。アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物及びアンモニアを挙げることができる。第二、第三又は第四アミンの利用も又、できる。尿素を挙げることもできる。この塩基性化合物は、一般に、溶液形態で利用される。
【0041】
この方法の変法により、この支持体の分散及び金化合物の溶液若しくは分散(これらは、両方とも、予め、少なくともpH8に調節されており、それらを接触させる際の塩基性化合物の添加を不要にしてある)を利用することができる。
【0042】
酸化セリウムベースの化合物と金ハリドベースの化合物との接触は、一般に、周囲温度で起きるが、一層高温例えば少なくとも60℃の温度で行なうこともできる。
【0043】
この方法の第一のステップで形成された懸濁液は、一般に、数分間、攪拌しながら維持される。
【0044】
第二ステップにおいて、固体を反応媒質から任意の公知の手段によって分離する。
【0045】
それにより得られた固体を、次いで、塩基性溶液で洗浄する。好ましくは、この塩基性溶液は、少なくとも8の、一層詳細には少なくとも9のpHを有している。この塩基性溶液は、上記と同じ塩基性化合物に基づくものであってよい。
【0046】
この洗浄は、任意の慣用の方法により、例えば、ピストン洗浄技術を利用することにより又は再分散によって実施することができる。後者の場合、固体は、塩基性溶液中に再分散されてから、一般に、攪拌した後に、その固体を、液体媒質から分離する。
【0047】
この塩基性溶液での洗浄は、必要なら何回か繰り返すことができる。その後、適宜、水で洗うことができる。
【0048】
この洗浄の完了時に、得られた固体を、一般に、乾燥させる。この乾燥は、任意の慣用の方法により行なうことができ、例えば、風乾又は凍結乾燥により行なうことができる。
【0049】
この発明の方法は、更に、還元処理を含む。この還元処理は、上記した塩基性溶液での洗浄の前に行なうことができ、又はこの洗浄の後に行なうことができる。後者の場合、この還元処理は又、水で洗浄した場合にはその洗浄の前又は後に行なうこともでき、随意の乾燥の前又は後に行なうこともできる。この処理は、この金の全部が、処理前の酸化度より低い酸化度を有するように行なう(処理前の酸化度は、一般に、3である)。この金の酸化度は、当業者に公知の技術により、例えば、プログラムされた温度還元(PTR)法又はX線光電子分光法(XPS)によって測定することができる。
【0050】
様々なタイプの還元処理が、考えられる。
【0051】
化学的還元は、先ず生成物を還元剤例えば第一鉄、クエン酸若しくは第一錫イオン、シュウ酸、クエン酸、過酸化水素、水素化物例えばNaBH4、ヒドラジン(NH2−NH2)、水溶液中のホルムアルデヒド(H2CO)、テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド又はNaH2PO2を含むリン還元剤と接触させることにより実施することができる。この処理は、生成物の懸濁液を、還元剤を含む水性媒質中に置くことにより実施することができ、金の沈着後に反応媒質中の生成物においても実施することができる。
【0052】
還元は又、紫外線照射下で行なうこともでき;この場合の処理は、生成物の溶液若しくは懸濁液にて又は粉末で行なうことができる。この処理は、上記の洗浄ステップの前又は後で行なうことができる。
【0053】
その上、この還元処理は、水素、一酸化炭素又は炭化水素から選択することのできる還元ガスを利用するガス法により実施することができる(このガスは、任意の体積濃度で使用することができる)。最も特に、アルゴン中に希釈された水素が利用されうる。後者のタイプの還元処理の場合、それは、上記の洗浄ステップの後で実施される。
【0054】
この場合、この処理は、200℃以下の温度で、好ましくは180℃以下の温度で行なわれる。この処理の持続時間は、特に、0.5〜6時間であってよい。
【0055】
還元処理の完了時に、一般に、か焼を続ける必要はない。しかしながら、かかるか焼は排除されず、好ましくは低温(即ち、250℃以下)で、例えば4時間以下の持続時間にわたる空気中でのか焼は、排除されない。かかるか焼を実施することは、上記の化学的還元処理の場合に、有利でありうる。
【0056】
この発明の方法は又、今から記載する第二の具体例によって実施することもできる。
【0057】
第一のステップは、金(及び、適宜、銀、白金、パラジウム又は銅)の、還元可能な酸化物ベースの支持体への、含浸又はイオン交換による沈着にある。
【0058】
含浸法は、周知である。乾式含浸は、好適に用いられる。乾式含浸は、含浸されるべき生成物(ここでは、還元可能な酸化物ベースの支持体)に、含浸されるべき固体の孔隙量に等しい体積の金化合物の溶液を加えることにある。
【0059】
この金化合物は、ここでは、第一の具体例について上記したものと同じタイプである。
【0060】
イオン交換による沈着も又、公知の方法である。同じ種類の金化合物を、ここでは、前に用いたように利用することができる。
【0061】
この方法の第二のステップにおいて、先行するステップから生じる生成物を、次いで、少なくともpH10の、好ましくは少なくともpH11の塩基性溶液で洗う。この洗浄は、第一の具体例による方法について記載したのと同様にして同じ塩基性化合物を用いて行なうことができる。
【0062】
その上、還元して乾燥する処理は又、第二の具体例において、上記と同様にして実施することもできる。
【0063】
最後に、金に加えて、他の金属元素ベースの化合物の調製の場合にも又、最初に、この金属元素を例えば含浸により支持体上に沈着させてから、続いて、金を上記の方法に従って沈着させることも可能であることに注意すべきである。
【0064】
上記の方法により得られるこの発明の組成物は、粉末形態であるが、それらは、適宜、様々な寸法の顆粒、ビーズ、円筒形、押出物又はハニカムの形態に成形することができる。それらは、金属又はセラミックモノリス型の基材上のこれらの組成物ベースの薄め塗膜を含む触媒システムにおいて用いることができる。この薄め塗膜は、例えば、アルミナを含むことができる。この金は又、予め上記の種類の形態に成形された支持体上に沈着しうるということが認められうる。
【0065】
上記の又は上記の方法により得られたこの発明の組成物は、一層特に、一酸化炭素を酸化する方法において、触媒として利用することができる。
【0066】
それらは、低温(250℃以下の温度)で行なわれるこの種の方法に対して最も特に効果的である。それらは、周囲温度でさえ有効である。周囲温度は、ここでは(及び、本願の記載の残りにおいて別途指示しないかぎりは)、35℃以下、一層特には10〜25℃の範囲を意味する。最後に、それらは又、高HSV条件下でも効果的でありうる(例えば、1500000cm3/gcata/時ほど高くてもよい)。
【0067】
その上、この発明の組成物を利用して、尚一層低温(即ち、0℃未満、例えば、−10〜0℃)で一酸化炭素を酸化することができ、非常に低いCO含有量(例えば、1000ppm以下)のガス又は媒質を処理でき、そして30000000cm3/gcata/時に達する極度に高いHSV値につき利用することができる。
【0068】
従って、一酸化炭素を酸化する方法における利用の例として、それらを、煙草の煙の処理に、特に、100℃より低温での水性ガスシフト反応(CO+H2O → CO2+H2)において、又は150℃より低温の改質ガスの処理、PROX型(水素の存在下でのCOの選択的酸化)の処理において用いることができる。
【0069】
煙草の煙の処理の特別の場合に、触媒組成物は、粉末形態であってよい。それは又、適当な成形を受けることもでき;例えば、それは、顆粒又はフレークに成形することができる。粉末の場合に、この組成物の粒子サイズの分布は、1〜200μmであってよい。顆粒の場合には、このサイズは、700〜1500μmであってよく、このサイズは、ビーズについては、200〜700μm、フレークについては、100〜1500μmであってよい。
【0070】
この触媒組成物は、シガレットのフィルターを作るのに利用される繊維(例えば、セルロースアセテート)と、フィルターの製造中に混合し又は結合させることにより組み込むことができる(特に、「二重フィルター」又は「三重フィルター」フィルターの場合)。この触媒組成物は又、「パッチフィルター」型のフィルターの場合に、フィルターを作るケーブルを包む紙(傾斜紙)の内側に沈着させることもできる。この触媒組成物は又、「空胴フィルター」型のフィルターの空胴に導入することもできる。
【0071】
この発明の触媒組成物をシガレットのフィルターに用いるならば、還元処理を、該組成物に、それが該フィルターに組み込まれた後に加えることができる。次いで、還元処理を、上記の方法により実施する。
【0072】
用いる触媒組成物の量は、臨界的ではない。それは、特に、フィルターの寸法及びフィルター中の組成物の存在による圧力降下により制限される。それは、一般に、シガレット一本当たり350mg以下であり、好ましくは、シガレット一本当たり20〜100mgである。
【0073】
それ故、この発明は、上記の組成物又は上記の方法により得られる組成物を含むシガレットのフィルターに関係する。
【0074】
ここでは、用語「シガレット」は、喫煙されることを意図したものであって、例えば紙又はタバコベースの管内に包まれたタバコベースの任意の製品をカバーする広い意味に考えなければならないということに注意すべきである。それ故、この用語は、ここでは、葉巻及びシガリロにも適用される。
【0075】
最後に、この発明の組成物は又、少なくとも一種の化合物例えば一酸化炭素、エチレン、アルデヒド、アミン、メルカプタン、オゾンを含む空気の場合、揮発性有機化合物又は大気汚染物質のタイプの例えば脂肪酸、炭化水素、特に芳香族炭化水素、及び窒素酸化物の場合(NOのNO2への酸化)及び悪臭のある化合物のタイプの場合における空気浄化処理においても利用することができる。この種の化合物として、一層特に、エタンチオール、吉草酸及びトリメチルアミンを挙げることができる。この処理は、処理すべき空気を前に記載した組成物又は上記の方法により得られた組成物と接触させることにより実施される。この発明の組成物は、この処理を周囲温度で実施するのに適している。
【0076】
今から、実施例を提供する。
【0077】
これらの実施例において、結果は、COの酸化について与えられる。これらの結果は、下記のように、COの触媒による酸化試験を利用することにより得られた。
【0078】
この触媒化合物は、触媒化合物粉末のペレット化、破砕及びふるい分けにより得られる125〜250μmのフレークの形態で試験される。この触媒化合物を、反応器中の焼結ガラス上に置き、それは、該粉末の物理的支持体として働く。
【0079】
この試験において、1〜10体積%のCO、10体積%のCO2、10体積%のO2、1.8体積%のH2Oを含む合成混合物(N2中)を、触媒上を通過させる。このガス混合物は、25〜200mgの触媒化合物を含む石英反応器中を、30L/時の流量で連続的に流れる。
【0080】
触媒化合物の質量が200mgより小さい場合には、炭化珪素SiCを加え、それで、触媒化合物とSiCの質量の総和が200mgに等しくなるようにする。SiCは、CO酸化反応に対して不活性であり、ここでは、希釈剤の役割を演じて、触媒床の均質性を確実にする。
【0081】
このCOの転化率を、先ず、周囲温度(実施例では、T=20℃)で測定し、この転化率がこの温度で全体でない場合にのみ、オーブンを利用して、周囲温度から300℃まで、10℃/分の勾配で増加させる。反応器から去る気体を、約10秒間隔で赤外分光分析法により分析して、COのCO2への転化率を測定する。
【0082】
もしCO転化率が、周囲温度で全体でないならば、これらの結果は、ガス流中に存在するCOの50%がCO2に転化される温度である半転化温度(T50%)として表される。
【0083】
下記の実施例において、これらの触媒化合物を、COのCO2への酸化について、下記の条件下で評価した。
【0084】
【表1】

【0085】
【表2】

【0086】
【表3】

【0087】
【表4】

【0088】
【表5】

【0089】
【表6】

【実施例】
【0090】
実施例1
75m2/gの表面積を有する40gの二酸化チタン粉末を、250mlの水中で攪拌することにより分散させた。次いで、この懸濁液のpHを、1M Na2CO3の溶液の添加により9に調節した。
【0091】
同時に、0.8gのHAuCl4・3H2O(Sigma-Aldrich)を、250mlの水に溶解させた。
【0092】
この金溶液を、次いで、1時間の内に、二酸化チタンの懸濁液に加えた。その懸濁液のpHを、金溶液の添加中、1M Na2CO3の溶液の添加のによって8.7〜9.3に維持した。その結果生成した懸濁液を、20分間攪拌してから、真空下で濾過した。
【0093】
得られたケーキを、pH9のNa2CO3溶液(その体積は、最初の濾過工程で除去された母液のそれに等しかった)中に再分散させた。この懸濁液を20分間攪拌した。この基礎的洗浄手順を更に2回繰り返した。得られたケーキを、最後に、最初の濾過中に除去された母液の体積に等しい体積の水に再分散させてから、真空下で濾過した。
【0094】
この洗浄したケーキを凍結乾燥してから、2時間170℃で、アルゴン中で希釈された10体積%の二水素よりなるガス混合物によって還元した。
【0095】
この触媒につき行なった分析は、下記の表1に示した結果を与えた。
【0096】
実施例2
この触媒を、実施例1に記載したものと同じプロトコールに従って調製したが、但し、用いた二酸化チタン粉末は、105m2/gの表面積を有し、洗浄したケーキを凍結乾燥の代わりに2時間100℃で空気中で乾燥させた後、希水素下で処理した。
【0097】
この触媒につき行なった分析は、下記の表1に示した結果を与えた。
【0098】
比較用実施例3
この触媒を、実施例1に記載したものと同じプロトコールに従って調製したが、但し、乾燥した生成物を、希水素で処理しなかった。
【0099】
この触媒につき行なった分析は、下記の表1に示した結果を与えた。
【0100】
実施例4
105m2/gの表面積を有する40gの二酸化チタン粉末を、250mlの水中で攪拌することにより分散させた。次いで、この懸濁液のpHを1M NaOH溶液を加えることにより、9に調節した。
【0101】
同時に、0.8gのHAuCl4・3H2O(Sigma-Aldrich)を、250mlの水に溶解させた。この溶液を70℃に加熱してから、そのpHを、1M NaOH溶液を加えることにより、pH9に調節した。
【0102】
次いで、金溶液を、30分以内で、二酸化チタン懸濁液に加えた。その結果生成した懸濁液を、1時間攪拌しながら70℃に維持してから、真空下で濾過した。
【0103】
得られたケーキを、最初の濾過工程中に除かれた母液の体積と等しい体積のNaOH溶液(pH9)に再懸濁させた。この懸濁液を、20分間攪拌した。この基礎的洗浄工程を、更に一回繰り返した。得られたケーキを、最後に、最初の濾過中に除かれた母液の体積と等しい体積の水に再分散させてから真空したで濾過した。
【0104】
この洗浄したケーキを凍結乾燥してから、2時間、170℃で、アルゴン中に希釈した10体積%の二水素よりなるガス混合物により還元した。
【0105】
この触媒につき行なった分析は、下記の表1に示した結果を与えた。
【0106】
実施例5
顆粒形態の触媒の調製物の実施例を、今から、与える。
【0107】
90m2/gの比表面積を有する21gの二酸化チタン(TiO2)の顆粒を、カラム内に入れた。このカラムを、循環システムにより、125gの水を含む反応器(1)に接続した。
【0108】
同時に、0.4gのHAuCl4・3H2Oを、125gの水を含む反応器(2)にて溶解させた。この反応器(2)に含まれる金溶液を、70℃に加熱して、そのpHを、1M Na2CO3の溶液を用いて、9に調節した。
【0109】
反応器(1)に含まれる溶液を、TiO2顆粒を含むカラムを通して、10mL/分の流量で循環させた。一度反応器(1)とカラムとの間の循環が確立されたならば、反応器(1)を70℃に加熱して、そのpHを、1M Na2CO3の溶液を利用して、9に調節した。
【0110】
この金溶液を、攪拌しながら、反応器(1)に30分以内に導入した。そのpHを、反応器(1)内で、1M Na2CO3の溶液によって、9に維持した。この溶液を、金溶液の添加後、1時間にわたって攪拌した。
【0111】
反応器(1)とカラムとの間の循環を停止させた。
【0112】
母液を吸引除去してから、250gの水(周囲温度でのpHを、1M Na2CO3により、9に調節してある)で置き換えた。反応器(1)とカラムとの間の循環を、10分間、再開した。この操作を2回繰り返した後に、250gの水で最後の洗浄を行なった。
【0113】
これらの顆粒を、洗浄溶液から分離して、凍結乾燥した。次いで、それらを、2時間、170℃で、アルゴン中に希釈した10体積%の二水素よりなるガス混合物により、還元した。
【0114】
この触媒につき行なった分析は、下記の表1に示した結果を与えた。
【0115】
下記の2つの実施例は、現場での化学的還元処理に関係し、即ち、水溶液中の金の沈着段階の後の反応媒質における化学的還元処理に関係する。
【0116】
実施例6
75m2/gの表面積を有する21gの二酸化チタン粉末を、125gの水を含む反応器(1)中で、攪拌することにより、分散させた。
【0117】
同時に、0.4gのHAuCl4・3H2O(Sigma-Aldrich)を、125gの水を含む反応器(2)中で、攪拌することにより、分散させた。
【0118】
これら2つの反応器を70℃に加熱し、加えて、それらのpHを、1M Na2CO3溶液を利用して、9に調節した。
【0119】
次いで、この金溶液を、30分以内で、反応器(1)に加えた。この金溶液の添加中、反応器(1)のpHを、必要であれば、1M Na2CO3溶液を添加することによって、9に維持した。その結果生成した懸濁液を、金溶液の添加後、30分間、攪拌しながら、70℃に維持した。
【0120】
0.32gのTHPC(テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド)(Aldrich)を、80%の水溶液(予め、5mlの水で希釈)で、反応器(1)に、数分以内に滴下により加えた。用いたTHPCの量は、1.35のTHPC/Auモル比に相当した。この添加後に、反応器(1)を、30分間、攪拌しながら、70℃に維持した。冷却後、その結果生成した懸濁液を、遠心分離した(45r/分で、10分間)。
【0121】
得られたケーキを、最初の遠心分離中に除去された母液と等しい体積のNa2CO3溶液(pH9)中に再分散させた。この懸濁液を、10分間攪拌した後に、新たな遠心分離を行なった。この手順を、更に2回、繰り返した。得られたケーキを、最後に、最初の遠心分離中に除去された母液と等しい体積の水に再懸濁させた。
【0122】
この洗浄したケーキを、一晩、80℃で乾燥させて、2時間、200℃で、空気中で、か焼した。
【0123】
この触媒につき行なった分析は、下記の表1に示した結果を与えた。
【0124】
実施例7
90m2/gの比表面積を有する21gの二酸化チタン(TiO2)顆粒を、カラム中に置いた。このカラムを、循環システムにより、125gの水を含む反応器(1)に接続した。
【0125】
同時に、0.4gのHAuCl4・3H2Oを、125gの水を含む反応器(2)内で、溶解させた。この反応器(2)内に含まれる金溶液を70℃に加熱し、そのpHを、1M Na2CO3溶液を用いて9に調節した。
【0126】
反応器(1)内に含まれる溶液を、TiO2顆粒を含むカラムを通して、10mL/分の流量で循環させた。一度、反応器(1)とカラムとの間の循環が確立されたならば、反応器(1)を70℃に加熱して、そのpHを、1M Na2CO3溶液を用いて9に調節した。
【0127】
この金溶液を、攪拌しながら、30分以内で、反応器(1)に導入した。そのpHを、反応器(1)において、1M Na2CO3溶液の添加により、9に維持した。この溶液を、金溶液の添加後、1時間にわたって攪拌した。
【0128】
0.32gのTHPC(テトラキス(ヒドロキシメチル)ホスホニウムクロリド)(Aldrich)を、80%の水溶液(予め、5mlの水で希釈)で、反応器(1)に、数分以内に滴下により加えた。加えたTHPCの量は、1.35のTHPC/Auモル比に相当した。
【0129】
この添加後に、反応器(1)を、30分間、攪拌しながら、70℃に維持し、次いで、反応器(1)とカラムとの間の循環を停止させた。
【0130】
この母液を吸引除去して、250gの水(周囲温度でのpHを、1M Na2CO3により、9に調節してある)で置き換えた。反応器(1)とカラムとの間の循環を、10分間にわたって、再開した。この操作を2回繰り返した後、250gの水による最終的な洗浄を行なった。
【0131】
これらの顆粒を、洗浄溶液から分離して、80℃で一晩乾燥させ、最後に、空気中で、200℃で、2時間にわたって、か焼した。
【0132】
この触媒につき行なった分析は、下記の表1に示した結果を与えた。
【0133】
実施例8
225m2/gの表面積を有する40gの酸化第一鉄(Fe23)粉末を、250mlの水中に、攪拌により、分散させた。次いで、この懸濁液のpHを、1M Na2CO3の溶液を添加することにより、9に調節した。
【0134】
同時に、0.8gのHAuCl4・3H2O(Sigma-Aldrich)を、250mlの水中に溶解させた。
【0135】
次いで、金溶液を、1時間以内に、酸化第一鉄懸濁液に加えた。この懸濁液のpHを、金溶液の添加中、1M Na2CO3溶液を添加することにより、9に維持した。その結果生成した懸濁液を、20分間にわたって攪拌してから、真空下で濾過した。
【0136】
得られたケーキを、最初の濾過工程中に除かれた母液と等しい体積のNa2CO3溶液(pH9)中に再懸濁させた。この懸濁液を、20分間にわたって攪拌した。この基礎的洗浄手順を、更に2回、繰り返した。得られたケーキを、最後に、最初の濾過において除かれた母液と等しい体積の水に再懸濁してから、真空下で濾過した。
【0137】
この洗浄したケーキを、凍結乾燥して、2時間、170℃で、アルゴン中に希釈された10体積%の二水素よりなるガス混合物により、還元した。
【0138】
この触媒につき行なった分析は、下記の表1に示した結果を与えた。
【0139】
【表7】

【0140】
下記の表2は、CO(3体積%)の転化のためのこれらの実施例の触媒を用いて得られた結果を与える。
【0141】
【表8】

【0142】
実施例3の触媒は、COの50%だけを、35℃より高い温度で転化したが、実施例1の触媒は、少なくとも最大で1500000cm3/gcata/時に及ぶHSV値について、COをすべて周囲温度でCO2に酸化したということが認められる。
【0143】
これらの結果は、今、上記の試験を利用して、低い含有量のCOのCO2への酸化につき与えてある。この酸化反応は、下記の条件下で、低温(−10℃)で起きた:
【0144】
【表9】

【0145】
【表10】

【0146】
【表11】

【0147】
下記の表3は、低温での50vpm COの転化につき、実施例1の触媒を用いて得られた結果を与える。
【0148】
【表12】

【0149】
これらの結果は、今、下記の試験を用いて、非常に高いHSV値における、低含有量のCOのCO2への酸化につき与えてある。
【0150】
2つの30Lのガス袋を、それぞれ、内径8mmのゴム管によりポンプの入り口と出口に接続した。125〜250μmの寸法を有し、触媒粉末のペレット化、粉砕及びふるい分けにより得られたフレーク形態の触媒化合物を、該ポンプの出口とガス袋との間のゴム管内に置いた。この触媒化合物を、2つの岩綿プラグにより固定化した。このポンプの出口に接続したガス袋は、空であったが、入り口に接続した袋内では、空気中に100vpmのCOを含む大気が造られた。t=0で、このポンプを、50L/分の流量で始動させたところ、入り口に接続したガス袋の内容物は、触媒床を通って、最初空であったガス袋に移った。次いで、このガス袋のCO含有量を、ドレーガーCO試薬管を用いて測定した。この試験を、周囲温度で、下記の条件下で行なった:
【0151】
【表13】

【0152】
【表14】

【0153】
【表15】

【0154】
下記の表4は、100vpm COの周囲温度における転化につき、実施例1の触媒を用いて得られた結果を与える。
【0155】
【表16】

【0156】
表3及び4中の結果は、この発明の触媒が、非常に低いCO含有量及び非常に高いHSV値において、COをCO2に酸化することができることを示している。
【0157】
次の実施例は、オゾン(O3)の酸素(O2)への、分解反応による転化に関するものである。この結果は、下記の触媒試験の利用により得られた。
【0158】
この試験においては、5.3Lの体積を有する閉鎖ポリマーチャンバーに、オゾンの導入、触媒の導入及びガス相のサンプリングのための幾つかのオリフィスを装備する。
【0159】
オゾン発生器を使用して、空気中に125g/m3のオゾンを含むガス流を供給するように調節する。100mlのガス容器にこのガス流を満たしてから、17mlをこのガス容器からガスシリンジを用いて引き出し、次いで、その内容物を閉鎖チャンバーに注入して、空気中に200vmpのオゾンを含む大気を造る。
【0160】
その後、200mgの触媒化合物(粉末形態)を、チャンバー外の大気との如何なる接触をも回避する装置を用いて、該チャンバー内に導入する。時間の起点を、触媒の該チャンバーへの導入により決定する。ガス相を、再循環ポンプを、13.5L/分の送出量で用いて均質化する。
【0161】
このチャンバー内に存在するオゾンの消失を、経時的に、オゾン用のドレーガー試薬管を用いてモニターする。
【0162】
酸化すべきオゾンの分子(M)の転化率は、ドレーガー試薬管を用いて測定された濃度を利用して、下記のように計算される:
転化率(M)=[CONCM(t)−CONCM(t=0)]/CONCM(t=0)
【0163】
実施例9
実施例1の触媒を、上記した試験において用いる。
【0164】
下記の表5は、周囲温度で、200vpmのオゾンの転化について得られた結果を与えている。
【0165】
【表17】

【0166】
これらのデータは、200vpmのオゾンが、周囲温度で、10分未満で、酸素に分解されることを示している。
【0167】
実施例10
金に加えて銀を含む顆粒形態の触媒の製造の実施例を、今から与える。
【0168】
90m2/gの比表面積を有する40gの二酸化チタン(TiO2)顆粒を、6.7×10-2MのAgNO3を含む25.8mlの水溶液により含浸した。そのペーストを、次いで、オーブン中で、120℃で一晩乾燥させて、空気中で、500℃で2時間、か焼した。
【0169】
こうして得られた21gの顆粒に、次いで、金を、実施例5の手順に従って、付着させた。
【0170】
この触媒につき行なった分析は、下記の表6に与えた結果を与えた。
【0171】
【表18】

【0172】
下記の表7は、これらの実施例の触媒を用いて、3体積%のCOの転化について得られた結果を与えている。
【0173】
【表19】

【0174】
実施例10の触媒が、実施例5の触媒より一層迅速に最大CO転化レベルに達する特性を示しているということがわかる。
【0175】
下記の実施例は、様々な揮発性有機化合物(VOC)、例えばアセトアルデヒド(CH3CHO)、メタノール(CH3OH)、エタンチオール(CH3CH2SH)、吉草酸(CH3(CH2)3CO2H)及びトリメチルアミン((CH3)3N)の酸化に関係する。これらの結果は、上記の触媒酸化試験を利用することにより得られた。
【0176】
この試験においては、体積5.3Lの閉鎖ポリマーチャンバーに、酸化すべき分子の導入、触媒の導入、及びガス相のサンプリングのために、幾つかのオリフィスを装備する。
【0177】
最初、ある量の液体分子を、シリンジを用いて、この閉鎖チャンバーに導入する。注入する体積は、アセトアルデヒド、メタノール、エタンチオール、吉草酸及びトリメチルアミン(50%水溶液)について、それぞれ、2.5、2、3.5、5及び6μLである。周囲温度(T=20〜30℃)で、注入したすべての液体は、チャンバー内で蒸発して、空気中に酸化すべき分子200vpmを含む大気を造る。
【0178】
その後、200mgの粉末形態の触媒化合物を、チャンバーの外の大気との任意の接触を回避する装置を利用して該チャンバーに導入する。時間の起点を、触媒の該チャンバーへの導入により決定する。ガス相を、再循環ポンプを、13.5L/分の送出量で用いて均質化する。
【0179】
この酸化反応をモニターするために、このチャンバーのガス相を隔膜を通して採取してガスクロマトグラフィーにより分析した。H2O、CO、CO2、CH3CHO、CH3OH及びCH3CH2SHを、ヒューレットパッカード社のMicro GC HP M200クロマトグラフにて分析した(この分析機を装備したサンプリング装置を用いて)。吉草酸(CH3(CH2)3CO2H)及びトリメチルアミン((CH3)3N)を、Varian3200クロマトグラフィーにて分析した(閉鎖チャンバーのガス相のサンプリングにシリンジを利用)。このガス相を、触媒の導入前に分析し、その後、導入後は、試験に依って、数分から数時間に及ぶ規則的間隔で分析した。
【0180】
酸化すべき分子(M)の転化率は、クロマトグラムの面積を利用して、下記のように計算した:
転化率(M)=[面積M(t)−面積M(t=0)]/面積M(t=0)
【0181】
酸化すべき各分子について、触媒を用いないブランク試験を、同じ条件下で行なったところ、酸化すべき分子の濃度について、変化は経時的に認められなかった。
【0182】
実施例11
実施例1の触媒を、上記した試験において利用した。
【0183】
下記の表8は、周囲温度で、200vpmのアセトアルデヒドの転化率について得られた結果を与えている。
【0184】
【表20】

【0185】
これらのデータは、200vpmのアセトアルデヒドが、1時間未満の反応で、完全に転化されたことを示している。
【0186】
クロマトグラフィー分析は、生成したCO2及びH2Oの量が、明らかに、下記の方程式によるアセトアルデヒドの除去へと導く全酸化反応に対応していることを確認した:
CH3CHO + 5/2O2 → 2CO2 + 2H2
【0187】
実施例12
実施例1の触媒を、上記した試験で用いた。
【0188】
下記の表9は、周囲温度で、200vpmのメタノール転化について得られた結果を与えている。
【0189】
【表21】

【0190】
これらのデータは、200vpmのメタノールが、20時間の反応において、90%より多く転化されたことを示している。
【0191】
クロマトグラフィー分析は、生成したCO2及びH2Oの量が、明らかに、下記の方程式によるメタノールの除去へと導く全酸化反応に対応していることを確認した:
CH3OH + 3/2O2 → CO2 + 2H2
【0192】
実施例13
実施例1の触媒を、上記した試験において用いた。
【0193】
下記の表10は、周囲温度で、200vpmのエタンチオールの転化について得られた結果を与えている。
【0194】
【表22】

【0195】
これらのデータは、200vpmのエタンチオールが、1時間の反応の後に、70%より多くが転化されたことを示している。
【0196】
ガス相の、ドレーガー二酸化イオウSO2管による分析(t=50分)は、100vpmより多くのSO2がチャンバー内に存在することを示した。CO2及びH2O濃度の変化及びSO2の存在は、エタンチオールの消失をその部分的酸化に帰することができることを示した。
【0197】
実施例14
実施例1の触媒を、上記した試験で用いた。
【0198】
下記の表11は、周囲温度で、吉草酸の転化について得られた結果を与えている。
【0199】
【表23】

【0200】
これらのデータは、200vpmの吉草酸の注入の各々が、60分以内に転化されたことを示している。
【0201】
ガス相の分析は、400vpmの吉草酸の全部が転化されたこと、及び200vpmのCO2及び1000vpmのH2Oが形成されたことを示した。CO2、H2O及び吉草酸の濃度の変化は、吉草酸の消失をその部分的酸化に帰することができることを示した。
【0202】
実施例15
実施例1の触媒を、上記した試験で用いた。
【0203】
下記の表12は、周囲温度で、200vpmのトリメチルアミンの転化について得られた結果を与えている。
【0204】
【表24】

【0205】
これらのデータは、200vpmのトリメチルアミンが、30分の反応の後に、80%より多くが転化されたことを示している。
【0206】
ガス相の分析は、50vpmのCO2及び1000vpmのH2Oも形成されたことを示した。CO2、H2O及びトリメチルアミンの濃度の変化は、トリメチルアミンの消失をその部分的酸化に帰することができることを示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の還元可能な酸化物ベースの支持体上の金ベースの組成物であって、ハロゲン/金モル比により表されるハロゲン含量が、0.05以下であること、金が、10nm以下のサイズの粒子の形態で存在すること、及び還元処理を受けたことを特徴とし、唯一の還元可能な酸化物が酸化セリウム、酸化ジルコニウムと組み合わせた酸化セリウム、酸化プラセオジムと組み合わせた酸化セリウム、二酸化チタン又は酸化第一錫と組み合わせた酸化セリウム(Ti/Ce又はSn/Ce原子比50%未満)である支持体を有する組成物を除外する当該組成物。
【請求項2】
支持体が、二酸化チタン、二酸化マンガン、酸化第二鉄又は酸化第一スズ錫から選択する少なくとも一種の酸化物に基づく、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ハロゲン含有量が、0.04以下であり、尚一層詳細には0.025以下である、請求項1及び2の何れかに記載の組成物。
【請求項4】
金が、3nm以下の大きさの粒子の形態で存在する、前記の請求項の一つに記載の組成物。
【請求項5】
ハロゲンが、塩素である、前記の請求項の一つに記載の組成物。
【請求項6】
金含有量が、5%以下、一層詳細には、1%以下である、前記の請求項の一つに記載の組成物。
【請求項7】
銀、白金、パラジウム及び銅から選択する少なくとも一種の他の金属元素を更に含む、前記の請求項の一つに記載の組成物。
【請求項8】
他の前記の金属元素が、金に対して、400%以下の、一層詳細には5〜50%の量で存在する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記の請求項の一つに記載の組成物を製造する方法であって、下記のステップを含むことを特徴とする当該方法:
− 少なくとも一種の還元可能な酸化物ベースの化合物を、金ハリドベースの化合物及び適用可能であれば銀、白金、パラジウム又は銅ベースの化合物と接触させて、これらの化合物の懸濁液を生成し、それにより形成された媒質のpHを8以上の値に固定し;
− 固体を、該反応媒質から分離し;
− 該固体を、塩基性溶液で洗浄する;
この方法は、更に、前記の洗浄ステップの前又は後に還元処理を含む。
【請求項10】
形成された媒質のpHを、少なくとも一種の還元可能な酸化物ベースの化合物と金ハリドベースの化合物及び、適宜、銀、白金、パラジウム又は銅ベースの化合物との懸濁液の形成中、塩基性化合物の添加により、少なくとも8の値に維持する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
得られた固体を、少なくとも8の、好ましくは、少なくとも9のpHの塩基性溶液で洗う、請求項9及び10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜8の一つに記載の組成物を製造する方法であって、下記のステップを含むことを特徴とする当該方法:
− 金及び、適宜、銀、白金、パラジウム又は銅を、少なくとも一つの還元可能な酸化物ベースの化合物へ、含浸又はイオン交換により沈着させ;
− 先行するステップから生じた固体を、少なくともpH10の塩基性溶液で洗う;
− この方法は、更に、前記の洗浄ステップの前又は後に還元処理を含む。
【請求項13】
還元処理を、200℃以下の、好ましくは180℃以下の温度で、還元ガスを利用して行なう、請求項9〜12の一つに記載の方法。
【請求項14】
還元処理後に得られた固体を、250℃以下の温度で、か焼にかける、請求項9〜13の一つに記載の方法。
【請求項15】
一酸化炭素の酸化のための方法であって、請求項1〜8の一つに記載の組成物又は請求項9〜14の一つに記載の方法により得られる組成物を触媒として利用する当該方法。
【請求項16】
煙草の煙の処理のために、水性ガスシフト反応において、改質ガスの処理(PROX)において用いられる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
空気の浄化のための方法であって、この空気が、一酸化炭素、エチレン、アルデヒド、アミン、メルカプタン、オゾンのタイプの、揮発性有機化合物又は大気汚染物質のタイプの及び悪臭のある化合物のタイプの少なくとも一種の化合物を含み、該空気を、請求項1〜8の一つに記載の組成物又は請求項9〜14の一つに記載の方法により得られる組成物と接触させることを特徴とする当該方法。
【請求項18】
請求項1〜8の一つに記載の組成物又は請求項9〜14の一つに記載の方法により得られる組成物を含むシガレットフィルター。

【公表番号】特表2007−522932(P2007−522932A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553622(P2006−553622)
【出願日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000377
【国際公開番号】WO2005/089936
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(500017874)ローディア アセトウ ゲーエムベーハー (9)
【Fターム(参考)】