説明

金属触媒担体の製造装置

【課題】 ハニカム体を外筒へ良好に圧入した状態で収容できると同時に、装置の耐久性を向上できる金属触媒担体の製造装置の提供。
【解決手段】 圧入ガイド19のテーパ面(第2案内孔19d)に、ハニカム体2の外周に内側へ窪んだ溝2aを形成可能な突部19eを設け、スライド片24の外周における突部19eと対応する位置に、該スライド片24と突部19eとの接触を回避可能な逃げ溝27を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属触媒担体の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属触媒担体の製造装置として特許文献1に記載の技術が知られている。
この公報には、ハニカム体を圧入ガイドのテーパ面で縮径させながら外筒に圧入するための圧入パンチが、油圧シリンダのピストンロッドに連結される固定片と、この固定片にその外方へスライド可能に連結された複数のスライド片と、各スライド片と固定片との間に介在され、各スライド片を外方へ常時付勢する弾性部材とで構成されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−341034号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の発明にあっては、ハニカム体を外筒に圧入する際に、ハニカム体の外周上の一部が内側に大きく撓んで座屈する虞があった。
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、ハニカム体を外筒へ良好に圧入した状態で収容できると同時に、装置の耐久性を向上できる金属触媒担体の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明では、ハニカム体を駆動手段の駆動力により軸方向に押圧して圧入ガイドのテーパ面により縮径させながら外筒に圧入するための圧入パンチが、該駆動手段と連結された固定片と、該固定片に外側へスライド移動可能に結合されたスライド片と、該スライド片を外側へ常時付勢する弾性部材と、を備える金属触媒担体の製造装置において、上記圧入ガイドのテーパ面に、ハニカム体の外周に内側へ窪んだ溝を形成可能な突部を設け、上記圧入パンチの圧入時にスライド片と突部を非接触状態としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明では、圧入ガイドのテーパ面に、ハニカム体の外周に内側へ窪んだ溝を形成可能な突部を設け、圧入パンチの圧入時にスライド片と突部を非接触状態としている。
【0007】
これにより、ハニカム体を外筒へ良好に圧入した状態で収容できると同時に、装置の耐久性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
以下、実施例1を説明する。
図1は実施例1の金属触媒担体を示す側断面図、図2は図1のA2−A2線による断面図、図3は実施例1のハニカム体の形成を説明する図、図4は実施例1のハニカム体の形成直後の斜視図である。
図5は実施例1の圧入装置の全体図、図6は実施例1の圧入パンチの分解斜視図、図7は同斜視図、図8は同正面図、図9は同側断面図、図10は図9のA10−A10線による断面図であり、圧入パンチの作動前を説明する図、図11は同圧入パンチの作動後を説明する図である。
図12は実施例1の圧入ガイドの平面図、図13は図12のA13−A13線による断面図、図14〜21は実施例1の金属触媒担体の製造方法を説明する図である。
【0010】
先ず、全体構成を説明する。
図1、2に示すように、実施例1の金属触媒担体1は、円柱状のハニカム体2と、このハニカム体2が収容された円筒状の外筒3等から構成されている。
【0011】
次に、金属触媒担体1の製造方法を説明する。
金属触媒担体1の製造方法は、ハニカム体形成工程、溝加工工程及び圧入工程、ろう付け工程の順番に行われる。
<ハニカム体形成工程>
ハニカム体形成工程では、公知の特開2006−239580号公報と同様の加工装置を用いてハニカム体2を形成する。
即ち、図3に示すように、ロールギヤ等で形成された長尺で波状の金属箔4と、長尺で平板状(または小波状)の金属箔5の始端部を該金属箔5が外側となるように巻軸6に止着した後、これら両金属箔4,5を重ねた状態で多重に巻回することによりロール状に形成する。
その後、両金属箔4,5の終端部をハニカム体2の外周に巻回されたろう箔材7と共にスポット溶接等により固定して、所望のハニカム体2を形成する(図4参照)。
なお、実施例1では、ろう箔材7をハニカム体2の長手方向中央位置に設けているが、この限りではない。
【0012】
<溝加工工程及び圧入工程>
溝加工工程及び圧入工程では、ハニカム体2の外周に複数の溝を形成しつつ、外筒3に圧入する。
具体的には公知の特開平11−197518号公報と同様の圧入装置に追加変更が加えられた圧入装置10を用いる。
【0013】
先ず、圧入装置10について詳述する。
図5において、水平な基台11上に立設されたタワーブロック12には、鉛直方向にレール13が延設されると共に、このレール13には昇降板14が摺動可能に係合されている。
【0014】
昇降板14には、タワーブロック12に取付けられたエア式シリンダ15のピストンロッド15aが連結しており、このエア式シリンダ15の作動により昇降板14を上下動させるようになっている。
なお、エア式シリンダ15の駆動は油圧式等に代えても良く、この限りではない。
また、昇降板14の上部には支持ブラケット16が備えられる一方、下部には支持ブラケット17が備えられている。
支持ブラケット16にはエア式シリンダ18が鉛直方向に向けて装着される一方、支持ブラケット17には円筒状の圧入ガイド19がエア式シリンダ18のピストンロッド18aと同軸上に装着されている。
なお、エア式シリンダ18の駆動は油圧式等に代えても良く、この限りではない。
【0015】
ピストンロッド18aの下端には、圧入パンチ20が備えられている。
図6〜8に示すように、圧入パンチ20は、ピストンロッド18aの下端に一体的に固設された円盤状のガイド部材21と、このガイド部材21に装着されたパンチ本体22とから構成されている。
パンチ本体22は、ガイド部材21の中心直下に配置された矩形状の固定片23と、この固定片23の周囲4方向にそれぞれ配置され、平面視略扇形状で固定片23と同じ厚みを有するスライド片24とから構成されている。
なお、固定片23の形状、スライド片24の設置数及び固定片との配置関係については適宜設定できる。
【0016】
固定片23の上面には、ガイド部材21の底面に切欠開口された取付孔21aに挿入可能な取付ステイ23aが上方へ突設されている。
そして、この取付ステイ23aを取付孔21aに挿入した後、ピストンロッド18aの外周から挿入した取付ピン18b(図7、8参照)を取付ステイ23aの係合孔23bに係合させることにより、固定片23がガイド部材21に固定されている。
なお、固定片23とガイド部材21との固定構造は、前述した以外の構造を採用しても良く、さらに、これら両者を一体形成する場合もあり得る。
【0017】
図9、10に示すように、固定片23と各スライド片24はそれぞれ結合シリンダ25を介して結合されている。
なお、図10では図中上方のスライド片24と結合シリンダ25に詳細な符号を付して説明する。
結合シリンダ25は、固定片23に固設された固定シャフト25aと、この固定シャフト25aに対して軸方向へ伸縮可能に連結されたピストン25bとから構成されている。
各スライド片24にはピストン25bを貫通配置させるための挿通孔24aが形成される他、その外側には挿通孔24よりも大径の凹部24bが形成されて、ここに、ピストン25bに設けられた円柱状のストッパ25cが配置されることにより、スライド片24の脱落防止が図られている。
【0018】
スライド片24の挿通孔24aの内側には、挿通孔24よりも大径の凹部24cが形成されると共に、この凹部24cと固定片23との間には、結合シリンダ25に沿ってスライド片24を外側へ常時付勢するコイルスプリング26が介装されている。
なお、コイルスプリング26はスライド片24を外側へ常時付勢する力が得られるものであれば良く、ゴム等の弾性を有する素材、液体、あるいは気体等を利用したもので代用することもできる。
また、コイルスプリング26をピストン25b内で固定シャフト25aとの間に介装してスライド片24を外側へ常時付勢するようにしても良く、この場合、結合シリンダ25の組み付け性を向上できる。
【0019】
さらに、スライド片24の外周には、内側に向かって平面視略台形状で内側に凹設された逃げ溝27が等間隔に複数(実施例1では5個ずつ、パンチ本体22の外周上に合計20個)形成されている。
なお、逃げ溝27の形状は平面視略台形状に限らず、その形状、配置、形成数についても適宜設定できる。
【0020】
これにより、図10、11に示すように、各スライド片24は固定片23に対してコイルスプリング27の付勢力に抗して結合シリンダ25の長手方向に沿ってスライド移動可能に設けられている。
この際、各スライド片24のスライド移動前後におけるパンチ本体22の外周は略円形状になる。
また、各スライド片24がスライド移動して、各スライド片24の衝合部24dとそれぞれ対応する固定片23の側面23c、及びスライド片24の衝合部24e同士が合致した場合に、パンチ本体22の外周が最小径になる。
【0021】
図12、13に示すように、圧入ガイド19の内周には、その下端に行くにつれて徐々に拡径しながら開口するテーパ面を有する第1案内孔19aと、この第1案内孔19aの上端に連なる真円の矯正孔19bが形成されている。
また、この矯正孔19bの上端から起立する環状段部19cと、この環状段部19cの内周縁から該治具19の他端に行くに連れて徐々に拡径しながら開口するテーパ面を有する第2案内孔19dとが形成されている。
【0022】
さらに、第2案内孔19dには圧入ガイド19の中心に向かって山状に突設された突部19eが周方向に等間隔で複数(実施例1では20個図示)形成されている。
なお、突部19eの形状、設置数は適宜設定でき、例えば、緩やかな山状に形成しても良い。
【0023】
第1案内孔19aの下端の入口径は、外筒3の外径より大きく、矯正孔19bの内径は、外筒3の外径と等しく設定されている。
また。第2案内孔19dの上端の入口径L1は、ハニカム体2の外径及びパンチ本体22の最大径の外径より大きく設定されている。
さらに、第2案内孔19dの下端の出口径L2は、外筒3の内径よりも小さく、パンチ本体22の最小径と同じか、僅かに大きく設定されている。
【0024】
図5に示すように、基台11上には、圧入ガイド19の下方で同軸上に配置されたワーク支持ブロック28が固設されると共に、このワーク支持ブロック28の上端には、外筒3の下端内周に嵌合する環状突起状の突起28aが形成されている。
さらに、圧入パンチ20の下方には同軸上に円盤状の支持体29が配置されている。
この支持体29の下部には、圧入ガイド19及びワーク支持ブロック28を貫通して基台11内に収容されたエア式シリンダ30のピストンロッド30aが連結されており、このエア式シリンダ30の作動により支持体29を上下動させるようになっている。
なお、エア式シリンダ30の駆動は油圧式等に代えても良く、この限りではない。
【0025】
次に、圧入装置10の作動について説明する。
このように構成された圧入装置10では、先ず、図14に示すように、エア式シリンダ15のピストンロッド15aの収縮作動により昇降板14を上昇位置に停止させる。
また、エア式シリンダ30のピストンロッド30aの収縮作動により支持体29を突起28aと同一高さで停止させた状態として、ワーク支持ブロック21上に外筒3を載置する。
この際、外筒3の下端内周に突起28aを嵌合させることにより、外筒3を圧入ガイド19と同軸上に配置する。
【0026】
次に、図15に示すように、エア式シリンダ15のピストンロッド15aの伸長作動により昇降板14を徐々に下降させる。
この際、外筒3の上端部が圧入ガイド19の第1案内孔19aを経て矯正孔19bに嵌合し、これにより外筒3の歪みを矯正できる。
その後、外筒3の上端部が環状段部19cに当接したところで昇降板14を停止させる。
【0027】
次に、図16に示すように、エア式シリンダ30のピストンロッド30aの伸長作動により支持体29を圧入ガイド19の上端よりも僅かに上方となるように配置した後、支持体29上にハニカム体2を載置する。
【0028】
その後、エア式シリンダ18の伸長作動により圧入パンチ20を徐々に下降させて、図17に示すように、圧入パンチ20の下面がハニカム体2の上面に当接したところで、エア式シリンダ30のピストンロッド30aの収縮作動により支持体29を圧入パンチ20と同期させて下降させた後、エア式シリンダ30のピストンロッド30aの収縮作動により支持体29を元位置に復帰させる(図18参照)。
【0029】
一方、図18、19に示すように、圧入パンチ20はハニカム体2の上面を下方へ押して所定位置まで下降することにより、該ハニカム体2を第2案内孔19dで縮径させて矯正孔19b内で待機する外筒3内に圧入する。
この際、圧入パンチ20のパンチ本体22の固定片23及びスライド片24はハニカム体2を下方へ押しながら下降すると共に、各スライド片24の下面外周が第2案内孔19dに摺動することにより、図20、21に示すように、各スライド片24が内側にスライド移動して、ハニカム体2の縮径に伴ってパンチ本体22の外周が縮径する。
これにより、圧入パンチ20でハニカム体2の上面全体を広い面積で常に押圧でき、ハニカム体2の上面が局部的に下方へ座屈を防止できる。
【0030】
また、各スライド片24の上面はガイド部材21の下面に当接して上方への変位が規制されるため、各スライド片24が第2案内孔19dとの摺動抵抗によって傾倒する虞がなく、ハニカム体2の上面に良好に密着させた状態で下方へ押すことができる。
【0031】
一方、ハニカム体2の外周(ろう箔材7共)は圧入ガイド19の突部19eにより径方向内側に加圧されて、複数の溝2a(図2参照)が形成される。
この際、ハニカム体2は、第2案内孔19dのテーパ面により徐々に縮径されつつ、真円に矯正されるが、その際の縮径を溝2aにより均等に進行させることができる。
また、第2案内孔19dのテーパ面によりハニカム体2の損傷を回避できると同時に、圧入ガイド19の耐用寿命を延ばすこともできる。
【0032】
これらにより、ハニカム体2を均等に縮径でき、ハニカム体2の外周の一部に応力が集中して大きな座屈が生じる虞がなく、ハニカム体2と外筒3との間に大きな隙間が生じるのを防止できる。
【0033】
また、第2案内孔19dの下端の出口径<外筒3の内径の関係により、ハニカム体2は外筒3の内径よりも小さく絞られた状態で圧入されるため、圧入初期段階における圧入抵抗を小さくできる。
従って、比較的小さい圧入荷重でもって、ハニカム体2を第2案内孔19dから外筒3内へ圧入できる。
加えて、ハニカム体2の圧入後における溝2aの復元力により、ハニカム体2の外周面全体を外筒3の内周面に確実に密着させることができる。
【0034】
そして、図21、22に示すように、圧入パンチ20の各スライド片24のスライド移動時、換言すると、圧入パンチ20の挿入時における圧入ガイド19の突部19eとスライド片24との接触を凹部27によって回避できる。
即ち、凹部27の形状は、突部19eとの接触を回避できる形状に設定されている。
これにより、突部19eと各スライド片24の接触による特に突部19eの摩耗を防止でき、圧入装置10の耐久性を向上できる。
【0035】
ここで、各スライド片24の外周から外側へ突部を形成して、各スライド片24と突部19eを非接触状態にすることもできる。
しかしながら、実施例1では、各スライド片24の外周に内側へ凹設された凹部27を形成しているため、ハニカム体2の押圧面積の損失を最小限にでき、さらに好適となる。
【0036】
なお、ハニカム体2が収容された外筒3は、エア式シリンダ15,18のピストンロッド15a,18aの収縮作動により、昇降板14及び圧入パンチ20を元位置に復帰させた後、ワーク支持ブロック21から取り外すことができる。
また、溝2a(突部19e)の深さ、形成数、配置は適宜設定できるが、これらはハニカム体2の圧入前の外周長と圧入後の外周長(外筒3の内周長)との周長差を吸収できるように設定する。
圧入後の溝2aの深さは金属箔4の波の高さの1〜2倍が好ましい。
【0037】
<ろう付け工程>
このように形成された金属触媒担体1は、図示しない加熱炉に搬送されて熱処理されることにより、金属箔4の波の頂部と金属箔5の接している部分が拡散接合されると共に、ハニカム体2の外周一部と外筒3がろう箔材7の溶融によりろう付け接合される。
その後、ハニカム体2の両金属箔4,5の隙間で形成される軸方向に貫通したセルの表面には貴金属、アルミナ等からなる排気ガス浄化用の触媒担持体層が形成される。
【0038】
次に、作用を説明する。
このように構成された金属触媒担体1は、外筒3の両端部が自動車の内燃機関排気系に連通接続された状態で介装され、外筒3のエンジン側の排気上流側となる一端部から外筒3に流入した排気は、ハニカム体2のセルを通過することにより、触媒の作用により排気中の有害成分(HC、CO、NOx等)が無害成分(CO2、O等)に浄化されて排気下流側となる他端部から排出される。
この際、実施例1の金属触媒担体1の外筒3とハニカム体2との間には溝2aが均等に形成されて、局部的に大きな隙間がないため、排気がハニカム体2の特定の部位に偏って通過する虞がなく、排気の浄化性能が低下するのを防止できる。
また、ハニカム体2に局部的な変形がないため、ハニカム体2の特定の部位に偏って熱応力が集中する虞がなく、ハニカム体2の耐久性が低下するのを防止できる。
【0039】
最後に、実施例1の効果を請求項1〜4に対応する(1)〜(4)共に記載する。
【0040】
(1)ハニカム体2を駆動手段(エア式シリンダ18のピストンロッド18a)の駆動力により軸方向に押圧して圧入ガイド19のテーパ面(第2案内孔19d)により縮径させながら外筒に圧入するための圧入パンチ20が、該駆動手段(エア式シリンダ18のピストンロッド18a)と連結された固定片23と、該固定片23に外側へスライド移動可能に結合されたスライド片24と、該スライド片24を外側へ常時付勢する弾性部材(コイルスプリング26)と、を備える金属触媒担体1の製造装置(圧入装置10)において、圧入ガイド19のテーパ面(第2案内孔19d)に、ハニカム体2の外周に内側へ窪んだ溝2aを形成可能な突部19eを設け、圧入パンチ20の圧入時にスライド片24と突部19eを非接触状態としたこととした。
【0041】
これにより、ハニカム体2を外筒3へ良好に圧入した状態で収容できると同時に、装置(圧入装置10)の耐久性を向上できる。
【0042】
(2)スライド片24の外周における突部19eと対応する位置に、該スライド片24と突部19eとの接触を回避可能な逃げ溝27を設けたこととした。
【0043】
これにより、ハニカム体2の押圧面積をできるだけ広い範囲で確保でき、好適となる。
【0044】
(3)溝2aをハニカム体2の外周に等間隔で複数配置したこととした。
【0045】
これにより、ハニカム体2の座屈を確実に防止でき、製品信頼性を向上できる。
【0046】
(4)圧入ガイド19によりハニカム体2を外筒3の内径よりも小さく絞った状態として外筒に圧入することとした。
【0047】
これにより、ハニカム体2の圧入初期段階における圧入抵抗を低くでき、ハニカム体2の負担を軽減して、良好な圧入を実現できる。
加えて、ハニカム体2の溝2aによる復元力で外筒3との密着性を良好にできる
【0048】
(5)ハニカム体2の外周に外筒3とろう付け接合するためのろう箔材7を設けたことした。
【0049】
これにより、ハニカム体2の外周部と共にろう箔材7に溝2aを形成して、ハニカム体2と外筒3との密着性を向上でき、外筒への圧入時にろう箔材7が剥がれる虞を無くすことができる。
【0050】
以上、実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
例えば、ハニカム体2のろう箔材7を省略してハニカム体2と外筒3とを拡散接合により固定することもできる。
また、両金属箔4,5に複数の穴を形成しても良い。
また、スライド片の設置数やスライド方向については適宜設定できる。
さらに、ハニカム体2の断面形状は円形状に限らず、図22に示すような楕円形状、図23に示すようなレーストラック型等の非円形状にしても良く、これらの場合には円形状に比べて特にハニカム体2の座屈が大きくなりやすいため、この発明の作用・効果を特に発揮でき、好適となる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施例1の金属触媒担体を示す側断面図である。
【図2】図1のA2−A2線による断面図である。
【図3】実施例1のハニカム体の形成を説明する図である。
【図4】実施例1のハニカム体の形成直後の斜視図である。
【図5】実施例1の圧入装置の全体図である。
【図6】実施例1の圧入パンチの分解斜視図である。
【図7】実施例1の圧入パンチの斜視図である。
【図8】実施例1の圧入パンチの正面図である。
【図9】実施例1の圧入パンチの側断面図である。
【図10】図9のA10−A10線による断面図であり、圧入パンチの作動前を説明する図である。
【図11】実施例1の圧入パンチの作動後を説明する図実施例1の圧入ガイドの平面図である。
【図12】実施例1の圧入ガイドの平面図である。
【図13】実施例1の図12のA13−A13線による断面図である。
【図14】実施例1の金属触媒担体の製造方法を説明する図である。
【図15】実施例1の金属触媒担体の製造方法を説明する図である。
【図16】実施例1の金属触媒担体の製造方法を説明する図である。
【図17】実施例1の金属触媒担体の製造方法を説明する図である。
【図18】実施例1の金属触媒担体の製造方法を説明する図である。
【図19】実施例1の金属触媒担体の製造方法を説明する図である。
【図20】実施例1の金属触媒担体の製造方法を説明する図である。
【図21】実施例1の金属触媒担体の製造方法を説明する図である。
【図22】その他の実施例の金属触媒担体を説明する断面図である。
【図23】その他の実施例の金属触媒担体を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1 金属触媒担体
2 ハニカム体
2a 突部
3 外筒
4、5 金属箔
6 巻軸
7 ろう箔材
10 圧入装置
11 基台
12 タワーブロック
13 レール
14 昇降板
15 エア式シリンダ
15a ピストンロッド
16 支持ブラケット
17 支持ブラケット
18 エア式シリンダ
18a ピストンロッド
18b 取付ピン
19 圧入ガイド
19a 第1案内孔
19b 矯正孔
19c 環状段部
19d 第2案内孔
19e 突部
20 圧入パンチ
21 ガイド部材
21a 取付孔
22 パンチ本体
23 固定片
23a 取付ステイ
23b 係合孔
23c 側面
24 スライド片
24a 挿通孔
24b、24c 凹部
25 結合シリンダ
25a 固定シャフト
25b ピストン
25c ストッパ
26 コイルスプリング
27 逃げ溝
28 ワーク支持ブロック
28a 突起
29 支持体
30 エア式シリンダ
30a ピストンロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハニカム体を駆動手段の駆動力により軸方向に押圧して圧入ガイドのテーパ面により縮径させながら外筒に圧入するための圧入パンチが、該駆動手段と連結された固定片と、該固定片に外側へスライド移動可能に結合されたスライド片と、該スライド片を外側へ常時付勢する弾性部材と、を備える金属触媒担体の製造装置において、
前記圧入ガイドのテーパ面に、ハニカム体の外周に内側へ窪んだ溝を形成可能な突部を設け、
前記圧入パンチの圧入時にスライド片と突部を非接触状態としたことを特徴とする金属触媒担体の製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の金属触媒担体の製造装置において、
前記スライド片の外周における前記突部と対応する位置に、該スライド片と突部との接触を回避可能な逃げ溝を設けたことを特徴とする金属触媒担体の製造装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の金属触媒担体の製造装置において、
前記溝をハニカム体の外周に等間隔で複数配置したことを特徴とする金属触媒担体の製造装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちのいずれかに記載の金属触媒担体の製造装置において、
前記圧入ガイドによりハニカム体を外筒の内径よりも小さく絞った状態として外筒に圧入することを特徴とする金属触媒担体の製造装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちのいずれかに記載の金属触媒担体の製造装置において、
前記ハニカム体の外周に外筒とろう付け接合するためのろう箔材を設けたことを特徴とする金属触媒担体の製造装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちのいずれかに記載の金属触媒担体の製造装置において、
前記金属触媒担体の断面形状を楕円形状または非円形状としたことを特徴とする金属触媒担体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−48231(P2010−48231A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215464(P2008−215464)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】