説明

銅合金線材の製造方法、銅合金線材および銅合金線材の製造装置

【課題】析出強化型銅合金線材(例えばコルソン系合金線材)の製造速度を高くし、コストが大幅に低減できる製造方法、その方法で製造された銅合金線材およびその製造装置を提供する。
【解決手段】析出強化型の銅合金の溶銅中に銅合金の種線を浸漬させて鋳塊を得る鋳造工程と、該鋳造工程により得られた前記鋳塊を圧延する圧延工程とを連続的に行う連続鋳造圧延工程により銅合金線材を得る銅合金線材の製造方法であって、前記圧延工程の中間または前記圧延工程の直後における前記銅合金線材を焼入れ処理する銅合金線材の製造方法、銅合金線材およびその製造装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、析出強化型銅合金線材の製造方法、この製造方法により製造される銅合金線材、および銅合金線材の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化が進む中で、銅導体には細線化が求められ、延性や加工性に優れる無酸素銅や銅合金が使用されるようになってきた。また、無酸素銅または希薄銅合金の線材は、生産能力の高いベルト&ホイール式連続鋳造圧延装置で製造する方法(特許文献1参照)やディップ・フォーミング・プロセスで製造する方法(特許文献2〜3参照)が提案されている。
一方、析出強化型銅合金、例えばコルソン合金は、中間温度脆性が顕著な合金であることは公知であり、このため鋳造での割れを回避する必要があることが指摘されている。そしてまた、熱間圧延する前の加熱条件にも十分な考慮が必要である。
【0003】
さらに、SiやMgなどを微量含有する銅合金を、前記ベルト&ホイール式連続鋳造圧延法やディップ・フォーミング・プロセスにより鋳造すると、当然のことながら、合金元素が酸化して酸化物(ノロ)が多量に発生して線材の製造が困難になる。
そのために、コルソン系合金の線材製造に当たっては、低速鋳造や極めて精密な冷却制御によって鋳塊を半連続鋳造にて製造し、その鋳塊を昇温速度などの制御を行い、熱間加工を施しているのが現状である。
また、銅合金中に不可避的に含まれる硫黄(S)は中間温度脆性を助長する為に、銅合金中にMg、Mn、Znなどを微量に添加することによりSの安定化を行い、中間温度脆性を防いでいる。
また、移動鋳型を用いてコルソン系銅合金線材の製造を試みることが提案されているが、焼入れが低温化することで析出が進行し、銅合金線材での導電率が高くなっている。このことは、時効工程での強度向上に寄与する微細析出に必要なNiやSiが不足するために、本来の性能が出せないことを意味する。この現象を改善するためには、圧延後の銅合金線材について高温・長時間で溶体化処理を施すことが必要となってしまい、大幅なコスト・アップに繋がるという問題があった。
【特許文献1】特開2003−266157号公報
【特許文献2】特公平1−16565号公報
【特許文献3】特公平3−77602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
優れた特性をもつコルソン系合金線材の製造コストの大幅な低減を図る上で、鋳造、加熱、熱間加工工程における加工性の向上が必要である。一部では、MgやZn等の特殊元素を添加することで、これらの加工性の改善が試みられているようであるが、飛躍的な製造コストの低減に至っていないのが現状である。
また、コルソン系合金の他の析出強化型銅合金を用いた銅合金線材の製造方法に関しても、上記課題はほぼ同様に発生することがわかってきている。
ところで、析出強化型銅合金を用いて銅合金線材を製造するに際し、前述の特許文献1〜3に記載された技術事項によっては上記課題を解決することができず、新たな解決手段が求められている。
そこで本発明は、析出強化型銅合金線材(例えばコルソン系合金線材)の製造速度を高くし、コストが大幅に低減できる製造方法を提供することを課題とする。また、合金中への硫黄(S)の混入を回避して、さらに製造速度の改善を図るものである。
【0005】
溶湯から大断面鋳塊を製造する際には、液相から固相への相変態(凝固)により大きな体積収縮が発生することはよく知られたことであり、その結果、凝固時に鋳塊内部に割れが発生する。割れ防止の対策として、鋳塊を小断面化することが有効であるが、しかし、小断面化を図ると生産性が大幅に低下することとなる。この生産性を向上させる方法として鋳造速度の高速化が挙げられるが、実際にはエアーギャップが発生することにより1次冷却が不足する為に限界が生じる。そして、最悪の場合には、ブレーク・アウトなどの重大なトラブルが発生することがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで発明者らは、各種実験並びに凝固シミュレーションを駆使して検討した結果、外周部からの冷却によって凝固を促進させる一般的な方法とは逆方向の凝固(ディップ・フォーミング・プロセス)が有効であるとの結論を得た。そして、生産性を向上させることを目的とした高速鋳造を指向する中で、鋳造工程と圧延工程とを連続して行う連続鋳造圧延工程における圧延工程として連続熱間圧延を行い、前記圧延工程の中間または前記圧延工程の直後において前記銅合金線材の中間材(鋳塊から銅合金線材が得られるまでの銅合金材料)を高温で焼入れすべきことを知った。すなわち、銅合金線材の中間材を急冷することで、溶体化処理を行った後に近い状態の銅合金線材を得ることができることが判った。本発明はこのような知見に基づき完成されるに至ったものである。
なお、本明細書において、鋳造工程後圧延工程前の銅合金材料を「鋳塊」と定義し、鋳造工程、圧延工程および焼入れが終了した銅合金材料を「銅合金線材」と定義する。また、「鋳塊」から「銅合金線材」が得られるまでの銅合金材料を、便宜上「銅合金線材の中間材」ということがある。
【0007】
本発明によれば、以下の手段が提供される。
(1)析出強化型の銅合金の溶銅中に銅合金の種線を浸漬させて鋳塊を得る鋳造工程と、該鋳造工程により得られた前記鋳塊を圧延する圧延工程とを連続的に行う連続鋳造圧延工程により銅合金線材を得る銅合金線材の製造方法であって、前記圧延工程の中間または前記圧延工程の直後における前記銅合金線材を焼入れ処理することを特徴とする銅合金線材の製造方法。
(2)前記銅合金の溶銅が、Niを1.0〜5.0質量%、Siを0.25〜1.5質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(3)前記銅合金の溶銅が、Niを1.0〜5.0質量%、Siを0.25〜1.5質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、P、FeおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.1〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(4)前記銅合金の溶銅が、NiとCoとを合計で1.0〜5.0質量%、Siを0.25〜1.5質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(5)前記銅合金の溶銅が、NiとCoとを合計で1.0〜5.0質量%、Siを0.25〜1.5質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、P、FeおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.1〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(6)前記銅合金の溶銅が、Niを0.5〜15.0質量%、Snを0.5〜4.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(7)前記銅合金の溶銅が、Niを0.5〜15.0質量%、Snを0.5〜4.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、P、FeおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(8)前記銅合金の溶銅が、Niを0.5〜5.0質量%、Tiを0.1〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(9)前記銅合金の溶銅が、Niを0.5〜5.0質量%、Tiを0.1〜1.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、P、FeおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)項記載の銅合金線材の製造方法。
(10)前記銅合金の溶銅が、Crを0.5〜2.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(11)前記銅合金の溶銅が、Crを0.5〜2.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、PおよびFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)項記載の銅合金線材の製造方法。
(12)前記銅合金の溶銅が、Crを0.5〜2.0質量%、Zrを0.01〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(13)前記銅合金の溶銅が、Crを0.5〜2.0質量%、Zrを0.01〜1.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、PおよびFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(14)前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Pを0.01〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(15)前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Pを0.01〜1.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、SnおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(16)前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Znを1.0〜10.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(17)前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Znを1.0〜10.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、P、SnおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(18)前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Siを0.01〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(19)前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Siを0.01〜1.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、P、SnおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、前記(1)記載の銅合金線材の製造方法。
(20)前記銅合金の溶銅に種線を浸漬させた後300秒以内に前記鋳造工程および前記圧延工程を完了させ、かつ前記銅合金線材の中間材を400℃以上の温度で焼入れすることを特徴とする前記(1)〜(19)のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
(21)前記銅合金の原料銅をシャフト炉、反射炉若しくは誘導炉で溶解し、脱酸・脱水素処理を行い、その後合金元素成分を添加し、前記銅合金の溶銅とすることを特徴とする前記(1)〜(20)のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
(22)前記焼入れ前の前記銅合金線材の中間材を前記圧延工程で加熱することを特徴とする前記(1)〜(21)のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
(23)前記種線中の析出物を前記連続鋳造圧延工程で高温化して溶体化処理することを特徴とする、前記(1)〜(22)のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
(24)前記種線を構成する銅合金は、前記溶銅を構成する銅合金と実質的に同一の組成を有することを特徴とする、前記(1)〜(23)のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
(25)析出強化型の銅合金が連続鋳造圧延されて製造される銅合金線材であって、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法で製造されることにより、前記銅合金線材の表面側に前記析出強化型の銅合金の溶銅に由来する成分を有し、前記銅合金線材の中心側に前記銅合金の種線に由来する成分を有することを特徴とする銅合金線材。
(26)析出強化型の銅合金の溶銅中に種線を浸漬させて鋳塊を得る鋳造装置と、前記鋳塊を圧延する圧延装置とを有する銅合金線材を得る銅合金線材の製造装置であって、前記圧延装置による圧延工程の中間工程又は圧延装置の後工程に、焼入れ処理装置を設けたことを特徴とする銅合金材の製造装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、析出強化型銅合金線材(例えばコルソン系合金線材)の製造速度を高くし、コストが大幅に低減できる。この方法によれば低コストで銅合金線材が得られ、本発明はこれらの製造に好適な製造装置を提供することができる。
本発明によれば、ほぼ溶体化状態の銅合金線材が得られ、従来必須であった溶体化処理を省くことができ、かつ、時効工程で十分な金属間化合物の析出が可能となる。
本発明によれば、析出強化型合金で形成された線材に対して、溶体化のための熱処理を別途施すことなく、鋳造工程と圧延工程とを連続的に行う連続鋳造圧延機を用いて溶体化状態の銅合金線材を製造でき、その後析出硬化した析出強化型合金線材を短時間に大量かつ低コストで製造できる。
本発明によれば、断線・ブリスター・溶接不良などの不具合の発生を回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の、コルソン系合金等の析出強化型銅合金を連続鋳造圧延する銅合金線材の製造方法を詳細に説明する。ここで、本発明の代表例として以下にコルソン合金(Cu−Ni−Si系銅合金)の製造方法について示すが、析出強化型銅合金であれば他の合金系についても同様な方法で製造することができる。
本発明の製造方法により得られる線材はコルソン系銅合金等の析出強化型合金からなる。例えば、コルソン系銅合金は、Niを1.0〜5.0質量%、Siを0.25〜1.5質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素を含有するものが一般的である。
Niの含有量を1.0〜5.0質量%に規定する理由は、強度を向上させるため、及び後述するように、連続鋳造圧延工程のうち圧延工程の中間または圧延工程の直後の銅合金線材の中間材について焼入れを行った場合に溶体化処理後の状態(溶体化状態)若しくはそれに近い状態の銅合金線材を得られるようにするためである。1.0質量%未満では十分な強度が得られず、5.0質量%を超えると、圧延工程の中間または圧延工程の直後に焼入れを行っても溶体化状態若しくはそれに近い状態にすることが困難となる。Niの含有量は、好ましくは1.5〜4.5質量%、より好ましくは1.8〜4.2質量%である。
また、Siを0.25〜1.5質量%に規定する理由は、Niと化合物を形成して強度を向上させること、及び上記Niと同様に、圧延工程の中間または圧延工程の直後の銅合金線材の中間材について焼入れを行った場合に溶体化状態若しくはそれに近い状態の銅合金線材を得られるようにするためである。0.25質量%未満では十分な強度が得られず、1.5質量%を超えると、圧延工程の中間または圧延工程の直後に焼入れを行っても溶体化状態若しくはそれに近い状態にすることが困難となる。Siの含有量は、好ましくは0.35〜1.25質量%、より好ましくは0.5〜1.0質量%である。
【0010】
さらに、前記の銅合金は、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、P、FeおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.1〜1.0質量%含有していても良い。これらの金属元素が0.1〜1.0質量%含有されていると、強度が優れるためである。0.1質量%未満ではその効果が十分現れず、1.0質量%を超えると、圧延工程の中間または圧延工程の直後の銅合金線材の中間材について焼入れを行った場合に溶体化状態若しくはそれに近い状態にすることが困難となる。これらの元素の含有量は、好ましくは0.11〜0.8質量%、より好ましくは0.12〜0.6質量%である。
さらにまた、前記の銅合金は、上記Niの含有量の一部あるいは場合によっては全部をCoに代えてもよい。この場合、NiとCoは合計で1.0〜5.0質量%(好ましくは1.5〜4.5質量%、より好ましくは1.8〜4.2質量%)含有される。Coは、Siとの化合物形成の点でNiと同様の作用効果を示し、強度向上に寄与するものである。これらの元素を添加することで時効処理後の線材の特性改善が図れるが、基本的には圧延工程の中間または圧延工程の直後の焼入れ温度に着目することで、例えば、時効処理後の機械的特性(強度)等の性能を制御できることが判明した。
【0011】
また、本発明の銅合金線材の製造方法が適用される銅合金の例として、上述したコルソン合金の他に、(1)Niを0.5〜15.0質量%(好ましくは1.0〜13.0質量%、より好ましくは4.0〜10.0質量%)、Snを0.5〜4.0質量%(好ましくは0.7〜4.0質量%、より好ましくは2.0〜4.0質量%)含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、(2)Niを0.5〜15.0質量%(好ましくは1.0〜13.0質量%、より好ましくは4.0〜10.0質量%)、Snを0.5〜4.0質量%(好ましくは0.7〜4.0質量%、より好ましくは2.0〜4.0質量%)含有し、さらにAg、Mg、Mn、Zn、P、FeおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%(好ましくは0.05〜0.8質量%、より好ましくは0.1〜0.8質量%)含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、(3)Niを0.5〜5.0質量%(好ましくは1.0〜5.0質量%、より好ましくは2.0〜4.5質量%)、Tiを0.1〜1.0質量%(好ましくは0.2〜0.8質量%、より好ましくは0.5〜0.8質量%)含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、(4)Niを0.5〜5.0質量%(好ましくは1.0〜5.0質量%、より好ましくは2.0〜4.5質量%)、Tiを0.1〜1.0質量%(好ましくは0.2〜0.8質量%、より好ましくは0.5〜0.8質量%)、さらにAg、Mg、Mn、Zn、Sn、P、FeおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%(好ましくは0.05〜0.8質量%、より好ましくは0.1〜0.8質量%)含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、(5)Crを0.5〜2.0質量%(好ましくは0.5〜1.5質量%、より好ましくは0.5〜1.2質量%)含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、(6)Crを0.5〜2.0質量%(好ましくは0.5〜1.5質量%、より好ましくは0.5〜1.2質量%)、さらにAg、Mg、Mn、Zn、Sn、PおよびFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%(好ましくは0.05〜0.8質量%、より好ましくは0.1〜0.8質量%)含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、(7)Crを0.5〜2.0質量%(好ましくは0.5〜1.5質量%、より好ましくは0.5〜1.2質量%)、Zrを0.01〜1.0質量%(好ましくは0.1〜1.0質量%、より好ましくは0.2〜0.8質量%)含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、(8)Crを0.5〜2.0質量%(好ましくは0.5〜1.5質量%、より好ましくは0.5〜1.2質量%)、Zrを0.01〜1.0質量%(好ましくは0.1〜1.0質量%、より好ましくは0.2〜0.8質量%)含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、PおよびFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%(好ましくは0.05〜0.8質量%、より好ましくは0.1〜0.8質量%)含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、(9)Feを0.5〜5.0質量%(好ましくは1.0〜4.5質量%、より好ましくは2.0〜4.0質量%)、Pを0.01〜1.0質量%(好ましくは0.1〜0.5質量%、より好ましくは0.2〜0.5質量%)含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、(10)Feを0.5〜5.0質量%(好ましくは1.0〜4.5質量%、より好ましくは2.0〜4.0質量%)、Pを0.01〜1.0質量%(好ましくは0.1〜0.5質量%、より好ましくは0.2〜0.5質量%)含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、SnおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%(好ましくは0.05〜0.8質量%、より好ましくは0.1〜0.8質量%)含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、(11)Feを0.5〜5.0質量%(好ましくは1.0〜4.5質量%、より好ましくは2.0〜4.0質量%)、Znを1.0〜10.0質量%(好ましくは2.0〜10.0質量%、より好ましくは2.0〜8.0質量%)を含有し残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、(12)Feを0.5〜5.0質量%(好ましくは1.0〜4.5質量%、より好ましくは2.0〜4.0質量%)、Znを1.0〜10.0質量%(好ましくは2.0〜10.0質量%、より好ましくは2.0〜8.0質量%)を含有し、さらにAg、Mg、Mn、P、SnおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%(好ましくは0.05〜0.8質量%、より好ましくは0.1〜0.8質量%)を含有し残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成される銅合金、などが挙げられる。
【0012】
次に、本発明の銅合金線材の製造方法について説明する。本発明の製造方法では、析出強化型の銅合金の溶銅をそのプロセスに注湯し、そのプロセスに注湯した溶銅中に銅合金の種線を浸漬させて、その種線の外周に溶融金属を付着させた鋳塊を得、これを圧延して銅合金線材を形成する、いわゆるディップ・フォーミング・プロセスが用いられる。ここで、種線を構成する銅合金の組成は、溶銅を構成する銅合金の組成と実質的に同一とすることでほぼ均質な銅合金線材を得ることができ、種線を構成する銅合金が溶銅を構成する銅合金と異なる組成である場合には、前記銅合金線材の表面側に前記析出強化型の銅合金の溶銅に由来する成分を有し、前記銅合金線材の中心側に前記銅合金の種線に由来する成分を有する銅合金線材を得ることができる。
本発明の銅合金線材の製造方法について、図面を参照して、本発明に係る実施形態の種々の例について説明する。なお、各図において同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。また、以下の実施形態および各実施例において、特に断りのない限り、種線を構成する銅合金の組成と、溶銅を構成する銅合金の組成とは実質的に同一であるものとする。
図1は本発明で採用するディップ・フォーミング・プロセスにおける連続鋳造圧延装置の一例の概略図である。
図1に示すように、電気炉(1)において原料銅を1090〜1150℃で溶解させ、溶銅を溶解炉(1)から樋(2)を通して保持炉(溝型誘導炉若しくは坩堝型誘導炉)(3)へ出湯させた後、保持炉(3)内において1100〜1200℃で滞留させながら、保持炉(3)内の溶銅を、樋(4)を通して誘導加熱炉(5)へ移送する。その後、保持炉(3)若しくは誘導加熱炉(5)にて、添加装置(6)から合金元素成分を固体若しくは液体で添加して、所定の合金組成となるように調整し、溶融させる。
【0013】
前記の銅合金のうちで溶湯としたとき、例えばコルソン合金溶湯は、酸素との親和力が高いSi等を含有するために、溶銅中の酸素ポテンシャルは大変低い状態となっている。それ故に溶銅中の水素ポテンシャルは逆に高い状態となっている。したがって、このような銅合金の場合には予めこの誘導加熱炉中の溶銅の脱水素処理を施すのが好ましい。また、ポーラス・プラグ(7)からバブリングされる気泡により合金溶湯との濡れ性が悪い酸化物が吸着されて除去される。この溶銅中のSi等の酸素との親和力が高い元素の酸化を防止するために、樋(8)の上部空間は不活性ガス若しくは還元性ガスで覆っておくのがよい。しかし、僅かな酸化物でも鋳塊に巻き込まれると得られる線材製品の断線等の不具合を生じる恐れがあるから、好ましくは樋4にセラミックス・フィルター(9)(図2)を設置する。なお、このフィルター(9)直前での樋(4)中の溶銅の流れはレイノルズ数で10000以下であることが好ましく、3000以下であることがより好ましい。
【0014】
保持炉(3)からの溶銅は、樋(4)を通って誘導加熱炉(5)内に連続的に移送され、その溶湯を不活性ガス若しくは還元性ガスでシールされた状態でディップ・フォーミング・プロセスにて炉底部から供給される種線の周囲に溶湯を密着させ銅合金層を形成させ凝固させる。そして、鋳塊の直径が種線の直径を基準として最大約165%となるように鋳塊を形成する。なお、その際に使用する種線は必ずしも溶体化状態である必要はない。この種線は、鋳造・熱間圧延初期の高温状態で溶体化状態となるためである。
この種線の周囲に凝固した鋳塊の温度をできるだけ低下させない状態(好ましくは900℃以上)で、連続熱間圧延機例えば圧延ロール(10)(2方ロール方式、好ましくは3方ロール方式)で所定の線径まで圧延を行い銅合金線材の中間材が得られる。連続鋳造圧延工程については、種線を溶銅内に浸漬した後300秒以内に鋳造工程および圧延工程を完了させるのが好ましい。このようにして得られた銅合金線材、典型的には、前記圧延工程の中間または前記圧延工程の直後における前記銅合金線材の中間材、例えば、圧延工程終了直後の銅合金線材(例えば線径φ8mm)を、600℃以上、好ましくは700℃以上、より好ましくは750℃以上、さらに好ましくは800℃以上の温度から、好ましくは200℃以下に急冷して焼入れを施す。具体的には図示するように焼入れは、連続圧延機の後方に位置する冷却装置(11)(例えば水冷装置)で、金属間化合物が析出しない冷却速度で急冷することにより行う。なお、冷却装置は連続圧延機の中間に設置されていてもよい。本発明の製造方法によれば、ほぼ溶体化状態の銅合金線材を製造することができ、従来の製造方法で必須であった溶体化処理(例えば、900℃で30分保持などの熱処理工程)を省くことができ、かつ、時効工程で十分な金属間化合物の析出が可能となる。上記の冷却速度は、好ましくは100℃/sec以上である。
【0015】
本発明の方法における連続鋳造圧延を行う設備構成の別の例の概略をさらに図面を参照して説明する。
図2に示す装置は、図1の溶解炉が溝型電気炉ではなく、坩堝型誘導炉(12)であり、原料には電気銅以外の工程転回屑などを使用するものである。スクラップを使用する為により積極的に脱酸・脱水素を図る回転脱ガス装置ユニット(13)を設けることが好ましい。
脱酸処理は、次のようにして行うことができる。図1に示す保持炉(3)内に予めガスバーナーなどで加熱させた木炭を投入し、保持炉下部のインダクターからの吐出流で積極的に撹拌することで脱酸を図る。さらに、回転脱ガス装置を用いてより積極的に溶銅を撹拌することで、脱酸が促進する。ここで溶銅中の酸素は粒状木炭と反応して、炭酸ガスとなり、除去される。
脱水素処理は、溶銅を、図1に示した非酸化ガス雰囲気に保持された樋(2)中を上下あるいは左右に迂回させながら通すことで非酸化ガスと接触させる、脱ガス手段によって行うことができる。さらに、回転脱ガス装置から溶銅内に吹き込まれた不活性ガス若しくは還元性ガスによって除去することが出来る。脱水素は、脱酸処理後に行っても、脱酸処理と同時に行ってもよい。
【0016】
図1、2に示す装置では、添加装置(6)から合金元素を誘導加熱炉(3)へ添加し、所定の合金組成となるように調整し、銅合金の溶銅を得ているが、銅合金組成中、Niは原料銅の溶銅比重と比較して大きく、Siは原料銅の溶銅比重と比較して小さいために、静置若しくは層流状態の溶銅流れにNiを投入すると底部に沈殿するし、Siは溶銅表面近傍に高濃度領域を形成するので、沈降するまでに溶解できる細かいNiを添加するか、さらに好ましくは機械、ガス、電磁誘導等により撹拌した状態で粗大なNiやSiを投入するのが好ましい。さらに、より好ましくは添加装置で予め溶解した高濃度溶湯を定量若しくは間欠的に一定量を添加する方法がある。具体的には、坩堝型誘導炉にて溶解後、傾動制御若しくは圧力出湯制御を行う。
また、酸素との親和力のたいへん大きいSiを添加する際に予め溶銅中の酸素濃度を100ppm以下、好ましくは10ppm以下までに低減させることが必要である。何故なら、溶銅中の酸素とSiが反応し、添加材表面にSiO2を形成し連続溶解が阻害されることを回避するためである。
【0017】
さらに図3に示すように、シャフト炉(14)にて連続的に銅を溶解することでさらに生産性を向上させることが出来る。またさらに、電気銅を原料として溶解する際に電気銅からの硫黄(S)の持ち込みを回避できる(弱酸化溶解によりSを除去する)。但し、シャフト炉から製出される溶銅中には高濃度の酸素・水素が含有している。これを連続的に除去するために、脱酸脱水素装置(15)を樋(2)に設置し、酸素・水素を除去(溶銅中酸素:10ppm以下、水素:0.3ppm以下にすることが好ましい)した後に合金元素を添加する。
【0018】
ディップ・フォーミング・プロセスでは、溶銅へ種線を浸漬させる前に真空チャンバー(16)の入側に皮剥きダイス17を設置し、種線を矢印方向に走行させ、種線表面を除去する(図4,5)。しかし、コルソン合金は切削性が悪いために皮剥きダイスを通す際に銅粉や油が付着したままで、溶銅中に浸漬される。この状態では、種線と新生凝固層との間に空隙が発生し、熱間圧延においても圧着することなく素材欠陥として残存し、断線・ブリスター・溶接不良などの不具合が発生する。これを回避すべく図4に示すような皮剥きダイス直後に不活性ガス若しくは還元性ガスを種線表面に高速で吹き付けるガス吹付け(18)を設け、表面の付着物を除去・回収する回収器(19)を使用する。
【0019】
(0020)
また、生産性を向上させる上で長時間の連続鋳造圧延が必要となるが、この皮剥きダイスの磨耗による皮剥き不安定が発生する。不安定な状態では上述の欠陥(断線・ブリスター・溶接不良)が発生する。この現象を早期発見するために、真空チャンバー(16)内に渦流探傷器(20)を設置するのがよい。
【0020】
この長時間製造を可能とするために、皮剥きダイス表面にTiCコーティングを施すことも好ましい。
【0021】
また、二方ロールでは鋳塊を熱間圧延する際の初期3パスにおいて、減面率({(初期鋳塊断面積−3パス圧延後面積)}×100÷初期鋳塊面積)が40%以上、更に好ましくは55%以上の圧下を加えることでポロシティの減少が図れる。三方ロールでは減面率が、20%以上さらに好ましくは30%以上の圧下を加えることでポロシティの減少が図れる。
【0022】
最後に、熱間圧延された材料を焼入れする際に、線材表面に発生した酸化膜(酸化銅、SiO2及びその他添加元素酸化物)を除去することが経済的であるので好ましい。具体的には、アルコールや鉱酸を含む水中に高温線材を強制的に浸漬することで表面酸化物を容易に除去できる。その冷却媒体は静置状態でも特に問題は無いが、乱流状態であることが好ましい。なお、銅合金線材を更に皮剥きする場合には、その手段は特に限定されないが、例えば水中浸漬手段によれば問題なく実施することができる。
種線は、好ましくは直径6〜18mmの銅合金線を用いるが、これに制限されるものではない。
【0023】
本発明によれば、コルソン合金等の析出強化型合金で形成された線材に対して、溶体化のための熱処理を施すことなく、鋳造工程と圧延工程とを連続的に行う連続鋳造圧延機を用いて溶体化状態の銅合金線材を製造でき、その後の一般的な伸線・時効処理を経て、析出硬化したコルソン合金等の析出強化型合金線材を短時間に大量かつ低コストで製造できる。その結果の一例として、従来に比べ安価なワイヤー・ハーネスを大量に供給することができる。
また、本発明によれば、鋳塊の小断面化が図れ、圧延機の小型化が達成できる。
【実施例】
【0024】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
【0025】
(実施例1)
表1に示す合金組成を有する銅合金溶湯と銅合金種線とを用いて、図1で表わしたディップ・フォーミング・プロセスを実現するための連続鋳造圧延装置により銅合金線材を製造した。圧延機については、表1の圧延機の欄に示す圧延ロール10を設けたものを使用した。銅合金線材の線径については、表1の線径の欄に表示の線径とし、ここでは線径が6〜10mmの範囲とした。鋳塊の直径は種線の直径の163%となるようにした。また、鋳塊の直径は、線径が6mmの場合は16.5mm、線径が8mmの場合は22mm、線径が10mmの場合は27.5mmとした。本発明の方法により製造したものをNo.1〜16に示す。焼入れ時の銅合金線材の温度(焼入れ温度)を表1の焼入れ温度の欄に示した。急冷は水中急冷により行い、冷却速度は150℃/secとした。また、焼入れ温度を変えた結果を比較例としてNo.17〜23に示す。なお、No.2、7と同じ組成をもつものにおいて焼き入れ温度を変えた結果が比較例としてNo.17、20に示されている。
ここで、本発明の方法により得られた銅合金線材の評価指標として、以下に説明する溶体化度を用いた。溶体化度は、
[溶体化度=(溶体化状態の導電率÷銅合金線材の導電率)×100]
の式により求めた。この式により求められる溶体化度は、時効処理後の銅合金線材の強度に関連する指標となる。
溶体化状態の導電率は、表1に示す各銅合金線材を、(固相線温度−10℃)の温度で1時間保持し、その後水中急冷を施したものを測定対象として、四端子法により測定した。また、銅合金線材の導電率は、上述の方法により得られた各銅合金線材を四端子法により測定した。これらの値に基づき、上記の式により溶体化度を求めた。
溶体化度が80%以上(好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上)であれば銅合金線材の製造後(時効処理前)に別途溶体化を施す必要がなく、70%以上であれば銅合金線材の要求特性によってはその製造後に別途溶体化を施す必要がなくなる場合があり、70%未満であれば銅合金線材の製造後に別途溶体化を施す必要が生じる。
なお、表1中の圧延機の2方、3方はそれぞれ2方ロール方式圧延機、3方ロール方式圧延機を表す。
【0026】
【表1】

【0027】
表1の結果から明らかなように、比較例No.17〜23はいずれも溶体化度が70%未満と低かった。すなわち、これらの線材はこのままでは強度が低く、別途溶体化処理を施さなければならないことを意味する。
これに対し、本発明の方法により得られた線材No.1〜16はいずれも、溶体化処理をしていないにもかかわらず溶体化度が80%以上と高かった。したがって、本発明によれば、製造工程を短縮でき、コルソン系合金線材を短時間かつ低コストで製造することができる。
【0028】
(実施例2)
図2に表わしたディップ・フォーミング・プロセスにより表2に示す合金組成を有する銅合金を用いた以外は実施例1と全く同様にして表2の圧延機の欄に示す圧延ロールをもつ各種連続鋳造圧延機を使用して表示の線径を有する銅合金線材の製造を行った。種線として直径15mmの銅線を用いた。本発明の方法により製造したものをNo.24〜35に示す。また、No.24、29、30と同じ組成をもつものにおいて焼き入れ温度を変えた結果を比較例としてNo.36〜38に示す。
なお、溶体化度、鋳造機、圧延機については、実施例1と同様に表2中に表記する。表2中の圧延機の2方は2方ロール方式圧延機を表す。
【0029】
【表2】

【0030】
表2の結果から明らかなように、比較例No.36〜38はいずれも溶体化度が70%未満と低かった。すなわち、これらの線材はこのままでは強度が低く、別途溶体化処理を施さなければならないことを意味する。
これに対し、本発明の方法により得られた線材No.24〜35はいずれも、溶体化処理をしていないにもかかわらず溶体化度が80%以上と高かった。したがって、本発明によれば、製造工程を短縮でき、Cu(−Ni)−Co−Si系合金線材を短時間かつ低コストで製造することができる。
【0031】
(実施例3)
図2に表わしたディップ・フォーミング・プロセスにより表3に示す合金組成を有する銅合金を用いた以外は実施例1と全く同様にして表3の圧延機の欄に示す連続鋳造圧延機を使用して表示の線径を有する銅合金線材の製造を行った。種線として直径6mmの銅線を用いた。本発明の方法により製造したものをNo.39〜48に示す。また、No.39、42、43と同じ組成をもつものにおいて焼き入れ温度を変えた結果を比較例としてNo.49〜51に示す。
なお、溶体化度、鋳造機、圧延機については、実施例1と同様に表中に表記する。表3中の圧延機の2方は2方ロール方式圧延機を表す。
【0032】
【表3】

【0033】
表3の結果から明らかなように、比較例No.49〜51はいずれも溶体化度が70%未満と低かった。すなわち、これらの線材はこのままでは強度が低く、別途溶体化処理を施さなければならないことを意味する。
これに対し、本発明の方法により得られた線材No.39〜48はいずれも、溶体化処理をしていないにもかかわらず溶体化度が80%以上と高かった。したがって、本発明によれば、製造工程を短縮でき、Cu−Ni−Sn系合金線材を短時間かつ低コストで製造することができる。
【0034】
(実施例4)
表4に示す合金組成を有する銅合金を用いた以外は実施例1と全く同様にして表4の圧延機の欄に示す連続鋳造圧延機を使用して表示の線径を有する銅合金線材の製造を行った。本発明の方法により製造したものをNo.52〜62に示す。また、No.52、55、56と同じ組成をもつものにおいて焼き入れ温度を変えた結果を比較例としてNo.63〜65に示す。
なお、溶体化度、鋳造機、圧延機については、実施例1と同様に表中に表記する。表4中の圧延機の2方は2方ロール方式圧延機を表す。
【0035】
【表4】

【0036】
表4の結果から明らかなように、比較例No.63〜65はいずれも溶体化度が70%未満と低かった。すなわち、これらの線材はこのままでは強度が低く、別途溶体化処理を施さなければならないことを意味する。
これに対し、本発明の方法により得られた線材No.52〜62はいずれも、溶体化処理をしていないにもかかわらず溶体化度が80%以上と高かった。したがって、本発明によれば、製造工程を短縮でき、Cu−Ni−Ti系合金線材を短時間かつ低コストで製造することができる。
【0037】
(実施例5)
表5に示す合金組成を有する銅合金を用いた以外は実施例1と全く同様にして表5の圧延機の欄に示す連続鋳造圧延機を使用して表示の線径を有する銅合金線材の製造を行った。本発明の方法により製造したものをNo.66〜75に示す。また、No.66、68、69と同じ組成をもつものにおいて焼き入れ温度を変えた結果を比較例としてNo.76〜78に示す。
なお、溶体化度、鋳造機、圧延機については、実施例1と同様に表中に表記する。表5中の圧延機の2方は2方ロール方式圧延機を表す。
【0038】
【表5】

【0039】
表5の結果から明らかなように、比較例No.76〜78はいずれも溶体化度が70%未満と低かった。すなわち、これらの線材はこのままでは強度が低く、別途溶体化処理を施さなければならないことを意味する。
これに対し、本発明の方法により得られた線材No.66〜75はいずれも、溶体化処理をしていないにもかかわらず溶体化度が80%以上と高かった。したがって、本発明によれば、製造工程を短縮でき、Cu−Cr系合金線材を短時間かつ低コストで製造することができる。
【0040】
(実施例6)
表6に示す合金組成を有する銅合金を用いた以外は実施例1と全く同様にして表6の圧延機の欄に示す連続鋳造圧延機を使用して表示の線径を有する銅合金線材の製造を行った。本発明の方法により製造したものをNo.79〜88に示す。また、No.79、81、82と同じ組成をもつものにおいて焼き入れ温度を変えた結果を比較例としてNo.89〜91に示す。
なお、溶体化度、鋳造機、圧延機については、実施例1と同様に表中に表記する。表6中の圧延機の2方は2方ロール方式圧延機を表す。
【0041】
【表6】

【0042】
表6の結果から明らかなように、比較例No.89〜91はいずれも溶体化度が70%未満と低かった。すなわち、これらの線材はこのままでは強度が低く、別途溶体化処理を施さなければならないことを意味する。
これに対し、本発明の方法により得られた線材No.79〜88はいずれも、溶体化処理をしていないにもかかわらず溶体化度が80%以上と高かった。したがって、本発明によれば、製造工程を短縮でき、Cu−Cr−Zr系合金線材を短時間かつ低コストで製造することができる。
【0043】
(実施例7)
表7に示す合金組成を有する銅合金を用いた以外は実施例1と全く同様にして表7の圧延機の欄に示す連続鋳造圧延機を使用して表示の線径を有する銅合金線材の製造を行った。本発明の方法により製造したものをNo.92〜99に示す。また、No.92、94、95と同じ組成をもつものにおいて焼き入れ温度を変えた結果を比較例としてNo.100〜102に示す。
なお、溶体化度、鋳造機、圧延機については、実施例1と同様に表中に表記する。表7中の圧延機の2方は2方ロール方式圧延機を表す。
【0044】
【表7】

【0045】
表7の結果から明らかなように、比較例No.100〜102はいずれも溶体化度が70%未満と低かった。すなわち、これらの線材はこのままでは強度が低く、別途溶体化処理を施さなければならないことを意味する。
これに対し、本発明の方法により得られた線材No.92〜99はいずれも、溶体化処理をしていないにもかかわらず溶体化度が80%以上と高かった。したがって、本発明によれば、製造工程を短縮でき、Cu−Fe−P系合金線材を短時間かつ低コストで製造することができる。
【0046】
(実施例8)
表8に示す合金組成を有する銅合金を用いた以外は実施例1と全く同様にして表8の圧延機の欄に示す連続鋳造圧延機を使用して表示の線径を有する銅合金線材の製造を行った。本発明の方法により製造したものをNo.103〜111に示す。また、No.103、105、106と同じ組成をもつものにおいて焼き入れ温度を変えた結果を比較例としてNo.112〜114に示す。
なお、溶体化度、鋳造機、圧延機については、実施例1と同様に表中に表記する。表8中の圧延機の2方は2方ロール方式圧延機を表す。
【0047】
【表8】

【0048】
表8の結果から明らかなように、比較例No.112〜114はいずれも溶体化度が70%未満と低かった。すなわち、これらの線材はこのままでは強度が低く、別途溶体化処理を施さなければならないことを意味する。
これに対し、本発明の方法により得られた線材No.103〜111はいずれも、溶体化処理をしていないにもかかわらず溶体化度が80%以上と高かった。したがって、本発明によれば、製造工程を短縮でき、Cu−Fe−Zn系合金線材を短時間かつ低コストで製造することができる。
【0049】
(従来例)
表9に示す合金組成を有する銅合金を、表9の圧延機の欄に示す連続鋳造圧延機を使用して表示の線径を有する従来例としての銅合金線材の製造を行った。ここで、従来例の銅合金線材の製造工程が、本発明の実施例および比較例の銅合金線材の製造工程と異なる点は、(1)銅合金線材の中間材に対して焼入れを行わなかった点、(2)圧延工程終了直後の銅合金線材の中間材の温度がすべて250〜400℃の範囲内にあった点、の2点である。表9の焼入れ温度の欄には、焼入れを行わなかったため「****」を記入している。
なお、溶体化度、鋳造機、圧延機については、実施例1と同様に表中に表記する。表9中の圧延機の2方は2方ロール方式圧延機を表す。
【0050】
【表9】

【0051】
表9の結果から明らかなように、従来例No.115〜130はいずれも溶体化度が17〜31%ときわめて低かった。なお、No.10、18、27、30と同じ組成をもつものにおいて従来例としての銅合金線材の製造を行った結果が比較例としてNo.115、116、117、118に示されている。すなわち、これらの線材はこのままでは強度が低く、別途溶体化処理を施さなければならないことを意味する。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の銅合金線材は、自動車用ワイヤー・ハーネスやその他の信号用線、さらには他の用途に適用される線材として好適に用いられる。また、本発明の銅合金線材の製造方法は、前記銅合金線材を製造する方法として好適な方法である。
【0053】
本発明をその実施態様とともに説明したが、本発明者らは特に指定しない限り本発明者らの発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明で用いられるディップ・フォーミング・プロセスを実現するための連続鋳造圧延装置の一例の概略図である。
【図2】本発明で用いられるディップ・フォーミング・プロセスを実現するための連続鋳造圧延装置の他の例の概略図である。
【図3】本発明で用いられるディップ・フォーミング・プロセスを実現するための連続鋳造圧延装置のさらに他の例の概略図である。
【図4】本発明で用いられる装置の概略図である。
【図5】本発明で用いられる装置の他の例の概略図である。
【符号の説明】
【0055】
1 電気炉(溶解炉)
2 樋
3 保持炉(誘導加熱炉)
4 樋
5 誘導加熱炉
6 添加装置
7 ポーラスプラグ
8 樋
9 フィルター
10 圧延ロール
11 冷却(水冷)装置
12 坩堝型誘導炉
13 回転脱ガス装置(ユニット)
14 シャフト炉
15 脱酸脱水素装置
16 真空チャンバー
17 皮剥きダイス
18 ガス吹付
19 回収器
20 過流探傷器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
析出強化型の銅合金の溶銅中に銅合金の種線を浸漬させて鋳塊を得る鋳造工程と、該鋳造工程により得られた前記鋳塊を圧延する圧延工程とを連続的に行う連続鋳造圧延工程により銅合金線材を得る銅合金線材の製造方法であって、前記圧延工程の中間または前記圧延工程の直後における前記銅合金線材を焼入れ処理することを特徴とする銅合金線材の製造方法。
【請求項2】
前記銅合金の溶銅が、Niを1.0〜5.0質量%、Siを0.25〜1.5質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項3】
前記銅合金の溶銅が、Niを1.0〜5.0質量%、Siを0.25〜1.5質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、P、FeおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.1〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項4】
前記銅合金の溶銅が、NiとCoとを合計で1.0〜5.0質量%、Siを0.25〜1.5質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項5】
前記銅合金の溶銅が、NiとCoとを合計で1.0〜5.0質量%、Siを0.25〜1.5質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、P、FeおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.1〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項6】
前記銅合金の溶銅が、Niを0.5〜15.0質量%、Snを0.5〜4.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項7】
前記銅合金の溶銅が、Niを0.5〜15.0質量%、Snを0.5〜4.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、P、FeおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項8】
前記銅合金の溶銅が、Niを0.5〜5.0質量%、Tiを0.1〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項9】
前記銅合金の溶銅が、Niを0.5〜5.0質量%、Tiを0.1〜1.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、P、FeおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項10】
前記銅合金の溶銅が、Crを0.5〜2.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項11】
前記銅合金の溶銅が、Crを0.5〜2.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、PおよびFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項12】
前記銅合金の溶銅が、Crを0.5〜2.0質量%、Zrを0.01〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項13】
前記銅合金の溶銅が、Crを0.5〜2.0質量%、Zrを0.01〜1.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、Sn、PおよびFeからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項14】
前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Pを0.01〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項15】
前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Pを0.01〜1.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、Zn、SnおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項16】
前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Znを1.0〜10.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項17】
前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Znを1.0〜10.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、P、SnおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項18】
前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Siを0.01〜1.0質量%含有し、残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項19】
前記銅合金の溶銅が、Feを0.5〜5.0質量%、Siを0.01〜1.0質量%含有し、Ag、Mg、Mn、P、SnおよびCrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を0.02〜1.0質量%含有し残部がCuおよび不可避的な不純物元素から構成されることを特徴とする、請求項1記載の銅合金線材の製造方法、
【請求項20】
前記銅合金の溶銅を前記移動鋳型に注湯した後300秒以内に前記鋳造工程および前記圧延工程を完了させ、かつ前記銅合金線材の中間材を600℃以上の温度で焼入れすることを特徴とする請求項1〜19のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項21】
前記銅合金の原料銅をシャフト炉、反射炉若しくは誘導炉で溶解し、脱酸・脱水素処理を行い、その後合金元素成分を添加し、前記銅合金の溶銅とすることを特徴とする請求項1〜20のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項22】
前記焼入れ前の前記銅合金線材の中間材を前記圧延工程で加熱することを特徴とする請求項1〜21のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項23】
前記種線中の析出物を前記連続鋳造圧延工程で高温化して溶体化処理することを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項24】
前記種線を構成する銅合金は、前記溶銅を構成する銅合金と実質的に同一の組成を有することを特徴とする、請求項1〜23のいずれか1項に記載の銅合金線材の製造方法。
【請求項25】
析出強化型の銅合金が連続鋳造圧延されて製造される銅合金線材であって、請求項1〜24のいずれか1項に記載の方法で製造されることにより、前記銅合金線材の表面側に前記析出強化型の銅合金の溶銅に由来する成分を有し、前記銅合金線材の中心側に前記銅合金の種線に由来する成分を有することを特徴とする銅合金線材。
【請求項26】
析出強化型の銅合金の溶銅中に種線を浸漬させて鋳塊を得る鋳造装置と、前記鋳塊を圧延する圧延装置とを有する銅合金線材を得る銅合金線材の製造装置であって、前記圧延装置による圧延工程の中間工程又は圧延装置の後工程に、焼入れ処理装置を設けたことを特徴とする銅合金線材の製造装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−91627(P2009−91627A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−263716(P2007−263716)
【出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】