説明

金属粉末製造方法および装置

【課題】金属の表面を、その金属の融点より低い融点を有する異種の金属によって被覆した金属粉末を形成する場合に、それぞれの金属の融点の温度差が大きくても異種の金属によって良好に被覆された金属粉末を製造することができる金属粉末製造方法および装置を提供する。
【解決手段】融点がM(℃)の金属材料2、および融点がM(℃)(ただし、M>M)の被覆金属材料4をそれぞれ溶融させる溶融工程と、溶融された金属溶湯2Aを流出ノズル6から流出させる流出工程と、流出される金属溶湯2Aに、溶融工程で溶融された被覆金属溶湯4Aを吹き付けて、金属溶湯2Aに被覆金属溶湯4Aが付着された粒状体粒状体30Aを形成する溶湯吹き付け工程と、粒状体30Aを固化させてから、金属粉末として回収する回収工程とを備え、融点M、Mは、M−M>100を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属の表面を異種の金属によって被覆した金属粉末を製造する金属粉末製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属を微粒子化する方法として水アトマイズ法やガスアトマイズ法が知られている。また、これらの方法を応用して、金属と異種の金属とを複合化した金属粉末を製造する金属粉末製造方法および装置が種々提案されている。
例えば、特許文献1には、金属を溶融してノズルから放出し、これに高圧水、高圧ガス等の冷却媒体を衝突させて微粒化すると共に急冷凝固させる粒子分散合金の製造方法において、冷却媒体に強化粒子を混合し、これをノズルから放出した溶融金属に噴射して溶融金属を微細化し、強化粒子が均一に分散した粒子分散合金の微細粉を製造する粒子分散合金の製造方法およびその製造装置が記載されている。
また、特許文献2には、金属、もしくは金属合金の融解した及び/又は凝固する液滴の微粒化した流れ又は噴霧の中に、その噴霧される金属又は金属合金とは異なる組成の材料を導入する工程と、その導入材料を液滴の流れ又は噴霧に接触させて微粒化液滴の表面の全部または一部にコーティングを形成するようにする工程とを含む、被覆粉体材料の製造方法およびその製造装置が記載されている。
【特許文献1】特開平8−13008号公報
【特許文献2】特表平8−506382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような従来の金属粉末製造方法および装置には、以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、金属を溶融してノズルから放出し、これに高圧水、高圧ガス等の冷却媒体を衝突させて微粒化させ、その高圧水や高圧ガスに強化粒子を混合して衝突させることで、粒子分散合金の微細粉を得る。
この方法によると、一部の強化粒子は金属の内部に分散するものの、金属粒子の表面においても強化粒子が分散する。強化粒子は固体粒子であるため、金属粒子表面では島状に分散付着する。すなわち、表面に突出した強化粒子の間には空間が生じるので、強化粒子によって金属粒子全体をコートした皮膜を形成することはできないという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術では、融解金属をガスジェットにより微粒化液滴とした後、この微粒化液滴よりも低温の固体粒子を衝突させる。そして、金属液滴表面で固体粒子が融解することにより、粒子の融解物が表面に付着され、表面コーティングが形成される。
しかしながら、特許文献2に記載によれば、「導入材料の液相線温度(liquidus temperature)は、微粒化した金属又は金属合金の液相線温度より100℃だけ低いのが好ましいが、わずかに30℃又は10℃だけ低くてもよい。」「固体粒子が融解してコーティング(例えば、フラックス・コーティング)を形成するようにするために、固体粒子の融解温度は、噴霧される金属又は金属合金のそれよりごくわずか異なる(例えば、10℃未満の差)のが適当である」。このため、被膜を形成する金属とこの金属によって被覆される金属との液相線温度の温度差をかなり狭い範囲に限定しなければならない。したがって、液相線温度が互いに近い材料同士を用いた金属粉末しか製造することができないという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術では、融解金属はガスジェットが当たることで微粒化される際、ガスジェットの接触とともに温度低下し、微粒化されると比表面積が増大することによって一層温度低下が促進される。そのため、特許文献2に記載の装置では、固体粒子の衝突時の微粒化液滴の温度制御は困難である。
衝突時の微粒化液滴の温度が低いと表面に衝突した固体粒子の融解が生じなかったり、融解しても表面をコートする前に固化が生じてしまったりするので、良好な被膜を形成できなくなるという問題がある。
近年、導電性金属微粒子や耐酸化性を高めた機能性金属微粒子の要求が高まっており、融点が異なる様々な金属材料を用いて、金属の表面を異種の金属によって良好に被覆した金属粉末を製造する技術が強く望まれている。
【0004】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、金属の表面を、その金属の融点より低い融点を有する異種の金属によって被覆した金属粉末を形成する場合に、それぞれの金属の融点の温度差が大きくても異種の金属によって良好に被覆された金属粉末を製造することができる金属粉末製造方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の金属粉末製造方法は、融点がM(℃)の第1の金属、および融点がM(℃)(ただし、M>M)の第2の金属をそれぞれ溶融させる溶融工程と、該溶融工程で溶融された前記第1の金属を流出ノズルから流出させる流出工程と、該流出工程で流出される前記第1の金属に、前記溶融工程で溶融された前記第2の金属を溶湯状態で吹き付けて、前記第1の金属に前記第2の金属が付着された粒状体を形成する溶湯吹き付け工程と、該溶湯吹き付け工程で形成された前記粒状体を固化させてから、金属粉末として回収する回収工程とを備え、前記融点M、Mは、次式(1)の関係を満たす方法とする。
−M>100 ・・・(1)
この発明によれば、溶融工程を行って第1および第2の金属を溶融させ、流出工程を行って流出ノズルから第1の金属を流出させる。次に、溶湯吹き付け工程を行って、第1の金属に、溶融工程で溶融された第2の金属を溶湯状態で吹き付けて、第1の金属に第2の金属が付着された粒状体を形成する。
このとき、第2の金属が吹き付けられた第1の金属は、溶湯同士の衝突により、第2の金属が付着した状態で微粒子化され、溶融状態の粒状体が形成される。この粒状体は微粒子化とともに、表面から急激に放熱されて温度低下し、式(1)の関係から、まず第1の金属が固体化し、固体化された第1の金属に溶融状態の第2の金属が付着している状態となる。第2の金属は、第1の金属が固体化しても、少なくとも100℃温度低下する間は、溶融状態となっているため、第2の金属の濡れ性によって、固化された第1の金属の表面上に伸ばされる。そして、衝突時の物理的な衝撃によって発生した回転力により、第2の金属は第1の金属の表面を移動し、表面を被覆していく。
なお、融点Mに対する融点Mの温度差が100℃以下であると、第2の金属の固化の開始が早すぎるため、表面に第1の金属が露出する割合が多くなりすぎる。
次に、溶湯吹き付け工程で形成された粒状体を固化させてから、金属粉末として回収する回収工程を行う。粒状体は、放熱により冷却されることで固化していくので、衝突位置から回収位置までの空中の飛距離を調整することで、固化された粒状体を回収することができるが、必要によっては、積極的に冷却してもよいし、加熱して固化時間を遅らせてもよい。
このようにして第1の金属の表面を第2の金属で良好に被覆した金属粉末を製造することができる。
【0006】
また、本発明の金属粉末製造方法では、前記第1の金属の融点M(℃)と、前記第2の金属の融点M(℃)とは、次式(2)の関係を満たすことが好ましい。
−M>370 ・・・(2)
この場合、溶湯吹き付け工程において、第2の金属が粒状体上で溶融状態を保つ時間がより長くなるため、第1の金属の表面の被覆率が格段に向上される。
【0007】
また、本発明の金属粉末製造方法では、前記流出工程は、前記第1の金属を圧力可変に加圧して流出させるようにすることが好ましい。
この場合、第1の金属を圧力可変に加圧して流出させるため、第1の金属の流量を調整することができる。そのため、粒状体における第1および第2の金属の質量比を調整することが可能となる。
【0008】
また、本発明の金属粉末製造方法では、前記回収工程は、前記溶湯吹き付け工程で形成された前記粒状体を、前記第2の金属の融点より低い温度に温度制御された加熱雰囲気中に保持して、前記粒状体を固化させる加熱保持工程を含むことが好ましい。
この場合、回収工程が、第2の金属の融点より低い温度に温度制御された加熱雰囲気中に保持される加熱保持工程を含むため、自然放冷する場合に比べて、粒状体の冷却速度が低下する。そして、加熱雰囲気温度と熱平衡に達した状態では第2の金属が融点より低温となるため、第2の金属が固化される。
このため、第2の金属の融点以上の高温に保持する場合のように、第2の金属が固化せず溶融状態のまま回収されて、第2の金属が第1の金属の表面から剥離落下したり、剥離落下しないまでも膜厚が不均一になったりすることを防止できる。
また、自然放冷する場合に比べてゆっくり冷却され、第2の金属が固体化するまでの時間が延びることによって、粒状体の回転数も相対的に増えるため、第2の金属が第1の金属の表面上により広がりやすくなり、膜厚を安定させることができる。
【0009】
また、本発明の加熱保持工程を含む金属粉末製造方法では、前記加熱保持工程は、前記粒状体を、不活性ガスが内部に満たされ、熱源によって外部から加熱された反応槽内に保持して行うことが好ましい。
この場合、反応槽を熱源によって外部から加熱し、反応槽の内部に満たされた不活性ガスを加熱して、加熱保持を行うため、装置構成を簡素化することができる。
【0010】
また、本発明の加熱保持工程を含む金属粉末製造方法では、前記加熱保持工程は、前記粒状体を、加熱された不活性ガスを内部に循環させて前記加熱雰囲気を形成する反応槽内に保持して行うことが好ましい。
この場合、反応槽内で、加熱された不活性ガスを内部に循環させるので、加熱雰囲気の温度を均一化することができる。このため、粒状体ごとの冷却条件が均一化されるので第2の金属の膜厚のバラツキを低減することができる。
また、不活性ガスの循環方向を一定方向に制御すれば粒状体の飛散経路を制御することが可能となる。
【0011】
また、本発明の金属粉末製造方法では、前記溶湯吹き付け工程は、前記第2の金属を加圧して、前記流出工程における第1の金属の流出方向に対して斜め方向に傾斜して設けられた吹き付けノズルから、前記第2の金属を吹き付けて前記粒状体を形成し、該粒状体を、前記第1の金属の流出方向に交差する方向に向けて飛散させる工程であり、前記回収工程は、前記流出ノズルおよび前記吹き付けノズルの下方側において、前記溶湯吹き付け工程によって飛散された前記粒状体を、前記流出ノズルの流出方向と略直交する方向の飛距離に応じて分別状態に収容してから、前記金属粉末として回収する工程であることが好ましい。
この場合、溶湯吹き付け工程で、第1の金属の流出方向に交差する方向に向けて粒状体を飛散させ、回収工程では、この飛散された粒状体を流出ノズルの流出方向と略直交する方向の飛距離に応じて分別状態に収容してから、金属粉末として回収するので、金属粉末を重量に応じて分別して回収することができる。
【0012】
また、本発明の金属粉末製造方法では、前記溶湯吹き付け工程は、前記第2の金属を加圧して、前記流出工程における第1の金属の流出方向に対して斜め方向に傾斜された吹き付けノズルから、前記第2の金属を吹き付けて前記粒状体を形成し、該粒状体を落下させる工程であり、前記回収工程は、前記流出ノズルおよび前記吹き付けノズルの下方側において、前記溶湯吹き付け工程によって落下された前記粒状体に対して、該粒状体の落下方向に交差する方向に向けてガスを吹き付けて前記粒状体を飛散させ、該粒状体を前記ガスの吹き付け方向に沿う飛距離に応じて分別状態に収容してから、前記金属粉末として回収する工程であることが好ましい。
この場合、溶湯吹き付け工程では粒状体を落下させ、回収工程では、粒状体の落下方向に交差する方向に向けてガスを吹き付けて粒状体を飛散させ、粒状体を前記ガスの吹き付け方向に沿う飛距離に応じて分別状態に収容してから、金属粉末として回収するので、金属粉末を重量に応じて分別して回収することができる。
この場合、ガスの流速を調整することで、重量に応じた飛距離を可変できるため、分別等級の調整が容易となる。
なお、加熱保持工程において、加熱された不活性ガスを循環させる場合に、この不活性ガスの循環方向を、分別回収するために粒状体に吹き付ける方向と合わすことにより、粒状体を飛散させるガスと兼用してもよい。
【0013】
本発明の金属粉末製造装置は、第1の金属を加熱して溶融させる第1の加熱槽と、該第1の加熱槽で溶融された前記第1の金属を流出させる流出ノズルと、前記第1の金属の融点M(℃)として次式(1)を満足する融点M(℃)を有する第2の金属を加熱して溶融させる第2の加熱槽と、該第2の加熱槽で溶融された前記第2の金属を加圧する第2金属加圧部と、前記流出ノズルから流出された前記第1の金属に向けて、前記第2金属加圧部で加圧された前記第2の金属を溶湯状態で吹き付ける吹き付けノズルと、該吹き付けノズルから前記第2の金属を吹き付けることによって形成された、前記第1の金属に前記第2の金属が付着されてなる粒状体を固化させてから、金属粉末として回収する回収機構とを備える構成とする。
−M>100 ・・・(1)
この発明によれば、第1および第2の加熱槽によってそれぞれ第1および第2の金属を溶融させ、まず流出ノズルから第1の金属を流出させる。次に、第2金属加圧部によって、第2の加熱槽における第2の金属を加圧し、流出ノズルから流出された第1の金属にむけて、吹き付けノズルから溶湯状態で吹き付ける。
このとき、第2の金属が吹き付けられた第1の金属は、溶湯同士の衝突により、第2の金属が付着した状態で微粒子化され、溶融状態の粒状体が形成される。この粒状体は微粒子化とともに、表面から急激に放熱されて温度低下し、式(1)の関係から、まず第1の金属が固体化し、固体化された第1の金属に溶融状態の第2の金属が付着している状態となる。第2の金属は、第1の金属が固体化しても、少なくとも100℃温度低下する間は、溶融状態となっているため、第2の金属の濡れ性によって、固化された第1の金属の表面上に伸ばされる。そして、衝突時の物理的な衝撃によって発生した回転力により、第2の金属は第1の金属の表面を移動し、表面を被覆していく。
なお、融点Mに対する融点Mの温度差が100℃以下であると、第2の金属の固化の開始が早すぎるため、表面に第1の金属が露出する割合が多くなりすぎる。
次に、回収機構によって、粒状体を固化させてから、金属粉末として回収する。粒状体は、放熱により冷却されることで固化していくので、衝突位置から回収位置までの空中の飛距離を調整することで、固化された粒状体を回収することができるが、必要によっては、積極的に冷却してもよいし、加熱して固化時間を遅らせてもよい。
このようにして第1の金属の表面を第2の金属で良好に被覆した金属粉末を製造することができる。
また、本発明の金属粉末製造装置は、本発明の金属粉末製造方法を行うための製造装置となっている。
【0014】
また、本発明の金属粉末製造装置では、前記第1の金属の融点M(℃)と、前記第2の金属の融点M(℃)とは、次式(2)の関係を満たすことが好ましい。
−M>370 ・・・(2)
この場合、粒状体が形成されてから固化するまでの間に、第2の金属が粒状体上で溶融状態を保つ時間がより長くなるため、第1の金属の表面の被覆率が格段に向上される。
【0015】
また、本発明の金属粉末製造装置では、前記第1の加熱槽は、溶融された前記第1の金属を加圧する第1金属加圧部を備えることが好ましい。
この場合、第1金属加圧部によって、第1の金属を加圧して流出させるため、加圧力を変えることで第1の金属の流量を調整することができる。そのため、粒状体における第1および第2の金属の質量比を調整することが可能となる。
【0016】
また、本発明の金属粉末製造装置では、前記流出ノズルおよび前記吹き付けノズルと、前記回収機構とを内部に設けた反応槽と、該反応槽の内部の雰囲気温度を、前記第2の金属の融点より低い温度に保持する加熱部とを備えることが好ましい。
この場合、反応槽の内部の雰囲気温度を、第2の金属の融点より低い温度に保持する加熱部を備えるため、反応槽内の第2の金属の融点以上の高温に保持する場合のように、第2の金属が固化せず溶融状態のまま回収されて、第2の金属が第1の金属の表面から剥離落下したり、剥離落下しないまでも膜厚が不均一になったりすることを防止できる。
また、自然放冷する場合に比べてゆっくり冷却され、第2の金属が固体化するまでの時間が延びることによって、粒状体の回転数も相対的に増えるため、第2の金属が第1の金属の表面上により広がりやすくなり、膜厚が安定される
【0017】
また、本発明の反応槽と加熱部とを備える金属粉末製造装置では、前記反応槽の内部には、不活性ガスが満たされ、前記加熱部は、前記反応槽を外部から加熱する熱源を備えることが好ましい。
この場合、反応槽を熱源によって外部から加熱し、反応槽の内部に満たされた不活性ガスを加熱して、加熱保持を行うため、装置構成を簡素化することができる。
【0018】
また、本発明の反応槽と加熱部とを備える金属粉末製造装置では、前記加熱部は、不活性ガスを加熱して、前記反応槽の内部に循環させる加熱ガス循環機構を備えることが好ましい。
この場合、反応槽内で、加熱ガス循環機構によって、加熱された不活性ガスを内部に循環させるので、加熱雰囲気の温度を均一化することができる。このため、粒状体ごとの第2の金属の膜厚のバラツキを低減することができる。
また、不活性ガスの循環方向を制御することで、粒状体の飛散経路を制御することが可能となる。
【0019】
また、本発明の金属粉末製造装置では、前記吹き付けノズルは、前記流出ノズルの流出方向に対して斜め方向に傾斜して設けられ、前記回収機構は、前記粒状体を、前記流出ノズルの流出方向と略直交する方向の飛距離に応じて分別状態に収容してから、前記金属粉末として回収するものであることが好ましい。
この場合、吹き付けノズルからの第2の金属の吹き付けによって、第1の金属の流出方向に交差する方向に向けて粒状体を飛散させることができる。そして、回収機構によって、この飛散された粒状体を吹き付けノズル流出ノズルの流出方向と略直交する方向の飛距離に応じて分別状態に収容してから金属粉末として回収するので、金属粉末を重量に応じて分別して回収することができる。
【0020】
また、本発明の金属粉末製造装置では、前記回収機構は、前記流出ノズルおよび前記吹き付けノズルの下方に設けられ、前記粒状体を該粒状体の落下位置に応じて、分別状態に収容して、前記金属粉末として回収するものであり、前記回収機構と前記流出ノズルおよび前記吹き付けノズルとの間の空間で前記粒状体の落下方向に交差する方向に向けてガスを吹き付け、これにより前記粒状体を飛散させるガス吹き付け機構を設けることが好ましい。
この場合、流出ノズルから流出する第1の金属に、吹き付けノズルからの第2の金属を吹き付けて粒状体を形成し、ガス吹き付け機構によって、この粒状体の落下方向に交差する方向に向けてガスを吹き付けて粒状体を飛散させることができる。そして、飛散された粒状体は、回収機構により、落下位置に応じて分別状態に収容してから金属粉末として回収することができる。このため、金属粉末を重量に応じて分別して回収することができる。
この場合、ガスの流速を調整することで、重量に応じた飛距離を可変できるため、分別等級の調整が容易となる。
なお、加熱ガス循環機構を備える場合には、加熱ガス循環機構、および加熱ガス循環機構によって循環される不活性ガスが、それぞれ粒状体を飛散させるガス、およびガス吹き付け機構を兼ねる構成としてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の金属粉末製造方法および装置によれば、溶融されて流出される第1の金属に溶湯状態の第2の金属を吹き付けることで、第1の金属に第2の金属が付着された粒状体を形成するので、金属の表面を、より低い融点を有する異種の金属によって被覆した金属粉末を形成する場合に、それぞれの金属の融点の温度差が大きくても異種の金属によって良好に被覆された金属粉末を製造することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0023】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る金属粉末製造装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る金属粉末製造装置の概略構成を示す模式的な構成図である。図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る金属粉末製造装置の加熱ガス循環機構の模式的な斜視図である。図2(b)は、図2(a)のガス流入流出口の模式図である。
【0024】
本実施形態の金属粉末製造装置100は、融点がM(℃)の金属材料2(第1の金属)の表面の表面が、融点M(℃)の異種の金属である被覆金属材料4(第2の金属)によって略被覆された金属粉末を製造する装置である。
ここで、金属材料2、被覆金属材料4の融点M、Mは、下記式(1)の関係を満足する温度であり、さらに下記式(2)を満足する温度であることが好ましい。
【0025】
−M>100 ・・・(1)
−M>370 ・・・(2)
【0026】
金属材料2、被覆金属材料4は、後述する実施例に挙げた鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)等の金属元素単体からなる金属を、上記式(1)に基づいて、選択的に組み合わせて用いることができる。
ただし、本実施形態に用いることができる金属はこれらに限定されるものではなく、他の金属元素からなる金属でもよい。さらに、複数の元素からなる合金と金属元素単体からなる金属との組合せや、あるいは異なる合金同士の組合せであってもよい。
【0027】
本実施形態の金属粉末製造装置100の概略構成は、図1に示すように、金属材料溶融槽1および被覆金属材料溶融槽3が筐体100aの上部に設けられ、筐体100aの内部に、保持槽5、ガス加圧機構17(第1金属加圧部)、流出ノズル6、保持槽7、ガス加圧機構8(第2金属加圧部)、吹き付けノズル9、反応槽10、加熱ガス循環機構13(加熱部)、ヒータ加熱部12(加熱部)、および回収機構11が設けられている。
また、金属粉末製造装置100の内部は、不図示の不活性ガス供給部によって、例えば、アルゴン(Ar)ガスなど、粉末化する金属と反応したり分解したりするなどして不純物成分を形成することのない不活性ガスに満たされている。
【0028】
金属材料溶融槽1は、金属材料2を加熱して溶融させるものである。
金属材料溶融槽1の装置構成は、槽内部に金属材料2を配置するるつぼ部1bが配置され、このるつぼ部1bの上方に設けた電極1aによりアークプラズマを発生させ、アーク溶解法によって金属材料2を溶解して溶融状態とする構成を採用している。
るつぼ部1bの底部には、金属材料2の溶湯を下方に排出する流路1cが設けられている。
金属材料2として、合金を採用する場合には、合金化された材料をるつぼ部1bに配置してもよいし、合金の成分を構成する金属材料をるつぼ部1b上に配置してるつぼ部1bで溶解させることで合金の溶湯を形成してもよい。
【0029】
被覆金属材料溶融槽3は、被覆金属材料4を加熱して溶融させるものであり、筐体100aの上部において金属材料溶融槽1を挟んで対向する位置にそれぞれ1つずつ設けられている。
各被覆金属材料溶融槽3の装置構成は、槽内部に被覆金属材料4を配置するるつぼ部3bが配置され、このるつぼ部3bの上方に設けた電極3aによってアークプラズマを発生させ、アーク溶解法により被覆金属材料4を溶解して溶融状態とする構成を採用している。
各るつぼ部3bの底部には、被覆金属材料4の溶湯を下方に排出する流路1cが設けられている。
また、被覆金属材料4として、合金を採用する場合には、合金化された材料をるつぼ部3bに配置してもよいし、合金の成分を構成する金属材料をるつぼ部3b上に配置してるつぼ部3bで溶解させることで合金の溶湯を形成してもよい。
【0030】
保持槽5は、金属材料溶融槽1の下方に設けられ、金属材料溶融槽1から流路1cを介して排出された金属材料2の溶湯を溶融状態で保持するものである。保持槽5の外周部側方にはヒータ5aが設けられ、これにより保持槽5の槽内部に保持された金属材料2の温度を一定の保持温度Tに制御できるようになっている。
金属材料溶融槽1と保持槽5とは、第1の金属を加熱して溶融させる第1の加熱槽を構成している。
【0031】
ガス加圧機構17は、装置外部から、例えばArガスなどの加圧された不活性ガスの供給を受けて、保持槽5内に保持された金属材料2の溶湯を加圧力Pで加圧するもので、保持槽5の側部もしくは上部に設けられている。
【0032】
流出ノズル6は、保持槽5の底部に接続されて鉛直下向きに延ばされ、下端部に流出ノズル6内に導入された金属材料2の溶湯を下方に流出させる開孔を備えたノズル先端部6aを有する筒状部材である。保持槽5と流出ノズル6との間には不図示の開閉弁が設けられ、保持槽5内の金属材料2の溶湯の流出ノズル6への供給量を制御できるようになっている。
【0033】
保持槽7は、各被覆金属材料溶融槽3の下方にそれぞれ設けられ、各被覆金属材料溶融槽3から各流路3cを介して排出された被覆金属材料4の溶湯を溶融状態で保持するものである。保持槽7の外周部側方にはヒータ7aが設けられ、これにより保持槽7の槽内部に保持された被覆金属材料4の温度を一定の保持温度Tに制御できるようになっている。
被覆金属材料溶融槽3と保持槽7とは、第2の金属を加熱して溶融させる第2の加熱槽を構成している。
【0034】
ガス加圧機構8は、装置外部から、例えばArガスなどの加圧された不活性ガスの供給を受けて、各保持槽7内に保持された被覆金属材料4の溶湯を加圧するもので、各保持槽7の側部もしくは上部に設けられている。
【0035】
吹き付けノズル9は、各保持槽7の底部に接続され、下端部に、保持槽7から供給された被覆金属材料4の金属材料2の溶湯を溶湯状態で吹き出させる開孔を備えたノズル先端部9aを有する筒状部材である。吹き付けノズル9のノズル先端部9aは、流出ノズル6からの被覆金属材料4の流出方向に対して鋭角に交差する方向に向けて配置されている。
本実施形態では、互いに対向する吹き付けノズル9は、鉛直方向に沿って延ばされた流出ノズル6を挟んでV字状に配置されている。
【0036】
ノズル先端部9aのノズル径やノズル形状は、被覆金属溶湯4Aの粘度等を考慮して、ノズル先端部9aから吹き出される被覆金属溶湯4Aの溶湯が噴霧化されることなく溶湯状態で吹き出されるように設定される。
また、保持槽7と吹き付けノズル9との間には不図示の開閉弁が設けられ、この開閉弁を開放することによって、保持槽7内でガス加圧機構8によって加圧された被覆金属材料4の溶湯を流出ノズル6に向けて溶湯状態で吹き出させ、これにより、被覆金属材料4の溶湯を、流出ノズル6から流出された金属材料2の溶湯に吹き付けることができるようになっている。
【0037】
反応槽10は、流出ノズル6から流出された金属材料2と各吹き付けノズル9から吹き付けられた被覆金属材料4とによって、金属材料2に被覆金属材料4が付着されてなる粒状体を形成し、この粒状体を固化させて金属粉末を回収するための空間を構成するものである。
本実施形態の反応槽10は、保持槽5の下方側で、ノズル先端部6a、各ノズル先端部9aを内側に収めるように設けられ、下方側に容積が拡大する四角錐台状の吹き付け室部10Aと、吹き付け室部10Aの下方に接続され、形成された粒状体を落下させ、粒状体を加熱保持して固化させる直方体状の加熱保持室部10Bとからなる。
【0038】
加熱ガス循環機構13は、不活性ガスを加熱して、反応槽10の内部に循環させ、これにより少なくとも、反応槽10内の高さ方向の中間部の雰囲気温度を、被覆金属材料4の融点Mよりも低い温度Ta1に保持する制御を行うものである。本実施形態では、加熱保持室部10Bの上側の3つの側壁部に、それぞれ1台ずつ設けられている。
温度Ta1は、融点Mに対して、例えば、90%〜95%の範囲とすることが好ましい。
【0039】
各加熱ガス循環機構13は、加熱保持室部10Bの側壁部内側に沿って、不活性ガスを流入、流出させるガス流入流出口13aが配置され、加熱保持室部10Bの外部側に、ガス流入流出口13aから流入する不活性ガスを加熱する加熱機構およびガス流入流出口13aから流出させるファンなどの送風機構を備える加熱ガス循環機構本体13bが設けられている。
加熱機構としては、例えば、適宜のヒータを採用することができる。
本実施形態のガス流入流出口13aは、図2(a)に示すように、上側が流出口部13A、下側に流入口部13Bを有する2段構成とされている。
流出口部13A、流入口部13Bは、図2(b)に示すように、いずれもメッシュ状のセラミックスフィルタからなるフィルタ14が設けられている。このため不活性ガスは、フィルタ14のフィルタ開孔部14aを通して、加熱ガス循環機構本体13bに出入りできるようになっている。
【0040】
ヒータ加熱部12は、加熱保持室部10Bの下部の側壁部の外周に設けられ、熱源としてヒータ12aを備えることにより、加熱保持室部10Bの側壁を外部から加熱して、少なくとも加熱ガス循環機構13の設置位置よりも下側の反応槽10内の雰囲気温度を、被覆金属材料4の融点Mよりも低い温度Ta2(ただし、Ta2≦Ta1)に保持する制御を行えるようになっている。
温度Ta2は、融点Mに対して、例えば、70%〜95%の範囲とすることが好ましい。
【0041】
回収機構11は、反応槽10内で形成された粒状体を固化させてから、金属粉末として回収するもので、本実施形態では、上方に開口した箱形の耐熱性容器からなり、加熱保持室部10Bの床面部に着脱可能に設けられている。
【0042】
次に、金属粉末製造装置100を用いて行う本実施形態の金属粉末製造方法について説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態の金属粉末製造方法の溶湯吹き付け工程の様子を示す模式的な説明図である。
【0043】
本実施形態の金属粉末製造方法の概略工程は、溶融工程、流出工程、溶湯吹き付け工程、および回収工程をこの順に行うものである。また本実施形態の回収工程は、加熱保持工程を含むものである。
【0044】
溶融工程は、金属材料2および被覆金属材料4をそれぞれ溶融する工程である。
まず、不活性ガス雰囲気下にて、金属材料溶融槽1のるつぼ部1bに、金属材料2を質量mだけ供給し、電極1aに高電圧を印加して、電極1aによりアークプラズマを発生させ、金属材料2をアーク溶解させる。金属材料2が溶解された金属溶湯2Aは、流路1cを通して保持槽5の槽内に排出される。
保持槽5は、ヒータ5aによって融点Mより高温の保持温度Tに温度制御されており槽内の金属溶湯2Aの温度を保持温度Tに保持する。
また、不活性ガス雰囲気下にて、各被覆金属材料溶融槽3のるつぼ部3bに、被覆金属材料4を合計質量mだけ供給し、電極3aに高電圧を印加して、電極3aによりアークプラズマを発生させ、被覆金属材料4をアーク溶解させる。被覆金属材料4が溶解された被覆金属溶湯4Aは、流路3cを通して保持槽7の槽内に排出される。
保持槽7は、ヒータ7aによって融点Mより高温の保持温度Tに温度制御されており槽内の被覆金属溶湯4Aの温度を保持温度Tに保持する。
【0045】
次に流出工程を行う。本工程は、溶融工程で溶融された金属溶湯2Aを流出ノズル6から流出させる工程である。
本実施形態では、ガス加圧機構17によって保持槽5内に不活性ガスを送出し、保持槽5内の金属材料2に加圧力Pを加え、保持槽5の開閉弁を開き、金属材料2を流出ノズル6から押し出す。これにより、図3に示すように、金属溶湯2Aはノズル先端部6aから鉛直方向に沿って流出される。
【0046】
本工程で、ガス加圧機構17によって金属材料2を加圧するのは、ノズル先端部6aからの金属溶湯2Aの流量を制御するためである。重力による自然流下によって、必要な流量が得られる場合にはガス加圧機構17の加圧力Pをかけないようにしてもよい。
【0047】
次に溶湯吹き付け工程行う。本工程は、流出工程で流出される金属溶湯2Aに、溶融工程で溶融された被覆金属溶湯4Aを溶湯状態で吹き付けて、金属溶湯2Aに被覆金属溶湯4Aが付着された粒状体30Aを形成する工程である。
本実施形態では、各ガス加圧機構8によって各保持槽7内に不活性ガスを送出し、保持槽7内の被覆金属材料4に加圧力Pを加え、各保持槽7の開閉弁を開き、被覆金属材料4を吹き付けノズル9に押し出す。これにより、図1に示すように、被覆金属溶湯4Aはノズル先端部9aから斜め下向きに溶湯状態で吹き出され、金属溶湯2Aに吹き付けられる。
【0048】
被覆金属溶湯4Aを吹き付けられた金属溶湯2Aは、被覆金属溶湯4Aが衝突することによる物理的な衝撃によって、被覆金属溶湯4Aが付着した微細な液滴として飛散する。すなわち、図3に示すように、金属溶湯2Aに被覆金属溶湯4Aが衝突すると、まず、金属溶湯2Aと被覆金属溶湯4Aとが接触し微細化された液滴状の粒状体30Aが生成される。そして、衝突時の衝撃によって角運動量を持つため、自転しながら、飛散、落下していく。
このとき、粒状体30Aの組成質量比は、衝突領域における金属溶湯2A、被覆金属溶湯4Aの量に依存する。すなわち、流出ノズル6および吹き付けノズル9からのそれぞれの流量比に依存する。
なお、図3は粒状化の過程を見やすくするため、吹き付けノズル9を1本として落下方向Aに対して斜め上方から落下方向Aに対して鋭角で傾斜する吹き付け方向Bから吹き付けた場合の例を示している。また、粒状体30Aなどの拡大図は模式的に描かれている。
本実施形態のように流出ノズル6を挟んで吹き付けノズル9を左右対称に配置した場合には、図1に示すように、粒状体30Aは下方に飛散して落下していく。
【0049】
次に加熱保持工程を含む回収工程を行う。加熱保持工程は、溶湯吹き付け工程で形成された粒状体30Aを、融点Mより低い温度に温度制御された加熱雰囲気中に保持して、粒状体を固化させる工程であり、回収工程は、加熱保持工程で固化された粒状体を金属粉末として回収する工程である。
【0050】
溶湯吹き付け工程で生成された多数の粒状体30Aは、微粒子化に伴う比表面積の急増によりそれぞれ急冷される。金属材料2の融点Mを下回ると、まず金属溶湯2Aが固化して、金属固化物2Bが形成される。このため、わずかに落下する間に、粒状体30Aは、被覆金属溶湯4Aがその粘性から発現する濡れ性によって金属固化物2Bの表面に付着した状態の粒状体30Bに変化する。
飛散される粒状体30Bは、反応槽10内を自由落下するため慣性によって回転し続けるので、被覆金属溶湯4Aは、液状のまま金属固化物2Bの表面上に伸ばされていく。
一方、反応槽10内は、加熱ガス循環機構13およびヒータ加熱部12によって、被覆金属材料4の融点Mよりも低い温度に温度制御されている。そのため、粒状体30Bは、落下の途中で融点Mよりも低温に温度低下する。これにより、被覆金属溶湯4Aが固化し、粒状体30Bは、金属固化物2Bの表面に被覆金属固化物4Bが被覆された固体の粒状体30Cに変化する。
粒状体30Cは、加熱保持室部10Bの床面部に配置された回収機構11内に落下し、適宜の冷却時間をおいてから、反応槽10の外部に取り出され、金属粉末として回収される。以上で回収工程が終了する。
【0051】
金属粉末として回収された粒状体30Cは、回収機構11に回収されるまでの間に、金属固化物2Bの表面を溶融状態で回転しつつ、被覆金属溶湯4Aが固化していくため、金属固化物2Bが被覆金属固化物4Bによって良好に被覆された金属粉末となっている。
溶湯吹き付け工程では、粒状体30Aは、金属溶湯2Aと被覆金属溶湯4Aとが衝突して溶融状態のまま粒子化されるので、例えば、ガスジェットで粒子化されて急冷される金属に対して固体粒子を衝突させて異種金属による金属粉末を形成する場合とは異なり、衝突時の温度制御が容易となり、被覆率などの品質のバラツキも少なくて済む。
このように、本実施形態の金属粉末製造方法によれば、金属の表面を、より低い融点を有する異種の金属によって被覆した金属粉末を形成する場合に、それぞれの金属の融点の温度差が大きくても異種の金属によって良好に被覆された金属粉末を製造することができる。
【0052】
粒状体30Cにおける被覆金属溶湯4Aの被覆率は、被覆金属材料4の融点M、溶融時の粘性等の固化時の物性に依存する。
被覆金属材料4の融点Mが、金属材料2の融点Mよりも100℃以下の低温であると、金属溶湯2Aが固化してから被覆金属溶湯4Aが固化するまでの時間が短すぎるため、被覆金属固化物4Bの被覆率が低くなりすぎる。
被覆率を向上するためには、温度差(M−M)は、大きいほど好ましく、上記式(2)を満足することが好ましい。
また、被覆率を向上するには、被覆金属溶湯4Aの固化時間を長くするとともに、低粘性となる時間を長く保持することが好ましい。このため、本実施形態では、加熱ガス循環機構13およびヒータ加熱部12によって、反応槽10内の不活性ガスを加熱し、雰囲気温度が融点Mに近い低温側になるように温度制御している。
これにより、被覆金属溶湯4Aの放冷が抑制されて固化時間が長くなり、それに応じて長い時間、粒状体30Bの回転が続くので、粒状体30Cにおける被覆金属固化物4Bの被覆率を向上することができる。
ただし、被覆金属溶湯4Aが固化することなく回収されることを防止するため、加熱ガス循環機構13、ヒータ加熱部12による温度制御は、少なくとも加熱保持室部10B内の雰囲気温度が、融点Mを超えないようにする。
【0053】
また、本実施形態では、加熱ガス循環機構13によって、反応槽10内では、加熱された不活性ガスを循環させているため、反応槽10内の温度分布の偏りを低減でき、粒状体30A、30B、30Cの飛散位置による冷却条件を均等化することができる。そのため、粒径などによって、飛散位置がばらついても、被覆率のバラツキなどが発生しにくくなる。
また、本実施形態では、ヒータ加熱部12によって、加熱保持室部10Bの内壁を融点Mより低い温度に加熱しているため、飛散された粒状体30A、30B、30Cが、加熱保持室部10B内の内壁に衝突しても急冷されることがない。また、逆に衝突時に内壁から加熱されすぎて、被覆金属固化物4Bが再溶融するおそれがない。
被覆する金属を噴霧によって被覆される金属に接触させる場合には、被覆する金属の空気中の密度が低いため被覆する金属と被覆される金属が接触せず、被覆されない金属粒子が生成される可能性がある。本実施形態では、流出された金属溶湯2Aの流れに対して、被覆する金属の被覆金属溶湯4Aの流れを、加圧力Pを加えて直接吹き付けることによって確実に金属溶湯2Aに接触するため、そのような恐れがなく確実に被覆された金属粒子が得られる。
【0054】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る金属粉末製造装置について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係る金属粉末製造装置の概略構成を示す模式的な構成図である。
【0055】
本実施形態の金属粉末製造装置101は、図4に示すように、上記第1の実施形態の金属粉末製造装置100の被覆金属材料溶融槽3、保持槽7、ガス加圧機構8、および吹き付けノズル9の1組と、加熱ガス循環機構13とを削除し、反応槽10および回収機構11に代えて、反応槽15および回収機構16を備える。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0056】
反応槽15は、保持槽5の下方側でノズル先端部6a、ノズル先端部9aを内側に収めるように設けられ、下方側に容積が拡大する四角錐台状の吹き付け室部15Aと、吹き付け室部15Aの下方に接続され、形成された粒状体を落下させ、粒状体を加熱保持して固化させる直方体状の加熱保持室部15Bとからなる。加熱保持室部15Bは、吹き付けノズル9の配置位置と反対の水平方向(図4の左側)では、吹き付け室部15Aから延出するように設けられ、延出方向側に、より広い内部空間が形成されている。
【0057】
回収機構16は、反応槽15内で形成された粒状体を固化させてから、金属粉末として回収するもので、本実施形態では、上方に開口した箱形の耐熱性を有する複数の回収容器からなり、加熱保持室部10Bの床面部に着脱可能に設けられている。
本実施形態では、図4に示すように、複数の回収容器が、流出ノズル6の流出方向の対向する下方位置に配置された回収容器16cと、この回収容器16cから、流出ノズル6による流出方向に略直交する方向である水平方向において、吹き付けノズル9の配置位置と反対側に向かって位置をずらした状態で隣接して配置された回収容器16b、16aとを有する場合の例で説明する。
このため、加熱保持室部15Bの床面部は、少なくとも、粒状体が落下する範囲では、上側に開口された回収容器16c、16b、16aによって区分されている。
【0058】
次に、金属粉末製造装置101を用いて行う本実施形態の金属粉末製造方法について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0059】
まず、溶融工程では、被覆金属材料4が1つの被覆金属材料溶融槽3ですべて溶融され、保持槽7に保持される点が異なる。
次に流出工程は、上記第1の実施形態と同様に行われる。
次に、溶湯吹き付け工程では、図4に示すように、保持槽7から1つの吹き付けノズル9を介して、被覆金属溶湯4Aが金属溶湯2Aに吹き付けられる点が異なる。この際、上記第1の実施形態と同様に、金属溶湯2Aに被覆金属溶湯4Aが衝突されて、粒状体30Aが形成されるが、図3に示すように、粒状体30Aは、吹き付けノズル9の傾斜方向に応じた吹き付け方向Bに向かって飛散される。
【0060】
このため、発生された粒状体30Aは、次の回収工程において、反応槽15内を、図4に示すように飛散されると、粒状体30Aの重量に応じて異なる放物線状の軌跡を描いて落下していく。すなわち、重量が大きい順に、例えば、破線矢印C、D、Eのような異なる軌跡を描いて、それぞれ、回収容器16c、16b、16aに向けて落下する。
落下の途中では、ヒータ加熱部12によって加熱保持工程が行われる。この加熱保持工程で粒状体30Aが、粒状体30B、30Cに順次し変化していくことは、上記第1の実施形態と同様である。
この結果、回収容器16cには、流出ノズル6の流出方向と略直交する方向の飛距離が相対的に短い粒状体30C群が金属粉末として回収され、回収容器16b、16aには、順次、飛距離が相対的に長い粒状体30C群が金属粉末として回収される。
このようにして、回収機構16c、16b、16aには、それぞれ粒状体当たりの重量が大、中、小の等級に分別された状態で、金属粉末を回収することができる。
【0061】
なお、溶湯吹き付け工程において、金属溶湯2A、被覆金属溶湯4Aの流量比等の条件が一定であれば、粒状体30Cにおける金属固化物2Bと被覆金属固化物4Bとの組成比も一定となる。そのため、粒状体30Cを重量によって分別することは、粒状体30Cの粒径によって分別しているのと略同じことである。
【0062】
本回収工程における分別の精度は、吹き付けノズル9の流出ノズル6に対する傾斜角を変えて粒状体の飛散範囲を調整し、さらに必要な分別等級に応じて飛散範囲の間で回収容器の大きさや配置個数を変更することで適宜に設定することができる。
なお、回収容器16a、16b、16cの開口形状は、粒状体の飛散範囲に応じて、適宜形状に設定することができる。例えば、一定重量の粒状体が同心円環状の領域に飛散される場合には、回収容器も同心円環状に開口することで、分別精度を向上することができる。
【0063】
このように本実施形態では、回収機構16によって、金属粉末を重量や粒径によって分別した状態で回収することができるので、金属粉末を回収後に分別する手間を省くことができて、分別された金属粉末を効率よく製造することができる。
【0064】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る金属粉末製造装置について説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態に係る金属粉末製造装置の概略構成を示す模式的な構成図である。
【0065】
本実施形態の金属粉末製造装置102は、図5に示すように、上記第1の実施形態の金属粉末製造装置100のヒータ加熱部12を削除し、反応槽10、加熱ガス循環機構13および回収機構11に代えて、反応槽18、加熱ガス循環機構19(ガス吹き付け機構)、および回収機構20を備え、ヒータ加熱部21(加熱部)を追加したものである。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0066】
反応槽18は、保持槽5の下方に上記第1の実施形態と同様に設けられた吹き付け室部10Aと、吹き付け室部10Aの下方に接続され、形成された粒状体を落下させ、粒状体を加熱保持して固化させる直方体状の加熱保持室部18Bとからなる。加熱保持室部18Bは、水平方向のうちの一方側(図5の左側)では吹き付け室部10Aから延出するように設けられ、延出方向側に、より広い内部空間が形成されている。
【0067】
加熱ガス循環機構19は、加熱された不活性ガスを水平方向に吹き出す流出口部19aと、加熱保持室部18B内の不活性ガスを吸い込む流入口部19bと、流入口部19bから吸い込んだ不活性ガスを加熱保持室部18Bの外部で上記第1の実施形態と同様の温度Ta1に温度制御して流出口部19aから吹き出させる不図示の加熱循環部を備える。
流出口部19aは、加熱保持室部18Bの側壁部において、加熱保持室部18Bの延出方向の基端側(図5の右側)の壁部に設けられている。また、流入口部19bは、加熱保持室部18Bの延出方向の終端側(図5の左側)の壁部において、流出口部19aに対向する位置に設けられている。
加熱循環部は、加熱保持室部18Bの外部で、流出口部19aと流入口部19bとをつなぐ流路を備え、この流路中に、例えばヒータなどの加熱機構が設けられている。このため、流路内を流れる不活性ガスの温度を上記第1の実施形態と同様な温度Ta1に制御できるようになっている。
また、加熱循環部は、流路内に略一定の流速の流れを形成するファンなどの送風機構が設けられている。
これにより、反応槽18の内部において、図示矢印Fで示すように流出口部19aから流入口部19bに向かう水平方向に、加熱された不活性ガスの流れが形成される。
加熱ガス循環機構19の流出口部19a、流入口部19bは、それぞれ上記第1の実施形態の流出口部13A、流入口部13Bと同様の構成を採用することができる。
【0068】
回収機構20は、反応槽18内で形成された粒状体を固化させてから、金属粉末として回収するもので、本実施形態では、上方に開口した箱形の耐熱性を有する複数の回収容器からなり、加熱保持室部18Bの床面部に着脱可能に設けられている。
本実施形態では、図5に示すように、複数の回収容器が、流出ノズル6の下側に配置された回収容器20cと、この回収容器20cから、水平方向において、加熱保持室部18Bの延出方向に向かって位置をずらした状態で隣接して配置された回収容器20b、20aとを有する場合の例で説明する。
このため、加熱保持室部18Bの床面部は、少なくとも、粒状体が落下する範囲では、上側に開口された回収容器20c、20b、20aによって区分されている。
【0069】
ヒータ加熱部21は、加熱保持室部18Bの床面部の下側に設けられ、熱源としてヒータ21aを備えることにより、加熱保持室部18Bの床面部を外部から加熱して、少なくとも回収機構20およびその近傍の反応槽18内の雰囲気温度を、第1の実施形態と同様の温度Ta2に保持するものである。
また、ヒータ加熱部21は、すべての粒状体が落下してから、温度Ta2から粒状体を加熱保持室部18Bの外部に取り出す際に外部との温度差が少なくなるように、温度を低下させる、もしくは冷却する制御が行えるようにしてもよい。
【0070】
次に、金属粉末製造装置102を用いて行う本実施形態の金属粉末製造方法について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0071】
まず、溶融工程、流出工程、溶湯吹き付け工程が、それぞれ上記第1の実施形態と同様に行われる。これにより、流出ノズル6、および各吹き付けノズル9の下方には、多数の粒状体30Aが形成され、流出ノズル6のノズル先端部6aを通る鉛直軸を中心として粒状体30Aが飛散しながら落下する。
【0072】
次に加熱保持工程を含む回収工程は、加熱保持室部18B内で、粒状体30Aの落下とともに行われる。
このとき、加熱保持室部18Bの上側では、加熱ガス循環機構19によって図示矢印Fのような加熱された不活性ガスの流れが形成されているので、粒状体30Aは、落下と共に重量に応じて、矢印F方向に流されつつ、回収機構20内に落下していく。
このため、重量が大きい順に、例えば、破線矢印G、H、Iのような異なる軌跡を描いて、それぞれ、回収容器20c、20b、20aに向けて落下する。
落下の途中では、不活性ガスが加熱ガス循環機構19によって加熱され温度Ta1になっているため、雰囲気温度Ta1で加熱保持工程が行われる。この加熱保持工程で粒状体30Aが、粒状体30B、30Cに順次し変化していくことは、上記第1の実施形態と同様である。
【0073】
このため、回収容器20cには、流出ノズル6の流出方向と略直交する方向の飛距離が相対的に短い粒状体30C群が金属粉末として回収され、回収容器20b、20aには、順次、飛距離が相対的に長い粒状体30C群が金属粉末として落下する。
これにより、回収容器20c、20b、20aには、それぞれ粒状体当たりの重量が大、中、小の等級に分別された状態となる。
回収容器20c、20b、20aに落下した粒状体30Cは、回収容器20c、20b、20aが、ヒータ加熱部21によって温度Ta2に温度制御されているため、各粒状体30Cは、温度Ta2に保持される。そして回収機構20に落下した粒状体30Cを金属粉末として回収する。その際必要に応じて、すべての粒状体が回収機構20に落下してから温度Ta2を下降させ、粒状体30Cを温度低下させてから回収してもよい。
【0074】
なお、溶湯吹き付け工程において、金属溶湯2A、被覆金属溶湯4Aの流量比等の条件が一定であれば、粒状体30Cにおける金属固化物2Bと被覆金属固化物4Bとの組成比も一定となる。そのため、粒状体30Cを重量によって分別することは、粒状体30Cの粒径によって分別しているのと略同じことである。
【0075】
本回収工程における分別の精度は、加熱ガス循環機構19による不活性ガスの流速を変えて粒状体の飛散範囲を調整し、さらに必要な分別等級に応じて飛散範囲の間で回収容器の大きさや配置個数を変更することで適宜に設定することができる。
なお、回収容器20a、20b、20cの開口形状は、粒状体の飛散範囲に応じて、適宜形状に設定することができるが、本実施形態では、落下する粒状体が一定方向に流されるため、不活性ガスの流れ方向(矢印F方向)と直交する方向に延ばされた矩形状が好ましい。
【0076】
このように本実施形態では、回収機構20によって、金属粉末を重量や粒径によって分別した状態で回収することができるので、金属粉末を回収後に分別する手間を省くことができて、分別された金属粉末を効率よく製造することができる。
【0077】
なお、上記の説明では、金属粉末製造装置100、101、102は、いずれも第1金属加圧部としてガス加圧機構17を備える場合の例で説明したが、金属溶湯2Aを常に重力によって流下させる場合には、第1金属加圧部は省略してもよい。
【0078】
また、上記の説明では、金属粉末製造装置100、101、102は、加熱部として加熱ガス循環機構13、加熱ガス循環機構19、ヒータ加熱部12、21などを備える場合の例で説明したが、加熱保持工程を行うには、いずれか1つの加熱部があればよいので、適宜組み合わせたり、組合せから削除したりすることができる。
例えば、金属粉末製造装置100において、ヒータ加熱部12のみで、反応槽10内の雰囲気温度を良好に調整できれば、加熱ガス循環機構13は削除してもよい。この場合、装置構成が簡素化される。
また、加熱保持工程を行わない場合には、加熱部を備えない構成としてもよい。
【0079】
また、上記の各実施形態に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせたり、削除したりして実施することができる。
【実施例】
【0080】
上記第1、第3の実施形態に対応する実施例1〜7について説明する。各実施例の条件と、これらの条件で製造された金属粉末の被覆比率および組成質量比の測定結果を示す。表1において、流出金属(m)、射出金属(m)は、それぞれ上記説明の金属材料2、被覆金属材料4を表す。
【0081】
【表1】

【0082】
[実施例1]
実施例1は、金属粉末製造装置100を用い、金属材料2、被覆金属材料4にそれぞれ、Ni(融点M=1455(℃))、Au(融点M=1064(℃)、密度19.32(g/cm,20℃))を用いて、NiにAuが被覆された金属粉末を製造した例である。
質量m=150(g)のNiを金属材料溶融槽1においてアーク溶解法による溶解を行った後、保持槽5で保持温度T=1500(℃)に保持した。別途質量m=150(g)のAuを被覆金属材料溶融槽3においてアーク溶解法による溶解を行った後、保持槽7で保持温度T=1100(℃)に保持した。これらの溶解はいずれもArガス雰囲気で行った。
そして、溶融状態のNiを流出ノズル6のノズル先端部6aから流下させると同時に、溶融状態のAuをガス加圧機構8から供給されるArガスによってP=1.5(kPa)で加圧して、吹き付けノズル9から、Niの流量と等量となるように、流下するNiに吹き付けて衝突させた。このとき、ガス加圧機構17による加圧は停止させ、Niがノズル先端部6aから重力によって自然流下するようにした。
そして、衝突したNi、Auは落下する間に固化して回収機構11に回収された。このとき、加熱ガス循環機構13の不活性ガスの循環、およびヒータ加熱部12による温度制御は停止した。
このため、本実施例の回収工程は、加熱保持工程を含まない回収工程の例となっている。
【0083】
次に、得られた金属粉末の組成分析を蛍光X線により行った結果、NiとAuとの質量比が0.5:1であることが確認された。
また得られた金属粉末を基板固定後に、SEM観察によるEDX分析(エネルギー分散型X線分光法、Energy Dispersive X-ray Spectroscopy)を行った。使用した分析装置は、ERA−8900FE(商品名;(株)エリオニクス社製)である。
この結果、得られた金属粉末が、数十から数百μmサイズの粒子であって、EDX分析画面で観察された粒子表面割合は、Au成分が96%、Ni成分が4%であった。
以上の結果から、粒子化と同時に表面がAuによって被覆された状態の複合金属粒子が合成されたことが確認された。
【0084】
[実施例2]
実施例2は、金属粉末製造装置100を用い、金属材料2、被覆金属材料4にそれぞれ、Fe(融点M=1535(℃)、密度7.87(g/cm,20℃))、Ag(融点M=961(℃))を用いて、FeにAgが被覆された金属粉末を製造した例である。
質量m=150(g)のAgを金属材料溶融槽1においてアーク溶解法による溶解を行った後、保持槽5で保持温度T=1600(℃)に保持した。別途質量m=150(g)のAgを被覆金属材料溶融槽3においてアーク溶解法による溶解を行った後、保持槽7で保持温度T=1000(℃)に保持した。これらの溶解はいずれもArガス雰囲気で行った。
そして、溶融状態のFeをガス加圧機構17から供給されるArガスによってP=1.5(kPa)で加圧して流出ノズル6のノズル先端部6aから流出させると同時に、溶融状態のAgをガス加圧機構8から供給されるArガスによってP=1.5(kPa)で加圧して、吹き付けノズル9から、Feの流量と等量となるように、流出するFeに吹き付けて衝突させた。
そして、衝突したFe、Agは落下する間に固化して回収機構11に回収された。このとき、加熱ガス循環機構13によってTa1=900(℃)に加熱されたArガスを反応槽10内に循環させることで、衝突して形成された粒状体が落下する空間の雰囲気温度を、Agの融点を超えない温度に加熱する加熱保持工程を行った。
【0085】
次に、得られた金属粉末の組成分析を蛍光X線により行った結果、FeとAgとの質量比が0.8:1であることが確認された。
また上記実施例1と同様にEDX分析を行った。この結果、得られた金属粉末が、数十から数百μmサイズの粒子であって、EDX分析画面で観察された粒子表面割合は、Ag成分が99%、Fe成分が1%未満であった。
以上の結果から、粒子化と同時に表面がAgによって被覆された状態の複合金属粒子が合成されたことが確認された。
【0086】
[実施例3]
実施例3は、上記実施例2において、実施例1と同様に加熱保持工程を省略した例である。
そして、得られた金属粉末の組成分析を蛍光X線により行った結果、FeとAgとの質量比が0.8:1であることが確認された。
また上記実施例1と同様にEDX分析を行った。この結果、得られた金属粉末が、数十から数百μmサイズの粒子であって、EDX分析画面で観察された粒子表面割合は、Ag成分が97%、Fe成分が3%であった。
以上の結果から、粒子化と同時に表面がAgによって被覆された状態の複合金属粒子が合成されたことが確認された。
【0087】
また、実施例2、3を比較すると、加熱ガス循環機構13により加熱保持工程を行うことで、加熱保持工程を行わない場合に比べてAgの被覆率を向上できることが分る。
これは、加熱保持工程によって反応槽10内の温度を回収機構11に落下するまでの間の温度をAgの融点に近い高温の900℃に保持することでFeの表面のAgがゆっくり固化するため、粒状体の回転とともに、固化したFeの表面を移動して良好に被覆できるからである。
【0088】
[実施例4]
実施例4は、金属粉末製造装置100を用い、金属材料2、被覆金属材料4にそれぞれ、Ni、Agを用いて、NiにAgが被覆された金属粉末を製造した例である。
質量m=150(g)のNiを金属材料溶融槽1においてアーク溶解法による溶解を行った後、保持槽5で保持温度T=1500(℃)に保持した。別途質量m=150(g)のAgを被覆金属材料溶融槽3においてアーク溶解法による溶解を行った後、保持槽7で保持温度T=1000(℃)に保持した。これらの溶解はいずれもArガス雰囲気で行った。
そして、溶融状態のNiをガス加圧機構17から供給されるArガスによってP=1.5(kPa)で加圧して流出ノズル6のノズル先端部6aから流出させると同時に、溶融状態のAgをガス加圧機構8から供給されるArガスによってP=1.0(kPa)で加圧して、吹き付けノズル9からNiの流量の2/3になるように、流出するNiに吹き付けて衝突させた。
そして、衝突したNi、Agは落下する間に固化して回収機構11に回収された。このとき、加熱ガス循環機構13によってTa1=900(℃)に加熱されたArガスを反応槽10内に循環させることで、衝突して形成された粒状体が落下する空間の雰囲気温度を、Agの融点を超えない温度に加熱する加熱保持工程を行った。
【0089】
次に、得られた金属粉末の組成分析を蛍光X線により行った結果、NiとAgとの質量比が1.3:1であることが確認された。これは、加圧力P、Pの比を3:2とすることで、衝突時のNiとAgとの流量比が3:2となり、質量比に直すために密度をかけると理解できる。つまり、Niの25℃における密度は8.90(g/cm)、Agの20℃における密度は10.49(g/cm)であるので、NiとAgとの流量比3:2に、NiとAgとの密度の比8.90:10.49をかけると、1.3:1になる。
また上記実施例1と同様にEDX分析を行った。この結果、得られた金属粉末が、数十から数百μmサイズの粒子であって、EDX分析画面で観察された粒子表面割合は、Ag成分が99%、Ni成分が1%未満であった。
以上の結果から、粒子化と同時に表面がAgによって被覆された状態の複合金属粒子が合成されたことが確認された。
【0090】
[実施例5]
実施例5は、上記実施例4において、実施例1と同様に加熱保持工程を省略した例である。
そして、得られた金属粉末の組成分析を蛍光X線により行った結果、NiとAgとの質量比が1.3:1であることが確認された。
また上記実施例1と同様にEDX分析を行った。この結果、得られた金属粉末が、数十から数百μmサイズの粒子であって、EDX分析画面で観察された粒子表面割合は、Ag成分が96%、Ni成分が4%であった。
以上の結果から、粒子化と同時に表面がAgによって被覆された状態の複合金属粒子が合成されたことが確認された。
【0091】
また、実施例4、5を比較すると、金属材料2がNiの場合でも、加熱ガス循環機構13により加熱保持工程を行うことで、加熱保持工程を行わない場合に比べてAgの被覆率を向上できることが分る。
【0092】
[実施例6]
実施例6は、上記実施例4において、加圧力Pを2倍の3.0kPaにした例である。
そして、得られた金属粉末の組成分析を蛍光X線により行った結果、NiとAgとの質量比が2.6:1であることが確認された。
また上記実施例1と同様にEDX分析を行った。この結果、得られた金属粉末が、数十から数百μmサイズの粒子であって、EDX分析画面で観察された粒子表面割合は、Ag成分が99%、Ni成分が1%未満であった。
以上の結果から、粒子化と同時に表面がAgによって被覆された状態の複合金属粒子が合成されたことが確認された。
【0093】
また、実施例6を実施例4と比較すると、加圧力Pのみを2倍に変えたことによって流出ノズル6から流出されるNiの流量が2倍になり、Agとの衝突量(体積比)も2倍となるため、組成質量比においてNiの質量比が2倍になっていることが分る。
【0094】
[実施例7]
実施例7は、金属粉末製造装置102を用い、金属材料2、被覆金属材料4にそれぞれ、Cu(融点M=1084(℃))、Agを用いて、CuにAgが被覆された金属粉末を製造した例である。
質量m=200(g)のCuを金属材料溶融槽1においてアーク溶解法による溶解を行った後、保持槽5で保持温度T=1150(℃)に保持した。別途質量m=100(g)のAgを被覆金属材料溶融槽3においてアーク溶解法による溶解を行った後、保持槽7で保持温度T=1000(℃)に保持した。これらの溶解はいずれもArガス雰囲気で行った。
そして、溶融状態のCuをガス加圧機構17から供給されるArガスによってP=2.0(kPa)で加圧して流出ノズル6のノズル先端部6aから流出させると同時に、溶融状態のAgをガス加圧機構8から供給されるArガスによってP=1.0(kPa)で加圧して、吹き付けノズル9からCuの流量の1/2になるように、流出するCuに吹き付けて衝突させた。
そして、衝突したCu、Agは落下する間に固化して回収機構20に回収された。このとき、加熱ガス循環機構19によってTa1=900(℃)に加熱されたArガスを図5の矢印Fのように一方向に流しておいた。また、これにより衝突して形成された粒状体が落下する空間の雰囲気温度を、Agの融点を超えない温度に加熱する加熱保持工程を行った。なお、ヒータ加熱部12の温度は、Ta2=800(℃)に設定した。
このため、加熱ガス循環機構19で流されたArガスによって流されることで、粒状体の飛距離に応じて、回収容器20a、20b、20cに分別して回収された。
【0095】
次に、回収容器ごとの金属粉末の粒径分布を、レーザー回折散乱式粒子径分布測定装置によって測定した。金属粉末の平均粒子径の測定結果は、回収容器20c、20b、20aの順に、それぞれ約320μm、約120μm、約80μmであった。
次に、得られた金属粉末の組成分析を蛍光X線により行った結果、CuとAgとの質量比が1.7:1であることが確認された。これは、加圧力P、Pの比を2:1とすることで、衝突時のCuとAgとの流量比が2:1となり、質量比に直すために密度をかけると理解できる。つまり、Cuの20℃における密度は8.95(g/cm)、Agの20℃における密度は10.49(g/cm)であるので、CuとAgとの流量比2:1に、CuとAgとの密度の比8.95:10.49をかけると、1.7:1になる。
また上記実施例1と同様にEDX分析を行った。この結果、EDX分析画面で観察された粒子表面割合は、Ag成分が98%、Cu成分が2%であった。
以上の結果から、粒子化と同時に表面がAgによって被覆された状態の複合金属粒子が合成されたことが確認された。
また、加熱Arガスを一方向に流すことで金属粉末を粒子サイズ別に回収できることが確認された。
【0096】
[実験例]
次に、金属材料2と被覆金属材料4の組合せを変えて、それぞれの融点の差による被覆状態の違いについて調べる実験を行った。
この実験では、金属粉末製造装置100を用い、保持温度T、Tは、上記実施例1〜5に用いた金属は、それと同様の温度とし、Co(融点1495℃)は、保持温度T=1550(℃)とした。加圧力P、Pはそれぞれ共通に、P=1.0(kPa)、P=1.0(kPa)とし、加熱保持工程は、Ta1を融点Mの90%の温度として、雰囲気温度は、融点Mに対して約80%程度に設定した。
この結果を表2に示す。
【0097】
【表2】

【0098】
上記表2において、流出金属、射出金属は、それぞれ上記説明の金属材料2、被覆金属材料4を表す。
また、表2の◎、○、×は、金属粉末の表面を観察して、定性的に評価したものである。「◎」は、金属粉末が粒子形状であり、金属材料2(流出金属)は被覆金属材料4(射出金属)によって略全体が被覆されていたことを示す。「○」は、金属粉末が粒子形状であり、金属材料2(流出金属)が、一部に明らかに露出していることが観察されたことを示す。「×」は、金属粉末は、ほぼ粒子形状であるが、金属材料2と被覆金属材料4との区別がなく合金状態であったことを示す。
また、各◎、○、×の後ろのカッコ内の数字は、M−Mの値(℃)を示す。
【0099】
以下、表2の各金属の組合せを、「流出金属/射出金属」と表す。
表2の結果によれば、×と判定されたのは、Fe/Co、Fe/Ni、Co/Ni、Cu/Auの組合せであり(M−M)はそれぞれ40℃、80℃、40℃で、いずれも100℃より小さい。
また、○と判定されたのは、Cu/Ag、Au/Agの組合せであり、(M−M)は、それぞれ123℃、103℃と、100℃より大きく370℃より小さい。
◎と判定されたのは、(Fe、Co、Ni)/(Cu、Au、Ag)の任意の組合せであり、371℃(Ni/Cu)〜574℃(Fe/Ag)と、370℃より大きい。
したがって、以上に説明した金属粉末製造方法によれば、上記式(1)を満足する金属同士によって、一部に金属材料2が露出するものの、金属材料2を被覆金属材料4で良好に被覆した金属粉末が得られ、上記式(2)を満足する金属同士によって、金属材料2を被覆金属材料4で略全体的に被覆した金属粉末が得られることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る金属粉末製造装置の概略構成を示す模式的な構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る金属粉末製造装置の加熱ガス循環機構の模式的な斜視図、およびそのガス流入流出口の模式図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の金属粉末製造方法の溶湯吹き付け工程の様子を示す模式的な説明図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る金属粉末製造装置の概略構成を示す模式的な構成図である。
【図5】本発明の第3の実施形態に係る金属粉末製造装置の概略構成を示す模式的な構成図である。
【符号の説明】
【0101】
1 金属材料溶融槽(第1の加熱槽)
2 金属材料(第1の金属)
2A 金属溶湯(溶融された第1の金属)
2B 金属固化物
3 被覆金属材料溶融槽(第2の加熱槽)
4 被覆金属材料(第2の金属)
4A 被覆金属溶湯(溶融された第2の金属)
4B 被覆金属固化物
5 保持槽(第1の加熱槽)
6 流出ノズル
6a、9a ノズル先端部
7 保持槽(第2の加熱槽)
8 ガス加圧機構(第2金属加圧部)
9 吹き付けノズル
10、15、18 反応槽
10B、15B、18B 加熱保持室部
11、16、20 回収機構
12、21 ヒータ加熱部(加熱部)
12a、21a ヒータ(熱源)
13 加熱ガス循環機構
16a、16b、16c、20a、20b、20c 回収容器
17 ガス加圧機構(第1金属加圧部)
19 加熱ガス循環機構
30A、30B、30C 粒状体
100、101、102 金属粉末製造装置
A 落下方向
B 吹き付け方向
、M 融点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
融点がM(℃)の第1の金属、および融点がM(℃)(ただし、M>M)の第2の金属をそれぞれ溶融させる溶融工程と、
該溶融工程で溶融された前記第1の金属を流出ノズルから流出させる流出工程と、
該流出工程で流出される前記第1の金属に、前記溶融工程で溶融された前記第2の金属を溶湯状態で吹き付けて、前記第1の金属に前記第2の金属が付着された粒状体を形成する溶湯吹き付け工程と、
該溶湯吹き付け工程で形成された前記粒状体を固化させてから、金属粉末として回収する回収工程とを備え、
前記融点M、Mは、次式(1)の関係を満たすことを特徴とする金属粉末製造方法。
−M>100 ・・・(1)
【請求項2】
前記第1の金属の融点M(℃)と、前記第2の金属の融点M(℃)とは、次式(2)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の金属粉末製造方法。
−M>370 ・・・(2)
【請求項3】
前記流出工程は、
前記第1の金属を圧力可変に加圧して流出させるようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属粉末製造方法。
【請求項4】
前記回収工程は、
前記溶湯吹き付け工程で形成された前記粒状体を、前記第2の金属の融点より低い温度に温度制御された加熱雰囲気中に保持して、前記粒状体を固化させる加熱保持工程を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の金属粉末製造方法。
【請求項5】
前記加熱保持工程は、
前記粒状体を、不活性ガスが内部に満たされ、熱源によって外部から加熱された反応槽内に保持して行うことを特徴とする請求項4に記載の金属粉末製造方法。
【請求項6】
前記加熱保持工程は、
前記粒状体を、加熱された不活性ガスを内部に循環させて前記加熱雰囲気を形成する反応槽内に保持して行うことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の金属粉末製造方法。
【請求項7】
前記溶湯吹き付け工程は、
前記第2の金属を加圧して、前記流出工程における第1の金属の流出方向に対して斜め方向に傾斜して設けられた吹き付けノズルから、前記第2の金属を吹き付けて前記粒状体を形成し、該粒状体を、前記第1の金属の流出方向に交差する方向に向けて飛散させる工程であり、
前記回収工程は、
前記流出ノズルおよび前記吹き付けノズルの下方側において、前記溶湯吹き付け工程によって飛散された前記粒状体を、前記流出ノズルの流出方向と略直交する方向の飛距離に応じて分別状態に収容してから、前記金属粉末として回収する工程であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属粉末製造方法。
【請求項8】
前記溶湯吹き付け工程は、
前記第2の金属を加圧して、前記流出工程における第1の金属の流出方向に対して斜め方向に傾斜された吹き付けノズルから、前記第2の金属を吹き付けて前記粒状体を形成し、該粒状体を落下させる工程であり、
前記回収工程は、
前記流出ノズルおよび前記吹き付けノズルの下方側において、前記溶湯吹き付け工程によって落下された前記粒状体に対して、該粒状体の落下方向に交差する方向に向けてガスを吹き付けて前記粒状体を飛散させ、
該粒状体を前記ガスの吹き付け方向に沿う飛距離に応じて分別状態に収容してから、前記金属粉末として回収する工程であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属粉末製造方法。
【請求項9】
第1の金属を加熱して溶融させる第1の加熱槽と、
該第1の加熱槽で溶融された前記第1の金属を流出させる流出ノズルと、
前記第1の金属の融点をM(℃)として次式(1)を満足する融点M(℃)を有する第2の金属を加熱して溶融させる第2の加熱槽と、
該第2の加熱槽で溶融された前記第2の金属を加圧する第2金属加圧部と、
前記流出ノズルから流出された前記第1の金属に向けて、前記第2金属加圧部で加圧された前記第2の金属を溶湯状態で吹き付ける吹き付けノズルと、
該吹き付けノズルから前記第2の金属を吹き付けることによって形成された、前記第1の金属に前記第2の金属が付着されてなる粒状体を固化させてから、金属粉末として回収する回収機構とを備えることを特徴とする金属粉末製造装置。
−M>100 ・・・(1)
【請求項10】
前記第1の金属の融点M(℃)と、前記第2の金属の融点M(℃)とは、次式(2)の関係を満たすことを特徴とする請求項9に記載の金属粉末製造装置。
−M>370 ・・・(2)
【請求項11】
前記第1の加熱槽は、溶融された前記第1の金属を加圧する第1金属加圧部を備えることを特徴とする請求項9または請求項10に記載の金属粉末製造装置。
【請求項12】
前記流出ノズルおよび前記吹き付けノズルと、前記回収機構とを内部に設けた反応槽と、
該反応槽の内部の雰囲気温度を、前記第2の金属の融点より低い温度に保持する加熱部とを備えることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
【請求項13】
前記反応槽の内部には、不活性ガスが満たされ、
前記加熱部は、
前記反応槽を外部から加熱する熱源を備えることを特徴とする請求項12に記載の金属粉末製造装置。
【請求項14】
前記加熱部は、
不活性ガスを加熱して、前記反応槽の内部に循環させる加熱ガス循環機構を備えることを特徴とする請求項12または13に記載の金属粉末製造装置。
【請求項15】
前記吹き付けノズルは、前記流出ノズルの流出方向に対して斜め方向に傾斜して設けられ、
前記回収機構は、前記粒状体を、前記流出ノズルの流出方向と略直交する方向の飛距離に応じて分別状態に収容してから、前記金属粉末として回収するものであることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の金属粉末製造装置。
【請求項16】
前記回収機構は、前記流出ノズルおよび前記吹き付けノズルの下方に設けられ、前記粒状体を該粒状体の落下位置に応じて、分別状態に収容して、前記金属粉末として回収するものであり、
前記回収機構と前記流出ノズルおよび前記吹き付けノズルとの間の空間で前記粒状体の落下方向に交差する方向に向けてガスを吹き付け、これにより前記粒状体を飛散させるガス吹き付け機構を設けたことを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載の金属粉末製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−84216(P2010−84216A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−257230(P2008−257230)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】