説明

金属光沢ラミネート加工紙

【課題】 つなぎ目がなく、幾何学模様などを自在に発現させることが容易で、デザインの自由度が大幅に広げることができ、偽造防止等の用途に有利であり、低廉で、リサイクル可能であり、後加工性にも優れている金属光沢ラミネート加工紙を提供する。
【解決手段】 ホログラム化していない無地の転写用金属蒸着プラスチックフィルムを、押出ラミネーションで、紙又は板紙と貼合時に、内部から加熱することにより、干渉縞を発生させてレインボー調の柄を発現させ、その後、フィルムを剥離し表面にプライマーをコーティングして金属光沢ラミネート加工紙を生成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ホログラム化していない無地の転写用金属蒸着プラスチックフィルムを、押出ラミネーションで、紙又は板紙と貼合時に、内部から加熱することにより、干渉縞を発生させてレインボー調の柄を発現させ、その後、フィルムを剥離し表面にプライマーをコーティングして生成した金属光沢ラミネート加工紙に関する。
【背景技術】
【0002】
既成のホログラムフィルム(ホログラム加工をした金属蒸着プラスチックフィルム)を、ウェットラミネーション又は、ドライラミネーション又は、押出ラミネーションによって貼合したものや、既成のホログラム転写フィルム(ホログラム加工をした転写用金属蒸着プラスチックフィルム)を、ウェットラミネーション又は、ドライラミネーションで貼合した後、プラスチックフィルムを剥離し、ホログラム蒸着層のみを紙の表面に残す方法で生成された加工紙は、例えば、特許文献1に示すように公知である。
【0003】
【特許文献1】特公平6−077174号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この加工紙は、既成フィルムを貼合するだけのため、加工は簡単で美しい加工紙が製造できると共に、包装材料又はディスプレイ用に使用されるホログラムフィルムは、ホログラム技術を駆使し、美しい干渉縞を発生したレインボー調や、美しい幾何学模様のものが使われており、際立った美粧性がある。
【0005】
しかしながら、上記従来の加工紙のホログラムフィルムは、製造上、一定のピッチ(ストローク)でつなぎ部分が発生し、ホログラムが、断続的又は、重なりを生ずるという問題を有し、このことは、主たる用途である包装用紙、パッケージ又はPOP、ディスプレイなどに使用する場合、デザインや、寸法による箱の設計上支障をきたす要因となっている。加えて、上記従来の加工紙は、高輝度で、鮮明なホログラムで美しく、目立ちすぎるため、この上へのデザイン(印刷等)の難易度が高い、という問題をも有していた。さらに、フィルム自体が、高価なため、加工紙としての価格も高価である。
【0006】
この発明は、かかる現状に鑑み創案されたものであって、その目的とするところは、つなぎ目がなく、幾何学模様などを自在に発現させることが容易で、デザインの自由度が大幅に広げることができ、偽造防止等の用途に有利であり、低廉で、リサイクル可能であり、後加工性にも優れた金属光沢ラミネート加工紙を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の金属光沢ラミネート加工紙は、ホログラム化していない無地の転写用金属蒸着プラスチックフィルムを、押出ラミネーションで、紙又は板紙と貼合時に、内部から加熱することにより、干渉縞を発生させてレインボー調の柄を発現させ、その後、フィルムを剥離し表面にプライマーをコーティングして生成したことを特徴とする。
【0008】
即ち、この発明の重要なポイントは、フィルムを剥離する前に、押出ラミネーションを加熱する点にある。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の金属光沢ラミネート加工紙を技術的前提とし、前記押出ラミネーションは、プラスチック樹脂の溶融押出ラミネーションで、接着剤としてのエチレンメタクリル酸(EMAA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)、エチレンアクリル酸(EAA)、アイオノマー樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン(PMP)等を使用したことを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の金属光沢ラミネート加工紙を技術的前提とし、前記プラスチック樹脂の溶融温度を、250℃〜360℃としたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の金属光沢ラミネート加工紙は、ホログラム化していない無地の転写用金属蒸着プラスチックフィルムを、ウェットラミネーション又はドライラミネーションで、紙又は板紙と貼合後で、かつプラスチックフィルムを剥離させる以前に、フィルムの表面から加熱することにより、干渉縞を発生させてレインボー調の柄を発現させ、その後、フィルムを剥離し表面にプライマーをコーティングして生成したことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の金属光沢ラミネート加工紙を技術的前提とし、前記ウェットラミネーションは、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、EVA系エマルジョン、水性ウレタン系エマルジョンの接着剤を使用したことを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の金属光沢ラミネート加工紙を技術的前提とし、前記ドライラミネーションは、イソシアネート硬化型ウレタン系接着剤又はアクリル系接着剤を使用したことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5または請求項6に記載の金属光沢ラミネート加工紙を技術的前提とし、前記表面からの加熱温度を、100℃〜270℃で生成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、既成のホログラムフィルムを使用した従来の加工紙の場合、つなぎ目(ストローク)にあわせて平判カットするものなど、紙寸法そのものに制限を与えるが、この発明に係る金属光沢ラミネート加工紙は、ホログラム化していない無地の転写用金属蒸着フィルムを使用したので、つなぎ目が発生しないため、流れ寸法が自在で、また、箱の寸法設計が自在となる。
【0016】
また、模様のある彫刻発熱ロールを使用することにより、幾何学模様等を自在に発現させることができる。
【0017】
さらに、押出ラミネーション時の条件設定により、独自の筋状模様を発現させることができ、温度条件250℃〜360℃で、フィルムテンション加工スピードにより調整することができる。
【0018】
そして、従来の既成ホログラムフィルムは、高輝度、高鮮明度であるが故の欠点であるデザインの自由度のなさが、本発明に係る加工紙は、落ち着いたレインボー調であるため、デザインの自由度が大幅に広がる。
【0019】
そして、今までにない独自の風合い、外観であり、また、レインボー調の目視による指向性があり、光源による発色の違いがあることから、偽造防止等の用途に有利である。
【0020】
請求項4に記載のウェットラミネーション、ドライラミネーション法による加工紙は、表面にフィルムが残ることがなく、接着剤層にフィルムが介在しないため、環境に対するリスクは非常に少なく、リサイクルも可能である。
【0021】
また、透明度の高いインクをプライマーとして使用することにより、色彩豊かなバリエーションが可能となる。
【0022】
さらに、後加工適正について、オフセット印刷、UVオフセット印刷、UVスクリーン印刷、グラビア印刷の各印刷適正があり印刷可能であると共に、エマルジョンによるサック貼り適性が良好であり、さらには、表面保護加工適性に優れ、オフセットOPニス、UVコーチング、フィルム貼りが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面に示す一実施形態例に基づき、この発明を詳細に説明する。
【0024】
図1に示すように、この実施形態例に係る金属光沢ラミネート加工紙Kは、紙又は板紙1の上に接着剤層2が、該接着剤層2の上に金属蒸着層3が、該金属蒸着層3の上に接着剥離層4が、該金属蒸着剥離層4の上にプラスチックフィルム5が重合されている。
【0025】
紙または板紙1は、従来公知の紙または板紙と同様に構成されているので、その詳細な説明はここでは省略する。
【0026】
接着剤層2は、ポリエチレン(PE)樹脂層であり、押出ラミネーションの場合には、紙又は板紙1との貼合時に、内部から250℃〜360℃で加熱することにより、干渉縞を発生させてレインボー調の柄を発現させ、その後、フィルム5を剥離し表面にプライマーをコーティングして生成されている。
【0027】
勿論、ウェットラミネーション又はドライラミネーション法で金属光沢ラミネート加工紙Kを製造する場合には、該接着剤層2を加熱せずに、紙又は板紙1と貼合後で、かつプラスチックフィルム5を剥離させる以前に、該フィルム5の表面から100℃〜270℃で加熱することにより、干渉縞を発生させてレインボー調の柄を発現させ、その後、フィルム5を剥離し表面にプライマーをコーティングして生成する。
【0028】
接着剤層2は、押出ラミネーションの場合には、上記ポリエチレン(PE)樹脂の他に、エチレンメタクリル酸(EMAA)、ポリプロピレン(PP)、エチレンビニルアセテート(EVA)、エチレンエチルアクリレート(EEA)、エチレンアクリル酸(EAA)、アイオノマー樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルペンテン(PMP)等を使用することができる。
【0029】
尚、上記接着剤層2は、ウェットラミネーション又はドライラミネーションの場合も、同様の樹脂を使用することができる。
【0030】
ホログラム化していない無地の転写用金属蒸着プラスチックフィルムは、上記金属蒸着層3と接着剥離層4とプラスチックフィルム5から形成されており、従来の無地の転写用金属蒸着プラスチックフィルムを使用することができるので、その詳細な説明をここでは省略する。
【0031】
そして、押出ラミネーションの場合には、紙又は板紙1との貼合時に、内部から250℃〜360℃で加熱することにより、干渉縞を発生させてレインボー調の柄を発現させ、その後、フィルム5を剥離し、表面にプライマーをコーティングする。
【0032】
ウェットラミネーション又はドライラミネーションの場合には、上記接着剤層2を加熱せずに、紙又は板紙1と貼合後で、かつプラスチックフィルム5を剥離する以前に、該フィルム5の表面から100℃〜270℃で加熱することにより、干渉縞を発生させてレインボー調の柄を発現させ、その後、フィルム5を剥離し表面にプライマーをコーティングする。
【0033】
この実施形態例に係る金属光沢ラミネート加工紙Kは、ホログラム化していない無地の転写用金属蒸着フィルムを使用したので、つなぎ目が発生せず、流れ寸法が自在で、また、箱の寸法設計が自在となり、また、模様のある彫刻発熱ロールを使用することにより、幾何学模様等を自在に発現させることができると共に、押出ラミネーション時の条件設定により、独自の筋状模様を発現させることができ、温度条件250℃〜360℃で、フィルムテンション加工スピードにより調整することができる。
【0034】
また、この実施形態例に係る加工紙Kは、落ち着いたレインボー調であるため、デザインの自由度が大幅に広がり、さらには、今までにない独自の風合い、外観であり、また、レインボー調の目視による指向性があり、光源による発色の違いがあることから、偽造防止等の用途に有利であると共に、ウェットラミネーション、ドライラミネーションによる加工紙Kは、表面にフィルム5が残ることがなく、接着剤層にフィルムが介在しないため、環境に対するリスクは非常に少なく、リサイクルも可能である。
【0035】
また、透明度の高いインクをプライマーとして使用することにより、色彩豊かなバリエーションが可能となり、さらには、後加工適正について、オフセット印刷、UVオフセット印刷、UVスクリーン印刷、グラビア印刷の各印刷適正があり印刷可能であると共に、エマルジョンによるサック貼り適性が良好であり、さらには、表面保護加工適性に優れ、オフセットOPニス、UVコーチング、フィルム貼りが可能である等、幾多の優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の一実施形態例に係る金属光沢ラミネート加工紙の一部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0037】
K 金属光沢ラミネート加工紙
1 紙又は板紙
2 接着剤層
3 金属蒸着層
4 接着剥離層
5 プラスチックフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラム化していない無地の転写用金属蒸着プラスチックフィルムを、押出ラミネーションで、紙又は板紙と貼合時に、内部から加熱することにより、干渉縞を発生させてレインボー調の柄を発現させ、その後、フィルムを剥離し表面にプライマーをコーティングして生成したことを特徴とする金属光沢ラミネート加工紙。
【請求項2】
前記押出ラミネーションは、プラスチック樹脂の溶融押出ラミネーションで、接着剤としてのエチレンメタクリル酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、エチレンエチルアクリレート、エチレンアクリル酸、アイオノマー樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテンを使用して生成したことを特徴とする請求項1に記載の金属光沢ラミネート加工紙。
【請求項3】
前記プラスチック樹脂の溶融温度を、250℃〜360℃で生成としたことを特徴とする請求項2に記載の金属光沢ラミネート加工紙。
【請求項4】
ホログラム化していない無地の転写用金属蒸着プラスチックフィルムを、ウェットラミネーション又はドライラミネーションで、紙又は板紙と貼合後で、かつプラスチックフィルムを剥離させる以前に、フィルムの表面から加熱することにより、干渉縞を発生させてレインボー調の柄を発現させ、その後、フィルムを剥離し表面にプライマーをコーティングして生成したことを特徴とする金属光沢ラミネート加工紙。
【請求項5】
前記ウェットラミネーションは、アクリル系エマルジョン、酢酸ビニル系エマルジョン、EVA系エマルジョン、水性ウレタン系エマルジョンの接着剤を使用したもので生成したことを特徴とする請求項4に記載の金属光沢ラミネート加工紙。
【請求項6】
前記ドライラミネーションは、イソシアネート硬化型ウレタン系接着剤又はアクリル系接着剤を使用したもので生成したことを特徴とする請求項4に記載の金属光沢ラミネート加工紙。
【請求項7】
前記表面からの加熱温度を、100℃〜270℃で生成したことを特徴とする請求項5又は請求項6のいずれかに記載の金属光沢ラミネート加工紙。

【図1】
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【公開番号】特開2009−78357(P2009−78357A)
【公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−247101(P2007−247101)
【出願日】平成19年9月25日(2007.9.25)
【出願人】(000219680)東海加工紙株式会社 (8)
【Fターム(参考)】