鍛造作業のガイダンス装置及びこの装置を用いた鍛造方法
【課題】鍛造ワーク画像と設計データとを重ね合わせた重合画像を表示することで、鍛造作業者に対し作業指針を与えることを可能とする。
【解決手段】本ガイダンス装置は、鍛造ワーク1の画像を撮像する撮像手段2と、この撮像手段2で撮像した鍛造ワーク画像と設計データに基づく形状モデルとを両者の形状差異が明確になるように重ね合わせた重合画像を作成する信号処理部3と、該重合画像を表示し鍛造作業者に対して作業指針を与えることを可能とする表示部4と、を有する。
【解決手段】本ガイダンス装置は、鍛造ワーク1の画像を撮像する撮像手段2と、この撮像手段2で撮像した鍛造ワーク画像と設計データに基づく形状モデルとを両者の形状差異が明確になるように重ね合わせた重合画像を作成する信号処理部3と、該重合画像を表示し鍛造作業者に対して作業指針を与えることを可能とする表示部4と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍛造作業のガイダンス装置及びこの装置を用いた鍛造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、大型の鍛造ワーク、例えば、大型船舶のエンジンに用いられるクランクスロー部材などは、鍛造加工により略所定の形状に加工され、その後、製品形状とすべく切削加工が施される。
鍛造加工は、加熱炉により高温(約1000℃)に加熱されたインゴット(鍛造ワーク)をプレス機の下に設置し、この鍛造ワークが所定の寸法や形状になるようにプレス作業を行う。かかる鍛造作業での形状確認は、熟練したプレス機オペレータの目視によることが多く、補助的に、鍛造ワークに対してひな型を当てる「型あて」をすることで見当をつけたり、鍛造作業者が赤熱状態の鍛造ワークに近づいて、パスなどを当該鍛造ワークに接触させて所定位置の寸法を測定し、その上でけがき作業を行っていた。
【0003】
特に、「鍛造ワークの折り曲げ」など形状を大きく変化させる位置を決めるときは、複数の鍛造作業者が実寸大のひな型を持って、赤熱状態の鍛造ワークに近づき、鍛造ワークとひな型とを合わせながら、別の鍛造作業者が鍛造品の所定位置にケガキを入れといった、労力のいる作業を行っていた。この作業は酷暑環境で行われるために、作業者によるばらつきも多く安定したけがき作業が行いづらいものであった。
加えて、けがき線は、けがいた時点では正確な寸法・位置を示しているが、プレスを1回でも施した場合には、上下又は左右方向に鍛造ワークが塑性変形するために、当該けがき線はそれ以降は参考程度のものとなっていた。
【0004】
このような大型の鍛造ワークの鍛造作業で発生する問題点を解決するために、数々の技術が開発されている。
特許文献1には、前述した「鍛造作業者が赤熱状態の鍛造ワークに近づいて、パスなどを当該鍛造ワークに接触させて寸法計測を行う」ことを解決するための技術が開示されている。
すなわち、特許文献1の技術は、目盛りをつけたスケール等を測定位置に配置した上で、予めテレビカメラで撮影しておき、その後、鍛造作業中の鍛造ワークを該撮影位置に設置してテレビカメラで撮影し、両撮影画像を重ね合わせることで、鍛造ワークと目盛り付きスケールを重合し、遠隔で所望する部分の寸法を測定するものである。
【0005】
また、鍛造や機械加工において、設計データとのズレ確認作業を、型当てなどを行わずに遠隔で且つ効率的に行うものとしては、特許文献2や特許文献3に記載された技術がある。
特許文献2に開示された技術は、CADシステムに関するものであって、3次元設計データから得られた寸法公差データと、3次元測定器から得られたワークの3次元実測データとを各点(部位)ごとに照合し合否を出して、その結果をそれぞれの点の位置で視覚的に判定可能に表示するものである。
【0006】
特許文献3に開示された鍛造作業の支援装置は、設計3次元データと実測3次元データとを比較して歪パターンを調べ、この歪パターンを無くすためにもっとも適した歪取り条件データを支援データベースから読みだした上で表示するものである。
【特許文献1】特開昭53−143254号公報
【特許文献2】特開2000−235594号公報
【特許文献3】特開2004−77138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術を用いた場合、目盛り付きのスケールを作成する必要があり、それらの作成には多くのコストや時間を費やすことになる。また、鍛造ワークが大型であるため、該目盛り付きスケールは大きくて重いものとなりその設置には大変な労力を要する。
特許文献2や特許文献3の技術に関しては、鍛造ワークが大型である場合には、膨大な3次元データやそれを格納可能なデータベースを用意する必要があり、装置自体が大がかりでコストが嵩むものとなってしまう。加えて、鍛造ワークが規格品ではなく、それぞれの形状が異なるものであった場合(例えば受注生産品)には、各製品ごとに大がかりなデータベースが必要となる。したがって、かかる装置を、各製品ごとに形状が異なると共に大型であるクランクスロー部材などの鍛造に適用することは不向きである。
【0008】
そもそも、大型鍛造ワークの鍛造作業は、前述の如く、熟練したプレス機オペレータの目視による部分が大きいため、鍛造ワークと設計データとを重ね合わせ、その形状差異をプレス機オペレータに対して明確に示すことが非常に重要であって、その形状差異情報により、プレス機オペレータは、全体形状の確認を行いつつ以降の作業を効率的に行うことができるようになる。しかしながら鍛造ワークと同寸の設計図面やひな形を準備するのは困難であり、随時重ね合わせることは不可能に近い。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、同一画面上で鍛造ワーク画像と設計データとを重ね合わせることで、鍛造作業者に対し作業指針を与えることが可能とする鍛造作業のガイダンス装置と、同装置を用いた鍛造作業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、鍛造作業中である鍛造ワークの画像を撮像する撮像手段と、この撮像手段で撮像した鍛造ワーク画像と設計データに基づく形状モデルとを両者の形状差異が明確になるように重ね合わせた重合画像を作成する信号処理部と、この信号処理部が出力する重合画像を表示して鍛造作業者に対して作業指針を与えることを可能とする表示部と、を有する。
この技術的手段によれば、信号処理部において、撮像手段を介して得られた鍛造ワークの画像と、設計データに基づく形状モデルとを重ね合わせた重合画像を作ることができる。この重合画像には、鍛造ワーク画像と形状モデルとのズレ位置やズレ量が一目瞭然に現れるものとなっており、鍛造ワークに同尺(1/1尺)の設計図面を重ね合わせた状態をバーチャルに実現させたものとなっている。
【0010】
かかる重合画像を表示部に表示し、鍛造作業者がその画像を見ることで、「今後、どの部分をプレスすべきか」や「どの部分にけがき線を入れるべきか」等の作業指針を得ることができるようになる。
なお、詳しくは、前記信号処理部は、撮像手段で撮像した鍛造ワーク画像を格納する撮像部と、前記撮像手段から鍛造ワークまでの距離を測定する距離測定部と、この距離測定部が算出した撮像手段と鍛造ワークとの間の距離に基づき、形状モデルの大きさを所定の倍率で変更し前記撮像部に格納されている鍛造ワーク画像に重ね合わせ、両者の形状差異が明確となるように重合画像を作成する重ね合わせ部と、を備えており、この重ね合わせ部からの出力である形状差異を含む重合画像を前記表示部に表示させるものとなっている。
【0011】
前述した如く、撮像手段を介して得られた鍛造ワーク画像と、設計データに基づく形状モデルとを重ね合わせた重合画像を作る場合には、まず、鍛造ワーク画像と形状モデルとの倍率が同じになっている必要がある。そのためには、撮像手段と鍛造ワークの間の距離を正確に知る必要がある。本技術的手段の場合は、距離測定部において、撮像手段と鍛造ワークとの間の距離Lを確実に求めることができる。
この距離Lを用いた上で、重ね合わせ部において、形状モデルに所定の倍率をかけてその大きさを変更し、その上で前記撮像部から出力された鍛造ワーク画像に重ね合わせ、両者の形状差異が明確となるように重合画像を作成することが可能となる。
【0012】
当然ながら、以上の技術的手段を備えた装置の表示部に表示される重合画像から、鍛造作業者が鍛造ワークと設計データとの形状差異を確認し、該形状差異が無くなるように以降の鍛造作業を行うことは非常に好ましい。
また、本発明における課題解決のための技術的手段として、前記信号処理部は、鍛造ワークと形状モデルとの形状差異の実際寸法を算出する寸法測定部を有しており、この寸法測定部の出力結果が前記表示部に表示されることを特徴とする。
この技術的手段によれば、寸法測定部により算出された鍛造ワークと形状モデルとの形状差異の実際寸法が表示部に表示され、これを見ることでプレス回数などを決めるなど作業指針を容易に決定することができるようになる。
【0013】
なお好ましくは、前記寸法測定部は、表示部の鍛造ワーク画像上で指定された2点間の実際寸法を算出し、該算出結果を表示部に表示するとよい。また、該寸法測定部は、表示部の鍛造ワーク画像上で指定された所定の点と、その点に対応する形状モデル上の点との間の実際寸法を算出し、該算出結果を前記表示部に表示するとよい。
これにより、鍛造作業者は、表示画面の鍛造ワーク画像上で指定した2点間の実際の距離・寸法を遠隔で知ることができるようになる。同様に、鍛造ワーク画像上で指定した部分において、形状モデルとの差異の実際寸法をリモート計測することができるようになる。
【0014】
当然のことながら、以上の技術的手段を備えた装置の表示部に表示される実際寸法を基に、以降の鍛造作業を行うことは非常に好ましい。
更に好ましくは、前記信号処理部は、設計データに基づいて形状モデルを作成する形状モデル生成部を有しており、この形状モデル生成部で作成された形状モデルは、鍛造ワークの形状変化位置及び/又は折り曲げ位置を有する特徴点データで構成されるようにするとよい。
こうすることで、特徴点データの集まりとして構成された形状モデルは、多数点での寸法データの集まりである設計データとは異なり、そのデータ量は非常に少ないものとなるため、信号処理部内での取り扱いが容易なものとなる。
【0015】
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前記鍛造作業者に対し鍛造ワーク上の作業位置を指し示すためのレーザ光を照射するレーザ照射部と、このレーザ照射部を制御するレーザ照射位置制御部と、を有することを特徴とする。
この技術的手段によれば、レーザ照射位置制御部によりコントロールされたレーザ光が鍛造ワークに当たるポイントをもとに、以降の鍛造作業を進めることができるようになる。
なお好ましくは、前記レーザ照射位置制御部は、鍛造作業者が表示部に表示された形状モデル上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部を制御するようにするとよい。
【0016】
また、前記レーザ照射位置制御部は、鍛造作業者が表示部に表示された鍛造ワーク画像上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部を制御してもよい。
こうすることで、表示部において、形状モデル上の所定の点や鍛造ワーク画像上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク表面にレーザ光が照射され、その照射光を目印として、けがき線を引いたり、直接プレス作業を行ったりすることが可能となる。
【0017】
当然のことながら、以上の技術的手段を備えた装置のレーザ照射部が照射するレーザ光を基に、鍛造ワークに対するけがき作業又は以降の鍛造作業を行うことは非常に好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鍛造ワーク画像と設計データとを重ね合わせた画像を表示することで、鍛造作業者に対し作業指針を与えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明にかかる鍛造作業のガイダンス装置及び同装置を用いた鍛造方法を、を図を基にして説明する。
[第1実施形態]
図1は、鍛造作業のガイダンス装置の第1実施形態を示したものである。
本ガイダンス装置は、鍛造作業中である鍛造ワーク1の画像を撮像する撮像手段2と、この撮像手段2で撮像した鍛造ワーク画像と設計データに基づく形状モデルとを両者の形状差異が明確になるように重ね合わせた重合画像を作成する信号処理部3と、この信号処理部3が出力する重合画像を表示し鍛造作業者に対して作業指針を与えることを可能とする表示部4と、を有するものとなっている。
【0020】
本ガイダンス装置を用いることで、鍛造作業を行う鍛造作業者(プレス機オペレータ)は、作業中に撮像手段2で鍛造ワーク1を適宜撮像し、表示部4に表示される重合画像を見ることで作業指針を得ることができ、以降の鍛造を適切に行えるようになる。
なお、詳しくは、前記信号処理部3は、撮像手段2で撮像した鍛造ワーク画像を格納する撮像部5を有すると共に、撮像手段2から鍛造ワーク1までの距離を測定する距離測定部6を備えている。
加えて、この距離測定部6が算出した撮像手段2〜鍛造ワーク1の距離に基づき、形状モデルの大きさを所定の倍率で変更し前記撮像部5に格納されている鍛造ワーク画像に重ね合わせ、両者の形状差異が明確となるように重合画像を作成する重ね合わせ部7を有している。
【0021】
この重ね合わせ部7からの出力である形状差異を含む重合画像が、表示部4に表示されるようになっている。
以下、本ガイダンス装置を構成するそれぞれの部位について説明する。
本ガイダンス装置を用いつつ鍛造加工を行う対象は、大型船舶のエンジンなどを構成するクランクスローであって、重量がおおむね15トン程度の大型の鍛造ワーク1である。この鍛造ワーク1は、鍛造プレス機8の受け台9上に配置され、上方からプレスピストン10が降下することで、当該ワーク1に鍛造プレスが施されるようになっている。
【0022】
この鍛造プレス機8から所定の距離離れた位置に、前記鍛造ワーク1の一側面を撮像する撮像手段2が配置されている。本実施形態の場合、撮像手段2はCCDカメラで構成されている。
この撮像手段2が接続される信号処理部3は、パソコンやワークステーションなどのコンピュータで構成されており、その内部にある撮像部5は、撮像手段2で撮像された鍛造ワーク画像を蓄積するものであって、フレームメモリや信号処理部3内の内部メモリで構成されている。
【0023】
当該撮像部5から出力された画像データは、信号処理部3内の重ね合わせ部7に入力されるようになっている。
この重ね合わせ部7は、撮像部5からの画像と、後述する形状モデル生成部11が作成した形状モデルとを、単一の画像メモリ12上で重ね合わせる機能を有している。この画像メモリ12は、重ね合わせ部7内に前記撮像部5(フレームメモリ)とは別に設けられるものであって、信号処理部3内の内部メモリによって構成されている。
この画像メモリ12内で重ね合わされた画像データ(重合画像)は、後述する表示部4に表示されるようになっており、信号処理部3に接続された外部入力手段13(キーボード14やマウス15)を介して、表示中である重合画像内の任意位置を指定したりすることができるようになっている。
【0024】
当該重ね合わせ部7における、鍛造ワーク画像と形状モデルとの重ね合わせの原理は以下の通りである。
図2に示すように、撮像手段2(CCDカメラ)のレンズ中心Nが原点であり、光軸方向にZw、CCD面の横方向をXw、縦方向をYwとした空間座標Xw−Yw−Zwを定義する(簡単にX−Y−Zと標記することもある)。レンズ中心Nから鍛造ワーク1までの距離がLのとき、レンズ中心Nから見てその前後に形成される相似な2つの三角形の関係より、透視変換係数(倍率)KはK=f/Lとなる。ここでfは撮像手段2に取り付けられているレンズの焦点距離である。
【0025】
この条件の下、形状モデルの各データ mpi=(mpix,mpiy)が、空間座標の距離Lに存在すると仮定して、式(1)を用いて空間座標であるCCD面への位置へ座標変換する。変換は、形状モデルをK倍だけ拡大もしくは縮小すると共に、tx、tyだけ平行移動させ、θだけ回転させるものである。ここで、tx、tyは、平面Xw−Ywにおける形状モデルのズレ量(平行移動成分)であって、θはZw軸周りの回転成分である。
【0026】
【数1】
【0027】
この変換を行うことで、形状モデルデータがCCD面上の座標へ変換されることになる。
次に、CCD面上の座標に変換された形状モデルを、画像メモリ12上の座標データに変換する。すなわち、CCD面上の位置であるwpiのZ成分を除いたwp=(wpix,wpiy)から、画像メモリ12の画像座標fp=(fpix,fpiy)へ、式(2)を用いて変換する。
【0028】
【数2】
【0029】
以上述べた式(1)、式(2)によって変換された各点同士を、後述する形状モデルデータのフォーマットに従い直線や円弧で連結すれば、重ね合わせ部7の画像メモリ12上に、所定の形状モデルが形成できるようになる。
その上で、座標変換後の形状モデルと鍛造ワーク画像とが同時に書き込まれた重ね合わせ部7の画像メモリ12の情報を、表示部4へ表示すれば、鍛造品と形状モデルが重なって同時に見えるようになる。加えて、既に述べた平行移動成分tx、ty、回転成分θを調整すれば、画像メモリ12に蓄積されている鍛造ワーク1の外形形状と、形状モデルの外形形状とを重ね合わすことができるようになる。
【0030】
平行成分tx、ty、回転成分θの調整に関しては、プレス機オペレータが、鍛造ワーク1の形状と、形状モデルの形状の重ね合わせ状況を表示部4で目視確認しながら、マウス15やキーボード14などの外部入力手段13を用いて調整するとよい。また、例えば、鍛造ワーク1に外接する楕円を考えた上での、その長軸・短軸を算出し、同様に形状モデルに外接する楕円の長軸・短軸を算出して、両者の長軸同士、短軸同士ならびに楕円中心が重なるようにtx、ty、θを調整することで、鍛造ワーク1の形状と形状モデルの形状とを自動的に重ね合わすことも可能である。
【0031】
前記表示部4は、信号処理部であるコンピュータに接続されたCRTや液晶のモニタである。
図3や図4に示すように、このモニタ4には、重ね合わせ部7の画像メモリ12内のデータ(重合画像)等が表示される。また、表示部4上の任意点をマウス15などで指定することができると共に、指定した2点間の実際の距離を、後述する寸法計測部17で算出し、その結果を表示することも可能となっている。
撮像部5内の画像データ、すなわち撮像手段2からのスルー画像も、重ね合わせ部7を経由して、モニタ4にリアルタイムに出力され、作業者が鍛造ワーク1の状況を目視確認できるようになっている。
【0032】
本実施形態の信号処理部3には距離測定器16が接続されており、この距離測定器16からのデータを基に撮像手段2〜鍛造ワーク1間の距離Lを算出する距離測定部6が、当該信号処理部3の内部に備えられている。
詳しくは、距離測定器16は、撮像手段2に隣接するように設置されたレーザ距離計である。このレーザ距離計からは、パルスのレーザスポット光が対象物である鍛造ワーク1に照射され、鍛造ワーク1からの反射光との位相差を測定することで、レーザ距離計〜鍛造ワーク1の距離Lを測定できる。そして、前記距離Lに、レーザ距離計の原点位置とレンズ中心NまでのZw方向オフセット量を加えることで、レンズ中心Nから鍛造ワーク1表面までの距離が算出できる。
【0033】
前記重ね合わせ部7で用いる「レンズ中心N〜鍛造ワーク1の距離L」に関しては、例えば、撮像手段2に対面する鍛造ワーク1の複数位置にレーザ光を照射し、それらの距離を求めた上で、その平均値を距離Lとするとよい。撮像手段2のCCD面と、それに対面する鍛造ワーク1の面がお互いに平行であるならば、両者の距離はどの部分でも同じであるため、撮像手段2で撮像された鍛造ワーク1の中心部を代表点としてレーザ光を照射し、距離測定すればよいことになる。
さらに、前記信号処理部3は、設計データに基づいて形状モデルを作成する形状モデル生成部11を有しており、この形状モデル生成部11で作成された形状モデルは、鍛造ワーク1の形状変化位置や折り曲げ位置からなる特徴点データで構成されている。
【0034】
通常、鍛造ワーク1の形状は、直方体など直線のみで構成されるものから、円弧を含んだ自由曲線で構成されるものなど多種に亘る。さらに、図5の鍛造品1のように、第1ステップ鍛造で棒状に鍛造し、第2ステップ鍛造で折り曲げられるワークもある。鍛造品2のように、第1ステップで棒状に鍛造し、第2ステップで場所によって直径を変化させるものもある。
したがって、鍛造ワーク1を表す形状モデルを、(i)輪郭形状が大きく変化する「形状変化位置」と、(ii)ワークに力を加え大きな曲げ加工を施す「折り曲げ位置」の2つの特徴点データから構成するようにしている。
【0035】
具体的には、形状モデルは、図6や図7に示すようなフォーマットを有するものとしている。データの1行目には、形状を示す特徴点の総点数Nの格納領域が設けられ、2行目〜N+1行目には、鍛造ワーク1上に設定した座標(モデル座標Xm−Ym)における形状変化位置mpi=(mpix,mpiy)に対する、モデルのX座標、モデルのY座標、線タイプ、円(円弧)中心X、円中心Y、円の半径、円の方向の格納領域が設けられている。
線タイプには、i番目の点〜i+1番目の点の間を「直線で結ぶ」か「円弧で結ぶ」かのデータが書き込まれ、線タイプが円弧のときは、円弧中心(X,Y)やその半径、時計周りか半時計周りかのデータも同時に書き込まれる。
【0036】
N+2行目以降には、折れ曲がり位置などの付加特徴点を格納する領域が形成されている。N+2行目を新たな1行目とした場合に、データの1行目には、折り曲げ位置の総数N’の格納領域があり、2行目〜N’+1行目には、各折り曲げ位置に対する、モデルのX座標、モデルのY座標、線タイプ、円(円弧)中心X,Y、円の半径、円の方向の格納領域が設けられている。
折り曲げ位置の場合も、線タイプには、i番目の点〜i+1番目の点の間を「直線で結ぶ」か「円弧で結ぶ」かのデータが書き込まれ、線タイプが円弧のときは、円弧中心(X,Y)やその半径、時計周りか半時計周りかのデータも同時に書き込まれる。
【0037】
他の付加特徴点(付加形状)が存在する場合は、上記フォーマットに基づいてデータを追加してゆくようにする。
図7(a)には、具体的な鍛造ワーク1の形状が示してあり、図中でXm−Ym座標の原点は鍛造ワーク1の左端部でその上下中央となっている。図7(b)には、その形状に対する形状モデルのデータが示してある。
この鍛造ワーク1には、8個の形状変化位置が存在する。したがって、形状モデルデータの1行目には「8」が格納されており、それに続き、形状変化位置(1)〜(8)のデータが順次格納されている。例えば、位置(2)の座標はX=3000,Y=−500であり、その間は直線輪郭となっている。形状変化位置(4)はX=8000,Y=−1000であって、そこから円弧状に輪郭が変化している。その円中心位置はX=8000,Y=0で半径は1000であり、反時計回りとなっている。
【0038】
さらに、X=6000,Y=−1000と、X=6000,Y=1000との2位置が折り曲げ位置となっている。
以上述べた形状モデルは、信号処理部3内に設けられた形状モデル生成部11により作成され、重ね合わせ部7内に格納されるようになっている。形状モデル生成部11は、CADデータから自動的に形状モデルデータを生成できるツールで構成してもよいし、データ作業者が設計図面より必要な値を手入力してもよい。
前記信号処理部3は、鍛造ワーク1と設計データとの形状差異の実際寸法を算出する寸法測定部17を有しており、この寸法測定部17の出力結果が前記表示部4に表示されるものとなっている。この寸法測定部17は、表示部4の鍛造ワーク画像上で指定された2点間の実際寸法を算出したり、表示部4の鍛造ワーク画像上で指定された所定の点と、その点に対応する形状モデル上の点との間の実際寸法を算出したりする機能を有している。
【0039】
例えば、図3に示すように、表示部4に鍛造ワーク画像と形状モデルとの重合画像が表示されているとする。そこで、プレス機オペレータが、鍛造ワーク1の輪郭上の点faが、形状モデルすなわち設計データと実際の寸法でどれくらいの距離ズレているかを知りたいと考えたとする。その場合、プレス機オペレータは、マウス15等を用いて表示画面上に点faを指定すると共に、対応する形状モデル上の点fbも指定する。
寸法測定部17は、点faと点fbとの間の実際の距離D求めるにあたり、式(3)に示す関係を利用する。式(3)は、画像メモリ12上の点データをCCD面上のデータに変換し(行列fTw-1 をかける)、その上で、CCD面上のデータを実空間上のデータに変換する(1/K倍する)ものとなっている。
【0040】
【数3】
【0041】
ここで、Twは、式(1)で用いられていたものと同様である。
すなわち、プレス機オペレータが表示部4の画像上で、鍛造ワーク1の輪郭位置faと、それに対応する形状モデルの位置fbを指定すれば、両点間の実際の距離Dを、上記式(3)を基にして得られた式(4)で求めるようにしている。
【0042】
【数4】
【0043】
このように、プレス機オペレータが表示部4上で所定の2点を指定すれば、寸法測定部17において、2点間の実際の距離Dが算出され、その結果が表示部4に数値として表示されることで、鍛造ワーク1と形状モデルの寸法差異を明確に確認することができるようになる。
なお、当該寸法計測部17に、対応点サーチ機能を持たせることで、2点を指定することなく、鍛造ワーク1の輪郭上の点fa、又はそれに対応する形状モデルの点fbのいずれかを指定するだけで、両点の実寸差異を算出することができるようになる。
【0044】
例えば、プレス機オペレータは、表示部4に表示された鍛造ワーク画像の輪郭上の1点(例えば、fa点)を指定する。その後寸法測定部17は、重ね合わせ部7内の画像メモリ12で、fa点から垂直方向又は水平方向に画素をサーチしてゆき、最も近い距離にある形状モデルの輪郭線上の点fbを見つけるようにする。そして、式(4)を用いてfa点〜fb点間の実距離Dを計算し、これを表示するようにする。
この場合、プレス機オペレータは表示部4上で1点だけ指定すればよく、形状モデルの輪郭線上の点を指定する手間が省けることになる。
【0045】
以上説明した鍛造作業のガイダンス装置の使用態様、ならびに同装置内でのデータの流れについて述べる。
図8で、まず、鍛造作業中であるプレス機オペレータは一旦プレス作業を中止し、撮像手段2により、鍛造ワーク1の所定側面の画像を取り込むようにする。(S1,S2)
同時に、距離測定器16からレーザ光を照射し、撮像手段2から鍛造ワーク1装置までの距離Lを計測するようにする。(S3)
撮像手段2により取り込まれた鍛造ワーク画像は、撮像部5に一旦蓄えられた後、重ね合わせ部7の画像メモリ12に取り込まれるようになる。このとき同時に、形状モデル生成部11から得られた形状モデルも画像メモリ12上に取り込まれ、倍率を変更し且つ平行成分tx、ty、角度成分θを調整した上で、鍛造ワーク画像に重ねられ重合画像を得ることができるようになる。(S4,S5)
この重合画像は、鍛造ワーク画像と形状モデルとのズレ位置やズレ量が一目瞭然に現れるものとなっており、鍛造ワーク1に同尺(1/1尺)の設計図面を重ね合わせた状態をバーチャルに実現させたものとなっていて、表示部4に表示された重合画像をオペレータが見ることで、「今後、どの部分をプレスすべきか」や「どの部分にけがき線を入れるべきか」等の作業指針を得ることができるようになっている。(S6,S7)
かかる作業指針に基づいて、鍛造作業が再開される。(S8)
なお、通常、ステップS5では、形状モデルと鍛造ワーク画像とが等倍となるようにして、両者を重ね合わせる様にしているが、通常の形状モデルと共に、所定の値だけ大きいまたは小さい形状モデルを作成しておき、鍛造ワーク1の画像と重ね合わせようにしてもよい。図4には、通常の大きさの形状モデルと所定の倍率で膨張した形状モデルを重ね合わせた例が示されている。このようにすれば、プレス機オペレータは、形状モデルと鍛造品との形状の差異がどこにどれくらいあるかを一目瞭然に判断できる。
【0046】
また、表示部4の上で、オペレータが、鍛造したいと考える部分に対応する2点をマウス15等で指定することで、寸法計測部17により該2点間の実寸距離が算出され、表示部4に表示されるようになる。同様に、鍛造ワーク画像上の輪郭をマウス15で指定することで、その部分に対応する形状モデルとの実寸差異を算出することも可能である。(S9)
これら形状差異の実寸データをプレス機オペレータが見ることで、より具体的に「あと何回プレスを施すべきか」等の作業指針を得ることができるようになる。
[第2実施形態]
図9〜図11には、本発明にかかる鍛造作業のガイダンス装置の第2実施形態を示している。
【0047】
第2実施形態が第1実施形態と大きく異なる点は、鍛造作業者に対し鍛造ワーク1上の作業位置を指し示すためのレーザ光を照射するレーザ照射部18と、このレーザ照射部18を制御するレーザ照射位置制御部19とを有することである。他の構成は略同一である。
当該レーザ照射部18はスポット状のレーザ光を照射するレーザ投光器20を有している。更に、レーザ投光器20を上下左右に首振り運動可能とし鍛造ワーク1上の任意の点にレーザスポット光を照射可能とする首振り機構21を有している。
【0048】
詳しくは、図9に示す如く、レーザ投光器20は、空間座標Xw−Yw−Zw(図1と同様)における(Sx,Sy、0)の位置に回転中心がくるように首振り機構21を介して設置されており、Xw軸周り、Yw軸周りに回転が可能である。首振り機構21は、レーザ照射位置制御部19からの「Xw軸周りの回転角度α、Yw軸周りの回転角度β」の指令に基づき、レーザ投光器20を回転させ、鍛造ワーク1の所定の位置へレーザ光照射できるものとなっている。
前記レーザ照射位置制御部19は、鍛造作業者が表示部4に表示された形状モデル上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク1上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部18を制御したり、鍛造作業者が表示部4に表示された鍛造ワーク画像上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク1上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部18を制御する。
【0049】
例えば、プレス機オペレータが、形状モデル上の折れ曲がり位置を表示部4で指定した場合を考える。
その場合、指定された折れ曲がり位置の点データmpi=(mpix,mpiy,L)が、画像メモリ12内にある形状モデルからレーザ照射位置制御部19に読み出されるようになる。レーザ照射位置制御部19では、式(1)を用いて画像メモリ12上での座標データmpi=(mpix,mpiy,L)を、実空間でのデータwpi=(wpix,wpiy,L)に変換する。この位置が鍛造ワーク1上でのレーザスポット光の照射位置となり、当該位置へレーザースポット光を照射すべくレーザ投光器20を回転角αi、βiだけ回転させる。この回転角αi、βiハは、以下のようにして求める。
【0050】
図10は、撮像手段2、レーザ投光器20、鍛造ワーク1の3者の位置関係を示したものであり、図10(a)に示すように、XZ平面で見た場合、鍛造ワーク1上の所定の点(wpix,L)にレーザスポット光を照射するためのレーザ投光器20の角度βiは、ベクトルA=(Sx,0)、ベクトルB=(wpix−Sx,0)の交差角度となることから、式(5)で計算することができる。
【0051】
【数5】
【0052】
同様に、図10(b)から明らかなように、YZ平面で見た場合、鍛造ワーク1上の所定の点(wpiy,L)にレーザスポット光を照射するためのレーザ投光器20の角度αiは、ベクトルA=(Sy,0)、ベクトルB=(wpiy−Sy,0)の交差角度となることから、式(6)で計算することができる。
【0053】
【数6】
【0054】
今、形状モデルの特徴点データが複数個あり、それぞれの点に対応する位置にレーザスポット光を照射する場合には、図11に示すフローチャートにしたがって、レーザ照射を行うようにするとよい。まず、1番目の特徴点データ(付加特徴点)へレーザ照射し、その後、2番目、…、N番目までの順にレーザ照射を行う。N番目まで終了し、レーザ照射終了指令がなければ、再び1番目からレーザ照射をする。こうすることで、鍛造ワーク1表面に折れ曲がり位置などがレーザスポット光で指し示されるため、作業者はそれを基にけがき作業などを行うことができる。
【0055】
また、プレス機オペレータが表示部4における画像上の任意点を指定し、その位置に対応する鍛造ワーク1表面へレーザスポット光を照射する場合には、次のようにするとよい。
プレス機オペレータにより、指定点として画像メモリ12の座標fpi=(fpix,fpiy)が与えられることになるため、これを基に3次元点データfpi=(fpix,fpiy,L)を作り、式(3)を用いて実空間でのデータwpi=(wpix,wpiy,L)に変換する。
このwpiへのレーザ照射は、上記手法と同じようにして行うことができ、レーザ投光器20の角度αi、βiを 式(5)、式(6)を用いて求め、首振り機構21によりレーザ投光器20を当該角度αi、βi だけ動かすようにする。
【0056】
以上のようにすることで、形状モデル上の所定の点や鍛造ワーク画像上の任意点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク1上の位置にレーザスポット光が照射され、その照射光を目印として、型当て無しで安定したけがき作業が行えたり、直接プレス作業を行ったりすることが可能となる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、ワークは鍛造品に限定されるものではない。
また、撮像部5を構成するフレームメモリと、重ね合わせ部7の画像メモリ12を同一のものとして構成しても何ら問題はない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明にかかるガイダンス装置の第1実施形態の構成図である。
【図2】重ね合わせ部の動作原理を示す図である。
【図3】表示部に表示された重合画像である。
【図4】表示部に表示された重合画像である。
【図5】鍛造ワークの加工形態を示した図である。
【図6】形状モデルのデータフォーマットを示した図である。
【図7】形状モデルデータの一例である。
【図8】第1実施形態のガイダンス装置を用いた際の鍛造作業の工程を示した図である。
【図9】本発明にかかるガイダンス装置の第2実施形態の構成図である。
【図10】レーザ照射位置制御部の動作原理を示した図である。
【図11】鍛造ワーク上の複数の位置にレーザスポット光を照射する場合の工程を示した図である。
【符号の説明】
【0058】
1 鍛造ワーク
2 撮像手段
3 信号処理部
4 表示部
5 撮像部
6 距離測定部
7 重ね合わせ部
11 形状モデル生成部
17 寸法測定部
18 レーザ照射部
19 レーザ照射位置制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍛造作業のガイダンス装置及びこの装置を用いた鍛造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のように、大型の鍛造ワーク、例えば、大型船舶のエンジンに用いられるクランクスロー部材などは、鍛造加工により略所定の形状に加工され、その後、製品形状とすべく切削加工が施される。
鍛造加工は、加熱炉により高温(約1000℃)に加熱されたインゴット(鍛造ワーク)をプレス機の下に設置し、この鍛造ワークが所定の寸法や形状になるようにプレス作業を行う。かかる鍛造作業での形状確認は、熟練したプレス機オペレータの目視によることが多く、補助的に、鍛造ワークに対してひな型を当てる「型あて」をすることで見当をつけたり、鍛造作業者が赤熱状態の鍛造ワークに近づいて、パスなどを当該鍛造ワークに接触させて所定位置の寸法を測定し、その上でけがき作業を行っていた。
【0003】
特に、「鍛造ワークの折り曲げ」など形状を大きく変化させる位置を決めるときは、複数の鍛造作業者が実寸大のひな型を持って、赤熱状態の鍛造ワークに近づき、鍛造ワークとひな型とを合わせながら、別の鍛造作業者が鍛造品の所定位置にケガキを入れといった、労力のいる作業を行っていた。この作業は酷暑環境で行われるために、作業者によるばらつきも多く安定したけがき作業が行いづらいものであった。
加えて、けがき線は、けがいた時点では正確な寸法・位置を示しているが、プレスを1回でも施した場合には、上下又は左右方向に鍛造ワークが塑性変形するために、当該けがき線はそれ以降は参考程度のものとなっていた。
【0004】
このような大型の鍛造ワークの鍛造作業で発生する問題点を解決するために、数々の技術が開発されている。
特許文献1には、前述した「鍛造作業者が赤熱状態の鍛造ワークに近づいて、パスなどを当該鍛造ワークに接触させて寸法計測を行う」ことを解決するための技術が開示されている。
すなわち、特許文献1の技術は、目盛りをつけたスケール等を測定位置に配置した上で、予めテレビカメラで撮影しておき、その後、鍛造作業中の鍛造ワークを該撮影位置に設置してテレビカメラで撮影し、両撮影画像を重ね合わせることで、鍛造ワークと目盛り付きスケールを重合し、遠隔で所望する部分の寸法を測定するものである。
【0005】
また、鍛造や機械加工において、設計データとのズレ確認作業を、型当てなどを行わずに遠隔で且つ効率的に行うものとしては、特許文献2や特許文献3に記載された技術がある。
特許文献2に開示された技術は、CADシステムに関するものであって、3次元設計データから得られた寸法公差データと、3次元測定器から得られたワークの3次元実測データとを各点(部位)ごとに照合し合否を出して、その結果をそれぞれの点の位置で視覚的に判定可能に表示するものである。
【0006】
特許文献3に開示された鍛造作業の支援装置は、設計3次元データと実測3次元データとを比較して歪パターンを調べ、この歪パターンを無くすためにもっとも適した歪取り条件データを支援データベースから読みだした上で表示するものである。
【特許文献1】特開昭53−143254号公報
【特許文献2】特開2000−235594号公報
【特許文献3】特開2004−77138号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載された技術を用いた場合、目盛り付きのスケールを作成する必要があり、それらの作成には多くのコストや時間を費やすことになる。また、鍛造ワークが大型であるため、該目盛り付きスケールは大きくて重いものとなりその設置には大変な労力を要する。
特許文献2や特許文献3の技術に関しては、鍛造ワークが大型である場合には、膨大な3次元データやそれを格納可能なデータベースを用意する必要があり、装置自体が大がかりでコストが嵩むものとなってしまう。加えて、鍛造ワークが規格品ではなく、それぞれの形状が異なるものであった場合(例えば受注生産品)には、各製品ごとに大がかりなデータベースが必要となる。したがって、かかる装置を、各製品ごとに形状が異なると共に大型であるクランクスロー部材などの鍛造に適用することは不向きである。
【0008】
そもそも、大型鍛造ワークの鍛造作業は、前述の如く、熟練したプレス機オペレータの目視による部分が大きいため、鍛造ワークと設計データとを重ね合わせ、その形状差異をプレス機オペレータに対して明確に示すことが非常に重要であって、その形状差異情報により、プレス機オペレータは、全体形状の確認を行いつつ以降の作業を効率的に行うことができるようになる。しかしながら鍛造ワークと同寸の設計図面やひな形を準備するのは困難であり、随時重ね合わせることは不可能に近い。
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、同一画面上で鍛造ワーク画像と設計データとを重ね合わせることで、鍛造作業者に対し作業指針を与えることが可能とする鍛造作業のガイダンス装置と、同装置を用いた鍛造作業方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、鍛造作業中である鍛造ワークの画像を撮像する撮像手段と、この撮像手段で撮像した鍛造ワーク画像と設計データに基づく形状モデルとを両者の形状差異が明確になるように重ね合わせた重合画像を作成する信号処理部と、この信号処理部が出力する重合画像を表示して鍛造作業者に対して作業指針を与えることを可能とする表示部と、を有する。
この技術的手段によれば、信号処理部において、撮像手段を介して得られた鍛造ワークの画像と、設計データに基づく形状モデルとを重ね合わせた重合画像を作ることができる。この重合画像には、鍛造ワーク画像と形状モデルとのズレ位置やズレ量が一目瞭然に現れるものとなっており、鍛造ワークに同尺(1/1尺)の設計図面を重ね合わせた状態をバーチャルに実現させたものとなっている。
【0010】
かかる重合画像を表示部に表示し、鍛造作業者がその画像を見ることで、「今後、どの部分をプレスすべきか」や「どの部分にけがき線を入れるべきか」等の作業指針を得ることができるようになる。
なお、詳しくは、前記信号処理部は、撮像手段で撮像した鍛造ワーク画像を格納する撮像部と、前記撮像手段から鍛造ワークまでの距離を測定する距離測定部と、この距離測定部が算出した撮像手段と鍛造ワークとの間の距離に基づき、形状モデルの大きさを所定の倍率で変更し前記撮像部に格納されている鍛造ワーク画像に重ね合わせ、両者の形状差異が明確となるように重合画像を作成する重ね合わせ部と、を備えており、この重ね合わせ部からの出力である形状差異を含む重合画像を前記表示部に表示させるものとなっている。
【0011】
前述した如く、撮像手段を介して得られた鍛造ワーク画像と、設計データに基づく形状モデルとを重ね合わせた重合画像を作る場合には、まず、鍛造ワーク画像と形状モデルとの倍率が同じになっている必要がある。そのためには、撮像手段と鍛造ワークの間の距離を正確に知る必要がある。本技術的手段の場合は、距離測定部において、撮像手段と鍛造ワークとの間の距離Lを確実に求めることができる。
この距離Lを用いた上で、重ね合わせ部において、形状モデルに所定の倍率をかけてその大きさを変更し、その上で前記撮像部から出力された鍛造ワーク画像に重ね合わせ、両者の形状差異が明確となるように重合画像を作成することが可能となる。
【0012】
当然ながら、以上の技術的手段を備えた装置の表示部に表示される重合画像から、鍛造作業者が鍛造ワークと設計データとの形状差異を確認し、該形状差異が無くなるように以降の鍛造作業を行うことは非常に好ましい。
また、本発明における課題解決のための技術的手段として、前記信号処理部は、鍛造ワークと形状モデルとの形状差異の実際寸法を算出する寸法測定部を有しており、この寸法測定部の出力結果が前記表示部に表示されることを特徴とする。
この技術的手段によれば、寸法測定部により算出された鍛造ワークと形状モデルとの形状差異の実際寸法が表示部に表示され、これを見ることでプレス回数などを決めるなど作業指針を容易に決定することができるようになる。
【0013】
なお好ましくは、前記寸法測定部は、表示部の鍛造ワーク画像上で指定された2点間の実際寸法を算出し、該算出結果を表示部に表示するとよい。また、該寸法測定部は、表示部の鍛造ワーク画像上で指定された所定の点と、その点に対応する形状モデル上の点との間の実際寸法を算出し、該算出結果を前記表示部に表示するとよい。
これにより、鍛造作業者は、表示画面の鍛造ワーク画像上で指定した2点間の実際の距離・寸法を遠隔で知ることができるようになる。同様に、鍛造ワーク画像上で指定した部分において、形状モデルとの差異の実際寸法をリモート計測することができるようになる。
【0014】
当然のことながら、以上の技術的手段を備えた装置の表示部に表示される実際寸法を基に、以降の鍛造作業を行うことは非常に好ましい。
更に好ましくは、前記信号処理部は、設計データに基づいて形状モデルを作成する形状モデル生成部を有しており、この形状モデル生成部で作成された形状モデルは、鍛造ワークの形状変化位置及び/又は折り曲げ位置を有する特徴点データで構成されるようにするとよい。
こうすることで、特徴点データの集まりとして構成された形状モデルは、多数点での寸法データの集まりである設計データとは異なり、そのデータ量は非常に少ないものとなるため、信号処理部内での取り扱いが容易なものとなる。
【0015】
また、本発明における課題解決のための技術的手段は、前記鍛造作業者に対し鍛造ワーク上の作業位置を指し示すためのレーザ光を照射するレーザ照射部と、このレーザ照射部を制御するレーザ照射位置制御部と、を有することを特徴とする。
この技術的手段によれば、レーザ照射位置制御部によりコントロールされたレーザ光が鍛造ワークに当たるポイントをもとに、以降の鍛造作業を進めることができるようになる。
なお好ましくは、前記レーザ照射位置制御部は、鍛造作業者が表示部に表示された形状モデル上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部を制御するようにするとよい。
【0016】
また、前記レーザ照射位置制御部は、鍛造作業者が表示部に表示された鍛造ワーク画像上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部を制御してもよい。
こうすることで、表示部において、形状モデル上の所定の点や鍛造ワーク画像上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク表面にレーザ光が照射され、その照射光を目印として、けがき線を引いたり、直接プレス作業を行ったりすることが可能となる。
【0017】
当然のことながら、以上の技術的手段を備えた装置のレーザ照射部が照射するレーザ光を基に、鍛造ワークに対するけがき作業又は以降の鍛造作業を行うことは非常に好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、鍛造ワーク画像と設計データとを重ね合わせた画像を表示することで、鍛造作業者に対し作業指針を与えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明にかかる鍛造作業のガイダンス装置及び同装置を用いた鍛造方法を、を図を基にして説明する。
[第1実施形態]
図1は、鍛造作業のガイダンス装置の第1実施形態を示したものである。
本ガイダンス装置は、鍛造作業中である鍛造ワーク1の画像を撮像する撮像手段2と、この撮像手段2で撮像した鍛造ワーク画像と設計データに基づく形状モデルとを両者の形状差異が明確になるように重ね合わせた重合画像を作成する信号処理部3と、この信号処理部3が出力する重合画像を表示し鍛造作業者に対して作業指針を与えることを可能とする表示部4と、を有するものとなっている。
【0020】
本ガイダンス装置を用いることで、鍛造作業を行う鍛造作業者(プレス機オペレータ)は、作業中に撮像手段2で鍛造ワーク1を適宜撮像し、表示部4に表示される重合画像を見ることで作業指針を得ることができ、以降の鍛造を適切に行えるようになる。
なお、詳しくは、前記信号処理部3は、撮像手段2で撮像した鍛造ワーク画像を格納する撮像部5を有すると共に、撮像手段2から鍛造ワーク1までの距離を測定する距離測定部6を備えている。
加えて、この距離測定部6が算出した撮像手段2〜鍛造ワーク1の距離に基づき、形状モデルの大きさを所定の倍率で変更し前記撮像部5に格納されている鍛造ワーク画像に重ね合わせ、両者の形状差異が明確となるように重合画像を作成する重ね合わせ部7を有している。
【0021】
この重ね合わせ部7からの出力である形状差異を含む重合画像が、表示部4に表示されるようになっている。
以下、本ガイダンス装置を構成するそれぞれの部位について説明する。
本ガイダンス装置を用いつつ鍛造加工を行う対象は、大型船舶のエンジンなどを構成するクランクスローであって、重量がおおむね15トン程度の大型の鍛造ワーク1である。この鍛造ワーク1は、鍛造プレス機8の受け台9上に配置され、上方からプレスピストン10が降下することで、当該ワーク1に鍛造プレスが施されるようになっている。
【0022】
この鍛造プレス機8から所定の距離離れた位置に、前記鍛造ワーク1の一側面を撮像する撮像手段2が配置されている。本実施形態の場合、撮像手段2はCCDカメラで構成されている。
この撮像手段2が接続される信号処理部3は、パソコンやワークステーションなどのコンピュータで構成されており、その内部にある撮像部5は、撮像手段2で撮像された鍛造ワーク画像を蓄積するものであって、フレームメモリや信号処理部3内の内部メモリで構成されている。
【0023】
当該撮像部5から出力された画像データは、信号処理部3内の重ね合わせ部7に入力されるようになっている。
この重ね合わせ部7は、撮像部5からの画像と、後述する形状モデル生成部11が作成した形状モデルとを、単一の画像メモリ12上で重ね合わせる機能を有している。この画像メモリ12は、重ね合わせ部7内に前記撮像部5(フレームメモリ)とは別に設けられるものであって、信号処理部3内の内部メモリによって構成されている。
この画像メモリ12内で重ね合わされた画像データ(重合画像)は、後述する表示部4に表示されるようになっており、信号処理部3に接続された外部入力手段13(キーボード14やマウス15)を介して、表示中である重合画像内の任意位置を指定したりすることができるようになっている。
【0024】
当該重ね合わせ部7における、鍛造ワーク画像と形状モデルとの重ね合わせの原理は以下の通りである。
図2に示すように、撮像手段2(CCDカメラ)のレンズ中心Nが原点であり、光軸方向にZw、CCD面の横方向をXw、縦方向をYwとした空間座標Xw−Yw−Zwを定義する(簡単にX−Y−Zと標記することもある)。レンズ中心Nから鍛造ワーク1までの距離がLのとき、レンズ中心Nから見てその前後に形成される相似な2つの三角形の関係より、透視変換係数(倍率)KはK=f/Lとなる。ここでfは撮像手段2に取り付けられているレンズの焦点距離である。
【0025】
この条件の下、形状モデルの各データ mpi=(mpix,mpiy)が、空間座標の距離Lに存在すると仮定して、式(1)を用いて空間座標であるCCD面への位置へ座標変換する。変換は、形状モデルをK倍だけ拡大もしくは縮小すると共に、tx、tyだけ平行移動させ、θだけ回転させるものである。ここで、tx、tyは、平面Xw−Ywにおける形状モデルのズレ量(平行移動成分)であって、θはZw軸周りの回転成分である。
【0026】
【数1】
【0027】
この変換を行うことで、形状モデルデータがCCD面上の座標へ変換されることになる。
次に、CCD面上の座標に変換された形状モデルを、画像メモリ12上の座標データに変換する。すなわち、CCD面上の位置であるwpiのZ成分を除いたwp=(wpix,wpiy)から、画像メモリ12の画像座標fp=(fpix,fpiy)へ、式(2)を用いて変換する。
【0028】
【数2】
【0029】
以上述べた式(1)、式(2)によって変換された各点同士を、後述する形状モデルデータのフォーマットに従い直線や円弧で連結すれば、重ね合わせ部7の画像メモリ12上に、所定の形状モデルが形成できるようになる。
その上で、座標変換後の形状モデルと鍛造ワーク画像とが同時に書き込まれた重ね合わせ部7の画像メモリ12の情報を、表示部4へ表示すれば、鍛造品と形状モデルが重なって同時に見えるようになる。加えて、既に述べた平行移動成分tx、ty、回転成分θを調整すれば、画像メモリ12に蓄積されている鍛造ワーク1の外形形状と、形状モデルの外形形状とを重ね合わすことができるようになる。
【0030】
平行成分tx、ty、回転成分θの調整に関しては、プレス機オペレータが、鍛造ワーク1の形状と、形状モデルの形状の重ね合わせ状況を表示部4で目視確認しながら、マウス15やキーボード14などの外部入力手段13を用いて調整するとよい。また、例えば、鍛造ワーク1に外接する楕円を考えた上での、その長軸・短軸を算出し、同様に形状モデルに外接する楕円の長軸・短軸を算出して、両者の長軸同士、短軸同士ならびに楕円中心が重なるようにtx、ty、θを調整することで、鍛造ワーク1の形状と形状モデルの形状とを自動的に重ね合わすことも可能である。
【0031】
前記表示部4は、信号処理部であるコンピュータに接続されたCRTや液晶のモニタである。
図3や図4に示すように、このモニタ4には、重ね合わせ部7の画像メモリ12内のデータ(重合画像)等が表示される。また、表示部4上の任意点をマウス15などで指定することができると共に、指定した2点間の実際の距離を、後述する寸法計測部17で算出し、その結果を表示することも可能となっている。
撮像部5内の画像データ、すなわち撮像手段2からのスルー画像も、重ね合わせ部7を経由して、モニタ4にリアルタイムに出力され、作業者が鍛造ワーク1の状況を目視確認できるようになっている。
【0032】
本実施形態の信号処理部3には距離測定器16が接続されており、この距離測定器16からのデータを基に撮像手段2〜鍛造ワーク1間の距離Lを算出する距離測定部6が、当該信号処理部3の内部に備えられている。
詳しくは、距離測定器16は、撮像手段2に隣接するように設置されたレーザ距離計である。このレーザ距離計からは、パルスのレーザスポット光が対象物である鍛造ワーク1に照射され、鍛造ワーク1からの反射光との位相差を測定することで、レーザ距離計〜鍛造ワーク1の距離Lを測定できる。そして、前記距離Lに、レーザ距離計の原点位置とレンズ中心NまでのZw方向オフセット量を加えることで、レンズ中心Nから鍛造ワーク1表面までの距離が算出できる。
【0033】
前記重ね合わせ部7で用いる「レンズ中心N〜鍛造ワーク1の距離L」に関しては、例えば、撮像手段2に対面する鍛造ワーク1の複数位置にレーザ光を照射し、それらの距離を求めた上で、その平均値を距離Lとするとよい。撮像手段2のCCD面と、それに対面する鍛造ワーク1の面がお互いに平行であるならば、両者の距離はどの部分でも同じであるため、撮像手段2で撮像された鍛造ワーク1の中心部を代表点としてレーザ光を照射し、距離測定すればよいことになる。
さらに、前記信号処理部3は、設計データに基づいて形状モデルを作成する形状モデル生成部11を有しており、この形状モデル生成部11で作成された形状モデルは、鍛造ワーク1の形状変化位置や折り曲げ位置からなる特徴点データで構成されている。
【0034】
通常、鍛造ワーク1の形状は、直方体など直線のみで構成されるものから、円弧を含んだ自由曲線で構成されるものなど多種に亘る。さらに、図5の鍛造品1のように、第1ステップ鍛造で棒状に鍛造し、第2ステップ鍛造で折り曲げられるワークもある。鍛造品2のように、第1ステップで棒状に鍛造し、第2ステップで場所によって直径を変化させるものもある。
したがって、鍛造ワーク1を表す形状モデルを、(i)輪郭形状が大きく変化する「形状変化位置」と、(ii)ワークに力を加え大きな曲げ加工を施す「折り曲げ位置」の2つの特徴点データから構成するようにしている。
【0035】
具体的には、形状モデルは、図6や図7に示すようなフォーマットを有するものとしている。データの1行目には、形状を示す特徴点の総点数Nの格納領域が設けられ、2行目〜N+1行目には、鍛造ワーク1上に設定した座標(モデル座標Xm−Ym)における形状変化位置mpi=(mpix,mpiy)に対する、モデルのX座標、モデルのY座標、線タイプ、円(円弧)中心X、円中心Y、円の半径、円の方向の格納領域が設けられている。
線タイプには、i番目の点〜i+1番目の点の間を「直線で結ぶ」か「円弧で結ぶ」かのデータが書き込まれ、線タイプが円弧のときは、円弧中心(X,Y)やその半径、時計周りか半時計周りかのデータも同時に書き込まれる。
【0036】
N+2行目以降には、折れ曲がり位置などの付加特徴点を格納する領域が形成されている。N+2行目を新たな1行目とした場合に、データの1行目には、折り曲げ位置の総数N’の格納領域があり、2行目〜N’+1行目には、各折り曲げ位置に対する、モデルのX座標、モデルのY座標、線タイプ、円(円弧)中心X,Y、円の半径、円の方向の格納領域が設けられている。
折り曲げ位置の場合も、線タイプには、i番目の点〜i+1番目の点の間を「直線で結ぶ」か「円弧で結ぶ」かのデータが書き込まれ、線タイプが円弧のときは、円弧中心(X,Y)やその半径、時計周りか半時計周りかのデータも同時に書き込まれる。
【0037】
他の付加特徴点(付加形状)が存在する場合は、上記フォーマットに基づいてデータを追加してゆくようにする。
図7(a)には、具体的な鍛造ワーク1の形状が示してあり、図中でXm−Ym座標の原点は鍛造ワーク1の左端部でその上下中央となっている。図7(b)には、その形状に対する形状モデルのデータが示してある。
この鍛造ワーク1には、8個の形状変化位置が存在する。したがって、形状モデルデータの1行目には「8」が格納されており、それに続き、形状変化位置(1)〜(8)のデータが順次格納されている。例えば、位置(2)の座標はX=3000,Y=−500であり、その間は直線輪郭となっている。形状変化位置(4)はX=8000,Y=−1000であって、そこから円弧状に輪郭が変化している。その円中心位置はX=8000,Y=0で半径は1000であり、反時計回りとなっている。
【0038】
さらに、X=6000,Y=−1000と、X=6000,Y=1000との2位置が折り曲げ位置となっている。
以上述べた形状モデルは、信号処理部3内に設けられた形状モデル生成部11により作成され、重ね合わせ部7内に格納されるようになっている。形状モデル生成部11は、CADデータから自動的に形状モデルデータを生成できるツールで構成してもよいし、データ作業者が設計図面より必要な値を手入力してもよい。
前記信号処理部3は、鍛造ワーク1と設計データとの形状差異の実際寸法を算出する寸法測定部17を有しており、この寸法測定部17の出力結果が前記表示部4に表示されるものとなっている。この寸法測定部17は、表示部4の鍛造ワーク画像上で指定された2点間の実際寸法を算出したり、表示部4の鍛造ワーク画像上で指定された所定の点と、その点に対応する形状モデル上の点との間の実際寸法を算出したりする機能を有している。
【0039】
例えば、図3に示すように、表示部4に鍛造ワーク画像と形状モデルとの重合画像が表示されているとする。そこで、プレス機オペレータが、鍛造ワーク1の輪郭上の点faが、形状モデルすなわち設計データと実際の寸法でどれくらいの距離ズレているかを知りたいと考えたとする。その場合、プレス機オペレータは、マウス15等を用いて表示画面上に点faを指定すると共に、対応する形状モデル上の点fbも指定する。
寸法測定部17は、点faと点fbとの間の実際の距離D求めるにあたり、式(3)に示す関係を利用する。式(3)は、画像メモリ12上の点データをCCD面上のデータに変換し(行列fTw-1 をかける)、その上で、CCD面上のデータを実空間上のデータに変換する(1/K倍する)ものとなっている。
【0040】
【数3】
【0041】
ここで、Twは、式(1)で用いられていたものと同様である。
すなわち、プレス機オペレータが表示部4の画像上で、鍛造ワーク1の輪郭位置faと、それに対応する形状モデルの位置fbを指定すれば、両点間の実際の距離Dを、上記式(3)を基にして得られた式(4)で求めるようにしている。
【0042】
【数4】
【0043】
このように、プレス機オペレータが表示部4上で所定の2点を指定すれば、寸法測定部17において、2点間の実際の距離Dが算出され、その結果が表示部4に数値として表示されることで、鍛造ワーク1と形状モデルの寸法差異を明確に確認することができるようになる。
なお、当該寸法計測部17に、対応点サーチ機能を持たせることで、2点を指定することなく、鍛造ワーク1の輪郭上の点fa、又はそれに対応する形状モデルの点fbのいずれかを指定するだけで、両点の実寸差異を算出することができるようになる。
【0044】
例えば、プレス機オペレータは、表示部4に表示された鍛造ワーク画像の輪郭上の1点(例えば、fa点)を指定する。その後寸法測定部17は、重ね合わせ部7内の画像メモリ12で、fa点から垂直方向又は水平方向に画素をサーチしてゆき、最も近い距離にある形状モデルの輪郭線上の点fbを見つけるようにする。そして、式(4)を用いてfa点〜fb点間の実距離Dを計算し、これを表示するようにする。
この場合、プレス機オペレータは表示部4上で1点だけ指定すればよく、形状モデルの輪郭線上の点を指定する手間が省けることになる。
【0045】
以上説明した鍛造作業のガイダンス装置の使用態様、ならびに同装置内でのデータの流れについて述べる。
図8で、まず、鍛造作業中であるプレス機オペレータは一旦プレス作業を中止し、撮像手段2により、鍛造ワーク1の所定側面の画像を取り込むようにする。(S1,S2)
同時に、距離測定器16からレーザ光を照射し、撮像手段2から鍛造ワーク1装置までの距離Lを計測するようにする。(S3)
撮像手段2により取り込まれた鍛造ワーク画像は、撮像部5に一旦蓄えられた後、重ね合わせ部7の画像メモリ12に取り込まれるようになる。このとき同時に、形状モデル生成部11から得られた形状モデルも画像メモリ12上に取り込まれ、倍率を変更し且つ平行成分tx、ty、角度成分θを調整した上で、鍛造ワーク画像に重ねられ重合画像を得ることができるようになる。(S4,S5)
この重合画像は、鍛造ワーク画像と形状モデルとのズレ位置やズレ量が一目瞭然に現れるものとなっており、鍛造ワーク1に同尺(1/1尺)の設計図面を重ね合わせた状態をバーチャルに実現させたものとなっていて、表示部4に表示された重合画像をオペレータが見ることで、「今後、どの部分をプレスすべきか」や「どの部分にけがき線を入れるべきか」等の作業指針を得ることができるようになっている。(S6,S7)
かかる作業指針に基づいて、鍛造作業が再開される。(S8)
なお、通常、ステップS5では、形状モデルと鍛造ワーク画像とが等倍となるようにして、両者を重ね合わせる様にしているが、通常の形状モデルと共に、所定の値だけ大きいまたは小さい形状モデルを作成しておき、鍛造ワーク1の画像と重ね合わせようにしてもよい。図4には、通常の大きさの形状モデルと所定の倍率で膨張した形状モデルを重ね合わせた例が示されている。このようにすれば、プレス機オペレータは、形状モデルと鍛造品との形状の差異がどこにどれくらいあるかを一目瞭然に判断できる。
【0046】
また、表示部4の上で、オペレータが、鍛造したいと考える部分に対応する2点をマウス15等で指定することで、寸法計測部17により該2点間の実寸距離が算出され、表示部4に表示されるようになる。同様に、鍛造ワーク画像上の輪郭をマウス15で指定することで、その部分に対応する形状モデルとの実寸差異を算出することも可能である。(S9)
これら形状差異の実寸データをプレス機オペレータが見ることで、より具体的に「あと何回プレスを施すべきか」等の作業指針を得ることができるようになる。
[第2実施形態]
図9〜図11には、本発明にかかる鍛造作業のガイダンス装置の第2実施形態を示している。
【0047】
第2実施形態が第1実施形態と大きく異なる点は、鍛造作業者に対し鍛造ワーク1上の作業位置を指し示すためのレーザ光を照射するレーザ照射部18と、このレーザ照射部18を制御するレーザ照射位置制御部19とを有することである。他の構成は略同一である。
当該レーザ照射部18はスポット状のレーザ光を照射するレーザ投光器20を有している。更に、レーザ投光器20を上下左右に首振り運動可能とし鍛造ワーク1上の任意の点にレーザスポット光を照射可能とする首振り機構21を有している。
【0048】
詳しくは、図9に示す如く、レーザ投光器20は、空間座標Xw−Yw−Zw(図1と同様)における(Sx,Sy、0)の位置に回転中心がくるように首振り機構21を介して設置されており、Xw軸周り、Yw軸周りに回転が可能である。首振り機構21は、レーザ照射位置制御部19からの「Xw軸周りの回転角度α、Yw軸周りの回転角度β」の指令に基づき、レーザ投光器20を回転させ、鍛造ワーク1の所定の位置へレーザ光照射できるものとなっている。
前記レーザ照射位置制御部19は、鍛造作業者が表示部4に表示された形状モデル上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク1上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部18を制御したり、鍛造作業者が表示部4に表示された鍛造ワーク画像上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク1上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部18を制御する。
【0049】
例えば、プレス機オペレータが、形状モデル上の折れ曲がり位置を表示部4で指定した場合を考える。
その場合、指定された折れ曲がり位置の点データmpi=(mpix,mpiy,L)が、画像メモリ12内にある形状モデルからレーザ照射位置制御部19に読み出されるようになる。レーザ照射位置制御部19では、式(1)を用いて画像メモリ12上での座標データmpi=(mpix,mpiy,L)を、実空間でのデータwpi=(wpix,wpiy,L)に変換する。この位置が鍛造ワーク1上でのレーザスポット光の照射位置となり、当該位置へレーザースポット光を照射すべくレーザ投光器20を回転角αi、βiだけ回転させる。この回転角αi、βiハは、以下のようにして求める。
【0050】
図10は、撮像手段2、レーザ投光器20、鍛造ワーク1の3者の位置関係を示したものであり、図10(a)に示すように、XZ平面で見た場合、鍛造ワーク1上の所定の点(wpix,L)にレーザスポット光を照射するためのレーザ投光器20の角度βiは、ベクトルA=(Sx,0)、ベクトルB=(wpix−Sx,0)の交差角度となることから、式(5)で計算することができる。
【0051】
【数5】
【0052】
同様に、図10(b)から明らかなように、YZ平面で見た場合、鍛造ワーク1上の所定の点(wpiy,L)にレーザスポット光を照射するためのレーザ投光器20の角度αiは、ベクトルA=(Sy,0)、ベクトルB=(wpiy−Sy,0)の交差角度となることから、式(6)で計算することができる。
【0053】
【数6】
【0054】
今、形状モデルの特徴点データが複数個あり、それぞれの点に対応する位置にレーザスポット光を照射する場合には、図11に示すフローチャートにしたがって、レーザ照射を行うようにするとよい。まず、1番目の特徴点データ(付加特徴点)へレーザ照射し、その後、2番目、…、N番目までの順にレーザ照射を行う。N番目まで終了し、レーザ照射終了指令がなければ、再び1番目からレーザ照射をする。こうすることで、鍛造ワーク1表面に折れ曲がり位置などがレーザスポット光で指し示されるため、作業者はそれを基にけがき作業などを行うことができる。
【0055】
また、プレス機オペレータが表示部4における画像上の任意点を指定し、その位置に対応する鍛造ワーク1表面へレーザスポット光を照射する場合には、次のようにするとよい。
プレス機オペレータにより、指定点として画像メモリ12の座標fpi=(fpix,fpiy)が与えられることになるため、これを基に3次元点データfpi=(fpix,fpiy,L)を作り、式(3)を用いて実空間でのデータwpi=(wpix,wpiy,L)に変換する。
このwpiへのレーザ照射は、上記手法と同じようにして行うことができ、レーザ投光器20の角度αi、βiを 式(5)、式(6)を用いて求め、首振り機構21によりレーザ投光器20を当該角度αi、βi だけ動かすようにする。
【0056】
以上のようにすることで、形状モデル上の所定の点や鍛造ワーク画像上の任意点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク1上の位置にレーザスポット光が照射され、その照射光を目印として、型当て無しで安定したけがき作業が行えたり、直接プレス作業を行ったりすることが可能となる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。
例えば、ワークは鍛造品に限定されるものではない。
また、撮像部5を構成するフレームメモリと、重ね合わせ部7の画像メモリ12を同一のものとして構成しても何ら問題はない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明にかかるガイダンス装置の第1実施形態の構成図である。
【図2】重ね合わせ部の動作原理を示す図である。
【図3】表示部に表示された重合画像である。
【図4】表示部に表示された重合画像である。
【図5】鍛造ワークの加工形態を示した図である。
【図6】形状モデルのデータフォーマットを示した図である。
【図7】形状モデルデータの一例である。
【図8】第1実施形態のガイダンス装置を用いた際の鍛造作業の工程を示した図である。
【図9】本発明にかかるガイダンス装置の第2実施形態の構成図である。
【図10】レーザ照射位置制御部の動作原理を示した図である。
【図11】鍛造ワーク上の複数の位置にレーザスポット光を照射する場合の工程を示した図である。
【符号の説明】
【0058】
1 鍛造ワーク
2 撮像手段
3 信号処理部
4 表示部
5 撮像部
6 距離測定部
7 重ね合わせ部
11 形状モデル生成部
17 寸法測定部
18 レーザ照射部
19 レーザ照射位置制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍛造作業中である鍛造ワーク(1)の画像を撮像する撮像手段(2)と、
この撮像手段(2)で撮像した鍛造ワーク画像と設計データに基づく形状モデルとを両者の形状差異が明確になるように重ね合わせた重合画像を作成する信号処理部(3)と、
この信号処理部(3)が出力する重合画像を表示して鍛造作業者に対して作業指針を与えることを可能とする表示部(4)と、を有することを特徴とする鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項2】
前記信号処理部(3)は、撮像手段(2)で撮像した鍛造ワーク画像を格納する撮像部(5)と、
前記撮像手段(2)から鍛造ワーク(1)までの距離を測定する距離測定部(6)と、
この距離測定部(6)が算出した撮像手段(2)と鍛造ワーク(1)との間の距離に基づき、形状モデルの大きさを所定の倍率で変更し前記撮像部(5)に格納されている鍛造ワーク画像に重ね合わせ、両者の形状差異が明確となるように重合画像を作成する重ね合わせ部(7)と、を備えており、
この重ね合わせ部(7)からの出力である形状差異を含む重合画像を前記表示部(4)に表示させることを特徴とする請求項1に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項3】
前記信号処理部(3)は、鍛造ワーク(1)と形状モデルとの形状差異の実際寸法を算出する寸法測定部(17)を有しており、この寸法測定部(17)の出力結果が前記表示部(4)に表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項4】
前記寸法測定部(17)は、表示部(4)の鍛造ワーク画像上で指定された2点間の実際寸法を算出し、該算出結果を表示部(4)に表示することを特徴とする請求項3に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項5】
前記寸法測定部(17)は、表示部(4)の鍛造ワーク画像上で指定された所定の点と、その点に対応する形状モデル上の点との間の実際寸法を算出し、該算出結果を前記表示部(4)に表示することを特徴とする請求項3に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項6】
前記信号処理部(3)は、設計データに基づいて形状モデルを作成する形状モデル生成部(11)を有しており、この形状モデル生成部(11)で作成された形状モデルは、鍛造ワーク(1)の形状変化位置及び/又は折り曲げ位置を有する特徴点データで構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項7】
前記鍛造作業者に対し鍛造ワーク(1)上の作業位置を指し示すためのレーザ光を照射するレーザ照射部(18)と、
このレーザ照射部(18)を制御するレーザ照射位置制御部(19)と、を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項8】
前記レーザ照射位置制御部(19)は、鍛造作業者が表示部(4)に表示された形状モデル上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク(1)上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部(18)を制御することを特徴とする請求項請求項7に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項9】
前記レーザ照射位置制御部(19)は、鍛造作業者が表示部(4)に表示された鍛造ワーク画像上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク(1)上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部(18)を制御することを特徴とする請求項請求項7に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載されたガイダンス装置の表示部(4)に表示される重合画像から、鍛造ワーク(1)と形状モデルとの形状差異を確認し、当該形状差異が無くなるように以降の鍛造作業を行うことを特徴とする鍛造作業のガイダンス装置を用いた鍛造方法。
【請求項11】
請求項3〜5のいずれかに記載されたガイダンス装置の表示部(4)に表示される実際寸法を基に、以降の鍛造作業を行うことを特徴とする鍛造作業のガイダンス装置を用いた鍛造方法。
【請求項12】
請求項7〜9のいずれかに記載されたガイダンス装置のレーザ照射部(18)が照射するレーザ光を基に、鍛造ワーク(1)に対するけがき作業又は以降の鍛造作業を行うことを特徴とする鍛造作業のガイダンス装置を用いた鍛造方法。
【請求項1】
鍛造作業中である鍛造ワーク(1)の画像を撮像する撮像手段(2)と、
この撮像手段(2)で撮像した鍛造ワーク画像と設計データに基づく形状モデルとを両者の形状差異が明確になるように重ね合わせた重合画像を作成する信号処理部(3)と、
この信号処理部(3)が出力する重合画像を表示して鍛造作業者に対して作業指針を与えることを可能とする表示部(4)と、を有することを特徴とする鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項2】
前記信号処理部(3)は、撮像手段(2)で撮像した鍛造ワーク画像を格納する撮像部(5)と、
前記撮像手段(2)から鍛造ワーク(1)までの距離を測定する距離測定部(6)と、
この距離測定部(6)が算出した撮像手段(2)と鍛造ワーク(1)との間の距離に基づき、形状モデルの大きさを所定の倍率で変更し前記撮像部(5)に格納されている鍛造ワーク画像に重ね合わせ、両者の形状差異が明確となるように重合画像を作成する重ね合わせ部(7)と、を備えており、
この重ね合わせ部(7)からの出力である形状差異を含む重合画像を前記表示部(4)に表示させることを特徴とする請求項1に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項3】
前記信号処理部(3)は、鍛造ワーク(1)と形状モデルとの形状差異の実際寸法を算出する寸法測定部(17)を有しており、この寸法測定部(17)の出力結果が前記表示部(4)に表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項4】
前記寸法測定部(17)は、表示部(4)の鍛造ワーク画像上で指定された2点間の実際寸法を算出し、該算出結果を表示部(4)に表示することを特徴とする請求項3に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項5】
前記寸法測定部(17)は、表示部(4)の鍛造ワーク画像上で指定された所定の点と、その点に対応する形状モデル上の点との間の実際寸法を算出し、該算出結果を前記表示部(4)に表示することを特徴とする請求項3に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項6】
前記信号処理部(3)は、設計データに基づいて形状モデルを作成する形状モデル生成部(11)を有しており、この形状モデル生成部(11)で作成された形状モデルは、鍛造ワーク(1)の形状変化位置及び/又は折り曲げ位置を有する特徴点データで構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項7】
前記鍛造作業者に対し鍛造ワーク(1)上の作業位置を指し示すためのレーザ光を照射するレーザ照射部(18)と、
このレーザ照射部(18)を制御するレーザ照射位置制御部(19)と、を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項8】
前記レーザ照射位置制御部(19)は、鍛造作業者が表示部(4)に表示された形状モデル上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク(1)上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部(18)を制御することを特徴とする請求項請求項7に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項9】
前記レーザ照射位置制御部(19)は、鍛造作業者が表示部(4)に表示された鍛造ワーク画像上の所定の点を指定した場合に、該指定点に対応する鍛造ワーク(1)上の位置にレーザ光が照射されるように前記レーザ照射部(18)を制御することを特徴とする請求項請求項7に記載の鍛造作業のガイダンス装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載されたガイダンス装置の表示部(4)に表示される重合画像から、鍛造ワーク(1)と形状モデルとの形状差異を確認し、当該形状差異が無くなるように以降の鍛造作業を行うことを特徴とする鍛造作業のガイダンス装置を用いた鍛造方法。
【請求項11】
請求項3〜5のいずれかに記載されたガイダンス装置の表示部(4)に表示される実際寸法を基に、以降の鍛造作業を行うことを特徴とする鍛造作業のガイダンス装置を用いた鍛造方法。
【請求項12】
請求項7〜9のいずれかに記載されたガイダンス装置のレーザ照射部(18)が照射するレーザ光を基に、鍛造ワーク(1)に対するけがき作業又は以降の鍛造作業を行うことを特徴とする鍛造作業のガイダンス装置を用いた鍛造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−150427(P2006−150427A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347442(P2004−347442)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】
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