説明

金属線材の成膜装置

【課題】金属線材にスパッタリング法により被膜処理を施す金属線材の成膜装置を提供する。
【解決手段】金属線材の表面にスパッタリングにより被膜処理を施す成膜装置において、金属線材は陽極とされており、金属線材の周囲に、前記金属線材よりも低い電位又は接地された異種金属ターゲットが配置されており、さらに前記異種金属ターゲットの周囲に、前記異種金属ターゲットと電気的に絶縁された前記異種金属ターゲットと同一材質の部材が電気的に浮かした状態で配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属線材(以下、単に線材と省略する場合がある。)にスパッタリング法により被膜処理を施す金属線材の成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通常の蒸着法又はイオンプレーティング法では線材の片面のみに被膜処理が施される欠点を克服した構造の成膜装置が開発されている(特許文献1、2を参照)。
【0003】
例えば、図2に、特許文献1に開示されている成膜装置を側面から見た概略図を示す。この成膜装置は、イオンプレーティング法により連続した線材の表面に被膜処理を施す装置である。通常の蒸着法又はイオンプレーティング法では線材の片面のみに被膜処理が施される欠点を克服するために、蒸発源からの蒸気流に対して線材を繰返し往復させる構造とされている。
【0004】
具体的に云うと、特許文献1に開示されている成膜装置は、線材の巻き出し及び巻き取り用のスプール室31と真空蒸着室32とに分けられている。スプール室31には、巻き出しスプール38、固定プーリ40、張力制御のための移動プーリ41、巻き取りスプール42が設けられており、線材39の巻き出し、巻き取り、及び張力の調整が行われる。
【0005】
真空蒸着室32には、電子銃33、電子銃坩堝内の試料34、高周波コイル35、線材繰返し往復のためのロール36、線材加熱用の棒状ヒータ37が設けられている。電子銃33の坩堝内の試料34は電子ビームの衝撃により上方に蒸発し、高周波コイル35への高周波の印加と高周波コイル35近傍へのガス導入とにより、形成されたプラズマ中でイオン化する。そして、試料34はバイアス電圧が印加された2つのロール36に電気的に接している線材39にイオンプレーティングされる。イオンプレーティングによる蒸着の周り込み性と2つのロール36による線材39の裏表蒸着により、片面だけでない均一な蒸着が実現される。棒状ヒータ37は蒸着中の線材39を熱輻射により加熱して、蒸着中において主に被膜の密着力を確保するために使用される。
【0006】
【特許文献1】特開平6−136538号公報
【特許文献2】特公平7−18008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般的に成膜用の真空装置では、使用される試料の大部分は真空蒸着室の内壁又は内壁に固定された防着シールドに付着し、成膜対象物(線材)への被膜形成に使用される割合は非常に少ない。
【0008】
使用される試料の量自体が非常に限られた物質の場合、この成膜対象物への被膜形成に使用される割合が非常に少ないことが現実的な問題となる。例えば、線材としての抵抗値を高く保ち、且つ、1400K〜1500Kの高温度での大気成分との表面の化学反応性を低くする場合には、線材自体をタングステン線とし、表面をイリジュウムで成膜することにより実現できる。このような成膜は蒸着法又はイオンプレーティング法であっても実現できる。
【0009】
しかし、蒸着法又はイオンプレーティング法を使用する場合は、被膜処理に使用される試料は成膜されない又は再利用困難な状態で多量に損失される。イリジュウムは希少金属であるため、多量に消費することができず、この損失は現実的な問題である。
【0010】
しかしながら、図2に示した成膜装置ではイオンプレーティングを使用しているために、線材への付着による被膜形成以外に真空蒸着室の内壁又は内壁に固定された防着シールドに付着する試料の量が非常に多い。
【0011】
そのため、使用される試料の量自体が非常に限られる物質の場合の成膜には適していない。また、内壁又は防着シールドに付着する試料は真空蒸着室の全体に広がるため、線材の巻き出し及び巻き取りに使用するスプール室等を真空蒸着室以外に分けて設ける必要がある。
【0012】
また、図2に示した成膜装置では、電子銃による蒸着と、高周波によるイオン化によるイオンプレーティングとを使用しているために、蒸気流とイオン化された蒸気流とに指向性がある。
【0013】
そのため、2つの線材繰返し往復のためのロールを使用し線材を蒸気流とイオン化された蒸気流とに対して繰り返し往復して晒す必要があり、この2つのロールによる繰返し往復機構を設けることが負担となっている。しかも、ロール自体に望まれない付着が発生することを防ぐ方法が負担となっている。
【0014】
また、被膜処理中の線材を加熱するために、棒状ヒータによる熱輻射を使用している。しかしながら、棒状ヒータからの熱輻射の大部分は線材以外の内部部品及び真空蒸着室の内壁を加熱しており、過剰なエネルギーを使用しているという問題があった。
【0015】
このことは真空蒸着室のメンテナンス時等の大気開放、又は真空蒸着室と連通する線材の取り付け・取り外し時の線材の巻き出し及び巻き取り用のスプール室の大気開放は、真空蒸着室の内部部品等が充分に冷却されてから行う必要がある。そのため、大気開放等の作業に多くの時間を必要とするという問題があった。
【0016】
本発明の目的は、金属線材の成膜に使用される試料の利用効率を飛躍的に高め、繰返し往復等の機構を使用することなく金属線材への均一な成膜を実現する。そして、金属線材の加熱エネルギーの利用効率を高めると共に、大気開放に伴うメンテナンス及び金属線材の交換作業時間を短縮する。さらには、金属線材の巻き出し及び巻き取りに使用するスプール構造と、金属線材への被膜形成構造とを、一つの真空チャンバー内に設けた金属線材の成膜装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記背景技術の課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る金属線材の成膜装置は、
連続した金属線材の表面にスパッタリングにより被膜処理を施す成膜装置において、
金属線材は陽極とされており、
金属線材の周囲に、前記金属線材よりも低い電位又は接地された異種金属ターゲットが配置されており、さらに前記異種金属ターゲットの周囲に、前記異種金属ターゲットと電気的に絶縁された前記異種金属ターゲットと同一材質の部材が電気的に浮かした状態で配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、スパッタされた原子の殆どは配置変更可能な同一物質の異種金属ターゲットと金属線材の表面とに捕捉され、スパッタされていない部分の異種金属ターゲットをスパッタ用の位置に配置変更することができる。そのため、金属線材の成膜に使用される試料である異種金属ターゲットの利用効率を飛躍的に高めることができる。
【0019】
しかも、金属線材の周囲を取り囲むように、異種金属ターゲットが配置されているため、金属線材を繰返し往復する等の機構を使用することなく、金属線材への均一な成膜を実現することができる。
【0020】
また、金属線材への被膜処理のためのスパッタされた原子は真空チャンバー内に飛散することが殆ど無いため、金属線材の巻き出し及び巻き取りに使用するスプール構造と、金属線材への被膜形成の構造とを、一つの真空チャンバー内に設けることができる。
【0021】
金属線材への加熱を前記金属線材への通電加熱により行うため、加熱エネルギーの利用効率を高めることができ、通電加熱により加熱される部分の熱容量は小さく容易に冷却できる。大気開放の伴うメンテナンス及び金属線材の交換作業時間を短縮できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明に係る金属線材の成膜装置の好適な実施形態を図1に基づいて説明する。
【0023】
本発明に係る成膜装置は、金属線材の表面にスパッタリングにより被膜処理を施す際に好適に用いられる。
【0024】
この成膜装置は、成膜用真空チャンバー1内で、絶縁性の線材巻き出しスプール4から巻き出された金属線材8が、金属製の巻き出し側固定プーリ6と接触し、被膜処理が施される容器状構造物内を通過する。その後、金属線材8は金属製の巻き取り側固定プーリ7と接触し、絶縁性の線材巻き取りスプール5に巻き取られる。成膜用真空チャンバー1には、配管を介して気体排気用ターボ分子ポンプ2、ロータリーポンプ3が接続されており、真空排気されている。
【0025】
金属製の巻き出し側固定プーリ6には、高圧印加用電源20の陽極側がブラシ状電極等により電気的に接触している。金属製の巻き出し側固定プーリ6とその回転軸との間はセラッミック等の材質により絶縁されており、金属製の巻き出し側固定プーリ6の回転軸に電圧が印加されない構造となっている。電圧は金属製の巻き出し側固定プーリ6と電気的に接触している金属線材8に印加される。
【0026】
金属製の巻き取り側固定プーリ7には、高圧印加用電源20の陽極側に接続された線材通電加熱用電源21の他端がブラシ状電極等により電気的に接触している。金属製の巻き取り側固定プーリ7とその回転軸との間はセラッミック等の材質により絶縁されており、金属製の巻き取り側固定プーリ7の回転軸に電圧が印加されない構造となっている。電圧は金属製の巻き取り側固定プーリ7と電気的に接触している金属線材8に印加される。
【0027】
つまり、少なくとも容器状構造物の異種金属ターゲット14に囲まれている前記金属線材8の両端に、通電用電圧が印加され、金属線材8は陽極とされる。
【0028】
容器状構造物は、線材導入部セラッミックガイド9、線材取り出し部セラッミックガイド10、電極間絶縁用セラッミックAll、電極間絶縁用セラッミックB12、ターゲット固定用セラッミック13、異種金属ターゲット14を有する。各々の部材は金属線材8の周囲(径方向)を略密閉した状態で取り囲むように組み立てられており、メンテナンス時などに分解可能な構成とされている。
【0029】
具体的に云うと、金属線材8の周囲を取り囲むように、前記金属線材8よりも低い電位又は接地された異種金属ターゲット14が複数個(本実施形態では4個)、間隔を開けて配置されている。ちなみに、本実施形態では中央の2つの異種金属ターゲット14に接地線が接続され、接地されている。
【0030】
さらに、各々の異種金属ターゲット14の周囲を取り囲むように、前記異種金属ターゲット14より一回り大きいターゲット固定用セラミック13が、電気的に浮かした状態(即ち、接地等されていない状態)で配置されている。このターゲット固定用セラミック13は、前記異種金属ターゲット14と同一材質からなり、前記異種金属ターゲット14と電気的に絶縁されている。
【0031】
電極間絶縁用セラミックA11、電極間絶縁用セラミックB12は、各々のターゲット固定用セラミック13及び異種電極ターゲット14の間隔部分を取り囲むように、配置されている。
【0032】
電極間絶縁用セラミックA11及び電極間絶縁用セラミックB12には、ガス導入用マスフローコントローラ16、ストップバルブ17を備えた配管が接続されている。金属線材8と異種金属ターゲット14との間に、放電用ガスとして例えばArガスを導入できる構成とされている。
【0033】
電極間絶縁用セラミックB12には、さらに配管を介してキャパシタンスマノメータ18が接続されており、容器状構造物内の圧力が測定できる構成とされている。ちなみに、成膜用真空チャンバー1内の圧力は電離真空計19で測定できる構成とされている。
【0034】
線材導入部セラッミックガイド9には金属線材8の導入部が形成され、線材取り出し部セラッミックガイド10には金属線材8の取り出し部が形成されている。この線材導入部セラミックガイド9、線材取り出し部セラミックガイド10は、金属線材8の軸方向の両側に配置されたターゲット固定用セラミック13及び異種金属ターゲット14の端部を塞ぐように、配置されている。
【0035】
上記構成の成膜装置は、成膜用真空チャンバー1が真空排気されており、高圧印加電源20が稼動し金属線材8に正の高電圧が印加される。その一方で、ガス導入用マスフローコントローラ16及びストップバルブ17より例えばArガスが導入される。前記容器状構造物内の圧力が電極間距離と共にパッシェンの法則による放電開始条件を満たす時、前記容器状構造物内の接地された異種金属ターゲット14と、同2つの異種金属ターゲット14に囲まれた部分の金属線材8との間に直流放電が開始される。放電により生成したArイオンが、前記放電部の2つの異種金属ターゲット14を衝撃するいわゆるDCスパッタ現象により、異種金属ターゲット14の原子が表面から飛び出し、金属線材8に向かう原子は前記金属線材8の表面で被膜となる。
【0036】
金属線材8以外へ飛散した異種金属ターゲット14の原子の殆どは、中央の2つの異種金属ターゲット14に戻るか、その両側の異種金属ターゲット14に付着する。本実施形態の4つの異種金属ターゲット14は同一形状であり、前記容器状構造物は分解組立可能な構造としている。そのため、異種金属ターゲット14の減り具合を見て、外側と内側の異種金属ターゲット14を交換することが可能である。付着する原子と異種金属ターゲット14の材質は基本的に同一物質であるため、異種金属ターゲット14の配置変更を含めて考慮すれば、金属線材8に付着できなかった原子が他の場所に付着することによるロスは殆ど無いこととなる。
【0037】
スパッタされた異種金属ターゲット14の原子が前記容器状構造物の外部に出てくることは殆ど無く、成膜用真空チャンバー1内に設けられた他の内部部品がスパッタ原子の付着により、電気的又は機械的不具合を起こす可能性は殆ど無い。そのため、これら部品を含めて同一の成膜用真空チャンバー1内に設置することができる。なお、成膜用真空チャンバー1内に流出した例えばArガスは、気体排気用ターボ分子ポンプ2、ロータリーポンプ3により排気される。
【0038】
異種金属ターゲット14は金属線材8の周囲を取り囲んでおり、放電及びスパッタリングも金属線材8の周囲を取り囲むように発生する。そのため、金属線材8の繰返し往復等の特殊な工夫を行うことなく、金属線材8に異種金属ターゲット14による物質の均一な被膜を形成することができる。
【0039】
被膜形成時は通常、金属線材8の加熱を行う必要があるが、この加熱は線材通電加熱用電源21により巻き出し側固定プーリ6と巻き取り側固定プーリ7とを介して電気的に接している金属線材8に通電電流を流すことにより行われる。金属線材8の温度抵抗特性には再現性があるため、線材通電加熱用電源21による電圧と電流とをモニターし、抵抗値を確認することにより、加熱温度の再現性を確保することができる。この加熱方法は加熱されるべき金属線材8のみを加熱する方法であるため、過剰な加熱エネルギーは殆ど無い。加熱される部分は、金属線材8を主として、殆ど前記容器状構造物だけに集約される。この部分の熱容量は小さく組み立てることができるため、加熱及び放電を停止した後でのガス導入により短時間で冷やすことが可能である。そのため、大気開放の伴うメンテナンス及び金属線材の交換作業時間を大幅に短縮することができる。
【0040】
上記構成の容器状構造物の中央の2つの異種金属ターゲット14と金属線材8との間の空間に、前記金属線材8の軸方向と平行に磁力線が生じるように、前記容器状構造物の外周部には永久磁石又は電磁石からなるマグネット15が配置されていることが好ましい。前記容器状構造物の外周部に配置されてあるマグネット15により、金属線材8の軸方向と平行に磁力線が発生している場合は、いわゆるDCマグネトロンスパッタとなり、前記容器状構造物内の例えばArガスの圧力の低圧化が図られる。さらに放電密度の向上による異種金属ターゲット14からのスパッタレートの向上が図られる。低圧化は金属線材8の表面に形成される被膜内へのArガス吸蔵の低減に有効であり、スパッタレートの向上は金属線材8の表面の被膜形成速度の向上に有効である。
【0041】
導入される例えばArガスによるスパッタリング圧力生成は、前記容器状構造物内だけである。前記容器状構造物より成膜用真空チャンバー1へ例えばArガスが流出する部分のコンダクタンスは非常に小さくできる。そのため、成膜用真空チャンバー1内の例えばArガスによる圧力は、前記容器状構造物内の圧力と比較し非常に小さくでき、消費される例えばArガスの流量を非常に少なくすることができる。
【0042】
以上の実施形態では説明していないが、ガスの導入はガス導入用マスフローコントローラ16による流量一定制御だけでない。放電部圧力検出用キャパシタンスマノメータ18の圧力値が一定となるようにガス導入用マスフローコントローラ16の流量を制御する方式をとっても良い。
【0043】
金属線材8を加熱するための線材通電加熱用電源21は、必ずしも図示したようなDC電源である必要は無く、AC電源又はトランス等によるAC導入であっても良い。
【0044】
真空排気系に使用される真空ポンプは、必ずしも気体排気用ターボ分子ポンプ2とロータリーポンプ3との組み合わせである必要は無く、前記容器状構造物内の圧力より低い成膜用真空チャンバー1内の圧力が得られる真空ポンプであれば良い。
【0045】
本発明では放電により生成された電子は殆ど金属線材8に流れ込むため、通電加熱が必ずしも必要とは限らない。この場合、通電加熱用に設けた回路は加熱温度検出用として使用することもできる。
【0046】
上記実施形態では真空排気系を使用したスパッタリングで説明してあるが、大気圧下でも約1mmの電極ギャップに約10kV以上の電圧を印加することにより放電が生じることは知られている。そのため、金属線材8と異種金属ターゲット14とのギャップを約1mm以下とすることにより、真空排気系を無くした大気圧でのスパッタ装置とすることもできる。真空排気系が無い分、線材送りの為の動力導入機構、真空用の電流導入端子等の部品も不要となる。大気圧か真空かの選択はスパッタ膜付着強度等の膜質による。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る金属線材の成膜装置の代表的な実施形態を示す要部縦断面図である。
【図2】従来の金属線材の成膜装置の要部縦断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 成膜用真空チャンバー
2 気体排気用ターボ分子ポンプ
3 ロータリーポンプ
4 線材巻き出しスプール
5 線材巻き取りスプール
6 巻き出し側固定プーリ
7 巻き取り側固定プーリ
8 金属線材
9 線材導入部セラッミックガイド
10 線材取り出し部セラッミックガイド
11 電極間絶縁用セラッミックA
12 電極間絶縁用セラッミックB
13 ターゲット固定用セラッミック
14 異種金属ターゲット
15 マグネット
16 ガス導入用マスフローコントローラ
17 ストップバルブ
18 キャパシタンスマノメータ
19 電離真空計
20 高圧印加用電源
21 線材通電加熱用電源
31 線材の巻き出し及び巻き取り用のスプール室
32 真空蒸着室
33 電子銃
34 電子銃坩堝内の試料
35 高周波コイル
36 線材繰返し往復のためのロール
37 線材加熱用の棒状ヒータ
38 巻き出しスプール
39 線材
40 固定プーリ
41 張力制御のための移動プーリ
42 巻き取りスプール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属線材の表面にスパッタリングにより被膜処理を施す成膜装置において、
金属線材は陽極とされており、
金属線材の周囲に、前記金属線材よりも低い電位又は接地された異種金属ターゲットが配置されており、さらに前記異種金属ターゲットの周囲に、前記異種金属ターゲットと電気的に絶縁された前記異種金属ターゲットと同一材質の部材が電気的に浮かした状態で配置されていることを特徴とする、金属線材の成膜装置。
【請求項2】
前記金属線材と前記異種金属ターゲットとの間に、放電用ガスが導入されていることを特徴とする、請求項1に記載の金属線材の成膜装置。
【請求項3】
前記金属線材と前記異種金属ターゲットとの間の空間に、前記金属線材の軸方向と平行に磁力線が生じるように、永久磁石又は電磁石が前記異種金属ターゲットの外周部に配置されていることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の金属線材の成膜装置。
【請求項4】
少なくとも前記異種金属ターゲットに囲まれている前記金属線材の両端に、通電用電圧が印加される構成とされていることを特徴とする、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の金属線材の成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−255455(P2008−255455A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−101545(P2007−101545)
【出願日】平成19年4月9日(2007.4.9)
【出願人】(000227294)キヤノンアネルバ株式会社 (564)
【Fターム(参考)】