説明

鍵管理システム

【課題】スケジュール通りに鍵の貸出を行いつつ、鍵の利用効率向上を図ることが可能な鍵管理システムを提供する。
【解決手段】ダイヤ作成装置1が、貸出時間帯の返却予定時刻と返却実施時刻とを比較する比較手段と、返却予定時刻よりも返却実施時刻が前である場合に、返却実施時刻から返却予定時刻までの時間帯に対する新規の予約情報の受付を開始する返却後予約開始手段と、受付けられた新規の予約情報に基づき鍵貸出ダイヤグラムを変更するダイヤ変更手段とを備え、鍵管理機制御装置3が、予め入力された予約情報に基づき作成された鍵貸出ダイヤグラム、又は、ダイヤ変更手段によって変更された鍵貸出ダイヤグラム、および、カードリーダ14による特定結果に基づいて、鍵管理機5による鍵の取り出し許可状態と取出し禁止状態とを切り替え制御することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、鍵管理システムに関するものであって、特に、鍵利用者のスケジューリング機能を果たすものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鍵を管理する鍵管理装置にあっては、予め入力された予約情報に基づき鍵貸出ダイヤグラムを作成して、鍵の取出し・返却を管理する鍵管理手段を、作成された鍵貸出ダイヤグラムに従って制御することで、スケジュール通りに鍵の貸出を行う鍵管理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この鍵管理装置では、カードリーダなどの利用者特定手段により利用者情報を特定し、この特定された利用者情報が対応付けされている貸出時間帯にだけ鍵管理手段からの鍵の貸出が許可されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−113220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、鍵管理システムにあっては、鍵を返却する予定時刻よりも早く作業が終了して鍵が鍵管理手段に返却される場合がある。上述した従来の鍵管理装置では、鍵貸出ダイヤグラムの予定時刻までは鍵が専有された状態となり、鍵を返却した利用者以外の者が鍵の返却を認識することができない。例えば、予定時刻前に返却されている鍵を利用したい者がいたとしても、すぐに利用することができず、鍵の利用効率向上が困難になってしまうという課題がある。
【0005】
そこで、この発明は、スケジュール通りに鍵の貸出を行いつつ、鍵の利用効率向上を図ることが可能な鍵管理システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、入力された識別情報に基づいて利用者を特定する利用者特定手段と、該利用者特定手段の特定結果に基づいて鍵の貸出可否を判定する鍵管理機制御装置と、該鍵管理機制御装置の判定結果に基づいて、鍵を取出し許可状態および取出し禁止状態とする鍵管理機と、予め入力された予約情報に基づいて、利用者毎の貸出時間帯を規定する鍵貸出ダイヤグラムを作成するダイヤ作成装置とを備えた鍵管理システムであって、前記ダイヤ作成装置は、前記貸出時間帯の返却予定時刻と鍵が実際に返却された返却実施時刻とを比較する比較手段と、前記返却予定時刻よりも前記返却実施時刻が前である場合に、該返却実施時刻より後の前記返却予定時刻までの時間帯に対する新規の予約情報の受付を開始する返却後予約開始手段と、該予約開始手段によって受付けられた新規の予約情報に基づき鍵貸出ダイヤグラムを変更するダイヤ変更手段とを備え、前記鍵管理機制御装置は、予め入力された予約情報に基づき作成された鍵貸出ダイヤグラム、又は、前記ダイヤ変更手段により変更された鍵貸出ダイヤグラム、および、前記利用者特定手段による特定結果に基づいて、前記鍵管理機による鍵の取り出し許可状態と取出し禁止状態とを切り替え制御することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記返却実施時刻が前記返却予定時刻よりも前である場合に、新規の予約情報の受付が開始されることを利用者に報知する報知手段を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載した発明は、請求項1又は2に記載の発明において、前記返却実施時刻が前記返却予定時刻よりも前である場合に、鍵を返却した利用者以外の他の利用者による新規の予約情報の受付を、所定時間だけ制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載した発明によれば、予め入力された予約情報に基づいて利用者ごとの貸出時間帯を規定する鍵貸出ダイヤグラムを作成し、この鍵貸出ダイヤグラム、および、利用者特定手段の特定結果に従って鍵管理機を制御して、利用者特定手段で特定された利用者に対して、鍵貸出ダイヤグラムに規定された貸出時間帯にだけ鍵の貸出を許可することができ、また、返却予定時刻前に鍵が返却された場合には、返却実施時刻から返却予定時刻までの時間帯に対する新規の予約情報の受付を開始して、鍵貸出ダイヤグラムを変更して、この変更された鍵貸出ダイヤグラムに従って鍵の貸出制御を行うことができるため、スケジュール通りに鍵の貸出を行いつつ、鍵が早めに返却された場合の鍵の利用効率向上を図ることが可能になるという効果がある。
【0010】
請求項2に記載した発明によれば、請求項1の効果に加え、返却予定時刻よりも前に鍵が返却された場合に、新規の予約情報の受付が開始されることを利用者に報知することができるため、他の利用者が即座に鍵の予約情報を入力して鍵を利用することができる。したがって、鍵を利用したい他の利用者等が鍵の利用状況を頻繁に確認する必要が無くなり、更なる鍵の利用効率向上を図ることができる効果がある。
【0011】
請求項3に記載した発明によれば、請求項1又は2に記載の発明において、返却予定時刻よりも前に鍵が返却された場合に所定時間だけ他の利用者による鍵の貸し出しを制限して、鍵を返却した利用者の鍵の貸し出しを優先させることで、貸し出しされた鍵を利用していない場合に短時間でも鍵を返却させることを癖付けさせて、利用者による鍵の返却忘れなどが発生するのを抑制し、更なる鍵の利用効率向上を図ることができる
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態における鍵管理システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施形態における鍵貸出ダイヤグラムである。
【図3】本発明の実施形態における納入業者確認ダイヤグラムである。
【図4】本発明の実施形態における貸出手順の説明図である。
【図5】本発明の実施形態における鍵管理システムの鍵返却後の機能構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、この発明の実施形態の鍵管理システムの一例について図面を参照しながら説明する。この実施形態の鍵管理システムの一例は、工場で納入業者が納品の際に利用するフォークリフトの鍵を管理する鍵管理システムである。この工場では、納入業者が納品の際の受け付けを行ういわゆる検収が複数箇所(以下、検収T1〜Tnと呼ぶ)に設けられ、さらに、各検収T1〜Tnには個別納品場所である複数のポート(以下、ポートP1〜Pnと呼ぶ)がそれぞれ設けられており、これらポートP1〜Pnにはそれぞれ一台ずつフォークリフトが配置されている。なお、ポートP1〜Pnに配置されているフォークリフトの台数は1台に限られるものではなく2台以上であってもよい。
【0014】
図1に示すように、鍵管理システムは、ダイヤ作成装置1と、このダイヤ作成装置1にLAN(Local Area Network)などの通信回線2を介してそれぞれ双方向通信可能に接続された複数の鍵管理機制御装置3と、各鍵管理機制御装置3とLANまたはシリアル回線(例えば、EIA−232)などの通信回線4によって双方向通信可能に一対一で接続された鍵管理機5とで構成されている。なお、通信回線2,4はLANやシリアル回線に限るものではなく、利用可能なものから適宜選択すればよい。
【0015】
ダイヤ作成装置1は、生産スケジュールから定まる部品納入のスケジューリングを行う検収ダイヤ作成機能を備えており、工場において部品の納入管理を行う部門(以下、生産管理部門という)などに配置されている。このダイヤ作成装置1は、検収ダイヤ作成機能によって作成された鍵貸出ダイヤグラム15(図2参照)が記録されるデータベース(ダイヤDB)6と、検収ダイヤ作成機能によって作成された鍵貸出ダイヤグラム15を表示するディスプレイ7と、予約情報である納入業者の部品納入の時間帯を入力する入力装置(例えば、キーボード、マウス等)8と、鍵貸出ダイヤグラム15等を出力する印刷機(図示せず)とを備えている。なお、鍵貸出ダイヤグラム15については詳細を後述する。
【0016】
鍵管理機制御装置3および鍵管理機5の各セットは、それぞれ検収T1〜Tnのうちの対応する場所に配置される。各鍵管理機制御装置3は、ダイヤ作成装置1で作成された鍵貸出ダイヤグラム15に従って同一検収に配置された鍵管理機5の制御指令を行うものであり、鍵管理機5での鍵貸し出し履歴、この鍵管理機制御装置3の各種設定および鍵貸出ダイヤグラム15を表示するディスプレイ9と、鍵管理機制御装置3における各種設定の変更等を行う入力装置(例えば、キーボード、マウス等)10を備えている。さらに、この鍵管理機制御装置3には、データベース(ダイヤDB)11が設けられており、このデータベース11にも前述した鍵貸出ダイヤグラム15のコピーが登録される。
【0017】
各鍵管理機5は、それぞれが配置される検収のポートP1〜Pnに配置されたフォークリフトの鍵の貸出管理を行う。例えば、ポートP1〜Pnに配置されたフォークリフトの鍵には各々キーホルダ(図示せず)が取付けられており、これらキーホルダが鍵管理機5の正面パネル12上に設けられた係止部13に固定可能になっている。この係止部13は、対応する鍵管理機制御装置3の制御指令に基づいてキーホルダのロック・アンロックが切り替え可能になっており、鍵の貸出が禁止された場合にはロック状態となる一方、鍵の貸出が許可された場合にはアンロック状態となる。各鍵管理機5は、キーホルダと係止部13とがそれぞれ1対1で対応付けられており、対応していない係止部13にキーホルダが固定されないようになっている。また、各係止部13の周囲の正面パネル上にはそれぞれランプ(図示せず)が配置されており、鍵を取りにきた納入業者(利用者)は、ランプの点灯か消灯かを確認することによって現在鍵が貸出許可状態か貸出禁止状態かを認識できるようになっている。
【0018】
鍵管理機5は、さらに、その幅方向に沿ってスリット状のカードリーダ(利用者特定手段)14を備え、予め納入業者毎に配布されたIDカードがカードリーダ14に通されると、識別データを含むIDカードの情報を読み取り、このカードリーダ14により読み取られた識別データを、通信回線4経由で前述した鍵管理機制御装置3に送信する。ここで、識別データを受信した鍵管理機制御装置3は、この識別データと後述する鍵貸出ダイヤグラム15とに基づき、鍵管理機5の鍵の貸出制御を行うこととなる。
【0019】
図2は、ダイヤ作成装置1によって予め作成された鍵貸出ダイヤグラム15の一例を示している。この鍵貸出ダイヤグラム15上において、縦軸方向に沿って上から順に検収TnのポートP1〜P4の各タイムテーブル16が配置され、これら各ポートP1〜P4の各タイムテーブル16が横軸方向に沿って延在している。これらタイムテーブル16は1日を24時間表示したものであり、この時間は、左端の0:00を起点として、中央の12:00を経て右端の24:00に至るように構成されている。そして、図2の一例では、納入業者としてA〜F社が納入可能となっている。なお、これらタイムテーブル16は24時間表示に限られるものではなく、必要に応じて変更してもよい(以下、後述する納入業者確認ダイヤグラムも同様)。
【0020】
図2に示す鍵貸出ダイヤグラム15のポートP1のタイムテーブル16では、フォークリフトの鍵の貸出がA社、B社、C社、F社の順にそれぞれ設定され、それぞれの納入業者毎に指定された納入時間(例えば、30分〜1時間程度)が帯状に貸出予定時刻及び返却予定時刻を含む貸出時間帯として表示されている。つまり、ポートP1に対して特定の貸出時間帯にA社〜F社の何れか1社が割り当てられている。このポートP1のタイムテーブル16と同様に、ポートP2のタイムテーブル16ではB社、C社、A社、F社、E社、C社の順にそれぞれ個別の貸出時間帯が設定され、また、ポートP3のタイムテーブル16ではE社、B社、C社、C社、A社、F社の順でそれぞれ個別の貸出時間帯が設定され、さらに、ポートP4のタイムテーブル16ではB社、E社、F社、A社、C社、C社の順で個別の貸出時間帯が設定されている。そして、ポートP1と同様に、ポートP2〜P4においても設定された納入業者毎にそれぞれ貸出予定時刻及び返却予定時刻を含む所定の納入時間、つまり貸出時間帯が割り振られている。
【0021】
ここで、上述した貸出時間帯の帯状の表示は、納入業者(A〜F社)毎に異なった色が指定されており、個々の納入業者が一目で分かるようになっている。また、各納入業者に割り振られる納入時間は、納入される物品の種類に対応しており、例えば、短時間で納入可能なものには比較的短い所定の時間(例えば、30分程度)が与えられ、納品作業に時間を要するものには比較的長い所定の時間(例えば、1時間程度)が与えられる。つまり、図2に示す鍵貸出ダイヤグラム15では、B社、C社、E社よりもA社の納入物品が納品作業に時間を要するため、B社、C社、E社よりも長い時間が与えられており、さらに、A社よりもF社の納入物品が納品作業に時間を要するため、F社にA社よりも長い時間が与えられている。なお、各納入業者に割り当てられる納入時間をダイヤ作成装置1の入力装置8によって手動で変更可能に構成してもよい。
【0022】
一方、図2に示す鍵貸出ダイヤグラム15上において、例えば、ポートP1のタイムテーブル16上に設定されたB社とポートP3のタイムテーブル16上に設定されたB社との貸出時間帯が重複している。このように同一検収で同一の納入業者の貸出時間帯が重複して設定される場合には、ダイヤ作成装置1のディスプレイ7には警告表示がなされ、生産管理部門の担当者に対してポートP1またはポートP3の何れかの時間をずらすように促すようになっている。なお、この実施形態では警告表示を行うようにしているが、担当者に報知できれば警告表示に限られるものではなく、例えば、警告表示と同時に警告音を発するように設定したり、警告音だけを発するようにしたり、別途ランプを設けて点灯させるようにしてもよい。また、重複して設定される場合には、後入力の設定そのものを禁止するようにしてもよい。
【0023】
図3は、ダイヤ作成装置1によって作成された鍵貸出ダイヤグラム15のデータに基づいて作成される納入業者確認ダイヤグラム(利用者確認ダイヤグラム)17の一例を示している。なお、図示都合上、この図3に示す納入業者確認ダイヤグラム17の情報は図2に示した鍵貸出ダイヤグラム15の情報と一致していないが、本来はこれら鍵貸出ダイヤグラム15と納入業者確認ダイヤグラム17とは情報が一致するようになっている。
【0024】
納入業者確認ダイヤグラム17上において、縦軸方向に沿って上から順にA社〜D社のそれぞれ個別のタイムテーブル18が配置され、これらA社〜D社の各タイムテーブル18が横軸方向に沿って延在している。このタイムテーブル18は、鍵貸出ダイヤグラム15のタイムテーブル16と同様に、1日の時間を24時間表示したものであり、この時間は、左端の0:00を起点として、中央の12:00を経て、右端の24:00に至るように構成されている。そして、この納入業者確認ダイヤグラム17上では、鍵貸出ダイヤグラム15で設定されている納入業者(図3中、A社〜F社)毎に、納品する検収T1〜Tn(図3中、検収T1〜T4)の場所・ポートP1〜Pn(図3中、ポートP1〜P8)の各貸出時間帯の情報が帯状に表示される。
【0025】
より具体的には、鍵貸出ダイヤグラム15のA社に関係するスケジュールを全ての検収T1〜Tn分収集して並べることで、納入業者確認ダイヤグラム17のA社のタイムテーブル18が作成される。このように納入業者毎にタイムテーブル18を作成することで、例えば、図3に示す納入業者確認ダイヤグラム17のように、A社の場合は、検収T1のポートP1における貸出時間帯、検収T1のポートP4における貸出時間帯、検収T2のポートP1における貸出時間帯、検収T3のポートP8における貸出時間帯が順に割り振られたタイムテーブル18(図3中、一番上のタイムテーブル18参照)が作成され、B社の場合は、検収T1のポートP5における貸出時間帯、検収T2のポートP3における貸出時間帯、検収T3のポートP2における貸出時間帯、検収T1のポートP3における貸出時間帯、検収T1のポートP6における貸出時間帯が順に割り振られたタイムテーブル18(図3中、上から2番目のタイムテーブル参照)が作成される。
【0026】
さらに、C社の場合は、検収T3のポートP2における貸出時間帯、検収T4のポートP3における貸出時間帯、検収T1のポートP1における貸出時間帯、検収T2のポートP5における貸出時間帯が順に割り振られたタイムテーブル18(図3中、下から2番目のタイムテーブル参照)が作成され、D社の場合は、検収T3のポートP5における貸出時間帯、検収T3のポートP1における貸出時間帯、検収T4のポートP8における貸出時間帯、検収T1のポートP1における貸出時間帯の順に割り振られたタイムテーブル18(図3中、一番下のタイムテーブル参照)が作成されることとなる。
【0027】
ここで、納入業者確認ダイヤグラム17は、前述した印刷機による印刷が可能であり、納入日より前、例えば、当該納品月の開始前の所定の期日に、印刷した納入業者確認ダイヤグラム17を各納入業者に配布することで、それぞれの納入業者による事前確認が可能になる。なお、この図3に示した納入業者確認ダイヤグラム17には図示されていないが、この納入業者確認ダイヤグラム17に納品すべき物品情報と数量情報とを含むようにしても良い。
【0028】
次に、上述した鍵管理システムの基本動作を、主に図4を参照しながら説明する。
まず、事前準備として生産管理部門の担当者は、例えば、納入業者が納品する前月までに、次の月の納品の予約情報すなわち、検収T1〜Tn毎の納品スケジュールをダイヤ作成装置1のディスプレイ7に表示された鍵貸出ダイヤグラム15上で設定する。より具体的には、入力装置10のマウスを用いて業者一覧(図2の右下に示すA社〜F社)19から特定の業者を検収T1〜Tnの所定のタイムテーブル16上にドラッグアンドドロップしたり、キーボードから納入業者名と割り当て時間帯を直接入力することで設定する。このように予約情報を担当者が入力することでダイヤ作成装置1では鍵貸出ダイヤグラム15が作成される。なお、鍵貸出ダイヤグラム15の作成は、毎日行うことが可能ではあるが、とりわけ大規模工場の場合においては、月次の生産スケジュールを作成する場合が多く、この場合は一つの鍵貸出ダイヤグラム15が最低一ヶ月間は維持されることとなる。
【0029】
鍵貸出ダイヤグラム15を作成する際に、例えば、同一ポートの重複する貸出時間帯に異なった納入業者が設定されたり、重複する貸出時間帯に他のポートまたは他の検収のポートに亘って同じ納入業者が設定される場合等にはダイヤ作成装置1のディスプレイ7に時間帯または納入業者が重複している旨の警告表示がなされる。
【0030】
さらに、ダイヤ作成装置1では、上述の鍵貸出ダイヤグラム15に基づいて納入業者確認ダイヤグラム17が作成され、生産管理部門の担当者はこの納入業者毎の納入業者確認ダイヤグラム17を印刷機によって印刷する。この印刷した納入業者確認ダイヤグラム17は生産管理部門の担当者によって該当する納入業者に事前に配布される。また、各納入業者には、生産管理部門の担当者より個々の会社情報が記録されたIDカード20が必要数配布されている。
【0031】
次に、部品納入の当日には、納入業者である例えば、A社の納品担当者が、前述した納入業者確認ダイヤグラム17に従って、指定された時刻(例えば、図3のA社のタイムテーブル18では貸出時間帯の開始時刻である4:00頃)に指定された検収(例えば、検収T1)に納品に出向く。この際、納品担当者は前述したIDカードを持参する。そして、この納品担当者は、検収T1に到着すると、検収T1に設けられた鍵管理機5のカードリーダ14にIDカードを通す。すると、カードリーダ14で読み取られた会社情報は、通信回線4を介して鍵管理機制御装置3に送られ、この鍵管理機制御装置3によって、通信回線2を介してダイヤ作成装置1のデータベース6に記録されている鍵貸出ダイヤグラム15上のA社が検索される。ここで、通信回線2にトラブルが生じている場合には、鍵管理機制御装置3のデータベース11に記録されている鍵貸出ダイヤグラム15の複製を用いて同様の検索が行われる。
【0032】
そして、カードリーダ14で読み取られた時刻が、鍵貸出ダイヤグラム15上のタイムテーブル16でA社が設定されている貸出時間帯に含まれる場合に、鍵管理機制御装置3によって鍵管理機5の所定のポート(例えば、ポートP1)のランプが点灯されて、キーホルダがアンロック状態とされ、鍵の取出しが可能となる。納品担当者は、ランプが点灯しアンロック状態となった鍵を取出して所定のポート(例えば、ポートP1)に移動し、そのポート(例えば、ポートP1)に配置されているフォークリフトを使用して納品作業を行う。
【0033】
一方、納品担当者が指定された時間よりも早く到着してしまった場合や、IDカードの情報が未登録である場合などには、カードリーダ14で読み取られた時刻が、鍵貸出ダイヤグラム15のタイムテーブル16上でA社が設定されている貸出時間帯に含まれないことになる。また、カードリーダ14での読み取り時間が、納入業者に割り当てられた時間帯を過ぎてしまった場合もこれらの時間は一致しない。このような場合には、鍵管理機制御装置3により、鍵管理機5の各ポートP1〜Pnのランプが消灯のままにされて、全てのキーホルダのロック状態が維持される。このとき、例えば、鍵管理機5にディスプレイやスピーカを設ける構成として、時間外であることや、未登録の利用者である旨判定されたことを例えば、表示や音などで報知するようにしてもよい。この場合、生産管理部門の担当者は検収T1〜Tn毎の鍵管理機制御装置3を操作して鍵貸出ダイヤグラム15を参照し、適宜、空きポート用の鍵貸出許可を与えるようにしてもよい。
【0034】
納品担当者は、納品作業が終了すると、鍵が取付けられたキーホルダを再び鍵管理機5の係止部13に戻して鍵の返却を完了する。この際、キーホルダが対応する係止部13に戻されたことがセンサ(図示せず)により検知され、鍵が返却されたことを示す信号が鍵管理機5から鍵管理機制御装置3に向けて出力される。すると、鍵管理機制御装置3より、係止部13をロック状態とするべく鍵管理機5に対する制御指令が出力され、返却された鍵のキーホルダが鍵管理機5の係止部13に固定される。
【0035】
また、例えば、鍵貸出ダイヤグラム15上のA社が設定された貸出時間帯を過ぎても貸出された鍵が鍵管理機5の対応する係止部13に返却されていない場合、鍵管理機制御装置3に設けられたディスプレイ9や、ダイヤ作成装置1のディスプレイ7を介して警告表示がなされる。このように警告表示がなされることで、生産管理部門の担当者によって、例えば、事前に知らされている納入業者の連絡先に電話したり、ダイヤ作成装置1で鍵貸出ダイヤグラム15の調整を行ったり、しかるべき対応が行われることとなる。
【0036】
さらに、鍵管理機5の動作状況の履歴データが、都度、鍵管理機制御装置3に記憶されるとともに、ダイヤ作成装置1によりダウンロードされるようになっており、生産管理部門の担当者によって全履歴データの確認、集計作業、現在の全納品状況の確認が行われる。なお、鍵管理システムの基本動作として、納入業者のうちA社の場合について説明したが、B社〜F社の場合も同様である。
【0037】
ところで、上述した鍵管理システムは、貸出予定時刻に鍵を貸し出した後、返却予定時刻よりも前に作業が完了して鍵が返却された場合、その納入業者に与えられた貸出時間帯が終了していない場合であっても、貸出ダイヤグラム15を変更して返却後の鍵の貸出を行えるようになっている。次に、この実施形態の鍵管理システムにおいて、返却予定時刻よりも早く返却された鍵の貸出処理を行う構成について、図5を参照しながら説明する。
【0038】
図5に示すように、ダイヤ作成装置1は、比較手段21と、返却後予約開始手段22と、ダイヤ変更手段23と、報知手段24と、制限手段25とを備えて構成される。
比較手段21は、鍵貸出ダイヤグラム15の貸出時間帯の返却予定時刻と、鍵管理機5の係止部13に鍵が係止されて実際に返却された返却実施時刻とを比較する。例えば、返却予定時刻よりも前に鍵が返却された場合には、返却予定時刻よりも返却実施時刻が前となる。
【0039】
返却後予約開始手段22は、返却予定時刻よりも返却実施時刻が前であるか否かを判定して、返却予定時刻よりも返却実施時刻が前であると判定した場合、すなわち返却予定時刻よりも前に鍵が返却された場合に、返却実施時刻から返却予定時刻までの時間帯に対する新規の予約情報の受付を許可する。つまり、当該貸出時間帯に対する入力装置8,10や通信回線2経由での新規の予約情報の受付を開始する。
【0040】
ダイヤ変更手段23は、予約開始手段によって受付けられた新規の予約情報に基づき鍵貸出ダイヤグラム15を変更する。具体的には、上述した返却後予約開始手段22により返却実施時刻から返却予定時刻までの時間帯に対する予約情報が受付されると、この予約情報を反映すべく鍵貸出ダイヤグラム15を変更する。この変更された鍵貸出ダイヤグラム15は、データベース6に記憶され、この変更した鍵貸出ダイヤグラム15およびカードリーダ14の読取結果に従って鍵管理機5による鍵の貸出許可状態および貸出禁止状態が切り替え制御される。なお、データベース6に記憶された変更後の鍵貸出ダイヤグラム15は、データベース11にも上書き等により記憶(登録)される。
【0041】
報知手段24は、返却実施時刻が返却予定時刻よりも前であると判定された場合に、新規の予約情報の受付が開始されることを利用者に報知する。例えば、ダイヤ作成装置1や通信回線2に接続された端末(不図示)で利用者への報知を行う場合は、ディスプレイ7や通信回線2に接続された端末(不図示)のディスプレイに対して、鍵の早期返却による新規の予約情報の受付が開始される旨を表示させる制御信号の出力を行う。なお、ディスプレイ7等への表示に限られず、スピーカによる音声出力や、これらの組み合わせにより報知するようにしてもよい。
【0042】
制限手段25は、返却実施時刻が返却予定時刻よりも前である場合に、鍵を返却した納入業者以外の他の納入業者による新規の予約情報の受付を、予め設定された所定時間だけ制限する。つまり、返却予定時刻よりも前に鍵が返却された場合に、所定時間だけ、他の納入業者による新規の予約情報を受付けず、鍵を返却した納入業者すなわち、返却予定時刻まで鍵を利用する権利を有していた納入業者により入力された予約情報の受付が優先的になされることとなる。なお、他の納入業者による予約情報の受付を制限する所定時間が、返却実施時刻から返却予定時刻までの時間以上である場合は、実質的に、鍵を返却した納入業者のみ新規の予約が受付可能となる。
【0043】
次に、返却予定時刻前に鍵が返却される場合の動作について説明する。なお、この説明では、鍵貸出ダイヤグラム15に従って鍵が正しく貸し出されていることを前提としている。
まず、納入業者に正しく貸し出されていた鍵のキーホルダが、鍵管理機5の所定の係止部13に固定されると、鍵が返却された返却実施時刻の情報を含む返却信号が、鍵管理機5から鍵管理機制御装置3経由でダイヤ作成装置1へ向けて送信される。
【0044】
そして、返却信号がダイヤ作成装置1で受信されると、データベース6に記憶されている鍵貸出ダイヤグラム15の該当するポートのタイムテーブル16が参照され、鍵の返却予定時刻と、返却信号に含まれる返却実施時刻とが比較手段21によって比較される。そして、比較手段21の比較結果に基づき、返却予定時刻よりも返却実施時刻が前であるか否かが返却後予約開始手段22により判定される。返却予定時刻よりも返却実施時刻が前ではないと判定された場合には、上述した基本動作による返却処理が行われる一方、返却予定時刻よりも返却実施時刻が前であると判定された場合には、この返却実施時刻から返却予定時刻までの時間帯に対する鍵の貸し出しを開始するために、この時間帯に対する新規の予約情報の受付が開始される。この際、返却実施時刻から返却予定時刻までの新規の予約情報の受付を開始する旨の情報、および、当該受付を開始するポートの情報を含む信号(以下、受付開始信号と称す)が返却後予約開始手段22より報知手段24および制限手段25に向けて送信される。
【0045】
制限手段25により受付開始信号が受信されると、予約情報の受付が開始されてから所定の時間、返却後予約開始手段22による予約情報の受付を、当該ポートの鍵を返却した納入業者に限り許可するべく、他の納入業者による予約情報の受付を制限する処理が行われる。
さらに、報知手段24により受付開始信号が受信されると、ディスプレイ7や鍵管理機制御装置3のディスプレイ9などに、当該ポートの新規の予約情報の受付を開始する旨の表示制御がなされ、さらに、通信回線2に接続された端末(不図示)のディスプレイに同様の新規の予約情報の受付を開始する旨の表示制御がなされる。また、他の納入業者による新規の予約情報の受付が制限手段25により制限されている場合には、その旨の表示制御が行われる。
【0046】
返却後予約開始手段22により新規の予約情報が受付けられると、この予約情報に基づき鍵貸出ダイヤグラム15の変更がなされ、この変更後の鍵貸出ダイヤグラム15がデータベース6に記憶されるとともに、当該鍵貸出ダイヤグラム15が鍵管理機制御装置3へ送信されてデータベース11に記憶される。そして、データベース6に記憶された鍵貸出ダイヤグラム15に従って鍵管理機5の鍵の取り出し許可状態と取り出し禁止状態とが切り替え制御されることとなり、新規の予約情報に基づく鍵の取り出しが可能となる。
【0047】
したがって、上述した実施形態によれば、予め入力された予約情報に基づいて利用者ごとの貸出時間帯を規定する鍵貸出ダイヤグラム15を作成し、この鍵貸出ダイヤグラム15、および、カードリーダ14の読取結果に従って鍵管理機5を制御して、カードリーダ14の読取結果から特定される納入業者に対して、鍵貸出ダイヤグラム15に規定された貸出時間帯にだけ鍵の貸出を許可することができ、さらに、鍵貸出ダイヤグラム15に設定されている返却予定時刻前に鍵が返却された場合には、返却実施時刻から返却予定時刻までの時間帯に対する新規の予約情報の受付を開始して、鍵貸出ダイヤグラム15を変更して、この変更された鍵貸出ダイヤグラム15に従って鍵の貸出制御を行うことができるため、スケジュール通りに鍵の貸出を行いつつ、鍵が早めに返却された場合の鍵の利用効率向上を図ることが可能になる。
【0048】
また、返却予定時刻よりも前に鍵が返却された場合に、新規の予約情報の受付が開始されることを利用者に報知することができるため、他の利用者が即座に鍵の予約情報を入力して鍵を利用することができ、この結果、鍵を利用したい他の利用者等が鍵の利用状況を頻繁に確認する必要が無くなり、更なる鍵の利用効率向上を図ることができる。
【0049】
さらに、返却予定時刻よりも前に鍵が返却された場合に所定時間だけ他の利用者による鍵の貸し出しを制限して、鍵を返却した利用者の鍵の貸し出しを優先させることで、貸し出しされた鍵を利用していない場合に短時間でも鍵を返却させることを癖付けさせて、利用者による鍵の返却忘れを防止することができるため、更なる鍵の利用効率向上を図ることができる。
【0050】
なお、この発明は上述した実施形態に限られるものではなく、例えば、同一納入業者で複数台のトラックを保有している場合などには、トラックの台数に対応する各納品担当者を個別の納入業者として個々に利用設定できるようにしてもよい。また、このように複数台のトラックを保有している納入業者がいる場合には、重複する時間帯の同一の検収に同一の納入業者が設定され警告表示がなされた場合に、設定の変更を行うか否かを手動で選択できるようにしてもよい。
【0051】
また、上記実施の形態ではポートP1〜Pn毎にフォークリフトを1台ずつ配置している場合について説明したが、一つのポートに複数台のフォークリフトが配置されている場合には、単一のポートを複数のポートとして登録してもよい。
さらに、この実施の形態では、工場の納品用フォークリフトの鍵の貸出について説明したが、複数の鍵を管理するようなものであれば工場以外にも適用できる。工場以外の鍵管理システムの場合には、上述した「納入業者」を「利用者」に、「ポート」を鍵が必要な「装置」や「車両」等に読み替えればよい。
【0052】
また、納入業者確認ダイヤグラム17の配布は印刷して配布する方法に限るものではなく、記録媒体に納入業者確認ダイヤグラム17をデータで保存してこの記録媒体を配布するようにしても良く、さらに、インターネットなどの通信回線を通じてこの納入業者確認ダイヤグラム17のデータを配布するようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態では、返却予定時刻を過ぎて鍵が未返却の場合に、警告表示による報知を行う一例について説明したが、警告表示以外に、警告音で報知するようにしてもよい。また、鍵が未返却の場合に警告する場合について説明したが、警告を適宜省略してもよい。
【0053】
そして、上述した実施形態では、返却後予約開始手段22が、返却実施時刻から返却予定時刻までの予約情報の受付を行う場合について説明したが、返却予定時刻以降に貸出予定が無い場合は、返却実施時刻から返却予定時刻以降の時間帯に連続する予約情報の受付を行うようにしても良い。
また、上述した実施形態では、鍵を返却した納入業者(利用者)以外の他の納入業者(利用者)に対して所定時間だけ予約情報の受付を制限する制限手段25を設けた場合を一例に説明したが、制限手段25を適宜省略するようにしても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 ダイヤ作成装置
3 鍵管理機制御装置
5 鍵管理機
14 カードリーダ(利用者特定手段)
15 鍵貸出ダイヤグラム
21 比較手段
22 返却後予約開始手段
23 ダイヤ変更手段
24 報知手段
25 制限手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された識別情報に基づいて利用者を特定する利用者特定手段と、
該利用者特定手段の特定結果に基づいて鍵の貸出可否を判定する鍵管理機制御装置と、
該鍵管理機制御装置の判定結果に基づいて、鍵を取出し許可状態および取出し禁止状態とする鍵管理機と、
予め入力された予約情報に基づいて、利用者毎の貸出時間帯を規定する鍵貸出ダイヤグラムを作成するダイヤ作成装置とを備えた鍵管理システムであって、
前記ダイヤ作成装置は、
前記貸出時間帯の返却予定時刻と鍵が実際に返却された返却実施時刻とを比較する比較手段と、
前記返却予定時刻よりも前記返却実施時刻が前である場合に、該返却実施時刻から前記返却予定時刻までの時間帯に対する新規の予約情報の受付を開始する返却後予約開始手段と、
該返却後予約開始手段によって受付けられた新規の予約情報に基づき鍵貸出ダイヤグラムを変更するダイヤ変更手段とを備え、
前記鍵管理機制御装置は、
予め入力された予約情報に基づき作成された鍵貸出ダイヤグラム、又は、前記ダイヤ変更手段によって変更された鍵貸出ダイヤグラム、および、前記利用者特定手段による特定結果に基づいて、前記鍵管理機による鍵の取り出し許可状態と取出し禁止状態とを切り替え制御することを特徴とする鍵管理システム。
【請求項2】
前記返却実施時刻が前記返却予定時刻よりも前である場合に、新規の予約情報の受付が開始されることを利用者に報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の鍵管理システム。
【請求項3】
前記返却実施時刻が前記返却予定時刻よりも前である場合に、鍵を返却した利用者以外の他の利用者による新規の予約情報の受付を、所定時間だけ制限する制限手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の鍵管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−47018(P2012−47018A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−192669(P2010−192669)
【出願日】平成22年8月30日(2010.8.30)
【出願人】(000116079)ローレルバンクマシン株式会社 (82)
【Fターム(参考)】