説明

金属マトリクス複合体についてのフィラメントワインディング

湿潤フィラメントワインディング方法、および固まった金属マトリクス複合体を製造するための装置が、記載される。この方法は、軟化金属浸透化繊維バンドルを巻き取る工程、得られた軟化金属浸透化繊維バンドルを、マンドレルの表面上の所定の模様で、回転マンドレル上に積層して、固まった金属マトリクス複合体を形成する工程に関する。冷却の際に、マトリクス金属が固体化し、得られた固まった金属マトリクス複合体は、マンドレルから取り外され得る。固まった金属マトリクス複合体は、種々の形状(例えば、シリンダー、テーパー状シリンダー、球形、卵型、立方体、直方体、多角形体、および平板)で製造され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、固まった金属マトリクス複合体(「MMC」)およびこれらの複合体を製造するための方法に関する。より詳細には、本発明は、固まった金属マトリクス複合体の成分の製造のための軟化金属浸透化繊維バンドルの直接的なフィラメントワインディングに関する。
【背景技術】
【0002】
宇宙産業および航空産業における使用のための次の世代の高度技術の材料は、高い剛性および強度と合わせて高い熱容量を所有することが必要である。積層金属マトリクス複合体から製造された成分は、モノリシックな材料とは対極的に、これらの必要性を満たし、これにより重量を最小限にしつつ、必要とされる高温度での強度および剛性ならびに構造的強度および剛性を満たすように、設計者の能力を有意に前進させる可能性を提供する。
【0003】
これらの型の積層金属マトリクス複合体は、一般に、金属(例えば、アルミニウム)のマトリクスにおいて、比較的連続した長い長さの強化繊維性材料(例えば、アルミニウムオキシド)を有する。連続した繊維金属マトリクス複合体構造は、一般的に、溶融マトリクス金属を、予備成型繊維を含む鋳型にキャスティングすることにより、形成され得る。圧力が使用されて、繊維を囲むマトリクス金属を押し込み得る。この型のプロセスにおいて使用されるキャスティング鋳型は、高価であり、鋳型のサイズが大きくなるにつれて、費用は大きく増加する。
【0004】
繊維強化金属マトリクス複合体管またはシリンダーは、予備成型された、繊維強化アルミニウムテープをマンドレル上に巻き取ることにより調製される。この巻き付けられた金属マトリクス複合体テープは、このテープの片側に蝋付けした層を提供し、このテープがマンドレル上に巻き付けられるように、互いに隣接するテープ層を蝋付けし、これにより、結合させ、そして下層のテープを直接強化することにより、隣接するテープ層で強化し、シリンダーを形成する。得られた複合体導管は、一般に、強化繊維を含むマトリクス金属の層および蝋付け物質の層を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、一般に、固まった金属マトリクス複合体、ならびに軟化金属浸透化繊維バンドルをマンドレル上に巻き取ることにより、固まった金属マトリクス複合体を形成する装置および方法に関する。軟化金属浸透化繊維バンドルの金属は、一部または全てが溶融化され得る。マンドレル上を覆う軟化金属浸透化繊維バンドルの中の金属は、浸透繊維バンドル間の実質的に間隙のない結合を形成するように混ざり、そしてこれを強化する。冷却の際に、マトリクス金属は、浸透した繊維の周囲で固体化し、これにより、固まった金属マトリクス複合体を製造する。得られた、固まった金属マトリクス複合体は、本体部分を有し、金属マトリクスは、実質的に連続し、実質的に間隙がない。
【0006】
本発明の特定の実施形態は、軟化金属マトリクス浸透化繊維を巻き取る装置を包含し、この装置は、浸透ユニット、金属バス、および回転マンドレルを備える。この浸透ユニットは、この金属バスから回転マンドレルへと、軟化金属浸透化繊維バンドルを供給し、固まった金属マトリクス組成物を形成する。他の実施形態において、浸透ユニットは、超音波導波管をさらに備え得る。さらなる実施形態において、この浸透ユニットの少なくとも一部は、金属バス中に沈み得る。さらに、回転マンドレルは、少なくとも部分的に、上記金属バス中に沈み得る。上記金属バスは、マトリクス金属を溶融金属として含み得る。他の実施形態において、この装置は、上記浸透ユニットと上記回転マンドレルとの間に位置決めされるダイを備え得る。なおさらに、本発明は、このダイの出口部分の付近に少なくとも1つの出口ローラを備え得る。
【0007】
特定の実施形態において、前記回転マンドレルは、断面形状(円形、卵型、楕円形、三角形、矩形、正方形、正多角形、不規則な多角形、ならびに他の閉じた領域の幾何学的形状が挙げられるがこれらに限定されない)を有し得る。さらに、この回転マンドレルは、得られた金属マトリクス複合体のシリンダー上に閉じた端部を形成するように適合された形状の端部を有し得る。他の実施形態において、回転マンドレルは、該回転マンドレルの回転軸に平行移動するように適合され得る。さらに、浸透ユニットは、上記回転マンドレルの回転軸に対して任意の方向(平行が挙げられる)に移動するように適合され得る。なおさらなる実施形態において、浸透ユニットは、マンドレルに対して旋回し得る。
【0008】
他の実施形態において、この浸透ユニットは、取り除かれ得、そしてこの金属マトリクス浸透化繊維バンドルは、金属マトリクス複合体テープとして供給され得る。このテープは、規定された断面形状の、金属浸透化繊維バンドルである。
【0009】
本発明はまた、固まった金属マトリクス複合体を形成する方法を包含する。特定の実施形態において、固まった金属マトリクス複合体を形成するための方法は、軟化金属浸透化繊維バンドルを提供する工程、および軟化金属浸透化繊維バンドルを回転マンドレル上に積層し、固まった金属マトリクス複合体を形成する工程を包含する。他の実施形態において、上記方法は、繊維バンドルに金属を浸透させ、軟化金属浸透化繊維バンドルを形成する工程を包含し得る。上記積層工程は、軟化金属浸透化繊維バンドルを、前記回転マンドレルの端部を越えて積層する工程をさらに包含し得る。さらに他の実施形態において、上記方法はまた、マトリクス金属を加熱することにより、上記軟化金属浸透化繊維バンドルを生じる工程を包含し得る。
【0010】
なお他の実施形態において、上記方法はまた、上記積層工程の前に、上記軟化金属浸透化繊維バンドルが、ダイを通過する工程を包含し得る。この方法はまた、軟化金属浸透化繊維バンドルの軟化金属の量を調節する工程を包含し得る。
【0011】
上記方法はまた、軟化金属浸透化繊維バンドルを、上記回転マンドレル上に位置決めする工程を包含し得、この軟化金属浸透化繊維バンドルは、上記回転マンドレルに対する接近角を有し、この接近角は、約0°〜約180°の範囲である。上記接近角は、約90°であり得る。上記方法はまた、積層工程の間に、上記回転マンドレルに対する接近角を変化させる工程を包含し得る。この方法は、上記回転マンドレルを、横方向に移動させる工程を包含し得る。
【0012】
なおさらに、本発明は、中を通って伸びる穴を規定する壁を有する本体部分を有する固まった金属マトリクス複合体を包含する。この壁は、この壁の体積全体にわたってマトリクス金属内の、実質的に均一な配置の連続繊維を含む。さらに、この金属マトリクスは、この壁の体積全体にわたり実質的に連続しており、そしてこの壁は、不均一な外部表面を有する。
【0013】
特定の実施形態において、この本体部分は、形状(シリンダー、テーパー状シリンダー、球、卵型、立方体、直方体、多角形体(polygonal solid)、パネルおよびディスクが挙げられるがこれらに限定されない)を有し得る。この本体部分は、断面形状(円形、卵型、楕円、三角形、矩形、正方形、正多角形、および不規則な多角形が挙げられるがこれらに限定されない)を有し得る。この本体部分は、閉じた端部を有し得る。
【0014】
なおさらに、この繊維は、本体部分に互いに平行に位置決めされ得る。他の実施形態において、連続した繊維は、繊維バンドルを備え得、繊維バンドルの少なくとも一部は、ある角度で重なり得る。この角度は、約0°より大きく約180°より小さい範囲であり得る。この角度は、さらに約35°〜約145°の範囲であり得る。この繊維としては、炭素繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、酸化アルミニウム繊維、ガラス繊維、石英繊維、玄武岩繊維、セラミック繊維、金属繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。このマトリクス金属としては、種々の金属および金属合金が挙げられ得る。いくつかの金属としては、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銀、金、白金、銅、パラジウム、亜鉛(これらの金属の合金、およびこれらの金属の1つ以上の組み合わせを含む)が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般に、軟化金属浸透化繊維バンドルを、回転マンドレル上に巻き取ることに関する。重ね合わせた軟化金属浸透化繊維バンドル中の金属は、固まった金属マトリクス複合体を形成するように、混ざり、そして固まる。軟化金属は、浸透化繊維バンドルの中のマトリクス金属である。この金属は、溶融状態にあるか、またはこのマトリクス金属が変形し、隣接する金属マトリクス浸透化繊維バンドルとともに最小限の力で固まるような温度にある。
【0016】
得られた、固まった金属マトリクス複合体は、種々の断面幾何形状を有し得る。固まった金属マトリクス複合体の形状としては、とりわけ、種々のサイズおよび形状の管ならびにシリンダーが挙げら得れる。これらの管およびシリンダーは、物品(例えば、導管、ダクト、フィードライン、圧力容器、貯蔵タンク、燃料タンク、ゴルフクラブの柄および軸、ならびにこれらの形状を利用するが、多すぎて言及できない他の物品)を形成するために使用され得る。本発明はまた、平坦なパネル金属マトリクス複合体の製造を企図する。本発明の方法および装置は、このようなプロセスにおいて代表的に使用される溶融および付随する作業に対する必要性を排除することにより、固まった金属マトリクス複合体の製造コストを有意に減少する。
【0017】
図1を参照して、本発明の実施形態により、固まった金属マトリクス複合体を形成するためにフィラメント巻き取り装置の例示が示され、そして、参照番号100と指定される。このフィラメント巻き取り装置100は、一般に、金属バス120を含む炉110、マトリクス金属の湿潤および1つ以上の繊維バンドル132への浸透を容易にする繊維バンドル浸透ユニット130、任意のダイ140、ならびに、軟化金属浸透化繊維バンドル134を巻き取り、所望される幾何学形状にする回転マンドレル150、を備える。一般的に、浸透とは、繊維バンドルの個別の繊維を金属マトリクスで取り囲み、その結果、浸透化繊維バンドルにおいて、最小限の間隙が存在するか、または実質的に間隙が存在しないことをいう。
【0018】
一般に、プロセスの温度に耐え、選択された軟化金属または溶融金属と接触し、そして繊維の特性を維持し得る任意の型の繊維が、使用され得る。好ましくは、この繊維は、マトリクス金属単独の力学的特性および/または物理的特性を超える、得られた金属マトリクス複合体の力学的特性および/または物理的特性を改善し得る。例示的な繊維としては、選択されたマトリクス金属に依存して、炭素繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、酸化アルミニウム繊維、ガラス繊維、石英繊維、玄武岩繊維、セラミック繊維、金属繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
マトリクス(すなわち、マトリクス金属)を形成するために使用される金属または金属合金は、そのマトリクス金属が、固まった金属マトリクス複合体を形成するために使用されるプロセス条件下にて、選択された繊維を破壊することなく選択された繊維バンドルに浸透可能である限り、特に制限されない。選択される繊維に依存する、可能なマトリクス金属としては、アルミニウム、マグネシウム、銀、金、白金、銅、パラジウム、亜鉛(合金、およびこれらの組み合わせを含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0020】
図1に示されるように、このフィラメント巻き取り装置は、金属バス120を含む炉110を備える。この金属バス120は、生じる固まった金属マトリクス複合体を生じるマトリクス金属となる、金属を含む。この炉110は、金属バス120を形成するように、使用される金属の少なくとも一部を溶液化する温度を持続し得る。この炉のサイズは、重要ではなく、かなり変化し得る。特定の実施形態において、図1に例示されるように、この炉110のサイズは、十分に大きく、その結果、この繊維浸透ユニット130の一部、および回転マンドレル150は、金属バス120内に沈み得る。
【0021】
この浸透ユニット130は、マトリクス金属の湿潤、および1つ以上の繊維バンドル132への浸透を容易にするように適合される。この浸透ユニット130は、音波プロセッサ160(例えば、超音波プロセッサ)を備え得る。この音波プロセッサ160は、金属バス120の中の金属の、繊維バンドル132への湿潤および浸透を容易にする。この音波プロセッサ160は、音波エネルギーを指向するための導波管162を備え得る。この音波プロセッサは、種々の市販のユニットの1つであり得る。この導波管162は、金属バス120の条件に耐え得るべきである。この導波管162は、多くの材料(例えば、チタン、ニオビウム、およびこれらの合金)から、加工され得る。振動数の範囲および出力は、マトリクス金属、浸透される繊維の型、ならびに繊維および繊維バンドルのサイズ、形状および数のようなファクターに依存して、可変調節され得る。特定の実施形態において、導波管162は、二重の壁の冷却チャンバに取り囲まれ、このチャンバを介して連続したガスパージを可能にし得る。音波プロセッサ160は、好ましくは、位置決めデバイス164に連結され、導波管162の位置の調節を規定する。位置決めデバイス164は、導波管162の上げ下げを可能にし、このようにして、導波管162と繊維バンドル132との間の距離は変化し得る。特定の実施形態において、導波管162の一部は、金属バス120の表面の付近か、または下に位置決めされ得る。
【0022】
繊維または繊維バンドル132は、導波管162の付近に位置決めされるべきであり、その結果、この繊維は、金属バス120からの金属で浸透される。この繊維が、導波管の十分近くに位置決めされない場合、この繊維は、金属バスからの金属で十分には浸透されないかもしれない。
【0023】
浸透プロセスの間、繊維バンドル132の処理および位置決めを補助するために、一連のローラが規定され、その繊維バンドルを配向し、金属バス内に向け、その繊維バンドルは、導波管162の近くを通過するかあるいは横切って通過し得る。図1に示される実施形態において、最初の繊維ガイド170が使用されて、繊維の供給源から繊維バンドル132を受容し、そして繊維または繊維バンドルを最初に配向する。繊維配向ガイド172が規定されて、この繊維バンドルをさらに配向し、そして位置決めし得る。特定の実施形態において、繊維配向ガイド172は、ローラであり得、このローラは、そのローラの周囲に一続きの溝を含む。この溝は、繊維または繊維バンドルを受容しそして位置決めするようなサイズにされる。この溝は、繊維配向ローラ上でこの繊維の位置を維持し、その結果、この繊維は、操作の間、繊維配向ローラに沿って水平移動しない。さらに、1つ以上の浸透ガイドが使用されて、金属バス中、そして導波管の近くまたは導波管を横断する繊維バンドルを指向し得る。第1の浸透ガイド174は、浸透ユニットの入力側130aの近くに位置決めされ得る。第2の浸透ガイド176は、浸透ユニットの出力側130bの付近に位置決めされ得、その結果、この導波管162は、第1の浸透ガイド174と第2の浸透ガイド176との間に位置決めされる。最初の繊維ガイド170、繊維配向ガイド172、ならびに浸透ガイド174および176は、ローラ、シリンダー、曲面、または他の類似のガイドであり得る。好ましくは、このガイドは、このガイドの表面が、このガイドに沿った繊維の移動を容易にし、そしてこの繊維がこのガイドに沿って移動する時に、繊維の破損を軽減するように構成される。
【0024】
図1に示されるように、任意のダイ140は、浸透ユニット130の出力側130bの近くに位置決めされ得る。このダイ140が使用されて、浸透化繊維バンドルを形付け、そしてこの繊維バンドルに付随するマトリクス金属の量を制御し得る。このダイ140の位置は、その適用に依存して変化し得る。このダイは、金属バス120の上に位置決めされても、部分的に沈められても、または完全に沈められてもよい。このダイ140は、ダイ位置決めデバイスに接続され得、このデバイスは、ダイの位置を水平方向および垂直方向において調節し得る。
【0025】
ここで図2を参照すると、ダイ140の実施形態が、より詳細に示される。この実施形態において、ダイ140は、このダイの本体143を通って伸びるダイ開口部142を備え、このダイは、浸透化繊維バンドルを所望される形状に形付ける。ダイ開口部142の形状は、任意の種々の幾何学形状(円形、卵型、楕円、三角形、多角形、不規則な多角形、および他の閉じた領域の幾何学的形状が挙げられるが、これらに限定されない)を有し得る。繊維バンドルの処理を容易にするために、ダイ開口部は、開放端部(relieved edge)または湾曲湾部(curved edge)144を有する。好ましくは、このダイ開口部の端部は、丸みがある。この端部の半径は、特に限定されない。好ましくは、この端部の半径は、ダイ開口部との接触に起因して、繊維破損の可能性を十分に軽減する。
【0026】
図3は、図2に示されるダイ140の平面断面図である。ダイ140は、丸みのあるダイ端部144を有するダイ開口部142を備え得、次に、ランド部分146を備え、この部分が、繊維バンドルを形付け、そして繊維バンドルに付着するマトリクス金属の量を相対的に制御する。ダイ140のランド部分146が、金属マトリクス複合体の繊維バンドルのサイズおよび繊維体積の分画を制御するために使用され得る。このダイの出口148の端部は、必要に応じて丸みを帯び得る。ダイ開口部142およびランド部分146は、ダイ140を形成するために使用される材料の接合部分内に形成される溝であり得る。
【0027】
このダイは、金属バスおよび浸透繊維バンドルに曝露される場合に、その形状および構造一体性を維持し得る材料から構成されるべきである。多くの適用について、このダイは、グラファイト、金属あるいは適切なセラミック材料または耐性材料から製造され得る。
【0028】
ここで図4を参照すると、ダイ140の出口部分が示される。この実施形態において、このダイの出口148は、1つ以上のダイ出口ガイドまたはダイ出口ローラの付近にある。図4に示される実施形態において、垂直な出口ローラ149aおよび149bは、ダイの出口148の各々の側に規定される。この出口ローラ149aおよび149bは、ダイ400から回転マンドレルへの浸透化繊維バンドルの移動を補助する。同様に、平行な出口ローラもまた、単独でか、または垂直出口ローラと組み合わせれて利用され得る。この出口ローラの角度および配向は、回転マンドレルの形状、位置および移動方向に応じて変化し得る。出口ローラは、金属バスおよび浸透繊維バンドルの条件に曝露される場合に、その形状および構造保全性を維持し得る材料から構成されるべきである。上記のダイと同様に、多くの適用について、このローラは、グラファイト、金属あるいは適切なセラミック材料または耐性材料から製造され得る。
【0029】
ここで図1を参照して、回転マンドレル150は、浸透ユニット130の出力側130bの付近に規定され、そして軟化金属浸透化繊維バンドル134を浸透ユニット130から受容するように位置決めされる。回転マンドレル150は、金属バス120の上に位置決めされても、このバス内に一部沈めても、全て沈めてもよい。この回転マンドレル150を位置決めするために、この回転マンドレルは、回転マンドレル位置決めデバイスに接続され得る。特定の実施形態において、この回転マンドレル150は、回転マンドレル150についての回転軸が、繊維浸透ユニット130またはダイ140を出る浸透化繊維バンドルの主軸に対してほぼ垂直であるように、位置決めされる。回転マンドレル150は、任意の周知の機構(例えば、直線運動モータ(linear motion motor))を使用することにより、回転軸に対して相対的に平行な方向に移動され得、金属マトリクス複合体の積層工程の制御を提供する。必要に応じて、ダイ140および浸透ユニット130は、回転マンドレルの回転軸に対して平行な軸上で移動され得る。
【0030】
マンドレル150は、種々の断面形状(円型、卵型、楕円、正方形、三角形、矩形、正多角形、不規則な多角形、平面および他の類似の断面が挙げられるが、これらに限定されない)を有し得る。必要に応じて、マンドレル152の一つの端部は、巻き取りプロセスの間に、固まった金属マトリクス複合体の閉じた端部を形成するために形付けた表面を有し得る。このマンドレル150は、マトリクス金属により有意に湿潤されない任意の適切な材料から製造され得、そしてマンドレルは、マトリクス金属および繊維バンドルに対して実質的に化学的に不活性である。このマンドレルは、好ましくは、金属バスの操作温度に耐性であり得、得られた固まった金属マトリクス複合体の熱膨張係数よりも大きいか、または等しい熱膨張係数を有する。マンドレルは、積層されるかまたは位置決めされた金属浸透化繊維バンドルおよび得られた固まった金属マトリクス複合体を支持するのに十分な強度を有するべきである。多くの適用について、マンドレルは、グラファイト、金属あるいは適切なセラミック材料または耐性材料から製造され得る。マンドレルは、好ましくは、例えば、たて削り(slotting)、分解、破壊(collapsing)、機械による除去、またはマンドレルを溶解することにより固まった金属マトリクスから取り外されるように構築される。
【0031】
図5を参照すると、フィラメント巻き取り装置のための代替の実施形態が示され、そして参照番号200として提供される。この実施形態において、浸透ユニットは、予備浸透化した金属マトリクス複合体テープまたはワイヤ232を引っ張り、金属バス120および必要に応じてダイ140を通し、次に回転マンドレル150上に巻き取ることにより、取り外されてもよい。予備浸透化金属マトリクス複合体232を引っ張り、金属バス120を通すことにより、このマトリクス金属は、軟化されて、軟化金属浸透化繊維バンドル234を形成し、回転マンドレル150上で固まること可能にする。
【0032】
例示の目的のためであり、本発明を限定しないが、本発明の実施形態によるフィラメント巻き取りにより、固まった金属マトリクス複合体を形成するための方法が、記載される。この方法は、一般に、軟化した浸透化繊維バンドルを回転マンドレル上に巻き取る工程を包含し、マトリクス金属は軟化し、巻き取り工程の際に、隣接する浸透化繊維バンドルのマトリクス金属が混ざり、これにより、重なった浸透化繊維バンドル間で、実質的に間隙のない固まった金属マトリクス複合体を形成する。冷却の際に、マトリクス金属は、固体化し、得られた固まった金属マトリクス複合体は、マンドレルから、取り出され得る。
【0033】
ここで図1を参照すると、この繊維バンドル132は、浸透ユニット130に持続的に送られ、金属バス120中に浸され得る。この金属は、浸透の間および/または浸透前に脱気されて、軟化金属中の気体(例えば、水素)の量を減少し得る。繊維が、金属バスに入るか、または金属バスを出る点において、入口の周囲に不活性ガス(例えば、窒素またはアルゴン)を提供し、金属バスの表面上に金属酸化物膜の形成を最小限にすることが有利であり得る。繊維が、金属バスに入るかまたは金属バスを出る場合に、この薄膜は、繊維により引っ掛け(pick up)られ、浸透化繊維バンドルまたは固まった金属マトリクス複合体に欠陥を生じ得る。
【0034】
繊維バンドルが、浸透ユニット130を通過する場合に、この繊維は、導波管162の近くを通過する。導波管162は、超音波エネルギーを、繊維を通って、繊維を取り巻く金属に向ける。この金属は、繊維に湿潤し、その結果、繊維バンドルの各々個別の繊維は、実質的に金属により取り囲まれるか、または包埋され、好ましくは間隙をなくすか、または最小限にし、そして軟化金属浸透化繊維バンドル134を形成する。
【0035】
軟化金属マトリクス浸透化繊維バンドル134は、次いで、引っ張られてダイ140を通り、浸透化繊維バンドルを形付け、そして浸透化繊維バンドルの繊維体積の画分を制御し得る。ダイ140は、上に議論されるとおりの特定の利点を提供するが、ダイ140は、省略されても良い。
【0036】
装置100を介して繊維を引っ張るために、この繊維バンドルは、回転マンドレル150に付けられ得る。マンドレル150の回転の際に、浸透化繊維バンドル134は、引っ張られてダイ140を通るか、または浸透ユニット130から引っ張られ、そして回転マンドレル150上に配置される。この間、浸透化繊維バンドル134中の金属は、軟化状態のままである。軟化状態の金属は、全てか、または部分的に溶融状態の金属であり得る。マンドレル150の回転は、浸透化繊維バンドル134が、装置100を介して引っ張られる速度を制御する。マンドレルの回転軸に対する浸透化繊維バンドルの接近角は、約0°より大きく、約180°より小さくあり得る。この角度は、マンドレル150の回転軸に対して、浸透ユニット130および必要に応じてダイ140を、旋回することにより達成され得る。あるいは、マンドレル150は、浸透ユニット130および必要に応じてダイ140とは別個にか、あるいは組み合わせて旋回され得る。この接近角は、マンドレル150の回転速度、およびマンドレル150が回転軸に沿って移動する速度を制御することにより、浸透ユニット130または回転マンドレル150を旋回することなく変化され得る。図4に示されるように、ダイの出口148の各々の側方のローラ149aおよび149bは、回転マンドレル150に対する接近角を90°から移動する場合に、有利である。ローラは、繊維がダイの出口148の端部から摩擦を受けることを防ぎ、このようにして、繊維が回転マンドレル150上に巻き取られるときに、この繊維が破損する可能性を減少する。
【0037】
マンドレル150が回転するとき、軟化金属浸透化繊維バンドルは、規定された模様でマンドレル上に積層され、十分な数の層がマンドレルの表面を覆う。浸透化繊維バンドルが積層された模様は、広範に変化し得、そしてこの模様は、回転マンドレルの移動を介して、ならびに浸透ユニットおよびダイを、マンドレルの回転と別個にかまたはマンドレルの回転と連結して旋回することにより、制御され得る。特定の実施形態において、回転マンドレルは、マンドレルの回転軸に対して平行移動し、浸透化繊維バンドルのマンドレル上への積層工程の制御を提供する。浸透化繊維バンドルの積層工程の間、マンドレルの回転速度に対する、回転マンドレルが回転軸に沿って移動する距離および速度は、得られる固まった金属マトリクス複合体の繊維の配向を決定し得る。浸透化繊維バンドルの積層工程の配向としては、回転軸周囲の円形(circular)またはフープ形(hoop)あるいは織物の外観をもたらすヘリカル形の模様が挙げられるがこれらに限定されない。
【0038】
あるいは、回転マンドレル150の回転軸に対して平行な移動ではなく、ダイ140および浸透ユニット130は、移動および旋回して、浸透繊維バンドルの接近角を変化させ得る。回転マンドレルは、繊維が繊維供給源から引っ張られる速度を決定する。
【0039】
一旦、軟化金属マトリクス浸透化繊維バンドルが、回転マンドレル150上に巻き取られると、マトリクス金属は、マンドレル上に(例えば冷却により)硬化されて、これにより固まった金属マトリクス複合体を製造し得る。固まった金属マトリクス複合体は、次いで、マンドレルから取り外され得る。固まった金属マトリクス複合体を取り外す前に、マトリクス金属を、硬化することにより、所望される断面形状が維持されることが確実となる。
【0040】
好ましくは、軟化マトリクス金属の表面上での金属酸化物の形成は、浸透と固まることとの間で最小限にされる。このような酸化物は、マンドレル上のマトリクス金属浸透化繊維バンドルの連続した層間の適切な結合を妨害し得る。酸化物の形成に対して本質的に不活性な環境において、上記操作を実施することにより、酸化物の発生が予防され得るか、またはその形成が妨害され得る。このような環境は、溶融マトリクス金属のバス内に少なくとも部分的に沈めて、上記の操作を実施することにより、提供され得る。溶融金属マトリクスバスの使用は、バス表面上の垢の発生を導くかもしれない。垢が、浸透化繊維バンドル内に閉じ込められないように、または浸透化繊維バンドルの上に取り込まれないように、注意して実施しなければならない。あるいは、上記操作は、加熱された環境(例えば、オーブン、炉、あるいは酸化物の形成に対して本質的に不活性であるか、または非反応性である大気を有する加熱装置により提供される)において、完全に、または部分的に実施され得る。
【0041】
本発明の範囲を限定するようには意図されないが、製造された、固まった金属マトリクス複合体の実施形態が、一般的に記載される。固まった金属マトリクス複合体は、回転マンドレルの形状に依存して、種々の断面形状(例えば、円形、卵型、楕円、正方形、三角形、矩形、正多角形、不規則な多角形、平面および他の類似の断面形状)で形成され得る。さらに、固まった金属マトリクス複合体は、形状(シリンダー、テーパー状シリンダー、球、卵型、立方体、直方体、多角形体、パネルおよびディスクが挙げられるがこれらに限定されない)を有し得る。
【0042】
一般に、固まった金属マトリクス複合体中のマトリクス金属は、固まった金属マトリクス複合体の形状の全体にわたって強化され、一体化して形成され、その結果、隣接する浸透化繊維バンドルの間には、間隙は存在しないか、あるいは間隙またはギャップがわずかに存在する。得られた固まった金属マトリクス複合体は、種々の断面形状を有し得るが、円形の断面を有する固まった金属マトリクス複合体が記載される。
【0043】
図6を参照すると、本発明の実施形態による、固まった金属マトリクス複合体300が示され、これは、シリンダーの形態である。固まった金属マトリクス複合体300は、壁304を有する本体部分302を備え、この壁は、その壁を通って伸びる穴306を規定する。壁304は、この壁の体積全体にわたって、実質的に均一な分布のマトリクス金属の連続した繊維を有する。さらに、この金属マトリクスは、壁304の体積の全体にわたって実質的に連続している。この繊維バンドルは、マンドレル上に巻き取られることから、壁304の外部表面308は、一般に、わずかに不均一であり、浸透化繊維バンドル310は、代表的に、壁304の外部表面308上で見ることが出来る。図6に例示される実施形態において、固まった金属マトリクス複合体300中の浸透化繊維バンドル310の配向は、一般的に、回転軸Yの周囲のフープに隣接する形態である。繊維バンドルの配向は、マンドレルの回転速度に対する回転マンドレルの移動により決定され得る。回転マンドレルの移動が、マンドレルの回転スピードに対して低い場合、浸透化繊維バンドルが配置され、次にシリンダーの回転軸Yの周囲に互いに繊維の円を形成するか、またはフープを形成する。軟化金属マトリクス浸透化繊維バンドルが、マンドレル上に置かれる接近角は、回転軸に対して約90°の角度である。浸透化繊維バンドル310は、一般に、金属マトリクス複合体内で互いに対して平行である。固まった金属マトリクス複合体の壁310の厚さは、回転マンドレルの周囲に配置される浸透化繊維バンドル層の数が増加するにつれて、大きくなる。
【0044】
ここで図7を参照すると、固まった金属マトリクス複合体400の別の実施形態が例示される。この実施形態において、浸透化繊維バンドル410の大部分は、壁404の外部表面408上で可視のヘリカル形模様および布織り模様を作成する角度で、他の繊維と重なる。この模様は、回転マンドレルに対する軟化金属マトリクス浸透化繊維バンドルの接近角を、約0°より大きく約180°より小さく変化させることにより作製される。これは、回転マンドレルが、回転軸に対して平行移動する速度を増加させることによるか、あるいは、浸透ユニットおよびダイを、マンドレルの旋回と別個にか、または合わせて旋回させることにより達成され得る。この実施形態において、浸透化繊維バンドルは、回転マンドレルの周囲に巻き取られ、そして布織り型の模様を形成する。この繊維の群は、互いにある角度にある。固まった金属マトリクス複合体中の浸透化繊維バンドルは、互いに約10°〜約90°の範囲の角度であり得る。形付けられた端部を有するマンドレルが、巻き取りプロセスの間に使用される実施形態において、シリンダー400に対して閉じた端部412が形成され得る。
【0045】
図8を参照すると、図8の固まった金属マトリクス複合体の断面図である。見られ得るように壁404の外部表面408は、金属浸透化繊維バンドルのヘリカル形積層工程に起因して、異なる領域において壁の厚さが変化することにより、全体的に、不均一である。
【0046】
得られた金属マトリクス複合体の性質は、マトリクス金属、繊維、複合体を形成するのに使用される層の数、および複合体内の繊維の配向のようなファクターに依存して広範に変化する。一般に、固まった金属マトリクス複合体は、両端をシールする場合に、気圧および液圧に耐えることができる。この複合体が耐えることができる圧力は、上記のファクターに依存する。
【0047】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を例示するために提供され、本発明の範囲を限定するとは意図されない。
【実施例】
【0048】
(実施例1)
フィラメント巻き取り金属マトリクス複合体のシリンダーを、6トウの10,000デニールのアルミナ繊維(商標名Nextel(登録商標)610で3M Companyから入手可能)のバンドルを、テンションスプールを備えたクリールから、アイレットガイドと位置決めローラとのセットを通して供給することにより、製造した。このバンドルを、溶融アルミニウムのバスに向け、約1350°Fに維持した。溶融アルミニウムを、アルミニウムを溶解することにより調製した(99.99% Al)。溶融アルミニウムを、超音波振動により、繊維バンドル内に浸透させた。超音波振動を、超音波プロセッサに連結した導波管により提供した。この導波管は、直径1インチのTi−6Al−4V(wt%)の拡張器(extender)および純粋なNbチップを備えた。Nb導波管の先端を、繊維バンドルの0.050’’内に位置決めし、20kHzで操作した。繊維バンドルの先端を、マンドレルに連結し、このマンドレルを、交差結合(cross−link)を介してモーターに連結してその回転を制御し、そして手動のねじ回しに連結して、その外部の旋回を制御した。マンドレルの回転により、この繊維バンドルを引っ張り、溶融アルミニウムを通し、浸透ユニットを通過させた。このセットアップを使用して、手動のねじ回し機構に連結したノブを手動で回転させることにより外装の位置を制御しながら、円形の外装またはフープ形の外装を有するいくつかのシリンダーを、製造した。さらに、直径4’’の大きな端部から直径3’’の小さな端部へのステップダウンテーパーを有する、1つのシリンダーを製造した。
【0049】
(実施例2)
フィラメント巻き取り金属マトリクス複合体のシリンダーを、6トウの10,000デニールのアルミナ繊維(商標名Nextel(登録商標)610で3M Companyから入手可能)のバンドルを、テンションスプールを備えたクリールから、一連のテンションローラと、アイレットガイドと位置決めローラとを通して供給することにより、製造した。このバンドルを、溶融アルミニウムのバスに向け、約1350°Fに維持した。溶融アルミニウムを、99.99%のアルミニウムを溶解することにより、調製した。溶融アルミニウムを、超音波振動を介して繊維バンドル内に浸透させた。この超音波振動を、超音波プロセッサに連結した導波管により提供した。この導波管は、直径1インチのTi−6Al−4V(%)の拡張器および純粋なNbチップを備えた。Nb導波管の先端を、繊維バンドルの0.050’’内に位置決めし、20kHzで操作した。繊維バンドルの先端を、マンドレルに連結し、このマンドレルを、繊維巻き取り器(McClean−Anderson,Schofield,WI)に接続し、マンドレルの回転により、この繊維バンドルを引っ張り、溶融アルミニウムを通した。中程度の(medium)グレーン押出成型グラファイトロッドから製造したマンドレルの大部分を、溶融アルミニウムに沈め、チェーン駆動を介してフィラメント巻き取り器のスピンドルドライブに接続した。スプロケットから構成されるチェーン駆動を、フィラメント巻き取り器の頭部材および尾部材の中に装填した鍵付き(keyed)軸に取り付け、第2のスプロケットを、マンドレルの駆動軸に取り付けた。このマンドレルをまた、フィラメント巻き取り器のキャリッジに連結し、スプロケットをブッシュ上に取り付け、一連の軸受け支持体でマンドレルホルダを支持することによって、上記の第1スプロケットを鍵付き軸に対してスライドさせることにより、この装置の横方向の運動を、得た。フィラメント巻き取り器の本来の制御運動は、保存されることから、この機械を、繊維バンドルが、所定のパターンでマンドレル上に層を形成するようにプログラムし得た。この方法を使用して、表1に列挙する性質を有するシリンダーを製造した。
【0050】
(表1)
【0051】
【化1】

表1に示されるレイアップ(lay−up)は、得られた複合体内に含まれる積層の角度の略語である。例えば、[90]の表記は、4つの90°(すなわちフープ形の層)がマンドレル上におかれ、この複合体を形成することを意味する。同様に、[90/±67.5]の表記は、マンドレルの回転軸に対して+67.5°および−67.5°の角度で繊維を構成する1つのフープ形の層および2つのヘリカル形層がマンドレル上に置かれ、この複合体を形成することを意味する。
【0052】
上記の実施例は、限定であると解釈されるべきでなく、本発明の多くの実施形態のうちのほんのすこしの例示である。本発明は、本発明の範囲から逸脱することなく多くの様式において変化され得、そして添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の実施形態による、フィラメント巻き取り装置のダイアグラム図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態による、ダイの斜視図である。
【図3】図3は、図2におけるダイの断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態による、ダイの出口部分の斜視図である。
【図5】図5は、フィラメント巻き取り装置の別の実施形態のダイアグラム図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態による、固まった金属マトリクス複合体の斜視図である。
【図7】図7は、本発明の別の実施形態による、固まった金属マトリクス複合体の斜視図である。
【図8】図8は、図7に示される、固まった金属マトリクス複合体の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟化金属マトリクス浸透化繊維を巻き取るための装置であって、
該装置は:
浸透ユニット;
金属バス;および
回転マンドレル、
を備え、ここで、該浸透ユニットは、軟化金属浸透化繊維バンドルを、該金属バスから該回転マンドレルへと供給し、固まった金属マトリクス複合体を形成する、装置。
【請求項2】
前記回転マンドレルは、少なくとも部分的に前記金属バス中に沈む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記金属バスが、溶融金属である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
以下:
前記浸透ユニットと前記回転マンドレルとの間に位置決めされるダイ
をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ダイは、該ダイの出口部分の近くに少なくとも1つの出口ローラをさらに備える、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記回転マンドレルは、円形、卵型、楕円、三角形、矩形、正方形、正多角形、不規則な多角形、および他の閉じたエリアの幾何学形状からなる群より選択される断面形状を有する、装置。
【請求項7】
前記回転マンドレルは、該回転マンドレルの回転軸に対して、平行移動するように適合されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記浸透ユニットが、超音波導波管をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
固まった金属マトリクス複合体を形成するための方法であって、以下:
軟化金属浸透化繊維バンドルを提供する工程;および
該軟化金属浸透化繊維バンドルを、回転マンドレルの上に積層し、固まった金属マトリクス複合体を提供する工程、
を包含する、方法。
【請求項10】
繊維バンドルに金属を浸透させて、前記軟化金属浸透化繊維バンドルを形成する工程をさらに包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記積層工程の前に、前記軟化金属浸透化繊維バンドルがダイを通る工程をさらに包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記軟化金属浸透化繊維バンドルを、前記回転マンドレルの上に位置決めする工程をさらに包含し、該軟化金属浸透化繊維バンドルは、該回転マンドレルの回転軸に対する接近角を有し、該角度は、約0°〜約180°の範囲である、方法。
【請求項13】
前記接近角が、約90°である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記積層工程の間に、前記回転マンドレルに対する接近角を変化させる工程をさらに包含する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記積層工程は、前記軟化金属浸透化繊維バンドルを、前記回転マンドレルの端部の上に積層する工程をさらに包含する、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
固まった金属マトリクス複合体であって、以下:
本体部分であって、該本体部分が、壁を有し、該壁が該壁を通って伸びる穴を規定する、本体部分、
を備え、ここで該壁は、該壁の体積全体にわたってマトリクス金属の実質的に均一な分布の連続した繊維を備え、該金属マトリクスは、該壁の体積全体にわたって実質的に連続し、そして、該壁は、不均一な外側表面を有する、複合体。
【請求項17】
前記繊維は、前記本体部分において、互いに、ほぼ平行に位置決めされる、請求項16に記載の固まった金属マトリクス複合体。
【請求項18】
前記連続した繊維は、繊維バンドルを含み、該繊維バンドルの少なくとも一部は、ある角度で重なる、請求項16に記載の固まった金属マトリクス複合体。
【請求項19】
前記角度は、約0°より大きく、約180°より小さい、請求項18に記載の固まった金属マトリクス複合体。
【請求項20】
前記本体部分は、円形、卵型、楕円、三角形、矩形、正方形、正多角形および不規則な多角形からなる群より選択される、断面形状を有する、請求項16に記載の固まった金属マトリクス複合体。
【請求項21】
前記マトリクス金属は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、銀、金、白金、銅、パラジウム、亜鉛、合金、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16に記載の固まった金属マトリクス複合体。
【請求項22】
前記繊維は、炭素繊維、ホウ素繊維、炭化ケイ素繊維、酸化アルミニウム繊維、ガラス繊維、石英繊維、玄武岩繊維、セラミック繊維、金属繊維、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項16に記載の固まった金属マトリクス複合体。
【請求項23】
軟化金属浸透化繊維バンドルを溶融金属の体積から回転マンドレルへ提供し、該軟化金属浸透化繊維バンドルを該回転マンドレルの上に積層し、そして積層された軟化金属浸透化繊維バンドルを強化することにより製造される、請求項16に記載の固まった金属マトリクス複合体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−518876(P2007−518876A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541712(P2006−541712)
【出願日】平成16年11月24日(2004.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2004/039570
【国際公開番号】WO2005/052207
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(504299553)タッチストーン リサーチ ラボラトリー, リミテッド (3)
【Fターム(参考)】