説明

金属有機構造体型結晶性ポーラスアルミニウム芳香族アゾカルボキシラートの製造方法

本発明は、非水溶性有機溶媒中でポーラス結晶アルミニウム芳香族アゾカルボキシラートの金属有機構造体(MOF)固体の製造方法に関する。本発明はまた、本発明の方法により得られるポーラス結晶アルミニウム芳香族アゾカルボキシラートの金属有機構造体(MOF)からなる固体に関し、かつそれらの液体又はガス分子の貯蔵のための使用、選択的ガス分離のための使用及び触媒のための使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水有機溶媒中でポーラス結晶アルミニウム芳香族アゾカルボキシラートのMOF固体の製造方法に関する。本発明はまた、本発明の方法により得られるポーラス結晶アルミニウム芳香族アゾカルボキシラートの金属有機構造体(MOF)からなる固体に関し、かつそれらの液体又はガス分子の貯蔵のための使用、選択的ガス分離のための使用及び触媒のための使用に関する。
【0002】
以下の説明において、括弧[ ]の中の参照は、本明細書の最後の参考文献リストの番号を意味する。
【背景技術】
【0003】
金属有機構造体(MOF)は、ミクロポーラス(又はその部分としてメソポーラス)固体の新規なクラスを構成するものである。これらは、強固な有機リガンド(例えばベンゼン環を含む)と金属中心の3次元的集合体という概念に基づく。これらは、孤立したクラスタ、無限鎖又は無機層であってカルボキシラート又はアミン型の結合を介して前記有機リガンドによりお互いが結合されるように配置されることができる。Yaghi[1]、Kitagawa[2]及びFerey[3]などのいくつかの研究グループが、非常に大きな多孔性(BET表面積>3000m−1)を持つ3次元構造体を与える結晶性固体を形成する方法を開示している。
【0004】
通常、この種類の物質は比表面積により特徴付けられる(取り込まれる分子が接近可能の薄膜内部スペース多孔性についての正確な値を与える)。これらの比表面積(物質1グラムあたりのmで与えられる)は、例えばBrunauer−Emmett−Teller(又はBET)方法で測定でき、この方法では77Kでの窒素の化学吸着により孔の表面を測定することを可能とする(多層モデル)。又はこれらの比表面積は、Langmuirであって、同じ方法で単一膜モデルを用いて測定される。これらの新規物質は、例えば水素[4−6]、メタン[7、8]又は二酸化炭素[8]などの非常に優れた吸収剤であることが知られている。さらに、この種類の固体は、医薬的分子を埋包するために使用され(いくつかは生物学的適合性がある)、医薬的分子から制御塩析のために使用されることができる。
【0005】
産業経済的見地から、いくつかの研究グループが、この新たなポーラス物質につき研究の焦点を当ててきた。実際、ドイツBASF(Ludwigshafen、Germany)及びYaghiグループ(UCLA、USA)は、本質的に有機リガンド(主に芳香族カルボキシラート)を含む2価(アルカリ土類第一遷移金属)又は3価(希土類)を基礎とする新規固体形成の合成方法及び形成方法を開発している[10、11]。例えばアルミニウム及び亜鉛などの金属と、例えばテレフタル酸、トリメシン酸、ナフタレン−2、6−ジカルボン酸とを組み込む固体の製造方法がまた記載されている[12、13]。
【0006】
10年以上、Gerard Ferey (Versailles)の研究チームは、金属有機構造体(MOD)形のポーラス固体の合成及び特性研究を、いくつかの研究分野、特にアルミニウムを導入したMOF固体の合成について行っている[3]。特に、例えばアルミニウムテレフタル酸MIL−53[14]、アルミニウムナフタラートMIL−69[15]及びアルミニウムトリメサートMIL−96[16]及びMIL−110[17]などの結晶性ポーラスアルミニウムカルボキシラートの合成について記載されている。ここでMil−nの意味は、Materials of the Lavoisier Institute (Materiaux de l’Institut Lavoisier、MIL、in French)を意味する。これらの固体のいくつかは、非常に興味あるガス(H、CO、CH)の吸収容量を有する[5、8]。
【0007】
このシリーズの他の2つであって、亜鉛テレフタレートMOF−5[18]及び銅トリメシテートHKUST−1[19]についてもまた記載されていることは留意すべきである。
【0008】
他の物質もまた、テレフタル酸との他の物質、他の合成条件又は他のリガンド(例えば、トリメシン酸、ナフタレン−1、4−ジカルボン酸、ベンゼン1、2、4、5−テトラカルボン酸など)を用いて得られている[20]。DMF(N、N’−ジメチルホルムアミド)溶媒の存在下[21]でトリメシン酸又はフマル酸[22]とアルミニウムカルボキシラートの合成、又はアルミニウム及び他の金属(例えばTi、Mg、La、Mo)[23]のカルボキラートの合成が記載されている。最後に、オスロ大学のノルウェー特許はまた、MIL−53型の固体を、アミノ基(−NH)で官能化させたテレフタル酸から製造することを開示している[24]。
【0009】
特に研究された種々の化合物のうち、アルミニウム導入物が、この種類の物質の低製造コストの点から産業上研究されてきている。さらに、軽元素して、アルミニウム系物質は例えばH、CH、COなどの分子に対し高い貯蔵容量を有するものである。
【0010】
これまで知られたMOF(特にアルミニウム系MOF)製造プロセスのなかで、アルミニウムアゾカルボキシレート配位子を含むMOF物質の製造は全く記載されていない。また、この物質の構造及び構成要素の立体構造についてもこれまで全く研究されてこなかった。しかし、驚くべきことに、結晶性アルミニウムアゾカルボキシラート系MOFは、多孔性及び純度の点から特に興味のあるものであることが分かった。
【0011】
一般的に、MOF物質の構造及び多孔性を制御することは難しい。これは例えば、これらの物質を製造する際に前記構造体が相互に侵入又は離脱して物質の多孔性を低減させて高密度にする恐れがあることに関係する。従って、得られる物質は不適切な多孔性を持つ不均一な構造を有する結果となる。
【0012】
従って、アルミニウムアゾカルボキシラート系MOFであって、その構造が制御されて特定の性質、特に、結晶構造、吸収されるべき分子に合わせたポア直径、改良された比表面積及び/又は吸収容量などの性質を有するMOFを製造することができることは興味がある。
【0013】
さらに、ほとんどの知られたプロセスで得られるアルミニウム系MOF固体は、望ましい応用には適さないものがあり得る。例えば、これらはいくつかの物質の混合物であったり、非結晶性であったり、又はMOF固体の製造時に除去されなかった望ましくない副生成物不純物を含んでいたりするからである。さらに、係る固体は常に十分な多孔性を示すものではなく、従って十分な吸収容量を示すものではない。
【0014】
これまで、望ましい純度、多孔性及び結晶特性を持つMOFタイプのアルミニウムアゾカルボキシラートを、高収率で製造する方法は存在しなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
従って、金属有機構造体、MOF型の結晶性アルミニウムアゾカルボキシラートの製造方法であって、再生可能でありかつ産業上利用可能な方法に対する実際の要求が存在する。
【0016】
さらに、金属有機構造体、MOF型の結晶性アルミニウムアゾカルボキシラートの製造方法であって、特別の精製及び/又は結晶化ステップの追加を必要とせず、結晶性MOFで単一相、高純度(副生成物の存在しない)、かつMOFが意図される使用に適合する十分な多孔性(porosity)を示すMOFの製造方法に対する実際の要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の目的は、これらの要求に正に合致するものであり、結晶性ポーラスアルミニウム芳香族アゾカルボキシラートを製造する方法であり、少なくとも次のステップ:
(i)非水有機溶媒中で、
金属Al、金属塩Al3+又は金属イオンAl3+を含む配位化合物の形での少なくとも金属無機前駆体と;及び
少なくとも前記配位子Lの有機前駆体とを混合するステップと;
(ii)前記(i)で得られた前記混合物を少なくとも50℃よりも高い温度で加熱して前記固体を得るステップとを、含む方法であり、
ここでLはR(COOの式で表される、芳香族アゾジ−、アゾトリ−、アゾテトラ−カルボキシラートリガンドであり、
及びRは独立して、
モノ−又はポリ−サイクリック、縮合又は非縮合のアリールラジカルであり、6〜50、例えば6〜27の炭素数を持ち、又は
モノ−又はポリ−サイクリック、縮合又は非縮合のヘテロアリールラジカルであり、4〜50、例えば4〜20の炭素数を持ち、
は、C1−10アルキル、C2−10アルケン、C2−10アルキン、C3−10シクロアルキル、C1−10ヘテロアルキル、C1−10ハロアルキル、C6−10アリール、C3−20ヘテロサイクリック、C6−10アリールC1−10アルキル、C5−10ヘテロアリールC1−10アルキル、F、Cl、Br、I、−NO、−CN、−CF、−CHCF、−OH、−CHOH、−CHCHOH、−NH、−CHNH、−NHCHO、−COOH、−CONH、−SOH、−POを含む群から選択される、独立した少なくともひとつ又はそれ以上により置換されてもよく、
q=2〜4である。
【0018】
本発明において、用語「結晶性固体」及び「結晶固体」は次の固体を意味するため、区別しては用いられていない。即ち固体中で、原子、イオン又は分子が、3次空間中で長距離秩序配置されており、それぞれの固体が特定の回折ピーク(例えばX線)からなる特徴を有する、固体を意味する。
【0019】
「非結晶性(アモルファス)固体」とは、原子又は分子が、局所的な秩序はあるけれども、長距離では無秩序に積層されている、固体を意味する。これは、1又はそれ以上の非常に広い回折ピーク(例えばX線)を生じ、物質の正確な同定を抑制する(例えば、いくつかの固体が共存して同じ回折特徴を与える可能性がある、など)。
【0020】
多くの固体では、原子、イオン又は分子は、製造条件に従っていくつかの配置に適合することができる。これら異なる配置は、与えられた化学系での種々の存在する「相」を構成する。種々の相の融点、密度などの物理的性質は区別可能であり、固体を区別することができる。
【0021】
本発明の意味で、「アルキル」は、飽和の、場合により置換されていてもよい、直鎖又は分枝炭化水素ラジカルであり炭素数1〜12、例えば1〜10、例えば1〜8、例えば1〜6を含むものを意味する。例えばアルキルラジカルには、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、sec−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシルラジカルなどを意味する。
【0022】
本発明において、「アルケン」は、直鎖又は分枝、サイクリック又は非サイクリックの、不飽和炭化水素ラジカルを意味し、少なくともひとつの二重結合を含む。アルキレンラジカルは、2〜20炭素数、例えば2〜10、より具体的には2〜8、さらに具体的には2〜6炭素数を含むことができる。例えば、アルケニルラジカルには、アリル、エテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イルラジカルなどが含まれる。
【0023】
「アルキン」は、直鎖又は分枝、サイクリック又は非サイクリック不飽和炭化水素であり、少なくともひとつの三重炭素−炭素結合を含む。アルキニルラジカルは、2〜20、好ましくは2〜10、より好ましくは1〜8、さらに好ましくは2〜6の炭素数を含む。例えば、アルキニルラジカルには、エチニル、2−プロピニル(プロパルギル)、1−プロピニルラジカルなどが含まれる。
【0024】
本発明において、「アリール」とは、少なくともHuckelの芳香族規則を満たす環状を含む芳香族系である。前記アリールは場合により6〜50、例えば6〜27、特に6〜14、より具体的に6〜12の炭素数を持つ。例えばアリールラジカルは、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニル基などのラジカルを含む。
【0025】
本発明の「ヘテロアリール」とは、少なくとも4〜50、例えば4〜20の炭素数を含む芳香族環と、特に硫黄、酸素、窒素を含む群から選択されるヘテロ原子とを含む系である。前記ヘテロアリルは置換されていてもよい。例えば、ヘテロアリルラジカルには、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニルラジカルなどが含まれる。
【0026】
本発明の「シクロアルキル」は、サイクリックで、飽和又は不飽和、場合により置換されていてよい炭化水素ラジカルであり、3〜10炭素数を含む。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−メチルシクロブチル、2、3−ジメチルシクロブチル、4−メチルシクロブチル、3−シクロペンチルプロピルが挙げられる。
【0027】
本発明の「ハロアルキル」は、例えば上で定義されたアルキルラジカルであり、フッ素、臭素、塩素、ヨウ素を含む群から選択される少なくともひとつのハロゲンを含む。
【0028】
本発明の「ヘテロアルキル」は、前記定義されたアルキルラジカルであり、前記アルキル系は少なくともひとつのへテロ原子を含み、ヘテロ原子が、硫黄、酸素、窒素、リンを含む群から選択される。
【0029】
本発明の「ヘテロサイクル」は、飽和又は不飽和の、場合により置換されていてもよく、少なくともひとつのヘテロ原子を含むサイクリック炭化水素ラジカルであり、少なくともひとつのヘテロ原子を含み、3〜20、好ましくは5〜20、より好ましくは5〜10の炭素数を含んでよい。ヘテロ原子は、硫黄、酸素、窒素、リンを含む群から選択される。例えばヘテロサイクリックラジカルは、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペラジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル又はテトラヒドロフラニル基が含まれる。
【0030】
本発明において、「アルコキシ」、「アリルオキシ」、「ヘテロアルコキシ」、「ヘテロアリルオキシ」とはそれぞれ、酸素と結合するアルキル、アリル、ヘテロアルキル及びヘテロアリルラジカルを意味する。例えばアルコシキラジカルには、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、ネオペントキシ、n−ヘキソキシラジカルなどを含む。
【0031】
用語「置換」とは、例えば、与えられた構造の水素原子を例えば前記定義された基で交換することを意味する。ひとつ以上の位置が置換される場合、置換基は同じであってもよく異なっていてもよい。
【0032】
本発明において、有機溶媒は、単一溶媒又は複数の有機溶媒の混合物であってよい。
【0033】
本発明において、「非水溶媒」とは、ひとつの溶媒又は溶媒混合物であり、全溶媒に対して5重量%までの水、好ましくは1重量%、さらに好ましく0.1重量%、さらに好ましくは0.01重量%までの水を含む。
【0034】
非水有機溶媒には、N、N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N、N−ジエチルホルムアミド(DEF)、ジオキサン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、シクロヘキサノール、ピリジン、トルエン、エチルアセテート、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。
【0035】
非水有機溶媒はより具体的には、DMF、DEF、ジオキサン、メタノール、エタノール、DMSOを含む群から選択される。
【0036】
ステップ(i)での金属無機前駆体は、金属Al、Al3+金属塩又はAl3+を含む配位化合物であり得る。好ましくは前記金属無機前駆体は金属Al又はAl3+金属塩である。金属塩の場合、対イオンは、スルファート、ナイトラート、ナイトライト、スルファイト、ビスルファイト、ホスファート、ホスファイト、フロリド、クロリド、ブロマイド、ヨーダイド、パークロレート、カルボナート、ビカルボナートを含む群から選択される無機イオンが挙げられる。対イオンはまた、アセタート、ホルマート、オキザラート、シトラート、エトキシ、イソプロキシを含む群から選択される有機イオンが挙げられる。好ましくは金属無機前駆体はAl3+金属塩である。
【0037】
本発明の固体の結晶立体構造は、この物質の特徴であり構成の基礎を形成する。特に、これは、孔サイズを制御し、物質の比表面積に影響を与え吸収特性に影響を与える。また、相対的に小さい物質の密度を制御し、これらの物質の金属の比、物質の安定性及び構造の柔軟性などを制御する。
【0038】
さらに、ポアサイズは、適切なリガンドLを選択することで調節することができる。本発明の方法で、リガンドLはより具体的には芳香族アゾジ−又はアゾテトラ−カルボン酸リガンドであり、C12(CO(アゾベンゼン−4、4’−ジカルボキシレート)、C12Cl(CO(ジクロロ−アゾベンゼン−4、4’−ジカルボキシレート)、C12(CO(アゾベンゼン−3、3’、5、5’−テトラカルボキシレート)、C12(OH)(CO(ジヒドロキシ−アゾベンゼン−4、4’−ジカルボキシレート)を含む群から選択される。
【0039】
ステップ(i)では、前記金属無機前駆体及び配位子Lの有機前駆体がモル比1及び5の間の範囲で混合され得る。
【0040】
上で説明したように、本発明によりMOF固体は結晶構造を有し、これらの物質に特別の性質を付与している。本発明による方法において、結晶化は正確な温度範囲で行われる。従って、ステップ(ii)では、混合物は50℃〜150℃の範囲で加熱される。混合物は1〜10日間加熱され得る。一日は24時間に対応する。混合物は閉鎖セル内で加熱されてもよい。
【0041】
ステップ(ii)は、10Paよりも高い自原的圧力で実施されることが有利である。ここで「自原的圧力」とは、閉鎖反応容器内で与えられる温度で試薬により生じる圧力を意味する。
【0042】
ステップ(ii)で得られる固体は、さらに、活性化ステップ(iii)に供してもよい。ここで、固体は100℃〜300℃の範囲、好ましくは100℃〜200℃の温度に加熱される。このステップで、固体は1〜48時間加熱されてよい。
【0043】
活性化ステップ(iii)は、場合により、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジエチルホルムアミド(DEF)、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)又は水を含む群から選択される溶媒中で実施されてよい。
【0044】
この活性化ステップ(iii)で、本発明のMOF固体のポア(孔)を空にすることが可能となり、前記固体の意図される使用のために使用可能となる。孔を空にすることは、例えば反応媒体中に存在する水、酸、溶媒分子及び/又は必要な場合リガンドL分子を除去することにより可能である。得られるMOD固体は、より強い吸収及び貯蔵容量を示す。
【0045】
本発明の対象はまた本発明の製造方法で得られる、結晶性でポーラスアルミニウム芳香族アゾカルボキシラートのMOF固体であり、式(I)で表される3次元に連続するパターンを含む。
【0046】
Al (I)
ここで、
Alは、Al3+
mは、1〜15、例えば1〜8;
kは、0〜15、例えば1〜8;
lは、0〜10、例えば1〜8;
pは、1〜10、例えば1〜5;
m、k、l及びpは、前記パターンの荷電が中和されるように選択される;
Xは、OH、Cl、F、I、Br、SO2−、NO、ClO、PF、BF、R−(COO、R−(SO、R−(POを含む群から選択されるアニオンであり、Rは水素、直鎖又は分枝、場合により置換されていてもよいC1−12アルキルであり、n=1〜4を表す。
Lは、上で定義されたものである。
【0047】
本発明の方法により製造されるアルミニウム芳香族アゾカルボキシラートMOF固体はいくつかの利点を持ち、特に:
結晶性固体である、
高純度である(例えば水酸化アルミニウムなどの副生成物は見出されない)、及び
十分な多孔性を示し(3500 m/gまでのLangmuir 比表面積)、特に、特定の分子の吸収特性を制御することを可能にする。
【0048】
好ましくは、Xは、OH、Cl、F、ClOから選択される。
【0049】
本発明によるMOF固体は好ましくは、Alが5重量%〜50重量%を含む。
【0050】
本発明の方法で得られるMOF固体は、ポア(孔)を持ち、より具体的にはミクロポア及び/又はメソポアを持つ。ミクロポアは、2nm以下の直径(直径≦2nm)を持つポアとして、又メソポアは2nmより大きく50nmまでの直径(2nm<直径<50nm)を持つポアとして定義される。好ましくは、本発明のMOF固体のポア直径は0.2nm〜6nmの範囲である。ミクロ及びメソポアの存在は、DIN66131による77Kでの窒素のMOF固体への吸収容量を決定する吸収測定により確認され得る。
【0051】
ポーラスな結晶性アルミニウム芳香族アゾカルボキシラートMOFからなる固体の比表面積はBET法による測定から及び/又はLangmuirモデルによる計算から得られる。本発明の固体はBET比表面積として50〜4200m/g、より具体的には100〜3000m/gの範囲である。Langmuir表面積としては、50〜6000m/g、より具体的には150〜3500m/gの範囲である。
【0052】
本発明のMOF固体は、ポア容量が0.3〜4cm/gを有利に持つ。本発明において、本発明の金属有機構造体内で、ポア容量はガス又は液体が吸収され得る容積を意味する。
【0053】
本発明の構造体において、MOF固体は、ガス負荷容量として乾燥固体1グラムにつき0.5〜50mmolを持つ。負荷容量とは、固体の1グラムにつき、ガス貯蔵容量を意味する。これらの値及び定義は液体の負荷容量についても適用される。
【0054】
本発明のMOF固体は、特に、温度500℃までの熱安定性を示す。より具体的には、これら固体は250℃〜450℃の範囲で熱安定性を示す。
【0055】
本発明の固体は、結晶性であり、長さが0.05〜100μm、より具体的には0.05〜20μmの形状である。これらは、特定のモルホロジ(針状、板状、オクタヘドラルなど)を持つ小結晶の形状であり、これらの正確な確認は、走査電子顕微鏡(SEM)により検査することができる。
【0056】
上記のとおり、本発明のMOF固体は、結晶構造を有して高純度であり、これにより特定の性質を有する。
【0057】
既知の固体とは異なり、本発明の方法で得られるアルミニウムアゾカルボキシラートMOF固体は、単一相である。このことは、考慮される化学系で存在し得る他の相は本発明のMOF固体中には存在しないことを意味する。
【0058】
さらに、上記記載の方法で得られるアルミニウムアゾカルボキシラートMOF固体は、さらに、純度として少なくとも95%、特に少なくとも98%を持つ。本発明の固体のMOF固体の純度は、元素化学分析、X線回折、走査電子顕微鏡より決定され得る。従って、得られるMOF固体は、例えば水酸化アルミニウム系Al(OH)又はAlO(OH)などの副産物又は他の合成条件(例えば本発明において示されるpHとは異なるpHの範囲で実施される際に考えられる化学系の相などを、全く含まないか非常に僅かに含むのみである。
【0059】
本発明の固体の特定の構造的特徴は、高い負荷容量、高い選択性及び高い純度の吸収剤を可能とするということである。従って、これらは、選択的吸収及び従って例えばNO、N、HS、H、CH、O、CO、CO分子などのガス分子の選択的分離を可能とする。
【0060】
本発明の課題はまた、結晶性のポーラスなアルミニウムアゾカルボキシラートのMOFの、液体又はガスの貯蔵、ガス分離[25]又は触媒[26]のための使用に関する。
【0061】
当業者にとって、例示目的で挙げられる添付の図表により説明される以下の実施例を参照することで、他の利点が明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、相MIL−130(Al)のX線回折ダイヤグラム(CuK)を示す。X軸は入射角2D(°)で示される。縦軸は相対回折ピーク強度を示す。
【図2】図2は、MIL−130相の77KでのN等温度吸収を示す。比p/pはX軸で与えられる相対的圧力に対応する。生成物1g当たりの吸収ガス容量(cm/g)が縦軸に表される。
【図3】図3は、MIL−130(Al)の熱重量分析曲線を表す(O気流、3℃/分)。質量減%は縦軸に示される。加熱はX軸に示される。
【図4】図4は、MIL−130(Al)サンプルの(走査電子顕微鏡)写真を示し、オクタヘドラル棒状形状結晶を示す。
【図5】図5は、MIL−130(Al)サンプルの(走査電子顕微鏡)写真を示し、卵型凝集物形状結晶を示す。
【図6】図6は、MIL−130(Al)サンプルの(走査電子顕微鏡)写真を示し、卵型板状形状結晶を示す。
【実施例】
【0063】
以下の実施例は、アゾベンゼンカルボキリラートタイプのリガンド、より具体的にはアゾジベンゼン−4、4’−ジカルボキシレートを用いて得られるミクロポーラスアルミニウム芳香族アゾカルボキシラート(MIL−n)のMOFからなる固体の製造を記載する。合成された化合物(MIL−nとする)は、X線粉末回折、熱重量分析、走査電子顕微鏡(SEM)が測定され、及び比表面積がBET法により測定された。
【0064】
回折パターンは、Bragg−Brentano geometry diffractometer (SiemensD5000)を用いて2θ角2〜40°の範囲で、ピッチ及びカウント時間0、02°及び1秒でそれぞれ測定した(CuKD1、2 放射)。熱重量分析(TA Instrument 2050)は、5又は20mgサンプルを、20〜600℃へ、酸素気流中、加熱速度3°C/分で実施した。走査電素顕微鏡(LEO1530)実験については、サンプルは炭素でメタライズされ真空チャンバに入れて電子ビームに暴露した。比表面積は、Micromeritics ASAP2010装置を用いた。100mgのサンプルは前もって200℃で真空下で12時間加熱しておいた。
【0065】
実施例1: MIL−130(Al)の製造
化合物MIL−130(Al)を、3.6gの硝酸アルミニウム(Al(NO・9HO)、1.2gのアゾジベンゼン−4、4’−ジカルボン酸及び70mlのDMF(N、N’−ジメチルホルムアミド)を125mlの混合物をテフロン(登録商標)セルに入れ、これをParr(登録商標)スチール製オートクレーブに入れる。反応はオーブン中で100℃、7日間行い、2gのMIL−130(Al)を得る。生成物は200℃で一晩加熱して活性化させる。
【0066】
次の製造(2番目)では、0.36gのアルミニウムパークロレート(Al(CIO.9HO)、0.1gのアゾジベンゼン−4、4’−ジカルボン酸、5mlのDMF(N、N’−ジメチルホルムアミド)の混合物を23mlのテフロン(登録商標)セルに入れ、これをParr(登録商標)型スチールオートクレーブに入れる。反応を100℃で、7日間、オーブン中で行い、0.11gのMIL−130(Al)を得る。
【0067】
次の製造(3番目)では、0.19gのアルミニウムクロリド6水和物(Al(Cl).6HO)、0.1gのアゾジベンゼン−4、4’−ジカルボン、5mlのDMF(N、N’−ジメチルホルムアミド)の混合物を23mlのテフロン(登録商標)セルに入れ、これを商品名Parr(登録商標)であるスチール製オートクレーブに入れる。反応は、100℃で7日間オーブン中で行い、0.07gのMIL−130(Al)を得る。
【0068】
次の製造(4番目)では、0.1gの無水アルミニウムクロリド(Al(Cl))、0.1gのアゾジベンゼン−4、4’−ジカルボン、5mlのDMF (N、N’−ジメチルホルムアミド)の混合物を23mlのテフロン(登録商標)セルに入れ、これを商品名Parr(登録商標)であるスチール製オートクレーブに入れる。反応は、100℃で7日間オーブン中で行い、0.07gのMIL−130(Al)を得る。
【0069】
次の製造(5番目)では、0.1gの無水アルミニウムクロリド(Al(Cl))、0.1gのアゾジベンゼン−4、4’−ジカルボン、5mlのDMF(N、N’−ジメチルホルムアミド)の混合物を23mlのテフロン(登録商標)セルに入れ、これを商品名Parr(登録商標)であるスチール製オートクレーブに入れる。反応は、100℃で4時間オーブン中で行い、0.07gのMIL−130(Al)を得る。
【0070】
電子顕微鏡にてこの固体(例えば4番目の固体)を観察した結果、平均サイズ0.2〜0.8ミクロンの小さなヘキサゴナル棒状(図4)結晶、2番目の固体からは卵型凝集(図5)結晶、最初の固体からは卵型板状(図6)結晶であることが分かった。粉末のブラッグピークは、該当するヘキサゴナル格子で、a=b=33.264(1)Å、c=4.681(1)Å、V=4417.5(1)Åである。X線回折パターンは図1で示される。
【0071】
BET比表面積は、1770m/gであり、Langmuir比表面積は3190m/gである。等温度吸収はステップp/p0=0.15を示し、これはメソポーラスキャビティ又はトンネルの特徴である(図2)。熱重量分析では、物質MIL−130(Al)は420℃まで安定である(図3)。
【0072】
これらの種々の性質分析(XRD、SEM)を組み合わせると、これらが非常に高い結晶純度を持つ非常に構造のよく分かった物質であることが示される。XRD観察によれば、相MIL−130(Al)の少なくとも95%までの大部分を表す化合物を決定することができる。
【0073】
参考文献リスト
[1]
Reticular Synthesis and the Design of New Materials, O.M. Yaghi, M. O’Keeffe, N.W. Ockwig, H.K.
Chae, M. Eddaoudi and J. Kim, Nature, 423, 705-14(2003).
[2]
Functional Porous Coordination Polymers, S. Kitagawa, R. Kitaura and S.-l.
Noro, Angew. Chem. Int. Ed., 43, 2334-75 (2004).
[3] Hybrid
Porous Solids: Past, Present, Future, G. Ferey, Chem. Soc. Rev., 37, 191-214
(2008).
[4]
Hydrogen Storage in Microporous Metal-Organic Frameworks, N.L. Rosi, J. Eckert,
M. Eddaoudi, D.T. Vodak, J. Kim, M. O’Keeffe and O.M. Yaghi, Science, 300, 1127-9 (2003).
[5]
Hydrogen Adsorption in the Nanoporous Metal-benzenedicarboxylate
M(OH)(O2C-C6H4-CO2) (M = Al3+, Cr3+), MIL-53, G. Ferey, M. Latroche, C. Serre,
F. Millange, T. Loiseau and A. Percheron-Gueegan, Chem. Commun., 2976-7 (2003).
[6]
Hydrogen Storage in the Giant-Pore Metal-Organic Frameworks MIL-100 and
MIL-101, M. Latroche, S. Surble, C. Serre, C. Mellot-Draznieks, P.L. Llewellyn,
J.-H. Lee, J.-S. Chang, S.H. Jhung and G. Ferey, Angew. Chem. Int. Ed., 45,
8227 (2006).
[7]
Systematic Design of Pore Size and Functionality in Isoreticular MOFs and their
Application in Methane Storage, M. Eddaoudi, J. Kim, N. Rosi, D. Vodak, J. Wachter,
M. O’Keeffe and
O.M. Yaghi, Nature, 295,469-72 (2002).
[8]
Different Adsorption Behaviors of Methane and Carbon Dioxide in the Isotypic
Nanoporous Metal Terephthalates MIL-53 and MIL-47, S. Bourrelly, P. L.
Llewellyn, C. Serre, F. Millange, T. Loiseau and G. Ferey, J. Am. Chem. Soc,
127, 13519-21 (2005).
[9]
Metal-Organic Frameworks as Efficient Materials for Drug Delivery, P.
Horcajada, C. Serre, M. Vallet-Regi, M. Sebban, F. Taulelle and G. Ferey,
Angew. Chem. Int. Ed., 45, 5974 (2006).
[10] High
Gas Adsorption in a Microporous Metal-Organic Framework with
Open-Framework, O.M. Yaghi, WO 2006/110740 (2006).
[11]
Isoreticular Metal-Organic Framework Process for Forming the Same and
Systematic Design of Pore size and Functionality therein, with Application for
Gas Storage, WO 02/088148 (2002).
[12] Metal-Organic
Frameworks - Prospective Industrial Applications, U. Muller, M. Schubert, F.
Teich, H. Putter, K. Schierle-Arndt and J. Pastre, J. Mater. Chem., 16, 626-36
(2006).
[13] Shaped
Bodies Containing Metal-Organic Frameworks, M. Hesse, U. Muller, O.M. Yaghi, WO
2006/050898 (2006).
[14] A
Rationale for the Large Breathing of the Porous Aluminum Terephthalate (MIL-53)
Upon Hydration, T. Loiseau, C. Serre, C. Huguenard, G. Fink, F. Taulelle, M.
Henry, T. Bataille and G. Ferey, Chem. Eur. J., 10, 1373-82 (2004).
[15]
Hydrothermal Synthesis and Crystal Structure of a New Three-Dimensional
Aluminum-Organic Framework MIL-69 with
2,6-Naphthalenedicarboxylate (ndc), AI(OH)(ndc)QH20, T. Loiseau, C.
Mellot-Draznieks, H. Muguerra, G. Ferey, M. Haouas and F. Taulelle, C. R.
Chimie, Special Issue on Crystalline and Organized Porous Solids, 8, 765-72
(2005).
[16]
MIL-96, a Porous Aluminum Trimesate 3D Structure Constructed from a Hexagonal
Network of 18-Membered Rings and μ3-0x0- Centered Trinuclear Units, T. Loiseau,
L. Lecroq, C. Volkringer, J. Marrot, G. Ferey, M. Haouas, F. Taulelle, S.
Bourrelly, P. L. Llewellyn and M. Latroche, J. Am. Chem. Soc, 128, 10223-30
(2006).
[17] A
Microdiffraction Set-up for Nanoporous Metal-Organ ic-Framework-Type Solids, C.
Volkringer, D. Popov, T. Loiseau, N. Guillou, G. Ferey, M. Haouas, F. Taulelle,
C. Mellot-Draznieks, M. Burghammer and C. Riekel, Nature Matehals, 6, 760-4
(2007).
[18] Design
and Synthesis of an Exceptionally Stable and Highly Porous Metal-Organic
Framework. H. Li, M. Eddaoudi, M. O’Keeffe, O.M. Yaghi, Nature, 402, 276-9 (1999).
[19] A
Chemically Functionalizable Nanoporous Material [Cu3(TMA)2(H2O)3]n, S.S.-Y.
Chui, S.M.-F. Lo, J.P.H. Charmant, A. Guy Orpen and I.D. Williams, Science,
283, 1148 (1999).
[20] Method
for Producing Organometallic Framework Materials Containing Main Group Metal
Ions, M. Schubert, U. Muller, M. Tonigold, R. Ruetz, WO 2007/023134 (2007).
[21]
Mesoporous Metal-Organic Framework, M. Schubert, U. Muller, H. Mattenheimer, M.
Tonigold, WO 2007/023119 (2007).
[22]
Organometallic Aluminum Fumarate Backbone Material, C. Kiener, U. Muller, M.
Schubert, WO 2007/118841 (2007).
[23]
Dotierte Metallorganische Gerustmaterialien, M. Schubert, U. Muller, R. Ruetz,
S. Hatscher, DE 10 2005 053 430 (2005).
[24]
MOF-Compounds as Gas Adsorbers, K.O. Kongshaug, R.H. Heyn, H. Fjellvag, R.
Blom, WO 2007/128994 (2007).
[25] <<
How hydration drastically improves adsorption selectivity for CO2 over CH4 in
the flexible Chromium terephthalate MIL-53>>, P.L. Llewellyn, S.
Bourrelly, C. Serre, Y. Filinchuk and G. Ferey, Angew. Chem. Int. Ed. 45 7751-4
(2006).
[26] <<
Synthesis and catalysis properties of MIL-100(Fe), an iron(lll) carboxylate
with large pores >> P. Horcajada, S. Surble, C. Serre, D.-Y. Hong, Y.-K.
Seo, J.-S Chang, J.-M. Greneche, I. Margiolaki and G. Ferey, Chem. Commun.
2820-2 (2007); << Catalytic properties of MIL-101 >> A. Henschel,
K. Gedrich, R. Kraehnert and S. Kaskel, Chem. Commun. 4192-4 (2008) ; <<Amine
grafting on coordinatively unsaturated metal centers of MOFs: consequences for
catalytis and metal encapsulation >> Y.K. Hwang, D.-Y. Hong, J.-S. Chang,
S.H. Jhung, Y.-K. Seo, J. Kim, A. Vimont, M. Daturi, C. Serre and G. Ferey,
Angew. Chem. Int. Ed. 47 4144-8 (2008).


【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ポーラスアルミニウム芳香族アゾカルボキシラートを製造する方法であり、少なくとも次のステップ:
(i)非水有機溶媒中で、
金属Al、金属塩Al3+又は金属イオンAl3+を含む配位化合物の形での少なくとも金属無機前駆体と;及び
少なくとも前記配位子Lの有機前駆体とを混合するステップと;
(ii)前記(i)で得られた前記混合物を少なくとも50℃よりも高い温度で加熱して前記固体を得る
ステップとを、含む方法であり、
ここでLはR(COOの式で表される、芳香族アゾジ−、アゾトリ−、アゾテトラ−カルボキリレートリガンドであり、
及びRは独立して、
モノ−又はポリ−サイクリック、縮合又は非縮合のアリールラジカルであり、6〜50、例えば6〜27の炭素数を持ち、又は
モノ−又はポリ−サイクリック、縮合又は非縮合のヘテロアリールラジカルであり、4〜50、例えば4〜20の炭素数を持ち、
は、C1−10アルキル、C2−10アルキレン、C2−10アルキン、C3−10シクロアルキル、C1−10ヘテロアルキル、C1−10ハロアルキル、C6−10アリール、C3−20ヘテロサイクリック、C6−10アリールC1−10アルキル、C5−10ヘテロアリールC1−10アルキル、F、Cl、Br、I、−NO、−CN、−CF、−CHCF、−OH、−CHOH、−CHCHOH、−NH、−CHNH、−NHCHO、−COOH、−CONH、−SOH、−POを含む群から選択される、独立した少なくともひとつ又はそれ以上により置換されてもよく、
q=2〜4である。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であり、前記非水有機溶媒が、DMF、DEF、ジオキサン、メタノール、エタノール、DMSOである、方法。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか一項に記載の方法であり、ステップ(i)で前記金属無機前駆体及び前記リガンドLの前記有機前駆体がモル比1〜5の間を含む、方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法であり、前記金属無機前駆体が、金属Al3+塩である、方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法であり、Lが芳香族アゾジ−又はアゾテトラ−カルボン酸リガンドであり、C12(CO(アゾベンゼン−4、4’−ジカルボキシレート)、C12Cl(CO(ジクロロ−アゾベンゼン−4、4’−ジカルボキシレート)、C12(CO(アゾベンゼン−3、3’、5、5’−テトラカルボキシレート)、C12(OH)(CO(ジヒドロキシ−アゾベンゼン−4、4’−ジカルボキシレート)を含む群から選択される。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法であり、ステップ(ii)において、前記混合物を50℃〜150℃で加熱する、方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法であり、ステップ(ii)で、前記混合物を1〜10日間加熱する、方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法であり、ステップ(ii)で、10Paよりも高い自原的圧力で実施される、方法。

【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法であり、さらに、ステップ(ii)で得られる固体を100℃〜300℃で加熱することで活性化するステップ(iii)を含む、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であり、前記活性化ステップ(iii)が、DMF、DEF、メタノール、エタノール、DMSO又は水を含む群から選択される溶媒の混合物中で実施される、方法。
【請求項11】
請求項9又は10のいずれか一項に記載の方法であり、ステップ(ii)で得られる固体を1〜48時間加熱する活性化ステップ(iii)を含む、方法。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法により得られる結晶性ポーラスアルミニウム芳香族アゾカルボキシラートのMOF固体であり、式(I)で表される3次元に連続するパターンを含む固体。
Al (I)
(Alは、Al3+
mは、1〜15;
kは、0〜15;
lは、0〜10;
pは、1〜10;
m、k、l及びpは、前記パターンの荷電が中和されるように選択される;
Xは、OH、Cl、F、I、Br、SO2−、NO、ClO、PF、BF、R−(COO、R−(SO、R−(POを含む群から選択されるアニオンであり、Rは水素、直鎖又は分枝、場合により置換されていてもよいC1−12アルキルであり、n=1〜4を表し、Lは請求項1で定義されたものである)
【請求項13】
請求項12に記載の固体であり、アニオンXが、OH、Cl、F、ClOを含む群から選択される、固体
【請求項14】
請求項12又は13のいずれか一項に記載の方法であり、Alの質量%が5〜50%である、固体。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれか一項に記載の固体であり、BET比表面積が100〜3000m/gである、固体。
【請求項16】
請求項12乃至15のいずれか一項に記載の固体であり、 Langmuir表面積が150〜3500m/gである、固体。
【請求項17】
請求項12乃至16のいずれか一項に記載の固体であり、前記固体のポア直径が0.2〜6mmである、固体。
【請求項18】
請求項12乃至17のいずれか一項に記載の固体であり、前記固体のポア容量が0.3〜4cm/gである、固体。
【請求項19】
請求項12乃至18のいずれか一項に記載の固体であり、前記固体が、500℃までの熱安定性を有する、固体。
【請求項20】
請求項12乃至19のいずれか一項に記載の固体であり、前記固体が、0.05μm〜20μmの範囲の長さを持つ結晶形である、固体。
【請求項21】
液体又はガスの貯蔵のための、請求項12乃至20のいずれか一項に記載の固体の使用。
【請求項22】
選択的ガス分離のための、請求項12乃至20のいずれか一項に記載の固体の使用。
【請求項23】
触媒のための、請求項12乃至20のいずれか一項に記載の固体の使用。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2012−509361(P2012−509361A)
【公表日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543804(P2011−543804)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052209
【国際公開番号】WO2010/058124
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(510309020)セントレ ナショナル デ ラ リシェルシェ サイエンティフィック(セ・エン・エル・エス) (9)
【出願人】(511119765)ユニヴァーシテ デ ヴェルサイユ−サン カンタン アン イヴリーヌ (2)
【Fターム(参考)】