説明

金属超微粒子付着方法、及び金属超微粒子付着済みの炭素複合素材

【課題】金属超微粒子を炭素素材に付着させる。
【解決手段】表面にアルキル基を持ち且つ金属表面との反応性を持つ官能基を有する有機化合物によって被覆された金属超微粒子(有機複合金属ナノ粒子)を有機溶媒に分散・可溶化し、炭素素材を前記有機溶媒に攪拌混合する。その後、加熱処理により前記溶媒を乾燥させ、前記複合金属ナノ粒子金属超微粒子を取り囲む有機被膜を分解させることにより、前記炭素素材に、前記金属超微粒子を反応・侵食した形で一体化することにより、強固に付着させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属超微粒子付着炭素複合体およびその作成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノテクノロジーの発達により、種々の新複合素材の開発が行われている。その一つに、金属超微粒子(金属ナノ粒子)を、カーボンナノチューブ(CNT)に代表される炭素素材等の材料に付着させて固定化する複合体としての材料(ハイブリッド材料)は物理的特性、化学的特性、機械的特性等種々の面で優れた物性を有することが期待されるため、その効率的な生産性方法およびそれに伴う新しい用途を有する工業的素材の開発が要請される。
【0003】
従来、カーボンナノチューブに金属を固定する技術として、例えば、特許文献1および特許文献2に記載のものが知られている。特許文献1記載の技術は、カーボンナノチューブの内部に金属超微粒子を内包させるハイブリッドのカーボンナノチューブであり、これにより情報通信や化学工業等の分野に利用可能な複合材料を提供できるようになっているが、特許文献1の技術にあっては、カーボンナノチューブの表面に金属超微粒子を付着させる構成ではない。
【0004】
特許文献2記載のカーボンナノチューブは、酸化処理によりカーボンナノチューブ表面に開口部や欠陥部を形成し、金属触媒の前駆体をカーボンナノチューブ内部および外表面に付着させ、その後の還元処理によってカーボンナノチューブ内部および外表面に金属触媒を固定する構成のものであるが、金属超微粒子を付着させる方法ではない。したがって、金属微粒子をカーボンナノチューブ等の炭素素材の表面に付着して固体化する金属微粒子の付着方法や金属微粒子付着炭素素材は知られていない。また、特許文献2の技術にあっては、カーボンナノチューブの表面を酸化させ、洗浄・乾燥させた後に酸化触媒を担持し、また洗浄・乾燥を行い金属触媒の前駆対を混合させ、さらに還元処理を行う等かなりの工程が必要とされるという問題がある。
【0005】
一方、特許文献3〜6には、金属超微粒子をコア金属とし、その周囲に有機金属化合物で取り囲む形態の複合金属超微粒子の技術が開示されている。すなわち、特許文献3記載の複合金属超微粒子は、中心部における銀等の金属成分の周りをステアリン酸銀等の金属有機化合物で取り囲んで複合金属超微粒子を形成する。この複合金属超微粒子は、平均粒径が1〜100nmの大きさであり、空気を遮断した不活性ガス雰囲気下で、その金属有機化合物の分解開始温度以上、かつ、完全分解温度未満の温度で加熱し、これにより、分散安定性に優れた複合金属超微粒子が製造できるようにしている。
【0006】
また、特許文献4の複合金属超微粒子は、銀等のコア金属の周囲を炭素数5以上の脂肪酸であるイオン性有機物で取り巻く構成であり、イオン性有機物の存在下で、金属塩を金属塩の分解還元温度以上で且つイオン性有機物の分解温度以下で加熱する。これにより、粒子径が均一で分散安定性に優れ、工業的規模で製造できるものである。
【0007】
なお、特許文献7には、有機溶剤中で凝集している繭状のカーボンナノチューブを分散して、さらに略均一化された長さに切断して揃え、絡まりをほぐして別の物質に混合する際の分散効率を高める技術が記載されている。これは、上流側の第1プレート部材で形成した複数の第1処理通路(溝/流路)と、下流側の第2プレート部材で形成した複数の第2処理通路(溝/流路)とを互いに直交配置して結合して衝突部分を形成した分散装置である。これにより、加圧装置で加圧されたカーボンナノチューブ担液体を、供給ノズルから2本の第1処理通路へ圧送し、それを第2処理通路に流し込む際に、該担液体を上記直交配置される衝突部分で衝突させ流路を変えることにより、乱流、高速流、超音波、衝撃波、キャビテーション等を発生させ、そのエネルギーにより均一に分散するようになっている。
【特許文献1】特開2002−97009号公報
【特許文献2】特開2006−334527号公報
【特許文献3】特開平10−183207号公報
【特許文献4】特開2001−131603号公報
【特許文献5】特開2002−363127号公報
【特許文献6】国際公開2000−76699号公報
【特許文献7】特開2006−16222号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述の如く、特許文献3〜6の技術は、コアとなる金属の周囲に有機化合物を固着させて取り扱いに便利な複合金属超微粒子を得る方法を開示はしているものの、これをカーボンナノチューブ等の炭素素材の表面に付着させる技術に関する具体的記載はない。また、炭素素材の表面に金属超微粒子を付着させる製造工程において、上記特許文献7記載の技術を用いる手段に関する技術も存在しない。
【0009】
本出願人は研究開発を行った結果、カーボンナノチューブ等の炭素素材に金属超微粒子を付着させて複合体にする方法およびそれを用いた金属超微粒子付着炭素素材を得る技術に関する知見を得た。
【0010】
本発明は、係る研究開発により得た知見に基づき、炭素素材表面に金属超微粒子を効率的に付着して固定することで、物理的特性、化学的特性、機械的特性等種々の面で優れた物性を有する金属超微粒子付着炭素素材を得ることができる、金属超微粒子の付着方法およびそれを用いた金属超微粒子付着炭素素材を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は、表面にアルキル基を持ち且つ金属表面との反応性を持つ官能基を有する有機化合物によって、金属超微粒子が被覆されて構成される有機複合金属ナノ粒子を有機溶媒に分散・可溶化し、該有機複合金属ナノ粒子を含んだ前記有機溶媒に炭素素材を混合させて攪拌した後、加熱処理により前記有機溶媒を乾燥させ、前記有機複合金属ナノ粒子における前記金属超微粒子を取り囲む有機被膜を分解させることにより、前記炭素素材に対して前記金属超微粒子を反応又は侵食した形で一体化させることを特徴とする炭素素材への金属超微粒子付着方法である。
【0012】
本発明によれば、有機物が金属のコア(超微粒子)と結合している状態の有機複合金属ナノ粒子を使用する。すなわち、化学結合している状態にある金属ナノ粒子を使用する金属超微粒子の付着方法である。
【0013】
本発明では、有機溶媒に分散・可溶化した有機複合金属ナノ粒子と、前記炭素素材との混合物を用い、それを攪拌混合させる。有機複合金属ナノ粒子は、該溶媒に可溶化しているので、炭素素材と混然一体となって混合し、分散状態を維持したまま炭素素材上に付着する。この混合物に加熱処理を施すことで、溶媒を乾燥させ、金属超微粒子を取り囲んでいた有機被膜を分解させて飛ばすと、金属超微粒子を直接炭素素材上に結合させることができる。この結果、金属超微粒子が付着して固定された炭素素材を得ることができるようになる。なお、好ましくは、金属超微粒子を分散した有機溶媒と同一の有機溶媒を用いて、炭素素材を予め分散しておき、有機溶媒同士を混合する。
【0014】
(2)更に本発明の前記炭素素材は、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、黒鉛、活性炭、コークス、カーボンブラック、カーボングラファイト、及びダイヤモンドのいずれかであることを特徴とする。
【0015】
これらの炭素素材には、より確実に金属超微粒子を付着することが可能である。特に、前記炭素素材として、カーボンナノチューブ(CNT)を用いるのが好ましい。カーボンナノチューブ表面に金属超微粒子を付着させることで、金属超微粒子がカーボンナノチューブ表面から膨出した状態で固定される。例えば、カーボンナノチューブ表面から粒状(略球面体状)をなして膨出するようにすれば、その凹凸によって、金属超微粒子で占める表面積が大きなる。このため、例えば、金属超微粒子が銀等の金属である場合には、電磁波遮蔽特性に優れた金属超微粒子付着炭素素材を得ることができ、また、合成樹脂素材に混入すれば引張外力に強い金属超微粒子付着炭素素材が得られ、また、車両等のハニカム構造を有するストラップ捕集装置等の排ガス浄化装置に適用すれば、触媒機能を発揮する金属超微粒子付着炭素素材を得られる。このため、物理的特性、化学的特性、機械的特性等種々の面において優れた物性を有する金属超微粒子付着炭素素材を得ることができるようになる。
【0016】
なお、カーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、あるいは多層カーボンナノチューブ(MWCNT)のいずれにも適用可能である。多層カーボンナノチューブの場合、金属超微粒子と多層カーボンナノチューブの直径とのサイズのバランスが良好となり、且つ、その金属超微粒子の付着時において、超微粒子の結合状態を強固に保持することが可能になるので、より好ましい金属超微粒子付着済の炭素複合素材が得られる。
【0017】
(3)更に本発明の前記金属超微粒子は、白金、金、銀、ニッケル、鉄、及び銅のいずれかであることを特徴とする。中でも銀で形成するのが好ましく、係る手段とすることで、銀ナノ粒子とカーボンナノチューブとの複合体を製造することが可能となる。
【0018】
(4)本発明に用いる有機溶媒は、該有機複合金属ナノ粒子を良く可溶化する有機溶剤を用いることができるが、更に本発明では、前記金属超微粒子を被覆する前記有機化合物が、炭素数5から22の直鎖脂肪酸又は炭素数5から22の直鎖高級アルコールであり、前記有機溶媒として、トルエン、ヘキサン、又はシクロヘキサン等の鎖状、環状、芳香族を含む炭化水素を用いることが好ましい。
【0019】
係る方法によれば、有機複合金属ナノ粒子は、該有機溶剤中で単分散することにより、ほとんど真溶液のような可溶化した分散液:サスペンジョンになる。なお、有機溶媒として、不飽和の炭化水素を用いることも出来る。また場合により、各種テルペン類などを用いることも出来る。
【0020】
(5)本発明はまた、前記有機溶媒と前記炭素素材を攪拌混合する攪拌混合手段として、超音波を用いることを特徴とする。
【0021】
係る手段によれば、表面にアルキル基を持ち且つ金属表面との反応性を持つ官能基を有する有機化合物で被膜された金属超微粒子の可溶化状態を維持するので、結果として金属超微粒子を炭素素材表面に均等に付着できるようになる。
【0022】
(6)本発明はまた、前記有機溶媒と前記炭素素材を攪拌混合する攪拌混合手段として、前記有機溶媒に対して圧力を付与する圧力付与装置と、前記力付与装置によって加圧された前記有機溶媒を導入する複数の導入流路と、前記導入流路を介して流れ込んだ前記有機溶媒を相互に衝突させる衝突部とを備える装置を用い、前記有機溶媒を衝突させて流れ方向を変えることにより、乱流、高速流、超音波、衝撃波、キャビテーション等を発生させ、これにより攪拌混合することを特徴とする。このように、機械的な外力によって、エネルギーを発生させ、そのエネルギーにより、有機溶媒を攪拌混合することで、極めて短時間に金属超微粒子を炭素素材表面に均等に付着できるようになる。
【0023】
(7)本発明ではまた、前記有機溶媒を乾燥させる前記加熱処理が、大気下又は大気圧よりも低圧環境下で行うようにし、前記加熱処理の温度は、前記有機化合物の分解する温度以上且つ前記炭素材料が分解する温度以下であることを特徴とする。
【0024】
係る手段によれば、攪拌混合された後の混合物を、加熱処理するとき、カーボンナノチューブが熔損して分解しない温度以下で、しかも、脂肪酸が分解する温度以上の温度で加熱することで、溶媒を乾燥させ、金属超微粒子を取り囲む有機被膜を分解して飛ばす。これにより、炭素素材に、金属超微粒子を効果的に付着させることができるようになる。また、低圧環境化にすることで、カーボンナノチューブ等の炭素素材の表面に凝集して付着する金属超微粒子の粒径が大きくなり過ぎないように低減できる。すなわち、金属超微粒子の肥大化を抑制するようにコントロールできる。
【0025】
(8)本発明はまた、前記炭素素材を予め他の溶媒に一旦分散させてから、該炭素素材を、前記有機複合金属ナノ粒子を含んだ前記有機溶媒に混入させるようにし、且つ、前記炭素素材を前記溶媒に予め分散させる分散手段として、前記溶媒に対して圧力を付与する圧力付与装置と、前記圧力付与装置によって加圧された前記溶媒を導入する複数の導入流路と、前記導入流路を介して流れ込んだ前記溶媒を相互に衝突させる衝突部とを備える装置を用い、前記炭素素材を含んだ前記溶媒を衝突させて流れ方向を変えることにより、乱流、高速流、超音波、衝撃波、キャビテーション等を発生させ、前記炭素素材を分散させることを特徴とする。
【0026】
係る手段を用いることにより、衝突作用によって発生する衝撃波、超音波、せん断力、キャビテーション等のエネルギーによって、繭状にもつれて凝集しているカーボンナノチューブ等を溶媒を用いて分散しつつ、長さを均一化して、溶媒中に均一に分散しておくことが可能となる。この結果、金属超微粒子を炭素素材の塊ではなく、炭素素材一個一個に、均一分散した状態で効率的に固定することができるようになる。なお、炭素素材を予め分散させる際に用いる上記溶媒は有機溶媒に限られず、水等の各種溶媒を用いることが可能である。
【0027】
なお、本発明では、前記金属超微粒子の粒子サイズを、前記カーボンナノチューブの直径以下、または、半径以下とすることができる。炭素素材に付着する金属超微粒子は、添加した該有機複合金属ナノ粒子1個若しくは複数個が凝集して形成されるが、その粒子径をカーボンナノチューブの直径以下、または、半径以下に制御することで、カーボンナノチューブ表面に凝集する金属超微粒子によって、カーボンナノチューブの表面の浸食度合いを低減し、カーボンナノチューブ等の炭素素材の性質の劣化を抑制しつつ、均一に分散して付着できるようになる。
【0028】
(9)本発明はまた、前記炭素素材または前記カーボンナノチューブ表面に付着する前記金属超微粒子を、加熱や外力によって除去することにより、前記炭素素材または前記カーボンナノチューブを侵食して表面に凹凸が形成されることを特徴とする。
【0029】
係る手段によれば、過剰な反応(加熱)をさせることで、カーボンナノチューブに付着した金属超微粒子が抜け落ちる。これにより、カーボンナノチューブが侵食され、その表面に凹凸が形成される。このため、係る凹凸に、例えば合成樹脂等を混入した場合に、合成樹脂が食い込むようにして入り込む。この結果、合成樹脂とカーボンナノチューブとの間のすべり抵抗が増大し、合成樹脂との結合力が高めることができるようになる。
【0030】
(10)また、本発明は、上記(1)〜(9)記載の方法によって製造される金属超微粒子付着済みの炭素複合素材である。
【0031】
なお、この金属超微粒子付着済みの炭素複合素材は、例えば電磁波シールドの材料として利用することも可能である。例えば、携帯電話、電子機器、ETC、自動車のエンジンルームの点火装置等から発する電磁波を遮蔽する部位にこの材料を設置することで、電磁波障害を回避できるようになる。
【0032】
また、この金属超微粒子付着済みの炭素複合素材を、樹脂に混入させて利用することも可能である。このようにすると、付着した金属超微粒子が樹脂と引っかかり易くなるので、金属超微粒子がすべり抵抗素子として機能し、その結果、炭素素材と樹脂との間のすべり抵抗が増大し、樹脂の機械的強度を高めることができるようになる。
【0033】
更にこの金属超微粒子付着済みの炭素複合素材を、排ガス処理用の触媒、燃料電池電極の触媒として利用することも可能である。各種排ガス処理装置では、金属超微粒子を塗布するなどして触媒として活用しているが、その塗布の非効率性が問題となっている。そこで、予め炭素素材に分散して金属超微粒子を固着した本発明の金属超微粒子付着済みの炭素複合素材を用いることで、広範囲な表面積に効率的に金属超微粒子を配置可能であるので、金属素材の使用量を少なくできるので、安価な排ガスの浄化を実現でき、しかも、効率的な排ガス浄化機能を得ることができるようになる。また、この金属超微粒子付着済みの炭素複合素材は、カーボンナノチューブが高強度で且つ劣化しにくい特性を有しており、更に金属超微粒子はカーボンナノチューブに強固に付着されているため、耐久性の良い燃料電池電極の触媒としても利用できる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る金属超微粒子の付着方法および金属超微粒子付着炭素素材によれば、カーボンナノチューブ等の炭素素材に、金属超微粒子を均一に分散した状態で安定的で、効率的に付着させることができ、物理的、化学的、機械的特性等種々の面で優れた物性を備えた新素材である金属超微粒子付着炭素素材を得ることができる効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係る金属超微粒子の付着方法およびそれを用いた金属超微粒子付着炭素素材を実施するための最良の形態を図を参照して説明する。
【0036】
図1は本実施の形態における金属超微粒子の付着方法を示す工程図である。金属超微粒子の付着は次のような工程で成る。ステップS1において表面にアルキル基を持ち且つ金属表面との反応性を持つ官能基を有する有機化合物によって被覆された金属超微粒子(有機複合金属ナノ粒子)を有機溶媒に分散・可溶化する。有機溶媒として、該有機複合金属ナノ粒子を良く可溶化する有機溶剤を用いることができるが、特にトルエン、ヘキサン、又はシクロヘキサン等の鎖状、環状、芳香族を含む各種飽和炭化水素を用いるのが好ましいが、不飽和の炭化水素を用いることも出来る。また、場合により、各種テルペン類などを用いることも出来る。
【0037】
ステップS2で、スターラー、超音波等の攪拌手段により沈殿物がなくなるまで攪拌する。
【0038】
その一方で、これらと平行して、ステップS3において、ステップS1で使用したと同じ有機溶剤の溶媒を使用して、例えば、特許文献6記載の分散装置を用いて炭素素材を分散処理する。図2に示されるように、分散装置100は、有機溶媒に対して圧力を付与する圧力付与装置110と、圧力付与装置によって加圧された有機溶媒を導入する複数(ここでは2本)の導入流路120A、120Bと、これらの導入流路120A、120Bを介して流れ込んだ有機溶媒を相互に衝突させる衝突部122と、衝突した溶媒を導出する複数(ここでは2本)の導出流路124A、124Bを備える。従って、加圧された炭素素材担持有機溶媒を、狭い空間となる衝突部122で衝突させ、流路を変えることにより、乱流、高速流、超音波、衝撃波、キャビテーション等を発生させ、そのエネルギーによって、前記炭素素材の分散を実施する。
【0039】
この分散装置100を用いるのが好都合な理由は、炭素素材がカーボンナノチューブ、カーボンファイバーである場合に、凝集して繭状になってもつれているカーボンナノチューブ群、カーボンファイバー群の塊を崩し、ある程度均一な形状や長さに分断しながら分散させることができるからである。塊を崩すことにより次のステップで金属超微粒子を付着させる際に一本一本に付着させることが可能である。またカーボンブラック、カーボングラファイト、コークス、黒鉛、活性炭等その他の炭素素材は、二次凝集をおこしていることが多い。ステップS3において分散装置100を用いて、一次粒子径に再分散させた状態にすることにより、次のステップで金属微粒子を一次粒子一個一個の炭素素材に付着させることができるからである。
【0040】
ステップS4において、ステップS2の有機複合金属ナノ粒子分散溶媒と、ステップS3で分散装置100によって分散処理した炭素素材とを、更に攪拌混合し、有機複合金属ナノ粒子を炭素素材に付着させる。このときの攪拌混合手段としては、例えば、スターラー(攪拌器)、超音波、あるいは図2で示した分散装置等により外力を付与して攪拌混合したり、または振動を付与することで攪拌混合できる形態のものが好適である。特に、金属超微粒子が銀であって、それをカーボンナノチューブ表面に均等(均一)に付着させる場合には、超音波であることが最も好ましい。また、図2の分散装置100を使用して行うことも勿論可能であり、短時間で攪拌混合を完了させることができる。ステップS4における攪拌混合時間は15分〜30分程度である。攪拌混合時間を長くかけてもあまり効果は変わらない。特に超音波や、分散装置100を用いる手法によれば、炭素素材に均等に金属超微粒子を付着させることが可能である。
【0041】
ステップS5において濾紙で溶媒を濾過により除去する。ステップS6で、濾紙に残った金属超微粒子が付着した炭素素材を乾燥させ、ステップS7の加熱処理工程において、オーブン等で加熱処理してステアリン酸等の脂肪酸である保護膜を飛ばす。加熱温度の条件は保護膜材の有機化合物が分解する温度(例えば脂肪酸であれば200℃)以上で、各炭素素材が分解する温度以下の範囲であるのが望ましい。また、加熱雰囲気圧は大気圧よりも低圧の環境下で加熱するのが好ましい。この場合、大気下で行うのがよい。また、窒素ガス雰囲気下で行うのもよい。また、減圧下で行うのもよいと考えられる。これらにより、金属超微粒子の凝集、すなわち金属の肥大化を抑制できるからである。なお、この加熱の際、温度と時間の作用により、炭素材表面が前記金属超微粒子と反応・侵食した形で一体化する。
【0042】
こうして、ステップS8において、炭素素材に、金属超微粒子が強固に付着した、金属超微粒子付着炭素複合体を得ることができる。
【0043】
以下、上記実施の形態における金属超微粒子の付着方法を具体的に実施した実施例を説明する。
【実施例1】
【0044】
上記の金属超微粒子の付着方法を用いて試作した金属超微粒子付着炭素素材の実施例1を説明する。以下の各実施例では、特に断らない限り炭素素材に多層カーボンナノチューブが、有機金属化合物における金属に銀のナノ粒子が用いられる。
【0045】
実施例1は、上記ステップS6における攪拌混合手段として超音波を用い、超音波の照射時間を変化させてカーボンナノチューブに対し銀のナノ粒子を付着させ、銀ナノ粒子とカーボンナノチューブとの複合体を得ることができた。図3の電子顕微鏡写真で示される複合体は超音波の照射時間を15分、同じく図4は30分、図5は45分、図6は1時間、および図7は2時間に設定して得たものである。これらによれば、カーボンナノチューブが密集する領域にも満遍なく均等に銀のナノ粒子が良好に付着している様子がうかがえる。一方、これらの結果から、超音波の照射時間によりナノ粒子の付着度合いが変わることがないので、超音波照射は、短時間で有効的に簡易且つ均一に金属超微粒子を炭素素材に付着できることが判った。
【実施例2】
【0046】
実施例2は、ステップS6の攪拌混合手段として、図2の分散装置100を用いたものであり、印加する圧力と処理回数(衝突回数)を変化させてカーボンナノチューブに対し銀のナノ粒子を付着させ、銀ナノ粒子とカーボンナノチューブの複合体を得た。使用圧力は50Mpa、100Mpa、150Mpa、回数はそれぞれ1回処理、3回処理、5回処理を行った。図8に示されるように、低圧(低エネルギー)である50MPaで1回処理でも銀ナノ粒子が万遍なく均等に良好に付着していることが確認できた。なお、特に図示しないが、圧力を上げても処理回数を重ねてもナノ粒子の付着度合いが変わることが無かったので、前記超音波照射と同様、この分散装置100を用いて混合処理を行えば、有効的に簡易且つ均一に金属超微粒子を炭素素材に付着できることが判った。
【実施例3】
【0047】
実施例3は、攪拌混合手段としてスターラーを用いて複合体を得たものであり、図9に示すように、細かいナノ粒子と、大きなナノ粒子のところとがあり、付着もまばらな状態である。結果として、この実施例2も外力を与えることで、銀のナノ粒子がカーボンナノチューブの表面に付着したナノ銀付着の複合体を得ることができた。
【実施例4】
【0048】
実施例4は攪拌混合手段としてハンドシェイクによる外力を与えて複合体を得たものである。図10に示すように、銀のナノ粒子がカーボンナノチューブに付着しているが、まばらな状態で付着している。また、銀のナノ粒子が大きく凝集して大きな塊となっている部分と、そうでないところとがある。この結果、この実施例4によっても銀のナノ粒子をカーボンナノチューブに良好に付着させた複合体を得ることができる。
【実施例5】
【0049】
実施例5は攪拌混合手段を用いることなく、なにもしないで複合体を得たものである。図11に示されるように、銀のナノ粒子が付着しているところと、付着していな個所とが多々あり、カーボンナノチューブへの付着が薄い。また、細かいナノ粒子が多いようであり、その一方でナノ粒子の巨大な塊も多く、上記実施例1〜3と比較検討すると、ナノ粒子はカーボンナノチューブに付着はするものの、不均一な付着状態を呈していることが判る。
【実施例6】
【0050】
実施例6から以下の実施例9までは炭素素材をカーボンナノチューブ以外の炭素素材に置換し、上記ステップS4での攪拌混合を超音波で行い、ステップS7における加熱は所定時間かけて実施した場合の例である。
【0051】
すなわち、実施例6は、黒鉛に銀のナノ粒子を付着した場合であり、図12,図13に示すように、黒鉛の表面にナノ粒子が均一に付着している状態がうかがえ、良好な複合体を得ることができた。
【実施例7】
【0052】
実施例7は、炭素素材としてCB(カーボンブラック)を使用し、これに銀のナノ粒子を付着させた例である。図14,図15に示すように、CBの表面にナノ粒子が良好な状態で付着している様子が判り、良好な複合体を得ることができた。
【実施例8】
【0053】
実施例8は、炭素素材としてCG(カーボングラファイト)を用いて実施した場合であり、図16,図17のようにCG表面に銀のナノ粒子が均一に分散した状態で良好に付着している様子が判り、良好な複合体を得ることができた。
【実施例9】
【0054】
実施例9は、炭素素材として活性炭を用いた実施した例である。図18,図19に示すように、活性炭の表面に銀のナノ粒子が均一に分散した様態で良好に付着している複合体を得ることができた。
【0055】
以上のように、実施例6〜実施例9のいずれの炭素素材に対しても銀のナノ粒子が良好な状態で付着することが可能な複合体が得られた。
【実施例10】
【0056】
本実施例10〜実施例12は、カーボンナノチューブに銀のナノ粒子を付着させる過程の上記ステップS2において金属超微粒子を有機溶剤に分散・可溶化させた溶液に分散剤を混入して使用する例である。
【0057】
本実施例10は、ステアリン酸がカチオン系であるので、カチオン系であるオクチルアミンを適量添加した。その結果、図20に示すように、カーボンナノチューブ表面に銀のナノ粒子が良好な状態で付着した複合体が得られ、アミンによる分散安定性が優れ、効果があることが判った。またステップS3におけるカーボンナノチューブ等炭素素材の事前分散の際に溶媒にオクチルアミン、ペンチルアミン、プロピルアミンを適量添加し、その後溶媒をトルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等に置換しても、同様の効果が得られた。
【実施例11】
【0058】
実施例11は、ノニオン系の分散剤として日信化学株式会社製のオルフィンを使用した例である。この結果、図21のように、実施例10よりは幾分銀のナノ粒子度合いが小さい複合体が得られ、ノニオン系も分散剤として有益であることが判った。
【実施例12】
【0059】
実施例12は、ポリマー系の分散剤を使用した例であり、図22のような複合体を得た。実施例10,実施例11の場合とは異なり、ナノ粒子の付着はかなり弱くなっている。これは、ポリマー系の分散剤がカーボンナノチューブ表面を覆ってしまうことが原因していると思われる。
【0060】
実施例10〜実施例12の複合体を比較検討すると、カチオン系の分散剤をトルエン等の溶媒に混入させるのが、銀のナノ粒子をカーボンナノチューブに凝集させる上で好ましいことが考えられる。
【0061】
なお、分散剤としてはナノ粒子の凝集付着が可能な分散剤であれば、適宜の界面活性剤を使用することもできる。
【実施例13】
【0062】
実施例13として、上記ステップS6およびステップS7における乾燥・加熱方法の検討を行った。加熱温度が不足する場合には金属超微粒子を取り囲む有機被膜であるステアリン酸の分解が不十分となり、有機被膜から銀が析出しないからである。そこで、ゆっくり昇温させて(15℃/分)、30分間加熱する方法と、或る温度状態の中に投入して30分間または60分間一気に加熱する方法とを実施した。その結果を示すと表1のようになる。
【0063】
有機金属化合物化した銀ナノ粒子原料に占めるステアリン酸の含有率は略25重量%である。これを前提にすると、ステップS7の加熱過程でステアリン酸が分解されるので、その含有率に相当する重量が減る。この考えに基づいて表1を検討すると、230℃から250℃の温度で30分加熱するのが銀のナノ粒子をカーボンナノチューブに付着させるのに効果的であり、望ましいことが判った。
【表1】

【0064】
一方、表1からわかるように、加熱温度が280℃になると、減少重量が25%を遙かに逸脱した数値となっているため、ステアリン酸の含有量以上の重量分が燃焼して減少していることが判る。そこで、280℃まで30分間一気に加熱した後の状態を電子顕微鏡で確認すると、図23に示されるように、銀ナノ粒子がカーボンナノチューブ表面を侵食した状態が判別できた。また、同様に250℃で1時間加熱したものは、表1よりステアリン酸含有量以上重量が減少しており、図24に示されるように、電子顕微鏡でもカーボンナノチューブ表面を侵食しはじめた状態が確認された。
【0065】
他方、ゆっくり昇温させた場合と、一気に加熱させた場合とについて銀のナノ粒子の付着具合を比較検討すると、一気に加熱した方が銀ナノ粒子を細かく付着できることが判った。これは、ゆっくり昇温させるケースでは、ステアリン酸は低温から徐々に昇温して分解していくが、その過程で、銀が凝集を始めるためであると考えられる。
【実施例14】
【0066】
実施例14は、上記実施例13の知見に基づいた例である。加熱温度を280℃乃至それ以上の温度で加熱し付着反応を促進させると、図25,図26に示す実施例14の複合体を得ることができた。この複合体は、230℃以下では起こりえない状態、すなわち、銀ナノ粒子がカーボンナノチューブを侵食して穴が開いた状態となっている。穴には、銀ナノ粒子が除去された穴と、銀ナノ粒子が存在する穴とが混在する。カーボンナノチューブ表面は全体として穴により凸凹形状を呈している。図26によく示されるように、銀のナノ粒子が付着している穴には、ナノ粒子がカーボンナノチューブの内側へ進展して付着している。このことから、本発明による金属超微粒子の付着方法は、物理吸着ではなく、なんらかの化学結合を起していることが考えられる。
【実施例15】
【0067】
実施例15は、ゆっくり230℃まで昇温加熱(1分間に15℃上昇)させて、金属超微粒子付着カーボンナノチューブ複合体を作製した後、15分間乳鉢ですり潰して外力を加えた。この結果を観察したところ、図27に示されるように、金属超微粒子は脱落することなく、ほとんどが残っていることが分かる。従って、十分な強度でカーボンナノチューブに結合していることが分かる。
【実施例16】
【0068】
実施例16は、同様にゆっくり230℃まで昇温加熱(1分間に15℃上昇)させて、金属超微粒子付着カーボンナノチューブ複合体を作製した後、30分間超音波照射を行い振動を加えた。この結果を観察したところ、図28に示されるように、金属超微粒子の抜け落ちはなく良好に分散して付着していた。
【0069】
上記の実施例15、16より、最適温度(230℃)で最適時間(30分)加熱処理を行った複合体は、このように強い外力を与えても金属超微粒子が強固にカーボンナノチューブに付着して抜け落ちないことが確認された。本検証の結果から、単なる物理吸着ではなく、なんらかの化学結合により金属超微粒子が付着されているということが考えられる。
【実施例17】
【0070】
実施例15は、カーボンナノチューブをCG(カーボングラファイト)に置換し、280℃以上で加熱することにより、図29に示す複合体を得た。CGの場合にも、穴が形成され、穴の内側に銀ナノ粒子を付着した複合体が得ることができる。
【0071】
上記の実施例14やこの実施例17からわかるように、加熱や外力によって炭素素材の表面の銀を除去して、表面に凹凸を形成することが可能となる。
【実施例18】
【0072】
本実施例18および後述の実施例21は、カーボンナノチューブの直径を種々変化させて、銀ナノ粒子の付着具合を検討するために得た複合体に関する実施例である。
【0073】
本実施例18は、カーボンナノチューブの直径が1nmφのものを使用した例であり、図30,図31に示すように、銀のナノ粒子がカーボンナノチューブの直径より大きな塊となって凝集し、カーボンナノチューブに付着していない。係る複合体は本発明が意図する複合体とは言えない。
【実施例19】
【0074】
実施例19は、カーボンナノチューブの直径が60nmφである。図32、図33に示すように、その直径よりも小さな銀のナノ粒子がカーボンナノチューブ表面に良好に付着した複合体を得ることができた。
【実施例20】
【0075】
図34、図35に示す実施例20は、カーボンナノチューブの直径を100nmとした場合の複合体である。実施例20によっても、銀のナノ粒子がカーボンナノチューブ表面に良好に付着する複合体を得ることができた。
【実施例21】
【0076】
実施例21は、図36,図37に示すように、カーボンナノチューブの直径が20nm〜80nmの範囲にあるカーボンナノチューブを混在させた場合の複合体である。本実施例21によっても、カーボンナノチューブ表面に銀のナノ粒子が均一に付着する複合体を得ることができた。
【0077】
上記の実施例18〜21を比較検討した結果、炭素素材がカーボンナノチューブである場合には、銀のナノ粒子(金属超微粒子)のサイズとしては、カーボンナノチューブの直径以下、または、半径以下とするのが望ましいことが判った。これにより、カーボンナノチューブ表面に、銀ナノ粒子をカーボンナノチューブを破壊することなく均一に分散して付着できる。
【0078】
なお、本発明の金属超微粒子の付着方法およびそれを用いた金属超微粒子付着炭素素材は、上記した実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0079】
すなわち、複合体としての金属超微粒子付着炭素素材は、電磁波シールドの材料として利用できる。炭素素材の表面等に付着する金属超微粒子の存在により放射される電磁波を吸収または遮断するので、電磁波シールド機能が要求される分野に応用が可能である。
【0080】
また、金属超微粒子付着炭素素材を、合成樹脂に混入させて利用する用途もある。炭素素材の表面に付着する金属超微粒子が凹凸を成すため、すべり抵抗により合成樹脂の強度を高めることができる利点がある。
【0081】
また、金属微超粒子付着炭素素材を、排ガス処理用の触媒として利用する用途もある。これによれば、複合体を対象となる排ガス浄化装置(例えば、ハニカム構造のセラミック捕集装置)の表面に塗布して使用することで、炭素素材表面に付着する金属超微粒子による触媒機能により、有害成分を吸収できる利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の金属超微粒子の付着方法およびそれを用いた金属超微粒子付着炭素素材は、自体が具有する物理的、化学的、機械的特性等種々の面で優れた物性を備えた新素材であるため、あらゆる技術分野に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本実施の形態における金属超微粒子の付着方法を示す工程図である。
【図2】同金属超微粒子の付着方法で用いられる分散装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】同じく、実施例1の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図4】同じく、実施例1の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図5】同じく、実施例1の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図6】同じく、実施例1の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図7】同じく、実施例1の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図8】実施例2の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図9】実施例3の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図10】実施例4の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図11】実施例5の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図12】実施例6の複合体に係る拡大電子顕微鏡写真である。
【図13】同じく、実施例6の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図14】実施例7の複合体に係る拡大電子顕微鏡写真である。
【図15】同じく、実施例7の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図16】実施例8の複合体に係る拡大電子顕微鏡写真である。
【図17】同じく、実施例8の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図18】実施例9の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図19】同じく、実施例9の拡大電子顕微鏡写真である。
【図20】実施例10の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図21】実施例11の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図22】実施例12の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図23】実施例13の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図24】実施例13の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図25】実施例14の複合体に係る拡大電子顕微鏡写真である。
【図26】同じく、実施例14の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図27】実施例15の複合体に係る拡大電子顕微鏡写真である。
【図28】実施例16の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図29】実施例17複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図30】実施例18の複合体に係る拡大電子顕微鏡写真である。
【図31】同じく、実施例18の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図32】実施例19の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図33】同じく、実施例19の複合体に係る拡大電子顕微鏡写真である。
【図34】実施例20の複合体に係る拡大電子顕微鏡写真である。
【図35】同じく、実施例20の複合体に係る電子顕微鏡写真である。
【図36】実施例21の複合体に係る拡大電子顕微鏡写真である。
【図37】同じく、実施例21の複合体に係る電子顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にアルキル基を持ち且つ金属表面との反応性を持つ官能基を有する有機化合物によって、金属超微粒子が被覆されて構成される有機複合金属ナノ粒子を有機溶媒に分散・可溶化し、該有機複合金属ナノ粒子を含んだ前記有機溶媒に炭素素材を攪拌混合した後、加熱処理により前記有機溶媒を乾燥させ、前記有機複合金属ナノ粒子における前記金属超微粒子を取り囲む有機被膜を分解させることにより、前記炭素素材に対して前記金属超微粒子を反応又は侵食した形で一体化させることを特徴とする炭素素材への金属超微粒子付着方法。
【請求項2】
前記炭素素材は、カーボンナノチューブ、カーボンファイバー、黒鉛、活性炭、コークス、カーボンブラック、カーボングラファイト、及びダイヤモンドのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の炭素素材への金属超微粒子付着方法。
【請求項3】
前記金属超微粒子は、白金、金、銀、ニッケル、鉄、及び銅のいずれかであることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭素素材への金属超微粒子付着方法。
【請求項4】
前記金属超微粒子を被覆する前記有機化合物が、炭素数5から22の直鎖脂肪酸又は炭素数5から22の直鎖高級アルコールであり、前記有機溶媒として、トルエン、ヘキサン、又はシクロヘキサン等の鎖状、環状、芳香族を含む炭化水素を用いることを特徴とする請求項1、2又は3記載の炭素素材への金属超微粒子付着方法。
【請求項5】
前記有機溶媒と前記炭素素材を攪拌混合する攪拌混合手段として、超音波を用いることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の炭素素材への金属超微粒子付着方法。
【請求項6】
前記有機溶媒と前記炭素素材を攪拌混合する攪拌混合手段として、前記有機溶媒に対して圧力を付与する圧力付与装置と、前記力付与装置によって加圧された前記有機溶媒を導入する複数の導入流路と、前記導入流路を介して流れ込んだ前記有機溶媒を相互に衝突させる衝突部とを備える装置を用い、前記有機溶媒を衝突させて流れ方向を変えることにより、乱流、高速流、超音波、衝撃波、キャビテーション等を発生させ、これにより攪拌混合することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか記載の炭素素材への金属超微粒子付着方法。
【請求項7】
前記有機溶媒を乾燥させる前記加熱処理が、大気下又は大気圧よりも低圧環境下で行うようにし、前記加熱処理の温度は、前記有機化合物の分解する温度以上且つ前記炭素材料が分解する温度以下であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の炭素素材への金属超微粒子付着方法。
【請求項8】
前記炭素素材を予め他の溶媒に一旦分散させてから、該炭素素材を、前記有機複合金属ナノ粒子を含んだ前記有機溶媒に混入させるようにし、且つ、
前記炭素素材を前記溶媒に予め分散させる分散手段として、前記溶媒に対して圧力を付与する圧力付与装置と、前記圧力付与装置によって加圧された前記溶媒を導入する複数の導入流路と、前記導入流路を介して流れ込んだ前記溶媒を相互に衝突させる衝突部とを備える装置を用い、前記炭素素材を含んだ前記溶媒を衝突させて流れ方向を変えることにより、乱流、高速流、超音波、衝撃波、キャビテーション等を発生させ、前記炭素素材を分散させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の金属超微粒子の付着方法。
【請求項9】
前記炭素素材または前記カーボンナノチューブ表面に付着する前記金属超微粒子を、加熱や外力によって除去することにより、前記炭素素材または前記カーボンナノチューブを侵食して表面に凹凸が形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の金属超微粒子の付着方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか記載の方法によって製造されることを特徴とする金属超微粒子付着済みの炭素複合素材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2009−190903(P2009−190903A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29930(P2008−29930)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(507224864)ナノフロンティアテクノロジー株式会社 (2)
【Fターム(参考)】