説明

銀を含有する殺微生物剤組み合わせ

【課題】相乗作用抗微生物組成物を提供する。
【解決手段】組成物は、モノマーXおよびモノマーYの重合単位を含む、銀含有コポリマー(ここで、モノマーXは、N、OおよびSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を有する不飽和または芳香族複素環式基から選択される置換基を有するエチレン性不飽和化合物であり;モノマーYは、カルボン酸類、カルボン酸塩類、カルボン酸エステル類、有機硫酸類、有機硫酸塩類、スルホン酸類、スルホン酸塩類、ホスホン酸類、ホスホン酸塩類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド、少なくとも1つの環外エチレン性不飽和を含有するC−C20芳香族モノマーおよびその組み合わせから選択される);および少なくとも1種の有機殺生物剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀を含有する殺微生物剤組み合わせ、特に、有機殺生物剤と、銀イオンと複合体形成したポリマーとの組み合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
ビニルピリジン由来のモノマー単位を有する銀含有コポリマーが、日本国特開平11−222402号に開示されている。しかしながら、この文献は、このコポリマーと、他の殺生物剤との組み合わせを教唆していない。
【特許文献1】特開平11−222402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
少なくとも2種の抗微生物化合物の組み合わせの使用は、潜在市場を広げ、使用濃度およびコストを減少させ、廃棄物を減少させることができる。いくつかの場合において、市販の抗微生物化合物は、ある種の微生物、たとえば、ある抗微生物化合物に対して耐性である微生物に対する弱い活性のために、高い使用濃度でさえも微生物を有効に制御することができない。異なる抗微生物化合物の組み合わせは、特定の最終使用環境において微生物の全体的な制御をもたらすために使用される場合がある。本発明により取り扱われる問題は、抗微生物化合物のこのような相乗作用組み合わせを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、相乗作用殺微生物組成物に関する。当該組成物は:(a)モノマーXおよびモノマーYの重合単位を含む銀含有コポリマー(ここで、モノマーXは、N、OおよびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する不飽和または芳香族複素環式基から選択される置換基を有するエチレン性不飽和化合物であるか;あるいは置換基は、少なくとも1つのヘテロN原子を有する不飽和または芳香族複素環式基から選択される;およびモノマーYは、カルボン酸類、カルボン酸塩類、カルボン酸エステル類、有機硫酸類、有機硫酸塩類、スルホン酸類、スルホン酸塩類、ホスホン酸類、ホスホン酸塩類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類、少なくとも1つの環外エチレン性不飽和を含有するC−C20芳香族モノマー、およびその組み合わせから選択されるエチレン性不飽和化合物である);および(b)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、C12−C16アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジイソブチルフェノキシエトキシエチル ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、C−C15アルキルトリルメチル トリメチルアンモニウムクロリド、ベンズイソチアゾリン−3−オン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、グルタルアルデヒド、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートまたはその組み合わせを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「コポリマー」なる用語は、少なくとも2種の異なるモノマーから重合されたポリマーをいう。本明細書におけるパーセンテージは、特に他の記載がない限り重量基準である。モノマー単位パーセンテージは、コポリマーの合計重量基準である。
【0006】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる「水性」なる用語は、水ならびに、水および水混和性溶媒から実質的になる混合物を意味する。
【0007】
本明細書および添付の請求の範囲において用いられる場合、「(メタ)」なる用語と、その後に別の用語、たとえば、アクリル、アクリレート、アクリルアミドなどが続く用法は、たとえば、アクリルおよびメタクリル;アクリレートおよびメタクリレート;アクリルアミドおよびメタクリルアミドなどの両方を意味する。
【0008】
本発明のコポリマーおよび感圧接着剤配合物のガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量分析(DSC)により、熱流対温度遷移の中点をTg値とすることにより測定することができる。
【0009】
本発明のいくつかの実施態様において、コポリマーは少なくとも15重量%のモノマーX由来の単位を含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、コポリマーは少なくとも20重量%のモノマーX由来の単位を含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、コポリマーは少なくとも25重量%のモノマーX由来の単位を含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、コポリマーは少なくとも30重量%のモノマーX由来の単位を含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、コポリマーは少なくとも35重量%、あるいは少なくとも40重量%のモノマーX由来の単位を含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、コポリマーは60重量%以下、あるいは55重量%以下、あるいは50重量%以下のモノマーX由来の単位を含む。
【0010】
本発明のいくつかの実施態様において、モノマーXは、ビニルイミダゾール類、ビニルイミダゾリン類、ビニルピリジン類、ビニルピロール類、その誘導体およびその組み合わせから選択される。これらの実施態様のいくつかの態様において、モノマーXは、ビニルイミダゾール類、ビニルピリジン類、その誘導体およびその組み合わせから選択される。これらの実施態様のいくつかの態様において、モノマーXは、N−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンおよびその組み合わせから選択される。これらの実施態様のいくつかの態様において、モノマーXはN−ビニルイミダゾール(VI)である。
【0011】
本発明のいくつかの実施態様において、モノマーYは、カルボン酸類、カルボン酸塩類、カルボン酸エステル類、有機硫酸類、有機硫酸塩類、スルホン酸類、スルホン酸塩類、ホスホン酸類、ホスホン酸塩類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類、少なくとも1つの環外エチレン性不飽和を含有するC−C20芳香族モノマーおよびその組み合わせから選択される。これらの実施態様のいくつかの態様において、モノマーYは、カルボン酸類、カルボン酸エステル類(たとえば、アルキル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリルアミド類、少なくとも1つの環外エチレン性不飽和を含有するC−C20芳香族モノマーおよびその組み合わせから選択される。これらの実施態様のいくつかの態様において、モノマーYは、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンおよびその組み合わせから選択される。これらの実施態様のいくつかの態様において、モノマーYは、少なくとも1種のC−Cアルキル(メタ)アクリレート、またはn−ブチル(メタ)アクリレートを含むか、あるいはモノマーYはn−ブチルアクリレート(BA)およびアクリル酸を含む。
【0012】
本発明のいくつかの実施態様において、方法は、モノマーXおよびモノマーYの重合単位を含むコポリマーを使用し;ここで、コポリマーは、少なくとも15重量%のモノマーX由来の単位を含み;ここで、モノマーXは、ビニルイミダゾール類、ビニルイミダゾリン類、ビニルピリジン類、ビニルピロール類、その誘導体およびその組み合わせから選択され;モノマーYは、カルボン酸類、カルボン酸塩類、カルボン酸エステル類、有機硫酸類、有機硫酸塩類、スルホン酸類、スルホン酸塩類、ホスホン酸類、ホスホン酸塩類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類、少なくとも1つの環外エチレン性不飽和を含有するC−C20芳香族モノマー、およびその組み合わせから選択される;ただし、組成物は、エポキシド官能基を含有するエチレン性不飽和モノマー由来の単位を5重量%を超えて含まない。これらの実施態様のいくつかの態様において、コポリマーは、エポキシド官能基を含有するエチレン性不飽和モノマー由来の単位を1重量%を超えて含まない。これらの実施態様のいくつかの態様において、コポリマーは、エポキシド官能基を含有するエチレン性不飽和モノマー由来の単位を0.5重量%を超えて含まない。これらの実施態様のいくつかの態様において、コポリマーは、エポキシド官能基を含有するエチレン性不飽和モノマー由来の単位を0.1重量%を超えて含まない。これらの実施態様のいくつかの態様において、コポリマーは、エポキシド官能基を含有するエチレン性不飽和モノマー由来の単位を0.05重量%を超えて含まない。
【0013】
本発明のいくつかの実施態様において、コポリマーを含む組成物は少なくとも7のpHを有する。これらの実施態様のいくつかの態様において、組成物は7〜10のpHを有する。これらの実施態様のいくつかの態様において、組成物は少なくとも8のpHを有する。これらの実施態様のいくつかの態様において、組成物は8〜10のpHを有する。これらの実施態様のいくつかの態様において、組成物は少なくとも9のpHを有する。これらの実施態様のいくつかの態様において、組成物は9〜10のpHを有する。
【0014】
本発明のいくつかの実施態様において、コポリマーを含む組成物は少なくとも20重量%の固形分を含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、組成物は少なくとも25重量%の固形分を含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、組成物は少なくとも30重量%の固形分を含む。
【0015】
本発明のいくつかの実施態様において、組成物は35〜55重量%のモノマーX由来の重合単位および45〜65重量%のモノマーY由来の重合単位を含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、組成物は40〜50重量%のモノマーX由来の重合単位および50〜60重量%のモノマーY由来の重合単位を含む。
【0016】
本発明のいくつかの実施態様において、組成物は、クロスリンカー由来の重合単位を含む。本発明に関する使用に好適なクロスリンカーは、多エチレン性不飽和モノマーを含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、クロスリンカー由来の単位は、1,4−ブタンジオールジアクリレート;1,4−ブタンジオールジメタクリレート;1,6−ヘキサンジオールジアクリレート;1,1,1−トリメチロールプロパントリアクリレート;1,1,1−トリメチロールプロパントリメタクリレート;アリルメタクリレート;ジビニルベンゼン;およびN−アリルアクリルアミドから選択されるクロスリンカーから誘導される。これらの実施態様のいくつかの態様において、クロスリンカー由来の単位は、1,1,1−トリメチロールプロパントリメタアクリレートから選択されるクロスリンカーから誘導される。これらの実施態様のいくつかの態様において、組成物は、0.01〜10重量%(固体基準)のクロスリンカーを含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、組成物は0.01〜5重量%(固体基準)のクロスリンカーを含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、組成物は0.01〜1重量%(固体基準)のクロスリンカーを含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施態様において、コポリマーは、コポリマーおよび銀の合計重量基準で1.5重量%〜20重量%、あるいは2.5重量%〜15重量%、あるいは5重量%〜11.5重量%、あるいは6.5重量%〜8.5重量%の銀を含む。銀はAg(I)イオンの形態であって、典型的には硝酸銀の形態において導入される。コポリマーの調製法は、たとえば、米国特許出願公開番号US2005/0227895号においてすでに開示されている。
【0018】
本発明の一つの実施態様において、抗微生物組成物は、銀含有コポリマー;および4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(DCOIT)を含む。好ましくは、銀のDCOITに対する重量比は、1:0.014〜1:20、さらに好ましくは1:0.014〜1:15である。
【0019】
本発明の一つの実施態様において,抗微生物組成物は、銀含有コポリマー;および2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(OIT)を含む。好ましくは、銀のOITに対する重量比は1:0.039〜1:8360である。
【0020】
本発明の一つの実施態様において、抗微生物組成物は、銀含有コポリマー;ならびに5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMIT)および2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MIT)の3:1混合物を含む。好ましくは、銀のCMIT/MIT混合物に対する重量比は、1:0.039〜1:140である。
【0021】
本発明の1つの実施態様において、抗微生物組成物は、銀含有コポリマー;およびMITを含む。好ましくは、銀のMITに対する重量比は、1:39.2〜1:3020である。
【0022】
本発明の一つの実施態様において、抗微生物組成物は、銀含有コポリマー、およびC12−C16アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドを含む。好ましくは、銀のC12−C16アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドに対する重量比は、1:7.76〜1:1000、さらに好ましくは1:32〜1:980である。
【0023】
本発明の一つの実施態様において、抗微生物組成物は、銀含有コポリマー;およびジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリドを含む。好ましくは、銀のジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリドに対する重量比は、1:1.94〜1:576である。
【0024】
本発明の一つの実施態様において、抗微生物組成物は、銀含有コポリマー;およびC−C15アルキルトリルメチルトリメチルアンモニウムクロリドを含む。好ましくは、銀のC−C15アルキルトリルメチルトリメチルアンモニウムクロリドに対する重量比は、1:26〜1:6040である。
【0025】
本発明の一つの実施態様において、抗微生物組成物は、ベンズイソチアゾリン−3−オンおよび銀含有コポリマーを含む。好ましくは、ベンズイソチアゾリン−3−オンの銀に対する重量比は、1:0.0002〜1:1である。
【0026】
本発明の一つの実施態様において、抗微生物組成物は、過酸化水素および銀含有コポリマーを含む。好ましくは、過酸化水素の銀に対する重量比は、1:0.000005〜1:0.01である。
【0027】
本発明の一つの実施態様において、抗微生物組成物は次亜塩素酸ナトリウムおよび銀含有コポリマーを含む。好ましくは、次亜塩素酸ナトリウムの銀に対する重量比は、1:0.008〜1:200である。
【0028】
本発明の一つの実施態様において、抗微生物組成物はグルタルアルデヒドおよび銀含有コポリマーを含む。好ましくは、グルタルアルデヒドの銀に対する重量比は、1:0.00006〜1:0.047である。
【0029】
本発明の一つの実施態様において、抗微生物組成物は、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノールおよび銀含有コポリマーを含む。好ましくは、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノールの銀に対する重量比は、1:0.00011〜1:0.57である。
【0030】
本発明の一つの実施態様において、抗微生物組成物は、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートおよび銀含有コポリマーを含む。好ましくは、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートの銀に対する重量比は、1:0.000002〜1:80である。
【0031】
ある用途において、微生物の成長を阻害または制御するために必要な本発明の組成物の具体的な量は変化するであろう。典型的には、0.1から25000ppm(100万分の1)の本発明の活性成分(銀+組み合わせられた補助殺生物剤として)を提供するならば、本発明の組成物の量は、微生物の成長を制御するために十分である。組成物の活性成分が当該場所(locus)において、少なくとも0.1ppm、さらに好ましくは少なくとも5ppm、さらに好ましくは少なくとも50ppm、最も好ましくは少なくとも500ppmの量で存在するのが好ましい。本発明の一つの実施態様において、活性成分は、少なくとも2000ppmの量で存在する。組成物の活性成分が、当該場所において20000ppm以下、さらに好ましくは15000ppm以下、さらに好ましくは5000ppm以下の量で存在するのが好ましい。本発明の一つの実施態様において、活性成分は15000ppm以下、さらに好ましくは8000ppm以下、最も好ましくは3000ppm以下の量で存在する。
【0032】
本発明のいくつかの実施態様を以下の実施例において詳細に記載する。これらの実施例において試験される銀含有コポリマーは、ポリマーの重量基準で、45%のBAモノマー単位、45%のVIモノマー単位および10%のAAモノマー単位を含み、ポリマーおよび銀の合計重量基準で7.8%の銀イオンを含有する。銀含有ポリマーは、39%固形分、pH11で水中で処方された。
【0033】
本発明の組み合わせの相乗作用は、化合物の広範囲の濃度および比を試験することにより証明された。
【0034】
相乗作用の一つの測定方法は、Kull、F.C.;Eisman,P.C.;Sylwestrowicz、H.D.およびMayer,R.L.により、Applied Microbiology 9:538−541(1961)において記載されている工業的に承認された方法であって、式C/C+C/C=相乗作用指数(SI)により決定される比を使用する。式中:
【0035】
=単独で作用するときに終点をもたらす化合物A(第一成分)の濃度(化合物AのMIC)(ppm)
【0036】
=混合物において、終点をもたらす化合物Aの濃度(ppm)
【0037】
=単独で作用するときに終点をもたらす化合物B(第二成分)の濃度(化合物BのMIC)
【0038】
=混合物において、終点をもたらす化合物Bの濃度(ppm)
【0039】
/CおよびC/Cの合計が1より大きい場合、拮抗作用が示される。合計が1に等しい場合、相加作用が示され、1より小さい場合、相乗作用が示される。SIが小さいほど、特定の混合物により示される相乗作用は大きくなる。抗微生物化合物の最小阻止濃度(MIC)は、添加された微生物の成長を阻害する特定の条件の組み合わせの下で試験された最低濃度である。
【0040】
相乗作用試験は、試験微生物の最適成長のために設計された培地を用いた標準的マイクロタイタープレート分析を用いて行った。細菌を試験するために、大豆カゼイン消化ブロス(トリプシン大豆ブロス、TSB培地)または0.2%グルコースおよび0.1%酵母エキスを追加した最小塩培地(M9GY培地)を使用し;酵母およびカビを試験するために、ジャガイモデキストロースブロス(PDB培地)を使用した。この方法において、様々な濃度の殺生物剤の存在下で、高分解能MIC分析を行うことにより、広範囲に及ぶ微生物の組み合わせを試験した。高分解能MICは、様々な量の殺微生物剤をマイクロタイタープレートの1つのカラムに添加し、その後、自動液体ハンドリングシステムを使用して10倍希釈を行うことにより決定された。
【0041】
本発明の組み合わせの相乗作用は、4種の細菌、グラム陽性スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(S.aureus−ATCC#6538)およびグラム陰性シュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)(P.aeruginosa−ATCC#15442)、サルモネラ・コレラスイス(Salmonella choleraesuis)(S.choleraesuis−ATCC#10708)および大腸菌(Esherichia coli)(E.coli−ATCC#8739)、酵母、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans−ATCC10231)(C.albicans)、およびカビ、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)(A.niger−ATCC16404)に関して決定された。細菌は、約1〜6×10細菌/mLの濃度で使用され、酵母およびカビは約1〜5×10真菌/mLの濃度で使用された。これらの微生物は多くの家庭用および工業用途における天然の汚染物質の代表例である。プレートを微生物成長(濁度)について視覚的に評価し、25℃(酵母およびカビ)または30℃(細菌)で、様々なインキュベーション時間後のMICを決定した。
【0042】
本発明の殺微生物剤組み合わせの相乗作用を示す試験結果は、表において以下に示される。各表は、成分(a)および第二成分(b)の特定の組み合わせ;インキュベーション時間に関する試験された微生物に対する結果;成分(a)のMIC(C)、第二成分単独のMIC(C)、混合物のMIC(C)および混合物中の第二成分のMIC(C)により測定された終点活性(ppm);SIの計算値;および試験された各組み合わせについての相乗比の範囲(第一成分/第二成分またはa+b)を示す。次の実施例における銀−ポリマー複合体についての終点値は、活性銀イオン基準で記載されている。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
【表5】

【0048】
【表6】

【0049】
【表7】

【0050】
【表8】

【0051】
【表9】

【0052】
【表10】

【0053】
【表11】

【0054】
【表12】

【0055】
【表13】

【0056】
【表14】

【0057】
【表15】

【0058】
【表16】

【0059】
【表17】

【0060】
【表18】

【0061】
【表19】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
相乗作用殺微生物組成物であって:
(a)モノマーXおよびモノマーYの重合単位を含む銀含有コポリマー
(ここで、モノマーXは、N、OおよびSから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する不飽和または芳香族複素環式基から選択される置換基を有するエチレン性不飽和化合物であり;
モノマーYは、カルボン酸類、カルボン酸塩類、カルボン酸エステル類、有機硫酸類、有機硫酸塩類、スルホン酸類、スルホン酸塩類、ホスホン酸類、ホスホン酸塩類、ビニルエステル類、(メタ)アクリルアミド類、少なくとも1つの環外エチレン性不飽和を含有するC−C20芳香族モノマーおよびその組み合わせから選択されるエチレン性不飽和化合物である);および
(b)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、C12−C16アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジイソブチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、C−C15アルキルトリルメチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンズイソチアゾリン−3−オン、過酸化水素、次亜塩素酸ナトリウム、グルタルアルデヒド、5−クロロ−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)フェノール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメートまたはその組み合わせ:
を含む組成物。
【請求項2】
モノマーXがN−ビニルイミダゾールであり、モノマーYが少なくとも1種のアルキル(メタ)アクリレートを含む請求項1記載の組成物。
【請求項3】
コポリマーが、コポリマーおよび銀の合計重量基準で6.5重量%〜8.5重量%の銀を含む請求項2記載の組成物。
【請求項4】
コポリマーが、35〜55重量%のモノマーX由来の単位および45〜65重量%のモノマーY由来の単位を含む請求項3記載の組成物。
【請求項5】
モノマーYがn−ブチルアクリレートおよびアクリル酸を含む請求項4記載の組成物。

【公開番号】特開2008−120812(P2008−120812A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−294483(P2007−294483)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】