説明

鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストおよび使用方法

本発明は、式(I)の化合物:


またはその薬学的に許容され得る塩;好適なキャリア、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて、式(I)の化合物を含む医薬組成物;および式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を投与することを含む、生理学的障害、特にうっ血性心不全、高血圧症、糖尿病性腎症、または慢性の腎疾患を処置する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストに反応する生理学的障害の処置における治療剤として有用な三環式化合物、その化合物を含む医薬組成物、患者において生理学的障害を処置するためにその化合物を使用する方法、ならびにその化合物の合成に有用な中間体およびプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
主要な内因性鉱質コルチコイドであるアルドステロンは、鉱質コルチコイド受容体(MR)との相互作用の後に、ナトリウムと水の再吸収およびカリウムの排出を促進することによって血行動態のホメオスタシスを調節する。電解質と水との平衡の維持におけるアルドステロンの役割のゆえに、MRアンタゴニストは、高血圧症、低カリウム血症、心筋不整脈、バーター症候群、ならびにコン症候群のような原発性または続発性の高アルドステロン症を含む、多数の生理学的障害の処置のために使用されてきた。最近では、MRアンタゴニストは、うっ血性心不全および急性心筋梗塞の処置において使用されてきた。さらに、MRアンタゴニストは、腎疾患の前臨床モデルにおいて、および糖尿病性腎症を含む慢性の腎疾患のような腎障害に罹患する患者のタンパク尿を低減する標準的治療と組み合わせて、有効性が証明された。
【0003】
しかしながら、既存のMRアンタゴニストは、それらの安全性および/または有効性を制限するという随伴的影響を生じる。例えば、強力なMRアンタゴニストであるスピロノラクトンは、非選択性であり、かつ、他の生理学的プロセスを調節する他の核ホルモン受容体(例えば、アンドロゲン受容体(AR)、プロゲステロン受容体(PR)、または糖質コルチコイド受容体(GR))と交差反応する。スピロノラクトン療法は、高カリウム血症、ならび女性化乳房、勃起不全、性欲減退、月経不順、ならびに胃部不快感に関係している。エプレレノンもまた、他の核ホルモン受容体に比べてMRに対して選択性であるが、高カリウム血症に関係している。したがって、現在のMRアンタゴニスト療法に代わるものへの必要性が当該分野において残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、MRアンタゴニスト活性を有する非ステロイド性MRリガンドを提供することである。好ましい実施形態として、AR、PR、およびGRに比べて、より大きな親和性でMRに結合する非ステロイド性MRアンタゴニストを提供することが目的である。より好ましい実施形態として、AR、PR、およびGRに比べて、より大きな親和性でMRに結合し、かつ、強力な腎臓または心臓の保護活性を有する非ステロイド性MRアンタゴニストを提供することが本発明の目的である。さらにより好ましい実施形態として、AR、PR、およびGRに比べて、より大きな親和性でMRに結合し、かつ、強力な腎臓または心臓の保護活性を有するが、高カリウム血症を発症する発生率または可能性が低い、非ステロイド性MRアンタゴニストを提供することが本発明の目的である。
【0005】
任意の治療剤についての重要な検討事項は、その薬剤がQT間隔の延長を引き起こす可能性が高いかどうかである。治療剤がQT間隔の延長を誘導し得る中枢機構は、心筋においてhERGチャネルを遮断することである。hERGチャネルの遮断は、心臓細胞膜を通るカリウムイオンの通過を妨げて、細胞の活動電位の延長を生じ、それは危険な心不整脈をもたらし得る。したがって、本発明のさらに好ましい実施形態は、hERGチャネルの遮断の発生率または可能性の低いMRアンタゴニストを提供するものである。
【0006】
三環式MRリガンドは、当該分野において公知である。例えば、WO 04/052847およびWO 05/066161は、鉱質コルチコイド受容体または糖質コルチコイド受容体の調節に影響を受けやすい障害を処置するのに有用な、三環式ステロイドホルモン受容体調節因子を開示する。本発明は、下記の式(I)によって与えられる特定の新規三環式化合物が、インビトロおよびインビボでの試験によって明らかにされるように、活性の特定のプロフィールを有するという発見、すなわち鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト療法に反応する障害の処置または予防において有用性を有することを示すという発見に向けられている。特に、式(I)の例示された化合物は、鉱質コルチコイド受容体に拮抗する強力なMRリガンドである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、式(I)の化合物:
【化1】

またはその薬学的に許容され得る塩を提供し、
式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素またはフルオロを表し;
Lは、−(CH−、−CH(CH)−CH−、または直接結合を表し;
は、水素または以下の式の基
【化2】

を表し;そして、
は、−CNまたは−C(O)NHを表す。
【0008】
別の実施形態において、本発明は、うっ血性心不全、糖尿病性腎症、慢性の腎疾患、高血圧症、低カリウム血症、心筋不整脈、バーター症候群、原発性または続発性の高アルドステロン症、またはコン症候群を処置または予防する方法であって、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む方法を提供する。より具体的な態様として、本発明は、うっ血性心不全、高血圧症、糖尿病性腎症、または慢性の腎疾患を処置または予防するための方法を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、うっ血性心不全、糖尿病性腎症、慢性の腎疾患、高血圧症、低カリウム血症、心筋不整脈、バーター症候群、原発性または続発性の高アルドステロン症、またはコン症候群の処置または予防における使用のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。より具体的には、本発明は、うっ血性心不全、高血圧症、糖尿病性腎症、または慢性の腎疾患の処置または予防における使用のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。加えて、本発明は、治療における使用のための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0010】
別の実施形態において、本発明は、うっ血性心不全、糖尿病性腎症、慢性の腎疾患、高血圧症、低カリウム血症、心筋不整脈、バーター症候群、原発性または続発性の高アルドステロン症、またはコン症候群の処置または予防のための薬物を製造するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。より具体的には、本発明は、うっ血性心不全、高血圧症、糖尿病性腎症、または慢性の腎疾患の処置または予防のための薬物を製造するための、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩の使用を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、1種以上の薬学的に許容され得るキャリア、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物を提供する。より具体的には、本発明は、1種以上の薬学的に許容され得るキャリア、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む、うっ血性心不全、高血圧症、糖尿病性腎症、または慢性の腎疾患の処置または予防のための医薬組成物を提供する。
【0012】
本発明はまた、式(I)の化合物の合成のために有用な新規の中間体およびプロセスも包含する。
【0013】
本発明はまた、式(I)の化合物の溶媒化合物または式(I)の化合物の薬学的に許容され得る塩にも関する。そのようなものとして、本明細書中で使用される場合、用語「式(I)」、または式(I)の任意の特定の化合物は、その意味の中に、化合物のいかなる溶媒化合物も含む。薬学的に許容され得る塩およびそれらの調製のための方法の例は、十分に当業者の知識の範囲内である。例えば、Stahlら、「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,」VCHA/Wiley−VCH,(2002);Gould,P.L.,「Salt selection for basic drugs,」International Journal of Pharmaceutics,33:201−217(1986);Bergeら、「Pharmaceutical Salts,」Journal of Pharmaceutical Sciences,66,No.1,(1977 1月);およびBastinら、「Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities,」Organic Process Research and Development,4:427−435(2000)を参照のこと。特に、式(I)の化合物の塩酸塩、マレイン酸塩、およびメシル酸塩に言及されている。
【0014】
本発明の化合物は、1個以上のキラル中心を有し得、したがって、様々な立体異性配置で存在し得る。これらのキラル中心の結果として、本発明の化合物は、ラセミ化合物、鏡像異性体の混合物として、および、個々の鏡像異性体、ならびに偏左右異性体、および偏左右異性体の混合物として出現し得る。本明細書中に具体的に記載される場合を除いて、全てのそのようなラセミ化合物、鏡像異性体、および偏左右異性体は、本発明の範囲内である。本発明によって提供された化合物の鏡像異性体は、例えば、J.Jacquesら、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」,John Wiley and Sons,Inc.,1981によって記載されるような標準的技術、ならびに本明細書中のスキーム、調製物、および実施例において提供された技術を使用することにより、当業者が分離できる。
【0015】
式Iの化合物の特定の立体異性体および鏡像異性体は、ElielおよびWilen、「Stereochemistry of Organic Compounds」,John Wiley & Sons,Inc.,1994,Chapter 7;Separation of Stereoisomers,Resolution,Racemization;ならびにColletおよびWilen,「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」,John Wiley & Sons,Inc.,1981によって開示されたもののような周知の技術およびプロセス、ならびに本明細書中のスキーム、調製物、および実施例において提供された技術を利用することにより、当業者が調製できる。例えば、特定の立体異性体および鏡像異性体は、鏡像異性的および幾何学的に純粋な、あるいは鏡像異性的または幾何学的に富化された出発物質を使用することにより、立体特異的な合成によって調製できる。さらに、特定の立体異性体および鏡像異性体は、キラル固定相でのクロマトグラフィー、酵素的分割、試薬を使用することによって形成した付加塩の分画再結晶化のような技術によって分離および回収できる。
【0016】
用語「R」および「S」は、キラル中心の特定の配置を示すために有機化学において一般的に使用される方法で、本明細書中でも使用される。用語「(±)」、「R/S」、または「RS」は、キラル中心のラセミ配置を示す。優先順位の部分的リストおよび立体化学の議論は、「Nomenclature of Organic Compounds:Principles and Practice」,(J.H.Fletcherら編、1974)に含まれている。当業者によって理解されるように、炭素−炭素または炭素−窒素の二重結合を含有する分子は、幾何異性体として存在し得る。二重結合された原子の各々に付加された基が同じであるか異なっているかによって、2つの方法、「シス−トランス」法および「EおよびZ」法が、特定の異性体を指定するために一般的に使用される。幾何異性および特定の異性体の命名の議論は、March,「Advanced Organic Chemistry」,John Wiley & Sons,1992,Chapter 4に見出される。全てのそのような幾何異性体ならびに個々の異性体の混合物が、本発明によって意図されかつ提供される。
【0017】
本発明の化合物は、医薬組成物の一部として調剤され得る。従って、薬学的に許容され得るキャリア、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含む医薬組成物は、本発明の重要な実施形態である。医薬組成物およびそれらの調製方法の例は、当該分野において周知である。例えば、REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY(A.Gennaroら編,第19版,Mack Publishing(1995))を参照のこと。式(I)の化合物を含む例示的な組成物は、例えば:精製水中に、0.5%カルボキシメチルセルロース、0.25%ポリソルベート80、および2.7% NaClと共に浮遊する式(I)の化合物;または1%カルボキシメチルセルロースおよび0.25%ポリソルベート80と共に浮遊する式(I)の化合物;または1%カルボキシメチルセルロース、0.25%ポリソルベート80、および0.05% AntiFoam 1510(商標)と共に浮遊する式(I)の化合物を含む。しかしながら、本発明の好ましい組成物は、カプセルまたは錠剤として調剤された、式(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を含むことが理解されるだろう。
【0018】
式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む組成物は、経口経路または非経口経路を含む、その化合物を生物学的に利用可能にする任意の経路によって投与できる。
【0019】
当業者は、粒径が、医薬剤のインビボでの分解に影響する場合があり、それが同様に、その薬剤の吸収に影響する場合があることを理解するだろう。本明細書中で使用される「粒径」は、レーザー光散乱、レーザー回折、ミー散乱、沈降場流動分画、光子相関分光法などのような従来の技術によって決定される、医薬剤の粒子の直径を示す。医薬剤が難溶解性である場合、小さい粒径または低減された粒径は、分解を助け、したがって、薬剤の吸収を増大し得る。Amidonら、Pharm.Research,12;413−420(1995)。粒径を低減または制御するための方法は、従来通りであり、ミル粉砕、湿式研削、微粉化などを含む。粒径を制御するための別の方法は、医薬剤をナノ懸濁液中で調製する方法を含む。本発明の特定の実施形態は、式(I)の化合物、または式(I)の化合物を含む医薬組成物を含み、ここで、前記化合物は、約50μm未満のd90粒径(すなわち、90%の粒径が50μmより小さいか50μmに等しい粒径)を有する。より具体的な実施形態は、約10μm未満のd90粒径を有する式Iの化合物を含む。
【0020】
本明細書中で使用される用語「患者」は、ヒト、あるいはイヌ、ネコ、ウシ、サル、ウマまたはヒツジのような非ヒト哺乳動物を示す。より具体的には、用語「患者」はヒトを示す。本明細書中で使用される用語「処置すること」(あるいは「処置する」または「処置」)は、既存の症状または障害の進行または重篤度を、妨げること、予防すること、抑えること、遅滞させること、停止させること、または逆転させることを含む。本明細書中で使用される用語「予防すること」(あるいは「予防する」または「予防」)は、症状または障害の発生または出現を、妨げること、抑えること、または阻害することを示す。当業者によって理解されるように、生理学的な障害は、「慢性的な」状態として、または「急性の」エピソードとして存在し得る。したがって、障害の処置は、急性の事象および慢性の状態の両方を意図する。急性の事象において、化合物は、症状の開始時に投与され、そして症状が消失するときに中止され、一方、慢性の状態は、疾患の全経過を通じて処置される。
【0021】
本明細書で使用される用語「有効量」は、患者への単回または複数回の投薬の際に、診断または処置下の患者に所望の効果を提供する、式(I)の化合物の量または投薬量を示す。有効量は、当業者として、哺乳動物の種;その大きさ、年齢、および一般的健康;関連する特定の疾患;疾患の度合いまたは重篤度;個々の患者の反応;投与された特定の化合物;投与の様式;投与された調製物の生物学的利用能特性;選択された投薬養生法;ならびに何らかの併用薬の使用のような多くの因子を考慮することにより、担当の診断医が容易に決定できる。
【0022】
本発明の方法および使用と関連して使用される場合に、本発明の化合物および組成物は、単独で、または特定の障害または状態を処置するために使用される従来の治療剤と組み合わせて投与され得る。本発明の化合物または組成物が組み合わせの一部として使用される場合、式(I)を含む化合物または組成物は、別個に、または組み合わせられるべき治療剤を含む処方物の一部として投与され得る。
【0023】
本明細書中で使用される場合、記号「
【数1】

」は、頁の平面の外に前方に突出する結合を示し、一方、記号「
【数2】

」は、頁の平面の外に後方に突出する結合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(発明の特定の態様)
以下のリストは、式(I)の化合物についての特定の配置、置換基、および可変基のいくつかの分類を設定する。そのような特定の配置、置換基、または可変基を有する式(I)の化合物、ならびにそのような化合物を含む方法、使用、および組成物が本発明の特定の態様を表すことは理解されるだろう。
【0025】
したがって、本発明の特定の態様は、L、R、およびRが、本明細書中に定義される値のいずれかを有し、そして:
(a)Rが水素を表し、Rが水素またはフルオロを表す;または
(b)Rがフルオロを表し、Rが水素またはフルオロを表す;または
(c)Rが水素またはフルオロを表し、Rが水素を表す;または
(d)Rが水素またはフルオロを表し、Rがフルオロを表す;または
(e)RおよびRが各々独立して水素を表す、
式(I)の化合物である。
【0026】
本発明のさらなる特定の態様は、R、R、R、およびRが、本明細書中に定義される値のいずれかを有し、そして:
(a)Lが−CH(CH)−CH−または直接結合を表す、または
(b)Lが−CH(CH)−CH−を表す、または
(c)Lが直接結合を表す、
式(I)の化合物である。
【0027】
本発明のさらなる特定の態様は、R、R、L、およびRが、本明細書中に定義される値のいずれかを有し、そして:
(a)Rが水素または以下の式の基
【化3】

を表す;または
(b)Rが以下の式の基
【化4】

を表す、
式(I)の化合物である。
【0028】
本発明のさらに特定の態様は、R、R、L、およびRが、本明細書中に定義される値のいずれかを有し、そして:
(a)Rが水素または以下の式の基
【化5】

を表す;または
(b)Rが以下の式の基
【化6】

を表す;または
(c)Rが以下の式の基
【化7】

を表す、
式(I)の化合物である。
【0029】
本発明のさらなる特定の態様は、R、R、L、およびRが、本明細書中に定義される値のいずれかを有し、そして:
(a)Rが−CNを表す、または
(b)Rが−C(O)NHを表す、
式(I)の化合物である。
【0030】
本発明のより具体的な態様は、
およびRが、それぞれ独立して、水素またはフルオロを表し;
Lが、−CH(CH)−CH−または直接結合を表し;
が、水素または以下の式の基:
【化8】

を表し;そして
が、−CNまたは−C(O)NHを表す、
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0031】
本発明のさらにより具体的な態様は、
およびRが、それぞれ独立して、水素またはフルオロを表し;
Lが、−CH(CH)−CH−または直接結合を表し、ただし、Lが−CH(CH)−CH−を表すとき、Rは以下の式の基:
【化9】

を表し、Lが直接結合を表すとき、Rは以下の式の基:
【化10】

を表し;そして
が、−CNまたは−C(O)NHを表す、
式(I)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0032】
本発明のさらなる特定の態様は、以下の式I(a)および式I(b)の化合物によって提供される。式I(a)および式I(b)の化合物、ならびにそのような化合物を利用する方法および使用、およびそのような化合物を含む組成物が、本発明の特定のさらなる態様を表すことが理解されるだろう。
【0033】
したがって、本発明の特定の態様は、式I(a)の化合物:
【化11】

またはその薬学的に許容され得る塩によって提供され、
式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素またはフルオロを表し;
Lは、−CH(CH)−CH−または直接結合を表し;そして
は、水素または以下の式の基:
【化12】

を表す。
【0034】
本発明のさらにより具体的な態様は、
およびRが、それぞれ独立して、水素またはフルオロを表し;
Lが、−CH(CH)−CH−または直接結合を表し、ただし、Lが−CH(CH)−CH−を表すとき、Rは以下の式の基:
【化13】

を表し、Lが直接結合を表すとき、Rは以下の式の基
【化14】

を表す、
式I(a)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0035】
本発明のさらに別の特定の態様は、式I(b)の化合物:
【化15】

またはその薬学的に許容され得る塩によって提供され、
式中、
およびRは、それぞれ独立して、水素またはフルオロを表し;
Lは、−CH(CH)−CH−または直接結合を表し;そして
は、以下の式の基:
【化16】

を表す。
【0036】
本発明のさらにより具体的な態様は、
およびRが、それぞれ独立して、水素またはフルオロを表し;そして
Lが、−CH(CH)−CH−または直接結合を表し、ただし、Lが−CH(CH)−CH−を表すとき、Rは以下の式の基:
【化17】

を表し、Lが直接結合を表すとき、Rは以下の式の基:
【化18】

を表す、
式I(b)の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩である。
【0037】
さらに、本発明の最も具体的な態様は、本明細書中に例示された式(I)の化合物によって提供され、最も具体的には、(E)−N−(5−((E)−3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−(1−メチル−アゼチジン−3−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−シアナミド;(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミド;(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミドマレイン酸塩;(E)−N−[5−((E)−3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン]−尿素;(E)−N−(5−((E)−3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((R)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−尿素;または(E)−N−(5−((E)−3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((7S,8aR)−ヘキサヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−7イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−尿素である。
【0038】
式(I)の化合物は、当該分野で公知の様々な手順ならびに以下のスキーム、調製物、および実施例において記載される手順によって調製され得る。しかしながら、以下の議論は、決して本発明の範囲を限定することを意図しない。例えば、記載された各経路のための特定の合成工程は、様々な方法で組み合わせて、または、様々なスキームからの工程と併せて、式(I)のさらなる化合物を調製し得る。以下のスキームにおける各工程の生成物は、抽出、蒸発、沈降、クロマトグラフィー、濾過、粉砕、結晶化などを含む従来の方法によって回収できる。
【0039】
別の指示がない限り、置換基は、既に定義された通りである。試薬および出発物質は、当業者が容易に利用可能である。他の必要な試薬および出発物質は、有機化学および複素環化学の標準的な技術から選択される手順、公知の構造的に類似する化合物の合成に似ている技術、および任意の新規手順を含む、以下の調製物および実施例において記載される手順によって作製され得る。
【0040】
本明細書中で使用される場合、以下の用語は、以下に示される意味を有する:「MeOH」は、メタノールを示し;「EtOH」は、エタノールを示し;「EtOAc」は、酢酸エチルを示し;「DMF」は、ジメチルホルムアミドを示し;「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを示し;「TFA」は、トリフルオロ酢酸を示し;「THF」は、テトラヒドロフランを示し;「DEAD」は、アゾジカルボン酸ジエチルを示し;「DIAD」は、ジイソプロピルジアゾジカルボン酸を示し;「NBS」は、N−ブロモコハク酸イミドを示し;「MCPBA」は、m−クロロペルオキシ安息香酸を示し;「tBOC」または「boc」は、tert−ブトキシカルボニルを示し;「rac」はラセミ化合物を示し;「prep」は、調製物を示し;「ex」は、実施例を示し;そして「HPLC」は、高性能液体クロマトグラフィーを示す。
【0041】
【化19】

式(3)の中間体の形成を、スキーム1に示された反応に従って実行することができる。
【0042】
スキーム1において、式(1)のアミンを、芳香族求核置換(SNAr)による置き換えで4−ブロモ−1−フルオロ−2−ニトロ−ベンゼンと反応させて、式(3)のアミノ−ニトロ−臭化フェニルを提供する。例えば、アミン(1)を、酢酸エチル、THF、またはプロトン性溶媒(例えば、エタノール)のような不活性溶媒中で、室温〜溶媒の還流温度で反応させることができる。
【0043】
式(1)の化合物が、本明細書中に記載される方法に類似の方法によって、または当該分野において確立される手順を使用して容易に調製できることは、当業者によって理解されるだろう。例えば、メチル置換または非置換のモルホリニルエチルアミンは、N−tert−ブチルカルボキシルエタノールアミンのメシル化、続いてモルホリンでメシラートを置換することによって、所望のモルホリニル−エチルアミンを得ることができる。
【0044】
好適な保護基の選択および使用が当該分野において周知でありかつ理解されていることもまた認識されるだろう(例えば、Protecting Groups in Organic Synthesis,Theodora Greene(Wiley−Interscience)を参照のこと)。アゼチジニル部分に存在するようなアミン官能基を、脱保護し、続いてさらに反応させて、本発明のさらなる化合物を得ることができる。例えば、酸性条件下で、3−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−アゼチジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステルを脱保護した後に、アゼチジンを、ホルムアルデヒドによるアミノ化のような還元的アミノ化においてアルキル化して、N−メチルアゼチジニル中間体を得ることができる。
【0045】
【化20】

式(9)の中間体の形成を、スキーム2に示された反応に従って実行することができる。
【0046】
スキーム2の工程1において、式(4)のエステルを、式(5)のアルコールに還元する。当業者は、エステルを還元するための方法が数多く存在することを認識するだろう。例えば、式(4)のエステルを、ジエチルエーテルのような不活性溶媒中、約0℃〜40℃で、水素化ホウ素リチウムで処理する。10分後に反応物をクエンチして式(5)のアルコールアジドを単離し、それをその後工程2でアミンに還元する。アジドの還元を、当該分野において一般的な触媒的水素化条件を使用して実施し、式(6)のアミノアルコールを得ることができる。
【0047】
スキーム2の工程3において、4−ブロモ−1−フルオロ−2−ニトロ−ベンゼンに、スキーム1について既に記載したように、式(6)のアミンでSNAr反応を行う。
【0048】
工程4において、式(7)のフェニル−アミノ−ピロリジンを、塩化水素またはトリフルオロ酢酸のような酸性条件を使用して脱保護し、工程5において生成物を式(8)のオキセジノン(oxezinone)へと環化する。環化を、pH=10〜12に維持されたpHで、水酸化ナトリウムのような無機塩基の存在下で塩化クロロアセチルを使用して達成する。反応を、THFと水(約1:1)の混合物中で行う。
【0049】
スキーム2の工程6において、式(8)のオキセジノンを、式(9)のオキセジンに還元する。カルボニル官能基を、約0℃〜溶媒の還流温度で、THFのような不活性溶媒中で、ボラン−テトラヒドロフラン錯体またはボラン−ジメチルスルフィド錯体を使用して還元する。
【0050】
式(4)のキラルピロリジンは、当該分野において公知であり、3−ヒドロキシプロリンの立体異性体から容易に調製することができる。アルコールをメシル化し、次いで、立体化学の反転によりアジドへと置換することができる。あるいは、アルコールを、立体化学の反転により四臭化炭素を用いて光延条件下で臭化物に変換し、その後、アジドイオンでの置換により、立体化学を再度反転することができる。トランス−ヒドロキシプロリンを、90℃で、酢酸および無水酢酸での処理によってシス配置に変換することができる(C.G.LevinsおよびC.E.Schafmeister J.Org.Chem.,2005,70,9002−9008)。
【0051】
【化21】

式(14aおよびb)または(17aおよびb)の中間体の形成を、スキーム3に示された反応に従って実行することができる。
【0052】
スキーム3の工程1aにおいて、式(10)のラセミトランス−ヒドロキシベンジルアミンピロリジンを、適切な鏡像異性的に純粋な酸を使用して分離することができる。例えば、約1%水を有するアセトニトリルのような適切な溶媒中で(+)−マンデル酸で処理することにより、(S,S)ヒドロキシベンジルアミン(+)マンデル酸塩の選択的再結晶化が、非常に高いジアステレオマー過剰で生じる。次いで、その塩は、含水炭酸カリウムのような適切な塩基を利用することによって中和できる。工程1bにおいて、(R,R)鏡像異性体に富んだ上記再結晶化からの母液を、蒸発させ、約2.5%の水を含有するアセトニトリルのような溶媒中で(−)マンデル酸で処理して、精製された(R,R)鏡像異性体を得ることができる。
【0053】
工程2において、遊離(S,S)または(R,R)ヒドロキシベンジルアミンを、メタノール、n−ブタノール、またはテトラヒドロフランのような一般的な溶媒中で、パラジウム炭素のような一般的な触媒を使用して、標準的な水素化条件に供することにより、対応する(S,S)または(R,R)ヒドロキシルアミンを得る。
【0054】
スキーム3の工程3において、生じた式(12aまたはb)のアミノピロリジンと4−ブロモ−1−フルオロ−2−ニトロ−ベンゼンとのSNAr反応は、式(13aまたはb)のフェニル−アミノピロリジンを提供する。反応を、テトラヒドロフランまたは酢酸エチルのような一般的な溶媒中で、トリエチルアミンのような適切な塩基の存在下で実行することができる。
【0055】
スキーム3の工程4において、式(13aまたはb)のピロリジンのヒドロキシル基のキラリティーを、(S,S)および(R,R)から、(3R,4S)および(3S,4R)にそれぞれ変換する。キラル変換を、光延反応を使用して行う。当業者は、当該分野で利用される様々な光延条件が存在することを認識するだろう。例えば、式(15aまたはb)のアルコールを、THF、CHCl、トルエンなどのような好適な無水溶媒中で溶解させ、MeP、BuP、またはPhPのようなトリアルキル−またはトリアリールホスフィン、およびDEADまたはDIADのようなジアルキルアゾ−ジカルボン酸塩で処理する。
【0056】
工程5において、式(15aまたはb)の3S,4Rおよび4S,3Rのクロロアセトキシエステルを、式(16aまたはbの)ヒドロキシピロリジンに加水分解する。加水分解を、0℃〜50℃で4時間〜24時間、メタノールのような溶媒中で、含水水酸化リチウムのような無機塩基を使用して達成する。
【0057】
スキーム3の工程6において、式(13aまたはb)および式(16aまたはb)の4つのジアステレオマーアミノピロリジンを、酸性条件を使用して脱保護する。tert−ブトキシカルボニル基の脱保護は、当該分野において周知である。好ましい条件は、約0℃で10分間、無水塩化水素ガスで処理された酢酸エチルのような、不活性溶媒を使用する。生じたNH−ピロリジンを、還元的アミノ化条件に供して、式(14aまたはb)および式(17aまたはb)のN−メチルピロリジンを得る。反応を、ジクロロメタン、THF、または好ましくはアセトニトリルのような不活性溶媒中で実施し、そして含水ホルムアルデヒドで処理する。反応物を、約0℃〜40℃で4時間〜24時間、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、または好ましくはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤で処理する。
【0058】
式(10)の化合物が、本明細書中に記載される方法に類似の方法によって、または当該分野において確立される手順を使用することによって容易に調製できることは、当業者によって理解されるだろう。例えば、3−ピロリンを、二炭酸ジ−tert−ブチルで保護し、続いて、DMSO/水中で臭素化して、トランス−3−ブロモ−4−ヒドロキシピロリジンを提供することができる(A.Kamalら Tetrahedron Lett.,2004,45,8057−8059;A.Kamalら Tetrahedron Asymmetry,2006,17,2876−2883)。水酸化ナトリウムでの反応は、その場でエポキシドを形成し、それを、ベンジルアミンと反応させて、式(10)のラセミトランス−ヒドロキシベンジルアミンピロリジンを提供する。より直接的な方法では、エポキシドを、MSPBAで3−ピロリンを酸化することによって直接的に形成し単離することができる。さらに別の合成代替案において、2,4−ジクロロ−2−ブテンを、カルバミン酸tert−ブチルと反応させて、1−Boc−3−ピロリンを生成することができる(Y.Tsuzukiら Tetrahedron Asymmetry,2001,12,2989−2997)。t−Boc保護基は、カルバミン酸tert−ブチルの代わりにメチルアミンで反応を行うことによって、完全に回避できる。次いで、MCPBAでエポキシドへ酸化し、アンモニアで開放することにより、ラセミトランス−4−アミノ−1−メチル−ピロリジン−3−オールを得る。これを、1−ブロモ−4−フルオロ−3−ニトロベンゼンと反応させて、鏡像異性体の混合物として、式(14aおよびb)の化合物を得ることができる。このエナンチオマー混合物の分離は、キラルHPLC、あるいはD−(−)またはL−(+)−酒石酸などのような鏡像異性的に純粋なカルボン酸の塩での再結晶化など、当該分野において公知の方法により達成することができる。
【0059】
【化22】

スキーム4の工程1において、式(18)のトランスアミノ−ヒドロキシ−ピペリジンをベンズアルデヒドで還元的にアミノ化し、式(19)のベンジルアミノピペリジンを提供する。当業者は、還元的アミノ化を達成するのに好適な種々の条件が存在することを認識するだろう。例えば、反応を、酢酸およびシアノ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤の存在下で、エタノールのような溶媒中で進める。
【0060】
スキーム4の工程2aにおいて、式(19)のラセミトランス−ヒドロキシベンジルアミンピペリジンを、鏡像異性的に純粋な適切な酸を使用して溶解させる。例えば、約5%水を有するアセトニトリルのような適切な溶媒中、(+)−酒石酸で処理することにより、式(20a)の(3R,4R)ヒドロキシベンジルアミン(+)酒石酸塩の選択的再結晶化が、非常に高いジアステレオマー過剰で生じる。同様に、工程2bにおいて、ラセミ材料を、約2.5%水を含有するアセトニトリルのような溶媒中で(−)酒石酸で再結晶化して、式(20b)の精製された(S,S)鏡像異性体を得る。
【0061】
工程3において、式(20a)および(20b)の、溶解した3R,4Rおよび3S,4S鏡像異性体は、それぞれ、触媒的水素化によって、式(21aまたはb)のアミノヒドロキシピペリジンに脱ベンジル化することができる。初めに、酒石酸塩を、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムの溶液で洗浄し、次いで、ジクロロメタンで抽出して、酒石酸を除去する。次いで、遊離ベンジルアミンを、5%または10%のパラジウム炭素を使用して、エタノールまたはメタノールのような不活性溶媒中で水素化する。
【0062】
スキーム4の工程4において、式(21aまたはb)のアミノヒドロキシピペリジンを、スキーム3の工程3のように、式(22aまたはb)のフェニル−アミノピペリジンに変換する。
【0063】
工程5において、式(22aまたはb)のフェニル−アミノピペリジンを、脱保護し、そして還元的アミノ化によって、式(23aまたはb)のN−メチルピペリジンにアルキル化する。反応を、ホルムアルデヒドおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウムのような還元剤の存在下で、酢酸と水の溶媒混合物中で進める。
【0064】
式(18)の4−アミノ−3−ヒドロキシピペリジンは、当該分野において公知であり、4−ピペリドンから、bocまたは他の保護基で保護された4−ヒドロキシピペリジンに還元することによって容易に調製できる。アルコールをメシル化し、オレフィンを除去し、次いで、エポキシド化して、ラセミシス−7−オキサ−3−アザ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸tert−ブチルエステルを提供することができる。続いて、エポキシドを、アジドアニオンで開放し、トランス位置化学、その後の還元を行い、式(18)のアミノヒドロキシルピペリジンを得る。
【0065】
【化23】

式(30)または(31)の化合物の形成を、スキーム5に示された反応に従って実行することができる。式(24)の適切な化合物は、RおよびRが式(I)において定義される通りであり、X=BrまたはIである化合物である。式(30)または(31)の適切な化合物は、R、R、L、およびRが、式(I)について定義される通りの化合物である。
【0066】
スキーム5の工程1および工程2において、式(24)のハロベンジルフェニルエーテルは、アクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルでの二重Heckカップリングを行い、二重結合にE位置化学を有する式(26)のビニルエステルが得られる。反応を、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、塩化パラジウム、または好ましくは、酢酸パラジウム(II)のようなパラジウム触媒の存在下で行う。トリエチルアミン、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム、または第4級アンモニウム塩(例えば、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム)のような塩基を含む。反応を、約40℃〜130℃の温度で、4時間〜48時間、DMFまたはN−メチルピロリジンのような不活性溶媒中で進めて、式(25)の中間体を得る。それを単離し、続いて、90℃〜150℃のようなより高い温度で本質的に同様の反応条件下で、式(26)のビニルエステルに環化する。あるいは、式(24)のハロベンジルフェニルエーテルを、約90℃〜150℃の温度で式(25)の中間体を単離することなく、ワンポットで式(26)のビニルエステルに直接的に導くことができる。
【0067】
工程3において、式(26)のエステルを加水分解し、式(27)の臭化ビニルに変換する。加水分解は、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、または好ましくは、水酸化リチウムのような無機塩基を使用して達成することができる。続いて、生じたカルボン酸を、40℃〜100℃の温度で、酢酸およびNBSで処理することができる。
【0068】
スキーム5の工程4において、式(27)の臭化ビニルを、式(28)のボロン酸ビニルピナコールに変換する。臭化ビニルを、THF、1,2−ジメトキシエタン、または好ましくは、1,4−ジオキサンのような不活性溶媒中で、酢酸セシウムまたは酢酸カリウムのような塩基の存在下で、ビス(ピナコラト)ジボロンと反応させる。反応を、ホスフィンリガンド(例えば、トリシクロヘキシルホスフィン)の存在下で、二塩化1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)(Pd(dppf)Cl)あるいはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))のようなパラジウム触媒の存在下で、約40℃〜溶媒の還流温度の温度で行う。
【0069】
工程5において、式(28)のボロン酸ビニルピナコールを、Suzuki交差カップリング条件下で、アミノニトロブロモベンゼンと反応させて、式(29)のビニルニトロフェニル中間体を提供する。当業者は、そのような交差カップリング反応を容易にするための有用な条件が数多く存在することを認識するだろう。反応条件は、ジオキサン/水またはTHF/メタノールのような好適な溶媒を活用する。炭酸ナトリウム、ナトリウムメトキシド、炭酸カリウム、または酢酸カリウムのような塩基の存在下で反応を達成する。約70℃〜120℃の温度で、約8時間〜24時間、不活性雰囲気下で、テトラキスフェニルホスフィンパラジウム(0)のようなパラジウム触媒の存在下で反応を行う。
【0070】
スキーム5の工程6および7において、式(29)のビニルニトロフェニル中間体を、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、またはイソプロパノールのような適切な溶媒中で、5%または10%白金炭素、あるいは5%または10%パラジウム炭素を用いた標準的な水素化条件下で、ジアミノフェニル中間体(示されていない)に還元する。触媒の除去後、ジアミノフェニル中間体を、室温〜100℃でジフェニル−N−シアノカーボンイミダート(cyanocarbonimidate)を利用して、式(30)のシアノグアニジンへと変換することができる。重炭酸ナトリウムのような無機塩基を用いて、または用いずに、イソプロパノール、ピリジン、またはTHFのような不活性溶媒を使用する。最終生成物の精製は、クロマトグラフィーまたは再結晶化のような、当該分野をよく知る当業者に一般的な方法によって達成することができる。
【0071】
スキーム5の工程8において、式(30)のシアノグアニジンを、酸性条件下で、式(31)の尿素に加水分解する。反応を、室温〜約80℃で、4時間〜72時間、ジオキサン/水中またはTFA/水中の4N塩酸で進める。
【0072】
式(24)の化合物を、本明細書中に記載された方法に類似の方法によって、または当該分野において確立される手順を使用することによって容易に調製できることは、当業者によって理解されるだろう。例えば、2−ブロモ−5−フルオロフェノールまたは2−ブロモ−5−クロロフェノールを、2−ヨードまたは臭化2−ブロモベンジルでアルキル化して、式(24)のフェニルエーテルを得る。必要な臭化ベンジルであり、RまたはR=Fである式(24)の化合物を、例えば、1−ブロモ−3−フルオロベンゼンのリチオ化およびN−メチル−N−フェニルホルムアミドとの反応によって得て、アルデヒドを提供する。その後のベンジルアルコールへの還元、および三臭化リンのような臭素化剤との反応により、臭化1−ブロモ−3−フルオロベンジルを得る。
【0073】
生物学的活性の決定:
本明細書中で使用される場合、「K」は、リガンド−受容体複合体についての平衡解離定数を示し;「K」は、薬物−受容体複合体についての平衡解離定数を示し、かつ、平衡状態で結合部位の半数に結合する薬物の濃度の指標であり;「K」は、アンタゴニスト−受容体複合体についての平衡解離定数を示し;「IC50」は、薬剤について考えられうる最大阻害応答の50%を生じる薬剤の濃度、あるいは、受容体へのリガンド結合の50%置換を生じる薬剤の濃度を示し;「EC50」は、薬剤について考えられうる最大応答の50%を生じる薬剤の濃度を示し;そして「ED50」は、薬剤についての最大応答の50%を生じる、投与された治療剤の投薬量を示す。
【0074】
ステロイドホルモン核受容体結合アッセイ:
ヒトMR(鉱質コルチコイド受容体)、GR(糖質コルチコイド受容体)、AR(アンドロゲン受容体)、またはPR(プロゲステロン受容体)を過剰発現するヒト胎児腎臓HEK293細胞からの細胞溶解物を、K値を決定するための受容体−リガンド競合結合アッセイのために使用する。
【0075】
簡単に言うと、ステロイド受容体競合結合アッセイを、20mM HEPES緩衝液(pH=7.6)、0.2mM EDTA、75mM NaCl、1.5mM MgCl、20%グリセロール、20mMモリブデン酸ナトリウム、0.2mM DTT(ジチオスレイトール)、20μg/mLアプロチニン、および20μg/mLロイペプチンを含有する緩衝液(アッセイ緩衝液)中で行う。典型的には、ステロイド受容体結合アッセイは、1ウェル毎に、放射線標識されたリガンド(例えば、MR結合について0.25nM[H]−アルドステロン、GR結合について、0.3nM[H]−デキサメタゾン、AR結合について0.36nM[H]−メチルトリエノロン、およびPR結合について0.29nM[H]−メチルトリエノロン)、および20μg 293−MR溶解物、20μg 293−GR溶解物、22μg 293−AR溶解物、または40μg 293−PR溶解物のいずれかを含む。アッセイは、典型的には96ウェル形式で行う。競合する試験化合物を、約0.01nM〜10μMの範囲の種々の濃度で添加する。非特異的結合を、MR結合について500nMアルドステロン、GR結合について500nMデキサメタゾン、またはARおよびPR結合について500nMメチルトリエノロンの存在下で決定する。結合反応物(140μL)を、4℃で一晩インキュベートし、次いで、70μLの冷チャコールデキストラン緩衝液(50mLのアッセイ緩衝液毎に0.75gの炭と0.25gのデキストランを含有する)を、各反応物に添加する。プレートを、4℃で、オービタルシェーカー上で8分間混合する。次いで、プレートを、4℃で10分間、3,000rpmで遠心分離する。次いで、結合反応混合物の120μLのアリコートを、別の96ウェルプレートに移し、175μLのWallac Optiphase Hisafe 3(商標)シンチレーション液を各ウェルに添加する。プレートを密封し、オービタルシェーカー上で激しく撹拌する。2時間のインキュベーション後、プレートを、Wallac Microbeta計数器で読み取る。
【0076】
データを、推定IC50および10μMでの阻害率を計算するために使用する。MR結合についての[H]−アルドステロン、GR結合についての[H]−デキサメタゾン、AR結合についての[H]−メチルトリエノロン、またはPR結合についての[H]−メチルトリエノロンに対するKdを、飽和結合によって決定する。化合物に対するIC50値を、Cheng−Prusoff方程式を使用してKiに変換する。
【0077】
本質的に上に記載されるプロトコールに従って、実施例1〜50の化合物は、10nM以下のMR結合アッセイにおけるKを表示する。好ましくは、本発明の化合物は、5nM以下、より好ましくは1nM以下のMR結合アッセイにおけるKを表示する。具体的には、実施例1、8、および23の化合物は、それぞれ、約0.79nM、0.08nM、および0.23nMのMR結合アッセイにおけるKiを表示し(値は、n=2の相乗平均として報告される)、したがって、本発明の範囲内の化合物が、ヒトMRの強力なリガンドであることが実証された。
【0078】
ステロイド核ホルモン受容体調節の機能アッセイ:
アルドステロンは、鉱質コルチコイド受容体との相互作用を通してその生理学的効果を発揮する。MRへのアルドステロンの細胞質結合の後、リガンド受容体複合体は、それがDNA上のホルモン応答エレメントに結合して標的遺伝子の発現を開始する細胞核に移行する。ステロイドホルモン受容体の活性を調節する(すなわち、作用する、部分的に作用する、部分的に拮抗する、または拮抗する)本発明の化合物の能力を実証するため、核受容体タンパク質およびホルモン応答エレメント−受容体遺伝子構築物で一時的にトランスフェクトされた細胞において、標的遺伝子発現の機能的調節を検出するバイオアッセイを実施する。機能アッセイにおいて利用される溶媒、試薬、およびリガンドは、商業的供給源から容易に入手可能、または、当業者が調製できる。
【0079】
A.核ホルモン受容体パネルスクリーン
ヒト胎児腎臓HEK293細胞を、Fugene(商標)のような好適なトランスフェクション試薬を使用して、ステロイドホルモン受容体および受容体遺伝子プラスミドでトランスフェクトする。簡単に言うと、ルシフェラーゼレポーターcDNAの上流のプロバシンAREおよびTK(チミジンキナーゼ)プロモーターの2つのコピーを含有するレポータープラスミドを、ウイルス性CMV(サイトメガロウイルス)プロモーターを使用して、ヒトアンドロゲン受容体(AR)を構成的に発現するプラスミドと共にHEK293細胞中にトランスフェクトする。ルシフェラーゼレポーターcDNAの上流のGREおよびTKプロモーターの2つのコピーを含有するレポータープラスミドを、ウイルス性CMVプロモーターを使用して、ヒト糖質コルチコイド受容体(GR)、ヒト鉱質コルチコイド受容体(MR)、またはヒトプロゲステロン受容体(PR)のいずれかを構成的に発現するプラスミドと共にトランスフェクトする。細胞を、T150cmフラスコにおいて5%活性炭処理済(charcoal−stripped)ウシ胎仔血清(FBS)を有するDMEM培地中でトランスフェクトする。一晩のインキュベーション後、トランスフェクトされた細胞をトリプシン処理し、96ウェル皿において5%活性炭処理済FBSを含有するDMEM培地中に平板培養し、4時間インキュベートし、次いで、約0.01nM〜10μMの範囲の種々の濃度の試験化合物に曝露する。アッセイのためのアンタゴニスト様式において、各々の受容体に対して低濃度のアゴニストを培地に添加する(MRについて0.08nMアルドステロン、GRについて0.25nM デキサメタゾン、ARについて0.66nMのメチルトリエノロン、およびPRについて0.08nMのプロメゲストン)。試験化合物と24時間インキュベーションした後、細胞を溶解させ、標準的な技術を使用してルシフェラーゼ活性を決定する。
【0080】
データを、EC50値を決定するために4パラメータフィットのロジスティック曲線に当てはめる。有効性率(飽和最大応答を有する化合物)または最大刺激率(飽和していない最大応答を有する化合物)を、以下の参照アゴニストで得られた最大刺激と比較して決定する:MRアッセイについて30nMアルドステロン、ARアッセイについて100nMメチルトリエノロン、PRアッセイについて30nMプロメゲストン、およびGRアッセイについて100nMデキサメタゾン。IC50値を、アンタゴニスト様式アッセイのデータを使用して同様に決定する。アンタゴニスト様式において、阻害率を、低濃度のアゴニスト(MRについて0.08nMアルドステロン、GRについて0.25nMデキサメタゾン、ARについて0.66nMのメチルトリエノロン、およびPRについて0.08nMのプロメゲストン)の存在下での試験化合物の活性を、試験化合物が存在しない同じ低濃度のアゴニストによって生成される応答と比較することによって決定する。
【0081】
B.hMR競合的アンタゴニストアッセイ:
ヒト胎児腎臓HEK293細胞を、核ホルモン受容体パネルスクリーンについて上で記載されるものと同じトランスフェクション試薬、プラスミド、プロモーター、レポーター構築物、緩衝液、および手順を使用して、ヒトMRでトランスフェクトする。トランスフェクトされた細胞をトリプシン処理し、96ウェル皿において5%活性炭処理済FBSを含有するDMEM中で平板培養し、4時間インキュベートし、次いで、約0.001nM〜0.03μMの範囲の種々の濃度(10希釈物)のアルドステロンに曝露する。アルドステロンがhMRに作用する能力を、一定濃度の試験化合物の不在下および存在下で決定し、標準的な技術を使用してルシフェラーゼ活性を測定することによってモニタリングする。次いで、試験化合物のKを、以下の方程式を使用して、アンタゴニスト濃度の対数に対するSchild分析プロッティング対数(用量比−1)を使用して決定し得る:Log(DR−1)=Log[アンタゴニスト]−Log Kb(式中、用量比(DR)は、試験化合物の不在下でのアルドステロンEC50に対する、試験化合物の存在下でのアルドステロンEC50の比を表す)。
【0082】
本質的に上に記載されるプロトコールに従って、本発明の例示される化合物は、200nM以下のMR競合的アンタゴニストアッセイにおけるKを表示する。好ましくは、本発明の化合物は、50nM以下、より好ましくは10nM以下のMR競合的アンタゴニストアッセイにおけるKを表示する。具体的には、実施例1、8、および23の化合物は、それぞれ、約1.2nM、1.1nM、および2.5nMのMR競合的アンタゴニストアッセイにおけるKを表示し(値は、n=2の相乗平均として報告される)、したがって、本発明の範囲内の化合物が、ヒトMRの強力なアンタゴニストであることが実証された。
【0083】
アルドステロン媒介腎疾患のインビボモデル
雄性の片方の腎臓を摘出されたSprague Dawleyラット(240g〜280g)に、飼育用水とRodent 5001飼料を1週間自由に与えて個別に飼育する。順化後、基線の24時間尿サンプルを回収し、全尿タンパク質およびクレアチニンについて分析する。動物を、体重および基線尿タンパク質によって実験群へと任意抽出する。基線血清を、tail−clip法によって採取し、血中尿素窒素(BUN)、クレアチニン、および電解質について分析する。基線サンプルの摂取後、コントロール群を除く全てのラットを、実験期間の間中、6%塩を含有する飼料および0.3% KClを含有する飲用水で維持する。コントロール動物を、実験期間の間中5001飼料および飼育用水で維持し、アルドステロンを与えない。0.75μg/時間(s.c.)で0.01% DMSO中のd−アルドステロンを2.5μl/時間×28日間送達するため、Alza社製ミニポンプを、イソフルラン(isoflourane)麻酔下で、非コントロール動物(例えば、試験化合物群および賦形剤単独の群)に埋め込む。次いで、1%カルボキシメチルセルロース(CMC)/0.25%ポリソルベート80を含む賦形剤中の試験化合物、または賦形剤単独を、アルドステロン埋入の翌日から開始する1日1回の経口胃管栄養法(10mL/kg)によって投与する。反復尿サンプルを、化合物または賦形剤単独の投与の2週間および4週間後に回収し、全尿タンパク質およびクレアチニンについて分析する。実験終了時に、薬物動態サンプルを、8つの時点(0.5時間、1時間、2時間、3時間、6時間、7時間、12時間、および24時間)で得る。さらに、心臓および腎臓を除去し、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)染色ならびにMassonの三重染色のために10%緩衝化ホルマリン中で固定して、心臓組織および腎臓組織における構造的損傷を検出する。血清BUN、クレアチニン、および電解質のさらなる分析のために、実験の終了時に、心穿刺によって血清を採取する。
【0084】
本質的に上に記載されるプロトコールに従って、実施例1、8、および23の化合物は、10mg/kg/日で14日投与されたときに、賦形剤処置動物に比べて、それぞれ49mg/日、83mg/日、および64mg/日、尿タンパク質排出を低減し(値は、各化合物についてn=8の平均を表す)、したがって、本発明の範囲内の化合物が、強力なインビボ腎像保護活性を有することが実証された。
【0085】
化合物が高カリウム血症を発症する発生率または可能性が低いことを実証するために、以下のモデルを利用し得る。
【0086】
電解質調節のインビボアッセイ
雄性のSprague Dawleyラット(240g〜280g)を、副腎摘出し、次いで、5001げっ歯類飼料および1% NaCl飲用溶液で術後6日間維持する。動物を一晩絶食させ、1%生理食塩水の飲用水を適宜飼育水と置き換える。実験の朝、絶食させた動物を、絶食後の体重に基づく処置のために任意抽出する。コントロール動物(例えば、アルドステロンまたは試験化合物を受けない動物)に、経口胃管栄養法によって10mL/kgの、0.5% CMC/0.25%ポリソルベート80/2.7% NaClを含む試験化合物賦形剤、および皮下注射によって1mL/kgのアルドステロン賦形剤(0.01% DMSO/水)を与える。賦形剤の動物に、経口栄養によって同じ試験化合物賦形剤、およびアルドステロン3μg/kg(s.c.)を与える。試験物質を、カルボキシメチルセルロース/NaCl賦形剤中に懸濁する。試験化合物処置群に、カルボキシメチルセルロース/NaCl賦形剤中に懸濁した試験物質およびアルドステロン3μg/kg(s.c.)を与える。投薬後すぐに、動物を飼育用水に適宜アクセスできる代謝ラックに移す。尿サンプルを、投薬投与の5時間後に回収し、電解質排出をアッセイする。データを、対数Na/K排出比として表示する。化合物を、種々の用量で試験して、その化合物が尿のNa/K比(増加された血清カリウム濃度の指標)の増加を誘導するかどうか決定することができる。
【0087】
さらに詳述せずとも、当業者は、先行する記載を使用して、本発明をその最大範囲まで実施することができると考えられる。以下の調製物および実施例は、本発明をさらに詳細に例示し、かつ式(I)の化合物の典型的な合成を表すために提供される。しかしながら、それらは如何なる形であれ、本発明を限定することを全く意図していない。試薬および出発物質は、当業者に容易に利用可能であり、または当業者によって容易に合成され得る。当業者は、実施例に記載される手順からの適切なバリエーションをすぐに認識するだろう。本発明の化合物の名前は、ChemDraw Ultra(登録商標)バージョン10.0によって一般的に提供される。
【実施例】
【0088】
調製物1
1−ブロモ−4−フルオロ−2−(2−ヨード−ベンジルオキシ)−ベンゼン
N,N−ジメチルホルムアミド(750mL)中の臭化2−ヨードベンジル(0.29mol、90g)、2−ブロモ−5−フルオロフェノール(0.29mol、57.9g)、および炭酸カリウム(0.46mol、63g)の混合物を、室温で16時間撹拌する。水(1L)を加え、生じた混合物を1時間撹拌し、固体を濾別し、水でリンスし、真空オーブン(20mmHg/60℃)で乾燥して、標題の化合物を得る(121g、>100%)。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ 5.11(s,2H),6.81(t,1H),7.13(t,1H),7.19(dd,1H),7.46(t,1H),7.59(d,1H),7.62(t,1H),7.93(d,1H).
【0089】
調製物2
3−[2−(2−ブロモ−5−フルオロ−フェノキシメチル)−フェニル]−アクリル酸エチルエステル
55℃〜60℃の1−ブロモ−4−フルオロ−2−(2−ヨード−ベンジルオキシ)−ベンゼン(0.29mol、117.4g)、酢酸ナトリウム(0.44mol、36.1g、1.5当量)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.29mol、90.3g)、酢酸パラジウム(II)(8mmol、1.8g、3mol%)、およびN−メチルピロリジノン(900mL)の混合物に、N−メチルピロリジノン(200mL)中のアクリル酸エチル(0.32mol、34.3mL)の溶液を滴下して加える。反応混合物を室温まで冷却し、水(2L)およびメチルtert−ブチルエーテル(2L)で処理する。珪藻土を通過させ、酢酸エチル(1L)を加え、層を分離し、水(2L)で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機部分を乾燥し、濾過し、濃縮する。生じた固体をヘキサン(1L)中に懸濁し、2時間冷蔵し、濾過し、冷ヘキサン(500mL)で洗浄する。真空オーブン(50℃/20mmHg)で乾燥して、淡黄色固体として標題の化合物を得る(104.4g、95%)。LC−MS m/z 381.0[M+H]
【0090】
調製物3
(E)−(3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデン)−酢酸エチルエステル
N−メチルピロリジノン(850mL)中の3−[2−(2−ブロモ−5−フルオロ−フェノキシメチル)−フェニル]−アクリル酸エチルエステル(0.25mol、94g)、酢酸ナトリウム(0.37mol、30g、1.5当量)、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム(0.25mol、81g)、および酢酸パラジウム(II)(7mmol、1.7g、3mol%)の混合物を、100℃〜110℃で6時間加熱する。室温まで冷却し、水(1L)で希釈し、珪藻土を通して濾過し、酢酸エチル(2L)で洗浄する。濾液を分液漏斗に移し、水(500mL)を加え、層を分離する。有機層を水(2×1.5L)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカパッドを通して濾過し、酢酸エチル(1.5L)で洗浄し、濃縮乾固した。残留固体にヘキサン(1L)を加え、2時間冷蔵し、濾過し、ヘキサン(500mL)でリンスし、50℃/20mmHgで乾燥して、標題の化合物を得る(64.3g、87%)。LC−MS m/z 299.0[M+H]
【0091】
調製物4
(E)−11−ブロモメチレン−3−フルオロ−6,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,e]オキセピン
イソプロパノール(725mL)中の(3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデン)−酢酸エチルエステル(0.23mol、69.5g)の懸濁液に、水(125mL)中の水酸化リチウム(0.53mol、12.0g)の溶液を加え、70℃まで4時間温める。混合物を40℃まで放冷し、次いで、氷酢酸(0.44mol、25mL)で処理する。15分間の撹拌後、N−ブロモコハク酸イミド(0.25mol、44g)を加える。バブリングが起こり、温度が45℃まで上昇し、数分後に固体が形成される。混合物を40℃〜45℃で1時間撹拌し、室温まで冷却する。水(150mL)中の重硫酸ナトリウム(4.5g)、飽和含水重炭酸ナトリウム(150mL)、および水(450mL)を加える。生じた懸濁液を濾過し、冷1:1イソプロパノール/水(300mL)でリンスする。60℃/20mmHgで一晩乾燥して、標題の化合物を得る(65.8g、93%)。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ 4.9−5.4(br d,2H),6.63(dd,1H),6.77(dt,1H),7.13(s,1H),7.32−7.46(m,4H),7.52(dd,1H).
【0092】
調製物5
(E)−2−((3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン
【化24】

1,4−ジオキサン(250mL)中の(E)−11−(ブロモメチレン)−3−フルオロ−6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピン(49mmol、15g)、およびビス(ピナコラト)ジボロン(64mmol、16g)の撹拌混合物に、酢酸カリウム(150mmol、15g)を加える。混合物を窒素でフラッシングし、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]パラジウム(II)ジクロロメタン付加物(2.46mmol、1.80g)を加え、65℃で一晩加熱する。室温まで冷却し、珪藻土を通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、濾液を真空濃縮する。メタノール(200mL)を加え、回転蒸発器上で減圧せずに1時間混合物を回転し、褐色固体を形成させる。暗褐色の結晶を濾過によって回収し、真空下で一晩乾燥して、標題の化合物を得る(7.28g、42%)。濾液を濃縮し、ヘキサン中の0%〜16%酢酸エチルで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色固体として標題の化合物を得る(3.46g、20%)。反応の全収率は、10.7g(62%)である。H NMR(300MHz,CDCl) δ 7.36(dd,J=8.8,6.8Hz,1H),7.32−7.27(m,4H),6.64−6.57(m,1H),6.48(dd,J=10.3,2.6Hz,1H),5.98(s,1H),5.20(br s,1H),1.15(s,12H).
【0093】
調製物6
1−ブロモ−3−フルオロベンズアルデヒド
0℃の5Lフラスコ中の無水テトラヒドロフラン(800mL)中のジイソプロピルアミン(2.27mol、320mL)の溶液に、ヘキサン中の1.6Mブチルリチウム(1.16L、1.86mol)を1.5時間にわたって滴下して加える。生じた黄色溶液を0℃で30分間撹拌する。別個の12Lフラスコにおいて、無水テトラヒドロフラン(650mL)中の1−ブロモ−3−フルオロベンゼン(203mL、1.86mol)を溶解させ、−78℃まで冷却する。あらかじめ形成されたLDA溶液をカニューレを介して添加漏斗に移し、温度が−70℃を超えないように、2時間にわたって、1−ブロモ−3−フルオロベンゼン溶液に滴下して加える。生じたスラリーを−78℃で30分間撹拌する。温度を−70℃未満に維持しながら、無水テトラヒドロフラン(1.15L)中のN−メチル−N−フェニルホルムアミド(230mL、1.86モル、1.00当量)の溶液を1時間にわたって−78℃で滴下して加える。反応冷却物を2時間撹拌し、さらにそれを一晩かけて室温までゆっくりと上昇させる。反応物をメチルtert−ブチルエーテル(3L)で希釈し、1M塩酸(4L)でクエンチし、3時間激しく撹拌する。層を分離し、メチルtert−ブチルエーテル(1L)で水層を抽出する。合わせた有機相を1M塩酸(2×1L)、水(1L)、塩水(1L)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ゆっくりと凝固する橙色の油になるまで濃縮して、標題の化合物を得る(394g、105%)。H NMR(CDCl) δ 10.37(s,1H),7.50(d,1H),7.44(m,1H),7.17(t,1H).
【0094】
調製物7
1−ブロモ−3−フルオロベンジルアルコール
0℃のメタノール(14L)中の1−ブロモ−3−フルオロベンズアルデヒド(1.60kg、7.91mol)に、水素化ホウ素ナトリウム(284g、7.93mol)を30分間にわたって少しずつ加えて、発熱およびガス発生を制御する。15分後、水(500mL)でクエンチし、濃縮して、黄色油を得る。その油を酢酸エチル(6L)中に溶解し、水(3L)で洗浄する。酢酸エチル(1L)で水層を抽出する。合わせた有機相を塩水(2L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、橙色油として標題の化合物を得る(1614g、100%)。H NMR(CDCl) δ 7.40(d,1H),7.18(m,1H),7.07(t,1H),4.86(s,2H).
【0095】
調製物8
臭化1−ブロモ−3−フルオロベンジル
0℃のクロロホルム(14L)中の1−ブロモ−3−フルオロベンジルアルコール(1.61kg、7.85mol)の溶液に、ピリジン(770mL、9.52mol)を一度に加え(わずかな発熱)、0℃で5分間撹拌する。内部温度を20℃未満に維持しながら三臭化リン(900mL、9.49)を滴下して加え、生じた溶液を室温まで温めながら一晩撹拌する。反応物を0℃まで冷却し、氷水(2L)でゆっくりとクエンチする。50Lフラスコに移し、層を分離し、次いで、クロロホルム(1L)で水層を抽出する。合わせた有機相を5%硫酸(2L)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2L)、塩水(2L)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、黄色油として標題の化合物を得る(1753g、83%)。H NMR(CDCl) δ 7.43(d,1H),7.21(m,1H),7.09(t,1H),4.68(s,2H).
【0096】
調製物9
1−ブロモ−2−(2−ブロモ−6−フルオロ−ベンジルオキシ)−4−フルオロ−ベンゼン
0℃のN,N−ジメチルホルムアミド(14L)中の臭化1−ブロモ−3−フルオロベンジル(1.75kg、6.52mol)および2−ブロモ−5−フルオロフェノール(730mL、16.56mol、1.01当量)の溶液に、炭酸カリウム(1.36kg、9.80mol)を一度に加え、生じたスラリーを冷却状態で1時間攪拌し、次いで、室温で一晩攪拌する。50Lフラスコに反応混合物を移し、水(14L)を30分間にわたって滴下して加え、定期的に氷で冷やして、結晶化の発熱を制御する。室温で1時間撹拌し、オフホワイトの固体を濾過によって回収し、水で洗浄し、50℃で一晩乾燥して、標題の化合物を得る(2.22kg、90%)。H NMR(CDCl) δ 7.51(m,2H),7.30(m,1H),7.14(t,1H),6.89(dd,1H),6.67(m,1H),5.26(d,2H).
【0097】
調製物10
(E)−(3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデン)−酢酸エチルエステル
排気および窒素での充填によって、N−メチルピロリジノン(3.3L)中の1−ブロモ−2−(2−ブロモ−6−フルオロ−ベンジルオキシ)−4−フルオロ−ベンゼン(886mmol、335g)、アクリル酸エチル(931mmol、101mL、1.05当量)、Pd(OAc)(22.2mmol、4.97g)、臭化テトラブチルアンモニウム(886mmol、286g)、および酢酸ナトリウム(4.40mol、363.5g)の混合物を、5回脱気する。混合物を120℃で2時間加熱する。35℃まで冷却し、40分間にわたって水(5.5L)を加える。沈殿物を濾過し、水(2×500mL)でリンスし、30分間空気乾燥する。沈殿物をイソプロパノール(1L)中で2時間再びスラリーにし、氷上で1時間冷却する。濾過によって暗灰色固体を回収し、冷イソプロパノール(5×100mL)でリンスし、50℃で真空乾燥して、標題の化合物を得る(191g、68%)。
【0098】
調製物11
(E)−11−ブロモメチレン−3,7−ジフルオロ−6,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,e]オキセピン
メタノール(1.9L)および5N水酸化ナトリウム(1.20mol、240mL)中の(E)−(3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデン)−酢酸エチルエステル(601mmol、190g)の撹拌されたスラリーを、50℃まで2時間加熱する。メタノールを真空除去し、生じた黒色スラッジを水(3L)中で再びスラリーにする。5N塩酸(250mL)を45分間にわたって加え、2.5時間撹拌し、濾過し、残留物を水(4×200mL)でリンスする。灰色固体を60℃で一晩および80℃で6時間真空乾燥する。固体(まだ湿っており、およそ95gの水を含有する)および酢酸リチウム(60.1mmol、4g、0.1当量)をアセトニトリル(1.7L)中に溶解させ、15分間撹拌する。N−ブロモコハク酸イミド(661mmol、118g)を一度に加え、2.5時間撹拌する。0.25Mチオ硫酸ナトリウム(400mL)を加え、その後、飽和含水重炭酸ナトリウム(400mL)および水(900mL)を加える。混合物を1時間室温で撹拌し、次いで、2時間氷浴上で撹拌する。混合物を濾過し、冷アセトニトリル(300mL)でリンスする。50℃で一晩真空乾燥して、明るいベージュ色の固体として標題の化合物を得る(173.3g、89%)。H NMR(DMSO−d) δ 5.25(s,2H),6.67(dd,1H),6.81(dt,1H),7.20(s,1H),7.22(d,1H),7.28(t,1H),7.36(dd,1H),7.48(m,1H).
【0099】
調製物12
(E)−2−((3,7−ジフルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン
1,4−ジオキサン(150mL)中の(E)−11−(ブロモメチレン)−3,7−ジフルオロ−6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピン(46.4mmol、15.0g)およびビス(ピナコラト)ジボロン(50.3mmol、15.3g)の混合物に、酢酸カリウム(74.3mmol、7.29g)、トリシクロヘキシルホスフィン(6.03mmol、1.69g)、およびPd(dba)(2.32mmol、2.13g)を加える。窒素でバブリングすることによってフラッシングし、次いで、65℃で加熱しながら一晩撹拌する。室温まで冷却した後、珪藻土のパッドを通して混合物を濾過し、酢酸エチルでパッドを洗浄し、溶媒を除去して、褐色油を得る。その油をメタノール(180mL)で希釈し、生じた混合物を回転蒸発器上で減圧せずに3時間回転し、白色の沈殿物を形成させる。真空濾過によって沈殿物を回収し、白色固体として標題の化合物を得る(10.8g、63%)。H NMR(300MHz,CDCl) δ 7.34(dd,J=8.8,6.7Hz,1H),7.24−7.18(m,1H),7.08−7.01(m,2H),6.65−6.59(m,1H),6.50(dd,J=10.3,2.6Hz,1H),5.99(s,1H),5.31(d,J=0.9Hz,2H),1.16(s,12H).
【0100】
調製物13
(E)−11−ブロモメチレン−3,8−ジフルオロ−6,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,e]オキセピン
1−ブロモ−2−ブロモメチル−4−フルオロ−ベンゼンおよび2−ブロモ−5−フルオロ−フェノールで開始して、本質的に調製物9、10、および11に記載される方法で標題の化合物を調製する。
【0101】
調製物14
(E)−2−((3,8−ジフルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン
1,4−ジオキサン(295mL)中の(E)−11−(ブロモメチレン)−3,8−ジフルオロ−6,11−ジヒドロジベンゾ[b,e]オキセピン(90.0mmol、29.0g)およびビス(ピナコラト)ジボロン(117mmol、29.5g)の混合物に、酢酸カリウム(144mmol、14.1g)、トリシクロヘキシルホスフィン(11.7mmol、3.28g)、およびPd(dba)(4.14mmol、3.80g)を加える。混合物を窒素でバブリングすることによってフラッシングし、次いで、65℃で一晩加熱する。室温まで冷却した後、珪藻土のパッドを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄する。濾液を真空濃縮して、褐色油を得る。その油をメタノール(180mL)で希釈し、生じた混合物を回転蒸発器上で減圧せずに1.5時間回転し、褐色の沈殿物を形成させる。真空濾過によって沈殿物を回収し、褐色固体として標題の化合物を得る(24.2g、73%)。H NMR(300MHz,CDCl) δ 7.35(dd,J=8.8,6.7Hz,1H),7.29−7.24(m,1H),7.05−6.93(m,2H),6.65−6.59(m,1H),6.49(dd,J=10.2,2.6Hz,1H),5.99(s,1H),5.15(br s,2H),1.16(s,12H).
【0102】
調製物15
(R)−メタンスルホン酸 2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピルエステル
塩化メタンスルホニル(0.128mol、14.7g、1.5当量)を、ジクロロメタン(150mL)中の(R)−(+)−2−tert−ブトキシ−カルボニルアミノ−1−プロパノール(0.085mol、15.0g)およびトリエチルアミン(0.12mol、17.3g、2.0当量)の溶液に、0℃で窒素下で滴下して加える。添加が完了すると、反応混合物を室温まで温め、2時間撹拌する。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、0.1N塩酸および飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、白色固体として標題の化合物を得る(20.8g、96%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.24(d,3H),1.43(s,9H),3.03(s,3H),3.97(br s,1H),4.14(dd,1H),4.21(br s,1H),4.64(br s,1H,Boc−NH).
【0103】
調製物16
(R)−(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル
アセトニトリル(210mL)中の(R)−メタンスルホン酸 2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−プロピルエステル(0.083mol、20g)およびモルホリン(0.83mol、72.2g)の混合物を、65℃で16時間加熱する。反応混合物を濃縮し、残留物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を合わせ、水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、真空下で濾過および濃縮して、黄色の粘性油として標題の化合物を得る(12g、62%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.13(d,3H),1.43(s,9H),2.21(dd,1H),2.26−2.32(m,1H),2.35−2.39(m,2H),2.48−2.55(m,2H),3.63−3.70(m,5H),4.68(br s,1H,−NH).
【0104】
調製物17
(R)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチルアミン塩酸塩
ジオキサン(120mL)中の1.6M塩化水素を、乾燥ジクロロメタン(75mL)中の(R)−(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル(0.05mol、12g)の溶液に0℃で加える。反応混合物を室温まで温め、2時間撹拌する。沈殿物を濾過し、真空下で乾燥して、白色固体として標題の化合物を得る(9.2g、86%)。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ 1.29(d,3H),3.10(br s,2H),3.38(br s,4H),3.79(br s,5H).
【0105】
調製物18
(R)−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)−(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−アミン
酢酸エチル(220mL)中の(R)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチルアミン塩酸塩(0.04mol、8.7g)、5−ブロモ−2−フルオロニトロベンゼン(0.048mol、10.5g)、トリエチルアミン(0.20mol、20.2g)、およびジメチルアミノピリジン(0.0004mol、0.048g)の混合物を、16時間還流させる。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮する。溶離剤としてヘキサン中の10%酢酸エチルを使用するシリカゲルカラム上で精製して、橙色の固体として標題の化合物を得る(12.8g、95%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.29(d,3H),2.47−2.51(m,5H),2.53−2.58(m,1H),3.64−3.69(m,4H),3.72−3.78(m,1H),6.78(d,1H),7.46(dd,1H),8.30(d,1H),8.33(d,1H).
【0106】
以下の表中の中間体を、それぞれ(S)−(−)−2−tert−ブトキシ−カルボニルアミノ−1−プロパノールまたはtert−ブチル−N−(2−ヒドロキシエチル)カルバミン酸塩から開始して、調製物15、16、17、および18に記載される手順に本質的に従うことによって調製する。
【0107】
【表1】

【0108】
調製物20
(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−アミン
酢酸エチル(900mL)中の1−アミノ−4−メチルピペラジン(0.217mol、25.0g)、5−ブロモ−2−フルオロニトロベンゼン(0.239mol、52.6g)、およびトリエチルアミン(0.46mol、46g)の混合物を加熱して、16時間還流させる。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮する。溶離剤としてジクロロメタン中の5%メタノールを使用するシリカゲルカラム上で精製して、標題の化合物を得る(43.2g,63%)。ES−MS m/z 315[M+1]
【0109】
調製物21
3−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−アゼチジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
酢酸エチル(100mL)中に5−ブロモ−2−フルオロニトロベンゼン(28.8mmol、3.55mL)、3−アミノ−アゼチジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(28.8mmol、4.96g)、およびトリエチルアミン(35.9mmol、5.00mL)を溶解させ、窒素下で48時間還流させる。室温まで冷却する。0.5M塩酸で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空で濃縮して、明るい橙色の固体を得る(11.04g、>100%)。LC−MS m/z(79Br/81Br) 394.0/396.0[M+H]
【0110】
調製物22
アゼチジン−3−イル−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)−アミン,塩酸塩
4.0M塩化水素中の3−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−アゼチジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(29.66mmol、11.04g)のジオキサン(40mL)溶液を、室温で、窒素下で一晩撹拌する。溶液から固体が沈殿する。エーテル(200mL)で希釈し、固体を濾別し、十分なエーテルでリンスし、乾燥する(8.54g、93%)。H NMR(400MHz,CDOD):4.12(dd,2H),4.45(dd,2H),4.72(m,1H),6.76(d,1H),7.62(dd,1H),8.30(d,1H).LC−MS m/z(79Br/81Br) 272.0/274.0[M+H]
【0111】
調製物23
(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)−(1−メチル−アゼチジン−3−イル)−アミン
0℃のアセトニトリル(100mL)および37%含水ホルムアルデヒド(83.0mmol、6.28mL、3.00当量)中のアゼチジン−3−イル−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)−アミン、塩酸塩(27.7mmol、8.54g)の混合物に、トリアセトキシホウ化水素ナトリウム(88.6mmol、18.8g)をゆっくりと加える。窒素下で一晩、室温で撹拌する。減圧下で揮発性物質を除去する。酢酸エチルで希釈し、10%含水重炭酸ナトリウムで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、8.5gの橙色固体を得る。ジクロロメタン中の5%メタノールで溶離する120gのシリカカラム上で精製して、標題の化合物を得る(5.92g、75%)。LC−MS m/z(79Br/81Br) 286.0/288.0[M+H]
【0112】
調製物24
(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル
塩化チオニル(1.07mol、128.2g)を、乾燥メタノール(2L)中の(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸(0.70mol、93.0g)の溶液に、0℃で、窒素雰囲気下で滴下して加える。添加が完了すると、反応混合物を室温まで温め、6時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮して、対応するメチルエステル塩酸塩を得る。トリエチルアミン(1.56mol、157.5g)を、乾燥ジクロロメタン(2L)中のメチルエステル塩酸塩の溶液に0℃で加え、30分間撹拌する。次いで、N,N−ジメチルアミノピリジン(0.10mol、13g)および二炭酸ジ−tert−ブチル(0.85mol、185.7g)を、継続して加える。反応混合物を室温まで温め、18時間撹拌する。反応混合物を水でクエンチし、有機層を分離し、水および飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮して、粘性油として標題の化合物を得る(160g、91%)。ES−MS m/z 246.1[M+1]
【0113】
調製物25
(2R,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸、塩酸塩
50℃の無水酢酸(408g)および酢酸(1.2L)の混合物に、trans−4−ヒドロキシ−L−プロリン(0.36mol、94g)を一度に加える。反応混合物を90℃で5.5時間加熱し、次いで、それを濃縮する。残留物を2N塩酸に溶解させ、3時間還流させる。反応混合物を室温まで冷却し、珪藻土を通して濾過し、白色の針状物が形成するまで真空下で濃縮する。結晶を濾過し、エーテルで洗浄し、真空下で乾燥して、標題の化合物を得る(90.0g、75%)。[α]D20+10.0(メタノール中、c=1.0)。 H NMR(400MHz,DO),δ 2.34−2.39(m,1H),2.45−2.53(m,1H),3.38(dd,1H),3.45(d,1H),4.50(dd,1H),4.58(br s,1H).
【0114】
調製物26
(2R,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル
塩化チオニル(1.81mol、213.8g、1.5当量)を、乾燥メタノール(2L)中の(2R,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−2−カルボン酸塩酸塩(1.19mol、200g)の溶液に、0℃で、窒素雰囲気下で滴下して加える。添加が完了すると、反応混合物を室温まで温め、6時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮して、対応するメチルエステル塩酸塩を得る。トリエチルアミン(265.9g、2.63mol)を、乾燥ジクロロメタン(2L)中のメチルエステル塩酸塩の溶液に0℃で加え、30分間撹拌する。次いで、N,N−ジメチルアミノピリジン(0.18mol、21.9gおよび二炭酸ジ−tert−ブチル(1.43mol、313.5g)を継続して加える。反応混合物を室温まで温め、18時間撹拌する。反応混合物を水でクエンチし、有機層を分離し、水およびNaHCO溶液で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、粘性油として標題の化合物を得る(260g、88%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.43(s,9H),1.46(s,9H),2.05−2.10(m,2H),2.26−2.35(m,2H),3.48−3.56(m,2H),3.58−3.61(m,1H),3.64−3.70(m,2H),3.77(s,3H),3.79(s,3H),4.27−4.29(m,1H),4.34−4.38(m,2H).
【0115】
調製物27
(2S,4R)−4−メタンスルホニルオキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル
塩化メタンスルホニル(1.56mol、179g)を、ピリジン(600mL)中の(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル(0.65mol、160g)の溶液に、0℃で、窒素雰囲気下で加える。添加が完了すると、反応混合物を室温まで温め、2時間撹拌する。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、0.1N塩酸溶液および飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、粘性油として標題の化合物を得る(185g、91%)。ES−MS m/z 324.1[M+1],224.0[M−Boc]
【0116】
調製物28
(2R,4R)−4−メタンスルホニルオキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル
標題の化合物を、(2R,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステルから、本質的に調製物27に記載される方法で調製する。ES−MS m/z 324.1[M+1]
【0117】
調製物29
(2S,4S)−4−ブロモ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル
トリフェニルホスフィン(0.88mol、231g)を、乾燥ジクロロメタン(1.44L)中の(2S,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル(0.58mol、144g)およびCBr(0.88mol、292g)の溶液に、0℃で徐々に加える。添加が完了すると、反応混合物を室温まで温め、4時間撹拌する。エタノール(1.44L)を加え、さらに2時間撹拌する。ジエチルエーテル(1.44L)を反応混合物に加え、沈殿したトリフェニルホスフィン酸化物を濾過し、減圧下で濾液を濃縮する。溶離剤としてヘキサン中の5%酢酸エチルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製し、粘性油として標題の化合物を得る(155g、85%)。ES−MS m/z 308[M+1]
【0118】
調製物30
(2R,4S)−4−ブロモ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル
標題の化合物を、(2R,4R)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステルから、本質的に調製物29に記載される方法で調製する。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.45−1.47(s,9H),2.38−2.45(m,1H),2.54−2.59(m,1H),3.72−3.74(s,3H),3.84−3.87(m,1H),3.92−3.94(m,1H),4.44−4.54(m,2H).
【0119】
調製物31
(2S,4S)−4−アジド−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル
N,N−ジメチルホルムアミド(1L)中の(2S,4R)−4−メタンスルホニルオキシ−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル(0.60mol、185g)およびアジ化ナトリウム(1.20mol、78g)の混合物を、80℃で16時間加熱する。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を0.5N塩酸、飽和重炭酸ナトリウム溶液、および塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、粘性の黄色油として標題の化合物を得る(140g、88%)。ES−MS m/z 271.2[M+1],171.0[M−Boc]
【0120】
以下の表中の中間体を、適切なブロモまたはメシル−ピロリジンから開始して、調製物31に記載される手順に本質的に従うことによって調製する。
【0121】
【表2】

65℃で16時間
【0122】
調製物35
(2S,4S)−4−アジド−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
水素化ホウ素リチウム(0.16mol、3.6g)を、無水ジエチルエーテル(400mL)中の(2S,4S)−4−アジド−ピロリジン−1,2−ジカルボン酸 1−tert−ブチルエステル 2−メチルエステル(0.16mol、40g)の溶液に、−10℃〜−20℃で、窒素雰囲気下で加える。添加が完了すると、反応混合物を、同じ温度で30分間攪拌する。反応混合物を、飽和重炭酸ナトリウム溶液を用いて−70℃でクエンチし、ゆっくりと室温まで上昇させる。有機層を分離し、水層をジクロロメタンで抽出する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、粘性の黄色油として標題の化合物を得る(32g、粗製)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.46(s,9H),2.32−2.35(m,1H),3.30(dd,1H),3.65−3.79(m,4H),4.07−4.29(m,2H).
【0123】
以下の表中の中間体を、適切なピロリジン−2−カルボン酸メチルエステルから開始して、調製物35に記載される手順に本質的に従うことによって調製する。
【0124】
【表3】

【0125】
調製物39
(2S,4S)−4−アミノ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化25】

(2S,4S)−4−アジド−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(32g)を、メタノール(150mL)中に溶解させる。10%パラジウム炭素(3.2g)を加え、室温で16時間水素化する(1気圧)。結晶を珪藻土の栓を通して濾別し、減圧下で濃縮して、粘性の黄色油として標題の化合物を得る(28g、粗製)。
【0126】
以下の表中の中間体を、適切なアジド−ピロリジンから開始して、調製物39に記載される手順に本質的に従うことによって調製する。
【0127】
【表4】

【0128】
調製物43
(2S,4S)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
【化26】

酢酸エチル(320mL)中の(2S,4S)−4−アミノ−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.14mol、31g)、5−ブロモ−2−フルオロニトロベンゼン(0.29mol、64.0g)、およびトリエチルアミン(0.58mol、59g)の混合物を加熱して、16時間還流させる。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、粘性の暗橙色油として標題の化合物を得る(42g、粗製)。
【0129】
調製物44
(2S,4S)−[4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピロリジン−2−イル]−メタノール、塩酸塩
【化27】

ジオキサン(950mL)中の4.0M塩化水素を、乾燥ジクロロメタン(475mL)中の(2S,4S)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−2−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.22mol、95g)の溶液に、室温でゆっくりと加え、2時間撹拌する。沈殿した固体を濾過し、減圧下で乾燥して、橙色固体として標題の化合物を得る(70g、87%)。H NMR(400MHz,CDOD) δ 1.98−2.05(m,1H),2.71−2.79(m,1H),3.36(dd,1H),3.58−3.63(m,1H),3.76(dd,1H),3.88−3.95(m,2H),4.55−4.58(m,1H),7.03(d,1H),7.66(dd,1H),8.30(d,1H).
【0130】
以下の表中の中間体を、適切なアミノ−ピロリジンから開始して、調製物43および44に記載される手順に本質的に従うことによって調製する。
【0131】
【表5】

【0132】
調製物48
(7S,8aS)−7−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−テトラヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−4−オン
【化28】

塩化クロロアセチル(0.49mol、55.7g)を、テトラヒドロフラン/水(1:1)混合物(1180mL)中の(2S,4S)−[4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピロリジン−2−イル]−メタノール、塩酸塩(0.22mol、79g)の溶液に、室温で滴下して加える。4M水酸化ナトリウム溶液の連続添加によって、反応物のpHを10〜12に維持する。塩化クロロアセチルの添加完了後に、反応混合物を4時間室温で撹拌する。テトラヒドロフランを減圧下で除去し、水層をジクロロメタンで抽出する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、橙色油として標題の化合物を得る(50g、62%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.59−1.67(m,1H),2.58−2.64(m,1H),3.40(t,1H),3.71(dd,1H),3.91−4.01(m,2H),4.09(d,1H),4.20(dd,1H),4.29−4.35(m,2H),6.75(d,1H),7.54(dd,1H),8.05(d,1H),8.32(d,1H).
【0133】
調製物49
(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)−((7S,8aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−7−イル)−アミン
【化29】

BH.THF(テトラヒドロフラン中1.0M、0.056mol、56mL)を、テトラヒドロフラン(150mL)中の(7S,8aS)−7−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−テトラヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−4−オン(0.028mol、10g)の溶液に、0℃〜−5℃で、窒素下で滴下して加える。添加完了後に、反応混合物を3時間還流させる。反応混合物を0℃まで冷却し、1N塩酸でクエンチし、次いで、1N水酸化ナトリウム溶液を加える。テトラヒドロフランを減圧下で除去し、水層をジクロロメタンで抽出する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮する。残留物をメタノール(160mL)中に溶解させ、ジオキサン(160mL)中の4N塩化水素を加え、反応混合物を80℃で4時間加熱する。室温まで冷却し、4N水酸化ナトリウム水溶液を加えることによってpHを10〜12に調節する。メタノールを減圧下で除去し、水層をジクロロメタンで抽出する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、結晶性の黄色固体として標題の化合物を得る(8.0g、83%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.32−1.38(m,1H),2.19−2.22(m,1H),2.34(dt,1H),2.42−2.47(m,1H),2.54−2.58(m,1H),2.92(d,1H),3.07(d,1H),3.34(t,1H),3.61(dt,1H),3.85(dd,1H),3.97(dd,1H),4.01−4.07(m,1H),6.67(d,1H),7.48(dd,1H),8.17(d,1H),8.35(d,1H).
【0134】
以下の表中の中間体を、適切なフェニル−アミノ−ピロリジンから開始して、調製物48および49に記載される手順に本質的に従うことによって調製する。テトラヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−4−オンの還元を、例えば、ボラン−テトラヒドロフラン錯体またはボラン−ジメチルスルフィド錯体を用いて、調製物50および51で行う。
【0135】
【表6】

【0136】
調製物53
Tert−ブチル 2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボン酸
塩化メチレン(200mL)中の二炭酸ジ−tert−ブチル(0.69mol、151.0g)の溶液を、塩化メチレン(400mL)中の3−ピロリン(40.0g、0.57mol)の溶液に、1.5時間かけて、0℃で滴下して加え、室温で10時間撹拌する。溶媒を除去し、粗生成物を次の工程、調製物47に引き継ぐ(95.0g、98%)。
【0137】
調製物54
Rac−トランス−3−ブロモ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
ジメチルスルホキシド(360mL)および水(18mL)中のtert−ブチル 2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−カルボン酸(0.29mol、50.0g)の撹拌混合物に、N−ブロモコハク酸イミド(0.325mol、58.0g)を、15分かけて、0℃で徐々に加える。室温で2時間撹拌した後、水(500mL)を加え、酢酸エチルで抽出する。有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、真空で濃縮して、明るい褐色油として標題の化合物を得る(75.0g、95%)。H NMR(500MHz,CDCl) δ 4.43−4.53(m,1H),4.12−4.20(m,1H),3.96−4.11(m,2H),3.68−3.94(m,2H),3.32−3.48(m,1H),1.47(s,9H).
【0138】
調製物55
Rac−トランス−3−ベンジルアミノ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
粗rac−トランス−3−ブロモ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(75.0g)および1N水酸化ナトリウム水溶液(400mL)の混合物を、室温で2時間撹拌する。ベンジルアミン(0.86mol、80.0g)を加え、65℃で4.5時間撹拌し、次いで、0℃まで冷却する。得られた沈殿物を濾過によって回収し、水およびイソプロピルエーテルで洗浄し、乾燥して、白色固体として標題の化合物を得る(50.0g、63%)。H NMR(300MHz,CDCl) δ 7.21−7.38(m,5H),4.06−4.15(m,1H),3.84(d,J=5.0Hz,2H),3.57−3.75(m,2H),3.10−3.35(m,3H),1.65(br s,2H),1.46(s,9H).
【0139】
調製物56
(3S,4S)−3−ベンジルアミノ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル,(+)−マンデル酸塩
アセトニトリル(1L)および水(10mL)中のrac−トランス−3−ベンジルアミノ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.343mol、100.0g)および(+)−マンデル酸(0.378mol、57.83g)の混合物を、70℃で1時間加熱し、次いで、4時間かけて室温まで冷却する。得られた結晶性の沈殿物を濾過によって回収し、アセトニトリルで洗浄し、アセトニトリル/水(20:1)から再結晶化して、白色の結晶性固体として標題の化合物を得る(62.0g、40%)。H NMR(500MHz,CDCl) δ 7.19−7.44(m,8H),5.05(br s,2H),4.97(s,1H),3.95−4.02(m,1H),3.73(s,2H),3.28−3.50(m,4H),2.95−3.18(m,3H),1.39(s,9H),; mp 185−188,[α]23+50.0°(c 0.50,MeOH).
【0140】
調製物57
(3S,4S)−3−ベンジルアミノ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
(3S,4S)−3−ベンジルアミノ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(+)−マンデル酸塩(60.0g)に、3%含水炭酸カリウム(300mL)を加え、酢酸エチル(3×250mL)で遊離アミンを抽出する。合わせた有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥する。減圧下で溶媒を蒸発させて、白色固体として(S,S)−鏡像異性体を得る(34.0g、65%)。APCI MS m/z 293[M+H];mp 69−70℃,[α]23+18.0°(c,0.50,MeOH).
【0141】
調製物58
(3S,4S)−3−アミノ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
n−ブタノール(225mL)中の(3S,4S)−3−ベンジルアミノ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.054mol、16.0g)の溶液に、10% Pd/C(5.0g)を加え、混合物を50psiで10時間水素化する。珪藻土の栓を通して反応混合物を濾過し、エタノールで洗浄する。濾液を蒸発させて、白色固体として標題の化合物を得る(11.10g、99%)。APCI MS m/z 203[M+H];[α]23+7.8°(c,0.50,MeOH).
【0142】
調製物59
(3S,4S)−3−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
酢酸エチル(300mL)中の1−ブロモ−4−フルオロ−3−ニトロベンゼン(0.125mol、26.0g)の溶液に、(3S,4S)−3−ベンジルアミノ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.113mol、23.0g)およびトリエチルアミン(0.339mol、35.0g)を加え、14時間還流させ、室温まで冷却し、水および塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を蒸発させ、フラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、黄色固体として標題の化合物を得る(43.0g、90%)。APCI MS m/z 403[M+H]
【0143】
調製物60
(3R,4R)−3−ベンジルアミノ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル,(−)−マンデル酸塩
アセトニトリル(200mL)および水(5mL)中で、ラセミトランス−3−ベンジルアミノ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.085mol、25.0g)および(−)−マンデル酸(0.094mol、14.45g、1.1当量)を、70℃で1時間混合する。4時間かけて室温まで冷却する。生じた結晶性の沈殿物を濾過によって回収し、アセトニトリルで洗浄し、アセトニトリル/水(20:1)から再結晶化して、白色の結晶性固体として(_)−マンデル酸塩を得る(34.0g、88%)。H NMR(500MHz,CDCl) α 7.19−7.44(m,8H);5.05(br s,2H),4.97(s,1H),3.95−4.02(m,1H),3.73(s,2H),3.28−3.50(m,4H),2.95−3.18(m,3H),1.39(s,9H);[α]23−58.0°(c 0.50,MeOH).
【0144】
調製物61
(3R,4R)−3−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
標題の化合物を、(3R,4R)−3−ベンジルアミノ−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(−)−マンデル酸塩から開始して、調製物58、59、および60において記載される手順に本質的に従うことによって調製する。
【0145】
調製物62
(3S,4R)−tert−ブチル 3−(4−ブロモ−2−ニトロフェニルアミノ)−4−(2−クロロアセトキシ)ピロリジン−1−カルボン酸塩
テトラヒドロフラン(40mL)中の(3S,4S)−tert−ブチル 3−(4−ブロモ−2−ニトロフェニルアミノ)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸塩(2.50mmol、1.0g)、クロロ酢酸(3.0mmol、300mg)、およびトリフェニルホスフィン(3.0mmol、850mg)の混合物に、ジエチルアゾジカルボン酸(3.0mmol、600mg)を加え、室温で12時間撹拌する。溶媒を除去し、酢酸エチル(50mL)を残留物に加えて、水および塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させる。残留物を、塩化メチレン中の20%酢酸エチルで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色固体として標題の化合物を得る(1.10g、98%)。H NMR(500MHz,CDCl) δ 8.35(s,1H),8.20(m,1H),7.60(m,1H),6.82(m,1H),5.55(d,J=6.8Hz,1H),4.32(m,1H),4.13(bd,J=8.2Hz,2H),3.90(m,1H),3.79(m,1H),3.74(dd,J=4.2,10.4Hz,1H),3.25(t,J=7.20Hz,1H),1.41(s,9H).
【0146】
調製物63
(3S,4R)−tert−ブチル 3−(4−ブロモ−2−ニトロフェニルアミノ)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸塩
メタノール中の(3S,4R)−tert−ブチル 3−(4−ブロモ−2−ニトロフェニルアミノ)−4−(2−クロロアセトキシ)ピロリジン−1−カルボン酸塩(2.20mmol、1.0g)の溶液に、2.0M含水水酸化リチウム(5mL)を加え、室温で3.5時間撹拌する。溶媒を除去し、残留物を酢酸エチル(50mL)で希釈し、水および塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させる。塩化メチレン中の50%酢酸エチルで溶出するカラムクロマトグラフィーによって精製して、黄色固体として標題の化合物を得る(900mg,98%)。APCI MS m/z 462[M+H]
【0147】
調製物64
(3R,4S)−tert−ブチル 3−(4−ブロモ−2−ニトロフェニルアミノ)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸塩
標題の化合物を、(3R,4R)−tert−ブチル 3−(4−ブロモ−2−ニトロフェニルアミノ)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸塩から開始して、調製物62および63に記載される手順に本質的に従うことによって調製する。
【0148】
調製物65
(3S,4S)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピロリジン−3−オール、塩酸塩
酢酸エチル(500mL)中の(3S,4S)−3−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−4−ヒドロキシ−ピロリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.106mol、43.0g)の懸濁液に、0℃で、無水塩化水素ガスを10分間バブリングし、室温で1時間撹拌する。溶媒を除去し、得られた固体を真空下で乾燥して、黄色固体として標題の化合物を得る(35.0g、98%)。APCI MS m/z 302[M+H]
【0149】
調製物66
(3S,4S)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−1−メチル−ピロリジン−3−オール
【化30】

アセトニトリル中の(3S,4S)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピロリジン−3−オール塩酸塩(0.104mol、35.0g)に、トリアセトキシホウ化水素ナトリウム(0.37mol、78.0g)を0℃で加える。この混合物に、37%含水ホルムアルデヒド(30mL)を10分間にわたってゆっくりと加え、室温で10時間撹拌する。飽和重炭酸ナトリウム水溶液を添加し、1時間撹拌する。酢酸エチルで抽出し、水および塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発させて、黄色固体として標題の化合物を得る(34.0g、98%)。APCI MS m/z 302[M+H];[α]23+58.6°(c,0.50,MeOH).
【0150】
以下の表中の中間体を、調製物65および66に記載される手順に本質的に従うことによって調製する。適切なtert−ブチル 3−(4−ブロモ−2−ニトロフェニルアミノ)−4−ヒドロキシピロリジン−1−カルボン酸塩を、無水HClガスで10分間〜30分間処理し、次いで、1時間〜4時間撹拌する。生じた脱保護されたピロリジンを、ホルムアルデヒドで15分間〜10時間処理する。
【0151】
【表7】

【0152】
調製物70
4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
水素化ホウ素ナトリウム(0.82mol、31.3g)を、ジクロロメタン(1L)中の1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ピペリドン(0.74mol、150g)およびトリエチルアミン(1.5mol、151.6g)の溶液に、0℃で徐々に加える。添加が完了すると、反応混合物を室温まで温め、4時間撹拌する。反応混合物を、飽和塩化アンモニウム溶液でクエンチし、エタノールを減圧下で除去する。残留物を水中に溶解させ、ジクロロメタンで抽出する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、粘性固体として標題の化合物を得る(150g、99%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.45(s,9H),1.53(d,2H),1.83−1.87(m,2H),3.02(dt,2H),3.8−3.85(m,3H).
【0153】
調製物71
4−メタンスルホニルオキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
塩化メタンスルホニル(1.12mol、128.8g)を、ジクロロメタン(1L)中の4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.74mol、150g)およびトリエチルアミン(1.5mol、151.6g)の溶液に、0℃で、滴下して加える。添加が完了すると、反応混合物を室温まで温め、16時間撹拌する。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム溶液および水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、褐色固体として標題の化合物を得る(192g、92%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.45(s,9H),1.78−1.85(m,2H),1.93−1.98(m,2H),3.03(s,3H),3.26−3.32(m,2H),3.68−3.71(m,2H),4.85−4.90(m 1H).
【0154】
調製物72
3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
DBU(400mL)中の4−メタンスルホニルオキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.69mol、193g)の溶液を、80℃で16時間加熱する。反応混合物を水で希釈し、ジエチルエーテルで抽出し、有機層を1N塩酸および飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、褐色油として標題の化合物を得る(116g、92%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.46(s,9H),2.12(br s,2H),3.47(t,2H),3.87(s,2H),5.65(br s,1H),5.81(br s,1H).
【0155】
調製物73
Rac シス−7−オキサ−3−アザ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸 tert−ブチルエステル
ジクロロメタン(200mL)中のm−クロロペルオキシ安息香酸(0.77mol、133.1g)の溶液を、ジクロロメタン(1L)中の3,6−ジヒドロ−2H−ピリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.64mol、117.8g)の溶液に、0℃で、滴下して加える。添加が完了すると、反応混合物を室温まで温め、16時間撹拌する。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、4N水酸化ナトリウム溶液、水、および塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、淡黄色油として標題の化合物を得る(112g、87%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.44(s,9H),1.87−1.93(m s,1H),2.04(br s,1H),3.11(br s,1H),3.20(br s,1H),3.28(s,1H),3.44(br s,1H),3.68(br s 1H).3.81−3.92(m,1H).ES−MS m/z 204[M+H]
【0156】
調製物74
Rac トランス−4−アジド−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
ラセミトランス−7−オキサ−3−アザ−ビシクロ[4.1.0]ヘプタン−3−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.56mol、112g)、アジ化ナトリウム(1.12mol、73.08g)、塩化アンモニウム(0.56mol、30.07g)、およびメタノール/水(3:1)(1L)の混合物を、65℃で16時間加熱する。反応混合物を水で希釈し、ジクロロメタンで抽出し、有機層を飽和重炭酸ナトリウムと塩水の溶液で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮する。残留物を、溶離剤としてヘキサン中の6%酢酸エチルを使用するシリカゲルカラム上で精製して、淡黄色油として標題の化合物を得る(42.3g、42%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.48(s,9H),1.84(br s 1H),1.97−2.01(m,1H),2.74−2.82(m,1H),2.88(br s,1H),3.37−3.40(m,1H),3.50(br s,1H),3.91(br s,1H),4.09(dd,1H).ES−MS m/z 143[M−Boc]
【0157】
調製物75
Rac トランス−4−アミノ−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
ラセミトランス−4−アジド−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.23mol、56.6g)をメタノール(500mL)中に溶解させ、10%パラジウム炭素(12.0g)を加え、室温で16時間水素化(1気圧)する。珪藻土の栓を通して結晶を濾別し、濾液を濃縮して、粘性の、淡黄色油として標題の化合物を得る(53.7g、99%)。
【0158】
調製物76
Rac トランス−4−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
ベンズアルデヒド(0.24mol、26.3g)を、エタノール(400mL)中のラセミトランス−4−アミノ−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.24mol、53.7g)および酢酸(92mL)の溶液に加え、反応混合物を室温で30分間撹拌する。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.49mol、31.2g)を加え、反応混合物を3時間撹拌する。反応混合物を重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮する。残留物を最少量のジクロロメタンに溶解させ、0.1N含水塩酸を加えて、pHを4〜5に維持する。有機層を捨てる。酸性水層をジクロロメタンで3回洗浄し、有機層を捨てる。水層のpHを10〜12に調節し、ジクロロメタンで抽出する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、淡黄色油として標題の化合物を得る(35.7g、46%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.35−1.40(m,2H),1.45(s,9H),2.05(br s 1H),2.43(t,1H),2.57(t,1H),2.69(br s,1H),3.27(br s,1H),3.70(d,1H),3.94(d,1H),4.15(br s,1H),4.26(d,1H),7.23−7.29(m,1H),7.30−7.32(m,2H),7.33−7.36(m,2H).
【0159】
調製物77
(3R,4R)−4−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシ−4−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル,L−(+)−酒石酸塩
ラセミトランス−4−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.11mol、35.0g)、およびL−(+)−酒石酸(0.12mol、18.9g、1.2当量)、およびアセトニトリル/水(20:1)(175mL)の混合物を、75℃で4時間加熱する。反応混合物を減圧下で濃縮して、酒石酸塩(53.0g)を得る。残留物をアセトニトリルから3回結晶化する。結晶を濾過し、真空下で乾燥して、標題の化合物を得る(18.3g、67%)。HPLC(カラム:Chiralcel OD−H(250mm4.6mm);溶媒系:ヘキサン中のイソプロパノール/0.1%トリエチルアミン(8:92);流速:0.800ml/分;波長:258nm):99.9% ee。t 9.502分。逆鏡像異性体((3S,4S)−3−ヒドロキシ−4−フェネチル−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル.L−(−)−酒石酸塩)についてのt 8.714分。
【0160】
調製物78
(3R,4R)−4−アミノ−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
(3R,4R)−4−ベンジル−3−ヒドロキシ−4−フェネチル−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル,L−(+)−酒石酸塩(0.04mol、18.3g)を、4%炭酸カリウム溶液(500mL)中に溶解させ、30分間撹拌する。遊離アミンをジクロロメタンで抽出する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、遊離アミンを得る(11.3g、92%)。そのアミンをメタノール(110mL)中に溶解させ、10%パラジウム炭素(2.5g)を加え、室温で16時間水素化(1気圧)する。結晶を珪藻土の栓を通して濾過し、濾液を濃縮して、粘性の淡黄色油として標題の化合物を得る(7.6g、95%)。[α]26.1+2.141(c 1.0,メタノール)。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ 1.08(dq,1H),1.38(s,9H),1.67(dd,1H),1.80(br s,1H),2.37−2.45(m,2H),2.67(br s,1H),2.90(br s,1H),3.79(br s,1H),3.88(br s,1H),5.0(br s,1H).ES−MS m/z 217[M+H]
【0161】
調製物79
(3R,4R)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
酢酸エチル(180mL)中の(3R,4R)−4−アミノ−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.02mol、6.0g)、5−ブロモ−2−フルオロニトロベンゼン(0.03mol、6.71g)、およびトリエチルアミン(0.058mol、5.88mL)の混合物を加熱し、16時間還流させる。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、標題の化合物を得る(12.35g、粗製)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.46(s,9H),1.50−1.51(m,1H),2.08−2.12(m,1H),2.93(dd,1H),3.01(br s,1H),3.55−3.61(m,1H),3.62−3.68(m,1H),3.68(br s,1H),4.13−4.18(m,1H),6.97(d,1H),7.48(dd,1H),8.08(d,1H),8.30(d,1H).ES−MS m/z 316[M−Boc]
【0162】
調製物80
(3R,4R)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピペリジン−3−オール、塩酸塩
ジオキサン(70mL)中の4.0M塩化水素を、乾燥ジクロロメタン(40mL)中の(3R,4R)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.027mol、11.5g)の溶液に、室温でゆっくりと加え、16時間撹拌する。沈殿物を濾過し、真空下で乾燥して、黄色固体として標題の化合物を得る(8.68g、89%)。H NMR(400MHz,CDOD) δ 1.81−1.86(m,1H),2.39−2.44(m,1H),3.02−3.07(m,1H),3.18−3.26(m,1H),3.34−3.40(m,1H),3.45(dd,1H),3.87−3.91(m,2H),7.17(d,1H),7.61(dd,1H),8.28(d,1H).
【0163】
調製物81
(3R,4R)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−1−メチル−ピペリジン−3−オール
ホルムアルデヒド(20.5mL、37〜41%水溶液)を、水(42mL)中の(3R,4R)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピペリジン−3−オール、塩酸塩(0.0.024mol、8.68g)および酢酸(10.2mL)の溶液に加え、反応混合物を室温で30分間撹拌する。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.073mol、4.6g)を加え、反応混合物を3時間撹拌する。反応混合物を重炭酸ナトリウム溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、標題の化合物を得る(7.8g、97%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.63−1.71(m,1H),2.16−2.21(m,2H),2.33(s,3H),2.35−2.38(m,1H),2.60(br s,1H),2.80(d,1H),3.54−3.56(m,1H),3.75−3.79(m,1H),6.92(d,1H),7.48(dd,1H),8.14(d,1H),8.30(d,1H).
【0164】
調製物82
(3S,4S)−4−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシ−4−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル,D−(−)−酒石酸塩
調製物77の母液を濃縮して、エナンチオ富化した(3S,4S)−3−ヒドロキシ−4−フェネチル−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル L−(+)−酒石酸塩(0.0377mol、17.2g)を得る。4%含水炭酸カリウム溶液(500mL)を加え、30分間撹拌する。遊離アミンをジクロロメタンで抽出する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、遊離アミンを得る(11.0g)。アセトニトリル/水(20:1)(100mL)中の4−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.0361mol、11.0g)およびD−(−)−酒石酸(0.0397mol、5.97g、1.1当量)の混合物を、75℃で4時間加熱する。反応混合物を減圧下で濃縮し、粗酒石酸塩を得る。残留物をアセトニトリルから3回結晶化する。結晶を濾過し、真空下で乾燥して、標題の化合物を得る(14.8g、90%)。HPLC(カラム:Chiralcel OD−H(250mm4.6mm);溶媒系:ヘキサン中のイソプロパノール/0.1%トリエチルアミン(8:92);流速:0.800ml/分;波長:258nm):96.4% ee。t 8.714分。逆鏡像異性体((3R,4R)−3−ヒドロキシ−4−フェネチル−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル.L−(+)−酒石酸塩)についてのt 9.502分。
【0165】
調製物83
(3S,4S)−4−アミノ−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
(3S,4S)−4−ベンジルアミノ−3−ヒドロキシ−4−フェネチル−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル,D−(−)−酒石酸塩(0.036mol、16.4g)を、4%炭酸カリウム水溶液(500mL)中に溶解させ、30分間撹拌する。ジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、遊離アミンを得る(11.0g、99%)。そのアミンをメタノール(110mL)中に溶解させ、10%パラジウム炭素(5.5g)を加え、室温で2時間水素化(50psi)する。結晶を、珪藻土を通して濾別し、濃縮して、粘性の淡黄色油として標題の化合物を得る(7.7g、99%)。
【0166】
調製物84
(3S,4S)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル
酢酸エチル(250mL)中の(3S,4S)−4−アミノ−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.035mol、7.5g)、5−ブロモ−2−フルオロニトロベンゼン(0.038mol、8.48g)、およびトリエチルアミン(0.073mol、7.44g)の混合物を加熱し、16時間還流させる。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、標題の化合物を得る(16.16g、粗製)。
【0167】
調製物85
(3S,4S)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピペリジン−3−オール、塩酸塩
ジオキサン(90mL)中の4M塩化水素を、乾燥ジクロロメタン(50mL)中の(3S,4S)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−3−ヒドロキシ−ピペリジン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.035mol、14.6g)の溶液に室温でゆっくりと加え、16時間撹拌する。沈殿物を濾過し、真空下で乾燥して、黄色固体として標題の化合物を得る(9.84g、80%)。
【0168】
調製物86
(3S,4S)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−1−メチル−ピペリジン−3−オール
ホルムアルデヒド(24mL、37〜41%水溶液)を、水(46mL)中の(3S,4S)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−ピペリジン−3−オール、塩酸塩(0.028mol、9.8g)および酢酸(12mL)の溶液に加え、反応混合物を室温で30分間混合する。シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.083mol、5.26g)を加え、反応混合物を3時間撹拌する。反応混合物を重炭酸ナトリウムでクエンチし、ジクロロメタンで抽出する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、濃縮して、標題の化合物を得る(8.4g、92%)。H NMR(400MHz,CDCl) δ 1.63−1.71(m,1H),2.16−2.21(m,2H),2.33(s,3H),2.35−2.38(m,1H),2.60(br s,1H),2.80(d,1H),3.54−3.56(m,1H),3.75−3.79(m,1H),6.92(d,1H),7.48(dd,1H),8.14(d,1H),8.30(d,1H).
【0169】
調製物87
(R)−[4−((E)−3,8−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−2−ニトロ−フェニル]−(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−アミン
【化31】

ジオキサン/水(3:1)(450mL)中の(R)−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)−(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−アミン(0.037mol、12.8g)、(E)−3,8−ジフルオロ−11−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イルメチレン)−6,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,e]オキセピン(0.037mol、13.7g)、トリフェニルホスフィン(0.007mol、2.02g)、および酢酸カリウム(0.074mol、7.29g)の混合物を、窒素で3回脱気する。反応混合物に酢酸パラジウム(II)(0.001mol)を加え、再び窒素で3回脱気する。生じた反応混合物を、85℃で16時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせ、水および塩水で洗浄する。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。溶離剤としてヘキサン中の7%酢酸エチルを使用するシリカゲルカラム上で精製して、橙色固体として標題の化合物を得る(9.1g、48%)。H NMR(400MHz,CDCl), δ 1.26(d,3H),2.44−2.57(m,6H),3.66−3.68(m,4H),3.71−3.78(m,1H),4.89(br s,1H),5.63(br s,1H),6.52(dd,1H),6.61(d,1H),6.67(dt,1H),6.76(s,1H),6.89(d,1H),6.95(dt,1H),7.06−7.10(m,1H),7.19(dd,1H),7.29−7.41(m,1H),7.95(d,1H),8.35(d,1H,−NH).
【0170】
実施例1
(E)−N−((R)−5−((E)−3,8−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−シアナミド
【化32】

(R)−[4−((E)−3,8−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−2−ニトロ−フェニル]−(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−アミン(0.017mol、9.0g)を、テトラヒドロフラン(35mL)およびイソプロパノール(90mL)中に溶解させる。トリエチルアミン(0.039mol、3.9)および10%白金炭素(1.5g)を加え、50psi(H)のパール・シェーカー装置を用いて室温で2時間水素化する。結晶を珪藻土の栓を通して濾別する。濾液をジオキサン(35mL)で希釈し、ジフェニルN−シアノカーボンイミダート(0.019mol、4.61g)を加え、室温で48時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮する。溶離剤としてジクロロメタン中の0.5%メタノールを使用するシリカゲルカラム上で精製して、オフホワイト固体として標題の化合物を得る(6.0g、64%)。LC−MS m/z 528.2[M+H]
【0171】
以下の表中の実施例を、適切な臭化フェニルおよび適切なビニルジオキサボロランを使用して、本質的に調製物87および実施例1に記載される方法で調製する。
【0172】
【表8】

【0173】
【表9】

【0174】
調製物88
[4−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−2−ニトロ−フェニル]−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−アミン
【化33】

ジオキサン/水(3:1)(200mL)中の(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−アミン(0.016mol、5.0g)、(E)−3,7−ジフルオロ−11−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イルメチレン)−6,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,e]オキセピン(0.017mol、6.4g)、トリフェニルホスフィン(0.0028mol、0.74g)、および酢酸カリウム(0.0317mol、3.11g)の混合物を、窒素で3回脱気する。酢酸パラジウム(II)(0.5mmol、113mg)を反応混合物に加え、再度窒素で3回脱気する。生じた反応混合物を85℃で16時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却し、水で希釈する。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機層を合わせ、水および塩水で洗浄する。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮する。メタノールから粗製物質を結晶化し、濾過し、真空下で乾燥して、橙色固体として標題の化合物を得る(4.2g、55%)。ES−MS m/z 479[M+1]
【0175】
実施例7
(E)−N−(5−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−シアナミド
【化34】

[4−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−2−ニトロ−フェニル]−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−アミン(0.008mol、3.96g)を、テトラヒドロフラン(150mL)中に溶解させる。トリエチルアミン(0.018mol、1.84g)および10%白金炭素(1.3g)を加え、50psi(H)のパール・シェーカー装置を用いて室温で3時間水素化する。結晶を珪藻土の栓を通して濾別し、ピリジン(150mL)およびジフェニルN−シアノカーボンイミダート(0.009mol、2.17g)を加える。室温で16時間撹拌し、次いで、70℃で8時間加熱する。反応混合物を減圧下で濃縮する。溶離剤としてヘキサン中の60%アセトンを使用するシリカゲルカラム上で精製して、オフホワイト固体として標題の化合物を得る(1.8g、43%)。LC−MS m/z 499.2[M+H]
【0176】
以下の表中の実施例を、適切な臭化フェニルおよび適切なビニルジオキサボロランを使用して、調製物88および実施例7に本質的に記載されるように調製する。
【0177】
【表10】

【0178】
実施例10
5−((E)−3,8−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン−シアナミド
【化35】

標題の化合物を、(E)−N−(5−((E)−3,8−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−シアナミド(実施例9)の最終精製中の副生成物として単離する。LC−MS m/z 401.3[M+H]
【0179】
調製物89
[4−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−2−ニトロ−フェニル]−(1−メチル−アゼチジン−3−イル)−アミン
【化36】

密閉した試験管中で、メタノール(1.0mL)/テトラヒドロフラン(3.0mL)(1:3 溶媒比)中の(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)−(1−メチル−アゼチジン−3−イル)−アミン(709μmol、203mg)、(E)−3,7−ジフルオロ−11−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イルメチレン)−6,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,e]オキセピン(723μmol、268mg)の混合物を、窒素で5分間パージする。ナトリウムメトキシド(1.42mmol、77mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(35μmol、41mg)を加え、70℃で一晩加熱する。酢酸エチルで希釈し、10%重炭酸ナトリウムで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空で濃縮して、377mgの橙色油の残留物を得る。ジクロロメタン中の5%メタノールで溶離する12gのシリカゲルカラム上で精製して、標題の化合物を得る(199mg,62%)。LC−MS m/z 450.0[M+H]
【0180】
実施例11
(E)−N−(5−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−(1−メチル−アゼチジン−3−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−シアナミド
【化37】

[4−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−2−ニトロ−フェニル]−(1−メチル−アゼチジン−3−イル)−アミン(4.23mmol、1.90g)、トリエチルアミン(9.31mmol、1.30mL)を、テトラヒドロフラン(20mL)中に溶解させ、5%白金炭素(200mg)を加え、35℃で1時間水素化(50psi)する。結晶を濾別し、ピリジン(20mL)でリンスし、ジフェニルN−シアノカーボンイミダート(4.65mmol、1.11g)を加え、窒素下で室温で一晩撹拌する。酢酸エチルで希釈し、5%含水重炭酸ナトリウムで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空で濃縮して、およそ3gの橙色油を得る。ジクロロメタン中の5%メタノールで溶離する80gのシリカゲルカラム上で精製して、約930mgの黄色半固体を得る。最少量のメタノール中に溶解させ、静置する。白色固体が形成される。30分後、その固体を濾別し、メタノールでリンスして、白色固体として標題の化合物を得る(815mg,41%)。LC−MS m/z 470.2[M+H]
【0181】
以下の表中の実施例を、適切な臭化フェニルおよび適切なビニルジオキサボロランを使用して、本質的に調製物89および実施例11に記載される方法で調製する。
【0182】
【表11】

【0183】
調製物90
[4−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−2−ニトロ−フェニル]−((7S,8aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−7−イル)−アミン
【化38】

テトラヒドロフラン/メタノール(3:1)(120mL)中の(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニル)−((7S,8aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−7−イル)−アミン(0.011mol、4.0g)、(E)−3,7−ジフルオロ−11−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イルメチレン)−6,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,e]オキセピン(0.012mol、4.76g)、トリフェニルホスフィン(0.0031mol、0.8g)、およびナトリウムメトキシド(0.03mol、1.6g)の混合物を、窒素で3回脱気する。酢酸パラジウム(II)(1.0mmol、240mg)を反応混合物に加え、再度窒素で3回脱気する。反応混合物を70℃で4時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却し、珪藻土の栓を通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して標題の化合物を得る(5.0g、粗製)。
【0184】
実施例14
(E)−N−(5−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((7S,8aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−7−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−シアナミド
【化39】

[4−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−2−ニトロ−フェニル]−((7S,8aS)−ヘキサヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−7−イル)−アミン(0.009mol、5.0g)を、テトラヒドロフラン(40mL)中に溶解させる。トリエチルアミン(0.009mol、0.9g)および10%白金炭素(1.0g)を加え、50psi(H)のパール・シェーカー装置を用いて室温で3時間水素化する。結晶を珪藻土の栓を通して濾別し、ピリジン(400mL)およびジフェニルN−シアノカーボンイミダート(0.009mol、2.35g)を濾液に加える。室温で16時間撹拌し、次いで、60℃〜70℃で8時間加熱する。減圧下で溶媒を除去する。生じた残留物をジクロロメタンに溶解し、水および飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。溶離剤としてジクロロメタン中の1%メタノールを使用するシリカゲルカラム上で精製して、標題の化合物を得る(1.9g、36%)。LC−MS m/z 526.4[M+H]
【0185】
以下の表中の実施例を、適切な臭化フェニルおよび適切なビニルジオキサボロランを使用し、約70℃で4時間〜16時間加熱して、本質的に調製物90および実施例14に記載される方法で調製する。
【0186】
【表12】

【0187】
【表13】

【0188】
【表14】

【0189】
【表15】

【0190】
調製物91
(3S,4S)−4−(4−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−2−ニトロフェニルアミノ)−1−メチルピロリジン−3−オール
【化40】

110mLのジオキサン:水(3:1)中で、(3S,4S)−4−(4−ブロモ−2−ニトロフェニルアミノ)−1−メチルピロリジン−3−オール(17.6mmol、5.55g)、(E)−2−((3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(16.0mmol、5.62g)、トリフェニルホスフィン(2.87mmol、0.75g)、およびKCO(44.7mmol、6.18g)を合わせる。窒素で5分間バブリングすることによって混合物を脱気し、酢酸パラジウム(II)(0.48mmol、322mg)を加え、窒素下で3.5時間、82℃で加熱する。室温まで冷却し、水およびジクロロメタンで希釈し、次いで、珪藻土のパッドを通過させる。相を分離し、水相をジクロロメタンで2回抽出する。有機相を合わせ、塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を真空で除去する。4:1のCHCl/MeOH中に溶解させ、同じ溶媒を使用してシリカの栓を通過させる。濾液を濃縮し、メタノールで粉砕する。生じた固体を濾過によって回収して、赤色固体として標題の化合物を得る(4.12g、56%):H NMR(300MHz,CDCl) δ 2.23(dd,J=9.9,5.6Hz,1H),2.38(s,3H),2.28−2.26(m,1H),2.70(d,J=3.5Hz,2H),3.36(dd,J=9.8,7.1Hz,1H),3.91−3.87(m,1H),4.01(br s,1H),5.00−4.80(m,1H),5.70−5.50(m,1H),6.52(dd,J=10.3,2.6Hz,1H),6.68−6.64(m,1H),6.78−6.75(m,2H),7.01(d,J=7.7Hz,1H),7.08(d,J=7.5Hz,1H),7.24−7.22(m,1H),7.35(dt,J=7.5,1.2Hz,1H),7.42(dd,J=8.7,6.6Hz,1H),7.47(d,J=7.4Hz,1H),7.94(s,1H),8.00(d,J=6.2Hz,1H).
【0191】
実施例26
(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミド
【化41】

イソプロパノール(85mL)およびトリエチルアミン(9.3mmol、1.30mL)中の(3S,4S)−4−(4−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−2−ニトロフェニルアミノ)−1−メチルピロリジン−3−オール(3.10mmol、1.43g)の溶液に、5%Pt/C(420mg)を加え、50psiで1.5時間水素化する。珪藻土の栓を通して濾過し、イソプロパノール(50mL)で洗浄する。ジフェニルシアノカーボンイミダート(3.1mmol、0.74g)を加え、室温で一晩撹拌し、次いで、加熱して3時間還流させる。溶媒を除去し、残留物を、塩化メチレン中の0%〜20%メタノールの勾配で溶離するカラムクロマトグラフィーによって精製して、淡褐色固体として標題の化合物を得る(955mg、57%)。[α]23+13.8(c 0.17,CHOH);ESI MS m/z 482[M+H]
【0192】
以下の表中の実施例を、適切な臭化フェニルおよび適切なビニルジオキサボロランを使用し、約80℃〜85℃で3時間〜16時間加熱して、本質的に調製物91および実施例26に記載される方法で調製する。5%または10%の白金炭素またはパラジウム炭素を、還元のために約1〜4時間使用する。
【0193】
【表16】

【0194】
【表17】

Suzukiカップリング反応において酢酸カリウムを使用する。
【0195】
実施例32
(E)−N−(5−((E)−3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチル−1−オキシ−ピロリジン−3−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−シアナミド
【化42】

ジクロロメタン(10mL)中の(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミド(0.27mmol、130mg)の溶液に、m−クロロペルオキシ安息香酸(0.43mmol、93mg)を加え、室温で一晩撹拌する。その溶液をシリカ上に充填し、ジクロロメタン中の0%〜20%メタノールで溶離するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、標題の化合物を得る(135mg,100%)。LC−MS m/z 498.2[M+H]
【0196】
実施例33
(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミド、マレイン酸塩
【化43】

アセトニトリル(60mL)中の(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミド(7.10mmol、3.42g)を、50℃で30分間加熱し、(Z)−2−ブテン二酸(7.10mmol、837mg)を一度に加える。数分後、懸濁液は均質になり、次いで、沈殿物が形成し始める。生じた懸濁液を室温まで冷却する。固体を濾過によって回収し、アセトニトリル(50mL)で洗浄し、真空オーブン中で50℃で2時間乾燥して、標題の化合物を得る(4.1g、97%)。LC−MS m/z 488.2[M+H]H NMR(400MHz,DMSO−d):2.80(s,3H),3.77−3.72(m,8H),4.66−4.63(m,1H),4.96−4.91(m,1H),5.16−5.10(m,1H),5.72−5.67(m,1H),5.89−5.82(m,1H),6.00(s,2H),6.59(dd,J=2.6,10.5Hz,1H),6.80−6.76(m,1H),6.86(s,1H),6.94−6.90(m,2H),7.02(s,1H),7.22(td,J=7.5,1.3Hz,1H),7.30(d,J=8.8Hz,1H),7.36(td,J=7.5,1.3Hz,1H),7.61−7.57(m,2H).
【0197】
代替的手順:
(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミド(145mg)を、アセトニトリル(5mL)中に溶解させ、50℃まで加熱し、濁った溶液を得る。THF(300μL)中に2−ブテン二酸(35mg)を溶解させ、アセトニトリルにゆっくりと加えて、透明の溶液を得る。撹拌しながら溶液を室温まで冷却して、沈殿物を得る。溶液を一晩撹拌し続ける。生じた固体を素早く濾過して、真空下、40℃で2時間乾燥する。その後のTGA(熱重量分析)サーモグラムで残留アセトニトリルを観察し、その物質をさらに一晩乾燥する。
【0198】
調製物92
(3R,4R)−4−[4−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−2−ニトロ−フェニルアミノ]−1−メチル−ピペリジン−3−オール
【化44】

テトラヒドロフラン/メタノール(3:1)(150mL)中の(3R,4R)−4−(4−ブロモ−2−ニトロ−フェニルアミノ)−1−メチル−ピペリジン−3−オール(0.009mol、3.0g)、(E)−3,8−ジフルオロ−11−(4,4,5,5−テトラメチル[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イルメチレン)−6,11−ジヒドロ−ジベンゾ[b,e]オキセピン(0.01mol、3.7g、1.1当量)、トリフェニルホスフィン(0.002mol、0.61g)、およびナトリウムメトキシド(0.02mol、1.2g)の混合物を、窒素で3回脱気する。反応混合物に酢酸パラジウム(II)(0.8mmol、183mg)を加え、再び窒素で3回脱気する。反応混合物を70℃で16時間加熱する。反応混合物を室温まで冷却し、珪藻土の栓を通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、標題の化合物を得る(6.6g、粗製)。
【0199】
実施例34
(E)−N−(5−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((3R,4R)−3−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−シアナミド
【化45】

(3R,4R)−4−[4−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−2−ニトロ−フェニルアミノ]−1−メチル−ピペリジン−3−オール(0.009mol、4.48g)を、テトラヒドロフラン(100mL)中に溶解させる。トリエチルアミン(0.018mol、1.83g)および10%白金炭素(2.2g)を加え、50psi(H)のパール・シェーカー装置を用いて室温で4時間水素化する。結晶を珪藻土の栓を通して濾別する。ピリジン(100mL)およびジフェニルN−シアノカーボンイミダート(0.009mol、2.16g)を濾液に加える。室温で16時間撹拌し、次いで、60℃〜70℃で8時間加熱する。減圧下で溶媒を除去する。残留物をジクロロメタンに溶解し、水および飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。溶離剤としてジクロロメタン中の5%メタノールを使用するシリカゲルカラム上で精製して、オフホワイト固体として標題の化合物を得る(1.2g、26%)。H NMR(400MHz,DMSO−d) δ 1.66−1.8(m,1H),1.75−1.78(m,1H),1.87−1.90(m,1H),2.03(br s,1H),2.24(s,3H),2.81(br s,1H),2.96(br s,1H),3.99(br s,1H),4.31(br s,1H),5.09(s,1H),5.36(br s,1H),5.46(br s,1H),6.68(dd,1H),6.82−6.87(m,3H),6.99(d,1H),7.09(s,1H),7.26−7.35(m,3H),7.62(t,1H),12.49(br s,1H).
【0200】
実施例35
(E)−N−(5−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((3S,4S)−3−ヒドロキシ−1−メチル−ピペリジン−4−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−シアナミド
【化46】

4−[4−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−2−ニトロ−フェニルアミノ]−1−メチル−ピペリジン−3−オール(0.012mol、5.97g)を、テトラヒドロフラン(50mL)中に溶解させる。トリエチルアミン(0.024mol、2.44g)および10%白金炭素(2.9g)を加え、50psi(H)のパール・シェーカー装置を用いて室温で4時間水素化する。結晶を珪藻土の栓を通して濾別する。ピリジン(50mL)およびジフェニルN−シアノカーボンイミダート(0.012mol、2.88g)を濾液に加える。室温で16時間撹拌し、次いで、60℃〜70℃で8時間加熱する。溶媒を減圧下で除去し、残留物をジクロロメタンに溶解し、水および飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。溶離剤としてジクロロメタン中の5%メタノールを使用するシリカゲルカラム上で精製して、オフホワイト固体として標題の化合物を得る(1.7g、27%)。LC−MS m/z 514.4[M+H]
【0201】
以下の表中の実施例を、適切な臭化フェニルおよび適切なビニルジオキサボロランを使用し、約80℃〜85℃で3時間〜16時間加熱して、本質的に調製物92ならびに実施例34および35に記載される方法で調製する。5%または10%の白金炭素またはパラジウム炭素を、還元のために約1〜4時間使用する。
【0202】
【表18】

【0203】
【表19】

【0204】
実施例40
(E)−N−(5−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((R)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−尿素
【化47】

12M塩酸(10mL)をジオキサン(20mL)で希釈することによって、ジオキサン中の4M塩化水素の溶液を調製する。この溶液を、(E)−N−((R)−5−((E)−3,7−ジフルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−(1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−シアナミド(0.005mol、3.0g)に室温でゆっくりと加え、48時間撹拌する。反応混合物を、4N水酸化カリウム水溶液でクエンチし、ジクロロメタンで抽出し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄する。無水硫酸ナトリウムで有機層を乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。ジクロロメタン中の1%メタノールを使用するシリカゲルカラム上で精製して、オフホワイト固体として標題の化合物を得る(1.2g、38%)。H NMR(400MHz,DMSO−d)(E,Z)−N異性体の混合物。主異性体:δ 1.44(d,3H),2.23−2.26(m,2H),2.32−2.33(m 1H),2.63(dd,1H),2.77−2.82(m 1H),3.29−3.46(m,5H),4.77−4.82(m,1H),5.35−5.44(br d,2H),6.65(dd,1H),6.89(dt,3H),7.13(s 1H),7.1(s,1H),7.21−7.28(m,2H),7.31−7.42(m 1H),7.55−7.62(m,1H),9.95(s,1H)。副異性体:δ 1.30(d,3H,E,Z−異性体),2.23−2.26(m,2H),2.32−2.33(m 2H),2.88−3.0(m 1H),3.29−3.46(m,5H),4.80−4.99(m,1H),5.35−5.44(br d,2H),6.65(dd,1H),6.89(dt,3H),7.13(s 1H),7.1(s,1H),7.21−7.28(m,2H),7.31−7.42(m 1H),7.55−7.62(m,1H),9.95(s,1H).
【0205】
実施例41
(E)−N−(5−((E)−3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−尿素
【化48】

氷浴中で、トリフルオロ酢酸(30mL)および水(6.0当量、100mmol、1.81mL)の混合物に、(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミドマレイン酸塩(16.73mmol、10.00g)を加える。生じた懸濁液を室温まで温め、2時間撹拌する。その溶液を酢酸エチル(250mL)で希釈し、混合物を氷浴中で30分間冷却し、5N水酸化ナトリウムでpH=11まで処理する。有機層を塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮する。残留物を、酢酸エチル中の2.5%〜5%メタノールで溶離するカラムクロマトグラフィーによって精製して、白色固体を得る。真空オーブン中で40℃で一晩乾燥して、標題の化合物を得る(6.74g、81%)。LC−MS m/z 500.2[M+H]
【0206】
以下の実施例を、適切なシアノグアニジンを使用して、本質的に実施例40または41に記載される方法で調製する。
【0207】
【表20】

【0208】
【表21】

【0209】
【表22】

【0210】
【表23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物
【化1】


(式中、
およびRは、各々独立して、水素またはフルオロを表し;
Lは、−(CH−、−CH(CH)−CH−、または直接結合を表し;
は、水素または以下の式の基:
【化2】

を表し;そして、
は、−CNまたは−C(O)NHを表す)、
またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
が水素を表し、Rが水素またはフルオロを表す、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項3】
が水素またはフルオロを表し、Rが水素を表す、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項4】
およびRが各々独立して水素を表す、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項5】
Lが−CH(CH)−CH−または直接結合を表す、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項6】
が以下の式の基:
【化3】

を表す、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項7】
が−CNを表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項8】
が−C(O)NHを表す、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項9】
およびRが、各々独立して、水素またはフルオロを表し;
Lが、−CH(CH)−CH−または直接結合を表し;
が、水素または以下の式の基:
【化4】

を表し;そして
が、−CNまたは−C(O)NHを表す、
、請求項1に記載の化合物または塩。
【請求項10】
(E)−N−(5−((E)−3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−(1−メチル−アゼチジン−3−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−シアナミド;(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミド;(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミドマレイン酸塩;(E)−N−[5−((E)−3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチル−ピロリジン−3−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン]−尿素;(E)−N−(5−((E)−3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((R)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−尿素;および(E)−N−(5−((E)−3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((7S,8aR)−ヘキサヒドロ−ピロロ[2,1−c][1,4]オキサジン−7−イル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−尿素からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項11】
(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミドである請求項10に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
(E)−N−(5−((E)−(3−フルオロジベンゾ[b,e]オキセピン−11(6H)−イリデン)メチル)−1−((3S,4S)−4−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン−3−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2(3H)−イリデン)シアナミドマレイン酸塩である請求項10に記載の塩。
【請求項13】
(E)−N−(5−((E)−3−フルオロ−6H−ジベンゾ[b,e]オキセピン−11−イリデンメチル)−1−((R)−1−メチル−2−モルホリン−4−イル−エチル)−1,3−ジヒドロ−ベンゾイミダゾール−2−イリデン)−尿素である請求項10に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩。
【請求項14】
治療に使用するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載される化合物または塩。
【請求項15】
うっ血性心不全、糖尿病性腎症、慢性の腎疾患、高血圧症、低カリウム血症、心筋不整脈、バーター症候群、原発性または続発性の高アルドステロン症、またはコン症候群の処置における使用のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物または塩。
【請求項16】
うっ血性心不全、糖尿病性腎症、慢性の腎疾患、高血圧症、低カリウム血症、心筋不整脈、バーター症候群、原発性または続発性の高アルドステロン症、またはコン症候群を処置する方法であって、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物または塩の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む方法。
【請求項17】
うっ血性心不全、高血圧症、糖尿病性腎症、または慢性の腎疾患を処置するための、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
うっ血性心不全、糖尿病性腎症、慢性の腎疾患、高血圧症、低カリウム血症、心筋不整脈、バーター症候群、原発性または続発性の高アルドステロン症、またはコン症候群の処置のための薬物を製造するための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物または塩の使用。
【請求項19】
うっ血性心不全、高血圧症、糖尿病性腎症、または慢性の腎疾患の処置のための薬物を製造するための、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
1種以上の薬学的に許容され得るキャリア、希釈剤、または賦形剤と組み合わせて、請求項1〜13のいずれか1項に記載の化合物または塩を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2011−507868(P2011−507868A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539618(P2010−539618)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/085997
【国際公開番号】WO2009/085584
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】