説明

金融取引システム、端末装置および端末装置の制御方法

【課題】金融取引システムにおける、処理装置の誤使用を防止、低減すると共に、端末装置を用いた金融取引速度の向上。
【解決手段】端末装置10は処理装置40a〜40dと物理的に接続されている。端末装置10は、端末装置の使用者を識別するための使用者識別情報を入力装置25を介して取得し、使用者識別情報と処理装置の使用権限とを対応付ける使用権限情報をサーバ30から取得する。端末装置10は、取得した使用者識別情報および使用権限情報を用いて、使用者が使用可能な処理装置40a〜40dを決定する。端末装置10は、決定された処理装置40a〜40dに対する論理的な接続を実行する。
を備える端末装置

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関窓口にて用いられる金融取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
金融取引に用いられる端末装置は、一般的に、顧客との取引に必要な処理を実行する処理装置とローカルなケーブルを介してまたはネットワークケーブルを介して物理的に接続されている。ここで、処理装置としては、通帳処理装置、帳票処理装置、カード処理装置、生体認証処理装置が一般的に用いられている。
【0003】
端末装置には、金融取引を実行するためのアプリケーションプログラムが実装されており、アプリケーションプログラムの初期処理実行時に、端末装置と、物理的に接続されている処理装置との論理的な接続が実行されている。したがって、各処理装置は、端末装置起動後、すなわち、端末装置のオペレーティングシステム起動後に直ちに使用することはできない。
【0004】
一般的に、端末装置の取引画面と処理装置、すなわち、取引画面と処理内容とは対応付けられており、各処理装置に対しては固有の取引画面からのみ、処理を実行できる。また、各取引画面は、各オペレータの実行権限に応じて表示されるため、ある取引処理に関して実行権限を有しないオペレータが処理装置を介して当該取引処理を実行することはできない。この他にも、デバイス(処理装置)に対するオペレータの実行権限を管理する技術として、制御装置に接続されているデバイス毎に、ログイン中のオペレータの使用権限を設定することで、デバイスの誤使用を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−350526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、デバイス毎に常時、使用権限情報の管理を行い、新たにデバイスが接続される毎に使用権限情報を更新する場合、システムのオーバヘッドが大きくなり、制御装置の処理速度が低下するおそれがある。近年では、処理装置の誤使用の防止、低減と共に、オペレータの時間的負担の軽減、すなわち、金融取引システムの高速化が要求されている。
【0007】
本発明は上記課題の少なくとも一部を解決するためになされた発明であり、金融取引システムにおける、処理装置の誤使用を防止、低減すると共に、端末装置を用いた金融取引速度の向上を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明は以下の種々の態様を採る。
【0009】
第1の態様は、金融取引に用いられる処理装置と物理的に接続されている端末装置を提供する。第1の態様に係る端末装置は、前記端末装置の使用者を識別するための使用者識別情報を取得する識別情報取得部と、前記使用者識別情報と前記処理装置の使用権限とを対応付ける使用権限情報を取得する使用権限情報取得部と、前記取得された使用者識別情報および前記使用権限情報を用いて、前記使用者が使用可能な前記処理装置を決定する決定部と、前記端末装置を前記決定された処理装置に対して論理的に接続する接続実行部とを備える。
【0010】
第1の態様に係る端末装置によれば、使用者識別情報および使用権限情報を用いて、使用者が使用可能な処理装置を決定し、端末装置を決定された処理装置に対して論理的に接続するので、金融取引システムにおける、処理装置の誤使用を防止、低減できると共に、端末装置を用いた金融取引速度の向上を図ることができる。
【0011】
第1の態様に係る端末装置はさらに、金融取引を実行するためのアプリケーションプログラムを格納するプログラム格納部を備え、識別情報取得部は、前記アプリケーションプログラムの初期化時に前記使用者識別情報を取得し、前記接続実行部は、前記アプリケーションプログラムの初期化時に前記論理的な接続を実行しても良い。この場合には、アプリケーションプログラムの初期化時に、使用者が使用可能な処理装置に対する論理的な接続を完了することができる。
【0012】
第1の態様に係る端末装置において、識別情報取得部は、前記端末装置の起動時に前記使用者識別情報を取得し、前記接続実行部は、前記端末装置の起動時に前記論理的な接続を実行しても良い。この場合には、端末装置の起動時に、使用者が使用可能な処理装置に対する論理的な接続を完了することができる。
【0013】
第1の態様に係る端末装置において、前記端末装置は、前記使用権限情報を格納するサーバと接続されており、前記使用権限情報取得部は、前記サーバから前記使用権限情報を取得しても良い。この場合には、使用権限情報を一元管理することができる。
【0014】
第1の態様に係る端末装置はさらに、前記使用権限情報の初期値を格納する使用権限情報格納部を備えており、前記使用権限情報取得部は、前記サーバから前記使用権限情報を取得できない場合に、前記使用権限情報格納部から前記使用権限情報の初期値を取得し、前記決定部は、前記取得された初期値に従い前記使用者が使用可能な前記処理装置を決定しても良い。この場合には、サーバから使用者権限情報を取得できない場合であっても、端末装置と処理装置との論理的な接続を完了することができる。
【0015】
第1の態様に係る端末装置において、前記論理的な接続は、前記端末装置と前記処理装置との間で信号をやりとり可能にする処理であっても良い。論理的な接続により、端末装置によって処理装置を制御することができる。
【0016】
第2の態様は、金融取引に用いられる処理装置と、前記処理装置と物理的に接続されている端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続されているサーバとを備える金融取引システムを提供する。第2の態様に係る金融取引システムにおいて、
前記サーバは、前記端末装置の使用者を識別するための使用者識別情報と前記処理装置の使用権限とを対応付ける使用権限情報を格納するサーバ格納部を備え、
前記端末装置は、前記使用者識別情報を入力するための識別情報入力部と、前記入力された使用者識別情報を取得する識別情報取得部と、前記サーバから前記使用権限情報を取得する使用権限情報取得部と、前記取得された使用者識別情報および前記使用権限情報を用いて、前記使用者が使用可能な前記処理装置を決定する決定部と、前記端末装置を前記決定された処理装置に対して論理的に接続する接続実行部とを備える。
【0017】
第2の態様に係る金融取引システムによれば、使用者識別情報および使用権限情報を用いて、使用者が使用可能な処理装置を決定し、端末装置を決定された処理装置に対して論理的に接続するので、金融取引システムにおける、処理装置の誤使用を防止、低減できると共に、端末装置を用いた金融取引速度の向上を図ることができる。また、第2の態様に係る金融取引システムが備える端末装置は、第1の態様に係る端末装置と同様にして、種々の態様によって実現され得る。
【0018】
第3の態様は、金融取引に用いられる処理装置と物理的に接続されている端末装置の制御方法を提供する。第3の態様に係る制御方法は、前記端末装置の使用者を識別するための使用者識別情報を取得し、前記使用者識別情報と前記処理装置の使用権限とを対応付ける使用権限情報を取得し、前記取得された使用者識別情報および前記使用権限情報を用いて、前記使用者が使用可能な前記処理装置を決定し、前記端末装置を前記決定された処理装置に対して論理的に接続することを備える。
【0019】
第3の態様に係る制御方法は、第1の態様に係る端末装置と同様の利点を得ることができると共に、第1の態様に係る端末装置と同様にして種々の態様にて実現され得る。なお、第3の態様に係る制御方法は、端末装置を制御するためのコンピュータプログラム、端末装置を制御するためのコンピュータプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能媒体としても実現され得る。コンピュータ読み取り可能媒体としては、光ディスク、磁気ディスク、大容量半導体記憶装置といった種々の媒体を用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施例における金融取引システムの概略構成を示す説明図である。
【図2】本実施例における端末装置の内部構成を機能ブロックにて示す概略説明図である。
【図3】本実施例におけるサーバの内部構成を機能ブロックにて示す概略説明図である。
【図4】本実施例における紙幣処理装置の内部構成を機能ブロックにて示す概略説明図である。
【図5】本実施例における通帳処理装置の内部構成を機能ブロックにて示す概略説明図である。
【図6】本実施例における伝票処理装置の内部構成を機能ブロックにて示す概略説明図である。
【図7】本実施例において用いられる使用権限情報テーブルの一例を示す説明図である。
【図8】本実施例に係る端末装置によって実行される処理装置設定処理実行時の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本実施例に係る端末装置によって実行される処理装置接続処理実行時の処理ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
金融取引システムの構成:
図1は本実施例における金融取引システムの概略構成を示す説明図である。本実施例に係る金融取引システム100は、端末装置10、表示装置20、入力装置25、サーバ30および処理装置40a〜処理装置40dを備えている。なお、処理装置40a〜40dを包括的に処理装置40と表記することがある。端末装置10とサーバ30は、外部ネットワークNE1、例えば、インターネット、専用外部ネットワークを介して接続されている。なお、図1では、説明を簡単にするために一の端末装置10のみを図示しているが、複数の端末装置10が用いられ得ることは言うまでもない。端末装置10と各処理装置40a〜40dとは物理的に接続されている。具体的には、端末装置10と処理装置40aおよび処理装置40bとは、有線ケーブルCVを介して接続されている。端末装置10と処理装置40cおよび処理装置40dとは、イントラネットワークNE2を介して接続されている。なお、物理的に接続、とは、通信可能であるように各装置間に対して信号ケーブルが接続されている状態を意味し、未だ、各装置間において信号のやりとりを行うことができない状態を意味する。
【0022】
端末装置10は、使用者であるオペレータが金融業務遂行時に使用する計算機であり、処理内容を表示するための表示装置20、処理内容を入力するための入力装置25と接続されている。入力装置25としては、例えば、キーボード、ポインティングデバイス(マウス)が用いられ得る。なお、一般的に、端末装置10は、処理内容(取引伝票)に応じた専用の取引画面を表示装置20に表示させる。また、処理内容と、当該処理内容を処理可能な処理装置とは対応付けられており、各取引画面において操作できる処理装置は限られている。さらに、オペレータには取扱可能な取引の態様に応じて、取引権限が割り当てられている。
【0023】
図2は本実施例における端末装置の内部構成を機能ブロックにて示す概略説明図である。端末装置10は、中央処理装置(CPU)11、メモリ12、大容量記憶装置13、入力インターフェース(I/F)14、サーバ通信部15、処理装置通信部16および内部バス17を備えている。CPU11は、メモリ12に格納されている各プログラムを実行し、端末装置10によって取引処理、処理装置設定処理といった機能を実現させる。メモリ12は不揮発性および揮発性の半導体記憶装置を含み、不揮発性半導体記憶装置は、端末装置10を動作させるための端末装置プログラムP1および汎用的な事務処理プログラムP2を格納している。揮発性半導体記憶装置は、各種プログラム実行時に、プログラムを展開する作業領域を提供する。
【0024】
端末装置プログラムP1には、金融取引を実行するための取引処理プログラムP11および端末装置10と処理装置40a〜40dを論理的に接続するための処理装置設定プログラムP12を含んでいる。取引処理プログラムP11は、オペレータの取引権限に応じた処理画面を表示装置20に表示させると共に、要求された処理内容を処理装置40a〜40dを介して実行させるためのプログラムである。処理装置設定プログラムP12については、後述する。
【0025】
大容量記憶装置13は、例えば、磁気ハードディスクドライブ、大容量フラッシュメモリといった二次記憶装置であり、取引処理プログラムP11の実行によって生じた取引データ、端末装置10外部から受け取ったデータを格納するために用いられる。また、メモリ12に格納されている各プログラムは、大容量記憶装置13に格納されていても良い。
【0026】
入出力インターフェース14は、表示装置20および入力装置25との間で信号をやりとりするための物理的および論理的なインターフェースである。すなわち、物理的なインターフェースとして、表示装置20および入力装置25との接続に用いられるコネクタ形状(端子パターン)を提供し、論理的なインターフェースとして、表示装置20を制御するための信号、入力装置25から入力された信号の変換を実行する論理回路を備える。なお、論理的なインターフェースは別に備えられるドライバがCPU11によって実行されることによって実現されても良い。
【0027】
サーバ通信部15は、サーバ30と信号をやりとりするための通信インターフェースであり、物理的なインターフェースとしてのコネクタ形状(パターン)並びに論理的なインターフェースとして通信プロトコルに応じた信号変換処理を実行する。
【0028】
処理装置通信部16は、各処理装置40a〜40dと信号をやりとりするための通信インターフェースであり、物理的なインターフェースとしてのコネクタ形状(パターン)並びに論理的なインターフェースとして、イントラネットワークNE2を介して接続されている処理装置40c、40dとの間では通信プロトコルに応じた信号変換処理を実行し、ローカルにケーブルCVを介して接続されている処理装置40a、40bとの間では各装置に応じた信号変換処理を実行する。
【0029】
CPU11、メモリ12、大容量記憶装置13、入力インターフェース(I/F)14、サーバ通信部15および処理装置通信部16は、内部バス17を介して双方向通信可能に接続されている。
【0030】
図3は本実施例におけるサーバの内部構成を機能ブロックにて示す概略説明図である。サーバ30は、制御部31、使用権限データベース(DB)32および通信部33を備えている。制御部31は、CPUおよびメモリを備え、サーバ30の各機能を実現する。使用権限データベース32は、後述する使用権限情報テーブルT1を格納している。通信部33は、端末装置10との間で信号をやりとりするための通信インターフェースであり、既述のように物理的および論理的なインターフェースを提供する。
【0031】
図4は本実施例における紙幣処理装置の内部構成を機能ブロックにて示す概略説明図である。紙幣処理装置40aは、制御部41a、紙幣処理部42aおよび通信部43aを備えている。制御部41aは、CPUおよびメモリを備え、紙幣処理装置40aの各機能を実現する。紙幣処理部42aは、紙幣の計数、収納、出金および鑑別といった機能を実現するための構成を備える機能実現部である。通信部43aは、端末装置10との間で信号をやりとりするための通信インターフェースであり、既述のように物理的および論理的なインターフェースを提供する。なお、紙幣処理装置40aは、一般的に2台の端末装置10に1台の割合で備えられている。
【0032】
図5は本実施例における通帳処理装置の内部構成を機能ブロックにて示す概略説明図である。通帳処理装置40bは、制御部41b、通帳処理部42bおよび通信部43bを備えている。制御部41bは、CPUおよびメモリを備え、通帳処理装置40bの各機能を実現する。通帳処理部42bは、通帳への記帳、ページめくり、磁気ストライプに格納されている情報の読み取りといった機能を実現するための構成を備える機能実現部である。通信部43bは、端末装置10との間で信号をやりとりするための通信インターフェースであり、既述のように物理的および論理的なインターフェースを提供する。なお、通帳処理装置40bは、一般的に1台または2台の端末装置10に1台の割合で備えられている。
【0033】
図6は本実施例における伝票処理装置の内部構成を機能ブロックにて示す概略説明図である。伝票処理装置40cは、制御部41c、伝票処理部42cおよび通信部43cを備えている。制御部41cは、CPUおよびメモリを備え、伝票処理装置40cの各機能を実現する。伝票処理部42cは、伝票への印字といった機能を実現するための構成を備える機能実現部である。通信部43cは、端末装置10との間で信号をやりとりするための通信インターフェースであり、既述のように物理的および論理的なインターフェースを提供する。なお、伝票処理装置40cは、通帳処理装置40bとセットで備えられている。
【0034】
処理装置40としては、この他にも、生体認証装置、バーコードリーダといった処理装置が備えられ得る。
【0035】
図7は本実施例において用いられる使用権限情報テーブルの一例を示す説明図である。使用権限情報テーブルT1は、オペレータ識別情報(ID)と、取引権限および処理装置使用権限とを対応付けるテーブルである。取引権限は、例えば、オペレータに認められている金融取引処理が割り当てられているレベルを規定しても良く、あるいは、オペレータに認められている金融取引処理種別群を規定しても良い。処理装置使用権限は、取引権限とも関係を有しており、オペレータが金融取引処理を実行する際に使用可能な処理装置を規定する。図7の例では、取引権限は1から3に向かって実行可能な金融取引処理が制限される。また、使用権限に関しては、「1」は使用権限あり、「0」は使用権限なしを意味し、また、一の位は伝票処理装置40cの使用可否を、十の位は通帳処理装置40bの使用可否を、百の位は紙幣処理装置40aの使用可否を示している。したがって、図7の例では、オペレータIDがAのオペレータには取引権限「1」、処理装置使用権限「111」が対応付けられているので、オペレータAには最も高い取引権限が割り当てられており、全ての処理装置の使用権限が付与されている。なお、使用権限情報テーブルT1は一例に過ぎず、少なくとも、オペレータを識別する情報と、識別情報に対する処理装置の使用権限とが対応付けられていれば良く、特に、取引権限および処理装置使用権限の値は種々の態様を取り得ることは言うまでもない。
【0036】
・端末装置の動作:
図8は本実施例に係る端末装置によって実行される処理装置設定処理実行時の処理ルーチンを示すフローチャートである。図9は本実施例に係る端末装置によって実行される処理装置接続処理実行時の処理ルーチンを示すフローチャートである。図8に示す処理装置設定処理は、端末装置10の起動時(オペレーティングシステム起動時)またはアプリケーションプログラムの初期化時(アプリケーションプログラムの起動時)に実行される。端末制御処理CPU11は、入力装置25を介したオペレータの識別情報(ID)の入力を待機し(ステップS100:No)、IDの入力を受けて(ステップS100:Yes)、サーバ30の使用権限データベース32にアクセスする(ステップS110)。IDの入力要求は、例えば、端末装置10起動時にログインを要求する画面を表示装置20に表示させることによって実行されても良く、あるいは、アプリケーションプログラムの初期化時にログインを要求する画面を表示装置20に表示させることによって実行されても良い。すなわち、端末装置10の使用(端末装置10を用いた金融取引処理)を認証するための認証処理に伴ってオペレータのIDを取得すればよい。
【0037】
CPU11は、サーバ30の使用権限データベース32から使用権限情報テーブルT1を読出し、入力されたIDと一致するIDが使用権限情報テーブルT1に記録されているか否かを判断する(ステップS120)。CPU11は入力IDと一致するIDが記録されている場合には(ステップS120:Yes)、一致したIDに対応付けられている装置使用権限情報を取得する(ステップS130)。一方、CPU11は入力IDと一致するIDが記録されていない場合には(ステップS120:No)、ログイン不可である旨を表示装置20に表示して(ステップS160)、本処理ルーチンを終了する。すなわち、当該オペレータは、金融取引システム100において取引権限を有するオペレータとして登録されておらず、そのようなオペレータによる端末装置10の使用は許されないからである。
【0038】
CPU11は、取得した装置使用権限情報に基づいて、ログインしたオペレータが使用可能な処理装置を決定する(ステップS140)。具体的には、既述のように、3桁の値からなる装置使用権限情報として1が記録されている処理装置については使用可能であると決定する。なお、既述のように、装置使用権限情報の値は例示に過ぎず、4桁以上の数値、数値以外の英字との組み合わせ、あるいは、予め使用可能な処理装置と対応付けられている任意の数値等であっても良い。
【0039】
CPU11は、決定した使用可能な処理装置に対して論理的な接続処理を実行して(ステップS150)本処理ルーチンを終了する。ステップS150において実行される処理装置接続処理について図9を用いて説明する。
【0040】
CPU11は、端末装置10に対して物理的に接続されている各処理装置40a〜40dについて以下の処理を実行する。すなわち、CPU11は、対象処理装置が使用可能な処理装置として決定されているか否かを判定し(ステップS1500)、使用可能な処理装置として決定されていない場合には(ステップS1500:No)、ステップS1520に移行する。CPU11は、対象処理装置が使用可能な処理装置として決定されている場合には(ステップS1500:Yes)、対象処理装置を論理的に接続する(ステップS1510)。ここで、論理的な接続処理とは、端末装置10のアプリケーションプログラムが処理装置40との間で制御信号またはデータ信号をやりとり可能な状態にすることを意味し、例えば、端末装置10のアプリケーションプログラムに対して、処理装置40が接続されている端末装置10の物理的なポートに対して割り当てられているオペレーティングシステム上の論理的なポートを割り当てる処理、端末装置10の処理装置通信部16における信号線を電気的にオンオフ可能な接続スイッチをオン(導通)する処理によって実現される。すなわち、処理装置40a〜40dは端末装置10に対してケーブルCV等を介して物理的に接続されており、各装置にはケーブル等が物理的に差し込まれている。これに対して、論理的な接続とは、各装置に差し込まれているケーブル等を介して、信号を授受可能な状態にすることを意味する。したがって、端末装置10から処理装置40a〜40dに対して論理的にアクセス可能な状態にすることであり、処理装置40a〜40dと端末装置10とをソフトウェア制御によって接続することであるということもできる。
【0041】
CPU11は、全ての対象処理装置に対する接続処理が完了したか否かを判定し(ステップS1520)、全ての対象処理装置に対する接続処理が完了するまで(ステップS1520:No)、ステップS1500〜ステップS1520を繰り返す。CPU11は、全ての対象処理装置に対する接続処理が完了すると(ステップS1520:Yes)、本処理ルーチンを終了し、図8に示す処理ルーチンにリターンする。
【0042】
以上説明したように、本実施例に係る端末装置10によれば、オペレータが使用可能な処理装置40、すなわち、必要最低限の処理装置のみに対して論理的な接続を実行するので、接続に要する時間を短縮できる。すなわち、従来は、オペレータの使用権限を考慮することなく、端末装置の起動時、またはアプリケーションプログラムの初期化時に、端末装置に物理的に接続されている全処理装置に対して論理的な接続を実行しており、使用権限のない処理装置に対する接続時間は無駄であった。
【0043】
また、端末装置10において、オペレータの使用権限と同期していない取引画面が用いられる場合であっても、オペレータの使用権限に応じて使用可能な処理装置40が制限されるので、使用権限のない金融取引処理を実行しても対応する処理装置40を使用することはできず、誤操作を抑制または防止することができる。したがって、端末装置10によって提供される金融取引処理用の取引画面として、オペレータの取引権限に縛られることのない汎用性の高い取引画面を用いることができる。
【0044】
その他の実施例:
(1)上記実施例では、使用権限情報テーブルT1はサーバ30の使用権限データベース32に格納されていたが、端末装置10が所属するローカルネットワーク内のサーバ、端末装置10の大容量記憶装置13に格納されていても良い。この場合には、外部ネットワークNE1を介することなく処理装置40の使用の可否を決定することができる。なお、ローカルネットワーク内のサーバまたは大容量記憶装置13内の使用権限情報テーブルT1は定期的に更新されることが望ましい。また、使用権限の初期値を、各端末装置10のメモリ12または大容量記憶装置13に格納し、外部ネットワークNE1を通じてサーバ30の使用権限情報テーブルT1にアクセスできない場合に、初期値にしたがって各端末装置10の使用権限が設定されても良い。この場合には、外部ネットワークNE1に障害が発生した場合であっても、各端末装置10毎に(使用するオペレータ毎に)、使用可能な処理装置40を設定することができる。なお、初期値は全ての端末装置10に共通であっても良い。この場合には、各端末装置10を使用するオペレータを制限する必要が無く、取引の誤りをさらに抑制または防止することができる。
【0045】
(2)上記実施例において、端末装置10を操作するオペレータの切り替わり時には、アプリケーションプログラムまたはOSの終了、アプリケーションプログラムまたはOSからのログオフを介して実行されることが好ましい。このような態様とすれば、必ずオペレータのユーザIDを用いたログイン処理が実行されるからである。また、定期的に、ユーザIDの入力を求めるようにしても良い。この場合には、正規のオペレータによる金融取引処理をより高いレベルで担保することができる。
【0046】
(3)上記実施例において、端末装置10と各処理装置40間の物理的な接続が解除、すなわち、ケーブルがコネクタから外れた場合には、再度物理的に接続されても、処理装置40に対して再接続前の論理ポートと異なる論理ポートが対応付けられることがある。この場合には、アプリケーションプログラムは、当該処理装置40を用いた取り引き処理を実行することができず、障害が発生することとなる。この場合には、アプリケーションプログラムの初期化(再起動)を促し、上述の処理装置設定処理が再実行されても良い。あるいは、アプリケーションプログラムは、使用可能な処理装置40に対応する金融取引処理のみを実行しても良い。この場合には、端末装置10によって実行可能な取引種類が制限されることになるが、アプリケーションプログラムの初期化に要する時間を省略することができるので、例えば、窓口業務の中断を回避することができる。
【0047】
(4)上記実施例では、論理的な接続として、オペレーティングシステムのインターフェース機能を介した接続例を用いて説明したが、各アプリケーションプログラム単位に用意された各処理装置40a〜40d用の専用のドライバプログラムを用いて実行されても良い。この場合には、ドライバプログラムによって、各処理装置40a〜40dに対する論理ポートがアプリケーションプログラムに割り当てられることで、端末装置10と処理装置40a〜40dとの論理的な接続が実行されても良い。
【0048】
(5)上記実施例では、端末装置10の起動時またはアプリケーションプログラムを初期化時に処理装置設定処理が実行されているが、この他にも、アプリケーションプログラムを介した最初の金融取引処理開始時に処理装置設定処理が実行されても良い。この場合であっても、オペレータが使用可能な処理装置40に対してのみ論理的な接続処理が実行されるので、端末装置10と処理装置40との論理的な接続に要する時間を短縮することができる。
【0049】
(6)上記実施例では、端末装置10に対するログインの可否について、使用権限情報テーブルT1を用いて実行しているが、端末装置10においてログイン用の認証テーブルを備えておき、端末装置10においてログインの可否を判定するようにしても良い。この場合、使用権限情報テーブルT1にIDが登録されていないオペレータは、端末装置10を用いて事務処理プログラムを用いた業務を実行することができる。
【0050】
以上、実施例、変形例に基づき本発明について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれる。
【符号の説明】
【0051】
10…端末装置
11…CPU
12…メモリ
13…大容量記憶装置
14…入出力インターフェース
15…サーバ通信部
16…処理装置通信部
17…内部バス
20…表示装置
25…入力装置
30…サーバ
31…制御部
32…使用権限データベース
33…通信部
40、40a〜40d…処理装置
40a…紙幣処理装置
40b…通帳処理装置
40c…伝票処理装置
41a、41b、41c…制御部
42a…紙幣処理部
42b…通帳処理部
42c…伝票処理部
43a、43b、43c…通信部
100…金融取引システム
CV…ケーブル
NE1…外部ネットワーク
NE2…イントラネットワーク
P1…端末装置プログラム
P11…取引処理プログラム
P12…処理装置設定プログラム
P2…事務処理プログラム
T1…使用権限情報テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融取引に用いられる処理装置と物理的に接続されている端末装置であって、
前記端末装置の使用者を識別するための使用者識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記使用者識別情報と前記処理装置の使用権限とを対応付ける使用権限情報を取得する使用権限情報取得部と、
前記取得された使用者識別情報および前記使用権限情報を用いて、前記使用者が使用可能な前記処理装置を決定する決定部と、
前記端末装置を前記決定された処理装置に対して論理的に接続する接続実行部と
を備える端末装置。
【請求項2】
請求項1に記載の端末装置はさらに、
金融取引を実行するためのアプリケーションプログラムを格納するプログラム格納部を備え、
識別情報取得部は、前記アプリケーションプログラムの初期化時に前記使用者識別情報を取得し、
前記接続実行部は、前記アプリケーションプログラムの初期化時に前記論理的な接続を実行する、端末装置。
【請求項3】
請求項1に記載の端末装置において、
識別情報取得部は、前記端末装置の起動時に前記使用者識別情報を取得し、
前記接続実行部は、前記端末装置の起動時に前記論理的な接続を実行する、端末装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の端末装置において、
前記端末装置は、前記使用権限情報を格納するサーバと接続されており、
前記使用権限情報取得部は、前記サーバから前記使用権限情報を取得する、端末装置。
【請求項5】
請求項4に記載の端末装置はさらに、
前記使用権限情報の初期値を格納する使用権限情報格納部を備えており、
前記使用権限情報取得部は、前記サーバから前記使用権限情報を取得できない場合に、前記使用権限情報格納部から前記使用権限情報の初期値を取得し、
前記決定部は、前記取得された初期値に従い前記使用者が使用可能な前記処理装置を決定する、端末装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の端末装置において、
前記論理的な接続は、前記端末装置と前記処理装置との間で信号をやりとり可能にする処理である、端末装置。
【請求項7】
金融取引に用いられる処理装置と、前記処理装置と物理的に接続されている端末装置と、前記端末装置と通信可能に接続されているサーバとを備える金融取引システムであって、
前記サーバは、
前記端末装置の使用者を識別するための使用者識別情報と前記処理装置の使用権限とを対応付ける使用権限情報を格納するサーバ格納部を備え、
前記端末装置は、
前記使用者識別情報を入力するための識別情報入力部と、
前記入力された使用者識別情報を取得する識別情報取得部と、
前記サーバから前記使用権限情報を取得する使用権限情報取得部と、
前記取得された使用者識別情報および前記使用権限情報を用いて、前記使用者が使用可能な前記処理装置を決定する決定部と、
前記端末装置を前記決定された処理装置に対して論理的に接続する接続実行部とを備える、
金融取引システム。
【請求項8】
金融取引に用いられる処理装置と物理的に接続されている端末装置の制御方法であって、
前記端末装置の使用者を識別するための使用者識別情報を取得し、
前記使用者識別情報と前記処理装置の使用権限とを対応付ける使用権限情報を取得し、 前記取得された使用者識別情報および前記使用権限情報を用いて、前記使用者が使用可能な前記処理装置を決定し、
前記端末装置を前記決定された処理装置に対して論理的に接続する
制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−248803(P2011−248803A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123896(P2010−123896)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】