説明

金属部材の接合方法及び複合部材

【課題】非晶質合金を含む金属部材を、結晶化を生じさせることなく均一に加熱して接合することができる金属部材の接合方法を提供する。
【解決手段】押圧治具を用いた金属部材の接合方法であって、複数の金属部材を、互いの接合面を接触させた状態で押圧治具に設置する設置工程S1と、複数の金属部材を、押圧治具によって押圧しつつ、パルス電圧を印加することにより放電プラズマを発生させて加熱する加圧加熱工程S2とを備え、複数の金属部材のうち、少なくとも一つは20℃以上の過冷却液体領域を有する非晶質合金から形成され、加熱加圧工程S2において、複数の金属部材の接合面は、過冷却液体領域の範囲内の温度まで加熱され、押圧治具において、押圧時に金属部材と接触する押圧面の面積は、複数の金属部材において前記押圧治具と接触する面の面積の2倍以上16倍未満に設定されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非晶質合金からなる金属部材の接合方法及び当該接合方法を用いて製造された複合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、過冷却液体領域を有する金属ガラス等の非晶質合金の接合においては、非晶質合金を過冷却液体領域の温度まで加熱してから、成形型によって押圧成形して一体化する方法(例えば、特許文献1参照。)や、少なくとも一体が非晶質合金からなる非晶質合金部材である二体以上の金属部材を重ね合わせ、非晶質合金部材を過冷却液体領域まで加熱し、重ね合わせた金属部材を押圧手段により押圧して金属部材を相互に接合し、その後接合した金属部材を冷却する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3862799号公報
【特許文献2】特開平11−33746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のように非晶質合金を過冷却液体領域まで加熱する従来の方法においては、成形型及び押圧手段からの熱伝導を利用して非晶質合金が加熱されるため、加熱対象の非晶質合金においては、他の金属部材と接合させる面よりも成形型や押圧手段に接触する面の温度が高くなり、接合面の均一な加熱が困難である。このため、均一な塑性変形を行うことが困難であるという問題がある。
【0005】
一方、均一な塑性変形をさせるために接合面の温度が安定するまで加熱を行うと、成形型や押圧手段に近い位置の非晶質合金の温度が上昇してしまうため、結晶化が生じ易くなるという問題がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みて成されたものであり、非晶質合金を含む金属部材を、結晶化を生じさせることなく均一に加熱して接合することができる金属部材の接合方法及び当該接合方法を用いて製造された複合部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様である金属部材の接合方法(以下、単に「接合方法」と称する。)は、押圧治具を用いた接合方法であって、複数の金属部材を、互いの接合面を接触させた状態で前記押圧治具に設置する設置工程と、前記複数の金属部材を、前記押圧治具によって押圧しつつ、パルス電圧を印加することにより放電プラズマを発生させて加熱する加圧加熱工程とを備え、前記複数の金属部材のうち、少なくとも一つは20℃以上の過冷却液体領域を有する非晶質合金から形成され、前記加熱加圧工程において、前記複数の金属部材の前記接合面は、前記過冷却液体領域の範囲内の温度まで加熱され、前記押圧治具において、押圧時に前記金属部材と接触する押圧面の面積は、前記複数の金属部材において前記押圧治具と接触する面の面積の2倍以上16倍未満に設定されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の接合方法によれば、加圧加熱工程において、非晶質合金を含む金属部材が放電プラズマによって非晶質合金の過冷却液体領域の範囲内の温度まで速やかかつ均一に加熱されるため、結晶化が発生しない。
【0009】
本発明の接合方法は、前記押圧治具において、押圧時に前記金属部材と接触する第1端面は、押圧方向における反対側の第2端面よりも小さい面積となるように形成され、かつ前記第2端面の面積は、前記複数の金属部材において前記押圧治具と接触する面の面積の2倍以上16倍以下に設定されていることを特徴とするものでもよい。この場合、押圧治具の第2端面を大きくしつつ、良好に金属部材の接合を行うことができる。
【0010】
本発明の第2の態様である複合部材は、複数の金属部材が接合された複合部材であって、本発明の金属部材の接合方法を用いて製造されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の金属部材の接合方法によれば、非晶質合金を含む金属部材を、結晶化を生じさせることなく均一に加熱して接合することができる。
また、本発明の複合部材においては、非晶質合金を含む金属部材を、結晶化を生じさせることなく均一に加熱して接合させて製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態の接合方法の一過程を示す斜視図である。
【図2】同接合方法の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態の接合方法の一過程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1実施形態について、図1及び図2を参照して説明する。図1は、本実施形態の接合方法の一過程を示す斜視図である。
【0014】
接合される第1の金属部材1と第2の金属部材2とは、図1に示すように接合面を互いに密着させた状態で、上パンチ12及び下パンチ13からなる一対のパンチ(押圧治具)11の間に挟持されている。各パンチ12、13は、図示しない加熱機構と熱的に接続されており、各パンチ12、13を通して挟持された各金属部材1、2を加熱することができる。
【0015】
各金属部材1、2の材質に特に制限はなく、両者が同一の材質であっても構わないが、少なくとも一方の部材は非晶質合金からなることが必要である。非晶質合金としては、金属ガラスが好ましく、中でもジルコニウム(Zr)基合金(組成:Zr55Cu30Al10Ni、結晶化温度:約490℃、ガラス遷移温度:約400℃、ガラス遷移領域:約90℃)等がより好ましい。
【0016】
ここで、用語の定義をしておく。非晶質合金とは、複数の金属元素が結晶構造を形成せずに凝固(アモルファス化)した合金を指す。非晶質合金は、複数の金属元素からなる金属原料の溶湯を、ガラス遷移温度以下になるまで急速冷却することにより形成される。非晶質合金は、通常の結晶金属に見受けられるような結晶粒界を有さず、結晶粒界を起因とした粒界腐食(結晶粒界に沿って腐食が進行する現象)を生じないことから、耐食性に優れている。
【0017】
また、金属ガラスとは、ガラス遷移領域(結晶化温度からガラス遷移温度を引いた値:過冷却液体領域)として20℃以上の範囲を有する非晶質合金を指す。
上述Zr基合金以外の金属ガラスとしては、Fe基合金、Ti基合金、Mg基合金などが挙げられる。金属ガラスは、結晶金属のような凝固収縮を生じないことから、成形金型に対する高精度な転写性を有し、さらに射出成形も可能であることから、成形品の形状自由度、寸法精度、生産性に優れていることがその特徴として挙げられる。また、金属ガラスは、物性パラメータの観点から見ると、一般に低ヤング率・高強度であり、さらに熱に対して低膨張である。金属ガラスはこのような特性を有するが、その中でも特に優れた低膨張、寸法精度を有する金属ガラスとして上述のZr基合金が挙げられる。
【0018】
上述のパンチ11及び金属部材1、2を用いた本実施形態の接合方法の手順について、以下に説明する。
図2は本接合方法の流れを示すフローチャートである。本接合方法は、金属部材1、2をパンチ11に設置する設置工程S1と、放電プラズマを用いて金属部材1、2を加熱しつつ加圧して接合させる加熱加圧工程S2と、接合された金属部材1、2を除圧冷却して取り出す取り出し工程S3とを備えて構成されている。
【0019】
まずステップS1の設置工程において、図1に示すように、金属部材1及び2が接合面を互いに接触させた状態で、上パンチ12と下パンチ13との間に設置される。なお、パンチ11は、図示しない真空槽内に設置されている。
【0020】
ここで、後述する加熱加圧工程において金属部材1、2と接触する、各パンチ12、13の金属部材に対向する押圧面12A、13Aの面積は、それぞれ接触する相手である金属部材1、2の接触面1A等の2倍以上16倍未満に設定されるのが好ましい。面積が2倍未満であると、金属部材との接触面における抵抗加熱が大きくなり、金属部材1、2の温度が上がりすぎて結晶化が生じやすくなる。一方、16倍以上の面積の場合、パンチと金属部材との熱容量差が大き過ぎるために温度制御が困難になる。
なお、パンチ12、13及び金属部材1、2の互いに接触する面の形状は、図1においては円形となっているが、特に制限はない。
【0021】
次に、ステップS2の加熱加圧工程において、パンチ11が設置された真空槽内の雰囲気が減圧される。そして、上パンチ12及び下パンチ13が所定の圧力で加圧され、さらにパンチ11を介して所定の電圧が金属部材1、2間に印加されて放電プラズマが発生し、金属部材1、2が、使用されている非晶質金属のガラス遷移領域の範囲内の所定の温度まで加熱される。
なお、パンチ11に加える圧力や、金属部材1、2間に印加する電圧は、金属部材の材質等によって適宜設定されてよい。
【0022】
金属部材1、2の変位量が所定の値に達し、両者の接合が確認された後、ステップS3の取り出し工程において、パンチ11が除圧され、接合された金属部材1、2が冷却されて取り出される。このようにして、金属部材1、2が一体に接合された複合部材が完成する。
なお、一連の工程において、金属部材の温度や変位量は、公知の熱電対や変位計等により適宜モニターされる。
【0023】
上述した本実施形態の接合方法について、実施例を用いてさらに説明する。
(実施例1)
金属部材1、2としていずれも上述のZr基合金を用い、同種の非晶質金属同士の接合を行った。まず、ステップS1において上パンチ12と下パンチ13との間に金属部材1、2を互いの接合面を密着させて設置した。
【0024】
金属部材1、2は、いずれもφ10ミリメートル(mm)、厚さが2mmの丸板状のものを使用した。接合前の金属部材1、2を重ね合わせた厚みは、ハイトゲージの測定によると、4.00mmであった。これに対し、パンチ12、13の金属部材1、2に接触する押圧面12A、13Aは、接触する金属部材1、2の接触面のおよそ2倍となるように、φ14mmの円形に設定した。
【0025】
ステップS2において、真空層内の雰囲気を7.0×10−2パスカル(Pa)以下まで減圧し、パンチ11を介して20メガパスカル(MPa)の圧力で金属部材1、2を加圧しながら、440アンペア(A)のパルス電圧を、パンチ11を介して金属部材1、2間に印加し、金属部材が400℃に到達し、変位量が−0.16mmまで到達したところでパルス電圧の印加と加圧を停止した。
なお、金属部材1、2の温度は、熱電対を用いて金属部材1、2の外周部を直接測定した。また、変位量はパンチ11に取り付けられた変位計で金属部材1、2と上パンチ12及び下パンチ13を含んだトータル変位量として測定した。
【0026】
ステップS3において、除圧及び冷却が行われ、金属部材1、2が一体に接合された複合部材が取り出された。冷却後に取り出された複合部材は接合前より−0.10mm変位していた。
【0027】
金属部材1、2の接合の態様を確認するため、温度が480℃を超えないように、ファインカッターを用いて金属部材1、2を切断し、X線回折装置(XRD)を用いて切断面を測定して非晶質性を確認した。測定条件は次のとおりである。(測定条件:X線管球=CuKα、測定範囲=34°〜42°の範囲(2θ法)、電圧:200kV、電流:40mA)
【0028】
金属部材1と2との接合面付近、及び金属部材1、2とパンチ12、13とが接触する接触面付近をそれぞれ上述のように測定したところ、非晶質性が保たれていることが確認された。また、切断面を電子顕微鏡にて観察したところ、金属部材どうしの接合面付近に気孔が無いことが確認された。これは、パルス電圧によって金属部材1、2が中心部から加熱されているため、両者が均一に接合された結果と考えられた。
【0029】
実施例1と併せて、上述の実施例1と同一の接合条件で、圧力と電流値を一定にし、パンチ12、13の押圧面の面積のみを変えて接合を行い、得られた複合部材に対して同様に非晶質性と接合性を評価した。結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
非晶質性については、XRDによる測定結果にもとづき、結晶化が起きていなかった場合を○とし、結晶化が確認された場合を×とした。接合性については、電子顕微鏡による切断面の観察において気孔が存在しなかった場合を○とし、気孔が確認された場合を×とした。
【0032】
押圧面がφ10mmのパンチ11を用いて接合を行った金属部材1、2の複合部材は、パンチ11との接触面付近で結晶化が確認された。これは、接合面の温度上昇よりもパンチ11の温度上昇が早いため、熱伝導により、金属部材1、2のうちパンチ12、13との接触面付近の温度が高くなってしまうために結晶化が生じたことによるものと考えられた。
【0033】
一方、押圧面がφ42mm以上のパンチ11を用いて接合を行った金属部材1、2の複合部材は、金属部材同士の接合面付近、パンチとの接触面付近のいずれにおいても結晶化が確認された。このようなパンチ11を用いた接合は、パンチの温度上昇が遅く、変位が進まないため、φ14mmのパンチ11を用いて接合した時よりも約3倍以上の接合時間を要した。すなわち、過冷却液体領域付近の温度で長い時間保持されることにより結晶化が生じたものと考えられた。
【0034】
また、押圧面がφ40mm以上のパンチ11を用いて接合を行った金属部材1、2の複合部材は、金属部材同士の接合面付近に0.5〜5マイクロメートル(μm)の気孔が複数確認された。これは、パンチから金属部材に伝わる電流値が不均一になるため、温度分布が生じ易く、接合が不均一となってしまった結果と考えられた。
以上の結果より、パンチの金属部材に接触する押圧面の面積は、金属部材のパンチと接触する面の面積の2倍以上16倍未満が好適であると考えられた。
【0035】
本実施形態の接合方法によれば、加熱加圧工程S2において、重ね合わせた金属部材1、2間に一対のパンチ11で圧力を加えつつ、パルス電圧を加えることにより放電プラズマが発生されて金属部材1、2が加熱される。これにより、金属部材1、2の少なくとも一方を構成する非晶質合金が、その過冷却液体領域の範囲内の温度まで速やかに、かつ均一に加熱されて接合される。したがって、結晶化を生じることなく、金属部材を接合して複合部材を製造することができる。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態について、図3を参照して説明する。本実施形態の接合方法と上述の第1実施形態の接合方法との異なるところは、金属部材を押圧するパンチの形状である。
なお、第1実施形態と共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0037】
図3は、本実施形態の接合方法の一過程を示す斜視図である。金属部材1、2を押圧する一対のパンチ21は、上パンチ22及び下パンチ23を備えて構成されている。
上パンチ22及び下パンチ23は、いずれも金属部材に接触する第1端面22A、23Aの面積が、反対側の第2端面22B、23Bの面積よりも小さくなるように形成されている。具体的には、パンチ22、23の基本形状は略円筒形であり、金属部材に接触する第1端面22A、23A側の一部が端部に向かって徐々に縮径するテーパ状に形成されている。そして、各パンチ22、23の第1端面22A、23Aの面積は、接触する相手側である金属部材1、2の接触面と略同等の面積となっている。
【0038】
ただし、第1端面の面積は、パンチの強度等を考慮して適宜決定されてよく、例えば、金属部材の押圧面の1倍〜4倍程度の面積に設定されてもよい。すなわち、押圧治具であるパンチのテーパ角は、設定された第1端面及び第2端面の面積、及びパンチを加熱加圧工程に好適な熱容量にするための、パンチの軸線方向におけるテーパ形状の形成開始位置等に基づいて決定されることになる。
【0039】
上述した本実施形態の接合方法について、実施例を用いてさらに説明する。
(実施例2)
金属部材1、2は、第1実施例と同一のものを使用した。上パンチ22及び下パンチ23は、いずれも第2端面22B及び23Bがφ14mmの円形であり、第1端面側がテーパ加工されて、第1端面22A及び23Aが、金属部材1、2と同等のφ10mmまで縮径されているものを使用した。その他の条件はすべて第1実施例と同一として接合を行った。
【0040】
金属部材1と2との接合面付近、及び金属部材1、2とパンチ22、23との接触面付近をそれぞれ第1実施例と同様の方法で測定したところ、非晶質性が保たれていることが確認された。また、切断面を電子顕微鏡にて観察したところ、金属部材どうしの接合面付近に気孔が無いことが確認された。
【0041】
実施例2と併せて、実施例2と同一の接合条件で、圧力と電流値を一定にし、パンチ22及び23の第2端面22B、23Bの面積のみを変えて接合を行い、得られた複合部材に対して同様に非晶質性と接合性を評価した。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
実施例1では、押圧面がφ40mmのパンチ11を用いて接合を行った金属部材1、2の複合部材において、金属部材同士の接合面付近に気孔が複数確認されたが、パンチ21を使用した本実施例2においては、表2に示すように気孔が確認されず、良好に接合が行われていることが確認された。これは、パンチ21の第1端面側がテーパ加工されて第1端面が縮径されたことにより、パンチから金属部材に伝わる電流値が均一になり、金属部材1、2の加熱が安定したことによるものと考えられた。
【0044】
本実施形態の接合方法によっても、上述した第1実施形態の接合方法と同様の効果を得ることができる。
また、パンチ22、23にテーパ加工が施され、第1端面22A、23Aが縮径され、接触する金属部材1、2の接触面の面積と同等の大きさとなっているので、パンチの第2端面の面積が16倍となっても良好に接合を行うことができる。第2端面の面積は、パンチの取り扱い上の問題や繰り返し使用の観点からは、大きいほうが好ましい。
【0045】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の各実施形態においては、押圧治具であるパンチが上下から金属部材を押圧する例を説明したが、押圧方向はこれには限定されず、例えば水平方向から金属部材が押圧されてもよい。
【0046】
また、上述の各実施形態においては、2種類の金属部材が接合される例を説明したが、本発明の接合方法はこれには限定されず、少なくとも1つが非晶質合金から形成されていれば、3種類以上の金属部材が接合されてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1、2 金属部材
11、21 パンチ(押圧治具)
12、22 上パンチ
12A、13A 押圧面
13、23 下パンチ
22A、23A 第1端面
22B、23B 第2端面
S1 設置工程
S2 加熱加圧工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧治具を用いた金属部材の接合方法であって、
複数の金属部材を、互いの接合面を接触させた状態で前記押圧治具に設置する設置工程と、
前記複数の金属部材を、前記押圧治具によって押圧しつつ、パルス電圧を印加することにより放電プラズマを発生させて加熱する加圧加熱工程と、
を備え、
前記複数の金属部材のうち、少なくとも一つは20℃以上の過冷却液体領域を有する非晶質合金から形成され、
前記加熱加圧工程において、前記複数の金属部材の前記接合面は、前記過冷却液体領域の範囲内の温度まで加熱され、
前記押圧治具において、押圧時に前記金属部材と接触する押圧面の面積は、前記複数の金属部材において前記押圧治具と接触する面の面積の2倍以上16倍未満に設定されていることを特徴とする金属部材の接合方法。
【請求項2】
押圧治具を用いた金属部材の接合方法であって、
複数の金属部材を、互いの接合面を接触させた状態で前記押圧治具に設置する設置工程と、
前記複数の金属部材を、前記押圧治具によって押圧しつつ、パルス電圧を印加することにより放電プラズマを発生させて加熱する加圧加熱工程と、
を備え、
前記複数の金属部材のうち、少なくとも一つは20℃以上の過冷却液体領域を有する非晶質合金から形成され、
前記加熱加圧工程において、前記複数の金属部材の前記接合面は、前記過冷却液体領域の範囲内の温度まで加熱され、
前記押圧治具において、押圧時に前記金属部材と接触する第1端面は、押圧方向における反対側の第2端面よりも小さい面積となるように形成されており、
前記第2端面の面積は、前記複数の金属部材において前記押圧治具と接触する面の面積の2倍以上16倍以下に設定されていることを特徴とする金属部材の接合方法。
【請求項3】
複数の金属部材が接合された複合部材であって、請求項1又は2に記載の金属部材の接合方法を用いて製造されたことを特徴とする複合部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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