説明

金属および合金ナノ粒子およびそれらの合成方法

本発明は、単一の金属および合金ナノ粒子、および単一金属および合金ナノ粒子の製造方法に関する。本発明は、溶媒系中で、金属含有成分を還元剤、場合によってはキャッピング剤と接触させて反応混合物を生成させることを含む金属ナノ粒子の製造方法を含む。前記反応混合物を加熱して還流させ、冷却することができ、所望の金属ナノ粒子を反応混合物から析出させることができる。場合によって、金属ナノ粒子を高表面積担体物質などの適当な担体物質に担持させることができる。担体物質は、たとえば還元剤と一緒に反応混合物中に混合することができる。本発明は、少なくとも2つの金属含有成分を還元剤および少なくとも1つのキャッピング剤と溶媒系中で接触させて反応混合物を生成させ、反応混合物を加熱、還流させ、反応混合物を冷却して、冷却した反応混合物から合金ナノ粒子を析出させることを含む、合金ナノ粒子の製造方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金属および合金のナノ粒子に関し、さらに該ナノ粒子の合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の触媒をベースとする反応について所望レベルの性能を得るのに必要とする高価な白金族金属(以後“PGM”と呼ぶ)の量を減らしたいとの願望は、多くの化学反応の計画に対して常に存在する操作上の要因である。
【0003】
各種の廉価な金属と合金化すること、好ましい触媒酸化状態を安定化させること、担体物質との有害な相互作用を最小化することによって触媒性能を高めることは、触媒の必要量を減らし、または化学反応の効率を増進させ、あるいはそれらの両者を達成する可能性のある方法である。
【0004】
触媒の利用を増加させて触媒必要量を減少させることのできる金属含有ナノ粒子の使用も、金属成分の量を減らして同じ触媒性能を達成するための可能性のある方法の1つである。金属含有ナノ粒子の粒子径、分布および組成の均一性の制御の困難なことが金属含有ナノ粒子製造計画に対する懸案事項である。
【0005】
それ故、金属触媒の望ましい分散、組成および分布特性を有する金属含有ナノ粒子を製造するための合成方法に対するニーズが存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は金属含有ナノ粒子の合成方法に対するニーズを満足させる。
【0007】
本発明は、溶媒系中において金属含有成分を還元剤、場合によってキャッピング剤(capping agent)と接触させて反応混合物を生成させることを含む金属ナノ粒子の製造方法を含む。この反応混合物を加熱して還流させ、冷却して反応混合物から所望の金属ナノ粒子を析出させることができる。場合によって、金属ナノ粒子は高表面積担体物質のような適当な担体物質上に担持させることができる。担体物質は、たとえば還元剤と一緒に反応混合物中に混合することができる。
【0008】
本発明は、溶媒系中において少なくとも2種の金属含有成分を還元剤および少なくとも1つのキャッピング剤と接触させて反応混合物を生成させ、この反応混合物を加熱して還流させ、反応混合物を冷却して冷却した反応混合物から合金ナノ粒子を析出させることを包含する、合金ナノ粒子の製造方法を含む。
【0009】
本発明の方法は、また、少なくとも1つの第1の金属含有成分を還元剤と接触させて第1の反応混合物を生成させることを含む合金ナノ粒子の製造方法も含む。次いでこの第1の反応混合物を第1の温度に加熱し、次に少なくとも1つの第2の金属含有成分と少なくとも1つのキャッピング剤とを第1の反応混合物中に混合して第2の反応混合物を生成させる。この第2の反応混合物を第2の温度に加熱し、還流、冷却して、冷却した第2の反応混合物から合金ナノ粒子を析出させる。
【0010】
本発明はさらに合金ナノ粒子を製造する方法を含む。この方法は、溶媒系中において少なくとも第1の金属含有成分と第2の金属含有成分とを還元剤と接触させて第1の反応混合物を生成させ、この第1の反応混合物を第1の温度に加熱することを含む。第3の金属含有成分と少なくとも1つのキャッピング剤を第1の温度で第1の反応混合物中に混合して第2の反応混合物を生成させる。第2の反応混合物を第2の温度に加熱し、還流、冷却して、冷却した反応混合物から合金ナノ粒子を析出させる。
【0011】
本発明は担持された合金ナノ粒子を製造する方法を含む。この方法は溶媒系中において少なくとも2種の金属含有成分を還元剤と接触させて反応混合物を生成させることを含む。この反応混合物はまた担体物質を含むことができる。
【0012】
本発明は、ナノ粒子の体積全体にわたって実質的に均等に狭い範囲に分布、分散した金属および合金含有ナノ粒子を含み、その粒子径と組成は関心のある範囲において制御可能である。たとえば、約95%を超えるナノ粒子が約1nmと約4nmの間の粒子径を有し、平均粒径が2nmのナノ粒子が提供される。また、一つのナノ粒子とその他のナノ粒子との間で各金属の原子組成のばらつきは約15%以内であり、合金ナノ粒子中の金属の平均原子組成は標的組成の約5%内でばらつく。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、溶媒系中において少なくとも2種の金属含有成分を還元剤および少なくとも1つのキャッピング剤と接触させて反応混合物を生成させ、次いで加熱、還流、冷却して、冷却した反応混合物から合金ナノ粒子を析出させることを含む、合金ナノ粒子の製造方法に関する。
【0014】
本発明の各種実施態様にしたがって、加熱は2段階またはそれ以上で行うことができる。第1段階の加熱は、たとえば反応混合物からのすべての水を除くのに十分な温度にすることができ、第2段階の加熱は金属含有成分を還元するため還流状態にすることができる。
【0015】
本発明の各種実施態様にしたがって、本方法は合金ナノ粒子を担体物質と接触させて担持された合金ナノ粒子を生成させることをさらに含むことができる。担体物質は、表面積が少なくとも約200m2/g以上、約800m2/g以上、および約1000m2/g以上の担体物質を含む、高表面積担体物質とすることができる。担体物質は1つ以上の炭素または無機物質を含むことができる。本発明の種々の実施態様にしたがって、担体物質はカーボンブラック、炭素繊維、またはカーボンナノチューブとすることができる。本発明の種々の実施態様にしたがって、担体物質は金属含有成分との接触に先立って溶媒系中に混合することができる。
【0016】
本発明の各種実施態様にしたがって、本方法は合金ナノ粒子の下記熱処理の1つ以上をさらに含むことができる:
合金ナノ粒子を十分な温度に加熱して溶媒を除去し、溶媒を含まない合金ナノ粒子を生成させること;
溶媒を含まない合金ナノ粒子を十分な酸化環境中で十分な温度に加熱して存在するキャッピング剤を酸化させ、脱キャップした(decapped)合金ナノ粒子を生成させること;および
脱キャップした合金ナノ粒子を十分な還元環境中で十分な温度に加熱して脱キャップした合金ナノ粒子の金属を還元すること。本発明の各種実施態様にしたがって、この熱処理は上述3つの処理のどの組合せをも含むことができる。上記処理の組合せは合金ナノ粒子の配合、たとえば担体物質の存在と配合、キャッピング剤の存在と配合、金属含有成分および合金ナノ粒子の生成に使用する溶媒系によって変えることができる。
【0017】
本発明の各種実施態様にしたがって、溶媒を蒸発させて除去する加熱形態は、不活性環境、たとえば窒素中で約100℃と約400℃の間の温度への加熱を含むことができる。本発明の種々の実施態様にしたがって、キャッピング剤によって形成した有機物シェル(organic shells)を酸化して除去する加熱形態は、酸化環境、たとえば空気または他の酸素含有環境、たとえば15%酸素/85%窒素ガス混合物中で約200℃と約300℃の間の温度への加熱を含むことができる。本発明の種々の実施態様にしたがって、合金ナノ粒子の金属を還元して合金を活性化させる加熱形態は、還元雰囲気中で約300℃と400℃の間の温度に加熱する随意の前還元工程とそれに続く還元雰囲気中で約350℃と約700℃の間の温度への加熱による還元および合金化処理を含むことができる。還元雰囲気としては水素または一酸化炭素、たとえば7%水素/93%窒素の気体混合物を含むことができる。
【0018】
本発明の各種実施態様にしたがって、金属含有成分として、たとえばヒドロキシル(hydroxyls)、アミン、カルボニル(carbonyls)、ナイトレート(nitrates)、酸化物、アセチルアセトネート(acetylacetonates)、ハロゲン化物、塩化物、アルキル含有部分、アルコキシ含有部分、アリール含有部分、ニトロシル含有部分、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の非金属部分を有する金属含有錯体(metal-containing complex)を含むことができる。
【0019】
本発明の各種実施態様にしたがって、金属含有成分として、たとえばチタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、錫、およびセレンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む金属含有錯体を含むことができる。
【0020】
本発明の各種実施態様にしたがって、本方法における接触は、溶媒系中で、たとえば約300℃を超す温度で分解する溶媒系などの高温溶媒系中で行い得る。高温溶媒系として、たとえば、オクチルエーテル、ベンジルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、プロパノール、水、1−ブタノール、ジフェニルメタン、フェニルエーテル、エタノール、エチレンジアミン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含むことができる。
【0021】
本発明の各種の実施態様にしたがって、還元剤は、水素化ほう素ナトリウム、1,2−ヘキサデカンジオール、トリメチルアルミニウム、蟻酸、水酸化アンモニウム、ヒドラジン1水和物、およびそれらの組合せの1つ以上を含むことができる。
【0022】
本発明の各種実施態様にしたがって、還元剤は、たとえば還元方法(reducing process)を含むことができる。還元方法はソノリシス(sonolysis)、沸騰液還元(boil liquid reduction)、逆ミセル、およびそれらの組合せ方法から選ぶことができる。
【0023】
本発明の各種実施態様にしたがって、キャッピング剤として、チオール、ポリアクリル酸、オレイルアミン、オレイン酸、トリメチルアルミニウム、ハロゲン化テトラオクチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、2−ハロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−アミノプロピル−トリメチルオキシシラン、オルト珪酸エチル、ポリ(エチレングリコール)、酢酸、1,10−フェナントロリン、およびそれらの組合せから選ばれる1つ以上のキャッピング剤を含むことができる。
【0024】
本発明は、同じ金属であれ異なる金属であれ、所望の金属成分を含む金属コアで形成されたナノ粒子をキャッピングするため各種のキャッピング剤を利用する。外側の有機物シェルは、キャッピング剤の長い有機物から形成される。キャッピング剤の官能化された末端基が、たとえば、カルボン酸部分またはアンモニウム含有部分を媒介として金属に付加することによって金属と反応する。このキャッピング剤は次いで、たとえば、酸素含有環境中で加熱することによる分解によって除去される。
【0025】
本発明の各種実施態様にしたがって、少なくとも1つの第1の金属含有成分を還元剤と接触させて第1の反応混合物を生成させ、次いで該第1の反応混合物を第1の温度に加熱することを含む合金ナノ粒子の製造方法が提供される。第1の温度で、少なくとも1つの第2の金属含有成分と少なくとも1つのキャッピング剤を第1の反応混合物中に混合して第2の反応混合物を生成させ、次いでこの反応混合物を第2の温度に加熱することができる。本発明の各種実施態様にしたがって、第2の温度は第1の温度を超えて、たとえば還流状態まで高くすることができる。第2の反応混合物は還流させ、次いで温度を下げることができる。所望の合金ナノ粒子は冷却した第2の反応混合物から析出させることができる。
【0026】
本発明の各種実施態様にしたがって、反応混合物が加熱される第1の温度は、たとえば有機溶媒が使用されるときは、反応混合物中に存在するすべての水を除去するのに十分な温度とすることができる。したがって、約100℃より高い、または約105℃から約115℃の第1の温度が、通常、反応混合物から水を除去するのに十分である。本発明の種々の実施態様にしたがって、反応混合物が加熱される第2の温度は、分解または還元反応を実質的に完結させるのに十分な温度とすることができる。したがって、第2の温度は、約120℃から約300℃、または約140℃から約280℃、あるいは約150℃から約270℃の範囲とすることができる。
【0027】
本発明の各種実施態様にしたがって、本方法は合金ナノ粒子を担体物質と接触させて担持された合金ナノ粒子を生成させることを含むことができる。担体物質は、表面積が約200m2/g以上、約800m2/g以上、および約1000m2/g以上の担体物質を含む高表面積担体物質とすることができる。担体物質は1つ以上の炭素または無機物質を含むことができる。本発明の各種実施態様にしたがって、担体物質はカーボンブラック、炭素繊維、またはカーボンナノチューブとすることができる。本発明の各種実施態様にしたがって、担体物質は接触工程に先立って溶媒系中に混合することができる。
【0028】
本発明の各種実施態様にしたがって、本方法は1つ以上の以下の熱処理、たとえば、合金ナノ粒子を十分な温度に加熱して溶媒を除去し、溶媒を含まない合金ナノ粒子を生成させること;該溶媒を含まない合金ナノ粒子を十分な酸化環境中で十分な温度に加熱して存在するキャッピング剤を酸化させ、脱キャップした合金ナノ粒子を生成させること;および脱キャップした合金ナノ粒子を十分な還元環境中で十分な温度に加熱して脱キャップした合金ナノ粒子を還元すること;を含むことができる。
【0029】
本発明の各種実施態様にしたがって、本方法で利用される金属含有成分としては、ヒドロキシル、アミン、カルボニル、ナイトレート、酸化物、アセチルアセトネート、ハロゲン化物、塩化物、アルキル含有部分、アルコキシ含有部分、アリール含有部分、ニトロシル含有部分、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の非金属部分を有する金属含有錯体を含むことができる。
【0030】
本発明の各種実施態様にしたがって、本方法に利用される金属含有成分としては、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、錫、およびセレンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む金属含有錯体を含むことができる。
【0031】
本発明の各種実施態様にしたがって、本方法における接触は、高温溶媒系を含む溶媒系中で行う。高温溶媒系として、約300℃を超す温度で分解する高温溶媒系を含むことができる。高温溶媒系として、たとえば、オクチルエーテル、ベンジルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、プロパノール、水、1−ブタノール、ジフェニルメタン、フェニルエーテル、エタノール、エチレンジアミン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含むことができる。
【0032】
本発明の各種実施態様にしたがって、本方法において利用される還元剤としては、水素化ほう素ナトリウム、1,2−ヘキサデカンジオール、トリメチルアルミニウム、蟻酸、水酸化アンモニウム、ヒドラジン1水和物、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の還元剤を含むことができる。
【0033】
本発明の各種実施態様にしたがって、還元剤としては、化学反応剤のみならずソノリシス、沸騰液還元、逆ミセル、およびそれらの組合せの1つ以上を含むことができる還元方法も含むことができる。
【0034】
本発明の各種実施態様にしたがって、キャッピング剤として、チオール、ポリアクリル酸、オレイルアミン、オレイン酸、トリメチルアルミニウム、ハロゲン化テトラオクチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、2−ハロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−アミノプロピル−トリメチルオキシシラン、オルト珪酸エチル、ポリ(エチレングリコール)、酢酸、1,10−フェナントロリン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含むことができる。
【0035】
本発明によって提供される方法は、溶媒系中において少くとも第1の金属含有成分と第2の金属含有成分とを還元剤と接触させて第1の反応混合物を生成させることを含む合金ナノ粒子の製造方法を含むことができる。次にこの第1の反応混合物を第1の温度に加熱することができる。本発明の各種実施態様にしたがって、第3の金属含有成分および少なくとも1つのキャッピング剤を第1の温度で第1の反応混合物中に混合して第2の反応混合物を生成させることができる。第2の反応混合物は第2の温度まで加熱できる。本発明の各種実施態様にしたがって、第2の温度は第1の温度より高くすることができる。次いで第2の反応混合物は還流、冷却することができ、合金ナノ粒子を冷却された反応混合物から析出させることができる。
【0036】
本発明の各種実施態様にしたがって、合金ナノ粒子を担体物質と接触させて担持された合金ナノ粒子を生成させることができる。担体物質としては、炭素または無機物質、特にカーボンブラック、炭素繊維、またはカーボンナノチューブの1つ以上を含むことができる。
【0037】
本発明の各種実施態様にしたがって、提供される方法は、さらに、次の1つ以上を含むことができる:
合金ナノ粒子を十分な温度に加熱して溶媒を除去し、溶媒を含まない合金ナノ粒子を生成させること;
溶媒を含まない合金ナノ粒子を十分な酸化環境中で十分な温度に加熱して存在するキャッピング剤を酸化させ、脱キャップした合金ナノ粒子を生成させること;および
脱キャップした合金ナノ粒子を十分な還元環境中で十分な温度に加熱して脱キャップした合金ナノ粒子の金属を還元すること。
【0038】
本発明の各種実施態様にしたがって、溶媒を蒸発させて除去する加熱形態は、不活性環境、たとえば窒素中で約100℃と約400℃の間の温度への加熱を含むことができる。本発明の各種実施態様にしたがって、キャッピング剤によって形成した有機物シェルを酸化して除去する加熱形態は、酸化環境、たとえば空気または他の酸素含有環境、たとえば15%酸素/85%窒素ガス混合物中で約200℃と約300℃の間の温度への加熱を含むことができる。本発明の各種実施態様にしたがって、金属ナノ粒子の金属を還元して、活性化させる加熱形態は、還元雰囲気中で約300℃と400℃の間の温度に加熱する随意の前還元工程とそれに続く還元雰囲気中で約350℃と約700℃の間の温度への加熱による合金化処理を含むことができる。還元雰囲気としては水素または一酸化炭素、たとえば7%水素/93%窒素混合物を含むことができる。
【0039】
本発明の各種実施態様にしたがって、金属含有成分は、ヒドロキシル、アミン、カルボニル、ナイトレート、酸化物、アセチルアセトネート、ハロゲン化物、塩化物、アルキル含有部分、アルコキシ含有部分、アリール含有部分、ニトロシル含有部分、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の非金属部分を有する金属含有錯体を含むことができる。
【0040】
本発明の各種実施態様にしたがって、金属含有成分は、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、錫、およびセレンからなる群から選ばれる1つ以上の金属を含む金属含有錯体を含むことができる。
【0041】
本発明の各種実施態様にしたがって、本方法においては高温溶媒系を含む溶媒系、特に約300℃を超す温度で分解する溶媒系を含むことができる高温溶媒系を利用することができる。この高温溶媒系は、オクチルエーテル、ベンジルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、プロパノール、水、1−ブタノール、ジフェニルメタン、フェニルエーテル、エタノール、エチレンジアミン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含むことができる。
【0042】
本発明の各種実施態様にしたがって、利用される還元剤は、水素化ほう素ナトリウム、1,2−ヘキサデカンジオール、トリメチルアルミニウム、蟻酸、水酸化アンモニウム、ヒドラジン1水和物、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の還元剤を含むことができる。還元剤は、また、たとえばソノリシス、沸騰液還元、逆ミセル、およびそれらの組合せなどの還元方法も含むことができる。
【0043】
本発明の各種実施態様にしたがって、キャッピング剤としては、チオール、ポリアクリル酸、オレイルアミン、オレイン酸、トリメチルアルミニウム、ハロゲン化テトラオクチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、2−ハロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−アミノプロピル−トリメチルオキシシラン、オルト珪酸エチル、ポリ(エチレングリコール)、酢酸、1,10−フェナントロリン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含むことができる。
【0044】
本発明にしたがって、1つの金属だけを含むナノ粒子も本明細書に示す方法を使用して合成できる。本発明にしたがって製造した金属ナノ粒子は各種の高表面積担体物質上に担持させることができ、触媒または電極触媒(electrocatalysts)として高い性能を提供することができる。
【0045】
本発明によって提供される方法は、溶媒系中において金属含有成分を還元剤、場合によってキャッピング剤、また場合によっては担体物質と接触させて反応混合物を生成させることを含む単一金属ナノ粒子の製造方法を含むことができる。この反応混合物を、次いで、たとえば、2段階加熱方法によって加熱して系中に存在する水のすべてを除去し、反応を実質的に完結させることができる。
【0046】
本発明の各種実施態様にしたがって、金属ナノ粒子を担体物質と接触させて担持された金属ナノ粒子を生成させることができる。担体物質として、炭素または無機物質、特にカーボンブラック、炭素繊維、またはカーボンナノチューブの1つ以上を含むことができる。
【0047】
本発明の各種実施態様にしたがって、提供される本方法は、さらに次のうちの1つ以上を含むことができる:
金属ナノ粒子を十分な温度に加熱して溶媒を除去し、溶媒を含まない金属ナノ粒子を生成させること;
溶媒を含まない金属ナノ粒子を十分な酸化環境中で十分な温度に加熱して存在するキャッピング剤を酸化させ、脱キャップした金属ナノ粒子を生成させること;および
脱キャップした金属ナノ粒子を十分な還元環境中で十分な温度に加熱して脱キャップした金属ナノ粒子の金属を還元すること。
【0048】
本発明の各種実施態様にしたがって、溶媒を蒸発させて除去する加熱形態は、不活性な環境、たとえば窒素環境中で約100℃と約400℃の間の温度への加熱を含むことができる。本発明の各種実施態様にしたがって、キャッピング剤によって形成した有機物シェルを酸化して除去する加熱形態は、酸化環境、たとえば空気または他の酸素含有環境、たとえば15%酸素/85%窒素ガス混合物中で約200℃と約300℃の間の温度への加熱を含むことができる。本発明の各種実施態様にしたがって、金属ナノ粒子の金属を還元して活性化させる加熱形態は、還元雰囲気中で約300℃と400℃の間の温度に加熱する随意の前還元工程とそれに続く還元雰囲気中で約350℃と約700℃の間の温度への加熱によるさらなる処理を含むことができる。還元雰囲気としては水素または一酸化炭素、たとえば7%水素/93%窒素混合物を含むことができる。
【0049】
本発明の各種実施態様にしたがって、金属含有成分としては、ヒドロキシル、アミン、カルボニル、ナイトレート、酸化物、アセチルアセトネート、ハロゲン化物、塩化物、アルキル含有部分、アルコキシ含有部分、アリール含有部分、ニトロシル含有部分、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の非金属部分を有する金属含有錯体を含むことができる。
【0050】
本発明の各種実施態様にしたがって、金属含有成分として、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、錫、およびセレンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む金属含有錯体を含むことができる。
【0051】
本発明の各種実施態様にしたがって、本方法においては高温溶媒系を含む溶媒系、特に約300℃を超す温度で分解する溶媒系を含む高温溶媒系を含むことができる溶媒系を利用することができる。この高温溶媒系は、オクチルエーテル、ベンジルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、プロパノール、水、1−ブタノール、ジフェニルメタン、フェニルエーテル、エタノール、エチレンジアミン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含むことができる。
【0052】
本発明の各種実施態様にしたがって、利用される還元剤は、水素化ほう素ナトリウム、1,2−ヘキサデカンジオール、トリメチルアルミニウム、蟻酸、水酸化アンモニウム、ヒドラジン1水和物、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の還元剤を含むことができる。還元剤は、また、たとえばソノリシス、沸騰液還元、逆ミセル、およびそれらの組合せなどの還元方法を含むことができる。
【0053】
本発明の各種実施態様にしたがって、キャッピング剤として、チオール、ポリアクリル酸、オレイルアミン、オレイン酸、トリメチルアルミニウム、ハロゲン化テトラオクチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、2−ハロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−アミノプロピル−トリメチルオキシシラン、オルト珪酸エチル、ポリ(エチレングリコール)、酢酸、1,10−フェナントロリン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含むことができる。
【0054】
本発明は、また、ナノ粒子の体積全体に亘って実質的に均等に分布し分散した2つ以上の金属を含有するナノ粒子をむ含ことができる合金ナノ粒子を提供する;その粒子径は、たとえば、約95%を超えるナノ粒子が約1nmと約4nmの間の粒子径を有し、平均粒子径が約2nmと制御可能である。
【0055】
本発明の各種実施態様にしたがって、合金ナノ粒子は、合金ナノ粒子中に存在する1つの単一金属のモル%で表した組成のばらつきが、一つのナノ粒子とその他のナノ粒子との間で約15モル%以下である。さらに、この合金ナノ粒子は、狭い範囲の粒子径分布を有することができる;たとえば、約70%を超えるナノ粒子が約1.5nmと約2.5nmの間の粒子径を有し、または、約60%を超えるナノ粒子が約1.7nmと約2.4nmの間の粒子径を有する。
【0056】
本発明の各種実施態様にしたがって、金属ナノ粒子の粒子径は、反応体の濃度、製造方法の第2段階目の加熱温度または還流工程の温度、金属含有成分、および金属含有ナノ粒子の熱処理を含む各種要因の組合せによって制御することができる。本発明の各種実施態様にしたがって、これらの同じ要因によって合金ナノ粒子の組成を制御することもできる。
【0057】
金属ナノ粒子の粒子径と粒子分布の制御については、図1Aから1Dに図示されている。図1Aと図1Cは、本発明の方法によって製造したコア−シェル(core-shell)構造のPtVFeおよびPtNiFeナノ粒子の透過型電子顕微鏡によって得られた画像である。コア−シェルは、金属を含有するコア(core)の周囲にキャッピング剤によって形成された有機物シェルが存在することをいう。これらのナノ粒子の平均粒子径は約1.9nmであり、非常に狭い粒径分布を有する。
【0058】
図2A〜2Dは、本発明の、炭素に担持された、活性化後のPt、PtFe、PtVFeおよびPtNiFeナノ粒子のTEM画像である。この画像は、非常に狭い粒子径分布を有する非常に均一な粒子径を示している。
【0059】
ナノ粒子の組成の制御については、図3に図示されている。これは、本発明にしたがって調製された白金、バナジウムおよび鉄含有ナノ粒子のTEM画像と、エネルギー分散X線分光(EDX)組成分析である。添付の表は、画像中の各ハイライトスポットの組成(make-up)を示す。ハイライトスポットの間の平均原子組成のばらつきは約15%未満とすることができる。図3のナノ粒子は、後述の実施例11に述べるようにして製造された。
【0060】
担体物質またはキャリヤ物質は、高表面積担体またはキャリヤであってナノ粒子とともに用いられ、ナノ粒子を担持するための安定な表面を備えているものであるなら何でもよい。担体物質は、少なくとも約200m2/g以上、約800m2/g以上、および少なくいとも約1000m2/g以上の表面積を有する担体物質を含む、高表面積担体物質とすることができる。
【0061】
本発明の各種実施態様にしたがって、担体物質は、所望の触媒工程に利用する条件に対して比較的不活性であるのがよく、さらに、(1)活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、グラファイト、コークス、または木炭;(2)シリカまたはシリカゲル、シリコンカーバイド、粘土、およびたとえばチャイナクレー、珪藻土、フラー土(fuller's earth)、カオリンなど、合成的に製造されるもの、または天然に産出されるものを含むシリケート;(3)セラミック、磁器、ボーキサイト;(4)アルミナ、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、マグネシアなどの耐火性無機酸化物;(5)天然産出または合成的に製造したモルデン沸石および/またはフォージャサイトなどの結晶性および非晶性アルミノシリケート;および(6)これらの群の組合せなど、触媒反応工程に伝統的に利用されている別の担体物質あるいは触媒変性剤を含むことができる。
【0062】
本発明の各種実施態様にしたがって、カーボンブラック、炭素繊維、およびカーボンナノチューブなどの高表面積導電性炭素は、これらのナノ粒子が電極触媒として使用される場合は好ましい担体である。本発明の各種実施態様にしたがって、ナノ粒子が不均一系触媒として使用されるときは、γ−、δ−またはθ−アルミナなどの高表面積アルミナが好ましいアルミナ担体である。混合シリカアルミナ、ゾルーゲルアルミナ、ならびにゾルーゲルまたは共沈法アルミナ−ジルコニア担体などの他のアルミナ担体も使用できる。アルミナは通常ジルコニアなどの担体よりも高い表面積と高い細孔容積を有し、他の費用のかかる担体よりも有利な価格を提供する。
【0063】
本明細書中に引用したすべての刊行物、文献、論文、特許、特許公報、および他の参考文献はその全部をすべての目的のため、本明細書中に取り込むこととする。
【0064】
前述の説明は本発明の望ましい実施態様に向けられているが、当業者にとって他の変形ないし変更は明らかであるであろうこと、さらに本発明の精神または範囲から逸脱することなく行い得るであろうことに留意されたい。
【0065】
本発明のより完全な理解を提供するため以下の実施例を掲げる。本発明の原理を例示するため述べた特定の方法、条件、物質、および報告したデータは例示的なものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0066】
流体力学的回転ディスク電極測定
これらのナノ粒子の酸素還元反応に対する固有の動力学的特性(intrinsic kinetic properties)を流体力学的回転ディスク電極(RDE)装置を使用して電気化学的にスクリーニングした。適当な装置が、たとえばPine Instruments社(グローブ シティ,ペンシルベニア州)またはPrinceton Applied Research社(オークリッジ,テネシー州)から市場入手できる。18.2MΩの水20mL中20mgのサンプルで構成されるインクと1mLの5%ナフィオン溶液を超音波プローブ(probe)を使用して混合した。15μLの分量のインクを5mm直径のグラッシーカーボン電極(glassy carbon electrode)上に均等に染みこませて空気中で乾燥させた。高純度0.5MのH2SO4溶液を電極反応用媒体として使用した。
【0067】
サンプルを電気化学的に洗浄して汚染物を除去する。洗浄は硫酸溶液を5N Arで30分間パージすることによって行う。被覆したグラッシーカーボン電極を溶液中に置き、回転しないでサイクリックボルタンメトリ法(たとえば0〜1V、200mV/秒、100サイクル)によって洗浄した。
【0068】
洗浄後、ゆっくりしたサイクリックボルタンメトリ走査を記録(0〜1V、50mV/秒、1サイクル)し、白金ベースナノ粒子の電気化学的表面積を水素アンダーポテンシャル析出(UPD)によって計算した。次いでディスク電極を取除き、溶液を酸素で30分間パージして溶液を酸素で飽和させた。回転ディスク電極を溶液中に戻して置き、200〜3000rpmで回転させ、流体力学的陽極走査(hydrodynamic anodic scan)を行った(0〜1V、5mV/秒)。半波電位、E(1/2)、およびターフェルプロット(Tafel plot)などの、酸素還元反応に関する固有の動特性を反映させるいくつかの電気化学的パラメータが陽極走査に基いて計算でき、その結果、動力学的電流(kinetic current)または質量ベースの動力学的電流(mass-based kinetic current)を決定すること、および互いに比較することができる。
【0069】
電子顕微鏡画像
図1〜図3に示した透過電子顕微鏡画像は、日立製作所(東京、日本)およびJEOL(東京、日本)などから入手可能な市販のTEM装置で得られた。図3に示した組成分析は、TEMに附属のエネルギー分散X線分光器(EDX)によって行われた。
【0070】
実施例1
250mLの三口フラスコに50mLのオクチルエーテル、0.25gのHDD(1,2−ヘキサデカンジオール)、0.20gのPt(acac)2、1.0mLのOAM(オレイルアミン)および0.3mLのOAC(オレイン酸)を装入する。合成工程中、混合物を絶えず攪拌する。混合物を105℃に加熱しながら窒素でパージして残留水分を除去する。次いで混合物を230℃に加熱し、20分間還流させる。
【0071】
次に混合物を室温に放冷し、周囲環境下で内容物をより大きなフラスコに移す。エタノール(100mL)を加えて反応生成物を析出させる。次いで反応生成物を30mLのヘキサン中に分散させる。
【0072】
実施例2
高表面積のカーボンブラック140mg(ケッチェンブラックECP,ライオン株式会社,東京)を350mLのヘキサン中に懸濁させ、周囲温度の下で3時間超音波処理(sonicate)する。上述の実施例1からの黒い反応生成物(25mLの溶液中69.5mg)をカーボンブラック/ヘキサン懸濁液に加え、混合物を30分間超音波処理し、続いて15時間攪拌する。窒素を4〜8時間パージすることによって溶媒を除去し、残留固形物を集めて窒素下で乾燥させる。
【0073】
集めた固体を次いで窒素下で400℃に2時間加熱できる。有機物シェル成分は、20/80酸素/窒素混合物下で280℃に30分間加熱することによって除去できる。次いでこの固体を窒素流下で300℃に1時間加熱して残留酸素を除去する。温度を400℃に上げ、固体を15/85水素/窒素気流中に60分間さらす。次に固体を室温まで冷却する。
【0074】
実施例3
250mLの三口フラスコに120mLのオクチルエーテル、1.953gのHDDおよび1.014gのPt(acac)2を攪拌しながら装入する。混合物を105℃に加熱しながら窒素でパージして残留水分を除去する。この混合物に1.2mLのOAM、1.0mLのOACおよび0.68mLのFe(CO)5を加え、次いで混合物を加熱して275℃で40分間還流させる。
【0075】
次に混合物を室温まで放冷し、周囲環境下で内容物をより大きなフラスコに移す。エタノール(300mL)を加えて黒い生成物を析出させる。次いでこの黒い生成物を0.6mLのOAMおよび0.5mLのOAC存在下に150mLのヘキサン中に分散させ、次に300mLのエタノールを加えて析出させる。得られた固体はPt:Fe比が48:52である。
【0076】
実施例4
高表面積カーボンブラック(ケッチェンブラックECP)240mgを440mLのヘキサン中に懸濁させ、周囲温度の下で20時間超音波処理する。上述の実施例3からの黒い生成物(35mLの溶液中160mg)をカーボンブラック/ヘキサン懸濁液に加え、混合物を室温より低く0℃より高い温度で10時間超音波処理し、続いて20時間攪拌する。懸濁液を室温以下に約24時間保持し、次いで析出した粉末を集めて窒素存在下で乾燥させる。
【0077】
集めた固体を次いで300℃まで15/85酸素/窒素ガス混合物中で30分間加熱することによって有機物シェル成分を除くことができる。温度を450℃に上げ、固体を7/93水素/窒素ガス混合物に2時間さらす。次に固体を室温まで冷却する。
【0078】
実施例5
250mのL三口フラスコに60mLのオクチルエーテル、0.50gのHDD、0.40gのPt(acac)2および0.15gのVO(acac)2を絶えず攪拌しながら装入する。混合物を窒素雰囲気下に置いて105℃に加熱して残留水分を除去する。この混合物に0.3mLのOAM、0.3mLのOACおよび0.3mLのFe(CO)5を加え、次いで混合物を加熱して270℃で40分間還流させる。
【0079】
次に混合物を室温まで放冷し、周囲環境下で内容物をより大きなフラスコに移す。エタノール(200mL)を加えて黒い生成物を析出させる。次いでこの黒い生成物を0.15mLのOAMおよび0.15mLのOACの存在下に100mLのヘキサン中に分散させ、次に200mLのエタノールを加えて析出させる。得られた固体はPt:V:Fe比が32:14:54である。
【0080】
実施例6
250mLの三口フラスコに60mLのオクチルエーテル、0.50gのHDD、0.40gのPt(acac)2および0.20gのV(acac)2を装入し、混合物を絶えず攪拌する。混合物を窒素雰囲気下に置いて、105℃に加熱して残留水分を除去する。この混合物に0.3mLのOAM、0.3mLのOACおよび0.3mLのFe(CO)5を加え、次いで混合物を加熱して270℃で40分間還流させる。
【0081】
次に混合物を室温まで放冷し、周囲環境下で内容物をより大きなフラスコに移す。エタノール(200mL)を加えて黒い生成物を析出させる。次いでこの黒い生成物を0.15mLのOAMおよび0.15mLのOACの存在下に100mLのヘキサン中に分散させ、次に200mLのエタノールを加えて析出させる。得られた固体はPt:V:Fe比が33:12:55である。
【0082】
実施例7
250mLの三口フラスコに30mLのオクチルエーテル、0.90gのHDD、0.20gのPt(acac)2、0.075gのVO(acac)2、0.29gのFe(acac)2、0.2mLのOAMおよび0.2mLのOACを装入し、混合物を絶えず攪拌する。混合物を窒素雰囲気下に置いて、105℃に加熱して残留水分を除去する。次いで混合物を加熱して270℃で40分間還流させる。
【0083】
次に混合物を室温まで放冷し、周囲環境下で内容物をより大きなフラスコに移す。エタノール(200mL)を加えて黒い生成物を析出させる。次いでこの黒い生成物を0.15mLのOAMおよび0.15mLのOACの存在下に100mLのヘキサン中に分散させ、次に200mLのエタノールを加えて析出させる。得られた固体はPt:V:Fe比が27:11:62である。
【0084】
実施例8
250mLの三口フラスコに120mLのオクチルエーテルと180gのカーボンブラック(ケッチェンブラックECP)を装入し、混合物を4時間超音波処理する。次いで1.0gのHDD、0.413gのPt(acac)2および0.274gのVO(acac)2を装入し、該混合物を絶えず攪拌する。混合物を窒素雰囲気下に置いて、105℃に加熱して残留水分を除去する。この混合物に0.2mLのOAM、0.2mLのOACおよび0.15mLのFe(CO)5を加え、次いで混合物を加熱して270℃で40分間還流させる。
【0085】
次に混合物を室温まで放冷し、周囲環境下で内容物をより大きなフラスコに移す。エタノール(200mL)を加えて黒い生成物を析出させる。次いでこの黒い生成物を200mLのヘキサン中に分散させ、次に200mLのエタノールを加えて析出させる。得られた固体はPt:V:Fe比が37:30:33である。
【0086】
実施例9
500mLの三口フラスコに240mLのオクチルエーテル、4.0gのHDD、0.80gのPt(acac)2、0.37gのNi(acac)2、0.80gのFe(acac)2、4mLのOAMおよび1.2mLのOACを装入し、混合物を絶えず攪拌する。混合物を窒素雰囲気下に置いて105℃に加熱して残留水分を除去する。次いで混合物を加熱して230℃で30分間還流させる。
【0087】
次に混合物を室温まで放冷し、周囲環境下で内容物をより大きなフラスコに移す。エタノール(400mL)を加えて黒い生成物を析出させる。次いでこの黒い生成物を100mLのヘキサン中に分散させ、次に400mLのエタノールを加えて析出させる。得られた固体はPt:Ni:Fe比が30:29:41である。
【0088】
実施例10
250mLの三口フラスコに50mLのオクチルエーテル、0.25gのHDD、0.20gのPt(acac)2および0.133gのNi(acac)2を装入する。混合物を窒素雰囲気下に置いて105℃に加熱して残留水分を除去する。この混合物に1.0mLのOAM、0.3mLのOACおよび0.11mLのFe(CO)5を加え、次いで混合物を加熱して230℃で20分間還流させる。
【0089】
次に混合物を室温まで放冷し、周囲環境下で内容物をより大きなフラスコに移す。エタノール(100mL)を加えて黒い生成物を析出させる。次いでこの黒い生成物を0.1mLのOAMおよび0.1mLのOACの存在下に50mLのヘキサン中に分散させ、次に100mLのエタノールを加えて析出させ、遠心分離する。得られた固体はPt:Ni:Fe比が25:36:39である。
【0090】
実施例11
250mLの三口フラスコに70mLのオクチルエーテルと200gのカーボンブラック(ケッチェンブラックECP)を装入し、混合物を4時間超音波処理する。次いで0.25gのHDD、0.20gのPt(acac)2および0.075gのVO(acac)2を加え、混合物を絶えず攪拌する。混合物を窒素雰囲気下に置いて、105℃に加熱して残留水分を除去する。この混合物に0.15mLのFe(CO)5を加え、次いで混合物を加熱して270℃で40分間還流させる。
【0091】
次に混合物を室温まで放冷し、周囲環境下で内容物をより大きなフラスコに移す。生成物を析出させた。ついでこの黒い析出物を200mLのヘキサン中に分散させ、3回一夜析出させた。得られた固体はPt:V:Fe比が33:16:51である。
【0092】
実施例12
上述の実施例5の生成物を窒素下で400℃に40分間加熱した。次いで有機物シェル成分を15/85酸素/窒素混合物の下で90分間300℃に加熱することによって除去した。次いで固体の7つの異なるサンプルを、それぞれ15/85水素/窒素の気流中で350℃から650℃の範囲の異なる温度で2時間焼成した。次いでこの固体を室温に冷却した。
【0093】
次に7つのサンプルを流体力学的RDE装置でテストした。7つの各サンプルの相対的な質量ベースの活性(mass-based activity)を基準のPt/Cと比較して図4に示した。
【0094】
実施例13
上述の実施例9および10のそれぞれの生成物を窒素下で400℃に2時間加熱した。次に、15/85酸素/窒素混合物の下で280℃から300℃で60分間加熱することによって有機物シェル成分を除去した。次いでサンプルを窒素中300℃で2時間加熱することによって前還元した。2つのサンプルを次いで400℃で4時間、および500℃で2時間、15/85水素/窒素の気流中でそれぞれ焼成した。次に固体を室温に冷却した。
【0095】
上述の各種触媒の酸素還元反応に対する電気化学活性(electrochemical activities)が、市販のPt/C触媒と比較して図5に示されている。
【0096】
本発明の各種実施態様の前述の詳細な説明は、例示と説明の目的のため提供されたものである。本発明を完全包括的なものにしようとすること、あるいは開示した実施態様に寸分違わないものに限定しようとする意図はない。当業者にとって多くの変形や変化は明白なことであろう。本発明の原理とその実際的な適用を最もよく説明するために実施態様を選択して説明した。これにより、意図する特定の使用に適する各種実施態様および各種変形を有する本発明を他の当業者に理解させることが可能となる。本発明の範囲は添付の請求の範囲およびそれと同等物によって定義されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図1Aおよび1Cは、本発明に従って調製されたPtVFeおよびPtNiFeナノ粒子の透過電子顕微鏡(爾後“TEM”と呼ぶ)画像であり、図1Bおよび1Dはそれぞれの粒子径分布である。
【図2】図2Aから2Dは、本発明に従って調製された炭素に担持されたPt、PtFe、PtVFeおよびPtNiFeナノ粒子電極触媒のTEM画像である。
【図3】本発明に従って調製された白金、バナジウムおよび鉄を含有する各ナノ粒子のエネルギー分散型X線分光(爾後“EDX”と呼ぶ)組成分析とTEM画像である。
【図4】各焼成温度で本発明に従って調製された白金、バナジウムおよび鉄を含有するナノ粒子の、0.8Vにおける相対的質量ベース活性(relative mass-based activities)の棒グラフである。
【図5】市販の入手可能なPt/C触媒と比較した本発明に従って調製された各種の炭素に担持されたナノ粒子の相対的質量ベース活性の棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒系中において少くとも2種の異なる金属含有成分を還元剤および少くとも1つのキャッピング剤と接触させて反応混合物を生成させること;
該反応混合物を加熱すること;
該反応混合物を冷却すること;および
冷却した該反応混合物から合金ナノ粒子を析出させること;
を含む、合金ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記加熱を2段階で行う、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記反応混合物が還流状態に加熱される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記合金ナノ粒子を担体物質と接触させて担持された合金ナノ粒子を生成させることをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記担体物質が、炭素、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、無機物質、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記接触に先立って担体物質が溶媒系中に混合される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記合金ナノ粒子を十分な温度に加熱して溶媒を除去し、溶媒を含まない合金ナノ粒子を生成させること;
前記溶媒を含まない合金ナノ粒子を十分な酸化環境中で十分な温度に加熱して存在するキャッピング剤を酸化させ、脱キャップした合金ナノ粒子を生成させること;および
前記脱キャップした合金ナノ粒子を十分な還元環境中で十分な温度に加熱して該脱キャップした合金ナノ粒子の金属を還元すること;
の1つ以上をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記金属含有成分が、ヒドロキシル、アミン、カルボニル、ナイトレート、酸化物、アセチルアセトネート、ハロゲン化物、塩化物、アルキル含有部分、アルコキシ含有部分、アリール含有部分、ニトロシル含有部分、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の非金属部分を有する金属含有錯体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記金属含有成分が、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、錫、およびセレンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む金属含有錯体を含む、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記接触を、約300℃を超す温度で分解する高温溶媒系を含む溶媒系中で行う、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記高温溶媒系が、オクチルエーテル、ベンジルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、プロパノール、水、1−ブタノール、ジフェニルメタン、フェニルエーテル、エタノール、エチレンジアミン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記還元剤が、水素化ほう素ナトリウム、1,2−ヘキサデカンジオール、トリメチルアルミニウム、蟻酸、水酸化アンモニウム、ヒドラジン1水和物、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の還元剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記還元剤が、ソノリシス、沸騰液還元、逆ミセル、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる還元方法を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記キャッピング剤が、チオール、ポリアクリル酸、オレイルアミン、オレイン酸、トリメチルアルミニウム、ハロゲン化テトラオクチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、2−ハロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−アミノプロピル−トリメチルオキシシラン、オルト珪酸エチル、ポリ(エチレングリコール)、酢酸、1,10−フェナントロリン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含む、請求項1記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1つの第1の金属含有成分を還元剤と接触させて第1の反応混合物を生成させること;
前記第1の反応混合物を第1の温度に加熱すること;
前記第1の金属含有成分とは異なる少なくとも1つの第2の金属含有成分および少なくとも1つのキャッピング剤を、第1の温度で第1の反応混合物中に混合して第2の反応混合物を生成させること;
前記第2の反応混合物を第2の温度に加熱すること;
前記第2の反応混合物を冷却すること;および
冷却した前記第2の反応混合物から合金ナノ粒子を析出させることを含む、合金ナノ粒子の製造方法。
【請求項16】
前記第2の反応混合物が還流状態に加熱される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記合金ナノ粒子を担体物質と接触させて担持された合金ナノ粒子を生成させることをさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記担体物質が、炭素、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、無機物質、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記接触に先立って担体物質が溶媒系中に混合される、請求項15記載の方法。
【請求項20】
前記合金ナノ粒子を十分な温度に加熱して溶媒を除去し、溶媒を含まない合金ナノ粒子を生成させること;
前記溶媒を含まない合金ナノ粒子を十分な酸化環境中で十分な温度に加熱して存在するキャッピング剤を酸化させ、脱キャップした合金ナノ粒子を生成させること;および
前記脱キャップした合金ナノ粒子を十分な還元環境中で十分な温度に加熱して脱キャップした合金ナノ粒子の金属を還元すること;
の1つ以上をさらに含む、請求項15記載の方法。
【請求項21】
前記金属含有成分が、ヒドロキシル、アミン、カルボニル、ナイトレート、酸化物、アセチルアセトネート、ハロゲン化物、塩化物、アルキル含有部分、アルコキシ含有部分、アリール含有部分、ニトロシル含有部分、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の非金属部分を有する金属含有錯体を含む、請求項15記載の方法。
【請求項22】
前記金属含有成分が、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、プラチナ、銅、錫、およびセレンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む金属含有錯体を含む、請求項15記載の方法。
【請求項23】
前記接触を、約300℃を超す温度で分解する高温溶媒系を含む溶媒系中で行う、請求項15記載の方法。
【請求項24】
前記高温溶媒系が、オクチルエーテル、ベンジルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、プロパノール、水、1−ブタノール、ジフェニルメタン、フェニルエーテル、エタノール、エチレンジアミン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含む、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記還元剤が、水素化ほう素ナトリウム、1,2−ヘキサデカンジオール、トリメチルアルミニウム、蟻酸、水酸化アンモニウム、ヒドラジン1水和物、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の還元剤を含む、請求項15記載の方法。
【請求項26】
前記還元剤が、ソノリシス、沸騰液還元、逆ミセル、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる還元方法を含む、請求項15記載の方法。
【請求項27】
前記キャッピング剤が、チオール、ポリアクリル酸、オレイルアミン、オレイン酸、トリメチルアルミニウム、ハロゲン化テトラオクチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、2−ハロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−アミノプロピル−トリメチルオキシシラン、オルト珪酸エチル、ポリ(エチレングリコール)、酢酸、1,10−フェナントロリン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含む、請求項15記載の方法。
【請求項28】
溶媒系中において少くとも第1の金属含有成分と第2の金属含有成分とを還元剤と接触させて第1の反応混合物を生成させること;
前記第1の反応混合物を第1の温度に加熱すること;
少くとも第3の金属含有成分および少なくとも1つのキャッピング剤を該第1の温度で第1の反応混合物に混合して第2の反応混合物を生成させること;
前記第2の反応混合物を第2の温度に加熱すること;
前記反応混合物を冷却すること;および
冷却した前記反応混合物から合金ナノ粒子を析出させること;
を含む、合金ナノ粒子の製造方法。
【請求項29】
前記第2の反応混合物が還流状態に加熱される、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記合金ナノ粒子を担体物質と接触させて担持された合金ナノ粒子を生成させることをさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記担体物質が、炭素、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、無機物質、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記接触に先立って担体物質が溶媒系中に混合される、請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記合金ナノ粒子を十分な温度に加熱して溶媒を除去し、溶媒を含まない合金ナノ粒子を生成させること;
前記溶媒を含まない合金ナノ粒子を十分な酸化環境中で十分な温度に加熱して存在するキャッピング剤を酸化させ、脱キャップした合金ナノ粒子を生成させること;および
前記脱キャップした合金ナノ粒子を十分な還元環境中で十分な温度に加熱して脱キャップした合金ナノ粒子の金属を還元すること;
の1つ以上をさらに含む、請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記金属含有成分が、ヒドロキシル、アミン、カルボニル、ナイトレート、酸化物、アセチルアセトネート、ハロゲン化物、塩化物、アルキル含有部分、アルコキシ含有部分、アリール含有部分、ニトロシル含有部分、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の非金属部分を有する金属含有錯体を含む、請求項28記載の方法。
【請求項35】
前記金属含有成分が、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、錫、およびセレンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む金属含有錯体を含む、請求項28記載の方法。
【請求項36】
前記接触を、約300℃を超す温度で分解する高温溶媒系を含む溶媒系中で行う、請求項28記載の方法。
【請求項37】
前記高温溶媒系が、オクチルエーテル、ベンジルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、プロパノール、水、1−ブタノール、ジフェニルメタン、フェニルエーテル、エタノール、エチレンジアミン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記還元剤が、水素化ほう素ナトリウム、1,2−ヘキサデカンジオール、トリメチルアルミニウム、蟻酸、水酸化アンモニウム、ヒドラジン1水和物、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の還元剤を含む、請求項28記載の方法。
【請求項39】
前記還元剤が、ソノリシス、沸騰液還元、逆ミセル、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる還元方法を含む、請求項28記載の方法。
【請求項40】
前記キャッピング剤が、チオール、ポリアクリル酸、オレイルアミン、オレイン酸、トリメチルアルミニウム、ハロゲン化テトラオクチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、2−ハロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−アミノプロピル−トリメチルオキシシラン、オルト珪酸エチル、ポリ(エチレングリコール)、酢酸、1,10−フェナントロリン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含む、請求項28記載の方法。
【請求項41】
溶媒系中において金属含有成分を還元剤と接触させて反応混合物を生成させること;
前記反応混合物を第1の温度に加熱すること;
前記反応混合物を第2の温度に加熱すること;
前記反応混合物を冷却すること;および
冷却した前記反応混合物から金属ナノ粒子を析出させること
を含む、金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項42】
前記第2の温度が反応混合物を還流させるのに十分である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記金属ナノ粒子を担体物質と接触させて担持された金属ナノ粒子を生成させることをさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項44】
前記担体物質が、炭素、カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、無機物質、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記接触に先立って担体物質が、溶媒系中に混合される、請求項41記載の方法。
【請求項46】
キャッピング剤を反応混合物中に混合することをさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項47】
前記金属ナノ粒子を十分な温度に加熱して溶媒を除去し、溶媒を含まない金属ナノ粒子を生成させること;
前記溶媒を含まない金属ナノ粒子を十分な酸化環境中で十分な温度に加熱して存在するキャッピング剤を酸化させ、脱キャップした金属ナノ粒子を生成させること;および
前記脱キャップした金属ナノ粒子を十分な還元環境中で十分な温度に加熱して脱キャップした金属ナノ粒子の金属を還元すること;
の1つ以上をさらに含む、請求項46記載の方法。
【請求項48】
前記キャッピング剤が、チオール、ポリアクリル酸、オレイルアミン、オレイン酸、トリメチルアルミニウム、ハロゲン化テトラオクチルアンモニウム、臭化テトラオクチルアンモニウム、ハロゲン化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、ドデシル硫酸ナトリウム、2−ハロプロピオン酸、2−ブロモプロピオン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、3−アミノプロピル−トリメチルオキシシラン、オルト珪酸エチル、ポリ(エチレングリコール)、酢酸、1,10−フェナントロリン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含む、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記金属含有成分が、ヒドロキシル、アミン、カルボニル、ナイトレート、酸化物、アセチルアセトネート、ハロゲン化物、塩化物、アルキル含有部分、アルコキシ含有部分、アリール含有部分、ニトロシル含有部分、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の非金属部分を有する金属含有錯体を含む、請求項41記載の方法。
【請求項50】
前記金属含有成分が、チタン、ジルコニウム、バナジウム、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、錫、およびセレンからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属を含む金属含有錯体を含む、請求項41記載の方法。
【請求項51】
前記接触を、約300℃を超す温度で分解する高温溶媒系を含む溶媒系中で行う、請求項41記載の方法。
【請求項52】
前記高温溶媒系が、オクチルエーテル、ベンジルエーテル、トルエン、テトラヒドロフラン、ヘキサン、プロパノール、水、1−ブタノール、ジフェニルメタン、フェニルエーテル、エタノール、エチレンジアミン、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の成分を含む、請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記還元剤が、水素化ほう素ナトリウム、1,2−ヘキサデカンジオール、トリメチルアルミニウム、蟻酸、水酸化アンモニウム、ヒドラジン1水和物、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる1つ以上の還元剤を含む、請求項41記載の方法。
【請求項54】
前記還元剤が、ソノリシス、沸騰液還元、逆ミセル、およびそれらの組合せからなる群から選ばれる還元方法を含む、請求項41記載の方法。
【請求項55】
ナノ粒子の体積全体に亘って実質的に均等に分布し分散した2つ以上の金属を含有する合金ナノ粒子であって、95%を超える該ナノ粒子が1nmと6nmの間の粒子径を有する合金ナノ粒子。
【請求項56】
合金ナノ粒子中に存在する1つの単一金属のモル%で表した組成のばらつきが、一つのナノ粒子とその他のナノ粒子との間で15モル%以下である、請求項55記載の合金ナノ粒子。
【請求項57】
合金ナノ粒子中に存在する1つの単一金属のモル%で表した組成の平均ばらつきが、5モル%以下である、請求項55記載の合金ナノ粒子。
【請求項58】
70%を超える合金ナノ粒子が1.0nmと2.0nmの間の粒子径を有する、請求項55記載の合金ナノ粒子。
【請求項59】
70%を超える合金ナノ粒子が2.0nmと3.0nmの間の粒子径を有する、請求項55記載の合金ナノ粒子。
【請求項60】
70%を超える合金ナノ粒子が3.0nmと4.0nmの間の粒子径を有する、請求項55記載の合金ナノ粒子。
【請求項61】
70%を超える合金ナノ粒子が4.0nmと5.0nmの間の粒子径を有する、請求項55記載の合金ナノ粒子。
【請求項62】
70%を超える合金ナノ粒子が5.0nmと6.0nmの間の粒子径を有する、請求項55記載の合金ナノ粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−533862(P2007−533862A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509617(P2007−509617)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/013563
【国際公開番号】WO2005/118184
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(506353529)ザ リサーチ ファンデーション オヴ ザ ステート ユニヴァーシティ オヴ ニューヨーク (1)
【氏名又は名称原語表記】THE RESEARCH FOUNDATION OF THE STATE UNIVERSITY OF NEW YORK
【Fターム(参考)】