説明

銑鉄製造設備からの排ガス又は合成ガス設備からの排ガスなどの排ガスからCO2を除去するための方法

銑鉄製造設備からの排ガス、又は合成ガス設備からの排ガスなどの排ガス(9)からCOを除去するための方法が示されている。当該方法においては、COは化学吸収及び/又は物理吸収によって除去される。吸収剤を再生するための熱は、少なくとも部分的に、空気分離設備(23)から得られる。それによって、COは排ガスから、圧力スイング吸着法の場合よりも多く、他のガスから分離され得る。そのために、低次のエネルギー担体が付加的に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銑鉄製造設備からの排ガス又は合成ガス設備からの排ガスなどの排ガスからCOを除去するための方法と、対応する設備とに関する。
【背景技術】
【0002】
銑鉄に類似した製品の製造も含めて、銑鉄を製造するための方法には、概ね2つの知られた一般的な方法、すなわち、ブラスト炉法及び溶融還元法がある。
【0003】
ブラスト炉法では、まず銑鉄がコークスを用いて鉄鉱石から製造される。加えて、スクラップを用いても良い。その後、さらなる方法によって、銑鉄から鋼が製造される。鉄鉱石は、塊鉱、ペレット又は焼結物として、還元剤(大抵はコークス、又は石炭も、例えば粉炭注入設備の形態において)及びさらなる成分(石灰岩、スラグ形成融剤)と混合されて、いわゆるバーデン(Moeller)を形成した後、ブラスト炉に装入される。ブラスト炉は冶金反応炉であり、当該冶金反応炉内では、向流において、バーデンカラム(Moellersaeule)が高温空気、いわゆる熱風と反応する。コークス及び石炭からの炭素の燃焼及びガス化によって、反応に必要な熱及び一酸化炭素又は水素が生成される。一酸化炭素は、還元ガスの主要部分であり、バーデンカラムを貫流し、鉄鉱石を還元する。結果として、銑鉄及びスラグが生成され、定期的に排出される。
【0004】
炉頂ガス又はブラスト炉ガス再循環を伴うブラスト炉とも呼ばれる、いわゆる酸素ブラスト炉においては、コークス又は石炭のガス化に際して、酸素(O)の占める割合が90%以上の酸素含有ガスがブラスト炉に注入される。
【0005】
ブラスト炉から排出されるガス、いわゆる炉頂ガス又はブラスト炉ガスのために、ガス浄化装置(例えば、湿式洗浄装置、バッグフィルタユニット又は高温ガスフィルタと組み合わせた粉塵分離装置及び/又はサイクロン)を設けなければならない。さらに、酸素ブラスト炉においては大抵の場合、好ましくはアフタークーラを備えた圧縮機が、ブラスト炉内に返送される炉頂ガスのために設けられるとともに、先行技術による、大抵の場合は圧力スイング吸着法を用いた、COを除去するための装置が設けられる。
【0006】
ブラスト炉法を構成するためのさらなる選択肢は、還元ガスのための加熱装置及び/又は酸素と部分的に燃焼させるための燃焼室である。
【0007】
ブラスト炉の欠点は、使用される材料が満たすべき要求があること、及び二酸化炭素の排出量が多いことである。使用される鉄担体及びコークスは、塊状かつ硬質でなければならないので、吹き込まれる風の貫流を保証するだけの十分な空洞がバーデンカラム中に残存する。COの排出は大きな環境負荷となる。したがって、ブラスト炉の手段を変更するための取り組みがなされている。ここに挙げられるのは、天然ガスに基づく海綿鉄の製造(MIDREX、HYL、FINMET)と、溶融還元法(Corex法及びFinex法)とである。
【0008】
溶融還元においては、その内部で高温の液体金属が生成される溶融ガス化装置と、その内部で鉄鉱石(塊鉱、粉鉱、ペレット、焼結物)の担体が還元ガスによって還元される、少なくとも1つの還元反応器とが用いられる。溶融ガス化装置内の還元ガスは、石炭(及び場合によっては、わずかな割合のコークス)の酸素(90%以上)によるガス化によって生成される。
【0009】
溶融還元法においても、一般的に、
‐ガス洗浄設備(一方では還元反応器からの炉頂ガスのためであり、他方では溶融ガス化装置からの還元ガスのためである)と、
‐好ましくはアフタークーラを備えた、還元反応器に返送される還元ガスのための圧縮機と、
‐先行技術による、大抵の場合は圧力スイング吸着法を用いた、COを除去するための装置と、
‐任意の、還元ガスのための加熱装置及び/又は酸素と部分的に燃焼させるための燃焼室と、
が設けられている。
【0010】
Corexプロセスは、2段階の溶融還元法(英語ではsmelting reduction)である。溶融還元は、直接還元プロセス(鉄から海綿鉄への予備還元)と、溶融プロセス(主還元)とを組み合わせたプロセスである。
【0011】
同様に知られているFinex法は、Corex法に略一致するが、鉄鉱石は粉鉱として装入される。
【0012】
銑鉄を製造する際に大気中に排出されるCOを大幅に減少させる場合、COを銑鉄製造の排ガスから分離し、結合した形態で貯蔵しなければならない(英語ではCO Capture and sequestration(二酸化炭素回収・貯蔵)(CCS))。
【0013】
本発明は、銑鉄製造に際してだけではなく、合成ガス設備においても適用可能である。合成ガスは、合成反応において用いられる水素を含有するとともに、大抵の場合はCOをも含有するあらゆる混合気体である。合成ガスは、固体状、液体状又は気体状物質から生成可能である。特に、石炭ガス化(石炭が水蒸気及び/又は酸素によって、水素とCOとに変換される)及び天然ガスからの合成ガスの製造(メタンが水蒸気及び/又は酸素によって、水素とCOとに変換される)が含まれる。合成ガス設備においても、望ましくないCOが発生するので、COを分離することが重要である。
【0014】
COを分離するために、これまで主として圧力スイング吸着法(英語ではPSA‐Pressure Swing Adsorption)、特に真空圧力スイング吸着法(英語ではVPSA‐Vacuum Pressure Swing Adsorption)が用いられている。圧力スイング吸着法は、圧力下で混合気体を選択的に分解するための物理的方法である。特殊な多孔質材料(例えば、活性酸化ケイ素(SiO)、活性酸化アルミニウム(Al)、ゼオライト、活性炭、又はこれら物質の組合せ)が分子篩として用いられ、それによって、分子の吸着力及び/又は運動直径に応じて、分子が吸着される。PSAでは、気体が表面に吸着する強さが異なることが利用される。当該混合気体は、正確に定められた圧力の下で、カラムに導入される。そこで、望ましくない成分(この場合CO及びHO)は吸着し、有価物質(この場合CO、H、CH)は略支障なくカラム内を貫流する。吸着剤が完全に吸着されるとすぐに、圧力は減少し、カラムは洗浄される。(V)PSA設備を動作させるためには、COを含む供給ガスを圧縮するために電流が必要である。
【0015】
有価物質を含む圧力スイング吸着後の製品ガス流れは、銑鉄製造からの排ガスの場合、依然として約2vol%〜6vol%のCOを含んでいる。しかしながら、(V)PSA設備からの残留ガス流れは依然として、比較的高い割合で銑鉄製造のために失われる還元ガス成分(CO、Hなど)を含んでいる。
【0016】
望ましくない成分を含む圧力スイング吸着法による残留ガス流れは、銑鉄製造からの排ガスにおいて、一般的に以下の組成を有する。
【0017】
【表1】

【0018】
当該残留ガスを熱的に利用することは容易ではない。なぜなら、当該残留ガスは、発熱量が約±50%と低い、及び/又は不安定なので、他の燃料によって補わなければならないからである。残留ガスを、ブラスト炉又は溶融還元の炉頂ガスと混合した場合、残留ガスは、銑鉄製造からの送出ガス(銑鉄製造プロセスから排出される炉頂ガスの部分)の発熱量も減少させることになる。その結果、送出ガスを供給される発電所、例えば複合サイクル発電所(英語ではcombined cycle power plant、略称CCPP)の効率も、高い燃料ガスの圧縮度、及び低いガスタービンの効率のゆえに減少する。蒸気発電所又は暖房ボイラーの場合、燃焼中の火炎温度は低下する。
【0019】
残留ガスからのCOを結合する必要がある場合、当該残留ガスを圧縮しなければならない。それによって、COは一般的に液体の状態で存在する。次に、この液状のCOを貯蔵容器に導入しなければならない。このために大抵の場合、COが液状‐固体状又は超臨界の状態で存在する範囲まで圧力を上昇させなければならない。このとき、COは約1000kg/mの密度を有する。
【0020】
超臨界の状態とは、相図において臨界点の上側の状態であり(図1を参照)、当該状態は、液相の密度と気相の密度との平衡を特徴とする。これら2つの集合状態の間の差異は、当該点において存在しなくなる。
【0021】
このような高圧縮のためには、高出力の多段式圧縮機を用いて、標準密度は、約0℃より大きく、かつ70bar(7,000,000Pa)より大きい、好ましくは室温で80bar〜150barの相境界線レベルに到達する。
【0022】
しかしながら、(V)PSAからの残留ガスは、結合されるのには適していない。なぜなら、当該残留ガスは、COのほかに、比較的大きな割合でCO、H、N、CHなどを有しているからである。一つには、COの割合は、安全性に関する危険を表している。なぜなら、COは漏出した場合に、人間に害を与える(CO中毒)可能性があり、状況によっては燃焼又は爆発を引き起こす可能性があるからである。さらに、COの「不純物」であるCO、Hなどは、エネルギーを得るため、又は還元作業のために失われ、圧縮されたガスの物理的特性に影響を与える。物理的特性は、CO、Hなどの割合が変動するのに合わせて変動し、測定の可能性、圧縮、水溶性及び輸送特性を変動させる。
【0023】
不純物ゆえに、輸送された液化混合気体を新たに圧縮する基地間の距離も短縮しなければならないので、付加的な圧縮機又はポンプと、それらのエネルギー需要とによって、維持費が上昇する。又は、導管に沿った付加的なポンプ若しくは圧縮機の数若しくは出力を減少させるためには、導管内での供給圧力を上昇させなければならない。不純物が液化ガスの輸送に与える影響に関する調査は、ニューカッスル大学によって実施されており、非特許文献1として公開されている。当該影響については、図2に示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0024】
【非特許文献1】P.N.シーヴァム、J.M.レース、M.J.ダウニー(P.N.Seevam, J.M.Race, M.J.Downie)、「テーマA6:二酸化炭素輸送インフラストラクチャ」(Theme A6: CO2 Transport Infrastructure)、[online]、ニューカッスル大学(Newcastle University)、インターネット(URL:http://www.geos.ed.ac.uk/ccs/UKCCSC/Newcastle_2_07.ppt)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
それゆえ、本発明の課題は、銑鉄製造又は合成ガス製造の排ガスから、(V)PSAの場合よりも大規模にCOを他のガスから分離し、しかしそのために、(V)PSAの場合よりも低次のエネルギー担体を付加的に用いることにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本課題は請求項1に記載の方法によって、COを化学的吸収及び/又は物理的吸収によって除去することで解決される。吸収剤を再生するための熱は、少なくとも部分的に(全体であれば最良)、空気分離設備から得られる。
【0027】
「空気分離設備」とは、空気をまず圧縮、液化し、次に各成分(酸素、窒素、希ガス)に分解する設備であると理解される。
【0028】
化学及び/又は物理吸収プロセスの利用によって、銑鉄製造のために回収されたガスCO、H、CHの割合は、(V)PSAの場合に対して増大し、製品ガス中のCOの割合は、大幅に(数ppmvにまで)減少する。
【0029】
すでに存在している設備、ここでは空気分離設備、からの廃熱を利用することは、脱着のためだけに専用のユニットで蒸気を生成することよりも費用の面で有利である。さらに、熱風のような低次のエネルギー担体の利用は、経済面及び環境面から見て、蒸気のような高次のエネルギー担体よりも好ましい。また、動作中の空気分離設備から熱を除去することは、特にCOの除去のために動作している蒸気発生器における蒸気の生成よりも、柔軟に実施可能である。さらに、空気分離設備は、非常に高い利用可能性を有しており、当該利用可能性は銑鉄製造設備の利用可能性よりも高い。
【0030】
したがって、一方の空気分離設備と他方の銑鉄製造又は合成ガス製造との組合せも有利である。なぜなら、空気分離設備内で分離される酸素は、銑鉄製造又は合成ガス製造に利用できるからである。
【0031】
化学吸収及び/又は物理吸収の後の残留ガス流れは、主にCOを含んでおり、HSを除去した後はわずかなHSのみを含むので、当該残留ガス流れを直接大気中に放出すること、及び/又はCOの圧縮のために供給し、その後COを貯蔵すること(英語ではsequestration(隔離)、例えばEOR‐enhanced oil recovery(石油増進回収法)、EGR‐enhanced gas recovery(ガス増進回収法))、及び/又はNの代わりに製鉄及び石炭ガス化に用いることができる。当該残留ガスは主にCOから成るので、装入装置、遮断シール、並びに選択された洗浄ガス及び冷却ガス使用装置に用いることができる。
【0032】
不純物の含有量が少ないので、化学吸収及び/又は物理吸収からの残留ガス流れを、液状‐固体状又は超臨界状態(>73.3bar)にまで圧縮するためのエネルギー消費は、(V)PSAからの残留ガスのためのエネルギー消費よりも、約20%〜30%少ない。したがって、ガス導管において、ガスを新たに圧縮する基地間の距離も増大する。それによって、COの処理のための調達費及び維持費は減少する。
【0033】
圧力スイング吸着法に比べて、化学吸収及び/又は物理吸収は、洗浄されるべきガスにおいてより小さい圧力をもって、COの除去に際してより少ない圧力の低下をもって作用するので、ここでもエネルギーが節約される。VPSAとは異なり、多くのエネルギーを消費する真空圧縮機も不要である。エネルギー消費が少ないということは、とりわけエネルギーに乏しい及び/又はエネルギーが高価である国にとっては有利である。
【0034】
本発明によって洗浄された銑鉄製造若しくは合成ガス製造の排ガス内の可燃性物質の占める割合がより大きくなることによって、設備の生産量は増大するか、若しくはその特有の消費価値は低下し、あるいは、当該ガスが発電所内で燃焼する際にも、発電所の効率がより高くなる。
【0035】
化学吸収法及び/又は物理吸収法のための投資費用は、VPSA設備のための投資費用と比較可能である。しかし、吸収法は大量の熱を必要とする。当該熱を特別に生成しなければならず、すでに存在する熱源を用いては調達できない場合には、当該熱はより高価である。
【0036】
化学吸収法は、分離されるべきガスが吸収剤と強い又は弱い化学結合を、部分的に〜完全に形成することを特徴とする。物理吸収法の場合、分離されるべきガスは、その材料特性を変化させることなく吸収剤中に溶解され、ファンデルワールス力が働く。さらに、化学結合力と物理結合力との両方が用いられる方法で、ハイブリッド洗浄と呼ばれる方法も存在する。
【0037】
本発明に適した様々な化学吸収法が存在する。
【0038】
第1の吸収法は、吸収剤として炭酸カリウムを用いる点を特徴とする。高温炭酸カリウム(英語ではHot potassium carbonate(HPC)又は「ホットポット(Hot Pot)」)が用いられる。当該方法の提供者によっては、炭酸カリウムに様々な物質が添加される。COの分離を高める活性剤、及び、腐食を減少させる防止剤である。この種類の広く普及した方法は、ベンフィールド法という名称で知られており、UOPによって提供される。ベンフィールド法の場合、洗浄されるべきガス1Nm当たり約0.75kgの蒸気が必要である。
【0039】
第2の吸収法は、複数のステップを有するアミン洗浄として知られている。この場合には、第1のステップにおいて、アミンの弱アルカリ性水溶液(大抵はエタノールアミン誘導体)が用いられる。当該水溶液は、酸性ガス、すなわちCOなどを可逆的に化学吸収する。第2のステップにおいて、当該酸性ガスは熱的に(加熱によって)再びアミンから分離され、回収されたアミンは新たに洗浄に用いられる。
【0040】
そのための知られている方法は、UOPのアミンガードFS(Amine Guard FS)法であり、当該方法はCOの含有量を50ppmvにまで減少させるとともに、HS含有量を1ppmvにまで減少させる。当該方法で必要とされる蒸気は、洗浄されるべきガス1Nm当たり約1.05kgである。
【0041】
ジエタノールアミン(DEA)などのアミンは、ベンフィールド法などの、炭酸カリウムを用いる吸収法の活性剤としても用いられる。
【0042】
アミン洗浄には、メチルアミン、モノエタノールアミン(MEA)、及び/又はジグリコールアミン(DGA)などの第1級アミンを用いることができる。
【0043】
アミン洗浄には、第1級アミンに加えて、又は第1級アミンに代えて、ジエタノールアミン(DEA)及び/又はジイソプロパノールアミン(DIPA)を用いても良い。
【0044】
第1級及び/若しくは第2級アミンに加えて、又は第1級及び/若しくは第2級アミンに代えて、トリエタノールアミン(TEA)及び/若しくはメチルジエタノールアミン(MDEA)などの第3級アミンを用いても良い。このために存在する方法は、BASF社のaMDEA法(Linde and Lurgiによって提供)であり、当該方法は、活性メチルジエタノールアミン(MDEA)を利用している。当該方法に必要な蒸気は、洗浄されるべきガス1Nm当たり約0.85kgである。
【0045】
本発明に適した物理吸収法にも様々な方法が存在する。最も重要な、代表的な方法の内のいくつかは、いわゆるPurisol(登録商標)法、Rectisol(登録商標)法、及びSelexol法である。
【0046】
Purisol(登録商標)法では、N‐メチル‐2‐ピロリドン(NMP)が吸収剤として用いられ、吸収剤の再生は、間接熱交換器による蒸気を用いて行われる。必要となる蒸気は、約1417kg/MM scf=約0.050kg/Nmである。この場合、あらゆる種類の熱交換媒体を用いることができる。空気、窒素、蒸気、熱媒油などである。
Rectisol(登録商標)法では、冷却されたメタノール(CHOH)が吸収剤として用いられる。吸収剤の再生は、間接熱交換器による蒸気を用いて行われる。当該吸収剤は、約65℃まで加熱されるに過ぎない。必要となる蒸気は、洗浄されるべきガスに対して、約1157kg/MM scf=約0.041kg/Nmである。この場合、あらゆる種類の熱交換媒体を用いることができる。空気、窒素、蒸気、熱媒油などである。
Selexol法では、吸収剤として、ジメチルエーテルとポリエチレングリコールとの混合物が用いられる。再生は蒸気を用いて行われ、吸収剤が蒸気又は不活性ガス(窒素など)と直接接触することが必要である。
【0047】
本発明に係る方法によって、有利にはブラスト炉、特に炉頂ガス再循環を伴う酸素ブラスト炉からの炉頂ガスにおいて、当該ブラスト炉が主に熱風の代わりに酸素によって動作するので、COを洗浄することが可能である。
【0048】
本発明に係る方法は、溶融還元設備からの排ガスの場合、すなわち:
‐溶融ガス化装置からの排ガス(いわゆる過剰ガス)
‐少なくとも1つの還元反応器からの排ガス
‐酸化鉄及び/又は鉄ブリケットを予熱及び還元するための、少なくとも1つの固定床反応器からの排ガス(いわゆる炉頂ガス)
のうちの少なくとも1つの排ガスのCOの洗浄に、最も良好に利用される。
【0049】
CO除去後のガスの還元成分を、銑鉄製造又は合成ガス製造のためにより良く利用するために、洗浄された排ガスの少なくとも一部が、再び還元ガスとして銑鉄製造に利用される。
【0050】
吸収剤の再生に必要なエネルギーは、空気分離設備からの高温空気を、吸収剤の加熱及び再生のために、熱交換器に導入することによって生成可能である。例えば、主空気圧縮機及び/又は昇圧空気圧縮機からの高温空気を用いても良い。
空気分離設備からの熱は、空気分離設備(主空気圧縮機及び/又は昇圧空気圧縮機)からの高温空気によって加熱される伝熱媒体(水蒸気など)を用いても、吸収剤の再生のために利用できる。このとき、当該伝熱媒体は、例えば閉ループに誘導可能である。
【0051】
本発明に係る方法に対応する装置においては、化学吸収及び/又は物理吸収を用いてCOを除去するための設備が設けられており、吸収剤を再生するための設備の部分は、空気分離設備と接続されているので、空気分離設備内で生成された熱は、少なくとも部分的に、吸収剤の再生に利用することができる。
【0052】
特に、ブラスト炉法の場合には、ブラスト炉、特に炉頂ガス再循環を伴う酸素ブラスト炉からの炉頂ガスを、化学吸収及び/又は物理吸収を用いたCOの除去設備に導入するための導管を設けることが可能である。
【0053】
溶融還元法の場合は、対応して、溶融還元設備からの排ガスを、化学吸収及び/又は物理吸収を用いたCOの除去設備に導入するための導管を少なくとも1つ設けるということになる。
【0054】
これらの導管の内少なくとも1つは、
‐溶融ガス化装置
‐1つ又は複数の還元反応器
‐酸化鉄及び/又は鉄ブリケットを予熱及び/又は還元するための固定床反応器
のうちの少なくとも1つと接続可能である。
【0055】
さらなる実施形態によると、導管が設けられており、当該導管によって、洗浄された排ガスの少なくとも一部を、再び還元ガスとして、銑鉄製造のために返送することが可能である。
【0056】
さらに、少なくとも1つの導管を設けることが可能である。当該導管によって、空気分離設備、特に主空気圧縮機及び/又は昇圧空気圧縮機からの高温空気は、吸収剤を加熱及び再生するために熱交換器に導入される。
【0057】
以下に、本発明を例示的かつ概略的な図面を用いてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】COの相図である。
【図2】ガス中の不純物と、液化ガス輸送時の、この目的のために必要となる圧縮基地との関係を示した図である。
【図3】ブラスト炉と空気分離設備との間の、本発明に係る接続を示した図である。
【図4】溶融還元のための設備と空気分離設備との間の、本発明に係る接続を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1はCOの相図である。水平方向の軸には、温度がK(絶対温度)で、垂直方向の軸には、圧力がbarで示されている(1bar=10Pascal)。
各集合状態(固体又は固体状、液体又は液体状、及び気体又は気体状)は、線によって互いに分離している。
三重点は、固相、液相、及び気相が重なる点である。
超臨界状態(超臨界流体)は、相図において臨界点の上側の状態であり、当該状態は、液相の密度と気相の密度との平衡を特徴としている。これら2つの集合状態の差は、当該点において存在しなくなる。
【0060】
図2には、ガス中の不純物と、液化ガス輸送時に、この目的のために必要となる圧縮基地との関係が示されている。
水平方向の軸には、ガスの体積中の不純物が%で、垂直方向の軸には、圧縮基地間の距離がkmで示されている。
各不純物について、固有の曲線が描かれている。
不純物が10%のとき(図の右端)、圧縮基地の距離に与える影響が最も少ないのがHSであり、次にSO、CH、Ar、Oと続き、さらにNとCOが同値で続き、次にNO、Hと続く。最も大きな影響を与えるのはHであり、この場合、曲線はほとんどゼロに近くなる。
【0061】
図3には、炉頂ガス再循環を伴う酸素ブラスト炉1が示されている。当該酸素ブラスト炉内には、焼結設備2からの鉄鉱石と、コークス(図示されていない)とが供給される。
酸素の含有量が80%を超える酸素含有ガス3は環状導管4に導入され、還元ガス炉6内で加熱された還元ガス5は、低温の又は予熱を行った酸素Oと共に、ブラスト炉1に導入され、スラグ7と銑鉄8とが下方から排出される。ブラスト炉1の頂部側において、炉頂ガス又はブラスト炉ガス9が取り出され、粉塵分離装置又はサイクロン10内で予備洗浄が行われた後、湿式洗浄装置11(又はバッグフィルタ若しくは高温ガスフィルタシステム)内で再度洗浄される。このように洗浄された炉頂ガス又はブラスト炉ガス9は、一方では直接、送出ガス12としてブラスト炉システムから除去されて、送出ガス容器13に供給され、他方では、COの化学吸収のための設備14に供給され得る。この洗浄された炉頂ガス又はブラスト炉ガス9は、まず圧縮機15内で圧縮され(約2barg〜6bargにまで(ブラスト炉ガス圧に応じて))、アフタークーラ16内で約30℃〜60℃にまで冷却される。
【0062】
COの化学吸収のための設備14は、主に吸収装置17とストリッパ18とから成る。この種類の設備は先行技術から知られており、したがってここでは主要特性のみを記載する。吸収装置17内では、洗浄されるべき炉頂ガス又はブラスト炉ガス9が下方から導入される一方で、上方からは、当該ガスの酸性成分(主にCO、HS)を吸収するアミン溶液などの溶液が下方に向かって流れる。ここでは、COは炉頂ガス又はブラスト炉ガスから除去され、洗浄されたガスは再びブラスト炉1に供給される。
吸収した吸収剤は、上方からストリッパ18に導入される。下方領域において、吸収剤溶液は、間接熱交換器を通じて、空気分離設備23からの約250℃〜300℃の高温空気又は蒸気の作用を受け、100℃を超える温度、特に110℃〜120℃にまで加熱され、それによって酸性ガス、特にCOは再び残留ガス20として放出される。残留ガス20は、HS洗浄装置21を経た後、再び大気中に放出されるか、及び/又は、COの液化のためのさらなる圧縮機22に供給される。それによって、残留ガス20は、さらに誘導され、地下などに貯蔵されるか、又は窒素の代わりに、装入装置、遮断シール、並びに選択された洗浄ガス及び冷却ガス使用装置などのために、製鉄又は石炭ガス化において用いられる。
【0063】
送出ガス12の圧力エネルギー含量は、膨張タービン35(英語ではTop gas pressure recovery turbine(炉頂ガス圧力回収タービン))においても利用可能である。当該膨張タービンは、当該例においては、送出ガス容器13の上流に配置されている。
【0064】
ストリッパ18における吸収剤の再生のための熱は、熱交換器19内で生成される。当該熱交換器には、空気分離設備23からの1つ又は2つの高温ガス流れが供給される。1つのガス流れ26は主空気圧縮機24から出発し、約4bar〜12bar、特に約5barの圧力と、約280℃の温度を有し、第2のガス流れ27は昇圧空気圧縮機25から出発し、約5bar〜25bar、特に約23barの圧力と、約200℃の温度を有する。別の選択肢として、まず高温空気から任意の伝熱媒体(水/蒸気、熱媒油、窒素など)に熱交換を行い、引き続いて伝熱媒体から吸収液に熱交換を行うことも可能である。
【0065】
主空気圧縮機24は、約20℃の温度と大気圧とを有する周囲空気を吸い込む。当該周囲空気は、約77%が窒素、約21%が酸素、約1%が水蒸気、約0.9%がアルゴンという構成になっている。
主空気圧縮機24を経た後では、当該空気は約280℃の温度と、約5.2bargの圧力とを有する。
熱交換器19において、空気分離設備23からの空気は、約180℃にまで冷却される。
【0066】
空気分離設備23によって、空気はその成分に分解される。空気は、窒素(78%)、酸素(21%)、アルゴン(0.9%)、及びさらなる希ガスから成る混合気体である。当該空気はまず液化され、次に精留によってその成分に分離される。当該方法はすでに長い間知られているので、ここではその主要特性のみを、本発明にとって重要である場合に限って記載する。
【0067】
第1のステップにおいて、周囲から吸い込まれた空気は、まず主空気圧縮機24において約5.2bargにまで圧縮され、それによって当該空気は約280℃にまで加熱される。本発明によると、次に、このガス流れ26又は任意の伝熱媒体は、COの化学吸収のための設備14の熱交換器19に導入され、当該熱交換器において吸収液を加熱する。
【0068】
主空気圧縮機24に加えて、昇圧空気圧縮機25を設けても良い。当該昇圧空気圧縮機は、主空気圧縮機24内で圧縮され、洗浄塔28及び吸着装置29内で洗浄された空気流れ30の部分流(30%〜60%)をさらに、例えば約23barにまで圧縮し、それによって空気は約200℃にまで加熱される。昇圧空気圧縮機25によって圧縮された空気は、すぐに全てがコールドボックス31に供給されるのではなく、本発明によると、少なくとも一部27がまず熱交換器19に供給され、当該熱交換器内で当該空気は、吸収液を加熱するための熱を放出する。残りの部分はタービンで動作する圧縮機34によって圧縮された後、コールドボックス31に供給される。冷却された空気の一部(主要空気量の約3%〜12%)も、コールドボックス31から再び圧縮機34に再循環される。
【0069】
従来の空気分離では、主空気圧縮機24内で圧縮された空気26は、洗浄のために直接供給されるが、本発明においては、熱交換器19内で冷却される空気は、洗浄塔28内で水によって予冷が行われ、吸着装置29内で粉塵、二酸化炭素、水蒸気及び炭化水素などの不純物が取り除かれる。
【0070】
このようにして洗浄された空気流れ30は、次に、いわゆるコールドボックス31に供給される。コールドボックス31は熱交換器であり、当該熱交換器において、空気流れ30が、精留カラム33からの、より低温の空気32によってさらに冷却される。なぜなら、主空気圧縮機24内での圧縮及び洗浄塔28内での予冷のみでは、空気が液化する(−191℃〜−193℃)温度領域には達しないからである。このために、精留カラム33からの窒素32などの、すでに膨張したガス流れを、圧縮かつ洗浄された空気30の冷却に用いなければならない。それによって、当該空気30は約−180℃に達する。引き続いて行われる膨張弁又は膨張タービン34内での膨張の際に、当該空気は最終的に決定的に冷却され、部分的に液化する。
【0071】
この液化した空気は精留カラム33に導入される。当該精留カラムでは、液化した空気を分離するために、その成分の様々な沸点が利用される。ここでは、アルコール蒸留の場合と同じ原理が関連している。沸点は互いに比較的近い(酸素−183℃、窒素−196℃)ので、蒸留は当該精留カラム33内において、複数段階のプロセスを経て実施される。当該液体空気は、複数の濾板を通過して、液化せずに上昇する空気に対する向流において、下方へ流れる。当該液体は濾板にせき止められ、上昇する蒸気の泡が当該液体を貫流する。このとき、特にガス流れから、比較的沸点の高い酸素が液化し、液滴からは、好ましくはより沸点の低い窒素が蒸発する。それゆえ、精留カラム33のコールドヘッドには、気体状窒素32が集まり、より高温の底部には液体酸素36が集まる。
【0072】
第1の精留ステップの後では、ガスはまだ十分に純粋ではない。この理由から、液体酸素36は少なくとも部分的に、コールドボックス31内で新たに蒸発させられ、気体状窒素は液化され、この両方は再び精留カラム33に供給される。当該精留カラムでは、上記のプロセスは、所望の純度が得られるまで繰り返される。
【0073】
液体酸素36の一部は排出され、貯蔵される。液体窒素45の一部も同様である。コールドボックス31を通過した後に除去されるのは、
‐中圧(約11barg)の気体状窒素、MP GANであって、予め圧縮機内でさらに圧縮される気体状窒素と、
‐中圧(約9barg)の気体状酸素、MP GOXと、
‐高圧の気体状酸素、HP GOXと、
‐低圧の気体状窒素、LP GANと、
である。
【0074】
精留カラム33からの廃棄窒素32の一部は、窒素冷却塔46に供給され、冷却ユニット65によって冷却される。精留カラム33からの、洗浄されていない窒素32の残留部分は、予熱装置66に供給され、吸着装置29の再生に用いられる。熱交換器19内で熱を吸収液に放出した、主空気圧縮機24からの高温空気は、まず冷却され、洗浄塔28内でさらに冷却される。それによって、水蒸気の含有量と望ましくないガス成分とが、さらに削減される。HO/CO除去のための吸着装置29を経た後、洗浄された空気流れ30はコールドボックス31に誘導され、さらに精留カラム33に誘導される。
【0075】
図4は、溶融還元のための設備と空気分離設備23との間の、本発明に係る接続を示している。空気分離設備23は、図3の空気分離設備と同様に構成されており、COの化学吸収のための設備14も同様である。
【0076】
Finex設備として構成された溶融還元設備は、当該例の場合、4つの還元反応器37〜40を有している。当該還元反応器は、流動層反応器として構成されており、粉鉱が装入される。粉鉱と添加剤41とは、鉱石乾燥機42に供給され、当該鉱石乾燥機からまず第4の反応器37に供給され、次に第3の反応器38、第2の反応器39を経て、最終的に第1の反応器40に到達する。流動層反応器37〜40は、4つの代わりに、3つのみでも良い。
【0077】
還元ガス43は、粉鉱に対して向流に誘導される。当該還元ガスは、第1の還元反応器40の底部に導入され、その上面から排出される。当該還元ガスが下方から第2の還元反応器39に流入する前に、酸素Oで加熱される。第2の還元反応器39と第3の還元反応器38との間も同様である。第4の還元反応器37から排出された排ガス44は、湿式洗浄装置47内で洗浄され、送出ガス12としてさらに用いられる。本発明によると、排ガス44の部分流は、COを除去するための吸収装置17に供給される。
【0078】
還元ガス43は、溶融ガス化装置48内で生成される。当該溶融ガス化装置内には、一方では、塊の形態の石炭49と、粉末の形態の石炭50とが、酸素Oと共に供給され、他方では、還元反応器37〜40内で予備還元され、鉄ブリケット製造装置51内で高温の状態において鉄ブリケット(英語ではHCI、Hot Compacted Iron)に形成された鉄鉱石が加えられる。このとき、鉄ブリケットは高温運搬設備52によって、貯蔵容器53内に搬送される。当該貯蔵容器は、固定床反応器として構成されており、当該貯蔵容器内では、鉄ブリケットに対し必要に応じて、溶融ガス化装置48からの、粗く洗浄されたジェネレータガス54による予熱及び還元が行われる。ここでは、低温の鉄ブリケット及び/又は酸化鉄(例えばペレット又は塊鉱の形態で)63を加えることもできる。引き続いて、鉄ブリケット又は酸化鉄は、上方から溶融ガス化装置48内に装入される。低還元率の還元鉄(英語ではLRI、low reduced iron)67も同様に、鉄ブリケット製造装置51から排出可能である。
【0079】
当該石炭は溶融ガス化装置48内でガス化され、主にCOとHとから構成される混合気体が生成され、還元ガス(ジェネレータガス)54として排出され、部分流は還元ガス43として還元反応器37〜40に供給される。
【0080】
溶融ガス化装置48内で溶融された高温金属及びスラグは排出される。矢印56を参照のこと。
【0081】
溶融ガス化装置48から排出されたジェネレータガス54は、まず分離装置57に導入され、共に排出された粉塵を分離し、当該粉塵を、粉塵燃焼器を経由して溶融ガス化装置48に返送する。粗く粉塵を洗浄されたジェネレータガス54の一部は、湿式洗浄装置58によってさらに洗浄され、過剰ガス59としてFinex設備から除去され、本発明によると、設備14の吸収装置17に、COの化学吸収のために供給される。洗浄されたジェネレータガス54のさらなる部分もやはり、湿式洗浄装置60においてさらに洗浄され、冷却のためにガス圧縮機61に供給される。次に、吸収装置17から除去され、COが取り除かれた製品ガス62と混合された後、再び冷却のために、溶融ガス化装置48を経た後のジェネレータガス54に供給される。COが除去されたガス62をこのようにして再循環させることによって、当該ガスに含まれる還元性成分をさらにFinex法に利用することが可能であり、他方では、必要とされる高温のジェネレータガス54の約1050℃から700℃〜870℃までの冷却が保証される。
【0082】
鉄ブリケット又は酸化鉄が、溶融ガス化装置48からの脱塵及び冷却されたジェネレータガス54によって加熱及び還元される貯蔵設備53から排出される炉頂ガス55は、湿式洗浄装置64において洗浄された後、やはりCOの除去のために吸収装置17に供給される。
【0083】
ストリッパ18を経た後の残留ガス20は、再び全て若しくは一部がHS洗浄装置21を経た後、大気中に放出されるか、又は、全て若しくは一部が、圧縮機22によって圧縮された後、COの貯蔵に供給される。
【0084】
送出ガス12は、送出ガス容器13に一時的に貯蔵され得る。任意の膨張タービン35は、送出ガス12内に含まれるエネルギーを利用するために用いられる。
【0085】
ストリッパ18には、予熱が行われた吸収液が供給される。当該吸収液は、少なくとも1つの熱交換器19によって、主空気圧縮機24若しくは昇圧空気圧縮機25を経た後の高温圧縮空気の熱が放出されて、又は伝熱媒体を用いて加熱される。熱交換器19には、図3の場合のように、空気分離設備23からの少なくとも1つの高温ガス流れが供給される。ガス流れ26は主空気圧縮機24から出発し、5bar〜12barの圧力、特に約5.2barの圧力と、約280℃の温度とを有している。第2のガス流れ27は昇圧空気圧縮機25から出発し、20bar〜25barの圧力、特に23barの圧力と、約200℃の温度とを有している。昇圧空気圧縮機25を経た後の圧縮空気は、タービンで動作する圧縮機34によって、36barにまで圧縮される。
【符号の説明】
【0086】
1 ブラスト炉
2 焼結設備
3 酸素含有ガス
4 環状導管
5 還元ガス
6 還元ガス炉
7 スラグ
8 銑鉄
9 炉頂ガス又はブラスト炉ガス
10 粉塵分離装置又はサイクロン
11 湿式洗浄装置
12 送出ガス
13 送出ガス容器
14 COの化学吸収のための設備
15 圧縮機
16 アフタークーラ
17 吸収装置
18 ストリッパ
19 熱交換器
20 ストリッパ18を経た後の残留ガス
21 HS洗浄装置
22 COの液化のための圧縮機
23 空気分離設備
24 主空気圧縮機
25 昇圧空気圧縮機
26 主空気圧縮機24からのガス流れ
27 昇圧空気圧縮機25からのガス流れ
28 洗浄塔
29 吸着装置
30 洗浄された空気流れ
31 コールドボックス
32 精留カラム33からの廃棄窒素
33 精留カラム
34 タービンで動作する圧縮機
35 膨張タービン
36 液体酸素
37 第4の還元反応器
38 第3の還元反応器
39 第2の還元反応器
40 第1の還元反応器
41 粉鉱及び添加剤
42 鉱石乾燥機
43 還元ガス
44 還元反応器37〜40からの排ガス
45 液体窒素
46 窒素冷却塔
47 排ガス44のための湿式洗浄装置
48 溶融ガス化装置
49 塊炭
50 粉末の形態の石炭
51 鉄ブリケット製造装置(HCI設備)
52 高温運搬設備
53 固定床反応器として構成された、酸化鉄及び/又は鉄ブリケットの予熱及び還元のための貯蔵容器
54 溶融ガス化装置48からのジェネレータガス
55 湿式洗浄装置64からの炉頂ガス
56 高温金属及びスラグ
57 粉鉱のための分離装置
58 湿式洗浄装置
59 過剰ガス
60 湿式洗浄装置
61 ガス圧縮機
62 COが取り除かれた、吸収装置17からのガス
63 低温の鉄ブリケット又は酸化物材料
64 湿式洗浄装置
65 冷却ユニット
66 予熱装置
67 低還元率の還元鉄(LRI)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銑鉄製造設備からの排ガス、又は合成ガス設備からの排ガスなどの排ガス(12、44、55、59)からCOを除去するための方法であって、
前記COは、化学吸収及び/又は物理吸収(14)によって除去され、吸収剤を再生するための熱は、少なくとも部分的に空気分離設備(23)から得られることを特徴とする方法。
【請求項2】
吸収剤として炭酸カリウムが用いられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アミン洗浄が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
メチルアミン、モノエタノールアミン(MEA)、及び/又はジグリコールアミン(DGA)などの第1級アミンが用いられることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
ジエタノールアミン(DEA)及び/又はジイソプロパノールアミン(DIPA)などの第2級アミンが用いられることを特徴とする請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
トリエタノールアミン(TEA)及び/又はメチルジエタノールアミン(MDEA)などの第3級アミンが用いられることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ブラスト炉、特に炉頂ガス再循環を伴う酸素ブラスト炉(1)からの炉頂ガス(9)からCOが洗浄されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
溶融還元設備からの排ガス(44、55、59)が洗浄されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
‐溶融ガス化装置(48)からの排ガス(59)、
‐少なくとも1つの還元反応器(37〜40)からの排ガス(44)、及び、
‐酸化鉄及び/又は鉄ブリケットを予熱及び/又は還元するための、少なくとも1つの固定床反応器(53)からの排ガス(55)の内、少なくとも1つの排ガスが洗浄されることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
洗浄された排ガス(62)の少なくとも一部が、再び還元ガスとして銑鉄製造に用いられることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記空気分離設備(23)からの高温空気又は伝熱媒体が、前記吸収剤の加熱及び再生のために熱交換器(19)に導入されることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
主空気圧縮機(24)及び/若しくは昇圧空気圧縮機(25)からの高温空気、又はそれらの廃熱が、伝熱媒体によって用いられることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
CO除去プロセスから得られたCOに富むガスは、製鉄プロセスにおいて、又はCOの処理及び貯蔵のために、代替ガスとして用いられることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
化学吸収及び/又は物理吸収によってCOを除去するための設備(14)が設けられており、吸収剤を再生するための前記設備の部分(18)は、空気分離設備(23)と接続されているので、前記空気分離設備内で生成された熱は、少なくとも部分的に、前記吸収剤の再生に用いられることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法を実施するための装置。
【請求項15】
導管が設けられており、前記導管によって、ブラスト炉、特に炉頂ガス再循環を伴う酸素ブラスト炉(1)からの炉頂ガス(9)が、化学吸収及び/又は物理吸収によってCOを除去するための前記設備(14)に導入され得ることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも1つの導管が設けられており、前記導管によって、溶融還元設備からの排ガス(44、55、59)が、化学吸収及び/又は物理吸収によってCOを除去するための前記設備(14)に導入され得ることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記導管の内少なくとも1つが、
‐溶融ガス化装置(48)、
‐1つ又は複数の還元反応器(37〜40)、
‐酸化鉄及び/又は鉄ブリケットを予熱及び還元するための固定床反応器(53)の内、少なくとも1つの装置と接続されていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
導管が設けられており、前記導管によって、洗浄された排ガスの少なくとも一部(62)が、再び還元ガスとして銑鉄製造のために返送され得ることを特徴とする請求項14から17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
少なくとも1つの導管が設けられており、前記導管によって、前記空気分離設備(23)からの高温空気(26、27)又はその他の伝熱媒体が、前記吸収剤の加熱及び再生のために熱交換器(19)に導入されることを特徴とする請求項14から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
少なくとも1つの導管が設けられており、前記導管によって、主空気圧縮機(24)及び/若しくは昇圧空気圧縮機(25)からの前記高温空気(26、27)又はその他の伝熱媒体が、前記熱交換器(19)に導入され得ることを特徴とする請求項19に記載の装置。
【請求項21】
化学吸収及び/又は物理吸収によってCOを除去するための前記設備(14)は、銑鉄製造のための設備及び/又はCOの処理及び貯蔵のための設備と接続されているので、得られたCOに富むガスは、製鉄プロセスにおいて、及び/又は、COの処理及び貯蔵のために、代替ガスとして用いられ得ることを特徴とする請求項14から20のいずれか一項に記載の装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図1】
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【公表番号】特表2013−504413(P2013−504413A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528342(P2012−528342)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【国際出願番号】PCT/EP2010/063099
【国際公開番号】WO2011/029814
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(595031362)シーメンス・ファオアーイー・メタルズ・テクノロジーズ・ゲーエムベーハー (23)
【出願人】(509004859)レール・リキード・ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード (2)
【Fターム(参考)】