説明

銀コーティングおよび製造方法

やや難溶性の銀化合物を含有する銀組成物および該組成物を基材にコーティングする方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
創傷は、湿潤環境ではより効果的に治癒するが、細菌感染のリスクが増大する。細菌感染の治療に抗生物質を使用すると、細菌の耐性が生じる可能性がある。銀化合物は、表面に抗微生物効果を付与し、細菌の耐性を発現させるリスクが最小限であることが知られている。創床などの湿潤環境と接触しているとき、表面から銀イオンが徐放されることにより、銀が表面に送達される。
【0002】
硝酸銀およびスルファジアジン銀などの銀組成物は、様々な用途に使用される有効な抗微生物剤である。しかし、それらは、典型的には光安定性がなく、それらが接触する皮膚に染みを残し、硝酸銀の場合、水系環境中で迅速に減損する可能性がある。銀抗微生物剤を含有する創傷被覆材としては、米国特許第6,436,420号明細書に記載されているものなどの銀組成物でコーティングされたテキスタイル;米国特許第6,468,521号明細書に記載されているものなどの銀−アミン錯体で調製された親水コロイド;欧州特許第272149号明細書に記載されている創傷被覆材マトリックス中の塩化銀;および、米国特許出願公開第2003/0021832号明細書に記載されているアルギン酸銀創傷被覆材が挙げられる。
【0003】
酸化銀および精選した銀塩などのある一定の銀化合物は、安定性と抗微生物性を両方とも有するが、水性媒体中で低溶解性を示す。このような化合物で基材をコーティングする試みは、あまり成功しておらず、基材上には限られた量の抗微生物銀化合物しか残らない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、ガーゼ、不織布、発泡体および親水コロイドなどの医療用物品に銀化合物をコーティングする方法に関する。コーティングされた銀組成物は、好ましくは安定性がある。これは、組成物が、次の種類の放射線、即ち、可視光線、紫外線、電子線、およびガンマ線滅菌の少なくとも1つに対して安定性があることを意味する。
【0005】
一面では、本発明は、やや難溶性の銀含有化合物をアンモニウム含有化合物と合わせて溶液を形成する工程、基材に溶液をコーティングする工程、およびコーティングされた基材を乾燥させる工程を含む、銀化合物を基材にコーティングする方法を提供する。溶液は、40℃未満の温度で形成および/又はコーティングすることができる。溶液又はコーティングされた基材に酸化剤を添加することもできる。
【0006】
別の面では、酸化銀を炭酸アンモニウムと合わせて溶液を形成する工程、溶液を基材にコーティングする工程、およびコーティングされた基材を乾燥させる工程を含む、銀化合物を基材にコーティングする方法を提供する。酸化銀は、基材を乾燥させた後、基材に残存する本質的に唯一の化合物であり、基材を乾燥させた後、アンモニウム含有化合物は本質的に全て除去されている。溶液又はコーティングされた基材に酸化剤を添加することもできる。
【0007】
別の面では、不織布ガーゼ、織布ガーゼ、ポリエステル繊維、発泡体、フィルム、および親水コロイドなどの基材に銀化合物をコーティングすることができる。別の面では、やや難溶性の銀含有化合物が含浸されており、アンモニウム化合物、又は、アンモニウム化合物および銀含有化合物の残留成分を本質的に含まない物品が提供される。
【0008】
別の面では、酸化銀をアンモニウム含有化合物と合わせて溶液を形成する工程、酸化銀を高原子価状態にするのに有効な量の酸化剤を添加する工程、溶液を基材にコーティングする工程、およびコーティングされた基材を乾燥させる工程を含む、銀化合物を基材にコーティングする方法を提供する。
【0009】
本明細書で使用するとき、「1つ(a)」、「1つ(an)」、「その(the)」、「少なくとも1つ」、および「1つ以上」は、互換的に使用される。また、本明細書では、端点による数値範囲の引用は、その範囲に包含される全ての数を含む(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0010】
本発明の上記した要約は、開示される各実施形態又は本発明の全ての実施を説明することを意図したものではない。以下の説明は、例示した実施形態を更に詳細に例示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、銀化合物およびアンモニウム塩を水溶液に溶解させ、その溶液を基材にコーティングし、コーティングされた基材を乾燥させることによる、酸化銀および銀塩などのやや難溶性の銀化合物をコーティングする方法を提供する。アンモニウム塩は、やや難溶性の銀化合物と錯体化し、水への溶解を可能にする。本明細書で使用する時、やや難溶性とは、概ね、溶液中の銀化合物濃度が、水中で少なくとも1μg/グラムで、水1リットル当たり0.1g未満と定義することができる。
【0012】
本プロセスは、連続プロセスとして達成することができ、単一工程で又は単一のコーティング溶液を用いて行うことができる。コーティングを塗布するプロセスは、高温を必要とせず、40℃未満の温度、好ましくは周囲温度又は室温(例えば、23℃)で塗布することができる。基材への悪影響を最小限にするため、コーティング溶液をpH13未満、好ましくは10未満に維持することができる。
【0013】
やや難溶性の銀化合物は、一部、限られた溶解性および固有の解離平衡定数に基づいて、長時間にわたり銀イオンを徐放する。本発明に有用な銀化合物としては、酸化銀、硫酸銀、酢酸銀、塩化銀、乳酸銀、リン酸銀、ステアリン酸銀、チオシアン酸銀、および炭酸銀が挙げられる。好ましい実施形態では、銀化合物は酸化銀である。
【0014】
やや難溶性の銀化合物は、銀化合物をアンモニウム塩と錯体化させることによって溶液に溶解する。好適なアンモニウム塩としては、五ホウ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、ペルオキシホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、リンゴ酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、コハク酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、酒石酸アンモニウム、およびこれらの混合物が挙げられる。選択される銀化合物に応じて、銀化合物は室温で容易に溶解する場合もあり、又は、熱を加えないとき、溶解を助けるために長時間にわたる攪拌などの機械的作用を必要とする場合もある。
【0015】
得られる、アンモニウム塩と錯体化した銀化合物を含有する溶液を、基材、典型的には吸収性基材にコーティングすることができる。コーティングされた基材を乾燥させ、アンモニアおよび他の残留成分、例えば、水および二酸化炭素などを除去する。乾燥は、室温で、又はコーティングされた基材を加熱することによって達成できる。熱によって乾燥プロセスは速くなる。好ましい実施形態では、銀化合物の分解を最小限にするため、コーティングされた基材を200℃未満の温度、更に好ましくは160℃未満の温度で乾燥させる。
【0016】
乾燥すると、基材は銀化合物でコーティングされた状態を維持する。コーティングされた基材は、金属銀、即ち、Ag(0)を本質的に含まない。幾つかの実施形態では、出発物質の選択によって、残留物が残らず、基材上に銀化合物だけが本質的に残存し、銀溶液の他の全ての成分が乾燥時に基材から除去されるコーティングが得られる。好ましくは、銀溶液は、酸化銀と炭酸アンモニウムの組合わせから形成される。コーティング後、アンモニアと二酸化炭素は除去され、基材上に酸化銀だけが残存する。
【0017】
幾つかの実施形態では、高原子価の酸化銀、即ち、銀の酸化状態がAg(II)又はAg(III)のものを使用できる。基材にコーティングされる銀の原子価状態は、出発酸化銀材料、即ち、AgO、Ag2O、Ag23、Ag24の使用により決定され得る。或いは、錯体化した酸化銀/アンモニウム塩溶液に、又は、溶液をコーティングした後に基材に酸化剤を添加することによって、酸化銀を高原子価状態にすることができる。好適な酸化剤としては、米国特許第6,436,420号明細書(アンテルマン(Antelman)に付与)に記載されているように、過酸化水素、および、過硫酸ナトリウムなどのアルカリ金属過硫酸塩が挙げられる。他の好適な酸化剤としては、過マンガン酸塩、次亜塩素酸塩、過塩素酸塩、および硝酸が挙げられる。
【0018】
塗布するとき、銀溶液は基材の内部に浸透し、含浸される。例えば、ガーゼを使用すると、銀溶液は、ガーゼの繊維間に含浸される。同様に、発泡体を基材として使用すると、銀溶液は、毛管作用と発泡体への吸収の両方によって、発泡体の気泡に含浸される。
【0019】
基材上の銀化合物の濃度は、溶液中の銀化合物および基材の単位面積に塗布される溶液の全量の関数である。基材上の銀化合物の濃度は、典型的には、10mg/cm2未満である。好ましい実施形態では、基材上の銀化合物濃度は、0.1mg/cm2〜2mg/cm2の範囲である。
【0020】
銀組成物は、コーティングされた後、好ましくは安定性がある。これは、組成物が、次の種類の放射線、即ち、可視光線、紫外線、電子線、およびガンマ線滅菌の少なくとも1つに対して安定性があることを意味する。ある実施形態では、コーティングされた組成物は可視光線に対して安定性があり、そのため、コーティングされた組成物は可視光線に暴露されても暗色化しない。このような組成物は、医療用物品、特に創傷被覆材および創傷パッキング材料に有用であるが、他の様々な製品を銀組成物でコーティングすることができる。必要に応じて、親水コロイドを含有する創傷被覆材を水和した形態又は膨潤した形態で使用することができる。
【0021】
本明細書に記載の銀溶液を使用し、様々なコーティング方法により、物品を作製することができる。多孔質基材をコーティングするとき、使用されるプロセスによって、典型的にはヤーン、フィラメント、又はフィルム、例えば穴あき又は微孔質フィルムなどをコーティングし、孔のほとんどは組成物によって閉塞されないようにすることができる。使用される支持体の構造に応じて、使用される溶液の量は広範囲にわたって様々である。
【0022】
本プロセスの1変形によれば、基材は銀組成物の浴に通過され得る。次いで、銀組成物で被覆された基材を、例えば、溶液の構成成分を蒸発させるのに十分な温度のオーブンで乾燥させる。温度は、好ましくは少なくとも100℃である。
【0023】
銀溶液は、グラビアコーティング、カーテンコーティング、ダイコーティング、ナイフコーティング、ロールコーティング、又はスプレーコーティングなどの既知のコーティング技術を使用して、キャリアウェブ又は支持体(後述)にコーティングすることもできる。好ましいコーティング方法は、グラビアコーティングである。
【0024】
必要に応じて、本発明の組成物を滅菌することができる。滅菌の方法としては、電子線又はガンマ線を用いる処理が挙げられる。
【0025】
医療用物品
本発明の銀組成物は、様々な製品に使用できるが、それらは、好ましくは医療用物品に使用される。このような医療用物品は、創傷被覆材、創傷パッキング材料、又は、創傷に直接適用されるか、若しくは、創傷に接触する他の材料の形態とすることができる。可能性のある他の製品としては、衣類、寝具、マスク、雑巾、靴の中敷、おむつ、および、病院の用具、例えば毛布、手術用ドレープ、および、ガウンが挙げられる。
【0026】
銀組成物は、様々な支持体(即ち、支持基材)にコーティングすることができる。支持体又は支持基材は多孔質であっても、又は非多孔質であってもよい。本発明の組成物は、例えば、支持基材にコーティングされてもよく、又は支持基材に含浸されてもよい。
【0027】
好適な材料は、好ましくは可撓性があり、布帛、不織布又は織布ポリマーウェブ、ポリマーフィルム、親水コロイド、発泡体、金属箔、紙、および/又は、これらの組合わせであってよい。更に具体的には、綿ガーゼは、本発明の銀組成物に有用である。ある実施形態では、透過性(例えば、水蒸気に関して)があり、開放孔を有する基材(即ち、スクリム)を使用することが望ましい。ある実施形態では、米国特許第6,548,727号明細書に開示されるものなどの連続気泡又は独立気泡発泡体を使用することが望ましい。ある実施形態では、基材は、本願出願人の同時係属中の出願である、米国特許出願第10/728,577号明細書および米国特許出願第10/728,439号明細書に記載されるように、親水性ポリマーなどの親水コロイド、又は親水性粒子を含有する疎水性ポリマーマトリックスであってもよい。
【0028】
基材(即ち、支持体)は、好ましくは多孔質であり、創傷流体、水蒸気、および空気の通過が可能である。ある実施形態では、基材は、液体、とりわけ創傷滲出物を実質的に浸透させない。ある実施形態では、基材は、液体、とりわけ創傷滲出物を吸収することができる。ある実施形態では、基材は有孔液体透過性基材である。
【0029】
好適な多孔質基材としては、編物、織布(例えば、チーズクロスおよびガーゼ)、不織布(スパンボンド不織布、およびBMF(ブローン極細繊維)を含む)、押出多孔質シート、および、孔あきシートが挙げられる。多孔質基材の孔(即ち、開口部)は、高通気性を促進するのに十分なサイズと十分な数を有する。ある実施形態では、多孔質基材は、一平方センチメートル当たり少なくとも1つの孔を有する。ある実施形態では、多孔質基材は、一平方センチメートル当たり225以下の孔を有する。ある実施形態では、孔は、少なくとも0.1ミリメートル(mm)の平均開口部サイズ(即ち、開口部の最大寸法)を有する。ある実施形態では、孔は、0.5cm以下の平均開口部サイズ(即ち、開口部の最大寸法)を有する。
【0030】
ある実施形態では、多孔質基材は、少なくとも5g/m2の坪量を有する。ある実施形態では、多孔質基材は、200g/m2以下の坪量を有する。
【0031】
多孔質基材(即ち、支持体)は、好ましくは、可撓性があり、しかも引裂に対する抵抗性がある。ある実施形態では、多孔質基材の厚さは、少なくとも0.0125mmである。ある実施形態では、多孔質基材の厚さは、3mm以下である。
【0032】
支持体又は支持基材の材料としては、紙;綿、レーヨン、羊毛、麻、ジュート、ナイロン、ポリエステル、ポリアセテート、ポリアクリル、アルギネート、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、天然ゴム、ポリエステル、ポリイソブチレン、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンプロピレン共重合体、および、エチレンブチレン共重合体)、ポリウレタン(ポリウレタンフォームを含む)、ポリ塩化ビニル、および、エチレン−酢酸ビニルを含むビニル類、ポリアミド、ポリスチレンなどの材料から製造される天然又は合成の繊維、糸およびヤーン、ガラス繊維、セラミック繊維、および/又は、これらの組合わせを含む様々な材料が挙げられる。
【0033】
また、支持体に伸張−解放特性を付与することもできる。伸張−解放は、物品を表面から引っ張ると、物品が目に見えるかなりの残留物を残すことなく表面から脱離することを特徴とする接着性物品の特性を指す。例えば、フィルム支持体は、エラストマー性で熱可塑性のA−B−Aブロック共重合体を含む、高伸展性で高弾性の組成物から形成することができ、低いゴム弾性率、少なくとも200%の縦方向の破断点伸び、および、2,000ポンド/平方インチ(13.8メガパスカル(MPa))以下の50%ゴム弾性を有する。このような支持体は、米国特許第4,024,312号明細書(コルプマン(Korpman))に記載されている。別法によれば、支持体は、米国特許第5,516,581号明細書(クレッケル(Kreckel)ら)に記載されるものなどのように、高伸展性で、実質的に回復不可能とすることができる。
【0034】
ある実施形態では、本発明のコーティングされた基材は非接着性であるが、溶液でコーティングされた物品に接着剤(例えば、感圧接着剤)を添加できることを理解されたい。本明細書で使用する時、本発明の銀組成物は、基材に塗布されたとき、創傷組織に著しく接着しないため、除去時に痛みおよび/又は創傷組織の破壊を引き起こさず、本願出願人の同時係属中の出願である米国特許出願第10/729,114号明細書に記載されるように、鋼からの180°剥離強度が1N/cm未満である。
【0035】
ある実施形態では、銀組成物でコーティングされた基材の一方側又は両側を透過性非接着性外層で被覆し、創傷に対する接着および付着を低減できる。コーティング又は積層などにより、非接着性層を基材に着設することができる。或いは、コーティングされた基材をスリーブなどの非接着性層内に密閉することができる。非接着性層は、ナイロンなどの非接着性織布若しくは不織布、又は綿ガーゼ上の過フッ素化材料コーティングから製造することができる。非接着性層は、銀コーティングされ密閉された基材からの材料の付着を防止する。同時に、非接着性層は、コーティングされた基材からの銀の徐放に悪影響を与えない。
【0036】
別の実施形態では、支持体又は支持基材は、非固着性材料で構成することができる。例えば、本願出願人の同時係属中の出願である米国特許出願第10/728,577号明細書、米国特許出願第10/729,114号明細書、および米国特許出願第10/728,439号明細書に記載のように、非固着性親水性ポリマーは支持体又は支持基材として使用されてもよく、又は透過性多孔質基材にコーティングされてもよい。
【0037】
必要に応じて、コーティングされた基材を2つの保護フィルム(例えば、薄いポリエステルフィルム)で被覆することができる。これらのフィルムは、任意にノンスティック処理を含んでもよく、パッケージからの取り出しおよび物品の取り扱いを容易にする機能をすることができる。必要に応じて、コーティングされた基材を、使用に好適なサイズの個々の圧迫ガーゼに切断し、密封袋に包装し、滅菌することができる。
【0038】
医療用物品に使用される感圧接着剤を本発明の物品に使用することができる。即ち、感圧接着材料を本発明の物品、例えば、その周囲に貼付し、物品を皮膚に接着させることができる。
【実施例】
【0039】
以下の実施例で本発明の目的および利点を更に例示するが、これらの実施例に引用される特定の材料およびその量、並びに、他の条件および詳細は、本発明を不当に限定するものと見なされるべきではない。別途明記されない限り、パーセンテージは全て重量パーセントである。
【0040】
材料
酸化銀(I)(Ag2O)、式量(FW)は231.7であり、マサチューセッツ州ウォードヒル、アルファ・アイサー(Alfa Aesar, Ward Hill, Massachussetts)から入手可能。
酸化銀(II)(AgO)、式量(FW)は123.9であり、マサチューセッツ州ウォードヒル、アルファ・アイサー(Alfa Aesar, Ward Hill, Massachussetts)から入手可能。
硫酸銀、式量(FW)は311.8であり、マサチューセッツ州ウォードヒル、アルファ・アイサー(Alfa Aesar, Ward Hill, Massachussetts)から入手可能。
【0041】
トリプチカーゼ(トリプシン)ソイブロス(Trypticase(Tryptic)Soy Broth)(TSB)媒体、マサチューセッツ州ベッドフォード、ベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー(Becton Dickinson & Company, Bedford, Massachussetts)から入手可能。
ポリエステル編布(Polyester Knitted Fabric)、オハイオ州クリーブランド、ランポーツ・フィルター・メディア社(Lamports Filter Media,Inc., Cleveland, OH)から購入される24メッシュのポリエステルニット(1.8オンス/平方ヤード)。
炭酸アンモニウム、ニュージャージー州フィリプスバーグ、モーリンクロッド・ベーカー社(Mallinkrodt Baker, Inc., Phillipsburg, New Jersey)から入手可能。
【0042】
五ホウ酸アンモニウム、ニュージャージー州フィリプスバーグ、モーリンクロッド・ベーカー社(Mallinkrodt Baker, Inc., Phillipsburg, New Jersey)から入手可能。
綿不織布、80g/m2、ノースカロライナ州ケアリー、コットン社(Cotton Incorporated, Cary, North Carolina)から入手可能。
綿織布、ノースカロライナ州アルバマール、アメリカン・ファイバー・アンド・フィニッシング(American Fiber and Finishing, Albermarle, North Carolina)から入手可能。
【0043】
クラトン(KRATON)D1124K−30重量%のポリスチレンを有する、放射状の4つのアームがある星形ポリスチレン−ポリイソプレン(SI)4熱可塑性エラストマー共重合体、テキサス州ヒューストン、クラトン・ポリマーズ(KRATON Polymers, Houston, Texas)から入手可能。
サルケア(SALCARE)SC95−鉱油および登録商標をもつ非イオン性界面活性剤中に分散されている、重合したジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)のメチルクロライド四級アンモニウム塩、ノースカロライナ州ハイポイント、チバ・スペチャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals, High Point, North Carolina)から入手可能。
サルケア(SALCARE)SC91−鉱油および登録商標をもつ非イオン性界面活性剤中に分散されている重合したアクリル酸ナトリウム、ノースカロライナ州ハイポイント、チバ・スペチャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals,High Point, North Carolina)から入手可能。
【0044】
ケイドール(KAYDOL)−クロンプトン社(Crompton Corporation)(前身のウィトコ社(Witco Corporation))から入手可能な鉱油。
イルガノックス(IRGANOX)1010−ニューヨーク州タリータウン、チバ・スペチャルティ・ケミカルズ(Ciba Specialty Chemicals, Tarrytown, New York)から入手可能なフェノール系酸化防止剤。
連続気泡ポリウレタンフォーム、ミネソタ州セントポール、3M(3M, St.Paul, Minnesota)から入手可能。
【0045】
抗微生物性能試験
2時間生菌率試験
モレキュラー・プローブズ(オレゴン州ユージーン)(Molecular Probes(Eugene, Oregon))から入手可能なL−7012、バクテリアル・バイアビリティ・キット(Bacterial Viability Kit)を使用して、サンプルの有効性を試験した。キットに含まれる赤色のヨウ化プロピジウム染料、および緑色のSYTO9染料を使用して生菌と死菌を着色する手順を下記に概説する。
【0046】
細菌溶液の調製:
黄色ブドウ球菌および大腸菌をトリプチカーゼ(トリプシン)ソイブロス(TSB)媒体中で一晩増殖させた。細菌を10,000×gで15分間、遠心分離することにより濃縮した。上澄み液を除去し、ペレットをミリQ(MilliQ)水(0.2μmの孔径のフィルタでろ過)又はバターフィールド(Butterfield)リン酸緩衝液(カリフォルニア州サンタマリア、ハーディー・ダイアグノスティックス(Hardy Diagnostics, Santa Maria, California)製)中に再懸濁させた。670nmで光学密度(OD)を測定することにより、細菌溶液を所望の細菌濃度(107細胞/ミリリットル)に希釈した。対照実験では、細菌溶液を70%イソプロピルアルコールと共に室温で1時間(hr)インキュベートし、死菌対照を測定した。較正のため、異なる容量の生菌溶液と死菌溶液を混合し、ある範囲の生存率の溶液を作成した。
【0047】
サンプル作製:
ステンレス鋼穿孔機を使用して直径0.125インチ(0.05cm)〜1インチ(2.54cm)のサンプルを穴あけすることによって、全てのプロトタイプを作製し、場合によっては、実施例に表示されるように、1インチ(2.54cm)のディスクを更に鋏で8つに切断した後、評価した。サンプルの重量を測定した後、50ミリリットル(mL)の滅菌したコニカルチューブに移した。
【0048】
細菌標識および抗微生物試験:
サンプルが入っている50mLのコニカルチューブに、初期濃度約1×108細菌/mLの細菌溶液を7mL、ピペットで入れた。指定の時間(例えば、2時間後)に、ミリQ水450μLが既に入っている蛍光測定管に上澄み液50マイクロリットル(μL)をピペットで入れ、予め混合された緑色染料と赤色染料の溶液(500μLの細菌溶液に対して染料混合物1.5μL)を添加し、混合物を暗所で、室温で15分間インキュベートした。次いで、これらの溶液をフローサイトメトリーで測定した。BD FACSキャリバー・フローサイトメータ(BD FACSCaliber flow cytometer)(ニュージャージー州フランクリンレイクス、ベクトン・ディッキンソン・アンド・カンパニー(Becton Dickinson & Company, Franklin Lakes, New Jersey)製)を使用して、細胞生存率を測定した。フローサイトメータに、488ナノメートル(nm)で15ミリワット(mW)の出力のアルゴンイオンレーザを装備した。セル・クエスト(Cell Quest)ソフトウェアおよびPBPACハードウェアインターフェースを使用して、データ収集および分析を制御した。光路は、488/10nmのブロッキングフィルタ、次いで、緑色PMTの前に530/30nmのフィルタ、および、赤色PMTの前に585/42nmのロングパスフィルタを内蔵した。サンプリング速度は約3000〜7000粒子/秒であった。シース流体は、ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson 製のFACSフロー(FACSFlow)であった。機器電圧は5.5ボルトであった。
【0049】
100%生細胞と100%死細胞(死菌では、細菌溶液を70%のイソプロピルアルコールと共に室温で1時間インキュベートした)のサンプルを用いて、生細胞および死菌応答を確定した。較正のため、異なる容量の生菌溶液と死菌溶液を混合し、ある範囲の生存率の溶液を作成した。殺菌能力に対するサンプル結果は、較正サンプルから作成される標準曲線から内挿した。670nmにおける細菌溶液のODを測定することにより、全細菌濃度を決定した。
【0050】
阻止帯試験
以下の方法で実施される阻止帯試験(ZOI)を使用して抗微生物性能を測定した。ミュラー−ヒントン(Mueller−Hinton)寒天を調製し、滅菌して48〜50℃の水浴中で調整した。約108CFU/mLのリン酸緩衝滅菌水中の細菌懸濁液を調製した。寒天に、細菌の細菌懸濁液を接種し、約105CFU/mLの濃度にした(1:1000)。接種された寒天を攪拌して混合し、滅菌したペトリ皿(15×100mm)にピペットで入れた(〜14ml)。接種した寒天を約20分間凝固させ、硬化させた。アルコール消毒したダイおよび裁断板を使用して、テキスタイルサンプルを所望のサイズに切断した。滅菌した鉗子を使用して、接種され硬化した寒天上に皿の中心にサンプルを置いた。次いで、皿を35〜37℃のインキュベータに入れ、一晩(16〜24時間)インキュベートした。インキュベートした後、目に見えるコロニーが形成されていない透明なゾーンをキャリパを用いてmm単位で測定した。
【0051】
次いで、次式により阻止帯(ZOI)を計算する。
ZOI=[透明なゾーンの直径(mm)−サンプルの直径(mm)]/2
【0052】
塩水吸収性試験
サンプルを0.85重量%の塩化ナトリウム溶液(塩水)中に浸漬した。サンプルを様々な時間に塩水から取り出し、ペーパータオルで軽く叩いた。重量を記録した。次式を使用し、乾燥コーティングの重量当たりの吸収された塩水の重量を計算した:
(吸収された塩水の重量)=[(塩水で膨潤した重量)−(乾燥サンプル重量)]/(乾燥サンプル重量)
【0053】
実施例1
酸化銀(II)が完全に溶解するまで、混合物を攪拌することにより、水中1%の酸化銀(II)および5%の炭酸アンモニウムの透明な溶液を調製した。7.62×5.08cmの綿不織布ガーゼを溶液中に5秒間浸漬して取り出し、ペーパータオルで軽く叩いて余分な溶液を除去した。次いで、コーティングされたガーゼを150℃のオーブンで10分間乾燥させた。乾燥後、ガーゼは濃い茶色に変色した。
【0054】
塩水に浸漬したとき、酸化銀でコーティングされた綿ガーゼは、被覆材1グラム当たり4.89グラムの塩水を吸収した。比較として、酸化銀コーティングのない綿ガーゼサンプルは、被覆材1グラム当たり4.75グラムの塩水を吸収した。
【0055】
酸化銀でコーティングされた綿ガーゼの7mmサンプル3つで阻止帯試験を9日間にわたって実施した。各24時間の期間の終わりに、サンプルを評価し、寒天皿から取り出して、新たに接種した寒天皿に移した。
【0056】
阻止帯の結果を下記の表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
実施例2
酸化銀(I)30部、炭酸アンモニウム100部、および、水2870部の溶液を、酸化銀(I)が完全に溶解するまでガラス広口瓶中で混合した。溶液を綿不織布に100g/m2、1.6m/分でグラビアコーティングした。コーティングされた綿不織布を160℃のオーブンで5分間加熱した。乾燥したコーティングは薄い茶色であった。
【0059】
実施例3
溶液を綿織布にコーティングしたこと以外、実施例2のように溶液を調製した。綿織布ガーゼをマイクロ波温浸した後、イオンクロマトグラフ(モデル、ソース)による分析では、検出可能なアンモニウムイオンは存在しなかった。
【0060】
阻止帯試験は、3層の10mmサンプルで実施した。24時間後のZOIは、黄色ブドウ球菌では3.75、大腸菌では2.85であった。
【0061】
実施例4
溶液をポリエステル編布にコーティングしたこと以外、実施例2と同じであった。乾燥したコーティングは薄い灰色であった。
【0062】
実施例5
酸化銀(II)を使用したこと以外、実施例2と同じであった。
【0063】
実施例6
水中に1%のAg2Oおよび5%の五ホウ酸アンモニウムを含む溶液に、綿不織布ガーゼを浸漬した。浸漬したガーゼから余分な溶液を搾り、ガーゼの重量を測定した。ガーゼサンプルによって吸収された溶液の全重量は2.5グラムであった。ガーゼの面積で割ると、溶液の全吸収量は0.024グラム/cm2であった。ガーゼの銀化合物濃度は、0.24mg/cm2であった。
【0064】
ガーゼを150℃のオーブンで10分間乾燥させた。乾燥後、ガーゼは濃い茶色に変色した。24時間後のZOIは1.5mmであった。
【0065】
実施例7
2%の炭酸銀、5%の酢酸アンモニウム、および1.5%のアンモニアと残部の水を含む溶液に、綿不織布ガーゼを浸漬した。浸漬したガーゼから余分な溶液を搾り、ガーゼの重量を測定した。ガーゼサンプルによって吸収された溶液の全重量は2.24グラムであった。ガーゼの面積で割ると、溶液の全吸収量は0.028グラム/cm2であった。ガーゼの全銀化合物濃度は、0.56mg/cm2であった。
【0066】
ガーゼを150℃のオーブンで10分間乾燥させた。乾燥後、ガーゼは中程度の茶色に変色した。24時間後のZOIは2mmであった。
【0067】
実施例8
水中に1%の酸化銀(II)(AgO)および5%の炭酸アンモニウムを含む溶液に、ポリウレタンフォームを浸漬した。浸漬したフォームから余分な溶液を搾り、フォームの重量を測定した。フォームサンプルによって吸収された溶液の全重量は6グラムであった。サンプルの面積で割ると、溶液の全吸収量は0.095グラム/cm2であった。フォームの全銀化合物濃度は、0.95mg/cm2であった。
【0068】
フォームを120℃のオーブンで10分間乾燥させた。乾燥後、フォームは茶色に変色した。24時間後のZOIは2mmであった。
【0069】
実施例9
水中に1%の硫酸銀および5%の炭酸アンモニウムを含む溶液に、ポリウレタンフォームを浸漬した。浸漬したフォームから余分な溶液を搾り、フォームの重量を測定した。フォームサンプルによって吸収された溶液の全重量は3.2グラムであった。サンプルの面積で割ると、溶液の全吸収量は0.051グラム/cm2であった。フォームの全銀化合物濃度は、0.51mg/cm2であった。
【0070】
フォームを120℃のオーブンで10分間乾燥させた。乾燥後、フォームは茶色に変色した。24時間後のZOIは1.5mmであった。
【0071】
実施例10
メチルエチルケトン溶液(ウィスコンシン州ミルウォーキー、シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich, Milwaukee, Wisconsin)から入手可能)中に4%のTHV200フルオロサーモプラスチック(fluorothermoplastic)(ミネソタ州オークデイル、ダイネオン社(Dyneon, LLC, Oakdale, Minnesota)から入手可能)を含む溶液を、ザール(Xaar)XJ128−200圧電プリントヘッド(英国ケンブリッジ、ザール社(Xaar Ltd., Cambridge, England)から入手可能)を使用して300×300dpiで綿織布ガーゼにインクジェットコーティングした。
【0072】
スコッチ(Scotch)(登録商標)マジックテープ(登録商標)(Magic Tape)(ミネソタ州セントポール、3M(3M, St.Paul, Minnesota)から入手可能)の2インチ片を使用し、このテープをコーティングされたガーゼに貼付して1回転圧し、手で除去することによって、コーティングされたガーゼの非接着性を評価した。テープは、繊維を引っ張ることなく容易に除去された。THVコーティングのないガーゼは、引張に抵抗し、テープが除去されるとき、繊維が引っ張られて抜けた。
【0073】
実施例1の銀溶液でコーティングされたガーゼをTHVコーティングされたガーゼの間に配置し、両面粘着テープを使用してその縁部を密封した。銀非接着性ガーゼ構造体は、塩水を3.28グラム吸収した。7mmのガーゼ構造体サンプルを使用すると、24時間後のZOIは2.5mmであった。
【0074】
実施例11
実施例1のコーティングされたガーゼを、2枚の100%ナイロン織布(ミネソタ州ウッドベリー、ジョアン・ファブリックス(JoAnn Fabrics, Woodbury, Minnesota)から入手可能)間に配置し、両面粘着テープを使用してその縁部を密封した。銀−ナイロンガーゼ構造体は、塩水を3.46グラム吸収した。7mmの構造体サンプルを使用すると、24時間後のZOIは1.5mmであった。
【0075】
実施例12
テガソーブ(Tegasorb)(登録商標)(ミネソタ州セントポール、3M(3M, St.Paul, Minnesota)から入手可能)の商品名の親水コロイド被覆材を、酸化銀(I)100部、炭酸アンモニウム337部、および、脱イオン水3000部で調製された透明な銀溶液に浸漬した。被覆材は銀溶液に2分間浸漬され、銀溶液は親水コロイド材料だけに接触した。コーティングされた親水コロイド基材を100℃のオーブンに30分間入れた。
【0076】
生菌率試験を使用し、コーティングされた被覆材を試験した。直径12.7mmのサンプルを、約108カウントの黄色ブドウ球菌を有する細菌溶液7mlと接触するように配置した。30分後の生菌率結果は60.5であり、2時間後の生菌率結果は0.72であった。
【0077】
実施例13
スチレン−イソプレン−スチレンゲルおよびサルケア(SALCARE)SC91親水コロイドをベースにして、非接着性親水コロイド被覆材を調製した。クラトン(KRATON)D1124Kスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)ペレットを、直径30mmで15のバレルセクションを有するヴェルナー・プフライデラー(Werner Pfleiderer)ZSK30共回転式二軸スクリュ押出機(TSE)の供給口(バレルセクション1)に重量測定して供給した。
【0078】
各温度ゾーンは、2つのバレルセクションの組合わせであった(例えば、ゾーン1はバレルセクション2および3に対応する)。バレルセクション1は、全てのSISゲルロットに対し、最大限の冷却能力に制御された。粉末化された酸化防止剤(イルガノックス(IRGANOX)1010)もバレルセクション1に重量測定して供給した。国際公開特許第WO97/00163号に記載されるように、ケイドール(KAYDOL)鉱油を加熱し、TSEに加えた。開示されている配合プロセスは、SISエラストマーを溶融した後、加熱された鉱油を加えることによって、ゲルを製造する方法を提供する。加熱された鉱油を、それぞれバレルセクション4、6、8、10および12に逐次、注入した。TSEスクリュ速度を毎分400回転(rpm)に制御した。ゾーン1〜7のTSE温度プロファイルをそれぞれ204℃、227℃、227℃、204℃、182℃、171℃、および93℃に制御した。加熱された油の注入をそれぞれ204℃、204℃、204℃、177℃、および177℃に制御した。表2に材料流量を記載し、表3にSISゲルの組成情報を記載する。
【0079】
【表2】

【0080】
【表3】

【0081】
ハーケ(Haake)直径25mmの完全にかみ合う逆回転式TSE中で、予め配合されたSISゲルをサルケア(SALCARE)SC91と組み合わせた。127℃で作動するボノット(Bonnot)押出機中でSISゲルを再溶融し、毎分22.8グラムでTSEのバレルセクション2に注入した。ジーニス(Zenith)ギヤポンプを使用して、サルケア(SALCARE)SC91逆エマルションを周囲温度で毎分15.2グラム(g/分)、バレルセクション4に注入した。TSEを300rpmのスクリュ速度および121℃の温度に制御した。全材料処理量は、毎分38.0グラムであった。ジーニス(Zenith)ギヤポンプを使用して、SISゲル/サルケア(SALCARE)SC91ブレンドをTSEから輸送ホースの中に放出した。輸送ホースは、溶融したゲルブレンドを幅0.15メートル(m)の単一オリフィスフィルムダイに移送した。輸送ホースおよびダイは、両方とも121℃に制御された。110℃に制御された、間隙のある研磨された2本の鋼ロールによって形成されたニップに、溶融したゲルブレンドを押し出した。また、0.8mm×0.7mm(0.56mm2)の長方形の開放孔を有し、厚さ0.20ミリメートル(mm)および幅0.15メートル(m)のポリエステル(PET)編布も、1.4m/分の速度でニップに供給した。布帛がニップを出る時、ゲルコーティングされた物品は、挿入される紙剥離ライナーと一緒に巻き取られる前に空気中で冷却された。周囲温度に空気冷却した後、0.75mm×0.6mm(0.45mm2)の長方形の開放孔を有するコーティングされた布帛が得られた。表4は加工条件を記載し、表5は被覆材の組成情報を記載する。
【0082】
【表4】

【0083】
【表5】

【0084】
非接着性被覆材を、酸化銀(I)100部、炭酸アンモニウム337部、および、脱イオン水3000部で調製された透明な銀溶液に浸漬した。被覆材は銀溶液に2分間浸漬され、銀溶液は親水コロイド材料だけに接触した。コーティングされた親水コロイド被覆材を100℃のオーブンに30分間入れた。
【0085】
生菌率試験を使用し、コーティングされた被覆材を試験した。直径12.7mmのサンプルを、約108カウントの黄色ブドウ球菌を有する細菌溶液7mlと接触するように配置した。30分後の生菌率結果は0.92であり、2時間後の生菌率結果は0.04であった。
【0086】
実施例14
1.3%の酸化銀(I)、4.4%の炭酸アンモニウム、および、94.3%の水からなる溶液を、酸化銀(I)が完全に溶解するまでガラス広口瓶中で混合した。溶液を綿不織布に100g/m2、1.6m/分でグラビアコーティングした。コーティングされた綿不織布を160℃のオーブンで5分間加熱した。
【0087】
生菌率試験を使用し、コーティングされた被覆材を試験した。直径12.7mmのサンプルを、約108カウントの黄色ブドウ球菌を有する細菌溶液7mlと接触するように配置した。30分後の生菌率結果は2.91であり、2時間後の生菌率結果は0.07であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀化合物を基材にコーティングする方法であって、
やや難溶性の銀含有化合物をアンモニウム含有化合物と合わせて水性溶液を形成する工程と、
前記溶液を基材にコーティングする工程と、
前記コーティングされた基材を乾燥させる工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記溶液のpHが約9である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶液が40℃未満で形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液が40℃未満でコーティングされる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記銀含有化合物が、塩化銀、硫酸銀、炭酸銀、酸化銀、ステアリン酸銀、リン酸銀、およびチオシアン酸銀からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記銀含有化合物が酸化銀である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アンモニウム含有化合物が、炭酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、および酢酸アンモニウムからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記アンモニウム含有化合物が炭酸アンモニウムである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記銀含有化合物が、前記アンモニウム含有化合物と合わされて銀−アンモニウム錯体を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記基材を乾燥させた後、前記銀含有化合物は前記基材上に残存し、前記コーティングの残りの成分は揮発している、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記基材を乾燥させた後、前記アンモニウム含有化合物は本質的に全て除去されている、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記溶液に酸化剤を添加する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記コーティングされた基材に酸化剤を添加する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記基材が、不織布ガーゼ、織布ガーゼ、ポリエステル繊維、発泡体、フィルム、および親水コロイドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
銀化合物を基材にコーティングする方法であって、
酸化銀を炭酸アンモニウムと合わせて水性溶液を形成する工程と、
前記溶液を基材にコーティングする工程と、
前記コーティングされた基材を乾燥させる工程と、
を含む、方法。
【請求項16】
前記溶液のpHが約9である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記溶液が40℃未満で形成される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液が40℃未満でコーティングされる、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記酸化銀が、前記炭酸アンモニウムと合わされて銀−アンモニウム錯体を形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記基材を乾燥させた後、前記酸化銀は、前記基材上に残存する前記溶液からの唯一の化合物である、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記基材を乾燥させた後、前記炭酸アンモニウムは除去されている、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記溶液に酸化剤を添加する工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
前記コーティングされた基材に酸化剤を添加する工程を更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記基材が、不織布ガーゼ、織布ガーゼ、ポリエステル繊維、発泡体、フィルム、および親水コロイドからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項25】
請求項1に記載の方法により製造される物品であって、やや難溶性の銀含有化合物で含浸された前記物品は、前記溶液を塗布する段階で導入されたアンモニウム化合物、又は、アンモニウム化合物および前記銀含有化合物の残留成分を本質的に含まない、物品。
【請求項26】
請求項15に記載の方法により製造される物品であって、酸化銀で含浸された前記物品は、前記酸化銀以外、前記溶液を塗布する段階で導入された化合物を本質的に含まない、物品。
【請求項27】
銀化合物を基材にコーティングする方法であって、
酸化銀をアンモニウム含有化合物と合わせて水性溶液を形成する工程と、
前記酸化銀を高原子価状態にするのに有効な量の酸化剤を添加する工程と、
前記溶液を基材にコーティングする工程と、
前記コーティングされた基材を乾燥させる工程と、
を含む、方法。
【請求項28】
前記溶液のpHが約9である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記溶液が40℃未満で形成される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記溶液が40℃未満でコーティングされる、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記アンモニウム含有化合物が、炭酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、および酢酸アンモニウムからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
前記アンモニウム含有化合物が炭酸アンモニウムである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記酸化銀が、前記アンモニウム含有化合物と合わされて銀−アンモニウム錯体を形成する、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
前記基材を乾燥させた後、前記酸化銀は、前記基材上に残存する前記溶液からの唯一の化合物である、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記基材が、不織布ガーゼ、織布ガーゼ、ポリエステル繊維、発泡体、フィルム、および親水コロイドからなる群から選択される、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物は安定性がある、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
請求項1に記載の方法で製造される創傷被覆材。
【請求項38】
請求項15に記載の方法で製造される創傷被覆材。
【請求項39】
請求項27に記載の方法で製造される創傷被覆材。
【請求項40】
1種類以上のやや難溶性の銀化合物で含浸された多孔質基材を含む医療用物品であって、前記医療用物品は鋼に対して1N/cm未満の剥離強度を有しかつ創傷組織に接着しない、医療用物品。
【請求項41】
前記医療用物品が、前記物品の乾燥重量の少なくとも100%の量の塩水を吸収できる、請求項40に記載の医療用物品。
【請求項42】
前記医療用物品が、前記物品の乾燥重量の少なくとも200%の量の塩水を吸収できる、請求項40に記載の医療用物品。
【請求項43】
前記多孔質基材が非接着性である、請求項40に記載の医療用物品。
【請求項44】
前記多孔質基材の一方側又は両側が、非接着性層によって被覆されている、請求項40に記載の医療用物品。

【公表番号】特表2007−512955(P2007−512955A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542833(P2006−542833)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【国際出願番号】PCT/US2004/040703
【国際公開番号】WO2005/056067
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】