説明

録画装置及び録画システム

【課題】撮像装置によって取得される映像の内、特徴ある映像を抽出して録画することが可能な録画装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る録画装置は、音声判定手段と、音量レベル判定手段と、記録制御手段とを具えている。音声判定手段は、マイクロフォンの出力信号を解析して、該出力信号に人の音声信号が含まれているか否かを判定する。音量レベル判定手段は、マイクロフォンの出力信号に基づいて、該出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいか否かを判定する。記録制御手段は、音声判定手段によりマイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていると判定されると共に、音量レベル判定手段により出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいと判定されたとき、撮像装置から出力される映像信号を記憶媒体に記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダ等、撮像装置によって取得される映像を録画することが可能な録画装置、及び、それを具えた録画システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ドライブレコーダ等の録画装置は、衝撃検知センサが設置された自動車に搭載されて、自動車の移動中に撮像装置から出力される映像信号をバッファに一時的に記録し、事故の発生や急な減速等が原因となって発生した自動車への衝撃が衝撃検知センサによって検知されたとき、検知前後の映像信号をバッファから読み出して不揮発性メモリに記録していた。
【0003】
近年、上記録画装置を、移動中の風景の録画に利用することが考えられている。しかし、単に上記録画装置を利用して移動中の風景を録画したのでは、撮像装置から出力される全映像信号が不揮発性メモリに記録されることになる。このため、該不揮発性メモリとして、容量の大きなものを用意する必要があった。又、撮影後、録画した映像の編集に多くの時間と労力が必要であった。
【0004】
そこで、録画すべき映像を予め登録しておき、該映像を含む映像信号を抽出して不揮発性メモリに記録する録画装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−207842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の録画装置においては、録画すべき映像を予め登録しておく必要がある。このため、録画したい被写体の映像、例えば人物、風景、標識等の映像を予め取得しなければならず、映像として取得できなかった或いは取得していなかった被写体については、それが特徴のあるものであったとしても録画することが出来ない問題がある。
【0007】
又、撮像装置から出力される映像信号に、予め登録した映像が含まれているか否かを判定するためには、複雑な映像解析が必要となる。更には、予め登録した映像を含んだ映像信号を取得するべく、撮像装置の撮影方向を常に変化させておく必要があった。
【0008】
そこで本発明の目的は、撮像装置によって取得される映像の内、特徴ある映像を抽出して録画することが可能な録画装置、及びそれを具えた録画システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る録画装置は、マイクロフォンと、撮像装置と、記憶媒体とがそれぞれ接続又は搭載されて、マイクロフォンの出力信号と、撮像装置から出力される映像信号とを記憶媒体に記録することが可能である。ここで、該録画装置は、音声判定手段と、音量レベル判定手段と、記録制御手段とを具えている。音声判定手段は、マイクロフォンの出力信号を解析して、該出力信号に人の音声信号が含まれているか否かを判定する。音量レベル判定手段は、マイクロフォンの出力信号に基づいて、該出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいか否かを判定する。記録制御手段は、前記音声判定手段によりマイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていると判定されると共に、音量レベル判定手段により出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいと判定されたとき、撮像装置から出力される映像信号を記憶媒体に記録し、前記音声判定手段によりマイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていないと判定され、又は、音量レベル判定手段により出力信号の音量レベルが基準レベルより大きくないと判定されたとき、撮像装置から出力される映像信号を記憶媒体に記録することを停止する。
【0010】
撮像装置の撮影対象に変化が生じて録画装置の周囲に歓声が起こった場合、マイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれると共に、該出力信号の音量レベルは基準レベルより大きくなる。ここで、基準レベルは、人が会話しているときの音量レベルと歓声が起こったときの音量レベルとの間のレベルに設定される。従って、録画装置においては、音声判定手段によりマイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていると判定されると共に、音量レベル判定手段により出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいと判定され、その結果、録画装置による録画が実行されることになる。
【0011】
一方、撮像装置の撮影対象に殆ど変化がなくて録画装置の周囲に歓声が起こっていない場合、マイクロフォンの出力信号には人の音声信号が含まれないか、又は、マイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていたとしても、該出力信号の音量レベルは基準レベルより小さくなる。従って、録画装置においては、音声判定手段によりマイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていないと判定され、又は、音量レベル判定手段により出力信号の音量レベルが基準レベルより大きくないと判定され、その結果、録画装置による録画が停止されることになる。
【0012】
上記録画装置の具体的構成において、前記音声判定手段は、算出手段と、変化点数判定手段とを有する。算出手段は、前記マイクロフォンの出力信号に基づいて、該出力信号のパワー値についての時間に対する変化量を算出する。変化点数判定手段は、算出手段により算出された変化量の内、所定の時間幅の間に存在する極大値であって所定値より大きい変化点の数が所定数より大きいか否か判定する。そして、音声判定手段は、前記変化点数判定手段により前記変化点の数が所定数より大きいと判定されたとき、マイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていると判定し、前記変化点数判定手段により前記変化点の数が所定数より大きくないと判定されたとき、マイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていないと判定する。
【0013】
上記録画装置の他の具体的構成において、該録画装置は、撮像装置から出力される映像信号が一時的に記録される第1バッファと、マイクロフォンの出力信号が一時的に記録される第2バッファとを更に具え、前記音声判定手段は、前記第2バッファに記録されている出力信号を解析して、該出力信号に人の音声信号が含まれているか否かを判定すると共に、前記音量レベル判定手段は、前記第2バッファに記録されている出力信号に基づいて、該出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいか否かを判定する。前記記録制御手段は、前記音声判定手段によりマイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていると判定されると共に、音量レベル判定手段により出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいと判定されたとき、前記第1バッファに記録されている映像信号と、前記第2バッファに記録されている出力信号とを互いに関連付けて記憶媒体に記録する。
該具体的構成によれば、歓声が起こったときの映像が音声と共に録画されることになる。
【0014】
本発明に係る録画システムは、上記録画装置と、該録画装置に接続又は搭載された撮像装置と、該録画装置に接続又は搭載されたマイクロフォンと、該録画装置に接続又は搭載された記憶媒体とを具えている。
【0015】
上記録画システムの具体的構成において、該録画システムは、前記録画装置に接続されると共に移動体に設置されて前記撮像装置の姿勢を変更する姿勢変更手段を更に具えている。前記録画装置の記録制御手段は、該録画装置の音声判定手段によりマイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていると判定されると共に、該録画装置の音量レベル判定手段により出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいと判定されたとき、前記姿勢変更手段を制御することにより撮像装置を移動体内に向けて、撮像装置から出力される映像信号を記憶媒体に所定の時間だけ記録し、その後、前記姿勢変更手段を制御することにより撮像装置を移動体外に向けて、撮像装置から出力される映像信号を記憶媒体に記録する。
該具体的構成によれば、撮像装置の移動体外の撮影対象に変化が生じて移動体内に歓声が起こった場合、移動体内にて歓声を上げている搭乗者の映像が所定の時間だけ録画され、その後、移動体外の撮影対象の映像が録画されることになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る録画装置及び録画システムは、撮像装置によって取得される映像の内、特徴ある映像を抽出して録画することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るドライブレコーダを具えた録画システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、音声解析部の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、マイクロフォンのアナログ出力信号の波形を示す図である。
【図4】図4は、パワー値の変化量の波形を示す図である。
【図5】図5は、制御回路によって実行される記録制御手続きを示すフローチャートである。
【図6】図6は、上記記録制御手続きの変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る録画装置を、自動車に搭載されたドライブレコーダに実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るドライブレコーダを具えた録画システムの構成を示すブロック図である。図1に示す様に、ドライブレコーダ(2)には、自動車内に設置された雲台(3)と、該雲台(3)に取り付けられたカメラ(1)とが接続され、これにより、自動車内に録画システムが構築されている。ここで、雲台(3)は、カメラ(1)の姿勢を、カメラ(1)が自動車内を向いた第1姿勢と、カメラ(1)が自動車外を向いた第2姿勢との間で選択的に変更することが可能である。例えば、カメラ(1)が自動車の前方を向いた姿勢を、カメラ(1)の第2姿勢として設定することが出来る。
【0019】
図1に示す様に、ドライブレコーダ(2)には、ドライブレコーダ(2)の動作を制御する制御回路(5)が配備されており、該制御回路(5)は、CPU(Central Processing Unit)(51)と、RAM(Random Access Memory)(52)と、ROM(Read Only Memory)(53)とから構成されている。ここで、ドライブレコーダ(2)の動作には、カメラ(1)から出力されるアナログ映像信号を、デジタル映像信号に変換して記録メディア(21)又はメモリカード(22)に記録する記録動作が含まれる。
【0020】
制御回路(5)は、ドライブレコーダ(2)に配設されたバス(201)に接続されており、該バス(201)には、カメラ(1)からのアナログ映像信号が入力されて該アナログ映像信号をデジタル映像信号に変換する映像入力部(23)と、該映像入力部(23)から出力されるデジタル映像信号が一時的に記録される映像バッファ(24)と、該映像バッファ(24)に記録されているデジタル映像信号を符号化するAVコーデック(25)と、該AVコーデック(25)により符号化されたデジタル映像信号が記録される記録メディア(21)とが接続されている。又、バス(201)には、メモリカード(22)の接続が可能なカードI/F(インターフェース)(221)が接続されており、AVコーデック(25)により符号化されたデジタル映像信号は、メモリカード(22)に記録されてもよい。
【0021】
バス(201)には更に、音声I/F(75)を介してマイクロフォン(72)が接続されると共に、該マイクロフォン(72)のアナログ出力信号をデジタル化したデジタル出力信号が一時的に記録される音声バッファ(26)と、該音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号を解析する音声解析部(6)とが接続されている。上記AVコーデック(25)は、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号を符号化することも可能である。
【0022】
図2は、音声解析部(6)の構成を示すブロック図である。図2に示す様に、音声解析部(6)には音量レベル判定部(61)が含まれている。音量レベル判定部(61)は、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号に基づいて、該デジタル出力信号に対応するアナログ出力信号の音量レベルが基準レベルL0より大きいか否かを判定し、その判定結果R1を出力する。
【0023】
図3は、マイクロフォン(72)のアナログ出力信号の波形を示す図である。ここで、アナログ出力信号AS1は、人が歓声を上げているときの人の音声をマイクロフォン(72)が取得したときに、該マイクロフォン(72)から出力されるアナログ信号である。アナログ出力信号AS2は、人が会話しているときの人の音声をマイクロフォン(72)が取得したときに、該マイクロフォン(72)から出力されるアナログ信号である。アナログ出力信号AS3は、マイクロフォン(72)が音楽等の音を取得したときに該マイクロフォン(72)から出力されるアナログ信号である。
図3に示す様に、音量レベル判定部(61)の判定の基準となる基準レベルL0は、アナログ出力信号S2の最大音量レベルと、アナログ出力信号S1の最大音量レベルとの間のレベルに設定される。
【0024】
アナログ出力信号AS1をデジタル化したデジタル出力信号DS1が音声バッファ(26)に記録されている場合、音量レベル判定部(61)は、デジタル出力信号DS1に基づいて、アナログ出力信号AS1の音量レベルが基準レベルL0より大きいと判定する(イエス判定)。図3に示す様に最大音量レベルが基準レベルL0より大きいアナログ出力信号AS3をデジタル化したデジタル出力信号DS3が音声バッファ(26)に記録されている場合も同様である。
一方、アナログ出力信号AS2をデジタル化したデジタル出力信号DS2が音声バッファ(26)に記録されている場合、音量レベル判定部(61)は、デジタル出力信号DS2に基づいて、アナログ出力信号AS2の音量レベルが基準レベルL0より大きくないと判定する(ノー判定)。
【0025】
図2に示す様に、音声解析部(6)には更に音声判定部(62)が含まれている。音声判定部(62)は、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号を解析して、該デジタル出力信号に人の音声信号が含まれているか否かを判定し、その判定結果R2を出力する。
【0026】
具体的に音声判定部(62)は、パワー変換部(621)と、変化量算出部(622)と、変化点検出部(623)と、変化点数判定部(624)とから構成されている。
パワー変換部(621)は、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号に基づいて、該デジタル出力信号に対応するアナログ音声信号の音声レベルをパワー値に変換する。ここで、パワー変換部(621)においては、パワー値はデジタルデータとして算出される。
【0027】
変化量算出部(622)は、パワー変換部(621)から出力されるパワー値のデジタルデータに基づいて、図4に示す様に、パワー値についての時間に対する変化量を算出する。ここで、変化量算出部(622)においては、変化量はデジタルデータとして算出される。尚、図4は、パワー値の変化量を視覚化するために該変化量をアナログデータに変換して示した図である。
【0028】
変化点検出部(623)は、変化量算出部(622)から出力されるパワー値の変化量のデジタルデータに基づいて、図4に示す様に変化量が所定値P0より大きい極大値となる変化点Cを検出し、変化点Cが発生した時間に関する時間情報を出力する。
【0029】
変化点数判定部(624)は、変化点検出部(623)から出力される時間情報に基づいて、所定の時間幅T0(図3参照)の間に存在する変換点Cの数が所定数より大きいか否かを判定する。
ここで、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号に人の音声信号が含まれている場合、所定の時間幅T0の間に出現する変化点Cの数が多くなる。一方、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号に人の音声信号が含まれていない場合、所定の時間幅T0の間に出現する変化点Cの数は著しく少なくなる。そして、変化点数判定部(624)の判定の基準となる所定数は、人の音声信号が含まれているデジタル出力信号において所定の時間幅T0の間に出現する変化点Cの数(例えば、平均値)と、人の音声信号が含まれていないデジタル出力信号において所定の時間幅T0の間に出現する変化点Cの数(例えば、平均値)との間に設定される。
【0030】
従って、人の音声信号を含むアナログ出力信号AS1(図3)をデジタル化したデジタル出力信号DS1が音声バッファ(26)に記録されている場合、変化点数判定部(624)は、所定の時間幅T0の間に存在する変化点Cの数が所定数より大きいと判定する。人の音声信号を含むアナログ出力信号AS2(図3)をデジタル化したデジタル出力信号DS2が音声バッファ(26)に記録されている場合も同様である。
一方、人の音声信号を含まないアナログ出力信号AS3(図3)をデジタル化したデジタル出力信号DS3が音声バッファ(26)に記録されている場合、変化点数判定部(624)は、所定の時間幅T0の間に存在する変化点Cの数は所定数より大きくないと判定する。
【0031】
よって、変化点数判定部(624)により、所定の時間幅T0の間に存在する変化点Cの数が所定数より大きいと判定されたとき、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号(即ち、マイクロフォン(72)のアナログ出力信号)に人の音声信号が含まれていると音声判定部(62)により判定されたことになる(イエス判定)。一方、変化点数判定部(624)により、所定の時間幅T0の間に存在する変化点Cの数が所定数より大きくないと判定されたとき、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号(即ち、マイクロフォン(72)のアナログ出力信号)に人の音声信号が含まれていないと音声判定部(62)により判定されたことになる(ノー判定)。
【0032】
制御回路(5)は、上述した音声解析部(6)に対して、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号の解析を指令し、指令を受けた音声解析部(6)から出力される2つの判定結果R1,R2に基づいて、デジタル映像信号の記録動作の実行/停止を制御する。
【0033】
図1に示す様に、バス(201)には更に又、雲台(3)の姿勢を制御して、カメラ(1)の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間で変更する雲台制御部(31)が接続されている。
【0034】
尚、本実施形態のドライブレコーダ(2)には、音声を出力するスピーカ(71)と、設定画面や映像等を表示する表示デバイス(73)と、操作指令を入力するための入力デバイス(74)とが配備されている。スピーカ(71)は、音声I/F(75)を介してバス(201)に接続され、表示デバイス(73)は映像出力部(76)を介してバス(201)に接続され、入力デバイス(74)はユーザI/F(77)を介してバス(201)に接続されている。
【0035】
次に、上記ドライブレコーダ(2)の録画動作、即ち、制御回路(5)によって実行される記録制御手続きを、図5に示すフローチャートに沿って説明する。この記録制御手続きでは、時刻が入力されるべき変数tが設定されている。
【0036】
記録制御手続きが開始されると、先ず、ステップS11において制御回路(5)は、記録制御手続きの開始時刻t0を変数tに入力する。次に、ステップS12において制御回路(5)は、変数tに入力されている時刻から所定の時間xが経過したか否かを判断する。具体的には、制御回路(5)は、変数tに入力されている時刻と所定の時間xとを加算した時刻(t+x)と、現在時刻とが等しいか否かを判定する。
【0037】
現在時刻が時刻(t+x)に到達しておらず、ステップS12にてノーと判定された場合、再びステップS12にて現在時刻が時刻(t+x)に等しいか否かが判定され、ステップS12にてイエスと判定される迄、ステップS12が繰り返し実行される。
一方、現在時刻が時刻(t+x)に到達して、ステップS12にてイエスと判定された場合、制御回路(5)は、記録制御手続きをステップS13に移行させて、変数tを時刻(t+x)によって書き換える。
【0038】
ステップS13の実行後のステップS14において、制御回路(5)は、音声解析部(6)に対して、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号の解析を指令する。制御回路(5)から指令を受けた音声解析部(6)は解析を実行し、これにより、音量レベル判定部(61)からは判定結果R1が出力され、音声判定部(62)からは判定結果R2が出力されることになる。
【0039】
次にステップS15において、制御回路(5)は、音量レベル判定部(61)から出力された判定結果R1を受信する。受信した判定結果R1がノー判定の場合、制御回路(5)は、記録制御手続きをステップS20に移行させて、デジタル映像信号の記録動作を停止し、或いは、既に記録動作が停止している場合にはその停止状態を継続させる。
【0040】
ステップS15において受信した判定結果R1がイエス判定の場合、制御回路(5)は、ステップS16において、音声判定部(62)から出力された判定結果R2を受信する。受信した判定結果R2がノー判定の場合、制御回路(5)は、記録制御手続きをステップS20に移行させて、デジタル映像信号の記録動作を停止し、或いは、既に記録動作が停止されている場合にはその停止状態を継続させる。
【0041】
ステップS16において受信した判定結果R2がイエス判定の場合、制御回路(5)は、記録制御手続きをステップS17に移行させて、デジタル映像信号の記録動作を実行し、或いは、既に記録動作が実行されている場合にはその記録動作を継続させる。具体的には、制御回路(5)は、映像バッファ(24)に記録されているデジタル映像信号と、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号とを、互いに関連付けて記録メディア(21)又はメモリカード(22)に記録する。
【0042】
続いて、ステップS18において制御回路(5)は、記録時間が所定の時間yに等しいか否かを判定する。記録時間が所定の時間yに到達しておらず、ステップS18にてノーと判定された場合、再びステップS18にて記録時間が所定の時間yに等しいか否かが判定され、ステップS18にてイエスと判定される迄、ステップS18が繰り返し実行される。
一方、記録時間が所定の時間yに到達して、ステップS18にてイエスと判定された場合、制御回路(5)は、記録制御手続きをステップS19に移行させて、デジタル映像信号の記録動作を停止すると共に、変数tを時刻(t+y)によって書き換える。
【0043】
ステップS19の実行後、ステップS21において制御回路(5)は、入力デバイス(74)から撮影を停止する撮影停止指令が入力されたか否かを判定する。入力デバイス(74)からの撮影停止指令の入力がなくて、ステップS21にてノーと判定された場合、制御回路(5)は、記録制御手続きをステップS12に戻し、再びステップS12〜S21を実行する。そして、ステップS21にてイエスと判定される迄、制御回路(5)は、ステップS12〜S21を繰り返し実行する。
一方、入力デバイス(74)から撮影停止指令が入力されて、ステップS21にてイエスと判定された場合、制御回路(5)は記録制御手続きを終了させる。
【0044】
カメラ(1)の撮影対象(例えば自動車外の風景)に変化が生じて自動車内に歓声が起こった場合、マイクロフォン(72)のアナログ出力信号に人の音声信号が含まれると共に、該アナログ出力信号の音量レベルは基準レベルL0より大きくなる。従って、音声解析部(6)から出力される2つの判定結果R1,R2は何れもイエス判定となる。よって、上記記録制御手続きによれば、ドライブレコーダ(2)による録画が所定の時間yだけ実行されることになる。
【0045】
一方、カメラ(1)の撮影対象に殆ど変化がなくて自動車内に歓声が起こっていない場合、マイクロフォン(72)のアナログ出力信号には人の音声信号が含まれないか、又は、マイクロフォン(72)のアナログ出力信号に人の音声信号が含まれていたとしても、該アナログ出力信号の音量レベルは基準レベルL0より小さくなる。従って、音声解析部(6)から出力される2つの判定結果R1,R2の内、何れか一方の判定結果がノー判定となる。よって、上記記録制御手続きによれば、ドライブレコーダ(2)による録画が停止されることになる。
【0046】
従って、上記ドライブレコーダ(2)は、カメラ(1)によって取得される映像の内、歓声が起こったときの特徴ある映像を抽出して録画することが可能である。
【0047】
又、上記ドライブレコーダ(2)においては、映像バッファ(24)に記録されているデジタル映像信号と、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号とが、互いに関連付けられて記録メディア(21)又はメモリカード(22)に記録される。従って、上記ドライブレコーダ(2)によれば、歓声が起こったときの特徴ある映像が音声と共に録画されることになる。
【0048】
図6は、制御回路(5)によって実行される上記記録制御手続きの変形例を示すフローチャートである。図6に示す様に、本変形例においては、ステップS16において受信した判定結果R2がイエス判定の場合、制御回路(5)は、記録制御手続きをステップS31に移行させて、雲台制御部(31)に第1制御指令を送信する。該第1制御指令を受けた雲台制御部(31)は、雲台(3)を制御して、カメラ(1)の姿勢を第1姿勢に変更する。これにより、カメラ(1)は自動車内を向くことになる。
【0049】
その後、ステップS32において制御回路(5)は、デジタル映像信号の記録動作を実行し、或いは、既に記録動作が実行されている場合にはその記録動作を継続させる。具体的には、制御回路(5)は、映像バッファ(24)に記録されているデジタル映像信号と、音声バッファ(26)に記録されているデジタル出力信号とを、互いに関連付けて記録メディア(21)又はメモリカード(22)に記録する。
【0050】
続いて、ステップS33において制御回路(5)は、記録時間が所定の時間z1に等しいか否かを判定する。記録時間が所定の時間z1に到達しておらず、ステップS33にてノーと判定された場合、再びステップS33にて記録時間が所定の時間z1に等しいか否かが判定され、ステップS33にてイエスと判定される迄、ステップS33が繰り返し実行される。
一方、記録時間が所定の時間z1に到達して、ステップS33にてイエスと判定された場合、制御回路(5)は、記録制御手続きをステップS34に移行させて、雲台制御部(31)に第2制御指令を送信する。該第2制御指令を受けた雲台制御部(31)は、雲台(3)を制御して、カメラ(1)の姿勢を第2姿勢に変更する。これにより、カメラ(1)は自動車外を向くことになる。
【0051】
その後、ステップS35において制御回路(5)は、デジタル映像信号の記録動作を継続させる。続いて、ステップS36において制御回路(5)は、ステップS34にて第2制御信号を送信してからの記録時間が所定の時間z2に等しいか否かを判定する。記録時間が所定の時間z2に到達しておらず、ステップS36にてノーと判定された場合、再びステップS36にて記録時間が所定の時間z2に等しいか否かが判定され、ステップS36にてイエスと判定される迄、ステップS36が繰り返し実行される。
一方、記録時間が所定の時間z2に到達して、ステップS36にてイエスと判定された場合、制御回路(5)は、記録制御手続きをステップS37に移行させて、デジタル映像信号の記録動作を停止すると共に、変数tを時刻(t+z1+z2)によって書き換える。
【0052】
ステップS37の実行後、制御回路(5)は、記録制御手続きをステップS21に移行させる。
【0053】
上記変形例に係る記録制御手続きによれば、カメラ(1)の自動車外の撮影対象(例えば自動車外の風景)に変化が生じて自動車内に歓声が起こった場合、カメラ(1)が自動車内に向けられて、自動車内にて歓声を上げている搭乗者の映像が所定の時間z1だけ録画され、その後、カメラ(1)が自動車外に向けられて、自動車外の撮影対象の映像が所定の時間z2だけ録画されることになる。
【0054】
尚、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
上記実施形態においては、カメラ(1)はドライブレコーダ(2)に接続されていたが、本発明にこれに限られるものではない。例えば、カメラ(1)は、ドライブレコーダ(2)に内蔵されていてもよい。この場合、雲台(3)には、ドライブレコーダ(2)が取り付けられることになる。
【0055】
上記実施形態においては、マイクロフォン(72)はドライブレコーダ(2)に内蔵されていたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、マイクロフォン(72)は、ドライブレコーダ(2)に外部から接続されるものであってもよい。
【0056】
マイクロフォン(72)のアナログ出力信号、又はこれをデジタル化したデジタル出力信号に人の音声信号が含まれているか否かを判定する手段には、上述した音声判定部(62)に限らず、種々の音声判定手段を用いることが出来る。
【0057】
又、自動車に、事故の発生や急な減速等が原因となって発生した自動車への衝撃を検知する衝撃検知センサを設置し、上記ドライブレコーダ(2)は、衝撃検知センサにより衝撃が検知されたとき、検知前後の映像信号を映像バッファ(24)から読み出して記録メディア(21)又はメモリカード(22)に記録してもよい。
【0058】
上記ドライブレコーダ(2)は、自動車に限らず、自転車や自動2輪車等、種々の移動体に搭載することが出来る。又、上記ドライブレコーダ(2)に採用した各種構成は、自動車、自転車、自動2輪車等の移動体に搭載される種々の録画装置に適用することが出来る。又、上記ドライブレコーダ(2)に採用した各種構成は、ビデオカメラ等、携帯用の録画装置に適用することが出来る。
【符号の説明】
【0059】
(1) カメラ(撮像装置)
(2) ドライブレコーダ(録画装置)
(21) 記録メディア(記憶媒体)
(22) メモリカード(記憶媒体)
(24) 映像バッファ(第1バッファ)
(26) 音声バッファ(第2バッファ)
(3) 雲台(姿勢変更手段)
(5) 制御回路(記録制御手段)
(6) 音声解析部
(61) 音量レベル判定部(音量レベル判定手段)
(62) 音声判定部(音声判定手段)
(622) 変化量算出部(算出手段)
(624) 変化点数判定部(変化点数判定手段)
(72) マイクロフォン
L0 基準レベル
C 変化点
T0 所定の時間幅
P0 所定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフォンと、撮像装置と、記憶媒体とがそれぞれ接続又は搭載されて、マイクロフォンの出力信号と、撮像装置から出力される映像信号とを記憶媒体に記録することが可能な録画装置において、
マイクロフォンの出力信号を解析して、該出力信号に人の音声信号が含まれているか否かを判定する音声判定手段と、
マイクロフォンの出力信号に基づいて、該出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいか否かを判定する音量レベル判定手段と、
前記音声判定手段によりマイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていると判定されると共に、前記音量レベル判定手段により出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいと判定されたとき、撮像装置から出力される映像信号を記憶媒体に記録し、前記音声判定手段によりマイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていないと判定され、又は、音量レベル判定手段により出力信号の音量レベルが基準レベルより大きくないと判定されたとき、撮像装置から出力される映像信号を記憶媒体に記録することを停止する記録制御手段
とを具えていることを特徴とする録画装置。
【請求項2】
前記音声判定手段は、
前記マイクロフォンの出力信号に基づいて、該出力信号のパワー値についての時間に対する変化量を算出する算出手段と、
該算出手段により算出された変化量の内、所定の時間幅の間に存在する極大値であって所定値より大きい変化点の数が所定数より大きいか否か判定する変化点数判定手段
とを有し、前記変化点数判定手段により前記変化点の数が所定数より大きいと判定されたとき、マイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていると判定し、前記変化点数判定手段により前記変化点の数が所定数より大きくないと判定されたとき、マイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていないと判定する請求項1に記載の録画装置。
【請求項3】
撮像装置から出力される映像信号が一時的に記録される第1バッファと、マイクロフォンの出力信号が一時的に記録される第2バッファとを更に具え、前記音声判定手段は、前記第2バッファに記録されている出力信号を解析して、該出力信号に人の音声信号が含まれているか否かを判定すると共に、前記音量レベル判定手段は、前記第2バッファに記録されている出力信号に基づいて、該出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいか否かを判定し、
前記記録制御手段は、前記音声判定手段によりマイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていると判定されると共に、前記音量レベル判定手段により出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいと判定されたとき、前記第1バッファに記録されている映像信号と、前記第2バッファに記録されている出力信号とを互いに関連付けて記憶媒体に記録する請求項1又は請求項2に記載の録画装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の録画装置と、該録画装置に接続又は搭載された撮像装置と、該録画装置に接続又は搭載されたマイクロフォンと、該録画装置に接続又は搭載された記憶媒体とを具える録画システム。
【請求項5】
前記録画装置に接続されると共に移動体に設置されて、前記撮像装置の姿勢を変更する姿勢変更手段を更に具え、
前記録画装置の記録制御手段は、該録画装置の音声判定手段によりマイクロフォンの出力信号に人の音声信号が含まれていると判定されると共に、該録画装置の音量レベル判定手段により出力信号の音量レベルが基準レベルより大きいと判定されたとき、前記姿勢変更手段を制御することにより撮像装置を移動体内に向けて、撮像装置から出力される映像信号を記憶媒体に所定の時間だけ記録し、その後、前記姿勢変更手段を制御することにより撮像装置を移動体外に向けて、撮像装置から出力される映像信号を記憶媒体に記録する請求項4に記載の録画システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−77636(P2011−77636A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224476(P2009−224476)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】